以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムについて順に説明する。
(情報記録装置の実施形態)
本発明の情報記録装置に係る実施形態は、記録速度を少なくとも第1及び第2の線速度に切替え可能であり、可変な記録パワーのレーザ光を照射することによって前記第1及び第2の線速度に対応する情報記録媒体に記録情報を記録する記録手段と、前記記録速度を前記第1の線速度から前記第2の線速度へ切り替える場合に、前記第1の線速度で記録された記録情報を再生することにより、前記再生された記録情報の再生品質を測定する測定手段と、前記第2の線速度における前記記録パワーと前記記録情報に係る前記再生品質との相関を表す相関情報に基づいて、前記測定手段により測定された再生品質が前記第2の線速度において得られる前記記録パワーであるリンクパワーを算出する第1算出手段と、前記記録速度を前記第1の線速度から前記第2の線速度へ切り替える場合に、前記記録パワーが前記リンクパワーから前記再生品質として所望のターゲット品質が得られる際の前記記録パワーである基準パワーへと変化するように所定の修正量ずつ段階的に又は所定の変化割合で連続的に前記記録パワーを修正する修正手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、記録手段の動作により各種記録情報を記録することが可能である。そして、第1の線速度及び第2の線速度の夫々に対応する情報記録媒体に対して、第1の線速度及び第2の線速度(即ち、第1の線速度に相当する記録速度及び第2の線速度に相当する記録速度で)各種記録情報を記録することが可能である。
本実施形態では特に、記録速度が第1の線速度から第2の線速度へ変化する場合において、適切な記録動作を行うことが可能となる。具体的には、記録速度が変化する場合において、測定手段の動作により第1の線速度で記録された記録情報の再生品質が測定される。このとき、後述するように、第1の線速度で最後に記録された記録情報の再生品質が測定されることが好ましい。そして、第1算出手段の動作により、この再生品質を第2の線速度において実現するような記録パワーに相当するリンクパワーが算出される。このリンクパワーの算出は、第2の線速度における記録パワーとその記録パワーにて記録された記録情報の再生品質との相関を示す相関情報に基づいて行なわれる。そして、修正手段の動作により、記録速度が第2の線速度に変化した後、リンクパワーから基準パワーへと滑らかに変化するように記録パワーの修正が行なわれる。基準パワーは、再生品質として所望のターゲット品質が第2の線速度において得られるような記録パワーに相当する。この記録パワーの変化は、所定の修正量ずつ段階的に或いは所定の変化割合で連続的に行なわれることで、記録パワーの滑らかな変化(即ち、後述のソフトランディング)が実現できる。
これにより、記録速度が変化する場合においても、記録される記録情報の再生品質が急激に変化することはなく、第1の線速度における再生品質(例えば、第1の線速度における所望のターゲット品質)から第2の線速度における再生品質(例えば、第2の線速度における所望のターゲット品質)へと滑らかに変化させることが可能となる。従って、当該記録情報を再生する際においても、例えば情報再生装置の動作により、記録速度が変化する地点において、急に再生品質が変化するような事態が発生することは殆どない。即ち、記録速度が変化する地点においても記録情報を適切に(即ち、再生品質を急激に変えることなく)記録できるため、その結果として当該記録情報を適切に再生することが可能となる。
本実施形態では特に、リンクパワーを算出する際に、記録パワーと再生品質との相関を示す相関情報を用いている。このため、実際の記録状態に応じた或いは適したリンクパワーを比較的容易に算出することができる。即ち、その相関情報が示している記録パワーの変化の傾向に基づいて、記録パワーを修正することができるという点で、例えば特許文献1に記載された発明等と比較してより優れた効果を有しているといえる。この相関情報に基づいて記録パワーの修正を行なう動作に関しては、後述の実施例においてより詳細に説明する。
以上の結果、本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、相関情報を有効に利用することで、記録速度が変化する場合であっても、記録情報の再生品質を急激に変化させることなく、適切な記録動作を実現することができる。従って、適切な記録パワーで記録情報の記録を行なうことができ、その結果、当該記録情報の再生時には、再生エラーの発生を抑えることができるため、その再生品質をより向上させることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の一の態様は、前記測定手段は、前記第1の線速度から前記第2の線速度に変化する直前に記録された記録情報を再生することにより、前記再生品質を測定する。
この態様によれば、測定直前に(即ち、線速度が変化する直前に)記録された記録情報の再生品質と比較することで、より好適なリンクパワーを求めることができる。ここに、本発明における「直前」とは、文字通りの直前を示す他、ある程度の期間を隔てていたとしても直前と同視しうる状態をも含んだ広い趣旨である。従って、線速度が変化する場合においても、より好適に記録情報を記録することができる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記所定の修正量又は所定の修正割合の大きさは可変である。
このように構成すれば、記録パワーの変化の程度を適宜設定することができる。例えば、所定の修正量或いは所定の変化割合を相対的に小さく設定すれば、記録パワーの変化を比較的緩やかにすることができる。他方、所定の修正量或いは所定の変化割合を相対的に大きく設定すれば、記録パワーの変化を比較的急にすることができる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記修正手段は、前記リンクパワーと前記基準パワーとの差が所定量以下のときは、前記記録パワーが前記基準パワーとなるように修正する。
