JPWO2005039121A1 - データ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法 - Google Patents
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Abstract
リング型LANで構成されるデータ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合、物理層(送受信部4)の初期化処理を繰り返すことによって断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。そのデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の初期設定を確立し、データリンク層の初期化処理を行うことによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
Description
本発明は、データ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法に関し、より特定的には、リング型に各データ伝送装置を伝送路によって接続し、互いに同期を確立して一方向の電気通信を行うデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法に関する。
近年、カーナビゲーションやITS(Intelligent Transport Systems)といったインターネットや画像情報を自動車内等の空間において伝送する場合、大容量かつ高速な通信が要求される。このようなデジタル化した映像や音声データ、あるいはコンピュータデータ等のデジタルデータを伝送するための通信方式の検討が盛んに行われ、自動車内等の空間においてもデジタルデータを伝送するネットワークの導入が本格化してきている。この車内ネットワークは、例えば、物理的なトポロジをリング・トポロジとし、複数のノードをリング・トポロジで接続させることによって一方向のリング型LANを形成し、オーディオ機器、ナビゲーション機器、あるいは情報端末機器等対して統合化した接続を目指している。上記リング型LANで用いられる情報系の通信プロトコルとしては、例えば、Media Oriented Systems Transport(以下、MOSTと記載する)がある。このMOSTでは、通信プロトコルだけでなく、分散システムの構築方法まで言及しており、MOSTネットワークのデータは、フレームを基本単位として伝送され、各ノードを次々にフレームが一方向に伝送される。
ところで、車内等に設けられるリング型LANの場合、放射ノイズが自動車等に搭載された他の電子機器の誤動作の原因になることがあり、また、他の機器からの放射ノイズの影響を受けることなく正確に伝送する必要もある。このため、従来のMOSTを用いたリング型LANでは、各ノードを光ファイバーケーブルで接続することによって、電磁波の発生を防止しながら耐ノイズ性を向上させている。一方、国際公開第02/30079号パンフレットでは、ツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルを用いた電気通信を行い、放射ノイズが少なく耐ノイズ性を向上しながら20Mbpsを超えるような高速なデータ伝送を可能にしているものが開示されている。
図25を参照して、各ノードが安価なケーブルで接続されたリング型ネットワークについて説明する。なお、図25は、当該リング型ネットワークの構成を示すブロック図である。
図25において、当該リング型ネットワークは、各ノードがデータの送信および受信を行うn段のデータ伝送装置100a〜100nで構成され、それぞれのデータ伝送装置には、データ伝送装置により伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送装置に出力する接続機器(図示せず)が接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同軸ケーブルやツイストペア線で構成される伝送路130a〜130nを介してリング状に接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同一の構成であり、送信部および受信部(図示せず)を有している。例えば、データ伝送装置100aに設けられる送信部は、伝送路130aを介してデータ伝送装置100bに設けられる受信部に対してデータを出力する。また、データ伝送装置100aに設けられる受信部は、伝送路130nを介してデータ伝送装置100nに設けられた送信部からのデータを受信する。
それぞれのデータ伝送装置100a〜100nが伝送路130a〜130nに出力するデータ伝送方法について説明する。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nに接続された接続機器等からのデジタルデータ列は、それぞれの送信部によって所定のビット毎にまとめてデータシンボルとし、変換テーブルによるマッピングおよびフィルタリング処理を経てアナログ信号に変換され、それぞれの伝送路130a〜130nに出力される。上記アナログ信号は、マッピングされた信号レベルが所定周期の波形となって出力される。そして、それぞれのデータ伝送装置100a〜100nの受信部は、上記アナログ信号を受信し、フィルタリング処理および逆マッピングを経てデータシンボルに復号し、デジタルデータ列に変換される。
このように構成されるリング型ネットワークでは、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図26を参照して、上記リング型ネットワークにおける初期化動作を説明する。なお、図26は、当該リング型ネットワークにおける初期化動作シーケンスであり、ここでは3段のデータ伝送装置100a〜100cにより構成されているリング型ネットワークを示している。
図26において、データ伝送装置100aは、自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置100bおよび100cは、マスタより受信したクロック同期を確立するためのロック信号LSによりクロック同期を確立するスレーブである。まず、マスタのデータ伝送装置100aは、電源投入時に自装置のクロックにロックした後、上記ロック信号LSを自装置のクロックに基づいてデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、さらに次段に接続されたデータ伝送装置100cにロック信号LSを送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、マスタのデータ伝送装置100aにロック信号LSを送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い再び周波数をロックしてクロック同期を確立することによって、ネットワーク全体のクロック同期を確立させる。
ネットワーク全体のクロック同期が確立した後、マスタのデータ伝送装置100aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、データ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSをデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100aとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100cに送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100bとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100aに送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100cとの間の判定レベルの設定を行うことによって、ネットワーク全体の判定レベルが設定され、リング型ネットワークが初期化される。リング型ネットワークの初期化が完了すると、各データ伝送装置100a〜100cは、ネットワークを介してのデータ通信を行う。
ところで、車内等に設けられるリング型LANの場合、放射ノイズが自動車等に搭載された他の電子機器の誤動作の原因になることがあり、また、他の機器からの放射ノイズの影響を受けることなく正確に伝送する必要もある。このため、従来のMOSTを用いたリング型LANでは、各ノードを光ファイバーケーブルで接続することによって、電磁波の発生を防止しながら耐ノイズ性を向上させている。一方、国際公開第02/30079号パンフレットでは、ツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルを用いた電気通信を行い、放射ノイズが少なく耐ノイズ性を向上しながら20Mbpsを超えるような高速なデータ伝送を可能にしているものが開示されている。
図25を参照して、各ノードが安価なケーブルで接続されたリング型ネットワークについて説明する。なお、図25は、当該リング型ネットワークの構成を示すブロック図である。
図25において、当該リング型ネットワークは、各ノードがデータの送信および受信を行うn段のデータ伝送装置100a〜100nで構成され、それぞれのデータ伝送装置には、データ伝送装置により伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送装置に出力する接続機器(図示せず)が接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同軸ケーブルやツイストペア線で構成される伝送路130a〜130nを介してリング状に接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同一の構成であり、送信部および受信部(図示せず)を有している。例えば、データ伝送装置100aに設けられる送信部は、伝送路130aを介してデータ伝送装置100bに設けられる受信部に対してデータを出力する。また、データ伝送装置100aに設けられる受信部は、伝送路130nを介してデータ伝送装置100nに設けられた送信部からのデータを受信する。
それぞれのデータ伝送装置100a〜100nが伝送路130a〜130nに出力するデータ伝送方法について説明する。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nに接続された接続機器等からのデジタルデータ列は、それぞれの送信部によって所定のビット毎にまとめてデータシンボルとし、変換テーブルによるマッピングおよびフィルタリング処理を経てアナログ信号に変換され、それぞれの伝送路130a〜130nに出力される。上記アナログ信号は、マッピングされた信号レベルが所定周期の波形となって出力される。そして、それぞれのデータ伝送装置100a〜100nの受信部は、上記アナログ信号を受信し、フィルタリング処理および逆マッピングを経てデータシンボルに復号し、デジタルデータ列に変換される。
このように構成されるリング型ネットワークでは、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図26を参照して、上記リング型ネットワークにおける初期化動作を説明する。なお、図26は、当該リング型ネットワークにおける初期化動作シーケンスであり、ここでは3段のデータ伝送装置100a〜100cにより構成されているリング型ネットワークを示している。
図26において、データ伝送装置100aは、自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置100bおよび100cは、マスタより受信したクロック同期を確立するためのロック信号LSによりクロック同期を確立するスレーブである。まず、マスタのデータ伝送装置100aは、電源投入時に自装置のクロックにロックした後、上記ロック信号LSを自装置のクロックに基づいてデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、さらに次段に接続されたデータ伝送装置100cにロック信号LSを送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、マスタのデータ伝送装置100aにロック信号LSを送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い再び周波数をロックしてクロック同期を確立することによって、ネットワーク全体のクロック同期を確立させる。
ネットワーク全体のクロック同期が確立した後、マスタのデータ伝送装置100aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、データ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSをデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100aとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100cに送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100bとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100aに送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100cとの間の判定レベルの設定を行うことによって、ネットワーク全体の判定レベルが設定され、リング型ネットワークが初期化される。リング型ネットワークの初期化が完了すると、各データ伝送装置100a〜100cは、ネットワークを介してのデータ通信を行う。
しかしながら、上述したリング型ネットワークを構成する伝送路130a〜130nの一部が断線したり、データ伝送装置100a〜100nの一つが故障等によってデータ送信あるいは受信が不能となった場合、各データ伝送装置100a〜100nから出力されるロック信号LSは、その故障箇所以降に送出不可能となる。つまり、ネットワーク全体のクロック同期の確立や判定レベルの設定がされないため、上記初期化動作が正常に行われず、各データ伝送装置100a〜100nは、全てデータ通信ができなくなる。したがって、リング型ネットワークに上記不具合が発生した場合、そのネットワークに接続されている全ての接続機器は、他の接続機器と通信をして実現する機能が停止してしまい、また、不具合箇所の検出も困難であった。
それ故に、本発明の目的は、リング型ネットワークを構成する各装置あるいは伝送路の一部が通信不能となった場合にもネットワーク全体が通信不能とならずに通信を可能とし、さらに、その故障箇所を検出して当該故障箇所以外の部分で通信を可能にするデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
本発明のデータ伝送システムは、伝送路を介してリング型に接続された複数のデータ伝送装置を含み、それぞれのデータ伝送装置がクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、それぞれ、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段のデータ伝送装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段のデータ伝送装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段のデータ伝送装置に送出するマスタ、あるいは、前段のデータ伝送装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段のデータ伝送装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段のデータ伝送装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。それによって、データ伝送装置がそれぞれ初期化を行う。
上記制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、一部に電気通信が不可の部位があるとき、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段とを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段とを含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、処理部は、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含んでもよい。
本発明のデータ伝送方法は、複数のノードが伝送路を介してリング型に接続され、それぞれのノードが所定の通信プロトコルを用いてクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送方法は、初期動作で行う、複数のノードの1つに対して基準クロックを保持するマスタに設定し、他のノードをスレーブに設定するステップと、ノードがマスタに設定されているとき、基準クロックに同期したロック信号を後段のノードに送出する第1のロック信号送出ステップと、前段のノードから送出されたロック信号を用いてクロック同期を確立するクロック同期ステップと、スレーブに設定されたノードがクロック同期を確立した後、後段のノードにロック信号を送出する第2のロック信号送出ステップと、ノードからデータ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出ステップとを含む。マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。それによって、ノードがそれぞれ初期化を行う。
さらに、前段のノードから受信する信号の有無に基づいて自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する再設定ステップを含んでもかまわない。これによって、一部に電気通信が不可の部位がある場合、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するノードが最終的にマスタに設定されて他のノードとのクロック同期が確立される。また、再設定ステップは、初期動作の際に、第1のロック信号送出ステップを実行させ、初期動作の際に、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことを確認した後、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップと、初期動作の際に、スレーブに設定されたノードが、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップとを含んでもかまわない。
再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことによって、そのノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行ステップと、第1のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出するステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行ステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行ステップと、スレーブに設定されたノードを、スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行ステップとを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、第1のロック信号送出ステップと、クロック同期ステップと、第2のロック信号送出ステップとを実行し、マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。さらに、再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出することによって、そのノードをマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行ステップと、第3のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出し、そのノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行ステップとを含んでもかまわない。
第1の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するロック信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第2の例として、再設定ステップは、自ノードにおけるクロック同期の確立の有無により、そのノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第3の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するスタート信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。
ノードが用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、ノードそれぞれに対して、マスタに設定されたノードに対する段数位置をそれぞれカウントするステップを含んでもかまわない。
本発明のデータ伝送装置は、リング型のデータ伝送システムに接続され、伝送路を介して他の装置とクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段の装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段の装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段の装置に送出するマスタ、あるいは、前段の装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段の装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段の装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。
制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があり、その部位から遡って電気通信の最上流に自装置が位置するとき、自装置がマスタに設定される。また、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段を含んでもかまわない。その場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段を含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
本発明のデータ伝送システムによれば、複数のデータ伝送装置がリング型に伝送路を介して接続されており、その一部の送受信が不可能になった場合でも、マスタから電気通信が不可能な部位までの通信を可能となる。さらに、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置を、伝送路からのデータ受信がないことによって容易に検出することができ、そのデータ伝送装置をマスタに設定することによって、他のデータ伝送装置との通信を行うことが可能となる。
また、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置は、前段のデータ伝送装置からのロック信号を受信しない、ロック信号を用いたクロック同期が確立しない、スタート信号を受信しない、等を条件として、容易に検出することができる。
また、リング型に接続された複数のデータ伝送装置が通信プロトコルとしてMOSTを用いて電気通信を行う場合、その一部の送受信が不可能になっても故障箇所を除いた伝送路を用いてクロック同期を確立することができる。
また、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含む場合、その一部の送受信が不可能になったときに、データ伝送装置の段数位置からその箇所を容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける送受信が不可能になった部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、本発明のデータ伝送方法およびデータ伝送装置によれば、上述したデータ伝送システムと同様の効果を得ることができる。
それ故に、本発明の目的は、リング型ネットワークを構成する各装置あるいは伝送路の一部が通信不能となった場合にもネットワーク全体が通信不能とならずに通信を可能とし、さらに、その故障箇所を検出して当該故障箇所以外の部分で通信を可能にするデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
本発明のデータ伝送システムは、伝送路を介してリング型に接続された複数のデータ伝送装置を含み、それぞれのデータ伝送装置がクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、それぞれ、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段のデータ伝送装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段のデータ伝送装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段のデータ伝送装置に送出するマスタ、あるいは、前段のデータ伝送装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段のデータ伝送装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段のデータ伝送装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。それによって、データ伝送装置がそれぞれ初期化を行う。
上記制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、一部に電気通信が不可の部位があるとき、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段とを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段とを含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、処理部は、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含んでもよい。
本発明のデータ伝送方法は、複数のノードが伝送路を介してリング型に接続され、それぞれのノードが所定の通信プロトコルを用いてクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送方法は、初期動作で行う、複数のノードの1つに対して基準クロックを保持するマスタに設定し、他のノードをスレーブに設定するステップと、ノードがマスタに設定されているとき、基準クロックに同期したロック信号を後段のノードに送出する第1のロック信号送出ステップと、前段のノードから送出されたロック信号を用いてクロック同期を確立するクロック同期ステップと、スレーブに設定されたノードがクロック同期を確立した後、後段のノードにロック信号を送出する第2のロック信号送出ステップと、ノードからデータ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出ステップとを含む。マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。それによって、ノードがそれぞれ初期化を行う。
さらに、前段のノードから受信する信号の有無に基づいて自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する再設定ステップを含んでもかまわない。これによって、一部に電気通信が不可の部位がある場合、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するノードが最終的にマスタに設定されて他のノードとのクロック同期が確立される。また、再設定ステップは、初期動作の際に、第1のロック信号送出ステップを実行させ、初期動作の際に、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことを確認した後、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップと、初期動作の際に、スレーブに設定されたノードが、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップとを含んでもかまわない。
再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことによって、そのノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行ステップと、第1のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出するステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行ステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行ステップと、スレーブに設定されたノードを、スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行ステップとを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、第1のロック信号送出ステップと、クロック同期ステップと、第2のロック信号送出ステップとを実行し、マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。さらに、再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出することによって、そのノードをマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行ステップと、第3のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出し、そのノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行ステップとを含んでもかまわない。
第1の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するロック信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第2の例として、再設定ステップは、自ノードにおけるクロック同期の確立の有無により、そのノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第3の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するスタート信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。
ノードが用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、ノードそれぞれに対して、マスタに設定されたノードに対する段数位置をそれぞれカウントするステップを含んでもかまわない。
本発明のデータ伝送装置は、リング型のデータ伝送システムに接続され、伝送路を介して他の装置とクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段の装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段の装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段の装置に送出するマスタ、あるいは、前段の装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段の装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段の装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。
制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があり、その部位から遡って電気通信の最上流に自装置が位置するとき、自装置がマスタに設定される。また、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段を含んでもかまわない。その場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段を含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
本発明のデータ伝送システムによれば、複数のデータ伝送装置がリング型に伝送路を介して接続されており、その一部の送受信が不可能になった場合でも、マスタから電気通信が不可能な部位までの通信を可能となる。さらに、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置を、伝送路からのデータ受信がないことによって容易に検出することができ、そのデータ伝送装置をマスタに設定することによって、他のデータ伝送装置との通信を行うことが可能となる。
また、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置は、前段のデータ伝送装置からのロック信号を受信しない、ロック信号を用いたクロック同期が確立しない、スタート信号を受信しない、等を条件として、容易に検出することができる。
また、リング型に接続された複数のデータ伝送装置が通信プロトコルとしてMOSTを用いて電気通信を行う場合、その一部の送受信が不可能になっても故障箇所を除いた伝送路を用いてクロック同期を確立することができる。
また、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含む場合、その一部の送受信が不可能になったときに、データ伝送装置の段数位置からその箇所を容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける送受信が不可能になった部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、本発明のデータ伝送方法およびデータ伝送装置によれば、上述したデータ伝送システムと同様の効果を得ることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデータ伝送システムの構成を示すブロック図である。
