JPWO2004075426A1 - 信号処理装置、及びダイレクトコンバージョン受信装置 - Google Patents

信号処理装置、及びダイレクトコンバージョン受信装置 Download PDF

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Abstract

入力端子(10)から入力されたベースバンド信号は、ハイパスフィルタ(12)で直流成分が遮断され、ハイパスフィルタ(12)を通過した信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、信号抽出回路(15)でその電圧範囲外となる電圧部分の信号が抽出される。そして、この抽出された信号に基づいてベースバンド信号の直流電位が帰還点(17)で調整される。

Description

本発明は、信号処理装置に関し、特に、入力信号に含まれるDCオフセットを除去することが可能な信号処理装置の技術に関する。
近年、携帯電話機等の無線通信装置の小型化、低消費電力化及び、低価格化等の要求を実現するための無線受信方式の一つとしてダイレクトコンバージョン方式が知られている。
図24は、ダイレクトコンバージョン方式を適用した受信装置(以下、「ダイレクトコンバージョン受信装置」という)の一般的構成を示す図である。図24に示すダイレクトコンバージョン受信装置100において、アンテナ101で受信された高周波信号であるRF(Radio Frequency)信号は、LNA(Low Noise Amplifier)102で増幅された後、2経路に分岐されミキサ103,104のRFポートに入力される。そして、増幅された各RF信号は、それぞれのミキサ103,104でダウンコンバージョンされる。この時、ミキサ103,104のローカルポートには、それぞれ、入力端子105,106から局部発振信号であるローカル信号が入力されるようになっており、これらのローカル信号は、互いに90度の位相差があり、その周波数が受信すべき(所望の)RF信号のキャリア(搬送波)周波数とほぼ同一に選択されている。これにより、1回のダウンコンバージョンでベースバンド信号が得られる。
また、ミキサ103,104から出力されたベースバンド信号は、それぞれ、増幅器107,108で増幅され、チャネル選択のためのローパスフィルタ(LPF)109,110を通過する。ローパスフィルタ109,110を通過したベースバンド信号は、それぞれ、増幅器111,112で増幅され、ADC(Analog to Digital Converter)113,114でディジタル信号に変換される。
このように、ダイレクトコンバージョン受信装置100では、チャネル信号以外の信号成分が濾波される前にベースバンドへのダウンコンバージョンが行われるため、妨害波の存在などを考慮すると、ミキサ103,104よりも前段で充分な利得を稼ぐことができない。従って、ダウンコンバージョン後の所望波の強度は基本的に弱く、ミキサ103,104の出力のDC(Direct Current)オフセットの影響が相対的に大きくなる。
ところで、DCオフセットは、素子のばらつきによるミキサ出力のDCレベルのドリフト以外にも、幾つかの機構により発生することが知られている。図25A,図25B、及び図26A,図26Bに、DCオフセットの発生機構の主な例を示す。図25Aは、ローカル信号がリークなどにより経路115を通ってミキサ103のRFポートに廻り込む様子を示している。この場合、かかるローカル信号の廻り込みによって、ローカル信号どうしの自己ミキシングによりDCオフセットが発生する。このDCオフセットは、時間と共に変動しない、いわゆるスタティックDCオフセットである。図25Bは、ローカル信号が経路116を通ってミキサ103のRFポートに廻り込む様子を示している。この場合も図25Aの場合と同様、ローカル信号の廻り込みによってDCオフセットが発生する。また、この場合、LNA102の利得設定によってDCオフセット量が変動することになる。従って、RF信号の受信開始直後のLNA利得設定時には、DCオフセット量が変動する。また、LNA102の入力端子に廻り込んだローカル信号がアンテナ101に逆流し、これが一旦空間に放射された後、再度アンテナからLNA102、ミキサ103へと戻ってくる場合がある。この場合のDCオフセットは、周囲環境の変化等により変動する、いわゆるダイナミックDCオフセットとなる。
図26Aは、アンテナ101で受信されたRF信号の一部が経路117を通ってミキサ103のローカルポートに入力される様子を示している。この場合、RF信号のローカルポートへの入力によって、RF信号どうしの自己ミキシングによりDCオフセットが発生する。このDCオフセットは、所望のRF信号の近傍周波数帯に強い妨害波がある場合に顕著に現れる。妨害波の受信強度はフェージングなどの影響により変動するため、このDCオフセットはダイナミックDCオフセットとなる。図26Bは、LNA102で増幅されたRF信号の一部が経路118を通ってミキサ103のローカルポートに廻り込む様子を示している。この場合、RF信号の廻り込みによって、RF信号どうしの自己ミキシングによりDCオフセットが発生する。このDCオフセットは、フェージングなどによるダイナミックDCオフセットの性質と、LNA利得変化によるステップ的なDCオフセット変動の性質との両方を有する。この他にも、ミキサの2次歪みによってもDCオフセットは変動する。
以上説明したDCオフセットを除去するために、例えば、図27及び図28に示す方法が考えられる。図27Aは、DC成分を遮断するコンデンサ119をミキサ103の出力部に設けた方法を示し、図27Bは、DC成分を遮断するハイパスフィルタ120をミキサ103の出力部に設けた方法を示している。図27A,図27Bに示すどちらの方法も、特性的にはハイパス特性になる。図27Cは、増幅器107に帰還素子121を追加してDCサーボをかけた方法示しており、その機能は、ハイパスフィルタと増幅器を兼ねたものである。
図28は、ADC122、信号処理部123及び、DAC124を追加し、DCオフセット量をADC12で取り込み、信号処理部123でDCオフセット量を検出し、DAC124でDCオフセットを取り消す(キャンセル)する信号を発生する方法を示している。なお、図28では、フィードフォワード型で構成されているが、フィードバック型の構成とすることも可能である。また、図28に示す方法において、DCオフセット量の検出を非所望の受信タイムスロット内で行い、所望の受信タイムスロット内ではDCオフセットを取り消す(キャンセル)する信号を固定する方法が知られている。
さらに、DCオフセットの除去は、特許文献に開示された技術によっても可能である。特許文献1(特開平8−316998号公報)に開示された受信装置では、受信信号レベル(受信信号強度)をモニタし、これが所定より大きく変化した時に限り、ハイパスフィルタの時定数を小さくするようにしている。この受信信号レベルの変化は、ミキサの2次歪みに起因するDCオフセットの変動や、利得可変アンプの利得切り替えが生じることによるDCオフセットの変動等を招くことになる。従って、特許文献1の技術によれば、DCオフセットの変動に対応することができる。また、特許文献2(特開平11−186874号公報)には、反転入力端と非反転入力端とを有する増幅器と、その増幅器からの出力信号を帰還増幅する帰還増幅器とを備えたDC帰還型ハイパスフィルタが開示されており、その帰還増幅器は、小振幅信号に対しては低利得で、大振幅信号に対しては高利得になるように非線形に変化する非線形素子を有している。これにより、特許文献2の技術では、出力DCレベルを収束させるまでの応答時間を短くすることができるようにしている。
しかしながら、図27A〜図27Cに示す方法では、受信すべき(所望の)信号成分の一部が失われる場合があること、及びDCオフセット量が時間と共に変動する場合には、DCオフセットの除去と所望の信号成分の保存との両立が難しくなるという課題がある。即ち、ダイナミックDCオフセットなどによるDCオフセットの時間的変動に追従するためには、ハイパスフィルタ等のカットオフ周波数を高く取ることが必要であるが、このカットオフ周波数を高めると、所望の信号成分のうちDC付近の成分も欠落することになるため、受信信号の変調方式によってはビットエラーレート(BER)が許容できないくらい劣化する。一方、図28に示す方法では、ハードウェアが複雑となること、受信タイムスロットに同期した制御信号を論理演算回路で生成しRF信号等のアナログ信号を処理する回路に供給することが必要となること、及び所望の受信タイムスロット内でDCオフセットの変動があると対応できないこと、などの課題がある。
また、上記特許文献1の技術では、DCオフセットの変動を受信信号レベルの変動という形で、間接的に観測して制御しているため、必ずしも適切な制御がなされないという課題がある。即ち、DCオフセット発生の機構と詳細な条件によっては、DCオフセットが変動しないにも関わらずハイパスフィルタの時定数が短い方に切り替えられたり、DCオフセットが変動しているにもかかわらず時定数が長いままであったりする可能性がある。また、この技術では、検出された受信信号レベルを受けて、ハイパスフィルタの時定数切替信号を発生する装置が別途必要になるため、装置構成が複雑になる。一方、上記特許文献2の技術では、増幅器への入力信号に定常的なDCオフセットがある場合、例えば、入力信号に含まれるDCオフセット電圧が、理想的な中点電位よりも大幅に高く、そこにDCオフセット電圧よりも小振幅の所望の信号成分が重畳している場合、帰還信号のDC電圧も、上記DCオフセット電圧に近い理想的な中点電位よりも大幅に高い電圧になる。即ち、上記非線形素子の出力DCレベルも、理想的な中点電位からはかなり外れた電圧レベルになる。従って、上記非線形素子は、小振幅信号に対しても高利得状態になり、上記ハイパスフィルタのカットオフ周波数が高い状態のままとなってしまう。よって、特許文献2の技術では、ハイパスフィルタの時定数は、入力信号に含まれるDCオフセットの絶対値で決まり、出力DCレベルの収束と共に時定数を大きくする作用は得られない。