この態様によれば、リンクパワーと基準パワーとの差が所定量以下であるような場合には、記録パワーを段階的に或いは連続的に修正することなく、いきなり基準パワーとなるように修正する。他方で、リンクパワーと基準パワーとの差が所定量以上であれば、リンクパワーから基準パワーへと段階的に或いは連続的に変化するように記録パワーを修正する。従って、必要以上に記録パワーの段階的な或いは連続的な修正を行なう必要が無くなり、記録動作の処理パフォーマンスの向上を図ることができる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記記録手段により前記記録パワーを変化させながら試し用に記録された前記記録情報である試し情報を再生することによって、前記相関情報を作成するとともに、前記基準パワーを算出する第2算出手段を更に備える。
この態様によれば、第2算出手段の動作により作成された相関情報及び算出された基準パワーを用いて、適切にリンクパワーを求め、且つ記録パワーの修正動作を行なうことが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記再生品質は、アシンメトリ値、ジッタ値、再生エラーレートの少なくとも1つを含む再生品質である。
この態様によれば、これらの再生品質を適宜組み合わせて基準パワーやリンクパワー等を求めることで、より適切な記録動作を実現するように設定値を適切に修正することができる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記第2算出手段により作成された相関情報及び算出された前記基準パワーの情報のうち少なくとも一方を前記情報記録媒体に記録するように前記記録手段を制御する制御手段をさらに備える。
この態様によれば、情報記録媒体にこれらの情報を記録することで、基準パワーや相関情報を実際に作成・算出した情報記録装置のみならず、他の情報記録装置(例えば、当該情報記録媒体に記録情報を記録したことのない情報記録装置等)においても、情報記録媒体に記録された相関情報等を参照することで、適切な修正量を求めることができるという大きな利点を有する。
(情報記録方法の実施形態)
本発明の情報記録方法に係る実施形態は、記録速度を少なくとも第1及び第2の線速度に切替え可能であり、可変な記録パワーのレーザ光を照射することによって該第1及び第2の線速度に対応する情報記録媒体に記録情報を記録する記録手段を備える情報記録装置における情報記録方法であって、前記記録速度を前記第1の線速度から前記第2の線速度へ切り替える場合に、前記第1の線速度で記録された記録情報を再生することにより、前記再生された記録情報の再生品質を測定する測定工程と、前記第2の線速度における前記記録パワーと前記記録情報に係る前記再生品質との相関を表す相関情報に基づいて、前記測定工程において測定された再生品質が前記第2の線速度において得られる前記記録パワーであるリンクパワーを算出する第1算出工程と、前記記録速度を前記第1の線速度から前記第2の線速度へ切り替える場合に、前記記録パワーが前記リンクパワーから前記再生品質として所望のターゲット品質が得られる際の前記記録パワーである基準パワーへと変化するように所定の修正量ずつ段階的に又は所定の変化割合で連続的に前記記録パワーを修正する修正工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータを上述した情報記録装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置の実施形態における前記第1算出手段、前記測定手段及び前記修正手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記第1算出手段、前記測定手段及び前記修正手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記記録手段、前記第1算出手段、前記測定手段及び前記修正手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の前記記録手段、前記第1算出手段、前記測定手段及び前記修正手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、記録手段、第1算出手段、測定手段及び修正手段を備える。従って、線速度が変化する場合においても、適切な記録パワーで記録情報の記録を行なうことができ、その結果再生時においても適切に当該情報の再生を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例において用いられる情報記録媒体について説明する。本実施例では、情報記録媒体として記録型の光ディスクを用いて説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものであり、図2は、CLV( Constant Liner Velocity)に対応する光ディスクを概念的に説明する平面図である。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウォブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、リードインエリア104やリードアウトエリア108は更に細分化された構成であってもよい。
本実施例では、図2に示すように、複数の記録速度に対応するCLV方式の光ディスク100が用いられる。即ち、光ディスク100の相対的に内周側では、6xの記録速度を実現するように光ディスク100の回転速度が制御され、他方、光ディスク100の相対的に外周側では、8xの記録速度を実現するように光ディスク100の回転速度が制御される。ディスク面内において線速度を一定にする場合、内周側では相対的に大きな回転速度で光ディスクを回転することが求められる。しかしながら、8xの記録速度のように、既に相対的に大きな回転速度が求められる記録速度では、スピンドルモータの規格上の制限により、内周側において所望の回転速度を実現することができないおそれがある。従って、これを解決するために、内周側では相対的に小さな回転速度で足りる6xの記録速度でデータを記録し、外周側では相対的に大きな回転速度が必要な8xの記録速度でデータを記録している。この記録方式は一般的にZCLV(Zone CLV)記録と呼ばれる。
