しかしながら、例えば、一般的な追記型光ディスクの製造方法としてスピンコート方式が多く用いられていることが一つの要因となって、該追記型光ディスクの情報記録面の場所において、記録特性のばらつきが存在する。より詳細には、内周側から外周側に向かって、最適記録パワーの値は、大きくなることが判明している。すると、この光ディスクに対して、内周側に位置するOPCエリアで行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値を、一定の状態のままで外周側において適用することは、情報記録面の特性に対応した適切な記録動作を行なう上で望ましくない。
また、同一の光ディスクに対して、異なった速度でデータを記録する場合には、最適記録パワーは記録速度によっても大きく依存している。仮に、OPCエリアにおいて、1倍速で行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値によって、4倍速等の異なった速度で書込みを行なうと、情報記録面の場所における記録特性に対応した適切な記録動作を行なうことは難しい。
これに対して、光ディスクの種類、情報記録面の場所及び記録速度に対応した記録特性を事前に調査し、ディスクドライブのファームウェアに該光ディスクの種類等のパラメータに対応した記録特性に最適記録パワーの基準値を登録しておき、実際の記録動作時に、その登録した基準値によって、最適記録パワーの値を推測するという方法が用いられていた。そのため、ドライブのファームウェアプログラムに、最適記録パワーの値の推測のためのアルゴリズムを実装する必要がある。しかし、記録特性の変化は単調な場合ばかりではなく、指数関数的であったりもして変則的なため、正確な最適記録パワーの値の変化量の推測を行なうのは実際には困難であるという技術的問題点がある。更に、この場合、新規の光ディスクが発売されると、当該光ディスクに適切に記録するためには、その新規の光ディスクの記録特性の情報を登録するために、ディスクドライブのファームウェアプログラムを更新する必要があった。しかし、特に民生用のDVDレコーダー等の場合、ユーザが自発的にファームウェアプログラムの更新を行なうことは殆ど又は完全になく、事実上、新規の光ディスクの記録特性に対応して記録動作を行うのは困難であるのが現状である。
本発明は、例えば上述の問題点に鑑みなされたものであり、例えば、追記型光ディスク等の情報記録媒体に対して、情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することを可能ならしめる情報記録装置、及びこのような情報記録装置において実施される最適記録パワーを検出する情報記録方法、情報記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
(情報記録装置)
以下、本発明に係る情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、レーザ光を照射することによって、情報記録媒体のデータ領域に、所定エラー訂正方式に準拠して情報を記録可能な記録手段と、該記録手段を用いて、前記データ領域内にあって前記所定エラー訂正方式における許容欠陥長以下の長さを有するデータ領域部分に、試し書き用データを記録することにより、前記レーザ光の最適記録パワーを求める最適記録パワー検出手段と、該求められた最適記録パワーで前記データ領域に前記情報を記録するように前記記録手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置によれば、先ず情報記録媒体が装填されると、例えば、光ピックアップ等によりシーク動作が行われ、例えば、デコーダで再生されるデータが取得される。これにより、情報記録媒体の各種処理に必要な各種管理用データが取得される。この管理用データに基づいて、例えばホスト装置又はバックエンド等からの指示に応じて、情報記録媒体へのアクセスが行われる。
続いて、ホスト装置等から書き込みのコマンドが入力されると、記録手段が、例えば、専用試し書き領域であるOPCエリアへ移動されると共に、最適記録パワー検出手段の制御下で、順次段階的に記録レーザパワーが切り換えられて、試し書き用データが、OPCエリアに記録される。より詳細には、本発明に係る「試し書き用データ」は「OPCピット」と「OPCパターン」に分類される。例えば、OPCエリアに、最適記録パワーを検出するために、試し書きされる記録ピットを適宜「OPCピット」と称す。そして、OPC処理用に、一段のパワーステップで(即ち、記録レーザパワーが一定で)記録される、通常複数のOPCピットを含んでなるピットパターンを適宜「OPCパターン」と称する。
次に、このような例えば、OPCエリアにおいて試し書き用データの試し書きの完了後には、最適記録パワー検出手段による制御下で、試し書きされたOPCパターンが再生され、再生されたOPCパターンのサンプリングが順次行われて、最適記録パワーが求められる。尚、より詳細には、例えば、ランドプリピットにより示されたプリフォーマットアドレス情報によって、試し書き用データであるOPCパターンの記録時と再生時とのタイミング合わせが可能となり、当該OPC処理を実行可能となる。
特に、本発明では、CD−R、DVD−R又はBD(Blu-ray Disc)−R等のライトワンスメディア(WO Media:Write Once Media)、即ち、追記型の情報記録媒体のデータ領域内にあって所定エラー訂正方式における許容欠陥長以下の長さを有する、本発明に係る「データ領域部分」において、最適記録パワー検出手段の制御下で、OPC処理が行われ、最適記録パワーが求められる。ここに、「許容欠陥長」とは、発生することが許容された欠陥の最大の長さである。より詳細には、許容欠陥長は、再生時に、例えば、1ECCブロック等の所定情報量を持ったエラー訂正単位においてランダムエラーやバーストエラー等のドロップアウトが発生してもエラー訂正によって、ユーザデータ等の情報を復元することが可能であるので、情報記録面において、発生することが許容された物理的な欠陥の最大の長さである。
続いて、本発明の情報記録装置によれば、制御手段の制御下で、OPC処理が行われたデータ領域部分を、あたかも通常の未記録状態のデータ領域とみなして、記録手段によって、最適記録パワーで情報が記録される。即ち、OPCパターンが記録されたデータ領域部分には、情報が上書き又は避けて書かれる。
そして、上書き又は避けて書かれた領域の情報は、破壊されてしまうのでバーストエラー等が発生するが、許容欠陥長より小さいので、情報を復元し再生することが可能である。言い換えると、再生時に、データ領域に記録された情報を、所定エラー訂正方式でエラー訂正すれば、試し書き用データは、欠陥データと同等に扱われることになる。その際特に、試し書き用データは、所定エラー訂正方式における許容欠陥長以下の長さで記録されているので、当該所定エラー訂正方式によって、試し書き用データを欠陥の一部として、問題なく除去することができ、よって情報を問題なく再生できる。
よって、データ領域におけるOPC処理と、情報の正常な記録及び再生との両立を実現可能である。
以上より、本発明の情報記録装置によれば、内周側又は外周側のOPCエリアではなく、例えば、テータエリア等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。よって、記録特性のばらつきが未知の光ディスクに対しても、データを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれ、該OPC処理によって、検出された最適記録パワーによって、記録動作を行なうことが可能となる。
加えて、OPCエリアが十分に大きくない場合や、OPCエリアを使い果たしてしまった場合でも未記録状態のデータ領域が残っていればOPC処理を行なうことが可能であるので、記録動作を継続させ、光ディスクの寿命時間を延長させることが可能となる。
更に、データを実際に記録する領域であるテータ領域内のテータ領域部分において、OPC処理が行われるので、内周側又は外周側等に位置するOPCエリアに光ピックアップ等を移動させる必要がないので、OPC処理にかかる時間を短縮することが可能である。
本発明の情報記録装置の一態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記データ領域部分として、前記情報が実際に記録される位置の近傍の部分を用いる。
