JPWO2006001179A1 - 2以上のポリペプチドから構成される蛋白質の生産方法 - Google Patents

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Abstract

真核生物由来の蛋白質のような、正確なフォーム形成が必要な、2以上のポリペプチドから構成される蛋白質を細菌に生産させることが求められている。本発明は、翻訳ユニット間に特定のスペーサー配列を含むDNA構築体、ベクターと宿主、形質転換体、及びそれらを用いた2以上のポリペプチドで構成される蛋白質の生産方法、及びまたそのような蛋白質を含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質、とりわけ完全長抗体を、宿主を用いて効率よく製造する事を可能にするDNA構築体に関する。さらに、当該DNA構築体を含むベクター、当該ベクターにより宿主を形質転換して得られる形質転換体、および、当該形質転換体を用いた2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質の製造方法に関する。
哺乳動物は、生体の恒常的維持にとって有害である種々の疾患発病や病気の原因となる抗原(例えばウイルス、細菌毒素、化学物質等)、また悪性自己抗原(例えば自己反応性リンパ球、腫瘍細胞、過剰のサイトカインやホルモンなどの生体内因子など)を特異的に捕捉し生体から排除する防御システムすなわち体液性免疫を有している。この体液性免疫では、上述した抗原の刺激の結果、主に抗体と呼ばれる高分子蛋白質が産生される。
この抗体は高等生物の生体防御系において中心的な役割を担っており、IgA、IgE、IgG、IgM、IgDの5つの抗体クラスに分けられて、基本構造は各クラス共通である。抗体は、分子量5万−7万の2本のポリペプチド鎖(抗体重鎖、H鎖とも呼ばれる)と分子量約2.3万−2.5万の2本のポリペプチド鎖(抗体軽鎖、L鎖とも呼ばれる)との計4本のポリペプチド鎖により構成され、それぞれ相同な2本のH鎖と2本のL鎖がジスルフィド結合及び非共有結合により結合した、分子量150万から190万となるY字型の基本構造を有する高分子蛋白質である。抗体がこのY字型構造を有するためには、H鎖中のN末端側から数えて約215残基前後から始まるヒンジ部と呼ばれる領域内の、2つのシステイン残基同士のジスルフィド結合が必須である。
L鎖、H鎖のN末端ドメインにはアミノ酸配列が抗原結合に固有である可変部と呼ばれる機能単位が存在し、結合相手である抗原が特定化される。その可変部以降C末端側のアミノ酸配列は、同種動物の各抗体クラスがほぼ一定な定常部とよばれるドメインを有している。このドメインはFc領域とも呼ばれ、補体、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、マクロファージなどの抗体Fc領域受容体と結合する。また抗体分子のFc領域は、細胞による細胞障害作用のうち、抗体を必要とする抗体依存性細胞障害活性(ADCC活性)に関与することから、生体における抗体の生物学的活性に重要な役割を持つ。
抗体は、生体における有害な抗原の捕捉及び排除という機能を有する医薬品として古くより利用されている。初期の抗体医薬は、いわゆる細菌毒素やヘビ毒に対する様々なタイプの抗体が混在する抗血清すなわちポリクローナル抗体である。しかしながら、この抗血清を取得するためには、血清からの回収による方法に限られていることから、その抗体医薬としての抗血清の供給は限りがあった。また、様々なタイプの抗体が混在することから、特定の抗原に対する特異性を持つ単一タイプの抗体分子、すなわちモノクローナル抗体を単離する上でも非常に困難が伴う。
これらの問題は1975年にケーラーとミルシュタインによる細胞融合技術、すなわちハイブリドーマ法によるモノクローナル抗体の作製の成功により解決され、均一で高い抗原特異性と親和性を持ち、安定的に供給可能なマウスモノクローナル抗体を得ることが可能となった(非特許文献1参照)。この方法は特定の抗原と反応するマウスB細胞とマウス腫瘍細胞とを融合して、特定の抗体を産生しかつ安定に増殖するハイブリドーマを作製し、ハイブリドーマ細胞を培養することにより細胞培養液中からモノクローナル抗体を精製、取得することを可能とする。
モノクローナル抗体は従来の抗血清のようなポリクローナル抗体に比較し、その抗原特異性が格段に優れ、特異的に結合することにより抗原の生物活性を阻害、増強、またはリガンドに代わるシグナル伝達の阻害や細胞間接着を阻害することが出来ることから、様々な疾患の予防及び治療のための極めて有用な検査薬や医薬品として用いられている。
近年、遺伝子工学の発展によりマウスモノクローナル抗体の一部とヒトモノクローナル抗体との一部から成る組み換え型キメラ抗体、並びに完全ヒト化抗体が研究開発されている。ヒトに投与したとき従来から問題とされていたHAMA(ヒト抗マウス抗体)が誘導されること無く、様々な疾患治療に対し十分な効果を持つ抗体医薬品が生産されるようになっている。この遺伝子組換えによる抗体生産は、現在一般的に、動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、及びマウスミエローマー由来のNS0細胞及びSP2/0細胞(非特許文献2参照)で行われている。
しかし、動物細胞による組換え抗体医薬品製造は、培養に用いられる培地に掛かる費用や多大な培養日数などのために製造コストが非常に高い。さらに安定な細胞を樹立するには多数の細胞株から選択する必要がある。このように、生産使用可能な安定的な抗体発現細胞株の樹立までには手間と労力とが必要となっている。従って、もし動物細胞において目的の抗体を多量に得ようとするのであれば、生産量を上げるため高価で大量の培地を用い、継続的な培地の添加により培養日数を増加させざるを得ない。その製造コストはそのまま薬品価格へ反映されるのが一般的である。以上のような背景のもと、目的の抗体を安価かつ高生産できる技術が望まれている。
この動物細胞による抗体生産技術の問題点を克服するため、組換え抗体を微生物、トランスジェニック植物や動物において安価に生産させる技術が開発されている。中でも微生物では、大腸菌(Escherichia coli)を用いた抗体生産技術が数多く報告されており、特に抗体の抗原特異的結合性のみを利用したい場合に用いられるような一本鎖抗体(scFv)や、Fab、Fab′、Fvといった低分子抗体断片が比較的高収量にて生産できる技術が開発されている(非特許文献3、非特許文献5参照)。また近年、完全長抗体の発現および生産を指向する方法が報告され、抗体のL鎖及びH鎖を個別にプロモーター下流へ配置させたプラスミドにより、L鎖、H鎖を別々に大腸菌のペリプラズムスペース内に発現させ、そして抗体断片を構成させる方法によりFab′型の抗体や完全長抗体を生産させている(非特許文献4、特許文献1参照)。ブレビバチルス属細菌においても本開示技術を適用することによりL鎖及びH鎖の発現量や量比を制御できると期待された。しかし、ブレビバチルス・ブレビス細菌においてL鎖及びH鎖の発現量をコントロールすることができないため、完全長抗体を効率よく生産し得なかった(本明細書の比較例2参照)。さらに、これらの開示は、完全長抗体のような2以上のポリペプチドから構成される蛋白質の生産のためには、2プロモーターを使用する2シストロン系が好適であることを指摘する。
大腸菌による抗体生産は、必要な培養日数や培養コストから動物細胞に比較し大幅に製造コストを削減することができ、安価で供給が可能であることから動物細胞に代わる製造技術として期待されている。ところが、大腸菌による低分子抗体断片や完全長抗体の発現の場合、そのペリプラズムスペースに分泌発現することから、精製時に菌体を集め破砕処理を行うなどの操作が必要となり、操作上の不便性が生じるだけでなく、目的とする蛋白質精製時に菌体成分由来の汚染が避けられないという精製工程上のマイナス面も生じる。さらにジスルフィド結合の多い抗体蛋白質などの場合、目的とする抗体蛋白質の発現時、正確な高次構造形成がとれず細胞内でプロテアーゼによる分解作用を受けることや、翻訳後、細胞内へ不活性型の封入体を形成してしまうことが多い。この不活性型の封入体から活性型へ変換するには、複雑なリフォールディング操作が必要となるだけでなく、活性型蛋白質の回収率に多大な影響をおよぼす。
大腸菌による蛋白質生産の上記問題点を解消するため、鵜高らはブレビバチルス・ブレビス(Brevibacillus brevis)を用いた蛋白質生産に対する画期的な宿主ベクター系を開発し、現在までに多種類の蛋白質に対する生産系を開発している(特許文献2、特許文献3参照)。この技術によるバチルス属細菌を用いた組換え抗体蛋白質生産では、低分子抗体である抗ヒトウロキナーゼ・マウス・ヒトキメラFab′抗体を効率良く分泌生産させことに成功している(非特許文献6、特許文献4、特許文献4の優先権を主張した特許文献5)。即ち、ブレビバチルス・ブレビスの細胞壁蛋白質の一つとして知られるmiddle wall protein(MWP)のプロモーター下流にSD配列を介してMWPのシグナルペプチドを持つ抗ヒトウロキナーゼ・マウス・ヒトキメラ抗体L鎖と、同様にMWPのSD配列及びシグナルペプチドを有したFd’断片鎖(H鎖の可変部領域からヒンジ部の最初のシステイン残基までの蛋白質をコードしている領域)をタンデムに配置させた発現プラスミドを用い、目的とする組み換えFab′断片を、約0.1g/L以上と極めて高効率で培養液中へ分泌生産させる。また、ブレビバチルス・ブレビスにより発現された組換えFab′蛋白質は、その細胞壁蛋白質の分泌シグナルペプチドにより培養液へ分泌され、直接培養液から活性型Fab′断片を容易に精製回収できることを示す。しかし、特許文献4は、正確なフォーム形成が必要とされる完全長抗体のような蛋白質の生産を開示していない。加えて、特許文献4で使用される、2つの翻訳ユニット間に介在するスペーサー配列は比較的短い。
国際公開第03/018771号パンフレット 特開昭63−56277号公報 特開2000−238740号公報 特開平7−265094号公報 米国特許第5665570A号明細書 Nature.1975.256:495−497 Chu,L,Robinson D.K,Curr Opin Biotechnol.2000.12:180−187 Humphreys.D.P.Curr Opin Drug Discovery Dev.2003.6:188−196 Simmons.L C.ら.J.Immunol.Method 2002.263:133−147 Carter,P.ら.Bio/Technology.1992. 10:163−167 Inoue,Yら Appl.Microbiol.Biotechnol.1997.48:487−492
Fab′型抗体のような低分子抗体断片においては、特殊な発現方法を有せずとも、公知の発現方法、すなわち目的とする抗体分子のL鎖及びFd鎖を適当なプロモーター下流にタンデムに、スペーサー配列を使用せず、直接連結させる方法により発現可能である。しかし、正確なフォーム形成が必要な蛋白質(例えば完全長抗体)の分泌発現のための、新規な生産方法の開発が求められていた。
本発明者らは、正確なフォーム形成が必要な2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質を宿主で生産させるためには、各ポリペプチドをコードするDNA配列間に、ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、middle wall protein(MWP)遺伝子の終止コドンの直後からouter wall protein(OWP)のシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列を含む、比較的長いヌクレオチド長のスペーサー配列を要することを発見した。
本発明は、スペーサー配列を含むDNA構築体であって、該スペーサー配列が以下の(1)または(2)のDNA配列を含む、DNA構築体を提供する。
(1)ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP(middle wall protein)遺伝子の終止コドンの直後からOWP(outer wall protein)のシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列。
(2)(1)のDNA配列中に、1または数個のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を有するDNA配列であって、かつ(1)のDNA配列と同等の機能を有するDNA配列。
本発明は、好ましくは、さらに以下の1または複数の特徴を有する。
本発明は、シグナルペプチドをコードするDNA配列、および2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質のいずれか1つのポリペプチドをコードするDNA配列を含む翻訳ユニットの2種類以上が、該スペーサー配列を介して連結され、かつ単一のプロモーター配列に作動可能に連結されている、上記DNA構築体を提供する。
本発明は前記翻訳ユニットが2個であり、かつ前記蛋白質のポリペプチドをコードするDNA配列のそれぞれが完全長抗体を構成する軽鎖(L鎖)又は重鎖(H鎖)をコードするものである、上記DNA構築体を提供する。
