以下、本発明の実施形態に係る情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報記録再生装置及び方法並びにコンピュータプログラムについて順に説明する。
(情報記録媒体の実施形態)
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、レーザ光を照射して記録情報を記録するための記録エリアと、前記記録エリア内の記録位置に応じてレーザパワーを制御するための制御情報を記録するための記録制御エリアとを備える。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、記録エリアにおいて例えば映像記録情報や音楽記録情報等のコンテンツ或いはコンピュータ用のデータ記録情報等を含んでなる各種記録情報を記録することが可能である。
本実施形態では特に、記録制御エリアを備えており、記録制御エリアには記録位置に応じてレーザパワーを制御するための制御情報が記録される。ここに、本発明に係る「制御情報」は、例えば後述の「記録位置と最適レーザパワーとの関係」のように、「記録位置とレーザパワーとの関係」を直接的に示す情報でもよい。或いは、後述の「記録位置と記録感度との関係」のように、「記録位置とレーザパワーとの関係」を間接的に示す情報であってもよい。
そして、例えば後述する情報記録装置をして、当該制御情報を読み込ませることで、記録情報を記録する際のレーザ光のレーザパワーを制御することができる。例えば、レーザパワーにおける最適化を行なうことができる。そして、この制御情報は、記録エリア内の記録位置と対応付けられて記録されている。従って、記録情報を記録する記録位置に合わせて、より好適なレーザパワーにて当該記録情報を記録することが可能となる。また、その記録位置に対応する制御情報が含まれていれば、当該記録位置に初めて記録情報を記録する場合であっても、制御情報を参照すればより好適なレーザパワーにて記録情報を記録することができる。
ここで、仮に制御情報が記録されていない情報記録媒体に記録情報を記録する場合であれば、例えば後述のOPCにより、記録動作前に求められるレーザパワーにて記録情報を記録することとなる。しかしながら、情報記録媒体は、その製造条件等の違いにより記録位置によって記録感度(或いは、記録特性)が異なるため、いずれの記録位置においてもOPCにより求めたレーザパワーが最適とは限らない。しかるに、本実施形態に係る情報記録媒体によれば、制御情報が記録されているため、記録位置に応じたより好適なレーザパワーにて記録情報を記録することができるという大きな利点を有する。
以上の結果、本実施形態に係る情報記録媒体によれば、制御情報を用いて、記録位置に応じたより好適なレーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。従って、例えば後述の情報記録装置における記録動作時において、記録品質を高め、該記録された記録情報の再生時におけるエラーレート等を低下させることができる。
尚、例えば上述の記録エリアが積層構造に形成されている情報記録媒体の如く、複数の記録層を有する多層型の情報記録媒体であれば、夫々の記録エリア毎の制御情報を有していることが好ましい。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の一の態様は、前記制御情報は、前記記録エリア内の記録位置を示す情報と、当該記録位置における記録感度を表す情報とを対応付けたものである。
この態様によれば、例えば情報記録媒体の製造条件や製造工程等の相違により生ずる記録特性の違いによらず、好適なレーザパワーにて記録情報を記録することができる。ここに、「記録感度を表す情報」とは、記録エリア中における記録位置と当該情報記録媒体の記録感度との相関関係を示しており、例えばそれはテーブルの形式で記録されていてもよいし、グラフ(或いは、関数式)として記録されていてもよい。尚、本発明における「記録感度」とは、例えば記録エリアに記録情報を記録する際の記録特性を示すものであって、例えば記録のしやすさ等を示す指標である。例えば、“記録感度がよい(又は、大きい)”場合には、記録情報を記録するために必要な記録パワーは相対的に小さくてもよい。他方、“記録感度が悪い(又は、小さい)”場合には、記録情報を記録するために必要な記録パワーは相対的に大きい。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様は、前記制御情報は、前記記録エリア内の記録位置を示す情報と、当該記録位置における最適レーザパワーを表す情報とを対応付けたものである。
この態様によれば、例えば記録位置に応じた最適レーザパワーを直接的に示す制御情報を参照することで、比較的容易に最適レーザパワーを求めることができる。従って、後述の情報記録装置をして、その構成や動作をより簡略化することが可能となる。このような制御情報には、最適レーザパワーを表す情報として例えば最適レーザパワーの絶対値が含まれていてもよい。
尚、本発明における「最適レーザパワー」とは、文字通り最も適したレーザパワーを示すことに限らず、記録時においてより適切に記録情報を記録することができる程度のレーザパワーをも含んだ広い趣旨である。より好ましくは、最適レーザパワーは、例えば後に詳述するようにアシンメトリの影響が記録動作に影響を与えない程度であったり、或いはエラーレートが0或いは概ね記録動作に影響を与えない程度に低い状態を実現できる程度のレーザパワーであることが好ましい。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様は、前記制御情報は、前記記録エリア内の記録位置と、当該記録位置における最適レーザパワーとの相関関係を示すものである。
この態様によれば、相関関係に基づき、例えば所定の演算等を施すことで、比較的容易に最適レーザパワーを求めることができる。このような制御情報には、最適レーザパワーと記録位置との関係を示すグラフ(或いは、関数)や表(或いは、テーブル)等が含まれていてもよい。
(情報記録装置の実施形態)
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態は、上述した情報記録媒体(但し、その各種態様を含む)にレーザ光を照射して記録情報を記録する記録手段と、前記情報記録媒体の前記記録制御エリアに記録される前記制御情報に基づいて、レーザパワーを最適化する最適化手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態と同様に、制御情報を用いて、記録位置に応じたより好適なレーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。
具体的には、例えば光ピックアップ等を含んでなる記録手段は、レーザ光を情報記録媒体に照射することで、映像記録情報や音楽記録情報等のコンテンツ或いはコンピュータ用のデータ記録情報等を含んでなる各種記録情報を記録する。そして、例えばCPU等を含んでなる最適化手段は記録制御エリアに記録されている制御情報を参照することで、記録情報を記録する際のレーザパワーを最適化することができる。尚、本発明における「最適化する」とは、例えば最適レーザパワーとなるようにレーザパワーを調整すること等、より好適(或いは、最適な)レーザパワーにて記録情報を記録可能な状態を実現することを示す趣旨である。従って、制御情報を参照することで、記録手段は最適レーザパワーにて記録情報を記録することができ、その記録特性を向上させことができる。その結果、記録情報を再生する際のエラーレート等も低下させることができるという利点も有する。加えて、上述のとおり、制御情報は、情報記録媒体中における記録位置に応じてレーザパワーを制御する情報である。このため、最適化手段は、記録情報の記録位置に応じた最適化を行なうことができ、その結果、記録手段は情報記録媒体中のいずれの位置においても或いは概ねの位置において、より好適な(或いは、最適な)レーザパワーにて記録情報を記録することが可能となる。
以上の結果、本発明の情報記録装置に係る第1実施形態によれば、制御情報を参照することで、記録手段は、記録位置に応じたより好適なレーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。即ち、上述した本実施形態に係る情報記録媒体が有する各種利益を享受することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の一の態様は、前記最適化手段は、前記記録制御エリアに記録される前記制御情報に基づいて、前記制御情報が存在しない記録位置における制御情報を概算する。
この態様によれば、例えば制御情報が存在しない記録位置においても(即ち、その記録位置に応じてレーザパワーを制御する制御情報が直接的に記録されていなくとも)、既存の制御情報を参照し、制御情報が存在しない記録位置においても概算により制御情報を作成することができる。例えば、DVD等の情報記録媒体において、最適レーザパワーが内周側から外周側へ漸次増加する旨を制御情報が示していれば、更に外周側に対応する制御情報が存在していなくとも、最適レーザパワーは相対的に大きくなると推測してもよい。そして、その具体的な値は、例えば制御情報が示す最適レーザパワーの増加の割合(比率)等に基づいて概算してもよい。これにより、例えば少なくとも一部の記録位置に対応する制御情報が存在すれば、記録手段はより好適なレーザパワーにて記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第1実施形態の他の態様は、前記制御情報を格納する格納手段を更に備える。
