JPWO2004109858A1 - アンテナ及びそれを用いた電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
従来のアンテナは、アンテナの工法が複雑な点に問題がある。すなわち、給電点をパッチの端部でなくパッチの内部に有するため、給電ピン102が誘電体を貫通する必要があり、それが製造を複雑にする。
また、従来例のアンテナは、グランドパターンに対してパッチアンテナを実装している上面方向にのみ円偏波を放射できるのであって、グランドパターンに対して下面方向へ信号を送信することが不可能である。下面方向へも指向性を有するためには、グランドパターンに対して下面側にもマイクロストリップアンテナを配置する必要があり、そのためには、さらなるコスト増とアンテナサイズの大型化という問題を生じてしまう。
更に、従来のアンテナ素子100は、実装されていない配線基板103の面に形成された導電性パターンにより実現されている。従って、その配線基板103上に下面方向の指向性を有するためにパッチアンテナを配置すると、ハイブリッド回路105を具現化するスペースがなくなってしまう。その結果、配線基板103の内層に計2個のハイブリッド回路105を作り込んでいく必要があり、アンテナ構造が更に複雑化し、アンテナの設計が非常に困難となる。
図2Aは、本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図2Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図2Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図。
図3Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/4の場合の右旋円偏波放射特性図。
図3Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/4の場合の左旋円偏波放射特性図。
図3Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/4の場合の軸比特性図。
図4は本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図5は本発明の実施の形態の放射方向概略図。
図6Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図6Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図6Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図。
図7は本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図8Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図8Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図8Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図。
図9は本発明の実施の形態の別アンテナの上面図。
図10Aは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図10Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図11Aは本発明の実施の形態の別アンテナの上面図。
図11Bは本発明の実施の形態の別アンテナの側面図。
図12Aは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図12Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図13は本発明の実施の形態のアンテナの斜視図。
図14は本発明のアンテナを内蔵した通信機器の概略図。
図15Aは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図15Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図15Cは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図15Dは本発明の実施の形態のアンテナの斜視図。
図16Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図16Bは本発明の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図16Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図。
