JPWO2005017144A1 - dsRNA分解およびRNA合成方法 - Google Patents

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Abstract

長鎖のdsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成させる活性を有する、dsRNA分解活性を有するタンパク質、核酸結合活性を有するタンパク質、例えばRNA結合活性を有するタンパク質の共存下でdsRNAにdsRNA分解活性を持ったタンパク質を作用させることにより、特定の長さのdsRNAを効率よく調製できる方法及び当該核酸結合活性を有するタンパク質がdsRNA合成に代表されるRNA合成反応においてもその効率を向上させる方法。

Description

本発明は、特定の長さのdsRNAを生成する活性を有する、dsRNA分解活性を有するタンパク質、当該タンパク質と核酸結合活性を有するタンパク質、例えばRNA結合活性を有するタンパク質を組み合わせたdsRNAの効率的な分解方法並びに核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質を組み合わせたRNAの効率的な合成方法に関する。
最近、低分子dsRNAを利用する遺伝子工学的手法が報告されている。
例えば、RNA干渉(RNAi:RNA interference)は、dsRNAによってその配列特異的にmRNAが分解され、その結果遺伝子発現が抑制される現象である。dsRNAによって遺伝子サイレンシングができることがわかった発端は、線虫におけるアンチセンスを用いた研究からであった。1995年、GuoとKemphuesはpar−1と呼ばれる遺伝子をアンチセンスRNAで抑制する実験を行なった。アンチセンスRNAを加えると、予想通りpar−1の発現を抑制したが、驚いたことに、コントロールとして用いたセンスRNAも同様にpar−1の発現を抑制し、par−1変異株の表現形を示した。(例えば、非特許文献1)
この矛盾は、1998年にFireらによって解き明かされた。アンチセンスRNAとセンスRNAを、それぞれRNAポリメラーゼを用いて合成するとき、わずかに非特異的に逆向きのRNAができてしまう。そのコンタミネーションよってできるdsRNAが遺伝子サイレンシングの本体であり、アンチセンスRNAおよびセンスRNAは遺伝子の発現を抑制できないこと、またアンチセンスRNAとセンスRNAをアニールさせたdsRNAが効率よく遺伝子の発現を抑制できることが明らかとなった。(例えば、非特許文献2)
上記RNA干渉においては、Dicerと呼ばれる酵素がdsRNAから小分子のRNA(siRNA:short interfering RNA)を生成させる。(例えば、非特許文献3)
この酵素の作用により生じたsiRNAは、RISC(RNA induced silencing complex)と呼ばれる複合体に取り込まれ、該複合体が標的mRNAを認識し、分解すると考えられている。しかしながら、RNA干渉に関与すると考えられる各因子についての正確な機能についてはまだまだ未知の部分が多いのが現状であった。(例えば、非特許文献4)
上記RNA干渉を効率よく行うためには、dsRNAならびにsiRNAを効率よく生成させることが重要である。上記Dicerとしてはヒト由来Dicer(例えば、非特許文献5)が例示され、さらにリコンビナントDicer(例えば、非特許文献6)がジーンセラピーシステムズ社あるいはストラタジーン社より販売されている。
しかしながら、上記のようなリコンビナントDicerについては、本来の酵素学的な性能を十分に発揮しているかどうかについては詳細に検討されていない。また、上記Dicerの少なくともどのドメインを含有すれば、dsRNAに作用させて好適なdsRNA(siRNA)を生成させる活性を保持することができるか、さらにその遺伝子工学的な生産性を向上できるかについては知られていない。
さらに、dsRNAを効率よく生成させる方法についても特に有効な方法は知られていないのが現状であった。
さらに、RNAポリメラーゼを用いて合成した約21ヌクレオチドの鎖長のdsRNAをそのままsiRNAとして利用する方法も報告されている(例えば、非特許文献7)。従って、RNAが効率よくできる方法があれば上記方法にも利用できる。
Guo S.他1名 Cell 1995年 vol.81、p611−620 Fire A.他5名 Nature 1998年 vol.39、p806−811 Bernstein E.他3名 Nature 2001年 vol.409、p363−366 Tabara H.他3名 Cell 2002年 vol.109、p861−871 Zhang H.他4名 The EMBO Journal 2002年 vol.21,No.21,p5875−5885 Myers J.W.他3名 Nature biotechnology 2003年 vol.21、p324−328 Donze O.他1名 Nucleic Acids Research 2002年 vol.30,No.10,e46
本発明の課題は、特定の長さのdsRNAを生成させる活性を有する、dsRNA分解活性を有するタンパク質の提供、RNA干渉等に利用可能な特定の長さのdsRNAを効率よく生成させる方法並びにRNA合成の促進方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、Dicerの機能ドメインを解析し、長鎖のdsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成させる活性を有する、dsRNA分解活性を有するタンパク質を見出した。また、核酸結合活性を有するタンパク質、例えばRNA結合活性を有するタンパク質の共存下でdsRNAにdsRNA分解活性を持ったタンパク質を作用させることにより、特定の長さのdsRNAを効率よく調製できること、さらに当該核酸結合活性を有するタンパク質がdsRNA合成に代表されるRNA合成反応においてもその効率を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明は、dsRNA分解活性を有するタンパク質であって、dsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成する活性を有することを特徴とするdsRNA分解活性を有するタンパク質に関する。
本発明の第1の発明において、dsRNA分解活性を有するタンパク質は、Dicerの機能ドメインを有することが好ましく、例えば、RNaseIIIa、bならびにdsRNA結合ドメインからなるものが好ましい。さらに、PAZドメインを含んでいても良い。また、本発明の第1の発明のタンパク質を用いることにより、特定の長さのdsRNAが約15〜30塩基対のdsRNAを生成させることができる。また本発明の第1の発明のタンパク質としては、dsRNA分解活性を有するタンパク質が配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列あるいは配列表の配列番号3又は16記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質が例示される。あるいは、配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列において、一ないしは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入あるいは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。また、本発明の第1の発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、コドンを宿主での発現に適したものに変換することによって、あるいはレアコドンに対する補強がなされた宿主を使用することによって効率よく製造することができる。
また、当該タンパク質を低温誘導性ベクターを用いて発現させることができる。さらに本発明の第1の発明のタンパク質は、コンポーネントとしてキットに含有させることができる。
本発明の第2の発明は、核酸結合活性を有するタンパク質の存在下でdsRNAにdsRNA分解活性を有するタンパク質を作用させ、特定の長さのdsRNAを生成することを特徴とするdsRNAの分解方法に関する。
本発明の第2の発明において、核酸結合活性を有するタンパク質とdsRNA分解活性を有するタンパク質は融合タンパク質であっても良い。また、核酸結合活性を有するタンパク質は、RNA結合活性を有するタンパク質であっても良い。当該RNA結合活性を有するタンパク質は、コールド ショック プロテインであってもよく、その由来は好熱性菌あるいは耐熱性菌由来であっても良い。特に限定はされないが例えば、サーモトガ マリティマ由来のコールド ショック プロテインBが例示される。
本発明の第2の発明の方法により、特定の長さのdsRNAが、約15〜30塩基対のdsRNAを生成することができる。さらに、本発明の第2の発明において、dsRNA分解活性を有するタンパク質は、本発明の第1の発明のタンパク質であっても良いし、天然型Dicerあるいはその機能的同等物であっても良い。
本発明の第3の発明は、核酸結合活性を有するタンパク質の存在下でRNA合成活性を有するタンパク質を用いてRNA合成反応を行うことを特徴とするRNAの合成方法に関する。
本発明の第3の発明において、核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質は融合タンパク質であっても良い。また、当該核酸結合活性を有するタンパク質は、コールド ショック プロテインであってもよく、その由来は好熱性菌あるいは耐熱性菌由来であっても良い。特に限定はされないが例えば、サーモトガ マリティマ由来のコールド ショック プロテインBが例示される。さらに、RNA合成活性を有するタンパク質はDNA依存性RNAポリメラーゼであってもよい。
本発明の第4の発明は、本発明の第2の発明の方法に用いるための組成物であって、核酸結合活性を有するタンパク質並びにdsRNA分解活性を有するタンパク質を含有することを特徴とする組成物に関する。
本発明の第5の発明は、本発明の第2の発明の方法に用いるためのキットであって、核酸結合活性を有するタンパク質とdsRNA分解活性を有するタンパク質を含有することを特徴とするキットに関する。
本発明の第6の発明は、本発明の第3の発明の方法に用いるための組成物であって、核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質を含有することを特徴とする組成物に関する。
本発明の第7の発明は、本発明の第3の方法に用いるためのキットであって、核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質を含有することを特徴とするキットに関する。
本発明により、特定の長さのdsRNAを調製できるdsRNA分解活性を有するタンパク質が提供される。さらに本発明により、RNA干渉等に利用できる特定の長さのdsRNAを効率よく生成させることができる。
本明細書においてDicerとは、RNAiの初期段階で長鎖のdsRNAをsiRNAにプロセッシングできる機能を有するタンパク質のことを言う。天然型のDicerとしては、とくに限定はされないが例えばN末端側よりATP結合ドメイン、RNAヘリカーゼドメイン、機能未知なPAZドメイン、RNaseIIIa及びbドメイン、さらにdsRNA結合ドメインから構成されているものが挙げられる。
本明細書において、Dicerの機能ドメインとは、長鎖dsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成できる活性に関与する領域をコードする部位のことを言う。
上記機能ドメインとしては、特に限定はされないが例えば、RNaseIIIa、bドメイン並びにdsRNA結合ドメインからなるものが例示される。当該RNaseIIIa、bドメインは、Zhang H.他4名 The EMBO Journal 2002年 vol.21,No.21,p5875−5885に記載のように、2本鎖RNAに特異的に作用し、5’末端にリン酸基をもつを特定の鎖長のオリゴヌクレオチドを生成させる活性に関与する領域をコードする部位であっても良い。さらに、dsRNA結合ドメインは、2本鎖RNAに特異的に結合する活性をコードする部位であっても良い。
本明細書においてdsRNAとは、RNA干渉の対象となるmRNAと該mRNAに相補的な塩基配列を有するRNAとの2本鎖構造を形成したRNAのことを言う。
また、本明細書においてdsRNAの分解反応による生成物の応用例としては、主に以下に示すsiRNAがある。
本明細書において特定の長さのdsRNAとは、特に限定はされないが例えば、約10〜100塩基対の範囲中の特定の長さのdsRNAのことを言う。さらに、約15〜30塩基対の範囲中の特定の長さ、特に20〜25塩基対の範囲中の特定の長さのdsRNAであっても良い。これらのdsRNAは、siRNAとして使用できる。
本明細書において核酸結合活性を有するタンパク質とは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNAに結合する活性を有するタンパク質のことを言う。当該タンパク質としては、核酸の二次構造を解消する機能を有するものが好ましく、例えば、DNAヘリカーゼ、RNAヘリカーゼあるいはその機能的同等物が挙げられる。
本明細書において低温誘導性ベクターとは、低温で機能し得るプロモーターを有するベクターのことを言い、例えば国際公開第99/27117号パンフレットに記載のpCold系ベクターが挙げられる。
本明細書においてコールド ショック プロテインとは、本来の生育条件よりも低温になるような状況下でその温度低下により刺激されて発現されるタンパク質の総称を言う。
本明細書において基質となる長鎖のdsRNAを完全に分解するとは、分解反応後に未切断の基質となる長鎖のdsRNAが電気泳動法において確認されない程度に分解することを言う。
本明細書においてPAZドメインとは、DicerのRNAヘリカーゼドメインとRNaseIIIaおよびbドメインの間に存在するドメインである。例えば、配列表の配列番号1記載のヒト由来Dicerアミノ酸配列のアミノ酸番号898〜1064(配列番号2の塩基番号2692〜3192)の領域である。
