JPWO2005092558A1 - 摩擦圧接による金属板の接合方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

バリの発生を伴わない金属板材の重ね合わせ摩擦圧接接合である。円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている大径部(1)と、その大径部の頂部に、大径部と同軸に、その頂部より直径が短い同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも、接合する一方の板材86)の板厚以下の高さを有する円柱又は半円錐の形状の小径部(3)を有する。接合時は、回転する円柱又は半円錐の小径部を、一方の板材(6)に押し込み、平面状に形成されている大径部(1)の頂部(2)と一方の板材(6)の間に間隙(5)が存在する状態とする。間隙部分(5)より発生するバリを、平面状に形成されている大径部(1)の頂部(2)及び角部(8)により切断しながら金属板材を接合する。

Description

本発明は、摩擦圧接による金属板の接合方法及び装置に関するものである。
摩擦熱を利用する接合方法としては、摩擦圧接及びFriction Stir Welding(F.S.W)などが知られている。これらは、固相接合である。固相接合方法では、隣接する表面との間の相対運動を利用して材料の接合を行なうものである。
摩擦圧接は、従来から行われている溶接方法がもつ問題点を解決する利点を有するものである。例えば、アーク溶接では、溶接部が溶融するため鋳造組織となり、母材強度が低下し、溶接部周辺の熱影響部が軟化しやすく、また、ポロシテイや凝固割れなどの溶接特有の欠陥などが生じやすい。又、この接合方法は、接合部に熱伝導性が低い接着剤が残留し、熱発散性を阻害することなどが指摘されている。
これらの問題点を有しない方法として、摩擦圧接法が開発されている。例えば、摩擦圧接法による各種部品の製造方法がある(特開平11−245055号公報)。また、薄肉の金属製板状の表面に金属製接続部材を摩擦溶接する際にも、摩擦圧接法が利用される(特開2000−334579号公報)。又、棒材やボルトなどのピン状の金属接合部材を金属製板状母材に接合する際には、スタッド溶接が用いられるが、板状母材の肉厚が薄い場合、母材の肉厚より大きい直径を有する接続部材を接合した場合に、表面の接合部位に対応する裏面に溶接後の凝固収縮による小さな窪みを生じたり、有害な熱変形が生じたりする。このような場合に、板状の母材の接合用凸部を形成し、摩擦圧接を行なうことにより、従来問題とされてきた点を解決している。摩擦圧接は、幅広い類似材料及び異種材料を接合する手段にも採用される。鋼等の材料では、類似の鋼材料、ならびにアルミニウムに対して溶接されうるが、鋼をセラミック材料に溶接することは困難とされる。アルミニウムをセラミックと鋼の間に介在させると鋼とセラミックの摩擦圧接が可能となることから、摩擦圧接が、電子写真用ローラーを製造する際に利用される(特開2001−74039号公報)。
接合加工しようとする材料を対向させ、突き合わせた状態とした接合面に、加工しようとしている材料より硬い材料の円柱状回転子(プローブ)を挿入し、回転運動をさせて、対向・接触させた接合面の周囲を加熱溶融させて接合する摩擦撹拌接合法(F.S.W)の開発も行なわれている(特表平7−505090号公報、特開平10−180466号公報、特開2001−138073号公報)。第7図により説明する。
この場合には前記接合面24の部分及びその周辺部分を、円柱状回転子による回転により板材との間で発生する摩擦熱により加熱溶融させ、板材を接合することが特徴である。
この円柱状回転子は、円柱状回転体本体25の先端に、これよりも小径のピン状の摩擦撹拌用プローブ21を一体に突設させたものである。ピンの根もとの部分の肩部に、一方の板材22と他の板材23が接触した状態とし、この回転子本体を自軸回りで回転さ、接合面24に沿って移動する。プローブを板材の対向面の接合面に沿って移動させ、発生する摩擦熱で当該部分を軟化可塑化させる。肩部27が回転移動することによって、肩部7及び摩擦撹拌用プローブ21と板材(22、23)との間で生ずる摩擦力によって、板材23には、円柱状回転子によって生ずる圧縮応力30及び板材22にはピンの回転により生ずる圧縮応力31が生ずる部分が出現する。
確かに、この方法では変形抵抗の異なる異種材料同士を接合する方法であるが、温度ピーク位置や温度制御が難しく、少しでも逸脱すると高融点である異種材料は変形し難くなり、一方低融点である異種材料のみが変形するといったことが生じ、その結果、撹拌が十分行われなくなり、結局、十分な継手が得られないという問題があった。
この方法を用いて、重ね合された2枚の板材を接合することが行われている。この場合には重ね合された部分が接合面となる。上板材28に下板材29を重ね、上板材の接合しようとしている部分の表面から円柱状回転ロッドを回転させながら挿入し、接合しようとしている部分を、摩擦撹拌することによって重ね合された2枚の材料を接合が行われる(特開2003−275876号公報、特開2003−290937号公報、特開2003−305576号公報)。
これらの方法は、前記の摩擦撹拌接合法を踏襲するものである。第8図により説明する。
上板材28の下に下板材29を重ね、その重ねられた部分を接合するものである。この方法も、円柱状回転体20の先端に、円柱状回転子となる小径のピン状の摩擦撹拌用プローブ21を同軸一体に突設させたものを用いる。そして、上板材28にプローブ21の根もと部分の肩部27が接触している状態で、この回転子本体を自軸回りで回転させる。プローブの先端は、上板材28と下板材29の接合面に近いところまで送り込まれる。接合面を直接摩擦溶融する点で前記の方法に近い。発生する摩擦熱で境界部分及び上板材のプローブが食い込んでいる部分を軟化可塑化する。上板材がプローブの肩の部分と接触するまで、摩擦撹拌用プローブ21を差し込み、撹拌領域を広め、接合強度を高めるようにしているものである。この方法は、摩擦撹拌される部分は、プローブの側部を含めて比較的広範囲にわたるので、溶融する範囲も広くなる。バリの発生が多く、接合面は荒れた状態となること、また、摩擦撹拌用プローブの動力を必要以上に大きくなり、所要動力が大きくなり、装置は大掛かりなものとなることを避けることができないなどの問題点を有している。