図2は、図1のデータ伝送装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおける初期化動作を示すフローチャートである。
図4は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるダイアグモードの1回目の再立ち上げ動作を示すフローチャートである。
図5は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるダイアグモードの2回目の再立ち上げ動作を示すフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムの伝送路80dが断線した一例を説明するためのブロック図である。
図7は、図6のデータ伝送システムのダイアグモードにおいて、1回目の再立ち上げ動作のときの状態を示すブロック図である。
図8は、図6のデータ伝送システムのダイアグモードにおいて、2回目の再立ち上げ動作のときの状態を示すブロック図である。
図9は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートである。
図10は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートである。
図11は、図9および図10のマスタクロック同期ダイアグ処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図12は、図9および図10のマスタクロック同期処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図13は、図9および図10のスレーブクロック同期処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図14は、図9および図10のマスタトレーニング処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図15は、図9および図10のスレーブトレーニング処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図16は、図9および図10のマスタトレーニングダイアグ処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図17は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時のマスタが設定された状態を示すブロック図である。
図18は、図17のデータ伝送システムのマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図19は、図17のデータ伝送システムの断線部位に応じて、マスタが設定された状態を示すブロック図である。
図20は、図19で設定されたマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図21は、図17のデータ伝送システムの断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置がマスタに設定された状態を示すブロック図である。
図22は、図21で設定されたマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図23は、図21で設定されたマスタからスタート信号TSが送出された状態を示すブロック図である。
図24は、図17のデータ伝送システムの断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタとしたデータ通信を示すブロック図である。
図25は、従来のリング型ネットワークの構成を示すブロック図である。
図26は、図25のリング型ネットワークにおける初期化動作を示すシーケンス図である。
図2は、図1のデータ伝送装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおける初期化動作を示すフローチャートである。
図4は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるダイアグモードの1回目の再立ち上げ動作を示すフローチャートである。
図5は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるダイアグモードの2回目の再立ち上げ動作を示すフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に係るデータ伝送システムの伝送路80dが断線した一例を説明するためのブロック図である。
図7は、図6のデータ伝送システムのダイアグモードにおいて、1回目の再立ち上げ動作のときの状態を示すブロック図である。
図8は、図6のデータ伝送システムのダイアグモードにおいて、2回目の再立ち上げ動作のときの状態を示すブロック図である。
図9は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートである。
図10は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートである。
図11は、図9および図10のマスタクロック同期ダイアグ処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図12は、図9および図10のマスタクロック同期処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図13は、図9および図10のスレーブクロック同期処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図14は、図9および図10のマスタトレーニング処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図15は、図9および図10のスレーブトレーニング処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図16は、図9および図10のマスタトレーニングダイアグ処理で行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。
図17は、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおいて、電源投入時のマスタが設定された状態を示すブロック図である。
図18は、図17のデータ伝送システムのマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図19は、図17のデータ伝送システムの断線部位に応じて、マスタが設定された状態を示すブロック図である。
図20は、図19で設定されたマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図21は、図17のデータ伝送システムの断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置がマスタに設定された状態を示すブロック図である。
図22は、図21で設定されたマスタからロック信号LSが送出された状態を示すブロック図である。
図23は、図21で設定されたマスタからスタート信号TSが送出された状態を示すブロック図である。
図24は、図17のデータ伝送システムの断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタとしたデータ通信を示すブロック図である。
図25は、従来のリング型ネットワークの構成を示すブロック図である。
図26は、図25のリング型ネットワークにおける初期化動作を示すシーケンス図である。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。なお、図1は、当該データ伝送システムの構成を示すブロック図である。
図1において、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、物理的なトポロジをリング・トポロジとし、複数のノードをリング・トポロジで接続することによって一方向のリング型LANを形成している。以下、上記データ伝送システムの一例として、各ノードを6段のデータ伝送装置1a〜1fによって構成し、それぞれ伝送路80a〜80fによってリング型に接続し、伝送されるデータが伝送路80a〜80fを介して一方向に伝送されるシステムを説明する。各データ伝送装置1a〜1fには、それぞれデータ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器(例えば、オーディオ機器、ナビゲーション機器、あるいは情報端末機器)10a〜10fが接続されている。なお、一般的なハードウエアの形態としては、それぞれのデータ伝送装置1a〜1fおよび接続機器10a〜10fが一体的に構成される。
上記データ伝送システムで用いられる通信プロトコルとしては、例えば、Media Oriented Systems Transport(以下、MOSTと記載する)がある。MOSTを通信プロトコルとして伝送されるデータは、フレームを基本単位として伝送され、各データ伝送装置1の間を次々にフレームが一方向に伝送される。つまり、データ伝送装置1aは、伝送路80aを介してデータ伝送装置1bに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1bは、伝送路80bを介してデータ伝送装置1cに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1cは、伝送路80cを介してデータ伝送装置1dに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1dは、伝送路80dを介してデータ伝送装置1eに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1eは、伝送路80eを介してデータ伝送装置1fに対してデータを出力する。そして、データ伝送装置1fは、伝送路80fを介してデータ伝送装置1aに対してデータを出力する。伝送路80a〜80fにはツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルが用いられ、データ伝送装置1は、互いに電気通信を行う。ここで、当該データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
次に、図2を参照して、データ伝送装置1の構成について説明する。なお、図2は、データ伝送装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、上述した複数のデータ伝送装置1a〜1fは、それぞれ同様の構成である。
図1において、データ伝送装置1は、コントローラ2、マイクロコンピュータ(MPU)3、および送受信部4を備えている。以下、当該データ伝送システムで用いる通信プロトコルの一例として、MOSTを用いて説明を行う。
コントローラ2には、データ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器10が接続されている。そして、コントローラ2は、その機能の一つとして、接続された接続機器10からのデータをMOSTで規定されるプロトコルに変換して送受信部4にデジタルデータTXを出力し、送受信部4から出力されるデジタルデータRXがコントローラ2に入力し、接続された接続機器10に伝送する。
MPU3は、データ伝送装置1が有する各伝送モードに基づいて、コントローラ2、送受信部4、および上記接続機器10を制御する。例えば、MPU3は、データ伝送装置1のリセット機能、電源制御(省エネモードの切り替え)、マスタ/スレーブの選択処理、およびダイアグモードへの移行処理等を制御する。
送受信部4は、典型的にはLSIで構成され、受信部5、送信部6、クロック制御部7を有している。受信部5は、伝送路80から入力する他のデータ伝送装置1からの電気信号を受信し、その電気信号をデジタル信号RXに変換してコントローラ2に出力する。また、受信部5は、上記電気信号に含まれるクロック成分を再生して、クロック制御部7に出力する。送信部6は、クロック制御部7のクロックに基づいて、コントローラ2から出力されるデジタルデータTXを電気信号に変換して、伝送路80を介して他のデータ伝送装置1に出力する。
クロック制御部7は、データ伝送装置1のクロックを制御し、例えば、他のデータ伝送装置1で使用されるクロックを再生したり、コントローラ2のクロックを再生したり、送信側の信号処理部で用いられるクロックを出力したりする。具体的には、クロック制御部7は、データ伝送装置1がマスタである場合、送信側PLL(Phase Locked Loop)で再生したクロックを出力し、スレーブである場合、受信側PLLで再生したクロックを出力する。
送信部6は、セレクタ61、S/P(シリアル/パラレル)変換部62、マッピング部63、ロールオフフィルタ64、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)65、差動ドライバ66、およびスタート信号発生部67を有している。なお、S/P変換部62、マッピング部63、およびロールオフフィルタ64によって、送信側の信号処理部を形成しており、以下、説明を具体的にするために、当該信号処理部がデジタルデータを8値マッピングしたアナログ電気信号に変換して出力する場合について説明する。
セレクタ61は、クロック制御部7によって制御されるクロックに基づいて、送信部6から送信するデータ(例えば、デジタルデータTXまたはデジタルデータRX)を選択してS/P変換部62へ出力する。
S/P変換部62は、多値化伝送を行うために、コントローラ2から出力されるシリアルのデジタルデータTXを2ビット毎のパラレルデータに変換する。マッピング部63は、S/P変換部62で変換された2ビット毎のパラレルデータや後述するスタート信号発生部67から出力されるスタート信号TSを、上記システムクロックに基づいて8値のシンボルのいずれかにマッピングを行う。このマッピングは、受信側に配置される他のデータ伝送装置1でクロック再生を行うために、2ビット毎のパラレルデータを8値のシンボルのうち上位4シンボルと下位4シンボルとに交互に割り当てられる。また、送信および受信との間の直流成分の変動や差の影響を除外するために、前値との差分によってマッピングが行われる。ロールオフフィルタ64は、送信する電気信号の帯域制限および符号間干渉を抑えるための波形整形フィルタである。例えば、ロールオフ率100%のFIRフィルタを使用する。
DAC65は、ロールオフフィルタ64で帯域制限された信号をアナログ信号に変換する。差動ドライバ66は、DAC65から出力されるアナログ信号の強度を増幅して差動信号に変換して伝送路80に送出する。差動ドライバ66は、伝送路80が有する2本1組の導線に対して、送出する電気信号を伝送路80の一方側(プラス側)導線に送信し、当該電気信号と正負反対の信号を伝送路80の他方側(マイナス側)に送信する。これによって、伝送路80には、プラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送するため、お互いの電気信号の変化をお互いの電気信号が打ち消しあい、伝送路80からの放射ノイズおよび外部からの電気的影響を軽減することができる。
スタート信号発生部67は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、受信側に配置される他のデータ伝送装置1との間でデータ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能な所定のスタート信号TSを生成する。スタート信号発生部67で生成されたスタート信号TSは、マッピング部63に送出される。
受信部5は、差動レシーバ51、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)52、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、P/S(パラレル/シリアル)変換部55、クロック再生部56を有している。なお、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、およびP/S変換部55によって、受信側の信号処理部を形成している。
差動レシーバ51は、伝送路80から入力する差動信号を電圧信号に変換してADC52に出力する。上述したように、伝送路80が有する2本1組の導線に対してプラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送しており、差動レシーバ51は、プラス側とマイナス側との差から信号を判断するため、外部からの電気的影響に対して効力を発揮する。そして、ADC52は、差動レシーバ51から出力される電圧信号をデジタル信号に変換する。
ロールオフフィルタ53は、例えば、ADC52から出力されるデジタル信号のノイズ除去を行う波形整形用のFIRフィルタが使用される。上述した送信側のロールオフフィルタ64と合わせ、符号間干渉のないロールオフ特性を実現する。逆マッピング部54は、後述するクロック再生部56で再生したクロックに基づいて、受信したデータ値と前値との差分から送信側のマッピング部63でマッピングする前のデータを再生する。逆マッピング部54における差分処理は、上述したスタート信号TSによって設定された判定レベルを基準に行われ、当該判定レベルは、差分値の理想値としても用いることができる。この逆マッピング部54における逆マッピング処理によって、受信した信号がパラレルデータに変換される。P/S変換部55は、逆マッピング部54で判定されたパラレルデータをシリアルのデジタルデータRXに変換して、コントローラ2に出力する。
クロック再生部56は、ADC52から出力される伝送路80から受信した信号のクロック成分を再生することによって、伝送路クロック再生を行い、受信側の信号処理部のクロックとして用いられる。また、クロック再生部56で再生されたクロックは、クロック制御部7に出力され受信側PLLのリファレンスクロック入力として用いられる。
次に、データ伝送システムにおける初期化処理について説明する。上述したデータ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図3〜図5を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図3〜図5は、データ伝送システムにおける初期化動作を示すフローチャートである。
まず、図3を参照して、データ伝送システムが初期化動作を経て、データ送受信を行う通常動作に移行する手順について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図1参照)を説明する。なお、上述したようにデータ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
図3において、データ伝送システムに接続された全てのデータ伝送装置1a〜1fの電源がONされることによって、データ伝送システムのパワーがONされる(ステップS10およびS70)。そして、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fのリセット状態が解除される(ステップS11およびS71)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が初期化動作へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS13)。このロック信号LSは、例えば、マスタのデータ伝送装置1aが有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS72)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。上記ステップS13においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたロック信号LSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLへリファレンスクロックとして入力を行い、当該受信PLLの再生クロックに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS73)。他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にロック信号LSの受信待ち(ステップS72)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたロック信号LSを受信してクロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS73)。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS14)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS73を実行することによって、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS15に進める。
ステップS15では、マスタのデータ伝送装置1aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS74)を継続している。上記ステップS15においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、直ちに下流のデータ伝送装置1cとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80bに送信する(ステップS75)。そして、データ伝送装置1bは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1aから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS74)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS75)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS16)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS75を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、データ伝送システム全体がネットワークロックされたか否かの判断を継続する(ステップS17)。このネットワークロックの判断は、自装置のMPU3によって、後述するダイアグモードに移行されずに上記ロック信号LSがデータ伝送システムを一周して受信することによって設定されるものである。そして、ネットワークロックを設定することによって、データ伝送システム全体が断線等の故障が無く正常に通信可能であることを示す識別子が生成される。データ伝送装置1aは、自装置のMPU3によってネットワークロックが設定された場合、所定のデータフレームにネットワークロックを示す識別子を付与して、他のスレーブのデータ伝送装置1b〜1f全てに対して当該データフレームを送信し(ステップS18)、マスタとしての通常動作に移行する。
一方、ステップS77において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上流のデータ伝送装置1から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続している。そして、上記ステップS18によってマスタのデータ伝送装置1aから送信された上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームを受信することによって、スレーブとしての通常動作に移行する。
次に、データ伝送システムにおいて、伝送路80の断線やデータ伝送装置1の送受信機能が故障することによって、一部の送受信が不可能になった場合の初期化動作について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においても、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムにおいてどの部位が故障しても適用可能である。ここでは、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、伝送路80dが断線した一例(図6参照)を説明する。
図3において、マスタのデータ伝送装置1aが行うステップS10〜S13の手順、およびスレーブのデータ伝送装置1b〜1fが行うステップS70〜72の手順については、上述と同様であるため説明を省略する。
ステップS14において、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。しかしながら、上述したように伝送路80dが断線しているため、データ伝送装置1dおよび1eの間のクロック同期が確立しない。したがって、データ伝送装置1fから伝送路80fにはロック信号LSの送信が行われないため、データ伝送装置1aの処理は、上記ステップS19における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。上記ステップS19でタイムアウトすると、データ伝送装置1aは、上記ステップS15と同様に伝送路80aを介してスタート信号TSを送信する(ステップS20)。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、上記ステップS20で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS21)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS23)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS22)。しかしながら、伝送路80dが断線しているため、データ伝送システムを一周したロック信号LSは受信できず、自装置のMPU3はネットワークロックできない。したがって、データ伝送装置1aは、上記ステップS23における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1aは、ダイアグモードにおいてもマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上述したようにステップS72においてそれぞれ受信する伝送路80a〜80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。データ伝送装置1b〜1dは、それぞれロック信号LSおよびスタート信号TSの受信が可能であるため、上記ステップS73〜S75の処理を経て、上記ステップS77における上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS79における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1b〜1dは、ダイアグモードにおいてもスレーブとして再立ち上げ(1回目)される。
一方、スレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、伝送路80dが断線しているためにロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eおよび1fは、上記ステップS78における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1eおよび1fは、ダイアグモードにおいてマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
図4を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(1回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1a、1e、および1fがマスタとして再立ち上げされ、データ伝送装置1b〜1dがスレーブとして再立ち上げされる(図7参照)。
図4において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS30およびS80)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(1回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80a、80eおよび80fに送信する(ステップS32)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSを受信し(ステップS81)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS82)。他のスレーブのデータ伝送装置1cおよび1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS81)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS82)。
マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ伝送路80f、80d、および80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS33)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS38)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS32)を継続している。データ伝送装置1aは、データ伝送装置1fが上記ステップS32を実行することによって伝送路80fにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。同様に、データ伝送装置1fも、データ伝送装置1eが上記ステップS32を実行することによって伝送路80eにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。一方、データ伝送装置1eは、伝送路80dが断線しているため、伝送路80dからロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS38における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS39に進める。
ステップS34では、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、下流のデータ伝送装置に対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aおよび80fに送信する。また、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS38でタイムアウトすると、ステップS39において、上記ステップS34と同様に伝送路80eを介してスタート信号TSを送信する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、スタート信号TSの受信待ちを継続しており(ステップS83)、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS84)。そして、データ伝送装置1b〜1dは、自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、次のステップS86に処理を進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS34を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。同様に、マスタのデータ伝送装置1fも、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1eが上記ステップS39を実行することによって、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS37)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS36)。ダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、共に自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1aおよび1fは、上記ステップS37における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1aおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、スレーブに変更される。
一方、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS39で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS40)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS42)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS41)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS42における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1eは、上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信していないため、データ伝送における故障部位直後の下流に配置されたデータ伝送装置であると判断され、引き続きマスタとして再立ち上げされる。
ステップS86において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ちを、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS87)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS87における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1b〜1dは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、引き続きスレーブとして再立ち上げされる。
