JPH07265094A - 抗体蛋白をコードする組換えdnaおよび抗体蛋白の製造法 - Google Patents

抗体蛋白をコードする組換えdnaおよび抗体蛋白の製造法

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JPH07265094A
JPH07265094A JP7021724A JP2172495A JPH07265094A JP H07265094 A JPH07265094 A JP H07265094A JP 7021724 A JP7021724 A JP 7021724A JP 2172495 A JP2172495 A JP 2172495A JP H07265094 A JPH07265094 A JP H07265094A
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dna
protein
bacillus
fab
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JP7021724A
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Hideo Yamagata
秀夫 山形
Juzo Udaka
重三 鵜高
Yasushi Inoue
靖 井上
Susumu Iwasa
進 岩佐
Hiroko Tada
宏子 多田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】組換え型抗体蛋白を、活性型として効率良く生
産させる方法を提供する。 【構成】(1)抗体蛋白をコードするDNAをバチルス
属細菌由来のプロモーター領域を含有するDNAの3’
末端に結合させてなるDNA、(2)該DNAを組み込
んだベクター、(3)該ベクターで形質転換せしめた形
質転換体、および(4)その形質転換体を培地に培養す
る活性型の抗体蛋白の製造法。 【効果】本発明によると、バチルス属細菌を用いて活性
型抗体蛋白を大量かつ容易に分泌発現させ得るので、活
性型抗体蛋白の工業的生産に有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗体蛋白製造のための
組換えDNA技術に関する。より具体的には、抗体蛋白
遺伝子を含有するDNA、該DNAを保持するバチルス
(Bacillus)属細菌、およびそれらを用いた抗体蛋白の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】1975年にケーラーとミルシュタインによ
り細胞融合技術が報告されて以来〔ネイチャー(Natur
e)、第256巻、495頁 (1975年)〕、モノクローナル抗体
は細胞生理学や免疫学における基礎研究に、生体微量成
分の検出定量やその分離精製に、さらには各種疾病の診
断や治療にと、幅広い分野で有用な武器としてその力を
発揮している。近年では遺伝子組換え技術の進歩によ
り、より診断や治療に有用なマウス/ヒト・キメラ抗
体、ヒト型化抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体あるい
はトキシン融合抗体などが作製されるようになった〔エ
ンサイクロピディア・オブ・ヒューマン・バイオロジー
(Encyclopedia of Human Biology)、第5巻、81頁 (19
91年)〕。特にマウス/ヒト・キメラ抗体やヒト型化抗
体は、免疫原性の多くを担うマウス抗体の定常領域ある
いは/およびフレーム領域がヒト型であるため、ヒトへ
の投与に際し有利に用いられる〔ネイチャー(Natur
e)、第314巻、268頁 (1985年); ネイチャー(Natur
e)、第321巻、522頁 (1986年)〕。
【0003】この様な組換え型抗体の発現には一般的に
は動物細胞、特にマウス骨髄腫細胞やCHO細胞が使用
される。しかし、その培養に用いられる培地が高価であ
り、また、培養にも多大の日数を要するなどの点で経済
的には問題がある。また、組換え蛋白の動物細胞での発
現は著しく低いため、高発現量を得る試みが種々なされ
ているが、その発現量は一般的に多くない。従って、実
用に十分な量の抗体蛋白を得るためには、大量の培地で
の培養を余儀なくされ、生産量を上げるためには、培地
を添加しながら培養日数を増加せざるを得ない〔バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology)、第10巻、 169頁
(1992年)〕。また、目的とする抗体蛋白を単離する過程
においても、培養液からの精製に多大な時間と労力とを
必要としているのが現状であり、培地が大量になればな
るほど精製に要する時間と労力は増加する。一方、大量
発現の期待できる大腸菌での抗体発現についても次々と
報告されているが、実用化可能なレベルに達しない例が
多い。この原因として、1)まず基本的にIgG抗体全
分子の大腸菌での発現は、その複雑な高次構造、特にS
-S架橋の問題からきわめて困難であること、2)その
ため機能性抗原結合フラグメントFvやFab、Fa
b'〔サイエンス(Science)、第240巻、1038頁 (1988
年); ネイチャー(Nature)、第347巻、 497頁 (1990
年); バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)、 第10
巻、 163頁 (1992年)〕、さらには一本鎖抗体(scA
b)〔サイエンス(Science)、 第242巻、 423頁 (1988
年)〕や単一ドメイン抗体(dAb)〔ネイチャー(Nat
ure)、 第341巻、544頁 (1989年)〕など分子量の小さな
抗体蛋白について試みられ高発現量を得ているが、不活
性型の封入体を形成する場合が多く、活性型で回収され
た例は極めて希であり、結果的に十分な量は得られてい
ないこと、また、3)大腸菌では発現された抗体蛋白が
菌体内に水不溶性のままで蓄積されるため、培養物から
分離した菌体を破砕し目的の抗体蛋白を大腸菌由来の蛋
白から分離し可溶化しなければならず、その精製にはや
はり多大な時間と労力とを必要とし、回収率も悪く、し
かもその煩雑な操作途中で菌体由来のプロテアーゼによ
り分解され易いことなどが挙げられる。以上のように、
従来法では抗体蛋白を活性型として純粋に簡便に大量取
得することは容易ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、複雑な
高次構造を有する高等生物の遺伝子産物を、大腸菌のよ
うな細菌の宿主ベクター系で生産させると、細胞中に不
活性な封入体となって蓄積されるか〔ジャーナル・オブ
・バイオテクノロジー(J. Biotechnol.)、 第1巻、 307
頁 (1984年)〕、あるいは分解を受ける例が多く〔ジー
ン(Gene)、 第34巻、1頁 (1985年)〕、生物活性を保持
した形での回収が容易ではない。分子量が小さく高次構
造も比較的単純な蛋白であれば大腸菌で活性型として発
現させることも可能な場合があるが、真核生物由来の蛋
白で、分子量の大きな蛋白や高次構造が複雑な抗体蛋白
の大腸菌での生産は一般には極めて難しいと考えられて
いる〔トレンズ・イン・バイオケミカル・サイエンスイ
ズ(Trends in Biochem. Sci., September)、347頁、
(1985年);プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユーエ
スエー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA)、第87巻、 3942頁
(1990年)〕。一方、多様な生物学的活性の期待できる組
換え型抗体蛋白は、診断や治療の分野でますます重要性
が増しており、抗体蛋白を活性型として安価に大量に生
産できる方法が渇望されている。
【0005】バチルス属細菌は菌体外蛋白質を生産する
菌として知られ、例えばバチルス・ブレビス(Bacillus
brevis)に属する細菌は特に蛋白質を高生産する機能
を有することが報告されている〔日本農芸化学会誌、 第
61巻、 669頁 (1987年);メソッヅ・イン・エンザイモロ