第9図は、更に摩擦撹拌プローブを下板材にまで食い込ませることにより、撹拌領域を広め、接合強度を高めるようにしているものである。この方法は、摩擦撹拌される21部分は、プローブの側部を含めて比較的広範囲にわたり、溶融させるために、バリの発生が多くなり、接合面は荒れた状態となること、また、摩擦撹拌用プローブの動力を必要以上に大きくなり、所要動力が大きくなり、装置は大掛かりなものとなることを避けることができないなどの問題点を有している。
いずれも、表面にある上板材に対して、十分の深さでかつ肩の部分が接触するまで、小径のピン状の摩擦撹拌用プローブ21を差しこんで、又更に下板材に達する摩擦撹拌プローブを食い込ませることによる前記の問題点が残るものである。
また、表面の加圧摩擦により比較的容易に塑性流動する板素材同士の接合を行う表面摩擦接合装置及び表面摩擦ツールについて提案がなされている(特開2003−290936号公報)。この場合には表面の摩擦接合に限定されるものであり、摩擦面に刻印されている摩擦模様を必要とし、例えば、この模様は渦巻きを描く細い溝から成り、摩擦面を加工素材の表面に圧迫接触させつつ回転シャフトの回転軸回りに回転させると、塑性流動化した材料が渦巻き状の摩擦模様の影響を受け、摩擦面の中心に向かって移動することになり、接合面での加工素材の一体化が進行するというものである(0016の部分)。この場合には塑性流動化による材料の移動を行うものであるから、接合面の相の乱れが大きく、接合という面から見ると十分な接合状態を期待できないものと考えられる。
本発明者らは、従来の摩擦撹拌接合法や表面の摩擦接合法とは相違する新たな摩擦圧接方法、具体的には、「金属板を重ね合わせ、一方の板材の表面に回転部材を押しつけ、回転摩擦により発生する摩擦熱により、重ね合わせた板材を摩擦圧接することを特徴とする金属板の接合方法」の発明を行った(日本機械学会、2001年11月8日、9日開催の「第9回機械材料・材料加工技術講演会論文集」61〜62頁、特開2003−311440号公報)。第3図により説明する。円柱状回転部材1は、重ね合されている上板材6と下板材7の上板材6の表面を摩擦圧接する。この方法は、「板材の表面に回転部材を押しつける」ものであり、摩擦撹拌接合法のように、「小径のピン状の摩擦撹拌用プローブ」を板材と肩部が接触して回転させるなどといった上板材中に深く押し入る操作を行わない。摩擦撹拌法のように上板材と下板材の接合面8に、円柱状回転部材1が入り込むことはない。又、摩擦接合法のように単に板材の表面を塑性流動させるというものでもない。摩擦接合の回転部材が上板材6を押しつけたときに、くぼみ9が生ずる。くぼみ部分9は、円柱状回転部材1の直下になる。回転部材により上板材を溶融させ、重ね合された2枚の板材(6、7)を接合するものである(第3図)。この摩擦接合の全体は第4図に示されている。円柱状回転部材1が上板材の移動につれて接合部分14が形成される。この方法の特徴は、前記摩擦撹拌接合と比較すると、接合の強度が十分に得られること、また、接合部の広がりが狭く、接合部分の相の乱れも少なく、所要動力も少なくて済む。又、装置は大掛かりなものとならない。そして、摩擦撹拌接合法に比較してバリの発生も少ない。このように、前記従来の方法と比較して多くの利点を有している。
本発明者らは、これらの利点を有することにより前記従来の方法や装置と比較して、本発明者らの方法は、良好なものであることに確信をもつことができた。しかしながら、本発明者らの方法においても、従来の方法ではバリの発生がみられ、このバリの発生をより少なくできないか、できればバリの発生を抑制できる摩擦圧接法が得られないかということについて研究を進めた。
本願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがあり、これは参照して本明細書中に取り込まれる。
特開平11−245055号公報 特開2000−334579号公報 特開2001−74039号公報 特表平7−505090号公報 特開平10−180466号公報 特開2001−138073号公報 特開2003−275876号公報 特開2003−290937号公報 特開2003−305576号公報 特開2003−290936号公報 特開2003−311440号公報 日本機械学会、2001年11月8日、9日開催の「第9回機械材料・材料加工技術講演会論文集」61〜62頁
本発明の課題は、金属板を摩擦圧接による接合方法において、バリの発生を伴わずに引張せん断強さを有する新規な方法及び装置を提供することである。
第1図は、本発明の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第2図は、本発明の円柱状回転部材を用いる接合方法を示す図である。
第3図は、従来の円柱状回転部を示す図である。
第4図は、従来の円柱状回転部材を用いる接合方法を示す図である。
第5図は、本発明の円柱状回転部材を設けた接合装置の全体を示す図である。
第6図は、本発明の他の円柱状回転部材を設けた接合装置の全体を示す図である。
第7図は、摩擦撹拌接合を示す図である。
第8図は、他の摩擦撹拌接合を示す図である。
第9図は、他の摩擦撹拌接合を示す図である。
第10図は、実施例1の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第11図は、比較例1の従来の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第12図は、実施例1で得られる接合部分を示す図である。