図17Aは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図17Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図17Cは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図17Dは本発明の実施の形態のアンテナの斜視図。
図18Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図18Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図18Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=0°)。
図18Dは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=40°)。
図18Eは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=140°)。
図19Aは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図19Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図19Cは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図19Dは本発明の実施の形態のアンテナの斜視図。
図20Aは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の右旋円偏波放射特性図。
図20Bは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の左旋円偏波放射特性図。
図20Cは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=0°)。
図20Dは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=30°)。
図20Eは本発明の実施の形態の導電性エレメント長がλ/2の場合の軸比特性図(Φ=150°)。
図21Aは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図21Bは本発明の実施の形態のアンテナの側面図。
図21Cは本発明の実施の形態のアンテナの上面図。
図21Dは本発明の実施の形態のアンテナの斜視図。
図22Aは従来のアンテナの上面図。
図22Bは従来のアンテナの正面図。
図22Cは従来のアンテナの下面図。
また、本発明のアンテナは、90°の角度のV字型に構成された2本の導電性エレメントを有し、それぞれの導電性エレメントに90°の位相差をもって等しい信号電力を供給する給電回路と高周波回路からなるアンテナである。上記構成のアンテナは、導電性エレメントが90°の角度をもって配置され、それぞれの導電性エレメントに90°の位相差をもって給電されるため、2本の導電性エレメントが存在する面に対して直交する方向(以下、便宜上、上下方向と呼ぶ)に円偏波を放射させることが可能となる。
また、本発明のアンテナの給電回路をハイブリッド回路で構成すると、2本の導電性エレメントに同じ信号電力で、且つ、90°の位相差をもって給電することが出来る。すなわち、ハイブリッド回路を採用することにより、ハイブリッド回路を高周波プリント基板上の導電性パターンにより具現化でき、また、2本の導電性エレメントについても高周波プリント基板上の導電性パターンにより具現化できることから、簡易な構造で安価に製造可能な上下方向に円偏波を放射することができるアンテナを実現できる。
また、本発明のアンテナは、90°の角度のV字型に構成された2本の導電性エレメントを有し、V字型の基部で2本の導電性エレメントが電気的に接続され、接続された一端を高周波回路と接続するアンテナである。2本の導電性エレメントの先端を結ぶ直線方向をX軸とし、2本の導電性エレメントが存在する面に対して垂直方向をZ軸としたときに、X軸からZ軸方向への仰角が略30°〜60°、120°〜150°、−30°〜−60°、−120°〜−150°において、同相にて給電された2本の導電性エレメントから放射されるそれぞれの信号が位相差90°にて空間合成されるとともに、それぞれの信号の当該空間における電界ベクトルの向きが直交しているため、その各仰角方向において円偏波を放射することができる。つまり、4つの方向に円偏波を放射することができるアンテナを、ハイブリッド回路を用いることなく簡易に実現することができる。
また、本発明のアンテナは、高周波回路が有するグランドの端部に導電性エレメントを配置したアンテナである。グランドの端部以外の部位に放射エレメントを配置した場合と比較して、グランドと導電性エレメントの間の電磁結合を低減することが可能となり、良好な軸比特性が実現できる。