ジー(Methods in Enzymology)、第217巻、23頁(1993
年)〕。このような蛋白質高生産のバチルス・ブレビス
菌については種々の分離・選択が実施され、卓越した蛋
白の分泌能力を有し、また菌体外プロテアーゼ活性が極
めて低いかまたは菌体外プロテアーゼ活性を実質的に有
さない菌株が選択された。例えば、鵜高らはバチルス・
ブレビス47株を〔アグリカルチュラル・アンド・バイ
オロジカル・ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)、第
40巻、523頁(1976年)〕、高木らはバチルス・ブレビス
HPD31株を〔アグリカルチュラル・アンド・バイオロ
ジカル・ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)、第53
巻、691頁(1989年)〕このような目的のために確立して
いる。かかる菌種を宿主として、また本菌種用の菌体外
酵素遺伝子や細胞壁蛋白遺伝子のプロモーターおよびシ
グナルペプチドをコードするDNAを含有するベクター
を用いて、細菌由来の蛋白質、例えばバチルス・リシェ
ニフォルミス(Bacillus licheniformis)またはバチル
ス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermop
hilus)由来のα−アミラーゼ〔ジャーナル・オブ・バ
クテリオロジー(J. Bacteriol.)、第169巻、1239頁(1
987年);アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル
・ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)、第53巻、2279
頁(1989年)〕では0.5〜3g/L、またクロストリジウ
ム・サーモスルフロゲネス(Clostridium thermosulfur
ogenes)由来のβ−アミラーゼでは1.6g/Lという生産
量を得た報告がある。しかし、真核生物由来の蛋白につ
いては、カビなどの真菌類由来の蛋白から哺乳動物由来
の蛋白に至るまで、バチルス・ブレビスを発現系に用い
た数多くの例が試みられてはいるが、高発現量を得た例
としては、構成アミノ酸の数が53個と分子量が小さく
構造が比較的簡単なヒト上皮細胞成長因子で、0.24
〜1.1g/Lの生産量を得た例が唯一報告されているに
過ぎない〔プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第86巻、3589頁
(1989年)〕。真核生物由来の蛋白として例えば、アスペ
ルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のタカア
ミラーゼA〔日本農芸化学会誌、第64巻、728頁(1990
年)〕、ブタ・ペプシノーゲン〔アプライド・マイクロ
バイオロジー・アンド・バイオテクノロジー(Appl. Mic
robiol. Biotechnol.)、第34巻、297頁(1990年)〕、ヒ
ト唾液腺α−アミラーゼ(小西博昭、名古屋大学大学院
修士論文)およびヒト・インターロイキン−2(滝村
靖、名古屋大学大学院修士論文)のような真核生物由来
の蛋白についても、バチルス・ブレビスを発現系に用い
た例が報告されてはいるが、その発現量は0.01〜0.
06g/L と極めて低い。さらに、抗体蛋白のような分
子量が大きく複雑な高次構造を有する哺乳動物由来の生
理活性蛋白について、バチルス属細菌を用いた大量生産
の報告はない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術的背景のもとに、活性型の組換え型抗体蛋白を効率良
く生産させる方法を提供すべく鋭意研究を重ねたとこ
ろ、バチルス属細菌を宿主として用いる系で、組換え型
抗体蛋白遺伝子を発現させることに成功し、その培養液
中に著量の抗体蛋白が活性型として分泌生産されること
を見出し、これらの知見に基づいてさらに研究した結
果、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(1)抗
体蛋白をコードするDNAを、バチルス属細菌由来のプ
ロモーター領域を含有するDNAの3’末端に結合させ
てなるDNA、(2)バチルス属細菌がバチルス・ブレ
ビスである上記(1)記載のDNA、(3)抗体蛋白がF
ab’である上記(1)または(2)記載のDNA、(4)
上記(1)、(2)または(3)記載のDNAを組み込んだベ
クター、(5)上記(4)記載のベクターで形質転換され
たバチルス属細菌の形質転換体、(6)バチルス属細菌
がバチルス・ブレビスである上記(5)記載の形質転換
体、および、(7)上記(5)または(6)記載の形質転換
体を培地に培養し、菌体外に活性型の抗体蛋白を生成蓄
積せしめ、これを採取することを特徴とする組換え型抗
体蛋白の製造法である。
【0007】ここで言う抗体とは、抗原刺激の結果、免
疫応答によって生体内に産生される蛋白質で、免疫原
(抗原)と特異的に結合する活性をもつものをいう。即
ち、蛋白質(例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン、
レセプター、接着蛋白、トキシン、凝固繊溶系因子な
ど)、多糖類(例えば、菌体壁多糖類など)、核酸、脂
質(例えば、リピッドA、カージオリピンなど)など種
々の生理活性物質のうちで抗原性を示す物質またはその
集合体から成るもの(例えば、ウイルス粒子、花粉、室
内塵など)と、特異的に結合する活性を有する蛋白質で
あればいずれでもよい。本発明で対象とする抗体として
好ましくは、病原性物質または病因性因子である抗原に
特異的に結合する活性を有する蛋白質が挙げられる。病
原性物質または病因性因子である抗原として、より具体
的には蛋白性物質である抗原であり例えば、癌関連抗
原、ウイルス粒子、細菌性トキシン、レセプター、接着
蛋白またはサイトカインが挙げられる。そのような抗体
としては、抗酵素抗体、抗レセプター抗体、抗サイトカ
イン抗体、抗ホルモン抗体、抗接着蛋白抗体、抗病原性
物質抗体などが挙げられる。また、対象となる抗体蛋白
の大きさとしては、SDS-PAGE(SDSポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動)解析で、分子量15万から19万の全分子か
ら、活性を有する最小のものとして分子量2万から2.4万
以上の断片分子までが含まれる。本発明で対象とする抗
体の分子量として、好ましくは2万から6万、より好まし
くは2.5万から5万のものが挙げられる。さらにその抗体
蛋白は、抗原との結合能などの生理活性を失わない範囲
内で、その構成アミノ酸配列中に、天然又は人為的な変
異即ち、転移、欠失、挿入、修飾などを受けたものでも
よい。より具体的には、例えばマウス抗体やヒト抗体、
さらにはマウス/ヒト・キメラ抗体、ヒト型化抗体、一
本鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体やトキシ
ン融合抗体などが挙げられる。またそれらの組合せとし
て得られる例えば、マウス/ヒト・キメラ二重特異性抗
体、ヒト型化二重特異性抗体、一本鎖二重特異性抗体な
どが挙げられる。その具体例として、マウス/ヒト・キ
メラ抗ヒトフィブリン(以下、FIBと略記する)特異
抗体やマウス/ヒト・キメラ抗ヒト・ウロキナーゼ(以
下、UKと略記する)抗体、マウス/ヒト・キメラ抗F
IB/抗UK二重特異性抗体(特開平5-76385、ヨーロ
ッパ特許庁公開番号EP0491351A2)などが挙げられる。
また特に、これら抗体を構成する断片の中で、抗原との
結合能を保持するF(ab')2、Fab'、Fab、F
v、dAb断片などが、とりわけFab'、Fabまた
はFv断片などが、活性型を高収量で得られる抗体蛋白
として好ましく挙げられ、Fab'などがより好ましく
挙げられる。
【0008】対象となるDNAとしては、抗体蛋白をコ
ードするものであればいずれでもよい。抗体蛋白をコー
ドするDNAは、例えば、ヒト・ウロキナーゼ(UK)
類およびヒト・フィブリンにそれぞれ高い特異性と親和
性とを有する抗ヒトUK抗体および抗ヒト・フィブリン
抗体を産生するマウス・ハイブリドーマUK1-3(IFO No.
