JPWO2005087703A1 - エステル化合物、香料組成物及びエステル化合物の製造方法 - Google Patents

エステル化合物、香料組成物及びエステル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、下記式(4)で示されるエステル化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする香料組成物等である。式(4)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基等を表し、R2〜R8は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基等を表し、R9は炭素数1〜5のアルキル基等を表し、Aは単結合または置換基を有していてもよいメチレン基を表す。本発明によれば、ムスク調の香気を有する新規エステル化合物、及び該化合物を含有する香料組成物等が提供される。

Description

本発明は、香料成分等として有用なエステル化合物及びエステル化合物の混合物、エステル化合物を含有してなる香料組成物、並びにエステル化合物の製造方法に関する。
一般に、香りを与えるために利用される物質を香料という。香料はその原料によって、天然香料と合成香料に大別される。天然香料は1,500種以上存在するといわれるが、このうち市場性を有するものは100〜150種である。合成香料は6,000種以上存在するといわれ、このうちよく用いられる香料は500〜600種である。
合成香料は、豊富に存在する安価な天然物や石油系化学製品等を原料とするため、天然香料に比して安価に製造することができる。また、製品の使用目的、消費者の嗜好、ニーズ等に合わせて、香りの基調、深み、広がり、ボリューム感等を微妙に変化させることができる。そのため、近年、合成香料の開発研究が盛んに行われている。
香料は生理活性物質の一種であり、その化学構造を修飾することにより、その香りが母化合物と微妙に異なったり、時として大きく異なるものになる場合がある。新しい香料を得るためには、既知の香料化合物の類縁体や誘導体を合成して、その香気を評価することが重要である。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、新規エステル化合物及びエステル化合物の混合物、エステル化合物を含有するムスク調の香気を有する香料組成物、並びにエステル化合物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内に、シクロペンチルオキシ基を有する特定構造のエステル化合物を合成したところ、該化合物がムスク調の香気を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、式(1)
Figure 2005087703
(式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物が提供される。
本発明の第2によれば、式(2)
Figure 2005087703
(式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物と、式(3)
Figure 2005087703
(式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物との混合物が提供される。
本発明の第3によれば、式(4)
Figure 2005087703
(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、
は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、
Aは単結合または置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)
で示されるエステル化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする香料組成物が提供される。
本発明の第4によれば、式(5)
Figure 2005087703
(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、Aは単結合または置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)で示される化合物と、エステル化剤とを反応させることを特徴とする式(4)
Figure 2005087703
(式中、R〜R、及びAは前記と同じ意味を表す。)で示されるエステル化合物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、前記エステル化剤として、式:R−C(=O)−X(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)、式:R−C(=O)−OH(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)、または式:〔R−C(=O)〕O(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)式(1)で表されるエステル化合物
本発明の第1は、前記式(1)で表されるエステル化合物(以下、「化合物(1)」という。)である。なお、化合物(1)が不斉炭素原子を有する場合には光学異性体が存在し得るが、全て本発明化合物に含まれる。
前記式(1)中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基及びn−プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基;を表す。
これらの中でも、入手及び製造が容易なことから、r〜rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であることが好ましく、r〜rの全てが水素原子であることが特に好ましい。また、rとrは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であることが好ましく、rとrの少なくとも一方が水素原子であることがより好ましく、r及びrが水素原子であることが特に好ましい。
10は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基を表す。これらの中でも、入手及び製造が容易なことから、r10はメチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が特に好ましい。
化合物(1)の具体例としては、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート(下記式(7)で表される化合物)、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルアセテート、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルブタノエート、2−(2−シクロペンチル−4−メチル−シクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−5−プロピル−シクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−3−メチル−5−エチル−シクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート等の、r及びrがともに水素原子のエステル化合物(以下、「化合物類a」という。);