尚、本実施例において用いられる「6x」ないしは「8x」等の文言は、夫々「6倍速」ないしは「8倍速」を示すものである。即ち、「nx(但し、nは1以上の整数)」なる文言は、「n倍速」を示すものである。例えば、1倍速の記録速度での記録時における線速度が3.49m/sであれば、6倍速の記録速度での記録時には、線速度は概ね3.49×6=20.94m/sとなり、或いは8倍速の記録速度での記録時には、線速度は概ね3.49×8=27.92m/sとなる。
続いて、図3から図10を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例について説明する。
(基本構成)
先ず、図3を参照して実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図3に示すように、本実施例に係る情報記録装置1は、スピンドルモータ301、光ピックアップ310、ヘッドアンプ311、RF検出器312、サーボユニット315、LDドライバ320、ウォブル検出器325、LPPデータ検出器326、エンベロープ検波器330、OPCパターン発生器340、タイミング生成器345、データ収集器350、バッファ360、DVDモジュレータ370、データECC生成器380、バッファ385、インタフェース390、CPU400及びメモリ410を備えて構成されている。
スピンドルモータ301は、サーボユニット315等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
光ピックアップ310は、本発明における「記録手段」の一具体例であって、光ディスク100への記録又は再生を行うもので、半導体レーザ装置、各種レンズ、アクチュエータ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ310は、光ディスク100に対してレーザ光等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。光ピックアップ310は、サーボユニット315により駆動される図示しないアクチュエータ、スライダ等により光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。
ヘッドアンプ311は、光ピックアップ310の出力信号(即ち、光ビームBの反射光)を増幅し、該増幅した信号を出力する。具体的には、読取信号たるRF信号がRF検出器312及びエンベロープ検波器330に出力され、プッシュプル信号がウォブル検出器325やLPPデータ検出器326へ出力される。
RF検出器312は、RF信号を検出し、復調等を施すことで、再生データをバッファ385及びインタフェース390経由で外部へ出力可能に構成されている。そして、インタフェース390に接続された外部出力機器(例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示デバイス、或いはスピーカ等)において、所定のコンテンツが再生出力されることとなる。
サーボユニット315は、光ピックアップ310の受光結果を処理して得られるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号等に基づいて、光ピックアップ310の対物レンズを移動し、これによりトラッキング制御及びフォーカス制御等の各種サーボ処理を実行する。また、光ディスク100におけるウォブリングされたグルーブトラックのウォブルから得られるウォブル信号を基準にして、スピンドルモータ301をサーボ制御するように構成されている。
LDドライバ320は、後述のOPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び再生処理により基準記録レーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ310内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、LDドライバ320は、データ記録時には、OPC処理により決定された最適な記録レーザパワーで、光ピックアップ310の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、記録レーザパワーは、記録データに応じて変調される。
ウォブル検出器325は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、ウォブル信号を示すプッシュプル信号を検出すると共にタイミング生成器345へ出力するように構成されている。
LPPデータ検出器326は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、LPP信号を示すプッシュプル信号を検出し、例えば後述の如くプリフォーマットアドレス情報を検出可能に構成されている。そして、当該プリフォーマットアドレス情報をタイミング生成器345へ出力可能に構成されている。
エンベロープ検波器330は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU400の制御下で、基準記録レーザパワーを決定するために、ヘッドアンプ311からの出力信号たるRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。係るエンベロープ検波器330は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んでいるように構成されてもよい。
OPCパターン発生器340は、記録動作前のOPC処理におけるOPCパターンの記録時に、タイミング生成器345からのタイミング信号に基づいて、OPCパターンを示す信号を、LDドライバ320に対して出力するように構成されている。
タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの記録時に、LPPデータ検出器326より入力されるプリフォーマットアドレス情報に基づき、該プリフォーマットアドレス情報の管理単位を基準とした絶対位置情報を検出する。それと同時に、ウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、プリフォーマットアドレス情報の管理単位より小さいスロット単位(例えば、ウォブル信号の一周期の自然数倍の長さに相当するスロット単位)を基準とした相対位置情報を検出する。よって、タイミング生成器345は、OPC処理における記録開始位置がプリフォーマットアドレス情報の管理単位の境界から開始されるか否かにかかわらず、その記録開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、OPCパターンを書き込むタイミング信号を生成して出力する。他方、タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、記録時と同様にして、その再生開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、再生されたOPCパターンをサンプリングするタイミング信号を生成して出力する。
データ収集器350は、主としてメモリ一般である。例えば、外付RAM等から構成されている。エンベロープ検波器330で検波されたエンベロープがデータ収集器350に格納され、これに基づいて、CPU400における最適な記録レーザパワーの検出、即ち、OPC処理が実行される。
バッファ360は、DVDモジュレータ370より変調された記録データを格納し、LDドライバ320に出力可能に構成されている。
DVDモジュレータ370は、記録データに対してDVD変調を施し、バッファ360に出力可能に構成されている。DVD変調として、例えば8−16変調やRLL(Run Length Limited)変調が施されてもよい。
データECC生成器380は、インタフェース390より入力される記録データに対してエラー訂正用の符号を付加する。具体的には、所定のブロック単位(例えば、ECCブロック単位)毎にECCコードを付加し、DVDモジュレータ370へ出力する。
バッファ385は、RF検出器312から出力される再生データを格納し、インタフェース390を介して、外部出力機器へ出力する。
インタフェース390は、外部入力機器より記録データ等の入力を受け付け、データECC生成器380へ出力する。また、例えばスピーカやディスプレイ等の外部出力機器に対して、RF検出器312より出力される再生データを出力可能に構成されていてもよい。
CPU400は、最適な記録レーザパワーを検出するために、例えば、LDドライバ320、サーボユニット315等の各手段へ指示する、即ちシステムコマンドを出力することで、情報記録装置1全体の制御を行う。通常、CPU400が動作するためのソフトウェアは、内部又は外部のメモリ内に格納されている。
メモリ410は、例えばRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリを含んでなり、後述するように相関式や記録レーザパワーの値を記録可能に構成されている。
尚、図3を参照して説明した本実施例に係る情報記録装置は、情報記録再生装置の実施例も兼ねる。即ち、ヘッドアンプ311やRF検出器312を介して記録情報を再生可能であり、本実施例は、情報再生装置の機能或いは情報記録再生装置の機能を含む。
(動作原理)
続いて、図4から図10を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の動作原理について説明する。
(1)記録前の動作
先ず、図4を参照して本実施例に係る情報記録装置1の、各種データを記録する前における動作について説明する。ここに、図4は、本実施例に係る情報記録装置1のデータ記録前の動作の流れを示すフローチャートである。
尚、本実施例に係る情報記録装置1の具体的な動作として、本発明における「第1の線速度」の一具体例としての6xの記録速度と本発明における「第2の線速度」の位置具体例としての8xの記録速度を適宜切り替えて、ZCLV記録方式にてデータを光ディスク100に記録する際の記録動作について説明する。
図4において、先ず光ディスク100がローディングされる(ステップS101)。そして、CPU400の制御下で、光ピックアップ310によりシーク動作が行われ、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理用データが取得される。この管理用データに基づいて、CPU400の制御により、例えば外部入力機器等からの指示に応じて、インタフェース390を介して光ディスク100へのデータの記録が行われる。
このローディングの後、CPU400の制御の下に、本発明における「相関情報」の一具体例たる相関式(具体的には、記録レーザパワーとアシンメトリとの関係を示す相関式)を作成する(ステップS102)。この相関式の作成動作について、後に詳述する(図5参照)。
続いて、相関式を作成した後、実際に映像データや音声データ或いはPC用データ等の各種コンテンツデータの記録動作を行なう(ステップS103)。この記録動作についても、後に詳述する(図7等参照)。
尚、既に記録レーザパワーとアシンメトリとの関係を示す相関式が予め作成されていれば、ステップS102における相関式の作成動作を必ずしも行なう必要はない。例えば、情報記録装置1のメモリ410中に該相関式が記録されていれば、それを用いて後述の記録動作を行ってもよいし、或いは、光ディスク100自体に相関式が記録されていれば、それを読み出して後述の記録動作を行ってもよい。
続いて、図5及び図6を参照して、相関式の作成動作について説明する。ここに、図5は、記録レーザパワーとアシンメトリとの相関式の作成動作の流れを示すフローチャートであり、図6は、作成された相関式を示すグラフ、並びにその作成の元となった記録パワー及びアシンメトリの夫々の数値を示す表である。
