以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムについて順に説明する。
本発明の情報記録装置に係る実施形態は、駆動パルスに基づきレーザパワーを変化させてレーザ光を照射することで、記録情報の記録を制御するためのプリ情報が予め記録された情報記録媒体に前記記録情報を記録する記録手段と、前記駆動パルスを少なくともトップパルスとミドルパルスとに変化させる第1制御手段と、少なくとも前記トップパルス及び前記ミドルパルスのパルス比と前記プリ情報の再生品質である第1再生品質との相関関係を示す第1相関情報に基づいて、前記第1再生品質が所定の第1基準を満たすパルス比である最適比を検出する最適比検出手段と、前記駆動パルスを前記最適比に応じたパルス比に変化させる第2制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、記録手段の動作により、情報記録媒体にレーザ光を照射することで記録情報を記録することができる。特に、第1制御手段は、記録手段の駆動パルスとして相対的に高い波高値(即ち、レーザパワー)を有するトップパルスと相対的に低い波高値を有するミドルパルスとを適宜相互に変化させながらレーザ光を照射することができる。即ち、照射されるレーザ光のパワーを変化させる(具体的には、トップパルス或いはミドルパルス或いは必要に応じてそれ以外のパルスとに変化させる)ことができる。加えて、夫々のパルスの波高値を変化させることで、レーザ光のレーザパワーを任意に変化させることができるように構成することが好ましい。
本実施形態では特に、トップパルスとミドルパルスとの比(例えば、トップパルス及びミドルパルスの夫々の波高値の比)であるパルス比について、記録情報の記録を制御するために用いられるプリ情報の再生品質である第1再生品質が所定の第1基準を満たすようなパルス比を最適比として検出する最適比検出手段を備えている。ここに、「所定の第1基準」とは、あるパルス比に応じて記録情報が記録された記録領域に記録されているプリ情報を再生した際の第1再生品質(例えば、後述のAR(Aperture Ratio)特性等)が好適な状態ないし数値を実現できるような基準を示す。即ち、第1再生品質が所定の第1基準を満たすようなプリ情報は、好適に再生を行うことができるがゆえに、記録情報も好適な再生することができる。また、プリ情報の再生品質は、実施例において後述するように、プリ情報自体を再生することでも求めることができるし、例えばプリ情報が記録されている記録領域に記録される記録情報を再生することでも求めることができる。そして、この所定の第1基準は予め定められているものであってもよいし、或いは記録動作に応じて適宜設定するものであってもよい。そして、最適比の検出は、パルス比と第1再生品質との相関関係を示す第1相関情報に基づいて行われる。即ち、第1相関情報が示すパルス比と第1再生品質との相関関係を参照して、より好適に所定の第1条件を満たすようなパルス比を最適比として検出する。そして検出された最適比に基づいて、第2制御手段の動作により、トップパルスとミドルパルスとが最適比に応じたパルス比になるように制御され、それによってレーザパワーを制御してレーザ光を照射するように記録手段が制御される。
これにより、トップパルスとミドルパルスとを適宜変化させつつレーザ光を照射させる情報記録装置において、好適に最適なパルス比を検出することができる。更に、パルス比と実際に記録されているプリ情報の再生品質との相関関係に基づいて最適比を検出しているため、情報記録装置毎のばらつきや情報記録媒体毎のばらつき等によらず、好適な最適比を検出することができる。従って、本実施形態に係る情報記録装置によれば、この最適比に基づいて適切に記録情報を記録することが可能となる。そして、このように記録された記録情報の再生品質を好適に向上させることが可能となる。
尚、従来の情報記録装置においては、予め定められたパルス比に応じてレーザパワーを変化させてレーザ光を照射することで記録情報を記録している。このため、記録される記録情報の再生品質は、OPC(Optimum Power Control)等により検出された最適パワーに委ねられている。特にOPC等にあっては再生品質として、記録情報のアシンメトリやジッタ値等が好適な状態となるように最適パワーの検出がなされている。このため、その他の再生品質(例えば、プリ情報の第1再生品質)が悪化してしまうおそれもあった。しかるに本実施形態に係る情報記録装置では、記録情報の再生品質が好適な状態となるように(特に、プリ情報の第1再生品質が第1基準を満たすように)、記録情報の好適な再生品質を実現すべく最適比が検出される。このため、従来の情報記録装置によって記録される記録情報の再生品質と比較して、その再生品質をより向上させることが可能となる。
以上の結果、本実施形態に係る情報記録装置によれば、適切なパルス比たる最適比を好適に検出することができる。それに伴って、情報記録媒体に対して、好適に記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の一の態様は、前記レーザパワーを変化させると共に該レーザパワーに対応する前記駆動パルスを所定の前記パルス比に応じて変化させながら前記情報記録媒体に試し記録用の第1試し情報を書き込む第1書込手段と、前記第1試し情報を再生することで、前記第1試し情報の再生品質である第2再生品質が所定の第2基準を満たす前記レーザパワーを最適パワーとして検出する最適パワー検出手段と、前記最適パワーに対応する前記駆動パルスの前記パルス比を変化させながら、前記情報記録媒体に試し記録用の第2試し情報を書き込む第2書込手段と、前記第2試し情報が書き込まれた記録領域に予め記録されている前記プリ情報の前記第1再生品質を測定し、且つ該測定された第1再生品質及び対応する前記パルス比に基づいて前記第1相関情報を作成する作成手段とを更に備える。
この態様によれば、所謂OPC動作の如く、第1書込手段の動作により、所定のパルス比を有する駆動パルスを変化させることでレーザパワーを適宜変化させながら(即ち、例えば段階的に所定量ずつ或いは連続的に所定割合ずつ変化させながら)第1試し情報を記録した後、最適パワー検出手段の動作により当該第1試し情報を再生することで最適パワーを検出する。その後、第2書込み手段の動作により、この最適パワーに対応する駆動パルスにてレーザパワーを設定した後、パルス比を適宜変化させながら第2試し情報を記録する。そして、作成手段の動作により当該第2試し情報を再生することで第1相関情報を作成することができる。即ち、異なるパルス比で記録された第2試し情報の再生品質とパルス比との関係を示す第1相関情報を作成することができる。従って、この第1相関情報に基づいて好適に最適比を検出することができる。
上述の如く第1書込手段等を備える情報記録装置の態様では、前記最適パワー検出手段は、前記第2再生品質としてのアシンメトリ及びジッタ値の少なくとも一方が前記第2基準を満たす前記レーザパワーを前記最適パワーとして検出するように構成してもよい。
このように構成すれば、通常のOPC(Optimum Power Control)の如く好適に最適パワーを検出することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記レーザパワーを変化させると共に該レーザパワーに対応する前記駆動パルスの前記パルス比を変化させながら前記情報記録媒体に試し記録用の第3試し情報を書き込む第3書込手段と、前記第3試し情報が書き込まれた記録領域に予め記録されている前記プリ情報の前記第1再生品質を測定し、且つ該測定された第1再生品質及び前記パルス比に基づき前記第1相関情報を作成する作成手段とを備える。
この態様によれば、駆動パルスを変化させることでレーザパワーを段階的に或いは連続的に変化させながら第3試し情報を記録すると共に、更に該レーザパワーに対応する駆動パルスのパルス比を段階的に或いは連続的に変化させつつ(より好ましくは、必要に応じてパルス比を変化させつつ)第3試し情報を記録することで第1相関情報等を好適に作成することができる。このため、この作成された第1相関情報等に基づいて、最適比をより好適に検出することが可能となる。
尚、本実施形態において記載されている第1試し情報、第2試し情報及び第3試し情報の夫々は、同一の情報であってもよいし夫々異なっていても良い。要は、通常のコンテンツデータ等を含む記録情報と異なる形式の情報である旨を示しているにすぎない。
上述の如く第3書込手段等を備える情報記録装置の態様では、前記最適比検出手段は、前記第3試し情報が書き込まれた記録領域に予め記録されている前記プリ情報の前記第1再生品質が前記第1基準を満たすか否かを判定する判定手段を更に備え、前記第3書込手段は、前記判定手段により前記第1基準を満たさないと判定された場合に、前記一のパルス比を変化させて前記第3試し情報を書き込むように構成してもよい。
