JPWO2004071708A1 - ワイヤソー装置およびそれを用いた焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
固定砥粒ワイヤを用いたワイヤソー装置で希土類焼結磁石を切断加工する場合において、ワイヤを走行させるローラのプーリが摩耗することを防止するために、プーリは、複数の溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有する。さらに、該ワイヤソー装置はリールボビンとローラの間に滑車を有し、該滑車が有する溝は非対称な断面形状を有する。また、本発明のワイヤソー装置で希土類焼結磁石を切断加工する希土類焼結磁石の製造方法においては、磁石粉末の成形隊を作製し、本発明のワイヤソー装置を乾式で用いてスライスした後、成形体を焼結する。
Description
本発明は、ワイヤソー装置およびそれを用いた焼結磁石の製造方法に関する。
希土類焼結磁石は、希土類磁石用合金(原料合金)を粉砕して形成した合金粉末をプレス成形した後、焼結工程、時効熱処理工程、および加工工程などを経て作製される。現在、希土類焼結磁石としては、希土類・コバルト系磁石と希土類・鉄・ホウ素系磁石の二種類が各分野で広く用いられている。なかでも希土類・鉄・ホウ素系磁石(以下、「R−Fe−B系磁石」と称する。Rは希土類元素およびイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素、Feは鉄、Bはホウ素である)は、種々の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。なお、Feの一部は、Coなどの遷移金属元素と置換されていても良い。また、ホウ素の半分までは炭素で置換されていても良い。
所望の形状を有する焼結磁石を作製するには、まず、R−Fe−B系希土類磁石粉末をプレス装置で圧縮成形することにより、最終的な磁石製品よりも大きいサイズの成形体を作製する。そして、成形体を焼結工程によって焼結体にした後、超硬合金製ブレードソーまたは回転砥石などによって焼結体を研削加工し、所望の形状を付与することが行われている。例えば、まずブロック形状を有する焼結体を作製した後、その焼結体をブレードソーなどでスライスすることによって複数のプレート状焼結体部分を切り出すことが行われている。
しかしながら、R−Fe−B系磁石などの希土類合金磁石の焼結体は極めて硬くて脆い上に、加工負荷が大きいため、高精度の研削加工は困難な作業であり、加工時間が長くかかる。このため、加工工程が製造コスト増加の重要な原因となっている。
このような問題を解決するため、焼結前の成形体(グリーン)を研削加工することが提案されている(特開平8−64451号公報および特開平8−181028号公報)。
上記特開平8−64451号公報は、弓形フェライト磁石用成形体を回転砥石や回転ブラシで面取りする技術を開示している。この技術を酸化反応性の高いR−Fe−B系磁石用の粉末成形体に適用すると、回転砥石や回転ブラシと成形体との間で摩擦熱が発生するため、成形体中の希土類元素や鉄が大気雰囲気中の酸素や水分と急激に反応し、最悪の場合、成形体の発火が生じるおそれがあり、そのような事態に陥らない場合でも磁石の磁気特性が劣化してしまうことになる。
特開平8−181028号公報は、グリーン加工時における成形体の酸化を防止するため、鉱物油、合成油、または植物油中に成形体を浸漬し、その状態の成形体を回転する加工刃で切断加工する技術を開示している。
しかし、この特開平8−181028号公報に記載されている技術によれば、切断後、焼結前に成形体から鉱物油などを除去する脱脂工程が不可欠であり、脱脂が不十分な場合、油に含まれる炭素が焼結過程で不純物として作用し、磁石特性を劣化させてしまう。
また、上記のブレードソーなどを用いた加工方法による場合、成形体の切断代が大きく、材料の歩留まりが悪いという問題もある。
本願出願人は、ワイヤソー装置を用いて成形体を加工することによって、上記の問題を解決できることを見出した(特願2002−215946号(特開2003−303728号公報)および国際出願PCT/JP02/07643(WO03/011793))。これらの出願に記載されている内容の全てを参考のために本明細書に援用する。
この方法によると、焼結前の比較的柔らかい状態の成形体を細いワイヤソーで加工するため、加工負荷を低減し、しかも、成形体の発熱を抑えることができる。このため、酸化しやすい磁石粉末を用いて磁石を製造する場合でも、最終的な磁石特性を劣化させることなく、加工のための時間を大幅に短縮でき、製造コストを大きく低減することができる。また、従来の回転刃による場合に比べて切断代を低減できるため、材料の歩留まりが向上する。特に、芯線の外周面に砥粒が固着されたワイヤ(以下、「固定砥粒ワイヤ」と称する。)を利用する方法は、加工効率の観点から好ましい。