以上述べたように、従来技術では、ダイナミックDCオフセットへの対応と、受信すべき(所望の)信号成分の欠落のない信号伝送とを両立することができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ダイナミックDCオフセットへの対応と、受信すべき(所望の)信号成分を欠落させない信号伝送とを両立させること等が可能な信号処理装置、及びダイレクトコンバージョン受信装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかる信号処理装置は、処理対象信号から予め設定された電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する抽出手段と、前記抽出された信号に基づいて前記処理対象信号の直流電位を調整して出力する調整手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかるダイレクトコンバージョン受信装置は、受信した高周波信号と発振信号とを周波数混合してベースバンド信号に変換するミキシング手段と、前記ベースバンド信号から予め設定された電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する抽出手段と、前記抽出された信号に基づいて前記ベースバンド信号の直流電位を調整して出力する調整手段と、を備えることを特徴とする。
図1は、本実施形態におけるダイレクトコンバージョン受信装置の概要構成例を示す図である。
図2は、第1実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図3Aは、アクティブフィルタの構成例を示す図である。
図3Bは、信号抽出回路15の構成例1を示す図である。
図3Cは、信号抽出回路15の入力電圧−電流特性を示す図である。
図4は、信号抽出回路15の構成例2を示す図である。
図5は、信号抽出回路15の構成例3を示す図である。
図6は、第2実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図7は、第3実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図8は、第4実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図9は、第5実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図10は、第6実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図11は、第7実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図12は、第8実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図13は、第9実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図14は、第10実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図15は、第11実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図16は、第12実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図17は、第13実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図18は、第14実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図19は、第15実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図20は、第16実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図21は、第17実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。
図22は、第18実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図23は、第19実施形態における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
図24は、ダイレクトコンバージョン方式を適用した受信装置の一般的構成を示す図である。
図25Aは、DCオフセットの発生機構の主な例を示す図である。
図25Bは、DCオフセットの発生機構の他の例を示す図である。
図26Aは、DCオフセットの発生機構の主な例を示す図である。
図26Bは、DCオフセットの発生機構の他の例を示す図である。
図27Aは、DCオフセットを除去するための従来の方法を示すための図である。
図27Bは、DCオフセットを除去するための従来の他の方法を示すための図である。
図27Cは、DCオフセットを除去するための従来の他の方法を示すための図である。
図28は、DCオフセットを除去するための従来の方法を示すための図である。
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例は、本発明にかかる信号処理装置をダイレクトコンバージョン受信装置に対して適用した場合の一実施例である。
図1は、本実施例におけるダイレクトコンバージョン受信装置の概要構成例を示す図である。図1に示すように、ダイレクトコンバージョン受信装置Sは、高周波信号としてのRF(Radio Frequency)信号を受信するアンテナ1と、RF信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier)2と、発振信号(局部発振信号)としてのローカル信号を発生する局部発振器3と、ローカル信号の位相を90度移相する移相器4と、増幅されたRF信号とローカル信号とを周波数混合してベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)するミキシング手段としてのミキサ5a,5bと、ベースバンド信号に対し所定の処理を施す信号処理部としての信号処理回路6a,6bと、チャネル選択フィルタ及び処理されたベースバンド信号(I成分、Q成分)をディジタル信号に変換するADC(Analog to Digital Converter)を含むIF(Interface)処理回路7a,7bと、変換されたディジタル信号に基づいて信号復調等を行う復調制御部としてのディジタルドメイン信号処理装置8と、を備えて構成されている。
ここで、ミキサ5aとミキサ5bに入力されるローカル信号は、移相器4により互いに90度の位相差があり、その周波数が受信すべき(所望の)RF信号のキャリア(搬送波)周波数とほぼ同一に選択されている。また、ディジタルドメイン信号処理装置8は、論理演算回路(例えば、CPUを主体として)で構成されている。信号処理回路6a,6bは、ミキサ5a,5bのダウンコンバージョンにより得られたベースバンド信号に対し、DCオフセット除去等の処理を行うとともに、信号の直流電位を調整する機能を有する。これにより、ダイナミックDCオフセットへの対応と、受信すべき(所望の)信号成分を欠落させない信号伝送とを両立させること等が可能となる。
以下に、この信号処理回路6a,6b、IF(Interface)処理回路7a,7b及びディジタルドメイン信号処理装置8等を含む信号処理装置の複数の実施例について説明する。なお、以下の実施例では、信号処理回路6a,6bを主体として説明するものとし、信号処理回路6aと6bは、同様の回路構成であるため、信号処理回路6aを代表として説明する。
(第1実施例)
先ず、第1実施例における信号処理装置の構成及び機能について、図2を参照して説明する。図2は、第1実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。
信号処理回路6aは、入力部としての入力端子10から入力されたベースバンド信号に対して所定の処理を施し、出力部としての出力端子11から出力するようになっている。より具体的には、図2に示すように、第1実施例における信号処理回路6aは、直流成分遮断手段(抽出手段)としてのハイパスフィルタ(HPF)12、増幅器13、高域成分除去手段としてのローパスフィルタ(LPF)14、信号抽出手段(抽出手段)としての信号抽出回路15、及び反転手段としての反転増幅器16を備えており、入力端子10から出力端子11に至る出力経路には、ハイパスフィルタ12及び増幅器13が介挿され、出力端子11からハイパスフィルタ12の出力ノードに帰還する帰還経路には、ローパスフィルタ(LPF)14、信号抽出回路15、及び反転増幅器16が介挿されている。
なお、図2の例では、上記帰還経路は、反転増幅器16の介挿により、負帰還経路になっている。また、帰還経路を通じて信号が帰還する帰還点17は、本発明の直流電位調整手段(調整手段)としての機能し、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号の直流電位を調整するようになっている。ハイパスフィルタ12は、入力されたベースバンド信号の直流(以下、「DC」という)成分を遮断する機能を有する。ハイパスフィルタ12のカットオフ周波数は、受信すべき(所望の)信号成分の欠落の影響が無視できる程度に充分低く選ばれている。なお、ハイパスフィルタ12の代わりにコンデンサを適用してもよい。また、図3Aは、アクティブフィルタの構成例を示す図であり、ハイパスフィルタ12の代わりに、増幅器35、ローパスフィルタ36、及び反転増幅器37で構成されるアクティブフィルタ12aを適用してもよい。
図2に戻り、増幅器13は、帰還点17からのベースバンド信号を増幅する機能を有する。また、増幅器13は、本発明の直流電位調整手段の利得を決めるものである。増幅器13から出力されたベースベンド信号は、出力端子11から出力されるとともに、帰還経路に入力されるようになる。なお、増幅器13の代わりにアッテネータ、或いは、チャネル選択フィルタを適用してもよい。ローパスフィルタ14は、増幅器13からの帰還経路に入力されたベースバンド信号の高域成分を除去する機能を有する。ローパスフィルタ14のカットオフ周波数は、フェージングや妨害波のバースト長などに起因するDCオフセットの時間変動に相当する周波数成分を取り出せるように選ばれている。即ち、DCオフセットとは関係のない、高周波成分による影響を除去する役割を果たしている。
