JPWO2005003865A1 - 熱ロール及び定着装置 - Google Patents
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Abstract
中空円筒状の芯金(2)の内部に、水を主成分とする伝熱体(3)が保持されている。芯金(2)の両端は、封止部材(4)で密封されている。伝熱体攪拌手段(8)は、複数の攪拌羽根(8a)と、攪拌支持軸(8b)と、攪拌支持軸固定部材(8c)とから構成され、芯金(2)の両端部に接合されている。伝熱体攪拌手段(8)は、芯金(2)の回転に伴って回転する。このとき、攪拌羽根(8a)は、伝熱体(3)と接触する。攪拌羽根(8a)が回転することにより、伝熱体(3)が芯金の軸方向に流れる。温度の異なる伝熱体(3)が混ざり合うことにより、熱ロール(1)の温度が均一になる。伝熱体攪拌手段(8)は、芯金(2)の内部に保持された鉄製の攪拌子と、この攪拌子を芯金の軸方向に移動させる磁石とから構成されていても良い。
Description
本発明は、表面温度を均一に保持することが可能な熱ロール、及び、複写機、FAX(ファクシミリ装置)、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器などに使用する定着装置に関するものである。
従来より、対象物の温度の均一化を行う方法として、ヒートパイプを用いることが知られている。このヒートパイプは、真空状態にしたパイプの中に、適量の作動液とその還流を促進するウィックを装備した熱伝導体である。このヒートパイプでは、作動液が高温部にて気化し、潜熱を奪って蒸気となり、この蒸気が圧力差により低温部に移動し、そこで冷却され、潜熱を放出して液化する。これにより、高温部の熱が低温部に移動し、対象物の温度の均一化を行うことができる。そして、液化した作動液は、ウィックにより還流して元に戻る。このヒートパイプは、非常に熱伝導能力が高く、かつ、静止状態にあるときにおいても対象物の温度の均一化を行うことができる、非常に優れたものである。しかしながら、ヒートパイプが、径が大きい大型のものである場合は、温度の均一化はできるが、それ自体の熱容量が大きくなり好ましくない。また、ヒートパイプが、径が小さいものである場合は、それ自体の熱容量は小さくなるが、作動液が偏在して液切れ状態(ドライアウト)となりやすく、熱伝導能力が低下しやすい。また、そのような細いヒートパイプ内に溝状のウィックを刻んだり、金網状のウィックを巻き込んだりすることは非常に困難であって、そのため、ヒートパイプは高価なものになってしまう。
この問題を解決するために、特公平8−7511号公報(以下、特許文献という)に示すようなものが提案されている。本提案のヒートパイプの構造は図21の様なものである。このヒートパイプは、弾性の金属線材を中央部から自由端にかけて漸次相互間隔が増大するように折り曲げてなるヘアピン状のウィック106と作動液103とを内部に封入した金属管体102からなるものである。このヒートパイプでは、略水平状態で使用すること、及びヒートパイプが回転することが前提とはなるが、ヒートパイプの回転時において、ウィック106は、金属管体102内に封入された作動液103を管体軸方向に還流移動させるように働く。これにより、金属管体102内の作動液103の循環が円滑に行われ、蒸発による液切れ状態が発生しにくく、高熱伝導性を維持できる。また、ウィック106が非常に簡単な構成であるため、金属管体102の径が小さい場合であってもヒートパイプを簡単に製造することができる。
しかしながら、より温度を均一化するため、小サイズでありながら伝熱能力が高いヒートパイプが求められている。通常のヒートパイプでは、最大の伝熱能力、すなわち最大熱輸送量は、金属管体102から作動液103への伝熱能力の限界だけでなく、それに加えて、いわゆる粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界によって決まる。これに対し、特許文献に示すものは、作動液103を管体軸方向に還流移動させる手段を備えているため、その手段により最大熱輸送量を向上できるが、それでも作動液の気化、液化による潜熱の移動が主である以上、粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界が存在し、最大熱輸送量を向上させることは容易ではない。また、ヘアピン状のウィック106を用いて作動液103を管体軸方向に還流移動させているが、これは、作動液103の表面張力を利用しているだけであり、したがって、作動液103の移動量を多くすることは困難であった。
さらに、特許文献提案のヒートパイプでは、ウィック106の保持にウィック106自身の弾性を利用しており、ウィック106は、その軸方向中央部を金属管体102の内壁に押し当てた状態で固定されている。金属管体102の肉厚が厚く熱容量が大きい場合は特に問題ではないが、金属管体102の熱容量が小さく、かつ、高精度の温度の均一化が要求される場合は、金属管体102とウィック106が接触している部分と接触していない部分とで温度が異なり問題となる。
この問題を解決するために、特公平8−7511号公報(以下、特許文献という)に示すようなものが提案されている。本提案のヒートパイプの構造は図21の様なものである。このヒートパイプは、弾性の金属線材を中央部から自由端にかけて漸次相互間隔が増大するように折り曲げてなるヘアピン状のウィック106と作動液103とを内部に封入した金属管体102からなるものである。このヒートパイプでは、略水平状態で使用すること、及びヒートパイプが回転することが前提とはなるが、ヒートパイプの回転時において、ウィック106は、金属管体102内に封入された作動液103を管体軸方向に還流移動させるように働く。これにより、金属管体102内の作動液103の循環が円滑に行われ、蒸発による液切れ状態が発生しにくく、高熱伝導性を維持できる。また、ウィック106が非常に簡単な構成であるため、金属管体102の径が小さい場合であってもヒートパイプを簡単に製造することができる。
しかしながら、より温度を均一化するため、小サイズでありながら伝熱能力が高いヒートパイプが求められている。通常のヒートパイプでは、最大の伝熱能力、すなわち最大熱輸送量は、金属管体102から作動液103への伝熱能力の限界だけでなく、それに加えて、いわゆる粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界によって決まる。これに対し、特許文献に示すものは、作動液103を管体軸方向に還流移動させる手段を備えているため、その手段により最大熱輸送量を向上できるが、それでも作動液の気化、液化による潜熱の移動が主である以上、粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界が存在し、最大熱輸送量を向上させることは容易ではない。また、ヘアピン状のウィック106を用いて作動液103を管体軸方向に還流移動させているが、これは、作動液103の表面張力を利用しているだけであり、したがって、作動液103の移動量を多くすることは困難であった。
さらに、特許文献提案のヒートパイプでは、ウィック106の保持にウィック106自身の弾性を利用しており、ウィック106は、その軸方向中央部を金属管体102の内壁に押し当てた状態で固定されている。金属管体102の肉厚が厚く熱容量が大きい場合は特に問題ではないが、金属管体102の熱容量が小さく、かつ、高精度の温度の均一化が要求される場合は、金属管体102とウィック106が接触している部分と接触していない部分とで温度が異なり問題となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、従来のヒートパイプよりもさらに伝熱能力を高め、これにより、より温度の均一な熱ロールを提供することである。本発明の他の目的は、ウィック等の金属管体への部分的な接触を原因とする温度むらをなくし、より温度の均一な熱ロールを提供することである。
本発明に係る熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールでは、伝熱体撹拌手段の主たる支持は、芯金の両端に設けられた封止部材部分又は芯金の両端部分で行うものであり、これにより、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しないため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の回転を支持する回転支持軸を備え、伝熱体撹拌手段は回転支持軸に一体で形成されていることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で芯金及び伝熱体撹拌手段の支持を実現することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段を芯金に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金が静止状態で伝熱体撹拌手段が回転する場合又は芯金が回転状態で伝熱体撹拌手段も回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金の回転方向に対し、伝熱体撹拌手段の回転が逆方向であっても良い。さらに、伝熱体撹拌手段の伝熱体との相対回転速度を自在に大きくすることが可能であり、伝熱体の芯金の軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができるため、温度均一化能力の高い熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールにおいても、伝熱体撹拌手段は、回転支持軸に一体で形成されているため、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しない。そのため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、回転可能に支持され、回転時に少なくとも一部分が伝熱体に接触するように配置された撹拌部材と、芯金の内側でかつ撹拌部材の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材とを有し、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることが好ましい。
このことにより、伝熱体撹拌手段に熱が伝わり難くなり、熱ロールの熱容量を低減することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となるものであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、芯金の液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにおいても、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にしていて、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
これらのことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。また、本構成は、撹拌子を磁力により移動させ、それにより伝熱体を移動させるため、伝熱体の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、磁場変更手段は、芯金の外側に設けられ、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる磁場形成部材と、前記磁場形成部材を芯金の軸方向に移動させる磁場形成部材移動手段とを有し、撹拌子及び磁場形成部材のうち少なくとも一方は磁石を含んでいることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で撹拌子を確実に移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金は、非磁性材料からなることが好ましい。
このことにより、撹拌子と磁場形成部材とで形成される磁場が芯金によって弱められることがない。したがって、撹拌子に対し力を十分に伝えることができ、撹拌子を確実に移動させることができ、そのため、伝熱体の撹拌を良好に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は、腐食等の劣化を防止する被覆層を備えていることが好ましい。
このことにより、撹拌子は被覆層を備えているため、撹拌子自身が高温となった場合又は撹拌子周囲が高温となった場合においても、撹拌子が腐食等することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は伝熱体を兼ねていることが好ましい。
このことにより、熱ロールの構成部材数を低減することができ、そのため、熱ロールのコストダウンを図ることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の内側でかつ撹拌子の外側にパイプ状の伝熱体流路形成部材を備え、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
このことにより、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的には、数百℃の状態では固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上80%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態であり、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、前記液体には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
このことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は前記熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
本発明に係る熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールでは、伝熱体撹拌手段の主たる支持は、芯金の両端に設けられた封止部材部分又は芯金の両端部分で行うものであり、これにより、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しないため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の回転を支持する回転支持軸を備え、伝熱体撹拌手段は回転支持軸に一体で形成されていることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で芯金及び伝熱体撹拌手段の支持を実現することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段を芯金に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金が静止状態で伝熱体撹拌手段が回転する場合又は芯金が回転状態で伝熱体撹拌手段も回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金の回転方向に対し、伝熱体撹拌手段の回転が逆方向であっても良い。さらに、伝熱体撹拌手段の伝熱体との相対回転速度を自在に大きくすることが可能であり、伝熱体の芯金の軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができるため、温度均一化能力の高い熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールにおいても、伝熱体撹拌手段は、回転支持軸に一体で形成されているため、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しない。そのため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、回転可能に支持され、回転時に少なくとも一部分が伝熱体に接触するように配置された撹拌部材と、芯金の内側でかつ撹拌部材の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材とを有し、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることが好ましい。
このことにより、伝熱体撹拌手段に熱が伝わり難くなり、熱ロールの熱容量を低減することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となるものであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、芯金の液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにおいても、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にしていて、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
これらのことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。また、本構成は、撹拌子を磁力により移動させ、それにより伝熱体を移動させるため、伝熱体の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、磁場変更手段は、芯金の外側に設けられ、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる磁場形成部材と、前記磁場形成部材を芯金の軸方向に移動させる磁場形成部材移動手段とを有し、撹拌子及び磁場形成部材のうち少なくとも一方は磁石を含んでいることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で撹拌子を確実に移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金は、非磁性材料からなることが好ましい。
このことにより、撹拌子と磁場形成部材とで形成される磁場が芯金によって弱められることがない。したがって、撹拌子に対し力を十分に伝えることができ、撹拌子を確実に移動させることができ、そのため、伝熱体の撹拌を良好に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は、腐食等の劣化を防止する被覆層を備えていることが好ましい。
このことにより、撹拌子は被覆層を備えているため、撹拌子自身が高温となった場合又は撹拌子周囲が高温となった場合においても、撹拌子が腐食等することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は伝熱体を兼ねていることが好ましい。
このことにより、熱ロールの構成部材数を低減することができ、そのため、熱ロールのコストダウンを図ることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の内側でかつ撹拌子の外側にパイプ状の伝熱体流路形成部材を備え、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
このことにより、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的には、数百℃の状態では固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上80%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態であり、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、前記液体には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
このことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は前記熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る熱ロールの概略断面図である。
図2は、実施形態2に係る熱ロールの概略断面図である。
図3は、実施形態3に係る熱ロールの概略断面図である。
図4は、実施形態4に係る熱ロールの概略断面図である。
図5は、実施形態5に係る熱ロールの概略断面図である。
図6は、実施形態5に係る熱ロールの斜視図である。
図7は、実施形態6に係る熱ロールの概略断面図である。
図8は、実施形態6に係る熱ロールの他の構成を示す概略断面図である。
図9は、実施形態7に係る熱ロールの概略断面図である。
図10は、実施形態8に係る熱ロールの概略断面図である。
図11は、実施形態9に係る熱ロールの概略断面図である。
図12は、実施形態10に係る熱ロールの概略断面図である。
図13は、実施形態11に係る熱ロールの概略断面図である。
図14は、実施形態12に係る熱ロールの概略断面図である。
図15は、実施形態13に係る熱ロールの概略断面図である。
図16は、実施形態14に係る熱ロールの概略構成図である。
図17は、実施形態15に係る熱ロールの概略断面図である。
図18は、実施形態16に係る定着装置の側面図である。
図19は、実施形態16に係る定着装置に用いる熱ロールの磁場変更手段の構成の一例を示す概略構成図である。
図20は、実施形態17に係る定着装置の側面図である。
図21は、従来のヒートパイプの概略断面図である。
図2は、実施形態2に係る熱ロールの概略断面図である。
図3は、実施形態3に係る熱ロールの概略断面図である。
図4は、実施形態4に係る熱ロールの概略断面図である。
図5は、実施形態5に係る熱ロールの概略断面図である。
図6は、実施形態5に係る熱ロールの斜視図である。
図7は、実施形態6に係る熱ロールの概略断面図である。
図8は、実施形態6に係る熱ロールの他の構成を示す概略断面図である。
図9は、実施形態7に係る熱ロールの概略断面図である。
図10は、実施形態8に係る熱ロールの概略断面図である。
図11は、実施形態9に係る熱ロールの概略断面図である。
図12は、実施形態10に係る熱ロールの概略断面図である。
図13は、実施形態11に係る熱ロールの概略断面図である。
