JPWO2005112951A1 - 抗腫瘍剤、抗腫瘍剤の製造方法、抗腫瘍剤を含む医薬組成物、及び抗腫瘍剤産生菌 - Google Patents

抗腫瘍剤、抗腫瘍剤の製造方法、抗腫瘍剤を含む医薬組成物、及び抗腫瘍剤産生菌 Download PDF

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Abstract

ガン細胞にのみ作用する選択作用性の強化、副作用の軽減、薬剤耐性の克服などを達成し、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤等を提供することを目的とする。本発明は、下記一般式で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤である。【化12】ただし、前記一般式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。

Description

本発明は、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞等の腫瘍細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤、該抗腫瘍剤の効率的な製造方法、該抗腫瘍剤を含む医薬組成物、及び前記抗腫瘍剤を産生する新規な抗腫瘍剤産生菌に関する。
ガン等の腫瘍の化学療法においては、従来より各種の抗腫瘍剤がスクリーニングされ(例えば、特許文献1〜4参照)、その中でも、ガン細胞にのみ作用する選択的作用性があり、副作用の少ないものが使用されてきている。ところで、前記化学療法においては、ガン等の腫瘍細胞が薬剤耐性を獲得し、今まで使用していた抗腫瘍剤が効かなくなるという薬剤耐性の発現が大きな問題となっている。このため、前記薬剤耐性が発現する度に、新規な抗腫瘍剤を更に探索し、スクリーニングすることが必要となる。
しかし、新規な抗腫瘍剤を探索し、スクリーニングすることは容易ではない一方、該新規な抗腫瘍剤の開発が遅れれば、ガン等の腫瘍の化学療法に重大な支障をきたすという問題がある。
そこで、前記ガン細胞にのみ作用する選択作用性の強化、前記副作用の軽減、前記薬剤耐性の克服などを達成した新規な抗腫瘍剤、その効率的な製造方法、その産生菌、それを含む医薬組成物の開発が求められているのが現状である。
特開平8−143569号公報 特開平8−239379号公報 特開平9−249647号公報 特開平11−21263号公報
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ガン細胞にのみ作用する選択作用性の強化、副作用の軽減、薬剤耐性の克服などを達成し、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤、その効率的な製造方法、その産生菌、及びそれを含む医薬組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、前記ガン細胞が薬剤耐性を獲得する過程では、Bcl−2やBcl−XL等のアポトーシス抑制タンパク質が作用しており、これらのアポトーシス抑制タンパク質を標的とし、これらのアポトーシス抑制タンパク質に対し活性を有する化合物が新規な抗腫瘍剤として有効である。そして、本発明者らが分離したストレプトミセス・エスピーML694−90F3株を培養し、その培養物から分離した特定化合物(「ML694−90F3物質」と命名した)が、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有し、抗腫瘍剤として有効であるという知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤である。
ただし、前記一般式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
<2> 下記構造式(1)で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤である。
<3> 誘導体が、無機酸塩及び有機酸塩のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗腫瘍剤である。
<4> 下記構造式(A)で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗腫瘍剤の産生能を有し、よく分枝した基生菌糸より、比較的長い気菌糸を伸長し、その先端は、かぎ状、ループ状又は緩く巻いたらせんを形成し、卵円形〜円筒形の胞子を連鎖し、各種培地で、薄黄〜にぶ黄の発育上に黄味白〜明るい灰の気菌糸を着生し、可溶性色素は、認められないか又は黄色味を帯び、細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸がLL−型であり、16S rRNA遺伝子の部分塩基配列がストレプトミセス属放線菌と高い相同性を示す、という菌学的性質を有することを特徴とする抗腫瘍剤産生菌である。
<6> ストレプトミセス属である前記<5>に記載の抗腫瘍剤産生菌である。
<7> ストレプトミセス・エスピーである前記<6>に記載の抗腫瘍剤産生菌である。
<8> 受託番号FERM P−19631である前記<5>から<7>のいずれかに記載の抗腫瘍剤産生菌である。
<9> 前記<5>から<8>のいずれかに記載の抗腫瘍剤産生菌を培養し、その培養物から前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗腫瘍剤を分離することを特徴とする抗腫瘍剤の製造方法である。
<10> 培養が、液体振とう培養である前記<9>に記載の抗腫瘍剤の製造方法である。
<11> 液体振とう培養の培養液を遠心分離し、沈殿物を濃縮後、遠心液液分配クロマトグラフィーにて精製し、酸を用いて処理して抗腫瘍剤を培養物から分離する前記<10>に記載の抗腫瘍剤の製造方法である。