図5に示すように、先ずOPC処理が実行される(ステップS201)。ここで、OPC処理についてより具体的に説明すると、まずCPU400による制御下で、光ピックアップ310がリードインエリア104内(或いは、リードアウトエリア108内)に設けられたパワーキャリブレーションエリアへ移動され、OPCパターン発生器340及びLDドライバ320等の制御により、順次段階的に(例えば、相互に異なる16段階の)記録レーザパワーが切り換えられて、本発明における「試し情報」の一具体例たるOPCパターンがパワーキャリブレーションエリアに記録される。OPCパターンとして、例えば3Tパルスに相当する短ピット及び11Tパルスに相当する長ピットを夫々同一の長さの無記録区間と共に交互に形成した記録パターンが一つの例として挙げられる。
この際、6xの記録速度における相関式を作成する際には、例えば内周側のリードインエリア104内に設けられたパワーキャリブリレーションエリアにおいてOPCパターンを記録することが好ましい。そしてこの際、6xの記録速度でOPCパターンを記録する。他方、8xの記録速度における相関式を作成する際には、例えば外周側のリードアウトエリア108内に設けられたパワーキャリブレーションエリアにおいてOPCパターンを記録することが好ましい。そしてこの際、8xの記録速度でOPCパターンを記録する。これは、図2において述べたように、6xの記録速度にてデータが記録されるのは、光ディスク100の相対的に内周側であり、8xの記録速度にてデータが記録されるのは、光ディスク100の相対的に外周側であるからである。また、内周側のパワーキャリブレーションエリアにおいて、8xの記録速度を実現するように光ディスク100を回転させることは、スピンドルモータ301の規格上困難であるとも考えられるからである。
LDドライバ320は、このOPCパターン発生器340から出力されるOPCパターンにより、記録レーザパワーを順次段階的に切り換えるように、光ピックアップ310内の半導体レーザを駆動する。
更に、このようなパワーキャリブレーションエリアへのOPCパターンの記録完了後には、CPU400の制御下で、該パワーキャリブレーションエリアにおいて記録されたOPCパターンが再生される。そして、本発明における「測定手段」の一具体例たるエンベロープ検波器330に入力されたRF信号より、当該RF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値がサンプリングされ、データ収集器350へ出力される。そして、CPU400の制御下で、これらピーク値及びボトム値は、データ収集器350へ格納される。その後、このようなOPCパターンの再生が、1回のOPC処理において、例えば記録されたOPCパターンの回数に応じて行われ、夫々の再生毎のピーク値及びボトム値よりアシンメトリが求められる。
そして、ステップS201において行なわれたOPC処理の結果に基づき、相関式を作成する(ステップS202)。即ち、ステップS202において、順次段階的に切り替えられた記録レーザパワーとその記録レーザパワーにて記録されたOPCパターンのアシンメトリとの関係を示す関数を作成する。
例えば、8xの記録速度における相関式について具体的に説明する。8xの記録速度でのOPCパターンの記録により、図6(a)に示すような記録レーザパワーとアシンメトリとの関係が得られたとする。このとき、当該関係を、縦軸をアシンメトリとし横軸を記録レーザパワーの値とするグラフ上にプロットし、且つ近似曲線で結ぶと、図6(b)に示すようなグラフが得られる。係る近似曲線は、例えば最小二乗法等の数学的又は統計的手法を用いて得ることができる。そして、例えば図6(a)に示す関係は、係る最小二乗法等を用いると、記録レーザパワーの値をxとしアシンメトリの値をyとすると、相関式はy=−0.0129x2+0.4318x−3.4664となる。もちろん、6xの記録速度でのOPCパターンの記録によっても、同様の相関式を作成できることはいうまでもない。
尚、本実施例では、2次曲線にて相関式を作成したがこれに限られず、例えば3次曲線や4次曲線等で示される任意の関数により相関式を作成してもよい。また、相関式として、上述の如き関数に限定されることなく、例えば表やテーブル等の各種態様を採ってもよい。
再び図5において、本発明における「第2算出手段」の一具体例たるCPU400の制御の下に、目標のアシンメトリ値となるような(例えば、0となる)記録レーザパワーが基準記録レーザパワーPo(即ち、本発明における「基準パワー」の一具体例)として求められる(ステップS203)。例えば、図6(b)に示すような相関式が得られれば、アシンメトリが0となる記録レーザパワーの値13.3mWが8xの記録速度における基準記録レーザパワーとして求められる。もちろん、6xの記録速度における基準記録レーザパワーについても、同様の動作によって求めることができる。
但し、例えばDVD−ROM等の規格上、アシンメトリは−0.05から0.15の範囲で適切な記録動作等が可能となるため、必ずしもアシンメトリが0となるような記録レーザパワーの値を基準記録レーザパワーとしなくとも、例えば0.10や−0.03といったその他の値であってもよい。しかしながら、より良好な再生エラーレートを得るには、ジッタなどの記録特性が最適となるようなアシンメトリにするのが望ましい。そのため、最適記録となるアシンメトリ値はディスク毎にまた記録速度により異なるので、ディスク内に予め記録されている最適アシンメトリ情報を読み取って目標アシンメトリ値を決定することもできる。
そして、ステップS202において作成された相関式(即ち、6x及び8xの夫々の記録速度における相関式であって、例えば上述のy=−0.0129x2+0.4318x−3.4664なる相関式)がメモリ410へ記録される(ステップS204)。このとき、基準記録レーザパワー(即ち、6x及び8xの夫々における基準レーザパワーであって、例えば上述の13.3mWなる数値)も同時にメモリ410へ記録される。