この態様によれば、例えば、テータエリア等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値をより的確に検出することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記データ領域部分として、前記許容欠陥長よりも予め設定されたマージン分だけ短い長さを有する部分を用いる。
この態様によれば、OPC処理以外の本来のエラー訂正能力をマージンの範囲内で行なえる。
よって、データ領域におけるOPC処理と情報の正常な記録及び再生との両立をより確実に実現可能である。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記データ領域部分として、前記データ領域内におけるシンク信号が記録される部分を除く部分を用いる。
この態様によれば、記録及び再生に必要なシンク信号の再生が妨げられることがない。
よって、データ領域におけるOPC処理と情報の正常な記録及び再生との両立をより確実に実現可能である。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記データ領域部分として、前記情報が記録又は再生される際のトラッキングサーボにおけるトラッキングサーボエラーの許容範囲内の長さを有する部分を用いる。
この態様によれば、トラッキングサーボエラーの許容範囲内の長さを有する部分を用いるので、光ディスクが異なるトラッキングサーボ系のドライブで再生される場合であっても、各種トラッキングサーボについても、試し書き用データの存在によって実効不能になることはない。より詳細には、「トラッキングサーボエラーの許容範囲内の長さ」とは、異なる種類のトラッキングサーボを採用した情報記録装置によって、光ディスクが記録又は再生される時に、各種トラッキングサーボの正常な制御を行なう上で許容された物理的な欠陥の最大の長さである。尚、例えば、CD−R、DVD−R又はBD−R記録装置においては、プッシュプルトラッキング方式が採用され、CD−ROM又はDVD−ROM再生専用ドライブにおいては位相差法によるトラッキング方式が採用されている。より具体的には、DVD−R又はBD−Rの場合、例えば、データ領域における未記録状態の1ECCブロックの許容欠陥長以下の長さの領域において、OPC処理が行なわれる。或いは、CD−Rの場合、連続する4セクタからなる未記録状態のブロックの許容欠陥長以下の長さの領域においてOPC処理が行なわれる。特に、両方式において、許容欠陥長の約70%程度の長さに領域においてOPC処理が行われるのが望ましい。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記データ領域部分として、前記所定エラー訂正方式におけるエラー訂正単位(ECCブロック)毎に前記許容欠陥長以下の長さを有する部分を用いる。
この態様によれば、試し書き用データが、一つのECCブロック等のエラー訂正単位に対して許容欠陥長を超えてしまうような大きなデータである場合にも、エラー訂正単位毎にエラー訂正可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適記録パワー検出手段は、前記試し書き用データが前記許容欠陥長よりも長いデータである場合には、前記データ領域部分を、前記許容欠陥長以下の長さを有する部分に分割した形で、前記所定エラー訂正方式における複数のエラー訂正単位(ECCブロック)に分散させる。
この態様によれば、試し書き用データが、一つのECCブロック等のエラー訂正単位に対して許容欠陥長を超えてしまうような極端に巨大なデータである場合にも、エラー訂正単位毎にエラー訂正可能となる。
より具体的には、一回のOPC処理で、n(但し、nは自然数)段のパワーステップで記録する場合には、n個の各エラー訂正単位(ECCブロック)における許容欠陥長以下の長さを有する分割されたデータ領域部分において、n個のOPCパターンが異なる記録レーザパワーにて少なくとも一個ずつ分散されて記録されることになる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記データ領域とは別に前記試し書き用データを書き込むための専用試し書き領域を有し、前記最適記録パワー検出手段は、前記記録手段を用いて、前記試し書き用データを前記データ領域部分に記録する前に前記専用試し書き領域に記録することで、前記最適記録パワーを先ず求めると共に、前記専用試し書き領域を前記試し書き用データで記録し尽くした後に、前記試し書き用データを前記データ領域部分に記録する。
この態様によれば、通常のOPCエリア等の専用試し書き領域におけるOPC処理も実施可能であり、当該情報記録装置が正常なOPC処理を行えるか否かを最初に判定可能である。よって、データ領域におけるより確実なOPC処理が実現可能となる。
加えて、一次的なOPC処理であるOPCエリア等の専用試し書き領域を、必要最小限に小さくすることが可能となる。そして、専用試し書き領域が不足したら、二次的にデータ領域におけるOPC処理を利用することで情報記録媒体の効率的な使用が可能となる。
(情報記録方法)
以下、本発明に係る情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、レーザ光を照射することによって、情報記録媒体におけるデータ領域に、所定エラー訂正方式に準拠して情報を記録可能な記録手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、該記録手段を用いて、前記データ領域内にあって前記所定エラー訂正方式における許容欠陥長以下の長さを有するデータ領域部分に、試し書き用データを記録することにより、前記レーザ光の最適記録パワーを求める最適記録パワー検出工程と、該求められた最適記録パワーで前記データ領域に前記情報を記録するように前記記録手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法によれば、上述した本発明の情報記録装置の場合と同様に、内周側又は外周側のOPCエリアではなく、例えば、テータエリア等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。よって、記録特性のばらつきが未知の光ディスクに対しても、データを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれ、該OPC処理によって、検出された最適記録パワーによって、記録動作を行なうことが可能となる。
尚、本発明の情報記録方法においても、上述した本発明の情報記録装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
(情報記録再生装置)
以下、本発明に係る情報記録再生装置について説明する。
本発明の情報記録再生装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種形態も含む)と、前記情報記録媒体から前記情報を再生する再生手段とを備える。
本発明の情報記録再生装置によれば、上述した本発明の情報記録装置の場合と同様な各種利益を享受することができると共に、例えば光ピックアップやRF検出器等を備えてなる再生手段を用いて情報を再生することが可能である。
尚、本発明の情報記録再生装置においても、上述した本発明の情報記録装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
(情報記録再生方法)
以下、本発明に係る情報記録再生方法について説明する。
本発明の情報記録再生方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録方法(但し、その各種形態も含む)であって、前記情報記録媒体から前記情報を再生する再生工程とを備える。
本発明の情報記録再生方法によれば、上述した本発明の情報記録再生装置の場合と同様な各種利益を享受することができると共に、例えば光ピックアップやRF検出器等を備えてなる再生工程を用いて情報を再生することが可能である。
尚、本発明の情報記録再生方法においても、上述した本発明の情報記録再生装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