図14は、実施形態12に係る熱ロールの概略断面図である。
図15は、実施形態13に係る熱ロールの概略断面図である。
図16は、実施形態14に係る熱ロールの概略構成図である。
図17は、実施形態15に係る熱ロールの概略断面図である。
図18は、実施形態16に係る定着装置の側面図である。
図19は、実施形態16に係る定着装置に用いる熱ロールの磁場変更手段の構成の一例を示す概略構成図である。
図20は、実施形態17に係る定着装置の側面図である。
図21は、従来のヒートパイプの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有している。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向内側の面)には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号8は伝熱体撹拌手段であり、複数の撹拌羽根8aと撹拌支持軸8bと撹拌支持軸固定部材8cとを有し、それらはすべてフェノール樹脂からなる。伝熱体撹拌手段8は、芯金2内に配置されていて、芯金2の両端部にて接合されている。これにより、伝熱体撹拌手段8は、芯金2の回転に伴い芯金2に対して相対速度なく回転する。撹拌羽根8aは、撹拌支持軸8bに一体で形成されていて、伝熱体3と接触している。撹拌羽根8aは、芯金2の軸を中心として回転することにより伝熱体3の芯金軸方向への流れを発生させる。撹拌支持軸8bは、芯金2内をその軸方向に延びている。撹拌支持軸固定部材8cは、撹拌支持軸8bの軸方向両端部を固定支持している。なお、図の理解を容易にするため、撹拌羽根8a及び撹拌支持軸8bの断面形状は記載していない。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜70%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、芯金2を図1に示す矢印の方向に回転させる。この回転に伴い、伝熱体撹拌手段8も芯金2に対して相対速度なく回転する。この回転に伴い、伝熱体3が芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
ところで、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の軸方向中央部で行うと、その支持部から芯金2の熱の移動が起こり、芯金2に温度むらが生じる。そのような温度むらが生じる熱ロール1では、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うのは困難である。ここで、本熱ロール1では、伝熱体撹拌手段8の支持を芯金2の両端部分で行っている。そのため、本熱ロール1では、芯金2の両端部分以外の部分には、伝熱体3以外のものが接触しない。これにより、熱ロール1の温度を均一にすることができる。
また、伝熱体撹拌手段8により伝熱体3が芯金軸方向に撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差がある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段8は、非金属であるフェノール樹脂で形成されている。ここで、非金属は金属に比較して熱伝導率が低い。そのため、伝熱体撹拌手段8には熱が伝わり難い。したがって、伝熱体撹拌手段8の実質的な熱容量を低く抑えることができ、これにより、熱ロール1の熱容量を低く抑えることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上70%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減をすることができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8を芯金2の両端部にて接合保持したが、これを封止部材4との接合により保持しても良い。さらに、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の両端部又は封止部材4で行いさえすれば、例えば伝熱体撹拌手段8の一部分が芯金2の両端部以外の部分に接触していても何ら問題ない。
また、本実施形態では、伝熱体3として水に消泡剤を添加したものを用いたが、水のみでも使用可能であり、さらには、水以外の液体、例えばメタノール、アンモニア等も用いることができる。
また、本実施形態では、大気連通手段9として芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、熱ロール1を再度使用することができる。
また、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8は、フェノール樹脂から形成されているが、これは、非金属で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分に耐え得る耐熱性があるものであれば他の材料でも構わない。さらに、伝熱体撹拌手段8は、攪拌羽根8a、攪拌支持軸8b及び攪拌支持軸固定部材8cの各部材から構成されているが、これは、一つの部材から成形されたもの等でも良い。
(実施形態2)
図2に示すように、実施形態2に係る熱ロール1は、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているものである。すなわち、回転支持軸5は、芯金2内をその軸方向に延び、内輪4bに挿通されて内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。また、実施形態1では、撹拌支持軸8bはフェノール樹脂で形成したが、本実施形態では、回転支持軸5の強度の観点と芯金2の封止の観点より、回転支持軸5は、ステンレス等の金属で形成している。撹拌羽根8aはこの回転支持軸5に一体で形成されている。
芯金2の封止の観点より、実施形態1と同様に、封止部材4は、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとで形成されていて、芯金2と溶接により接合されている。また、内輪4bの大気側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向外側の面)には金属膜4cが形成されており、この金属膜4cと回転支持軸5との接合部には溶接や半田等の処理がなされている。その他の点に関しては実施形態1と同様である。
このように、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているため、部材数を低減することができ、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。
(実施形態3)
図3に示すように、実施形態3に係る熱ロール1は、実施形態2に係る回転支持軸5を、封止部材4に、芯金2と同軸でかつ芯金2に対し回転自在に支持させているものである。封止部材4として、金属環、ゴム、バネ等からなる回転用オイルシールを用いている。また、図示なき手段にて、回転支持軸5は、芯金2に対し相対的に回転する。回転支持軸5の伝熱体3に対する相対回転速度は、実施形態2では芯金2の回転速度によって決まるが、本実施形態では回転支持軸5の回転速度を可変とすることにより自由に設定することができる。また、回転支持軸5の回転速度が速ければ速いほど、伝熱体3の芯金軸方向への移動量は多くなり、熱ロール1の軸方向の温度均一化能力は向上する。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
本熱ロール1では、回転支持軸5を芯金2に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金2が静止状態で撹拌羽根8aが回転する場合又は芯金2が回転状態で撹拌羽根8aも回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金2の回転方向に対し、撹拌羽根8aの回転が逆方向であっても良い。
さらに、撹拌羽根8aの伝熱体3に対する相対回転速度を自在に大きくすることができるため、伝熱体3の芯金軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができる。そのため、温度均一化能力の高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、封止部材4にオイルシールを使用しているが、この場合、水蒸気は微量ではあるが透過する。そのため、伝熱体3が水を主成分としてなる場合は、極力低温で使用するのが好ましく、また、伝熱体3として不揮発性の液体を使用するのも好ましい。
(実施形態4)
図4に示すように、実施形態4に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。伝熱体撹拌手段8は、芯金2に封止部材4及び回転支持軸5を介して回転可能に支持され、かつ、回転時に少なくとも一部分が伝熱体3に接触するように配置された撹拌羽根8aと、芯金2の内側でかつ撹拌羽根8aの外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10とを有し、その伝熱体流路形成部材10は図示なき手段にて芯金2の両端部にて固定されている。芯金2が図示なき手段にて回転すると、撹拌羽根8aも同様に回転し、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
図1、図2、図3に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10は芯金2の両端部にて固定したが、これは回転支持軸5、撹拌羽根8a又は封止部材4に固定しても構わない。
また、伝熱体流路形成部材10を撹拌羽根8aと同一工法により同時に形成しても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10の内側に撹拌羽根8aを備えているが、撹拌羽根8aを伝熱体流路形成部材10の外側に設けても構わない。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態5)
図5に示すように、実施形態5に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されている、実施形態4に係る熱ロールとは別の構成のものである。本熱ロール1の実施形態4の熱ロールと異なるところは、伝熱体流路形成部材10をなくしたこと、及び撹拌羽根8aの形状を変えたことである。図5において、伝熱体撹拌手段として、厚さが0.2mmのステンレスからなる撹拌板8dを用いている。この撹拌板8dは両端部よりも中央部が幅広となっており、これを熱ロール1の軸に対して傾けて取り付けている。撹拌板8dの両端部を折り曲げ、その部分にて芯金2に対して固定している。これにより、芯金2内に図5に示すAの空間とBの空間とを形成することができる。図6の斜視図にて撹拌板8dの形状及び取り付け状態を詳しく示す。図6では、分かり易くするため、撹拌板8d及び芯金2のみを示している。撹拌板8dの中央部を幅広にしたのは、撹拌板8dを傾けて取り付けた場合に撹拌板8dを芯金2の内部に上手く沿わせる為である。このとき、撹拌板8dと芯金2との隙間は、使用する伝熱体3にもよるが、0.5mm以内であることが好ましい。図5(a)は、この状態にて伝熱体3の移動が止まった状態であり、図5(b)は、図5(a)の状態から熱ロール1を瞬時に180度回転させた直後の状態、図5(c)は、図5(b)の状態から少し時間が経過した状態であり、時間がさらに経過し伝熱体3の移動が終了した状態が図5(d)である。図5(b)では、左右の液面高さが異なるため、重力により伝熱体3が矢印の方向に移動する。そして、少し時間が経過した後、図5(c)の状態になり、時間がさらに経過した後、図5(d)の状態となる。これにより、伝熱体3の芯金軸方向への移動を行うことができる。さらに図5(d)の状態から180度回転させて図5(a)の状態にした場合は、図示は省略するが、図5(a)の状態から180度回転させて図5(d)の状態にした場合と同様の移動が起こる。したがって、熱ロール1を回転させることにより、Aの空間及びBの空間にそれぞれ伝熱体3の一方向の流れを形成することができる。その他の点に関しては、実施形態1と同様である。
したがって、本実施形態では、実施形態4と同様に、非常に簡単な手段により、伝熱体3の流れを、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割でき、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、撹拌板8dの外面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態6)
図7に示すように、実施形態6に係る熱ロール1は、その構造が軸方向中央部を境に左右対称となるようにしたものである。第1及び第2撹拌羽根8aa,8abは、その羽根の向きが逆向きである。熱ロール1を図示なき手段により回転させると回転支持軸5も回転し、これに伴い第1及び第2撹拌羽根8aa,8abも回転する。第1撹拌羽根8aaが回転すると第1伝熱体流路形成部材10a内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動し、また、第2撹拌羽根8abが回転すると第2伝熱体流路形成部材10b内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動する。これらの移動に伴い、第1及び第2伝熱体流路形成部材10a,10b外部の伝熱体3はそれぞれ図7に示す矢印の様に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。その他の点に関しては、実施形態4と同様である。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、芯金2の内部構造を軸方向中央部で二つに分割して、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、実施形態4の撹拌羽根8a及び伝熱体流路形成部材10をそれぞれ二つ備えているが、図8に示す様に、実施形態5の撹拌板8dを二つ備えた構成でも良い。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
(実施形態7)
図9に示すように、実施形態7に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態5と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属を含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)の複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態8)
図10に示すように、実施形態8に係る熱ロール1は、実施形態5に係る熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が常に大気連通部11よりも下側にくるように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1の温度が上昇し熱ロール1の内圧が高まったときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態9)
図11に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有する。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号6は芯金2内に保持された撹拌子であり、その断面が楕円形状であり、鉄の芯材6aに対しその周囲に被覆層6bとしてクロムメッキ層を設けてなる。被覆層6bとしては、金属だけではなく、例えば、フッ素系樹脂等も用いることができる。符号7aは芯金2外に配置されかつ磁石からなる磁場形成部材であり、フェライト系、希土類系、それらを樹脂に混ぜ込んだプラスチック系の永久磁石、及び電磁石のいずれでも良く、本実施形態では、コストの観点からフェライト系の永久磁石を用いている。磁場形成部材7aは、芯金2外に配置された保持台7b及びボールねじ7cにより、芯金軸方向に往復動可能に支持されている。このボールねじ7cは、芯金2に沿ってその軸方向に延びている。これら磁石7a、保持台7b及びボールねじ7cが磁場変更手段を構成し、撹拌子6及びこの磁場変更手段が伝熱体撹拌手段を構成している。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜80%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、図示なき駆動手段によりボールねじ7cを図11に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、伝熱体3も芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
本熱ロール1では、撹拌子6の芯金軸方向の移動により、伝熱体3が撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差のある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。また、本構成は、撹拌子6を磁力により移動させ、それにより伝熱体3を移動させるため、伝熱体3の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体3を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、芯金2は非磁性材料から形成している。これにより、撹拌子6と磁場形成部材7aとで形成される磁場が芯金2によって弱められることがない。したがって、撹拌子6に対し力を十分に伝えることができるため、撹拌子6を確実に移動させることができる。そのため、伝熱体3の撹拌を良好に行うことができる。
また、撹拌子6には被覆層6bが設けられている。これにより、撹拌子6自身が高温となった場合又は撹拌子6周囲が高温となった場合においても、撹拌子6が腐食することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子6を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上80%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロール1の温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、その場合、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、水に消泡剤を添加したものを用いたが、これは、水のみでも良く、さらには、水以外の液体、例えば、メタノール、アンモニア等でも良い。
また、本実施形態では、大気連通手段9として、芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは、封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、再度熱ロール1を使用することができる。
また、本実施形態では、撹拌子6に磁性体を用い、磁場形成部材7aに磁石を用いたが、撹拌子6が磁石であり、磁場形成部材7aが磁性体であっても良く、さらには、撹拌子6及び磁場形成部材7a共に磁石であっても構わない。
(実施形態10)
図12に示すように、実施形態10に係る熱ロール1は、撹拌子6が伝熱体3を兼ねているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、伝熱体3をなくしたことと、撹拌子6を変更したことである。撹拌子6は、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。ニッケルは、腐食に強く、強磁性材料であるため、攪拌子6として好ましい。
この構成にて、実施形態9と同様に、ボールねじ7cを図12に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図12に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図12に示す矢印の方向に移動する。このとき、温度が異なる撹拌子6が混ざり合い、熱ロール1の温度の均一化を行うことができる。
このように、撹拌子6が伝熱体3を兼ねることにより、熱ロール1の構成部材数を低減することができ、これにより、熱ロール1のコストダウンを図ることができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を多数使用したが、その量を低減することにより、ほとんどすべての撹拌子6が磁場形成部材7aの移動に伴い同じように移動するようにしても良い。このときも、撹拌子6が移動することにより、芯金2の熱を軸方向に移動させることができるので、熱ロール1の温度の均一化が可能となる。
さらには、撹拌子6を一つだけ備え、その移動のみで熱ロール1の温度の均一化を行うこともできる。その場合、芯金2と撹拌子6との接触面積を確保するため、撹拌子6の形状は円筒状であることが好ましい。
(実施形態11)
図13に示すように、実施形態11に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、芯金2の内側でかつ撹拌子6の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10を備えていることである。この伝熱体流路形成部材10は、外径14mm、肉厚0.3mmのステンレスパイプである。
撹拌子6が図13に示す矢印の方向に移動すると、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。
図11に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、より温度が均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を伝熱体流路形成部材10の内側に設けているが、撹拌子6を芯金2と伝熱体流路形成部材10との間に設けても良い。その場合、撹拌子6の断面形状は、芯金2と伝熱体流路形成部材10との隙間の形状に合わせるのが好ましい。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態12)
