JPWO2005090771A1 - スターリング機関 - Google Patents
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Abstract
Description
また、冷凍機等の冷凍サイクルには、一般に蒸気圧縮式の冷凍サイクルが採用されている。作動ガスとしての冷媒にはフロンガスが用いられ、その凝縮、蒸発を利用して所望の冷却性能を得ている。ところが、フロンは非常に化学安定性が高く、一旦、大気中に放出されると成層圏まで達し、オゾン層を破壊してしまう。このため近年、特定フロンを対象として、その使用及び生産が規制されている。
そこで、これらの問題を包含しないスターリングサイクル又は逆スターリングサイクルを用いたスターリング機関が注目されている。
スターリングサイクルを用いたスターリングエンジンは外燃機関であり、熱源を特定しない、内燃機関のように燃料を用いて燃焼を行う場合でも、高温、高圧下での燃焼ではないので有害物質が発生しにくい等の利点を有している。
前記スターリング機関はその作動ガスとして、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス等の地球環境に悪影響を与えないガスを採用している。
また、逆スターリング冷凍サイクルを用いたスターリング冷凍機は、極低温レベルの寒冷を発生させることのできる小型冷凍機の一つとして知られている。
第7図にスターリング機関の一例としてフリーピストン型スターリング冷凍機の側断面図を示す。
スターリング冷凍機Bは、圧力容器1と、圧力容器1内部に固定されたシリンダ2と、シリンダ2内部に配設されたパワーピストン3及びディスプレーサ4を有している。パワーピストン3及びディスプレーサ4は同軸上に配置されており、該軸に沿って直線往復運動する。
ディスプレーサ4はディスプレーサピストン41とロッド42を有している。ロッド42はパワーピストン3の中心部に形成された摺動孔31を貫通しており、パワーピストン3及びディスプレーサピストン41は、シリンダ内周摺動面21を滑らかに摺動可能である。また、パワーピストン3はパワーピストン支持ばね5に、ディスプレーサ4はロッド42を介して、ディスプレーサ支持ばね6によって、圧力容器1に弾性支持されている。
圧力容器1によって形成される空間はパワーピストン3によって2つの空間に分割される。一方の空間はパワーピストン3のディスプレーサ4側の作動空間7であり、他方はパワーピストン3のディスプレーサ4と反対側である背圧空間8である。これらの空間には高圧ヘリウムガス等の作動ガスが充填されている。
パワーピストン3はピストン駆動体(ここではリニアモータ9)によって所定の周期で往復運動する。これにより作動ガスは作動空間7内で圧縮又は膨張される。ディスプレーサ4は作動空間7と背圧空間8の圧力差によって直線的に往復動される。このときパワーピストン3とディスプレーサ4は、所定の位相差をもって同一周期にて往復動するように設定されている。パワーピストン3とディスプレーサ4を所定の位相差を持って往復運動させることで逆スターリング冷凍サイクルが構成される。ここで位相差は、運転条件が同一であればディスプレーサ4の質量、ディスプレーサ支持ばね6のばね定数及びパワーピストン3の動作周波数によって決まるものである。
また、作動空間7は、ディスプレーサピストン41によってさらに2つの空間に分割される。一方の空間はパワーピストン3、ディスプレーサピストン41及びシリンダ2に囲まれた圧縮空間71であり、他方はシリンダ2先端部及びディスプレーサピストン41で囲まれた膨張空間72である。圧縮空間71で高温が発生し、膨張空間72で冷熱が得られる。
冷熱の発生原理等の逆スターリング冷凍サイクルに関しては、一般によく知られているのでここでは説明を省略する。
ディスプレーサ4は圧縮空間71と背圧空間8の圧力差を直線往復動の駆動源とし、ディスプレーサ4と支持ばね6の共振を利用して往復動している。摺動孔31を通じて作動空間7と背圧空間8の間で作動ガスの流れが生じると、そのガスの流動が流動ロスとなり、結果として、スターリング機関の機関効率の低下を引き起こす。それゆえ、摺動孔31におけるガス流動による機関効率の低下を招かないようにするために、摺動孔31内周面とロッド42外周面の直径方向のクリアランスは小さいほうが好ましい。
また、フリーピストン型スターリング機関において、出力(冷凍能力)を向上させるためには、ディスプレーサ4の共振周波数を高くする必要がある。