信号抽出回路15は、ローパスフィルタ14からのベースバンド信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する機能を有する。図3Bは、信号抽出回路15の構成例1を示す図であり、図3Cは、信号抽出回路15の入力電圧−電流特性を示す図である。図3Bに示すように、信号抽出回路15は、ダイオード15aとダイオード15bがアンチパラレルに接続され、その接続点Bに負荷抵抗15cの一端が接続された構成になっている。また、接続点Bは、反転増幅器16に接続されるようになっており、負荷抵抗15cの他端には、反転増幅器16の入力とDCレベルを合わせるための電圧源15dが接続されている。また、信号抽出回路15における接続点Aから上記ベースバンド信号が入力されるようになっている。
そして、図3Cに示す「V0」は電圧源15dから供給されるDC電圧であり、「V1」はダイオード15a,15bのターンオン電圧である。つまり、信号抽出回路15では、入力された信号の電圧Vが「V0−V1」から「V0+V1」の電圧範囲では入力電流Iがほぼゼロになる。また、負荷抵抗15cには、入力電流Iに比例した出力電圧が現れることになる。従って、入力された信号の電圧Vが「V0−V1」から「V0+V1」の電圧範囲(予め設定された電圧範囲)では出力電圧は電圧源15dのバイアス電圧、即ち、「V0」であり、入力された信号の電圧Vがこの電圧範囲外である(この電圧範囲を超過する)場合には、その電圧範囲外となる電圧部分(超過分)だけが出力電圧に反映、つまり、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号が抽出されて反転増幅器16に出力されることになる。言い換えれば、信号抽出回路15に入力されたベースバンド信号の電圧が予め定められた電圧範囲内にある場合には、その信号をその出力ノード(接続点B)に伝達せず、電圧範囲外である場合には、その信号のうち電圧範囲外となる電圧部分の信号を出力ノード(接続点B)に伝達することになる。ここで、「V0−V1」から「V0+V1」の電圧範囲は、定常状態において信号抽出回路15に入力されるベースバンド信号の電圧が、当該電圧範囲内に収まるように設定される。なお、図3Bの例では、2つのダイオード15a,15bのアンチパラレル接続の構成例を示したが、これに限定されるものではない。
図4は、信号抽出回路15の構成例2を示す図である。図4の例では、2個のダイオードを直列接続したダイオード群15e,15fをアンチパラレル接続しており、それ以外の部分は、図3Bの例と同様である。また、直列接続されるダイオードの数は、3個以上の任意の数でよい。また、複数個のダイオードを直列接続したダイオード群のアンチパラレル接続の代わりに、ダイオードを2個アンチパラレル接続したダイオード群を、複数個直列に接続してもよく、或いはこれらの中間的な構成でもよい。また、図3B及び図4に示す例において、アンチパラレル接続されたダイオード若しくはダイオード群の一方を省略し、1個のダイオードの順方向オン電圧と、逆方向降伏電圧を利用した構成でもよい。更に、信号抽出回路15は、ダイオードを適用した構成ばかりでなく、バイポーラトランジスタや、電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を適用して構成されるようにしてもよい。
図5は、信号抽出回路15の構成例3を示す図である。図5の例では、信号抽出回路15のコア部のみを示しており、当該コア部は、N型MOS(Metal Oxide Semiconductor)FET15gと、P型MOSFET15hとを備えており、N型MOSFET15gのゲートGとP型MOSFET15hのゲートGが接続され、N型MOSFET15gのソースSとP型MOSFET15hのソースSが接続されて構成されている。N型MOSFET15gとP型MOSFET15hは、それぞれソースフォロワとして動作する接続となっている。また、N型MOSFET15gのゲートGとP型MOSFET15hのゲートGの接続点Cは上記ベースバンド信号が入力される入力端子15iに接続され、N型MOSFET15gのソースSとP型MOSFET15hのソースSの接続点Dは、出力端子15jに接続されている。更に、電源端子15kには正の電源電圧VDDが与えられ、接続点Dには一定のバイアス電圧VDD/2が与えられ、出力は電流として取り出される。
ここで、N型MOSFET15gのしきい値電圧をVTn、P型MOSFET15hのしきい値電圧をVTp(但し、VTp<0)とすると、この信号抽出回路15では、入力電圧が「VDD/2+VTp」から「VDD/2+VTn」の電圧範囲では、増幅動作が行われない。従って、入力された信号の電圧がこの電圧範囲外となった場合には、増幅動作が行われ、その電圧範囲外となる電圧部分の信号が抽出され反転増幅器16に出力されることになる。なお、図5示す信号抽出回路15におけるコア部以外の回路構成については、上記信号を抽出できるものであれば如何なる回路構成であってもよい。
図2に戻り、反転増幅器16は、信号抽出回路15により抽出された信号の極性を反転して増幅する機能を有する。反転された信号は、ハイパスフィルタ12の出力ノードに帰還されることになる。なお、反転増幅器16は、増幅器13とローパスフィルタ14との間、或いは、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に介挿されるように構成してもよい。また、増幅器13を反転増幅器で置き換え、かつ反転増幅器16を非反転増幅器で置き換えるように構成してもよい。更に、増幅器13を反転増幅器で置き換え、かつ反転増幅器16を省略するように構成してもよい。
次に、第1実施例における信号処理装置の動作について説明する。先ず、定常状態の場合の動作について説明する。この場合、入力端子10から入力されたベースバンド信号は、ハイパスフィルタ12を通過して、増幅器13にて増幅され出力端子11から出力される。また、帰還経路において、信号抽出回路15の電圧範囲は、定常状態におけるローパスフィルタ14からのベースバンド信号の電圧が当該電圧範囲内に収まるように設定されているので、信号の抽出は行われず、従って、ハイパスフィルタ12の出力ノードへの信号の負帰還は行われない。
次に、DCオフセット量がある時刻でステップ状に変動した場合の動作について説明する。上述したようにハイパスフィルタ12のカットオフ周波数は充分低く選ばれていることから、この場合、入力されたベースバンド信号に含まれるDCオフセット変動によるDC電圧のステップは、ハイパスフィルタ12にて遮断されず、ほぼそのままハイパスフィルタ12を通過して増幅器13に入力され増幅される。そして、DC電圧のステップを含んだベースバンド信号は、帰還経路のローパスフィルタ14に入力され、そこで低周波成分が取り出され、信号抽出回路15に入力される。次いで、信号抽出回路15において、入力されたベースバンド信号成分のうち、上記電圧範囲外となる部分(図3Bの例では、Peak To Peakで2×V1を越える成分)の信号成分が、DCオフセットの無視できない時間変動として抽出され、反転増幅器16に出力(伝送)される。
次いで、抽出された信号は、反転増幅器16にて反転増幅され、ハイパスフィルタ12の出力ノードに帰還する。これにより、ハイパスフィルタ12の出力ノードは即座に充電され、その電位はDCオフセットのステップ変動とは逆方向に電位を変化させる。つまり、図2に示す帰還点17において、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号から信号抽出回路15にて抽出された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。この動作は、信号抽出回路15に入力されたベースバンド信号の電圧が、上記電圧範囲内(信号が抽出されない範囲)に収まるまで続くことになる。以上の動作が終了すると、再びDCオフセットの変動が生じない限り、信号抽出(伝達)動作が停止する範囲に収まり続け、即ち、定常状態が継続することになる。これは、帰還回路に入力されたベースバンド信号の電圧が予め設定された電圧範囲外の状態にある場合におけるハイパスフィルタ12の出力ノードから出力端子11への伝達関数に関して、その低域遮断周波数が、ハイパスフィルタ12の低域遮断周波数よりも高くなっていることを意味している。
こうして、信号処理回路6aにて処理され出力端子11から出力された信号は、IF処理回路7aにてディジタル信号に変換され(信号処理回路6b側でも同様)、ディジタルドメイン信号処理装置8にて信号復調が行われる。
以上説明したように、上記第1実施例によれば、単純なハイパス特性の素子を用いた従来技術では両立できなかった、所望の信号成分の欠落のない伝送と、ダイナミックオフセットに対する対応とを、両立することができる。また、上記第1実施例によれば、図28示す従来技術のように、複雑なADC、DACを必要とせず、タイムスロットに同期した制御信号を外部から供給する必要が無く、所望の受信タイムスロット内でDCオフセットの変動にも対応することができる。
また、上記第1実施例によれば、特許文献1の技術のようにDCオフセットの変動を受信信号レベルの変動という形で間接的に観測して制御を行うのではなく、DCオフセットの変動を直接的にモニタして、そのキャンセル動作を行っているので、その動作の確実性で優れる。即ち、受信信号レベルが変動しなくても、DCオフセットが変動すれば出力DCレベルを収束させる機構が確実に動作し、受信信号レベルが変動してもDCオフセットが変動しなければ、所望の信号成分を欠落させるような余計な動作は一切しない。また受信信号レベルの変動を判断し、ハイパスフィルタへの制御信号を発生するような制御装置を必要としないため、構成が簡単であるという利点もある。