本発明においてレアコドンとは、使用頻度の低いコドンを意味する。1つのアミノ酸は複数のコドンにより規定されているが、生物種により、この複数のコドンの間で使用する頻度に偏りが見られる。一般に、使用頻度の低いコドンに対応するトランスファーRNA(tRNA)の量が少なく、レアコドンを含有する塩基配列にコードされるアミノ酸を発現させる場合に、発現効率が低下することが知られている。従って、レアコドンに対応するtRNAの量を増大させるなど、レアコドンに対する補強を行うことにより、効率よくタンパク質を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質、該タンパク質の製造方法ならびに該タンパク質を含有するキット
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、dsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成することができる。当該dsRNA分解活性を有するタンパク質としては、長鎖のdsRNAから特定の長さのdsRNAを生成できるものであれば特に限定はなく、例えば、Dicerの機能ドメインを有するタンパク質が例示される。当該Dicerの機能ドメインは、RNaseIIIa、bならびにdsRNA結合ドメインからなるタンパク質であっても良い。また、長鎖のdsRNAから特定の長さのdsRNAを生成できるものであれば、そのタンパク質の由来は問わない。
当該RNaseIIIa、bドメイン並びにdsRNA結合ドメインは、特に限定はされないが例えばヒト由来Dicerの場合、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列のN末端側のアミノ酸1271〜1924(配列表の配列番号2記載の塩基配列番号3811〜5772)を有するものが挙げられる。例えば、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列からなるもの、あるいは配列表の配列番号3記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質(Dicer変異体)あるいは配列表の配列番号12記載のアミノ酸配列からなるもの、あるいは配列表の配列番号13記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質(Dicer変異体)が例示される。
また、Dicerはサイズの大きいタンパク質であり、組換え体を製造するのに適していない。一方、本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、ネイティブな酵素に比べてサイズが小さくコンパクトであり、組換え体を製造するのに有用である。一般に、ヒトなどの高等生物由来の酵素を組換え体として大腸菌などのバクテリア細胞で製造する場合、同等の酵素活性を保持したまま組換え体を製造することは困難を伴うことが多い。従って、本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、その由来となる生物以外の細胞で製造する際に非常に有用である。
さらに本発明のタンパク質においては、PAZドメインを含有していても良く、特に限定はされないが例えば、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列のアミノ酸番号898〜1924(配列表の配列番号2記載の塩基番号2692〜5772)を有するタンパク質、配列表の配列番号17記載のアミノ酸配列からなるもの、あるいは配列表の配列番号16記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質(Dicer変異体)あるいは配列表の配列番号18記載のアミノ酸配列からなるもの、あるいは配列表の配列番号19記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質(Dicer変異体)が例示される。
さらに、変異体により、さらに酵素的に安定なものにすることが可能である。特に限定はされないが、例えば、PAZドメイン+RNaseIIIドメインの場合、RNaseIIIドメインのみの変異体タンパク質に比べて安定性を向上させることができる。より多くの凍結、融解を施した場合でも活性を保持でき、またある保存緩衝液中では溶液状態でより長期間の活性保持が可能である。
本発明のタンパク質は、特に限定はされないが例えば、長鎖dsRNAを分解し、RNA干渉に有効なsiRNAを生成させることができる。
また、上記機能を有する範囲であれば上記アミノ酸配列あるいは塩基配列において、一ないしは複数個のアミノ酸あるいは塩基の置換、欠失、挿入あるいは付加されたものも本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質に含まれる。
特に限定はされないが、本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質において、さらに発現ベクター由来の配列、例えば、発現あるいは翻訳増強配列(例えば、Perfect DB配列等)、発現タンパク質精製用のタグ配列(例えば、His tag配列等)、あるいは発現タンパク質のN末端側の付加配列を除去するための配列(例えば、Factor Xa配列等)などのアミノ酸配列を付加したものも本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質に含まれる。前記タンパク質としては、特に限定はされないが、例えば配列表の配列番号12又は18記載のアミノ酸配列を有するdsRNA分解活性を有するタンパク質が挙げられる。
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、長鎖のdsRNAを特定の長さのdsRNAにすることができる。すなわち、本発明においては使用するdsRNA分解活性を有するタンパク質を選択することにより、所望の特定の長さのdsRNAを調製することができる。当該特定の長さのdsRNAは、特に限定はされないが例えば、約10〜100塩基対の範囲、好ましくは約15〜30塩基対の範囲、特に好ましくは約20〜25塩基対の範囲中の特定の長さのdsRNAが例示される。
また、従来市販されている酵素によって、基質として用いたdsRNAは完全に分解されないのに対し、本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、基質となる長鎖のdsRNAを実質的に全て切断することができる。従って、基質のdsRNAを全て切断することができ、なおかつその分解産物によるRNA干渉作用が同等であるので、基質となる長鎖のdsRNAのスケールダウン、ひいては未分解のdsRNA除去工程の省略も可能となる。
さらに、本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質、特に限定はされないが例えばDicer変異体は、pH8.5以上のトリス−塩酸緩衝液中で塩化マグネシウムの存在下で保存することにより、4℃保存ならびに−20℃保存のいずれの場合においてもその活性を長期間安定に保持することができる。
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質は、下記(2)に記載の核酸結合活性を有するタンパク質、特に限定はされないが例えば、RNA結合活性を有するタンパク質との融合タンパク質の形態であっても良い。特に限定はされないが、上記Dicer変異体と核酸結合活性を有するタンパク質、例えば、RNA結合活性を有するタンパク質との融合タンパク質が例示される。
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質を製造するための方法としては、コドンを宿主での発現に適したものに変換するか、あるいはレアコドンに対する補強することを含む方法であっても良い。特に限定はされないが例えば、発現遺伝子のコドン改変を含む製造方法であってもよく、当該タンパク質のアミノ酸配列の一部又は全てをタンパク発現の至適のコドン状態に変換したもの、もしくはそれに準じる状態の宿主を用いて発現させることができる。前記至適のコドン状態、もしくはそれに準じる状態の宿主としては、特に限定はされないが例えば、特定のコドンを認識するtRNA量を遺伝子工学的に通常この細胞中で産生する量よりも数倍以上高めた宿主が例示される。当該宿主としては、大腸菌が例示され、例えばアルギニンのコドン(AGA、AGG)のtRNAを補充した大腸菌、さらにイソロイシン(AUA)、プロリン(CCC)、ロイシン(CUA)のtRNAを補充した大腸菌等が挙げられる。
さらに、コドン改変を行って、宿主中での目的のタンパク質の発現を向上させる方法を用いても良く、その際にmRNAの2次構造を考慮にいれても良い。
すなわち、発現遺伝子のコドン変換、補強等によりタンパク発現が向上するような方法であれば特に限定はされない。
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質を製造するためのベクターには、特に限定はなく、市販のベクター、発現系のいずれもが使用できる。特に、限定はされないが例えばpETシステム(ノバジェン社製)を用いることができる。さらに、低温で機能し得るプロモーターを有するベクターが好適に使用でき、例えば国際公開第99/27117号パンフレットに記載のpCold系ベクターが挙げられる。
本発明の製造方法の一態様としては、上記Dicer変異体を低温で機能し得るプロモーターを有するベクター、例えば国際公開第99/27117号パンフレットに記載のpCold系ベクターで製造する方法が例示される。
すなわち、本発明の製造方法においては、特定の長さのdsRNAを生成させ得る機能を保持できるタンパク質を発現できるベクターであればいずれもが好適に使用できる。
また、当該特定の長さのdsRNAを生成させ得る機能を最終的に保持できるタンパク質を得られるならば、タンパク発現時は封入体の形態であるがその後のリホールディング操作により当該機能を回復できるものを発現できるベクターも含まれる。
本発明の方法の一態様、例えば上記Dicer変異体を製造する場合においては、従来のヒト由来Dicerの全長を発現させた場合に比較して、生産量が向上し、さらに当該タンパク質の活性保持体の取得率も向上させることができる。
本発明のdsRNA分解活性を有するタンパク質の製造方法においては、下記(2)に記載の核酸結合活性を有するタンパク質、特に限定はされないが例えば、RNA結合活性を有するタンパク質との融合タンパク質の形態で発現させる方法も含まれる。
(2)本発明の核酸結合活性を有するタンパク質によるdsRNAの分解の促進方法並びに当該タンパク質を用いたRNA合成促進方法
本発明の特定の長さのdsRNAを生成することを特徴とするdsRNA分解の促進方法は、核酸結合活性を有するタンパク質の存在下に行うことを特徴とする。当該核酸結合タンパクとしては、結果的にdsRNA分解活性を促進するものであれば特に限定はなく、例えば、上記RNA結合活性を有するタンパク質等が好適に使用できる。
当該RNA結合活性を有するタンパク質としては特に限定はないが、コールド ショック プロテイン(Csp:cold shock protein)が例示される。特に常温域で機能し得るコールド ショック プロテインが好適に使用でき、好熱性菌あるいは耐熱性菌由来のコールド ショック プロテインが好ましい。特に限定はされないが、例えば配列表の配列番号9記載のアミノ酸配列(配列表の配列番号10記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列)を有するサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のCspBタンパク質が好適に使用できる。当該サーモトガ マリティマ由来のCspBタンパク質は、例えば、Thermotoga maritima strain MSB8を、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入(DSM3109)し、プロテイン サイエンス(Protein Science)、第8巻、394−403頁(1999)記載の方法に従い遺伝子工学的に組換え体を製造することができる。さらに、低温で機能し得るプロモーターを有するベクターが好適に使用でき、例えば国際公開第99/27117号パンフレットに記載のpCold系ベクターが挙げられる。
当該CspBタンパク質をdsRNA分解活性を有するタンパク質と組み合わせることにより、当該dsRNA分解活性を促進させることができる。さらに本発明の方法は、上記(1)記載の特定の長さのdsRNAを生成させるdsRNA分解活性を有するタンパク質、例えばDicer変異体、天然型Dicerあるいは市販のリコンビナントDicerのような機能的同等物のいずれにおいてもその特定の長さのdsRNAを生成させる活性を促進できる。
本発明の方法において、核酸結合活性を有するタンパク質とdsRNA分解活性を有するタンパク質を組み合わせることにより、当該dsRNA分解活性を促進させることができ、得られる分解産物は核酸結合活性を有するタンパク質を組合わせなかった場合の分解産物と比べて、RNA干渉作用において単位重量あたり同等の活性を有する。従って、核酸結合活性を有するタンパク質を使用することは、RNA干渉において非常に有用である。
また、従来行われている方法では、基質として用いたdsRNAは完全に分解されないのに対し、本発明の方法において、基質となる長鎖のdsRNAを実質的に全て切断することができる。従って、基質のdsRNAを全て切断することができ、なおかつその分解産物によるRNA干渉作用が同等であれば、基質となる長鎖のdsRNAのスケールダウン、ひいては未分解のdsRNA除去工程の省略も可能となる。
さらに、本発明の方法においては、当該核酸結合活性を有するタンパク質、例えばRNA合成活性を有するタンパク質は、dsRNA分解活性を有するタンパク質との融合タンパク質の形態のものであってもよい。
一方、本発明のRNA合成の促進方法は、核酸結合活性を有するタンパク質の存在下に行うことを特徴とする。当該核酸結合タンパクとしては、結果的にRNA合成活性を有するタンパク質のRNA合成活性を促進するものであれば特に限定はなく、核酸結合活性を有するタンパク質、コールドショックプロテイン(Csp:cold shock protein)が好適に使用できる。当該コールド ショック プロテインは、特に限定はされないが好熱性菌あるいは耐熱性菌由来のものが好適に使用できる。当該コールドショックプロテインとしては特に限定はされないが、配列表の配列番号9記載のアミノ酸配列(配列表の配列番号10記載の塩基配列)を有するサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のCspBタンパク質が例示される。