尚、メモリ410に記録しなくとも、例えば本発明の「制御手段」の一具体例に相当するCPU400の制御の下に、光ディスク100に相関式や記録レーザパワーの値を記録するように構成してもよい。これにより、情報記録装置の機種等の違いによらず、或いは当該光ディスク100にはじめてデータを記録する情報記録装置であっても、後述するようなソフトランディング動作による記録レーザパワーの修正動作を行なうことが可能となる。
また、上述の実施例では、8xの記録速度でOPCパターンを実際に記録することで、8xの記録速度における基準記録レーザパワーを算出しているが、8xの記録速度よりも遅い6x(或いは、4x等)の記録速度でOPCパターンを記録し、このOPCパターンを再生することで、8xの記録速度における基準記録レーザパワーを予測するように構成してもよい。このように構成することで、例えば外周側にパワーキャリブレーションエリアを設けることができない場合でも、内周側に設けられたパワーキャリブレーションエリアにOPCパターンを記録して、8xの記録速度における基準記録レーザパワーを算出することができる。
続いて、図7及び図8を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の実際の記録動作の動作原理について説明する。ここに、図7は、記録動作全体の流れを概念的に示すフローチャートであり、図8は、記録レーザパワーの修正動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
図7に示すように、実際にコンテンツデータ等を含む各種データが記録される(ステップS301)。具体的には、光ピックアップ310が記録エリア(例えば、図1に示したデータ記録エリア106等)へ移動され、LDドライバ320等の制御により、先に求められた記録レーザパワー(即ち、基準記録レーザパワー)でレーザ光が照射される。例えば、6xの記録速度で記録を行なうのであれば、6xの記録速度における基準記録レーザパワーでレーザ光が照射され、他方、8xの記録速度で記録を行なうのであれば、8xの記録速度における基準レーザパワーでレーザ光が照射される。そして、記録データに応じてレーザ光が変調されることで、記録エリアへの記録データの記録が行われる。即ち、トラック上に、記録データに応じた記録ピットが形成される。
その後、CPU400の制御下で、線速度が変更されるか否かが判定される(ステップS302)。ここでの判定は、例えば、6xの記録速度でデータを記録している際に、8xの記録速度への変更が行なわれるか、或いは8xの記録速度でデータを記録している際に、6xの記録速度への変更が行なわれるかが判定される。この判定は、例えばスピンドルモータ301の回転数や、データの記録の対象となる記録領域のアドレス値により判定してもよい。例えば、6xの記録速度にてデータが記録される記録領域と8xの記録速度にてデータが記録される記録領域との境界が判明していれば、光ディスク上のプリフォーマットアドレス情報を読み取ることで、線速度が変更されるか否かを判定してもよい。或いは、スピンドルモータ301の回転数が大きく変化した場合に、線速度が変更されると判定してもよい。
この判定の結果、線速度が変更されないと判定されれば(ステップS302:No)、そのままデータの記録が継続され、再度線速度が変更されるか否かが判定される。
他方、線速度が変更されると判定されれば(ステップS302:Yes)、記録レーザパワーの修正を行なう(ステップS303)。この記録レーザパワーの修正動作については後に詳述する(図8参照)。そして、変更後の記録速度にてデータの記録が継続され(ステップS304)、更に、CPU400の制御下で、記録動作を終了するか否かを判定する(ステップS305)。ここでの記録動作の終了は、6x及び8xの記録速度の双方の記録速度でのデータの記録動作を終了するか否かを判定する。例えば、8xの記録速度でのデータの記録中に、再度6xの記録速度でのデータの記録を行なうために8xの記録速度でのデータの記録を終了する場合は含まれない。すなわち、記録動作そのものを終了するか否かについての判定である。
この判定の結果、記録動作を終了すると判定されれば(ステップS305:Yes)、記録動作を終了し、必要に応じて所望のデータが記録された光ディスク100を取り出す。この際、ファイナライズ処理を行なうように構成してもよい。
他方、記録動作を終了しないと判定されれば(ステップ305:No)、再度ステップS302へ戻り、線速度が変更されるか否かが判定される。そして、その後は、線速度の変更があるたびに記録レーザパワーの修正を行ないながら、データの記録を継続する。
続いて、図7のステップS303における記録レーザパワーの修正動作についてより詳細に説明する。ここでは、6xの記録速度でのデータの記録動作中に、8xの記録速度への変更が行なわれる場合を具体例として説明する。
尚、本実施例に係る情報記録装置1は、6xの記録速度でのデータの記録動作と8xの記録速度でのデータの記録動作との境界において、ソフトランディング動作を行なうように構成されている。ここに、ソフトランディング動作とは、記録レーザパワーを変化させる際に、所定の修正量ずつ或いは所定の変化割合毎に徐々に若しくは滑らかに記録レーザパワーの値を変化させる態様を示している。具体的には、後述するように例えば“0.1mW”ずつ記録レーザパワーの値を変化させて、結果的に所望の記録レーザパワーの値となるように修正する態様を示している。
図8に示すように、先ず、CPU400の制御の下に、6xの記録速度における最後の記録部(記録領域)を再生し、6xの記録速度で最後に記録されたデータのアシンメトリAsy1を求める。(ステップS401)。
続いて、図5のステップS202で作成した8xの記録速度における相関式に基づいて、本発明における「第1算出手段」の一具体例たるCPU400の制御の下に、アシンメトリAsy1を8xの記録速度において実現する記録レーザパワーPo1を求める(ステップS402)。ここで求められる記録レーザパワーPo1は、本発明における「リンクパワー」の一具体例に相当する。更に、8xの記録速度における基準記録レーザパワーPo2に対応するアシンメトリAsy2を求める(ステップS403)。
この動作について、図9を参照してより詳細に説明する。ここに、図9は、記録レーザパワーの修正時における相関式上の様子を概念的に示すグラフである。