本発明は、1の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のMWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の軽鎖(L鎖)をコードするDNA配列を含み、かつ、他の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の重鎖(H鎖)をコードするDNA配列を含む、上記DNA構築体を提供する。
本発明は、1の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のMWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の重鎖(H鎖)をコードするDNA配列を含み、かつ、他の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の軽鎖(L鎖)をコードするDNA配列を含む、上記のDNA構築体を提供する。
本発明は、上記のいずれかのDNA構築体を含むベクターを提供する。本発明は、上記いずれかのベクターを宿主に導入して得られる形質転換体を提供する。
本発明は、前記宿主がブレビバチルス属またはバチルス属細菌である、上記いずれかの形質転換体を提供する。
本発明は、異種蛋白質を生産し、かつ分泌する、上記いずれかの形質転換体を提供する。
本発明は、前記ブレビバチルス属細菌がブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・ボルステレンシス又はブレビバチルス・チョウシネンシスである、上記のいずれかの形質転換体を提供する。
本発明は、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質の製造方法であって、上記いずれかの形質転換体を培養し、上記いずれかの蛋白質を生産させる工程、および生産された該蛋白質を回収する工程を含む製造方法を提供する。
本発明は、上記製造方法によって得られる蛋白質を提供する。本発明は、上記製造方法によって得られる蛋白質、および製薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明によれば、例えば、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質を宿主(細菌宿主を含む)で生産する際、正しい構造を有する目的蛋白質を効率良く得ることができる。例えば、Y字型構造を有する完全長抗体を、ほぼ均一な状態で培養液中に生産蓄積させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「DNA構築体」とは、組み換えDNA技法を使用して、任意のDNAを連結させたものをいう。そのようなDNA構築体の調製は、当業者にとって公知の技術を利用して行うことができる。
本明細書において、DNA構築体に含まれる「スペーサー配列」とは、任意の翻訳ユニットの間に介在するDNA配列を意味する。本発明の目的のためには、該スペーサー配列は、例えば20〜300ヌクレオチド長、好ましくは50〜200ヌクレオチド長である。
該スペーサー配列は、以下の(1)または(2)のDNA配列を含む、DNA構築体である。
(1)ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、middle wall protein遺伝子の終止コドンの直後からouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列。
(2)(1)のDNA配列中に、1または数個のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を有するDNA配列であって、かつ(1)のDNA配列と同等の機能を有するDNA配列。
本明細書において、以下では、上記(1)又は(2)のDNA配列を「DNA配列(1)又は(2)」と記載することがある。
本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」は、20ヌクレオチド長以上、望ましくは27ヌクレオチド長以上、より望ましくは30ヌクレオチド以上、更に望ましくは40ヌクレオチド長、特に望ましくは51ヌクレオチド長以上、好ましくは60ヌクレオチド長以上、より好ましくは80ヌクレオチド長以上、更に好ましくは100ヌクレオチド長以上、特に好ましくは110ヌクレオチド長以上、より特に好ましくは120ヌクレオチド長以上である。また、好ましくは20以上127ヌクレオチド長以下であり、具体的には、例えば36ヌクレオチド長、または51ヌクレオチド長、または112ヌクレオチド長、または127ヌクレオチド長である。
また、本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」の起源となるブレビバチルス属細菌としては、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM P−7224)が好ましい。なお、ブレビバチルス・ブレビス47株は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に「JCM6285株」として保存されており、入手することができる。
本発明のDNA構築体のスペーサー配列に含まれる「ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列」の例示として、配列番号14に、ブレビバチルス・ブレビス47の細胞壁蛋白質オペロン中のMWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列を示した(図3参照)。
「同等の機能を有するDNA配列」とは、スペーサー配列の一部として使用した際、適当なプロモーター配列の制御下で、当該スペーサー配列を介して連結された2種類以上の翻訳ユニットの各々に含まれるDNA配列によってコードされる2種類以上のポリペプチドを、宿主において発現せしめる機能を有するDNA配列であって、さらに、2種類以上のポリペプチドの発現量比が、当該2種類以上のポリペプチドが相互に結合し、本来の正確な高次構造(または本来の高次構造に類似する構造)を有する1個の蛋白質を構成するのに適した量比となるDNA配列を意味する。
上記「同等の機能を有するDNA配列」は、前記スペーサー配列に相補的なDNA配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列であり得る。該ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーション条件の例は、望ましくは約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO、1mMのEDTA中で約50℃でハイブリダイゼーション、および約2XSSC、約0.1%のSDS中で50℃の洗浄;より望ましくは約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO、約1mMのEDTA中で50℃でハイブリダイゼーション、および約1XSSC、約0.1%のSDSで約50℃の洗浄;更に望ましくは約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO、約1mMのEDTA中で約50℃でハイブリダイゼーション、および約0.5XSSC、約0.1%のSDSで約50℃の洗浄;好ましくは約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO、約1mMのEDTA中で約50℃でハイブリダイゼーション、および約0.1XSSC、約0.1%のSDSで約50℃の洗浄;より好ましくは約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO、約1mMのEDTA中で約50℃でハイブリダイゼーション、および、約0.1XSSC、約0.1%のSDSで約65℃の洗浄である。もっとも、該条件は、DNA鎖の長さ、該配列、および異なる環境パラメーターに依存して異なり得る。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの詳細なガイドは、例えばTijssen(1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2’’Overview of principles of hybridization and the starategy of nucleic acid probe assay’’Elsvier, New Yorkに見出される。
本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列」として、上記ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の所定範囲のDNA配列(1)又は(2)に限らず、ブレビバチルス属細菌における、前記細胞壁蛋白質オペロンと同様の機能を有するオペロン中の所定範囲のDNA配列を用いてもよい。
本発明の「DNA構築体」は、シグナルペプチドをコードするDNA配列、および2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質のいずれか1つのポリペプチドをコードするDNA配列を含む翻訳ユニットの2種類以上が、前記スペーサー配列を介して連結され、かつ単一のプロモーター配列に作動可能に連結されているものが好ましい。
本発明のDNA構築体に使用される「シグナルペプチドをコードするDNA配列」は、宿主で機能する分泌シグナルペプチドをコードするものであれば特に制限はない。上記DNA配列としては、ブレビバチルス属細菌のMWPおよび/またはOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列が好ましく、ブレビバチルス・ブレビス、特にブレビバチルス・ブレビス47の、MWPおよび/またはOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列がより好ましい。ブレビバチルス・ブレビス47のOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列を、図3および配列番号11〜13に示した。また、分泌効率を高めるため、従来のシグナルペプチドのアミノ酸配列を改良したものをコードするDNA配列でも構わない。具体的に言えば、ブレビバチルス・ブレビス47のMWPのシグナルペプチド、Met−Lys−Lys−Val−Val−Asn−Ser−Val−Leu−Ala−Ser−Ala−Leu−Ala−Leu−Thr−Val−Ala−Pro−Met−Ala−Phe−Ala(配列番号21)を利用するほか、このアミノ酸配列の改良例として、Met−Lys−Lys−Arg−Arg−Val−Val−Asn−Asn−Ser−Val−Leu−Leu−Leu−Leu−Leu−Leu−Ala−Ser−Ala−Leu−Ala−Leu−Thr−Val−Ala−Pro−Met−Ala−Phe−Ala(配列番号22)(Sagiya. Yら. 1994. Appl Microbiol Biotechnol 42:358−363;特許第3433807号)の下線部(Arg−Arg−Val−Val、およびLeu−Leu−Leu−Leu−Leu−Leu)のように塩基性や疎水性アミノ酸残基などを付加または消失させたシグナルペプチドをコードするDNA配列を用いても構わない。使用するDNA配列は、コドンが縮重コドンで置換されていても、宿主内で翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、クローニングにより得られたDNA配列と同一である必要は無い。
本明細書において「ポリペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するペプチド鎖を言い、アミノ酸残基数が10以上のものを指す。
本明細書において「2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質」とは、2種類以上のポリペプチドが結合して生成した蛋白質であり、それぞれのポリペプチドの構成比が異なる場合も等しい場合も、これに包含される。当該蛋白質を構成するポリペプチドの種類の数は、2以上であれば特に限定されないが、好ましくは2から4、より好ましくは2または3、最も好ましくは2である。当該蛋白質の例として、完全長抗体が含まれる
上記「2種類以上のポリペプチド」は、同じ遺伝子起源であってよいが、通常、抗体や蛋白質ホルモンLH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、HCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)、およびTSH(甲状腺刺激ホルモン)の場合のように異なる遺伝子によってコードされる。本明細書において、「2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質」は、蛋白質が生物学的機能を発現するために2以上の異なるポリペプチドの結合を必要とする限り、いくつかの同じポリペプチドを含んでいてもよい。2種類の異なるポリペプチドからなる蛋白質は、ヘテロダイメリック蛋白質として知られる。そのような蛋白質のさらなる例は、例えばヘルグリン、インテグリン、アクチビン、およびインヒビンのような蛋白質である。