(コンピュータプログラム)
以下、本発明に係るコンピュータプログラムについて説明する。
本発明の第1コンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種形態も含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記最適記録パワー検出手段及び前記制御手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明の第1コンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば、通信手段等を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、本発明の第1コンピュータプログラムにおいても、上述した本発明の情報記録装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
本発明の第2コンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録再生装置(但し、その各種形態も含む)に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記情報記録装置及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明の第2コンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば、通信手段等を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録再生装置を比較的簡単に実現できる。
尚、本発明の第2コンピュータプログラムにおいても、上述した本発明の情報記録再生装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内の第1コンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録手段、前記最適記録パワー検出手段及び前記制御手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明の第1コンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記記録手段、前記最適記録パワー検出手段及び前記制御手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した前記記録手段、前記最適記録パワー検出手段及び前記制御手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
コンピュータ読取可能な媒体内の第2コンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録再生装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記情報記録装置及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明の第2コンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記情報記録装置及び前記再生手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した前記情報記録装置及び前記再生手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置及び方法、並びに、情報記録再生装置及び方法によれば、記録手段、最適記録パワー検出手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備えているので、テータ領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。また、本発明の記録制御用のコンピュータプログラムによれば、テータエリア等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。また、本発明の記録再生制御用のコンピュータプログラムによれば、テータエリア等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。
1…センターホール、10…トラック、11…セクタ、100…光ディスク、101…リードインエリア、102…データエリア、103…リードアウトエリア、200及び201…OPCエリア、300…情報記録再生装置、301…スピンドルモータ、310…光ピックアップ、311…ヘッドアンプ、RF検出器…312、サーボ回路…315、LDドライバ…320、325…ウォブル検波器、326…LPPデータ検出器、330…エンベロープ検波器、340…OPCパターン生成器、345…タイミング生成器、350…データ収集器、360…バッファ、370…DVDモジュレータ、380…データECC生成器、385…バッファ、390…インタフェース、400…CPU、LB…レーザ光
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(情報記録装置の第1実施例)
次に、図1から図9を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の構成及び動作、並びに本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体について詳細に説明する。
(情報記録媒体)
先ず、図1を参照して本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに図1は、本発明の情報記録媒体の一実施例である光ディスクの基本構造を示し、上側部分は複数の記録領域を有する光ディスクの概略平面図であり、これに対応付けられる下側部分は、その径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
本実施例に係る情報記録媒体は、各種の破壊書込み方式により一回だけ記録が可能であると共に多数回に亘って再生が可能である追記型光ディスクからなる。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として内周側から外周側に向けて、本実施例に係るOPCエリア200、リードインエリア101、本発明の「データ領域」の一例を構成するデータエリア102、及びリードアウトエリア103が設けられている。尚、リードアウトエリア103の外周側に、更に、OPCエリア201が設けられていてもよい。
そして、各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、トラック10上には、データがセクタ11という単位が例えば16個集まったエラー訂正可能な管理単位であるECCブロックにて記録される。
リードインエリア101及びリードアウトエリア103には、データの記録再生を制御又は管理するための各種情報が記録される。例えば、制御情報は、データエリア102への記録及び読取を制御する情報であり、例えば、情報記録媒体の属性や種類などを示す情報、データのアドレス管理をするための情報、例えばディスクドライブ等の情報記録再生装置の記録動作及び読取動作を制御するための情報などである。
データエリア102には、ユーザデータ等のデータが記録される。尚、情報記録媒体に記録される制御情報及び管理情報とデータとはそれらの内容に応じて常に明確に区別できるものではない。しかし、制御情報及び管理情報は主として例えばディスクドライブ等の情報記録再生装置の動作制御に直接的に用いられる情報であるのに対し、データは情報記録再生装置では主として単なる記録又は読取の対象となるだけのデータであり、主として例えばバックエンド又はホストコンピュータのデータ再生処理ないしプログラム実行処理において用いられるデータである。このような性質の違い等に応じて、データはデータエリア102に記録され、制御情報及び管理情報は、リードインエリア101並びにリードアウトエリア103に記録される。
OPCエリア200及び201とは、後述されるOPC処理、即ち、最適記録パワーの検出、即ち、記録レーザパワーのキャリブレーション(較正)の際に使用される記録領域である。