この態様によれば、情報記録媒体に記録されている制御情報を、格納手段に格納することができる。そして、該格納された制御情報を用いて、上述の如くレーザパワーを最適化することができる。特に、相対的に読込速度の遅い例えばCD−ROMやDVD−ROM等の情報記録媒体から制御情報を逐次読み出す必要が無くなり、相対的に読込速度の速い例えばRAM等の格納手段から制御情報を読み込んで利用することができる。従って、最適化手段による最適化に要する処理をより高速に行なうことができる。これは、記録速度の高速化につながるという大きな利点を有する。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態は、情報記録媒体にレーザ光を照射し、当該情報記録媒体に記録情報を記録する第1記録手段と、前記情報記録媒体の記録位置に応じた最適レーザパワーを求め、記録位置を表す情報と前記最適レーザパワーを表す情報とを対応付けた制御情報を作成する制御情報作成手段と、前記制御情報作成手段が作成した前記制御情報を記録する第2記録手段とを備え、前記第2記録手段により記録される制御情報に基づいて、前記情報記録媒体に照射されるレーザ光のレーザパワーを制御する制御手段を有する。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態によれば、第1記録手段の動作により、好適な記録パワーで記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態では特に、制御情報作成手段は、例えば後述のランニングOPC等を行なうことで、記録動作中における記録手段の最適レーザパワーを求める。そして更に、該最適レーザパワーを表す情報と記録位置を表す情報との相関関係を有する制御情報(例えば、後述の較正カーブ)を作成する。より具体的には、例えば最適レーザパワーを求めた記録位置とその最適レーザパワーから、その関係を適切に示す関数式やテーブル等を作成する。具体的に説明すると、DVD等の情報記録媒体であれば、相対的に内周側における記録位置での最適レーザパワーが相対的に小さく、相対的に外周側に位置する記録位置での最適レーザパワーが相対的に大きければ、内周側から外周側へ記録位置が移動するにつれて、その最適レーザパワーが漸次低下する旨の制御情報を作成する。そして、第2記録手段は、該制御情報を例えば情報記録媒体や或いはRAM等の格納手段に記録する。そして、例えばCPU等を含んでなる制御手段は、この制御情報に基づいて、レーザパワーを制御する。例えば制御手段は、レーザパワーを最適化するように(即ち、最適レーザパワーとなるように)制御してもよい。
従って、第1記録手段は適切に制御された(或いは、最適化された)レーザパワーにて記録情報を記録することができ、その記録特性を向上させことができる。その結果、記録情報を再生する際のエラーレート等も低下させることができるという利点も有する。加えて、制御情報は、情報記録媒体中における記録位置と最適レーザパワーとの対応関係を示している。このため、記録情報の記録位置に応じて、より適切にレーザパワーを制御することができ、その結果、第1記録手段は情報記録媒体中のいずれの位置においても或いは概ねの位置において、好適なレーザパワーにて記録情報を記録することが可能となる。特に、実際に最適レーザパワーを求めた記録位置における最適レーザパワーの絶対値やその記録位置の変化に対応する最適レーザパワーの変化の態様等から、実際に最適レーザパワーを求めていない記録位置においても適切にレーザパワーを制御することもできる。例えば、通常のランニングOPCであれば、そのOPCによる結果は、その記録位置における最適レーザパワーを求める以外に特に利用していなかった。しかるに第2実施形態に係る情報記録装置では、係る結果(即ち、最適レーザパワー)を蓄積し、その後のレーザパワーを制御する際に用いることで、上述の如き各種利益を享受でき、この点でランニングOPCよりも相対的に優れているといえる。
以上の結果、本発明の情報記録装置に係る第2実施形態によれば、記録動作中における制御情報作成手段が作成する制御情報を用いて、第1記録手段は、記録位置に応じたより好適なレーザパワー(或いは、最適レーザパワー)で記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記第2記録手段は、前記制御情報作成手段が作成した前記制御情報を、前記情報記録媒体に記録する。
この態様によれば、制御情報の作成を実際に行なった情報記録装置のみならず、他の情報記録装置(例えば、当該情報記録媒体に記録情報を記録したことのない情報記録装置等)においても、情報記録媒体に記録された制御情報を参照することで、レーザパワーを制御することができるという大きな利点を有する。
加えて、過去に作成した制御情報の内容が反映されたより最新の制御情報を作成することができる。従って、より好適にレーザパワーを制御するための基礎となる制御情報を作成することが可能となる。即ち、制御情報作成手段が求めた最適レーザパワーを累積的に反映させた制御情報を利用できるという点で、この態様は大きな利点を有する。
尚、当該情報記録装置がRAM等の格納手段を有していれば、該格納手段に制御情報を記録するように構成してもよい。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記制御情報作成手段は、ランニングOPC(Optimum Power Calibration)を行って得られるレーザパワーの較正値に基づいて前記制御情報を作成する。
この態様によれば、較正値(例えば、後述のROPCデータ)に基づいて、より信頼性の高い制御情報を作成することができる。このランニングOPCの結果に基づき制御情報を作成する具体的な説明については、後の実施例中において詳述する。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記制御情報作成手段は、前記情報記録媒体の所定領域ごとに対応した前記制御情報を作成する。
この態様によれば、例えば情報記録媒体の半径位置などのように所定領域毎に対応した制御情報を作成することができる。従って、当該制御情報を参照することで、情報記録媒体中の全体に渡って記録位置が変化しても、その変化に対応してレーザパワーを制御することができる。このとき、この所定領域は、情報記録媒体全体に渡って平均的に割り振られてもよいし、或いはランダムに割り振られた領域であってもよい。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記制御情報作成手段は、前記情報記録媒体の記録線速度に対応した前記制御情報を作成する。
このように構成すれば、例えばZ−CLV(Zone Constant Liner Velocity)の場合、その記録線速度の相違に応じた制御情報を作成することが可能となる。従って、記録線速度の相違に対応してレーザパワーを制御することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体は複数の記録層を備えており、前記制御手段は、前記記録手段により情報記録を行う対象が、前記複数の記録層のうち一の記録層から他の記録層へ切り替わる場合において、当該一の記録層において求められた前記制御情報に基づき、当該他の記録層に照射する前記レーザパワーを制御する。
この態様によれば、例えば未だ記録情報を記録したことのない他の記録層においても、当該他の記録層と概ね同一の記録特性を持つであろうと推測される一の記録層における制御情報から、他の記録層におけるレーザパワーを制御することができる。従って、複数の記録層を備える情報記録媒体に記録情報を記録する場合であっても、いずれの記録層においてもより好適なレーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る第2実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体は複数の記録層を備えており、前記制御情報作成手段は、前記記録手段により情報記録を行う対象が、前記複数の記録層のうち一の記録層から他の記録層へ切り替わる場合において、当該一の記録層において求められた前記制御情報に基づき、当該他の記録層における前記制御情報を作成する。
この態様によれば、例えば未だ記録情報を記録したことのない他の記録層においても、当該他の記録層と概ね同一の記録特性を持つであろうと推測される一の記録層における制御情報から、他の記録層における制御情報を作成することができる。
(情報記録方法の実施形態)
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)にレーザ光を照射して記録情報を記録する記録工程と、前記情報記録媒体の前記記録制御エリアに記録される前記制御情報に基づいて、レーザパワーを最適化する最適化工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る第1実施形態によれば、上述した本発明に係る情報記録装置に係る第1実施形態と同様に、最適化工程においてレーザパワーを最適化し、記録工程において最適化されたレーザパワーにて記録情報を記録することができる。従って、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態と同様の各種利益を享受することが可能である。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態は、情報記録媒体にレーザ光を照射し、当該情報記録媒体に記録情報を記録する第1記録工程と、前記情報記録媒体の記録位置に応じた最適レーザパワーを求め、記録位置を表す情報と最適レーザパワー表す情報とを対応付けた制御情報を作成する制御情報作成工程と、前記制御情報作成工程において作成した前記制御情報を記録する第2記録工程とを備え、前記第2記録工程において記録される制御情報に基づいて、前記情報記録媒体に照射される前記レーザ光のパワーを制御する制御工程を有する。