このように構成すれば、あるパルス比に応じたレーザ光により第3試し情報が記録された記録領域に予め記録されているプリ情報の再生品質が第1基準を満たしていれば、当該あるパルス比を最適比として検出することができる。他方、あるパルス比に応じたレーザ光により第3試し情報が記録された記録領域に予め記録されているプリ情報の再生品質が第1基準を満たしていなければ、パルス比を変化させた後、該変化させた後のパルス比に応じたレーザ光により改めて第3試し情報を記録し、この第3試し情報が改めて記録された記録領域に予め記録されているプリ情報の再生品質が第1基準を満たしているか否かを判定する。従って、不必要に或いは無駄にパルス比を変化させる動作を行なうことなく、効率的に最適比を検出することが可能となる。
上述の如く作成手段を備える情報記録装置の態様では、前記記録手段は、前記作成された第1相関情報を前記情報記録媒体に記録するように構成してもよい。
このように構成すれば、一度作成した第1相関情報を、作成後も継続して使用することが可能となる。従って、改めて最適比を検出する際に再度第1相関情報を作成するという手間を省くことができる。
特に、情報記録媒体自身に第1相関情報を記録するため、当該情報記録媒体を情報記録装置からイジェクトした後に新たに別の情報記録装置にローディングした場合であっても、情報記録媒体中に記録された第1相関情報を用いて、上述の如く最適比を適切に検出することができる。
上述の如く作成手段を備える情報記録装置の態様では、前記作成された第1相関情報を格納するための格納手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、一度作成した第1相関情報を、作成後も使用し続けることが可能となる。従って、改めて最適比を検出する際に再度第1相関情報を作成するという手間を省くことができる。
特に、情報記録装置自身が備える格納手段に第1相関情報を格納するため、第1相関情報を作成した情報記録媒体とは異なる他の情報記録媒体に記録情報を記録する際にも、当該第1相関情報を用いて最適比を検出することが可能となる。特に、同一種類、同一品質、同一製造元等の情報記録媒体に記録をする際に有効となる。
このとき、第1相関情報を、情報記録媒体の識別番号(例えば、製造者番号やディスクID等)毎に区分して格納することが好ましい。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記プリ情報が予め記録されている記録領域に記録される記録情報の再生品質である第2再生品質(例えば、ジッタ値及びアシンメトリ値の少なくとも一方)が所定の第2基準を満たす場合に、前記第1再生品質が前記第1基準を満たす前記パルス比を前記最適比として検出するように構成してもよい。
このように構成すれば、記録情報の記録後のプリ情報の再生品質のみならず、記録情報に係る他の再生品質たるジッタ値やアシンメトリ等の向上をも十分に考慮して最適比を検出することが可能となる。従って、情報記録媒体により好適に記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記情報記録媒体は、前記記録情報を記録する際の基準記録速度と比較して4倍速以上の記録速度で前記記録情報を記録可能である。
この態様によれば、特に高速記録時(即ち、基準記録速度たる1倍速の記録速度と比較して概ね4倍速以上の記録速度での記録時)において問題となる記録情報を記録した後のプリ情報の再生品質の悪化を効果的に防ぐことができる。従って、低速記録時においても高速記録時においても、記録情報の再生品質(特に、プリ情報の再生品質)の向上を図ることが可能となる。
上述の如く高速な記録速度で記録情報を記録可能な情報記録装置の態様では、前記4倍速以上の記録速度で前記記録情報を記録する場合には、前記最適比検出手段は、前記第1再生品質が前記第1基準を満たす前記パルス比を前記最適比として検出し、前記基準記録速度と比較して4倍速未満の記録速度で前記記録情報を記録する場合には、前記最適比検出手段は、前記記録情報の再生品質である第2再生品質としてのジッタ値及びアシンメトリ値の少なくとも一方が所定の第2基準を満たす前記パルス比を前記最適比として検出するように構成してもよい。
このように構成すれば、4倍速以上の比較的高速な記録速度での記録動作時と4倍速未満の比較的低速な記録速度での記録動作時とで、最適比を検出する際の基準を分けることができる。従って、特に高速記録時に問題となる記録情報を記録した後のプリ情報の再生品質の悪化を高速記録時には効果的に防ぐことができる。他方でこのプリ情報の再生品質の悪化がさほど大きな問題とならない低速記録時には他の再生品質たるジッタ値やアシンメトリをより良好な状態に保つことができる。従って、全体としてみれば低速記録時においても高速記録時においても、記録される記録情報の再生品質を好適に向上させることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記プリ情報は、前記情報記録媒体の記録トラック上に形成されているプリピットにより前記情報記録媒体に予め記録されている。
この態様によれば、情報記録媒体としての一例であるDVD−RやDVD−RW等において、最適比を適切に検出することができるがゆえに、当該情報記録媒体に記録される記録情報の再生品質(特に、プリ情報の再生品質)を好適に向上させることが可能となる。
上述の如くプリピットによりプリ情報が記録されている情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録媒体の態様では、前記プリピットを再生することで生成されるプッシュプル信号の最大振幅と最小振幅とに基づいて、前記第1再生品質を測定する測定手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、プッシュプル信号に基づいて、プリ情報の再生品質である第1再生品質を適切に測定することができる。従って、この測定された第1再生品質を用いて作成される第1相関情報に基づいて、適切に最適比を検出することができる。
上述の如くプリピットによりプリ情報が記録されている情報記録媒体に記録情報を記録する情報記録媒体の態様では、前記プリピットを再生することで取得される前記プリ情報の再生エラーレートに基づいて、前記第1再生品質を測定する測定手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、プリ情報のエラーレートに基づいて、プリ情報の再生品質である第1再生品質を適切に測定することができる。従って、この測定された第1再生品質を用いて作成される第1相関情報に基づいて、適切に最適比を検出することができる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記プリ情報は、所定周期で揺動する前記情報記録媒体の記録トラックに加えられる変調信号により前記情報記録媒体に予め記録されている。
この態様によれば、情報記録媒体としての一例であるDVD+RやDVD+RWやDVD−RAM等において、最適比を適切に検出することができるがゆえに、当該情報記録媒体に記録される記録情報の再生品質(特に、プリ情報の再生品質)を好適に向上させることが可能となる。
(情報記録方法の実施形態)
本発明の情報記録方法に係る実施形態は、駆動パルスに基づきレーザパワーを変化させてレーザ光を照射することで、記録情報の記録を制御するためのプリ情報が予め記録された情報記録媒体に前記記録情報を記録する記録手段と、前記駆動パルスを少なくともトップパルスとミドルパルスとに変化させる第1制御手段と、少なくとも前記トップパルス及び前記ミドルパルスのパルス比と前記プリ情報の再生品質である第1再生品質との相関関係を示す第1相関情報に基づいて、前記第1再生品質が所定の第1基準を満たすパルス比である最適比を検出する最適比検出手段と、前記駆動パルスを前記最適比に応じたパルス比に変化させる第2制御手段とを備える。