図14に示すように、実施形態12に係る熱ロール1は、実施形態9と異なり、撹拌子6及び磁場変更手段7をそれぞれ二つ備えたものである。ボールねじ7cは、そのねじ山の向きが軸方向中央部を境に左右対称となるようにしている。ボールねじ7cを図14に示す矢印の方向に回転させると、二つの磁場変更手段7,7は図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動し、それに伴い二つの攪拌子6,6も図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動する。これら撹拌子6,6の移動に伴い、伝熱体3は図14に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。さらに、磁場変更手段7を往復動させることにより、伝熱体3の左右対称の流れを連続的に繰り返すことができる。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、熱ロール1の構造を軸方向中央部を境に左右対称にして、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、二つの攪拌子6,6のうち右側の撹拌子6が右に移動するときは左側の撹拌子6は左側に移動するようにしたが、これは、右側の撹拌子6が右側に移動するときに左側の撹拌子6も右側に移動するようにしても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて、3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
また、各撹拌子6,6と各磁場変更手段7,7との組み合わせ関係がくずれ、どちらか一つの磁場変更手段7により二つの攪拌子6,6が移動することがないよう、芯金2の軸方向中央部に撹拌子6の動きを規制する規制手段を設けても良い。
(実施形態13)
図15に示すように、実施形態13に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その球の直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は、0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態9と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属球3bを含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)との複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的には、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態14)
図16に示すように、実施形態14に係る熱ロール1は、実施形態13と異なり、撹拌子6が金属球3bを兼ねているものである。撹拌子6は、実施形態10と同様に、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。
本実施形態では、撹拌子6が金属球3bを兼ねることにより、撹拌子6の移動により金属球3bを移動させる場合よりも撹拌子6(金属球3b)の移動をよりスムーズに行うことができる。したがって、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
(実施形態15)
図17に示すように、実施形態15に係る熱ロール1は、実施形態9の熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が大気連通部11よりも下側に来るように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1を使用する場合、温度が上昇し圧力が高まるときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態16)
図18に示すように、実施形態16に係る定着装置は、実施形態5に係る熱ロール1を備えたものである。符号12は加熱ロールであり、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材12a上に、1mm厚のシリコーンゴムからなる柔軟層12bと、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層12cとが形成されたものである。加熱ロール12はその両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。符号13はハロゲンランプであり、加熱ロール12の内部に配置され、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段により通電され、加熱ロール12を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、加熱ロール12の保温温度は170℃に設定している。符号15は加圧ロールであり、実施形態5に係る熱ロール1上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16を形成したものである。また、加熱ロール12及び加圧ロール15は図示なき手段にて所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、加熱ロール12に接する側の面には図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を加熱ロール12及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させることができる。
ここで、加熱ロール12及び加圧ロール15はその両端部分で支持されているため、その両端部分から熱が逃げ、それにより、加熱ロール12の軸方向に温度むらが生じる。また、場合に応じてサイズが異なる記録紙17を使用するときがある。例えば、小幅サイズの記録紙17を連続して使用した場合は、加熱ロール12の記録紙17に接しない両端部の温度が軸方向中央部よりも高くなり、加熱ロール12に温度むらが生じる。これら温度むらは、定着むらや定着不良の大きな原因となる。
加熱ロール12の軸方向の温度の均一化を行う場合には、通常、加熱ロール12の基材12aの断面積を大きくし、熱伝導を向上させるという方法を採用する。この断面積を大きくする方法によれば、温度の均一化はある程度可能である。しかし、この場合、熱容量が大きくなるとともに、ウォームアップ時間が長くなり、また、保温に要するエネルギーが増大して、これは好ましくない。本実施形態では、部材の断面積を大きくすることによりその部材の熱伝導によって熱の移動を起こさせて温度の均一化を行うのではなく、伝熱体3の熱ロール1内の物理的な移動により熱を移動させて温度の均一化を行う。そのため、熱容量の増大を抑えながら熱の移動量を増加させることができる。これにより、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロール1を有する定着装置を提供することができる。
また、熱ロール1に使用している伝熱体3の主成分は水であり、これは基本的に引火しない。このことにより、異常時においても、伝熱体3への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として水を主成分としたものを使用したが、伝熱体3は、引火温度T2℃が加熱ロール12の設定温度T1℃よりも50℃以上高温のものである限り、安全に使用することができる。伝熱体3として、例えばシリコーンオイル(信越化学(株)製のKF54(引火温度315℃以上))等を好ましく用いることができる。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。ここで、図19を用いて、熱ロール1として実施形態9〜15に係る熱ロール1のいずれかを用いた場合の熱ロール1の磁場変更手段7の詳細について説明する。図19に示すように、符号7dは加圧ロール15に取り付けられたプーリであり、加圧ロール15の回転と共に回転する。符号7eはピンであり、プーリ7dに回転自在に取り付けられている。磁場形成部材7aは、ワイヤー7hに固定されている。、ワイヤー7hはバネ7iに接続されている。ワイヤー7h及びバネ7iは、固定部材7j、固定部材7k及びプーリ7f,プーリ7gにより支持されている。この構成によれば、プーリ7dを回転させると、磁場形成部材7aを加圧ロール15の軸方向に往復動させることができる。つまり、非常に簡単な手段により回転運動を往復運動に変換することができる。
また、本実施形態では、加圧ロール15に熱ロール1を備えているが、これは他の場所に設けても良く、例えば、熱ロール1を直接加熱ロール12の外周面に押圧する構成であっても良い。
また、本実施形態では、加熱ロール12を加熱する為の加熱手段として、ハロゲンランプ13を用いたが、これに限らず、例えば、通電による抵抗発熱や電磁誘導による発熱等を用いても構わない。
(実施形態17)
図20に示すように、実施形態17に係る定着装置は、記録紙17に接する部分が複数のロールにより張架された無端状(エンドレス)の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は実施形態5に係る熱ロール1であるものである。
符号19は、押圧ロールであり、ステンレスからなる軸19aとその周りに形成されたスポンジ層19bとから構成されている。符号20は、無端状の定着ベルトであり、ポリイミドからなる基材20a上にポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層20bが形成されたものであり、押圧ロール19と熱ロール1とにより張架されている。符号21は反射板であり、ハロゲンランプ13の光を反射して定着ベルト20に効率良く照射し、その照射した光を定着ベルト20上で熱変換することにより定着ベルト20を加熱する。そして、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段によりハロゲンランプ13に通電し、定着ベルト20を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、定着ベルト20の保温温度は170℃に設定している。加圧ロール15は、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材22上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16が形成されたものである。押圧ロール19、熱ロール1及び加圧ロール15はそれぞれ、その両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。押圧ロール19及び加圧ロール15は、図示なき手段にて定着ベルト20を介して所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、定着ベルト20に接する側の面には、図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を定着ベルト20及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させる。
本実施形態では、熱容量を低減しかつウォームアップ時間を短縮するために定着ベルト20を用いており、その定着ベルト20を熱ロール1に直接張架して定着ベルト20と熱ロール1とを直接接触させている。そのため、熱ロール1の温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト20の外側にハロゲンランプ13を設けているが、定着ベルト20の内側に設けても良い。
また、本実施形態は、熱ロール1を1本備えているものだが、熱ロール1を複数本備えたもの、例えば、定着ベルト20の張架に用いる熱ロール1を複数本備えたもの又は定着ベルト20の内側と外側とにそれぞれ熱ロール1を備えたもの等でも良い。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
(実施形態1)
図1に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有している。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向内側の面)には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号8は伝熱体撹拌手段であり、複数の撹拌羽根8aと撹拌支持軸8bと撹拌支持軸固定部材8cとを有し、それらはすべてフェノール樹脂からなる。伝熱体撹拌手段8は、芯金2内に配置されていて、芯金2の両端部にて接合されている。これにより、伝熱体撹拌手段8は、芯金2の回転に伴い芯金2に対して相対速度なく回転する。撹拌羽根8aは、撹拌支持軸8bに一体で形成されていて、伝熱体3と接触している。撹拌羽根8aは、芯金2の軸を中心として回転することにより伝熱体3の芯金軸方向への流れを発生させる。撹拌支持軸8bは、芯金2内をその軸方向に延びている。撹拌支持軸固定部材8cは、撹拌支持軸8bの軸方向両端部を固定支持している。なお、図の理解を容易にするため、撹拌羽根8a及び撹拌支持軸8bの断面形状は記載していない。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜70%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、芯金2を図1に示す矢印の方向に回転させる。この回転に伴い、伝熱体撹拌手段8も芯金2に対して相対速度なく回転する。この回転に伴い、伝熱体3が芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
ところで、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の軸方向中央部で行うと、その支持部から芯金2の熱の移動が起こり、芯金2に温度むらが生じる。そのような温度むらが生じる熱ロール1では、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うのは困難である。ここで、本熱ロール1では、伝熱体撹拌手段8の支持を芯金2の両端部分で行っている。そのため、本熱ロール1では、芯金2の両端部分以外の部分には、伝熱体3以外のものが接触しない。これにより、熱ロール1の温度を均一にすることができる。
また、伝熱体撹拌手段8により伝熱体3が芯金軸方向に撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差がある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段8は、非金属であるフェノール樹脂で形成されている。ここで、非金属は金属に比較して熱伝導率が低い。そのため、伝熱体撹拌手段8には熱が伝わり難い。したがって、伝熱体撹拌手段8の実質的な熱容量を低く抑えることができ、これにより、熱ロール1の熱容量を低く抑えることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上70%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減をすることができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8を芯金2の両端部にて接合保持したが、これを封止部材4との接合により保持しても良い。さらに、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の両端部又は封止部材4で行いさえすれば、例えば伝熱体撹拌手段8の一部分が芯金2の両端部以外の部分に接触していても何ら問題ない。
また、本実施形態では、伝熱体3として水に消泡剤を添加したものを用いたが、水のみでも使用可能であり、さらには、水以外の液体、例えばメタノール、アンモニア等も用いることができる。
また、本実施形態では、大気連通手段9として芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、熱ロール1を再度使用することができる。
また、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8は、フェノール樹脂から形成されているが、これは、非金属で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分に耐え得る耐熱性があるものであれば他の材料でも構わない。さらに、伝熱体撹拌手段8は、攪拌羽根8a、攪拌支持軸8b及び攪拌支持軸固定部材8cの各部材から構成されているが、これは、一つの部材から成形されたもの等でも良い。
(実施形態2)
図2に示すように、実施形態2に係る熱ロール1は、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているものである。すなわち、回転支持軸5は、芯金2内をその軸方向に延び、内輪4bに挿通されて内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。また、実施形態1では、撹拌支持軸8bはフェノール樹脂で形成したが、本実施形態では、回転支持軸5の強度の観点と芯金2の封止の観点より、回転支持軸5は、ステンレス等の金属で形成している。撹拌羽根8aはこの回転支持軸5に一体で形成されている。
芯金2の封止の観点より、実施形態1と同様に、封止部材4は、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとで形成されていて、芯金2と溶接により接合されている。また、内輪4bの大気側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向外側の面)には金属膜4cが形成されており、この金属膜4cと回転支持軸5との接合部には溶接や半田等の処理がなされている。その他の点に関しては実施形態1と同様である。
このように、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているため、部材数を低減することができ、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。
(実施形態3)
図3に示すように、実施形態3に係る熱ロール1は、実施形態2に係る回転支持軸5を、封止部材4に、芯金2と同軸でかつ芯金2に対し回転自在に支持させているものである。封止部材4として、金属環、ゴム、バネ等からなる回転用オイルシールを用いている。また、図示なき手段にて、回転支持軸5は、芯金2に対し相対的に回転する。回転支持軸5の伝熱体3に対する相対回転速度は、実施形態2では芯金2の回転速度によって決まるが、本実施形態では回転支持軸5の回転速度を可変とすることにより自由に設定することができる。また、回転支持軸5の回転速度が速ければ速いほど、伝熱体3の芯金軸方向への移動量は多くなり、熱ロール1の軸方向の温度均一化能力は向上する。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
本熱ロール1では、回転支持軸5を芯金2に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金2が静止状態で撹拌羽根8aが回転する場合又は芯金2が回転状態で撹拌羽根8aも回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金2の回転方向に対し、撹拌羽根8aの回転が逆方向であっても良い。
さらに、撹拌羽根8aの伝熱体3に対する相対回転速度を自在に大きくすることができるため、伝熱体3の芯金軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができる。そのため、温度均一化能力の高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、封止部材4にオイルシールを使用しているが、この場合、水蒸気は微量ではあるが透過する。そのため、伝熱体3が水を主成分としてなる場合は、極力低温で使用するのが好ましく、また、伝熱体3として不揮発性の液体を使用するのも好ましい。
(実施形態4)
図4に示すように、実施形態4に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。伝熱体撹拌手段8は、芯金2に封止部材4及び回転支持軸5を介して回転可能に支持され、かつ、回転時に少なくとも一部分が伝熱体3に接触するように配置された撹拌羽根8aと、芯金2の内側でかつ撹拌羽根8aの外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10とを有し、その伝熱体流路形成部材10は図示なき手段にて芯金2の両端部にて固定されている。芯金2が図示なき手段にて回転すると、撹拌羽根8aも同様に回転し、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
図1、図2、図3に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10は芯金2の両端部にて固定したが、これは回転支持軸5、撹拌羽根8a又は封止部材4に固定しても構わない。
また、伝熱体流路形成部材10を撹拌羽根8aと同一工法により同時に形成しても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10の内側に撹拌羽根8aを備えているが、撹拌羽根8aを伝熱体流路形成部材10の外側に設けても構わない。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態5)