50176、 FERM No.BP-2083)およびマウス・ハイブリドー
マFIB1-11(IFO No.50174、 FERM No.BP-2081)などに由
来するゲノムDNAまたはmRNAから採取される。ま
た、癌(乳癌、卵巣癌、結・直腸癌)関連抗原TAG72を
認識するマウス・モノクローナル抗体B72.3産生マウス
・ハイブリドーマ〔プロテイン・エンジニアリング(Pr
otein Eng.)、第1巻、499頁(1987年)〕、結腸癌ま
たはメラノーマ細胞に結合するマウス・モノクローナル
抗体L6産生マウス・ハイブリドーマ〔プロシーディング
ス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンス・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA)、第84巻、3439頁(1987)〕、消化器癌特異抗
原を認識するマウス・モノクローナル抗体17-1A産生マ
ウス・ハイブリドーマ〔プロシーディングス・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・
ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.USA)、第8
4巻、214頁(1987)〕、癌胎児性抗原(CEA)を認識す
るマウス・モノクローナル抗体CEM231.6.7産生マウス・
ハイブリドーマ〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.
immunol.)、第141巻、4053頁(1988年)、ヒト乳癌細
胞株MCF-7に特異的に結合するマウス・モノクローナル
抗体MBr1産生マウス・ハイブリドーマ〔プロシーディン
グス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA)、第86巻、3833頁(1989)〕およびT細胞表
面抗原CD4を認識するマウス・モノクローナル抗体SK3産
生マウス・ハイブリドーマ〔ブラッド(Blood)、第77
巻、20頁(1991年)〕などに由来するDNAまたはmR
NAも本発明に用いられる。さらにまた、対象となる抗
原に対して十分な特異性と親和性とを有する抗体を産生
するものであれば、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ、ラット
などの他の哺乳類から得られたDNAまたはmRNAを
用いることもできる。
【0009】本発明に用いられるゲノムDNAは、通常
用いられる公知の方法で取得し、クローニングすること
ができる〔ベイシック・メソッヅ・イン・モレキュラー
・バイオロジー(Basic Methods in Molecular Biolog
y)、 Elsevier発行、 New York(1986年); アメリカン・ジ
ャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティックス(Am.
J. Hum. Genetics)、 第37巻、 635頁 (1985年)〕。また
本発明に用いられるmRNAについても、通常用いられ
る公知の方法で調製し、それを材料にしてcDNAを作
製し、クローニングすることができる〔J. Sambrookら
編:モレキュラー・クローニング/ア・ラボラトリー・
マニュアル(Molecular Cloning. A Laboratory Manua
l.) Cold Spring Harbor Laboratory Press発行、 New
York (1989年)〕。例えば、制限エンドヌクレアーゼに
よりハイブリドーマ由来のゲノムDNAを断片化し、得
られた断片を適当なDNAクローニング・ベクターにク
ローニングし、放射標識または酵素標識プローブを用い
てスクリーニングすることにより単離される。ゲノムD
NAから得られたDNAは一般的にポリペプチドをコー
ドしていない介在配列をも含んでいるので、公知の方法
を用いてDNAの欠失または置換を行い、介在配列を除
去したDNA配列に改変する〔ヌクレイック・アシッヅ
・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、 第12巻、 9441頁
(1984年);プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユーエスエー
( Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、 第82巻、 488頁 (1985
年)〕。抗体蛋白をコードするDNAは、また例えば、
公知の方法によりcDNAライブラリーから得ることも
できる〔モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジ
ー(Mol. Cell. Biol.)、 第2巻、 161頁 (1982年)〕。
得られたクローンを適当なプローブでスクリーニング
し、所望のクローンを単離したのち、基本的にはゲノム
DNAと同じ方法でcDNAを処理できる。
【0010】抗体蛋白をコードするDNAは、また公知
のポリメラーゼ・チェイン・リアクション(以下、PC
Rと略記する)法で特異的に増幅することにより効率的
に取得できる〔プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、 第86巻、 3833頁(1
989年)〕。さらに、常法により化学合成することもでき
る〔ヌクレイック・アシッヅ・リサーチ(Nucleic Acid
s Res.)、 第12巻、 4359頁(1984年)〕。これらの合成D
NAは縮重コドンで元のコドンが置換されていても、翻
訳された時に同じアミノ酸をコードしている限り、クロ
ーニングにより得られたDNAと同一である必要はな
い。なお、これらDNAは前記したハイブリドーマから
取得され、またはそこで決定された配列を基にして合成
することもできる。プロモーターとしては、バチルス属
細菌で機能するものであればいずれでもよいが、バチル
ス・ブレビス由来のプロモーターが特に好ましく、例え
ばバチルス・ブレビス47(FERM P-7224)あるいはバチ
ルス・ブレビスH102〔アグリカルチュラル・アンド・バ
イオロジカル・ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)、第5
3巻、691頁(1989)〕(FERM BP-1087、鵜高重三:日本農
芸化学会誌、第61巻、669頁(1987年)に記載のバチルス
・ブレビスHPD31と同一菌株)の主要菌体外蛋白質遺伝
子のプロモーターなどが挙げられる。該プロモーターは
1種または2種以上含有されていてもよい。プロモータ
ー領域を含有するDNAは、上記プロモーター以外に、
SD配列、翻訳開始コドンなどを有していることが必要
であり、さらには主要菌体外蛋白質などの遺伝子の一部
を有していてもよい。
【0011】本発明によると、抗体蛋白はバチルス属細
菌の菌体外、即ち培養液中に大量に蓄積されるので、活
性型の抗体蛋白の抽出・精製を容易にすることができ