図5を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(2回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1eをマスタとして2回目の再立ち上げが行われ、データ伝送装置1a〜1dおよび1fをスレーブとして2回目の再立ち上げが行われる(図8参照)。
図5において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS50およびS90)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(2回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS53)、伝送路80eへのロック信号LSの送信を継続する(ステップS52)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからロック信号LSを受信し(ステップS91)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS92)。他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS91)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS92)。
データ伝送装置1eは、上記ステップS53における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS54に進める。ステップS54では、マスタのデータ伝送装置1eは、スレーブのデータ伝送装置1fに対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80eに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS93)を継続している。上記ステップS54においてマスタのデータ伝送装置1eから伝送路80eを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、データ伝送装置1fは、直ちに下流のデータ伝送装置1aとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80fに送信する(ステップS94)。そして、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS93)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS94)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS54で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS55)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS57)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS56)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS57における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS57のタイムアウトによって、データ伝送装置1eのMPU3は、ネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置1a〜1dおよび1fとのデータ送受信を開始する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ち(ステップS96)を、所定の時間をタイ厶アウトするまで(ステップS97)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1eは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上記ステップS97における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS97のタイムアウトによって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fが有するそれぞれのMPU3は、それぞれネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置とのデータ送受信を開始する。
このように、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、ダイアグモードに移行する。次に、ダイアグモードの1回目の再立ち上げ動作によって、故障箇所直後の下流に位置するデータ伝送装置を検出する。そして、ダイアグモードの2回目の再立ち上げ動作によって、最上流に位置するデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、ダイアグモードを終了することによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
なお、それぞれのデータ伝送装置1が有するコントローラ2は、他のデータ伝送装置との通信によって、自装置のシステム上の位置を検出する機能を有する。上記自装置のシステム上の位置(以下、Nと記載する)は、上述した初期化動作の中で、マスタに対してN=0に設定され、スレーブに対して下流方向に順次Nが+1されて設定される。つまり、図8に示したデータ伝送システムの例では、マスタのデータ伝送装置1eがN=0、スレーブのデータ伝送装置1fがN=1、データ伝送装置1aがN=2、…、データ伝送装置1dがN=5に設定される。したがって、上記データ伝送システムにおける故障箇所は、上記自装置のシステム上の位置を読み出せば、容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける上記故障部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS33でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。上述した第1の実施形態に対して、当該データ伝送システムは、初期化処理の手順が異なる。具体的には、第1の実施形態がデータ伝送システムの物理層およびデータリンク層を同時に初期化する手順を示していることに対して、第2の実施形態ではデータ伝送システムの物理層の初期化を完了した後にデータリンク層の初期化を開始する手順で初期化処理を行う。なお、第2の実施形態に係るデータ伝送システムの構成および当該データ伝送システムに含まれる複数のデータ伝送装置の構成は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態と同様である。したがって、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおける初期化処理について説明する。当該データ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、最初にプロトコルの物理層(送受信部4)の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各送受信部4のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。そして、物理層の初期化処理が完了してデータ通信可能な状態に移行した後に、データリンク層の初期化処理が行われる。以下、図9〜図24を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図9は電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図10は電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図11〜図16は図9および図10の各ステップで行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。また、図17〜図24は、図9および図10に基づいた各動作において、データ伝送システムの状態を示す概略図である。
以下に説明するデータ伝送装置1の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図17参照)を説明する。また、データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。また、全てのデータ伝送装置1が互いにデータ伝送可能な例と、伝送路80dが断線した例とを用いて説明する。なお、図17〜図24では、データ伝送システムの接続機器10a〜10fを省略して示す。また、以下に説明する物理層の初期化処理においては、既にデータ伝送システム全体の電源がONされており、それら物理層間のデータ通信状態を診断した後にその診断結果に応じたマスタを設定して初期化処理を行うダイアグモードについて説明する。
図9を参照して、電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送裝置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図18の状態。ステップS101)、処理を次のステップに進める。以下、図11を参照して、マスタクロック同期ダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS101では、マスタに設定されているデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタクロック同期ダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図11において、マスタに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS301)。なお、このステップS301では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS301でリセットされたマスタの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80に送信する(ステップS302)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
次に、上記ステップS301およびS302で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS303)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS102)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1へロック信号を送出する(詳細なスレーブの動作は後述する)。したがって、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出される。一方、伝送路80a〜80fの何れかが断線、あるいは送受信部4a〜4fの何れかの送受信機能の異常等が発生している場合、上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出されない(図18の状態)。つまり、上記ステップS102において、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したとき、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常(つまり、伝送路80の断線なし)であると判断することができる。
上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aは、再度上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行う(ステップS103)。なお、このステップS103で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1aは、マスタクロック同期処理を行い(ステップS104)、処理を次のステップに進める。以下、図12を参照して、マスタクロック同期処理における詳細な動作について説明する。
図12において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aのMPU3aから送受信部4aへリセット信号が出力されることによって、送受信部4aがリセットされる(ステップS306)。なお、このステップS306では、コントローラ2aに対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2aはリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS306でリセットされたマスタの送受信部4aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS307)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
そして、送受信部4aは、伝送路80fからロック信号LSの受信を待つ(ステップS308)。そして、データ伝送装置1fがロック信号LSを送出した場合、マスタの送受信部4aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。さらに、MPU3aおよび送受信部4aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS309)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタトレーニング処理を行い(ステップS105)、処理を次のステップS112に進める。以下、図14を参照して、マスタトレーニング処理における詳細な動作について説明する。
図14において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する(ステップS501)。ここで、送受信部4aがスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられる。そして、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fから送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS502)。なお、スタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられるとしたが、送受信部4a内部でスタート信号TSの送出を開始するタイミングを生成してもかまわない。
ここで、スレーブの送受信部4b〜4fは、伝送路80a〜80eからそれぞれスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流のデータ伝送装置1との間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(詳細なスレーブの動作は後述する)。つまり、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常である場合、上流のデータ伝送装置1fからマスタのデータ伝送装置1aへスタート信号TSが送出される。したがって、上記ステップS502において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fからスタート信号TSを受信することができる。そして、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。さらに、マスタのデータ伝送装置1aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS503)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、ステップS112において、MPU3aは、リセット信号をコントローラ2a(データリンク層)に出力して、コントローラ2aのリセット状態を解除する。そして、MPU3aは、コントローラ2aに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2aに出力して、コントローラ2aの初期化処理が行われる(ステップS113)。例えば、MPU3aは、この制御信号によって、コントローラ2aのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS113の処理が終了後、データ伝送装置1aは、他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しなかった場合(例えば、伝送路80dが断線)、データ伝送装置1aは、新たに上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS106)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS106で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS107)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、1回目のクロック同期を確立する処理において、上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しなかった場合、マスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1は、上記ステップS106の処理と同期してロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出する(図20参照。詳細な動作は後述する)。したがって、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20の状態)。一方、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる。
上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない)、データ伝送装置1aは、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS108)、処理を次のステップに進める。以下、図13を参照して、スレーブクロック同期処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS108では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブクロック同期処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図13において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS401)。なお、このステップS401では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS401でリセットされたスレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から伝送路80を介して送出されるロック信号LSの受信を待つ(ステップS402)。そして、上流のデータ伝送装置1がロック信号LSを送出した場合、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。そして、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ伝送路80を介して送信する(ステップS403)。
次に、上記ステップS401〜403で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS404)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、上記ステップS108の動作の後、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS109)、処理を次のステップS112に進める。以下、図15を参照して、スレーブトレーニング処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS109では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a,MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブトレーニング処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図15において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS601)。ここで、スレーブに設定されたデータ伝送装置1は、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないため、必ず上流のデータ伝送装置1からスタート信号TSが送出される。したがって、スレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置1に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS602)。さらに、MPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS603)、当該サブルーチンによる処理を終了する。そして、送受信部4は、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
一方、上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する)、データ伝送装置1aは、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS110)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS110で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(ステップS111)、処理を次のステップS112に進める。以下、図16を参照して、マスタトレーニングダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS111では、マスタに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタトレーニングダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図16において、マスタに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1との間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(ステップS506)。ここで、送受信部4がスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3から与えられる。また、スタート信号TSの送出を開始するタイミングを、送受信部4内部で生成してもかまわない。
次に、上記ステップS506で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS507)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
次に、図10を参照して、電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1f(図17参照)は、スレーブクロック同期処理を行い(図18の状態。ステップS201)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS201で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、送受信部4b〜4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、マスタのデータ伝送装置1aは、下流のデータ伝送装置1bへロック信号LSを送出している。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1ヘロック信号を送出している。したがって、データ伝送装置1a〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、全てのデータ伝送装置1b〜1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。また、伝送路80dが断線している場合、断線部位から遡ってマスタのデータ伝送装置1aまでに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1b〜1d;図18参照)も上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。一方、伝送路80dが断線している場合、マスタのデータ伝送装置1aから遡って断線部位までに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1eおよび1f;図18参照)は上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しない。
上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したスレーブの送受信部4b〜4f(例えば、正常にクロック同期が確立したときの送受信部4b〜4f。伝送路80dが断線しているときの送受信部4b〜4d)は、新たに上記スレーブクロック同期処理を2回行う(ステップS203およびS204)。なお、これらステップS203およびS204で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS204の動作を経たスレーブの送受信部4b〜4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(ステップS205)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS205で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS212において、MPU3b〜3fは、それぞれリセット信号をコントローラ2b〜2f(データリンク層)に出力して、コントローラ2b〜2fのリセット状態を解除する。そして、MPU3b〜3fは、それぞれコントローラ2b〜2fに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2b〜2fに出力して、コントローラ2b〜2fの初期化処理が行われる(ステップS213)。例えば、MPU3b〜3fは、この制御信号によって、コントローラ2b〜2fのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS213の処理が終了後、データ伝送装置1b〜1fは、それぞれ他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、伝送路80dが断線している場合、上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないスレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、マスタとして設定される(図19の状態)。マスタの送受信部4eおよび4f、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図20の状態。ステップS206)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS206で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1eおよび1fは、送受信部4eおよび4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS207)。ここで、マスタとして設定されたデータ伝送装置1a、1e、および1fは、上記ステップS106およびS206でロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出している(図20の状態)。したがって、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20におけるデータ伝送装置1f)。一方、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる(図20におけるデータ伝送装置1e)。
上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したデータ伝送装置1eおよび1f(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない図20におけるデータ伝送装置1f)は、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1fは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS208)、処理を次のステップに進める。なお、このステップS208で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS208の動作を経たスレーブの送受信部4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS209)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS209で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
一方、上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないデータ伝送装置1e(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する図20におけるデータ伝送装置1e)は、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1eは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図22の状態。ステップS210)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS210で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(図23の状態。ステップS211)、処理を次のステップS212に進める。なお、ステップS211で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS506およびS507の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
上述した図9および図10のフローチャートによる初期化処理を行うことによって、図17で示したデータ伝送システムは、図24で示した状態で初期化される。図17で示すように、データ伝送システムは、電源投入時にデータ伝送装置1aがマスタとして設定されて伝送路80dが断線している。この場合、図24に示すように、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置1eがマスタとして設定されてデータリンク層および物理層の初期化処理が行われる。
このように、第2の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、物理層(送受信部4)の初期化処理を繰り返すことによって断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。そして、そのデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、その後データリンク層の初期化処理を行うことによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
また、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるデータリンク層の初期化処理は、それぞれの物理層の初期化処理が完了した後開始されるため、それぞれのデータリンク層が互いにデータ通信可能な状態で行われる。したがって、データリンク層の初期化期間において物理層が通信可能な状態を想定して設計された初期化プログラム(初期化が不要な物理層を用いることを想定して提供されるAPI(Application Program Interface:アプリケーションプログラムインターフェイス))を、互いに電気通信を行うデータ伝送システムにその前提条件を満たしながら用いることができる。つまり、当該データ伝送システムに上記初期化プログラムを用いることによる不測の不具合を防止しながらデータ通信の初期化処理を行うことができる。また、上記初期化プログラムを当該データ伝送システムに用いる際に、物理層の初期化期間に関する修正が不要であり、開発コストの増大は生じない。
なお、第2の実施形態においても、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS107またはS207でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。なお、図1は、当該データ伝送システムの構成を示すブロック図である。
図1において、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、物理的なトポロジをリング・トポロジとし、複数のノードをリング・トポロジで接続することによって一方向のリング型LANを形成している。以下、上記データ伝送システムの一例として、各ノードを6段のデータ伝送装置1a〜1fによって構成し、それぞれ伝送路80a〜80fによってリング型に接続し、伝送されるデータが伝送路80a〜80fを介して一方向に伝送されるシステムを説明する。各データ伝送装置1a〜1fには、それぞれデータ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器(例えば、オーディオ機器、ナビゲーション機器、あるいは情報端末機器)10a〜10fが接続されている。なお、一般的なハードウエアの形態としては、それぞれのデータ伝送装置1a〜1fおよび接続機器10a〜10fが一体的に構成される。