前記駆動周波数は前記共振周波数が高くなると高くなるものであり実質的にディスプレーサの共振周波数を高くしてやればよい。共振周波数はディスプレーサ4の質量及びディスプレーサ4を弾性支持しているばね6のばね定数によって決定する。ディスプレーサの共振周波数を高くするには、ディスプレーサ4の質量を軽くする、前記ばね定数を高くする等の手段をとる必要がある。
ディスプレーサ4は圧縮空間71と背圧空間8の圧力差を直線往復動の駆動源としており、背圧空間8に面しているロッド42には軸方向の力が作用する。ディスプレーサ4の軽量化のためにロッド42の外径を小さくすると、ロッド42の強度が落ちてしまい、往復運動を繰り返しているうちに、ロッドに作用する軸方向の力によって変形することがあり得る。ロッド42に微小な変形を生じた場合、ロッド42と摺動孔31のクリアランスが小さいのでロッド42の微小な変形でもロッド42と摺動孔31が干渉してしまい、干渉した箇所で摺動摩擦が発生する。摺動摩擦が発生するとディスプレーサ4及びパワーピストン3の安定した往復運動は望めなくなり、スターリング機関の機関効率の低下、信頼性の低下、寿命が短くなる等の不具合が発生する。
また、部品同士の精度は取れていたとしても、ロッド42と摺動孔31のクリアランスが小さいため、ロッド42の強度が低いと組み立て及び分解等の作業を行うときに、ロッド42と摺動孔31に干渉が生じ摺動摩擦が発生する状態になることもあり得る。
そこで本発明は、高効率で、動作の信頼性が高く、動作寿命の長いスターリング機関を提供することを目的とする。
また本発明は、組み立て分解等の作業性が良好なスターリング機関を提供することを目的とする。
また本発明は、ディスプレーサピストンにおいて、該ディスプレーサピストンは中空部を有しており、該中空部に作動ガスを流入させるための1又は2以上の流入孔と、流入してきたガスを流出させるための1又は2以上の流出孔を有しており、前記流入孔は前記ロッドを連結している壁面に外面から前記中空部に向けて貫通しており、前記流出孔はディスプレーサピストンの周側壁に中空部から外周面に向けて貫通しており、前記ロッドにおいて、該ロッドを介してディスプレーサピストンに流入してきた駆動ガスが前記圧力容器のパワーピストンに対してディスプレーサ側に形成された作動空間と、前記パワーピストンに対して前記作動空間と反対側に形成された背圧空間との間を流動するのを防止する手段を有していることを特徴とするものである。
第2図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第3図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第4図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第5図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第6図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第7図は従来例のスターリング機関の側断面図である。
第1図は本発明に係るスターリング機関の1つであるフリーピストン型スターリング冷凍機の側断面図である。
スターリング冷凍機Aは、内部に作動ガスを充填された圧力容器1と、圧力容器1内部に固定されたシリンダ2と、シリンダ2内周面21に滑らかに摺動可能に配置されたパワーピストン3と、パワーピストン3と同軸に配置されたディスプレーサ4aを有している。パワーピストン3はパワーピストン支持ばね5で弾性支持されている。ディスプレーサ4aはシリンダ2内周面21に滑らかに摺動可能なディスプレーサピストン41aと、パワーピストン3の中央部に設けられた摺動孔31を貫通するロッド42aを有している。ディスプレーサ4aもパワーピストン3と同様にロッド42aを介してディスプレーサ支持ばね6にて圧力容器1に弾性支持されている。
シリンダ2によって形成される空間はパワーピストン3によって2つの空間に分割される。一方の空間はパワーピストン3のディスプレーサ4a側の作動空間7であり、他方はパワーピストン3のディスプレーサ4aと反対側である背圧空間8である。これらの空間には、それには限定されないが、ここでは、作動ガスとして高圧ヘリウムガスが充填されている。
パワーピストン3はピストン駆動体(ここではリニアモータ9)によって所定の周期で往復運動する。これにより作動ガスは作動空間7内で圧縮又は膨張される。ディスプレーサ4aは作動空間7と背圧空間8の圧力差によって直線的に往復動される。このときパワーピストン3とディスプレーサ4aは、所定の位相差をもって同一周期にて往復動するように設定されている。パワーピストン3とディスプレーサ4aを所定の位相差をもって往復運動させることで逆スターリング冷凍サイクルが構成される。ここで位相差は、運転条件が同一であればディスプレーサ4aの質量、ディスプレーサ支持ばね5のばね定数及びパワーピストン3の動作周波数によって決まるものである。