2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート(下記式(8)で表される化合物)、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルアセテート、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルブタノエート、
2−(2−シクロペンチル−4−メチル−シクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−5−プロピル−シクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−3−メチル−5−エチル−シクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート等の、rがメチル基かつrが水素原子のエステル化合物(以下、「化合物類b」という。);
2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネート(下記式(9)で表される化合物)、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルアセテート、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルブタノエート、2−(2−シクロペンチル−5−メチル−シクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−5−エチル−シクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−4−プロピル−シクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチル−3−メチル−4−プロピル−シクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネート等の、rが水素原子かつrがメチル基のエステル化合物(以下、「化合物類c」という。);等が挙げられる。
これらの中でも、製造の容易さの観点から、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、または2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートがより好ましく、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートが特に好ましい。
Figure 2005087703
2)式(2)で示されるエステル化合物と式(3)で表されるエステル化合物との混合物
本発明の第2は、前記式(2)で表されるエステル化合物(以下、「化合物(2)」という。)、及び前記式(3)で表されるエステル化合物(以下、「化合物(3)」という。)の混合物である。
前記式(2)、(3)中、r〜r及びr10は前記と同じ意味を表す。
なお、化合物(2)及び/または化合物(3)に光学異性体が存在する場合、本発明の混合物に含まれる化合物(2)及び(3)は、それぞれ光学活性体であってもよいし、光学異性体の混合物であってもよい。
前記混合物中の化合物(2)と化合物(3)の混合割合は、特に限定されないが、化合物(2):化合物(3)の重量比が、1:10〜10:1であるのが好ましく、1:3〜3:1であるのがより好ましく、1:2〜2:1であるのが特に好ましい。
本発明の混合物は、例えば、2−シクロペンチルシクロペンタノン、プロピレングリコール及び無水プロピオン酸を原料とした場合に、異性体混合物として得られるが、各エステル化合物に分離することなくそのまま香料組成物等に使用できることから、製造プロセスを簡略化でき有用である。
化合物(2)及び化合物(3)の具体例としては、前記化合物類bと化合物類cと同様のものが挙げられる。これらの中でも、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネートと2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートとの混合物が特に好ましい。
3)式(4)で表されるエステル化合物を含有する香料組成物
本発明の第3は、前記式(4)で表されるエステル化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を含有することを特徴とする香料組成物である。
本発明の香料組成物は、化合物(4)の一種を含有するものであっても、化合物(4)の二種以上を含有するものであってもよい。
また、化合物(4)に光学異性体が存在する場合、本発明の香料組成物は、化合物(4)の光学活性体を用いるものであっても、化合物(4)の光学異性体混合物を用いるものであってもよい。
前記式(4)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
の炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基及びn−オクチル基等が挙げられる。
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
また、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基及びエチルチオ基等のアルキルチオ基;フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子;フェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基及び4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよいシクロペンチル基がより好ましく、シクロペンチル基が特に好ましい。
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表す。
炭素数1〜8のアルキル基及びその置換基としては、前記Rとして列挙したものと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R〜Rとしては、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であるのが好ましく、(i)R〜RのうちR〜Rのいずれか1つがメチル基であり、残りが全て水素原子である場合、または(ii)R〜Rの全てが水素原子である場合が特に好ましい。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表す。炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基及びn−ペンチル基等が挙げられる。その置換基としては、前記Rの炭素数1〜8のアルキル基の置換基として列挙したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよいエチル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
