JP2004510410A - 宿主細胞由来組換えタンパク質の分泌を促進するリーダーペプチド - Google Patents
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Abstract
Description
(導入)
(発明の分野)
本発明は、宿主細胞からの組換えタンパク質の分泌を増強するための方法に有用な新規なリーダーペプチド配列およびリーダーペプチドをコードするヌクレオチド配列に関する。
【0002】
(背景および関連文献)
多くの市販の有意なタンパク質は、適切な原核宿主細胞または真核宿主細胞における組換え遺伝子発現によって生成される。細胞培地中あるいはグラム陰性細胞の場合、「細胞膜周辺腔」または「ペリプラズム」(内細胞膜と外細胞膜との間)への分泌後、発現されたタンパク質産物を単離することが頻繁に所望される。分泌されたタンパク質は、典型的には、可溶性であり、そして混入した宿主タンパク質および他の細胞成分から容易に分離され得る。多くの発現系において、分泌の割合は、タンパク質産物の全体の収量を制限し、そしてかなりの量の産物は、単離することが難しい細胞内の不溶性画分として蓄積する。従って、細菌および他の宿主型からの異種タンパク質の分泌を指向するための改善された方法を同定する必要がある。
【0003】
原核生物と真核生物の両方における、ほとんど全ての分泌されたタンパク質が分泌経路に入ること、分泌の間に開裂されるポリペプチド鎖のN末端における特定のシグナルペプチドによって指向される。しかし、シグナルペプチドが、分泌経路に新生ポリペプチド鎖を指向し、そして正確かつ十分なタンパク分解性開裂を指向して、成熟タンパク質を放出する機構は、完全に理解されていない。シグナル配列は、本質的に主に疎水性である(膜に新生ペプチドを指向し、原核生物の内膜および真核生物の小胞体膜に分泌タンパク質を移行するのに重要であり得る特徴)。しかし、分泌は、細胞分泌器官のいくつかのエレメントおよびシグナルペプチド中の特定の配列エレメントに関与する多段階プロセスである(例えば、Millerら,(1998)J.Biol.Chem.273:11409−11412を参照のこと)。
【0004】
哺乳動物細胞において、シグナル配列により、親生鎖が、シグナル認識粒子(SRP)の54Kタンパク質によって認識される。これは、小胞体膜に接触するまで、移行成分コンホメーション中心新生鎖を保持すると考えられる。SRPは、7S RNAおよび6個の異なるポリペプチドからなる。哺乳動物SRPの7S RNAおよび54Kシグナル配列結合タンパク質(SRP54)は、細菌中でシグナル認識粒子を形成するEscherichia coliの4.5S RNAおよびP48タンパク質(Ffh)に対して高度に類似の配列を示す(Luirinkら,(1992)Nature 359:741−743)。
【0005】
シグナルペプチドの特徴であるアミノ酸の疎水性ストレッチに加えて、多くの通常の特徴は、原核細胞において機能する多くの分泌シグナルによって共有され、そして特徴の別々のセットは、真核細胞からのシグナルペプチドによって共有される。
【0006】
原核細胞において、多くのシグナルペプチドは、中間に疎水性領域(12〜14アミノ酸残基長)およびN末端の近くに陽性に荷電した領域を有する、20〜30アミノ酸長である(Pugsley(1993)Microbiol.Rev.57:50−108)。類似性にかかわらず、今日までE.coliにおいて同定された各シグナルペプチドは、固有の配列を有する。異なるシグナルペプチドにおいて見出される種々の配列は、固有の方法において分泌と相互作用するようである。
【0007】
多くの分泌シグナルペプチドは、異種組換えタンパク質の分泌を指向するために使用され得る原核タンパク質およびファージタンパク質から同定されている(例えば、Gennityら(1990)J.Bioeng.Biomemb.22:233−269を参照のこと)。異なるシグナルペプチドは、異種タンパク質の分泌を指向するシグナルペプチドの効率を変えるが、限定された数の原核生物シグナルペプチドが、以下の由来のシグナルペプチドを含む、E.coliからの異種のタンパク質の分泌のために現在広く使用される:Erwinia carotovora(PelB)由来のペクチン酸リアーゼBタンパク質;E.coli外膜タンパク質(OmpA;米国特許第4,757,013号);熱安定性エンテロトキシンII(StII);アルカリホスファターゼ(PhoA)、外膜タンパク質(PhoE)、および外膜λレセプター(LamB)。例えば、PelBシグナルペプチドは、E.coliから抗体フラグメントを発現するために使用されている(米国特許第5,698,435号)。
【0008】
いくつかの場合において、真核シグナル配列は、細菌において機能し得、そしてその逆もまたあり得る(Zemel−DreasenおよびZamir(1984)Gene 27:315−322;Hallら(1990)J Biol Chem 265:19996−9;Garciaら(1987)J Biol Chem 262:9463−8)。
【0009】
シグナル配列の改変はまた、分泌レベルを改善するために使用される。例えば、改変されたOmpAシグナル配列は、E.coliからヒトNGFを分泌するために使用され(米国特許第5,470,719号)、そしてOmpAシグナル配列の疎水性コアにおける変異は、第2の細菌タンパク質(TEM β−ラクタマーゼ;Goldsteinら(1990)J.Bacteriol.172:1225−1231)ではなく、第1の細菌タンパク質(Staphylococcus aureusヌクレアーゼA)の分泌を増大した。LamBシグナルペプチドにおける変異のライブラリーは、ウシ成長ホルモンの分泌のための改善されたリーダーを同定した(Kleinら,(1992)Prot.Eng.5:511−517)。
【0010】
種々の試みが、どのN末端が、シグナルペプチドの機能を実施し得るかを推定するために行なわれている。例えば、広く使用されるアルゴリズムは、Nielsenら(1997)Prot.Eng.10:1−6に記載される。このアルゴリズムは、どの配列が、有するシグナルペプチドとして役立ち得るかを適切な程度の正確で推定する。しかし、このアルゴリズムは、どの配列が、最も効率よく機能するかは推定しない。このような方法はまた、シグナルペプチドと成熟タンパク質との間の結合における開裂の部位を推定することを部分的に可能にする;例えば、Nielsonらの方法は、原核生物シグナル配列の89%のみにおけるシグナルペプチドの開裂部位を正確に予想する。実際は、開裂部位におけるvon Heijneの−3、−1法則に従ってコンセンサス配列を含む領域に偏向するが、シグナルペプチドは、開裂部位のまわりの特定のアミノ酸配列よりも未知の3次元モチーフを認識するようである(DevおよびRay(1990)J Bioenerg Biomembr 22:271−90)。
【0011】
異種タンパク質の効率的な分泌のための適切なシグナル配列の選択は、成熟タンパク質内の下流配列と開裂されたシグナルペプチド内の配列との相互作用によってさらに難しくなる。原核生物において、アミノ酸Ala、Asp/Glu、Ser/Thrに対して首尾よく開裂した成熟タンパク質の最初の5個のアミノ酸において偏向がある。成熟タンパク質のN末端付近の荷電した残基は、分泌に負の影響を与える(「荷電ブロック」効果)(Johanssonら(1993)Mol Gen Genet.239:251−256)。タンパク質の成熟部分によるOmpAシグナルペプチドの塩基領域におけるモジュレーションの変異の効果もまた、報告されている(Lenhardら,(1988)J.Biol.Chem.263:10300−10303)。
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、種々の宿主において産生される組換えタンパク質の分泌を増大するのに有用である新規の合成リーダーペプチド配列およびリーダーペプチドを設計するための方法に関する。新規なリーダーペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの配列を設計するための方法もまた提供される。本発明の別の局面は、新規なリーダーペプチドおよび組換えタンパク質をコードする核酸を含む融合構築物を提供することによって宿主からの組換えタンパク質の分泌を増大する方法である。本発明のなお別の局面は、リーダーペプチドの使用を介した宿主細胞からの組換えタンパク質を分泌することによって組換えタンパク質を産生する方法である。リーダーペプチドまたは融合構築物をコードする核酸を含む発現ベクターもまた提供される。本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中に提供される開示から明らかである。
【0013】
(特定の実施形態の説明)
(定義)
一般に、本明細書中で使用される学名ならびに細菌培養および動物細胞培養、組換えDNAおよびタンパク質化学における研究手順は、当該分野において周知であり、そして通常使用される。他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明の所属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0014】
本発明のリーダーペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在するアミノ酸のための従来の一文字または三文字コドンを使用して、ペプチドまたはタンパク質についての従来の様式で示され、そして隣接したアミノ酸が正常なアミド結合または「ペプチド」結合を介して結合され、左にアミノ末端および右にカルボキシ末端が書かれる。
【0015】
従来の表記法は、本明細書中のヌクレオチド配列を言及する場合に使用される。一般的に、二本鎖核酸についてさえヌクレオチド配列の1本鎖のみが、示される。核酸が、タンパク質をコードする場合、コード鎖は示される。ヌクレオチド配列の左手末端は、5’末端であり、右手末端は、3’末端である。コード配列内において、最も5’のヌクレオチド配列は、N末端アミノ酸をコードし、最も3’のヌクレオチド配列は、C末端アミノ酸をコードする。コード配列のヌクレオチド配列5’は、「上流」として称され、そしてコード配列のヌクレオチド配列3’は、「下流」として称される。
【0016】
「リーダーペプチド」は、分泌経路にタンパク質を指向する、タンパク質、一般に、N末端に存在するペプチド配列を意図する。リーダーペプチドは、シグナルペプチダーゼによる分泌プロセスの間にタンパク質から開裂される。リーダーペプチドはまた、シグナルペプチド、リーダー配列またはシグナル配列と称され得る。