特に、本実施例においては、図1に示した如き5つの記録領域を有する光ディスク100には限定されない。例えば、OPCエリア200は、最内周に位置してなくてもよく、例えば、図1中で、リードインエリア101内、データエリア102内、又はリードアウトエリア103内等に位置してもよいし、若しくは、リードインエリア101とデータエリア102との間、データエリア102とリードアウトエリア103との間、又はリードアウトエリア103の外周側などに位置してもよい。また、リードインエリア101やリードアウトエリア103の存在も任意であり、OPCピット或いはOPCパターンが記録されるOPCエリア200と記録データが記録されるデータエリア102との二つの記録領域が少なくとも設けられていればよい。加えて、このようなOPCエリアは、一つにまとめられて配置されてもよいし、複数に分割されて配置されてもよい。
(情報記録再生装置)
次に、図2を参照して本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の基本構成について説明する。ここに、図2は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図2に示すように、本実施例に係る情報記録再生装置300は、スピンドルモータ301、光ピックアップ310、ヘッドアンプ311、RF検出器312、サーボ回路315、LDドライバ320、ウォブル検波器325、LPPデータ検出器326、エンベロープ検波器330、OPCパターン生成器340、タイミング生成器345、データ収集器350、バッファ360、DVDモジュレータ370、データECC生成器380、バッファ385、インタフェース390及びCPU(Central Processing Unit)400を備えて構成されている。
スピンドルモータ301は、サーボ回路315等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
光ピックアップ310は、光ディスク100への記録又は再生を行うもので、半導体レーザ装置、各種レンズ、アクチュエータ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ310は、光ディスク100に対してレーザ光を、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。光ピックアップ310は、サーボ回路315により駆動される図示しないアクチュエータ、スライダ等により光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。
ヘッドアンプ311は、光ピックアップ310の出力信号(即ち、レーザ光LBの反射光)を増幅し、該増幅した信号を出力する。具体的には、読取信号たるRF信号がRF検出器312及びエンベロープ検波器330に出力され、プッシュプル信号がウォブル検出器325やLPPデータ検出器326へ出力される。
RF検出器312は、RF信号を検出し、復調等を施すことで、再生データをバッファ385及びインタフェース390経由で外部へ出力可能に構成されている。そして、インタフェース390に接続された外部出力機器(例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示デバイス、或いはスピーカ等)において、所定のコンテンツが再生出力されることとなる。
サーボ回路315は、光ピックアップ310の受光結果を処理して得られるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号等に基づいて、光ピックアップ310の対物レンズを移動し、これによりトラッキング制御及びフォーカス制御等の各種サーボ処理を実行する。また、光ディスク100におけるウォブリングされたグルーブトラックのウォブルから得られるウォブル信号を基準にして、スピンドルモータ301をサーボ制御するように構成されている。
LDドライバ320は、後述のOPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び再生処理により最適記録パワーの決定が行えるように、光ピックアップ310内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、LDドライバ320は、データ記録時には、OPC処理により決定された最適記録パワーで、光ピックアップ310の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、最適記録パワーは、記録データに応じて変調される。
尚、上述したスピンドルモータ301、光ピックアップ310、サーボ回路315及びLDドライバ320等を含めて、本発明に係る「記録手段」の一具体例を構成している。
ウォブル検出器325は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、ウォブル信号を示すプッシュプル信号を検出すると共にタイミング生成器345へ出力するように構成されている。
LPPデータ検出器326は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、LPP信号を示すプッシュプル信号を検出し、例えば後述の如くプリフォーマットアドレス情報を検出可能に構成されている。そして、当該プリフォーマットアドレス情報をタイミング生成器345へ出力可能に構成されている。
エンベロープ検波器330は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU400の制御下で、最適記録パワーを決定するために、ヘッドアンプ311からの出力信号たるRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。係るエンベロープ検波器330は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んでいるように構成されてもよい。
OPCパターン発生器340は、記録動作前のOPC処理におけるOPCパターンの記録時に、タイミング生成器345からのタイミング信号に基づいて、OPCパターンを示す信号を、LDドライバ320に対して出力するように構成されている。
タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの記録時に、LPPデータ検出器326より入力されるプリフォーマットアドレス情報に基づき、該プリフォーマットアドレス情報(例えば、ADIPワード)の管理単位を基準とした絶対位置情報を検出する。それと同時に、ウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、プリフォーマットアドレス情報の管理単位より小さいスロット単位(例えば、ウォブル信号の一周期の自然数倍の長さに相当するスロット単位)を基準とした相対位置情報を検出する。よって、タイミング生成器345は、OPC処理における記録開始位置がプリフォーマットアドレス情報の管理単位、即ち、各ADIPワードの境界から開始されるか否かにかかわらず、その記録開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、OPCパターンを書き込むタイミング信号を生成して出力する。他方、タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、記録時と同様にして、その再生開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、再生されたOPCパターンをサンプリングするタイミング信号を生成して出力する。
データ収集器350は、主としてメモリ一般である。例えば、外付RAM等から構成されている。エンベロープ検波器330で検波されたエンベロープがデータ収集器350に格納され、これに基づいて、CPU400における最適記録パワーの検出、即ち、OPC処理が実行される。
バッファ360は、DVDモジュレータ370より変調された記録データを格納し、LDドライバ320に出力可能に構成されている。
DVDモジュレータ370は、記録データに対してDVD変調を施し、バッファ360に出力可能に構成されている。DVD変調として、例えば8/16変調が施されてもよい。