Aは、単結合または置換基を有していてもよいメチレン基を表し、単結合であるのが好ましい。メチレン基の置換基としては、前記Rの炭素数1〜8のアルキル基の置換基として列挙したものと同様のものが挙げられる。
化合物(4)の好ましい具体例としては、下記式(6)で表されるエステル化合物が挙げられる。
Figure 2005087703
式(6)中、R1aは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基、及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基として列挙したものと同様のものが挙げられる。
5a及びR7aは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。
9aは、炭素数1〜5のアルキル基を表し、炭素数1〜5のアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基として列挙したものと同様のものが挙げられる。
式(6)で表されるエステル化合物の好ましい具体例としては、前記化合物類a、化合物類b、及び化合物類cが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、または2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートがより好ましく、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートが特に好ましい。
本発明の香料組成物における化合物(4)の配合量は、調合する香料の種類、目的とする香気の種類及び強さによっても異なるが、香料組成物全体に対して0.1〜90重量%が好ましく、0.5〜50重量%が特に好ましい。
本発明の香料組成物は、化合物(4)の一種または二種以上を含有することを特徴とするが、他の香料成分や溶剤成分を含有していてもよい。
前記他の香料成分としては、例えば、アセチルジイソアミレン、アセチルセドレン、アセトアルデヒドジエチルアセタール、アネトール、アリルアミルグリコレート、アリルヘプタノエート、アリルカプロエート、アルグアブソリュート、アンブリノール、アンブロキサン、イオノンアルファ、イオノンベータ、イソボルニルアセテート、イソカンフィルシクロヘキサノール、インドール、エチルリナロール、エチレンブラッシレート、エディオン、オイゲノール、11−オキサ−16−ヘキサデカノライド、オルトターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノン、オレインジオイル、カモミルオイル、1−カルボン、カローン、カンファー、ガンマデカラクトン、カリオフィレン、クマリン、メチルジヒドロジャスモネート、クローブバッドオイル、ガラキソリド、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、グレープフルーツオイル、ゲラニルニトリル、コパイババルサム、コープスパンプル10%、ジエチルフタレート、シトラール、1,8−シネオール、シクラメンアルデヒド、システアブソリュート、シトロネラオイル、シトロネロール、シトロネリルホルメート、ジヒドロミルセノール、ジフェニルオキサイド、シベトン、ジメチルアンスラニレート、ジメチルハイドロキノン、ジメチルベンジルカルビノールアセテート、ジャスミンオイル、ジャスモピラン、スチラリルアセテート、スペアミントオイル、セージクラリルオイル、セドロール、センテナール、シトロネリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ダマセノン、チモール、テトラハイドロムゴール、テルピネオール、テルピニルアセテート、トナリド、トリエチルシトレート、トリシクロデセニルアセテート、トリプラールテルピネオール、トリメチルウンデセナール、ネロリオイル、ネリルアセテート、ノピルアセテート、パインオイル、バクダノール、バジルオイル、バジレックス、パールライド、ハッカオイル、パッチョウリオイル、α−ピネン、フェニルエチルアルコール、フェノキサノール、ブルゲオナール、プレニルアセテート、ヘイアブソリュート、シス−3−ヘキセノール、ヘキシルアセテート、ベータナフトールエチルエーテル、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、ペパーミントオイル、ヘリオナール、ヘリオトロピン、ベルガモットオイル、ベルトネックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ボルネオール、マイヨール、メチルオクチンカーボネート、メチルアントラニレート、メチルサリシレート、メチルジヒドロジャスモネート、メチルヨノン、メントン、l−メントール、ユーカリプトスオイル、ライムオイル、ラバンディングロッソ、ラブタナムアブソリュート、ラベンダーオイル、リモネン、リナロール、リナリルアセテート、リラール、リリアール、レモンオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、ローズオットブルガリアン及びローズターキッシュ等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
これら他の香料成分の配合量は、化合物(4)1重量部に対して、通常0.1〜500重量部、好ましくは1〜200重量部の範囲である。
溶剤成分としては、エタノール、多価アルコール系溶剤、パラフィン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、フタル酸エステル系溶剤等が挙げられる。溶剤成分は、担持体に含浸させて用いる場合の浸透性を向上させる場合に用いることができる。
また、本発明の香料組成物においては、水を媒体として担持体に香料組成物を浸透させたい場合には、香料組成物中に界面活性剤を配合することもできる。さらに、本発明の香料組成物を芳香剤として用いる場合には、香りの持続期間を調整するために、香料組成物中に保留剤を配合することもできる。
本発明の香料組成物はムスク調の香気を有するため、優雅で温かい香調を付与し、香水、石鹸、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、洗剤、化粧品、ヘアスプレー、芳香剤等の賦香成分として使用することができる。
4)式(4)で表されるエステル化合物の製造方法
本発明の第4は、前記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」という。)と、エステル化剤とを反応させることを特徴とする化合物(4)の製造方法である。本発明の製造方法によれば、目的とする化合物(4)を簡便にかつ収率よく得ることができる。
用いるエステル化剤としては、化合物(5)の水酸基(OH基)と反応して、−O−C(=O)Rで表されるエステル結合を生成する化合物であれば、特に制約されない。
エステル化剤としては、例えば、式:R−C(=O)−Xで示される酸ハライド、式:R−C(=O)−OHで示されるカルボン酸、及び式:〔R−C(=O)〕Oで示される酸無水物が好ましい。ここで、Rは前記と同じ意味を表し、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