また、本発明のアンテナは、高周波回路が有するグランドのコーナーで、且つ、そのコーナーの角度が略90°である頂角部に、V字型に構成された2本の導電性エレメントの基部を配置したアンテナであり、各導電性エレメントの放射パターンは、導電性エレメントの軸に対して垂直方向において最も利得が高くなることにより、最も利得の高い方向にグランドが配置されないような位置関係になるように、2本の導電性エレメントをグランド端部の角度が略90°となる角部先端に配置し、グランドと導電性エレメントの電磁結合を低減し、良好な軸比特性を実現したものである。
また、本発明のアンテナは、導電性エレメントがヘリカル形状、メアンダ形状またはジグザク形状のアンテナであり、導電性エレメントをヘリカル形状またはメアンダ形状などとすることによりアンテナの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明のアンテナは、導電性エレメントおよび給電回路の少なくとも一方を高周波プリント基板上の導電性パターンにより構成したアンテナである。導電性エレメントの端部を研磨して長さを調整することにより、アンテナのインピーダンス特性と軸比特性の調整を容易に行えるとともに、高周波プリント基板上にてハイブリッド回路を含めて円偏波タイプのアンテナを具現化できるため、安価で調整の容易な円偏波タイプのアンテナを実現できる。
また、本発明のアンテナは、誘電体セラミック材料または磁性体材料の基体の表面または内層に導電性エレメントを形成したアンテナである。比誘電率および比透磁率の高い材料、例えば、Bi−Nb−O,Bi−Ca−Nb−O,Ba−Nb−Ti−O,Bi−Ca−Zn−Nb−O,Al−Mg−Sm−O等を用いることにより、物理的な導電性エレメント長を短くすることが可能となり、円偏波タイプのアンテナの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明のアンテナは、導電性エレメントの電気長を略λ/2とするアンテナである。導電性エレメントとして略λ/2を採用することにより、グランドに共振電流が流れにくいため、供給された信号の大部分が導電性エレメントから放射されることでグランドからの放射を抑圧できることにより、良好な軸比特性を有した円偏波タイプのアンテナを1つのアンテナのみにより実現できる。
また、本発明のアンテナは、高周波回路を有するグランドの端部に配置された2本の導電性エレメントが、グランドの有する面と直交する面上に配置されることを特長とするアンテナである。グランドと導電性エレメントが直交する位置関係で配置されるため、相互の結合が少なく、グランドからの不要な放射電力を低く抑えることができ、結果、良好な軸比特性を実現することができる。
また、本発明の電子機器は、本発明のアンテナを用いるもので、簡易な構造で上下方向または水平面に対して仰角±45°、±135°の4方向に円偏波を放射可能な安価なアンテナを電子機器に用いることにより、安価で小型な電子機器を実現することが可能となる。例えば、マルチパスフェージングの影響を低減するために、直線偏波だけでなく円偏波を用いたワイヤレスLANの送信側アンテナとして使用する場合に有効である。
(実施の形態)
以下、本発明のアンテナ及びそれを用いた電子機器について、実施の形態を用いて説明する。実施例1〜9は何れも複数の円偏波を放射させることが可能な本発明の一実施の形態を具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例のアンテナA01を示す。アンテナA01は、略90°の角度でV字型に配置された直線状の2本の導電性エレメント1および2と、アンテナ側端子31,32を介して2本の導電性エレメント1および2に信号を供給するハイブリッド回路3と、そのハイブリッド回路3と一定の間隔をもって配置されるグランド板4を有する。2本の導電性エレメント1および2をグランド板4の外側に配置しているので、導電性エレメント1乃至2とグランド板との電磁結合が緩和される構成になっている。ハイブリッド回路3の回路側端子35,36へは、終端器5と給電線路6が接続され、給電線路6の他端は高周波回路7と接続されている。 なお、給電線路6はグランド板4と一定間隔をもって絶縁状態で配置されている。具体的にはマイクロストリップライン等により給電線路6が構成される。また、終端器5の他の端部はグランド板4へ短絡されている。アンテナ側端子31および32からそれぞれ導電性エレメント1および2へ供給される信号は、電力については互いに略同等であるが、信号の位相差が90°である。例えば、導電性エレメント1の信号が導電性エレメント2の信号に対して90°位相が進んでいる場合には、+Z軸方向へ右旋円偏波が放射され、−Z軸方向へ左旋円偏波が放射されることとなる。