データECC生成器380は、インタフェース390より入力される記録データに対してエラー訂正用の符号を付加する。具体的には、所定のブロック単位(例えば、ECCクラスタ単位)毎にECCコードを付加し、DVDモジュレータ370へ出力する。
バッファ385は、RF検出器312から出力される再生データを格納し、インタフェース390を介して、外部出力機器へ出力する。
インタフェース390は、外部入力機器より記録データ等の入力を受け付け、データECC生成器380へ出力する。また、例えばスピーカやディスプレイ等の外部出力機器に対して、RF検出器312より出力される再生データを出力可能に構成されていてもよい。
CPU400は、最適記録パワーを検出するために、例えば、LDドライバ320、サーボ回路315等の各手段へ指示する、即ちシステムコマンドを出力することで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU400が動作するためのソフトウェアは、内部又は外部のメモリ内に格納されている。
尚、上述したCPU400、エンベロープ検波器330、OPCパターン発生器340、タイミング生成器345及びLDドライバ320等を含めて、本発明に係る「最適記録パワー検出手段」の一具体例を構成している。
尚、図2に示す情報記録再生装置300は、概ね光ピックアップ310、LDドライバ320、バッファ360、DVDモジュレータ370、データECC生成器380、その他の構成要素によりデータの記録が可能な情報記録装置として機能し、また概ね光ピックアップ310、ヘッドアンプ311、RF検出器312、その他の構成要素によりデータの再生が可能な情報再生装置としても機能することはいうまでもない。
次に図3から図6を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による最適記録パワーを検出するOPC処理、即ち記録レーザパワーのキャリブレーションについて説明する。ここに「最適記録パワー」とは、文字通り情報の記録に最も適したレーザパワーを示すことに限らず、記録時においてより適切に情報を記録することできる程度のレーザパワーをも含んだ広い趣旨である。より具体的には、アシンメトリーの影響を最小にし、例えば記録特性の品質を表すジッタ値が最小付近となるような最も優れた再生品質が得られるように記録するための記録レーザパワーである。また、「アシンメトリー(Asymmetry)」とは、光ディスクの量産時に短ピット又は長ピットがその長さ方向の前後に同じ量だけ、少しずつ長く、或いは短くなる現象である。本実施例では、後述される「アシンメトリー値」によってこのアシンメトリーの影響の度合いが定量的に示される。ここに、図3は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における11パワーステップの場合の1回のOPC処理を示した模式的タイミングチャート図である。図4は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における11パワーステップの場合の1回のOPC処理における再生RF信号を示した図式的概念図である。図5は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における1回のOPC処理におけるパワーステップ毎のアシンメトリー値をプロットしたグラフ図である。ここに、「パワーステップ」とは、OPC処理において、最適記録パワーを検出するために、記録レーザの光強度(パワー)を切り換える段階のことである。図6は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における1回のOPC処理のうち、一つのパワーステップの詳細を示した波形図である。
図3において、グラフ(a)の縦軸は、記録レーザパワーの値を示し、横軸は、パワーステップごとに時分割された時間軸を示す。グラフ(b)は、生成された記録レーザが、例えば2Tパルスの短ピットパルス用と、例えば8Tパルスの長ピットパルス用とに交互に切り換えられて照射される時間区間を示す。グラフ(c)は、例えば11個の異なるレーザパワーのキャリブレーションのために記録レーザが照射されるタイミングを矢印で示す。グラフ(d)の縦軸は、再生RF信号の振幅電圧を示す。グラフ(e)は、再生RF信号の振幅中心電圧を算出するためのサンプリングタイミングを矢印で示す。
本実施例においては、光ディスクのOPCエリアには、図3のグラフ(a)で示されるように、キャリブレーション用の記録レーザが、例えば11個のパワーステップごとに時分割されて、11個の異なるレーザパワーで照射される。この際、各パワーステップにおいて、例えば、2―3変調した信号の最短ピットと最長ピットのテスト信号である例えば2Tパルスの短ピットパルスと、例えば8Tパルスの長ピットパルスとが交互に切換えられて生成された記録レーザが照射され、記録が行われる。ここでは、図3に示したように、一つのパワーステップの前半が、短ピットパルスを記録するための時間に割り当てられ、“短ピット区間”とされる。他方、該一つのパワーステップの後半が、長ピットパルスを記録するための時間に割り当てられ、“長ピット区間”とされる。
尚、図4に示されるように、一回のOPC処理は、前述したように、ランドプリピット(Land Pre Pit)を基準とした時間軸に対して、RF信号が再生される。この一回のOPC処理に必要な情報記録面のトラック方向における長さは、例えば、BD−Rの場合、約10mmである。また、DVD−Rの場合、例えば、11パワーステップから構成される一回のOPC処理に必要なトラック方向における長さは、約8.5mmである。
図5に示されるように、本実施例では、“アシンメトリー値=0”となるパワーステップに対応するレーザパワーが最適記録パワーとして決定される。尚、図5の縦軸は、このようなアシンメトリー値“e−f”を示し、横軸はパワーステップを示す。矢印は、“e=f”となり、“アシンメトリー値=0”となるパワーステップを示す。
以上のように本実施例における最適記録パワーの検出、即ち、記録レーザパワーのキャリブレーション(較正)は、“アシンメトリー値=0”となるパワーステップに対応する最適記録パワーを求めることとして実施される。特に、OPCパターンの記録時とOPCパターンの再生時とでは、所定の基準によって、両者間のタイミング合わせが可能とされている。
尚、1回のOPC処理におけるパワーステップの数は、11個に限らず、例えば10〜20個程度でもよい。或いは、それ以下でもよいし、それ以上でもよい。また、本実施例では、2Tマークと8Tマークとを用いてOPCパターンを構成しているが、これら以外の3Tマーク、7Tマーク等を用いることも可能である。
特に、本実施例では、例えば、DVD−Rの場合、1パワーステップのトラック方向の長さは、約0.77mmである。
次に、図6に示されるように、本実施例では、各パワーステップについて、一つの短ピット区間に複数個(図6では、5個)の2Tマークが2Tパルスによって記録され、一つの長ピット区間に複数個(図6では、2個)の8Tマークが8Tパルスによって記録される。このような短ピット区間と長ピット区間との一対が、即ち、所定パターンを有する複数のOPCピットが、「OPCパターン」とされる。図6に示した如きOPCパターンが、レーザパワーが順次切り替えられつつ、パワーステップの回数だけ(即ち11回)繰り返し記録されることで、1回のOPC処理が完了する。
以上の如き1回のOPC処理によって、図6に示した如き各パワーステップに対するOPCパターンの記録が11パワーステップについて完了すると、その後、これを再生する処理が行われる。具体的には、11パワーステップ分のOPCパターンの記録完了後に、OPCエリアに照射されるレーザが、記録レーザから再生レーザへと切り替えられ(例えば、レーザパワーが記録レーザパワーと比べて顕著に弱い再生レーザパワーへと変えられ)、該再生レーザの照射によって、エンベロープ検波等を含む再生処理が次のように行われる。