る。この場合、プロモーター領域を含有するDNAに
は、該DNAの3’末端側にシグナル・ペプチドをコー
ドする領域が含まれる。本発明において、シグナル・ペ
プチドが抗体蛋白のN末端の直前に連結された形でコー
ドされるように、DNA配列が構築される。バチルス属
細菌を用いて該抗体蛋白質が発現される際に該シグナル
・ペプチド部分は切断され、成熟型の目的とする抗体蛋
白質が得られる。シグナル・ペプチドとしては、抗体蛋
白をバチルス属細菌の菌体外に分泌発現させるものであ
ればいずれでもよく、例えばバチルス・ブレビス47ある
いはバチルス・ブレビスH102の主要菌体外蛋白質のシグ
ナル・ペプチドなどが挙げられる。特にバチルス・ブレ
ビス47のMW蛋白質(middle wall protein:以下、M
WPと略記することがある)のシグナル・ペプチドが好
ましい。
【0012】本発明において、ベクターは、機能を有す
る抗体蛋白を活性型としての発現に適する形でコードす
るDNAであることが好ましい。本発明において、抗体
蛋白質をコードするDNAは、前述のバチルス属細菌由
来のプロモーター領域を含有するDNAの下流、即ち
3’末端に結合させて使用される。従って、該抗体蛋白
質の発現は、このプロモーター領域の制御下(コントロ
ール下)にある。発現ベクターとしては、バチルス属細
菌で機能するものであればいずれでもよく、例えば特開
平2-31682に記載のベクターpHY500やpNU200などが挙げ
られる。上記のDNAを用いて作製した抗体蛋白発現ベ
クターとしては、バチルス属細菌で機能するものであれ
ばいずれでもよく、具体的には後述の実施例1で得られ
るベクターpNU-Fab'やpNU-Fab'(FIB)などが挙げられ
る。これらのベクターを構築する方法としては、例えば
前述のモレキュラー・クローニング/ア・ラボラトリー
・マニュアル(Molecular Cloning. A LaboratoryManua
l.)に記載の方法などが挙げられる。ベクターの構築に
用いる宿主としては、大腸菌(Escherichia coli)、バ
チルス・サチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・
ブレビスに属する微生物であればいずれでもよく、例え
ば大腸菌HB101、大腸菌DH1、バチルス・サチルスRM141
〔ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacterio
l.)、 第158巻、 1054頁(1984年)〕、バチルス・ブレビ
ス47、バチルス・ブレビス47-5(FERM BP-1664、 IFO 14
698)などが挙げられる。
【0013】遺伝子の発現に用いる宿主としては、バチ
ルス属細菌が用いられるが、バチルス・ブレビスが特に
好ましく、例えばバチルス・ブレビス47、バチルス・ブ
レビス47-5、バチルス・ブレビスH102などが挙げられ
る。これら宿主細菌は、目的とする抗体蛋白をコードす
るDNAを含む前述のベクターで形質転換される。バチ
ルス属細菌を形質転換する方法は公知の方法でよく、例
えば高橋(Takahashi)らの方法〔ジャーナル・オブ・
バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、 第156巻、1130頁
(1983)〕、高木(Takagi)らの方法〔アグリカルチュラ
ル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric. Bio
l. Chem.)、第53巻、3099頁(1989)〕あるいは鵜高(Uda
ka)や山形(Yamagata)の方法〔メソッヅ・イン・エンザ
イモロジー(Methods in Enzymol.)、第217巻、23頁(1
993)〕などが挙げられる。その一例として、免疫グロブ
リンFab'の軽鎖および重鎖をそれぞれコードする2
種の組換え発現ベクターでバチルス・ブレビスを連続的
に形質転換する方法が用いられる。また、軽鎖および重
鎖発現ベクターを同時にバチルス・ブレビスに導入する
こともできる。さらに別法として、軽鎖および重鎖をコ
ードするDNA構築物双方をバチルス・ブレビスの形質
転換に用いる単一の発現ベクター上に結合させ、1回の
形質転換でFab'を発現させることもできる。
【0014】得られる形質転換体の培養に用いる培地
は、形質転換体が生育して、目的とする抗体蛋白を高収
量で産生しうるものであればいかなるものでもよい。該
培地に含有される炭素類としては、例えばグルコース、
庶糖、グリセロール、澱粉、デキストリン、糖蜜、尿
素、有機酸などが用いられる。該培地に含有される窒素
源としては、例えばカゼイン、ポリペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、カザミノ酸、グリシンなどのアミノ酸
類およびNZ-アミンなどの有機窒素源、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒
素源などが用いられる。その他、塩化カリウム、リン酸
一カリウム、リン酸二カリウム、塩化ナトリウムおよび
硫酸マグネシウムなどの無機塩が、必要に応じて添加さ
れる。また、糖と無機窒素源とを主成分とする合成培地
を用いてもよい。栄養要求性菌株を用いる場合には、そ
の生育に必要な栄養物質を培地に添加すればよい。その
ような例として、アミノ酸類、ビタミン類、核酸塩基類
などが挙げられる。また必要があれば、ペニシリン、エ
リスロマイシン、クロラムフェニコール、バシトラシン
などの抗生物質が培地に添加される。さらに大豆油やラ
ード油などの消泡剤を培地に添加してもよい。培地の初
発pHは5〜9であり、さらに好ましくは6.5〜7.5である。
培養温度は通常15〜42℃、さらに好ましくは24〜37℃で
あり、培養時間は通常16〜166時間、さらに好ましくは2
4〜96時間である。
【0015】培養終了後、それ自体公知の方法、例えば
遠心分離、濾過操作により菌体と上清とを分離する。菌
体内に産生された抗体蛋白は、通常の方法、例えば超音
波破砕法、フレンチプレスなどを利用した破砕法などに
より菌体を破砕し、さらに必要ならばトリトンX-100や
デオキシコール酸などの界面活性剤を加えて抽出され
る。このようにして得られた培養上清あるいは菌体抽出
液中に含まれる抗体蛋白は、通常の蛋白精製法、例えば
塩析(通常は硫酸アンモニウムあるいは硫酸ナトリウム
を用いる)、ゲル濾過、イオン交換、ハイドロキシアパ
タイト、プロテインA、抗原結合アフィニティーなどの
カラムクロマトグラフィー、さらにはこれらの高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)などにより精製され、
目的とする抗体蛋白を高収率に得ることができる。本発
明によると、例えば1リットルの培養上清から蛋白重量
比で90%以上、とりわけ95%以上、即ち95〜100%の純
度の活性型の抗体蛋白を約20mg〜5g、とりわけ約50mg〜
2gもの高収量で得ることができる。より具体的には例え
ば、本発明によれば、培養上清当たり約20mg/L以上、と