本発明の情報記録方法に係る第2実施形態によれば、上述した本発明に係る情報記録装置に係る第2実施形態と同様に、第1記録工程において記録情報を記録し、制御情報作成工程において最適レーザパワーを求めると共に、制御情報を作成し、第2記録工程においてこの制御情報を記録し、制御工程において制御情報に基づきレーザパワーを制御することができる。従って、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態と同様の各種利益を享受することが可能である。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報記録再生装置の実施形態)
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態(但し、その各種態様を含む)と、前記情報記録媒体から前記記録された記録情報を再生する再生手段とを備える。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態が有する各種利益を享受することができると共に、例えば光ピックアップやRF検出器、プッシュプル検出器等を備えてなる再生手段を用いて記録情報を再生することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1又は第2実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録再生装置の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報記録再生方法の実施形態)
本発明の情報記録再生方法に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録方法に係る第1又は第2実施形態(具体的には、その各工程)と、前記情報記録媒体から前記記録された記録情報を再生する再生工程とを備える。
本発明の情報記録再生方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録方法に係る第1又は第2実施形態が有する各種利益を享受することができるとともに、例えば光ピックアップやRF検出器、プッシュプル検出器等の動作による再生工程において、記録情報を再生することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録方法に係る第1又は第2実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録再生方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明に係るコンピュータプログラムの第1実施形態は、コンピュータを上述した情報記録装置の第1実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置の第1実施形態における記録手段及び最適化手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの第1実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第1実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る第1実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明に係るコンピュータプログラムの第2実施形態は、コンピュータを上述した情報記録装置の第2実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置の第2実施形態における第1記録手段、制御情報作成手段、第2記録手段及び制御手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの第2実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る第2実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明に係るコンピュータプログラムの第3実施形態は、コンピュータを上述した情報記録再生装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置の第1又は第2実施形態及び再生手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの第3実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る第3実施形態も各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品に係る第1実施形態は上記課題を解決するために、コンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、上述した情報記録装置の第1実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、該コンピュータを上述した情報記録装置の第1実施形態における記録手段及び最適化手段の少なくとも一部として機能させる。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品に係る第2実施形態は上記課題を解決するために、コンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、上述した情報記録装置の第2実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、該コンピュータを上述した情報記録装置の第2実施形態における第1記録手段、制御情報作成手段、第2記録手段及び制御手段の少なくとも一部として機能させる。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品に係る第3実施形態は上記課題を解決するために、コンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、上述した情報記録再生装置(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、該コンピュータを上述した情報記録装置に係る第1又は第2実施形態及び再生手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品に係る第1、第2、又は第3実施形態によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の情報記録装置に係る第1及び第2実施形態及び情報記録再生装置の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の情報記録装置に係る第1及び第2実施形態及び情報記録再生装置の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、記録エリアと記録制御エリアとを備える。従って、制御情報を用いて、記録位置に応じたより好適なレーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。
また、本発明の情報記録装置及び方法に係る第1実施形態は、記録手段及び最適化手段、又は記録工程及び最適化工程を備える。従って、制御情報を用いて、記録位置に応じて最適化された(即ち、より好適な)レーザパワーで記録情報を記録することが可能となる。
また、本発明の情報記録装置及び方法に係る第2実施形態は、第1記録手段、制御情報作成手段、第2記録手段及び制御手段、又は第1記録工程、制御情報作成工程、第2記録工程及び調整工程を備える。従って、記録動作中における制御情報作成手段が求める制御情報を用いて、記録手段は、記録位置に応じて最適化された(即ち、より好適な)記録パワーで記録情報を記録することが可能となる。
また、本発明の情報記録再生装置に係る実施形態によれば、第1又は第2実施形態に係る情報記録装置及び再生手段を備える。従って、第1又は第2実施形態に係る情報記録装置が有する各種利益を享受できると共に、記録情報を再生することも可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、図1から図3を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例において用いられる情報記録媒体について説明する。本実施例では、情報記録媒体として光ディスクを用いて説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものであり、図2は、本実施例に係る光ディスクのデータ構造を概念的に示すデータ構造図であり、図3は、本実施例に係る光ディスクに記録されている記録感度情報を概念的に示すグラフ及び表である。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、本発明における「記録エリア」の一具体例たるデータ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウォブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、後述するように、リードインエリア104やリードアウト108は更に細分化された構成であってもよい。