図2A−Cに導電性エレメント1および2の電気長を略λ/2とした場合のYZ面の放射特性を示す。図2Aが右旋円偏波の放射パターン、図2Bが左旋円偏波の放射パターンであり、これらの図より、水平方向を除く略全方位へ円偏波を放射していることが分かる。また、同図2CにYZ面における軸比特性を示すが、Y軸近傍を除く広い範囲において良好な軸比特性を実現していることがわかる。以上より、直線上の導電性エレメント2本のみの簡易なアンテナ構造により、広い角度範囲で円偏波を放射できるアンテナを実現できる。
次に、図3A−Cには導電性エレメントの電気長を略λ/4とした場合のYZ面の放射パターンを示す。図3Aが右旋円偏波の放射パターン、図3Bが左旋円偏波の放射パターンであり、図2A,Bの放射パターンと比較して−Y軸方向の放射利得が大きくなっていることが分かる。これは、電気長λ/2の導電性エレメント1および2を用いた場合に比べてグランド板4上に流れる共振電流の量が増加したためである。それに対して、電気長λ/2の導電性エレメント1および2を用いた場合はグランド板4上の共振電流の量が小さく、供給電力の大部分が導電性エレメント1および2上に流れるため、+Y軸方向の放射利得が大きくなっている(図2A,2B参照)。
また、図3Cは電気長λ/4の導電性エレメント1および2を使用した場合のYZ面における軸比特性を示している。図3Cの軸比特性は、図2Cの軸比特性に比べて特性が劣化していることが分かるが、これはグランド板4に流れる共振電流からの放射により、軸比特性が劣化したものと考えられる。
以上より、アンテナが配置される領域に余裕がある場合には、電気長λ/2の導電性エレメント1,2を使用したほうが広い角度範囲にわたって良好な軸比特性を実現できることが分かる。
図4に本発明の第2の実施例を示す。図4のアンテナA02は、略90°の開き角を持つV字型に配置される電気長が略λ/2の導電性エレメント1および2を有し、さらに、その導電性エレメント1および2の一端を電気的に接続する接続点33と、その接続点33に接続される高周波回路7を有する。また、グランド板4の外側に、2本の導電性エレメント1乃至2をグランド板4と絶縁して配置することにより、2本の導電性エレメント1および2とグランド板4の電磁結合の低減を図っている。電気長λ/2の導電性エレメントを採用していることにより、グランド板4上には共振電流は流れにくく、供給された信号電力の大部分は導電性エレメント1および2上を流れることとなる。この場合、各導電性エレメント1および2上の電流分布は導電性エレメントの略中央部分(図4中1cおよび2c)が最も大きくなり、両端部が小さくなる。
図5は、図4の直線X1における放射方向の概略図を示したものである。図5には、2本の導電性エレメント1および2のそれぞれの中点1cおよび2cの間の距離Dと、点1c、2cから同相で放射される電磁波が角度θの方向において有する各電磁波の差分距離Lが示される。距離Lがアンテナの使用周波数のλ/4の距離になる時の角度θにおいて、点1c、2cからの信号の位相が90°ずれることとなる。上記の条件を満たす角度θは全部で4つ存在し、それぞれの角度において、点1c、2cからの電磁波は空間において位相差90°で合成されると共に、それぞれの電磁波のベクトルは略直交しているため、円偏波を放射できることとなる。上記の動作原理により、図4に示したようにハイブリッド回路を用いない簡易な構造により、4つの方向に円偏波を放射できるアンテナを実現できる。
図6A−Cに、図4のアンテナのZX面における放射特性を示す。図6Aが右旋円偏波の放射パターン、図6Bが左旋円偏波の放射パターンであり、略90°の角度を隔てて、右旋と左旋の円偏波が放射されていることが分かる。また、図6CにZX面における軸比特性を示す。図6Cからも、X軸、Z軸を除く広範囲な領域において良好な軸比特性を実現できていることが分かる。
図7に本発明の第3の実施例を示す。図7のアンテナA03は、第2の実施例のアンテナA02と同様な構成要素からなるが、2本の導電性エレメント1および2の接続点33近傍のグランド板4の形状が異なる。図7に示すようにグランド板4が、接続点33に向かって尖った三角形状部を有することにより、グランド板4と導電性エレメント1および2の電磁結合の低減が図られる。各導電性エレメント1、2からの放射利得が最大となるのは、各導電性エレメント1,2の軸と直交する方向である。従って、その直交方向にグランド板4が極力配置されないような構成とするためには、図7に示すようなグランド板4の形状を採用することが効果的である。
図8A−Cに、図7のアンテナのZX面における放射特性を示す。図8Aが右旋円偏波の放射パターン、図8Bが左旋円偏波の放射パターンであり、図8Cが軸比特性をそれぞれ示す。図6A−Cと比較して、軸比特性の改善が図られていることがわかる。これは、グランド板4との電磁結合が低減されたことにより、グランド板4に誘起されて発生した共振電流からの放射が小さくなったことに起因するものと考えられる。