本発明の情報記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータを上述した情報記録装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置の実施形態における前記記録手段、第1制御手段、前記最適比検出手段及び前記第2制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置又は方法に係る実施形態によれば、記録手段、最適比検出手段及び制御手段、又は最適比検出工程及び制御工程を備える。従って、適切なパルス比たる最適比を好適に検出することができる。それに伴って、記録される記録情報の再生品質をより向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、図1を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例において用いられる情報記録媒体について説明する。本実施例では、情報記録媒体として記録型の光ディスクを用いて説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウォブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプリピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、リードインエリア104やリードアウト108は更に細分化された構成であってもよい。
(情報記録装置の実施例)
続いて、図2から図16を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例について説明する。
(1)基本構成
先ず、図2を参照して実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図2に示すように、本実施例に係る情報記録装置1は、光ピックアップ501、スピンドルモータ502、RF(Radio Frequency)アンプ503、レーザドライブ回路504、OPC(Optimum Power Control)回路505、Po/Pm比変更回路506、トラッキングサーボ回路507、アクチュエータドライブ回路508、LPP(Land Pre Pit)検出器510、GATE作成回路511、LPPデータ検出器512、LPPエラーレート検出器513、記録アサインストラテジ検出器514、イコライザ520、RF振幅測定回路521、2値化回路530、デコーダ531、PLL(Phase Locked Loop)532、ジッタ計測回路540、CPU550、メモリ560を含んで構成されている。
光ピックアップ501は、光ディスク100への記録又は再生を行うもので、半導体レーザ装置501aや図示しない各種レンズ、アクチュエータ等から構成され、半導体レーザ装置501aは本発明における「記録手段」の一具体例でありレーザ光を光ディスク100に対して照射する。より詳細には、半導体レーザ装置501aは、光ディスク100に対してレーザ光LB等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。このようなレーザ光LBのパワー調整は、後述する「第1制御手段」及び「第2制御手段」の一具体例たるレーザドライブ回路504の制御の下に行われる。より具体的には、所定のパルスストラテジに規定される駆動パルスにより半導体レーザ装置501aを駆動することで、所定のレーザパワーを有するレーザ光LBが照射される。また、光ピックアップ510は、図示しないサーボ回路により駆動されるアクチュエータ、スライダ等により光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。
スピンドルモータ502は、図示しないサーボ回路等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
RFアンプ503は、半導体レーザ装置501aから照射されるレーザ光LBの反射光を受光する図示しないPD(Photo Detector)から出力される信号を増幅し、該増幅した信号を出力する。具体的には、読取信号たるRF信号(或いは、LPP信号やウォブル信号等)がLPP検出器510やイコライザ520や2値化回路530やジッタ計測回路540に出力される。
レーザドライブ回路504は、本発明における「第1制御手段」及び「第2制御手段」の一具体例であって、後述のOPC処理時には、後述のOPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの検出が行えるように、光ピックアップ501内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、データ記録時には、OPC処理により検出された最適なレーザパワーで、光ピックアップ501の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、最適レーザパワーは、記録データに応じて変調される。
OPC回路505は、記録動作前のOPC処理におけるOPCパターンの記録時に、OPCパターンを示す信号を、レーザドライブ回路504に対して出力するように構成されている。なお、OPC処理についての説明は、後に詳述する(図6等参照)。
Po/Pm比変更回路506は、半導体レーザ装置501aから照射されるレーザ光LBのパワーを変化するために、半導体レーザ装置501aを駆動するための駆動パルス比を変更可能に構成されている。具体的には、レーザ光LBのパワーを変化させるためのトップパルス(Po)とミドルパルス(Pm)の夫々の波高値の比率であるPo/Pm比を変更する旨の指示をレーザドライブ回路504に出力することで、光ピックアップ501が備える半導体レーザ装置501aを駆動するための駆動パルスを制御してレーザ光LBのパワーを変更する。
ここで、このレーザ光LBを照射するための駆動パルスについて、図3を参照してより詳細に説明する。ここに、図3は、データの記録時に照射されるレーザ光LBを駆動するための駆動パルスと実際に記録される記録パターンとを概念的に示すグラフである。
光ディスク100への記録動作は、例えばDVD−R/RW等であれば、3Tから11Tないしは14Tの記録パターンを組み合わせて行われる。そして、この記録パターンの組合せに応じて、所望のデータが光ディスク100上に記録され、一連のコンテンツデータが形成される。
これらの記録パターンを記録する際には、図3に示すように、レーザ光LBを照射するための駆動パルスの波形が所定の形状(例えば、所定のピーク値や所定のデューティー比等を有する形状)となるように、パルスストラテジに基づいて、例えばレーザドライブ回路504により制御される。図3では、記録パターンの一具体例として、3Tパターンと6Tパターンとの組み合わせを図示している。図3中最上部に示す波形が、実際に光ディスク100上に記録される記録パターンを示している。
これらの記録パターンを例えば4倍速或いは6倍速の記録速度で記録する際には、図3中中部に示す波形を有する駆動パルスに基づいてレーザ光LBを照射する。具体的に説明すると、相対的に短い記録パターンである3Tパターンを記録する際には、そのピーク値をPoとするトップパルスの形状を有する駆動パルスに基づいて、当該駆動パルスに対応するレーザパワーにてレーザ光LBが照射される。即ち、パルスのピーク値が“Po”であって、且つそのパルス幅が“3Ttop”となる駆動パルスに基づいて照射されるレーザ光LBにより、3Tパターンの記録マーク(或いは、ピット)が形成される。一方、相対的に長い記録パターンである6Tパターンを記録する際には、図3中下部に示すような駆動パルスに基づいて、該駆動パルスに対応するレーザパワーにてレーザ光LBが照射される。即ち、パルスのピーク値が“Po”であって且つそのパルス幅が“nTtop”となるパルス、パルスのピーク値が“Pm”であって且つそのパルス幅が“nTwt−nTtop−nTlp”となるパルス、並びにパルスのピーク値が“Po”であって且つそのパルス幅が“nTlp”となるパルスを図3中下部に示すように組み合わせてなる駆動パルスに基づいて照射されるレーザ光LBにより、6Tパターンの記録マーク(或いは、ピット)が形成される。このような駆動パルスの波形は、例えばパルスストラテジにより規定される。そして、当該パルスストラテジに基づいて、例えばレーザドライブ回路504の動作により駆動パルスが光ピックアップ501内の半導体レーザ装置501aに入力され、実際にレーザ光LBが照射されている。
より高速な8倍速の記録速度で記録パターンを記録する場合も動揺に、相対的に短い記録パターンの記録時には、トップパルスの形状を有する駆動パルスに基づいてレーザ光LBが照射され、相対的に長い記録パターンの記録時には、トップパルスとミドルパルスとを適宜変化させてなる駆動パルスに基づいてレーザ光LBが照射される。
このようにレーザ光LBを照射するための駆動パルスの波形を制御することで、比較的高速な記録速度にて記録パターンを記録する場合であっても、適切な形状を有する記録パターン(或いは、記録マークや記録ピット)を光ディスク100上に形成することができる(図9(a)に示すピットの形状を参照)。そして、図2に示すPo/Pm変更回路506は、図3に示すトップパルスのピーク値PoとミドルパルスPmのピーク値との比率(即ち、Po/Pm比)を任意に変更することが可能に構成されている。