図5に示すように、実施形態5に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されている、実施形態4に係る熱ロールとは別の構成のものである。本熱ロール1の実施形態4の熱ロールと異なるところは、伝熱体流路形成部材10をなくしたこと、及び撹拌羽根8aの形状を変えたことである。図5において、伝熱体撹拌手段として、厚さが0.2mmのステンレスからなる撹拌板8dを用いている。この撹拌板8dは両端部よりも中央部が幅広となっており、これを熱ロール1の軸に対して傾けて取り付けている。撹拌板8dの両端部を折り曲げ、その部分にて芯金2に対して固定している。これにより、芯金2内に図5に示すAの空間とBの空間とを形成することができる。図6の斜視図にて撹拌板8dの形状及び取り付け状態を詳しく示す。図6では、分かり易くするため、撹拌板8d及び芯金2のみを示している。撹拌板8dの中央部を幅広にしたのは、撹拌板8dを傾けて取り付けた場合に撹拌板8dを芯金2の内部に上手く沿わせる為である。このとき、撹拌板8dと芯金2との隙間は、使用する伝熱体3にもよるが、0.5mm以内であることが好ましい。図5(a)は、この状態にて伝熱体3の移動が止まった状態であり、図5(b)は、図5(a)の状態から熱ロール1を瞬時に180度回転させた直後の状態、図5(c)は、図5(b)の状態から少し時間が経過した状態であり、時間がさらに経過し伝熱体3の移動が終了した状態が図5(d)である。図5(b)では、左右の液面高さが異なるため、重力により伝熱体3が矢印の方向に移動する。そして、少し時間が経過した後、図5(c)の状態になり、時間がさらに経過した後、図5(d)の状態となる。これにより、伝熱体3の芯金軸方向への移動を行うことができる。さらに図5(d)の状態から180度回転させて図5(a)の状態にした場合は、図示は省略するが、図5(a)の状態から180度回転させて図5(d)の状態にした場合と同様の移動が起こる。したがって、熱ロール1を回転させることにより、Aの空間及びBの空間にそれぞれ伝熱体3の一方向の流れを形成することができる。その他の点に関しては、実施形態1と同様である。
したがって、本実施形態では、実施形態4と同様に、非常に簡単な手段により、伝熱体3の流れを、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割でき、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、撹拌板8dの外面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態6)
図7に示すように、実施形態6に係る熱ロール1は、その構造が軸方向中央部を境に左右対称となるようにしたものである。第1及び第2撹拌羽根8aa,8abは、その羽根の向きが逆向きである。熱ロール1を図示なき手段により回転させると回転支持軸5も回転し、これに伴い第1及び第2撹拌羽根8aa,8abも回転する。第1撹拌羽根8aaが回転すると第1伝熱体流路形成部材10a内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動し、また、第2撹拌羽根8abが回転すると第2伝熱体流路形成部材10b内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動する。これらの移動に伴い、第1及び第2伝熱体流路形成部材10a,10b外部の伝熱体3はそれぞれ図7に示す矢印の様に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。その他の点に関しては、実施形態4と同様である。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、芯金2の内部構造を軸方向中央部で二つに分割して、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、実施形態4の撹拌羽根8a及び伝熱体流路形成部材10をそれぞれ二つ備えているが、図8に示す様に、実施形態5の撹拌板8dを二つ備えた構成でも良い。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
(実施形態7)
図9に示すように、実施形態7に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態5と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属を含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)の複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態8)
図10に示すように、実施形態8に係る熱ロール1は、実施形態5に係る熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が常に大気連通部11よりも下側にくるように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1の温度が上昇し熱ロール1の内圧が高まったときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態9)
図11に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有する。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号6は芯金2内に保持された撹拌子であり、その断面が楕円形状であり、鉄の芯材6aに対しその周囲に被覆層6bとしてクロムメッキ層を設けてなる。被覆層6bとしては、金属だけではなく、例えば、フッ素系樹脂等も用いることができる。符号7aは芯金2外に配置されかつ磁石からなる磁場形成部材であり、フェライト系、希土類系、それらを樹脂に混ぜ込んだプラスチック系の永久磁石、及び電磁石のいずれでも良く、本実施形態では、コストの観点からフェライト系の永久磁石を用いている。磁場形成部材7aは、芯金2外に配置された保持台7b及びボールねじ7cにより、芯金軸方向に往復動可能に支持されている。このボールねじ7cは、芯金2に沿ってその軸方向に延びている。これら磁石7a、保持台7b及びボールねじ7cが磁場変更手段を構成し、撹拌子6及びこの磁場変更手段が伝熱体撹拌手段を構成している。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜80%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、図示なき駆動手段によりボールねじ7cを図11に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、伝熱体3も芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
本熱ロール1では、撹拌子6の芯金軸方向の移動により、伝熱体3が撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差のある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。また、本構成は、撹拌子6を磁力により移動させ、それにより伝熱体3を移動させるため、伝熱体3の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体3を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、芯金2は非磁性材料から形成している。これにより、撹拌子6と磁場形成部材7aとで形成される磁場が芯金2によって弱められることがない。したがって、撹拌子6に対し力を十分に伝えることができるため、撹拌子6を確実に移動させることができる。そのため、伝熱体3の撹拌を良好に行うことができる。
また、撹拌子6には被覆層6bが設けられている。これにより、撹拌子6自身が高温となった場合又は撹拌子6周囲が高温となった場合においても、撹拌子6が腐食することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子6を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上80%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロール1の温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、その場合、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、水に消泡剤を添加したものを用いたが、これは、水のみでも良く、さらには、水以外の液体、例えば、メタノール、アンモニア等でも良い。
また、本実施形態では、大気連通手段9として、芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは、封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、再度熱ロール1を使用することができる。
また、本実施形態では、撹拌子6に磁性体を用い、磁場形成部材7aに磁石を用いたが、撹拌子6が磁石であり、磁場形成部材7aが磁性体であっても良く、さらには、撹拌子6及び磁場形成部材7a共に磁石であっても構わない。
(実施形態10)
図12に示すように、実施形態10に係る熱ロール1は、撹拌子6が伝熱体3を兼ねているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、伝熱体3をなくしたことと、撹拌子6を変更したことである。撹拌子6は、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。ニッケルは、腐食に強く、強磁性材料であるため、攪拌子6として好ましい。
この構成にて、実施形態9と同様に、ボールねじ7cを図12に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図12に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図12に示す矢印の方向に移動する。このとき、温度が異なる撹拌子6が混ざり合い、熱ロール1の温度の均一化を行うことができる。
このように、撹拌子6が伝熱体3を兼ねることにより、熱ロール1の構成部材数を低減することができ、これにより、熱ロール1のコストダウンを図ることができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を多数使用したが、その量を低減することにより、ほとんどすべての撹拌子6が磁場形成部材7aの移動に伴い同じように移動するようにしても良い。このときも、撹拌子6が移動することにより、芯金2の熱を軸方向に移動させることができるので、熱ロール1の温度の均一化が可能となる。
さらには、撹拌子6を一つだけ備え、その移動のみで熱ロール1の温度の均一化を行うこともできる。その場合、芯金2と撹拌子6との接触面積を確保するため、撹拌子6の形状は円筒状であることが好ましい。
(実施形態11)
図13に示すように、実施形態11に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、芯金2の内側でかつ撹拌子6の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10を備えていることである。この伝熱体流路形成部材10は、外径14mm、肉厚0.3mmのステンレスパイプである。
撹拌子6が図13に示す矢印の方向に移動すると、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。
図11に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、より温度が均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を伝熱体流路形成部材10の内側に設けているが、撹拌子6を芯金2と伝熱体流路形成部材10との間に設けても良い。その場合、撹拌子6の断面形状は、芯金2と伝熱体流路形成部材10との隙間の形状に合わせるのが好ましい。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態12)
図14に示すように、実施形態12に係る熱ロール1は、実施形態9と異なり、撹拌子6及び磁場変更手段7をそれぞれ二つ備えたものである。ボールねじ7cは、そのねじ山の向きが軸方向中央部を境に左右対称となるようにしている。ボールねじ7cを図14に示す矢印の方向に回転させると、二つの磁場変更手段7,7は図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動し、それに伴い二つの攪拌子6,6も図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動する。これら撹拌子6,6の移動に伴い、伝熱体3は図14に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。さらに、磁場変更手段7を往復動させることにより、伝熱体3の左右対称の流れを連続的に繰り返すことができる。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、熱ロール1の構造を軸方向中央部を境に左右対称にして、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、二つの攪拌子6,6のうち右側の撹拌子6が右に移動するときは左側の撹拌子6は左側に移動するようにしたが、これは、右側の撹拌子6が右側に移動するときに左側の撹拌子6も右側に移動するようにしても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて、3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
また、各撹拌子6,6と各磁場変更手段7,7との組み合わせ関係がくずれ、どちらか一つの磁場変更手段7により二つの攪拌子6,6が移動することがないよう、芯金2の軸方向中央部に撹拌子6の動きを規制する規制手段を設けても良い。
(実施形態13)
図15に示すように、実施形態13に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その球の直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は、0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態9と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属球3bを含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)との複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的には、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態14)
図16に示すように、実施形態14に係る熱ロール1は、実施形態13と異なり、撹拌子6が金属球3bを兼ねているものである。撹拌子6は、実施形態10と同様に、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。
本実施形態では、撹拌子6が金属球3bを兼ねることにより、撹拌子6の移動により金属球3bを移動させる場合よりも撹拌子6(金属球3b)の移動をよりスムーズに行うことができる。したがって、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
(実施形態15)
図17に示すように、実施形態15に係る熱ロール1は、実施形態9の熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が大気連通部11よりも下側に来るように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1を使用する場合、温度が上昇し圧力が高まるときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態16)
図18に示すように、実施形態16に係る定着装置は、実施形態5に係る熱ロール1を備えたものである。符号12は加熱ロールであり、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材12a上に、1mm厚のシリコーンゴムからなる柔軟層12bと、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層12cとが形成されたものである。加熱ロール12はその両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。符号13はハロゲンランプであり、加熱ロール12の内部に配置され、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段により通電され、加熱ロール12を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、加熱ロール12の保温温度は170℃に設定している。符号15は加圧ロールであり、実施形態5に係る熱ロール1上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16を形成したものである。また、加熱ロール12及び加圧ロール15は図示なき手段にて所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、加熱ロール12に接する側の面には図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を加熱ロール12及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させることができる。
ここで、加熱ロール12及び加圧ロール15はその両端部分で支持されているため、その両端部分から熱が逃げ、それにより、加熱ロール12の軸方向に温度むらが生じる。また、場合に応じてサイズが異なる記録紙17を使用するときがある。例えば、小幅サイズの記録紙17を連続して使用した場合は、加熱ロール12の記録紙17に接しない両端部の温度が軸方向中央部よりも高くなり、加熱ロール12に温度むらが生じる。これら温度むらは、定着むらや定着不良の大きな原因となる。
加熱ロール12の軸方向の温度の均一化を行う場合には、通常、加熱ロール12の基材12aの断面積を大きくし、熱伝導を向上させるという方法を採用する。この断面積を大きくする方法によれば、温度の均一化はある程度可能である。しかし、この場合、熱容量が大きくなるとともに、ウォームアップ時間が長くなり、また、保温に要するエネルギーが増大して、これは好ましくない。本実施形態では、部材の断面積を大きくすることによりその部材の熱伝導によって熱の移動を起こさせて温度の均一化を行うのではなく、伝熱体3の熱ロール1内の物理的な移動により熱を移動させて温度の均一化を行う。そのため、熱容量の増大を抑えながら熱の移動量を増加させることができる。これにより、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロール1を有する定着装置を提供することができる。
また、熱ロール1に使用している伝熱体3の主成分は水であり、これは基本的に引火しない。このことにより、異常時においても、伝熱体3への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として水を主成分としたものを使用したが、伝熱体3は、引火温度T2℃が加熱ロール12の設定温度T1℃よりも50℃以上高温のものである限り、安全に使用することができる。伝熱体3として、例えばシリコーンオイル(信越化学(株)製のKF54(引火温度315℃以上))等を好ましく用いることができる。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。ここで、図19を用いて、熱ロール1として実施形態9〜15に係る熱ロール1のいずれかを用いた場合の熱ロール1の磁場変更手段7の詳細について説明する。図19に示すように、符号7dは加圧ロール15に取り付けられたプーリであり、加圧ロール15の回転と共に回転する。符号7eはピンであり、プーリ7dに回転自在に取り付けられている。磁場形成部材7aは、ワイヤー7hに固定されている。、ワイヤー7hはバネ7iに接続されている。ワイヤー7h及びバネ7iは、固定部材7j、固定部材7k及びプーリ7f,プーリ7gにより支持されている。この構成によれば、プーリ7dを回転させると、磁場形成部材7aを加圧ロール15の軸方向に往復動させることができる。つまり、非常に簡単な手段により回転運動を往復運動に変換することができる。
また、本実施形態では、加圧ロール15に熱ロール1を備えているが、これは他の場所に設けても良く、例えば、熱ロール1を直接加熱ロール12の外周面に押圧する構成であっても良い。
また、本実施形態では、加熱ロール12を加熱する為の加熱手段として、ハロゲンランプ13を用いたが、これに限らず、例えば、通電による抵抗発熱や電磁誘導による発熱等を用いても構わない。
(実施形態17)
図20に示すように、実施形態17に係る定着装置は、記録紙17に接する部分が複数のロールにより張架された無端状(エンドレス)の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は実施形態5に係る熱ロール1であるものである。
符号19は、押圧ロールであり、ステンレスからなる軸19aとその周りに形成されたスポンジ層19bとから構成されている。符号20は、無端状の定着ベルトであり、ポリイミドからなる基材20a上にポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層20bが形成されたものであり、押圧ロール19と熱ロール1とにより張架されている。符号21は反射板であり、ハロゲンランプ13の光を反射して定着ベルト20に効率良く照射し、その照射した光を定着ベルト20上で熱変換することにより定着ベルト20を加熱する。そして、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段によりハロゲンランプ13に通電し、定着ベルト20を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、定着ベルト20の保温温度は170℃に設定している。加圧ロール15は、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材22上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16が形成されたものである。押圧ロール19、熱ロール1及び加圧ロール15はそれぞれ、その両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。押圧ロール19及び加圧ロール15は、図示なき手段にて定着ベルト20を介して所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、定着ベルト20に接する側の面には、図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を定着ベルト20及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させる。