第3の実施例と同様の考え方により、導電性エレメント1および2の配置位置を図9のようにグランド板4の角部(コーナー)とした場合も、良好な軸比特性が得られることは言うまでも無い。図9の構成のアンテナA031にすることで、導電性エレメント1および2を含む面をグランド板4の存在する面に対して直交するように配置しても、電磁結合を低減する効果が得られる。
図10A、Bに本発明の第4の実施例のアンテナA04を示す。図10A、BのアンテナA04は、第2の実施例のアンテナA02を、高周波プリント基板8を用いて作成したものである。つまり、高周波プリント基板8の上面に導電性エレメント1および2と、高周波回路7を配置し、裏面にグランド板4を形成した構成である。このような構成とすることにより、4方向に円偏波を放射可能なアンテナを簡易かつ安価に実現できる。同様に、図11A、BのアンテナA041は、実施例1のアンテナA01を、高周波プリント基板8を用いて作成したものである。
図12A、Bに本発明の第5の実施例を示す。図12A、Bに示すアンテナA042は、第4の実施例で用いた導電性エレメント1および2の先端部分の形状をメアンダ形状9として、各導電性エレメント1,2の物理的な形状の小型化を図ったものである。
また、図13は、導電性エレメント1および2をセラミック等により具現化したアンテナA05を示している。図13において、セラミック基体10の上面には導電性エレメント1および2が導電性ペーストを焼成することにより形成される。セラミック基体10の端部には導電性エレメント1および2の一端と接続される給電導体(図示せず)が形成され、導電性エレメント1,2と接続されていない他端が高周波回路(図示せず)と接続されることにより、導電性エレメント1および2に信号が供給される。
このようにセラミック基体10の表面上でアンテナを形成すると、セラミックの比誘電率により波長短縮を図ることができるため、小型化を実現することが可能となる。尚、導電性エレメント1および2の開放端付近のエレメント幅W1をそれ以外の部分のエレメント幅W2より幅広くしている。このようにすることで開放端部分のインピーダンスを低減させられるので、導電性エレメントの物理的な長さを短くすることが可能となる。また、本実施例5においてはセラミック基体10の表面上にエレメント1,2を形成したが、基板内部にエレメント1,2を形成しても同様の効果が得られると共に、セラミックに代えて磁性体材料を用いても良いことは言うまでもない。
図14に本実施の形態のアンテナを通信機器に用いた例を示す。本発明のアンテナ12を搭載したアクセスポイント11が映像情報を送信し、右旋円偏波および左旋円偏波のアンテナが搭載されたPDPや液晶テレビなどのAV機器13がその信号を受信し、映像等を再生するものである。AV機器13が使用される家庭環境においては、壁、床、天井、人等により、電磁波が反射、回折等されるため、PDPや液晶テレビ13が受信する信号は様々なパス(以下、マルチパスと呼ぶ)を通ってきた信号の合成波となる。このため、各信号の位相の反転等により、受信信号のレベルが著しく劣化し、映像を受信できなくなる現象が発生する場合もある。
このような現象を低減するためには、受信するマルチパス波のパスの数を少なくし、受信信号の位相の反転による受信電力の劣化を低減する必要がある。例えば、円偏波を無線通信に使用した場合、壁等の反射体により円偏波が反射された場合、右旋円偏波だったものは左旋円偏波へ変換され、また左旋円偏波だったものは右旋円偏波へ変換される。つまり、送信側から右旋円偏波を送信し、右旋円偏波アンテナで受信する場合、1回、反射体にて反射された反射波は左旋円偏波となっているため受信されず、直接波である右旋円偏波のみを受信でき、マルチパス波を減らして受信電力の劣化を低減することが可能となる。
但し、この場合、送信アンテナとして、無指向性に近い放射パターンを持った円偏波アンテナを用いる必要がある。すなわち、簡易移動が可能な液晶テレビ等については、特定の位置に固定されることが少ないため、映像データを送信するアクセスポイントのアンテナを無指向性とすることが望ましい。本発明の円偏波タイプのアンテナを使用することにより、1つの円偏波タイプのアンテナのみで所望の特性を実現でき、無線通信機器を安価に提供することができる。図14においては、STB(セット・トップ・ボックス)等のアクセスポイント11に内蔵された本発明のアンテナから送信された円偏波を、液晶テレビなどのAV機器13に内蔵された右旋円偏波アンテナ14および左旋円偏波アンテナ15によるダイバーシティアンテナにて受信することにより、AV機器13を室内の任意の位置に移動しても、良好な映像受信が可能となる。