また、3Tパターンと6Tパターンとを記録する間の時間においては、レーザ光LBの照射を停止することなく(即ち、レーザパワーを0にすることなく)、概ね再生レーザパワーPbにてレーザ光LBの照射を継続していることが好ましい。このとき、再生レーザパワーPbをより小さくすることで、レーザ光LBが照射されている記録エリアへの影響を小さくすることができるため好ましい。但し、記録トラックのトラッキングに必要な最小限のレーザパワーを有するレーザ光LBが照射されていることがより好ましい。
再び図2において、トラッキングサーボ回路507は、光ピックアップ501からの読取信号よりトラッキングエラー信号等の各種サーボ信号を検出可能に構成されている。そして、この各種サーボ信号は、アクチュエータドライブ回路508や或いはスピンドルモータ502へ出力可能に構成されている。
アクチュエータドライブ回路508は、トラッキングサーボ回路507から出力される各種サーボ信号に基づき、光ディスク100の径方向或いは回転方向への光ピックアップ501の移動を制御可能に構成されている。そして、アクチュエータドライブ回路507によりその移動が制御されている光ピックアップ501により、光ディスク100の所望の記録位置にレーザ光LBが照射されることで各種データを記録することが可能となる。
LPP検出器510は、光ピックアップ501内に設けられた反射ビーム光を受光する検出器たるRFアンプ503からの受光量に応じた出力信号に基づいて、LPP信号を示すプッシュプル信号を検出可能に構成されている。このとき、プッシュプル信号を検出するために、光ピックアップ501の受光素子は、例えば2分割或いは4分割等複数の領域に分けてレーザ光LBの反射光を受光可能に構成されていることが好ましい。
尚、LPPとは、本発明における「プリ情報」の一具体例であって、光ディスク100の一具体例としてのDVD−R/RW等の記録トラック(特に、ランドトラック)上に予め形成されているピットであって、例えば光ディスク100上のアドレス位置や、データ記録時の記録クロック信号の生成のために用いられる。
GATE作成回路511は、LPPデータを検出するためのゲート信号を作成可能に構成されている。具体的には、LPPが形成されているウォブルを対象としてゲート信号を作成することで、LPPデータを検出可能にすると共に、LPPデータに含まれるノイズを効果的に除去することができる。もちろん、ウォブル信号を検出して作成されるゲート信号を用いてもLPPデータを検出することができることはいうまでもない。
LPPデータ検出器512は、LPP検出器510より出力されるLPP信号から、GATE作成回路511により作成されたゲート信号に基づいて、LPPデータを検出可能に構成されている。例えばLPPデータより、光ディスク100上におけるアドレス位置を示すプリフォーマットアドレス情報や、記録動作の際のクロックを示す情報を検出可能に構成されている。
LPPエラーレート検出器513は、LPPデータ検出器512において検出されたLPPデータのエラーの発生率(即ち、エラーレート)を検出可能に構成されている。このエラーレートは、例えば記録後LPP特性(或いは、BERLPPa:Block Error Rate LPP after)と称され、AR特性と同様の数値を示すものである。
ここで、AR特性について簡単な説明を加える。光ピックアップ501は、図示しない2分割受光回路を備えており、夫々の分割再生信号からプッシュプル信号を生成することが出来る。そして、このプッシュプル信号成分のうち光ディスク100上に設けられている記録トラックであるグループトラック方向の信号成分の最大振幅と最小振幅との比率をAR特性と称している。例えば、DVD−R/RW上に設けられているLPPを再生したときの再生信号をオシロスコープ上で重ね合わせることで、その再生信号の最大振幅と最低振幅とを認識することができ、これよりAR特性を算出することができる。但し、実際の情報記録装置1においては、LPPデータのエラーレートを算出することで、AR特性の測定と同等の確認が可能であり、同等の動作を行なうことができる。
記録アサインストラテジ検出器514は、LPPに記録されているデフォールトとしてのパルスストラテジを、LPPデータ検出器512が検出したLPPデータより検出可能に構成されている。そして、この検出されたストラテジに基づいて、図3において示したような駆動パルスに基づいてレーザ光LBが照射される。
イコライザ520は、RFアンプ503により検出されたRF信号等に対して所定のフィルタリング(或いは、信号処理)を行い、且つフィルタリング後の信号(例えば、エンベロープ検波等)をRF振幅測定回路521へ出力可能に構成されている。
RF振幅測定回路521は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU550の制御下で、最適レーザパワーを検出するために、RFアンプ503からの出力信号たるRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。係るRF振幅測定回路521は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んでいるように構成されてもよい。
2値化回路530は、RFアンプ503により検出されたRF信号等から2値化信号を作成可能に構成されている。具体的には、例えば検出されたRF信号等よりパルス列を作成する。そして、2値化された信号をデコーダ531及びPLL532の夫々へ出力可能に構成されている。
デコーダ531は、2値化回路530で2値化されたRF信号に復調等を施すことで、再生データをバッファや外部出力インタフェース経由で外部へ出力可能に構成されている。そして、当該外部出力インタフェースに接続された外部出力機器(例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示デバイス、或いはスピーカ等)において、所定のコンテンツが再生出力されることとなる。
PLL532は、2値化回路530から出力される2値化信号(特に、2値化されたLPP信号やウォブル信号)に基づいて、記録動作時の基準となるクロック信号を生成可能に構成されている。
ジッタ計測回路540は、RFアンプ503により検出されたRF信号からジッタ値を検出可能に構成されている。
CPU550は、当該情報記録装置1全体の動作を制御するべく、例えば、Po/Pm比変更回路506や記録アサインストラテジ検出器514やRF振幅測定回路521やジッタ計測回路540等からデータを受け取り、その後の制御動作を行なう。そして、これらのデータに基づき、情報記録装置1が備える各手段に対してシステムコマンドを出力することで、情報記録装置1全体の制御を行う。通常、CPU550が動作するためのソフトウェアは、例えば図示しないROM等に格納されている。
メモリ560は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等の半導体メモリを含んでなり、情報記録装置1の動作に必要な各種データを一時的に記録可能に構成されている。また、後述するように相関式や最適記録パワーPo、或いは最適比等を記録可能に構成されている。
尚、上述した情報記録装置1においては、本発明の特徴をより分かりやすく説明するために、本実施例において必要となる構成要件を抜き出して図示している。このため、上述した構成要件以外の構成要件を備えていても良いことはいうまでもない。
また、図2を参照して説明した本実施例に係る情報記録装置は、情報記録再生装置の実施例も兼ねる。即ち、光ピックアップ501やRFアンプ503を介して記録情報を再生可能であり、本実施例は、情報再生装置の機能或いは情報記録再生装置の機能を含む。
(動作原理)
続いて、図4から図16を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の動作原理について説明する。
(1)記録動作全体
先ず、図4を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の、各種データを記録する際の記録動作全体の流れについて説明する。ここに、図4は、本実施例に係る情報記録装置1の記録動作全体の流れを概念的に説明するフローチャートである。
図4に示すように、先ず光ディスク100が情報記録装置にローディングされる(ステップS101)。そして、CPU550の制御下で、光ピックアップ501によりシーク動作が行われ、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理用データが取得される。特に、リードインエリア104におけるランドプリピット(LPP)を読み取ることで、予め定められている所定の(或いは、デフォールトとしての)パルスストラテジを取得する。この管理用データに基づいて、CPU550の制御により、例えば外部入力機器等からの指示に応じて、例えば外部入力インタフェース等を介して光ディスク100へのデータの記録が行われる。