この光ディスク100のデータ構造について、図2を参照してより詳細に説明する。図2に示すように、光ディスク100は、リードインエリア104内に本発明における「制御情報」の位置具体例たる記録感度情報103が記録されている。記録感度情報103は、光ディスク100上の位置に応じた記録感度の変化の態様等を示している。例えば、光ディスク100に係るセンターホール102を中心とした半径位置等に応じた記録感度の変化の態様を示している。このような記録感度の変化は、例えば光ディスクの製造条件(例えば、製造プロセスや製造時の環境等)や記録層に用いられる材質(例えば、有機色素やアモルファス材料等)の相違等に起因して現れる。
記録感度情報103は、当該光ディスク100の製造時に予め製造メーカ等により記録されることが好ましい。また、本実施例では、記録感度情報103は、ランドプレピット(LPP)の状態で記録されている。但し、その他の態様(例えば、特定のピット等)により記録されていてもよい。
そして、この記録感度情報103は、図3(a)に示すように、光ディスク100上におけるデータの記録位置(例えば、光ディスク100のセンターホール102を中心とする半径位置)と記録感度との相関関係を示すグラフ(或いは、関数式)として記録されていてもよい。図3(a)に示す記録感度情報103(即ち、グラフ)は、半径位置が外周側に移るにつれて記録感度が漸次低下していくことを示している。
或いは、図3(b)に示すように、記録感度情報103は、光ディスク100上におけるデータの記録位置(光ディスク100のセンターホール102を中心とする半径位置)と最適記録レーザパワーとの相関関係を示すグラフ(或いは、関数)として記録されていてもよい。図3(b)に示す記録感度情報103(即ち、グラフ)は、半径位置が外周側に移るにつれて最適記録レーザパワーが漸次大きくなっていくことを示している。尚、記録感度が向上すれば、それに応じて適切な記録動作に必要な記録レーザパワーが小さくなるという事実から、図3(b)に示す記録感度情報103は、図3(a)に示す記録感度情報103と同様に、半径位置が外周側に移るにつれて記録感度が漸次低下していくことを示している。
尚、この場合の最適記録レーザパワーは、その絶対値により示されていてもよいし、或いは所定の半径位置における最適記録レーザパワーの値を基準とする比により示されていてもよい。所定の半径位置は、最内周側における半径位置であってもよいし、データ記録エリア106上における所定の半径位置であってもよいし、最外周側における半径位置であってもよいし、それ以外の半径位置であってもよい。そして、特に記録感度情報103が最適記録レーザパワーの比を示しているときは、その基準となるパワー値は、後述の情報記録装置がOPCを行なうエリアにおける最適記録レーザパワー(即ち、OPCにより求められる記録レーザパワー)であることが好ましい。即ち、リードインエリア104内に存在するOPCを行なうための領域たるOPCエリアにおける記録レーザパワーを基準とすることが好ましい。
或いは、図3(c)に示すように、記録感度情報103は、光ディスク100のセンターホール102を中心とする離散的な半径位置と記録感度との対応表として記録されていてもよい。尚、係る半径位置は、任意の間隔単位で抽出した離散的な半径位置に限られず、例えば連続的な半径位置であってもよい。
また、記録感度情報103として、後述するような較正カーブやROPCデータ等を含むように構成してもよいし、或いは最適記録レーザパワーの値を直接的に示す情報を含むように構成してもよい。
このように、記録感度情報103を光ディスク100が予め備えていることで、例えば後述の情報記録装置は、該記録感度情報103を参照することで、より好適な記録レーザパワー(例えば、最適記録レーザパワー)にてデータを記録することが可能となる。例えば、後述のOPCにより記録動作の開始前に予め算出した最適記録レーザパワーにてデータを記録中、その記録位置が順次外周側に移っていくとする。一方、記録感度情報103によれば、記録位置が外周側に移るにつれて記録感度も下がっていくとする。この場合、後述の情報記録装置は、記録感度情報103を参照することで、記録位置が順次外周側に移ることで記録感度が下がることを認識し、その記録レーザパワーを順次増加させていくことが可能となる。即ち、光ディスク100の記録感度に応じたより好適な記録レーザパワーによりデータの記録を行なうことが可能となる。
仮に、記録感度情報103が存在しなければ、後述の情報記録装置は、光ディスク100のいずれの記録位置においても、OPCにより記録動作の開始前に予め算出した最適記録レーザパワーによりデータを記録することとなる。しかしながら、光ディスク100は記録位置により記録感度が変化するという特性を有しているため、いずれの記録位置においてもOPCにより算出された最適記録レーザパワーが最適とは限らない。特に、OPCはリードインエリア104内に設けられたOPCエリア内において試し書きデータを記録することでなされるため、記録位置が外周側に移るにつれて最適記録レーザパワーも変化すると考えられる。即ち、適切な記録レーザパワーでデータを記録できるとは限らず、例えば再生時のエラーレートの増加にもつながり得るという不都合が存在している。
しかるに、本実施例に係る光ディスク100によれば、記録感度情報103を予め備えているため、記録位置の変化に起因した記録感度の変化に関わらず、好適な記録レーザパワーにてデータを記録することが可能となる。そして、光ディスク100のいずれの記録位置にデータを記録する場合であっても、当該記録感度情報から最適記録レーザパワーを求めることができる。このため、上述の如き不都合を効果的に防ぎ、後述の情報記録装置をして、いずれの記録位置においてもより適切にデータを記録せしめることが可能となる。即ち、データの記録品質を向上させ、その結果、データの再生時におけるエラーレートの低下等の各種利益を享受することが可能となる。
(情報記録装置の第1実施例)
続いて、図4から図6を参照して、本発明の情報記録装置に係る第1実施例について説明する。
(1)基本構成
先ず、図4を参照して第1実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図4は、第1実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図4に示すように、本実施例に係る情報記録装置1は、スピンドルモータ301、光ピックアップ310、ヘッドアンプ311、RF検出器312、サーボ回路315、LDドライバ320、ウォブル検波器325、LPPデータ検出器326、エンベロープ検波器330、OPCパターン生成器340、タイミング生成器345、データ収集器350、バッファ360、DVDモジュレータ370、データECC生成器380、インタフェース390及びCPU400を備えて構成されている。
スピンドルモータ301は、サーボ回路315等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
光ピックアップ310は、光ディスク100への記録又は再生を行うもので、半導体レーザ装置、各種レンズ、アクチュエータ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ310は、光ディスク100に対してレーザ光等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。光ピックアップ310は、サーボ回路315により駆動される図示しないアクチュエータ、スライダ等により光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。
ヘッドアンプ311は、光ピックアップ310の出力信号(即ち、光ビームBの反射光)を増幅し、該増幅した信号を出力する。具体的には、読取信号たるRF信号がRF検出器312及びエンベロープ検波器330に出力され、プッシュプル信号がウォブル検出器325へ出力される。
RF検出器312は、RF信号を検出し、復調等を施すことで、インタフェース390を介して外部へ出力可能に構成されている。即ち、当該情報記録装置を、情報再生装置或いは情報記録再生装置として機能させることができる。
サーボ回路315は、光ピックアップ310の受光結果を処理して得られるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号等に基づいて、光ピックアップ310の対物レンズを移動し、これによりトラッキング制御及びフォーカス制御等の各種サーボ処理を実行する。また、光ディスク100におけるウォブリングされたグルーブトラックのウォブルから得られるウォブル信号を基準にして、スピンドルモータ301をサーボ制御するように構成されている。
LDドライバ320は、OPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び再生処理により最適な記録レーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ310内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、LDドライバ320は、データ記録時には、前述のOPC処理により決定された最適な記録レーザパワーで、光ピックアップ310の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、最適記録レーザパワーは、記録データに応じて変調される。
尚、上述したスピンドルモータ301、光ピックアップ310、サーボ回路315及びLDドライバ320等を含めて、本発明に係る「記録手段」の一具体例を構成している。