上記データ伝送システムで用いられる通信プロトコルとしては、例えば、Media Oriented Systems Transport(以下、MOSTと記載する)がある。MOSTを通信プロトコルとして伝送されるデータは、フレームを基本単位として伝送され、各データ伝送装置1の間を次々にフレームが一方向に伝送される。つまり、データ伝送装置1aは、伝送路80aを介してデータ伝送装置1bに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1bは、伝送路80bを介してデータ伝送装置1cに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1cは、伝送路80cを介してデータ伝送装置1dに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1dは、伝送路80dを介してデータ伝送装置1eに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1eは、伝送路80eを介してデータ伝送装置1fに対してデータを出力する。そして、データ伝送装置1fは、伝送路80fを介してデータ伝送装置1aに対してデータを出力する。伝送路80a〜80fにはツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルが用いられ、データ伝送装置1は、互いに電気通信を行う。ここで、当該データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
次に、図2を参照して、データ伝送装置1の構成について説明する。なお、図2は、データ伝送装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、上述した複数のデータ伝送装置1a〜1fは、それぞれ同様の構成である。
図1において、データ伝送装置1は、コントローラ2、マイクロコンピュータ(MPU)3、および送受信部4を備えている。以下、当該データ伝送システムで用いる通信プロトコルの一例として、MOSTを用いて説明を行う。
コントローラ2には、データ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器10が接続されている。そして、コントローラ2は、その機能の一つとして、接続された接続機器10からのデータをMOSTで規定されるプロトコルに変換して送受信部4にデジタルデータTXを出力し、送受信部4から出力されるデジタルデータRXがコントローラ2に入力し、接続された接続機器10に伝送する。
MPU3は、データ伝送装置1が有する各伝送モードに基づいて、コントローラ2、送受信部4、および上記接続機器10を制御する。例えば、MPU3は、データ伝送装置1のリセット機能、電源制御(省エネモードの切り替え)、マスタ/スレーブの選択処理、およびダイアグモードへの移行処理等を制御する。
送受信部4は、典型的にはLSIで構成され、受信部5、送信部6、クロック制御部7を有している。受信部5は、伝送路80から入力する他のデータ伝送装置1からの電気信号を受信し、その電気信号をデジタル信号RXに変換してコントローラ2に出力する。また、受信部5は、上記電気信号に含まれるクロック成分を再生して、クロック制御部7に出力する。送信部6は、クロック制御部7のクロックに基づいて、コントローラ2から出力されるデジタルデータTXを電気信号に変換して、伝送路80を介して他のデータ伝送装置1に出力する。
クロック制御部7は、データ伝送装置1のクロックを制御し、例えば、他のデータ伝送装置1で使用されるクロックを再生したり、コントローラ2のクロックを再生したり、送信側の信号処理部で用いられるクロックを出力したりする。具体的には、クロック制御部7は、データ伝送装置1がマスタである場合、送信側PLL(Phase Locked Loop)で再生したクロックを出力し、スレーブである場合、受信側PLLで再生したクロックを出力する。
送信部6は、セレクタ61、S/P(シリアル/パラレル)変換部62、マッピング部63、ロールオフフィルタ64、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)65、差動ドライバ66、およびスタート信号発生部67を有している。なお、S/P変換部62、マッピング部63、およびロールオフフィルタ64によって、送信側の信号処理部を形成しており、以下、説明を具体的にするために、当該信号処理部がデジタルデータを8値マッピングしたアナログ電気信号に変換して出力する場合について説明する。
セレクタ61は、クロック制御部7によって制御されるクロックに基づいて、送信部6から送信するデータ(例えば、デジタルデータTXまたはデジタルデータRX)を選択してS/P変換部62へ出力する。
S/P変換部62は、多値化伝送を行うために、コントローラ2から出力されるシリアルのデジタルデータTXを2ビット毎のパラレルデータに変換する。マッピング部63は、S/P変換部62で変換された2ビット毎のパラレルデータや後述するスタート信号発生部67から出力されるスタート信号TSを、上記システムクロックに基づいて8値のシンボルのいずれかにマッピングを行う。このマッピングは、受信側に配置される他のデータ伝送装置1でクロック再生を行うために、2ビット毎のパラレルデータを8値のシンボルのうち上位4シンボルと下位4シンボルとに交互に割り当てられる。また、送信および受信との間の直流成分の変動や差の影響を除外するために、前値との差分によってマッピングが行われる。ロールオフフィルタ64は、送信する電気信号の帯域制限および符号間干渉を抑えるための波形整形フィルタである。例えば、ロールオフ率100%のFIRフィルタを使用する。
DAC65は、ロールオフフィルタ64で帯域制限された信号をアナログ信号に変換する。差動ドライバ66は、DAC65から出力されるアナログ信号の強度を増幅して差動信号に変換して伝送路80に送出する。差動ドライバ66は、伝送路80が有する2本1組の導線に対して、送出する電気信号を伝送路80の一方側(プラス側)導線に送信し、当該電気信号と正負反対の信号を伝送路80の他方側(マイナス側)に送信する。これによって、伝送路80には、プラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送するため、お互いの電気信号の変化をお互いの電気信号が打ち消しあい、伝送路80からの放射ノイズおよび外部からの電気的影響を軽減することができる。
スタート信号発生部67は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、受信側に配置される他のデータ伝送装置1との間でデータ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能な所定のスタート信号TSを生成する。スタート信号発生部67で生成されたスタート信号TSは、マッピング部63に送出される。
受信部5は、差動レシーバ51、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)52、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、P/S(パラレル/シリアル)変換部55、クロック再生部56を有している。なお、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、およびP/S変換部55によって、受信側の信号処理部を形成している。
差動レシーバ51は、伝送路80から入力する差動信号を電圧信号に変換してADC52に出力する。上述したように、伝送路80が有する2本1組の導線に対してプラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送しており、差動レシーバ51は、プラス側とマイナス側との差から信号を判断するため、外部からの電気的影響に対して効力を発揮する。そして、ADC52は、差動レシーバ51から出力される電圧信号をデジタル信号に変換する。
ロールオフフィルタ53は、例えば、ADC52から出力されるデジタル信号のノイズ除去を行う波形整形用のFIRフィルタが使用される。上述した送信側のロールオフフィルタ64と合わせ、符号間干渉のないロールオフ特性を実現する。逆マッピング部54は、後述するクロック再生部56で再生したクロックに基づいて、受信したデータ値と前値との差分から送信側のマッピング部63でマッピングする前のデータを再生する。逆マッピング部54における差分処理は、上述したスタート信号TSによって設定された判定レベルを基準に行われ、当該判定レベルは、差分値の理想値としても用いることができる。この逆マッピング部54における逆マッピング処理によって、受信した信号がパラレルデータに変換される。P/S変換部55は、逆マッピング部54で判定されたパラレルデータをシリアルのデジタルデータRXに変換して、コントローラ2に出力する。
クロック再生部56は、ADC52から出力される伝送路80から受信した信号のクロック成分を再生することによって、伝送路クロック再生を行い、受信側の信号処理部のクロックとして用いられる。また、クロック再生部56で再生されたクロックは、クロック制御部7に出力され受信側PLLのリファレンスクロック入力として用いられる。
次に、データ伝送システムにおける初期化処理について説明する。上述したデータ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図3〜図5を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図3〜図5は、データ伝送システムにおける初期化動作を示すフローチャートである。
まず、図3を参照して、データ伝送システムが初期化動作を経て、データ送受信を行う通常動作に移行する手順について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図1参照)を説明する。なお、上述したようにデータ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
図3において、データ伝送システムに接続された全てのデータ伝送装置1a〜1fの電源がONされることによって、データ伝送システムのパワーがONされる(ステップS10およびS70)。そして、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fのリセット状態が解除される(ステップS11およびS71)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が初期化動作へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS13)。このロック信号LSは、例えば、マスタのデータ伝送装置1aが有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS72)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。上記ステップS13においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたロック信号LSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLへリファレンスクロックとして入力を行い、当該受信PLLの再生クロックに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS73)。他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にロック信号LSの受信待ち(ステップS72)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたロック信号LSを受信してクロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS73)。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS14)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS73を実行することによって、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS15に進める。
ステップS15では、マスタのデータ伝送装置1aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS74)を継続している。上記ステップS15においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、直ちに下流のデータ伝送装置1cとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80bに送信する(ステップS75)。そして、データ伝送装置1bは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1aから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS74)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS75)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS16)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS75を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、データ伝送システム全体がネットワークロックされたか否かの判断を継続する(ステップS17)。このネットワークロックの判断は、自装置のMPU3によって、後述するダイアグモードに移行されずに上記ロック信号LSがデータ伝送システムを一周して受信することによって設定されるものである。そして、ネットワークロックを設定することによって、データ伝送システム全体が断線等の故障が無く正常に通信可能であることを示す識別子が生成される。データ伝送装置1aは、自装置のMPU3によってネットワークロックが設定された場合、所定のデータフレームにネットワークロックを示す識別子を付与して、他のスレーブのデータ伝送装置1b〜1f全てに対して当該データフレームを送信し(ステップS18)、マスタとしての通常動作に移行する。
一方、ステップS77において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上流のデータ伝送装置1から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続している。そして、上記ステップS18によってマスタのデータ伝送装置1aから送信された上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームを受信することによって、スレーブとしての通常動作に移行する。
次に、データ伝送システムにおいて、伝送路80の断線やデータ伝送装置1の送受信機能が故障することによって、一部の送受信が不可能になった場合の初期化動作について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においても、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムにおいてどの部位が故障しても適用可能である。ここでは、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、伝送路80dが断線した一例(図6参照)を説明する。
図3において、マスタのデータ伝送装置1aが行うステップS10〜S13の手順、およびスレーブのデータ伝送装置1b〜1fが行うステップS70〜72の手順については、上述と同様であるため説明を省略する。
ステップS14において、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。しかしながら、上述したように伝送路80dが断線しているため、データ伝送装置1dおよび1eの間のクロック同期が確立しない。したがって、データ伝送装置1fから伝送路80fにはロック信号LSの送信が行われないため、データ伝送装置1aの処理は、上記ステップS19における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。上記ステップS19でタイムアウトすると、データ伝送装置1aは、上記ステップS15と同様に伝送路80aを介してスタート信号TSを送信する(ステップS20)。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、上記ステップS20で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS21)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS23)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS22)。しかしながら、伝送路80dが断線しているため、データ伝送システムを一周したロック信号LSは受信できず、自装置のMPU3はネットワークロックできない。したがって、データ伝送装置1aは、上記ステップS23における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1aは、ダイアグモードにおいてもマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上述したようにステップS72においてそれぞれ受信する伝送路80a〜80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。データ伝送装置1b〜1dは、それぞれロック信号LSおよびスタート信号TSの受信が可能であるため、上記ステップS73〜S75の処理を経て、上記ステップS77における上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS79における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1b〜1dは、ダイアグモードにおいてもスレーブとして再立ち上げ(1回目)される。
一方、スレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、伝送路80dが断線しているためにロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eおよび1fは、上記ステップS78における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1eおよび1fは、ダイアグモードにおいてマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
図4を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(1回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1a、1e、および1fがマスタとして再立ち上げされ、データ伝送装置1b〜1dがスレーブとして再立ち上げされる(図7参照)。
図4において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS30およびS80)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(1回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80a、80eおよび80fに送信する(ステップS32)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSを受信し(ステップS81)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS82)。他のスレーブのデータ伝送装置1cおよび1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS81)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS82)。
マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ伝送路80f、80d、および80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS33)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS38)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS32)を継続している。データ伝送装置1aは、データ伝送装置1fが上記ステップS32を実行することによって伝送路80fにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。同様に、データ伝送装置1fも、データ伝送装置1eが上記ステップS32を実行することによって伝送路80eにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。一方、データ伝送装置1eは、伝送路80dが断線しているため、伝送路80dからロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS38における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS39に進める。
ステップS34では、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、下流のデータ伝送装置に対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aおよび80fに送信する。また、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS38でタイムアウトすると、ステップS39において、上記ステップS34と同様に伝送路80eを介してスタート信号TSを送信する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、スタート信号TSの受信待ちを継続しており(ステップS83)、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS84)。そして、データ伝送装置1b〜1dは、自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、次のステップS86に処理を進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS34を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。同様に、マスタのデータ伝送装置1fも、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1eが上記ステップS39を実行することによって、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS37)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS36)。ダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、共に自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1aおよび1fは、上記ステップS37における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1aおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、スレーブに変更される。
一方、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS39で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS40)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS42)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS41)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS42における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1eは、上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信していないため、データ伝送における故障部位直後の下流に配置されたデータ伝送装置であると判断され、引き続きマスタとして再立ち上げされる。
ステップS86において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ちを、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS87)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS87における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1b〜1dは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、引き続きスレーブとして再立ち上げされる。
図5を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(2回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1eをマスタとして2回目の再立ち上げが行われ、データ伝送装置1a〜1dおよび1fをスレーブとして2回目の再立ち上げが行われる(図8参照)。
図5において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS50およびS90)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(2回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS53)、伝送路80eへのロック信号LSの送信を継続する(ステップS52)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからロック信号LSを受信し(ステップS91)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS92)。他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS91)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS92)。
データ伝送装置1eは、上記ステップS53における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS54に進める。ステップS54では、マスタのデータ伝送装置1eは、スレーブのデータ伝送装置1fに対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80eに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS93)を継続している。上記ステップS54においてマスタのデータ伝送装置1eから伝送路80eを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、データ伝送装置1fは、直ちに下流のデータ伝送装置1aとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80fに送信する(ステップS94)。そして、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS93)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS94)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS54で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS55)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS57)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS56)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS57における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS57のタイムアウトによって、データ伝送装置1eのMPU3は、ネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置1a〜1dおよび1fとのデータ送受信を開始する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ち(ステップS96)を、所定の時間をタイ厶アウトするまで(ステップS97)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1eは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上記ステップS97における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS97のタイムアウトによって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fが有するそれぞれのMPU3は、それぞれネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置とのデータ送受信を開始する。
このように、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、ダイアグモードに移行する。次に、ダイアグモードの1回目の再立ち上げ動作によって、故障箇所直後の下流に位置するデータ伝送装置を検出する。そして、ダイアグモードの2回目の再立ち上げ動作によって、最上流に位置するデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、ダイアグモードを終了することによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
なお、それぞれのデータ伝送装置1が有するコントローラ2は、他のデータ伝送装置との通信によって、自装置のシステム上の位置を検出する機能を有する。上記自装置のシステム上の位置(以下、Nと記載する)は、上述した初期化動作の中で、マスタに対してN=0に設定され、スレーブに対して下流方向に順次Nが+1されて設定される。つまり、図8に示したデータ伝送システムの例では、マスタのデータ伝送装置1eがN=0、スレーブのデータ伝送装置1fがN=1、データ伝送装置1aがN=2、…、データ伝送装置1dがN=5に設定される。したがって、上記データ伝送システムにおける故障箇所は、上記自装置のシステム上の位置を読み出せば、容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける上記故障部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS33でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。上述した第1の実施形態に対して、当該データ伝送システムは、初期化処理の手順が異なる。具体的には、第1の実施形態がデータ伝送システムの物理層およびデータリンク層を同時に初期化する手順を示していることに対して、第2の実施形態ではデータ伝送システムの物理層の初期化を完了した後にデータリンク層の初期化を開始する手順で初期化処理を行う。なお、第2の実施形態に係るデータ伝送システムの構成および当該データ伝送システムに含まれる複数のデータ伝送装置の構成は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態と同様である。したがって、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおける初期化処理について説明する。当該データ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、最初にプロトコルの物理層(送受信部4)の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各送受信部4のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。そして、物理層の初期化処理が完了してデータ通信可能な状態に移行した後に、データリンク層の初期化処理が行われる。以下、図9〜図24を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図9は電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図10は電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図11〜図16は図9および図10の各ステップで行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。また、図17〜図24は、図9および図10に基づいた各動作において、データ伝送システムの状態を示す概略図である。
以下に説明するデータ伝送装置1の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図17参照)を説明する。また、データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。また、全てのデータ伝送装置1が互いにデータ伝送可能な例と、伝送路80dが断線した例とを用いて説明する。なお、図17〜図24では、データ伝送システムの接続機器10a〜10fを省略して示す。また、以下に説明する物理層の初期化処理においては、既にデータ伝送システム全体の電源がONされており、それら物理層間のデータ通信状態を診断した後にその診断結果に応じたマスタを設定して初期化処理を行うダイアグモードについて説明する。