当該CspBタンパク質をRNA合成系に共存させることにより、例えばRNAポリメラーゼのRNA合成活性を促進させることができる。当該タンパク質は、生成物が一本鎖あるいは二本鎖RNAのいずれの場合においても、その合成活性を促進することができる。
さらに、本発明のRNA合成の促進方法は、長鎖dsRNAのみならず、短鎖dsRNA、例えばsiRNAの合成に利用することができる。当該siRNA合成においては、特に限定はされないがT7 RNAポリメラーゼ等を用いて、好ましくは約15〜30塩基対、特に好ましくは約20〜25塩基対のものを合成する際に利用できる。
さらに本発明の方法においては、核酸結合活性を有するタンパク質がRNA合成活性を有するタンパク質によるdsRNAの合成ならびにdsRNA分解活性を有するタンパク質のdsRNA分解の二つの反応を促進するため、特にRNA干渉において重要なdsRNAの合成ならびにsiRNAの生成系に利用することができる。この場合、各タンパク質は別個であってもよいし、融合タンパク質の形態であってもよい。
(3)本発明の方法に使用される組成物
本発明の組成物は、特定の長さのdsRNAに分解する反応及び/又はRNAの合成反応を効率よく行うための組成物である。
当該組成物は、上記(2)記載の核酸結合活性を有するタンパク質を含み、当該核酸結合活性を有するタンパク質は特に限定はされないが、コールド ショック プロテインが好適であり、例えば、好熱性菌あるいは耐熱性菌由来のコールド ショック プロテイン(Csp:cold shock protein)が好適に使用でき、配列表の配列番号9記載のアミノ酸配列(配列表の配列番号10記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列)を有するサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のCspBタンパク質が好ましい。
本発明の組成物には、dsRNA分解活性を有するタンパク質及び/又はRNA合成活性を有するタンパク質を含んでいてもよい。特定の長さのdsRNAを生成し得るdsRNA分解活性を有するタンパク質としては、Dicerの機能ドメインを有するものが好ましく、例えば、RNaseIIIa、bならびにdsRNA結合ドメインからなるタンパク質が好適に使用できる。特に限定はされないが例えば、上記(1)記載のDicer変異体、天然型Dicerあるいは、市販のリコンビナントDicerのような機能的同等物のいずれであっても良い。当該Dicer変異体を含む組成物としては、配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列からなるもの、あるいは配列表の配列番号3又は16記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質を含む組成物であってもよい。また、配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列において、一ないしは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入あるいは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を含む組成物であってもよい。
上記dsRNA分解活性を有するタンパク質において、さらに発現ベクター由来の配列、例えば、発現あるいは翻訳増強配列(例えば、Perfect DB配列等)、発現タンパク質精製用のタグ配列(例えば、His tag配列等)、あるいは発現タンパク質のN末端側の付加配列を除去するための配列(例えば、Factor Xa配列等)などのアミノ酸配列を付加したタンパク質であっても良い。前記タンパク質としては、特に限定はされないが、例えば配列表の配列番号12又は18記載のアミノ酸配列を有するdsRNA分解活性を有するタンパク質が挙げられる。さらに、本発明の組成物には、上記(1)記載のDicer変異体を安定化させるための緩衝液を含んでいてもよい。
さらに、RNA合成活性を有するタンパク質としては、例えばT7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ等が好適に使用できる。
さらに本発明の組成物の別態様としては、上記(2)記載の核酸結合活性を有するタンパク質、例えば、RNA結合活性を有するタンパク質と特定の長さのdsRNAを生成し得るdsRNA分解活性を有するタンパク質との融合タンパク質及び/又は核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質との融合タンパク質を含有していてもよい。
本発明の組成物は、特定の長さのdsRNAへの効率の良い分解及び/又は一本鎖あるいは2本鎖RNAの合成反応を簡便に行なうことができる。
また、本発明の組成物の一態様としては、長鎖dsRNAのみならず、短鎖dsRNA、例えばsiRNAの合成に利用することができる組成物が挙げられる。当該組成物は、約10〜100塩基対、好ましくは約15〜30塩基対、特に好ましくは約20〜25塩基対のdsRNAを合成する際に有効である。
(4)本発明の方法に使用されるキット
本発明の方法に使用されるキットは、特定の長さのdsRNAに分解する反応及び/又はRNAの合成反応を効率よく行うためのキットである。
当該キットは、上記(2)記載の核酸結合活性を有するタンパク質を含み、当該核酸結合活性を有するタンパク質は特に限定はされないが、コールド ショック プロテインが好適であり、例えば、好熱性菌あるいは耐熱性菌由来のコールド ショック プロテイン(Csp:cold shock protein)が好適に使用でき、配列表の配列番号9記載のアミノ酸配列を有するサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のCspBタンパク質が好適に使用できる。
本発明のキットには、特定の長さのdsRNAを生成する活性を有する、dsRNA分解活性を有するタンパク質及び/又はRNA合成活性を有するタンパク質を含んでいてもよい。該dsRNA分解活性を有するタンパク質及び/又はRNA合成活性を有するタンパク質としては、上記(3)で挙げられたものが好適に使用できる。さらに、本発明のキットには、上記(1)記載のDicer変異体を安定化させるための緩衝液を含んでいてもよい。
さらに本発明のキットの別態様としては、上記(2)記載の核酸結合活性を有するタンパク質、例えば、RNA結合活性を有するタンパク質と特定の長さのdsRNAを生成し得るdsRNA分解活性を有するタンパク質との融合タンパク質及び/又は核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質との融合タンパク質を含有していてもよい。
さらに、本発明のキットには、上記以外のコンポーネント、例えば反応の結果生成された特定の長さのdsRNAを精製するための試薬、それを生体サンプルに導入する試薬等を含有していても良い。特に限定はされないが例えば、約21塩基対のsiRNAを精製するための試薬、それを生体サンプルに導入する試薬等を含有していても良い
本発明のキットを用いることで、特定の長さのdsRNAへの効率の良い分解及び/又はRNAの合成を簡便に行なうことができる。
また本発明のキットの一態様としては、長鎖dsRNAのみならず、短鎖dsRNA、例えばsiRNAの合成に利用することができるキットが挙げられる。当該キットは、約10〜100塩基対、好ましくは約15〜30塩基対、特に好ましくは約20〜25塩基対のdsRNAを合成する際に有効である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
また、本明細書に記載の操作のうち、プラスミドの調製、制限酵素消化などの基本的な操作については2001年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第3版(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.)に記載の方法によった。
実施例1 ヒト由来DicerのRNaseIIIドメインの発現
(1)発現ベクターの構築
配列表の配列番号1記載のヒト由来Dicer アミノ酸配列のN末端側よりアミノ酸1271〜1924(塩基番号3811〜5772)よりなるポリペプチドを発現させるため、以下のようにして発現ベクターを構築した。
まず、ジーンバンク登録No.AB028449で公開されている塩基配列より、配列表の配列番号5及び6記載の塩基配列を有する合成プライマー1及び2をDNA合成機で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー1は、制限酵素KpnIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号1271〜1277に相当する塩基配列を塩基番号16〜36にもつ合成DNAである。また、合成プライマー2は、制限酵素HindIIIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号1919〜1924に相当する塩基配列を塩基番号18〜36にもつ。
上記合成プライマーを用いて、PCRを行った。PCRの反応条件を以下に示す。
すなわち、鋳型DNA(ヒトcDNAライブラリー、Human Pancreas、タカラバイオ社製)2μl、5μlの10×LA PCR buffer(タカラバイオ社製)、5μlのdNTP混合液(タカラバイオ社製)、10pmolの合成プライマー1、10pmolの合成プライマー2、0.5UのTakara LA Taq(タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を50μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler SP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 3分を1サイクルとする30サイクルの反応を行なった。
反応終了後、該反応液5μlを1.0%アガロースゲル電気泳動に供した。確認された目的の約2kbpのDNAフラグメントを電気泳動ゲルより回収・精製し、エタノール沈殿を行なった。エタノール沈殿後の回収DNAを5μlの滅菌水に懸濁し、制限酵素KpnI(タカラバイオ社製)及び制限酵素HindIII(タカラバイオ社製)で2重消化し、1.0%アガロース電気泳動によりそのKpnI−HindIII消化物を抽出精製し、KpnI−HindIII消化DNA断片を得た。
次に国際公開第99/27117号パンフレットの実施例1〜6記載の方法に従い、pCold08NC2ベクターを調製した。
次に上記pCold08ベクターを上記KpnI−HindIII消化DNA断片を調製した時に用いたのと同じ制限酵素で切断し、末端を脱リン酸処理したものを調製し、上記KpnI−HindIII消化DNA断片と混合し、DNAライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。その後、ライゲーション反応液20μlを用いて大腸菌JM109を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。
目的のDNA断片が挿入されたプラスミドは、シークエンシングすることにより確認し、この組み換えプラスミドをpCold08 hDi−Rとした。当該プラスミドは、pCold08 hDi−Rと命名、表示され、平成15年8月11日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM BP−10074として寄託されている。このpCold08 hDi−Rは、ヒト由来Dicer アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号1271〜1924のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むプラスミドである。前記プラスミドから発現させたタンパク質は、Perfect DB配列、His tag配列、並びにFactor Xa配列を有している。当該タンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号12に、塩基配列を配列表の配列番号13に示す。
(2)発現、精製及び各種buffer条件でのサンプル調製
上記(1)で調製したpCold08 hDi−Rを用いて大腸菌BL21を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを2.5mlのLB液体培地(アンピシリン50μg/ml含む)に植菌し、37℃で一晩培養した。この一部を100mlの同LB培地に植菌し、37℃で対数増殖期まで培養した。前記培養後、15℃に保温したインキュベーター内で10分間振とうした後、IPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、そのまま15℃で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、5mlの細胞破砕溶液[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、1%Triton(トライトン)X−100、1mM ジチオスレイトール、2mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(11,000rpm 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液約5mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のように行なった。
すなわち、樹脂容積にして1ml分のNi−NTA agarose(キアゲン社製)にbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100]を10ml添加し、混和後、1,500rpmで数分間遠心し、上清を廃棄して、約1mlの樹脂を回収した。菌体破砕液より調製した約5mlの上清を添加し、4℃で約1時間、ロータリーシェイカーで穏やかに混和した。その後、この目的タンパク質の吸着した樹脂をφ15mmのカラムに充填し、5mlのbufferAで2回洗浄した。次に5mlのbufferB[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、40mM イミダゾール]で樹脂を洗浄後、5mlのbufferC[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、800mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、40mM イミダゾール]、続いて5mlのbufferBで洗浄を行い目的以外の不要タンパク質の除去を行った。