本実施形態では、熱容量を低減しかつウォームアップ時間を短縮するために定着ベルト20を用いており、その定着ベルト20を熱ロール1に直接張架して定着ベルト20と熱ロール1とを直接接触させている。そのため、熱ロール1の温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト20の外側にハロゲンランプ13を設けているが、定着ベルト20の内側に設けても良い。
また、本実施形態は、熱ロール1を1本備えているものだが、熱ロール1を複数本備えたもの、例えば、定着ベルト20の張架に用いる熱ロール1を複数本備えたもの又は定着ベルト20の内側と外側とにそれぞれ熱ロール1を備えたもの等でも良い。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上のように、本発明は、複写機、FAX(ファクシミリ装置)、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器などに適用される。
本発明は、表面温度を均一に保持することが可能な熱ロール、及び、複写機、FAX(ファクシミリ装置)、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器などに使用する定着装置に関するものである。
従来より、対象物の温度の均一化を行う方法として、ヒートパイプを用いることが知られている。このヒートパイプは、真空状態にしたパイプの中に、適量の作動液とその還流を促進するウィックを装備した熱伝導体である。このヒートパイプでは、作動液が高温部にて気化し、潜熱を奪って蒸気となり、この蒸気が圧力差により低温部に移動し、そこで冷却され、潜熱を放出して液化する。これにより、高温部の熱が低温部に移動し、対象物の温度の均一化を行うことができる。そして、液化した作動液は、ウィックにより還流して元に戻る。このヒートパイプは、非常に熱伝導能力が高く、かつ、静止状態にあるときにおいても対象物の温度の均一化を行うことができる、非常に優れたものである。しかしながら、ヒートパイプが、径が大きい大型のものである場合は、温度の均一化はできるが、それ自体の熱容量が大きくなり好ましくない。また、ヒートパイプが、径が小さいものである場合は、それ自体の熱容量は小さくなるが、作動液が偏在して液切れ状態(ドライアウト)となりやすく、熱伝導能力が低下しやすい。また、そのような細いヒートパイプ内に溝状のウィックを刻んだり、金網状のウィックを巻き込んだりすることは非常に困難であって、そのため、ヒートパイプは高価なものになってしまう。
この問題を解決するために、特許文献1に示すようなものが提案されている。本提案のヒートパイプの構造は図21の様なものである。このヒートパイプは、弾性の金属線材を中央部から自由端にかけて漸次相互間隔が増大するように折り曲げてなるヘアピン状のウィック106と作動液103とを内部に封入した金属管体102からなるものである。このヒートパイプでは、略水平状態で使用すること、及びヒートパイプが回転することが前提とはなるが、ヒートパイプの回転時において、ウィック106は、金属管体102内に封入された作動液103を管体軸方向に還流移動させるように働く。これにより、金属管体102内の作動液103の循環が円滑に行われ、蒸発による液切れ状態が発生しにくく、高熱伝導性を維持できる。また、ウィック106が非常に簡単な構成であるため、金属管体102の径が小さい場合であってもヒートパイプを簡単に製造することができる。
特公平8−7511号公報
しかしながら、より温度を均一化するため、小サイズでありながら伝熱能力が高いヒートパイプが求められている。通常のヒートパイプでは、最大の伝熱能力、すなわち最大熱輸送量は、金属管体102から作動液103への伝熱能力の限界だけでなく、それに加えて、いわゆる粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界によって決まる。これに対し、特許文献1に示すものは、作動液103を管体軸方向に還流移動させる手段を備えているため、その手段により最大熱輸送量を向上できるが、それでも作動液の気化、液化による潜熱の移動が主である以上、粘性限界、音速限界、飛散限界、毛細管限界、沸騰限界が存在し、最大熱輸送量を向上させることは容易ではない。また、ヘアピン状のウィック106を用いて作動液103を管体軸方向に還流移動させているが、これは、作動液103の表面張力を利用しているだけであり、したがって、作動液103の移動量を多くすることは困難であった。
さらに、特許文献1提案のヒートパイプでは、ウィック106の保持にウィック106自身の弾性を利用しており、ウィック106は、その軸方向中央部を金属管体102の内壁に押し当てた状態で固定されている。金属管体102の肉厚が厚く熱容量が大きい場合は特に問題ではないが、金属管体102の熱容量が小さく、かつ、高精度の温度の均一化が要求される場合は、金属管体102とウィック106が接触している部分と接触していない部分とで温度が異なり問題となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、従来のヒートパイプよりもさらに伝熱能力を高め、これにより、より温度の均一な熱ロールを提供することである。本発明の他の目的は、ウィック等の金属管体への部分的な接触を原因とする温度むらをなくし、より温度の均一な熱ロールを提供することである。
本発明に係る熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールでは、伝熱体撹拌手段の主たる支持は、芯金の両端に設けられた封止部材部分又は芯金の両端部分で行うものであり、これにより、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しないため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の回転を支持する回転支持軸を備え、伝熱体撹拌手段は回転支持軸に一体で形成されていることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で芯金及び伝熱体撹拌手段の支持を実現することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段を芯金に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金が静止状態で伝熱体撹拌手段が回転する場合又は芯金が回転状態で伝熱体撹拌手段も回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金の回転方向に対し、伝熱体撹拌手段の回転が逆方向であっても良い。さらに、伝熱体撹拌手段の伝熱体との相対回転速度を自在に大きくすることが可能であり、伝熱体の芯金の軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができるため、温度均一化能力の高い熱ロールを提供することができる。
また、上記熱ロールにおいても、伝熱体撹拌手段は、回転支持軸に一体で形成されているため、芯金の両端部分以外の部分には、伝熱体以外のものが接触しない。そのため、熱ロールの温度を均一にすることができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、回転可能に支持され、回転時に少なくとも一部分が伝熱体に接触するように配置された撹拌部材と、芯金の内側でかつ撹拌部材の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材とを有し、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
上記熱ロールにおいても、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
前記熱ロールにおいて、伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることが好ましい。
このことにより、伝熱体撹拌手段に熱が伝わり難くなり、熱ロールの熱容量を低減することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となるものであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、芯金の液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、液体の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにおいても、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
また、本発明に係る他の定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にしていて、前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
これらのことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
本発明に係る他の熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
上記熱ロールでは、伝熱体の気化、液化による潜熱を移動させるのではなく、温度差のある伝熱体自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体の撹拌さえ十分に行えば、熱の軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金から伝熱体への伝熱の限界によって決まる。また、本構成は、撹拌子を磁力により移動させ、それにより伝熱体を移動させるため、伝熱体の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、磁場変更手段は、芯金の外側に設けられ、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる磁場形成部材と、前記磁場形成部材を芯金の軸方向に移動させる磁場形成部材移動手段とを有し、撹拌子及び磁場形成部材のうち少なくとも一方は磁石を含んでいることが好ましい。
このことにより、非常に簡単な構成で撹拌子を確実に移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金は、非磁性材料からなることが好ましい。
このことにより、撹拌子と磁場形成部材とで形成される磁場が芯金によって弱められることがない。したがって、撹拌子に対し力を十分に伝えることができ、撹拌子を確実に移動させることができ、そのため、伝熱体の撹拌を良好に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は、腐食等の劣化を防止する被覆層を備えていることが好ましい。
このことにより、撹拌子は被覆層を備えているため、撹拌子自身が高温となった場合又は撹拌子周囲が高温となった場合においても、撹拌子が腐食等することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、撹拌子は伝熱体を兼ねていることが好ましい。
このことにより、熱ロールの構成部材数を低減することができ、そのため、熱ロールのコストダウンを図ることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の内側でかつ撹拌子の外側にパイプ状の伝熱体流路形成部材を備え、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで伝熱体の流れ方向が逆向きであることが好ましい。
このことにより、伝熱体流路形成部材の内側と外側とで、伝熱体の流れが、芯金の軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体の芯金内の循環をスムーズに行うことができる。そのため、温度の均一な熱ロールを提供することができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることが好ましい。
このことにより、例えば軸方向両端部と軸方向中央部とで温度にばらつきがある対象物の温度の均一化を本熱ロールを用いて行う場合は、伝熱体の流れが、例えば芯金の軸方向中央部から軸方向左側への流れと軸方向中央部から軸方向右側への流れとに分割されているため、その温度均一化をより効率的に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体からなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができ、芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は金属からなることが好ましい。
このことにより、金属は熱伝導率が良好であるため、芯金と伝熱体との接触面積が小さくても芯金と伝熱体との間の熱の伝達を十分に行うことができる。また、金属は、一般的には、数百℃の状態では固体であるため、簡単な構成の封止部材で芯金を封止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体は液体と金属とからなることが好ましい。
このことにより、芯金と伝熱体との接触面積を十分に確保することができるとともに、良好な熱伝導率を持つ伝熱体を得ることができる。そのため、芯金と伝熱体との間の熱伝達量を向上させることができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上80%以下であることが好ましい。
このことにより、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロールの温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、前記熱ロールにおいて、芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、大気連通手段は、通常時は不連通状態であり、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール内部の圧力が高まっても、大気連通手段により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることが好ましい。
このことにより、熱ロール内部が高圧になった場合は、予め設定された薄肉部が破壊することにより熱ロール内部の圧力を低減することができる。そのため、非常に簡単な手段で、熱ロールの破壊に伴う危険を防止することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなくなるため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロールにおいて、伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、前記液体には消泡剤が添加されていることが好ましい。
このことにより、芯金の内壁に液体の薄膜が形成されることがなく、また、気泡が発生しないため、伝熱体がスムーズに流れる。そのため、芯金と伝熱体との間の良好な熱伝達を維持することができる。
また、前記熱ロ−ルにおいて、伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、液体の液面は大気連通部よりも下側となることが好ましい。
このことにより、封止部材による封止は液体がもれない程度で良く、さらには、大気連通部を備えているため、熱ロールの内圧が高まることもなく、熱ロールの破壊等の危険をなくすことができる。
本発明に係る定着装置は、熱ロールを備えたものであって、前記熱ロールは、中空円筒状の芯金と、前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されているものである。そして、この伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にするものである。
このことにより、熱容量の増大を抑えながら芯金の軸方向に関する熱伝導能力を増大できるため、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロールを有する定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は前記熱ロールであることが好ましい。
このことにより、熱ロールの温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
また、前記定着装置において、記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることが好ましい。
このことにより、異常時においても、伝熱体への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有している。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向内側の面)には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号8は伝熱体撹拌手段であり、複数の撹拌羽根8aと撹拌支持軸8bと撹拌支持軸固定部材8cとを有し、それらはすべてフェノール樹脂からなる。伝熱体撹拌手段8は、芯金2内に配置されていて、芯金2の両端部にて接合されている。これにより、伝熱体撹拌手段8は、芯金2の回転に伴い芯金2に対して相対速度なく回転する。撹拌羽根8aは、撹拌支持軸8bに一体で形成されていて、伝熱体3と接触している。撹拌羽根8aは、芯金2の軸を中心として回転することにより伝熱体3の芯金軸方向への流れを発生させる。撹拌支持軸8bは、芯金2内をその軸方向に延びている。撹拌支持軸固定部材8cは、撹拌支持軸8bの軸方向両端部を固定支持している。なお、図の理解を容易にするため、撹拌羽根8a及び撹拌支持軸8bの断面形状は記載していない。
図1に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有している。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向内側の面)には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号8は伝熱体撹拌手段であり、複数の撹拌羽根8aと撹拌支持軸8bと撹拌支持軸固定部材8cとを有し、それらはすべてフェノール樹脂からなる。伝熱体撹拌手段8は、芯金2内に配置されていて、芯金2の両端部にて接合されている。これにより、伝熱体撹拌手段8は、芯金2の回転に伴い芯金2に対して相対速度なく回転する。撹拌羽根8aは、撹拌支持軸8bに一体で形成されていて、伝熱体3と接触している。撹拌羽根8aは、芯金2の軸を中心として回転することにより伝熱体3の芯金軸方向への流れを発生させる。撹拌支持軸8bは、芯金2内をその軸方向に延びている。撹拌支持軸固定部材8cは、撹拌支持軸8bの軸方向両端部を固定支持している。なお、図の理解を容易にするため、撹拌羽根8a及び撹拌支持軸8bの断面形状は記載していない。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜70%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、芯金2を図1に示す矢印の方向に回転させる。この回転に伴い、伝熱体撹拌手段8も芯金2に対して相対速度なく回転する。この回転に伴い、伝熱体3が芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
ところで、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の軸方向中央部で行うと、その支持部から芯金2の熱の移動が起こり、芯金2に温度むらが生じる。そのような温度むらが生じる熱ロール1では、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うのは困難である。ここで、本熱ロール1では、伝熱体撹拌手段8の支持を芯金2の両端部分で行っている。そのため、本熱ロール1では、芯金2の両端部分以外の部分には、伝熱体3以外のものが接触しない。これにより、熱ロール1の温度を均一にすることができる。
また、伝熱体撹拌手段8により伝熱体3が芯金軸方向に撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差がある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、伝熱体撹拌手段8は、非金属であるフェノール樹脂で形成されている。ここで、非金属は金属に比較して熱伝導率が低い。そのため、伝熱体撹拌手段8には熱が伝わり難い。したがって、伝熱体撹拌手段8の実質的な熱容量を低く抑えることができ、これにより、熱ロール1の熱容量を低く抑えることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上70%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロールの温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減をすることができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8を芯金2の両端部にて接合保持したが、これを封止部材4との接合により保持しても良い。さらに、伝熱体撹拌手段8の主たる支持を芯金2の両端部又は封止部材4で行いさえすれば、例えば伝熱体撹拌手段8の一部分が芯金2の両端部以外の部分に接触していても何ら問題ない。