ウォブル検出器325は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、ウォブル信号を示すプッシュプル信号を検出すると共に、タイミング生成器345へ出力するように構成されている。
LPPデータ検出器326は、光ピックアップ310内に設けられた反射光ビームを受光する検出器たるヘッドアンプ311からの受光量に応じた出力信号に基づいて、LPP信号を示すプッシュプル信号を検出すると共に、当該LPP信号に含まれる記録感度情報103を検出する。また、検出した記録感度情報103をCPU400へ出力可能に構成されている。
更に、LPPデータ検出器326は、LPP信号により示されたプリフォーマットアドレス情報を検出可能に構成されている。そして、当該プリフォーマットアドレス情報をタイミング生成器345へ出力可能に構成されている。
エンベロープ検波器330は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU400の制御下で、最適記録レーザパワーを決定するために、ヘッドアンプ311からの出力信号たるRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。係るエンベロープ検波器330は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んでいるように構成されてもよい。
OPCパターン発生器340は、OPC処理におけるOPCパターンの記録時に、タイミング生成器345からのタイミング信号に基づいて、OPCパターンを示す信号を、LDドライバ320に対して出力するように構成されている。
タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの記録時に、LPPデータ検出器326より入力されるプリフォーマットアドレス情報に基づき、該プリフォーマットアドレス情報(例えば、ADIPワード)の管理単位を基準とした絶対位置情報を検出する。それと同時に、ウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、プリフォーマットアドレス情報の管理単位より小さいスロット単位(例えば、ウォブル信号の一周期の自然数倍の長さに相当するスロット単位)を基準とした相対位置情報を検出する。よって、タイミング生成器345は、OPC処理における記録開始位置がプリフォーマットアドレス情報の管理単位、即ち、各ADIPワードの境界から開始されるか否かにかかわらず、その記録開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、OPCパターンを書き込むタイミング信号を生成して出力する。他方、タイミング生成器345は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、記録時と同様にして、その再生開始位置を特定することが可能であり、以後、ウォブル検出器325から出力されたウォブル信号を示すプッシュプル信号の周期に基づいて、再生されたOPCパターンをサンプリングするタイミング信号を生成して出力する。
データ収集器350は、主としてメモリ一般である。例えば、外付RAM等から構成されている。エンベロープ検波器330で検波されたエンベロープがデータ収集器350に格納され、これに基づいて、CPU400における最適な記録レーザパワーの検出、即ち、OPC処理が実行される。
バッファ360は、DVDモジュレータ370より変調された記録データを格納し、LDドライバ320に出力可能に構成されている。
DVDモジュレータ370は、記録データに対してDVD変調を施し、バッファ360に出力可能に構成されている。DVD変調として、例えばEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調が施されてもよい。
データECC生成器380は、インタフェース390より入力される記録データに対してエラー訂正用の符号を付加する。具体的には、所定のブロック単位(例えば、ECCクラスタ単位)毎にECCコードを付加し、DVDモジュレータ370へ出力する。
インタフェース390は、外部入力機器より記録データ等の入力を受け付け、データECC生成器380へ出力する。また、例えばスピーカやディスプレイ等の外部出力機器に対して、RF検出器312より出力される再生データを出力可能に構成されていてもよい。
CPU400は、最適な記録レーザパワーを検出するために、例えば、LDドライバ320、サーボ回路315等の各手段へ指示する、即ちシステムコマンドを出力することで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU400が動作するためのソフトウェアは、内部又は外部のメモリ内に格納されている。
(2)動作原理
続いて、図5及び図6を参照して、第1実施例に係る情報記録再生装置1の記録動作について説明する。ここに、図5は、第1実施例に係る情報記録装置の記録動作全体の流れを示すフローチャートであり、図6は、記録レーザパワーの最適化の様子を概念的に示すグラフである。
図5に示すように、情報記録装置1は、先ずOPC処理を行なう(ステップS101)。ここで、OPC処理についてより具体的に説明すると、まずCPU400による制御下で、光ピックアップ310がリードインエリア104内に設けられたOPCエリアへ移動され、OPCパターン発生器340及びLDドライバ320等の制御により、順次段階的に(例えば、相互に異なる16段階の)記録レーザパワーが切り換えられて、OPCパターンがOPCエリアに記録される。OPCパターンとして、例えば3Tパルスに相当する短ピット及び11Tパルスに相当する長ピットを夫々同一の長さの無記録区間と共に交互に形成した記録パターンが一つの例として挙げられる。
LDドライバ320は、このOPCパターン発生器340から出力されるOPCパターンにより、記録レーザパワーを順次段階的に切り換えるように、光ピックアップ310内の半導体レーザを駆動する。
更に、このようなOPCエリアへの試し書きの完了後には、CPU400の制御下で、該OPCエリアにおいて試し書きされたOPCパターンが再生される。具体的には、エンベロープ検波器330に入力されたRF信号より、当該RF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値がサンプリングされ、データ収集器350へ出力される。そして、CPU400の制御下で、これらピーク値及びボトム値は、データ収集器350へ格納される。その後、このようなOPCパターンの再生が、1回のOPC処理において、例えば記録されたOPCパターンの回数に応じて行われた後に、最適記録レーザパワーが決定される。即ち、これらのピーク値及びボトム値より求められるアシンメトリから、例えば記録特性の品質を表すジッタ値が最小付近となるような最適記録レーザパワーが算出される。
続いて、記録感度情報103が読み込まれる(ステップS102)。ここでは、LPPデータ検出器326が、光ディスク100上に形成されたランドプリピット(LPP)より、当該記録感度情報103を検出する。そして、検出された記録感度情報103は、CPU400へ出力され、その後の記録レーザパワーの最適化において利用される。
その後、記録レーザパワーの最適化を行なう(ステップS103)。より具体的には、本発明における「最適化手段」の一具体例たるCPU400は、これからデータを記録する記録位置における記録感度とOPCを行なった記録位置における記録感度との比較を行なう。これからデータを記録する記録位置における記録感度がOPCを行なった記録位置における記録感度よりも大きければ、OPCにより算出された最適記録レーザパワーを小さくする。他方、これからデータを記録する記録位置における記録感度がOPCを行なった記録位置における記録感度よりも小さければ、OPCにより算出された最適記録レーザパワーを大きくする。
具体的には、例えば、図6(a)に示すように、記録感度情報103により、所定の記録位置における最適記録レーザパワーの比が定められていたとする。このとき、この最適記録レーザパワーの比は、OPCエリアに相当する記録位置(即ち、半径位置がr1に係る記録位置)におけるパワー値を基準としている。そして、OPC処理により、半径位置r1における最適記録レーザパワーが値Pとして求められたとする。
そして、データを半径位置r2に係る記録位置に記録する場合には、図6(b)に示すように、この半径位置における最適記録レーザパワーの比がkにて示されているとすると、半径位置r2における最適記録レーザパワーの値は、P×kにて求めることができる。
また、記録感度情報103が、光ディスク100の一部の記録位置に対応する情報(例えば、記録感度や記録レーザパワーの比しか有していない場合、現在存在する記録感度情報103より、記録感度情報103が存在しない記録位置における記録レーザパワーを推測するように構成してもよい。例えば、図6(a)に示すような記録感度情報103のグラフであれば、当該グラフを延長させることで、記録レーザパワーの比を概ね推測することができる。
再び図5において、ステップS103において最適化した記録レーザパワーにて、データを記録する(ステップS104)。
その後、適宜記録レーザパワーを変更するか否かが、例えばCPU400により判定される(ステップS105)。CPU400は、例えば、データを記録する位置が大きく変化した場合に記録レーザパワーを変更すると判定してもよいし、或いは例えば複数の記録層を有する光ディスクに記録しているのであれば、異なる層へ記録する際に記録レーザパワーを変更すると判定してもよい。例えば、図6(c)に示すように、半径位置がR1、R2、R3及びR4の夫々を超えた場合に、記録レーザパワーを変更すると判定してもよい。