洗浄後、3mlのbufferD[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、100mM イミダゾール]で溶出操作を行った。次に、500mlのbufferE[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、100mM 塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、0.1%トリトンX−100、1mM ジチオスレイトール]で透析を行ない、その後、セントリコン(アミコン社製)を用いて約10倍まで濃縮を行なった。この精製濃縮サンプルの一部について10%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、分子量約76,800のところに目的タンパク質のバンドが確認された。さらに、当該サンプルについてAnti His HRP Conjugate(キアゲン社製)を用い、その添付プロトコルに従って抗Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロッティング検出を行なったところ、目的のタンパク質バンドが発色検出された。以下、このヒト由来Dicer RNaseIIIドメインタンパク質をhDiRと称する。
さらに上記方法ではbufferDでの溶出後、bufferE(これをタンパク質サンプルIとする)で透析を行なっているが、タンパク形状緩衝液の条件設定のため、以下の組成の緩衝液での透析も同様にして実施した。
1:bufferFを用いた透析[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トリトンX−100、1mM ジチオスレイトール]→タンパク質サンプルII
2:bufferGを用いた透析[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トリトンX−100、1mM ジチオスレイトール]→タンパク質サンプルIII
3:bufferHを用いた透析[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.8)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トリトンX−100、1mM ジチオスレイトール]→タンパク質サンプルIV
実施例2 dsRNA分解活性の測定
(1)反応液の調製
上記実施例1−(2)で調製したタンパク質サンプルI〜IVについてそのDicer活性を測定した。当該活性測定は以下のようにして行った。
まず、活性測定に用いた基質となるdsRNAは、TurboScript T7 Transcription kit(GTS社製)を用いて、その添付プロトコルに従って合成した。
すなわち、プラスミドpQBI125(和光純薬社製)に挿入されているRed−shift Green Fluorescent Protein(以下GFPと略称する)をコードする遺伝子(配列表の配列番号11)について、プラスミドpDON−AI(タカラバイオ社製)に挿入したpDON−rsGFPを鋳型とし、配列表の配列番号7記載のT7プロモーター配列をもった合成プライマー3と配列表の配列番号8記載の合成プライマー4を用いてPCRを行い、増幅産物を得た。次に得られた2本鎖DNAを鋳型として、T7 RNA polymeraseによるRNA合成反応により約700bpの長さのdsRNAを調製した。
上記方法で調製したdsRNA 1μg、上記(2)で調製したhDiR 1μl、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 1μl、5×反応緩衝液(それぞれ最終透析に用いた緩衝液の5倍濃縮したもの)2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。
また、市販のDicer(GTS社製)の場合は、Dicer酵素液2μl、基質となるdsRNA 1μg、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 0.5μl、付属の反応緩衝液 4μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。
以上の反応液を調製し、37℃で17時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動、エチジウムブロマイドによる染色に供して切断産物の確認を行なった。電気泳動後にエチジウムブロマイド染色したゲルより、約21ヌクレオチドの分解産物の確認されたものを活性有とした。
(2)活性測定
上記(1)で調製した反応液の活性測定を行い、RNaseIIIドメインタンパク質(hDiR)への影響を検討した。さらに、各緩衝液中における安定性についても検討するため、精製直後のサンプルを用いた場合と、4℃及び−20℃条件で5日間保存したサンプルを用いた。その結果、特にタンパク質サンプルIII、タンパク質サンプルIVにおいては、4℃保存ならびに−20℃保存のいずれの場合においても市販Dicerと同じ大きさの約21ヌクレオチドの分解産物が確認され、その活性を安定に保持していることが確認できた。
以上のことから、ヒト由来DicerのRNaseIIIドメインタンパク質(hDiR)は、pH8.5以上のトリス−塩酸緩衝液中、塩化マグネシウムが存在する条件で保存することで活性を安定化できることが判明した。
実施例3 dsRNA生産及び分解に寄与する因子の検討
(1)dsRNA生産及び分解に寄与する因子を検討するために、常温域で核酸結合活性を有するタンパク質について検討した。
上記核酸結合活性を有するタンパク質は入手が困難であった。従って、配列表の配列番号9記載のアミノ酸配列を有するサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来のCspBタンパク質をモデルタンパク質として用いた。当該タンパク質は、プロテイン サイエンス(Protein Science)第8巻、394−403頁(1999)記載の方法で調製した。
(2)サーモトガマリティマ由来CspBのdsRNA分解への効果
CspBを添加した形でのdsRNA分解活性は以下のように測定した。
すなわち、hDi−Rを酵素として用いた場合、実施例1−(2)で調製したhDiR(酵素液)1μl、上記(1)で調製したCspB溶液 1μl、基質として実施例2−(1)で使用したdsRNA 1μg、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 1μl、5×反応緩衝液[250mM トリス−塩酸(pH8.5)、500mM 塩化ナトリウム、0.5%TritonX−100、5mM DTT]2μl、これにnuclease free水を加えて、容量を10μlとしたものを反応液とした。また市販のDicerの場合は、添付資料記載の組成に基質となるdsRNAを1μg加え、これにnuclease free水を加えて、容量を10μlとしたものを反応液とした。なお市販のDicerについては、GTS社、Stratagene社、Invitrogen社のものを使用した。
添加したCspBタンパク質の濃度は終濃度で4.6ng/μl、9.2ng/μl、18.4ng/μl、92ng/μlになるように添加し、無添加の場合のコントロールとしてCspBの形状緩衝液である10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を1μl添加した。
以上の反応液を調製し、37℃で18時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによる染色を行い分解産物を確認した。さらに、当該ゲルをTotal Lab ver.1.11(Nonlinear Dynamics社製)による画像解析によって、約21ヌクレオチドのdsRNA分解物の定量を行なった。その結果、市販Dicer及びRNaseIIIドメインタンパク質(hDiR)のいずれの場合においてもCspB添加によるdsRNAの分解量の向上が全ての添加量に関して確認できた。特に9.2ng/μlの前後で分解量が向上することが確認できた。
すなわち、CspBを反応液中に添加することで、市販のDicer、RNaseIIIドメインタンパク質のいずれにおいてもdsRNA分解産物がより多く得られることが明らかとなった。
(3)サーモトガ マリティマ由来CspBのRNA合成への効果
RNA干渉においては、dsRNAを合成するためにRNA合成系の活性を促進することも重要であるとの見地に基づき、サーモトガ マリティマ由来CspBのRNA合成への効果を検討した。モデル系として、T7 RNAポリメラーゼ系を選択した。RNA合成系への影響については以下のようにして行った。すなわち、CspBを添加した形でのT7 RNAポリメラーゼによる転写量を目安とした。常法により調製したT7プロモーターを有するpET16b(ノバジェン社製)に配列表の配列番号11記載の塩基配列を有するrsGFP遺伝子を導入したプラスミドを鋳型DNAとして1μg、10×T7RNAポリメラーゼ用緩衝液(タカラバイオ社製)2μl、50mM DTT 2μl、RNaseインヒビター(タカラバイオ社製)0.4μl、25mM NTP 2μl、T7 RNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)1μl、CspB溶液 1μl、これにnuclease free水を加えて容量を20μlとしたものを反応液とし、37℃で4時間反応させた。なお本実施例でCspBタンパク質の濃度は終濃度で90ng/μl、180ng/μl、460ng/μl、920ng/μlになるように添加し、無添加の場合のコントロールとしてCspBの形状緩衝液である10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を1μl添加した。
反応後のサンプル2μlに、10×MOPS緩衝液(200mM MOPS、50mM 酢酸ナトリウム、10mM EDTA、10mM EGTA)2μl、ホルムアルデヒド 2μl、脱イオン化ホルムアミド 9μl及びnuclease free水 3μlを添加して70℃、10分間保温し、その後氷中で1分間インキュベートした。これに10×loading buffer 2μlを添加して、1×MOPS緩衝液中でエチジウムブロマイドを含む1.25%アガロースゲルを用いて電気泳動解析を行なった。そのゲルをTotal Lab ver.1.11(Nonlinear Dynamics社製)による画像解析によって、T7 RNAポリメラーゼによって合成されたmRNAの定量を行なった。その結果、いずれの濃度においても転写産物量の向上が確認できた。特に、CspBの添加量が460ng/μl以上の場合、転写産物量が無添加時の場合の約2倍以上に、さらに920ng/μl添加した場合は約3倍になることが確認できた。
(4)サーモトガ マリティマ由来CspBのdsRNA合成への効果
次にサーモトガ マリティマ由来CspBのdsRNA合成に対する影響について検討した。本実施例においては、実施例2−(1)で調製したdsRNA合成用鋳型を利用した。RNAへの転写については、市販のTurboScript T7 Transcription kit(ジーンセラピーシステムズ社製)を用いて、その添付プロトコルに従った。なお、この際に添加したCspBタンパク質の濃度は終濃度で90ng/μl、180ng/μl、460ng/μl、920ng/μlになるようにし、無添加の場合のコントロールとしてCspBの形状緩衝液である10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を1μl添加した。37℃、4時間反応後に1μlのDNaseIを添加し、37℃で15分間反応させた。この反応液の40倍希釈液1μlをエチジウムブロマイドを含む1%アガロースゲル電気泳動に供した。そのゲルを上記(3)と同様の方法でT7 RNAポリメラーゼによって合成されたdsRNAの定量を行なった。その結果、いずれの濃度においても転写産物量の向上が確認できた。特に、CspBの添加量が920ng/μl以上の場合、転写産物量が無添加時の場合の約2倍以上なることが確認できた。
上記実施例と同様に別態様のT7 RNAポリメラーゼ転写系についても検討した。すなわち、実施例2−(1)で調製したdsRNA合成用鋳型1μg、10×T7 RNAポリメラーゼ緩衝液(タカラバイオ社製)1μl、50mM DTT 1μl、RNaseインヒビター(タカラバイオ社製)0.2μl、25mM NTP 1μl、T7 RNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)0.5μl、CspB溶液 1μl、これにnuclease free水を加えて容量を10μlとしたものを反応液とし、37℃で4時間反応させた。なおこの際に添加したCspBタンパク質の濃度は終濃度で90ng/μl、180ng/μl、460ng/μl、920ng/μlになるようにし、無添加の場合のコントロールとしてCspBの形状緩衝液である10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を1μl添加した。反応後のサンプルにDNaseI(タカラバイオ社製)を0.5μl加えて、37℃で15分間反応させた。この反応液の40倍希釈液1μlをエチジウムブロマイドを含む1%アガロースゲル電気泳動に供した。そのゲルについてもdsRNAの定量を行なった。その結果、いずれの濃度においても転写産物量の向上が確認できた。特に、CspBの添加量が920ng/μl以上の場合、転写産物量が無添加時の場合の約3倍以上なることが確認できた。
以上のように、CspBを反応液中に添加することで、T7 RNAポリメラーゼによる転写産物がより多く得られることが明らかとなった。この効果は、1本鎖RNA合成ならびに2本鎖RNA合成のいずれの場合においても確認できた。
実施例4 ヒト由来DicerのPAZ+RNaseIIIドメインの発現
(1)発現ベクターの構築
配列表の配列番号1記載のヒト由来Dicer アミノ酸配列のN末端側よりアミノ酸679〜1924(塩基番号2035〜5772)よりなるポリペプチドを発現させるため、以下のようにして発現ベクターを構築した。