【0017】
「組換えタンパク質」は、組換え遺伝子から産生されるタンパク質を意図する。「組換え遺伝子」は、インビトロでのDNAまたはRNAのいくつかの操作の結果として天然に存在する形態以外の形態における遺伝子を意図する。インビトロにおけるいくつかの操作の結果として、新しい遺伝子配置に異種の生物体または同種の生物体に移行される、ある生物体由来の天然に存在する遺伝子は、「組換え遺伝子」として意図される。遺伝子のヌクレオチド配列は、プロセスの間改変されてもされなくてもよい。組換え遺伝子はまた、完全な人工遺伝子(すなわち、任意の形態における天然に存在しない遺伝子)を含む。本明細書中において使用される場合、用語「遺伝子」は、タンパク質をコードする核酸を意図し、そしてイントロンを有するか、もしくは有さない、全体のコード領域ならびに転写および翻訳に必要とされる任意の調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、転写開始点および転写終結点)または他の任意の部分を含み得る。
【0018】
「分泌」は、タンパク質が、外部細胞環境またはグラム陰性細菌の場合、細胞膜周辺腔に移行されるプロセスを意図する。
【0019】
「融合構築物」は、リーダーペプチドに関するコード配列および組換えタンパク質に関するコード配列(イントロンを有す、または有しない)を含む核酸を意図する。ここで、それらのコード配列が、隣接し、そして同じリーディングフレームにあり、その結果、融合構築物は、宿主において転写および翻訳される場合、リーダーペプチドのC末端が、組換えタンパク質のN末端に結合される。タンパク質が生成されるように、ここで融合構築物のタンパク質産物は、「融合ポリヌクレオチド」として本明細書中に示される。
【0020】
リボソーム結合部位に適用される場合、「アクセス可能な」は、mRNAにおけるリボソーム結合部位(RBS)の偏向が、リボソームの結合に相対的に利用可能であることが意図される。「相対的に利用可能な」は、70%未満のRBSの偏向および関連転写開始コドンが、Genequestプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison WI)を使用して予想されるmRNAの二次構造のモデルにおいて塩基対を形成することを意味する。塩基対を形成した塩基の割合は、塩基対形成された塩基の数をリボソーム結合部位における塩基の全数と転写開始コドンの塩基の全数によって割り、100をかけた%によって計算され得る[(塩基対形成に関与するRBSの塩基の数+塩基対形成に関与する開始コドンにおける塩基の数)/(RBSの塩基の数+開始コドンにおける塩基の数)×100%]。
【0021】
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドについての「コード領域」または「コード配列」によって、これらのタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを「コードする」ヌクレオチド配列が意図され;すなわち、適切な細胞機構によって、同じタンパク質、ポリペプチド、ペプチドへと最終的に翻訳されるか、または翻訳され得る、一連のコドンを含むヌクレオチド配列(DNAとしてかまたはRNAとして)が意図される。「コード領域」は、タンパク質全体、ポリペプチド全体、またはペプチド全体に対する一連のコドンを、必ずしも含むに及ばないが、これらのタンパク質、ポリペプチド、ペプチドの一部分のみをコードし得る。このコード領域は、必ずしもイントロンを含むにおよばないが、これらを含み得る。これらのイントロンは、スプライシングを受け、機能的なmRNAを形成する。
【0022】
「作動的に連結する」とは、2つ以上高分子(ポリヌクレオチド、タンパク質など)について言及する場合、成分分子または成分配列が共に機能して意図する目的を達成する様式で、成分分子または成分配列が連結されることを意味する。リボソーム結合部位およびコード領域について言及する場合、作動的に連結するとは、このコード配列の翻訳が、このリボソーム結合部位でリボソームの結合を介してもたらされることを意味する。2つのコード領域について言及する場合、作動的に連結するとは、これらのコード領域がインフレームであり、そして翻訳され得、単一のポリペプチドを産生し得ることを意味する。プロモーターおよび遺伝子もしくはコード配列について言及する場合、作動的に連結するとは、この遺伝子またはコード配列の転写がこのプロモーターによって制御されることを意味する。
【0023】
本発明は、原核生物宿主または真核生物宿主からの、組換えタンパク質の分泌を増強するのに有用な新規の合成リーダーペプチド配列、およびこれらのリーダーペプチドについてのコード領域を含むポリヌクレオチドを提供する。これらのリーダーペプチドは、代表的には20と25との間のアミノ酸長であるが、15アミノ酸ほど短くもあり得るし、または30アミノ酸ほど長くもあり得る;すなわち、このリーダーペプチドは、15アミノ酸残基長、16アミノ酸残基長、17アミノ酸残基長、18アミノ酸残基長、19アミノ酸残基長、20アミノ酸残基長、21アミノ酸残基長、22アミノ酸残基長、23アミノ酸残基長、24アミノ酸残基長、25アミノ酸残基長、26アミノ酸残基長、27アミノ酸残基長、28アミノ酸残基長、29アミノ酸残基長または30アミノ酸残基長であり得る。このリーダーペプチドは、これを宿主から分泌される組換えタンパク質のN末端に位置付けることによって、最も効率的に使用される。従って、本発明は、リーダーペプチド配列および組換えタンパク質配列を含む、融合ポリペプチドを提供する。このリーダーペプチドをコードする核酸は、リーダーペプチドコード領域が、上流(すなわち、5’末端)にあり、組換えタンパク質コード領域と同じリーディングフレームに一致し、融合構築物を提供するような様式で、組換えタンパク質のコード領域を含む核酸に作動的に連結され得る。この融合構築物は、宿主細胞で発現され、このリーダーペプチドを含む融合ポリペプチドを提供し得、このリーダーペプチドは、リーダーペプチドのカルボキシ末端において、この組換えタンパク質のアミノ末端に連結されている。融合ポリペプチドは、宿主細胞から分泌され得る。代表的には、このリーダーペプチドは、分泌プロセスの間に融合ポリペプチドから切断され、外部細胞環境において、またいくつかの場合には、ペリプラズム間隙において、分泌された組換えタンパク質の集積を生じる。
【0024】
本発明のリーダーペプチドのアミノ酸配列は、以下の特徴を含み得る:(1)N末端に近い2つ以上の正に荷電したアミノ酸の領域、(2)7と16との間の連続した疎水性アミノ酸残基、(3)αヘリックス崩壊因子(disrupter)として作用する1つ以上のアミノ酸、および(4)C末端における、配列Z−X−Z(ここで、Zは小さい側鎖を有するアミノ酸であり、そしてXは、任意のアミノ酸である)。これらの特徴の各々は、以下に別個に記載される。このリーダーペプチド配列は、最低限、上記の(1)、(2)および(4)の特徴を備える。好ましくは、このリーダーペプチドは、上記4つ全ての特徴を含む。様々な特徴は、存在する場合、リーダーペプチドのN末端からリーダーペプチドのC末端へ、上に提示した順番で存在し、すなわち、N末端近くの2つ以上の正に荷電したアミノ酸の後に(C末端方向に)、疎水性アミノ酸、その後にαヘリックス崩壊因子、その後に「Z−X−Z」配列が続く。殆どの実施形態において、この「Z−X−Z」は、リーダーペプチドが組換えタンパク質に融合ポリペプチド中で融合している場合、リーダーペプチドの切断部位の直前に存在する。
【0025】
本発明のリーダーペプチドは、N末端近くの2つ以上の正に荷電したアミノ酸残基を有する。「N−末端近く」とは、正に荷電したアミノ酸残基がN末端から2〜6アミノ酸以内に存在することを意味する。一般に、正に荷電したアミノ酸は、N末端自体には存在しない。なぜならば、このN末端は、代表的にはメチオニン残基またはホルミルメチオニン残基であるからである。正に荷電したアミノ酸はまた、N末端アミノ酸に直接隣接しない。N末端アミノ酸残基を1としてかぞえるとき、この正に荷電したアミノ酸は、2以上の残基、すなわち3、4、5、6、または7で存在する。この2以上の正に荷電したアミノ酸は、一般に連続な残基であるが、1つまたは2つの介在するアミノ酸によって互いに分離され得る。適切な介在するアミノ酸は、小さく、非荷電側鎖を有した残基(例えば、グリシンまたはアラニン)である。このような介在するアミノ酸はまた、好ましくは、N末端アミノ酸を2以上の正に荷電したアミノ酸から分離する。この2つ以上の正に荷電したアミノ酸は、同じアミノ酸であり得るし、また異なったアミノ酸でもあり得る。適切な正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニンが挙げられる。好ましくは、N末端近くの、2個、3個、または4個の正に荷電したアミノ酸が存在し、より好ましくは、N末端近くの、2個、3個、または4個のリジン残基が存在する。
【0026】
本発明のリーダーペプチドは、7と16との間の連続した疎水性アミノ酸の領域を有する;すなわち、この領域は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16の連続した疎水性アミノ酸残基を有し得る。好ましくは、疎水性領域は、12と16との間のアミノ酸長である。適切な疎水性アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、セリン、グルタミン、アスパラギン、メチオニン、およびチロシンが挙げられる。疎水性アミノ酸の領域についてのアミノ酸配列は、適切な疎水性残基の中から無作為に選択され得るが、好ましくは、A:L:V:F:T:I:S:Q:N:M:Yについて16:14:14:5:5:4:3:2:2:1:1の比率で偏りがある。好ましい疎水性アミノ酸は、アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、セリン、グルタミン、アスパラギン、およびメチオニンであり;より好ましいのは、アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、セリン、グルタミン、メチオニンである。
【0027】
本発明のリーダーペプチドは、一般に、αヘリックス崩壊因子として作用する、少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。好ましい実施形態において、このαヘリックス崩壊因子ミノ酸は、リーダーのC末端において、疎水性領域とZ−X−Z基との間に位置づけられる。好ましくは、1つのへリックス崩壊因子残基が存在するが、1より多く約10まで存在し得る。αヘリックス崩壊因子として作用する、適切なアミノ酸としては、プロリン、アルギニン、グリシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギンおよびアスパラギン酸が挙げられる。好ましくは、プロリン残基またはアルギニン残基が、ヘリックス崩壊因子として選択され;より好ましくは、プロリンである。