再び図5において、この判定の結果、記録レーザパワーを変更すると判定された場合(ステップS105:Yes)、再びステップS103へ戻り、記録レーザパワーの最適化を行なう。具体的には、例えば記録位置の変更があった場合は、当該変更後の記録位置と記録感度情報とに基づき、図6(a)及び(b)に示すように適切な記録レーザパワーとなるように最適化する。
他方、記録レーザパワーを変更しないと判定された場合(ステップS105:No)、続いて、CPU400の制御下で記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS106)。ここでは、当該記録動作において記録すべきデータが全て記録されていれば、記録動作を終了すると判定してもよい。
この判定の結果、記録を終了すると判定されれば(ステップS106:Yes)、記録動作を終了する。他方、記録を終了しないと判定されれば(ステップS106:No)、ステップS104へ戻り、記録動作を継続する。
以上の結果、第1実施例に係る情報記録装置1によれば、光ディスクに予め記録されている記録感度情報103を用いて、最適記録レーザパワーを比較的容易に求めることができ、その結果、記録位置の変化に起因した記録感度の変化に関わらず、好適な記録レーザパワーにてデータを記録することが可能となる。即ち、上述した実施例に係る情報記録媒体(即ち、光ディスク100)が有する各種利益を享受することができる。そして、例えば記録感度情報103が存在しない記録位置における最適記録レーザパワーであっても、当該記録感度情報103から推測することである程度正確な値を予測することが可能となる。
尚、第1実施例に係る記録情報装置1は、光ディスク100より読み込んだ記録感度情報103を記録するためのメモリを備えていてもよい。このメモリは、例えばRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリであることが好ましい。これにより、相対的に読込速度の遅い光ディスク100からではなく、相対的に読込速度の速いメモリより記録感度情報103を読み込むことが可能となる。加えて、記録感度情報103を読み込むために、逐次光ディスク100から読み込む必要がなくなる。従って、記録動作の高速化を実現することができるという大きな利点を有する。
尚、図4を参照して説明した第1実施例に係る情報記録装置は、情報記録再生装置の実施例も兼ねる。即ち、ヘッドアンプ311及びRF検出器312を介して、記録情報を再生可能であり、本実施例は、情報再生装置の機能或いは情報記録再生装置の機能を含む。これは、後述の第2実施例に係る情報記録装置においても同様のことがいえる。
(情報記録装置の第2実施例)
続いて、図7から図16を参照して、本発明の情報記録装置に係る第2実施例について説明する。第2実施例に係る情報記録装置は、データの記録動作時において記録レーザパワーの較正をし、該較正の結果を記録レーザパワーの較正データとして保存しながら、データの記録を行なう態様をとる。尚、上述した第1実施例に係る情報記録装置と同様の構成については、同様の参照符号及びステップ番号を付与することでその詳細な説明を省略する。
(1)基本構成
先ず、図7を参照して、第2実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図7は、第2実施例に係る情報記録装置の基本構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施例に係る情報記録再生装置1は、スピンドルモータ301、光ピックアップ310、ヘッドアンプ311、RF検出器312、サーボ回路315、LDドライバ320、ウォブル検波器325、LPPデータ検出器326、エンベロープ検波器330、OPCパターン生成器340、タイミング生成器345、データ収集器350、バッファ360、DVDモジュレータ370、データECC生成器380、インタフェース390、CPU400、比較器410及びメモリ420を備えて構成されている。
第2実施例に係る情報記録装置では特に、比較器410は、いわゆるランニングOPCを行なうために、記録動作時における光ビームBの反射光の強度と上述のOPC動作時における反射光の強度とを比較可能に構成されている。
ここに、ランニングOPCとは、データの記録動作と並行して行なう記録レーザパワーのキャリブレーションである。より具体的には、データの記録時における光ビームBの反射光強度とリードインエリア104上のOPCエリアにおいて行うOPCの動作時における光ビームBの反射光強度とを比較する。そして、これらの反射光強度の差がなくなるように(即ち、これらの反射光強度が同一の値を有するように)光ピックアップ310の記録レーザパワーを調整する。
そして、比較器410には、図示しないビームスプリッタ等により、光ピックアップ310が検出する反射光が入力可能に構成されている。
メモリ420は、ランニングOPCによる記録レーザパワーの較正に関するデータ(例えば、その較正値、或いは較正後の記録レーザパワーの比や絶対値等)を格納可能に構成されている。そして、係る較正に関するデータは、例えばCPU400により適宜読み出し可能に構成されている。また、上述の第1実施例に係る情報記録装置1についても説明したが、光ディスク100に記録感度情報103が記録されていれば、当該記録感度情報103をメモリ420に記録するように構成してもよい。
(2)動作原理
続いて、図8から図16を参照して、第2実施例に係る情報記録装置の動作原理について説明する。尚、第2実施例に係る情報記録装置の記録動作としては、シーケンシャル記録とランダム記録との2種類に大きく分けられる。このため、ここでの動作原理の説明についても、シーケンシャル記録を第1動作例として説明し、ランダム記録を第2動作例として説明する。
(第1動作例)
第1動作例について、図8から図14を参照して説明する。尚、第1動作例に係るシーケンシャル記録とは、連続的にデータを記録する手法であって、例えば内周側から外周側に向かってトラックに沿ってデータを記録し、その反対の方向(即ち、外周側から内周側)へ戻ってデータを記録しない記録手法である。
(1)基本動作
まず、図8を参照して、第2実施例に係る情報記録装置の基本的な記録動作について説明する。ここに、図8は、記録動作の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、まず記録動作の対象となる光ディスク100に記録感度情報103が記録されているか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、CPU400の制御下で、光ディスク400のランドプリピットを読み取り、そのLPP信号から記録感度情報103に相当する情報が存在するか否かにより判定してもよい。
この判定の結果、記録感度情報103が記録されていると判定した場合(ステップS201:Yes)、CPU400は、当該記録感度情報103を用いて較正カーブ(具体的には例えば、図6(a)及び(b)に示すような、最適記録レーザパワーの比と記録位置との関係式)を作成する(ステップS202)。ここでは、実際に較正カーブを作成してもよいし、或いは実際に較正カーブを作成しなくとも、例えば当該較正カーブを作成できる程度のデータを有していてもよい。
その後、OPC処理を行なう(ステップS203)。そして、実際にデータを記録する(ステップS204)。この記録動作の前に、OPC処理により求めた記録レーザパワーとステップS202にて求めた較正カーブとから、第1実施例に係る動作原理において説明したように、例えばデータの記録位置に応じたより好適な最適記録レーザパワーを求めることが好ましい(図5におけるステップS103参照)。そして、データを記録する記録位置が変更する場合には、その都度較正カーブに応じてより好適な最適記録レーザパワーを求め、その最適記録レーザパワーにてデータを記録することが好ましい。そして、データを全て記録した場合には記録を終了する(ステップS213)。
尚、ステップS204における記録動作時には、後述するようなランニングOPC処理を行いながら適宜その記録レーザパワーを較正してもよい。そして、ランニングOPC処理による較正が、記録感度情報103に基づき求めた較正カーブと合致しない場合には、該較正カーブをランニングOPCによる較正の結果に基づいて補正してもよい。
具体的に図9を参照して説明する。ここに、図9は、較正カーブの補正の態様を概念的に示すグラフである。
図9中太線のグラフに示すように、記録感度情報103(及びOPC処理)により求められた最適記録レーザパワーの較正カーブが求められたとする。このとき、所定の記録位置においてランニングOPCを行なった結果、当該記録位置における最適記録レーザパワーが点Pにおける値を有していることが判明したとする。このとき、当初の太線により示される較正カーブを、ランニングOPCによる較正の結果に合わせて、図9中鎖線にて示される較正カーブとなるように補正してもよい。
再び図8において、他方、ステップS201における判定の結果、記録感度情報103が記録されていないと判定された場合(ステップS201:No)、続いて本発明における「較正値」の一具体例たるROPC(Running OPC)データが記録されているか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、例えばROPCデータが光ディスク100に記録されているか、或いはメモリ420に記録されているかを、光ディスク100及びメモリ420をシークすることで判定する。
尚、ROPCデータとは、ランニングOPC処理により較正される記録レーザパワーの較正の結果を示す情報であり、例えばその較正値そのものを含んでいてもよいし、最適記録レーザパワーの絶対値(或いは、その比)であってもよい。そして、これにその較正を行なった記録位置に関する情報が含まれていてもよい。