まず、ジーンバンク登録No.AB028449で公開されている塩基配列より、配列表の配列番号14及び15記載の塩基配列を有する合成プライマー5及び6をDNA合成機で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー5は、制限酵素KpnIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号679〜685に相当する塩基配列を塩基番号16〜36にもつ合成DNAである。また、合成プライマー6は、制限酵素HindIIIの認識配列を塩基番号9〜14に、さらにヒト由来Dicerのアミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号1919〜1924に相当する塩基配列を塩基番号18〜35にもつ。
上記合成プライマーを用いて、PCRを行った。PCRの反応条件を以下に示す。
すなわち、鋳型DNA(ヒトcDNAライブラリー、Human Pancreas、タカラバイオ社製)2μl、5μlの10×LA PCR buffer(タカラバイオ社製)、5μlのdNTP混合液(タカラバイオ社製)、10pmolの合成プライマー5、10pmolの合成プライマー6、0.5UのTakara LA Taq(タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を50μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler SP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 3分を1サイクルとする30サイクルの反応を行なった。
反応終了後、該反応液5μlを1.0%アガロースゲル電気泳動に供した。確認された目的の約2.7kbpのDNAフラグメントを電気泳動ゲルより回収・精製し、エタノール沈殿を行なった。エタノール沈殿後の回収DNAを5μlの滅菌水に懸濁し、制限酵素KpnI(タカラバイオ社製)及び制限酵素HindIII(タカラバイオ社製)で2重消化し、1.0%アガロースゲル電気泳動によりそのKpnI−HindIII消化物を抽出精製し、KpnI−HindIII消化DNA断片を得た。
次に実施例1−(1)で調製したpCold08NC2ベクターを上記KpnI−HindIII消化DNA断片を調製した時に用いたのと同じ制限酵素で切断し、末端を脱リン酸処理したものを調製し、上記KpnI−HindIII消化DNA断片と混合し、DNAライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。その後、ライゲーション反応液20μlを用いて大腸菌JM109を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。
目的のDNA断片が挿入されたプラスミドは、シークエンシングすることにより確認し、この組み換えプラスミドをpCold08 hDi−ASIとした。当該プラスミドは、pCold08 hDi−ASIと命名、表示され、平成15年9月26日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM BP−10076として寄託されている。このpCold08 hDi−ASIは、ヒト由来Dicer アミノ酸配列(配列番号1)のアミノ酸番号679〜1924のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列表の配列番号16記載の塩基配列、配列番号17記載のアミノ酸配列)を含むプラスミドである。前記プラスミドから発現させたタンパク質は、Perfect DB配列、His tag配列、並びにFactor Xa配列を有している。当該タンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号18に、塩基配列を配列表の配列番号19に示す。
(2)発現、精製
上記(1)で調製したpCold08 hDi−ASIを用いて大腸菌BL21−CodonPlus−RIL strain(ストラタジーン社製)を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを2.5mlのLB液体培地(アンピシリン50μg/ml含む)に植菌し、37℃で一晩培養した。この一部を100mlの同LB培地に植菌し、37℃で対数増殖期まで培養した。前記培養後、15℃に保温したインキュベーター内で10分間振とうした後、IPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、そのまま15℃で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、5mlの細胞破砕溶液[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トライトンX−100、1mM ジチオスレイトール、1mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(11,000rpm 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液約5mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のように行なった。
すなわち、樹脂容積にして1ml分のNi−NTA agarose(キアゲン社製)にbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM ジチオスレイトール、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トライトンX−100]を10ml添加し、混和後、1,500rpmで数分間遠心し、上清を廃棄して、約1mlの樹脂を回収した。菌体破砕液より調製した約5mlの上清を添加し、4℃で約1時間、ロータリーシェイカーで穏やかに混和した。その後、この目的タンパク質の吸着した樹脂をφ15mmのカラムに充填し、5mlのbufferAで2回洗浄した。次に5mlのbufferB[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、40mM イミダゾール]で樹脂を洗浄後、5mlのbufferC[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、800mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、40mM イミダゾール]、続いて5mlのbufferBで洗浄を行い目的以外の不要タンパク質の除去を行った。
洗浄後、3mlのbufferD[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオスレイトール、0.1%トライトンX−100、100mM イミダゾール]で溶出操作を行った。次に、500mlのbufferE[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1%トリトンX−100、1mM ジチオスレイトール]で透析を行ない、その後、セントリコン(アミコン社製)を用いて約10倍まで濃縮を行なった。その一部について10%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、大腸菌BL21−CodonPlus−RIL strain(ストラタジーン社製)を宿主として用いたサンプルで分子量約144,000のところに目的タンパク質のバンドが確認され、これを以下の活性の確認に使用した。以下、このヒト由来Dicer PAZ+RNaseIIIドメインタンパク質をhDi−ASIとする。
(3)dsRNA分解活性の測定
上記実施例4−(2)で調製したタンパク質サンプルについて、実施例2記載の方法でそのdsRNA分解活性を測定した。
その結果、電気泳動後にエチジウムブロマイド染色したゲルより、約21ヌクレオチドの分解産物が確認され、RNaseIIIドメインタンパク質(hDiR)とPAZ領域を含むタンパク質(hDi−ASI)においてもdsRNA分解活性が確認された。
さらに、凍結・融解における安定性についても検討するため、−80℃条件で上記タンパク質サンプルを凍結、その後、室温で融解させるという操作を6回、及び10回繰り返した。また、コントロールとして実施例1−(2)で調製したhDiRについても同様の検討を行った。
その結果、PAZ+RNaseIIIドメインタンパク質(hDi−ASI)の場合、凍結・融解を6回、10回繰り返しても分解活性を保持していた。一方、hDiRについては6回の凍結・融解まで活性は確認された。このことから、RNaseIIIドメインにさらにPAZドメインを含むことにより当該タンパク質は、より多くの凍結・融解に対する安定性を獲得することが確認できた。
(4)分解に寄与する因子についての検討
上記実施例4−(2)で調製したhDi−ASIについて、常温域で核酸結合活性を有するタンパク質の影響を検討した。
上記核酸結合活性を有するタンパク質としては、上記実施例3で調製したサーモトガ マリティマ由来のCspBタンパク質を用いた。また、dsRNA分解への効果については、以下のように測定した。
すなわち、実施例4−(2)で調製したhDi−ASI(酵素液)1μl、実施例3で調製したCspB溶液 1μl、基質となるdsRNA 1μg、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 1μl、5×反応緩衝液[250mM トリス−塩酸(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、0.5%トライトンX−100、5mM DTT]を2μl、これにnuclease free水を加えて、容量を10μlとしたものを反応液とした。CspBタンパク質の濃度は終濃度で9.2ng/μl、18.4ng/μl、92ng/μlになるように添加し、無添加の場合のコントロールとしてCspBの形状緩衝液である10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を1μl添加した。
以上の反応液を調製し、37℃で17時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによる染色を行い切断産物を確認した。さらに、当該ゲルをTotal Lab ver.1.11(Nonlinear Dynamics社製)による画像解析によって、約21ヌクレオチドのdsRNA分解物の定量を行なった。
その結果、hDi−ASIの場合においても、CspB添加によるdsRNAの分解量の向上が確認できた。特に9.2ng/μlの前後で分解量が向上することが確認できた。
すなわち、CspBは、RNaseIIIドメインを含む天然型、あるいは変異型のヒト由来DicerのいずれにおいてもそのdsRNA分解活性を促進することが確認できた。
実施例5
本発明のヒト由来hDiRを用いて調製したsiRNAのRNA干渉の効果について検討した。対照として、市販のDicer(GTS社)を用いた。dsRNA分解産物の調製は、基本的に上記実施例2−(1)記載の方法で行った。すなわち、実施例1−(2)記載のhDiR並びに市販のDicerを10単位用いて、dsRNA10μg分を、37℃、18時間で切断した。これらの切断産物をRNA Purification Column 1、2(Gene Therapy Systems社製)を用いて精製し、これらを以下のRNA干渉の評価に使用した。
すなわち、siRNA導入を行なう24時間前に293細胞を、10%FBSおよび1%penicillin/streptomycinを含むD−MEM培地(SIGMA社製)で適当量(cell数:5×10)24wellプレートにまき、一晩COインキュベーター内で培養した。約80%コンフレントになった状態で50μlの無血清培地に3μlのTransIT 293 Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加え、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、0.3μgのpQBI25(和光純薬社製)を加えて、穏やかに混和し、5分間室温で放置した。そこに4μlのTransIT−TKO試薬を加えて穏やかに混和し、室温で5分間放置した。そこに上記siRNAを500ng加えて穏やかに混和し、5分間室温で放置し、これをDNA/siRNA溶液とした。Well中の10%FBSを含むD−MEM培地を250μlになるように添加したものに、DNA/siRNA溶液を滴下し、Well内の溶液が均一になるように穏やかに混和を行なった。またコントロールとして、0.3μgのpQBI25(和光純薬社製)のみを添加したもの、また滅菌水のみを加えたものも同時に行なった。その後COインキュベーター内で24時間培養した。この細胞をFACS Vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いたフローサイトメトリーに供し、ベクター(DNA)のみを導入したものに対するDNA/siRNA溶液を導入した場合のGFP発現の阻害効果を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2005017144
表1に示したように、コントロール(ベクターのみ)と比較してその平均蛍光値が小さいほどRNA干渉が起こっている。従って、hDiRによって得られるsiRNAは、市販Dicerと同様にRNA干渉効果を示し、市販Dicerのものよりも強いRNA干渉効果を示すことが確認できた。
以上のことから、本発明のhDiRがRNA干渉ためのsiRNA調製に有用であることが確認できた。
実施例6
本発明のhDiRを用いて調製したsiRNAのRNA干渉の効果について、siRNAの添加量を換えて検討した。対照として、市販のDicer(Gene Therapy Systems社製)を用いた。dsRNAの切断については、基本的に上記実施例2−(1)記載の方法で行った。すなわち、実施例1−(2)記載のhDiR並びに市販のDicerを10μl用いて、dsRNA10μg分を、37℃、18時間で切断した。なおこの際には、実施例3−(2)で使用したCspBを最終濃度9.2ng/μlになるように添加し、反応させた。
これらの切断産物をRNA Purification Column 1、2(Gene Therapy Systems社製)を用いて精製し、これらを以下のRNA干渉の評価に使用した。