図9に示すように、8xの記録速度における相関式があるとする。このとき、Asy1を実現する記録レーザパワーPo1は、相関式が示すグラフとAsy1が示す線との交点となる。また、基準レーザパワーPo2に対応するアシンメトリAsy2は、この相関式が示すグラフと基準記録レーザパワーPo2が示す線との交点となる。
具体的に数値を用いて説明する。ステップS401において求められたアシンメトリAsy1が“0.05”であり、また基準記録レーザパワーPo2は“13.3mW”であるとする。この場合、図9のグラフと、Asy=0.05なる直線が示す交点における記録レーザパワーの値が、記録レーザパワーPo1となる。このグラフより、Po1=13.9mWが求められる。また、図9のグラフと、記録レーザパワーPo2=13.3mWなる直線が示す交点におけるアシンメトリの値が、アシンメトリAsy2の値となる。このグラフより、Asy2=0が求められる。
尚、基準レーザパワーPo2に対応するアシンメトリAsy2は、図5のステップS203において、基準レーザパワーを求める際に用いられるアシンメトリ値である。従って、図8のステップS403において必ずしも求めなくとも、図5のステップS203で用いられるアシンメトリ値をAsy2とするように構成してもよい。
再び図8において、CPU400の制御下で、ステップS401及びS403の夫々において求めたアシンメトリの差分ΔAsyを求める(ステップS404)。即ち、|Asy1−Asy2|となる差分ΔAsyを求める。例えば、上述の例の如く、Asy1=“0.05”であり、Asy2=“0”であれば、ΔAsy=“0.05”となる。そして、CPU400の制御下で、その差分ΔAsyが、本発明における「所定量」の一具体例たる数値“0.01”より大きいか否かが判定される(ステップS405)。
尚、ステップS405における判定基準となる“0.01”なる数値はこれに限られるものでなく、よりソフトランディング動作を厳密に行なうのであれば、より小さな値を設定し、他方ソフトランディング動作をあまり行わないようにするのであれば、より大きな値を設定することが好ましい。これらの設定は、例えばリモコンや操作ボタン等によって当該情報記録装置1のユーザにより行なわれるように構成してもよいし、或いはCPU400により自動的に行なわれるように構成してもよい。また、この数値による判定に限らず、例えばユーザにより、ソフトランディング動作を行なうか或いは行なわないかの指示が入力されるように構成してもよい。
この判定の結果、0.01より大きくないと判定されれば(ステップS405:No)、ソフトランディング動作を行なうことなく、記録レーザパワーの修正動作を終了する。そして、図7のステップS304へ進み、8xの記録速度における基準レーザパワーPo2にてデータの記録を行なう。このようにアシンメトリAsy1とアシンメトリAsy2が大きく異なった値を有していなければ、ソフトランディング動作によるデータの記録を行なわなくとも、例えば後述するオートスライサは、アシンメトリの変化を追従することができる。従って、例えばプレーヤ等の情報再生装置をして適切にデータを再生せしめることができる。
他方、0.01より大きいと判定されれば(ステップS405:Yes)、実際に記録を行なう実記録レーザパワーPoを、ステップS402において求めた記録レーザパワーPo1に設定する(ステップS406)。具体的には、本発明における「修正手段」の一具体例たるLDドライバ320の動作により、レーザ光を照射する光ピックアップ310の半導体レーザの出力が記録レーザパワーPo1となるように設定する。
その後、ステップS406において設定された実記録レーザパワーPoにて、1セクタに相当する記録領域にデータを記録する(ステップS407)。
そして、実記録レーザパワーPoから0.1mWを引いた記録レーザパワーを新たな実記録レーザパワーPoに設定する(ステップS408)。その後、CPU400の制御下で、実記録レーザパワーPo(即ち、前回よりも0.1mW小さくなった実記録レーザパワーPo)が基準レーザパワーPo2よりも小さいか否かが判定される(ステップS409)。
この判定の結果、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo2よりも小さくないと判定されれば(ステップS409:No)、0.1mWだけ小さくした記実録レーザパワーPoにて再度1セクタに相当する記録領域にデータを記録し、その後の動作を繰り返す。このときデータを記録する1セクタに相当する記録領域は、前回に記録した記録領域と相隣接する記録領域であることが好ましい。他方、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo2よりも小さいと判定されれば(ステップS409:Yes)、当該Po2を新たな実記録レーザパワーPoとして更新し、図7のステップS304へ進み、その後の記録動作を継続する。
尚、図8では、記録レーザパワーPo1が基準記録レーザパワーPo2よりも大きい場合を想定している。従って、記録レーザパワーPo1が基準記録レーザパワーPo2よりも小さければ、ステップS408において、Poに0.1mW加えた記録レーザパワーを新たな実記録レーザパワーPoとして、順次データを記録していく必要がある。そして、ステップS409における判定では、実記録レーザパワーPoが基準記録レーザパワーPo2よりも大きいか否かを判定する必要がある。
また、ステップS408において適宜加算或いは減算する“0.1mW”なる数値(即ち、本発明における「所定の修正量」或いは「所定の変化割合」の一具体例)は、適宜変更するものであってもよい。例えば、記録レーザパワーの変化をより緩やかにする場合には、係る数値をより小さくすることが好ましく、他方記録レーザパワーの変化は急であってもその変化の段階の回数を少なくしたい場合には、係る数値をより大きくすることが好ましい。また、ステップS407においてデータを記録する領域の大きさたる“1セクタ”なる数値も適宜変更するものであってもよい。例えば、数セクタ毎に記録するように構成してもよいし、1又は数ECCブロック毎に記録するように構成してもよいし、それ以外の所定の大きさに係る記録領域毎に記録するように構成してもよい。或いは、記録レーザパワーの変化に要する時間で、データを記録する領域の大きさを設定してもよい。例えば概ね一秒で記録レーザパワーPo1から基準記録レーザパワーPo2に変化するように構成してもよい。そして、このような変更は、例えばCPU400の動作により自動的に行なうものであってもよいし、或いは例えばリモコンや操作ボタン等によるユーザからの指示に基づいて行なうものであってもよい。