りわけ約50mg/L以上、即ち約50mg/Lから5g/Lもの高収量
で活性型の抗体蛋白を発現させることができる。このよ
うな発現量は、様々な種類の抗体蛋白、例えば、マウス
・モノクローナル抗ヒト・フィブリン抗体、マウス・モ
ノクローナル抗ヒト・ウロキナーゼ抗体、マウス・モノ
クローナル抗ヒト・フィブリン/ウロキナーゼ二重特異
性抗体およびそれぞれのマウス/ヒト・キメラ抗体な
ど、様々な種類の抗体蛋白において達成される。
【0016】上記で得られる抗体蛋白はラジオイムノア
ッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EI
A)あるいはHPLCを用いて定量できる。また抗体蛋
白の認識する抗原を用いてその結合活性を測定すること
も可能である。その具体例として、マウス/ヒト・キメ
ラ抗ヒトUK抗体Fab'の場合には、ヒトUKを感作
したイムノプレートに被検液を添加し、固相に結合した
Fab'を西洋ワサビ・パーオキシダーゼ(HRP)標
識したヤギ抗ヒトIgG抗体で検出できる。本発明で得
られる抗体蛋白はインビトロ(in vitro:試験管内で)
およびインビボ(in vivo:生体条件内で)の両方にお
いて使用できるが、特にマウス/ヒト・キメラ抗体、ヒ
ト型化抗体やヒト抗体などは免疫原性が低いため、人体
への投与に際し特にその特性が発揮できる。例えば、適
当な放射性核種(例えば、111In、123I、99mTcな
ど)と結合させ体内に投与することにより癌や血栓のイ
メージングが可能となる。また、抗癌活性物質や血栓溶
解物質と結合させ、前者は種々の癌疾患、後者は心筋梗
塞や脳梗塞などの血栓性疾患の治療に使用できる。また
本発明で得られる抗体蛋白は、必要により例えばメンブ
レイン・フィルターなどによる濾過・除菌操作の後に、
それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容されうる担体、
賦型剤、希釈剤などと混合し、注射剤などとして製剤化
して投与できる。これらの製剤は、例えば癌、心筋梗
塞、脳梗塞、肺塞栓、さらにはアレルギー、炎症性疾患
などの治療に、あるいは移植拒絶反応の予防などに使用
できる。
【0017】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸、ペプチドなどを略号で表示する場合、IUPAC-IUB
生化学命名委員会(CBN)で採用された略号あるいは当
該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を
次に挙げる。なお、アミノ酸などに関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL−体を示すものと
する。また特に断らない限り配列の左から右への方向
は、アミノ酸配列ではアミノ末端(N末端)からカルボ
キシ末端(C末端)への方向を示し、配列の両末端の−
は、結合手を示すものとする。塩基配列では、左から右
への方向は5’末端から3’末端への方向を示すものと
する。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーRNA A :2’−デオキシアデニル酸残基 C :2’−デオキシシチジル酸残基 G :2’−デオキシグアニジル酸残基 T :チミジル酸残基 Cys :システイン Pro :プロリン
【0018】
【実施例】以下に参考例および実施例により本発明を具
体的に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するも
のでないことは云うまでもない。本発明の特徴は、バチ
ルス属細菌を用いて、他の蛋白質に比べてより複雑な高
次構造を有する抗体蛋白を活性型として分泌発現させる
ことに初めて成功したことにあり、抗体蛋白の種類自体
は何ら制限されるものではない。本発明の実施にあた
り、組換えDNAの作製、組換え体の動物細胞や微生物
などへの導入は特に断わらない限り下記の実験書に従っ
て実施した。 (1) T. Maniatis, E. F. Fritsch, J. Sambrook著、
「モレキュラー・クローニング/ア・ラボラトリー・マ
ニュアル(Molecular Cloning/A Laboratory Manua
l)」、第2版(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory
刊(米国)。 (2) 高木康敬 編著「遺伝子操作実験法」、第6刷(198
5)、講談社刊。 なお、参考例および実施例で用いられている動物細胞お
よび微生物は、以下の〔表1〕に示すように寄託され
た。
【0019】
【表1】 なお、バチルス・ブレビスOKについては、1992年11月11
日に微工研菌寄第P-13274号として国内寄託された後、1
994年2月17日に原寄託よりブダペスト条約に基づく国際
寄託(NIBH寄託番号: FERM No. BP-4573)へ移管され
ている。
【0020】実施例1 抗体発現ベクターpNU-Fab'の
構築 特開平5-76385に記載の実施例5(2)に従い取得したp
TB1456を鋳型とし、合成オリゴヌクレオチド5LUK(配列
番号1)および3LUK(配列番号2)をプライマーとして
PCRを実施し、得られた断片をNcoI-XhoIで消化し抗体軽
鎖をコードするDNA断片を調製した。一方、〔図1〕に
示したpNU212[メソッヅ・イン・エンザイモロジー(Me
thods in Enzymol.)、第217巻、23頁(1993)に記載のpN
U210と本質的に同一]をNcoI-XhoIで消化して得られる
約4.3kbの断片に上記の軽鎖コード断片を連結しpNU-Lを
取得した。構築図は〔図2〕に示した通りであった。次
に特開平5-76385に記載の実施例5(3)で取得したpTB
1455を鋳型とし、合成オリゴヌクレオチド5HUK(配列番
号3)および3HUK2(配列番号4)をプライマーとしてP
CRを実施した。3HUK2(配列番号4)は、抗体ヒンジ領
域のC末端Cys-Pro-Pro-Cys-Proをコードする部分が、Cy
s-Pro-Proの直後に終止コドンが導入されるようにデザ
インされている。得られたDNA断片をNcoI-HindIIIで消
化し、Fd'フラグメントをコードするDNA断片を得た。こ
の断片を、pNU212をNcoI-HindIIIで消化して得られた約
4.3kbのDNA断片に連結し、pNU-Fd'を取得した。構築図
は〔図3〕に示した通りである。次にpNU-Fd'を鋳型と
し、合成オリゴヌクレオチド5HUK2(配列番号5)およ
び3HUK2(配列番号4)をプライマーとしてPCRを実施し
た。得られた断片をXhoI-HindIIIで消化し、MWPプロモ
ーターのSD配列からH鎖のヒンジ領域までをコードするD
NA断片を取得した。この断片をさらに、pNU-LをXhoI-Hi
ndIIIで消化して得られる約5kbの断片と連結し、Fab'フ
ラグメントの発現分泌ベクターpNU-Fab'を取得した。構
築図は〔図4〕に示した通りである。得られたpNU-Fab'
を各種制限酵素を用いて消化し、目的のベクターである