このローディング動作の後、実際にデータを記録する際の最適レーザパワーと最適なパルス比(即ち、上述のPo/Pm比)である最適比が検出される(ステップS102)。この最適比の検出動作については、後に詳述する(図5等参照)。
そして、実際に記録すべきデータを光ディスク100の所定のアドレス位置より記録する(ステップS103)。ここではレーザドライブ回路504により、ステップS102で検出された最適レーザパワーに対応する駆動パルスをステップS102で検出された最適比で変化させることで、レーザパワーを変化させながらレーザ光LBを照射する。そして、図1に示すデータ記録エリア106にデータが主として記録される。
具体的には、外部入力インタフェース等より入力される記録用のデータは、DVDモジュレータ370によりDVD変調(例えば、8−16変調)が施される。そして、変調が施されたデータに対して、データ誤り訂正用の符号たるECCコードが、例えば所定のブロック単位(例えば、ECCブロック単位)毎に付加される。その後、光ピックアップ501より所望のレーザ光LBが照射されることで、変調が施され且つECCコードが付加された記録用のデータが記録ピット、記録マーク或いは記録パターンとして光ディスク100上に記録される。
その後、全てのデータの記録が終了したか否かを判定する(ステップS104)。この判定の結果、全てのデータの記録が終了したと判定された場合(ステップS104:Yes)、そのまま記録動作を終了し、必要に応じてDVD−ROMとの互換性を保つためのファイナライズ処理を施したり、或いは光ディスク100を情報記録装置1からイジェクトするように構成してもよい。
続いて、図5から図15を参照して、図4のステップS102における最適レーザパワーとパルス比との検出動作について説明を進める。ここでは、この検出動作として、第1動作例として、OPC処理を行って最適レーザパワーを検出した後に、その最適レーザパワーに対応する駆動パルスのパルス比の検出動作を行う具体例と、第2動作例として、OPC処理と同時にパルス比の検出動作を行う具体例について説明を進める。
(2)第1動作例
先ず、図5から図11を参照して、第1動作例について説明する。ここでは、図5を参照して検出動作全体の流れを説明しながら、適宜他の図面を参照することで第1動作例を説明する。ここに、図5は、第1動作例に係る検出動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
尚、第1動作例は、はじめに所謂OPCを行なうことで最適レーザパワーを検出し、その後に、最適レーザパワーに対応する駆動パルスのPo/Pm比を適宜変化させながら最適なPo/Pm比を検出する動作の態様である。
図5に示すように、先ずLPPアサインストラテジ情報より、デフォールトとしてのPo/Pm比(或いは、パルスストラテジ)を読み込み、メモリ560に記録する(ステップS201)。具体的には、記録アサインストラテジ検出器514の動作により、LPPデータからデフォールトとしてのPo/Pm比を読み込む。このとき、図4のステップS101における動作時に予めデフォールトとしてのパルスストラテジを取得していれば、このステップS201における動作は省略してもよい。
続いて、OPC処理を行なう(ステップS202)。ここで、OPC処理について、図6を参照しながら詳細な説明を加える。ここに、図6は、本実施例に係る情報記録装置の動作において、16パワーステップの場合の1回のOPC処理を示した模式的タイミングチャート図である。
まず、CPU550による制御下で、本発明における「第1書込手段ないし第3書込手段」の一具体例たる光ピックアップ501が光ディスク100上の例えばリードインエリア104等に設けられたPCA(Power Control Area)へ移動される。そして、順次段階的に(例えば、相互に異なる16段階の)レーザパワーが切り換えられて、本発明における「第1試し情報或いは第3試し情報」の一具体例たるOPCパターン等のテスト信号がPCAに記録される。具体的には、OPC回路505により生成される図6に示すような基準OPCパターン等のテスト信号が記録される。テスト信号としては、例えば3T〜14Tのランダムパターンが一つの例として挙げられる。このようなOPCパターンは、CPU550の制御の下に、所定のパルスストラテジに従って作成される。図6では、段階的に切り替えられるレーザパワー毎に、ランダムパターンのうち3Tパターンのテスト信号を記録する第1ピット区間及び11Tパターンのテスト信号を記録する第2ピット区間を含んだOPCパターンを記録する態様を一具体例として示している。もちろん、段階的に切り替えられるレーザパワー毎に、異なるOPCパターンを用いるように構成してもよい。
レーザドライブ回路504は、このOPCパターンにより、レーザパワーを順次段階的に切り換えるように、光ピックアップ504内の半導体レーザを駆動する。このOPC処理においては、図5のステップS201において読み込まれたPo/Pm比により規定される波形を有する駆動パルスに基づいて照射されるレーザ光LBによりOPCパターンが記録される。
その後、このようなPCAへのOPCパターンの記録完了後には、CPU550の制御下で、該PCAにおける記録部分(即ち、OPCパターン)が再生される。そして、段階的に切り替えられたレーザパワー毎に、再生されたRF信号より、各種再生品質を検出する。例えば、RF振幅測定回路521の動作により測定されるRFピーク値及びRFボトム値からアシンメトリ(或いは、β値)を検出したり、ジッタ計測回路540の動作によりジッタ値を検出したり、LPPデータ検出器512或いはLPPエラーレート検出器513の動作によりAR特性(或いは、記録後LPP特性)を検出したりしてもよい。このような再生品質の検出が、段階的に切り替えられたレーザパワー毎に、1回のOPC処理において、例えば記録されたOPCパターンの回数に応じて行われる。
その結果、図7に示すような、順次段階的に切り替えられたレーザパワーとそのレーザパワーにて記録されたOPCパターンの各種再生品質との関係を示す相関情報(即ち、本発明における「第2相関情報」の一具体例)を作成することができる。ここに、図7は、OPC動作により作成された相関情報を概念的に示すグラフである。
例えば、アシンメトリを縦軸に、段階的に切り替えられたレーザパワーを横軸にとるグラフ上において、OPCパターンの再生により得られたアシンメトリをプロットし、且つ近似曲線で結ぶことで、図7(a)に示すような相関情報を得ることができる。係る近似曲線は、例えば最小二乗法等の数学的又は統計的手法を用いて作成することができる。
また、他の再生品質たるAR特性においても同様に、図7(b)に示すような相関情報を作成することができる。また、他の再生品質たるジッタ値においても同様に、図7(c)に示すような相関情報を作成することができる。
このような相関情報に基づき、本発明における「最適パワー検出手段」の一具体例たるCPU550の制御の下に、最適レーザパワーが検出される。OPC処理では、アシンメトリやジッタ値が最適な或いは好適な値をとるようなレーザパワーを最適レーザパワーとして検出することが好ましい。例えば、アシンメトリが0となるようなレーザパワーを最適レーザパワーとして検出してもよいし、或いはジッタ値が最小となるような(或いは、8%以下となるような)レーザパワーを最適レーザパワーとしてもよい。即ち、この「アシンメトリが0となる」条件や「ジッタ値が8%以下となる」条件が、本発明における所定の第2基準の一具体例に相等する。もちろん、この検出方法に限らず、OPCパターンを記録した光ディスク100の規格上許容される再生品質を実現可能なレーザパワーを最適レーザパワーとしても検出してもよい。
尚、上述の説明では相関情報をより分かりやすく説明するためにグラフを用いて説明をしているが、実際にこのようなグラフを作成せずに最適レーザパワーを検出してもよいことは言うまでもない。即ち、OPCパターンの再生によって得られるレーザパワーと各種再生品質との関係に応じて、例えば数学的に演算等を行うことで最適レーザパワーを検出してもよい。