第13図は、比較例1で得られる接合部分を示す図である。
第14図は、実施例2の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第15図は、比較例2の従来の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第16図は、比較例2の従来の円柱状回転部材の形状を示す図である。
第17図は、実施例2で得られる接合部分を示す図である。
第18図は、比較例2で得られる接合部分を示す図である。
第19図は、比較例2で得られる接合部分を示す図である。
第20図は、摩擦圧接による引張せん断強さと押込み深さとの関係を示す図である。
第21図は、摩擦圧接による引張せん断強さと押込み深さとの関係を示す図である。
第22図は、摩擦圧接による引張せん断強さと押込み深さとの関係を示す図である。
符号の説明
1 円柱状回転部材の円柱部分
2 円柱状回転部材の円柱部分の頂部
3 円柱又は半円錐の形状物
4 円柱又は半円錐の形状物の一部分が、上板材に押し込まれている深さ
5 円柱状回転部材の頂部と上板材の間の間隙
6 上板材
7 下板材
8 円柱状回転部材の円柱部分の頂部
9 従来の摩擦接合の回転部材が上板材を押しつけたときに生ずるくぼみ
10 上板材と板材の接合面
11 スライド用溝
12 台座
13 裏あて部
14 接合部分
15 回転ロッド
17 回転ロッド用モーター
18 圧力調整カム
19 カム駆動用モーター
20 円柱状回転体
21 ピン状の摩擦撹拌用プローブ
22 板材
23 板材
24 接合面
25 円柱状回転子本体
26 可塑化領域
27 肩部
28 上板材
29 下板材
30 円柱状回転子によって生ずる圧縮応力部分
31 ピンの回転により生ずる圧縮応力部分
本発明者らは、前記課題について研究した。
接合しようとする板材を圧接する状態で重ね合わせ、一方の板材の表面に、その板材の硬度に比較してより硬度の高い材料からなる回転部材を圧力を付加した状態で接触させ、回転部材の回転に伴い発生する摩擦熱により重ね合わされている板材を接合する方法において、回転部材の直下の部分を中心に溶融状態に保つことができ、その結果重ね合されている板材を接合させることできるという従来の方法に続き、回転部材の先端の形状を回転部材の直径より短い円柱又は半円錐の形状とし、前記円柱又は半円錐の形状物の部分が、前記一方の板材に押し込まれている状態とし、円柱状回転部材の頂部と前記一方の板材の間に間隙が存在する状態として、重ね合された板材を摩擦圧接による接合を行うと、摩擦撹拌接合と比較して溶融している状態で生ずるバリの発生を抑制できること、また、発生するバリは、回転部材の角部により切断され、バリのない接合面を形成することができること、その際に接合された薄板の引張せん断強さについても十分な強さに保つことができることを見出して、本発明を完成させた。
円柱状回転部材の形状は、第1図に示されている。
前記円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている円柱部分1と、さらにその頂部2に、その頂部より直径が短い小さい同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下で隆起している円柱又は半円錐の形状物3として、同軸に重ね合わされている形状である。この図では円柱の形状物が示されている。
また、摩擦圧接による接合方法は第2図に示されている。
前記円柱状回転部材は、回転しつつ、接合しようとする金属板材を重ね合わせされている一方の板材(上板)の表面に押しつけられる。
円柱状回転部材の円柱部分1の頂部2より半径が小さい同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下で隆起している円柱又は半円錐の形状物3は、前記板材中に回転しながら押し込まれている状態となる。しかしながら、この部分が全て前記板材中に埋没してしまわないようにしなければならない。
前記円柱又は半円錐の形状物の一部分4が前記一方の板材に押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱部分の頂部と前記一方の板材の間に間隙5が存在する状態とすることが必要である。
前記円柱状回転部材の回転につれて円柱又は半円錐の形状物の部分と板材のとの摩擦により発生するバリは、この間隙(クリアランス)部分で生ずる。具体的には、前記円柱状回転部材の円柱又は半円錐の形状物3の部分と板材の接触している部分及びその付近から、バリは円柱又は半円錐の形状物に沿うようにして発生する。発生するバリは、前記円柱状回転部材の直下部分において発生し、回転する円柱状回転部材の角部により切断されることなる。その結果、バリはカットされ、バリのない滑らかな接合面を形成する(第2図)。
前記間隙をどの程度の値とするかは、発生するバリの発生量により影響を受けるものであり、一概に定めることができるものではなく、接合速度条件などの操業条件により、これらの実験に応じて適宜定めることができるものである。
前記摩擦圧接による引張せん断強さと押込み深さとの関係を調べて見ると、以下のことがわかった。継手の引張せん断強さは、押込み深さの増加に伴い増加する傾向がある。そして、ある一定の押し込み深さ以上になると、引張せん断強さも最大となりそれ以上は増加をしない。すなわち、この一定の押し込み深さにおいて処理すれば摩擦圧接による引張せん断強さは最大のものが得られる。本発明者らの実験によれば、接合速度条件にも左右されるが、表面からの深さが0.2以上、確実には0.3以上であれば、前記引張せん断強さは一定となる。そしてその引張せん断強さは0.5(即ち、上板の半分の厚さ)まで維持される。このことから、この程度の押込み深さで操作することが好ましいことがわかった(第20図〜第22図)。