【0028】
本発明のリーダーペプチドは、C末端において、配列Z−X−Zを有し、ここで、「Z」は、小さい側鎖を有するアミノ酸であって、Xは、20種の遺伝的にコードされるアミノ酸のうちのいずれかである。「C末端」によって、リーダーペプチドについて言及する場合、そのN末端から遠位にあるリーダーペプチド配列の末端が意図される。このリーダーペプチドのC末端は、組換えタンパク質のN末端と連結され得、分泌可能な融合ポリペプチドを形成する。従って、リーダーペプチドのC末端は、リーダーペプチドが組換えタンパク質に連結されている場合、実際のタンパク質の末端ではないことが明らかである。この「Z」アミノ酸は、同じであるかまたはお互いに異なり得るが、但し、各々は小さい側鎖を有するアミノ酸である。「ZXZ」配列の中の「Z」として適切な小さい側鎖を有するアミノ酸としては、アラニン、セリン、グリシン、バリン、またはスレオニンが挙げられる。好ましくは、少なくとも1つの「Z]がアラニン残基である。より好ましくは、両方の「Z」残基がアラニンである。「ZXZ」配列についての好ましい「X」残基としては、チロシン、アスパラギン、およびロイシンが挙げられる。
【0029】
本発明のリーダーペプチドの特に好ましい実施形態は、以下のアミノ酸構造:
M−Xn−(K/R)−(K/R)−Jm−P−Xp−Z−X−Z
を有し、ここで、各Zは独立して、小さい側鎖を有するアミノ酸であり、各Xは独立して、任意の遺伝的にコードされるアミノ酸であり、M、K、RおよびPは、それぞれ、メチオニン、リジン、アルギニン、およびプロリンについての従来の1文字コードであり、(K/R)は、リジンまたはアルギニンのいずれかがその位置に存在することを示し、各Jは、以下:アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、スレオニン、イソロイシン、セリン、グルタミン、アスパラギン、メチオニン、およびチロシンからなる群より独立して選択されるアミノ酸であり、nは1または2から選択される整数であり、pは0、1、または2から選択される整数であり、mは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16から選択される整数である。好ましい実施形態において、K/RはKであるか、あるいはnは1であり、あるいはpは0であるか、あるいはmは、12、13、14、15、または16であるか、あるいはZはアラニンであるか、ありはXはアラニン、グリシン、チロシン、またはロイシンであるか、あるいは前述した好ましい選択の組み合わせである。
【0030】
リーダーペプチドの特に好ましい実施形態としては、以下のアミノ酸配列のいずれかを有するリーダーペプチドが挙げられる:
MAKKNSTLLVAVAALIFMAGRANA(配列番号1)、
MAKKNSTLLVAVAALIMFTQPANA(配列番号2)
MGKKQTAVAFALALLALSMTPAYA(配列番号3)
MGRKQTAVAFALALLSLAFTNAYA(配列番号4)または
MAKKNSTLLVAVAALIFMAGRALA(配列番号23)。
【0031】
アミノ酸配列を考慮することに加え、融合ポリペプチドの効率的な分泌は、この融合ポリペプチドについてのコード領域の核酸環境、特にmRNAレベルへの配慮が必要である。従って、本発明はまた、リーダーペプチドをコードする核酸配列を含み、そして翻訳開始部位の上流にある(すなわち、コード鎖上の翻訳開始の5’端)核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、リーダーペプチドをコードする、第1のヌクレオチド配列(ここでリーダーペプチドは、以下を含む:(1)N末端近くの、2以上の正に荷電したアミノ酸(2)7と16との間の連続した疎水性アミノ酸残基の領域、(3)必要に応じて、αヘリックス崩壊因子として作用するアミノ酸、および(4)C末端における、配列Z−X−Z(ここで、各Zは独立して小さい側鎖を有するアミノ酸であり、そしてXは遺伝的にコードされたアミノ酸である))、ならびにリボソーム結合部位を有する、第2のヌクレオチド配列(ここで、第2のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列の5’であり、そしてこのリボソーム結合部位は、このリーダーペプチドのコード領域に作動的に連結し、上記のポリヌクレオチドはRNAであるか、またはRNAに転写される場合、本明細書中で定義するように、上記のリボソーム結合部位は接触可能である)を含む。
【0032】
このポリヌクレオチドについての適切なヌクレオチド配列の選択は、当該分野で公知であるように遺伝コードを参照して、このリーダーペプチドのアミノ酸配列をコードする、全ての可能性のあるヌクレオチド配列を決定することで始まる。このヌクレオチド配列を設計する際、意図する宿主生物のコドン偏位およびRNAにおける2次構造の可能性が考慮される。
【0033】
このコドン偏位の考慮については、一般に、このポリヌクレオチド配列は、リーダーペプチド/融合ポリペプチドが発現される、宿主生物についてのコドン偏位を使用して設計される;すなわち、リーダーペプチドをコードする核酸配列についてのコドン使用頻度は、実用的なほど近く、意図する宿主生物のコドン使用頻度を反映する。多くの原核生物および真核生物についてのコドン偏位が公知である。例えば、SharpおよびMatassi(1994)Curr.Opinion Genet.Devel.4:851−860;ZhangおよびZubay(1991)Genetic Engineering 13:73−113を参照のこと。
【0034】
コドン偏位に関連する考慮に加え、リーダーペプチドをコードするmRNAの2次構造が、翻訳に影響し得、そして、このコードされるタンパク質の効率的な分泌を得るために、この領域のRNAの配列を最適化することが所望され得る。シグナルペプチドをコードするDNAへ導入された「サイレント」変異(このペプチド配列を変更しない変異)が、E.coliにおいて抗体Fvフラグメントの発現効率に影響を与えることが示されている(Stemmerら(1993)Gene 123:1−7)。この点に関して、発現の最適化は、最大可能翻訳速度の選択を必ずしも必要としない。むしろ、翻訳速度の減少によって、改善されたタンパク質の折り畳みを許容し、それによって、全体の分泌速度を増大する。
【0035】
特に、2次構造の考慮に関して、リーダーペプチドをコードする核酸配列およびこのコード配列の直ぐ上流の核酸配列は、産生されるmRNAのリボソーム結合部位の利用可能性を最適化するように設計される。リボソーム結合部位(RBS)の利用可能性は、当該分野で周知の方法によって、RBSを取り巻くmRNAの核酸の2次構造から予測され得る。例えば、mRNAの2次構造は、DNASTAR,Inc.(Madison,WI)から入手可能なGenequestプログラムを使用して決定され得る。このGenequestプログラムは、Zukerによって記載された最適なRNAフォールディング法(Zuker,M.Science(1989)244:48−52およびJaegerら Proc.Natl Acad.Sci.USA(1989)86:7706−7710)のVienna modifications(Schusterら、Proc.R.Soc.Lond.B.Biol.Sci.(1994)255:279−284)を使用して、RNA2次構造を予測する。RBSおよびリーダーペプチドについてのコード配列を含むヌクレオチド配列に対してこのような方法を適用することによって、リボソーム結合に対するRBSの利用可能性の決定は可能である。一般に、このリボソーム結合部位の利用可能性は、RNA2次構造における塩基対形成に関与する、RBS自体の内の塩基の数およびAUG翻訳開始コドンの内の塩基の数、ならびにこのRBSおよびAUGがステムループ構造のステムに埋没しているか否かに関して記述され得る。一般に、塩基対形成に関与するRBSおよびAUGの塩基が少なければ少ないほど、このRBSは、リボソーム結合についてより利用可能である。同様に、このRBSは、これがステムループ構造中に埋没してない場合に、リボソーム結合についてより利用可能である。代表的に、mRNAの2次構造の分析によって、始め(すなわち、mRNAの5’末端)からリボソーム結合部位および翻訳開始点(AUG)を通って、リーダーペプチドコード領域の末端までの、mRNAの配列が考慮される。このAUGの上流のmRNA配列は、通常、融合構築物を作製する場合に使用される特定のプロモーターの配列に依存する。従って、mRNAの2次構造は、リーダーペプチドのアミノ酸配列の選択のみでなく、使用されるプロモーターおよびRBSの選択によっても影響を受ける。
【0036】
このGenequestプログラムを、RNAの2次構造決定のために使用する場合、温度パラメーターは、37℃に設定され、そしてGU塩基対形成は、許容される。Genequestプログラムの出力は、予測された塩基対領域を示すRNAの構造のグラフィック表示である。特定のアミノ酸配列を有するリーダーペプチドについての好ましいヌクレオチド配列は、RBSおよび付随するAUG翻訳開始コドンの塩基のうち70%以下が、2次構造(すなわち、塩基形成)に関与するヌクレオチド配列であり、かつステムループ構造に埋没しないRBSを有する、ヌクレオチド配列である。塩基対形成に関与する塩基のパーセンテージを計算する際に、塩基対形成に関与する、RBSおよびAUGの塩基の数が加算され、そしてRBSおよびAUGを合わせた塩基の総数に対して比較される。RNAの2次構造を決定する際に、プロモーターからこのリーダーペプチドのコード領域の末端を通る、ポリヌクレオチドの配列が考慮される。
【0037】
細菌系において、リボソーム結合部位は、代表的には、16s rRNAの3’末端に対して相補的な配列を有する(例えば、Ringquist,S.ら(1992)Mol.Microbiol.6:1219参照のこと)。本発明に関連する使用のために有用なリボソーム結合部位は、E.coli由来のAraBADプロモーターに天然で結合するリボソーム結合部位である。このプロモーターは、pBAD−HisAベクター(Invitrogen)中に簡便に見出され得る。この特定のリボソーム結合部位は、ヌクレオチド配列AGGAGGを有する。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAであり得、そして1本鎖または2本鎖であり得る。このポリヌクレオチドがRNAである場合、2次構造の決定は、このポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を使用して実施される。このポリヌクレオチドがDNAである場合、2次構造の決定は、対応するRNAのヌクレオチド配列を使用して実施される。「対応するRNA」によって、TがUで置換されることを除いてDNAポリヌクレオチドと同じヌクレオチド配列を有するRNAが意図される。