再び図5において、上述したようにOPC処理の結果として最適レーザパワーが検出される(ステップS203)。続いて、CPU550の制御の下に、本発明における「第2書込手段ないし第3書込手段」の一具体例たる光ピックアップ501が所定のエリアに移動し、Po/Pm比を適宜変化させながら、本発明における「第2試し情報或いは第3試し情報」の一具体例たる試し記録用の試しデータを光ディスク100の所定のエリアに記録する(ステップS204)。具体的には、Po/Pm比変更回路506の動作によりPo/Pm比を例えば0.05刻みで(即ち、1.35、1.40、1.45、・・・、1.65等のように)変化させながら、所定のエリアに、3Tパターン等の試しデータを記録する。もちろん、所定量ずつ段階的にPo/Pm比を変化させることに代えて、例えば5ECCブロック記録する毎にPo/Pm比を0.05増加させるというように、所定割合ずつ連続的にPo/Pm比を変化させるように構成してもよい。また、この場合のレーザパワーは、ステップS203で検出された最適レーザパワーに固定されている。
その後、本発明における「作成手段」の一具体例たるCPU550の制御の下に、ステップS204において記録された試しデータを再生することで、本発明における「第1相関情報」の一具体例たるPo/Pm比と再生品質との相関関係を示す相関情報を作成する(ステップS205)。試しデータの再生品質として、上述したようにアシンメトリ、ジッタ値及びAR特性を測定することが好ましい。
ここでは、例えば、図8に示すような相関情報を作成する。ここに、図8は、Po/Pm比と再生品質との相関関係を示す相関情報を概念的に示すグラフである。
アシンメトリ、ジッタ値及びAR値等の再生品質を縦軸に、適宜変化させられたPo/Pm比を横軸にとるグラフ上において、試しデータの再生により得られたアシンメトリ、ジッタ値及びAR値の夫々をプロットし、且つ近似曲線で結ぶことで、図8に示すような相関情報を得ることができる。係る近似曲線は、上述したように、例えば最小二乗法等の数学的又は統計的手法を用いて作成することができる。
再び図5において、本発明における「最適比検出手段」の一具体例たるCPU550の制御の下に、ステップS205において作成された相関情報に基づいて、最適なPo/Pm比たる最適比が検出される(ステップS206)。具体的には、ジッタ値が最適或いはアシンメトリが最適なときのレーザパワーにおけるAR特性が最適であるようなPo/Pm比を最適比として検出する。即ち、本実施例に係る情報記録装置1は、データの再生品質のうちAR特性を特に重要視して最適比を決めるように構成されている。そして、この「ジッタ値が最適或いはアシンメトリが最適なときのレーザパワーにおけるAR特性が最適である」条件が、本発明における「所定の第1基準」の一具体例に相当する。但し、この第1動作例でいう「AR特性が最適」とは、AR特性が光ディスク100の規格上良好な値を示しているという趣旨であり、例えば光ディスク100がDVD−Rの場合には、AR特性が15%以上の値を実現しており、例えば光ディスク100がDVD−RWの場合には、AR特性が10%以上の値を実現していることを示す。同様に、「ジッタ値が最適」とは、ジッタ値が光ディスク100の規格上良好な値を示しているという趣旨であり、例えば光ディスク100がDVD−R/RWの場合には、ジッタ値が8%以下の値(より好ましくは、より小さな値)を実現していることを示す。同様に、「アシンメトリが最適」とは、アシンメトリが光ディスク100の規格上良好な値を示しているという趣旨であり、例えば光ディスク100がDVD−R/RWの場合には、アシンメトリが−5%から15%の範囲の値(より好ましくは、0%の値)を実現していることを示す。
この最適比の検出について、具体的に上述の図8に示した相関情報を参照して説明する。図8の相関情報に示すように、ジッタ値が例えば最小(図8では、概ね6%程度)となる場合のPo/Pm比は“1.53”となっている。このとき、AR特性は“11%”となっており、規格上好ましい値とはなっていないため、Po/Pm比=“1.53”を最適比として検出することはできない。他方、アシンメトリが例えば0%となる場合のPo/Pm比は、“1.61”となっている。このとき、AR特性は“16%”となっており、規格上好ましい値となっている。従って、このPo/Pm比=“1.61”を最適比として検出する。
尚、ここでは、ジッタ値が最小或いはアシンメトリが“0%”となる場合において、AR特性が最適となるようなPo/Pm比を最適比として検出しているが、これに限らず、例えばジッタ値が8%以下(即ち、最適となる)或いはアシンメトリ−5%から15%となる(即ち、最適となる)ような場合において、AR特性が最適となるようなPo/Pm比を最適比として検出してもよい。また、必要に応じては、アシンメトリが最適な範囲になく且つジッタ値とAR特性の双方が最適な範囲となるようなパルス比を最適比として検出してもよいし、ジッタ値が最適な範囲になく且つアシンメトリとAR特性の双方が最適な範囲にあるパルス比を最適比として検出してもよい。或いは、高速記録時のLPP信号のエラーレートを低下させるという観点を強調すれば、ジッタ値とアシンメトリとの双方が最適な範囲になくとも、AR特性がより最適な範囲にあるパルス比を最適比として検出するように構成してもよい。但し、より好適な再生品質を実現する(即ち、適切にデータを記録する)という観点からは、ジッタ値が最小或いはアシンメトリが“0%”となるような場合においてAR特性が最適となるようなPo/Pm比を最適比として検出することが好ましいし、アシンメトリとジッタ値とAR特性との夫々が最適な範囲にあるパルス比を最適比として検出することが好ましい。
また、Po/Pm比をより広い範囲(例えば、図8に図示しない1.35以下の範囲や1.65以上の範囲等)で変化させることで、より良好な再生品質を実現できるようなパルス比を最適比として検出するように構成してもよい。このPo/Pm比を変化させる範囲は、予めデフォールトとして定められるように構成してもよいし、情報記録装置1により或いは当該情報記録装置1のユーザにより適宜定められるように構成してもよい。
更に、図8に示すような相関情報は、本発明における「格納手段」の一具体例たるメモリ560に記録するように構成してもよいし、或いは光ディスク100の所定の記録領域に記録するように構成してもよい。
このように通常のOPCで重視するアシンメトリやジッタ値に加えて、AR特性を特に重視して最適比を検出することで、特に高速な記録速度で記録されたな再生品質を得ることができる。これは高速記録時に光ディスク100上に形成される記録ピットと低速記録時に光ディスク100上に形成される記録ピットとの相違に起因している。この記録ピットの相違について図9を参照して具体的に説明する。ここに、図9は、高速記録時と低速記録時の夫々において形成される記録ピットの形状を概念的に説明する斜視図である。
図9(a)に示すように、低速記録時(具体的には、概ね1倍速や2倍速の記録速度での記録時)においては、光ディスク100の回転速度が相対的に遅いため、レーザ光LBを照射する時間が高速記録時(具体的には、概ね4倍速以上の記録速度での記録時)よりも長くなる。従って、記録ピットは適切なピット形状を有して形成される。
これに対して、図9(b)に示すように、高速記録時には、光ディスク100の回転速度が相対的に速いため、レーザ光LBを照射する時間が低速記録時よりも短くなる。加えて、光ディスク100の回転速度が増加するにつれて、記録動作に要するレーザ光LBのパワーも増加する。従って、短時間で且つ高レーザパワーのレーザ光LBの照射に起因して、記録ピットがグルーブトラックGT上のみならずLPP上にまで形成されてしまう。これにより、LPPの読取特性であるAR特性が大幅に悪化してしまう。
しかるに、本実施例に係る情報記録装置1によれば、再生品質としてAR特性を重視してレーザ光LBのPo/Pm比を検出するため、高速記録時においても、低速記録時のように適切な形状を有する記録ピットを形成することができる。即ち、高速記録時においても良好な再生品質(特に、AR特性)を得ることが可能となる。特に、図9(c)の右側に示すような駆動パルス(即ち、トップパルスとミドルパルスとを有する駆動パルス)に基づきレーザ光を照射することでより、図9(b)に示すようにLPPの部分にまで記録マークを形成されることを効果的に防ぐことが可能となる。即ち、図9(c)の左側に示すように、高速記録時に要するレーザ光LBのレーザパワーで書き込んでも、低速記録時と同様に適切な形状の記録マークを形成することが可能となる。仮にこの駆動パルスがミドルパルスを有しない(即ち、トップパルスのみ)ものであれば、記録マークの中間部分が膨らみ、その記録マークの膨らみがLPPにまで跨ってしまう。しかるに、図9(c)に示すようなミドルパルスに対応する駆動パルスに基づいてレーザ光LBを照射すれば、当該ミドルパルスに対応する期間のレーザパワーを相対的に小さくし、記録マークの膨らみを防ぐことができる。また、AR特性のみを重視するのではなく、他の再生品質たるアシンメトリやジッタ値ももちろん良好な特性がえら得るようなパルス比を最適比と検出しているため、より良好な再生品質を得ることが可能である。即ち、従来の情報記録装置と比較して、記録されるデータの再生品質をより向上させることが可能となる。