また、作動空間7は、ディスプレーサピストン41aによってさらに2つの空間に分割される。一方の空間はパワーピストン3、ディスプレーサピストン41a及びシリンダ2に囲まれた圧縮空間71であり、他方はシリンダ2先端部及びディスプレーサピストン41aで囲まれた膨張空間72である。圧縮空間71で高温が発生し、膨張空間72で冷熱が得られる。
次に実施例について説明していく。なお、各実施例でのスターリング機関はディスプレーサを除き第1図に示すスターリング機関と同一形状である。
ディスプレーサ以外の部分の図示を省略する。
第2図は本願発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの1例を示す側断面図である。
第2図示すディスプレーサ4aは、ディスプレーサピストン41aと、ディスプレーサピストン41aと同軸上に連結されたロッド42aを有している。ディスプレーサピストン41aは中空部410aを有している。
ロッド42aは、中空パイプ形状に形成されている。ロッド42a端部のディスプレーサピストン41aとの連結部421aは、外周面に雄ねじ部422aが形成されている。ディスプレーサピストン41aのロッド連結壁部411aの中心部には、雌ねじ部412aが形成されており、雌ねじ部412aにロッド42aの雄ねじ部422aを螺合し、反対側から突出してきた雄ねじ部422aをロックナットNtでワッシャWを挟んで締めることでロッド42aをディスプレーサピストン41aに固定する。
ロッド42aは中空であるので、軽量に製作することができる。また、同一重量の小径のロッドに比べると直径が大きく断面係数も大きくなり、往復動によって生じる軸力による曲げに対する強度を保つことができる。
本実施例において、ディスプレーサピストン41aは中空部410aを有するものとしたがそれに限定されるものではなく、中実のディスプレーサピストンを用いてもよい。しかしながら、ディスプレーサの軽量化の観点から中空部を有するものが好ましい。
(第2の実施例)
第3図に本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの他の例の側断面図を示す。
第3図に示すディスプレーサ4bは、ディスプレーサピストン41bと中空パイプ形状のロッド42bを有している。ディスプレーサピストン41bは中空部410bを有している。ディスプレーサピストン41bとロッド42bは第1実施例に示す方法と同じ方法で連結固定される。すなわち、ロッド42bの雄ねじ部422bをディスプレーサピストン41bの雌ねじ部412bに螺合し、雄ねじ部422bの中空部410bに突出した部分にロックナットNtをワッシャWを挟んで螺合することで、ディスプレーサピストン41bとロッド42bを連結する。
ロッド42bは、ディスプレーサピストン連結部421bとは反対側の端部423bにガスの流動を抑制するシール部材424bを備えている。ディスプレーサピストン41bは、中空部410bを有し、作動ガス流入孔413bと作動ガス流出孔414bを備えている。ガス流入孔413bは、ディスプレーサピストン41bのロッド連結壁部411bに1つ形成されている。また、ガス流出孔414bは、ディスプレーサピストン41bの周側壁に径方向に等中心角度間隔(ここでは180°)で2個形成されている。
ディスプレーサ41bが摺動するときに、作動ガスがガス流入孔413bよりディスプレーサピストン内部410bに流入し、ピストン内部410bに流入したガスは流出孔414bから流出する。このとき、流出ガスはシリンダ2とディスプレーサピストン41bの間t1(第1図参照)にガスの薄膜を形成しガスベアリングとして作用する。ディスプレーサ4bの摺動によってディスプレーサピストン内部410bに流入した作動ガスはロッド42bの中空部420bにも流入するが、ガスシール部材424bを越えてガスは流動しないので、作動空間と背圧空間の間にガスが流動するのを防ぐことができる。
ディスプレーサピストン41bに設けられたガス流入孔413bは本例では1個であったが複数備えていてもよく、ガス流出孔414bもまた2個に限定されるものでも、等中心角度間隔に配置されると限定されるものでもなく、シリンダ2とディスプレーサピストン41bの間の摩擦を十分に低減できるものを広く採用できる。
ロッド42bの端部423bに設置されたガスシール部材424bは、ガスの流動を防止できる場所であれば、端部422b以外の場所に設けてもよい。