<12> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗腫瘍剤を含むことを特徴とする医薬組成物である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、ガン細胞にのみ作用する選択作用性の強化、副作用の軽減、薬剤耐性の克服などを達成し、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤、その効率的な製造方法、その産生菌、及びそれを含む医薬組成物を提供することができる。
図1は、ML694−90F3物質のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルのチャートである。 図2は、ML694−90F3物質のメタノール中での紫外線吸収スペクトルのチャートである。 図3は、ML694−90F3物質の重メタノール中で室温にて測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 図4は、ML694−90F3物質の重メタノール中で室温にて測定した125MHzにおける炭素13NMRスペクトルのチャートである。
(抗腫瘍剤)
本発明の抗腫瘍剤は、下記一般式で表される化合物及びその誘導体のいずれかである。
ただし、前記一般式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、などが挙げられるが、これらの中でもメチル基が特に好ましい。前記一般式における複数のRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、窒素原子に結合していないRが全てメチル基であるのが好ましい。なお、窒素原子に結合する2つのRの内、分子末端に結合した酸素原子含有ヘテロ六員環に結合した窒素原子に結合するRとしては、メチル基又は水素原子であるのが好ましい。
なお、前記一般式を構成する下記構造式(A)で表される化合物も抗腫瘍活性を示すため、前記抗腫瘍剤として使用することができる。
前記一般式で表される抗腫瘍剤の中でも、下記構造式(1)〜(4)で表される化合物及びその誘導体がより好ましく、これらの中でも、下記構造式(1)で表される化合物及びその誘導体が特に好ましい。
前記構造式(1)で表される化合物は、本発明者らが分離した新規化合物であり、以下、「ML694−90F3物質」と称することがある。該ML694−90F3物質においては、分子内にメチルアミノ基を2個有している。
前記構造式(1)で表される化合物、即ち前記ML694−90F3物質の物理化学的性状としては、次の通りである。即ち、
(1) 外観は、淡黄色パウダー状である。
(2) 融点は、122〜125℃である。
(3) 分子式は、C4263で表される。
(4) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード)による、実験値は、m/z 738.4680(M+H) であり、計算値は、m/z 738.4693(C4264として) である。
(5) 比旋光度は、[α] 23=−655°(c0.2,メタノール)、である。
(6) 赤外線吸収スペクトルは、図1に示す通りである。
(7) 紫外線吸収スペクトルは、図2に示す通りである。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトルとして、500MHzにおいて重メタノール中で室温にて測定したプロトンNMRスペクトルは、図3に示す通りである。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトルとして、125MHzにおいて重メタノール中で室温にて測定した炭素13NMRスペクトルは、図4に示す通りである。
(10) 薄層クロマトグラフィーとして、シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグラフィーでは、展開溶媒としてクロロホルム:メタノール:水(4:1:0.1、容量比)を用いて展開したときのRf値は、0.26である。
化合物が、前記一般式又は前記構造式(1)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができるが、例えば、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトル、前記赤外部吸収スペクトル、前記マススペクトル等の分析を行うことにより、確認することができる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、製剤学的に許容し得るものであるのが好ましく、例えば、前記一般式又は前記構造式(1)で表される化合物の塩などが好適に挙げられる。前記塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
前記無機塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。
前記有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、などの有機酸の酸付加塩が挙げられる。
前記無機酸塩、前記有機酸塩などの酸付加塩は、前記一般式又は前記構造式(1)で表される化合物に酸を付加することにより得られる。
本発明の抗腫瘍剤は、前記一般式で表される化合物及びその前記誘導体、その中でも好ましくは、前記構造式(1)で表される化合物、即ちML694−90F3物質及びその前記誘導体であり、該抗腫瘍剤は、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞などの腫瘍細胞に細胞死を誘導する活性を有する。このため、本発明の抗腫瘍剤は、後述する本発明の医薬組成物等に好適に使用することができる。