前記エステル化剤のうち、式:R−C(=O)−Xで示される酸ハライド、または式:〔R−C(=O)〕Oで示される酸無水物を用いる場合には、無溶媒あるいは適当な溶媒中、所望により塩基の存在下に、化合物(5)とエステル化剤との反応を行うことができる。
用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限されない。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミド及びN、N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の含硫黄化合物;等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
用いる塩基としては、特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン及びルチジン等が挙げられる。
前記エステル化剤のうち、式:R−C(=O)−OHで示されるカルボン酸を用いる場合には、無溶媒あるいは適当な有機溶媒中、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の脱水剤の存在下に、化合物(5)とエステル化剤との反応を行うことができる。
エステル化剤の使用量は、化合物(5)1モルに対し、通常0.1モル〜5モル、好ましくは0.5モル〜3モル、より好ましくは0.8モル〜2.5モルの範囲である。
反応温度は、通常20℃〜180℃、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃である。
反応終了後は、通常の後処理を行い、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の精製方法により、目的とする化合物(4)を単離することができる。
製造原料である化合物(5)は、例えば、下記式(10)で表されるシクロペンタノン誘導体と式(11)で表されるジオール化合物を反応させて、式(12)で表されるケタール化合物を得(ケタール化工程)、次いで、得られたケタール化合物を還元して(還元工程)、得ることが好ましい。
Figure 2005087703
(式中、R〜R及びAは前記と同じ意味を表す。)
ケタール化工程は、式(10)で表されるシクロペンタノン化合物と式(11)で表されるジオール化合物とを、溶媒中、酸触媒の存在下で撹拌することにより行われる。この場合、反応を促進させるために、生成する水を反応系外に除去しながら反応を行うことができる。
前記式(11)で表されるジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールが好ましい。
式(11)で表されるジオール化合物の使用量は、式(10)で表されるシクロペンタノン化合物1モルに対し、通常0.1モル〜5モル、好ましくは0.5モル〜3モル、より好ましくは1モル〜2.5モルの範囲である。
ケタール化工程で用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
用いる酸触媒としては、例えば、塩酸及び硫酸等の鉱酸類;パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸及びシュウ酸等の有機酸類;等が挙げられる。
酸触媒の使用量は、式(10)で表されるシクロペンタノン誘導体1モルに対して、通常0.0001モル〜5モル、より好ましくは0.001モル〜1モル、特に好ましくは0.001モル〜0.1モルの範囲である。
ケタール化工程の反応温度は、通常60℃〜200℃、好ましくは80℃〜180℃、より好ましくは100℃〜140℃である。
ケタール化反応終了後は、通常の後処理を行い、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の精製方法により、式(12)で表されるケタール化合物を単離することができる。なお、単離せずに反応溶液をそのまま次の還元工程に用いることもできる。
続く還元工程は、式(12)で表されるケタール化合物を還元して、化合物(5)を得る工程である。
還元方法は特に限定されないが、例えば、還元剤を用いる方法や、触媒を用いる接触水素還元方法が採用できる。
用いる還元剤としては特に制限されず、例えば、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH)、及び水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)等のアルミニウムの水素化物;水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ジボラン(B)、ボラン・アンモニア錯体(BH・NH)、ボラン・t−ブチルアミン錯体(BH・(CHNH)、ボラン・テトラヒドロフラン錯体(BH・THF)、及びボラン・ジメチルスルフィド錯体(BH・(CHS)等のホウ素の水素化物;等が挙げられる。
接触水素還元方法に用いる触媒としては、特に制限されず、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金及びラネーニッケル等の公知の水素化触媒が挙げられる。
還元工程で用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、あるいは二種以上を混合して用いることもできる。
還元工程の反応温度は、通常−50℃〜+180℃、好ましくは−20℃〜+120℃、より好ましくは−10℃〜+80℃である。
還元反応終了後は、ろ過できる触媒はろ別し、NaBHやLiAlH等の還元剤を用いた場合は、塩酸等で中和した後、有機層を水層から分離し、カラムクロマトグラフィー、蒸留及び再結晶等の通常の精製方法により、化合物(5)を単離することができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定さ
れるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「部」及び「
%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
生成物の純度は、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
分析条件を以下に示す。
分析機器 :Hewlett Packard HP−6890 Series GC System
カラム :HP−1(30m×I.D.0.25mm)
キャリアーガス:He
カラム温度 :100℃で5分保持→10°C/分で昇温→250°Cで5分保持
検出器 :FID
サンプル量 :0.1ml
実施例1 2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートの製造
攪拌装置、水分離器、冷却器、温度計及び導入漏斗を備えた4つ口反応器中へ、2−シクロペンチルシクロペンタノン76部、エチレングリコール62部、トルエン130部及びp−トルエンスルホン酸一水和物0.5部を入れた。この混合物を攪拌しながら8時間還流下に加熱した。その間、水及び過剰のジオール分をトルエンとともに共沸蒸留した。放冷後、反応混合物にNaCO10部、水200部及びトルエン87部を加えて攪拌し、静置した後トルエン層を分離した。トルエン層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、NaCOで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を減圧蒸留したところ、純度98.3%のケタール体(式(12)において、Rがシクロペンチル基、R〜Rが全て水素原子、かつAが単結合である化合物)を48.0部得た。2−シクロペンチルシクロペンタノンからの収率48.9%。