【0039】
従って、融合ポリペプチドの分泌の増大のための融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを設計する方法は、このリーダーペプチドのアミノ酸配列ならびにこのリーダーペプチドコードするヌクレオチド配列およびmRNA中でリーダーコード配列から上流の領域の考慮を含まなければならないことは明らかである。融合ポリペプチドの分泌の増大のための融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを設計する本発明の方法は、以下を包含する:(a)リーダーペプチドをコードする、第1のヌクレオチド配列を選択する工程であって、ここで上記リーダーペプチドが以下:
(1)N末端に近い、2つ以上の正に荷電したアミノ酸、
(2)7と16との間の連続した疎水性アミノ酸残基の領域、
(3)必要に応じて、αヘリックス崩壊因子として作用するアミノ酸;および
(4)C末端における、配列Z−X−Z(ここで、各Zは独立して小さい側鎖を有するアミノ酸であり、そしてXは、任意のアミノ酸である)
を含む、工程;(b)リボソーム結合部位を含む第2のヌクレオチド配列を選択する工程であって、上記第2のヌクレオチド配列が、上記第2のヌクレオチド配列が上記第1のヌクレオチド配列の5’であるように、上記第1のヌクレオチド配列に作動的に連結する場合であって、かつ上記連結した第1のヌクレオチドおよび第2のヌクレオチド配列がRNAであるか、またはこれがRNAに転写される場合に、上記リボソーム結合部位が接触可能である、工程;(c)組換えタンパク質をコードする、第3のヌクレオチド配列を選択する工程であって、上記第3のヌクレオチド配列は、上記第1のヌクレオチド配列の3’であって、かつ上記リーダーペプチドおよび上記組換えタンパク質を含む融合タンパク質がコードされる様式で、第1のヌクレオチド配列に作動的に連結している、工程;および(d)第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列、および第3のヌクレオチド配列を、単一のポリヌクレオチド中に構築する工程。様々なヌクレオチド配列を構築する工程は、当該分野で周知の任意の多くの技術、例えば、制限フラグメントまたはPCR生成フラグメントの連結、PCR増幅、あるいはポリヌクレオチド全体またはその部分の合成によって、達成される。
【0040】
本発明の好ましいポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列のうち1つを有する:
【0041】
【化1】
。
【0042】
リーダーペプチドについての翻訳開始コドンを、上記の配列の各々においてイタリック体で示す。
【0043】
本発明のリーダーペプチドと関連して有用な組換えタンパク質およびそれをコードするヌクレオチド配列は、細菌タンパク質および真核生物タンパク質(例えば、哺乳動物タンパク質、またはより好ましくはヒトタンパク質)を含む。ヒト組換えタンパク質の例は、天然のヒトタンパク質(例えば、インスリン、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、および免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質(免疫グロブリンおよびMHCタンパク質を含む));ならびにヒトタンパク質の変異体バージョン(例えば、コンセンサスインターフェロンフラグメントまたはタンパク質フラグメント(例えば、免疫グロブリンフラグメント(例えば、FabフラグメントまたはFvフラグメント)))である。あるいは、組換えタンパク質は、天然に存在しないタンパク質または操作されたタンパク質(例えば、天然のヒトタンパク質の改変体、天然のタンパク質のフラグメント、キメラタンパク質または全く新規の操作されたタンパク質)であり得る。組換えタンパク質は、天然に存在するかまたはモノマーとして機能する組換えタンパク質であり得るか、あるいは、より大きいポリペプチド複合体(例えば、ホモダイマーもしくはヘテロダイマーまたは他のマルチマータンパク質)の1以上のポリペプチドサブユニットであり得る。マルチマータンパク質は、同一なポリペプチドサブユニットから構成され得るか、または多くの非同一なポリペプチドサブユニットから構成され得る。本発明において有用な組換えタンパク質の例としては、免疫付着因子(immunoadhesin)(例えば、CTLA4−Ig)、および免疫グロブリン由来の可変ドメイン(抗体のscFv、FabおよびF(ab’)2フラグメントを含む)、単鎖抗体、二重特異的抗体、ディアボディー(diabody))を含むタンパク質が挙げられる。免疫グロブリン可変ドメインおよび抗体フラグメントは、ヒトまたはヒト化であり得、そしてヒトまたはマウスの定常ドメインに連結され得る。組換えタンパク質がマルチマータンパク質である場合、このマルチマーを形成する各ポリペプチドサブユニットについてのコード領域は、そのN末端でリーダーペプチドに連結され得る。選択されるリーダーペプチドは、各ポリペプチドサブユニットについて同じかまたは異なり得る。組換えタンパク質が天然に分泌されるタンパク質である場合、タンパク質の成熟形態のみについてのコード配列は、代表的に、天然に存在するリーダーペプチドを本発明の合成リーダーペプチドで置換した融合構築物において使用される。
【0044】
本発明の1つの局面において、合成リーダーペプチドは、組換え体(すなわち、形質転換された)宿主生物において産生される組換えタンパク質の分泌を指向または増強するために使用される。好ましい実施形態において、この合成リーダーペプチドは、免疫グロブリン関連ポリペプチド(例えば、そのN末端ドメインとして、免疫グロブリン可変ドメインを有する組換えタンパク質)の分泌を指向または増強するために使用される。このような可変ドメインとしては、それぞれ、抗体の重鎖または軽鎖に由来するVhドメインおよびVlドメインが挙げられる。これらのドメインは、より大きな組換えタンパク質(例えば、抗体のscFvフラグメント、FabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメント、単鎖抗体、二重特異的抗体またはディアボディー)の一部であり得る。成熟組換えタンパク質のN末端残基は、リーダーペプチドの開裂に影響しえることから、分泌レベルは、リーダーペプチド開裂部位の近傍における、アミノ酸残基の適切な選択によってさらに最適化され得る。例えば、組換えタンパク質のN末端領域における荷電残基は、可能であれば回避されるべきである。さらに、開裂部位のいずれかの側でのプロリン残基の配置は、回避されるべきである。より好ましい実施形態において、合成リーダーペプチドは、原核生物宿主からの免疫グロブリン関連ポリペプチドの分泌を指向または増強するために使用される。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の種々の方法、および例えば、Sambrook,J.Fritsch,E.F.およびManiatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.またはAusubelら(1998)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons,Inc.に記載される種々の方法のいずれかによって調製される。核酸は、自動化DNA合成機(例えば、Biosearch、Applied Biosystemsなどから市販されるもの)の使用によって、容易に合成され得る。DNAの別個のフラグメント(例えば、組換えタンパク質をコードするDNA)は、制限酵素を使用して調製およびクローニングされ得る。あるいは、別個のフラグメントは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、適切な配列を有するプライマーを用いて調製され得る。
【0046】
本発明のリーダーペプチドをコードするポリヌクレオチドは、融合構築物を提供するために組換えタンパク質をコードする核酸に連結され得る。代表的には、リーダーペプチドをコードする核酸の3’末端は、組換えタンパク質をコードする核酸の5’末端に連結される。2つのコード領域は、同じリーディングフレームになるように連結される。この方法において、融合構築物は、組換えタンパク質がC末端に続く、N末端にリーダーペプチドを有する単一のタンパク質をコードする。このリーダーペプチドおよび組換えタンパク質は、直接連結され得るか、またはこれらを連結する1つまたはいくつかのアミノ酸が存在し得る。特定のアミノ酸は、シグナルペプチダーゼによる開裂を妨げることが周知であり(例えば、プロリン)、そしてこれらの残基は、融合ポリペプチドのための開裂部位を設計する際に回避される。組換えタンパク質が、本来は(すなわち、そのネイティブな形態では)シグナルペプチドを含む場合、この配列は、好ましくは融合ポリペプチドには含まれない。同様に、組換えタンパク質が本来は開始Met(またはホルミル−Met)残基をN末端に含む場合、このMet(またはホルミル−Met)は、代表的には融合ポリペプチドには含まれない。
【0047】
リーダーペプチドまたは融合構築物をコードする核酸を含む発現ベクターは、当該分野で周知の方法によって調製され得る。一般に、この発現ベクターは、プロモーターの制御下で、リーダーペプチドまたは融合構築物をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、1より多くのリーダーペプチドまたは融合構築物は、単一のプロモーターの制御下に置かれる。このような実施形態において、ジ−シストロンまたはポリシストロンのメッセージは、単一のプロモーターからの転写によって生成され得る。これらの実施形態において、さらなる融合構築物は、最初の融合構築物の下流に配置され、そして30ヌクレオチド以下、上流の融合構築物から隔てられる;すなわち、下流の融合構築物の翻訳開始コドンから、上流の融合構築物の終止コドンを隔てる、30ヌクレオチド以下が存在する。好ましくは、ジ−シストロンまたはポリシストロンの実施形態における融合構築物は、1〜30ヌクレオチドの間、より好ましくは3〜20ヌクレオチドの間、隔てられる。いくつかの場合、融合構築物は、僅かに重複さえし得る。