次に、図15A−Dおよび図16A−Cを用いて本発明の第6の実施例のアンテナA06を示す。図15A−Dは、本発明の動作を理解するために簡略化したアンテナA06の3面図である。図では、第1の導電性エレメント1および第2の導電性エレメント2が一端で電気的に接続され、接続部分とグランド4との間に給電部11が接続されている。このアンテナモデルにおいて、第1の導電性エレメント1および第2の導電性エレメント2のエレメント長はそれぞれ28mmであり、グランド4の寸法は80mm×48mmであり、給電部11が接続される部分が三角形(頂点が90°の角度を有する)に加工されたグランド(高さ10mm)が接続されている。図15Dは、アンテナA06の斜視図を示す。図16に本実施例の4.85GHzにおけるアンテナA06のアンテナ特性を示す。図16A、Bは、それぞれ、右旋円偏波成分、左旋円偏波成分の放射パターン(XZ面)であり、それぞれの放射利得のピークが90°づつシフトした形で、円偏波が放射されることが理解できる。また、図16CにZX面での軸比特性を示す。これらの結果より、4つの方向において、良好な軸比特性が実現できていることがわかる。4つの方向とは、ZX面において±45°、±135°の方向である。
以上より、図15に示したような簡単なアンテナ構造で、4つの方向に円偏波を放射させることが可能となり、安価で概ね無指向性の円偏波アンテナを提供できる。
図17A−D、図18A−Eに本発明の第7の実施例のアンテナA07を示す。なお、実施例6で説明したアンテナA06と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。図17A、B、Cは、本発明の動作を理解するための簡略アンテナモデルの3面図である。アンテナA07は、3本の導電性エレメントを有する。第1の導電性エレメント1はZ軸と平行な軸方向に配置され、第2の導電性エレメント2および第3の導電性エレメント12はそれぞれ±Y軸方向に配置され、それぞれの一端で給電部11と接続されている。導電性エレメント1,2,12の長さは何れも28mmである。図17Dに当該モデルの斜視図を示す。図18には図17に示したアンテナモデルの5.15GHzのアンテナ特性を示す。図18A、Bは、それぞれ、右旋円偏波成分、左旋円偏波成分の放射パターン(XZ面)であり、それぞれの放射利得のピークが90°づつシフトした形で、円偏波が放射されることが理解できる。また、図18C、D、Eには、それぞれΦ=0°、40°、140°方向の軸比特性を示す。ここで、角度Φは、図17Dに説明するように、XY面上で、X軸に対してなす角をいう。
図18Cより、Φ=0°においては、X軸およびZ軸を除いて良好な軸比特性が実現できていることがわかる。また、図18D,Eより、Φ=40°、140°においても、それぞれ低い軸比特性を実現できている。これは、互いに90°の角度で配置された第1の導電性エレメント1と第2の導電性エレメント2による第一の組合せ、および、互いに90°の角度を持って配置された第1の導電性エレメント1と第3の導電性エレメント12による第二の組合せ、の二種類のエレメントの組み合わせからそれぞれ円偏波が放射されることにより、多くの方向において軸比良好な特性を実現できたと考えられる。以上より、図17に示したアンテナA07は簡単な構造で、多数方向へ円偏波を放射させることできる。第7の実施例のアンテナA07について、導電性エレメント1、2または12の先端部分の形状をヘリカル形状や、メアンダ形状またはジグザグ形状にしてもよい。
図19A−Dおよび図20A−Eを用いて、本発明の第8の実施例のアンテナA08を説明する。なお、実施例6のアンテナA06と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しその説明を省略する。図19A、B、Cは本発明の動作を理解するための簡略アンテナモデルの3面図である。第1の導電性エレメント1および第2の導電性エレメント2は、実施例2のアンテナA02と同様に配置されており、さらに、第3の導電性エレメント12と第4の導電性エレメント13がそれぞれ±Y軸方向にそれぞれの端部を給電部11に接続する形で設置されている。図19Dに当該アンテナモデルの斜視図を示す。図20A−Eには、アンテナA08の4.85GHzにおける放射特性を示す。図20A、Bはそれぞれ、右旋円偏波成分、左旋円偏波成分の放射パターン(XZ面)であり、それぞれの放射利得のピークが90°づつシフトした形で、円偏波が放射されることが理解できる。また、図20C、D、Eは、それぞれ、Φ=0°、30°、150°の軸比特性を示す。ここで、角度Φは、図19Dに説明するように、XY面上で、X軸に対してなす角をいう。
図20Cが示すように、Φ=0°においては、X軸およびZ軸を除いて良好な軸比特性が実現できていることがわかる。また、図20D、Eより、Φ=30°、150°においても、それぞれ低い軸比特性を実現できている。これは、第1の導電性エレメント1と第2の導電性エレメント2との第1の組合せ、第3の導電性エレメント12と第1の導電性エレメント1との第2の組合せ、第3の導電性エレメント12と第2の導電性エレメント2との第3の組合せ、第4の導電性エレメント13と第1の導電性エレメント1との第4の組合せ、および第4の導電性エレメント13と第2の導電性エレメント2との第5の組合せに属する各エレメントが互いに90°の角度で配置され、これらの5つの導電性エレメントの組み合わせからそれぞれ円偏波が放射されるため、より多くの方向において軸比良好な特性を実現できたと考えられる。以上より、図19に示したアンテナA08は簡単な構造で、多数方向へ円偏波を放射させることできる。