本明細書において「完全長抗体」とは、動物個体への抗原刺激の結果、免疫応答によって動物個体内に産生される蛋白質で、免疫源(抗原)と特異的に結合する活性を持つものを言う。即ち、蛋白質、多糖類、核酸、脂質などのうち、抗原性を示す物質または、その集合体を含むものと特異的に結合する活性を有する蛋白質であればよい。「完全長抗体」としては、例えば、〔背景技術〕で述べた抗体構造(Y字型の基本構造)を有しているものだけでなく、抗原と特異的に結合する活性はもちろんのこと、〔背景技術〕で記載した、抗体の定常部が持つ生体内での生物学的活性を有するものも含まれる。本明細書に記載の「完全長抗体」は、分子量の小さなFv、Fab、またはFab′、さらにはscFvまたはdsFvといった1本鎖抗体などの低分子抗原結合性フラグメントとは異なるものを指す。
ここで示す「完全長抗体」は、抗原との結合活性や生物学的活性を消失させない範囲内にて、構造アミノ酸配列中に1または数個、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30個またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加のような変異導入を行ったものでもよく、具体的にはマウス抗体やヒト化抗体、さらには二重特異性抗体、トキシン融合抗体、または、これらの組み合わせによってマウス抗体をヒト抗体へ近づけたマウス・ヒトキメラ抗体などが挙げられる。更に具体的にはマウス・ヒトキメラ抗ヒト腫瘍壊死因子抗体や、マウス・ヒトキメラ抗ヒトCD20抗体が挙げられる(以下、「ヒト腫瘍壊死因子」を「ヒトTNFα」、「マウス・ヒトキメラ抗ヒト腫瘍壊死因子抗体」を「抗ヒトTNFα抗体」と略す)。もっとも、組み換えを有するか有しないかは、本発明にとって重要な問題ではない。
完全長抗体をコードするDNA配列は、通常用いられる公知の方法で取得し、クローニングもしくは公知のポリメラーゼ・チェーン・リアクション(以下、PCRと略す)法で特異的に増やすことにより取得できる。また公知の化学合成法から合成することも可能であり(Nucleic acids Res. 第12巻4359頁(1984年))、cDNAライブラリーから得ることもできる。完全長抗体をコードするDNA配列は、コドンが縮重コドンで置換されていても、宿主内で翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、クローニングにより得られたDNAと同一である必要は無い。
本明細書において、「翻訳ユニット」とは、ポリペプチドをコードするDNA配列および隣接制御領域を含む遺伝的エレメントを意味する。隣接制御領域は例えば、宿主内で機能するSD配列を意味する。SD配列(Shine−Dalgarno sequence)とは、原核生物のmRNAにおいて、開始コドンの上流に見られる共通配列であり、通常、−AGGAGG−のようにプリン塩基(アデニン・グアニン)に富んだ3から9塩基(平均4.8塩基)のDNA配列からなる。本発明においては、ブレビバチルス属細菌、特に、ブレビバチルス・ブレビス由来のSD配列の使用が好ましく、ブレビバチルス・ブレビス47株の、MWPおよび/またはOWP遺伝子に由来するSD配列の使用がより好ましい。本発明のDNA構築体において、翻訳ユニットの数は任意であり、該数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上でありうる。該数は、好ましくは2から4、より好ましくは2または3、およびもっとも好ましくは2である。
本明細書において、「プロモーター」とは、任意の構成的または誘導可能プロモーターを含む。原核生物宿主での使用のために好適なプロモーターは、polIIプロモーター、polIIIプロモーター、PhoAプロモーター、β−ラクタマーゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーターおよびハイブリッドプロモーター、例えばtacまたはtrcプロモーターを含む。プロモーターとしては宿主で機能するものであればいずれでも使用できる。好ましくは、ブレビバチルス属細菌由来のプロモーターを使用する。より好ましくは、ブレビバチルス・ブレビス、特にブレビバチルス・ブレビス47(FERM P−7224)由来のMWPプロモーター領域(特公平1−58950号公報、特公平7−108224公報)、あるいはブレビバチルス・チョウシネンシス、特にブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)(バチルス・ブレビスH102(FERM BP−1087)と同一菌株)由来のHWPプロモーター領域(特開平4−278091号公報、特開平6−133782号公報)に含まれるプロモーター、例えばP2プロモーターを挙げることができる。本発明の目的のために、プロモーター数は、任意の数であり得るが、好ましくは単一のプロモーターを使用する。
本明細書において、「作動可能に連結」とは、2以上のDNA配列が物理的におよび/又は機能的に関連可能な状態で連結していることを意味する。例えば、プロモーターと翻訳ユニットとが適当なDNA配列を介して連結されており、当該プロモーターが、当該翻訳ユニットの一部がコードするポリペプチドの発現レベルに影響を及ぼす場合には、両者は「作動可能に連結」されているといえる。
上記のスペーサー配列、プロモーター配列、SD配列、およびシグナルペプチドをコードするDNA配列は、例えばブレビバチルス属細菌、またはブレビバチルス・ブレビス47(FERM P−7224)の染色体DNAを鋳型として、公知のPCR法で特異的に増やすことにより取得できる。
本発明の「DNA構築体」の一実施形態は、前記翻訳ユニットが2個であり、1の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するL鎖をコードするDNA配列を含み、他の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するH鎖をコードするDNA配列を含むものである。本発明の「DNA構築体」の好適な一実施形態は、前記翻訳ユニットが2個であり、1の翻訳ユニットがブレビバチルス属細菌のMWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のL鎖をコードするDNA配列を含み、他の翻訳ユニットがブレビバチルス属細菌のOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のH鎖をコードするDNA配列を含むものである。また、本発明の「DNA構築体」の好適な一実施形態は、前記翻訳ユニットが2個であり、1の翻訳ユニットがブレビバチルス属細菌のMWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のH鎖をコードするDNA配列を含み、他の翻訳ユニットがブレビバチルス属細菌のOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のL鎖をコードするDNA配列を含むものである。
特に好ましい本発明の「DNA構築体」の例は、ブレビバチルス・ブレビスのMWPプロモーター領域の下流(3’末端)に、同MWP遺伝子由来のSD配列、同MWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のL鎖をコードするDNA配列からなる翻訳ユニットを配置し、その下流に、本発明のスペーサー配列を介して、ブレビバチルス・ブレビスのOWP遺伝子由来のSD配列、同OWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体のH鎖をコードするDNA配列からなる翻訳ユニットを配置した構造からなる。
本発明のDNA構築体を導入するベクターとしては、適当な宿主細胞内で自律複製可能なDNA分子であって、当業者に公知のものを用いることができる。当該ベクターは、所望によりマーカー配列を含んでいてもよい。マーカーとしては、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ネオマイシンなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
本発明で用いるベクターは、本発明のDNA構築体を導入することができ、更にそれを宿主内に導入する機能を有する限り特に限定されないが、pHY500(特開平2−31682号公報)、pNU200(鵜高重三、日本農芸化学会誌61,669−676(1987))、pNH301(Shiga.Yら 1992.Applied and Environmental Microbiology,58:525−531.)、pNH400(Ishihara,Tら、1995.J.Bacteriol,177:745−749)、pNY700(特開平4−278091号公報)、pHT系プラスミド(特許第2727391号)、pNCO2(特開2002−238569号公報)、またはこれらの誘導体が好ましい。また、宿主としてブレビバチルス属細菌を用いる場合、宿主細胞内で自立複製可能なプラスミドベクターなどを利用することなく、本発明のDNA構築体を染色体中へ直接組み込み、発現させる方法(特開平9−135693号公報)を用いても良い。
本発明の「形質転換体」は、本発明のベクターで適当な宿主を形質転換することにより得られる。本発明で使用される宿主は、細菌、動物細胞、植物細胞、または菌類その他を含み、特に限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属細菌またはブレビバチルス属細菌が好適に使用され、ブレビバチルス属細菌がより好適に使用され得る。
上記バチルス属細菌としては、例えば、Bacillus subtilis、B.acidocaldarius、B.coagulans、B.polymyxa、B.alkalophilus、B.pasteurii、B.pantothenticus、B.pasteurii、Psychrophiles、B.globisporus、B.insolitus、B.marinus、B.macquariensis、B.megaterium、B.polymyxa、B.acidocaldarius、B.schlegelii、B.stearothermophilus、B.azotoformans、B.cereus、B.laterosporus、B.licheniformis、B.pasteurii、B.stearothermophilus、B.macerans、B.polymyxa、B.macerans、B.brevis、B.cereus、B.circulans、B.laterosporus、B.licheniformis、B.polymyxa、B.pumilus、B.subtilis、B.larvae、B.lentimorbis、B.popilliae、B.larvaeおよびB.lentimorbisを挙げることができる。上記ブレビバチルス属細菌としては、例えば、Brevibacillus agri、B.borstelensis、B.brevis、B.centrosporus、B.choshinensis、B.formosus、B.invocatus、B.laterosporus、B.limnophilus、B.parabrevis、B.reuszeri、およびB.thermoruberを挙げることができ、それらの中でも、ブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・ボルステレンシス、およびブレビバチルス・チョウシネンシスが好適に、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM P−7224)、ブレビバチルス・ブレビス47−5Q(Udaka,S.ら,1993.Method Enzymol,217:23−33)、およびブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)がより好適に使用され得る。また生産量の向上などの目的に応じて、上記ブレビバチルス属細菌のプロテアーゼ欠損株や高発現株のような変異株を使用しても良い。具体的に挙げればブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31由来のプロテアーゼ変異株であるブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK(特開平6−296485号公報、FERM BP−4573)や、ヒト唾液アミラーゼ高生産株として取得されたブレビバチルス・ブレビス47K(Konishi,H.ら.Appl Microbiol.Biotechnol.34;297−302,1990)が使用され得る。