更に、上記第1実施例によれば、ハイパスフィルタ12により、その入出力ノード間がDC的に切り離されているため、特許文献2の技術における出力DCレベルの収束と共に時定数を大きくする作用は得られないという課題が解決されている。即ち、上記第1実施例では、ハイパスフィルタ12の出力ノードの充電が終了すれば、信号抽出回路15が信号を抽出(伝達)しない、定常状態に確実に復帰する。
なお、上記第1実施例において、例えば、増幅器13の出力の高周波成分レベルの具合や、或いは、増幅器13の周波数特性と想定されるDCオフセットの時定数の関係等によっては、ローパスフィルタ14を省略した信号処理回路6aであっても、上記第1実施例と同様の効果を得ることができる。
以上説明した第1実施例における信号処理装置は、本発明の一例を示すものであるが、この他の実施例について、以下に説明する。なお、以下の実施例(第2から第19実施例)における信号処理装置において、第1実施例(又は第5実施例)における信号処理装置と同様の構成部分については、同一の符号を付し重複した説明を省略するものとする。また、以下の実施例(第2から第19実施例)においても、第1実施例と同様、ローパスフィルタ14を省略した構成としてもよく、また、信号抽出回路15の構成は、第1実施例と同様(例えば、図3B、図4、図5の何れかの構成)である。
(第2実施例)
先ず、第2実施例における信号処理装置について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図6に示すように、第2実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、増幅器13が増幅器18に置き換えられている点が異なる。増幅器18は、入力端子、出力端子の他に、出力電圧のDCレベルを調整する調整端子を備えており、本発明の直流電位調整手段として機能し、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号の直流電位を調整するようになっている。また、増幅器18は、本発明の直流電位調整手段の利得を決めるものである。
このような構成において、反転増幅器16から出力された帰還信号(信号抽出回路15にて抽出され、反転増幅器16にて反転増幅された信号)は、増幅器18の調整端子に入力される。これにより、増幅器18において、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号から信号抽出回路15にて抽出された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電圧が調整されることになる。従って、第2実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、増幅器18の制御端子に与える制御信号と、出力電圧のDCレベルの相関の符号によっては、反転増幅器16を非反転増幅器で置き換えるか、或いは反転増幅器を増幅器18から帰還経路の入口までの間に介挿する必要がある。
(第3実施例)
次に、第3実施例における信号処理装置について、図7を参照して説明する。図7は、第3実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図7に示すように、第3実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、反転増幅器16が非反転の増幅器20に、増幅器13が差動増幅器19にそれぞれ置き換えられている点が異なる。差動増幅器19は、反転入力端子、非反転入力端子、及び出力端子を備えており、本発明の直流電位調整手段として機能し、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号の直流電位を調整するようになっている。また、差動増幅器19は、本発明の直流電位調整手段の利得を決めるものである。
このような構成において、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号は、差動増幅器19の反転入力端子に入力され、信号抽出回路15にて抽出され、増幅器20にて増幅された帰還信号は、差動増幅器19の非反転入力端子に入力され、差動増幅器19において、両入力信号の差分がとられ出力される。これにより、差動増幅器19において、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号から信号抽出回路15にて抽出された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。従って、第3実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(第4実施例)
次に、第4実施例における信号処理装置について、図8を参照して説明する。図8は、第4実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図8に示すように、第4実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、図2に示す帰還点17に加算器21が設けられている点が異なる。加算器21は、本発明の直流電位調整手段として機能し、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号の直流電位を調整するようになっている。
このような構成において、加算器21は、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号と、反転増幅器16から出力された帰還信号(信号抽出回路15にて抽出され、反転増幅器16にて反転増幅された信号)とを加算し出力する。これにより、加算器21において、ハイパスフィルタ12を通過したベースバンド信号から信号抽出回路15にて抽出された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。従って、第4実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(第5実施例)
次に、第5実施例における信号処理装置について、図9を参照して説明する。図9は、第5実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図9に示すように、第5実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、直流成分遮断手段としてのハイパスフィルタ12が省略されており、かつ帰還経路の出口に積分手段(調整手段)としての積分器22が設けられている点が異なる。
このような構成において、DCオフセット量がある時刻でステップ状に変動した場合、入力部10から入力されたベースバンド信号は、増幅器13にて増幅され、帰還経路のローパスフィルタ14にて低周波成分が取り出され、信号抽出手段(抽出手段)である信号抽出回路15に入力される。次いで、信号抽出回路15において、入力されたベースバンド信号成分のうち、上記電圧範囲外となる部分の信号成分がDCオフセットの無視できない時間変動として抽出され、反転増幅器16に出力(伝送)される。次いで抽出された信号は、反転増幅器16にて反転増幅され積分器22に出力される。そして、かかる信号は積分器22で積分され、増幅器13の入力におけるDCオフセット補正量が更新される。このDCオフセット補正量の更新は、残留DCオフセット量が充分小さくなり、信号抽出回路15に入力されたベースバンド信号の電圧が上記電圧範囲内(信号が抽出されない範囲)に収まるまで続くことになる。従って、第5実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお上記第5実施例において、積分器22は、帰還経路の出口に設けられる構成としたが、これに限定されるものではなく、信号抽出回路15と反転増幅器16との間に介挿するように構成してもよい。
(第6実施例)
次に、第6実施例における信号処理装置について、図10を参照して説明する。図10は、第6実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図10に示すように、第6実施例における信号処理回路6aは、第5実施例における信号処理回路6aと比べ、増幅器13が増幅器18に置き換えられている点が異なる。この増幅器18は、第2実施例における増幅器18と同様の機能を有する。
このような構成において、積分器22から出力された帰還信号(信号抽出回路15にて抽出され、反転増幅器16にて反転増幅され、積分器22にて積分された信号)は、増幅器18の調整端子に入力される。これにより、増幅器18において、入力されたベースバンド信号から、信号抽出回路15にて抽出され積分された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。従って、第6実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、上記第6実施例においても、第5実施例と同様、積分器22を、例えば、信号抽出回路15と反転増幅器16との間に介挿するように構成してもよい。
(第7実施例)
次に、第7実施例における信号処理装置について、図11を参照して説明する。図11は、第7実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図11に示すように、第7実施例における信号処理回路6aは、第5実施例における信号処理回路6aと比べ、反転増幅器16が非反転の増幅器20に、増幅器13が差動増幅器19にそれぞれ置き換えられている点が異なる。この差動増幅器19は、第3実施例における差動増幅器19と同様の機能を有する。
このような構成において、入力されたベースバンド信号は、差動増幅器19の反転入力端子に入力され、積分器22から出力された帰還信号(信号抽出回路15にて抽出され、反転増幅器16にて反転増幅され、積分器22にて積分された信号)は、差動増幅器19の非反転入力端子に入力され、差動増幅器19において、両入力信号の差分がとられ出力される。これにより、差動増幅器19において、入力されたベースバンド信号から、信号抽出回路15にて抽出され積分された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。従って、第7実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、上記第7実施例においても、第5実施例と同様、積分器22を、例えば、信号抽出回路15と増幅器20との間に介挿するように構成してもよい。