また、摩擦圧接法は、上板と下板の2枚からなる金属板の接合に用いてきた。本発明者らは摩擦圧接法において、上板、下板2枚の組み合せの接合にも摩擦圧接法が適用できることを見出した。その結果、上下2枚の中間にもう1枚の金属板を挟んだ状態で圧接する新たな方法を可能にした。この方法を利用すれば、金属板の間に他の特性を有する金属板を積層することができるので、中間部分に導電性の有る材料を積層することが可能となり、さらにいろいろな製品の展開が可能となった。
以上のことがらから得られた知見に基づいて、本発明者らは以下の発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材の表面に円柱状回転部材を押しつけ、回転摩擦により発生する摩擦熱により、重ね合わせた板材を摩擦圧接することによる金属板材を接合する方法において、前記円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている円柱部分と、さらにその頂部に、その頂部より直径が短い同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物として、同軸に重ね合わされている形状であり、前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部と前記一方の板材の間に間隙が存在する状態とし、間隙部分より発生するバリを、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部及び角部により切断しながら金属板材を接合することを特徴とする金属板材を接合する方法。
(2)前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの2/10以上5/10迄であることを特徴とする(1)記載の金属板材を接合する方法。
(3)前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの3/10以上5/10迄であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の金属板材を接合する方法。
(4)前記接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材に重ね合される他の板材が、相違する二枚の板材からなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の金属板材を接合する方法。
(5)接合しようとする金属板材を重ね合ねせ、一方の板材の表面に円柱状回転部材を押しつけ、回転摩擦により発生する摩擦熱により、重ね合わせた板材を摩擦圧接することによる金属板材を接合する装置において、前記円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている円柱部分と、さらにその頂部にその頂部より直径が小さい同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物として、同軸に重ね合わされている形状であり、前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部と前記一方の板材の間に間隙が存在する状態とし、間隙部分より発生するバリを、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部及び角部により切断しながら金属板材を接合することを特徴とする金属板材を接合する装置。
(6)前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの2/10以上5/10迄であることを特徴とする(5)記載の金属板材を接合する装置。
(7)前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの3/10以上5/10迄であることを特徴とする(5)記載の金属板材を接合する装置。
(8)前記接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材に重ね合される他の板材が、相違する二枚の板材からなることを特徴とする(5)記載の金属板材を接合する装置。
本発明の接合に用いる板材は、従来の摩擦圧接法において用いられていたものと同じく、各種の金属板に適用できる。これらには、アルミニウム板、アルミニウム合金板材、銅板、鉄、ステンレスなど鉄合金、鋼板、チタニウム合金、マグネシウム合金などの板材を挙げることができる。
また、接合する金属板に対して組合わせる金属板も接合する金属と同じ板材に対して接合することができるし、また、接合する金属と異なる板材に対して接合することもできる。異なる金属板の場合には、たとえば、5052アルミニウム合金板と2017アルミニウム合金板、アルミニウム板に対してアルミニウム合金の組合せ、アルミニウム合金板とステンレス鋼鈑、アルミニウム合金板とSPCCと鋼板、アルミニウムやアルミニウム合金板と銅板、アルミニウム合金板とタフピッチ銅板、アルミニウム板と炭素鋼板、鋼鈑に対してアルミニウム合金、マグネシウム合金又チタン合金の板材などを組合せることができる。このように組合わせることで、接合する金属板の有する特性と異なる金属板の特性からなる板材を得ることが可能となる。このようにして、各種材料の強度の向上、軽量化、耐食性の向上、熱伝導性や導電性の向上、材料としての見た目の美しさの向上などを行うことができる。
また、アルミニウム合金板材からなる上板に対して、銅板及びアルミニウム合金板材からなる下板材を組合せた3枚の板材にも適用できる。このような三層からなる積層体の製造にも適用できる。