本発明の抗腫瘍剤は、後述する本発明の抗腫瘍剤産生菌を用いた本発明の抗腫瘍剤の製造方法により好適に製造することができる。
(抗腫瘍剤産生菌)
本発明の抗腫瘍剤産生菌としては、本発明の前記抗腫瘍剤の産生能を有すること以外は、特に制限はなく、適宜選択することができるが、よく分枝した基生菌糸より、比較的長い気菌糸を伸長し、その先端は、かぎ状、ループ状又は緩く巻いたらせんを形成し、卵円形〜円筒形の胞子を連鎖し、各種培地で、薄黄〜にぶ黄の発育上に黄味白〜明るい灰の気菌糸を着生し、可溶性色素は、認められないか又は黄色味を帯び、細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸がLL−型であり、16S rRNA遺伝子の部分塩基配列がストレプトミセス属放線菌と高い相同性を示す、という菌学的性質を有するものが好ましく、ストレプトミセス属がより好ましく、該ストレプトミセス属の中でも、ストレプトミセス・エスピーがより好ましく、静岡県伊東市の土壌より、平成13年9月に微生物化学研究所(現微生物化学研究センター)において分離された放線菌、ML694−90F3株、が特に好ましい。
なお、該ML694−90F3株は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託申請され、平成16年1月8日に、受託番号:FERM P−19631として受託されている。
ここで、前記ML694−90F3株の菌学的性質を詳述すると、以下の通りである。即ち、
(1)形態: 分枝した基生菌糸より、比較的長い気菌糸を伸長し、その先端は、かぎ状、ループ状又は緩く巻いたらせんを形成する。成熟した胞子鎖は、10〜50個の卵円形〜円筒形の胞子を連鎖する。胞子の大きさは、約0.5〜0.6×0.8〜0.9μmで、胞子の表面は平滑である。輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は、認められない。
(2) 各種培地における生育状態: 以下の色の記載について、かっこ内に示す標準は、コンテイナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモニー・マニュアルを用いた。
1)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃培養)
にぶ黄〜明るい茶の発育上に、黄味白〜薄黄の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
2)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培養)
うす黄〜にぶ黄の発育上に、明るい灰の気菌糸を着生し、可溶性色素はかすかに黄色味を帯びる。
3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃培養)
うす黄の発育上に、黄味白〜明るい灰の気菌糸を着生し、可溶性色素は認められない。
4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、27℃培養)
にぶ黄〜明るい茶の発育上に、黄味白の気菌糸をわずかに着生し、可溶性色素は黄色味を帯びる。
5)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養)
薄黄の発育上に、明るい灰の気菌糸をうっすらと着生し、可溶性色素は認められない。
(3)生理的性質
1)生育温度範囲
イースト・スターチ寒天培地(溶性デンプン1.0重量%、イーストエキス0.2重量%、ひも寒天2.4重量%、pH7.0)を用い、l0℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃及び45℃の各温度で試験した結果、10℃、37℃及び45℃での生育は認められず、20℃〜30℃で生育した。生育至適温度は、27℃付近である。
2)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、ISP−培地4、27℃培養)
培養後18日目頃より、僅かにスターチの加水分解が認められたが、その作用は弱い。
(4) 菌体成分: 細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型である。
(5) 16S rRNA遺伝子解析: 16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(458bp)を決定し、DNAデータベースに登録された公知菌株のデータと比較すると、前記ML694−90F3株の塩基配列は、ストレプトミセス(Streptomyces)属放線菌の16S rRNA遺伝子と高い相同性を示す。
以上より、前記ML694−90F3株は、ストレプトミセス(Streptomyces)属であり、本発明では、ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)ML694−90F3と称することがある。
なお、本発明においては、前記抗腫瘍剤産生菌は、前記ストレプトミセス・エスピーML694−90F3株などの菌株そのものであってもよいし、これらに対し、放射線照射その他の変異処理、遺伝子組換処理などを行って、前記ML694−90F3物質産生能を向上させた菌株であってもよい。
本発明の抗腫瘍剤産生菌は、本発明の前記抗腫瘍剤の製造に好適に使用することができ、後述する本発明の抗腫瘍剤の製造方法に好適に製造することができる。
(抗腫瘍剤の製造方法)
本発明の抗腫瘍剤の製造方法においては、前記抗腫瘍剤産生菌を培養し、その培養物から前記抗腫瘍剤を分離することを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理を含む。