(第8実施例)
次に、第8実施例における信号処理装置について、図12を参照して説明する。図12は、第8実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図12に示すように、第8実施例における信号処理回路6aは、第5実施例における信号処理回路6aと比べ、図2に示す帰還点17に加算器21が設けられている点が異なる。この加算器21は、第4実施例における加算器21と同様の機能を有する。
このような構成において、加算器21は、入力されたベースバンド信号と、積分器22から出力された帰還信号(信号抽出回路15にて抽出され、反転増幅器16にて反転増幅され、積分器22にて積分された信号)とを加算し出力する。これにより、加算器21において、入力されたベースバンド信号から、信号抽出回路15にて抽出され積分された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。従って、第8実施例によれば、第1実施例の場合と同様、DCオフセットのステップ変動の影響を受けず、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、上記第8実施例においても、第5実施例と同様、積分器22を、例えば、信号抽出回路15と反転増幅器16との間に介挿するように構成してもよい。
(第9実施例)
次に、第9実施例における信号処理装置について、図13を参照して説明する。図13は、第9実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図13に示すように、第9実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に第3利得可変手段としての利得可変増幅器23が介挿されている点が異なる。更に、第9実施例においては、信号処理装置に、利得可変増幅器23の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、例えば、論理演算回路により構成されており、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23に与えるようになっている。利得可変増幅器23は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第9実施例の構成によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、入力されたベースバンド信号に含まれる所望の信号成分の振幅が変化した場合にも、利得可変増幅器23の利得を調整することで、定常状態における信号抽出回路15への入力振幅が過小になったり過大になったりすることを防ぐことができる。なお、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23を介挿するように構成してもよく、これにより第9実施例と同様の効果を得ることができる。
(第10実施例)
次に、第10実施例における信号処理装置について、図14を参照して説明する。図14は、第10実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図14に示すように、第10実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、反転増幅器16が第2利得可変手段としての利得可変反転増幅器24に置き換えられている点が異なる。更に、第10実施例においては、信号処理装置に、利得可変反転増幅器24の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変反転増幅器24に与えるようになっている。利得可変反転増幅器24は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第10実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、利得可変反転増幅器24の利得を変化させることで、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を調整することができる。なお、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、反転増幅器16(又は増幅器20)の代わりに利得可変反転増幅器24(又は利得可変増幅器)を適用してもよく、これにより第10実施例と同様の効果を得ることができる。
(第11実施例)
次に、第11実施例における信号処理装置について、図15を参照して説明する。図15は、第11実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図15に示すように、第11実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、増幅器13が第1利得可変手段としての利得可変増幅器25に置き換えられている点が異なる。更に、第11実施例においては、信号処理装置に利得可変増幅器25の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器25に与えるようになっている。利得可変増幅器25は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第11実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、回路全体として利得可変増幅器の機能を持たせることが可能になる。なお、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、増幅器13の代わりに、利得可変増幅器25を適用してもよく、これにより第11実施例と同様の効果を得ることができる。
(第12実施例)
次に、第12実施例における信号処理装置について、図16を参照して説明する。図16は、第12実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図16に示すように、第12実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、増幅器13が利得可変増幅器25に置き換えられている点、及び反転増幅器16が利得可変反転増幅器24に置き換えられている点が異なる。更に、第12実施例においては、信号処理装置に利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、例えば、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25に与えるようになっている。利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第12実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、回路全体として利得可変増幅器の機能を持たせることが可能になるとともに、利得可変反転増幅器24の利得を変化させることで、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を調整することができる。なお、利得制御部6cは、利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25の利得を互いに相関を持たせて制御しても良いし、互いに独立に制御しても良い。相関を持たせた制御の例としては、利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25の利得の積を一定に保つ方法がある。
また、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、増幅器13の代わりに利得可変増幅器25を適用し、かつ、反転増幅器16(又は増幅器20)の代わりに利得可変反転増幅器24(又は利得可変増幅器)を適用してもよく、これにより第12実施例と同様の効果を得ることができる。
(第13実施例)
次に、第13実施例における信号処理装置について、図17を参照して説明する。図17は、第13実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図17に示すように、第13実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23が介挿されている点、及び反転増幅器16が利得可変反転増幅器24に置き換えられている点が異なる。更に、第13実施例においては、信号処理装置に、利得可変増幅器23及び利得可変反転増幅器24の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23及び利得可変反転増幅器24に与えるようになっている。利得可変増幅器23及び利得可変反転増幅器24は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第13実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、入力されたベースバンド信号に含まれる所望の信号成分の振幅が変化した場合にも、利得可変増幅器23の利得を調整することで、定常状態における信号抽出回路15への入力振幅が過小になったり過大になったりすることを防ぐことができるとともに、利得可変反転増幅器24の利得を変化させることで、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を調整することができる。