これらの上板材は薄板である。上板材の厚さは、回転部材の回転により発生される接合に必要な摩擦熱が接合面に伝達される範囲であれば格別限定されるものではないが、通常、3mm以下のものであれば、十分に適用可能である。下限に関しては、回転部材の回転に邪魔にならずに、耐えることができる厚さであれば、適宜採用することができる。通常、工業的に用いられる0.6mm程度のもの、或いはそれ以下の0.3mmから0.1mm程度の厚さに関しては十分に適用可能である。
その他の板材(下板材)は接合することができるものであれば、薄板のみならず、それよりも厚い部材であっても適宜用いることができる。
板材に接触させる回転部材は、板材より硬度が高い材料により構成される。
アルミニウム合金板材の場合には、鋼やステンレス鋼の回転部材を用いることができる。この他、タングステン、タングステンカーバイド、グラファイト、炭化珪素、アルミナなどの耐磨耗材からなる材料が適宜選択されて用いられる。
異種金属板を接合する場合に、どちら側の板材と回転部材を接触させても接合することができる。異種金属板を比較して、熱伝導率に差が有る場合には、熱伝導率が良好な方の板材を回転部材と接触させることが、処理時間が短くてすみ、効率がよい。
本発明者らの接合方法では、重ね合わせた板材と円柱状回転部材を摩擦圧接することにより金属板を接合する方法において、円柱状回転部材の形式に一つの特徴があり、さらに、円柱状回転部材を用いて接合する点に二つめの特徴がある。
以下、図面により本発明を説明する。
円柱状回転部材の形状は、第1図の通りである。
円柱状回転部材は、平面状に形成されている円柱部分1と、さらにその頂部2に、その頂部より直径が短い同心円状で、その高さが、少なくとも一方の板材(上板)の板厚以下の高さで、隆起している円柱又は半円錐の形状物3として、同軸に重ね合わされて僅かに隆起している形状である。この図では円柱の形状物3が示されている。
円柱状回転部材を用いる接合方法は、第2図の通りである。
接合しようとする金属板材6、7を重ね合わせ、一方の板材6の表面に円柱状回転部材1を押しつける。その際に、円柱状回転部材1の、その頂部より直径が短い同心円で、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下で隆起している円柱又は半円錐の形状物3(中心部の僅かに隆起している部分)の一部分は、前記板材中に回転しながら押し込まれている状態となり、前記一方の板材に深さ4で押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱部分の頂部2と前記一方の板材の間の間隙5が存在する状態とすることが必要である。上板材と板材の接合面10の円柱又は半円錐の形状物3の下部に相当する部分が接合面となる。
摩擦圧接させるために、回転部材を一方の板材(上板)の表面に接触させ、回転部材を所要の速度で回転させ、その際に発生する摩擦熱を発生させ、圧接に利用するものである。摩擦により発生する熱量は、板材と回転部材との摩擦係数、回転速度、及び回転部材を板材に押し付ける時の圧力の積として与えられる。
回転部材の回転速度は、一般的には、1000〜25000rpm程度の範囲のものである。回転部材が板材を押さえつける圧力は、0.5〜5kg/mm程度である。
接合は、主として前記円柱又は半円錐の形状物3の頂部と上板材6との間に発生する摩擦熱により行われる。しかしながら、前記円柱又は半円錐の形状物3が全て前記板材6中に埋没してしまうと、前記間隙5がなくなり、バリを除去することができなくなる。前記円柱状回転部材1の頂部2と、板材6の間には必ず前記間隙5を存在させる。
前記円柱状回転部材の円柱部分1又は半円錐の形状物3の回転につれて、板材6との摩擦により発生するバリは、この間隙5で生ずることとなる。ところで、発生するバリは、回転する円柱状回転部材の角部8及び頂部2により切断されることなる。その結果、滑らかな接合面を形成することができる(第2図)。
前記間隙5と、円柱又は半円錐の形状物が前記一方の板材に押し込まれている深さ4は、実験などにより適宜決定する値である。
以上により形成される圧接による接合部分は、板材の全面にわたって形成することができる。この場合には圧接する部分を線状に形成する。又、部分的に接合部が形成されるものであっても差し支えない。このような板材の接合によっても、十分な強度を発揮することができる。部分的に溶接されている部分は、スポット溶接にみられるような点状の状態であってもよい。
接合部分は板材の平面の部分或いは鍔状に張り出している部分であってもよい。
前記一方の板材に押しこまれている深さ4と、平面状に形成されている円柱部分の頂部と前記一方の板材の間の間隙5については、以下のように実験によりその内容を確認している。
本発明者らの実験結果では、表1に示されている形状及び寸法の場合に良好な結果を得ている。
一方の板材(上板)に押し込まれている深さ4と、間隙5を合計した結果が、その頂部2より直径が短い同心円で円柱又は半円錐の形状物3の高さ(GAP)である。円柱又は半円錐の形状物の高さは、このようにして定める。
この場合には上板が5052のアルミニウム合金板(t=1.00mm)に対する工具形状の寸法と接合条件である。回転工具径(先端部)は6mmである。
Figure 2005092558
表2は、上板が5052のアルミニウム合金板(t=1.00mm)に対する工具形状の寸法と接合条件である。回転工具径(先端部)は10mmである。
Figure 2005092558
本発明の前記円柱状回転部材1の頂部2は、平面として形成され、さらに、その頂部2の円の直径より短い同心円で、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物3の部分については、旋盤を用いて切削加工により成形加工する。これらは、同一材料により一体に形成されているものである。円柱状回転部材の径と、その頂部が平面状の円の直径より短い同心円の直径の比も、適宜は決定される。