図9を参照して、電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送裝置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図18の状態。ステップS101)、処理を次のステップに進める。以下、図11を参照して、マスタクロック同期ダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS101では、マスタに設定されているデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタクロック同期ダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図11において、マスタに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS301)。なお、このステップS301では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS301でリセットされたマスタの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80に送信する(ステップS302)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
次に、上記ステップS301およびS302で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS303)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS102)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1へロック信号を送出する(詳細なスレーブの動作は後述する)。したがって、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出される。一方、伝送路80a〜80fの何れかが断線、あるいは送受信部4a〜4fの何れかの送受信機能の異常等が発生している場合、上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出されない(図18の状態)。つまり、上記ステップS102において、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したとき、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常(つまり、伝送路80の断線なし)であると判断することができる。
上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aは、再度上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行う(ステップS103)。なお、このステップS103で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1aは、マスタクロック同期処理を行い(ステップS104)、処理を次のステップに進める。以下、図12を参照して、マスタクロック同期処理における詳細な動作について説明する。
図12において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aのMPU3aから送受信部4aへリセット信号が出力されることによって、送受信部4aがリセットされる(ステップS306)。なお、このステップS306では、コントローラ2aに対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2aはリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS306でリセットされたマスタの送受信部4aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS307)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
そして、送受信部4aは、伝送路80fからロック信号LSの受信を待つ(ステップS308)。そして、データ伝送装置1fがロック信号LSを送出した場合、マスタの送受信部4aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。さらに、MPU3aおよび送受信部4aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS309)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタトレーニング処理を行い(ステップS105)、処理を次のステップS112に進める。以下、図14を参照して、マスタトレーニング処理における詳細な動作について説明する。
図14において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する(ステップS501)。ここで、送受信部4aがスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられる。そして、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fから送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS502)。なお、スタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられるとしたが、送受信部4a内部でスタート信号TSの送出を開始するタイミングを生成してもかまわない。
ここで、スレーブの送受信部4b〜4fは、伝送路80a〜80eからそれぞれスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流のデータ伝送装置1との間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(詳細なスレーブの動作は後述する)。つまり、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常である場合、上流のデータ伝送装置1fからマスタのデータ伝送装置1aへスタート信号TSが送出される。したがって、上記ステップS502において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fからスタート信号TSを受信することができる。そして、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。さらに、マスタのデータ伝送装置1aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS503)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、ステップS112において、MPU3aは、リセット信号をコントローラ2a(データリンク層)に出力して、コントローラ2aのリセット状態を解除する。そして、MPU3aは、コントローラ2aに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2aに出力して、コントローラ2aの初期化処理が行われる(ステップS113)。例えば、MPU3aは、この制御信号によって、コントローラ2aのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS113の処理が終了後、データ伝送装置1aは、他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しなかった場合(例えば、伝送路80dが断線)、データ伝送装置1aは、新たに上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS106)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS106で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS107)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、1回目のクロック同期を確立する処理において、上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しなかった場合、マスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1は、上記ステップS106の処理と同期してロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出する(図20参照。詳細な動作は後述する)。したがって、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20の状態)。一方、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる。
上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない)、データ伝送装置1aは、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS108)、処理を次のステップに進める。以下、図13を参照して、スレーブクロック同期処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS108では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブクロック同期処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図13において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS401)。なお、このステップS401では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS401でリセットされたスレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から伝送路80を介して送出されるロック信号LSの受信を待つ(ステップS402)。そして、上流のデータ伝送装置1がロック信号LSを送出した場合、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。そして、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ伝送路80を介して送信する(ステップS403)。
次に、上記ステップS401〜403で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS404)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、上記ステップS108の動作の後、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS109)、処理を次のステップS112に進める。以下、図15を参照して、スレーブトレーニング処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS109では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a,MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブトレーニング処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図15において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS601)。ここで、スレーブに設定されたデータ伝送装置1は、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないため、必ず上流のデータ伝送装置1からスタート信号TSが送出される。したがって、スレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置1に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS602)。さらに、MPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS603)、当該サブルーチンによる処理を終了する。そして、送受信部4は、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
一方、上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する)、データ伝送装置1aは、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS110)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS110で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(ステップS111)、処理を次のステップS112に進める。以下、図16を参照して、マスタトレーニングダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS111では、マスタに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタトレーニングダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図16において、マスタに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1との間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(ステップS506)。ここで、送受信部4がスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3から与えられる。また、スタート信号TSの送出を開始するタイミングを、送受信部4内部で生成してもかまわない。
次に、上記ステップS506で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS507)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
次に、図10を参照して、電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1f(図17参照)は、スレーブクロック同期処理を行い(図18の状態。ステップS201)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS201で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、送受信部4b〜4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、マスタのデータ伝送装置1aは、下流のデータ伝送装置1bへロック信号LSを送出している。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1ヘロック信号を送出している。したがって、データ伝送装置1a〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、全てのデータ伝送装置1b〜1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。また、伝送路80dが断線している場合、断線部位から遡ってマスタのデータ伝送装置1aまでに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1b〜1d;図18参照)も上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。一方、伝送路80dが断線している場合、マスタのデータ伝送装置1aから遡って断線部位までに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1eおよび1f;図18参照)は上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しない。
上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したスレーブの送受信部4b〜4f(例えば、正常にクロック同期が確立したときの送受信部4b〜4f。伝送路80dが断線しているときの送受信部4b〜4d)は、新たに上記スレーブクロック同期処理を2回行う(ステップS203およびS204)。なお、これらステップS203およびS204で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS204の動作を経たスレーブの送受信部4b〜4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(ステップS205)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS205で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS212において、MPU3b〜3fは、それぞれリセット信号をコントローラ2b〜2f(データリンク層)に出力して、コントローラ2b〜2fのリセット状態を解除する。そして、MPU3b〜3fは、それぞれコントローラ2b〜2fに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2b〜2fに出力して、コントローラ2b〜2fの初期化処理が行われる(ステップS213)。例えば、MPU3b〜3fは、この制御信号によって、コントローラ2b〜2fのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS213の処理が終了後、データ伝送装置1b〜1fは、それぞれ他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、伝送路80dが断線している場合、上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないスレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、マスタとして設定される(図19の状態)。マスタの送受信部4eおよび4f、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図20の状態。ステップS206)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS206で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1eおよび1fは、送受信部4eおよび4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS207)。ここで、マスタとして設定されたデータ伝送装置1a、1e、および1fは、上記ステップS106およびS206でロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出している(図20の状態)。したがって、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20におけるデータ伝送装置1f)。一方、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる(図20におけるデータ伝送装置1e)。
上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したデータ伝送装置1eおよび1f(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない図20におけるデータ伝送装置1f)は、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1fは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS208)、処理を次のステップに進める。なお、このステップS208で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS208の動作を経たスレーブの送受信部4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS209)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS209で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
一方、上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないデータ伝送装置1e(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する図20におけるデータ伝送装置1e)は、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1eは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図22の状態。ステップS210)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS210で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(図23の状態。ステップS211)、処理を次のステップS212に進める。なお、ステップS211で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS506およびS507の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
上述した図9および図10のフローチャートによる初期化処理を行うことによって、図17で示したデータ伝送システムは、図24で示した状態で初期化される。図17で示すように、データ伝送システムは、電源投入時にデータ伝送装置1aがマスタとして設定されて伝送路80dが断線している。この場合、図24に示すように、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置1eがマスタとして設定されてデータリンク層および物理層の初期化処理が行われる。
このように、第2の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、物理層(送受信部4)の初期化処理を繰り返すことによって断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。そして、そのデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、その後データリンク層の初期化処理を行うことによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
また、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるデータリンク層の初期化処理は、それぞれの物理層の初期化処理が完了した後開始されるため、それぞれのデータリンク層が互いにデータ通信可能な状態で行われる。したがって、データリンク層の初期化期間において物理層が通信可能な状態を想定して設計された初期化プログラム(初期化が不要な物理層を用いることを想定して提供されるAPI(Application Program Interface:アプリケーションプログラムインターフェイス))を、互いに電気通信を行うデータ伝送システムにその前提条件を満たしながら用いることができる。つまり、当該データ伝送システムに上記初期化プログラムを用いることによる不測の不具合を防止しながらデータ通信の初期化処理を行うことができる。また、上記初期化プログラムを当該データ伝送システムに用いる際に、物理層の初期化期間に関する修正が不要であり、開発コストの増大は生じない。
なお、第2の実施形態においても、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS107またはS207でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
本発明にかかるデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法は、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合でも故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができ、リング型LAN等で構成されるデータ伝送システム等の用途に有用である。
本発明は、データ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法に関し、より特定的には、リング型に各データ伝送装置を伝送路によって接続し、互いに同期を確立して一方向の電気通信を行うデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法に関する。
近年、カーナビゲーションやITS(Intelligent Transport Systems)といったインターネットや画像情報を自動車内等の空間において伝送する場合、大容量かつ高速な通信が要求される。このようなデジタル化した映像や音声データ、あるいはコンピュータデータ等のデジタルデータを伝送するための通信方式の検討が盛んに行われ、自動車内等の空間においてもデジタルデータを伝送するネットワークの導入が本格化してきている。この車内ネットワークは、例えば、物理的なトポロジをリング・トポロジとし、複数のノードをリング・トポロジで接続させることによって一方向のリング型LANを形成し、オーディオ機器、ナビゲーション機器、あるいは情報端末機器等対して統合化した接続を目指している。上記リング型LANで用いられる情報系の通信プロトコルとしては、例えば、Media Oriented Systems Transport(以下、MOSTと記載する)がある。このMOSTでは、通信プロトコルだけでなく、分散システムの構築方法まで言及しており、MOSTネットワークのデータは、フレームを基本単位として伝送され、各ノードを次々にフレームが一方向に伝送される。
ところで、車内等に設けられるリング型LANの場合、放射ノイズが自動車等に搭載された他の電子機器の誤動作の原因になることがあり、また、他の機器からの放射ノイズの影響を受けることなく正確に伝送する必要もある。このため、従来のMOSTを用いたリング型LANでは、各ノードを光ファイバーケーブルで接続することによって、電磁波の発生を防止しながら耐ノイズ性を向上させている。一方、ツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルを用いた電気通信を行い、放射ノイズが少なく耐ノイズ性を向上しながら20Mbpsを超えるような高速なデータ伝送を可能にしているものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図25を参照して、各ノードが安価なケーブルで接続されたリング型ネットワークについて説明する。なお、図25は、当該リング型ネットワークの構成を示すブロック図である。
図25において、当該リング型ネットワークは、各ノードがデータの送信および受信を行うn段のデータ伝送装置100a〜100nで構成され、それぞれのデータ伝送装置には、データ伝送装置により伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送装置に出力する接続機器(図示せず)が接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同軸ケーブルやツイストペア線で構成される伝送路130a〜130nを介してリング状に接続されている。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nは、同一の構成であり、送信部および受信部(図示せず)を有している。例えば、データ伝送装置100aに設けられる送信部は、伝送路130aを介してデータ伝送装置100bに設けられる受信部に対してデータを出力する。また、データ伝送装置100aに設けられる受信部は、伝送路130nを介してデータ伝送装置100nに設けられた送信部からのデータを受信する。
それぞれのデータ伝送装置100a〜100nが伝送路130a〜130nに出力するデータ伝送方法について説明する。それぞれのデータ伝送装置100a〜100nに接続された接続機器等からのデジタルデータ列は、それぞれの送信部によって所定のビット毎にまとめてデータシンボルとし、変換テーブルによるマッピングおよびフィルタリング処理を経てアナログ信号に変換され、それぞれの伝送路130a〜130nに出力される。上記アナログ信号は、マッピングされた信号レベルが所定周期の波形となって出力される。そして、それぞれのデータ伝送装置100a〜100nの受信部は、上記アナログ信号を受信し、フィルタリング処理および逆マッピングを経てデータシンボルに復号し、デジタルデータ列に変換される。
このように構成されるリング型ネットワークでは、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図26を参照して、上記リング型ネットワークにおける初期化動作を説明する。なお、図26は、当該リング型ネットワークにおける初期化動作シーケンスであり、ここでは3段のデータ伝送装置100a〜100cにより構成されているリング型ネットワークを示している。
図26において、データ伝送装置100aは、自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置100bおよび100cは、マスタより受信したクロック同期を確立するためのロック信号LSによりクロック同期を確立するスレーブである。まず、マスタのデータ伝送装置100aは、電源投入時に自装置のクロックにロックした後、上記ロック信号LSを自装置のクロックに基づいてデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、さらに次段に接続されたデータ伝送装置100cにロック信号LSを送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い周波数をロックしてクロック同期を確立した後、マスタのデータ伝送装置100aにロック信号LSを送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するロック信号LSを用いてクロック再生を行い再び周波数をロックしてクロック同期を確立することによって、ネットワーク全体のクロック同期を確立させる。
ネットワーク全体のクロック同期が確立した後、マスタのデータ伝送装置100aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、データ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSをデータ伝送装置100bに送出する。スレーブのデータ伝送装置100bは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100aとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100cに送出する。スレーブのデータ伝送装置100cも、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100bとの間の判定レベルの設定を行いながら、自装置のスタート信号TSをデータ伝送装置100aに送出する。そして、マスタのデータ伝送装置100aは、受信するスタート信号TSを用いてデータ伝送装置100cとの間の判定レベルの設定を行うことによって、ネットワーク全体の判定レベルが設定され、リング型ネットワークが初期化される。リング型ネットワークの初期化が完了すると、各データ伝送装置100a〜100cは、ネットワークを介してのデータ通信を行う。
国際公開第02/30079号パンフレット
しかしながら、上述したリング型ネットワークを構成する伝送路130a〜130nの一部が断線したり、データ伝送装置100a〜100nの一つが故障等によってデータ送信あるいは受信が不能となった場合、各データ伝送装置100a〜100nから出力されるロック信号LSは、その故障箇所以降に送出不可能となる。つまり、ネットワーク全体のクロック同期の確立や判定レベルの設定がされないため、上記初期化動作が正常に行われず、各データ伝送装置100a〜100nは、全てデータ通信ができなくなる。したがって、リング型ネットワークに上記不具合が発生した場合、そのネットワークに接続されている全ての接続機器は、他の接続機器と通信をして実現する機能が停止してしまい、また、不具合箇所の検出も困難であった。
それ故に、本発明の目的は、リング型ネットワークを構成する各装置あるいは伝送路の一部が通信不能となった場合にもネットワーク全体が通信不能とならずに通信を可能とし、さらに、その故障箇所を検出して当該故障箇所以外の部分で通信を可能にするデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
本発明のデータ伝送システムは、伝送路を介してリング型に接続された複数のデータ伝送装置を含み、それぞれのデータ伝送装置がクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、それぞれ、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段のデータ伝送装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段のデータ伝送装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段のデータ伝送装置に送出するマスタ、あるいは、前段のデータ伝送装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段のデータ伝送装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段のデータ伝送装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。それによって、データ伝送装置がそれぞれ初期化を行う。