4本の導電性エレメントを用いた実施例9のアンテナA09の構成の一例を、図21A−Dに示す。なお、アンテナA06の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しその説明を省略する。図21A、B、Cは当該アンテナの3面図である。第1の導電性エレメント1および第2の導電性エレメント2は、実施例2のアンテナA02と同様な位置に設置される。また、第3の導電性エレメント12および第4の導電性エレメント13は、実施例6に示すアンテナA06の第1の導電性エレメント1および第2の導電性エレメント2と同様な位置に設置される。実施例9に示すアンテナ構成によっても、多数方向に軸比特性の良好な円偏波を放射することが可能である。
図面の参照符号の一覧表
A01−A09 アンテナ
2,12,13 導電性エレメント
3 ハイブリッド回路
4 グランド板
5 終端器
6 給電線路
7 高周波回路
8 高周波プリント基板
9 メアンダ形状 meander shape
10 セラミック基体
11 給電点
以下、本発明のアンテナ及びそれを用いた電子機器について、実施の形態を用いて説明する。実施例1〜9は何れも複数の円偏波を放射させることが可能な本発明の一実施の形態を具体的に説明する。
2,12,13 導電性エレメント
3 ハイブリッド回路
4 グランド板
5 終端器
6 給電線路
7 高周波回路
8 高周波プリント基板
9 メアンダ形状 meander shape
10 セラミック基体
11 給電点
Claims (13)
- 2以上の導電性エレメントと高周波回路とを有するアンテナであって、前記複数の導電性エレメントの内の少なくとも二本のエレメントが、90°の角度のV字型に構成され、複数の方向に円偏波を放射することを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、さらに給電回路を有し、前記給電回路が、前記V字型に構成された二本の導電性エレメントに、90度の位相差をもって等しい信号電力を供給することを特徴とするアンテナ。
- 請求項2記載のアンテナであって、前記給電回路がハイブリッド回路で構成されることを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、前記導電性エレメントが、一端で電気的に接続され、前記一端が前記高周波回路に接続されることを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、さらにグランドを有し、前記グランドの外側に前記導電性エレメントが設けられることを特徴とするアンテナ。
- 請求項5記載のアンテナであって、前記グランドが、90°の頂角部を有し、前記V字型に構成された導電性エレメントが、前記頂角部に配置されることを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、前記導電性エレメントが、ヘリカル形状部またはメアンダ形状部を有することを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、前記導電性エレメントおよび給電回路の少なくとも一方が高周波プリント基板上の導電性パターンにより形成されることを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、前記導電性エレメントが誘電体セラミック材料または磁性体材料からなる基体の表面または内層に形成されることを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナであって、前記導電性エレメントがλ/2の電気長を有することを特徴とするアンテナ。
- 請求項2記載のアンテナであって、さらに90°の頂角部を有するグランドを有し、前記頂角部に配置された前記V字型に構成された導電性エレメントを含む面が前記グランドの面と直交し、前記導電性エレメントがλ/2の電気長を有することを特徴とするアンテナ。
- 請求項4記載のアンテナであって、さらに90°の頂角部を有するグランドを有し、前記頂角部に配置された前記V字型に構成された導電性エレメントを含む面が前記グランドの面と直交し、前記導電性エレメントがλ/2の電気長を有することを特徴とするアンテナ。
- 請求項1記載のアンテナを用いることを特徴とする電子機器。
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