なお、利得制御部6cは、利得可変増幅器23及び利得可変反転増幅器24の利得を互いに相関を持たせて制御しても良いし、互いに独立に制御しても良い。相関を持たせた制御の例としては、利得可変増幅器23及び利得可変反転増幅器24の利得の積を一定に保つ方法がある。この方法により、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を一定に保ったまま、信号抽出回路15での信号の抽出(伝達)/非抽出(非伝達)のしきい値を実質的に変化させることができる。また、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23を介挿し、かつ、反転増幅器16(又は増幅器20)の代わりに利得可変反転増幅器24(又は利得可変増幅器)を適用してもよく、これにより第13実施例と同様の効果を得ることができる。
(第14実施例)
次に、第14実施例における信号処理装置について、図18を参照して説明する。図18は、第14実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図18に示すように、第14実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23が介挿されている点、及び増幅器13が利得可変増幅器25に置き換えられている点が異なる。更に、第14実施例においては、信号処理装置に、利得可変増幅器23及び利得可変増幅器25の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23及び利得可変増幅器25に与えるようになっている。利得可変増幅器23及び利得可変増幅器25は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第14実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、入力されたベースバンド信号に含まれる所望の信号成分の振幅が変化した場合にも、利得可変増幅器23の利得を調整することで、定常状態における信号抽出回路15への入力振幅が過小になったり過大になったりすることを防ぐことができるとともに、回路全体として利得可変増幅器の機能を持たせることが可能になる。
なお、利得制御部6cは、利得可変増幅器23及び利得可変増幅器25の利得を互いに相関を持たせて制御しても良いし、互いに独立に制御しても良い。相関を持たせた制御の例としては、利得可変増幅器23及び利得可変増幅器25の利得の積を一定に保つ方法がある。この方法により、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を一定に保ったまま、回路全体として利得可変増幅器の機能を持たせることが可能になる。また、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23を介挿し、かつ、増幅器13の代わりに利得可変増幅器25を適用してもよく、これにより第14実施例と同様の効果を得ることができる。
(第15実施例)
次に、第15実施例における信号処理装置について、図19を参照して説明する。図19は、第15実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。図19に示すように、第15実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23が介挿されている点、反転増幅器16が利得可変反転増幅器24に置き換えられている点、及び増幅器13が利得可変増幅器25に置き換えられている点が異なる。更に、第14実施例においては、信号処理装置に、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の利得制御を行う利得制御部6cが備えられている。利得制御部6cは、利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25に与えるようになっている。利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25は、利得制御部6cからの制御信号により利得を変化させることができる。
第15実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、入力されたベースバンド信号に含まれる所望の信号成分の振幅が変化した場合にも、利得可変増幅器23の利得を調整することで、定常状態における信号抽出回路15への入力振幅が過小になったり過大になったりすることを防ぐことができるとともに、利得可変反転増幅器24の利得を変化させることで、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を調整することができ、更に、利得可変増幅器25の利得を変化させることにより、回路全体として利得可変増幅器の機能を持たせることが可能になる。
なお、利得制御部6cは、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の利得を互いに相関を持たせて制御しても良いし、互いに独立に制御しても良い。相関を持たせた制御の例としては、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の利得の積を一定に保つ方法がある。相関を持たせた方によって、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動を一定に保ったまま、信号抽出回路15での信号の抽出(伝達)/非抽出(非伝達)のしきい値を実質的に変化させることができる。或いは、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動と、信号抽出回路15での信号の抽出(伝達)/非抽出(非伝達)の実効的なしきい値を一定に保ったまま、回路全体の利得を変化させることができる。
また、上記第2から第8実施例の信号処理回路6aにおいても、ローパスフィルタ14と信号抽出回路15との間に利得可変増幅器23を介挿し、かつ、増幅器13の代わりに利得可変増幅器25を適用し、かつ、反転増幅器16(又は増幅器20)の代わりに利得可変反転増幅器24(又は利得可変増幅器)を適用してもよく、これにより第15実施例と同様の効果を得ることができる。
(第16実施例)
次に、第16実施例における信号処理装置について、図20を参照して説明する。図20は、第16実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。第16実施例における信号処理回路6aは、第15実施例における信号処理回路6aと同様の構成であるが、第16実施例における信号処理装置には、更にベースバンド制御部6dが備えられている。
このような構成において、ベースバンド制御部6dは、受信されたRF信号の強度に応じて利得可変増幅器25の利得を制御するようになっており、更に、利得可変増幅器25の利得設定情報を、利得制御部6cに供給するようになっている。一方、利得制御部6cは、ベースバンド制御部6dから供給された利得可変増幅器25の利得設定情報を基に、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の全部若しくは一部に与え、利得制御を行うようになっている。
第16実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、DCオフセット変動に対する追従応答の速さと、追従時のオーバーシュートの挙動、及び増幅器の利得変更に伴う過渡応答などを最適化することができる。なお、上記第2から第8実施例の信号処理装置においても、第1実施例と同様、第16実施例における信号処理装置のように構成してもよく、これにより第16実施例と同様の効果を得ることができる。
(第17実施例)
次に、第17実施例における信号処理装置について、図21を参照して説明する。図21は、第17実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6a等の概要構成例を示す図である。第17実施例における信号処理装置は、第16実施例における信号処理装置と同様の構成であるが、各増幅器の利得制御方法が異なる。
このような構成において、ベースバンド制御部6dは、受信されたRF信号の強度に応じて利得可変増幅器25の利得を制御するようになっており、更に、利得可変増幅器25の利得設定情報を利得制御部6cに供給するようになっている。また、ディジタルドメイン信号処理装置8は、信号復調の際に評価されるビットエラー(信号復調エラーを検出)レートデータを利得制御部6cに供給するようになっている。
そして、利得制御部6cは、ディジタルドメイン信号処理装置8から供給されたビットエラーレートの情報とを基に、復調エラーが最小になるように、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24及び利得可変増幅器25の利得を計算し、これを制御信号として利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の全部若しくは一部に与え、利得制御を行うようになっている。更に、利得制御部6cは、ベースバンド制御部6dから供給された利得可変増幅器25の利得設定情報と、ディジタルドメイン信号処理装置8から供給されたビットエラーレートの情報とを基に、利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の利得を計算し、これに応じた制御信号を利得可変増幅器23、利得可変反転増幅器24、及び利得可変増幅器25の全部若しくは一部に与え、利得制御を行うようになっている。
第17実施例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができることに加え、DCオフセット変動に対する追従応答の速さ、追従時のオーバーシュートの挙動、増幅器の利得変更に伴う過渡応答等の最適化、及びビットエラーレートの低減を図ることができる。なお、上記第2から第8実施例の信号処理装置においても、第1実施例と同様、第17実施例における信号処理装置のように構成してもよく、これにより第17実施例と同様の効果を得ることができる。
(第18実施例)