本発明のデータ伝送システムは、伝送路を介してリング型に接続された複数のデータ伝送装置を含み、それぞれのデータ伝送装置がクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、それぞれ、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段のデータ伝送装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段のデータ伝送装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段のデータ伝送装置に送出するマスタ、あるいは、前段のデータ伝送装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段のデータ伝送装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段のデータ伝送装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。それによって、データ伝送装置がそれぞれ初期化を行う。
上記制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、一部に電気通信が不可の部位があるとき、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段とを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段とを含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、処理部は、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含んでもよい。
本発明のデータ伝送方法は、複数のノードが伝送路を介してリング型に接続され、それぞれのノードが所定の通信プロトコルを用いてクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送方法は、初期動作で行う、複数のノードの1つに対して基準クロックを保持するマスタに設定し、他のノードをスレーブに設定するステップと、ノードがマスタに設定されているとき、基準クロックに同期したロック信号を後段のノードに送出する第1のロック信号送出ステップと、前段のノードから送出されたロック信号を用いてクロック同期を確立するクロック同期ステップと、スレーブに設定されたノードがクロック同期を確立した後、後段のノードにロック信号を送出する第2のロック信号送出ステップと、ノードからデータ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出ステップとを含む。マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。それによって、ノードがそれぞれ初期化を行う。
さらに、前段のノードから受信する信号の有無に基づいて自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する再設定ステップを含んでもかまわない。これによって、一部に電気通信が不可の部位がある場合、その部位から遡って電気通信の最上流に位置するノードが最終的にマスタに設定されて他のノードとのクロック同期が確立される。また、再設定ステップは、初期動作の際に、第1のロック信号送出ステップを実行させ、初期動作の際に、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことを確認した後、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップと、初期動作の際に、スレーブに設定されたノードが、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップとを含んでもかまわない。
再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことによって、そのノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行ステップと、スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行ステップと、第1のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出するステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行ステップと、マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行ステップと、スレーブに設定されたノードを、スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行ステップとを含んでもかまわない。この場合、第2のダイアグモードにおいて、第1のロック信号送出ステップと、クロック同期ステップと、第2のロック信号送出ステップとを実行し、マスタに設定されたノードは、第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、スタート信号送出ステップを実行し、スレーブに設定されたノードは、前段のノードからスタート信号を受信することに応じてスタート信号送出ステップを実行する。さらに、再設定ステップは、初期動作で行う、第1のロック信号送出ステップ実行後、マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出することによって、そのノードをマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行ステップと、第3のダイアグモードで行う、マスタに設定されたノードがロック信号を後段のノードに送出し、そのノードをマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行ステップとを含んでもかまわない。
第1の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するロック信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第2の例として、再設定ステップは、自ノードにおけるクロック同期の確立の有無により、そのノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。第3の例として、再設定ステップは、前段のノードから受信するスタート信号の検出の有無により、自ノードをマスタあるいはスレーブに再設定する。
ノードが用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
また、ノードそれぞれに対して、マスタに設定されたノードに対する段数位置をそれぞれカウントするステップを含んでもかまわない。
本発明のデータ伝送装置は、リング型のデータ伝送システムに接続され、伝送路を介して他の装置とクロック同期を確立して一方向の電気通信を行う。データ伝送装置は、送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、前段の装置から受信したデータを処理部に出力し、処理部の処理結果を後段の装置に送信する送受信部と、自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段の装置に送出するマスタ、あるいは、前段の装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段の装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行うクロック同期手段と、データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段がロック信号を送出してから所定の時間経過後、スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号をスタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、前段の装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備える。ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。
制御部は、信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定してもかまわない。それによって、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があり、その部位から遡って電気通信の最上流に自装置が位置するとき、自装置がマスタに設定される。また、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよく、初期動作において自装置がスレーブに設定されており、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであってもよい。
制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによってマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、初期動作において自装置がスレーブに設定されているとき、信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、その第1のダイアグモード中に信号検出部が前段の装置からの信号を検出することによって自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、信号検出部が前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、第1のダイアグモードにおいて、自装置がスレーブに設定されているとき、自装置をスレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段を含んでもかまわない。その場合、第2のダイアグモードにおいて、ロック信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期したロック信号を後段の装置に送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置が送出したロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、そのクロック同期を確立すると、ロック信号をさらに後段の装置に送出する。そして、スタート信号送出手段は、自装置がマスタに設定されているとき、スタート信号開始タイミング生成手段からスタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置にスタート信号を送出し、自装置がスレーブに設定されているとき、前段の装置から送出されたスタート信号の受信に応じて後段の装置にスタート信号を送出する。さらに、制御部は、初期動作において自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによってマスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、第3のダイアグモードにおいて自装置がマスタに設定されているとき、ロック信号送出手段にロック信号を送出させ、自装置をマスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段を含んでもかまわない。
第1の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するロック信号の有無により信号検出を行う。第2の例として、信号検出部は、自装置におけるクロック同期の確立の有無により信号検出を行う。第3の例として、信号検出部は、前段の装置から受信するスタート信号の有無により信号検出を行う。
処理部が用いる通信プロトコルは、MOSTで定義されてもかまわない。
本発明のデータ伝送システムによれば、複数のデータ伝送装置がリング型に伝送路を介して接続されており、その一部の送受信が不可能になった場合でも、マスタから電気通信が不可能な部位までの通信を可能となる。さらに、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置を、伝送路からのデータ受信がないことによって容易に検出することができ、そのデータ伝送装置をマスタに設定することによって、他のデータ伝送装置との通信を行うことが可能となる。
また、電気通信が不可能な部位に対して一方向の電気通信におけるその部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置は、前段のデータ伝送装置からのロック信号を受信しない、ロック信号を用いたクロック同期が確立しない、スタート信号を受信しない、等を条件として、容易に検出することができる。
また、リング型に接続された複数のデータ伝送装置が通信プロトコルとしてMOSTを用いて電気通信を行う場合、その一部の送受信が不可能になっても故障箇所を除いた伝送路を用いてクロック同期を確立することができる。
また、マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含む場合、その一部の送受信が不可能になったときに、データ伝送装置の段数位置からその箇所を容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける送受信が不可能になった部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、本発明のデータ伝送方法およびデータ伝送装置によれば、上述したデータ伝送システムと同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。なお、図1は、当該データ伝送システムの構成を示すブロック図である。
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。なお、図1は、当該データ伝送システムの構成を示すブロック図である。
図1において、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、物理的なトポロジをリング・トポロジとし、複数のノードをリング・トポロジで接続することによって一方向のリング型LANを形成している。以下、上記データ伝送システムの一例として、各ノードを6段のデータ伝送装置1a〜1fによって構成し、それぞれ伝送路80a〜80fによってリング型に接続し、伝送されるデータが伝送路80a〜80fを介して一方向に伝送されるシステムを説明する。各データ伝送装置1a〜1fには、それぞれデータ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器(例えば、オーディオ機器、ナビゲーション機器、あるいは情報端末機器)10a〜10fが接続されている。なお、一般的なハードウエアの形態としては、それぞれのデータ伝送装置1a〜1fおよび接続機器10a〜10fが一体的に構成される。
上記データ伝送システムで用いられる通信プロトコルとしては、例えば、Media Oriented Systems Transport(以下、MOSTと記載する)がある。MOSTを通信プロトコルとして伝送されるデータは、フレームを基本単位として伝送され、各データ伝送装置1の間を次々にフレームが一方向に伝送される。つまり、データ伝送装置1aは、伝送路80aを介してデータ伝送装置1bに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1bは、伝送路80bを介してデータ伝送装置1cに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1cは、伝送路80cを介してデータ伝送装置1dに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1dは、伝送路80dを介してデータ伝送装置1eに対してデータを出力する。また、データ伝送装置1eは、伝送路80eを介してデータ伝送装置1fに対してデータを出力する。そして、データ伝送装置1fは、伝送路80fを介してデータ伝送装置1aに対してデータを出力する。伝送路80a〜80fにはツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルが用いられ、データ伝送装置1は、互いに電気通信を行う。ここで、当該データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
次に、図2を参照して、データ伝送装置1の構成について説明する。なお、図2は、データ伝送装置1の構成を示す機能ブロック図である。なお、上述した複数のデータ伝送装置1a〜1fは、それぞれ同様の構成である。
図1において、データ伝送装置1は、コントローラ2、マイクロコンピュータ(MPU)3、および送受信部4を備えている。以下、当該データ伝送システムで用いる通信プロトコルの一例として、MOSTを用いて説明を行う。
コントローラ2には、データ伝送システムを伝送したデータに基づいて処理を行い、その結果をデータ伝送システムに出力する接続機器10が接続されている。そして、コントローラ2は、その機能の一つとして、接続された接続機器10からのデータをMOSTで規定されるプロトコルに変換して送受信部4にデジタルデータTXを出力し、送受信部4から出力されるデジタルデータRXがコントローラ2に入力し、接続された接続機器10に伝送する。
MPU3は、データ伝送装置1が有する各伝送モードに基づいて、コントローラ2、送受信部4、および上記接続機器10を制御する。例えば、MPU3は、データ伝送装置1のリセット機能、電源制御(省エネモードの切り替え)、マスタ/スレーブの選択処理、およびダイアグモードへの移行処理等を制御する。
送受信部4は、典型的にはLSIで構成され、受信部5、送信部6、クロック制御部7を有している。受信部5は、伝送路80から入力する他のデータ伝送装置1からの電気信号を受信し、その電気信号をデジタル信号RXに変換してコントローラ2に出力する。また、受信部5は、上記電気信号に含まれるクロック成分を再生して、クロック制御部7に出力する。送信部6は、クロック制御部7のクロックに基づいて、コントローラ2から出力されるデジタルデータTXを電気信号に変換して、伝送路80を介して他のデータ伝送装置1に出力する。
クロック制御部7は、データ伝送装置1のクロックを制御し、例えば、他のデータ伝送装置1で使用されるクロックを再生したり、コントローラ2のクロックを再生したり、送信側の信号処理部で用いられるクロックを出力したりする。具体的には、クロック制御部7は、データ伝送装置1がマスタである場合、送信側PLL(Phase Locked Loop)で再生したクロックを出力し、スレーブである場合、受信側PLLで再生したクロックを出力する。
送信部6は、セレクタ61、S/P(シリアル/パラレル)変換部62、マッピング部63、ロールオフフィルタ64、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)65、差動ドライバ66、およびスタート信号発生部67を有している。なお、S/P変換部62、マッピング部63、およびロールオフフィルタ64によって、送信側の信号処理部を形成しており、以下、説明を具体的にするために、当該信号処理部がデジタルデータを8値マッピングしたアナログ電気信号に変換して出力する場合について説明する。
セレクタ61は、クロック制御部7によって制御されるクロックに基づいて、送信部6から送信するデータ(例えば、デジタルデータTXまたはデジタルデータRX)を選択してS/P変換部62へ出力する。
S/P変換部62は、多値化伝送を行うために、コントローラ2から出力されるシリアルのデジタルデータTXを2ビット毎のパラレルデータに変換する。マッピング部63は、S/P変換部62で変換された2ビット毎のパラレルデータや後述するスタート信号発生部67から出力されるスタート信号TSを、上記システムクロックに基づいて8値のシンボルのいずれかにマッピングを行う。このマッピングは、受信側に配置される他のデータ伝送装置1でクロック再生を行うために、2ビット毎のパラレルデータを8値のシンボルのうち上位4シンボルと下位4シンボルとに交互に割り当てられる。また、送信および受信との間の直流成分の変動や差の影響を除外するために、前値との差分によってマッピングが行われる。ロールオフフィルタ64は、送信する電気信号の帯域制限および符号間干渉を抑えるための波形整形フィルタである。例えば、ロールオフ率100%のFIRフィルタを使用する。
DAC65は、ロールオフフィルタ64で帯域制限された信号をアナログ信号に変換する。差動ドライバ66は、DAC65から出力されるアナログ信号の強度を増幅して差動信号に変換して伝送路80に送出する。差動ドライバ66は、伝送路80が有する2本1組の導線に対して、送出する電気信号を伝送路80の一方側(プラス側)導線に送信し、当該電気信号と正負反対の信号を伝送路80の他方側(マイナス側)に送信する。これによって、伝送路80には、プラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送するため、お互いの電気信号の変化をお互いの電気信号が打ち消しあい、伝送路80からの放射ノイズおよび外部からの電気的影響を軽減することができる。
スタート信号発生部67は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、受信側に配置される他のデータ伝送装置1との間でデータ判定の基準となる判定レベルの設定を行うことが可能な所定のスタート信号TSを生成する。スタート信号発生部67で生成されたスタート信号TSは、マッピング部63に送出される。
受信部5は、差動レシーバ51、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)52、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、P/S(パラレル/シリアル)変換部55、クロック再生部56を有している。なお、ロールオフフィルタ53、逆マッピング部54、およびP/S変換部55によって、受信側の信号処理部を形成している。
差動レシーバ51は、伝送路80から入力する差動信号を電圧信号に変換してADC52に出力する。上述したように、伝送路80が有する2本1組の導線に対してプラス側とマイナス側との電気信号が1つのペアとして伝送しており、差動レシーバ51は、プラス側とマイナス側との差から信号を判断するため、外部からの電気的影響に対して効力を発揮する。そして、ADC52は、差動レシーバ51から出力される電圧信号をデジタル信号に変換する。
ロールオフフィルタ53は、例えば、ADC52から出力されるデジタル信号のノイズ除去を行う波形整形用のFIRフィルタが使用される。上述した送信側のロールオフフィルタ64と合わせ、符号間干渉のないロールオフ特性を実現する。逆マッピング部54は、後述するクロック再生部56で再生したクロックに基づいて、受信したデータ値と前値との差分から送信側のマッピング部63でマッピングする前のデータを再生する。逆マッピング部54における差分処理は、上述したスタート信号TSによって設定された判定レベルを基準に行われ、当該判定レベルは、差分値の理想値としても用いることができる。この逆マッピング部54における逆マッピング処理によって、受信した信号がパラレルデータに変換される。P/S変換部55は、逆マッピング部54で判定されたパラレルデータをシリアルのデジタルデータRXに変換して、コントローラ2に出力する。
クロック再生部56は、ADC52から出力される伝送路80から受信した信号のクロック成分を再生することによって、伝送路クロック再生を行い、受信側の信号処理部のクロックとして用いられる。また、クロック再生部56で再生されたクロックは、クロック制御部7に出力され受信側PLLのリファレンスクロック入力として用いられる。
次に、データ伝送システムにおける初期化処理について説明する。上述したデータ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、機械的な接続を規定するためにプロトコルの物理層の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各データ伝送装置のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。以下、図3〜図5を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図3〜図5は、データ伝送システムにおける初期化動作を示すフローチャートである。
まず、図3を参照して、データ伝送システムが初期化動作を経て、データ送受信を行う通常動作に移行する手順について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図1参照)を説明する。なお、上述したようにデータ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。
図3において、データ伝送システムに接続された全てのデータ伝送装置1a〜1fの電源がONされることによって、データ伝送システムのパワーがONされる(ステップS10およびS70)。そして、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fのリセット状態が解除される(ステップS11およびS71)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が初期化動作へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS13)。このロック信号LSは、例えば、マスタのデータ伝送装置1aが有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS72)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。上記ステップS13においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたロック信号LSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLへリファレンスクロックとして入力を行い、当該受信PLLの再生クロックに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS73)。他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にロック信号LSの受信待ち(ステップS72)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたロック信号LSを受信してクロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS73)。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS14)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS73を実行することによって、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS15に進める。
ステップS15では、マスタのデータ伝送装置1aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS74)を継続している。上記ステップS15においてマスタのデータ伝送装置1aから伝送路80aを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、スレーブのデータ伝送装置1bは、直ちに下流のデータ伝送装置1cとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80bに送信する(ステップS75)。そして、データ伝送装置1bは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1aから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS74)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS75)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1c〜1fについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、処理を次のステップS77に進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS16)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS75を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、データ伝送システム全体がネットワークロックされたか否かの判断を継続する(ステップS17)。このネットワークロックの判断は、自装置のMPU3によって、後述するダイアグモードに移行されずに上記ロック信号LSがデータ伝送システムを一周して受信することによって設定されるものである。そして、ネットワークロックを設定することによって、データ伝送システム全体が断線等の故障が無く正常に通信可能であることを示す識別子が生成される。データ伝送装置1aは、自装置のMPU3によってネットワークロックが設定された場合、所定のデータフレームにネットワークロックを示す識別子を付与して、他のスレーブのデータ伝送装置1b〜1f全てに対して当該データフレームを送信し(ステップS18)、マスタとしての通常動作に移行する。
一方、ステップS77において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上流のデータ伝送装置1から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続している。そして、上記ステップS18によってマスタのデータ伝送装置1aから送信された上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームを受信することによって、スレーブとしての通常動作に移行する。
次に、データ伝送システムにおいて、伝送路80の断線やデータ伝送装置1の送受信機能が故障することによって、一部の送受信が不可能になった場合の初期化動作について説明する。以下、説明するデータ伝送装置の初期化動作においても、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムにおいてどの部位が故障しても適用可能である。ここでは、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、伝送路80dが断線した一例(図6参照)を説明する。
図3において、マスタのデータ伝送装置1aが行うステップS10〜S13の手順、およびスレーブのデータ伝送装置1b〜1fが行うステップS70〜72の手順については、上述と同様であるため説明を省略する。
ステップS14において、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS19)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS13)を継続している。しかしながら、上述したように伝送路80dが断線しているため、データ伝送装置1dおよび1eの間のクロック同期が確立しない。したがって、データ伝送装置1fから伝送路80fにはロック信号LSの送信が行われないため、データ伝送装置1aの処理は、上記ステップS19における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。上記ステップS19でタイムアウトすると、データ伝送装置1aは、上記ステップS15と同様に伝送路80aを介してスタート信号TSを送信する(ステップS20)。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、上記ステップS20で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS21)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS23)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS22)。しかしながら、伝送路80dが断線しているため、データ伝送システムを一周したロック信号LSは受信できず、自装置のMPU3はネットワークロックできない。したがって、データ伝送装置1aは、上記ステップS23における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1aは、ダイアグモードにおいてもマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
スレーブのデータ伝送装置1b〜1fは、上述したようにステップS72においてそれぞれ受信する伝送路80a〜80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS78)継続している。データ伝送装置1b〜1dは、それぞれロック信号LSおよびスタート信号TSの受信が可能であるため、上記ステップS73〜S75の処理を経て、上記ステップS77における上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが受信されたか否かの判断を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS79)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1aは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS79における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1b〜1dは、ダイアグモードにおいてもスレーブとして再立ち上げ(1回目)される。
一方、スレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、伝送路80dが断線しているためにロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eおよび1fは、上記ステップS78における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードに移行する。なお、データ伝送装置1eおよび1fは、ダイアグモードにおいてマスタとして再立ち上げ(1回目)される。