OPC処理における再生時には、例えば短ピット区間に形成されたOPCピット(即ち、2Tマーク)に対応する再生RF信号のエンベロープのピーク値とボトム値が図3のグラフ(e)で示されたサンプリングタイミングでサンプリングされ、振幅中心電圧が算出される。グラフ(e)では、この算出された振幅中心電圧の各パワーステップの値が黒丸でプロットされ、それらの値を結んだ補間線が黒線で示されている。同様にして、例えば長ピット区間に形成されたOPCピット(即ち、8Tマーク)に対応する再生RF信号の算出された振幅中心電圧の各パワーステップの値が白丸でプロットされ、それらの値を結んだ補間線が点線で示されている。この2つの補間線の交点が二重丸で示され、この交点に対応するパワーステップのレーザパワーが、最適記録パワーとして決定される。
より詳細には、図6に示すように、短ピット区間に再生される再生RF信号のエンベロープのピーク値を“a”とし、ボトム値を“b”とする。尚、“a”と“b”は、前述のように、サンプリングタイミング時に収集される。この両者の平均値、即ち、算出された振幅中心電圧を“e”とする。即ち“e=(a+b)/2”である。同様にして、長ピット区間に再生される再生RF信号のエンベロープのピーク値を“c”、ボトム値を“d”、そして、算出された振幅中心電圧を“f=(c+d)/2”とする。
本実施例では、アシンメトリーの影響の度合いを“e”と“f”との比較によって判定する。図6においては、振幅中心電圧“e”が“f”より大きく両者は一致していない。即ち、前述した「アシンメトリー値」を“e−f”と定義する。そして、“e=f”となり、“アシンメトリー値=0”となるパワーステップに対応するレーザパワーを最適記録パワーと決定する。
(情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置よるOPC処理及び記録動作の流れ)
次に図7及び図8を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による、OPC処理、及び記録動作の流れについて説明する。図7は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置によるOPC処理及び記録動作の流れを示したフローチャート図である。図8は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置によって、1ECCブロック内においてOPC処理が行われる相対的な位置を示した図式的概念図である。
先ず、図7において、光ディスク100が装填されると、先ず、CPU400の制御下で、光ピックアップ310によりシーク動作が行われる。そして、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理情報が取得されると同時に、光ディスク100のメディアタイプの識別が行なわれ、例えばBD(Blu-ray Disc)として識別される(ステップS101)。
続いて、識別された光ディスク100ごとに規定されているPCAにおいて、通常のOPC処理が一回だけ行われる(ステップS102)。より詳細には、このことにより、ドライブが正常に記録動作を行なえるかどうかを判定することが可能となる。
続いて、データエリア内の未記録領域が検出される(ステップS103)。
続いて、ステップS103で検出された未記録領域内で、後述されるマーカー情報が記録されているか否かを判定することによって、OPC処理が行われていない領域が検出される(ステップS104)。
続いて、光ディスク100のメディアタイプが、例えばDVD−Rであるか否かが判定される(ステップS105)。ここで、光ディスク100のメディアタイプが、DVDではなく、例えば、BDである場合(ステップS105:No)、ステップS103及びステップS104において検出された記録特性を知りたい領域の1ECCブロックの中心部又は後半部においてOPC処理が行われる(ステップS106)。何故ならば、一回のOPC処理が許容欠陥長に収まるからである。より具体的には、BDは、例えば、1ECCブロックの長さ(約83mm)に対して、約10mmの長さのバーストエラー等をエラー訂正することが可能である。即ち、許容欠陥長は約10mmである。また、BDの場合、一回のOPC処理に必要な長さは約10mmである。よって、図8で示されるように、約10mmの長さが必要な一回のOPC処理が、約83mmの長さの1ECCブロックの例えば、中心部又は後半部において行なわれることによって、記録領域が破壊等されても十分にエラー訂正し、ユーザデータを復元することが可能である。尚、1ECCブロック内の16個のセクタのうち先頭のセクタには、同期信号が記録されているので、1ECCブロックの先頭部においては、OPC処理を行なわないほうが好ましい。
他方、光ディスク100のメディアタイプが、例えば、DVD−Rである場合には(ステップS105:Yes)、第2実施例として後述される。
続いて、CPUの制御下で、ステップS106のOPC処理で検出された最適記録パワーによって、光ピックアップがレーザ光を照射するように、設定される(ステップS107)。
続いて、ステップS106又は後述されるステップS203のOPC処理で検出された最適記録パワーによって、OPC処理が行われた当該少なくとも一つのECCブロックの直前又は直後におけるECCブロックの所定範囲内の位置において、OPC処理が行われたか否かを示すマーカー情報が記録される(ステップS108)。尚、このマーカー情報の記録の詳細については後述される。
続いて、ステップS106又は後述されるステップS203のOPC処理で検出された最適記録パワーによってユーザデータ等の実際のデータの記録が行なわれる(ステップS109)。
続いて、CPUの制御の下で、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS110)。即ち、当該記録動作において記録すべきデータを全て記録したか否か、或いはユーザから記録動作の終了の指示がなされているか否かが判定される。
この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合には(ステップS110:Yes)、記録動作は終了される。他方、記録動作を終了しないと判定された場合には(ステップS110:No)、再度ステップS109に戻り記録動作は継続される。
次に、図9に加えて前述した図1を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の作用効果について検討を加える。ここに、図9は、一般的な光ディスクの半径方向に対する最適記録パワーの値をプロットしたグラフ図である。尚、図9において、縦軸は、最適記録パワーの値(mW)を示し、横軸は、半径方向の位置(mm)を示す。
図9に示されるように、例えば、一般的な追記型光ディスクの製造方法としてスピンコート方式が多く用いられていることが一つの要因となって、該追記型光ディスクの情報記録面の場所において、記録特性のばらつきが存在する。より詳細には、内周側から外周側に向かって、最適記録パワーの値は、大きくなることが判明している。すると、この光ディスクに対して、内周側に位置するOPCエリア200で行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値を、一定の状態のままで外周側において適用することは、情報記録面の特性に対応した適切な記録動作を行なう上で望ましくない。他方、内周側に位置するOPCエリア200に加えて、外周側に位置するOPCエリア201で行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値を、適用しても、外周側から内周側に向かう途中における、最適記録パワーの値の変化量が判明されていないため、同様に情報記録面の場所における記録特性に対応した適切な記録動作を行なうことは難しい。
従って、内周側又は外周側に位置するOPCエリア200又は201で行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値が、例えば光ディスクの中周部等の、OPCエリア200又は201から離れた場所では適切な値として使用できないという技術的問題点がある。
また、同一の光ディスクに対して、異なった速度でデータを記録する場合には、最適記録パワーは記録速度によっても大きく依存している。仮に、OPCエリア200において、1倍速で行なったOPC処理によって検出された最適記録パワーの値によって、4倍速等の異なった速度で書込みを行なうと、情報記録面の場所における記録特性に対応した適切な記録動作を行なうことは難しいという技術的問題点もある。