【0048】
プロモーターは、目的の宿主において転写を指向し得るように選択される。種々の宿主細胞において転写を指向し得るプロモーターは、周知であり、そして、いくつかの例を以下に記載する。任意の適切なプロモーターが選択され得る。一般に、「プロモーター」は、リーダーペプチドまたは融合ポリペプチドコード領域の転写に必要な、翻訳開始(AUGコドン)の上流の全てのヌクレオチド配列を含む。プロモーターは、リボソーム結合部位の配列を含むか、または重複し得る。プロモーターの選択は、しばしば、リボソーム結合部位の選択にも影響する。本明細書中の他で記載されるように、プロモーターの特定のヌクレオチド配列は、それが対となるリーダーペプチドコード領域の選択に影響する。発現ベクターはまた、目的の宿主における選択のための選択マーカー遺伝子および/または宿主においてベクターの自律的複製を提供するための複製起点を含み得る。あるいは、またはさらに、発現ベクターは、宿主染色体へのベクターの組み込みを補助するヌクレオチド配列を含み得る。
【0049】
種々の宿主における融合ポリペプチドの産生のために発現ベクターを構築するための方法はまた、当該分野で一般に公知である。発現は、原核生物宿主および真核生物宿主のいずれかにおいてもたらされ得る。原核生物は、最も頻繁にE.coliの種々の株によって代表される。しかし、バチルス(例えば、Bacillus subtilis)、種々の種のPseudomonas、または他の細菌株のような他の微生物株がまた使用され得る。このような原核生物系において、宿主に適合性の種に由来する複製部位および制御配列を含むプラスミドベクターが、しばしば使用される。例えば、E.coliについて役立つベクターとしては、pBR322、pUC18、pBADおよびこれらの誘導体が挙げられる。一般に使用される、転写開始のためのプロモーターを含む原核生物制御配列は、必要に応じて、リボソーム結合部位配列に付随するオペレーターを有し、以下のような一般に使用されるプロモーター(例えば、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)プロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、アラビノースプロモーター、ならびにλ由来PLプロモーター)ならびにN遺伝子リボソーム結合部位を含む。しかし、原核生物に適合性の任意の利用可能なプロモーター系が使用され得る。E.coliにおける組換えタンパク質の産生のために有用な技術は、Baneyx,F.(1999)Curr.Opinion Biotech.10:411−421および米国特許第5,698,435号に見出される。
【0050】
真核生物宿主において有用な発現ベクターは、適切な真核生物遺伝子に由来するプロモーターを含む。酵母において有用なクラスのプロモーターとしては、例えば、解糖酵素の合成のためのプロモーター(例えば、3−ホスホグリセリン酸キナーゼのためのプロモーター)が挙げられる。他の酵母プロモーターとしては、YEp13から得られるエノラーゼ遺伝子またはLeu2遺伝子由来のプロモーターが挙げられる。哺乳動物細胞のために適切なプロモーターとしては、SV40由来の初期プロモーターおよび後期プロモーター、または他のウイルスプロモーター(例えば、ポリオーマ、アデノウイルスII、ウシパピローマウイルスまたはトリ肉腫ウイルス由来のプロモーター)、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター(例えば、hCMV−MIEプロモーター−エンハンサー)が挙げられる。さらなる適切な哺乳動物プロモーターとしては、β−アクチンプロモーター−エンハンサーおよびヒトメタロチオネインIIプロモーターが挙げられる。植物細胞が発現ベクターのための宿主として使用される事象において、例えば、A.tumefaciens由来のノパリン合成プロモーターが、適切である。
【0051】
発現ベクターは、周知の技術(例えば、制限技術および連結技術、相同組換え技術、またはPCR増幅技術)を使用して構築され、適切な宿主に形質転換される。宿主細胞の形質転換は、選択された宿主細胞に適切な標準的な技術を使用して、達成される。発現ベクターを含む細胞は、融合ポリペプチドの産生に適切な条件下で培養され、次いで、融合ポリペプチドまたは開裂された成熟組換えタンパク質(すなわち、リーダーペプチドを有するかまたは有さない、発現されたタンパク質)は、回収されそして精製される。一般に、回収されるタンパク質は、融合ポリペプチドまたは組換えタンパク質(リーダーペプチドの開裂後)、あるいはこれら両方である。融合ポリペプチドが分泌され、そしてリーダーペプチドがプロセスの間に開裂される場合、回収されるタンパク質が組換えタンパク質またはその改変形態であることが明らかである。いくつかの場合、融合ポリペプチドは、リーダーペプチドと組換えタンパク質との間にさらなるアミノ酸が存在するように設計される。これらの例において、融合ポリペプチドからのリーダーペプチドの開裂は、N末端にさらなるアミノ酸を有する改変された組換えタンパク質を生成し得る。あるいは、融合ポリペプチドは、リーダーペプチドの開裂のための部位が組換えタンパク質の配列中のいくつかのアミノ酸で生じるように設計され得る。これらの例において、変更されたN末端を有する改変された組換えタンパク質が、生成され得る。
【0052】
本発明のリーダーペプチドをコードする核酸(融合構築物および発現ベクターを含む)は、選択された宿主に適切であり、そして当該分野において周知かつAusubelら(1998)前出に記載される方法によって、目的の宿主細胞に形質転換され得る。
【0053】
本発明はまた、宿主細胞において組換えタンパク質を産生するための方法を提供し、この方法は、融合構築物を含む発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する工程(ここで、この発現ベクターはまた、選択された宿主細胞において機能的なプロモーターを含む)、および融合ポリペプチドが発現されそして宿主細胞から分泌されるような条件下で、形質転換された宿主細胞を培養する工程を包含する。宿主細胞は、原核生物細胞(例えば、E.coli)あるいは真核生物細胞(例えば、真菌細胞(例えば、酵母細胞)、昆虫細胞、植物細胞または哺乳動物細胞)であり得る。本発明のこの局面における使用のために適切な哺乳動物細胞としては、トランスジェニック動物の細胞および組織培養細胞が挙げられる。好ましくは、哺乳動物宿主細胞は、確立された細胞株(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、げっ歯類骨髄腫細胞株またはハイブリドーマ細胞株、あるいはヒト細胞株である。各特定の宿主について、発現ベクターは、プロモーターおよび選択マーカー(存在する場合)が、選択された宿主において機能的であるように選択される。さらに、リーダーペプチドをコードするヌクレオチド配列は、本明細書中に記載のように、特定の宿主のために最適化され得る。形質転換された宿主細胞は、発現ベクターによってコードされる融合ポリペプチドの発現のために適切な条件下で培養される。適切な条件は、選択される特定の宿主および融合ポリペプチドの発現を制御する特定のプロモーターによって変化する。当業者は、適切な培養条件を選択する能力がある。融合ポリペプチドおよび/または組換えタンパク質の産生は、当業者に明らかな多くの方法のいずれかによってモニターされ得る。例えば、細胞質、ぺリプラズムまたは培養培地中のタンパク質レベルは、酵素的アッセイによってか、またはタンパク質染色されたPAGEゲル上のバンドのデンシトメトリーによってモニターされ得る。
【0054】
以下の実施例は、本発明の例示のために提供され、限定することを意図しない。
【0055】
(実施例)
(実施例1−h4D5scFvを用いたリーダーペプチドの設計および融合構築物の調製)
3つのリーダーペプチドについてのアミノ酸配列を、組換えタンパク質のN末端における融合のために設計した。最初に選択されたこれら3つのアミノ酸配列を、SSS1A、SSS1BおよびSSS2として、以下に示す。
【0056】
合成タンパク質配列をコードするヌクレオチド配列を、標準的なオリゴヌクレオチド合成技術によって構築し、そしてプラスミドpBAD/HisA(Invitrogen)中に挿入した。各リーダーペプチドをコードするように選択されたヌクレオチド配列を、以下に示す。この合成リーダーペプチドを、既知のリーダーペプチド(StII、OmpAおよびpelBリーダー配列)と、タンパク質の分泌を指向する能力について比較した(pelBリーダーは、既知の配列から僅かに改変されていた)。合成リーダーペプチド配列または天然に存在するシグナル配列をコードするDNAを、それぞれ、pBAD/HisAプラスミド(Invitrogen)中のh4D5scFv(Carterら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、89、4285−4289)をコードするDNA配列の5’末端に連結し、そして発現プラスミドを、製造業者の指示に従うアラビノーズ誘導後のh4D5scFv発現の評価のために、E.coli中に導入した。
【0057】
StIIリーダーペプチドおよびC末端ヘキサヒスチジンタグを有する4D5scFv遺伝子を、合成オリゴヌクレオチドを使用するPCRによって構築し、次いで、BspHI−HindIIIフラグメントとして、NcoIおよびHindIIIで予め消化したpBAD/HisAベクター中にクローニングした。さらなる構築物を、リーダーペプチドをコードする合成オリゴヌクレオチドカセットを、NcoI−SacIフラグメント、NcoI−BsiWIフラグメントまたはNcoI−NgoMIVフラグメントとして導入することによって、他の天然に存在するリーダーペプチドまたは合成リーダーペプチドから調製した。リーダーペプチド構築物のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。Escherichia coli株TOP10を、タンパク質産生をモニターするために、pBADベースの発現ベクターで形質転換した。
【0058】
(実施例2−融合ポリペプチドの調製)