(第3の実施例)
第4図に本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサのさらに他の例の側断面図を示す。
第4図に示すディスプレーサ4cは、ディスプレーサピストン41cと中空パイプ形状のロッド42cを有している。ディスプレーサピストン41cは、第2図に示すディスプレーサピストン41bと同様に中空部410cを有しており、作動ガス流入孔413cと作動ガス流出孔414cを備えている。
ロッド42cのディスプレーサピストン連結部421cの内周面には、雌ねじ部425cが形成されている。ディスプレーサピストン41cのロッド連結壁部411cには外周面より延伸するロッド42cの外径と略同径のロッド連結用の孔415cを有している。またロッド連結壁部411cの内周面より延伸し、後述のボルト43cの雄ねじ部の外径と同じかそれよりも大きい内径のボルト通し孔416cを有している。ロッド連結用の孔415cの内径はボルト通し孔416cの内径よりも大きく形成されている。ロッド連結用の孔415cとボルト通し孔416cはロッド連結壁部411cの略中央部で連結している。
ディスプレーサピストン41cとロッド42cとの連結固定は以下のとおりである。ロッド42cをロッド連結用の孔415cに挿入し、ディスプレーサピストン41cの中空部410c側から、雌ねじ部425cと雌ねじ部425cと同一径の雄ねじを有するボルト43cとをワッシャWを挟んで螺合する。ボルト43cを用いてディスプレーサピストン41cとロッド42cを連結することで、ロッド42c中空部420cを通じてのディスプレーサピストン41cと背圧空間8、ひいては作動空間7と背圧空間8とのガスの流動を防止することができる。また、ディスプレーサ4cが往復運動する場合、ロッド中空部420cは死空間になってしまうが、中空部420cに作動空間7のガスが流入しないので、それだけ効率を高めることが可能である。
上述の実施例ではロッド42cをロッド連結用の孔415cに挿入しボルト43cで螺合固定するものを例示しているが、それに限定されるものではなく、ロッド42cをロッド連結用の孔415cに圧入し雌ねじ部425cとボルト43cを螺合することで強固に固定するものであってもよい。ロッド42cをロッド連結用の孔415cに挿入又は圧入するときの当たり面に接着剤を配置し固定してもよい。
また、ロッド42cの嵌合部に雄ねじをロッド連結用の孔415cの内面に雌ねじを形成しておき、ロッド42cをロッド連結用の孔415cに螺合してもよい。
上記の各方法でロッド42cとディスプレーサピストン41cを連結した後、ロッド42cとディスプレーサピストン41cのロッド連結壁部411cとを溶接し強固に固定してもよい。
第5図に第3の実施例に示すディスプレーサの他の例の側断面図を示す。
第5図に示すディスプレーサ4dは、第2図に示すディスプレーサピストン41bと同一の形状を有するディスプレーサピストン41dを有している。
ロッド42dのディスプレーサピストン41dと連結する連結部421dの外周部には雄ねじ部422dが形成されており、連結部421dの中空部にはガスシール部材427dが備えられている。
ディスプレーサピストン41dとロッド42dの連結は、第2実施例の連結方法と同一の方法で行っている。すなわち、予めガスシール部材427dを備えたロッド42dの雄ねじ部422dをディスプレーサピストン41dの雌ねじ部412dに螺合し、雄ねじ部422dの中空部410dに突出した部分にロックナットNtをワッシャWを挟んで螺合することで、ディスプレーサピストン41dとロッド42dを連結する。このとき、第2の実施例とは異なり、ガス流入孔413dから流入した作動ガスは、ガスシール部材427dに遮られて、ロッド42dの中空部420dには流入せず、ガス流出孔414dから流出する。それゆえ、ロッド42dの中空部420dを通じての背圧空間8と作動空間7の間のガスの流動は防止できる。
本実施例は、ディスプレーサピストン中空部410c(410d)とロッド中空部420c(420d)の間でガスが流動しないように、ディスプレーサピストン41cとロッド42cを1本のボルト43cで共締めするもの、ガスシール部材427dをロッドの連結部421dに備えたものを例示しているが、それに限定されるものではなく、ディスプレーサピストン中空部とロッド中空部の間のガスの流動を防ぐことができるものを広く採用することができる。
(第4の実施例)
第6図に本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサのさらに他の例の側断面図を示す。