以上のような技術的問題点に対して、光ディスクの種類、情報記録面の場所及び記録速度に対応した記録特性を事前に調査し、ディスクドライブのファームウェアに該光ディスクの種類等のパラメータに対応した記録特性に最適記録パワーの基準値を登録しておき、実際の記録動作時に、その登録した基準値によって、最適記録パワーの値を推測するという方法が用いられていた。そのため、ドライブのファームウェアプログラムに、最適記録パワーの値の推測のためのアルゴリズムを実装する必要がある。しかし、記録特性の変化は単調な場合ばかりではなく、指数関数的であったりもして変則的なため、正確な最適記録パワーの値の変化量の推測を行なうのは実際には困難であるという新たな技術的問題点もある。
これに対して、図1から図8を参照して説明した本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置によれば、内周側又は外周側のOPCエリア200又は201ではなく、例えば、テータエリア102等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれるので、光ディスクの情報記録面における記録特性のばらつきに対応した最適記録パワーの値を的確に検出することが可能となる。よって、記録特性のばらつきが未知の光ディスクに対しても、データを実際に記録する領域において、OPC処理が行なわれ、該OPC処理によって、検出された最適記録パワーによって、記録動作を行なうことが可能となる。
加えて、OPCエリア200等が十分に大きくない場合や、OPCエリアを使い果たしてしまった場合でも未記録状態のデータエリアが残っていればOPC処理を行なうことが可能であるので、記録動作を継続させ、光ディスクの寿命時間を延長させることが可能となる。
更に、例えば、テータエリア102等のデータを実際に記録する領域において、OPC処理が行われるので、内周側又は外周側等に位置するOPCエリアに光ピックアップ等を移動させる必要がないので、OPC処理にかかる時間を短縮することが可能である。
(情報記録装置の第2実施例によるOPC処理及び記録動作の流れ)
次に図10及び図11に加えて前述した図7を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置による、OPC処理、及び記録動作の流れについて説明する。ここに、図10は本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置によるOPC処理の分割を示した図式的概念図である。図11は、本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が複数のECCブロックに分散された構造を示した図式的概念図である。
本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置の基本構成及び動作及びOPC処理等は、図1から図9を参照して説明した第1実施例と概ね同様である。
第2実施例では、前述した図7に示されるように、第1実施例と同様に、ステップS101からS104を経て、光ディスク100のメディアタイプが、例えばDVD−Rであるか否かが判定される(ステップS105)。ここで、光ディスク100のメディアタイプが、例えば、DVD−Rである場合(ステップS105:Yes)、一回のOPC処理が許容欠陥長に収まらないので、OPC処理の分割のために、DVD−Rに対応した所定分割単位が決定される(ステップS201)。具体的には、所定分割単位がOPC処理の“1”パワーステップとして決定される。より具体的には、例えば、DVD−Rの場合、一回のOPC処理に必要な長さは、約8.5mmである。よって、一回のOPC処理を、例えば“11”パワーステップとすると、所定分割単位であるOPC処理の“1”パワーステップの長さ、即ち、分割されたOPC処理の長さは、約0.77mmとなる(図10を参照)。
尚、より詳細には、分割されたOPC処理の大きさは、ブラックドットデフェクト(Black Dot defect)又はインターラプションデフェクト(Interruption defect)の規定で定められて大きさよりも小さくし、POエラーコレクションによって、訂正できる範囲の大きさにするのが好ましい。加えて、分割されたOPC処理は、1パワーステップごとに分割してもよいし、複数のパワーステップごとに分割してもよい。
続いて、DVD−Rに対応した所定数、即ち、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて何回記録させるかが決定される(ステップS202)。具体的には、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて“1”回記録させるように決定される。
続いて、決定された所定数だけ各ECCブロックにおいて、分割されたOPC処理が行われる(ステップS203)。具体的には、例えば、2Tパルス及び8Tパルスによって構成されるOPC処理の“1”パワーステップが、各ECCブロックに1回だけ記録される(図11を参照)。尚、分割されたOPC処理が記録される位置は、前述した、図8における説明と同様に、同期信号が記録された1ECCブロックの先頭のセクタ等は避け、中心部又は後半部が望ましい。よって、一回のOPC処理は、合計“11”個のECCブロックに分散されて行なわれることとなる。より具体的には、DVD−R又はCD−R等は、例えば、1ECCブロックの長さ(約83mm)に対して、約5mmの長さのバーストエラー又はトラッキングサーボの制御不能による書き込みエラー等を訂正することが可能である。即ち、許容欠陥長は約5mmである。よって、約0.77mmの長さを必要とするOPC処理の“1”パワーステップによって、1ECCブロックにおいて、記録領域が破壊等されても十分にエラー訂正し、ユーザデータを復元することが可能である。
続く記録動作等は、前述した図7における第1実施例の説明と同様である。
(情報記録装置の第3実施例によるOPC処理及び記録動作の流れ)
次に、図12(a)、図13及び図14に加えて前述した図7を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置による、OPC処理、及び記録動作の流れについて説明する。ここに、図12(a)は、本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が複数のECCブロックに分散されて行なわれた構造を示した図式的概念図である。図13は、本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が1ECCブロックに2個記録された様子を示した図式的概念図である。図14は、本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が記録されたECCブロックの直前に位置するECCブロックにマーカー情報が記録された構造を示した図式的概念図である。
本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置の基本構成及び動作及びOPC処理等は、図1から図11を参照して説明した第1及び第2実施例と概ね同様である。
第3実施例では、前述した図7に示されるように、第2実施例と同様に、ステップS105の判定の結果、光ディスク100のメディアタイプが、例えば、DVD−Rである場合(ステップS105:Yes)、一回のOPC処理が許容欠陥長に収まらないので、OPC処理の分割のために、DVD−Rに対応した所定分割単位が決定される(ステップS201)。具体的には、所定分割単位がOPC処理の“1”パワーステップとして決定される。より具体的には、例えば、DVD−Rの場合、前述したように、所定分割単位であるOPC処理の“1”パワーステップの長さ、即ち、分割されたOPC処理の長さは、約0.77mmとなる(前述した図10を参照)。
続いて、DVD−Rに対応した所定数、即ち、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて何回記録させるかが決定される(ステップS202)。具体的には、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて“2”回記録させるように決定される。