実施例1からの形質転換体のそれぞれの細菌コロニーをピックアップし、100μg/mlのカルベニシリンを含む3mlのSuperBroth中で一晩増殖させた。この前培養物(100μl)を使用して、50mlのコニカルチューブ中の100μg/mlのカルベニシリンを含有する10mlのSuperBrothに播種した。この培養物を、中間の対数期まで増殖させ(3.75〜4時間)、0.01%のアラビノースで誘導させ、そして4.5〜5時間後に回収した。培養物を、150rpmで振盪しながら30℃で増殖させた。細胞を、SL−250Tローター(Sorvall)中で、10,000rpmで10分間遠心分離することによって回収した。ブロス上清のサンプル中のタンパク質を、TCAで沈殿させた。この細胞ペレットを、2.5mlの氷冷したスクロース緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、28%スクロース、および2mM EDTA)中に再懸濁し、10分間氷上に置き、次いでSL−250Tローター(Sorvall)中で、14,000rpmで15分間遠心分離した。スクロース抽出物中のタンパク質を、TCAで沈殿させ、そして細胞ペレットの小さいサンプルを、PAGE分析のためにNuPAGEサンプル緩衝液(Novex)中に取った。TCA沈殿物を、遠心分離によって収集し、冷却(−20℃)アセトンで洗浄し、このペレットをSpeedVac(Savant)を使用して乾燥させ、そして200μlのNuPAGEサンプル緩衝液中に再懸濁した。全てのタンパク質サンプルを、4〜12%NuPAGEゲル(Novex)上に充填する前に10分間100℃で加熱し、そしてこのゲルを200ボルトでMOPS緩衝液(Novex)中で電気泳動した。電気泳動後、このゲルを約50mlの脱イオン水中で、5分間ずつ3回洗浄した。次いでこのゲルを、GELCODE Blue Stain Reagent(Pierce)中で1時間染色し、そして脱イオン水を何回か交換しながら数時間脱染色した。乾燥させたゲル(DryEase−Novex)を、対照のために黄色のフィルターを備える平台スキャナ(Duoscan T1200−AGFA)を使用して、スキャンした(Fotolookソフトウェア−AGFA)。4D5 scFvタンパク質のバンド強度を、Slot−Blot Analysisソフトウェア(GelExpert−Nucleotech)を使用して決定し、そして単位領域あたりの強度としてグラフ化した。バックグラウンドを、マーカーレーン中の等分子量領域から取り、そして強度の値から減算した。正確な4D5 scFvのバンドを、INDIA HisProbe−HRP(Pierce)またはImmunoPure Protein L−peroxidase結合試薬(Pierce)によるいずれかでプローブしたブロット上の陽性シグナルによって確認した。
【0059】
それぞれの合成的リーダーペプチドは、培養ブロス中の成熟h4D5 scFvタンパク質の出現によって決定されるような分泌シグナルとして作用し得、標準的な技術に従ってポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分析した。scFvタンパク質のバンドの同定を、ペルオキシダーゼ結合Protein−Lを使用したウェスタンブロットにより行った。最初の実験において、3つの合成的シグナル配列の効率における驚くべき差異を観察した。SSS1Aは、StII原核生物シグナル配列を使用して分泌される、培養ブロス中に分泌される同量のh4D5 scFvを生成した。SSS1Bは、StIIまたはSSS1Aのいずれかよりも多くの分泌h4D5 scFvを産生し、そしてSSS2は、分泌scFvの最小量を産生した。
【0060】
どのエレメントが分泌効率における差異に関与するかを決定する試みにおいて、SSS2リーダーペプチドを、さらに改変してSSS2Bを形成した。SSS2Bにおいて、N末端近くのアミノ酸配列RKは、SSS1リーダーペプチドにおけるようなKKに変化し、アラニンは、疎水性コアの中心のより近くに移動し、そしてアスパラギン残基は、AXAに隣接するα−ヘリックスのブレーカーとしてプロリンで置換された。次いで、h4D5 scFvの分泌を、SSS2Bをシグナル配列として使用して試験し、そして2つの通常使用される原核生物シグナル配列(OmpAおよびPelB*)と比較した。PelB*は、ペクテートリアーゼ(PelB)シグナル配列の改変形態であり、C末端の配列QPAMAは、QPANAで置換されている。周辺質から抽出されるscFvの産生、または培養培地中の存在は、SSS2Bをリーダーペプチドとして使用することによって、SSS2と比較した場合に、非常に増加した。SSS2Bを使用して産生される、周辺質におけるscFvの量はまた、OmpAまたはPelB*シグナル配列のいずれかを使用して産生した量よりも多かった。SSS2Bをリーダーペプチドとして使用する培養培地中に蓄積されるscFvのレベルは、OmpAを用いて得られるレベルと同様であり、そしてPelB*シグナル配列を使用するよりも非常に大きかった。
【0061】
4つの異なる合成的リーダーペプチドに融合される場合、スクロース抽出物、ブロス、または細胞ペレットにおける4D5 scFvの産生のための代表的なゲルを、図1に示す。4D5 scFvタンパク質の分泌を駆動するリーダーペプチドの効率を評価するために、染色されたバンドの強度を決定し、そして棒グラフにプロットした(図2)。図1および図2において見られ得るように、SSS2は、他の3つの合成的リーダーペプチドほど多くのタンパク質をブロスサンプル中で産生しない。これは、培養ブロス中へのタンパク質のより少ない引き続く漏出を生じる、周辺質への乏しい(または遅延した)分泌に、最も起因するようである。実際、より早い時点、すなわちより低いアラビノース誘導濃度では、他の合成的リーダーペプチドを使用して作製される融合構築物を用いて産生されるより、SSS2融合構築物を用いて産生される方が、より少ない4D5 scFvがスクロース抽出物中で一貫して存在する(データは示さず)。SSS2を除いて、合成的リーダーペプチド(SSS1A、SSS1B、およびSSS2B)は、通常使用されるリーダーペプチド(StII、PelB、およびOmpA)と同じ量の4D5 scFvタンパク質を産生する(図3および図4を参照のこと)。実際、試験された条件下で、SSS2Bは、代表的に、分析された他のリーダーペプチドよりも約10%多くのタンパク質を、スクロース抽出物中で産生する(図2および図4を参照のこと)。
【0062】
次いで、合成的リーダーペプチドを、2つの異なるアラビノース誘導濃度(0.01%および0.001%)で、30℃で150rpmで振盪しながら増殖させ培養物を用いて試験した。サンプルを、アラビノース誘導後1.5時間および5時間で回収した。培養培地、周辺質および最終細胞ペレットにおける、h4D5 scFvの産生レベルを、PAGEによって評価した。SSS1AおよびSSS1Bリーダーペプチドは、より高い分子量の種(プロセシングされないシグナル配列を有するh4D5 scFvがもっともありそうである)は、細胞ペレット中で時間と共に、またはより高い誘導濃度で増加するという点で、StIIおよびOmpA配列と同様の結果を生じた。このより高い分子量の種は、SSS2、SSS2BまたはPelB*シグナル配列を使用して観察されなかった。一般に、h4D5 scFvの培養培地中の産生レベルは、一般的傾向:SSS2B≒SSS1B>SSS1A≒StII≒OmpA>>PelB*>>SSS2に従うが、このレベルは、回収時間、誘導濃度または増殖条件に依存して変化し得る。周辺質分画中のscFvレベルの相対差は、培養培地中におけるように明白ではなく、回収時間、増殖条件および誘導濃度に依存していくらか変化した。ほとんどの実験において、SSS2Bリーダーは、周辺質において他のリーダーペプチドよりも多くのh4D5 scFvを産生した。
【0063】
合成的リーダーペプチドSSS1AおよびSSS1Bのアミノ酸配列は、疎水性コアの末端かつリーダーペプチド切断部位(ANA)の前の5アミノ酸だけが異なり、そして予測されるように、これら2つのリーダーペプチドの両方は、4D5 scFvをかなり分泌する。しかし、SSS2およびSSS2Bもまた、5アミノ酸だけが異なるが、SSS2は、SSS2Bよりも非常に少ないタンパク質しか培養ブロス中に産生しない。産生レベルの差異が、ペプチド配列またはmRNA配列のどちらに起因するかを試験するために、2つの新規なSSS2の改変体(SSS2KPおよびSSS2m)を作製した。SSS2KPにおいて、3位のアルギニンをリジンに置換し、そして21位のアスパラギンをプロリンに置換して、これらの位置のアミノ酸をSSS2Bリーダーペプチドに存在するアミノ酸に変換した。SSS2mにおいて、SSS2のアミノ酸配列は保持されているが、6アミノ酸のゆらぎ位置を、5’mRNA構造および/またはコドンの用法を変更するために変化させた。h4D5 scFvとの融合構築物を、上記のようにそれぞれの新規なリーダーペプチドを用いて調製した。SSS2KPリーダーまたはSSS2mリーダーの融合構築物を保有する2つの独立したクローンを、他の4つの合成的リーダーペプチドに対して試験した(図5)。SSS2KPは、SSS2とほとんど同じく機能し、一方、SSS2mは、4D5 scFvタンパク質を、SSS2Bほど効率的に分泌する(図5において分析される条件下で、SSS2mは、他の合成的シグナル配列よりも、より多くのタンパク質を培養培地中でさらに産生する)。これらの結果は、シグナル配列の翻訳開始および/または翻訳伸長は、分泌の効率において役割を果たすことを示唆する。
【0064】
(合成的リーダーペプチド配列およびそれをコードする好ましいポリヌクレオチド)
【0065】
【化2】
(細菌シグナル配列)
【0066】
【化3】
(*構成を単純化するために、野生型PelB配列−QPAMAを−QPANAに変化させた)
【0067】
【化4】
(実施例3−融合構築物のRNA二次構造の決定)
融合構築物のそれぞれから転写されたmRNAの5’領域の予想される二次構造を、Genequestプログラム(DNASTAR,Inc.からのLaserGeneソフトウェアから)を使用して決定した。AUG開始コドンの5’のmRNA配列は、全ての構築物について同じであり、そしてACCCGTTTTTTGGGCTAACAGGAGGAATTAACC(配列番号22)であった。このRNAの最初の105塩基の配列(5’末端からリーダーペプチドのコード領域を通って)を、RNA二次構造を予測するために使用した。温度パラメータを、37℃に設定し、そしてGU対形成を許可した。表2は、対であるRBSおよびAUGの塩基の数に関する結果およびRBSまたはAUGのどちらがステムループ構造中に埋もれているかを示す。
【0068】
【表1】
(実施例4−ジシストロンmRNA由来の組換えFab’)