次に、第18実施例における信号処理装置について、図22を参照して説明する。図22は、第18実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図22に示すように、第18実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、ハイパスフィルタ26が帰還経路の入口から出力端子11の間に介挿されている点が異なる。
このような構成において、ハイパスフィルタ12は、その後に接続される帰還経路の応答特性を最適化するような特性に選び、スタティックオフセットのキャンセルに必要な特性は、ハイパスフィルタ26で実現することができる。従って、第18実施例によれば、より効果的に第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、上記第2から第17実施例の信号処理回路6aにおいても、ハイパスフィルタ26を帰還経路の入口から出力端子11の間に介挿してもよく、これにより第18実施例と同様の効果を得ることができる。
(第19実施例)
次に、第19実施例における信号処理装置について、図23を参照して説明する。図23は、第19実施例における信号処理装置のうちの信号処理回路6aの概要構成例を示す図である。図23に示すように、第19実施例における信号処理回路6aは、ハイパスフィルタ29、増幅器30、ローパスフィルタ31、信号抽出回路32、及び増幅器33を備えて構成されており、それぞれの素子(回路)は2入力及び2出力化され、信号経路が差動化されている。第19実施例における信号処理回路6aは、第1実施例における信号処理回路6aと比べ、その基本的機能は同じであるが、第19実施例における信号処理回路6aにおけるそれぞれの素子(回路)は、2つの信号に対して同じ処理を行うようになっている。
このような構成において、入力端子27a,27bには互いに極性が異なる同じベースバンド信号が入力され、それぞれの信号がハイパスフィルタ29を通過し増幅器30にて増幅された後、出力端子28a,28bから出力されるとともに、それぞれの帰還経路に入力される。帰還経路に入力されたそれぞれのベースバンド信号は、ローパスフィルタ31にて高調波成分が除去され、信号抽出回路32にてそれらのベースバンド信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号が抽出される。そして、抽出されたそれぞれの信号は、増幅器33にて増幅された後、お互いの信号経路に帰還(つまり、負帰還と同じになる)することになる。これにより、ハイパスフィルタ29を通過したそれぞれのベースバンド信号から信号抽出回路32にて抽出された信号分が打ち消され、ベースバンド信号の直流電位が調整されることになる。
従って、第19実施例の構成においても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、上記第2から第18実施例の信号処理回路6aにおいても、全ての信号経路を差動化するように構成してもよく、これにより第19実施例と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は、上記第1乃至第19実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明の範囲に含まれる。
また、上記第1乃至第19実施例においては、本発明をフィードバック型の回路(帰還回路)構成で実現したが、これに限定されるものではなく、フィードフォワード型の回路構成で実現することも可能である。また、上記実施例においては、本発明の信号処理装置をダイレクトコンバージョン受信装置に対して適用したが、これに限定されるものではなく、簡単な構成で、ダイナミックDCオフセットへの対応と、所望の信号成分を欠落させない信号伝送とを両立させる必要性のある、あらゆる受信装置に対して適用することができる。
以上説明したように、上述した実施例によれば、信号抽出手段などからなる抽出手段により、処理対象信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号が抽出され、直流電位調整手段などからなる調整手段により、その抽出された信号に基づいて処理対象信号の直流電位が調整されて出力されるものとなり、所望の信号成分の欠落のない伝送と、ダイナミックオフセットに対する対応とを両立させることができる。

Claims (39)

  1. 処理対象信号から予め設定された電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する抽出手段と、
    前記抽出された信号に基づいて前記処理対象信号の直流電位を調整して出力する調整手段と、を備えることを特徴とする信号処理装置。
  2. 請求の範囲第1項に記載の信号処理装置において、
    前記抽出手段は、
    入力信号の直流成分を遮断する直流成分遮断手段と、
    前記直流成分遮断手段を通過した信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、前記通過した信号から当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する信号抽出手段と、を備え、
    前記調整手段は、
    前記通過した信号の直流電位を前記抽出された信号に基づいて調整する直流電位調整手段を備える、ことを特徴とする信号処理装置。
  3. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    信号を入力する入力部と、
    信号を出力する出力部とをさらに備え、
    前記信号処理部は、前記入力部から前記出力部に至る出力経路と、前記出力部から当該直流成分遮断手段の出力ノードに帰還する帰還経路と、を備え、
    前記信号抽出手段は、前記帰還経路に介挿され、
    前記直流電位調整手段は、前記出力経路に介挿されていることを特徴とする信号処理装置。
  4. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、利得が可変である第1利得可変手段を備えることを特徴とする信号処理装置。
  5. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、
    前記信号抽出手段と前記直流電位調整手段との間に介挿された、利得が可変である第2利得可変手段を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  6. 請求の範囲第3項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記帰還経路に入力された信号の高域成分を除去する高域成分除去手段を更に備え、
    前記信号抽出手段は、前記高域成分が除去された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  7. 請求の範囲第6項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記高域成分除去手段と前記信号抽出手段との間に介挿された、利得が可変である第3利得可変手段を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  8. 請求の範囲第5項に記載の信号処理装置において、
    前記第1利得可変手段と前記第2利得可変手段の利得の積、若しくは前記第2利得可変手段と前記第3利得可変手段の利得の積、若しくは前記第3利得可変手段と前記第1利得可変手段の利得の積、若しくは前記第1利得可変手段と前記第2利得可変手段と前記第3利得可変手段の利得の積、が一定になるように前記第1利得可変手段、前記第2利得可変手段、及び前記第3利得可変手段のうちの少なくとも一つの利得制御を行う利得制御部を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  9. 請求の範囲第4項に記載の信号処理装置において、
    前記出力部から出力された前記信号に基づいて、信号復調を行うとともに、信号復調エラーを検出する復調制御部と、
    前記検出された信号復調エラーが最小になるように前記前記第1利得可変手段、前記第2利得可変手段、及び前記第3利得可変手段のうちの少なくとも一つの利得制御を行う利得制御部と、を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  10. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記抽出された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、
    前記直流電位調整手段は、前記反転された信号に基づいて、前記直流成分遮断手段を通過した信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  11. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記直流成分遮断手段を通過した信号の極性を反転する反転手段を更に備え、
    前記信号抽出手段は、前記反転された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  12. 請求の範囲第6項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記抽出された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、前記第2利得可変手段は、当該反転手段であって、
    前記直流電位調整手段は、前記反転された信号に基づいて、前記直流成分遮断手段を通過した信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  13. 請求の範囲第6項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記直流成分遮断手段を通過した信号の極性を反転する反転手段を更に備え、前記第3利得可変手段は、当該反転手段であって、