実施例では、円柱状回転部材の円の外径が15mmであり、円柱又は半円錐の形状物3の円の外径が10mmから6mmの場合において良好な結果を得ている。これらが一つの目安として考えられる。
前記摩擦圧接による引張せん断強さと押込み深さとの関係を調べてみると以下のことがわかった。
継手の引張せん断強さは、押込み深さの増加に伴い増加する傾向がある。そして、ある一定の押し込み深さ以上になると、引張せん断強さも最大となりそれ以上は増加をしない。すなわち、この一定の押し込み深さにおいて処理すれば摩擦圧接による引張せん断強さは最大のものが得られる。本発明者らの実験によれば、接合速度条件にも左右されるが、表面からの深さが0.2以上、確実には0.3以上であれば、前記引張せん断強さは一定となる。そしてその引張せん断強さは0.5(即ち、上板の半分の厚さ)まで維持される。このことから、この程度の押込み深さで操作することが好ましいことがわかった(第20図から第22図)。以下の実施例で具体的内容を示す。
本発明の前記円柱状回転部材を有する装置の全体の一例を示すと、第4図の通りである。
重ね合わされた金属板である上板材6と下板材7が、載置手段の上に載置され、固定される。載置手段の具体例を挙げれば、台座12及び裏あて部13から構成され、被接合物は固定される。
円柱状回転部材の円柱部分1と頂部2の円の直径より短い同心円で、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物からなる円柱状回転部材が上板材に押しこまれ、その一部を間隙5として残した状態で回転移動すると摩擦熱により、摩擦圧接されて、接合部分14が形成される。
円柱状回転部材は、回転ロッド16を介して回転手段に接続固定されている。また、回転ロッドに回転部材を固定しても差し支えない。回転ロッドは、回転手段である回転ロッド用モーター17により回転される。回転には、ステーターの励磁により高速回転できるようにすることもできる。
回転部材に与えられる圧力は、圧力調整手段により与えられる。圧力調整手段は、圧力調整カム18及びカム駆動用モーター19より構成される。圧力調整カムを動作させることにより、回転ロッド用モーターは移動され、移動は、案内手段によって行われる。案内手段の具体例としては、台座に設けられているスライド用溝11にそって回転ロッド用モーターが移動できる構造により構成される。案内手段としては、回転ロッド用モーターの移動がスムースに行うことができる案内手段で有れば、用いることができる。
前記圧力調整手段には、油圧又は空気圧を使用する加圧力シリンダーを使用することができ、その結果、圧力調整を行いやすくすることができる。
回転部材の大きさを変化させることにより接合の面積を調節することができる。回転部材の直径が大きなものを用いれば、大きな接合面積のものを得ることができる。このようなことから、回転部材の大きさは、接合の面積などを考慮して適宜決定することができる。
場合によっては、直角方向(水平方向)のスライド用溝に関し、装置全体を直角方向(水平方向)に移動可能にすることもできる。
本発明の他の前記円柱状回転部材を有する装置の全体の一例を示すと、第5図の通りである。
接合しようとする上板材と下板材は台座12に固定される。材料の送り機構11が設けられている。円柱状回転部材は、回転ロッド16の先端に取り付けられる。回転ロッドは回転ロッド用モーター17により回転される。回転ロッド用モーター17は昇降自在に設置されており、接合操作時には下降して円柱状回転部材の作業を進める。
なお、特願2004−89671及び特願2005−82088明細書に記載された内容を、本明細書にすべて取り込む。
以下に、アルミニウム合金板材とSPCC鋼鈑の摩擦圧接について具体的に説明する。他の材料の場合に関しても同様に行うことができるものでくり、挙げられているものに限定されるものではない。
他の板材の場合についても、板材の特性を考慮して、同様に行なうことができる。この具体例に限定されるものではない。また、併せて従来の方法を比較例として示す。
実施例1
以下の条件のもとで実験を行った。
アルミニウム合金とアルミニウム合金を接合する場合の実施例1と比較例1(本発明者らの従来の方法による場合)について実験を行った。
条件(t=1.0mm)、V=0.8mm/s、t=30s、N=2000rpm
本発明の円柱状回転部材の形状は第9図に示す通りである。この場合のGは間隙を表している。t=1.00の1/2の場合である。又、従来の円柱状回転部材の形状は第10図に示すとおりである。
本発明の前記円柱状回転部材を用いて得られる接合部分を、第11図に示した。Dは円柱状部分の直径である。Cは、円柱又は半円錐の形状物の直径である。この結果をみてみると、何れもバリはみられず、本発明の効果を確認できる。
従来の円柱状回転部材を用いて得られる接合部分を第12図に示した。Dは円柱部分の直径である。何れも図の上の部分にバリの発生を顕著に認めることができる。第11図と第12図の結果を比較すると、本発明の結果ではバリの発生はなく、良好な結果を得ていることがわかる。
実施例2
以下の条件のもとで実験を行った。
アルミニウム合金とSPCCを接合する場合について、以下の条件で、本発明の円柱状回転部材を用いる実施例2と従来の円柱状回転部材を用いる比較例2及び3を行った。
条件(t=1.0mm)、V=0.2mm/s、t=30s、N=2000rpm
本発明の円柱状回転部材の形状は第13図に示す通りである。この場合のGは間隙を表している。t=1.00の1/2の場合である。又、従来の円柱状回転部材の形状は第14図及び第15図に示すとおりである。
本発明の前記円柱状回転部材を用いて得られる接合部分を、第16図に示した。Dは円柱状部分の直径である。Cは、円柱又は半円錐の形状物の直径である。この結果をみてみると、何れもバリはみられず、本発明の効果を確認できる。