また、本実施形態では、伝熱体3として水に消泡剤を添加したものを用いたが、水のみでも使用可能であり、さらには、水以外の液体、例えばメタノール、アンモニア等も用いることができる。
また、本実施形態では、大気連通手段9として芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、熱ロール1を再度使用することができる。
また、本実施形態では、伝熱体撹拌手段8は、フェノール樹脂から形成されているが、これは、非金属で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分に耐え得る耐熱性があるものであれば他の材料でも構わない。さらに、伝熱体撹拌手段8は、攪拌羽根8a、攪拌支持軸8b及び攪拌支持軸固定部材8cの各部材から構成されているが、これは、一つの部材から成形されたもの等でも良い。
(実施形態2)
図2に示すように、実施形態2に係る熱ロール1は、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているものである。すなわち、回転支持軸5は、芯金2内をその軸方向に延び、内輪4bに挿通されて内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。また、実施形態1では、撹拌支持軸8bはフェノール樹脂で形成したが、本実施形態では、回転支持軸5の強度の観点と芯金2の封止の観点より、回転支持軸5は、ステンレス等の金属で形成している。撹拌羽根8aはこの回転支持軸5に一体で形成されている。
図2に示すように、実施形態2に係る熱ロール1は、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているものである。すなわち、回転支持軸5は、芯金2内をその軸方向に延び、内輪4bに挿通されて内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。また、実施形態1では、撹拌支持軸8bはフェノール樹脂で形成したが、本実施形態では、回転支持軸5の強度の観点と芯金2の封止の観点より、回転支持軸5は、ステンレス等の金属で形成している。撹拌羽根8aはこの回転支持軸5に一体で形成されている。
芯金2の封止の観点より、実施形態1と同様に、封止部材4は、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとで形成されていて、芯金2と溶接により接合されている。また、内輪4bの大気側の面(すなわち、内輪4bの芯金軸方向外側の面)には金属膜4cが形成されており、この金属膜4cと回転支持軸5との接合部には溶接や半田等の処理がなされている。その他の点に関しては実施形態1と同様である。
このように、回転支持軸5が撹拌支持軸8b及び撹拌支持軸固定部材8cを兼ねているため、部材数を低減することができ、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。
(実施形態3)
図3に示すように、実施形態3に係る熱ロール1は、実施形態2に係る回転支持軸5を、封止部材4に、芯金2と同軸でかつ芯金2に対し回転自在に支持させているものである。封止部材4として、金属環、ゴム、バネ等からなる回転用オイルシールを用いている。また、図示なき手段にて、回転支持軸5は、芯金2に対し相対的に回転する。回転支持軸5の伝熱体3に対する相対回転速度は、実施形態2では芯金2の回転速度によって決まるが、本実施形態では回転支持軸5の回転速度を可変とすることにより自由に設定することができる。また、回転支持軸5の回転速度が速ければ速いほど、伝熱体3の芯金軸方向への移動量は多くなり、熱ロール1の軸方向の温度均一化能力は向上する。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
図3に示すように、実施形態3に係る熱ロール1は、実施形態2に係る回転支持軸5を、封止部材4に、芯金2と同軸でかつ芯金2に対し回転自在に支持させているものである。封止部材4として、金属環、ゴム、バネ等からなる回転用オイルシールを用いている。また、図示なき手段にて、回転支持軸5は、芯金2に対し相対的に回転する。回転支持軸5の伝熱体3に対する相対回転速度は、実施形態2では芯金2の回転速度によって決まるが、本実施形態では回転支持軸5の回転速度を可変とすることにより自由に設定することができる。また、回転支持軸5の回転速度が速ければ速いほど、伝熱体3の芯金軸方向への移動量は多くなり、熱ロール1の軸方向の温度均一化能力は向上する。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
本熱ロール1では、回転支持軸5を芯金2に対し相対的に回転可能に支持していることにより、芯金2が静止状態で撹拌羽根8aが回転する場合又は芯金2が回転状態で撹拌羽根8aも回転する場合のどちらでも用いることができる。また、芯金2の回転方向に対し、撹拌羽根8aの回転が逆方向であっても良い。
さらに、撹拌羽根8aの伝熱体3に対する相対回転速度を自在に大きくすることができるため、伝熱体3の芯金軸方向への移動量及び移動速度を大きくすることができる。そのため、温度均一化能力の高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、封止部材4にオイルシールを使用しているが、この場合、水蒸気は微量ではあるが透過する。そのため、伝熱体3が水を主成分としてなる場合は、極力低温で使用するのが好ましく、また、伝熱体3として不揮発性の液体を使用するのも好ましい。
(実施形態4)
図4に示すように、実施形態4に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。伝熱体撹拌手段8は、芯金2に封止部材4及び回転支持軸5を介して回転可能に支持され、かつ、回転時に少なくとも一部分が伝熱体3に接触するように配置された撹拌羽根8aと、芯金2の内側でかつ撹拌羽根8aの外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10とを有し、その伝熱体流路形成部材10は図示なき手段にて芯金2の両端部にて固定されている。芯金2が図示なき手段にて回転すると、撹拌羽根8aも同様に回転し、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
図4に示すように、実施形態4に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。伝熱体撹拌手段8は、芯金2に封止部材4及び回転支持軸5を介して回転可能に支持され、かつ、回転時に少なくとも一部分が伝熱体3に接触するように配置された撹拌羽根8aと、芯金2の内側でかつ撹拌羽根8aの外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10とを有し、その伝熱体流路形成部材10は図示なき手段にて芯金2の両端部にて固定されている。芯金2が図示なき手段にて回転すると、撹拌羽根8aも同様に回転し、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図4に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。その他の点に関しては、実施形態2と同様である。
図1、図2、図3に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側(軸方向一端側)から軸方向右側(軸方向他端側)への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10は芯金2の両端部にて固定したが、これは回転支持軸5、撹拌羽根8a又は封止部材4に固定しても構わない。
また、伝熱体流路形成部材10を撹拌羽根8aと同一工法により同時に形成しても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体流路形成部材10の内側に撹拌羽根8aを備えているが、撹拌羽根8aを伝熱体流路形成部材10の外側に設けても構わない。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態5)
図5に示すように、実施形態5に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されている、実施形態4に係る熱ロールとは別の構成のものである。本熱ロール1の実施形態4の熱ロールと異なるところは、伝熱体流路形成部材10をなくしたこと、及び撹拌羽根8aの形状を変えたことである。図5において、伝熱体撹拌手段として、厚さが0.2mmのステンレスからなる撹拌板8dを用いている。この撹拌板8dは両端部よりも中央部が幅広となっており、これを熱ロール1の軸に対して傾けて取り付けている。撹拌板8dの両端部を折り曲げ、その部分にて芯金2に対して固定している。これにより、芯金2内に図5に示すAの空間とBの空間とを形成することができる。図6の斜視図にて撹拌板8dの形状及び取り付け状態を詳しく示す。図6では、分かり易くするため、撹拌板8d及び芯金2のみを示している。撹拌板8dの中央部を幅広にしたのは、撹拌板8dを傾けて取り付けた場合に撹拌板8dを芯金2の内部に上手く沿わせる為である。このとき、撹拌板8dと芯金2との隙間は、使用する伝熱体3にもよるが、0.5mm以内であることが好ましい。図5(a)は、この状態にて伝熱体3の移動が止まった状態であり、図5(b)は、図5(a)の状態から熱ロール1を瞬時に180度回転させた直後の状態、図5(c)は、図5(b)の状態から少し時間が経過した状態であり、時間がさらに経過し伝熱体3の移動が終了した状態が図5(d)である。図5(b)では、左右の液面高さが異なるため、重力により伝熱体3が矢印の方向に移動する。そして、少し時間が経過した後、図5(c)の状態になり、時間がさらに経過した後、図5(d)の状態となる。これにより、伝熱体3の芯金軸方向への移動を行うことができる。さらに図5(d)の状態から180度回転させて図5(a)の状態にした場合は、図示は省略するが、図5(a)の状態から180度回転させて図5(d)の状態にした場合と同様の移動が起こる。したがって、熱ロール1を回転させることにより、Aの空間及びBの空間にそれぞれ伝熱体3の一方向の流れを形成することができる。その他の点に関しては、実施形態1と同様である。
図5に示すように、実施形態5に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されている、実施形態4に係る熱ロールとは別の構成のものである。本熱ロール1の実施形態4の熱ロールと異なるところは、伝熱体流路形成部材10をなくしたこと、及び撹拌羽根8aの形状を変えたことである。図5において、伝熱体撹拌手段として、厚さが0.2mmのステンレスからなる撹拌板8dを用いている。この撹拌板8dは両端部よりも中央部が幅広となっており、これを熱ロール1の軸に対して傾けて取り付けている。撹拌板8dの両端部を折り曲げ、その部分にて芯金2に対して固定している。これにより、芯金2内に図5に示すAの空間とBの空間とを形成することができる。図6の斜視図にて撹拌板8dの形状及び取り付け状態を詳しく示す。図6では、分かり易くするため、撹拌板8d及び芯金2のみを示している。撹拌板8dの中央部を幅広にしたのは、撹拌板8dを傾けて取り付けた場合に撹拌板8dを芯金2の内部に上手く沿わせる為である。このとき、撹拌板8dと芯金2との隙間は、使用する伝熱体3にもよるが、0.5mm以内であることが好ましい。図5(a)は、この状態にて伝熱体3の移動が止まった状態であり、図5(b)は、図5(a)の状態から熱ロール1を瞬時に180度回転させた直後の状態、図5(c)は、図5(b)の状態から少し時間が経過した状態であり、時間がさらに経過し伝熱体3の移動が終了した状態が図5(d)である。図5(b)では、左右の液面高さが異なるため、重力により伝熱体3が矢印の方向に移動する。そして、少し時間が経過した後、図5(c)の状態になり、時間がさらに経過した後、図5(d)の状態となる。これにより、伝熱体3の芯金軸方向への移動を行うことができる。さらに図5(d)の状態から180度回転させて図5(a)の状態にした場合は、図示は省略するが、図5(a)の状態から180度回転させて図5(d)の状態にした場合と同様の移動が起こる。したがって、熱ロール1を回転させることにより、Aの空間及びBの空間にそれぞれ伝熱体3の一方向の流れを形成することができる。その他の点に関しては、実施形態1と同様である。
したがって、本実施形態では、実施形態4と同様に、非常に簡単な手段により、伝熱体3の流れを、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割でき、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、撹拌板8dの外面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態6)
図7に示すように、実施形態6に係る熱ロール1は、その構造が軸方向中央部を境に左右対称となるようにしたものである。第1及び第2撹拌羽根8aa,8abは、その羽根の向きが逆向きである。熱ロール1を図示なき手段により回転させると回転支持軸5も回転し、これに伴い第1及び第2撹拌羽根8aa,8abも回転する。第1撹拌羽根8aaが回転すると第1伝熱体流路形成部材10a内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動し、また、第2撹拌羽根8abが回転すると第2伝熱体流路形成部材10b内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動する。これらの移動に伴い、第1及び第2伝熱体流路形成部材10a,10b外部の伝熱体3はそれぞれ図7に示す矢印の様に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。その他の点に関しては、実施形態4と同様である。
図7に示すように、実施形態6に係る熱ロール1は、その構造が軸方向中央部を境に左右対称となるようにしたものである。第1及び第2撹拌羽根8aa,8abは、その羽根の向きが逆向きである。熱ロール1を図示なき手段により回転させると回転支持軸5も回転し、これに伴い第1及び第2撹拌羽根8aa,8abも回転する。第1撹拌羽根8aaが回転すると第1伝熱体流路形成部材10a内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動し、また、第2撹拌羽根8abが回転すると第2伝熱体流路形成部材10b内部の伝熱体3は図7に示す矢印の方向に移動する。これらの移動に伴い、第1及び第2伝熱体流路形成部材10a,10b外部の伝熱体3はそれぞれ図7に示す矢印の様に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。その他の点に関しては、実施形態4と同様である。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、芯金2の内部構造を軸方向中央部で二つに分割して、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、実施形態4の撹拌羽根8a及び伝熱体流路形成部材10をそれぞれ二つ備えているが、図8に示す様に、実施形態5の撹拌板8dを二つ備えた構成でも良い。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
(実施形態7)
図9に示すように、実施形態7に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態5と同様である。
図9に示すように、実施形態7に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態5と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属を含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)の複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的に、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態8)
図10に示すように、実施形態8に係る熱ロール1は、実施形態5に係る熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が常に大気連通部11よりも下側にくるように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
図10に示すように、実施形態8に係る熱ロール1は、実施形態5に係る熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が常に大気連通部11よりも下側にくるように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1の温度が上昇し熱ロール1の内圧が高まったときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態9)
図11に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有する。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号6は芯金2内に保持された撹拌子であり、その断面が楕円形状であり、鉄の芯材6aに対しその周囲に被覆層6bとしてクロムメッキ層を設けてなる。被覆層6bとしては、金属だけではなく、例えば、フッ素系樹脂等も用いることができる。符号7aは芯金2外に配置されかつ磁石からなる磁場形成部材であり、フェライト系、希土類系、それらを樹脂に混ぜ込んだプラスチック系の永久磁石、及び電磁石のいずれでも良く、本実施形態では、コストの観点からフェライト系の永久磁石を用いている。磁場形成部材7aは、芯金2外に配置された保持台7b及びボールねじ7cにより、芯金軸方向に往復動可能に支持されている。このボールねじ7cは、芯金2に沿ってその軸方向に延びている。これら磁石7a、保持台7b及びボールねじ7cが磁場変更手段を構成し、撹拌子6及びこの磁場変更手段が伝熱体撹拌手段を構成している。
図11に示すように、符号2は外径20mm、肉厚0.5mm、長さ250mmのアルミニウム製の中空円筒状の芯金であり、その内部に液体からなる伝熱体3を封入保持している。芯金2の内周面には、シリコーン系、又はフッ素系の撥水処理が施されている。符号4は、伝熱体3が流出しないように芯金2の両端を封止する封止部材であり、アルミニウムからなる外輪4aと耐熱性が良好なフェノール樹脂からなる内輪4bとを有する。また、内輪4bの伝熱体3に接する側の面には金属膜4cが形成されている。さらに、内輪4bには、芯金2の回転を支持する、ステンレス等の金属からなる回転支持軸5が圧入されている。この回転支持軸5は、内輪4bから芯金軸方向外側に延びている。封止部材4は、芯金2と溶接により接合している。これにより、伝熱体3が気化しても、芯金2の完全な封止が可能となる。符号6は芯金2内に保持された撹拌子であり、その断面が楕円形状であり、鉄の芯材6aに対しその周囲に被覆層6bとしてクロムメッキ層を設けてなる。被覆層6bとしては、金属だけではなく、例えば、フッ素系樹脂等も用いることができる。符号7aは芯金2外に配置されかつ磁石からなる磁場形成部材であり、フェライト系、希土類系、それらを樹脂に混ぜ込んだプラスチック系の永久磁石、及び電磁石のいずれでも良く、本実施形態では、コストの観点からフェライト系の永久磁石を用いている。磁場形成部材7aは、芯金2外に配置された保持台7b及びボールねじ7cにより、芯金軸方向に往復動可能に支持されている。このボールねじ7cは、芯金2に沿ってその軸方向に延びている。これら磁石7a、保持台7b及びボールねじ7cが磁場変更手段を構成し、撹拌子6及びこの磁場変更手段が伝熱体撹拌手段を構成している。
伝熱体3は、水を主成分としたものであり、それに消泡剤を添加したものである。消泡剤としては、シリコーン系のエマルジョン型のもの又は自己乳化型のものが好ましく用いられる。本実施形態では、エマルジョン型のKM98(信越化学(株)製)を用いており、その添加量を100ppmとした。ところで、界面活性剤を使用することにより水の表面張力を低減させ、伝熱体3の流動性を向上させることも検討したが、この場合、気泡の発生により伝熱体3の流動が妨げられ易いため、本実施形態では、上述のように消泡剤を使用している。また、伝熱体3の封入量は、芯金2内部の全空間体積に対して10%〜80%の体積であることが好ましく、さらに好ましくは、30%〜60%の体積であり、本実施形態では50%の体積としている。
符号9は大気連通手段であり、芯金2の端部の一部分をその近傍部分よりも薄肉化してなるものである。
次に動作について説明する。まず、芯金2の軸方向の温度にばらつきがある状態から考える。このとき、伝熱体3の芯金軸方向の温度にもばらつきが生じている。ここで、図示なき駆動手段によりボールねじ7cを図11に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図11に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、伝熱体3も芯金軸方向へ流れる。この流れにより、伝熱体3が芯金軸方向に撹拌される。
本熱ロール1では、撹拌子6の芯金軸方向の移動により、伝熱体3が撹拌され、異なる温度の伝熱体3が混ざり合い、均一な温度の伝熱体3となる。これにより、芯金2の温度を軸方向に均一化し、熱ロール1に接触させる部材の温度の均一化を行うことができる。本構成は、伝熱体3の気化、液化による潜熱を移動させるいわゆるヒートパイプと異なり、温度差のある伝熱体3自身を撹拌し、それにより熱を移動させるため、伝熱体3の撹拌さえ十分に行えば、熱の芯金軸方向への移動の限界は、ほぼ、芯金2から伝熱体3への伝熱の限界のみで決まる。また、本構成は、撹拌子6を磁力により移動させ、それにより伝熱体3を移動させるため、伝熱体3の表面張力のみで移動させる場合よりも伝熱体3を移動させやすい。したがって、従来のヒートパイプよりさらに温度の均一な熱ロール1を提供することができる。