次いで、得られたケタール体48.0部を、攪拌機、冷却器及び温度計を備えた3つ口フラスコに入れ、これを氷浴で0℃〜5℃に冷却した。ここに、攪拌下、1.0Mのボラン・テトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液267部を加えた。その後、反応溶液を0℃〜5℃に10分間維持し、さらに室温にて24時間攪拌した。反応溶液に水20部、エタノール39部及び4N−塩酸30部をこの順に加えて30分間攪拌した。次にNaCO水溶液で中和し、ジエチルエーテル428部で抽出した。ジエチルエーテル層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、NaCOで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を減圧乾燥したところ、ヒドロキシエーテル体(前記式(5)において、Rがシクロペンチル基、R〜Rが全て水素原子、かつAが単結合である化合物)を主成分とする粗生成物38.7部を得た。
得られたヒドロキシエーテル体粗生成物38.7部を、攪拌機、冷却管及び温度計を備えた3つ口フラスコに添加し、無水プロピオン酸51.7部、及びトルエン108部を加えた。次いで、130℃に加熱し、還流下1時間攪拌した。放冷後、NaCO水溶液で中和し、トルエン433部で抽出した。トルエン層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、NaCOで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を減圧蒸留し、純度99.2%の2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートを42.3部得た(ケタール体からの収率:66.8%)。
この化合物は、木様のさわやかなニュアンスを有する、温かいムスク香調を示した。
以下に、得られた2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートの分析データを示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):4.19(m,4H)、3.72−3.55(m,4H)、3.44(m,2H)、2.33(m,4H)、1.85−1.41(m,28H)、1.12(m,10H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,TMS,δppm):174.3、86.3、82.7、66.9、66.5、63.7、52.1、50.9、44.2、40.2、32.2、31.8、31.7、31.2、31.1、30.8、29.7、28.9、27.6、27.5、25.4、25.3、25.2、25.1、23.1、22.2、9.1;
MS(EI、70mV):254、153、137、119、108、101、95、81、67、57、41
実施例2 2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネートと、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートの混合物の製造
攪拌装置、水分離器、冷却器、温度計及び導入漏斗を備えた4つ口反応器中へ、2−シクロペンチルシクロペンタノン152部、プロピレングリコール152部、トルエン260部及びp−トルエンスルホン酸一水和物1部を入れた。この混合物を攪拌しながら16時間還流下に加熱した。その間、水及び過剰のジオール分をトルエンとともに共沸蒸留した。放冷後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300部及びトルエン87部を加えて攪拌し、静置した後トルエン層を分離した。トルエン層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を減圧蒸留したところ、ケタール体の異性体混合物(前記式(12)において、Rがシクロペンチル基、R〜Rが全て水素原子、Aが単結合、かつ、R〜Rのいずれか1つがメチル基で、残りは全て水素原子である化合物)を127.7部得た。
なお、このケタール体の異性体混合物中の異性体合計純度は98.3%であり、2−シクロペンチルシクロペンタノンから異性体混合物への合計収率は60.7%であった。
次いで、得られたケタール体の異性体混合物52.0部を、攪拌機、冷却器及び温度計を備えた3つ口フラスコへ入れ、0℃〜5℃に冷却した。ここに、攪拌下、1.0Mのボラン・テトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液267部を加えた。その後、反応溶液を0℃〜5℃に10分間維持し、さらに室温にて24時間攪拌した。反応溶液に、水20部、エタノール39部及び4N−塩酸60部をこの順に加えて30分間攪拌した。次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジエチルエーテル570部で抽出した。ジエチルエーテル層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を減圧乾燥したところ、ヒドロキシエーテル体の異性体混合物(前記式(5)において、Rがシクロペンチル基、R〜Rが全て水素原子、Aが単結合、かつ、R〜Rのいずれか1つのみがメチル基で、残りは全て水素原子である化合物)を主成分とする粗生成物57.0部を得た。
次に上記ヒドロキシエーテル体の異性体混合物の粗生成物47.0部を、攪拌機、冷却管及び温度計を備えた3つ口フラスコに入れ、無水プロピオン酸59部、ピリジン197部を加えた。
次いで、反応溶液を90℃に加熱し、30時間攪拌した。放冷後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、トルエン433部で抽出した。トルエン層を4N−塩酸300部、水及び飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。
ろ液を濃縮して得られる濃縮物を減圧蒸留したところ、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、及び2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートの異性体混合物を41.3部得た。
異性体混合物中の、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、及び2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートの合計純度は99.8%であった。
また、ケタール体からの2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、及び2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートの合計収率は60.0%であった。