図4を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(1回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1a、1e、および1fがマスタとして再立ち上げされ、データ伝送装置1b〜1dがスレーブとして再立ち上げされる(図7参照)。
図4において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS30およびS80)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(1回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80a、80eおよび80fに送信する(ステップS32)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1bは、伝送路80aからロック信号LSを受信し(ステップS81)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80bに送信する(ステップS82)。他のスレーブのデータ伝送装置1cおよび1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS81)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS82)。
マスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、それぞれ伝送路80f、80d、および80eからロック信号LSが受信されたか否かの判断(ステップS33)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS38)継続し、その間、ロック信号LSの送信(ステップS32)を継続している。データ伝送装置1aは、データ伝送装置1fが上記ステップS32を実行することによって伝送路80fにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。同様に、データ伝送装置1fも、データ伝送装置1eが上記ステップS32を実行することによって伝送路80eにロック信号LSを送信しているため、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定し、処理を次のステップS34に進める。一方、データ伝送装置1eは、伝送路80dが断線しているため、伝送路80dからロック信号LSを受信できない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS38における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS39に進める。
ステップS34では、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、下流のデータ伝送装置に対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aおよび80fに送信する。また、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS38でタイムアウトすると、ステップS39において、上記ステップS34と同様に伝送路80eを介してスタート信号TSを送信する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、スタート信号TSの受信待ちを継続しており(ステップS83)、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS84)。そして、データ伝送装置1b〜1dは、自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して、次のステップS86に処理を進める。
マスタのデータ伝送装置1aは、伝送路80fからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1fが上記ステップS34を実行することによって、データ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。同様に、マスタのデータ伝送装置1fも、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS35)を継続している。データ伝送装置1eが上記ステップS39を実行することによって、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aおよび1fは、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS37)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS36)。ダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、共に自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1aおよび1fは、上記ステップS37における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1aおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、スレーブに変更される。
一方、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS39で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS40)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS42)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS41)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS42における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのマスタ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1eは、上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信していないため、データ伝送における故障部位直後の下流に配置されたデータ伝送装置であると判断され、引き続きマスタとして再立ち上げされる。
ステップS86において、スレーブのデータ伝送装置1b〜1dは、上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ちを、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS87)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1a、1e、および1fは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1b〜1dは、上記ステップS87における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(2回目)に移行する。つまり、ダイアグモードのスレーブ再立ち上げ(1回目)に移行したデータ伝送装置1b〜1dは、それぞれ上流のデータ伝送装置からロック信号LS等のデータを受信しているため、データ伝送における故障部位直後の下流ではないと判断され、引き続きスレーブとして再立ち上げされる。
図5を参照して、データ伝送システムのダイアグモード移行後の再立ち上げ動作(2回目)について説明する。なお、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続されたデータ伝送システムにおいて、同様に伝送路80dが断線した一例を説明する。ここで、伝送路80dが断線している場合、上述した手順によってデータ伝送装置1eをマスタとして2回目の再立ち上げが行われ、データ伝送装置1a〜1dおよび1fをスレーブとして2回目の再立ち上げが行われる(図8参照)。
図5において、まず、データ伝送装置1a〜1fに設けられたMPU3a〜3fからそれぞれのコントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fへリセット信号が出力されることによって、コントローラ2a〜2fおよび送受信部4a〜4fがリセットされる(ステップS50およびS90)。このリセット処理によって、データ伝送装置1a〜1fにおけるそれぞれの送受信部4a〜4f(物理層)およびコントローラ2a〜2f(データリンク層)が再立ち上げ動作(2回目)へ移行する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS53)、伝送路80eへのロック信号LSの送信を継続する(ステップS52)。
一方、スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからロック信号LSを受信し(ステップS91)、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定した後、当該受信PLLに基づいてロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS92)。他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、それぞれ同様にロック信号LSを受信し(ステップS91)、クロック再生を行った後、下流側のデータ伝送装置にロック信号LSを送信する(ステップS92)。
データ伝送装置1eは、上記ステップS53における所定の時間が経過することによってタイムアウトし、処理を次のステップS54に進める。ステップS54では、マスタのデータ伝送装置1eは、スレーブのデータ伝送装置1fに対してスタート信号TSを自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80eに送信する。
スレーブのデータ伝送装置1fは、伝送路80eからスタート信号TSが受信されたか否かの判断(ステップS93)を継続している。上記ステップS54においてマスタのデータ伝送装置1eから伝送路80eを介して送信されたスタート信号TSを受信した場合、データ伝送装置1fは、直ちに下流のデータ伝送装置1aとの間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80fに送信する(ステップS94)。そして、データ伝送装置1fは、自装置の逆マッピング部54において、データ伝送装置1eから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様にスタート信号TSの受信待ち(ステップS93)を継続しており、それぞれ自装置の上流側のデータ伝送装置から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS94)。そして、他のスレーブのデータ伝送装置1a〜1dについても、同様に自装置の逆マッピング部54において、上流側のデータ伝送装置から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持して処理を次のステップS96に進める。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、上記ステップS54で送信したスタート信号TSの送信を完了し(ステップS55)、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS57)、データ伝送システム全体のネットワークロックを確認する(ステップS56)。上述したようにダイアグモードにおいては、既に上記ネットワークロックができないことが確認されているため、自装置のMPU3がネットワークロックをしない。したがって、データ伝送装置1eは、上記ステップS57における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS57のタイムアウトによって、データ伝送装置1eのMPU3は、ネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置1a〜1dおよび1fとのデータ送受信を開始する。
一方、スレーブのデータ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置から上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームの受信待ち(ステップS96)を、所定の時間をタイムアウトするまで(ステップS97)継続する。しかしながら、上述したようにマスタのデータ伝送装置1eは、ネットワークロックできないため、データ伝送システムには上記ネットワークロックを示す識別子が付与されたデータフレームが伝送されない。したがって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fは、それぞれ上記ステップS97における所定の時間が経過することによってタイムアウトする。このステップS97のタイムアウトによって、データ伝送装置1a〜1dおよび1fが有するそれぞれのMPU3は、それぞれネットワークロック確認のためのタイムアウトの回数、あるいは再立ち上げの回数等に基づいて、ダイアグモードを終了させ、他のデータ伝送装置とのデータ送受信を開始する。
このように、第1の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、ダイアグモードに移行する。次に、ダイアグモードの1回目の再立ち上げ動作によって、故障箇所直後の下流に位置するデータ伝送装置を検出する。そして、ダイアグモードの2回目の再立ち上げ動作によって、最上流に位置するデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、ダイアグモードを終了することによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
なお、それぞれのデータ伝送装置1が有するコントローラ2は、他のデータ伝送装置との通信によって、自装置のシステム上の位置を検出する機能を有する。上記自装置のシステム上の位置(以下、Nと記載する)は、上述した初期化動作の中で、マスタに対してN=0に設定され、スレーブに対して下流方向に順次Nが+1されて設定される。つまり、図8に示したデータ伝送システムの例では、マスタのデータ伝送装置1eがN=0、スレーブのデータ伝送装置1fがN=1、データ伝送装置1aがN=2、…、データ伝送装置1dがN=5に設定される。したがって、上記データ伝送システムにおける故障箇所は、上記自装置のシステム上の位置を読み出せば、容易に検出することができる。これにより、データ伝送システムにおける上記故障部位に対するメンテナンスが容易になる。
また、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS33でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。上述した第1の実施形態に対して、当該データ伝送システムは、初期化処理の手順が異なる。具体的には、第1の実施形態がデータ伝送システムの物理層およびデータリンク層を同時に初期化する手順を示していることに対して、第2の実施形態ではデータ伝送システムの物理層の初期化を完了した後にデータリンク層の初期化を開始する手順で初期化処理を行う。なお、第2の実施形態に係るデータ伝送システムの構成および当該データ伝送システムに含まれる複数のデータ伝送装置の構成は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態と同様である。したがって、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ伝送システムについて説明する。上述した第1の実施形態に対して、当該データ伝送システムは、初期化処理の手順が異なる。具体的には、第1の実施形態がデータ伝送システムの物理層およびデータリンク層を同時に初期化する手順を示していることに対して、第2の実施形態ではデータ伝送システムの物理層の初期化を完了した後にデータリンク層の初期化を開始する手順で初期化処理を行う。なお、第2の実施形態に係るデータ伝送システムの構成および当該データ伝送システムに含まれる複数のデータ伝送装置の構成は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態と同様である。したがって、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおける初期化処理について説明する。当該データ伝送システムでは、システム全体の電源投入時等において、最初にプロトコルの物理層(送受信部4)の初期化動作が行われ、その初期化動作の中で各送受信部4のクロック同期の確立およびデータ判定の基準となる判定レベルの設定が行われる。そして、物理層の初期化処理が完了してデータ通信可能な状態に移行した後に、データリンク層の初期化処理が行われる。以下、図9〜図24を参照して、データ伝送システムにおける初期化動作を説明する。なお、図9は電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図10は電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作を示すフローチャートであり、図11〜図16は図9および図10の各ステップで行われる詳細な動作を示すサブルーチンである。また、図17〜図24は、図9および図10に基づいた各動作において、データ伝送システムの状態を示す概略図である。
以下に説明するデータ伝送装置1の初期化動作においては、複数のデータ伝送装置1がリング型に接続されたシステムに適用可能であるが、説明を具体的にするために6段のデータ伝送装置1a〜1fが伝送路80a〜80fを介してそれぞれリング型に接続された一例(図17参照)を説明する。また、データ伝送システムの電源投入時においては、データ伝送装置1aが自装置のクロックによりデータを送信するマスタであり、他のデータ伝送装置1b〜1fがマスタで生成されるクロックに周波数をロックするスレーブである。また、全てのデータ伝送装置1が互いにデータ伝送可能な例と、伝送路80dが断線した例とを用いて説明する。なお、図17〜図24では、データ伝送システムの接続機器10a〜10fを省略して示す。また、以下に説明する物理層の初期化処理においては、既にデータ伝送システム全体の電源がONされており、それら物理層間のデータ通信状態を診断した後にその診断結果に応じたマスタを設定して初期化処理を行うダイアグモードについて説明する。
図9を参照して、電源投入時にマスタとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図18の状態。ステップS101)、処理を次のステップに進める。以下、図11を参照して、マスタクロック同期ダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS101では、マスタに設定されているデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタクロック同期ダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図11において、マスタに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS301)。なお、このステップS301では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS301でリセットされたマスタの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80に送信する(ステップS302)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
次に、上記ステップS301およびS302で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS303)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS102)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1へロック信号を送出する(詳細なスレーブの動作は後述する)。したがって、スレーブのデータ伝送装置1b〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出される。一方、伝送路80a〜80fの何れかが断線、あるいは送受信部4a〜4fの何れかの送受信機能の異常等が発生している場合、上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSが送出されない(図18の状態)。つまり、上記ステップS102において、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したとき、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常(つまり、伝送路80の断線なし)であると判断することができる。
上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aは、再度上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行う(ステップS103)。なお、このステップS103で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1aは、マスタクロック同期処理を行い(ステップS104)、処理を次のステップに進める。以下、図12を参照して、マスタクロック同期処理における詳細な動作について説明する。
図12において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aのMPU3aから送受信部4aへリセット信号が出力されることによって、送受信部4aがリセットされる(ステップS306)。なお、このステップS306では、コントローラ2aに対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2aはリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS306でリセットされたマスタの送受信部4aは、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを伝送路80aに送信する(ステップS307)。このロック信号LSは、第1の実施形態と同様にマスタのデータ伝送装置1が有する送信PLLのクロック周波数に基づいた正弦波信号である。
そして、送受信部4aは、伝送路80fからロック信号LSの受信を待つ(ステップS308)。そして、データ伝送装置1fがロック信号LSを送出した場合、マスタの送受信部4aは、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。さらに、MPU3aおよび送受信部4aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS309)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、マスタトレーニング処理を行い(ステップS105)、処理を次のステップS112に進める。以下、図14を参照して、マスタトレーニング処理における詳細な動作について説明する。
図14において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1bとの間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80aに送信する(ステップS501)。ここで、送受信部4aがスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられる。そして、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fから送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS502)。なお、スタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3aから与えられるとしたが、送受信部4a内部でスタート信号TSの送出を開始するタイミングを生成してもかまわない。
ここで、スレーブの送受信部4b〜4fは、伝送路80a〜80eからそれぞれスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流のデータ伝送装置1との間のスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(詳細なスレーブの動作は後述する)。つまり、データ伝送システム全体のデータ通信機能が正常である場合、上流のデータ伝送装置1fからマスタのデータ伝送装置1aへスタート信号TSが送出される。したがって、上記ステップS502において、マスタに設定されているデータ伝送装置1aの送受信部4aは、上流のデータ伝送装置1fからスタート信号TSを受信することができる。そして、マスタのデータ伝送装置1aは、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1fから受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。さらに、マスタのデータ伝送装置1aは、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS503)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、ステップS112において、MPU3aは、リセット信号をコントローラ2a(データリンク層)に出力して、コントローラ2aのリセット状態を解除する。そして、MPU3aは、コントローラ2aに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2aに出力して、コントローラ2aの初期化処理が行われる(ステップS113)。例えば、MPU3aは、この制御信号によって、コントローラ2aのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS113の処理が終了後、データ伝送装置1aは、他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、上記ステップS102で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しなかった場合(例えば、伝送路80dが断線)、データ伝送装置1aは、新たに上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS106)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS106で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にマスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS107)。ここで、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、1回目のクロック同期を確立する処理において、上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しなかった場合、マスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1は、上記ステップS106の処理と同期してロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出する(図20参照。詳細な動作は後述する)。したがって、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20の状態)。一方、マスタのデータ伝送装置1aへ上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる。
上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信した場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない)、データ伝送装置1aは、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS108)、処理を次のステップに進める。以下、図13を参照して、スレーブクロック同期処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS108では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブクロック同期処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図13において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1のMPU3から送受信部4へリセット信号が出力されることによって、送受信部4がリセットされる(ステップS401)。なお、このステップS401では、コントローラ2に対してリセット信号が出力されないため、コントローラ2はリセット状態を継続(つまり、初期化動作をしない)している。そして、上記ステップS401でリセットされたスレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から伝送路80を介して送出されるロック信号LSの受信を待つ(ステップS402)。そして、上流のデータ伝送装置1がロック信号LSを送出した場合、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定する。そして、スレーブの送受信部4は、自装置のクロック制御部7で制御される送信PLLに基づいて、ロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ伝送路80を介して送信する(ステップS403)。
次に、上記ステップS401〜403で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS404)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
図9に戻り、上記ステップS108の動作の後、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1aは、スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS109)、処理を次のステップS112に進める。以下、図15を参照して、スレーブトレーニング処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS109では、スレーブに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、スレーブトレーニング処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図15において、スレーブに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSの受信を待つ(ステップS601)。ここで、スレーブに設定されたデータ伝送装置1は、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないため、必ず上流のデータ伝送装置1からスタート信号TSが送出される。したがって、スレーブの送受信部4は、上流のデータ伝送装置1から送出されたスタート信号TSを受信した場合、直ちに下流側のデータ伝送装置1に自装置のスタート信号TSを送信する(ステップS602)。さらに、MPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待って(ステップS603)、当該サブルーチンによる処理を終了する。そして、送受信部4は、自装置の逆マッピング部54において、上流のデータ伝送装置1から受信したスタート信号TSを用いて判定レベルの設定を行い、当該判定値を保持する。
一方、上記ステップS107で送受信部4aが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合(つまり、データ伝送装置1aが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する)、データ伝送装置1aは、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1aは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(ステップS110)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS110で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1aは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(ステップS111)、処理を次のステップS112に進める。以下、図16を参照して、マスタトレーニングダイアグ処理における詳細な動作について説明する。なお、上記ステップS111では、マスタに設定されたデータ伝送装置1aに含まれるコントローラ2a、MPU3a、および送受信部4aが処理の対象となるが、マスタトレーニングダイアグ処理は他のデータ伝送装置も処理対象となることがあるため、全ての構成部をデータ伝送装置1、コントローラ2、MPU3、送受信部4、伝送路80と総称して説明を行う。
図16において、マスタに設定されているデータ伝送装置1の送受信部4は、データ通信開始のタイミングを示し、かつ、下流のデータ伝送装置1との間のデータ判定基準となる判定レベルの設定を行うことが可能なスタート信号TSを、自装置のスタート信号発生部67で生成し、伝送路80に送信する(ステップS506)。ここで、送受信部4がスタート信号TSの送出を開始するタイミングは、MPU3から与えられる。また、スタート信号TSの送出を開始するタイミングを、送受信部4内部で生成してもかまわない。
次に、上記ステップS506で処理対象となっているMPU3および送受信部4は、所定の時間のタイムアウトを待ち(ステップS507)、当該サブルーチンによる処理を終了する。