また、芯金2は非磁性材料から形成している。これにより、撹拌子6と磁場形成部材7aとで形成される磁場が芯金2によって弱められることがない。したがって、撹拌子6に対し力を十分に伝えることができるため、撹拌子6を確実に移動させることができる。そのため、伝熱体3の撹拌を良好に行うことができる。
また、撹拌子6には被覆層6bが設けられている。これにより、撹拌子6自身が高温となった場合又は撹拌子6周囲が高温となった場合においても、撹拌子6が腐食することなく、その初期の特性を維持することができる。したがって、撹拌子6を長期間に亘って安定した状態で移動させることができる。
また、伝熱体3として液体を使用している。これにより、芯金2と伝熱体3との接触面積を十分に確保することができ、芯金2と伝熱体3との間の熱の伝達を十分に行うことができる。したがって、温度均一化能力の高い熱ロール1とすることができる。
また、芯金2内の全空間体積に対する伝熱体3の体積の割合は、10%以上80%以下としている。ここで、伝熱体3の体積比が小さい場合は、伝熱体3と芯金2との接触面積を十分に確保することができないため、芯金2と伝熱体3との熱の移動が十分に行われない。逆に、伝熱体3の体積比が大きすぎる場合は、伝熱体3の芯金2内の移動がスムーズに行われ難く、温度差のある伝熱体3が混ざり合い難い。本実施形態では、適度な体積比の伝熱体3を封入しているため、効率の良い熱伝導が可能となり、熱ロール1の温度の均一化を効率良く行うことができる。
また、芯金2は、芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させるための大気連通手段9を備えたものであり、この大気連通手段9は、通常時は常に不連通状態である一方、熱ロール1の温度が異常に上昇して熱ロール1内部の圧力が異常に高まった異常時にのみ連通状態となるように設定している。これにより、熱ロール1の温度がその使用温度を超えて異常な高温になり、熱ロール1内部の圧力が高まっても、その場合、大気連通手段9により気化した蒸気を外部に放出し、熱ロール1内部の圧力を低減することができる。そのため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
さらに、大気連通手段9は、芯金2の肉厚が他の部分よりも薄い部分からなる。すなわち、トラブルにより熱ロール1の温度が異常に上昇し、熱ロール1内部の圧力が異常に高まった場合は、芯金2の肉厚が薄い部分がまず最初に破壊するようにしている。したがって、非常に簡単な手段により破壊のモードを制御することができるため、熱ロール1の破壊に伴う危険を防止することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、芯金2の伝熱体3が接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされているため、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成され難くなる。これにより、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
また、伝熱体3の主成分は水であり、水には消泡剤が添加されているため、このことにおいても、芯金2に伝熱体3の薄膜が形成されることがなくなる。そのため、芯金2と伝熱体3との良好な熱伝達を維持することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、水に消泡剤を添加したものを用いたが、これは、水のみでも良く、さらには、水以外の液体、例えば、メタノール、アンモニア等でも良い。
また、本実施形態では、大気連通手段9として、芯金2の端部の一部分を薄肉化したものを用いているが、これは、封止部材4の一部分を薄肉化したものでも良い。また、芯金2又は封止部材4に設けた圧力逃がし弁や圧力調整弁等でも良い。その場合、大気連通手段9が作動しても、温度が低下し内圧が低くなれば、再度熱ロール1を使用することができる。
また、本実施形態では、撹拌子6に磁性体を用い、磁場形成部材7aに磁石を用いたが、撹拌子6が磁石であり、磁場形成部材7aが磁性体であっても良く、さらには、撹拌子6及び磁場形成部材7a共に磁石であっても構わない。
(実施形態10)
図12に示すように、実施形態10に係る熱ロール1は、撹拌子6が伝熱体3を兼ねているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、伝熱体3をなくしたことと、撹拌子6を変更したことである。撹拌子6は、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。ニッケルは、腐食に強く、強磁性材料であるため、攪拌子6として好ましい。
図12に示すように、実施形態10に係る熱ロール1は、撹拌子6が伝熱体3を兼ねているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、伝熱体3をなくしたことと、撹拌子6を変更したことである。撹拌子6は、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。ニッケルは、腐食に強く、強磁性材料であるため、攪拌子6として好ましい。
この構成にて、実施形態9と同様に、ボールねじ7cを図12に示す矢印の方向に回転させる。すると、保持台7bは磁場形成部材7aを保持したまま図12に示す矢印の方向に移動する。この移動に伴い、磁場形成部材7aとの磁力により撹拌子6も図12に示す矢印の方向に移動する。このとき、温度が異なる撹拌子6が混ざり合い、熱ロール1の温度の均一化を行うことができる。
このように、撹拌子6が伝熱体3を兼ねることにより、熱ロール1の構成部材数を低減することができ、これにより、熱ロール1のコストダウンを図ることができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を多数使用したが、その量を低減することにより、ほとんどすべての撹拌子6が磁場形成部材7aの移動に伴い同じように移動するようにしても良い。このときも、撹拌子6が移動することにより、芯金2の熱を軸方向に移動させることができるので、熱ロール1の温度の均一化が可能となる。
さらには、撹拌子6を一つだけ備え、その移動のみで熱ロール1の温度の均一化を行うこともできる。その場合、芯金2と撹拌子6との接触面積を確保するため、撹拌子6の形状は円筒状であることが好ましい。
(実施形態11)
図13に示すように、実施形態11に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、芯金2の内側でかつ撹拌子6の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10を備えていることである。この伝熱体流路形成部材10は、外径14mm、肉厚0.3mmのステンレスパイプである。
図13に示すように、実施形態11に係る熱ロール1は、芯金2の軸方向に垂直な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れが複数に分割されているものである。本実施形態の実施形態9と異なるところは、芯金2の内側でかつ撹拌子6の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材10を備えていることである。この伝熱体流路形成部材10は、外径14mm、肉厚0.3mmのステンレスパイプである。
撹拌子6が図13に示す矢印の方向に移動すると、伝熱体流路形成部材10内部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体流路形成部材10外部の伝熱体3は図13に示す矢印の方向に移動する。つまり、伝熱体3の流れ方向が、伝熱体流路形成部材10の内側と外側とで芯金軸方向逆向きである。
図11に示す熱ロール1では、伝熱体3の芯金軸方向への流れが発生しているが、例えば、伝熱体3が右方向へ移動した場合、どこかでは伝熱体3が左方向へ移動している。その場合、少なくともどこかでは伝熱体3の右方向の流れと左方向の流れとがぶつかり合い、伝熱体3の移動がスムーズに行われ難くなってしまうおそれがある。これに対し、本熱ロール1では、伝熱体3の流れが、芯金軸方向左側から軸方向右側への流れと軸方向右側から軸方向左側への流れとに明確に分割されているため、伝熱体3の芯金2内の循環をスムーズに行うことができる。これにより、より温度が均一な熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、撹拌子6を伝熱体流路形成部材10の内側に設けているが、撹拌子6を芯金2と伝熱体流路形成部材10との間に設けても良い。その場合、撹拌子6の断面形状は、芯金2と伝熱体流路形成部材10との隙間の形状に合わせるのが好ましい。
さらに、伝熱体流路形成部材10の内周面や外周面に撥水膜を形成し、伝熱体3の移動性を向上させても良い。
(実施形態12)
図14に示すように、実施形態12に係る熱ロール1は、実施形態9と異なり、撹拌子6及び磁場変更手段7をそれぞれ二つ備えたものである。ボールねじ7cは、そのねじ山の向きが軸方向中央部を境に左右対称となるようにしている。ボールねじ7cを図14に示す矢印の方向に回転させると、二つの磁場変更手段7,7は図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動し、それに伴い二つの攪拌子6,6も図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動する。これら撹拌子6,6の移動に伴い、伝熱体3は図14に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。さらに、磁場変更手段7を往復動させることにより、伝熱体3の左右対称の流れを連続的に繰り返すことができる。
図14に示すように、実施形態12に係る熱ロール1は、実施形態9と異なり、撹拌子6及び磁場変更手段7をそれぞれ二つ備えたものである。ボールねじ7cは、そのねじ山の向きが軸方向中央部を境に左右対称となるようにしている。ボールねじ7cを図14に示す矢印の方向に回転させると、二つの磁場変更手段7,7は図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動し、それに伴い二つの攪拌子6,6も図14に示す矢印の方向にそれぞれ移動する。これら撹拌子6,6の移動に伴い、伝熱体3は図14に示す矢印の方向に移動する。これにより、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に左右対称とすることができる。すなわち、芯金2の軸方向に平行な断面視において、伝熱体3の芯金軸方向への流れを複数に分割することができる。さらに、磁場変更手段7を往復動させることにより、伝熱体3の左右対称の流れを連続的に繰り返すことができる。
熱ロール1を用いて温度の均一化を行う対象物は、左右対称の形状でかつ温度むらが左右対称に起こるものが多い。この様な対象物の温度均一化を行う場合は、本実施形態の様に、熱ロール1の構造を軸方向中央部を境に左右対称にして、その中を伝熱体3を移動させることにより、伝熱体3の移動量が少ない状態で温度均一化を行うことができる。これにより、本実施形態によれば、熱ロール1の温度均一化能力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、二つの攪拌子6,6のうち右側の撹拌子6が右に移動するときは左側の撹拌子6は左側に移動するようにしたが、これは、右側の撹拌子6が右側に移動するときに左側の撹拌子6も右側に移動するようにしても構わない。
また、本実施形態では、伝熱体3の流れを芯金軸方向中央部を境に二つに分割したが、これは、温度均一化を行う対象物に合わせて、3つ以上に分割しても構わない。さらに、左右対称でない分割でも構わない。
また、各撹拌子6,6と各磁場変更手段7,7との組み合わせ関係がくずれ、どちらか一つの磁場変更手段7により二つの攪拌子6,6が移動することがないよう、芯金2の軸方向中央部に撹拌子6の動きを規制する規制手段を設けても良い。
(実施形態13)
図15に示すように、実施形態13に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その球の直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は、0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態9と同様である。
図15に示すように、実施形態13に係る熱ロール1は、伝熱体3として水3a及び金属球3bを用いたものである。金属球3bは熱伝導性の観点から銅を用いており、また、その球の直径は0.5mm〜3mmが好ましく、本実施形態では、直径0.8mmのものを用いている。また、水3a及び金属球3bの配合比は、質量比で水1に対し、銅は、0.2〜2が好ましく、本実施形態では、その配合比を水:銅=1:1としている。熱ロール1を回転させると、金属球3b及び水3aが芯金軸方向に移動し、熱ロール1の温度の均一化が図られる。その他の点に関しては、実施形態9と同様である。
本実施形態では、伝熱体3が熱伝導性の良好な金属球3bを含むことにより、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として、液体(水3a)及び金属(金属球3b)との複合品を用いたが、これは、金属のみを用いたものでも良い。この場合、金属は、一般的には、数百℃までは固体であるため、芯金2の封止は簡単な封止部材4にて可能となる。また、伝熱体3として金属の小球のみを用いる場合は、金属球3bは帯電し易く、それゆえに、伝熱体3(金属球3b)が移動しにくくなるため、金属球3bを適度に除電する除電手段を備えているのが好ましい。また、伝熱体3を金属のみとする場合は、伝熱体3は金属球3bではなくさらに大きい金属ブロックでも良い。
(実施形態14)
図16に示すように、実施形態14に係る熱ロール1は、実施形態13と異なり、撹拌子6が金属球3bを兼ねているものである。撹拌子6は、実施形態10と同様に、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。
図16に示すように、実施形態14に係る熱ロール1は、実施形態13と異なり、撹拌子6が金属球3bを兼ねているものである。撹拌子6は、実施形態10と同様に、その材質をニッケル、その形状を球状とし、さらに、それを多数用いている。撹拌子6の直径は0.5mm〜3mmであることが好ましく、本実施形態では1mmのものを用いている。
本実施形態では、撹拌子6が金属球3bを兼ねることにより、撹拌子6の移動により金属球3bを移動させる場合よりも撹拌子6(金属球3b)の移動をよりスムーズに行うことができる。したがって、芯金2と伝熱体3との間の熱伝達量を向上させることが可能となり、温度均一化能力のより高い熱ロール1を提供することができる。
(実施形態15)
図17に示すように、実施形態15に係る熱ロール1は、実施形態9の熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が大気連通部11よりも下側に来るように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
図17に示すように、実施形態15に係る熱ロール1は、実施形態9の熱ロール1において、伝熱体3を、水を主成分としたものから不揮発性のシリコーンオイルに変更し、さらに、封止部材4に芯金2外(大気)と芯金2内とを連通させる大気連通部11を備えたものである。シリコーンオイルとしては、信越化学(株)製のKF54を使用した。この大気連通部11は、回転支持軸5の軸芯部にその軸方向に延びるように形成されている。そして、伝熱体3は、その液面が大気連通部11よりも下側に来るように、熱ロール1内の全空間体積に対する体積比を30%としている。これにより、伝熱体3が大気連通部11からこぼれることを防ぐことができる。大気連通部11の穴径は0.5mmである。
本実施形態によれば、封止部材4による封止は液体がもれない程度で良く、熱ロール1の低コスト化を図ることができる。また、熱ロール1を使用する場合、温度が上昇し圧力が高まるときにおいても、大気連通部11により圧力を常に解放することができるため、圧力が上昇することがなく、熱ロール1の設計を容易にすることができる。また、熱ロール1の温度が異常な高温になった異常時でも、圧力を常に解放できるため、内圧の高まりによる熱ロール1の破壊等の危険をなくすことができる。
なお、伝熱体3は、不揮発性で、かつ、熱ロール1の使用温度に十分耐え得る耐熱性がある液体であれば、シリコーンオイルに限らず他の液体でも構わない。
(実施形態16)
図18に示すように、実施形態16に係る定着装置は、実施形態5に係る熱ロール1を備えたものである。符号12は加熱ロールであり、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材12a上に、1mm厚のシリコーンゴムからなる柔軟層12bと、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層12cとが形成されたものである。加熱ロール12はその両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。符号13はハロゲンランプであり、加熱ロール12の内部に配置され、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段により通電され、加熱ロール12を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、加熱ロール12の保温温度は170℃に設定している。符号15は加圧ロールであり、実施形態5に係る熱ロール1上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16を形成したものである。また、加熱ロール12及び加圧ロール15は図示なき手段にて所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、加熱ロール12に接する側の面には図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を加熱ロール12及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させることができる。
図18に示すように、実施形態16に係る定着装置は、実施形態5に係る熱ロール1を備えたものである。符号12は加熱ロールであり、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材12a上に、1mm厚のシリコーンゴムからなる柔軟層12bと、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層12cとが形成されたものである。加熱ロール12はその両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。符号13はハロゲンランプであり、加熱ロール12の内部に配置され、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段により通電され、加熱ロール12を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、加熱ロール12の保温温度は170℃に設定している。符号15は加圧ロールであり、実施形態5に係る熱ロール1上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16を形成したものである。また、加熱ロール12及び加圧ロール15は図示なき手段にて所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、加熱ロール12に接する側の面には図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を加熱ロール12及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させることができる。
ここで、加熱ロール12及び加圧ロール15はその両端部分で支持されているため、その両端部分から熱が逃げ、それにより、加熱ロール12の軸方向に温度むらが生じる。また、場合に応じてサイズが異なる記録紙17を使用するときがある。例えば、小幅サイズの記録紙17を連続して使用した場合は、加熱ロール12の記録紙17に接しない両端部の温度が軸方向中央部よりも高くなり、加熱ロール12に温度むらが生じる。これら温度むらは、定着むらや定着不良の大きな原因となる。
加熱ロール12の軸方向の温度の均一化を行う場合には、通常、加熱ロール12の基材12aの断面積を大きくし、熱伝導を向上させるという方法を採用する。この断面積を大きくする方法によれば、温度の均一化はある程度可能である。しかし、この場合、熱容量が大きくなるとともに、ウォームアップ時間が長くなり、また、保温に要するエネルギーが増大して、これは好ましくない。本実施形態では、部材の断面積を大きくすることによりその部材の熱伝導によって熱の移動を起こさせて温度の均一化を行うのではなく、伝熱体3の熱ロール1内の物理的な移動により熱を移動させて温度の均一化を行う。そのため、熱容量の増大を抑えながら熱の移動量を増加させることができる。これにより、ウォームアップ時間の増大や保温に要するエネルギーの増大が抑えられた、温度の均一な熱ロール1を有する定着装置を提供することができる。
また、熱ロール1に使用している伝熱体3の主成分は水であり、これは基本的に引火しない。このことにより、異常時においても、伝熱体3への引火等の危険を低減することができ、安全性の高い定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、伝熱体3として水を主成分としたものを使用したが、伝熱体3は、引火温度T2℃が加熱ロール12の設定温度T1℃よりも50℃以上高温のものである限り、安全に使用することができる。伝熱体3として、例えばシリコーンオイル(信越化学(株)製のKF54(引火温度315℃以上))等を好ましく用いることができる。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。ここで、図19を用いて、熱ロール1として実施形態9〜15に係る熱ロール1のいずれかを用いた場合の熱ロール1の磁場変更手段7の詳細について説明する。図19に示すように、符号7dは加圧ロール15に取り付けられたプーリであり、加圧ロール15の回転と共に回転する。符号7eはピンであり、プーリ7dに回転自在に取り付けられている。磁場形成部材7aは、ワイヤー7hに固定されている。、ワイヤー7hはバネ7iに接続されている。ワイヤー7h及びバネ7iは、固定部材7j、固定部材7k及びプーリ7f,プーリ7gにより支持されている。この構成によれば、プーリ7dを回転させると、磁場形成部材7aを加圧ロール15の軸方向に往復動させることができる。つまり、非常に簡単な手段により回転運動を往復運動に変換することができる。