従来の円柱状回転部材を用いて得られる接合部分を第17図、第18図に示した。Dは円柱部分の直径である。何れも図の上の部分にバリの発生を顕著に認めることができる。第16図と第17図及び第18図の結果を比較すると、本発明の結果ではバリの発生はなく、良好な結果を得ていることがわかる。
実施例3
5052アルミニウム合金を同じ種類の材料(上板板厚さ1mm及び下板厚さ5mm)の摩擦圧接を行った結果は以下の通りである。
X軸に押しこみ深さを、Y軸に引張りせん断強さをとり、接合速度条件に応じて各々の結果を示すと以下の通りである。
0.2mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、6.8kNであった。次に、押込み深さが0.2mmの場合にその引張りせん断強さは、ほぼ7.0kNであり、0.3mmで7.2kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.2kNであった。同じく、0.4mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、7.2kNであった。次に、押込み深さが0.2mmの場合にその引張りせん断強さは、ほぼ7.2kNであり、0.3mmでその引張りせん断強さは7.2kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.2kNであった。0.6mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、3.6kNであった。次に、押込み深さが0.2mmの場合にその引張りせん断強さは、4.5kNであり、以後、0.3mmで同様に7.2kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.2kNであった。0.8mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、5.0kNであった。次に、押込み深さが0.2mmの場合にその引張りせん断強さは、7.0kNであり、以後、0.3mmで同様に7.2kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.2kNであった。1.0mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、2.2kNであった。次に、押込み深さが0.2mmの場合にその引張りせん断強さは、7.0kNであり、以後、0.3mmで同様に7.3kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.2kNであった(以上、第20図)。これらのことから、押込み深さは、板厚の1/2である0.5mmあれば、その引張りせん断強さは、ほぼもっとも高い値となっていることがわかる。また、接合速度により変化があるが、押込み深さは板厚の1/5である0.2mm以上であれば、その引張りせん断強さは、押込み深さは0.5mmの引張りせん断強さの値と比較して十分に高い値となっており、押込み深さは板厚の3/10である0.3mmであれば、押込み深さは0.5mmの引張りせん断強さの値とほぼ同様の値となっていることがわかる。
このことから、押込み深さは、少なくとも板厚の2/10以上であり、更に好ましくは板厚の3/10以上であり、最大でも5/10であることがわかる。
異なる材料(板厚1mmの5052アルミニウム合金及び2017アルミニウム合金の組合せ)について同様の試験を試みた。結果は第12図に示すとおりであった。
0.2mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、7.0kNであった。次に、押込み深さが0.3mmの場合にその引張りせん断強さは、ほぼ7.0kNであり、0.5mmで6.8kNであった。同じく、0.4mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合に、その引張りせん断強さは、6.3kNであった。次に、押込み深さが0.3mmの場合にその引張りせん断強さは、ほぼ6.0kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の6.4kNであった。
0.6mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、3.0kNであった。次に、押込み深さが0.3mmの場合にその引張りせん断強さは、7.0kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の7.0kNであった。0.8mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、3.9kNであった。次に、押込み深さが0.3mmの場合にその引張りせん断強さは、6.3kNであり、0.5mmで引張りせん断強さは、同様の6.2kNであった。1.0mm/sの接合速度条件下では、押込み深さが0.1mmの場合にその引張りせん断強さは、6.2kNであった。0.3mmで6.0kN以上の値となり、0.5mmで引張りせん断強さは、ほぼ同様の6.0kN以上の値であった(以上、第21図)。
これらのことから、押込み深さは、板厚の1/2である0.5mmあれば、その引張りせん断強さは、ほぼもっとも高い値となっていることがわかる。また、接合速度により変化があるが、押込み深さは板厚の1/5である0.2mm以上であれば、その引張りせん断強さは、押込み深さは0.5mmの引張りせん断強さの値と比較して十分に高い値となっており、押込み深さは板厚の3/10である0.3mmであれば、押込み深さは0.5mmの引張りせん断強さの値とほぼ同様の値となっていることがわかる。
このことから、押込み深さは、少なくとも板厚の2/10以上であり、更に好ましくは板厚の3/10以上であり、最大でも5/10であることがわかる。