次に、図10を参照して、電源投入時にスレーブとして立ち上がるデータ伝送装置1における初期化動作について説明する。まず、データ伝送システムに接続された電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1f(図17参照)は、スレーブクロック同期処理を行い(図18の状態。ステップS201)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS201で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、電源投入時にスレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、送受信部4b〜4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、マスタのデータ伝送装置1aは、下流のデータ伝送装置1bへロック信号LSを送出している。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1b〜1fは、それぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSが出力された場合、そのロック信号LSを用いてクロック同期の確立を行って下流のデータ伝送装置1へロック信号を送出している。したがって、データ伝送装置1a〜1fにおいて正常にクロック同期が確立した場合、全てのデータ伝送装置1b〜1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。また、伝送路80dが断線している場合、断線部位から遡ってマスタのデータ伝送装置1aまでに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1b〜1d;図18参照)も上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信する。一方、伝送路80dが断線している場合、マスタのデータ伝送装置1aから遡って断線部位までに位置するスレーブ(つまり、データ伝送装置1eおよび1f;図18参照)は上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しない。
上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したスレーブの送受信部4b〜4f(例えば、正常にクロック同期が確立したときの送受信部4b〜4f。伝送路80dが断線しているときの送受信部4b〜4d)は、新たに上記スレーブクロック同期処理を2回行う(ステップS203およびS204)。なお、これらステップS203およびS204で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS204の動作を経たスレーブの送受信部4b〜4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(ステップS205)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS205で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS212において、MPU3b〜3fは、それぞれリセット信号をコントローラ2b〜2f(データリンク層)に出力して、コントローラ2b〜2fのリセット状態を解除する。そして、MPU3b〜3fは、それぞれコントローラ2b〜2fに対して初期設定を行う制御信号をコントローラ2b〜2fに出力して、コントローラ2b〜2fの初期化処理が行われる(ステップS213)。例えば、MPU3b〜3fは、この制御信号によって、コントローラ2b〜2fのマスタ/スレーブの選択指示等のデータ伝送システムにおける固定的な初期設定を指示する。そして、上記ステップS213の処理が終了後、データ伝送装置1b〜1fは、それぞれ他のデータ伝送装置1とのデータ通信を開始する。
一方、伝送路80dが断線している場合、上記ステップS202で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないスレーブのデータ伝送装置1eおよび1fは、マスタとして設定される(図19の状態)。マスタの送受信部4eおよび4f、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図20の状態。ステップS206)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS206で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、データ伝送装置1eおよび1fは、送受信部4eおよび4fがそれぞれ上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したか否かを判断する(ステップS207)。ここで、マスタとして設定されたデータ伝送装置1a、1e、および1fは、上記ステップS106およびS206でロック信号LSを下流のデータ伝送装置1へ送出している(図20の状態)。したがって、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信した場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しないことになる(図20におけるデータ伝送装置1f)。一方、マスタのデータ伝送装置1eおよび1fが上流のデータ伝送装置1fからロック信号LSを受信しない場合、データ伝送装置1eおよび1fが断線部位から遡って電気通信の最上流に位置することになる(図20におけるデータ伝送装置1e)。
上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信したデータ伝送装置1eおよび1f(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置しない図20におけるデータ伝送装置1f)は、スレーブとして設定される(図21の状態)。そして、スレーブとして設定されたデータ伝送装置1fは、スレーブクロック同期処理を行い(図22の状態。ステップS208)、処理を次のステップに進める。なお、このステップS208で行うスレーブクロック同期処理は、上述したステップS401〜S404の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記ステップS208の動作を経たスレーブの送受信部4fは、上記スレーブトレーニング処理を行い(図23の状態。ステップS209)、処理を次のステップS212に進める。なお、このステップS209で行うスレーブトレーニング処理は、上述したステップS601〜S603の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
一方、上記ステップS207で上流のデータ伝送装置1からロック信号LSを受信しないデータ伝送装置1e(つまり、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置する図20におけるデータ伝送装置1e)は、引き続いてマスタとして設定される。そして、マスタとして設定されたデータ伝送装置1eは、上記マスタクロック同期ダイアグ処理を行い(図22の状態。ステップS210)、処理を次のステップに進める。なお、ステップS210で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS301〜S303の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、マスタのデータ伝送装置1eは、マスタトレーニングダイアグ処理を行い(図23の状態。ステップS211)、処理を次のステップS212に進める。なお、ステップS211で行うマスタクロック同期ダイアグ処理は、上述したステップS506およびS507の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
上述した図9および図10のフローチャートによる初期化処理を行うことによって、図17で示したデータ伝送システムは、図24で示した状態で初期化される。図17で示すように、データ伝送システムは、電源投入時にデータ伝送装置1aがマスタとして設定されて伝送路80dが断線している。この場合、図24に示すように、断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置1eがマスタとして設定されてデータリンク層および物理層の初期化処理が行われる。
このように、第2の実施形態に係るデータ伝送システムは、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合、物理層(送受信部4)の初期化処理を繰り返すことによって断線部位から遡って電気通信の最上流に位置するデータ伝送装置をマスタに設定する。そして、そのデータ伝送装置をマスタとして他のデータ伝送装置とのクロック同期等の物理層の設定を確立し、その後データリンク層の初期化処理を行うことによって、その後のデータ送受信を可能としている。つまり、リング型LANで構成される上記データ伝送システムは、一部の送受信が不可能になった場合でも、故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができる。
また、第2の実施形態に係るデータ伝送システムにおけるデータリンク層の初期化処理は、それぞれの物理層の初期化処理が完了した後開始されるため、それぞれのデータリンク層が互いにデータ通信可能な状態で行われる。したがって、データリンク層の初期化期間において物理層が通信可能な状態を想定して設計された初期化プログラム(初期化が不要な物理層を用いることを想定して提供されるAPI(Application Program Interface:アプリケーションプログラムインターフェイス))を、互いに電気通信を行うデータ伝送システムにその前提条件を満たしながら用いることができる。つまり、当該データ伝送システムに上記初期化プログラムを用いることによる不測の不具合を防止しながらデータ通信の初期化処理を行うことができる。また、上記初期化プログラムを当該データ伝送システムに用いる際に、物理層の初期化期間に関する修正が不要であり、開発コストの増大は生じない。
なお、第2の実施形態においても、データ伝送システムの一部に電気通信が不可の部位があるとき、上述したデータ伝送システムの動作ではロック信号LSを受信しない(例えば、上記ステップS107またはS207でNOが選ばれる)データ伝送装置1が最終的にマスタに設定されるが、他の態様でマスタを設定してもかまわない。例えば、自装置のクロック再生部56によってクロック再生を行って受信PLLを設定することによるクロック同期の確立ができないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。また、スタート信号TSを受信しないデータ伝送装置1をマスタに設定してもかまわない。
本発明にかかるデータ伝送システム、データ伝送装置、およびその方法は、伝送路の断線やデータ伝送装置の送受信機能が故障することによって一部の送受信が不可能になった場合でも故障箇所を除いた伝送路を用いて通信を行うことができ、リング型LAN等で構成されるデータ伝送システム等の用途に有用である。
1…データ伝送装置
2…コントローラ
3…MPU
4…送受信部
5…受信部
51…差動レシーバ
52…ADC
53、64…ロールオフフィルタ
54…逆マッピング部
55…P/S変換部
56…クロック再生部
6…送信部
61…セレクタ
62…S/P変換部
63…マッピング部
65…DAC
66…差動ドライバ
67…スタート信号発生部
7…クロック制御部
10…接続機器
80…伝送路
2…コントローラ
3…MPU
4…送受信部
5…受信部
51…差動レシーバ
52…ADC
53、64…ロールオフフィルタ
54…逆マッピング部
55…P/S変換部
56…クロック再生部
6…送信部
61…セレクタ
62…S/P変換部
63…マッピング部
65…DAC
66…差動ドライバ
67…スタート信号発生部
7…クロック制御部
10…接続機器
80…伝送路
Claims (29)
- 伝送路を介してリング型に接続された複数のデータ伝送装置を含み、それぞれのデータ伝送装置がクロック同期を確立して一方向の電気通信を行うデータ伝送システムであって、
前記データ伝送装置は、それぞれ、
送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、
前段のデータ伝送装置から受信したデータを前記処理部に出力し、前記処理部の処理結果を後段のデータ伝送装置に送信する送受信部と、
自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段のデータ伝送装置に送出するマスタ、あるいは、前段のデータ伝送装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段のデータ伝送装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、
初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、
前段のデータ伝送装置が送出した前記ロック信号を受信して前記クロック同期の確立を行うクロック同期手段と、
データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段が前記ロック信号を送出してから所定の時間経過後、前記スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号を前記スタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、
前段のデータ伝送装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備え、
前記ロック信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期した前記ロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出した前記ロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、当該クロック同期を確立すると、前記ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出し、
前記スタート信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記スタート信号開始タイミング生成手段から前記スタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置に前記スタート信号を送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出された前記スタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置に前記スタート信号を送出し、それによって、
前記データ伝送装置がそれぞれ初期化を行うことを特徴とする、データ伝送システム。 - 前記制御部は、前記信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定し、それによって、
一部に前記電気通信が不可の部位があるとき、当該部位から遡って前記電気通信の最上流に位置する前記データ伝送装置を前記マスタに設定することを特徴とする、請求項1に記載のデータ伝送システム。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであり、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されており、自装置の前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであることを特徴とする、請求項2に記載のデータ伝送システム。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって前記マスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されているとき、前記信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置を前記マスタに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されているとき、前記信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置を前記スレーブに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、当該第1のダイアグモード中に前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって自装置を前記スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて、自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が前段のデータ伝送装置からの信号を検出しないことによって自装置を前記マスタに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて、自装置が前記スレーブに設定されているとき、自装置を前記スレーブに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段とを含み、
前記第2のダイアグモードにおいて、
前記ロック信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期した前記ロック信号を後段のデータ伝送装置に送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置が送出した前記ロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、当該クロック同期を確立すると、前記ロック信号をさらに後段のデータ伝送装置に送出し、
前記スタート信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記スタート信号開始タイミング生成手段から前記スタート信号送出開始信号を受信した後、後段のデータ伝送装置に前記スタート信号を送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段のデータ伝送装置から送出された前記スタート信号の受信に応じて後段のデータ伝送装置に前記スタート信号を送出することを特徴とする、請求項2に記載のデータ伝送システム。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が所定の時間内に前段のデータ伝送装置からの信号を検出することによって前記マスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、
前記第3のダイアグモードにおいて自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、自装置を前記マスタに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段とを、さらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のデータ伝送システム。 - 前記信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信する前記ロック信号の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項5に記載のデータ伝送システム。
- 前記信号検出部は、自装置における前記クロック同期の確立の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項5に記載のデータ伝送システム。
- 前記信号検出部は、前段のデータ伝送装置から受信する前記スタート信号の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項5に記載のデータ伝送システム。
- 前記処理部が用いる通信プロトコルは、MOST(Media Oriented Systems Transport)で定義されることを特徴とする、請求項2に記載のデータ伝送システム。
- 前記処理部は、前記マスタに設定されたデータ伝送装置に対する段数位置をカウントするカウント手段を含む、請求項5に記載のデータ伝送システム。
- 複数のノードが伝送路を介してリング型に接続され、それぞれのノードが所定の通信プロトコルを用いてクロック同期を確立して一方向の電気通信を行うデータ伝送方法であって、
初期動作で行う、
前記複数のノードの1つに対して基準クロックを保持するマスタに設定し、他のノードをスレーブに設定するステップと、
前記ノードがマスタに設定されているとき、前記基準クロックに同期したロック信号を後段のノードに送出する第1のロック信号送出ステップと、
前段のノードから送出された前記ロック信号を用いて前記クロック同期を確立するクロック同期ステップと、
前記スレーブに設定されたノードが前記クロック同期を確立した後、後段のノードに前記ロック信号を送出する第2のロック信号送出ステップと、
前記ノードからデータ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出ステップとを含み、
前記マスタに設定されたノードは、前記第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、前記スタート信号送出ステップを実行し、
前記スレーブに設定されたノードは、前段のノードから前記スタート信号を受信することに応じて前記スタート信号送出ステップを実行し、それによって、
前記ノードがそれぞれ初期化を行うことを特徴とする、データ伝送方法。 - さらに、前段のノードから受信する信号の有無に基づいて自ノードを前記マスタあるいはスレーブに再設定する再設定ステップを含み、これによって、
一部に前記電気通信が不可の部位がある場合、当該部位から遡って前記電気通信の最上流に位置するノードが最終的に前記マスタに設定されて他のノードとのクロック同期が確立されることを特徴とする、請求項11に記載のデータ伝送方法。 - 前記再設定ステップは、前記初期動作の際に、前記第1のロック信号送出ステップを実行させ、
前記再設定ステップは、
前記初期動作の際に、前記マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段の前記ノードからの信号を検出しないことを確認した後、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップと、
前記初期動作の際に、前記スレーブに設定されたノードが、前段のノードからの信号を検出したノードをスレーブに設定し、前段のノードからの信号を検出しなかったノードをマスタに設定するステップとを含むことを特徴とする、請求項12に記載のデータ伝送方法。 - 前記再設定ステップは、
前記初期動作で行う、
前記第1のロック信号送出ステップ実行後、前記マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しないことによって、当該ノードを前記マスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行ステップと、
前記スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出しなかったノードを前記マスタに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第2の移行ステップと、
前記スレーブに設定されたノードの内、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出したノードを前記スレーブに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第3の移行ステップと、
前記第1のダイアグモードで行う、
前記マスタに設定されたノードが前記ロック信号を後段の前記ノードに送出するステップと、
前記マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出したノードを前記スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行ステップと、
前記マスタに設定されたノードの内、前段のノードからの信号を検出しなかったノードを前記マスタに設定して第2のダイアグモードに移行する第5の移行ステップと、
前記スレーブに設定されたノードを、前記スレーブに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第6の移行ステップとを含み、
前記第2のダイアグモードにおいて、
前記第1のロック信号送出ステップと、前記クロック同期ステップと、前記第2のロック信号送出ステップとを実行し、
前記マスタに設定されたノードは、前記第1のロック信号送出ステップの実行から所定の時間経過後、前記スタート信号送出ステップを実行し、
前記スレーブに設定されたノードは、前段のノードから前記スタート信号を受信することに応じて前記スタート信号送出ステップを実行することを特徴とする、請求項12に記載のデータ伝送方法。 - 前記再設定ステップは、
前記初期動作で行う、前記第1のロック信号送出ステップ実行後、前記マスタに設定されたノードが、所定の時間内に前段のノードからの信号を検出することによって、当該ノードを前記マスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行ステップと、
前記第3のダイアグモードで行う、前記マスタに設定されたノードが前記ロック信号を後段のノードに送出し、当該ノードを前記マスタに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第8の移行ステップとを、さらに含むことを特徴とする、請求項14に記載のデータ伝送方法。 - 前記再設定ステップは、前段のノードから受信する前記ロック信号の検出の有無により、自ノードを前記マスタあるいはスレーブに再設定することを特徴とする、請求項15に記載のデータ伝送方法。
- 前記再設定ステップは、自ノードにおける前記クロック同期の確立の有無により、当該ノードを前記マスタあるいはスレーブに再設定することを特徴とする、請求項15に記載のデータ伝送方法。
- 前記再設定ステップは、前段のノードから受信する前記スタート信号の検出の有無により、自ノードを前記マスタあるいはスレーブに再設定することを特徴とする、請求項15に記載のデータ伝送方法。
- 前記ノードが用いる通信プロトコルは、MOST(Media Oriented Systems Transport)で定義されることを特徴とする、請求項12に記載のデータ伝送方法。
- さらに、前記ノードそれぞれに対して、前記マスタに設定されたノードに対する段数位置をそれぞれカウントするステップを含む、請求項15に記載のデータ伝送方法。
- リング型のデータ伝送システムに接続され、伝送路を介して他の装置とクロック同期を確立して一方向の電気通信を行うデータ伝送装置であって、
送受信するデータを所定の通信プロトコルに基づいて処理する処理部と、
前段の装置から受信したデータを前記処理部に出力し、前記処理部の処理結果を後段の装置に送信する送受信部と、
自装置を、保持する基準クロックに同期した信号を後段の装置に送出するマスタ、あるいは、前段の装置から受信した信号からクロック同期の確立を行い後段の装置に信号を送出するスレーブに設定する制御部と、
初期動作の際に、ロック信号を送出するロック信号送出手段と、
前段の装置が送出した前記ロック信号を受信して前記クロック同期の確立を行うクロック同期手段と、
データ通信開始のタイミングを示すスタート信号を送出するスタート信号送出手段と、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段が前記ロック信号を送出してから所定の時間経過後、前記スタート信号の送出タイミングを示すスタート信号送出開始信号を前記スタート信号送出手段に出力するスタート信号開始タイミング生成手段と、
前段の装置から受信する信号の有無を検出する信号検出部とを備え、
前記ロック信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期した前記ロック信号を後段の装置に送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段の装置が送出した前記ロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、当該クロック同期を確立すると、前記ロック信号をさらに後段の装置に送出し、
前記スタート信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記スタート信号開始タイミング生成手段から前記スタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置に前記スタート信号を送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段の装置から送出された前記スタート信号の受信に応じて後段の装置に前記スタート信号を送出することを特徴とする、データ伝送装置。 - 前記制御部は、前記信号検出部における信号検出の有無に基づいて自装置をマスタあるいはスレーブに設定し、それによって、
前記データ伝送システムの一部に前記電気通信が不可の部位があり、当該部位から遡って前記電気通信の最上流に自装置が位置するとき、自装置が前記マスタに設定されることを特徴とする、請求項21に記載のデータ伝送装置。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことを確認した後、自装置の前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであり、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されており、自装置の前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出したとき、自装置をスレーブに設定するものであり、自装置の前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出しなかったとき、自装置をマスタに設定するものであることを特徴とする、請求項22に記載のデータ伝送装置。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによって前記マスタに設定して第1のダイアグモードに移行する第1の移行手段と、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されているとき、前記信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置を前記マスタに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第2の移行手段と、
前記初期動作において自装置が前記スレーブに設定されているとき、前記信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによって自装置を前記スレーブに設定して前記第1のダイアグモードに移行する第3の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、当該第1のダイアグモード中に前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出することによって自装置を前記スレーブに設定して第2のダイアグモードに移行する第4の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて、自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、前記信号検出部が前段の装置からの信号を検出しないことによって自装置を前記マスタに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第5の移行手段と、
前記第1のダイアグモードにおいて、自装置が前記スレーブに設定されているとき、自装置を前記スレーブに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第6の移行手段を含み、
前記第2のダイアグモードにおいて、
前記ロック信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、保持する基準クロックに同期した前記ロック信号を後段の装置に送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段の装置が送出した前記ロック信号を受信してクロック同期の確立を行い、当該クロック同期を確立すると、前記ロック信号をさらに後段の装置に送出し、
前記スタート信号送出手段は、
自装置が前記マスタに設定されているとき、前記スタート信号開始タイミング生成手段から前記スタート信号送出開始信号を受信した後、後段の装置に前記スタート信号を送出し、
自装置が前記スレーブに設定されているとき、前段の装置から送出された前記スタート信号の受信に応じて後段の装置に前記スタート信号を送出することを特徴とする、請求項22に記載のデータ伝送装置。 - 前記制御部は、
前記初期動作において自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ前記信号検出部が所定の時間内に前段の装置からの信号を検出することによって前記マスタに設定して第3のダイアグモードに移行する第7の移行手段と、
前記第3のダイアグモードにおいて自装置が前記マスタに設定されているとき、前記ロック信号送出手段に前記ロック信号を送出させ、自装置を前記マスタに設定して前記第2のダイアグモードに移行する第8の移行手段とを、さらに含むことを特徴とする、請求項24に記載のデータ伝送装置。 - 前記信号検出部は、前段の装置から受信する前記ロック信号の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項25に記載のデータ伝送装置。
- 前記信号検出部は、自装置における前記クロック同期の確立の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項25に記載のデータ伝送装置。
- 前記信号検出部は、前段の装置から受信する前記スタート信号の有無により信号検出を行うことを特徴とする、請求項25に記載のデータ伝送装置。
- 前記処理部が用いる通信プロトコルは、MOST(Media Oriented Systems Transport)で定義されることを特徴とする、請求項22に記載のデータ伝送装置。
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