この判定の結果、ROPCデータが記録されていると判定されれば(ステップS205:Yes)、当該ROPCデータに基づき、本発明における「制御情報」の一具体例たる較正カーブを算出する(ステップS211)。ここでは、CPU400の動作により、ROPCデータが含む較正値(或いは、最適記録レーザパワーの値や比等)と記録位置とから、その関係を示す関数式を作成する。
この較正カーブの算出動作について、図10及び図11を参照してより詳細に説明する。ここに、図10は、較正カーブを算出する態様を概念的に示すグラフであり、図11はより具体的な較正カーブの一具体例を示すグラフである。
図10に示すように、黒点にて示す関係がROPCデータにより判明しているとする。即ち、ROPCデータは、4つの記録位置に対応し、且つランニングOPCにより較正されたその記録位置における最適記録レーザパワーの値或いは比を有している。ここで、CPU400は最小二乗法等の数学的又は統計的手法を用いて、当該4つの点から夫々の点を通る曲線(即ち、関数式)を算出する。このとき、4つの点が存在する記録位置において求められる曲線は、実際のランニングOPCによる較正が反映されているため、その信頼性が高いものといえる。他方、未だランニングOPCを行っていいない(即ち、ROPCデータが存在しない)記録位置に関しては、ここで求められる曲線はあくまで予測値に過ぎない。
しかしながら、従来のランニングOPCでは、その記録レーザパワーの較正値等を記録することはなかったため、現在記録を行なっている記録位置でしか最適記録レーザパワーの算出が行えなかった。しかるに、第2実施例に係る情報記録装置2によれば、ランニングOPCによる較正値等をROPCデータとして記録し、且つそのROPCデータに基づき未だ記録を行なっていない記録位置における最適記録レーザパワーをも含めて較正カーブを算出することが可能である。従って、単にランニングOPCを行なって記録レーザパワーの較正を行なうのみに比べて、より好適な最適記録レーザパワーにてデータの記録を行なうことができるという大きな利点を有する。
尚、図10に示すグラフのうち、予測により作成された較正カーブの部分は、その部分における較正値等がROPCデータに追加されれば、該追加されたROPCデータに基づいて、より好適な較正カーブとして算出することができる。また、ROPCデータとして、当該較正カーブ自体を有していてもよい。
また、このような較正カーブは、少なくとも2つの較正値を含むROPCデータがあれば作成することができる。例えば該2つの較正値により示される2点を通る直線を、較正カーブとして推測してもよい。もちろん、ROPCデータに含まれる較正値の数が多いほど、より信頼性の高い較正カーブが得られることはいうまでもない。
また、図10に示すような較正カーブの予測をしなくとも、データの記録位置に最も近い(或いは、相対的に近い)記録位置に対応する最適記録レーザパワーの比等を用いて、最適記録レーザパワーとして求めてもよい。即ち、図10に示すように、較正カーブが推測により求められることになる記録位置においては、図中最右側にある黒点により示される値を、最適記録レーザパワーの値としてもよい。
再び図8において、較正カーブの算出後、OPC処理を行なう(ステップS203)。そして、当該OPC処理により求められた記録レーザパワーの値とステップS211にて求めた較正カーブとから、上述した図5におけるステップS103を参照して説明したように、より好適な最適記録レーザパワーを求める(ステップS212)。そして、その後、ランニングOPCを行いながらデータを記録していく(ステップS206)。
他方、ステップS205における判定の結果、ROPCデータがないと判定されれば、OPC処理を行い、記録レーザパワーを求める(ステップS203)。その後、ランニングOPCを行いながらデータを記録する(ステップS206)。
ここで、ランニングOPC処理について説明する。データの記録時には、光ビームBを光ディスク100の記録面上に照射することで、データを示すピットを形成している。そして、このデータの記録時には、照射した光ビームBが記録面等において反射し、反射光として光ピックアップ310に戻ってくる。ランニングOPCでは、この反射光を利用して、データを記録している記録位置における最適記録レーザパワーを求めている。具体的には、反射光の強度と図8のステップS203におけるOPC処理時の反射光の強度とが同一或いは概ね同一となるように、LDドライバ320はCPU400の制御下で半導体レーザを駆動する。
従って、第2実施例に係る情報記録装置では、ステップS203において行なうOPC処理時の反射光の強度を、例えばメモリ420等に記録しておく。そして、その反射光の強度を比較器410に入力することで、データ記録時の反射光の強度と適宜比較できるように構成されている。
ステップS206における記録時には、このランニングOPCを行いながらデータを記録している。尚、ランニングOPC処理は、連続的に行なうように構成してもよいし、或いは所定の又は不定期の期間毎に行なうようにしてもよいし、或いは後述のチェックポイントに到達する毎に行なうように構成してもよい。
ここで、データを記録している記録位置が所定のチェックポイント#nに該当するか否かが判定される(ステップS207)。このチェックポイントは、例えば光ディスク100の所定の半径位置(例えば、24mm、36mm、45mm等の半径位置)であったり、所定の物理アドレス値であってもよい。或いは、例えば光ディスク100にデータを記録する際の線速度が変化する点をチェックポイントとしてもよいし、データの記録を停止(或いは、一時停止)した点をチェックポイントとしてもよい。そして、光ピックアップ310の位置から半径位置を監視してもよいし、LPP信号に含まれるプリフォーマットアドレス情報から、物理アドレス値を監視してもよいし、該物理アドレス値より半径位置を推測することで半径位置を監視してもよい。
また、ステップS205においてROPCデータがあると判定された場合、既に光ディスク100上の一部の記録領域にはデータが記録されているため、情報記録装置2はその続きからデータを記録していくこととなる。従って、このときチェックポイント#nに該当するか否かの判定は、その記録の続き以降に存在するチェックポイント#nに該当するか否かを判定すれば足りる。例えば、チェックポイントが“#1”から“#20”まで内周側から外周側に順に存在し、且つ既にチェックポイント“#8”を超えた位置までデータの記録が終了している場合、情報記録装置2は、チェックポイント“#9”からチェックポイント“#20”までに該当するか否かを判定すればよい。
この判定の結果、所定のチェックポイント#nに該当すると判定された場合は(ステップS207:Yes)、当該記録位置においてしたランニングOPCの結果をROPCデータとしてメモリ420に記録する(ステップS208)。このとき、既にメモリ420内にROPCデータが存在していれば、更に新たなランニングOPCの結果を追加するようにROPCデータを記録する。このとき、ステップS205においてROPCデータが記録されていると判定された時点で、そのROPCデータをメモリ420に記録するように構成してもよい。そして、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS210)。
ここで、ROPCデータについて図11を参照してより具体的に説明する。ここに、図11は、ROPCデータの一具体例を示す表である。
図11に示すように、ROPCデータには、記録位置と当該記録位置における最適記録レーザパワーの比とが記録されている。そして、この最適記録レーザパワーの比は、図11においては、半径位置24mmの記録位置における最適記録レーザパワーを基準としている。チェックポイントに該当したときにメモリ420に記録するROPCデータは、図11に示すROPCデータのうち一つの半径位置と該一つの半径位置における最適記録レーザパワーの比である。尚、メモリ420に逐次記録しなくとも、光ディスク100に逐次記録するように構成してもよい。特に、書換可能型の光ディスクであれば、上書きが可能であるため、このように構成してもディスクとしての記録容量に影響を与えることはない。
そして、図11におけるROPCデータは、図8のステップS211において較正カーブ算出の基礎とされ、例えば図11に示すROPCデータから図12(a)や図12(b)に示すような較正カーブが算出される。
図12(a)に示す較正カーブは、図11に示すROPCデータを、近似式を用いて関数化したものであり、また図12(b)に示す較正カーブは、図11に示すROPCデータを相隣接する2点間を線分で接続したものである。尚、縦軸は最適記録パワーの比で示されており、半径位置が概ね24mm程度の記録位置における記録パワーを基準値としている。
再び図8において、他方、所定のチェックポイント#nに該当しないと判定された場合は(ステップS207:No)、続いて記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS210)。即ち、記録すべきデータを全て記録したか、或いは光ディスク100の記録容量限度までデータを記録したか否か等が判断される。
この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合(ステップS210:Yes)、記録動作を終了し(ステップS213)、その後、メモリ420に記録されていたROPCデータを光ディスク100のリードインエリア104内にあるRMD(Recording Management Data)に記録する(ステップS214)。