本発明において用いられる宿主の形質転換は、例えば、公知のTakahashiらの方法(Takahashi.Wら.J.Bacteriol.1983.156:1130−1134)、Takagiらの方法(Takagi.Hら.1989.Agric.Biol.Chem,53:3099−3100)、またはOkamotoらの方法(Okamoto.Aら 1997.Biosci.Biotechnol.Biochem.61:202−203)により実施することができるが、方法は特に限定されない。
微生物において異種真核生物蛋白質を高発現させた場合、当該蛋白質が細胞質内および/または外で結合し、生物学的に不活性な不溶性体と呼ばれるアグリゲートを形成することがある。特に、システイン残基を多く含み、ジスルフィド結合の多い蛋白質は、アグリゲートを形成することが多い。一方で、目的とする蛋白質を発現させる際、シャペロン蛋白質やジスルフィド結合異性化酵素やプロリン異性化酵素などを作用させることによって、目的蛋白質のアグリゲートや分泌効率の低下を抑え得ることが知られている。広く試みられている方法は、FkpAなどのPPIase(ペプチジルシストランスイソメラーゼ)(Missiakas DらMolecular microbiology,21(4),871−884,1996)及びPDI(プロテインジスルフィドイソメラーゼ)やDsbAなどのジスルフィド酸化還元活性を有する蛋白質を作用させる方法(特開昭63−294796号公報、特開平5−336986号公報等)である。さらにまた、ジスルフィド酸化還元活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を宿主生物に導入し、目的とする組換え蛋白質とジスルフィド酸化還元活性を有する蛋白質を同時に発現させて正しいジスルフィド結合を有する蛋白質を製造する方法も知られている(特開2000−83670号公報、特表2001−514490号公報等)。本発明においても、例えば、完全長抗体を発現させる際、数種類のシャペロン蛋白質やジスルフィド結合酸化還元酵素やジスルフィド異性化酵素のようなフォールディングを促進する酵素を同時に発現させることもできる。具体的に挙げれば、大腸菌のDsbA(Bardwell,J.C.A.ら,1991.Cell,67:582−589、Kamitani,S.ら,EMBO.J.11:57−62(1992))、DnaK、DnaJ、GrpE(特開平9−180558号公報)、FkpAなどのPPIase(Journal of biological chemistry 275(22),17100−17105,2000)、プロテインジスルフイドイソメラ−ゼ(国際公開第01/068884号パンフレット)、および、ジスルフィド酸化還元酵素(特開2003−169675号公報)の群から選ばれる1つ以上を同時に発現させ、目的とする蛋白質の分泌効率を上昇させることができる。
本発明のベクターにより形質転換された形質転換体は、目的とする蛋白質を構成する2以上のポリペプチドを適切な量比で発現し、その蛋白質本来またはそれと類似の立体構造(および/または、その蛋白質本来の活性またはそれと類似の活性)を有する蛋白質として生産することができる。例えば完全長抗体を目的蛋白質とする場合、正確なY字型構造を有する完全長抗体をほぼ均一な状態で培養液中に生産蓄積させることができる。
本発明はまた、本発明の形質転換体を培養し該蛋白質を生産させる工程、および生産された該蛋白質を回収する工程を含む、蛋白質の製造方法である。
本発明の細菌形質転換体の培養に用いる培地は、目的とする2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質を高効率、高収量で分泌発現するものであれば制限は無い。具体的にはグルコース、蔗糖、グリセロール、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、またはカザミノ酸などの炭素源や窒素源を使用することが出来る。その他、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛塩、または鉄塩等の無機塩類が必要に応じて添加される。また、もし栄養要求性を付与している宿主を用いる場合は、生育に要求される栄養物質を添加すればよい。また必要であればペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、またはネオマイシンなどの抗生物質が添加されても良い。培養温度は約15−42℃、好ましくは約28−32℃であり、通気攪拌条件で好気的に培養を行うことが望ましいが、もし必要であれば通気を遮断し嫌気的に培養してもよい。
本発明によれば、例えば細菌形質転換体を培養することにより、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質が該細菌形質転換体の菌体内または外、すなわち培養液中に大量に蓄積されるため、当該培養液から当該蛋白質を採取し、所望により精製することが出来る。当該蛋白質が菌体内に蓄積された場合、通常の方法、例えば超音波やフレンチプレス、アルカリまたはSDS処理などを利用した方法により菌を破砕し、抽出することが出来る。得られた当該蛋白質は、通常の蛋白質精製方法、例えば硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムなどを用いた塩析、ゲル濾過、イオン交換、ハイドロキシアパタイト、プロテインA、プロテインG、プロテインL、または抗原結合アフィニティーなどの担体を用いたカラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
本発明は、「2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質」中に同一のポリペプチドが少なくとも2つ以上含まれる場合には、その2つ以上含まれるポリペプチドの分泌量を増加させる効果も有しうる。
また、本発明は、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質の発現のみでなく、1種類のポリペプチドから構成される蛋白質のポリペプチドをコードするDNA配列を含む翻訳ユニットを、スペーサー配列を介して2個以上連結して作製したDNA構築体を用いて形質転換することにより、ポリペプチドをコードするDNA配列を1組含有する形質転換体と比較して、蛋白質の生産量を倍増させる効果を有し得る。
本発明の医薬組成物は、本発明の方法によって製造された蛋白質を含むものである。当該医薬組成物は、本発明の方法に従い製造した2以上のポリペプチドから構成される蛋白質を、製薬的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と混合することによって製造し得る。希釈剤、担体、または賦形剤は、経口、経腸、経皮、皮下、非経腸(例えば静脈内)または腹腔内投与等の各投与形態に適した任意の有機または無機材料であり得る。希釈剤、担体、および賦形剤は特に限定されないが、例えば、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、微結晶性セルロース、スターチ、ナトリウムスターチグリコレート、燐酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはコロイド性二酸化ケイ素などである。また、本発明の医薬組成物は、他の薬理的に活性な薬剤、および/または慣行の添加物、例えば、安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、または緩衝剤などを含み得る。
本発明によれば、例えば、2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質を宿主で生産する際、その蛋白質本来またはそれと類似の立体構造(および/または、その蛋白質本来の活性またはそれと類似の活性)を有する蛋白質を効率良く得ることができる。
以下に参考例及び実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものでない。本発明の実施にあたり、組換えDNAの作製、組換え体の動物細胞や微生物などへの導入は、特に断わらない限り下記の実験書に従って実施した。(1)T.Maniatis,E.F.Fritsch,J.Sambrook著、「モレキュラー・クローニング/ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning/A Laboratory Manual)」、第2版(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory刊(米国)。(2)村松正實編著「ラボマニュアル遺伝子工学」、第3版(1996)、丸善株式会社刊。
図1〜12に使用されている略語について、以下に説明する。
kbp:キロ塩基対
MWP:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質MWP
OWP:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質OWP
MWP−P:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質MWPプロモーター領域
SDM:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質MWPのSD配列
SDO:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質OWPのSD配列
SPM:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質MWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列
SPO:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質OWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列
MCS:マルチクローニングサイト
Nm:ネオマイシン耐性遺伝子コード領域
T:ターミネーター領域
VL:L鎖可変領域
CL:L鎖定常領域
VH:H鎖可変領域
CH1:H鎖定常領域
CH2:H鎖定常領域
CH3:H鎖定常領域
h:ヒンジ領域
M:分子量マーカー
S:抗ヒトTNFα抗体標準品(インフリキシマブ)
図8〜10に使用されている略語等について、以下に説明する。
Mは分子量マーカー(201,120,100,55,38,29,20kDa)、pNH301/31OKはpNH301を有する形質転換株からの培養液上清を示す。OWPTはL−OWPT−H/pNH301を有する形質転換株からの培養液上清を示す。OWPSDはL−OWPSD−H/pNH301を有する形質転換株からの培養液上清を示す。LHはLH25/pNH301を有する形質転換株からの培養液上清を示す。LpHはLpH25/pNH301を有する形質転換株からの培養液上清を示す。Sは抗ヒトTNFα抗体標準品(3ナノグラム)のレーンを示す。矢印は発現された完全長抗ヒトTNFα抗体の移動度を示す。
実施例1:抗ヒトTNFα抗体L鎖発現ベクターL/pNH301、および抗ヒトTNFα抗体H鎖発現ベクターH/pNH301の構築
米国特許US5698195号記載の抗ヒトTNFα抗体L鎖H鎖の遺伝子配列に従って取得、作製されたpBluescript・抗ヒトTNFα抗体L鎖及びH鎖を鋳型にし、合成オリゴヌクレオチドTNF−LF1:5’−GCTCCCATGGCTTTCGCTGACATCTTGCTGACTCAGTCT−3’(配列番号1)及びTNF−LR1:5’−TTTCTGCAGCTAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTT−3’(配列番号2)をプライマーとしてPCRを行い、抗ヒトTNFα抗体L鎖をコードする約0.65kbpの断片を得た。得られたL鎖コード遺伝子断片は制限酵素NcoIとPstIで処理を行った。同様に合成オリゴヌクレオチドTNF−HF1:5’−GCTCCCATGGCTTTCGCTGAAGTGAAACTTGAGGAGTCT−3’(配列番号3)及びTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)をプライマーとしてPCRを行い、抗ヒトTNFα抗体H鎖をコードする約1.45kbpの断片を得た。得られたH鎖コード遺伝子断片は制限酵素NcoIとHindIIIで処理を行った。それぞれ制限酵素により消化された抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片は2%アガロースで分離後、ゲルから抽出し遺伝子断片を取得した。別に、図1に示した発現ベクターpNH301は制限酵素NcoIとPstI、及びNcoIとHindIIIでそれぞれ消化後、アルカリフォスファターゼ(BAP)処理を行い、先に得られた抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片に対しT4リガーゼを用いて連結し、それぞれL/pNH301及びH/pNH301を得た〔図2〕。
実施例2:完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPT−H/pNH301の構築