ことを確認し、またPCRで増幅した領域が正しい塩基配
列を有していることを公知のジデオキシ・チェイン・タ
ーミネーション(dideoxy chain termination)法で確
認した。
【0021】実施例2 バチルス・ブレビスにおける
抗体遺伝子の発現 公知のバチルス属細菌、バチルス・ブレビスH102(FERM
BP-1087)およびバチルス・ブレビス47(FERM P-7224)か
ら公知の方法で種々の変異処理を施し菌体外プロテアー
ゼ活性の低い株としてそれぞれ得られた、バチルス・ブ
レビスOK(FERM P-13274、BP-4573)および47K(FERM BP-2
308)[Konishiら:アプライド・マイクロバイオロジー・
アンド・バイオテクノロジー(Appl.Microbiol.Biotech
nol.)、第34巻、297頁(1990)]を宿主として用いた。
実施例1で取得したベクターpNU-Fab'を用いて、HPD31
および47系統のバチルス・ブレビスを以下の方法により
形質転換した。 (1) HPD31系統の形質転換には公知のエレクトロポ
レーション法を採用した[アグリカルチュラル・アンド
・バイオロジカル・ケミストリー(Agric. Biol. Che
m.)、第53巻、3099頁(1989)]。但し形質転換用液とし
ては、2.33%庶糖、10mM MgCl2、15%グリセロール含有7
mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を用い、0.2cmキュ
ベットを用いて1.5kV、25μF、1000Ωの条件で実施した。
【0022】(2) 47系統の形質転換には別途公知の
方法を採用した[メソッヅ・イン・エンザイモロジー
(Methods in Enzymol.)、第217巻、23頁(1993)]。
すなわち、以下に組成を記載したT2u培地5mlを用いて、
37℃で一晩振とう培養し前培養液を得た。これを100ml
のT2u培地に植菌し、37℃で4~5時間培養した。培養液の
660nmにおける吸光度が3.5~4.0となった時(生育速度が
少し減少する時期)に氷中に30分放置後集菌し、9.32%
庶糖、15%グリセロール含有0.1mMリン酸緩衝液(pH7.
4)(以下、A液と略記することがある)200ml、100mlお
よび4mlを用いて順次3回洗浄した。次いで0.5mlのA液に
懸濁し45μlずつ遠心分離用試験管に分注し、ドライ・
アイス/エタノール液中で凍結させて-80℃で保存し
た。このコンピタント・セル懸濁液45μlにDNA溶液1~2
μlを加え、0.1cmキュベットとジーンパルサー(バイオ
ラッド社製)とを用いて0.9kV、25μF、200Ωの条件で
印加し、あらかじめ冷却しておいた20mM MgCl2含有T2u
培地1mlを直ちに添加した。氷中に10分放置後、30℃で1
時間振とう培養しエリスロマイシンを最終濃度0.1μg/m
lとなるように添加した。さらに30℃で4時間振とう培養
し、エリスロマイシン10μg/ml含有T2u固体培地に塗布
して30℃で静置培養した。以上の操作により、バチルス
・ブレビスOKおよび47Kを形質転換し、抗体Fab'を発現
する菌株バチルス・ブレビスHPD31-OK/pNU-Fab'(IFO-15
651)およびバチルス・ブレビス47K/pNU-Fab'(IFO15650)
を取得した。 T2u培地:ポリペプトン(1%)−肉エキス(0.5%)−
酵母エキス(0.2%)−ウラシル(0.1mg/ml)−グルコ
ース(1%)
【0023】実施例3 発現抗体Fab'の性状(I) (1) 形質転換体の培養 実施例2で取得したバチルス・ブレビスHPD31-OK/pNU-F
ab'株を30℃で2PY培地を用いて培養し、一日後に最終濃
度5%となるようにグルコースを添加しさらに二日間培
養した。得られた培養液を、12%SDSポリアクリルアミ
ドゲルを用いる電気泳動に供し、ウェスタンブロット法
により検出・定量した[T. Maniatis, E. F. Fritsch,
J. Sambrook著、「モレキュラー・クローニング(Molecul
ar Cloning)」、Cold Spring Harbor Laboratory 刊
(米国)]。検出にはHRP標識ヤギ抗ヒトF(ab')2抗体F
(ab')2(カッペル社製)、標品にはプロトジェン社製の
ヒトIgG・Fabを用いた。 培養液中には0.5g/L以上の高濃度の抗体Fab'が含有され
ていた。 2PY培地 : プロテオース・ペプトン(4%)−酵母エキ
ス(0.5%)−グルコース(2%)−MgSO4・7H2O(0.01%)−Fe
SO4・7H2O(0.001%)−MnSO4・4H2O(0.001%)−ZnSO4・7H2O
(0.0001%) (pH7.0)。
【0024】(2) 抗体Fab'の精製 実施例2で取得したバチルス・ブレビス47K/pNU-Fab'株
を30℃で0.1mg/mlウラシル含有2PY培地を用いて培養
し、上記実施例3(1)と同様に一日後に最終濃度5%
となるようにグルコースを添加しさらに二日間培養し
た。得られた培養液を、硫酸アンモニウム40~60%飽和
画分を用いて塩析後、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)
に対して透析した。次いでDE52(ワットマン社製)を用
いるイオン交換カラム・クロマトグラフィーに供し、20
mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出する素通り画分を
採取した(溶出速度:39ml/時間)。さらに硫酸アンモ
ニウム60%飽和画分を用いて塩析後、20mMトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)に対して透析した。次にセファデックスG
-75カラム(ファルマシア社製)を用いてゲル濾過クロ
マトグラフィーに供した後(溶出液:0.1M NaCl含有10m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、溶出速度:10ml/時
間)、MAb Trap G IIキット(ファルマシア社製)を用
いるプロテインGアフィニティー・クロマトグラフィー
により精製した。
【0025】(3) 抗体Fab'の物理化学的性状 得られた抗体Fab'精製液を、還元条件下および非還元条
件下で12%SDSポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳
動に供し、クマシーブルー染色法により検出した。 非
還元条件下では分子量約48000に相当する位置に明瞭な
バンドが検出され、抗体Fab'の存在が確認された。また
還元条件下では分子量約28000付近に二本のバンドが検
出され、抗体Fab'がL鎖とFd'鎖との二本の単鎖に解離し
たことが確認された。次に上記で得られた二本のバンド
についてN末端のアミノ酸配列を解析したところ、N末
端から10アミノ酸残基まで正しい配列を有し、高分子側
バンドがL鎖、低分子側バンドがFd'鎖であると判明し
た。また同時にシグナル・ペプチドが正しい位置で切断
されていることが確認された。