組換えヒト免疫グロブリンFab’フラグメントを、構築されたFab’フラグメントの周辺質間隙への分泌を指向するために、合成的リーダーペプチド配列を使用してE.coli中に発現させた。単一のRNA転写産物由来のFab’フラグメントの重鎖および軽鎖の両方を発現し得るジシストロンメッセージをコードするDNA配列を、構築した。ヒト免疫グロブリンκ鎖(Vk1)のためのコード配列を、SSS2B合成的リーダーをコードする配列の下流に、およびこの配列とインフレームで配置した。κ鎖の翻訳終止コドンの3ヌクレオチド後ろに、別の翻訳開始シグナルを、NdeI部位を介して、SSS1Aのシグナルペプチド配列とインフレームで挿入した。重鎖可変領域配列(VH3)を、ヒトCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードする配列に沿って、シグナルペプチドの後ろに連結する。正確な終結を確実にするために、2つの翻訳停止シグナルを、コード領域の末端に含めた。SSS1Aのリーダーペプチドは、アミノ酸配列MAKKNSTLLVAVAALIFMAGRALA(配列番号23)を有し、これは、ヌクレオチド配列ATGGCTAAAAAGAACTCCACCCTGCTCGTTGCAGTAGCTGCGCTGATCTTCATGGCCGGAAGGGCCTTGGCC(配列番号24)によってコードされる。
【0069】
ジシストロンメッセージをコードするDNAを、pBADHis(Invitrogen)のNcoI部位とHinDIII部位との間に挿入してpBAD2B1A−vk1−vh3を形成し、それによりジシストロンメッセージの発現が、araBプロモーターの制御下となった。pBAD2B1A−vk1−vh3のジシストロン部分の概略図を、図6に示す。このプラスミドを、特徴付けおよび発現のためにTOP10 E.coli株へ形質転換した。一晩培養したものをSuperBrith中へ100μg/mLのカルベニシリンで1/100に希釈した。この培養物を、バッフルなしのフラスコ中で225RPMで、OD600が0.5になるまで(2〜3時間)37℃で増殖させた。この時点で、アラビノースを、最終濃度が0.01%になるように添加し、温度を30℃まで低下させ、そしてこの培養物をさらに3時間、振盪しながらインキュベートした。誘導後、細菌ペレットを遠心分離によって収集し、そしてタンパク質を実施例2に記載されるように抽出した。構築されたFab’(これは、標的抗原に結合し得る)を、約1mg/l/ODの収率で単離した。
【0070】
本明細書中で言及されるすべての刊行物および特許出願は、まるで個々の刊行物または特許出願が詳細に、および個々に参考として援用されて示されるのと同じ程度に、参考として本明細書中に援用される。
【0071】
ここで本発明を十分に記載してきたが、多くの変更および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、スクロース抽出物、細胞培地(「ブロス」)および細胞ペレット由来のタンパク質サンプルの染色したポリアクリルアミドゲルを示す。リーダーペプチドh4D5 scFv融合物を含む細菌株TOP10の10mlの培養物を、4時間増殖させ、アラビノース(0.01%)で誘導し、そして誘導後、5時間で回収した。10μl、36μlおよび5μlのサンプルを、スクロース抽出物、ブロスおよび細胞ペレットにそれぞれロードした。kDaのサイズマーカー(M)の分子量を、ゲルの左側に示し、そしてプロセスされていない4D5 scFvおよびプロセスされた成熟タンパク質の予想される位置を、ゲルの右側に、それぞれ、閉矢印および開矢印によって示す(kDaの予想される分子量もまた、示す)。scFvを分泌するために使用される合成リーダーペプチドは、各レーンの上部に標識した。1A,1B、2および2Bは、それぞれ、合成リーダーペプチドSSS1A、SSS1B、SSS2およびSSS2Bに対応する。
【図2】
図2は、図1のゲルから染色されたh4D5 scFvバンドの相対的強度のグラフを示す。
【図3】
図3は、天然に存在するStIIリーダーペプチドとの融合物を含む、種々のリーダーペプチドh4D5 scFv融合物で形質転換された最近から得られたタンパク質サンプルのPAGE後の染色されたh4D5 scFvの相対的強度の棒グラフを示す。スクロース抽出物および培養培地(「ブロス」)から得られたタンパク質サンプルを、別のグラフに示す。融合構築物で形質転換されたTOP10の10mlの培養物を、3.74時間増殖させ、アラビノース(0.01%)で誘導し、そして誘導後4.5時間で回収した。10μlおよび34μlのサンプルを、それぞれ、TCA沈殿されたスクロース抽出物およびブロスサンプルにロードした。SSS1A、SSS1BおよびSSS2の2つの異なるクローン(1および2と標識される)を、染色されたタンパク質ゲルから分析した。
【図4】
図4は、天然に存在するOmpAリーダーペプチドおよびPelBリーダーペプチドと融合物を含む、種々のリーダーペプチドh4D5scFv融合物で形質転換された細菌から得られたタンパク質サンプルのPAGE後に染色されたh4D5 scFvバンドの相対的強度のグラフを示す。スクロース抽出物および培養培地(「ブロス」)から得られたタンパク質サンプルを、別々のグラフに示す。10mlの培養物を、4時間増殖させ、アラビノース(0.01%)で誘導し、そして誘導後、5時間で回収した。10μlおよび34μlのサンプルを、それぞれ、TCA沈殿したスクロース抽出物およびブロスサンプルにロードした。OmpA、PelBおよびSSS2Bの2つの異なるクローン(1および2)を試験した。
【図5】
図5は、種々のリーダーペプチドh4D5scFv融合物で形質転換された細菌から得られたタンパク質サンプルのPAGE後に、染色されたh4D5scFvバンドの相対的強度のグラフを示す。スクロース抽出物および培養培地(「ブロス」)から得られたタンパク質サンプルを、別々のグラフに示す。10mlの培養物を、3.75時間増殖させ、アラビノース(0.01%)で誘導し、そして誘導後、5時間で回収した。20μlおよび36μlのサンプルを、それぞれ、TCA沈殿したスクロース抽出物およびブロスサンプルにロードした。SSSKPおよびSSS2mの2つの異なるクローン(1および2)を試験した。
【図6】
図6は、プラスミドpBAD2B1A−vk1−vh3のジシストロン部分の概略図である。2Bは、SSS2Bリーダーペプチドを示し、1A’は、SSS1A’リーダーペプチドを示す。シストロン間領域のヌクレオチド配列を示す。
Claims (29)
- 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
第1のリーダーペプチドについてのコード領域を含む第1のヌクレオチド配列であって、ここで該第1のリーダーペプチドが、以下:
(1)N末端に近い、正に帯電した2つ以上のアミノ酸、
(2)7個と16個との間の連続した疎水性アミノ酸残基の、領域、および
(3)C末端における、配列Z−X−Zであって、ここで各Zが個々に、小さい側鎖を有するアミノ酸であり、Xが遺伝子にコードされた任意のアミノ酸である配列;
を含む、第1のヌクレオチド配列、ならびに
第1のリボソーム結合部位を含む第2のヌクレオチド配列であって、ここで該第2のヌクレオチド配列が、該第1のヌクレオチド配列の5’であって、ここで該第1のリボソーム結合部位が、該第1のリーダーペプチドについての該コード領域に作動可能に結合し、そして該ポリヌクレオチドがRNAであるかまたはRNAに転写される場合、該第1のリボソーム結合部位が、アクセス可能である、第2のヌクレオチド配列
を含む、単離されたポリヌクレオチド。 - 請求項1に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第1のリーダーペプチドが、αヘリックス崩壊因子として機能するアミノ酸をさらに含み、ここで該αヘリックス崩壊因子のアミノ酸が、前記連続した疎水性アミノ酸残基の領域と前記Z−X−Z配列との間に位置する、ポリヌクレオチド。
- 請求項1または2に記載のポリヌクレオチドであって、第1の組換えタンパク質についてのコード領域を含む第3のヌクレオチド配列をさらに含み、ここで該第3のヌクレオチド配列が前記第1のヌクレオチド配列の3’であり、そして該第1の組換えタンパク質に結合した前記第1のリーダーペプチドを含む第1の融合ポリペプチドがコードされるような様式で、該第3のヌクレオチド配列が該第1のヌクレオチド配列に作動可能に結合する、ポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第1の組換えタンパク質が、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、免疫グロブリン、インスリン、または免疫付着因子である、ポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第1の組換えタンパク質が、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖フラグメント、免疫グロブリン重鎖フラグメント、またはscFvである、ポリヌクレオチド。
- 第4および第5のヌクレオチド配列をさらに含む請求項3に記載のポリヌクレオチドであって、ここで該第4のヌクレオチド配列が、前記第3のヌクレオチド配列の3’であって、該第5のヌクレオチド配列が、該第4のヌクレオチド配列の3’であって、ここで該第4のヌクレオチド配列が、第2のリーダーペプチドについてのコード領域を含み、ここで該第2のリーダーペプチドが、以下:(1)N末端に近い、正に帯電した2つ以上のアミノ酸、(2)7個と16個の間の連続した疎水性アミノ酸残基の、領域、および(3)C末端における、配列Z−X−Zであって、ここで各Zが個々に、小さい側鎖を有するアミノ酸であり、Xが遺伝子にコードされた任意のアミノ酸である配列
を含み、そして該第5のヌクレオチド配列が第2の組換えタンパク質についてのコード領域を含み、ここで該第2の組換えタンパク質に結合した該第2のリーダーペプチドを含む第2の融合ポリペプチドがコードされるような様式で、該第4のヌクレオチド配列が、該第5のヌクレオチド配列に作動可能に結合し、ここで該第2のリーダーペプチドについてのコード領域が1個と30個の間のヌクレオチドによって、該第1の組換えタンパク質についてのコード領域から分離され、
そして該ポリヌクレオチドがRNAであるかまたはRNAに転写される場合、該第1のリボソーム結合部位が、アクセス可能である、ポリヌクレオチド。 - 請求項6に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第2のリーダーペプチドがさらに、αヘリックス崩壊因子として機能するアミノ酸を含み、ここで該αヘリックス崩壊因子のアミノ酸が、前記連続した疎水性アミノ酸残基領域と前記Z−X−Z配列との間に位置する、ポリヌクレオチド。
- 請求項6に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第1の組換えタンパク質および前記第2の組換えタンパク質が、多量体タンパク質のポリペプチドサブユニットである、ポリヌクレオチド。