前記培養は、本発明の前記抗腫瘍剤産生菌(好ましくは前記ML694−90F3物質産生菌、より好ましくはストレプトミセス・エスピーML694−90F3株)を用いて行うことができ、培養の条件(例えば、栄養培地、温度、接種菌、日数等)、方式、などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記抗腫瘍剤産生菌は、独立行政法人産業技術総合研究所から受託番号:FERM P−19631の菌株の分与を受けて入手してもよいし、あるいは、自然界から常法によって分離することにより入手してもよい。
前記栄養培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の放線菌培養培地、細菌(バクテリア)培養培地、などが挙げられる。前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素原、炭素原、無機塩類、微量金属、などが挙げられる。
前記窒素源としては、例えば、市販されているペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、コーン・グルテン・ミールコットン・シード・ミール、トーストソーヤ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素原としては、例えば、グリセロール、デンプン、グルコース、ガラクトース、デキストリン、コーンスターチ、マルトース等の炭水化物、脂肪、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機塩類としては、例えば、食塩、炭酸カルシウム、などが挙げられる。
前記微量金属としては、例えば、マンガン、などが挙げられる。
前記温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、放線菌の至適温度程度であり、25〜30℃が好ましく、27℃付近が特に好ましい。
前記接種菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ML694−90F3株の斜面(スラント)培養物、液体浸とう培養物、などが好適に挙げられる。なお、前記接種菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記日数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、3〜4日程度で前記抗腫瘍剤産生菌が十分な量に増殖し、前記抗腫瘍剤が十分な量産生される。なお、前記抗腫瘍剤が十分な量産生されたかについては、前記抗腫瘍剤産生菌の培養液中の前記抗腫瘍剤(前記L694−90F3物質)の力価の経時変化を測定することにより、判断することができる。そして、該抗腫瘍剤(ML694−90F3物質)の力価の経時変化は、例えば、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞、Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に与える細胞毒性を評価することにより測定することができる。
前記方式としては、例えば、好気培養、嫌気培養のいずれであってもよいが、前記好気培養が好ましく、また、斜面(スラント)培養、平板(プレート)培養などの固体(寒天)培養や、液体培養のいずれであってもよいが、前記液体培養が好ましく、該液体培養としては、振とう培養、静置培養、攪拌培養のいずれであってもよいが、振とう培養が好ましく、回転振とう培養がより好ましい。なお、大量培養を行う場合には、発酵槽等を用いて培養を行ってもよい。
前記培養物からの前記抗腫瘍剤の分離は、微生物による代謝物産物の公知の分取法の中から適宜選択した方法により行うことができ、例えば、前記抗腫瘍剤が前記抗腫瘍剤産生菌の菌体外に放出される場合には、該抗腫瘍剤産生菌の培養液から前記抗腫瘍剤産生菌を分離・除去した後、該培養液中に存在する前記抗腫瘍剤を分取することができ、また、前記抗腫瘍剤が前記抗腫瘍剤産生菌の菌体内に蓄積される場合には、該抗腫瘍剤産生菌の培養液から前記抗腫瘍剤産生菌を分離した後、該抗腫瘍剤産生菌の菌体を破砕等してから、前記抗腫瘍剤を分取することができるが、これらの中でも、液体振とう培養の培養液を遠心分離し、沈殿物を濃縮後、遠心液液分配クロマトグラフィーにて精製し、酸を用いて処理することにより行うのが好ましい。
前記抗腫瘍剤の分取の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒を用いた溶剤抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用した吸着分離法、ゲル濾過、向流分配を利用したクロマトグラフィー法、などが挙げられる。これらは、単独で利用してもよいし、2以上を併用してもよい。
なお、前記遠心分離は、公知の遠心分離機を用いて適宜選択した遠心条件にて行うことができる。前記酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該酸を用いて処理を行う場合、前記酸の添加を止める目安としては、添加した液のpHが3程度であるのが好ましい。
以上により分取した前記抗腫瘍剤は、通常、前記ML694−90F3物質や、これに極めて構造の類似した数種の化合物群を含む混合物であることが多い。本発明においては、前記抗腫瘍剤を混合物のまま使用してもよいし、該混合物から前記ML694−90F3物質を更に分離して使用してもよい。
なお、以上により分取したものが、前記抗腫瘍剤であることの同定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、NMR、質量分析(MS)、などの分析方法により行うことができる。