尚、このようにPo/Pm比を変化させることで良好な再生品質を得ることは、図10に示すグラフからみても適切であることが分かる。ここに、図10は、レーザパワーとジッタ値との相関関係を、Po/Pm比毎に区別して表示するグラフである。
図10に示すように、Po/Pm比を段階的に変化させて記録されたデータのジッタ値は、同一レーザパワーで記録された場合であっても、Po/Pm比に依存していることが分かる。例えば、Po/Pm比が“1.60”の場合において、レーザパワーが“16.5mW”の時のジッタ値は“6.7%”である。対して、Po/Pm比を0.05だけ減少させた場合、即ちPo/Pm比が“1.55”の場合において、レーザパワーが“16.5mW“の時のジッタ値は”5.2%“である。即ち、Po/Pm比という一つのパラメータを操作する(この場合、”0.05“変化させる)ことで、ジッタ値を大幅に(この場合は、概ね1.5%)減少させることができる。従って、好適なPo/Pm比を検出して記録動作を行なうことは、記録されるデータの再生品質の向上という観点からは非常に効果的であり且つ効率的であるといえる。
尚、上述した第1動作例の説明においては、最適レーザパワーを検出した後に、Po/Pm比を適宜変化させた上で、相関情報を作成して最適比を検出しているが、この手順に限られるものではない。要は、OPCにより検出された最適レーザパワーにおいてPo/Pm比を変化させてなる駆動パルスに基づいて照射されるレーザ光LBにより試しデータを記録することで最適比を検出する構成であれば第1動作例の範囲に含まれるものである。例えば、第1動作例に係る他の例として、図11に示すように、Po/Pm比を一回変化させる毎に試しデータを記録し且つ記録された試しデータを再生して、再生品質が一定の条件を満たしていれば、そのPo/Pm比を最適比と検出するように構成してもよい。ここに、図11は、第1動作例の他の例の流れを概念的に示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS201からステップS203の各動作においては、上述した図5における説明と同様に最適レーザパワーを検出する。その後、本発明における「判定手段」の一具体例たるCPU550の動作により、ジッタ値が最適となる時の或いはアシンメトリが最適となるときのレーザパワー(即ち、ステップS203において検出された最適レーザパワー)において、AR特性が最適になるか否かを判定する(ステップS301)。
この判定の結果、AR特性が最適になると判定された場合(ステップS301:Yes)、この最適レーザパワーを検出した際のPo/Pm比を最適として検出する(ステップS302)。
他方、AR特性が最適にならないと判定された場合(ステップS301:No)、続いてジッタ値が前回の判定動作の際のジッタ値よりも悪化しているか否かが判定される(ステップS302)。例えば今回のジッタ値が“7.1%”であり、前回のジッタ値が“7.9%”であれば、ジッタ値は悪化していると判定される。尚、ここでは、ジッタ値でなくともアシンメトリが悪化しているか否かを判定してもよい。
この判定の結果、ジッタ値が悪化していないと判定された場合(ステップS302:No)、Po/Pm比を修正する(即ち、変化させる)(ステップS303)。ここでは、例えばPo/Pm比を“0.05”だけ増加させたり、或いは“0.05”だけ減少させたりする。そして、初めてPo/Pm比を修正する場合には、デフォールトとしてPo/Pm比が増加するように構成してもよいし、或いは減少するように構成してもよい。
他方、ジッタ値が悪化していると判定された場合(ステップS302:Yes)、Po/Pm比の修正に係るステップの極性を変更した後(ステップS304)、Po/Pm比を修正する(ステップS303)。即ち、前回の修正時にPo/Pm比を増加させていた場合には、Po/Pm比を減少させるように、また前回の修正時にPo/Pm比を減少させていた場合には、Po/Pm比を増加させるように極性の変更を行う。
もちろん初めてステップS302における判定動作を実行する時には、前回に測定したジッタ値はないため、例えばPo/Pm比を単に“0.05”増加させる、或いは単に“0.05”減少させるように構成することが好ましい。
更にこの場合、Po/Pm比の修正量を変更するように構成してもよい。例えばジッタ値が悪化した場合には、極性を変更すると共に修正量も減少するように構成すれば、いずれAR特性が最適となるようなPo/Pm比を検出することができる。加えて、必要に応じては、ジッタ値が悪化していても修正量の極性を変更しないように構成してもよい。
その後、修正後のPo/Pm比に基づいて、光ディスク100の所定の記録エリアに試しデータを記録する(ステップS305)。加えて、記録した試しデータを再生することで、当該試しデータの再生品質を測定する(ステップS305)。この再生品質に基づいて、再度ステップS301の判定動作を行ない、最適比を検出する。
これによっても最適比を適切に検出することができ、その結果、上述した各種利益を享受することが可能となる。加えて、最適比を検出することができれば、必要以上にPo/Pm比の変更(或いは、修正)を行う必要がないため、効率的に最適比を検出することが可能となる。
以上の結果、本実施例に係る情報記録装置1によれば、好適なPo/Pm比たる最適比を好適に検出することができる。それに伴って、記録されるデータの再生品質をより向上させることが可能となる。
また、本実施例では、本発明における「制御情報」の一具体例としてLPPを用いて説明をしたが、もちろんこれに限られるものではない。例えば、光ディスク100の一具体例としてのDVD+R/RWでは、グルーブトラックを所定周期でうねらせることによりウォブルを作成しており、また該ウォブルに例えばBPM(Bi Phase Modulation)変調を施すことで本発明における「プリ情報」の一具体例を記録している。従って、この場合は、再生品質として、AR特性に代えてウォブルの読取エラーレート等(例えば、ATIP(Absolute Time In Pre-groove)等)により本実施例における各種動作(特に、最適比の検出動作)を行なうことが好ましい。
また、AR特性に加えて又は代えて、再生品質としてRF信号の変調度やデータを再生したときの誤り個数をカウントすることで求められるエラーレートであるPIエラーやRF信号自体のエラーレート等を用いるように構成してもよい。
(3)第2動作例
続いて、図12から図14を参照して、第2動作例について説明する。ここに、図12は、第2動作例に係る検出動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
尚、第2動作例は、第1動作例と異なり、OPC動作中にパルス比を変化させて最適比を検出する手法である。即ち、あるパルス比でOPCを行い、それを再生することにより測定される再生品質が所定の基準を満たさなければ、パルス比を変化させた後に再度OPCを行うことで最適比を検出する手法である。
図12に示すように、ステップS201からステップS202の各動作においては、上述した図5における説明と同様にOPCを行う。その後、OPC動作により求められたレーザパワーと各種再生品質との相関関係を示す相関情報(図7参照)をメモリ560に記録する(ステップS401)。
その後、本発明における「判定手段」の一具体例たるCPU550の動作により、ステップS401で記録された相関情報に基づいて、ジッタ値が最小値となる時の或いはアシンメトリが0%となるときのレーザパワーにおいて、AR特性が最適になるか否かを判定する(ステップS402)。
この判定の結果、AR特性が最適になると判定された場合(ステップS402:Yes)、ステップS202においてOPCを実行した際のPo/Pm比を最適として検出する(ステップS403)。そして、そのOPCにより検出されるレーザパワーを最適レーザパワーとして検出する(ステップS404)。
他方、AR特性が最適にならないと判定された場合(ステップS402:No)、続いてジッタ値が前回の判定動作の際のジッタ値よりも悪化しているか否かが判定される(ステップS302)。
尚、ここでは、ステップS402における判定の際にジッタボトムとなるレーザパワーに対応するAR特性が最適であるか否かを判定していれば、ジッタ値が悪化しているか否かが判定されることが好ましい。他方、ステップS402における判定の際に、ジッタ値ではなくアシンメトリが“0”となるレーザパワーに対応するAR特性が最適であるか否かを判定していれば、アシンメトリが悪化しているか否かが判定されることが好ましい。