すなわち、siRNA導入を行なう24時間前に293細胞を、10%FBSおよび1%penicillin/streptomycinを含むD−MEM培地(SIGMA社製)で適当量(cell数:1.5×10)を24wellプレートにまき、一晩COインキュベーター内で培養した。この培養細胞が約95%コンフレントになった時点で、49μlの無血清培地に1μlのGenejuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加え、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、0.3μgのpQBI25(和光純薬社製)を加えて、穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
同時に、別チューブに47μlの無血清培地に3μlのRibojuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加えたものを用意し、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、上記siRNA 166.7ng、55.6ng、18.5ngを加えて穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
このように調製した2種類の溶液を,Well中の10%FBSを含むD−MEM培地を250μlになるように添加したものに滴下し、Well内の溶液が均一になるように穏やかに混和を行なった。またコントロールとして、ベクター(DNA)のみを添加したもの、また滅菌水のみを加えたものも同時に行なった。その後COインキュベーター内で24時間培養した。この細胞をFACS Vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いたフローサイトメトリーに供し、ベクター(DNA)のみを導入したものに対するDNA/siRNA溶液を導入した場合のrsGFP発現の阻害効果を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2005017144
表2に示したように、コントロール(ベクターのみ)と比較して平均蛍光強度の値が小さいほどRNA干渉が起こっている。従って、hDiRによって得られるsiRNAは、市販Dicerと同様にRNA干渉効果を示すことが確認できた。
以上のことから、本発明のhDiRがRNA干渉のためのsiRNA調製に有用であることが確認できた。
上記細胞サンプルについてtotal RNAを抽出しreal time RT−PCRに供しrsGFPのmRNAを定量する事で、RNA干渉の評価を行った。
すなわち、siRNA導入後COインキュベーターで37℃、24時間培養した細胞からtrizole(Invitrogen社製)を使用してトータルRNAを抽出、精製した。なおこの際の作業は、添付のプロトコルに従って行った。そのトータルRNAを80ng、5×M−MLV buffer(タカラバイオ社製)4μl、10mM dNTP(タカラバイオ社製)1μl、random hexamer 100pmol、RNase Inhibitor(タカラバイオ社製)20U、M−MLV Reverse Transcriptase 100U、を加え、滅菌水で全量を20μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler SP(タカラバイオ社製)にセットし、42℃ 10分、95℃ 2分の反応を行った。この反応液に20μlの反応希釈液(1×M−MLV buffer、0.5mM dNTP mixture)を加え、これを10μlずつに分注した。前述の反応物10μlに、10×R−PCR buffer(タカラバイオ社製)2.5μl、250mM Mg2+ 0.3μl、10mM dNTP 0.75μl、TaKaRa Ex Taq R−PCR(タカラバイオ社製)1.25U、滅菌水で3000倍希釈したSYBR Green(タカラバイオ社製)2.5μl、100% DMSO 1.25μlを加え、β−actin(タカラバイオ社製)、GAPDH(タカラバイオ社製)、rsGFP(rsGFP−F:配列番号20、rsGFP−R:配列番号21)、Neo(Neo−F:配列番号22、Neo−R:配列番号23)を検出するための合成プライマーを5pmolずつ加え、滅菌水で全量を25μlとした。前記反応液をSmart Cycler II Unit(タカラバイオ社製)にセットし、95℃、10秒で熱変性を行った後、95℃ 5秒、60℃ 20秒を1サイクルとする45サイクルの反応を行なった。得られたデータを解析することで,ヒト由来のβ−actin、GAPDH、および導入プラスミド由来のrsGFP、NeoのmRNA量を定量した。その結果を表3に示す。
Figure 2005017144
表3に示したように、コントロール(ベクターのみ)と比較してrsGFPのmRNA量が小さいほどRNA干渉が起こっている。従って、hDiRは、市販Dicerと同様にRNA干渉効果を示すことが確認できた。
以上のことから、本発明のhDiRは、RNA干渉のためのsiRNA調製に有用であることが確認できた。
実施例7
上記実施例1−(2)、実施例4−(2)で調製したサンプルについてそのdsRNA分解活性の基質となるdsRNAをルシフェラーゼ遺伝子より作製し評価した。実施例2−(1)と同様にdsRNAは、TurboScript T7 Transcription kit(GTS社製)を用いて、その添付プロトコルに従って合成した。
すなわち、プラスミドpGL3−Basicベクター(プロメガ社製)に挿入されているルシフェラーゼをコードする遺伝子について、プラスミドpGL3−Basicベクター(プロメガ社製)を鋳型とし、配列表の配列番号24記載のT7プロモーター配列をもったdsl−1プライマーと配列表の配列番号25記載のdsl−2プライマーを用いてPCR(増幅断片長約500塩基対)を行い、増幅産物を得た。次に得られた2本鎖DNAを鋳型として、T7 RNAポリメラーゼによるRNA合成反応により約500bpの長さのdsRNAを調製した。
本発明のhDiR、hDi−ASIを用いて調製したsiRNAのRNA干渉の効果について検討した。対照として、市販のDicer(Gene Therapy Systems社製)を用いた。dsRNAの切断については、基本的に上記実施例2−(1)記載の方法で行った。すなわち、実施例1−(2)記載のhDiR、実施例4−(2)記載のhDi−ASI並びに市販のDicerを10μl用いて、上記のdsRNA10μg分を、37℃、18時間で切断した。なおこの際には、実施例3−(2)で使用したCspBを最終濃度9.2ng/μlになるように添加し、反応させた。
これらの切断産物をRNA Purification Column 1、2(Gene Therapy Systems社製)を用いて精製し、これらを以下のRNA干渉の評価に使用した。
すなわち、siRNA導入を行なう24時間前に293細胞を、10%FBSおよび1%penicillin/streptomycinを含むD−MEM培地(SIGMA社製)で適当量(cell数:1.5×10)24wellプレートにまき、一晩COインキュベーター内で培養した。この培養細胞が約95%コンフレントになった時点で、49μlの無血清培地に1μlのGenejuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加え、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、0.5μgのpGL3−controlと0.1μgのpRL−TK(Promega社製)を加えて、穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
同時に、別チューブに47μlの無血清培地に3μlのRibojuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加えたものを用意し、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、上記siRNAを166.7ng、55.6ng、18.5ngを加えて穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
このように調製した2種類の溶液を、Well中の10%FBSを含むD−MEM培地を250μlになるように添加したものに滴下し、Well内の溶液が均一になるように穏やかに混和を行なった。またコントロールとして、ベクター(DNA)のみを添加したもの、また滅菌水のみを加えたものも同時に行なった。その後COインキュベーター内で24時間培養した。この細胞をDual Luciferase Reporter assay kit(Promega社製)を用いたアッセイに供することで、ベクター(DNA)のみを導入したものに対する、siRNAを添加した場合のGL3タンパク質発現の阻害効果を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2005017144
表4では、コントロール(ベクターのみ)と比較してそのGL3発現量の値が小さいほどRNA干渉が起こっていると考えられる。従って、hDiR、hDi−ASIによって得られるsiRNAは、市販Dicerと同様にRNA干渉効果を示すことが確認できた。
以上のことから、本発明のhDiR、hDi−ASIがRNA干渉のためのsiRNA調製に有用であることが確認できた。
実施例8
本発明のhDiR、hDi−ASIを用い、CspBを添加して調製したsiRNAと無添加で調製したsiRNAについて、そのRNA干渉の効果について検討した。なお実際の操作は実施例7記載のルシフェラーゼを用いた方法に習った。対照として、市販のDicer(Gene Therapy Systems社製)を用いた。dsRNAの切断については、基本的に上記実施例2−(1)記載の方法で行った。すなわち、実施例1−(2)記載の方法で調整したhDiR、実施例4−(2)記載の方法で調整したhDi−ASI並びに市販のDicerを10μl用いて、上記のdsRNA10μg分を、37℃、18時間で切断した。なおこの際には、実施例3−(2)で使用したCspBを最終濃度9.2ng/μlになるように添加した場合と添加しない場合とで反応させた。
これらの切断産物をRNA Purification Column 1、2(Gene Therapy Systems社製)を用いて精製し、これらを以下のRNA干渉の評価に使用した。
Figure 2005017144
表5では、コントロール(ベクターのみ)と比較してそのGL3発現量の値が小さいほどRNA干渉が起こっていると考えられる。従って、CspBの添加、無添加サンプルの間に、RNA干渉効果の差はないことを示した。
以上のことからRNA干渉のためのsiRNA調製の際に、本発明のCspBがsiRNAに対し、質的な影響を与えないことが確認できた。
実施例9 酵素の安定性
実施例4−(2)で精製したPAZドメイン+RNaseIIIドメインタンパク質(hDi−ASI)にCspBを終濃度で92ng/μlになるように加えたものを保存緩衝液I(50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、250mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM DTT、0.1% TritonX−100、50% グリセロール)中で保存し、一定期間ごとに以下のようにして、そのdsRNA分解活性を測定した。実施例2−(1)で調製したdsRNA 1μg、上記4−(2)で調製したタンパク質サンプル 1μl、5×反応緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、12.5mM 塩化マグネシウム)2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。37℃で18時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動、エチジウムブロマイドによる染色に供して切断産物の確認を行なった。その結果、6ヶ月以上の保存サンプルにおいて約21塩基対の分解産物が確認され、dsRNA分解活性が確認された。一方、同緩衝液条件においては、RNaseIIIドメインタンパク質(hDiR)にCspBを加えたものについて、活性が3ヶ月以上保持された。
実施例10 pCold14−TmCspBの作製、組み換え体の培養、及び精製
(1)pCold14−TmCspBの作製
以下のThermotoga maritima由来のCspB(以降、TmCspBとする)のクローニングに際しては、プロテイン サイエンス(Protein Science)、第8巻、394−403頁(1999)記載の配列(アミノ酸配列を配列番号9、塩基配列を配列番号10に示す。)を参照した。
まず、配列表の配列番号26及び27記載の塩基配列を有する合成プライマーE及びFをDNA合成機で合成し、常法により精製した。上記合成プライマーEは、制限酵素NdeIの認識配列を塩基番号11〜16に、さらにTmCspBのアミノ酸配列(配列番号26)のアミノ酸番号1〜7に相当する塩基配列を塩基番号14〜34にもつ合成DNAである。また、合成プライマーFは、制限酵素BamHIの認識配列を塩基番号11〜16に、TmCspBのアミノ酸配列(配列番号26)のアミノ酸番号61〜66に相当する塩基配列を塩基番号20〜37にもつ合成DNAである。
上記合成プライマーを用いて、PCRを行った。PCRの反応条件を以下に示す。
すなわち、実施例3−(1)の鋳型DNA1μl(50ng)、5μlの10×Ex Taq buffer(タカラバイオ社製)、5μlのdNTP混合液(タカラバイオ社製)、10pmolの合成プライマーE、10pmolの合成プライマーF、0.5UのTakara Ex Taq(タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を50μlとした。前記反応液をTaKaRa PCR Thermal Cycler SP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃1分、55℃1分、72℃1分を1サイクルとする30サイクルの反応を行なった。
反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、目的の約220bpのDNAフラグメントを確認した。残りのPCR反応液を電気泳動し、そのフラグメントを回収、精製し、エタノール沈殿を行なった。エタノール沈殿後の回収DNAを5μlの滅菌水に懸濁し、制限酵素NdeI(タカラバイオ社製)及び制限酵素BamHI(タカラバイオ社製)で2重消化し、3.0%アガロース電気泳動によりそのNdeI−BamHI消化物を抽出精製し、NdeI−BamHI消化DNA断片を得た。