5052アルミニウム合金とタフピッチ銅を組合せ(各々の板厚1mm)について接合においても前記と同様に有効な接合方法であることを確認している(第22図)。この場合には、接合速度条件を、1.0mm/s、2.0mm/s、3.0/sの条件とした。
この場合についても、押込み深さは、板厚の2/10で、その引張りせん断強さは、高い値となっていることがわかる。また、接合速度により変化があるが、押込み深さは板厚の3/10でも同様であることがわかる。押込み深さは板厚の2/10である0.2mmであれば、十分であることがわかる。
このことから、押込み深さは、少なくとも板厚の2/10以上であり、更に好ましくは板厚の3/10以上であり、これらの結果から最大でも5/10でよいことが類推できる。
実施例4
アルミニウム(1mm)の上板に、下板として銅(1mm)とアルミニウム(1mm)を重ねた下板に、下記の条のもとに摩擦接合を行ったところ、真中に銅を挟んだアルミニウムの積層体を製造することができた。
条件(t=1.0mm)、V=0.2mm/s、t=30s、N=2000rpm
本発明の円柱状回転部材の形状は第13図に示す通りである。この場合のGは間隙を表している。t=1.00の1/2の場合である。
本発明によれば、比較的薄い金属板を摩擦圧接により接合することができる。本発明による方法は、従来の本発明者らの摩擦圧接法とバリの発生はなく、より確実に接合することができる。接合の状態は、板材の表面や組織を傷つけるものではなく、せん断荷重及び引張試験などの結果も良好であり、バリが発生した場合であっても、バリを取り除くことができるので、仕上がりが滑らかな接合部分の金属板が滑らかな状態のものとして得られる。また、円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態を調節することにより、引張せん断強さを最大に保つことができる。

Claims (8)

  1. 接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材の表面に円柱状回転部材を押しつけ、回転摩擦により発生する摩擦熱により、重ね合わせた板材を摩擦圧接することによる金属板材を接合する方法において、前記円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている円柱部分と、さらにその頂部にその直径より短い同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物として、同軸に重ね合わされている形状であり、前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部と前記一方の板材の間に間隙が存在する状態とし、間隙部分より発生するバリを、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部及び角部により切断しながら金属板材を接合することを特徴とする金属板材を接合する方法。
  2. 前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの2/10以上5/10迄であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の金属板材を接合する方法。
  3. 前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの3/10以上5/10迄であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の金属板材を接合する方法。
  4. 前記接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材に重ね合される他の板材が、相違する二枚の板材からなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の金属板材を接合する方法。
  5. 接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材の表面に円柱状回転部材を押しつけ、回転摩擦により発生する摩擦熱により、重ね合わせた板材を摩擦圧接することによる金属板材を接合する装置において、前記円柱状回転部材は、頂部が平面状に形成されている円柱部分と、さらにその頂部にその頂部より直径が短い同心円で、平面状であり、その高さが少なくとも前記一方の板材の板厚以下の高さで隆起している円柱又は半円錐の形状物として、同軸に重ね合わされている形状であり、前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態であり、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部と前記一方の板材の間に間隙が存在する状態とし、間隙部分より発生するバリを、平面状に形成されている円柱状回転部材の頂部及び角部により切断しながら金属板材を接合することを特徴とする金属板材を接合する装置。
  6. 前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの2/10以上5/10迄であることを特徴とする請求の範囲第5項記載の金属板材を接合する装置。
  7. 前記円柱又は半円錐の形状物の部分が前記一方の板材に押し込まれている状態が、少なくとも一方の板材の厚さの3/10以上5/10迄であることを特徴とする請求の範囲第5項記載の金属板材を接合する装置。
  8. 前記接合しようとする金属板材を重ね合わせ、一方の板材に重ね合される他の板材が、相違する二枚の板材からなることを特徴とする請求の範囲第5項記載の金属板材を接合する装置。
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