前記培養物からの前記抗腫瘍剤の分離の一具体例としては、前記抗腫瘍剤産生菌(前記ML694−90F3物質産生菌)の培養物(液)を塩基性条件下で一晩氷室に保存した後、遠心分離によって上清と沈殿物とに分離させる。そして、該沈殿物をメタノールで抽出した後、濃縮乾固し、得られた油状の残渣を遠心液液分配クロマトグラフィー(溶媒系:クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比))にかけ、前記抗腫瘍剤(前記ML694−90F3物質)を含む1次精製オイルを得る。次に、当該1次精製オイル中の前記抗腫瘍剤(前記ML694−90F3物質)に塩酸を添加し、中和反応させることにより、前記抗腫瘍剤(前記ML694−90F3物質)の塩酸塩を生成させ、これを含む反応液をそのまま遠心液液分配クロマトグラフィー(溶媒系:クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比))にかけ、目的の前記抗腫瘍剤(前記ML694−90F3物質)の塩酸塩を純品として得ることができる。
本発明の前記抗腫瘍剤産生菌を用いた本発明の前記抗腫瘍剤の製造方法により製造した本発明の前記抗腫瘍剤は、そのまま使用してもよいし、これを含む本発明の医薬組成物とて使用してもよい。
(医薬組成物)
本発明の医薬組成物は、前記抗腫瘍剤を含むこと以外には、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択したその他の成分を含有してなる。
前記医薬組成物の薬型としては、特に制限はなく、粉末薬、カプセル薬、錠剤薬、座薬、液状薬、などが挙げられる。
前記その他の成分としては、製薬学的に許容できる常用の固体又は液状担体、例えば、エタノール、水、デンプン、などが好適に挙げられる。
前記医薬組成物は、抗腫瘍剤として好適に使用することができ、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤として特に好適に使用することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−抗腫瘍剤(ML694−90F3物質)の製造−
ストレプトミセス・エスピーML694−90F3株(受託番号:FERM P−19631)を前記抗腫瘍剤産生菌として用い、これを寒天斜面(スラント)培地で培養し、接種菌とした。
コットン・シード・ミール1.0重量%、グルコース2.0重量%、グリセロール2.0重量%、塩化ナトリウム0.5重量%、塩化マンガン0.0005重量%、炭酸カルシウム0.32重量%、及びトーストソーヤ1.2重量%を含む液体培養培地(pH7.4)を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注し、常法により120℃、20分間滅菌処理したものに、前記接種菌を接種し、27℃で5日間回転振とう培養を行った。
こうして得られた培養液を、水酸化ナトリウムでpH9に調整し、一晩氷室で静置した後、遠心分離によって、上清と沈殿物とに分離した。そして、前記沈殿物に対し、メタノール(300mL)を加え、攪拌し、濾過した後、濃縮し、乾固して、粗製のオイル状物質を得た(収量:397.3mg)。得られたオイル状物質を遠心液液分配クロマトグラフィーにより、クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒を用いて精製し、前記抗腫瘍剤としての前記ML694−90F3物質の1次精製物を得た(収量:96.6mg)。
この1次精製物を、クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒1mlに溶解させた後、この溶液に、pHが3になるまで氷零下において1NのHClを添加して、中和反応を行った。その結果、前記抗腫瘍剤としての前記ML694−90F3物質の塩酸塩が生成した。前記ML694−90F3物質の塩酸塩を含む反応液を、クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒を用いて精製し、前記ML694−90F3物質の塩酸塩の純品5.7mgを淡黄色パウダーとして得た。
(実施例2)
−抗腫瘍剤(ML694−90F3物質)の製造−
ストレプトミセス・エスピーML694−90F3株(受託番号:FERM P−19631)を前記抗腫瘍剤産生菌として用い、これを寒天斜面(スラント)培地で培養し、接種菌とした。
種母培養は、グルコース0.5重量%、グリセロール0.5重量%、グルタミン酸ナトリウム0.15重量%、アジプロン0.5重量%、及び炭酸カルシウム0.1重量%を含む液体培養培地(pH7.4)を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注し、常法により120℃、20分間滅菌処理したものに、前記接種菌を接種し、27℃で3日間回転振とう培養することにより行った。
得られた種母培養液2.5Lを、同上の培地100Lを含む200L容ジャーファメンターに接種し、27℃で3日間回転振とう培養を行った。
こうして得られた培養液を、水酸化ナトリウムでpH9に調整し、一週間氷室で静置した後、吸引ろ過を行った。そして、得られた残渣に対し、クロロホルム−メタノール(1:5)混液(40L)を加え、攪拌し、濾過した後、濃縮し、乾固して、これをクロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒2.4Lに溶解させて分配し、活性物質を含む有機層を800mL得た。
得られた有機層のうち80mLを濃縮、乾固して、得られたオイル状物質を遠心液液分配クロマトグラフィーにより、クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒を用いて精製し、前記抗腫瘍剤としての前記ML694−90F3物質の1次精製物を得た(収量:1.47g)。