次に国際公開第99/27117号パンフレットの実施例1〜6記載の方法に従い、pCold04NC2ベクターを調製した(以下、このpCold04NC2ベクターをpCold14ベクターと称する)。
次に上記pCold14ベクターを、上記DNA断片を調製した時に用いたのと同じ制限酵素で切断し、末端を脱リン酸処理したものを調製し、上記NdeI−BamHI消化DNA断片と混合し、DNAライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。その後、ライゲーション反応液20μlを用いて大腸菌JM109を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。
目的のDNA断片が挿入されたプラスミドは、シークエンシングすることにより確認した。
(2)CspBの5リットルジャーでの培養、及び精製
上記実施例10−(1)で調製したpCold14−TmCspBを用いて、大腸菌BL21を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを30mlのLB液体培地(bacto−tryptone 0.3g、bacto−yeast extract 0.15g、NaCl 0.15g、アンピシリン1.5mg)に植菌し、37℃で一晩培養した。この培養液30ml分を3リットルのLB液体培地(bacto−tryptone 30g、bacto−yeast extract 15g、NaCl 15g、アンピシリン150mg)を含む5リットルジャーファーメンター(エイブル社製)に植菌後、150rpm、Air=0.5リットル/min、37℃の条件で対数増殖期まで培養し、その後、15℃に冷却した。冷却後にIPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、150rpm、Air=0.5リットル/min、15℃の条件で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、11gの湿菌体を得た。湿菌体11gを44mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(10,000×g 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。この上清の抽出液をさらに超遠心分離(70,000×g 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液、約53mlを水浴上で熱処理(70℃、10分)を行い、遠心分離(10,000×g 20分)により上清と沈殿とに分離した。この熱処理上清に終濃度200mMとなるようにNaClを添加し、さらにbufferB[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、200mM 塩化ナトリウム]で平衡化したAnionExchanger DE52 10mリットルを添加し、4℃で一晩緩やかに攪拌した。遠心分離(3,000×g 20分)により上清と沈殿とに分離し、上清をさらにガラスフィルターで濾過を行った。この濾液45mlにつき、3リットルのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]に対して透析を行なった。
φ20mmのカラムに充填した樹脂容積にして100ml分のQ−SepharoseF.F.(アマシャム・バイオサイエンス社製)に透析後の液50mlを添加し、400mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]で洗浄を行った。この非吸着画分を回収し、UF30,000カット Centriprep YM−30(MILLIPORE社製)を通過させた。このUF通過液260mlをφ30mmのカラムに充填した40mlのHeparin Sepharose CL−6B(アマシャム・バイオサイエンス社製)に添加し、160mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]で洗浄を行なった。その後、200mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]の0〜1M塩化ナトリウムグラジエントで目的タンパク質の溶出を行なった。トリシン−SDSポリアクリルアミド電気泳動にて分子量約7,500の目的タンパク質が確認された画分を回収し、3リットルのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]に対して透析を行なった。この透析後の液65mlをUF3,000カット Centriprep YM−3(MILLIPORE社製)を用いて約144倍まで濃縮を行い、約450μlのタンパク質サンプルを得た。このタンパク質サンプルに等量のグリセロールを添加し、50%グリセロール溶液(W/W)850μlを得た。その一部についてトリシン−SDSポリアクリルアミド電気泳動に供したところ、分子量約7,500の位置に目的タンパク質の単一な染色バンドが確認された。
(3)CspBタンパク質による切断活性の上昇について。
次に実施例実施例1−(2)、実施例4−(2)で調製したタンパク質サンプルについて、核酸結合活性を有するタンパク質(CspB)の影響を検討した。なおこの際には、実施例10−(2)で調製したTmCspBを用いた。
すなわち、実施例1−(2)、実施例4−(2)で調製したタンパク質サンプル(hDi−R酵素液)、またはタンパク質サンプル(hDi−ASI酵素液)1μl、実施例10−(2)で調製したCspB溶液(92ng/μl)を1μl、実施例2−(1)で調製した基質となるdsRNA 1μg、5×反応緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、12.5mM 塩化マグネシウム)2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。CspBタンパク質の濃度は終濃度で9.2ng/μlになる。また、この際のコントロールとして市販のDicerについても同様に行なった。市販のDicer(GTS社製)の場合は、酵素液 2μl、CspB溶液 1μl、基質となるdsRNA 1μg、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 0.5μl、付属の反応緩衝液 4μl、これにnuclease free水を加えて、容量を10μlとしたものを反応液とした。さらに、TmCspBの代わりに1μlのnuclease free水を加えたものをネガティブコントロールとした。
以上の反応液を調製し、37℃で18時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミド電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによる染色を行い切断産物を確認した。当該ゲルをTotal Lab ver.1.11(Nonlinear Dynamics社製)による画像解析によって、約21ヌクレオチドのdsRNA分解物の定量を行なった。
その結果、実施例10−(2)で発現、精製されたTmCspBは、実施例3−(1)で発現、精製されたTmCspBと同様に、dsRNAの分解量の向上が確認された。
実施例11 hDi−ASIの30リットルジャーでの培養、及び精製
(1)発現、精製
上記実施例4−(1)で調製したpCold08 hDi−ASIを用いて、大腸菌BL21を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを200mlのTB液体培地(bacto−tryptone 2.4g、bacto−yeast extract 4.8g、glycerol 0.8ml、17mM KHPO、72mM KHPO、アンピシリン10mg)に植菌し、37℃で一晩培養した。この培養液200ml分を20リットルのTB液体培地(bacto−tryptone 240g、bacto−yeast extract 480g、glycerol 80ml、17mM KHPO、72mM KHPO、アンピシリン1g)を含む30リットルジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社製)に植菌後、100rpm、Air=6リットル/min、37℃の条件で対数増殖期まで培養し、その後、15℃に冷却した。冷却後にIPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、100rpm、Air=6リットル/min、15℃の条件で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、26gの湿菌体を得た。湿菌体の一部12gを48mlの細胞破砕溶液[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、プロテアーゼインヒビター(Complete、EDTA−free、ベーリンガーマンハイム社製)]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(12,000rpm 30分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液約56mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のように行なった。
すなわち、樹脂容積にして16ml分のNi−NTA agarose(キアゲン社製)に細胞破砕溶液を50ml添加し、混和後、1,500rpmで数分間遠心し、上清を廃棄する操作を2回繰り返して、約8mlの樹脂を回収した。菌体破砕液より調製した約56mlの上清を添加し、4℃で約1時間、ロータリーシェイカーで穏やかに混和した。その後、この目的タンパク質の吸着した樹脂をφ20mmのカラムに充填し、40mlの細胞破砕溶液[50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、プロテアーゼインヒビター(Complete,EDTA−free、ベーリンガーマンハイム社製)]で洗浄した。次に40mlのbufferA[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、20mM イミダゾール]で樹脂を洗浄後、40mlのbufferB[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、800mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、20mM イミダゾール]、続いて40mlのbufferAで洗浄を行い目的以外の不要タンパク質の除去を行った。
洗浄後、24mlのbufferC[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール、100mM イミダゾール]で溶出操作を行った。次に、300mlのbufferD[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール]に対して透析を行なった。
透析後の酵素溶液をφ10mmのカラムに充填した1mlのHeparin Sepharose CL−6B(アマシャムバイオサイエンス社製)に添加し、5mlのbufferD[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール]で洗浄を行なった。次に、5mlのbuffer E[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、200mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール]、その後、5mlのbuffer F[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、400mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール]、5mlのbuffer G[20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、800mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウム、10% グリセロール]でタンパク質の溶出を行なった。その後、各溶出サンプルについてCentricon YM−10(アミコン社製)を用いて約20倍まで濃縮を行ない、約250μlのタンパク質サンプルを得た。その一部について10%SDSポリアクリルアミド電気泳動に供したところ、分子量約144,000の位置に目的タンパク質のバンドが確認され、これを以下の活性の確認に使用した。以上の過程で発現、精製されたものを、実施例4−(2)で大腸菌BL21−CodonPlus−RIL strain(ストラタジーン社製)を宿主として発現、精製したものと比較すると100ml培養液あたりの活性で約2倍程度の収量を得ることができた。
(2)dsRNA分解活性の測定
上記実施例11−(1)で調製したタンパク質サンプルについて、実施例2−(1)で調製したdsRNA 1μg、上記11−(1)で調製したタンパク質サンプル1μl、5×反応緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、12.5mM 塩化マグネシウム)2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。37℃で18時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動、エチジウムブロマイドによる染色に供して切断産物の確認を行なった。その結果、約21塩基対の分解産物が確認され、dsRNA分解活性が確認された。
(3)CspBタンパク質による切断活性の上昇について
次に実施例11−(1)で調製したタンパク質サンプルについて、核酸結合活性を有するタンパク質(CspB)の影響を検討した。