ブレビバチルス・ブレビスのMWPのストップコドン以降からOWPのSD配列を含めたシグナルペプチドをコードするDNA配列を得るため、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM P−7224)株から定法に従い染色体DNA約1μgを抽出、精製した。この染色体DNAを鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−F1:5’−CGGGGTACCGAAATACAGTTAATTAGTTAGAAG−3’(配列番号5)と、抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列を3’末端に付加した合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−R1:5’−AGACTCCTCAAGTTTCACTTCTGCAAATGCAGATGCTGCAAC−3’(配列番号6)とを用いてPCRを行い、約0.22kbpの遺伝子断片を得た。この遺伝子断片は、ブレビバチルス・ブレビスが有するMWP及びOWPオペロン構造内の、MWP終止コドンTAA以降のターミネーターと、OWPのSD配列と、シグナルペプチド(Met−Asn−Lys−Lys−Val−Val−Leu−Ser−Val−Leu−Ser−Thr−Thr−Leu−Val−Ala−Ser−Val−Ala−Ala−Ser−Ala−Phe−Ala:配列番号24)をコードするDNA配列と、上記抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列とを含んでいる(図3参照)。
一方、実施例1により得られた抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードするH/pNH301を鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF2:5’−GTTGCAGCATCTGCATTTGCAGAAGTGAAACTTGAGGAGTCT−3’(配列番号7)と、実施例1で使用されたプライマーTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とを用いPCRを行った。得られた1.5kbpのPCR断片は、抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードする配列、及び5’側にはOWPのシグナルペプチドの一部(Val−Ala−Ala−Ser−Ala−Phe−Ala:配列番号25)をコードするDNA配列を含んでいる。
この1.5kbpの断片と、上記遺伝子断片(MWPのターミネーター、OWPのSD配列及びシグナルペプチドをコードするDNA配列を含む約0.22kbp遺伝子断片)とを鋳型とし、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWP−F1:5’−CGGGGTACCGAAATACAGTTAATTAGTTAGAAG−3’(配列番号5)とTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とを用い、公知のオーバーラップ伸長法(Horton,R.H.ら、1997.In Bruce A.White(eds),PCR Cloning protocols form molecular cloning to genetic engineering.141−149.Humana Press,Totowa,NJ.)により再度PCRを行った。その結果、MWPのターミネーターと、OWPのSD配列及びシグナルペプチドをコードする配列と、抗ヒトTNFα抗体H鎖全長鎖をコードする配列とを含んだ遺伝子断片約1.7kbpを得た。
この遺伝子断片を、制限酵素KpnI及びHindIIIにより消化、0.8%アガロースゲルにより抽出精製後、T4ライゲースを用い実施例1にて得られたL/pNH301のKpnI及びHindIIIの間に連結し、L−OWPT−H/pNH301を得た(図4、図11)(配列番号15〜17)。
実施例2における、本発明の「スペーサー配列」に対応する配列は、「ctgcaggatccgtcgactctctaggactcgaggaattcggtaccgaaatacagttaattagttagaagttagtatcgggttactaggtacagctagaggggagttatcccctctaactcttattacccaaacaatagagaacttcctatcaaacat」(配列番号26)となる。また、本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」は、「gaaatacagttaattagttagaagttagtatcgggttactaggtacagctagaggggagttatcccctctaactcttattacccaaacaatagagaacttcctatcaaacat」(配列番号27)となる。この配列番号27は、ブレビバチルス・ブレビス47の細胞壁蛋白質オペロン中のMWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列(配列番号14)のうちの、112ヌクレオチド長からなるDNA配列に相当する。
実施例3:完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPSD−H/pNH301の構築
実施例2と同様に、ブレビバチルス・ブレビス47の染色体DNAを鋳型にして、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWP−F2:5’−CGGGGTACCTATTACCCAAACAATAGAGAACTT−3’(配列番号8)と、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−R1:5’−AGACTCCTCAAGTTTCACTTCTGCAAATGCAGATGCTGCAAC−3’(配列番号6)とを用いPCRを行い、0.12kbpの断片を得た。この断片は、ブレビバチルス・ブレビスが有するMWP及びOWPのオペロン構造内の、MWPストップコドン(TAA)3’下流に存在するOWPのSD配列からOWPのシグナルペプチドと、抗ヒトTNFα抗体のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列とを含んでいる。ただし、実施例2で得られたようなMWPのターミネーター配列は含んでいない(PCRで得られるDNA断片の範囲につき、図3参照)。
一方、実施例2と同様に、抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードするH/pNH301を鋳型とし、合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF2:5’−GTTGCAGCATCTGCATTTGCAGAAGTGAAACTTGAGGAGTCT−3’(配列番号7)と、先のプライマーTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とを用いてPCRを行い、抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードする配列、及び5’側にOWPのシグナルペプチドの一部(Val−Ala−Ala−Ser−Ala−Phe−Ala:配列番号25)をコードする配列を含む1.5kbpの遺伝子断片を得た。
このH鎖を含む1.5kbpの断片と、先のOWPのSD配列を含む0.12kbpの遺伝子断片とを用い、実施例2で記載した方法と同様に合成オリゴヌクレオチドプライマーOWP−F2:5’−CGGGGTACCTATTACCCAAACAATAGAGAACTT−3’(配列番号8)とプライマーTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とによるオーバーラップ伸長法により、OWPのSD配列とOWPシグナルペプチドをコードする配列と、抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードする配列とを含む遺伝子断片約1.6kbpを得た。この断片は、制限酵素KpnI及びHindIIIにより消化し、0.8%アガロースゲルにより抽出、精製した後、T4ライゲースを用い実施例1にて得られたL/pNH301のKpnIとHindIIIの間に連結しL−OWPSD−H/pNH301を得た(図5、図12)(配列番号18〜20)。
実施例3における、本発明の「スペーサー配列」に対応する配列は、「ctgcaggatccgtcgactctctaggactcgaggaattcggtacctattacccaaacaatagagaacttcctatcaaacat」(配列番号28)となる。また、本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」は、「tattacccaaacaatagagaacttcctatcaaacat」(配列番号29)となる。この配列番号29は、ブレビバチルス・ブレビス47の細胞壁蛋白質オペロン中のMWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列(配列番号14)のうちの、36ヌクレオチド長からなるDNA配列に相当する。
比較例1:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質オペロン構造を含まない抗ヒトTNFα抗体発現ベクターLH25/pNH301の構築
スペーサー配列中に「ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列」を含む、本発明の「DNA構築体」の1実施例を用いた発現方法と、スペーサー配列の中に上記「DNA配列」を含まないものを用いた発現方法との間で、完全長抗体形成能を比較検討する。H/pNH301を鋳型とし合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF3:5’−TAGCTGCAGAGAGGAGGAGAACACAAG−3’(配列番号9)及びTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)を用いPCRを行った。PCRにより得られた1.5kbpの遺伝子断片は、H/pNH301の発現プラスミドに由来するMWPのSD配列からMWPのシグナルペプチド及びH鎖のストップコドンまでをコードしている。この1.5kbpの遺伝子断片は制限酵素PstIとHindIIIにより消化し、別にPstIとHindIIIにより消化したL/pNH301の制限酵素サイト内へT4ライゲースを用いて連結し、LH25/pNH301を得た〔図6〕。
比較例2:ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質オペロン構造を含まない抗ヒトTNFα抗体発現ベクターLpH25/pNH301の構築
スペーサー配列中に「ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列」を含む、本発明の「DNA構築体」の1実施例を用いた発現方法と、スペーサー配列の中に上記「DNA配列」を含まないものであって、L鎖及びH鎖を個々にプロモーター支配下に配置させたTwoシストロン型の発現方法〔図7〕との間で、完全長抗体形成能を比較検討する。実施例1で構築したH/pNH301を鋳型とし、合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF4:5’−TTTCTGCAGGAATATACTAGAGATTTTTAA−3’(配列番号10)及びTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)を用いPCRを行った。PCRより得られた約1.7kbpの遺伝子断片は、H/pNH301の発現プラスミドに由来するMWPプロモーターP5、MWPのSD配列からシグナルペプチド及びH鎖のストップコドンまでをコードしている。この約1.7kbpの遺伝子断片は制限酵素PstIとHindIIIにより消化し、別にPstIとHindIIIにより消化されたL/pNH301内へT4ライゲースを用いて連結しLpH25/pNH301を得た(図7)。
実施例4:ブレビバチルス・チョウシネンシス完全長抗ヒトTNFα抗体発現株の取得
ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(特開昭63−56277号公報、FERM BP−1087)から、公知の変異処理を施し菌体外プロテアーゼ活性の低い株として得られたブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK株(FERM BP−4573)を宿主として用いた。実施例2、3及び比較例1、2にて構築したL−OWPT−H/pNH301、L−OWPSD−H/pNH301、LH25/pNH301及びLpH25/pNH301の4つの完全長抗ヒトTNFα抗体をコードしている発現ベクターを用い、それぞれブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK株に対し形質転換を行った。ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK株の形質転換は、公知のエレクトロポレーション法にて行った。エレクトロポレーションは、ジーンパルサー(BioRad社製)を用いて1.5kV、1000オーム、25μFの条件で印加した後、20mM MgClを含んだT2培地[ポリペプトンS 1%、酵母エキス0.2%、カツオ由来肉エキス0.5%、グルコース1%、MgSO・7HO 0.01%、CaCl・7HO 0.01%、MnSO・4HO 0.001%、FeSO・7HO 0.001%、ZnSO・7HO 0.0001% pH7.0]1mlを直ちに添加し、30℃で2時間振とう培養を行った。この培養液の一部をネオマイシン60mg/L含有T2寒天培地(T2培地に1.5%の寒天を含む)に塗布し30℃で2日間培養を行い、出現したコロニーを形質転換体として用いた。発現プラスミドL−OWPT−H/pNH301、L−OWPSD−H/pNH301、LH25/pNH301、LpH25/pNH301によって形質転換されたブレビバチルス・チョウシネンシス形質転換株はそれぞれOWPT、OWPSD、LH、LpH株とした。
実施例5:ブレビバチルス・チョウシネンシス形質転換体株による完全長抗ヒトTNFα抗体の発現試験
得られた形質転換体OWPT株、OWPSD株、LH株、LpH株及びそれらの対照となるpNH301プラスミドのみを有するブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK株を生産培地3YC(ポリペプトンS 3%、酵母エキス0.5%、グルコース3%、MgSO・7HO 0.01%、CaCl・7HO 0.01%、MnSO・4HO 0.001%、FeSO・7HO 0.001%、ZnSO・7HO 0.0001%、pH7.0)及びネオマイシン60mg/Lからなる培地にて30℃、好気的条件下、3−4日間培養を行った。培養液は遠心分離(10,000rpm、4℃、5分間)後、抗ヒトIgG抗体を用いたウエスタンブロット法に供した。
実施例6:形質転換株から得られた培養液上清中の完全長抗ヒトTNFα抗体の検出
遠心回収したそれぞれの培養液上清は、非還元処理、還元処理を行った。非還元処理においては培養上清0.09mlに100mMヨード酢酸0.01ml加えた後、2xSDSサンプルバッファー(還元剤を含まない)を0.1ml加えた。還元処理サンプル調整の場合、同様に上清0.09mlに1Mジチオトレイトールを0.01ml加えた後、2xSDSサンプルバッファーを0.1ml加えた。両処理を行った上清液は、沸騰水浴上にて5分間加熱を行った。各上清液0.005−0.01mlは5−20%グラジエントポリアクリルアミドゲルより分離した後、ウエスタンブロットにより培養液中に存在する完全長抗ヒトTNFα抗体の検出を行った。検出には還元型処理培養液の場合、西洋ワサビペルオキシダ−ゼ(HRP)標識ウサギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Rockland社製)を用い、非還元型処理培養液の場合はウサギ抗ヒトIgG(Fc)抗体(Rockland社製)及び二次抗体としてHPR標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(Rockland社製)を用い、それぞれ適当な濃度に希釈し検出を行った。シグナルの検出は、SuperSignal WestPico(PIERCE社製)を用いた化学発光法により行った。また抗ヒトTNFα抗体の標準品として、ヒト胚腎臓由来の培養細胞により取得された抗ヒトTNFα抗体[インフリキシマブ(遺伝子組換え)・田辺製薬社製]を用い実験に供した。非還元処理下、OWPT株、OWPSD株の形質転換株の培養上清中にはいずれもL鎖及びH鎖が結合しているとされる分子量約190kDa付近に位置するシグナルが確認され、これらのシグナルの位置は標準品インフリキシマブとほぼ同じ移動度を示した。一方、比較例1、2で構築された発現ベクターによる形質転換体LH株やLpH株では190kDa付近のシグナルはほとんど認められず、代わりにL鎖及びH鎖のモノマー、L鎖及びH鎖同士の多量体化、またはL鎖及びH鎖同士がダイマー化したと推定される同定不明のシグナルが目立ち、比較例1、2で構築された発現ベクターにより形質転換された株においては完全長抗体の生産効率が悪く、また形成不能であることが明らかとなった。加えて、ブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質オペロン構造様式を用い発現させた形質転換体OWPT株やOWPSD株は、LH株やLpH株と比較して、培養液上清中に存在するL鎖及びH鎖のモノマーやダイマーといった夾雑するバンドが減り、分子量190kDa付近のバンドが特異的に増加し完全長抗体分子形成が促進される結果となった〔図8〕。還元処理を行った各株のウエスタンブロットによる結果では、すべての形質転換株に抗ヒトTNFα抗体のL鎖(分子量約26kDa)及びH鎖(分子量約51kDa)に相当する位置にバンドを検出することが出来たが、LH株やLpH株の培養液上清においてはL鎖及びH鎖の量的比の極端な不均一性が認められた〔図9〕。加えてウエスタンブロットによるシグナルの強度によりOWPT株やOWPSD株のL鎖及びH鎖の量的比率はほぼ同程度であることが明らかとなり、L鎖及びH鎖の等しい発現量比(ほぼ等しい発現量比である場合を含む)が完全長抗体フォーム形成において重要であることが推察された〔図9〕。これらの結果は、ブレビバチルス属細菌における完全長抗体蛋白質の発現では、スペーサー配列中にブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の所定のDNA配列を含まないベクターによる発現方法(上記比較例1参照)や、個々のプロモーターによりL鎖H鎖を別々に発現させるようなTwoシストロン型の発現方法(上記比較例2参照)よりも、本発明の1実施例としての、スペーサー配列中に細胞壁蛋白質オペロン構造の少なくとも1部分のDNA配列を含むベクターを用いた発現様式のほうが、蛋白質の発現に関して効果的な技術であることを示していた。
実施例7:ブレビバチルス・チョウシネンシス形質転換体からの完全長抗ヒトTNFα抗体の精製
実施例4にて得られた形質転換体OWPT株、OWPSD株のそれぞれを3YC培地200mlにて3日間30℃で培養後、遠心分離により上清培養液を回収し、硫酸アンモニウム50%、75%飽和画分を用いて塩析後、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。この透析物は酸性pHへ調整後、高速遠心分離により酸性沈殿画分を除去し、上清を陽イオン交換クロマトグラフィー(CM−Sepharose:アマシャムバイオサイエンス社製)に供し0−1M NaClの濃度勾配により分離した。次に完全長抗体画分を回収し、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superose:アマシャムバイオサイエンス社製)に供し、高分子画分を採取し限外ろ過膜により濃縮後、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー(アマシャムバイオサイエンス社製)により精製を行った。以上の精製操作により、約1mgの完全長抗ヒトTNFα抗体を精製、回収することが出来た。
実施例8:組み換え抗ヒトTNFα抗体を構成するL鎖及びH鎖のN末端アミノ酸配列の確認
実施例7で得られた完全長抗ヒトTNFα抗体を、実施例6と同様の方法で還元処理した後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。当該ゲルから、分子量25kDa、および50kDaに相当する分子量のバンドを切り出し、常法に従って、それらのN末端アミノ酸配列を5残基まで解析した。その結果、分子量25kDaのバンドが抗ヒトTNFα抗体のL鎖と、また分子量50kDaのバンドが抗ヒトTNFα抗体のH鎖と、それぞれ同一のN末端アミノ酸配列を有していた。
実施例9:組み換え抗ヒトTNFα抗体のヒトTNFαへの結合活性評価
実施例7で精製品として得られた組み換え抗ヒトTNFα抗体を用いて、ヒトTNFαに対する結合能を酵素免疫測定法(ELISA)に従って行った。ELISAの測定法としては、96穴のマイクロプレートの各ウェルに5−10ngの組換えヒトTNFα(Serotec社製)を含むPBS緩衝液を加え4℃にて一夜放置後、25%ブロックエース(和光純薬社製)を含むPBS緩衝液でブロックした反応プレートを使用した。PBS緩衝液にて適当な希釈した精製抗ヒトTNFα抗体を加え、37℃にて1時間反応後、0.01%Tween20(物質名:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ICI社製)を含むPBSで洗浄した。適当な濃度にPBSで希釈したウサギ抗ヒトIgG(Fc)抗体を上記と同様に反応させた後、洗浄を繰り返し、二次抗体として適当な濃度へ希釈したHPR標識ヤギ抗ウサギIgG抗体を加え、上記同様に反応を行った。洗浄後、発色基質[2,2’−アジノジ(3−エチルベンゾチアゾリンー6−スルフォン酸)アンモニウム塩(A.B.T.S)]溶液を加え暗所にて20分間反応後、405nmにおける吸光度を測定しTNFα結合定数を測定した。その結果、ブレビバチルス・ブレビスにより生産された抗ヒトTNFα抗体は、標準品であるインフリキシマブと同程度以上の値を示した〔図10〕。
以上説明した本発明の実施例に従えば、例えば医薬品や医療診断薬として利用されうる、2以上のポリペプチドから構成される蛋白質(例えば完全長抗体)の製造において、生産量及び収率を有意に増大させることが可能になる。特に、本発明の実施例に従えば、細菌宿主を用いる従来の方法では問題となっていた、2以上のポリペプチドから構成される蛋白質のアグリゲーションや多量体化を解消できるだけでなく、2以上のポリペプチドから構成される蛋白質を直接活性体として得ることが可能である。したがって、本発明の実施例は、安価、かつ大量の該蛋白質を必要とする医薬品製造等において、極めて有効である。
本発明は、2以上のポリペプチドから構成される蛋白質を含む製品(例えば医薬品または医療診断薬)の製造において、極めて有効な手段となる。
実施例1に記載のブレビバチルス・ブレビス蛋白質分泌発現ベクター(pNH301)の構造を示す。 実施例1で構築した抗ヒトTNFα抗体L鎖及びH鎖分泌発現ベクターの構造を示す。 実施例2で記載したブレビバチルス・ブレビス細胞壁蛋白質(OWP、MWP)オペロン構造の配列を示す(配列番号11)。 実施例2で構築した抗ヒトTNFα抗体分泌発現ベクター(L−OWPT−H/pNH301)を示す。 実施例3で構築した抗ヒトTNFα抗体分泌発現ベクター(L−OWPSD−H/pNH301)を示す。 比較例1で構築した抗ヒトTNFα抗体分泌発現ベクター(LH25/pNH301)を示す。 比較例2で構築した抗ヒトTNFα抗体分泌発現ベクター(LpH25/pNH301)を示す。 実施例5で得られた抗ヒトTNFα抗体発現株の培養液上清(非還元処理)の抗体の様相を示す。 実施例5で得られた抗ヒトTNFα抗体発現株の培養液上清(還元処理)の抗体の様相を示す。 実施例7で得られた抗ヒトTNFα抗体発現OWPT株及びOWPSD株培養上清から得た精製抗体のヒトTNFαへの結合活性測定を示す。 図4に示す完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPT−H/pNH301における、配列番号15に対応する部分を示す。 図5に示す完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPSD−H/pNH301における、配列番号18に対応する部分を示す。
【0008】
該スペーサー配列は、以下の(1)または(2)のDNA配列を含む、DNA構築体である。
(1)ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、middle wall protein遺伝子の終止コドンの直後からouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列。
(2)(1)のDNA配列中に、1または数個のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を有するDNA配列であって、かつ(1)のDNA配列と同等の機能を有するDNA配列。
本明細書において、以下では、上記(1)又は(2)のDNA配列を「DNA配列(1)又は(2)」と記載することがある。
[0024]本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」は、20ヌクレオチド長以上、望ましくは27ヌクレオチド長以上、より望ましくは30ヌクレオチド以上、更に望ましくは40ヌクレオチド長、特に望ましくは51ヌクレオチド長以上、好ましくは60ヌクレオチド長以上、より好ましくは80ヌクレオチド長以上、更に好ましくは100ヌクレオチド長以上、特に好ましくは110ヌクレオチド長以上、より特に好ましくは120ヌクレオチド長以上である。また、好ましくは20以上127ヌクレオチド長以下であり、具体的には、例えば36ヌクレオチド長、または51ヌクレオチド長、または112ヌクレオチド長、または127ヌクレオチド長である。