第6図に示すディスプレーサ4eは、第2実施例で示したディスプレーサピストン41bと同一形状を有するディスプレーサピストン41eを採用している。すなわち、ディスプレーサピストン41eは中空であり、ガス流入孔413eとガス流出孔414eを備えている。ロッド42eは中空パイプ形状であり、中空部420eから周側面外周部に向けて貫通しているガス流出口428eを2個(中心角度間隔180°)備えている。また、ロッド42eはディスプレーサピストン41eとの連結部421eとは反対側の端部423eにガスシール部材間424eを備えている。
ディスプレーサピストン41eとロッド42eの連結方法は第2実施例と同じ方法である。すなわち、ロッド42eのディスプレーサピストン41eとの連結部421eに設けられた、雄ねじ部422eをディスプレーサピストン4eの雌ねじ部412eと螺合する。そして、雄ねじ部422eの中空部410eに突出した部分にロックナットNtをワッシャWを挟んで螺合することで、ディスプレーサピストン41eとロッド42eを連結する。
作動空間7からガス流入孔413eを通って中空部410eへ流入したガスは、一部はガス流出孔414eからピストン41eとシリンダ2の間に流出し、残りは、中空部420eに流入して、ロッド42eに設けられている流出口428eを通って摺動孔31とロッド42eの間の隙間t2(第1図参照)に流出し、ガスの薄膜を形成する。このガスの薄膜はディスプレーサ4e摺動時の摺動孔31内周面とロッド42e外周面の摩擦を低減するガス薄膜、いわゆる、ガスベアリングを形成する。
また、ディスプレーサ4eの摺動によって背圧空間8からロッド中空部420eにガスが流入するのを防止できる。それによって、ガスの作動空間7と背圧空間8の間のガスの流動を防止できる。
本実施例において、ロッド42eはガスシール部材424eをロッド42eの端部423eに備えるものを挙げたが、それに限定されるものではなく、ロッド中空部420eを介して、ディスプレーサピストン中空部410eと背圧空間8の間にガスの流動が起こらず、ピストン中空部410eからロッド中空部420eへ流入したガスが、流出口428eを通して隙間t2に流出するものを広く採用することができる。
流出口428eは、2個のものを示したがそれに限られるものではなく、ロッド42e周側面と摺動孔31の間で摺動摩擦を低減できるガスベアリングを形成できるものを広く採用できる。
第1〜第4の実施例はスターリング冷凍機について述べたが、冷凍機に限定されるものではなく、熱機関であるスターリングエンジン等にも、適用可能である。
また本発明によると、ディスプレーサのロッドを中空パイプ形状で形成することにより、該ロッドの強度の低下を抑えて、ディスプレーサ全体を軽量化することができ、それにより、運転の信頼性が高く、高効率で、寿命の長いスターリング機関を提供することができる。
さらに本発明によると、ロッドの中空部を介しての膨張空間と背圧空間との間のガスの流動を防止あるいは低減でき、それだけ、機関効率の低下を防ぐことができるスターリング機関を提供することができる。
また本発明では、パワーピストンの摺動孔とディスプレーサのロッドの間隙に十分なガスの薄膜を作り、ガスベアリングを形成することで、前記摺動孔と前記ロッドの摺動摩擦を低減でき、それだけ、運転の信頼性が高く、寿命の長いスターリング機関を提供することができる。
【発明の開示】
上記目的を達成するために本発明は、内部に作動ガスが封入された圧力容器と、前記圧力容器内部に固定されたシリンダと、前記シリンダ内部に配設されたパワーピストンと、前記シリンダ内部に前記パワーピストンと同軸上に配設されたディスプレーサを有するスターリング機関であって、前記ディスプレーサは内部に中空部を有し前記シリンダ内部を摺動するディスプレーサピストンと、該ディスプレーサピストンに連結固定され、前記パワーピストンの中心部に設けられた摺動孔を貫通するロッドを有しており、前記ロッドは中空のパイプ形状で形成され、背圧空間と前記中空部の間の作動ガスの流動を抑制する部材を前記ロッドの端部に設けたことを特徴とするものである。
また本発明は、ディスプレーサピストンは、該ディスプレーサピストンの中空部に作動ガスを流入させるための1又は2以上の流入孔と、流入してきたガスを流出させるための1又は2以上の流出孔を有しており、前記流入孔は前記ロッドを連結している壁面に外面から前記中空部に向けて貫通しており、前記流出孔はディスプレーサピストンの周側壁に中空部から外周面に向けて貫通しており、前記ロッドは中空のパイプ形状で形成され、前記背圧空間と前記中空部の間の作動ガスの流動を抑制する部材を前記ロッドの端部に設けたことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかるスターリング機関の側断面図であり、