すなわち、実施例10−(3)と同様にして、実施例11−(1)で調製したタンパク質サンプル(酵素液)1μl、実施例10−(2)で調製したCspB溶液 1μl、実施例2−(1)で調製した基質となるdsRNA 1μg、5×反応緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)、750mM 塩化ナトリウム、12.5mM 塩化マグネシウム)2μl、これにnuclease free水を加えて、全量を10μlとしたものを反応液とした。CspBタンパク質の濃度は終濃度で9.2ng/μlになるように添加した。また、この際のコントロールとして市販のDicerについても同様に行なった。市販のDicer(GTS社製)の場合は、酵素液2μl、CspB溶液 1μl、基質となるdsRNA 1μg、10mM ATP溶液 1μl、50mM 塩化マグネシウム溶液 0.5μl、付属の反応緩衝液 4μl、これにnuclease free水を加えて、容量を10μlとしたものを反応液とした。なお、この際にはCspBの代わりにnuclease free水を加えたものをコントロールとした。
以上の反応液を調製し、37℃で18時間反応後、5μlを15%ポリアクリルアミド電気泳動に供し、エチジウムブロマイドによる染色を行い切断産物を確認した。さらに、当該ゲルをTotal Lab ver.1.11(Nonlinear Dynamics社製)による画像解析によって、約21ヌクレオチドのdsRNA分解物、並びに未切断dsRNAの解析を行なった。
その結果、本発明のPAZ+RNaseIIIドメインを含む変異体タンパク質(hDi−ASI)を用いた場合において、CspB添加によるdsRNAの分解量の向上が確認でき、さらには、未切断の基質がほとんど存在せず、ほぼ全てが分解されていることが確認された。一方、市販のDicerの場合は、dsRNA分解の上昇が確認されるものの、半分程度の未切断の基質が存在していることが確認された。
すなわち、本発明のタンパク質を用いた場合、CspB添加により基質を完全に分解することが可能であることが明らかとなった。
実施例12 hDi−ASIによる切断産物のRNAi効果
実施例11−(1)のタンパク質を用いて調製したsiRNAのRNA干渉の効果について検討した。対照として、市販のDicer(GTS社)を用いた。dsRNA分解産物の調製は、基本的に上記実施例11−(3)記載の方法で行った。なおhDi−ASIの場合には、実施例10−(2)で調製したCspBを終濃度で9.2ng/μlになるように添加した。すなわち、実施例11−(1)記載の酵素にCspBを添加したもの、並びに市販のDicerを用いて、実施例2−(1)で調製したdsRNA10μg分を、37℃、18時間で切断した。これらの切断産物をMicrocon−100、Micropure−EZ(共にタカラバイオ社製)を用いて精製し、これらを以下のRNA干渉の評価に使用した。
すなわち、siRNA導入を行なう24時間前に293細胞を、10% FBSおよび1% penicillin/streptomycinを含むD−MEM培地(SIGMA社製)で適当量(cell数:1.5×10)を24well穴プレートにまき、一晩COインキュベーター内で培養した。この培養細胞が約95%コンフレントになった時点で、49μlの無血清培地に1μlのGenejuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加え、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、0.3μgのpQBI25(タカラバイオ社製)を加えて、穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
同時に、別チューブに47μlの無血清培地に3μlのRibojuice Transfection Reagent(タカラバイオ社製)を加えたものを用意し、激しく撹拌した。室温で5分間放置し、上記siRNAを55.6ngを加えて穏やかに混和し、5分間室温で放置した。
このように調製した2種類の溶液を、Well中の10%FBSを含むD−MEM培地を250μlになるように添加したものに滴下し、Well内の溶液が均一になるように穏やかに混和を行なった。またコントロールとして、ベクター(DNA)のみを添加したもの、また滅菌水のみを加えたものも同時に行なった。その後COインキュベーター内で24時間培養した。この細胞をFACS Vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いたフローサイトメトリーに供し、ベクター(DNA)のみを導入したものに対するDNA/siRNA溶液を導入した場合のrsGFP発現の阻害効果を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2005017144
表6に示したように、コントロール(ベクターのみ)と比較してその平均蛍光値が小さいほどRNA干渉が起こっている。従って、hDi−ASI+CspBによって得られるsiRNAは、市販Dicerと同様にRNAi効果を示し、RNAiに有効であることが示された。さらに、効率よくsiRNAを生産することができ、同量のsiRNAを使用した場合、市販の酵素より高いRNAi効果が得られることを確認した。
以上のことから、本発明の方法で調製したタンパク質がRNA干渉ためのsiRNA調製に有用であることが確認できた。
本発明により特定の長さのdsRNAを生成するdsRNA分解活性を有するタンパク質が提供される。また、本発明の方法によりRNA干渉等において有用な、特定の長さのdsRNAへの分解促進方法及び/又はRNA合成促進方法が提供される。さらに本発明の特定の長さのdsRNAへの分解促進方法及び/又はRNA合成促進方法を簡便に実施することができる組成物ならびにキットが提供される。
SEQ ID NO:3;A gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:4;An amino acid sequence of human dicer mutant
SEQ ID NO:5;Synthetic primer 1 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:6;Synthetic primer 2 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:7;Synthetic primer 3 to amplify a gene encoding red−shifted green fluorescence protein
SEQ ID NO:8;Synthetic primer 4 to amplify a gene encoding red−shifted green fluorescence protein
SEQ ID NO:14;Synthetic primer 5 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:15;Synthetic primer 6 to amplify a gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:16;A gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:17;An amino acid sequence of human dicer mutant
SEQ ID NO:18;An amino acid sequence of human dicer mutant
SEQ ID NO:19;A gene encoding human dicer mutant
SEQ ID NO:20;Synthetic primer rsGFP−F to amplify a gene encoding rsGFP
SEQ ID NO:21;Synthetic primer rsGFP−R to amplify a gene encoding rsGFP
SEQ ID NO:22;Synthetic primer Neo−F to amplify a gene encoding Neo
SEQ ID NO:23;Synthetic primer Neo−R to amplify a gene encoding Neo
SEQ ID NO:24;Synthetic primer dsl−1 to amplify a gene encoding luciferase
SEQ ID NO:25;Synthetic primer dsl−2 to amplify a gene encoding luciferase
SEQ ID NO:26;Synthetic primer E to amplify a gene encoding CspB
SEQ ID NO:27;Synthetic primer F to amplify a gene encoding CspB

Claims (29)

  1. dsRNA分解活性を有するタンパク質であって、dsRNAに作用して特定の長さのdsRNAを生成する活性を有することを特徴とするdsRNA分解活性を有するタンパク質。
  2. dsRNA分解活性を有するタンパク質が、Dicerの機能ドメインを有することを特徴とする請求項1記載のタンパク質。
  3. Dicerの機能ドメインが、RNaseIIIa、bならびにdsRNA結合ドメインからなることを特徴とする請求項2記載のタンパク質。
  4. さらにPAZドメインを含むことを特徴とする請求項3記載のタンパク質。
  5. 特定の長さのdsRNAが、約15〜30塩基対のdsRNAであることを特徴とする請求項1記載のタンパク質。
  6. dsRNA分解活性を有するタンパク質が、配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列、あるいは配列表の配列番号3又は16記載の塩基配列でコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質であることを特徴とする請求項1記載のタンパク質。
  7. dsRNA分解活性を有するタンパク質が、配列表の配列番号4又は17記載のアミノ酸配列において、一ないしは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入あるいは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であることを特徴とする請求項1記載のタンパク質。
  8. 請求項1記載のdsRNA分解活性を有するタンパク質を製造する方法であって、コドンを宿主での発現に適したものに変換するか、あるいはレアコドンに対する補強がなされた宿主を使用することを特徴とするdsRNA分解活性を有するタンパク質の製造方法。
  9. 請求項1記載のdsRNA分解活性を有するタンパク質の製造方法であって、当該タンパク質を低温誘導性ベクターを用いて発現させることを特徴とするdsRNA分解活性を有するタンパク質の製造方法。
  10. 請求項1記載のdsRNA分解活性を有するタンパク質を含有するキット。
  11. 核酸結合活性を有するタンパク質の存在下でdsRNAにdsRNA分解活性を有するタンパク質を作用させ、特定の長さのdsRNAを生成することを特徴とするdsRNAの分解方法。
  12. 核酸結合活性を有するタンパク質とdsRNA分解活性を有するタンパク質が融合タンパク質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 核酸結合活性を有するタンパク質が、RNA結合活性を有するタンパク質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  14. RNA結合活性を有するタンパク質がコールド ショック プロテインであることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. コールド ショック プロテインが、好熱性菌あるいは耐熱性菌由来であることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. コールド ショック プロテインがサーモトガ マリティマ由来のコールド ショック プロテインBであることを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 特定の長さのdsRNAが、約15〜30塩基対のdsRNAであることを特徴とする請求項11記載の方法。
  18. dsRNA分解活性を有するタンパク質が、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  19. dsRNA分解活性を有するタンパク質が、天然型Dicerあるいはその機能的同等物であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  20. 核酸結合活性を有するタンパク質の存在下でRNA合成活性を有するタンパク質を用いてRNA合成反応を行うことを特徴とするRNAの合成方法。
  21. 核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質との融合タンパク質を用いることを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 核酸結合活性を有するタンパク質が、コールド ショック プロテインであることを特徴とする請求項20記載の方法。
  23. コールド ショック プロテインが、好熱性菌あるいは耐熱性菌由来であることを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. コールド ショック プロテインが、サーモトガ マリティマ由来のコールド ショック プロテインBであることを特徴とする請求項23記載の方法。
  25. RNA合成活性を有するタンパク質が、DNA依存性RNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項20記載の方法。
  26. 請求項11記載の方法に用いるための組成物であって、核酸結合活性を有するタンパク質並びにdsRNA分解活性を有するタンパク質を含有することを特徴とする組成物。
  27. 請求項11記載の方法に用いるためのキットであって、核酸結合活性を有するタンパク質とdsRNA分解活性を有するタンパク質を含有することを特徴とするキット。
  28. 請求項20記載の方法に用いるための組成物であって、核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質を含有することを特徴とする組成物。
  29. 請求項20記載の方法に用いるためのキットであって、核酸結合活性を有するタンパク質とRNA合成活性を有するタンパク質を含有することを特徴とするキット。
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