【0026】(4) 抗体Fab'の抗原親和性 プロトジェン社製のヒト・ウロキナーゼ30μgを水に溶
解しpH4.5に調整した。一方でN-ethyl-N'-(3,3'-dimeth
yl-aminopropyl)carbodiimide塩酸塩2mgを同様に水に溶
解しpH4.5に調整した。これらの水溶液をEAH−セファロ
ース4B懸濁液(ファルマシア社製)に添加し、室温で一
晩振とうし反応させた。水で十分に洗浄後、カラムに充
填し10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した。上
記実施例3(3)で取得した精製抗体Fab'溶液を上記の
ウロキナーゼ結合カラムに供し、平衡化液で十分洗浄
後、50mMグリシン−塩酸緩衝液を用いてpHを段階的に順
次0.5づつ低下させ、回収される溶出液中の抗体Fab'をS
DSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し銀染色して検
出した。pH3.0までの溶出液では抗体Fab'はカラムより
全く溶出されず、pH2.5の溶出液中において抗体Fab'が
検出された。なおコントロールとしてプロトジェン社製
のヒトIgG・Fab画分を用いて同様の実験を実施したが、p
H3.0までの溶出液中に大部分が検出された。以上の結果
から、本発明により作製された抗体Fab'は、抗原ヒト・
ウロキナーゼに対して強い結合能を有していることが示
された。
【0027】実施例4 発現抗体Fab'の性状(II) (1) 形質転換体の培養 実施例2で取得したHPD31-OK/pNU-Fab' 株を30℃で10μ
g/mlエリスロマイシン含有5PY培地を用いて培養し、一
日後に最終濃度3%となるようにグルコースを添加しさ
らに二日間培養した。Fab'の生産量を実施例3−(1)
で示したウェスタンブロット法により測定したところ約
50mg/L 以上であった。 5PY培地 : ポリペプトンP1(4%)−酵母エキス(0.5
%)−グルコース(2%)−硫酸マグネシウム・7水塩(0.01
%)−硫酸第一鉄・7水塩(0.001%)−硫酸マンガン・4水
塩(0.001%)−硫酸亜鉛・7水塩(0.0001%)−塩化カルシ
ウム・2水塩(2mM) (pH7.0)。 (2) 抗体Fab’の精製 遠心分離操作により培養上清560mlを回収し、以下の手
順でFab'抗体を精製した。(i)40〜60%飽和硫酸アンモ
ニウム画分を採取し、20mMトリス緩衝液(pH7.5)に対し
て透析した。(ii)DEAEセルロースカラム(Whatman DE52)
に供し、素通り画分を採取した。(iii)80%飽和硫酸ア
ンモニウムを用いて塩析・濃縮し、20mMトリス緩衝液(p
H7.5)に対して透析した。(iv)MonoQ カラム(Pharmacia)
に供し、0〜500mM NaClの濃度勾配溶出により分離し
た。Fab'は約100mM NaClで溶出された。(v)Fab'含有画
分に1Mリン酸緩衝液(pH6.8)を最終濃度10mMとなるよう
に加え、ハイドロキシアパタイトカラムに供した。(vi)
素通り画分を採取し、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に対し
て透析しNaClを除去した。(vii)NaCl非存在下でハイド
ロキシアパタイトカラムに供し、10〜200mM NaCl−10mM
リン酸緩衝液(pH6.8)の濃度勾配溶出により分離した。F
ab'は約50mM NaClで溶出された。以上の精製操作により
約6mgのFab'が得られた。
【0028】(3) 抗体Fab'の性状 得られた抗体Fab'精製液を、実施例3−(3)で示した非
還元条件下のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供
した。得られた結果は〔図5〕に示した通りであった。
分子量約48,000に相当する位置に明瞭な主バンドが検出
された。分子量約25,000および30,000に相当する位置
に、それぞれ会合していないL鎖およびFb'鎖と思われる
バンドがわずかに観察された。 (4) ヒト・ウロキナーゼに対する結合定数 得られた精製抗体Fab'について、Katoh らの報告した酵
素免疫測定法〔ジャーナル・オブ・ファーメンテーショ
ン・アンド・バイオエンジニアリング(J. Ferment. Bi
oeng.)、第76巻、451〜454頁(1993年)〕に従って、
抗原に対する結合定数を算定し、元のマウス・モノクロ
ーナル抗ヒトウロキナーゼ抗体UK1−3と比較した。発色
試薬にはABTS〔2,2'-azino-bis(3-ethylbenzothiazolin
e-6-sulfonic acid)diammonium salt〕を用いて405nmの
吸光度をマイクロプレートリーダー(Bio-Rad, Model 45
0)により測定した。本発明の精製抗体Fab'の結合定数は
1.9×108M-1で、マウス・ハイブリドーマの細胞培養に
より取得したマウス・モノクローナル抗体UK1-3の2.7×
108M-1とほぼ同等の値を示した。以上の結果から、本発
明のマウス/ヒト・キメラ抗ヒト・ウロキナーゼ抗体Fa
b'は正常な抗原結合能を有した活性型としてバチルス・
ブレビスから分泌発現されていることが判明した。
【0029】実施例5 抗体発現ベクターpNU-Fab'(F
IB)の構築 実施例1において、pTB1456およびpTB1455の代わりに、
それぞれpTB1423およびpTB1420〔ジャーナル・オブ・バ
イオテクノロジー(J. Biotechnol.)、第33巻、157〜1
74頁(1994年)に記載〕を用いて実施例1と同様の操作
により、それぞれpNU-L(FIB)およびpNU-Fd'(FIB)の構築
を行う。次に、pNU-L(FIB)およびpNU-Fd'(FIB)を用いて
実施例1と同様の操作を行うことにより、抗ヒト・フィ
ブリン抗体Fab'フラグメントの分泌発現ベクターである
pNU-Fab'(FIB)が構築可能である。
【0030】実施例6 バチルス・ブレビスにおける
抗ヒト・フィブリン抗体遺伝子の発現 実施例5で取得したpNU-Fab'(FIB)を用いて、実施例2
と同様にして公知のエレクトロポレーション法によりバ
チルス・ブレビスOKを形質転換し、バチルス・ブレビス
HPD31-OK/pNU-Fab'(FIB)を得る。こうして得られるバチ
ルス・ブレビスHPD31-OK/pNU-Fab'(FIB)を30°Cで2PY
培地を用いて培養する。一日後に最終濃度5%となるよ
うにグルコースを添加しさらに二日間培養する。得られ
る培養液を、実施例3と同様の操作を行うことにより、
12%SDSポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動に供
し、ウェスタンブロット法により検出・定量する。培養
液中には0.5g/L以上の高濃度の該抗体Fab'フラグメント
が含有されている。得られる培養液を、硫酸アンモニウ
ム50%飽和画分を用いて塩析後、20mMリン酸緩衝液/生
理食塩水(pH7.3)に対して透析する。次いで、抗体含有