- 請求項6に記載のポリヌクレオチドであって、ここで前記第1の組換えタンパク質および前記第2の組換えタンパク質が、以下:免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖フラグメントまたは免疫グロブリン重鎖フラグメントからなる群から個々に選択される、ポリヌクレオチド。
- 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
アミノ酸配列M−Xn−(K/R)−(K/R)−Jm−P−Xp−Z−X−Zを有する第1のリーダーペプチドについてのコード領域を含む第1のヌクレオチド配列であって、ここでMは、メチオニンであり、Kは、リジンであり、Rは、アルギニンであり、(K/R)は、リジンまたはアルギニンのいずれかを表し、Pは、プロリンであり、各Xは個々に、遺伝子にコードされた任意のアミノ酸であり、各Jは個々に、以下:アラニン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、トレオニン、イソロイシン、セリン、グルタミン、アスパラギン、メチオニンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸であり、各Zは個々に、以下:アラニン、セリン、グリシン、バリンおよびトレオニンからなる群から選択されるアミノ酸であり、nは、1〜2の整数であり、pは、0〜2の整数であり、そしてmは、7〜16の整数である、第1のヌクレオチド配列;ならびに
第1のリボソーム結合部位を含む第2のヌクレオチド配列であって、ここで該第2のヌクレオチド配列が、該第1のヌクレオチド配列の5’であって、ここで該第1のリボソーム結合部位が、該第1のリーダーペプチドについての前記コード領域に作動可能に結合し、そして該ポリヌクレオチドがRNAであるかまたはRNAに転写される場合、該第1のリボソーム結合部位が、アクセス可能である、第2のヌクレオチド配列
を含む、ポリヌクレオチド。 - 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
第1のリーダーペプチドについてのコード領域含む第1のヌクレオチド配列であって、ここで該第1のリーダーペプチドが、以下:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4および配列番号23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、第1のヌクレオチド配列;ならびに
第1のリボソーム結合部位を含む第2のヌクレオチド配列であって、ここで該第2のヌクレオチド配列が、該第1のヌクレオチド配列の5’であって、ここで該第1のリボソーム結合部位が、該第1のリーダーペプチドについての該コード領域に作動可能に結合し、そして該ポリヌクレオチドがRNAであるかまたはRNAに転写される場合、該第1のリボソーム結合部位が、アクセス可能である、第2のヌクレオチド配列
を含む、単離されたポリヌクレオチド。 - 請求項10または11に記載のポリヌクレオチドであって、第1の組換えタンパク質についてのコード領域を含む第3のヌクレオチド配列をさらに含み、ここで該第3のヌクレオチド配列が前記第1のヌクレオチド配列の3’であり、そして該第1の組換えタンパク質に結合した前記第1のリーダーペプチドを含む第1の融合ポリペプチドがコードされるような様式で、該第3のヌクレオチド配列が該第1のヌクレオチド配列に作動可能に結合する、ポリヌクレオチド。
- 請求項11に記載のポリヌクレオチドであって、以下:配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
- 請求項1に記載のポリヌクレオチドおよびプロモーターを含む発現ベクターであり、ここで該プロモーターは前記第2のヌクレオチド配列の5’に位置し、かつ該プロモーターは該第2のヌクレオチド配列に作動可能に結合し、そのことによって前記第1のヌクレオチド配列の転写が該プロモーターによって制御される、発現ベクター。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドおよびプロモーターを含む発現ベクターであり、ここで該プロモーターは前記第2のヌクレオチド配列の5’に位置し、かつ該プロモーターは該第2のヌクレオチド配列に作動可能に結合し、そのことによって前記第1のヌクレオチド配列および前記第3のヌクレオチド配列の転写が該プロモーターによって制御されて、前記第1の融合ポリペプチドをコードするmRNAの産生が生じる、発現ベクター。
- 請求項6に記載のポリヌクレオチドおよびプロモーターを含む発現ベクターであり、ここで該プロモーターは前記第2のヌクレオチド配列の5’に位置し、かつ該プロモーターは該第2のヌクレオチド配列に作動可能に結合し、そのことによって前記第1のヌクレオチド配列および前記第3のヌクレオチド配列および前記第4のヌクレオチド配列および前記第5のヌクレオチド配列の転写が該プロモーターによって制御されて、前記第1の融合ポリペプチドおよび前記第2の融合ポリペプチドをコードするmRNAの産生が生じる、発現ベクター。
- 請求項16に記載の発現ベクターであって、ここで前記第1の組換えタンパク質および前記第2の組換えタンパク質が、多量体タンパク質のポリペプチドサブユニットである、発現ベクター。
- 請求項16に記載の発現ベクターであって、ここで前記第1の組換えタンパク質および前記第2の組換えタンパク質が、以下:免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖フラグメントまたは免疫グロブリン重鎖フラグメントからなる群から個々に選択される、発現ベクター。
- 請求項14に記載の発現ベクターであって、ここで前記プロモーターが、細菌性プロモーターである、発現ベクター。
- 請求項19に記載の発現ベクターであって、ここで前記プロモーターが、以下:lacプロモーター、trpプロモーター、araプロモーター、β−ラクタマーゼプロモーターおよびλ PLプロモーターからなる群から選択される、発現ベクター。
- 宿主細胞において組換えタンパク質を産生する方法であって、以下:
請求項15に記載の発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する工程であって、ここで前記プロモーターが、該宿主細胞中で機能性である、工程、
前記第1の融合ポリペプチドが発現しかつ該宿主細胞から分泌されるような条件下で、該宿主細胞を培養する工程、および
前記第1の組換えタンパク質を単離する工程
を包含する、方法。 - 請求項21に記載の方法であって、ここで前記宿主細胞が細菌細胞である、方法。
- 宿主細胞において組換えタンパク質を産生する方法であって、以下:
請求項16に記載の発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する工程であって、ここで前記プロモーターが、該宿主細胞中で機能性である、工程、
前記第1の融合ポリペプチドおよび前記第2の融合ポリペプチドが発現しかつ該宿主細胞から分泌されるような条件下で、該宿主細胞を培養する工程、ならびに
前記第1の組換えタンパク質および前記第2の組換えタンパク質を単離する工程
を包含する、方法。 - 請求項23に記載の方法であって、ここで前記宿主細胞が細菌細胞である、方法。
- 融合ポリペプチドであって、以下:
組換えタンパク質に結合したリーダーペプチドを含み、該リーダーペプチドのカルボキシ末端が、該組換えタンパク質のアミノ末端に結合し、ここで該リーダーペプチドが、以下:(1)N末端に近い、正に帯電した2つ以上のアミノ酸、(2)7個と16個との間の連続した疎水性アミノ酸残基の、領域、および(3)C末端における、配列Z−X−Zであって、ここで各Zが個々に、小さい側鎖を有するアミノ酸であり、Xが遺伝子にコードされた任意のアミノ酸である配列を含むリーダーペプチドである、融合ポリペプチド。 - 請求項25に記載の融合ポリペプチドであって、ここで前記リーダーペプチドが、αヘリックス崩壊因子として機能するアミノ酸をさらに含み、ここで該αヘリックス崩壊因子のアミノ酸が、前記連続した疎水性アミノ酸残基の領域と前記Z−X−Z配列との間に位置する、ポリペプチド。
- 請求項25に記載の融合ポリペプチドであって、ここで前記リーダーペプチドが、以下:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4および配列番号23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、融合ポリペプチド。
- 融合ポリペプチドの分泌を促進するために融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを設計する方法であって、以下:
(a)リーダーペプチドについてのコード領域を含む第1のヌクレオチド配列を選択する工程であって、ここで該リーダーペプチドが、以下:
(1)N末端に近い、正に帯電した2つ以上のアミノ酸、
(2)7個と16個との間の連続した疎水性アミノ酸残基の、領域、および
(3)C末端における、配列Z−X−Zであって、ここで各Zが個々に、小さい側鎖を有するアミノ酸であり、Xが遺伝子にコードされた任意のアミノ酸である配列
を含む、工程;
(b)リボソーム結合部位を含む第2のヌクレオチド配列を選択する工程であって、ここで該第2のヌクレオチド配列は、該第1のヌクレオチド配列の5’であるように該第1のヌクレオチド配列に結合し、ここで該結合した第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列が、RNAであるかまたはRNAに転写される場合、該リボソーム結合部位はアクセス可能である、工程;
(c)組換えタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を選択する工程であって、ここで該組換えタンパク質に結合した該リーダーペプチドを含む融合ポリペプチドがコードされるような様式で、該第3のヌクレオチド配列が、該第1のヌクレオチド配列に結合する、工程;ならびに
(d)該選択された第1、第2および第3のヌクレオチド配列を1つのポリヌクレオチドに構築する工程
を包含する、方法。 - 請求項28に記載の方法であって、ここで前記リーダーペプチドが、αヘリックス崩壊因子として機能するアミノ酸をさらに含み、ここで該αヘリックス崩壊因子のアミノ酸が、前記連続した疎水性アミノ酸残基の領域と前記Z−X−Z配列との間に位置する、方法。
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