また、本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」の起源となるブレビバチルス属細菌としては、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)が好ましい。なお、ブレビバチルス・ブレビス47株は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に「JCM6285株」として保存されており、入手することができる。
[0025]本発明のDNA構築体のスペーサー配列に含まれる「ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列」の例示として、配列番号14に、ブレビバチルス・ブレビス


【0013】
4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上でありうる。該数は、好ましくは2から4、より好ましくは2または3、およびもっとも好ましくは2である。
[0036]本明細書において、「プロモーター」とは、任意の構成的または誘導可能プロモーターを含む。原核生物宿主での使用のために好適なプロモーターは、polIIプロモーター、polIIIプロモーター、PhoAプロモーター、β−ラクタマーゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーターおよびハイブリッドプロモーター、例えばtacまたはtrcプロモーターを含む。プロモーターとしては宿主で機能するものであればいずれでも使用できる。好ましくは、ブレビバチルス属細菌由来のプロモーターを使用する。より好ましくは、ブレビバチルス・ブレビス、特にブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)由来のMWPプロモーター領域(特公平1−58950号公報、特公平7−108224公報)、あるいはブレビバチルス・チョウシネンシス、特にブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)(バチルス・ブレビスH102(FERM BP−1087)と同一菌株)由来のHWPプロモーター領域(特開平4−278091号公報、特開平6−133782号公報)に含まれるプロモーター、例えばP2プロモーターを挙げることができる。本発明の目的のために、プロモーター数は、任意の数であり得るが、好ましくは単一のプロモーターを使用する。
[0037]本明細書において、「作動可能に連結」とは、2以上のDNA配列が物理的におよび/又は機能的に関連可能な状態で連結していることを意味する。例えば、プロモーターと翻訳ユニットとが適当なDNA配列を介して連結されており、当該プロモーターが、当該翻訳ユニットの一部がコードするポリペプチドの発現レベルに影響を及ぼす場合には、両者は「作動可能に連結」されているといえる。
[0038]上記のスペーサー配列、プロモーター配列、SD配列、およびシグナルペプチドをコードするDNA配列は、例えばブレビバチルス属細菌、またはプレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)の染色体DNAを鋳型として、公知のPCR法で特異的に増やすことにより取得できる。
[0039]本発明の「DNA構築体」の一実施形態は、前記翻訳ユニットが2個であり、1の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するL鎖をコードするDNA配列を含み、他の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するH鎖をコードするDNA配列を含むものである。本発明


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【0015】
号)、pNCO2(特開2002−238569号公報)、またはこれらの誘導体が好ましい。また、宿主としてブレビバチルス属細菌を用いる場合、宿主細胞内で自立複製可能なプラスミドベクターなどを利用することなく、本発明のDNA構築体を染色体中へ直接組み込み、発現させる方法(特開平9−135693号公報)を用いても良い。
[0043]本発明の「形質転換体」は、本発明のベクターで適当な宿主を形質転換することにより得られる。本発明で使用される宿主は、細菌、動物細胞、植物細胞、または菌類その他を含み、特に限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属細菌またはブレビバチルス属細菌が好適に使用され、ブレビバチルス属細菌がより好適に使用され得る。
[0044]上記バチルス属細菌としては、例えば、Bacillus subtilis、B.acidocaldarius、B.coagulans、B.polymyxa、B.alkalophilus、B.pasteurii、B.pantothenticus、B.pasteurii、Psychrophiles、B.globisporus、B.insolitus、B.marinus、B.macquariensis、B.megaterium、B.polymyxa、B.acidocaldarius、B.schlegelii、B.stearothermophilus、B.azotoformans、B.cereus、B.laterosporus、B.licheniformis、B.pasteurii、B.stearothermophilus、B.macerans、B.polymyxa、B.macerans、B.brevis、B.cereus、B.circulans、B.laterosporus、B.licheniformis、B.polymyxa、B.pumilus、B.subtilis、B.larvae、B.lentimorbis、B.popilliae、B.larvaeおよびB.lentimorbisを挙げることができる。上記ブレビバチルス属細菌としては、例えば、Brevibacillus agri、B.borstelensis、B.brevis、B.centrosporus、B.choshinensis、B.formosus、B.invocatus、B.laterosporus、B.limnophilus、B.parabrevis、B.reuszeri、およびB.thermoruberを挙げることができ、それらの中でも、ブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・ボルステレンシス、およびブレビバチルス・チョウシネンシスが好適に、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)、ブレビバチルス・ブレビス47−5Q(Udaka,S.ら,1993.Method Enzymol,217:23−33)、およびブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)がより好適に使用され得る。また生産量の向上などの目的に応じて、上記ブレビバチルス属細菌のプロテアーゼ欠損株や高発現株のような変異株を使用しても良い。具体的に挙げればブレビバチルス・チ


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【0021】
より消化された抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片は2%アガロースで分離後、ゲルから抽出し遺伝子断片を取得した。別に、図1に示した発現ベクターpNH301は制限酵素NcoIとPstI、及びNcoIとHindIIIでそれぞれ消化後、アルカリフォスファターゼ(BAP)処理を行い、先に得られた抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片に対しT4リガーゼを用いて連結し、それぞれL/pNH301及びH/pNH301を得た〔図2〕。
【実施例2】
[0057]完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPT−H/pNH301の構築
ブレビバチルス・ブレビスのMWPのストップコドン以降からOWPのSD配列を含めたシグナルペプチドをコードするDNA配列を得るため、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)株から定法に従い染色体DNA約1μgを抽出、精製した。この染色体DNAを鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−F1:5’−CGGGGTACCGAAATACAGTTAATTAGTTAGAAG−3’(配列番号5)と、抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列を3’末端に付加した合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−R1:5’−AGACTCCTCAAGTTTCACTTCTGCAAATGCAGATGCTGCAAC−3’(配列番号6)とを用いてPCRを行い、約0.22kbpの遺伝子断片を得た。この遺伝子断片は、ブレビバチルス・ブレビスが有するMWP及びOWPオペロン構造内の、MWP終止コドンTAA以降のターミネーターと、OWPのSD配列と、シグナルペプチド(Met−Asn−Lys−Lys−Val−Val−Leu−Ser−Val−Leu−Ser−Thr−Thr−Leu−Val−Ala−Ser−Val−Ala−Ala−Ser−Ala−Phe−Ala:配列番号24)をコードするDNA配列と、上記抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列とを含んでいる(図3参照)。
一方、実施例1により得られた抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードするH/pNH301を鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF2:5’−GTTGCAGCATCTGCATTTGCAGAAGTGAAACTTGAGGAGTCT−3’(配列番号7)と、実施例1で使用されたプライマ−TNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とを用いPCRを行った。得られた1.5kbp


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【0008】
該スペーサー配列は、以下の(1)または(2)のDNA配列を含む、DNA構築体である。
(1)ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、middle wall protein遺伝子の終止コドンの直後からouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列。
(2)(1)のDNA配列中に、1または数個のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を有するDNA配列であって、かつ(1)のDNA配列と同等の機能を有するDNA配列。
本明細書において、以下では、上記(1)又は(2)のDNA配列を「DNA配列(1)又は(2)」と記載することがある。
[0024]本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」は、20ヌクレオチド長以上、望ましくは27ヌクレオチド長以上、より望ましくは30ヌクレオチド以上、更に望ましくは40ヌクレオチド長、特に望ましくは51ヌクレオチド長以上、好ましくは60ヌクレオチド長以上、より好ましくは80ヌクレオチド長以上、更に好ましくは100ヌクレオチド長以上、特に好ましくは110ヌクレオチド長以上、より特に好ましくは120ヌクレオチド長以上である。また、好ましくは20以上127ヌクレオチド長以下であり、具体的には、例えば36ヌクレオチド長、または51ヌクレオチド長、または112ヌクレオチド長、または127ヌクレオチド長である。
また、本発明のスペーサー配列に含まれる「DNA配列(1)又は(2)」の起源となるブレビバチルス属細菌としては、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)が好ましい。なお、ブレビバチルス・ブレビス47株は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に「JCM6285株」として保存されており、入手することができる。
[0025]本発明のDNA構築体のスペーサー配列に含まれる「ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、MWP遺伝子の終止コドンの直後からOWPのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列」の例示として、配列番号14に、ブレビバチルス・ブレビス