この異性体混合物はアンバーノートの強い、淡いムスク香調を示した。
なお、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−2−メチル−エチルプロピオネート、及び2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)−1−メチル−エチルプロピオネートの存在割合は、重量比で54/46であった。
得られた異性体混合物の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):5.05(m,2H)、4.02(m,6H)、3.85(s,2H)、3.68(m,6H)、3.44(m,2H)、3.26(m,2H)、2.32(m,8H)、1.46−1.79(m,52H)、1.23−1.09(m,32H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,TMS,δppm):174.3、86.4、84.7、82.7、81,3、71.6、71.2、71.1、69.7、69.5、67.5、67.4、52.3、52.2、51.2、50.9、44.3、43.9、40.1、39.8、32.9、32.3、32.2、31.9、31.8、31.7、31.3、31.2、31.0、30.6、29.7、29.3、28.9、28.8、27.9、27.6、25.5、25.3、25.2、25.1、23.0、22.9、22.2、22.1、18.8、18.4、17.0、16.9、9.2
MS(EI、70mV):269、181、158、137、115、95、81、67、57、41
実施例3 香料組成物(I)の調製
実施例1で得られた2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートと他の香料成分を混合して、香料組成物(I)を調製した。
香料組成物中の各香料成分の配合割合を下記に示す(合計1000部)。
2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネート
: 30部
ゼッピン(日本ゼオン社製) : 3部
γ−ウンデカラクトン : 4部
cis−3−ヘキセニルアセテート(日本ゼオン社製): 5部
酢酸リナリル : 10部
酢酸スチラリル : 10部
ヘリオナール : 15部
ジヒドロミルセノール : 14部
フェノキサナール : 10部
シンナミックアルコール : 10部
酢酸ジメチルベンジルカルビニル : 10部
ロジノール : 20部
フロローザ(Quest) : 30部
ローズアブソリュート : 15部
スーパーセピオネート(日本ゼオン社製) : 90部
フェノキシエチルアルコール :175部
α−ヨノン : 10部
エバノール(Givaudan社製) : 10部
イソEスーパー :200部
イソメチルヨノン :220部
アンブロキサン(Henkel社製) : 5部
エチルバニリン : 5部
ヘリオトロピン : 15部
シクロペンタデカノリッド : 80部
得られた香料組成物(I)について、5名のパネラーによる評価を行い、その評価結果を第1表に示した。
比較例1 香料組成物(II)の調製
実施例3の香料組成物(I)の成分のうち、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートをエチレンブラシレートに変えた以外は、実施例3と同様にして香料組成物(II)を調製した。
得られた香料組成物(II)について、5名のパネラーによる評価を行い、その評価結果を第1表に示した。
Figure 2005087703
第1表に見られるように、すべてのパネラーが、2−(2−シクロペンチルシクロペンチルオキシ)エチルプロピオネートを用いた香料組成物(I)の方が、エチレンブラシレートを用いた香料組成物(II)より良好であると評価した。
本発明のエステル化合物及びエステル化合物の混合物は、ムスク調の香気を示し、木様、ときには花様のタイプの香料と一緒に発現しうる香料組成物として有用である。
本発明の香料組成物は、ムスク調の香気を有し、優雅で温かい香調を付与するため、香水、石鹸、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、洗剤、化粧品、ヘアスプレー、芳香剤等の賦香成分として使用することができる。
本発明のエステル化合物の製造方法によれば、本発明のエステル化合物を簡便かつ収率よく製造することができる。

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2005087703
    (式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物。
  2. 式(2)
    Figure 2005087703
    (式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物と、式(3)
    Figure 2005087703
    (式中、r〜rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、r10は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される化合物との混合物。
  3. 式(4)
    Figure 2005087703
    (式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、
    〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、
    は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、
    Aは単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)
    で示されるエステル化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする香料組成物。
  4. 式(5)
    Figure 2005087703
    (式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、Aは単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)で示される化合物と、エステル化剤とを反応させることを特徴とする式(4)
    Figure 2005087703
    (式中、R〜R、及びAは前記と同じ意味を表す。)で示されるエステル化合物の製造方法。
  5. 前記エステル化剤として、式:R−C(=O)−X(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)、式:R−C(=O)−OH(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)、または式:〔R−C(=O)〕O(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を用いることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
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