他方、記録動作を終了しないと判定された場合(ステップS210:No)、チェックポイントの変数nをインクリメントする(ステップS209)。即ち、次にROPCデータを記録すべき記録位置を示すチェックポイントを更新し(即ち、次のチェックポイントを指定し)する。そして、再度ステップS206へ戻り、ランニングOPCを行いながらデータを記録する。
尚、CPU400等が本発明における「制御手段」の一具体例を構成し、比較器410やCPU400等を含めて本発明における「制御情報作成手段」を構成している。
(2)異なる記録層への記録
続いて、図13及び図14を参照して、光ディスク100が複数の記録層を有している場合において、記録動作の対象となる記録層が切り替わる際の記録動作について説明する。尚、複数の記録層を有する光ディスクであっても、同一の記録層への記録を続ける場合の動作は、図8から図12を参照して説明した動作と同様である。ここに、図13は、異なる記録層への記録動作の流れを示すフローチャートであり、図14は、較正カーブの算出動作を概念的に示すグラフである。尚、図13においては、図8における動作と同様の動作については同様のステップ番号を付するものとし、その詳細な説明を省略する。
図13に示すように、まず、光ディスク100に記録感度情報103が記録されているか否かが判定される(ステップS201)。ここでは、その記録動作の前提として、今まで記録していた記録層から異なる記録層へデータを記録しようとしているものとする。
この判定の結果、記録感度情報103が記録されていると判定された場合には(ステップS201:Yes)、図8における動作例と同様に、較正カーブを算出し(ステップS202)、OPC処理を行い(ステップS203、データを記録する(ステップS204)。
他方、記録感度情報103が記録されていないと判定された場合には(ステップS201:No)、続いて、これからデータを記録しようとしている記録層におけるROPCデータが存在するか否かが判定される(ステップS301)。具体的には、例えば2つの記録層(即ち、一の記録層と他の記録層)を有する光ディスクについて、これから他の記録層にデータを記録しようとする場合、当該他の記録層におけるROPCデータが光ディスク100やメモリ420等に記録されているか否かが判定される。
この判定の結果、ROPCデータが記録されていると判定された場合(ステップS301:Yes)、図8における動作例と同様に、ROPCデータにより較正カーブを算出し(ステップS211)、OPC処理を行い(ステップS203)、較正カーブにて記録レーザパワーを最適化する(ステップS212)。そして、ランニングOPCを行ないながらデータを記録していく(ステップS206)。
他方、ROPCデータが記録されていないと判定された場合(ステップS301:No)、これからデータを記録しようとしている記録層とは異なる記録層におけるROPCデータから較正カーブを算出する(ステップS302)。例えば、2つの記録層(即ち、一の記録層と他の記録層)を有する光ディスクについて、これから他の記録層にデータを記録しようとする場合、当該一の記録層におけるROPCデータを用いて較正カーブを算出する。尚、較正カーブの算出動作については、図8におけるステップS211と同様の動作により行われる。
その後、これからデータを記録しようとしている記録層においてOPC処理を行なう(ステップS203)。そして、当該OPC処理により算出された記録レーザパワーとステップS211にて求めた較正カーブとから、上述した図5におけるステップS103を参照して説明したように、より好適な最適記録レーザパワーを求める(ステップS212)。
ここで、係る最適記録レーザパワーを求める動作について、図14を参照して説明する。ここに、図14は、異なる記録層における較正カーブを概念的に示すグラフである。
図14上部に示すように、一の記録層における較正カーブが示されているとする。このとき、該較正カーブは、最適記録レーザパワーの絶対値をPとし、半径位置をrとすると、P=f(r)なる関数式により表されるとする。ここで、異なる記録層たる他の記録層は、一の記録層とその記録特性において、製造条件や製造メーカ等が同一であることを考慮すると、ある程度の同一性を有していると考えられえる。従って、他の記録層における最適記録レーザパワーを求める際に、一の記録層における較正カーブを用いることができる。
具体的には、他の記録層におけるOPC処理で、OPCエリアにおける記録レーザパワーp2が求められたとする。このとき、図14下部に示すように、当該p2を起点として、図14上部に示す較正カーブと同一の変化率に係る較正カーブを作成すれば、他の記録層における較正カーブとすることができる。このとき、図14下部に示される較正カーブは、その記録レーザパワーの絶対値をP2とすると、P2=f(r)+(p2−p1)にて示される。もちろん、較正カーブが最適記録レーザパワーの比を示していても、関数式は違うにせよ、上記と同様の手法により、他の記録層における較正カーブを求めることができる。そして、他の記録層においてデータを記録していくに従って、ROPCデータが求められれば、当該ROPCデータを用いて、較正カーブをより信頼性の高いものとするように補正していくことが好ましい。
このように、これからデータを記録する他の記録層における較正カーブを、既にデータを記録している一の記録層における較正カーブを参照して作成することで、データを記録していない他の記録層においても、より好適な最適記録パワーを求めることができる。
再び図13において、その後ランニングOPCを行いながらデータを記録していく(ステップS211)。以降は、図8において説明したのと同様の動作により、チェックポイント毎にROPCデータがメモリ420に記録され、記録終了後にはROPCデータがRMDへ記録される。
(第2動作例)
続いて、第2動作例について、図15及び図16を参照して説明する。尚、第2動作例に係るランダム記録とは、任意の記録位置においてデータを記録する手法であって、上述したシーケンシャル記録の如く記録動作が進行する方向が定まっていない記録手法である。尚、図15及び図16においては、上述した第1動作例における動作と同様の動作については同様のステップ番号を付するものとし、その詳細な説明を省略する。
(1)基本動作
まず、図15を参照して、第2実施例に係る情報記録装置の基本的な記録動作のうち第2動作例について説明する。ここに、図15は、第2動作例に係る記録動作の流れを示すフローチャートである。
図15に示すように、第2動作例に係る記録動作は、概ね第1動作例に係る記録動作(図8参照)と同様である。
第2動作例では特に、チェックポイントに該当するか否かの判定が第1動作例と異なる。具体的には、チェックポイント#nに該当するか否かの判定を行い(ステップS207)、該当していればROPCデータをメモリ420へ記録し(ステップS208)、該当しなければ全てのチェックポイントに該当するか否かの判定を行なう(ステップS401)。即ち、チェックポイントが#1から#20まで存在すれば、今判定を行なっている記録位置が、チェックポイント#1から#20までのいずれかに該当するか否かの判定を行なったかを判定する。図中n(max)は、チェックポイントの総数を示している。
この判定の結果、全てのチェックポイントに該当するか否かの判定を行なっていないと判定されれば(ステップS401:No)、nをインクリメントし(ステップS402)、再度チェックポイント#n+1に該当するか否かの判定を行う。他方、全てのチェックポイントに該当するか否かの判定を行なったと判定されれば(ステップS401:Yes)、続いて、記録動作を終了するか否かを判定する(ステップS210)。
この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合は(ステップS210:Yes)、記録を終了し(ステップS213)、ROPCデータをRMDへ記録する(ステップS214)。
他方、記録動作を終了しないと判定された場合は(ステップS210:No)、nを初期化(例えば、n=1とし)、再度ランニングOPCを行ないながらデータを記録する(ステップS206)。
(2)異なる層への記録
続いて、図16を参照して、光ディスク100が複数の記録層を有している場合において、記録動作の対象となる記録層が切り替わる際の記録動作について説明する。ここに、図16は、異なる記録層への記録動作の流れを示すフローチャートである。
図16に示すように、第2動作例に係る記録動作は、第1動作例に係る動作例と概ね同一であり、また、チェックポイントに該当するか否かの判定も、上述の図15を参照して説明した動作と同様である。
以上の結果、第2実施例に係る情報記録装置2によれば、データの記録中に行なうランニングOPCによる較正の結果を参照して、最適記録レーザパワーを比較的容易に求めることが可能となる。特に、データ記録していない記録位置における最適記録レーザパワーであっても、既に行なったランニングOPCによる較正の結果から、好適な記録レーザパワーを求める(或いは、推測する)ことが可能となる。
尚、例えばランニングOPCによる較正のみを行なうと予め定められていれば、図8(或いは、図13、図15、図16等)におけるステップS201の判定を省略して、ステップS205における判定動作から記録動作を開始してもよい。
また、上述の説明では、記録感度情報103による較正カーブを用いる説明とROPCデータに基づく較正カーブを用いる説明を進めたが、もちろんこれら2つの較正カーブを組み合わせることで、より好適な最適記録レーザパワーを求めるように構成してもよい。
また、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報記録再生装置及び方法並びに、記録制御用及び記録再生制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。