このように、線速度が変化する地点においてソフトランディング動作を行なってデータを記録した場合の、記録されるデータのアシンメトリの態様について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、線速度の変更前後におけるアシンメトリの様子及びその比較例に係るアシンメトリの様子を概念的に示す説明図である。
図10(a)に示すように、本実施例に係る情報記録装置1によれば、線速度が変化する前(例えば、6xの記録速度における記録時)と線速度が変化した後(即ち、8xの記録速度における記録時)との3T振幅パターンのアシンメトリの変化が緩やかになる。即ち、データ記録の一つの境目であり且つ線速度が変化する地点に相当するリンキングポジションを挟んで、アシンメトリが急激に変化することなく、比較的緩やかにそのアシンメトリが変化して行く。従って、例えば情報再生装置のオートスライサの応答性が悪くとも、或いは例えばロスレスリンク等を採用しているデータ構造であっても、オートスライサがアシンメトリの変化に追従することができ、適切にデータの再生を行うことができる。
尚、オートスライサとは、主として光ディスク100に記録されたデータ(具体的には、記録ピット等)をトレースし、該記録ピットから再生された信号を二値化するものである。
仮に、実施例に示すようなソフトランディング動作を行なわなければ、図10(b)に示すように、線速度が変化する地点に相当するリンキングポジションを挟んで、アシンメトリが突然変化する。このため、オートスライサの応答性が悪かったり、或いはロスレスリンク等の如くデータとデータとの間が比較的狭い場合には、オートスライサがアシンメトリの変化に追従できず、適切にデータを再生することができない(例えば、読込エラーの発生等)という不都合が生じする。
しかるに、ソフトランディング動作を行なうことで、係る不都合を効果的に防ぐことができ、情報再生装置をして適切にデータの再生を行わせることができるよう、好適にデータを記録することができるという大きな利点を有している。そして、上述した先行技術文献にて示される記録装置と比較して、記録されたデータの再生時における再生エラーを効果的に防止することができるという大きな利点を有している。
また、このソフトランディング動作を含む記録レーザパワーの修正動作においても、OPC処理により求めた相関式に基づいて行っている。即ち、実際に記録したデータのアシンメトリとOPC処理により求められた相関式とを用いて、より滑らかにアシンメトリが変化するように、記録レーザパワーを適切に修正していくことが可能となる。ちなみに、従来から行なわれているOPC処理では、基準記録レーザパワーの値が求められれば、当該処理において取得した各種データ(即ち、例えば相関式等)を廃棄していた。しかるに本実施形態では、この各種データ(特に、相関式)を効果的に用いることで、光ディスク100の記録特性等に対応したより好適な記録レーザパワーを求めることができるという大きな利点を有している。
尚、上述した実施例では、6xの記録速度と8xの記録速度を具体例として説明したが、もちろんこれに限られることなく、1x、2x、4xやその他の記録速度についても同様の動作を行なうように構成できる。また、上述した実施例では、線速度が変更する具体例として、光ディスク100の記録速度が変更した場合について説明しているが、記録速度は同じであっても、線速度やスピンドルモータ301の回転数等が変更するような場合にも、上述した動作を行なうように構成してもよい。また、CLV方式光ディスクへのZCLV記録に限らず、CAV方式やZCLV方式或いはZCAV方式の光ディスクであっても、線速度が変更される場合において同様の動作を行なうように構成してもよい。いずれの構成を採ったとしても、上述した本実施例に係る情報記録装置1が有する各種利益を享受することができる。
また、後述するように、データの記録中においても適宜記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。例えば、記録動作中に、データが記録された記録領域のアシンメトリを測定し、この測定されたアシンメトリと本来所望のアシンメトリ値とを比較して、所望のアシンメトリ値を実現するように、適宜記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。その際、上述の如くソフトランディング動作を行ないながら記録レーザパワーの修正を行ってもよいし、或いはソフトランディング動作を行なうことなく記録レーザパワーの修正をおこなうように構成してもよい。これにより、より適切なデータの記録を継続することができ、また記録されたデータの再生品質をも高めることができる。
更に、本実施例では、本発明における「再生品質」の一具体例として、アシンメトリの値を用いたが、これに限られることなく、例えばジッタ値や再生エラーレートや変調度やレーザ光の反射率等に基づいて記録レーザパワーの修正を行なうように構成してもよい。例えば、ジッタ値が最小となるような記録レーザパワーの値を基準記録レーザパワーの値として求めてもよいし、或いは再生エラーレートが最小となるような記録レーザパワーの値を基準レーザパワーの値として求めてもよい。そして、これらの値を適宜組み合わせて、記録レーザパワーの値を求めるように構成してもよいし、或いはこれらの値のうち優先度の高い値を予め定めることで記録レーザパワーの値を求めるように構成してもよい。
また、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。