画分をフィブリン結合セルロファイン・カラム〔バイオ
/テクノロジー(Bio/Technol.)、第7巻、1163頁(198
9年)に記載〕に供した後、ハイドロキシアパタイト高
速液体クロマトグラフィー・カラム(三井東圧化学株式
会社製)により精製する。こうして得られる抗体Fab'精
製液を、実施例3と同様にして、還元条件下で12%SDS
ポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動に供する。ク
マシーブルー染色法を用いて分子量約25000〜30000付近
に二本のバンドを検出することにより、抗体Fab'がL鎖
とFd'鎖との二本の単鎖に解離していることが確認し得
る。抗体Fab'の抗原親和性については、実施例3の(4)
において、ヒト・ウロキナーゼの代わりにヒト・フィブ
リンを用いて同様の操作を行うことにより、本発明によ
り作製される抗ヒト・フィブリン抗体Fab'が、抗原ヒト
・フィブリンに対して強い結合能を有していることが確
認し得る。
【0031】
【発明の効果】本発明によると、次に記すように目的と
する組換え抗体蛋白を、安価に、大量に、容易に、生産
することができる。 1)大腸菌などの細菌では、組換え抗体を発現させると
不活性型の水不溶性の封入体として菌体内に蓄積される
場合が多く、活性型での回収が困難であったのに対し、
本発明では活性型として大量の抗体蛋白を得ることが可
能である。本発明によれば、天然型の80%以上の、とり
わけ85%以上の、即ち85〜100%の活性を有する抗体蛋
白を得ることが可能である。 2)大腸菌などの細菌では、発現された抗体蛋白が菌体
内に蓄積されるため、その抽出および精製に多大の時間
と労力が必要であったのに対し、本発明では、目的の抗
体蛋白が活性型として菌体外に分泌生産されるため、そ
の精製が極めて容易である。 3)活性型の抗体蛋白の生産に従来用いられてきたハイ
ブリドーマ細胞では、分子量の大きな全分子としての抗
体蛋白(例えばマウス抗ヒトUK抗体、分子量約15.5
万)しか生産できていない。しかし本発明により、活性
型として機能するに必要十分な最小分子(例えばマウス
/ヒト・キメラ抗ヒトUK抗体Fab’、分子量約4.8
万)としての生産が可能である。このことは、活性蛋白
のモル生産量が飛躍的に上昇したことを意味する。
【0032】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 (合成DNA) 配列: CTCCCATGGC TTTCGCTGAT ATTCAGCTGA CACAGTC 37 配列番号:2 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 (合成DNA) 配列: AAACTCGAGC TAACACTCTC CGCGGTTGA 29 配列番号:3 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 (合成DNA) 配列: CTCCCATGGC TTTCGCTGAG GTGCAACTAG TGGAGTC 37 配列番号:4 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 (合成DNA) 配列: AAAAAGCTTT CACGGTGGAC ACGTGTGAGT TT 32 配列番号:5 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 (合成DNA) 配列: AAACTCGAGA GAGGAGGAGA ACACAAGGT 29
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に記載のMW蛋白質分泌発現用ベクタ
ー(pNU212)の構造を示す。
【図2】実施例1で構築した抗ヒト・ウロキナーゼ抗体
軽鎖分泌発現用ベクター(pNU-L)の構造を示す。
【図3】実施例1で構築した抗ヒト・ウロキナーゼ抗体
Fd’鎖分泌発現用ベクター(pNU-Fd')の構造を示
す。
【図4】実施例1で構築した抗ヒト・ウロキナーゼ抗体
Fab’鎖分泌発現用ベクター(pNU-Fab')の構造を示
す。
【図5】実施例4で得られた抗ヒト・ウロキナーゼ抗体
Fab’精製画分の非還元条件下でのSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動の結果を示す。Mは、分子量マ
ーカー(208, 115, 79, 49.5, 34.8, 28.3, 20.4K)、
Fは抗体Fab’(2マイクロク゛ラム)のレーンを示す。
【0034】
【符号の説明】
Kbp:キロ塩基対 MWP:MWPプロモーター領域 SP :MWPシグナル配列 MCS:マルチクローニングサイト Em :エリスロマイシン耐性遺伝子コード領域 VL :軽鎖可変領域 CL :軽鎖定常領域 VH :重鎖可変領域 CH :重鎖定常領域 h :ヒンジ領域 SD :SD配列 M :分子量マーカー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 16/00 8318−4H G01N 33/531 A (C12P 21/08 C12R 1:08) (C12N 1/21 C12R 1:08) (72)発明者 井上 靖 千葉県船橋市日の出2丁目20番地2 昭和 産業日の出寮A−102 (72)発明者 岩佐 進 京都府綴喜郡田辺町大住ケ丘1丁目21番地 の2 (72)発明者 多田 宏子 岡山県岡山市伊島町2丁目20番地22 グレ ースシャトル伊島206号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗体蛋白をコードするDNAを、バチルス
    属細菌由来のプロモーター領域を含有するDNAの3’
    末端に結合させてなるDNA。
  2. 【請求項2】バチルス属細菌がバチルス・ブレビスであ
    る請求項1記載のDNA。
  3. 【請求項3】抗体蛋白がFab’である請求項1または
    2記載のDNA。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載のDNAを組み
    込んだベクター。
  5. 【請求項5】請求項4記載のベクターで形質転換された
    バチルス属細菌の形質転換体。
  6. 【請求項6】バチルス属細菌がバチルス・ブレビスであ
    る請求項5記載の形質転換体。
  7. 【請求項7】請求項5または6記載の形質転換体を培地
    に培養し、菌体外に活性型の抗体蛋白を生成蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする組換え型抗体蛋白
    の製造法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006004067A1 (ja) * 2004-07-06 2006-01-12 Kaneka Corporation ブレビバチルス属細菌を用いたプロテインa様蛋白質の生産方法

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