また、本実施形態では、加圧ロール15に熱ロール1を備えているが、これは他の場所に設けても良く、例えば、熱ロール1を直接加熱ロール12の外周面に押圧する構成であっても良い。
また、本実施形態では、加熱ロール12を加熱する為の加熱手段として、ハロゲンランプ13を用いたが、これに限らず、例えば、通電による抵抗発熱や電磁誘導による発熱等を用いても構わない。
(実施形態17)
図20に示すように、実施形態17に係る定着装置は、記録紙17に接する部分が複数のロールにより張架された無端状(エンドレス)の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は実施形態5に係る熱ロール1であるものである。
図20に示すように、実施形態17に係る定着装置は、記録紙17に接する部分が複数のロールにより張架された無端状(エンドレス)の定着ベルトであり、複数のロールのうち少なくとも1本は実施形態5に係る熱ロール1であるものである。
符号19は、押圧ロールであり、ステンレスからなる軸19aとその周りに形成されたスポンジ層19bとから構成されている。符号20は、無端状の定着ベルトであり、ポリイミドからなる基材20a上にポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層20bが形成されたものであり、押圧ロール19と熱ロール1とにより張架されている。符号21は反射板であり、ハロゲンランプ13の光を反射して定着ベルト20に効率良く照射し、その照射した光を定着ベルト20上で熱変換することにより定着ベルト20を加熱する。そして、熱電対等からなる温度センサー14での検知温度に基づき図示なき手段によりハロゲンランプ13に通電し、定着ベルト20を所望の温度に加熱保温する。本実施形態では、定着ベルト20の保温温度は170℃に設定している。加圧ロール15は、肉厚3mmのアルミニウム製パイプの基材22上に、0.05mm厚のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)からなる離型層16が形成されたものである。押圧ロール19、熱ロール1及び加圧ロール15はそれぞれ、その両端部分にて図示なき手段にて回転可能に支持されている。押圧ロール19及び加圧ロール15は、図示なき手段にて定着ベルト20を介して所望の力で加圧されている。符号17は記録紙であり、定着ベルト20に接する側の面には、図示なき手段にてトナー像18が形成される。この記録紙17を定着ベルト20及び加圧ロール15で形成されるニップを通過させることにより、トナー像18を記録紙17に定着させる。
本実施形態では、熱容量を低減しかつウォームアップ時間を短縮するために定着ベルト20を用いており、その定着ベルト20を熱ロール1に直接張架して定着ベルト20と熱ロール1とを直接接触させている。そのため、熱ロール1の温度均一化能力を効果的に定着装置に活用することができ、定着温度の均一な定着装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト20の外側にハロゲンランプ13を設けているが、定着ベルト20の内側に設けても良い。
また、本実施形態は、熱ロール1を1本備えているものだが、熱ロール1を複数本備えたもの、例えば、定着ベルト20の張架に用いる熱ロール1を複数本備えたもの又は定着ベルト20の内側と外側とにそれぞれ熱ロール1を備えたもの等でも良い。
また、本実施形態では、熱ロール1として実施形態5に係る熱ロール1を用いたが、実施形態1〜15に係る熱ロール1のいずれを用いても良い。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上のように、本発明は、複写機、FAX(ファクシミリ装置)、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器などに適用される。
Claims (98)
- 中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、
前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする熱ロール。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 芯金の回転を支持する回転支持軸を備え、
伝熱体撹拌手段は前記回転支持軸に一体で形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。 - 中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、
前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする熱ロール。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、
前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする熱ロール。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 伝熱体撹拌手段は、
回転可能に支持され、回転時に少なくとも一部分が伝熱体に接触するように配置された撹拌部材と、
芯金の内側でかつ前記撹拌部材の外側に配置されたパイプ状の伝熱体流路形成部材とを有し、
前記伝熱体流路形成部材の内側と外側とで前記伝熱体の流れ方向が逆向きであることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。 - 芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 芯金の軸方向に平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 伝熱体撹拌手段は、非金属材料からなることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体からなることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体からなることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体からなることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 伝熱体は金属からなることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 伝熱体は金属からなることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 伝熱体は金属からなることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体と金属とからなることを特徴とする請求項1記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体と金属とからなることを特徴とする請求項4記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体と金属とからなることを特徴とする請求項6記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項15記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項16記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項17記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項21記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項22記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上70%以下であることを特徴とする請求項23記載の熱ロール。
- 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となるものであることを特徴とする請求項15記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項16記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項17記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項21記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項22記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項23記載の熱ロール。 - 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項30記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項31記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項32記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項33記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項34記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項35記載の熱ロール。
- 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項15記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項16記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項17記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項21記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項22記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項23記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項15記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項16記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項17記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項21記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項22記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項23記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項15記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項16記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項17記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項21記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項22記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項23記載の熱ロール。 - 熱ロールを備えた定着装置であって、
前記熱ロールは、
中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、前記芯金と一体となって相対速度なく回転可能に、かつ、前記芯金が軸を中心に回転する間に少なくとも一部が前記伝熱体に接触するよう前記芯金内部に配置されており、
前記伝熱体撹拌手段の主たる支持は、前記封止部材部分又は前記芯金の両端部分で行うものであり、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする定着装置。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項60記載の定着装置。
- 熱ロールを備えた定着装置であって、
前記熱ロールは、
中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の回転を支持し、前記芯金と同軸でかつ前記芯金に対し回転自在な回転支持軸と、
前記芯金と前記回転支持軸との相対回転により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、前記回転支持軸に一体で形成され、前記芯金と前記回転支持軸との相対回転の間に少なくとも一部分が前記伝熱体に接触するよう配置されたものであり、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする定着装置。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項62記載の定着装置。
- 熱ロールを備えた定着装置であって、
前記熱ロールは、
中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記芯金の軸を中心として回転することにより前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成され、
前記芯金の軸方向に垂直な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする定着装置。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項64記載の定着装置。
- 記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、
前記複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることを特徴とする請求項60記載の定着装置。 - 記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、
前記複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることを特徴とする請求項62記載の定着装置。 - 記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、
前記複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることを特徴とする請求項64記載の定着装置。 - 記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることを特徴とする請求項60記載の定着装置。
- 記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることを特徴とする請求項62記載の定着装置。
- 記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることを特徴とする請求項64記載の定着装置。
- 中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、
前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、
前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、
前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする熱ロール。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 磁場変更手段は、
芯金の外側に設けられ、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる磁場形成部材と、
前記磁場形成部材を芯金の軸方向に移動させる磁場形成部材移動手段とを有し、
撹拌子及び前記磁場形成部材のうち少なくとも一方は磁石を含んでいることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。 - 芯金は、非磁性材料からなることを特徴とする請求項74記載の熱ロール。
- 撹拌子は、腐食等の劣化を防止する被覆層を備えていることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 撹拌子は伝熱体を兼ねていることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 芯金の内側でかつ撹拌子の外側にパイプ状の伝熱体流路形成部材を備え、
前記伝熱体流路形成部材の内側と外側とで前記伝熱体の流れ方向が逆向きであることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。 - 芯金の軸方向に対し平行な断面視において、前記伝熱体の前記芯金の軸方向への流れが複数に分割されていることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体からなることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 伝熱体は金属からなることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 伝熱体は液体と金属とからなることを特徴とする請求項72記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上80%以下であることを特徴とする請求項80記載の熱ロール。
- 芯金内の全空間体積に対する伝熱体の体積の割合は、10%以上80%以下であることを特徴とする請求項82記載の熱ロール。
- 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項80記載の熱ロール。 - 芯金外部と前記芯金内部とを連通させるための大気連通手段を備え、
前記大気連通手段は、通常時は不連通状態である一方、温度が異常に上昇した異常時にのみ連通状態となることを特徴とする請求項82記載の熱ロール。 - 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項85記載の熱ロール。
- 大気連通手段は、芯金における肉厚が他の部分よりも薄い部分及び封止部材における肉厚が他の部分よりも薄い部分のうち少なくとも一方を備えたものであることを特徴とする請求項86記載の熱ロール。
- 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項80記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
芯金の前記液体に接する部分のうち少なくとも一部には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項82記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項80記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体の主成分は水であり、
前記液体には消泡剤が添加されていることを特徴とする請求項82記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項80記載の熱ロール。 - 伝熱体を構成する液体は熱ロールの使用温度範囲内では不揮発性のものであり、
封止部材は、芯金外部と芯金内部とを連通させる大気連通部を備えたものであり、
前記液体の液面は前記大気連通部よりも下側となることを特徴とする請求項82記載の熱ロール。 - 熱ロールを備えた定着装置であって、
前記熱ロールは、
中空円筒状の芯金と、
前記芯金内に保持され、前記芯金の軸方向に移動可能な伝熱体と、
前記伝熱体が流出しないように前記芯金の両端を封止する封止部材と、
前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させる伝熱体撹拌手段とを備え、
前記伝熱体撹拌手段は、
前記芯金内部に保持され、磁石及び磁性体のうち少なくとも一方を含んでなる撹拌子と、
前記撹拌子に与える磁場を変化させる磁場変更手段とを有し、
前記磁場変更手段による磁場の変化により前記撹拌子を前記芯金の軸方向に移動させ、この攪拌子の移動により前記伝熱体を前記芯金の軸方向に移動させるように構成されていることを特徴とする定着装置。 - 伝熱体の移動により前記伝熱体の温度を芯金の軸方向に均一にし、これにより、前記芯金の温度を均一にすることを特徴とする請求項95記載の定着装置。
- 記録紙上の未定着トナー像に接する部分が複数のロールにより張架された無端状の定着ベルトであり、
前記複数のロールのうち少なくとも1本は熱ロールであることを特徴とする請求項95記載の定着装置。 - 記録紙上の未定着トナー像に接する部分の設定温度をT1℃、伝熱体の引火温度をT2℃としたとき、(T1+50)<T2であることを特徴とする請求項95記載の定着装置。
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