この1次精製物を、クロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒の下層に溶解させた後、遠心液液分配クロマトグラフィーにより、クロロホルム:メタノール:5mM塩酸水=5:6:4(容量比)の混合溶媒を用いて精製した。前記ML694−90F3物質を含む画分にクロロホルム:メタノール:水=5:6:4(容量比)の混合溶媒の下層を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8に調整して分配し、前記ML694−90F3物質を含む下層を濃縮、乾固し、前記抗腫瘍剤としての前記ML694−90F3物質のフリー体301mgを得た。
得られた前記フリー体に10mM塩酸を含むメタノール60mLを加えて溶解し、濃縮、乾固することにより、前記抗腫瘍剤としての前記ML694−90F3物質の塩酸塩を得た。収量は323mgであった。
(実施例3)
−抗腫瘍活性の評価−
実施例1で得られた前記ML694−90F3物質の塩酸塩の抗腫瘍剤としての活性を評価するために以下の実験を行った。
(1)ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞、(2)Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するように構築されたヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、(3)Ms−1/Bcl−XL細胞を、それぞれ96ウエルプレートのウエル中にそれぞれ1×10個となるように撒き、更に各ウエル中に、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地 (日水製薬株式会社) を高圧蒸気滅菌したものに、ウシ胎児血清 (FBS)(Bioserum)5重量%、濾過滅菌したKanamycin(Sigma)100mg/mL、Penicillin(Sigma)100units/mL、L(+)−Glutamine(関東化学株式会社)30mg/mLと、高圧蒸気滅菌したNaHCO 10g/Lを加えたものを培地とし、37℃、CO濃度5%のインキュベーター内で培養した。24時間後、前記RPMI1640培地中に、種々の濃度の前記ML694−90F3物質を添加し、37℃で48時間培養を続けた。
前記ML694−90F3物質の細胞毒性は、トリパンブルー排出外試験法を用いた細胞の生存率により評価した。その結果、(1)ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞、(2)Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するように構築されたヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、(3)Ms−1/Bcl−XL細胞において、それぞれ、前記ML694−90F3物質が、100ng/mLの濃度で50%の細胞死を起こすことが認められた。この結果より、前記ML694−90F3物質の塩酸塩が、抗腫瘍剤としての活性を有することを確認した。
本発明の抗腫瘍剤は、ヒト小細胞肺癌Ms−1細胞や、アポトーシス抑制タンパク質Bcl−2又はBcl−XLを過剰に発現するヒト小細胞肺癌Ms−1/Bcl−2細胞、Ms−1/Bcl−XL細胞に細胞死を誘導する活性を有する抗腫瘍剤として好適に使用することができ、本発明の医薬組成物に好適に使用することができる。
本発明の抗腫瘍剤産生菌は、本発明の抗腫瘍剤を産生するのに好適に使用することができる。
本発明の医薬組成物は、抗腫瘍剤として好適に使用することができる。

Claims (11)

  1. 下記一般式で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤。
    ただし、前記一般式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
  2. 下記構造式(1)で表される化合物及びその誘導体のいずれかであることを特徴とする抗腫瘍剤。
  3. 誘導体が、無機酸塩及び有機酸塩のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の抗腫瘍剤の産生能を有し、よく分枝した基生菌糸より、比較的長い気菌糸を伸長し、その先端は、かぎ状、ループ状又は緩く巻いたらせんを形成し、卵円形〜円筒形の胞子を連鎖し、各種培地で、薄黄〜にぶ黄の発育上に黄味白〜明るい灰の気菌糸を着生し、可溶性色素は、認められないか又は黄色味を帯び、細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸がLL−型であり、16S rRNA遺伝子の部分塩基配列がストレプトミセス属放線菌と高い相同性を示す、という菌学的性質を有することを特徴とする抗腫瘍剤産生菌。
  5. ストレプトミセス属である請求項4に記載の抗腫瘍剤産生菌。
  6. ストレプトミセス・エスピーである請求項5に記載の抗腫瘍剤産生菌。
  7. 受託番号FERM P−19631である請求項4から6のいずれかに記載の抗腫瘍剤産生菌。
  8. 請求項4から7のいずれかに記載の抗腫瘍剤産生菌を培養し、その培養物から請求項1から3のいずれかに記載の抗腫瘍剤を分離することを特徴とする抗腫瘍剤の製造方法。
  9. 培養が、液体振とう培養である請求項8に記載の抗腫瘍剤の製造方法。
  10. 液体振とう培養の培養液を遠心分離し、沈殿物を濃縮後、遠心液液分配クロマトグラフィーにて精製し、酸を用いて処理して抗腫瘍剤を分離する請求項9に記載の抗腫瘍剤の製造方法。
  11. 請求項1から3のいずれかに記載の抗腫瘍剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
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