    前記信号抽出手段は、前記反転された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  14. 請求の範囲第3項に記載の信号処理装置において、
    前記帰還経路は、負帰還経路であることを特徴とする信号処理装置。
  15. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、前記直流成分遮断手段を通過した信号から前記抽出された信号分を打ち消すことにより、前記信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  16. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、前記直流成分遮断手段を通過した信号と、前記抽出された信号との差分をとることにより、前記信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  17. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記電圧が予め設定された電圧範囲外の状態にある場合における前記直流成分遮断手段の出力ノードから前記出力部への伝達関数に関して、その低域遮断周波数が、前記直流成分遮断手段の低域遮断周波数よりも高くなっていることを特徴とする信号処理装置。
  18. 請求の範囲第2項に記載の信号処理装置において、
    前記直流成分遮断手段のカットオフ周波数は、所望の信号成分の欠落の影響が無視できる程度に低く選ばれていることを特徴とする信号処理装置。
  19. 請求の範囲第1項に記載の信号処理装置において、
    前記抽出手段は、
    入力信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合には、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する信号抽出手段を有し、
    前記調整手段は、
    前記抽出された信号を積分する積分手段と、
    前記積分された信号に基づいて前記入力信号の直流電位を調整する直流電位調整手段とを有する、ことを特徴とする信号処理装置。
  20. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    信号を入力する入力部と、
    信号を出力する出力部とをさらに備え、
    前記信号処理部は、前記入力部から前記出力部に至る出力経路と、前記出力部から帰還する帰還経路と、を備え、
    前記信号抽出手段は、前記帰還経路に介挿され、
    前記直流電位調整手段は、前記出力経路に介挿されていることを特徴とする信号処理装置。
  21. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、利得が可変である第1利得可変手段を備えることを特徴とする信号処理装置。
  22. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、
    前記信号抽出手段と前記直流電位調整手段との間に介挿された、利得が可変である第2利得可変手段を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  23. 請求の範囲第20項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記帰還経路に入力された信号の高域成分を除去する高域成分除去手段を更に備え、
    前記信号抽出手段は、前記高域成分が除去された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  24. 請求の範囲第23項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記高域成分除去手段と前記信号抽出手段との間に介挿された、利得が可変である第3利得可変手段を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  25. 請求の範囲第22項に記載の信号処理装置において、
    前記第1利得可変手段と前記第2利得可変手段の利得の積、若しくは前記第2利得可変手段と前記第3利得可変手段の利得の積、若しくは前記第3利得可変手段と前記第1利得可変手段の利得の積、若しくは前記第1利得可変手段と前記第2利得可変手段と前記第3利得可変手段の利得の積、が一定になるように前記第1利得可変手段、前記第2利得可変手段、及び前記第3利得可変手段のうちの少なくとも一つの利得制御を行う利得制御部を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  26. 請求の範囲第21項に記載の信号処理装置において、
    前記出力部から出力された前記信号に基づいて、信号復調を行うとともに、信号復調エラーを検出する復調制御部と、
    前記検出された信号復調エラーが最小になるように前記前記第1利得可変手段、前記第2利得可変手段、及び前記第3利得可変手段のうちの少なくとも一つの利得制御を行う利得制御部と、を更に備えることを特徴とする信号処理装置。
  27. 請求の範囲第20項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記抽出された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、
    前記積分手段は、前記反転された信号を積分することを特徴とする信号処理装置。
  28. 請求の範囲第22項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記抽出された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、前記第2利得可変手段は、当該反転手段であって、
    前記積分手段は、前記反転された信号を積分することを特徴とする信号処理装置。
  29. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記積分された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、
    前記直流電位調整手段は、前記反転された信号に基づいて、前記入力された信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  30. 請求の範囲第22項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記抽出された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、前記第2利得可変手段は、当該反転手段であって、
    前記直流電位調整手段は、前記反転された信号に基づいて、前記入力された信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  31. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記入力された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、
    前記信号抽出手段は、前記反転された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  32. 請求の範囲第22項に記載の信号処理装置において、
    前記信号処理部は、前記入力された信号の極性を反転する反転手段を更に備え、前記第3利得可変手段は、当該反転手段であって、
    前記信号抽出手段は、前記反転された信号の電圧が予め設定された電圧範囲外である場合に、当該電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出することを特徴とする信号処理装置。
  33. 請求の範囲第20項に記載の信号処理装置において、
    前記帰還経路は、負帰還経路であることを特徴とする信号処理装置。
  34. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、前記入力された信号から前記抽出された信号分を打ち消すことにより、前記信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  35. 請求の範囲第19項に記載の信号処理装置において、
    前記直流電位調整手段は、前記入力された信号と、前記抽出された信号との差分をとることにより、前記信号の直流電位を調整することを特徴とする信号処理装置。
  36. 請求の範囲第1項に記載の信号処理装置において、
    前記予め設定された電圧範囲は、定常状態における前記信号の電圧が、当該電圧範囲内に収まるように設定されていることを特徴とする信号処理装置。
  37. 請求の範囲第1項に記載の信号処理装置において、
    前記抽出手段は、アンチパラレル接続されたダイオードにより構成されていることを特徴とする信号処理装置。
  38. 請求の範囲第1項に記載の信号処理装置において、
    前記抽出手段は、N型MOSFETと、P型MOSFETとを備え、前記N型MOSFETのゲートと前記P型MOSFETのゲートが接続され、前記N型MOSFETのソースと前記P型MOSFETのソースが接続されて構成されていることを特徴とする信号処理装置。
  39. 受信した高周波信号と発振信号とを周波数混合してベースバンド信号に変換するミキシング手段と、
    前記ベースバンド信号から予め設定された電圧範囲外となる電圧部分の信号を抽出する抽出手段と、
    前記抽出された信号に基づいて前記ベースバンド信号の直流電位を調整して出力する調整手段と、を備えることを特徴とするダイレクトコンバージョン受信装置。
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