第2図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第3図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第4図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図であり、
第5図は本発明に係るスターリング機関に用いられるディスプレーサの側断面図
4
Claims (5)
- フリーピストン型のスターリング機関であって、
内部に作動ガスが封入された圧力容器と、
前記圧力容器内部に固定されたシリンダと、
前記シリンダ内部に配設されたパワーピストンと、
前記シリンダ内部に前記パワーピストンと同軸上に、支持ばねにて弾性支持されたディスプレーサとを有しており、
前記圧力容器はパワーピストンに対してディスプレーサピストン側に形成された作動空間と、前記パワーピストンに対して前記作動空間と反対側に形成された背圧空間とを有しており、
前記ディスプレーサは前記シリンダ内部を摺動するディスプレーサピストンと、該ディスプレーサピストンに連結固定され、前記パワーピストンの中心部に設けられた摺動孔を貫通するロッドを有しており、
前記ロッドが中空のパイプ形状で形成されていることを特徴とするスターリング機関。 - フリーピストン型のスターリング機関であって、
内部に作動ガスが封入された圧力容器と、
前記圧力容器内部に固定されたシリンダと、
前記シリンダ内部に配設されたパワーピストンと、
前記シリンダ内部に前記パワーピストンと同軸上に、支持ばねにて弾性支持されたディスプレーサとを有しており、
前記圧力容器はパワーピストンに対してディスプレーサピストン側に形成された作動空間と、前記パワーピストンに対して前記作動空間と反対側に形成された背圧空間とを有しており、
前記ディスプレーサは前記シリンダ内部を摺動するディスプレーサピストンと、該ディスプレーサピストンに連結固定され、前記パワーピストンの中心部に設けられた摺動孔を貫通するロッドを有しており、
前記ディスプレーサを軽量化して共振周波数を高くするため前記ロッドを中空のパイプ形状にしたことを特徴とするスターリング機関。 - 前記ディスプレーサピストンは中空部を有しており、
作動ガスを前記ピストン中空部に流入させる1又は2以上の流入孔と、
前記中空部に流入したガスを流出させる1又は2以上の流出孔とを有しており、
前記流入孔は前記ロッドが連結している壁面に外面から前記中空部に向けて貫通しており、
前記流出孔はディスプレーサピストンの側周壁に中空部から外周面に向けて貫通しており、
前記ロッドの中空部を介する作動空間と背圧空間の間の作動ガスの流動を防止する手段を有する請求項1又は請求項2に記載のスターリング機関。 - 前記ガスの流動を防止する手段は、前記ディスプレーサピストン中空部と前記ロッド中空部の間のガスの流動を防止する請求項3記載のスターリング機関。
- フリーピストン型のスターリング機関であって、
内部に作動ガスが封入された圧力容器と、
前記圧力容器内部に固定されたシリンダと、
前記シリンダ内部に配設されたパワーピストンと、
前記シリンダ内部に前記パワーピストンと同軸上に、支持ばねにて弾性支持されたディスプレーサとを有しており、
前記圧力容器はパワーピストンに対してディスプレーサピストン側に形成された作動空間と、前記パワーピストンに対して前記作動空間と反対側に形成された背圧空間とを有しており、
前記ディスプレーサは、前記シリンダ内部を摺動し中空部を有するディスプレーサピストンと、前記パワーピストンの中心部に設けられた摺動孔を貫通するロッドを有しており、
前記ディスプレーサピストンは中空部を有しており、
作動ガスを前記ピストン中空部に流入させる1又は2以上の流入孔と、
前記中空部に流入したガスを流出させる1又は2以上の流出孔を有しており、
前記流入孔は前記ロッドが連結している壁面に外面から前記中空部に向けて貫通しており、
前記流出孔はディスプレーサピストンの中空部から外周面に向けて貫通しており、
前記ロッドは中空のパイプ形状を有しており、
前記ロッド中空部のディスプレーサピストンに対して前記流出口よりも離れた位置に、作動空間と背圧空間の間の作動ガスの流動を防止する手段を有しており、
該ロッドの周側壁の前記摺動孔と重なる部分に該ロッドの径方向に1又は2以上の中空部から外周部に貫通するガス流出口を有することを特徴とするスターリング機関。
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