この判定の結果、ジッタ値が悪化していないと判定された場合(ステップS302:No)、Po/Pm比を修正する(ステップS303)。他方、ジッタ値が悪化していると判定された場合(ステップS302:Yes)、Po/Pm比の修正に係るステップの極性を変更し(ステップS304)、Po/Pm比を修正する。
その後、修正後のPo/Pm比に基づいて、再度ステップS202においてOPC動作を行なう。そして、その後の動作を繰り返すことで、最適比を検出する。
ここで、ステップS402の判定動作について、具体的に図13及び図14に参照される相関情報を参照しながら説明する。ここに、図13及び図14は、OPC動作により作成されるレーザパワーとジッタ値及びAR特性の夫々との相関関係を示すグラフである。
図13に示すような相関情報が図12のステップS202におけるOPC動作により作成されたとする。このとき、Po/Pm比は“1.45”であったとする。この場合、ジッタ値が最小となる場合のレーザパワーにおいて、AR特性は“15%”以下の数値を示している。即ち、この場合、AR特性は最適ではないと判定されるので、図12のステップS302へ進み、Po/Pm比が修正された上で再度OPC動作が行なわれる。
このとき、Po/Pm比が“0.05”増加するように修正がなされたとする。この後、図12のステップS202におけるOPC動作が再度行なわれ、図14に示す相関情報が新たに作成される。このときのPo/Pm比は、修正されているため“1.50”となっている。この場合、ジッタ値が最小となる場合のレーザパワーにおいて、AR特性は“15%”以上の数値を示している。即ち、この場合、AR特性は最適であると判定されるので、図12のステップS403へ進み、主生後のPo/Pm比である“1.50”が最適比として検出される。
このようにOPC動作と同時にPo/Pm比を修正するような第2動作例の態様であっても、上述した第1動作例と同様に、最適比を適切に検出することができる。従って、記録されるデータの再生品質をより向上させることが可能となる。加えて、最適比を検出することができれば、必要以上にPo/Pm比の変更(或いは、修正)を行う必要がないため、効率的に最適比を検出することが可能となる。
(4)第3動作例
続いて、図15を参照して、第3動作例について説明する。ここに、図15は、第3動作例に係る検出動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
尚、第3動作例は、上述したPo/Pm比と各種再生品質との相関関係を示す相関情報(図8参照)を予め最初に作成しておいて最適比を検出する手法である。
図15に示すように、ステップS201からステップS202の各動作においては、上述した図5における説明と同様にOPCを行う。その後、OPC動作により求められたレーザパワーと各種再生品質との相関関係を示す相関情報(図7参照)をメモリ560に記録する(ステップS401)。
その後、予めOPCを行うと規定されただけのPo/Pm比の全てに対するOPCが終了したか否かが判定される(ステップS501)。このOPCを行うと規定されたPo/Pm比は、予め定められているものであってもよいし、或いは情報記録装置1或いは当該情報記録装置1のユーザ等により指定されていてもよい。例えば、Po/Pm比が“1.40”から“1.65”の範囲で、且つ数値が“0.05”刻みのPo/Pm比に対してOPCを行うと定められていれば、Po/Pm比が“1.40”、“1.45”、“1.50”、“1.55”、“1.60”の全てにおいてOPCが行われたかが判定される。
この判定の結果、全てのPo/Pm比に対するOPCが終了していないと判定された場合(ステップS501:No)、Po/Pm比を適宜修正する(ステップS504)。そして、ステップS202の動作により再度修正後のPo/Pm比においてOPCが行われる。
他方、全てのPo/Pm比に対するOPCが終了していると判定された場合(ステップS501:Yes)、続いてメモリ560に記録されたレーザパワーと各種再生品質との相関関係を示す相関情報に基づいて、Po/Pm比と各種再生品質との相関関係を示す相関情報を作成する(ステップS502)。
具体的には、例えばステップS202のOPCで作成される相関情報より、例えばジッタが最小となるジッタボトムのレーザパワーに対応するアシンメトリ及びAR特性を夫々抽出する。この動作を、OPCを行なったPo/Pm比の数だけ行い、新たに横軸をPo/Pm比とし、縦軸を再生品質とするグラフ上にプロットすることで、例えば図8に示すような新たな相関情報が作成される。ここで作成された相関情報は、メモリ560に記録するように構成してもよいし、或いは光ディスク100に記録するように構成してもよい。
尚、ジッタボトムのレーザパワーに対応するアシンメトリ及びAR特性の夫々を抽出することに代えて、アシンメトリが“0”となるレーザパワーに対応するジッタ値及びAR特性の夫々を抽出するように構成してもよい。
その後、作成された相関情報に基づいて、ジッタボトム或いはアシンメトリが“0”となるレーザパワーに対応するAR特性が最適なPo/Pm比が最適比として検出される(S503)。例えば、ステップS502において、ジッタボトムのレーザパワーに対応するアシンメトリ及びAR特性を夫々抽出して相関情報が作成されていれば、グラフ上に形成されるジッタ値の近似曲線は全てジッタボトムとなる条件を満たしているため、AR特性が最適となるPo/Pm比を検出すればよい。このとき、加えてアシンメトリが最適となるような(より好ましくは“0”となるような)Po/Pm比を最適比と検出することがより好ましい。或いは、ステップS502において、アシンメトリが“0”となるレーザパワーに対応するジッタ値及びAR特性を夫々抽出して相関情報が作成されていれば、グラフ上に形成されるアシンメトリの近似曲線は全て“0”となる条件を満たしているため、AR特性が最適となるPo/Pm比を検出すればよい。このとき、加えてジッタボトムが最適となるような(より好ましくはより小さなジッタ値となるような)Po/Pm比を最適比と検出することがより好ましい。
このように、予めPo/Pm比と各種再生品質との相関関係を示す相関情報を作成しておく第3動作例のような態様であっても、適切に最適比を検出することができる。従って、上述した各種利益を享受することが可能となる。
(5)記録動作の変形例
続いて、図16を参照して、上述した記録動作の変形例について説明を進める。ここに、図16は、変形例に係る記録動作全体の流れを概念的に示すフローチャートである。
図16に示すように、先ず光ディスク100をローディングし(ステップS101)、その後、当該光ディスク100に対して基準記録速度である1倍速の記録速度に対して4倍速以上の記録速度で記録動作を行なうか否かが判定される(ステップS601)。
この判定の結果、4倍速以上の記録速度で記録動作を行なうと判定された場合(ステップS601:Yes)、上述の第1動作例から第3動作例において例示したように最適レーザパワーと最適比が検出される(ステップS102)。そして、その後の記録動作が行なわれステップS102)、必要に応じて記録動作を継続したり或いは記録動作を終了する。
他方、4倍速未満の記録速度(例えば、1倍速や2倍速等の記録速度)で記録動作を行うと判定された場合(ステップS601:No)、通常のOPC動作を行なって最適レーザパワーを検出する(ステップS602)。そして、その後に記録動作が行なわれる(ステップS103)。ここでは、ステップS602において検出された最適レーザパワーと例えばLPPアサインストラテジとにより定まる駆動パルスに基づいてレーザ光LBを照射することで記録動作を行なう。そして、必要に応じて記録動作を継続したり或いは記録動作を終了する。
このように、記録速度に応じて最適比を検出するか否かを決めることで、特にAR特性の悪化が大きな問題となる高速記録時(即ち、4倍速以上の記録速度での記録時)においては上述したようにAR特性の向上に重点をおいて、最適比を検出している。これにより、高速記録時においては、上述した各種利益を享受することができる。
他方、AR特性の悪化がそれ程大きな問題とならない低速記録時(即ち、4倍速未満の記録速度での記録時)には、この最適比を検出する動作を省略しても、例えばLPPアサインストラテジを用いることでAR特性をそれ程悪化させることなく、好適にデータを記録することができる。そして、上述の如き最適比の検出動作を行なう必要がないため、情報記録装置1の処理負担を低減することが可能となる。
もちろんこの変形例においても、低速記録時に記録されたデータの記録品質によっては、必要に応じて上述したように最適比の検出を行ってもよいことはいうまでもない。
また、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。