【0013】
4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上でありうる。該数は、好ましくは2から4、より好ましくは2または3、およびもっとも好ましくは2である。
[0036]本明細書において、「プロモーター」とは、任意の構成的または誘導可能プロモーターを含む。原核生物宿主での使用のために好適なプロモーターは、polIIプロモーター、polIIIプロモーター、PhoAプロモーター、β−ラクタマーゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーターおよびハイブリッドプロモーター、例えばtacまたはtrcプロモーターを含む。プロモーターとしては宿主で機能するものであればいずれでも使用できる。好ましくは、ブレビバチルス属細菌由来のプロモーターを使用する。より好ましくは、ブレビバチルス・ブレビス、特にブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)由来のMWPプロモーター領域(特公平1−58950号公報、特公平7−108224公報)、あるいはブレビバチルス・チョウシネンシス、特にブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)(バチルス・ブレビスH102(FERM BP−1087)と同一菌株)由来のHWPプロモーター領域(特開平4−278091号公報、特開平6−133782号公報)に含まれるプロモーター、例えばP2プロモーターを挙げることができる。本発明の目的のために、プロモーター数は、任意の数であり得るが、好ましくは単一のプロモーターを使用する。
[0037]本明細書において、「作動可能に連結」とは、2以上のDNA配列が物理的におよび/又は機能的に関連可能な状態で連結していることを意味する。例えば、プロモーターと翻訳ユニットとが適当なDNA配列を介して連結されており、当該プロモーターが、当該翻訳ユニットの一部がコードするポリペプチドの発現レベルに影響を及ぼす場合には、両者は「作動可能に連結」されているといえる。
[0038]上記のスペーサー配列、プロモーター配列、SD配列、およびシグナルペプチドをコードするDNA配列は、例えばブレビバチルス属細菌、またはブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)の染色体DNAを鋳型として、公知のPCR法で特異的に増やすことにより取得できる。
[0039]本発明の「DNA構築体」の一実施形態は、前記翻訳ユニットが2個であり、1の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するL鎖をコードするDNA配列を含み、他の翻訳ユニットが完全長抗体を構成するH鎖をコードするDNA配列を含むものである。本発明


13
【0015】
号)、pNCO2(特開2002−238569号公報)、またはこれらの誘導体が好ましい。また、宿主としてブレビバチルス属細菌を用いる場合、宿主細胞内で自立複製可能なプラスミドベクターなどを利用することなく、本発明のDNA構築体を染色本中へ直接組み込み、発現させる方法(特開平9−135693号公報)を用いても良い。
[0043]本発明の「形質転換体」は、本発明のベクターで適当な宿主を形質転換することにより得られる。本発明で使用される宿主は、細菌、動物細胞、植物細胞、または菌類その他を含み、特に限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属細菌またはブレビバチルス属細菌が好適に使用され、ブレビバチルス属細菌がより好適に使用され得る。
[0044]上記バチルス属細菌としては、例えば、Bacillus subtilis、B.acidocaldarius、B.coagulans、B.polymyxa、B.alkalophilus、B.pasteurii、B.pantothenticus、B.pasteurii、Psychrophiles、B.globisporus、B.insolitus、B.marinus、B.macquariensis、B.megaterium、B.polymyxa、B.acidocaldarius、B.schlegelii、B.stearothermophilus、B.azotoformans、B.cereus、B.laterosporus、B.licheniformis、B.pasteurii、B.stearothermophilus、B.macerans、B.polymyxa、B.macerans、B.brevis、B.cereus、B.circulans、B.laterosporus、B.licheniformis、B.polymyxa、B.pumilus、B.subtilis、B.larvae、B.lentimorbis、B.popilliae、B.larvaeおよびB.lentimorbisを挙げることができる。上記ブレビバチルス属細菌としては、例えば、Brevibacillus agri、B.borstelensis、B.brevis、B.centrosporus、B.choshinensis、B.formosus、B.invocatus、B.laterosporus、B.limnophilus、B.parabrevis、B.reuszeri、およびB.thermoruberを挙げることができ、それらの中でも、ブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・ボルステレンシス、およびブレビバチルス・チョウシネンシスが好適に、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)、ブレビバチルス・ブレビス47−5Q(Udaka,S.ら、1993.Method Enzymol,217:23−33)、およびブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP−1087)がより好適に使用され得る。また生産量の向上などの目的に応じて、上記ブレビバチルス属細菌のプロテアーゼ欠損株や高発現株のような変異株を使用しても良い。具体的に挙げればブレビバチルス・チ


15
【0021】
より消化された抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片は2%アガロースで分離後、ゲルから抽出し遺伝子断片を取得した。別に、図1に示した発現ベクターpNH301は制限酵素NcoIとPstI、及びNcoIとHindIIIでそれぞれ消化後、アルカリフォスファターゼ(BAP)処理を行い、先に得られた抗ヒトTNFα抗体L鎖、H鎖コード遺伝子断片に対しT4リガーゼを用いて連結し、それぞれL/pNH301及びH/pNH301を得た〔図2〕。
【実施例2】
[0057]完全長抗ヒトTNFα抗体発現ベクターL−OWPT−H/pNH301の構築
ブレビバチルス・ブレビスのMWPのストップコドン以降からOWPのSD配列を含めたシグナルペプチドをコードするDNA配列を得るため、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP−1223)株から定法に従い染色体DNA約1μgを抽出、精製した。この染色体DNAを鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−F1:5’−CGGGGTACCGAAATACAGTTAATTAGTTAGAAG−3’(配列番号5)と、抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列を3’末端に付加した合成オリゴヌクレオチドプライマーOWPT−R1:5’−AGACTCCTCAAGTTTCACTTCTGCAAATGCAGATGCTGCAAC−3’(配列番号6)とを用いてPCRを行い、約0.22kbpの遺伝子断片を得た。この遺伝子断片は、ブレビバチルス・ブレビスが有するMWP及びOWPオペロン構造内の、MWP終止コドンTAA以降のターミネーターと、OWPのSD配列と、シグナルペプチド(Met−Asn−Lys−Lys−Val−Val−Leu−Ser−Val−Leu−Ser−Thr−Thr−Leu−Val−Ala−Ser−Val−Ala−Ala−Ser−Ala−Phe−Ala:配列番号24)をコードするDNA配列と、上記抗ヒトTNFα抗体のH鎖のN末端Glu−Val−Lys−Leu−Glu−Glu−Ser(配列番号23)をコードするDNA配列とを含んでいる(図3参照)。
一方、実施例1により得られた抗ヒトTNFα抗体のH鎖をコードするH/pNH301を鋳型として、合成オリゴヌクレオチドプライマーTNF−HF2:5’−GTTGCAGCATCTGCATTTGCAGAAGTGAAACTTGAGGAGTCT−3’(配列番号7)と、実施例1で使用されたプライマーTNF−HR1:5’−CCCAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGA−3’(配列番号4)とを用いPCRを行った。得られた1.5kbp


21

Claims (14)

  1. スペーサー配列を含むDNA構築体であって、該スペーサー配列が以下の(1)または(2)のDNA配列を含む、DNA構築体。
    (1)ブレビバチルス属細菌の細胞壁蛋白質オペロン中の、middle wall protein遺伝子の終止コドンの直後からouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列の直前までのDNA配列のうちの、任意の20ヌクレオチド長以上からなるDNA配列。
    (2)(1)のDNA配列中に、1または数個のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を有するDNA配列であって、かつ(1)のDNA配列と同等の機能を有するDNA配列。
  2. シグナルペプチドをコードするDNA配列、および2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質のいずれか1つのポリペプチドをコードするDNA配列を含む翻訳ユニットの2種類以上が、該スペーサー配列を介して連結され、かつ単一のプロモーター配列に作動可能に連結されている、請求項1記載のDNA構築体。
  3. 前記翻訳ユニットが2個であり、かつ前記蛋白質のポリペプチドをコードするDNA配列のそれぞれが完全長抗体を構成する軽鎖(L鎖)又は重鎖(H鎖)をコードするものである、請求項2記載のDNA構築体。
  4. 1の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のmiddle wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の軽鎖(L鎖)をコードするDNA配列を含み、かつ、他の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の重鎖(H鎖)をコードするDNA配列を含む、請求項3記載のDNA構築体。
  5. 1の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のmiddle wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の重鎖(H鎖)をコードするDNA配列を含み、かつ、他の翻訳ユニットが、ブレビバチルス属細菌のouter wall proteinのシグナルペプチドをコードするDNA配列、および完全長抗体の軽鎖(L鎖)をコードするDNA配列を含む、請求項3記載のDNA構築体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のDNA構築体を含むベクター。
  7. 請求項6記載のベクターを宿主に導入して得られる形質転換体。
  8. 前記宿主がブレビバチルス属またはバチルス属細菌である、請求項7記載の形質転換体。
  9. 異種蛋白質を生産し、かつ分泌する、請求項8記載の形質転換体。
  10. 前記ブレビバチルス属細菌が、ブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・ボルステレンシス又はブレビバチルス・チョウシネンシスである、請求項9記載の形質転換体。
  11. 2種類以上のポリペプチドから構成される蛋白質の製造方法であって、請求項7から10のいずれか1項に記載の形質転換体を培養し前記蛋白質を生産させる工程、および生産された該蛋白質を回収する工程を含む製造方法。
  12. 蛋白質が完全長抗体である、請求項11記載の製造方法。
  13. 請求項11記載の製造方法によって得られる蛋白質。
  14. 請求項11記載の製造方法によって得られる蛋白質、および製薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
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