続いて、決定された所定数だけ各ECCブロックにおいて、分割されたOPC処理が行われる(ステップS203)。具体的には、例えば、2Tパルス及び8Tパルスによって構成されるOPC処理の“1”パワーステップが、各ECCブロックに2回だけ記録される(図12(a)を参照)。よって、一回のOPC処理は、合計“6”個のECCブロックに分散されて行なわれることとなる。より具体的には、前述したように、DVD−R又はCD−R等は、例えば、1ECCブロックの長さ(約83mm)に対して、約5mmの長さのバーストエラー等を訂正することが可能である。即ち、許容欠陥長は約5mmである。よって、約0.77mmの長さを必要とするOPC処理の“1”パワーステップが2回記録されることによって、1ECCブロックにおいて、記録領域が、約1.54mm(約0.77mm×2)だけ破壊等されても十分にエラー訂正し、ユーザデータを復元することが可能である(図13を参照)。
続いて、前述したステップS107において、設定された最適記録パワーによって、OPC処理が行われた当該少なくとも一つのECCブロックの直前又は直後におけるECCブロックの所定範囲内の位置において、OPC処理が行われたか否かを示すマーカー情報が記録される(ステップS108)。具体的には、図14に示されるように、データエリア102のうち、例えば、分割されたOPC処理が行われた3番目から8番目の“6”個のECCブロックの直前に位置する1及び2番目のECCブロックにおける所定範囲内の位置において、最適記録パワーによって、マーカー情報が記録される。よって、前述したステップ104において、1及び2番目のECCブロックにおいて、マーカー情報が記録されているか否かを判定することによって、OPC処理の行われていない、例えば、後続する3から8番目のECCブロック等の領域を容易に検出することが可能となる。尚、マーカー情報を1及び2番目の“2”個のECCブロックに記録するのは信頼性を向上させるためである。
続く記録動作等は、前述した図7における第1実施例の説明と同様である。
(情報記録装置の第4実施例によるOPC処理及び記録動作の流れ)
次に図12(b)に加えて前述した図7を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第4実施例に係る情報記録再生装置による、OPC処理、及び記録動作の流れについて説明する。ここに、図12(b)は、本発明の情報記録装置の第4実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が複数のECCブロックに分散された構造を示した図式的概念図である。
本発明の情報記録装置の第4実施例に係る情報記録再生装置の基本構成及び動作及びOPC処理等は、図1から図12(a)を参照して説明した第1、第2及び第3実施例と概ね同様である。
第4実施例では、前述した図7に示されるように、第2実施例と同様に、ステップS105の判定の結果、光ディスク100のメディアタイプが、例えば、DVD−Rである場合(ステップS105:Yes)、一回のOPC処理が許容欠陥長に収まらないので、OPC処理の分割のために、DVD−Rに対応した所定分割単位が決定される(ステップS201)。具体的には、所定分割単位がOPC処理の“2”パワーステップとして決定される。より具体的には、例えば、DVD−Rの場合、前述したように、所定分割単位であるOPC処理の“2”パワーステップの長さ、即ち、分割されたOPC処理の長さは、約1.54mm(約0.77mm×2)となる(図12(b)を参照)。
続いて、DVD−Rに対応した所定数、即ち、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて何回記録させるかが決定される(ステップS202)。具体的には、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて“1”回記録させるように決定される。
続いて、決定された所定数だけ各ECCブロックにおいて、分割されたOPC処理が行われる(ステップS203)。具体的には、例えば、2Tパルス及び8Tパルスによって構成されるOPC処理の“2”パワーステップが、各ECCブロックに1回だけ記録される。よって、一回のOPC処理は、合計“6”個のECCブロックに分散されて行なわれることとなる(図12(b)を参照)。より具体的には、前述したように、DVD−R又はCD−R等は、例えば、1ECCブロックの長さ(約83mm)に対して、約5mmの長さのバーストエラー等を訂正することが可能である。即ち、許容欠陥長は約5mmである。よって、約1.54mmの長さを必要とするOPC処理の“2”パワーステップが1回記録されることによって、1ECCブロックにおいて、記録領域が、約1.54mm(約0.77mm×2)だけ連続して破壊等されても十分にエラー訂正し、ユーザデータを復元することが可能である。
続く記録動作等は、前述した図7における第3実施例の説明と同様である。
(情報記録装置の第5実施例によるOPC処理及び記録動作の流れ)
次に図12(c)に加えて前述した図7を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第5実施例に係る情報記録再生装置による、OPC処理、及び記録動作の流れについて説明する。ここに、図12(c)は、本発明の情報記録装置の第5実施例に係る情報記録再生装置によって、分割されたOPC処理が複数のECCブロックに分散された構造を示した図式的概念図である。
本発明の情報記録装置の第5実施例に係る情報記録再生装置の基本構成及び動作及びOPC処理等は、図1から図12を参照して説明した第1から第4実施例と概ね同様である。
第5実施例では、前述した図7に示されるように、第2実施例と同様に、ステップS105の判定の結果、光ディスク100のメディアタイプが、例えば、DVD−Rである場合(ステップS105:Yes)、一回のOPC処理が許容欠陥長に収まらないので、OPC処理の分割のために、DVD−Rに対応した所定分割単位が決定される(ステップS201)。具体的には、所定分割単位がOPC処理の“2”パワーステップとして決定される。より具体的には、例えば、DVD−Rの場合、前述したように、所定分割単位であるOPC処理の“2”パワーステップの長さ、即ち、分割されたOPC処理の長さは、約1.54mm(約0.77mm×2)となる(図12(c)を参照)。
続いて、DVD−Rに対応した所定数、即ち、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて何回記録させるかが決定される(ステップS202)。具体的には、分割されたOPC処理が各ECCブロックにおいて“2”回記録させるように決定される。
続いて、決定された所定数だけ各ECCブロックにおいて、分割されたOPC処理が行われる(ステップS203)。具体的には、例えば、2Tパルス及び8Tパルスによって構成されるOPC処理の“2”パワーステップが、各ECCブロックに2回だけ記録される。よって、一回のOPC処理は、合計“3”個のECCブロックに分散されて行なわれることとなる(図12(c)を参照)。より具体的には、前述したように、DVD−R又はCD−R等は、例えば、1ECCブロックの長さ(約83mm)に対して、約5mmの長さのバーストエラー等を訂正することが可能である。即ち、許容欠陥長は約5mmである。よって、約1.54mmの長さを必要とするOPC処理の“2”パワーステップが2回記録されることによって、1ECCブロックにおいて、記録領域が、約3.08mm(約1.54mm×2)だけ破壊等されても十分にエラー訂正し、ユーザデータを復元することが可能である。
続く記録動作等は、前述した図7における第3実施例の説明と同様である。
本実施例では、情報記録装置の一具体例として、例えば、CD−R、DVD−R又はBD−R等の大容量記録媒体の追記型光ディスクの情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、CD−R/W、DVD−R/W又はBD−RE(Blu-ray Disc REwritable)等の大容量記録媒体の書き換え型光ディスクの情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録装置及び最適記録パワーを検出する情報記録方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。