しかしながら、ワイヤソー装置を用いて加工する場合、特に、固定砥粒ワイヤを用いる場合、ワイヤ(sawing wireともいう)が断線したり、あるいはワイヤを走行させるローラのプーリが磨耗することによって、製造効率が低下するという問題がある。
この問題は、上記成形体を加工する場合に限られず、焼結体(例えば希土類焼結磁石)や他の被加工物を加工する場合にも発生する。
所望の形状を有する焼結磁石を作製するには、まず、R−Fe−B系希土類磁石粉末をプレス装置で圧縮成形することにより、最終的な磁石製品よりも大きいサイズの成形体を作製する。そして、成形体を焼結工程によって焼結体にした後、超硬合金製ブレードソーまたは回転砥石などによって焼結体を研削加工し、所望の形状を付与することが行われている。例えば、まずブロック形状を有する焼結体を作製した後、その焼結体をブレードソーなどでスライスすることによって複数のプレート状焼結体部分を切り出すことが行われている。
しかしながら、R−Fe−B系磁石などの希土類合金磁石の焼結体は極めて硬くて脆い上に、加工負荷が大きいため、高精度の研削加工は困難な作業であり、加工時間が長くかかる。このため、加工工程が製造コスト増加の重要な原因となっている。
このような問題を解決するため、焼結前の成形体(グリーン)を研削加工することが提案されている(特開平8−64451号公報および特開平8−181028号公報)。
上記特開平8−64451号公報は、弓形フェライト磁石用成形体を回転砥石や回転ブラシで面取りする技術を開示している。この技術を酸化反応性の高いR−Fe−B系磁石用の粉末成形体に適用すると、回転砥石や回転ブラシと成形体との間で摩擦熱が発生するため、成形体中の希土類元素や鉄が大気雰囲気中の酸素や水分と急激に反応し、最悪の場合、成形体の発火が生じるおそれがあり、そのような事態に陥らない場合でも磁石の磁気特性が劣化してしまうことになる。
特開平8−181028号公報は、グリーン加工時における成形体の酸化を防止するため、鉱物油、合成油、または植物油中に成形体を浸漬し、その状態の成形体を回転する加工刃で切断加工する技術を開示している。
しかし、この特開平8−181028号公報に記載されている技術によれば、切断後、焼結前に成形体から鉱物油などを除去する脱脂工程が不可欠であり、脱脂が不十分な場合、油に含まれる炭素が焼結過程で不純物として作用し、磁石特性を劣化させてしまう。
また、上記のブレードソーなどを用いた加工方法による場合、成形体の切断代が大きく、材料の歩留まりが悪いという問題もある。
本願出願人は、ワイヤソー装置を用いて成形体を加工することによって、上記の問題を解決できることを見出した(特願2002−215946号(特開2003−303728号公報)および国際出願PCT/JP02/07643(WO03/011793))。これらの出願に記載されている内容の全てを参考のために本明細書に援用する。
この方法によると、焼結前の比較的柔らかい状態の成形体を細いワイヤソーで加工するため、加工負荷を低減し、しかも、成形体の発熱を抑えることができる。このため、酸化しやすい磁石粉末を用いて磁石を製造する場合でも、最終的な磁石特性を劣化させることなく、加工のための時間を大幅に短縮でき、製造コストを大きく低減することができる。また、従来の回転刃による場合に比べて切断代を低減できるため、材料の歩留まりが向上する。特に、芯線の外周面に砥粒が固着されたワイヤ(以下、「固定砥粒ワイヤ」と称する。)を利用する方法は、加工効率の観点から好ましい。
しかしながら、ワイヤソー装置を用いて加工する場合、特に、固定砥粒ワイヤを用いる場合、ワイヤ(sawing wireともいう)が断線したり、あるいはワイヤを走行させるローラのプーリが磨耗することによって、製造効率が低下するという問題がある。
この問題は、上記成形体を加工する場合に限られず、焼結体(例えば希土類焼結磁石)や他の被加工物を加工する場合にも発生する。
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ワイヤの断線および/またはプーリの磨耗を従来よりも低減させることができるワイヤソー装置およびそのようなワイヤソー装置を用いた焼結磁石の製造方法を提供することにある。
本発明のワイヤソー装置は、芯線の外周面に砥粒が固着されたワイヤと、前記ワイヤがその周辺に巻きつけられるリールボビンと、前記ワイヤを互いに略平行な複数の走行線L1からLn(n≧2、L1からLnは一方向に沿って順に番号が付される。)に沿って走行させる第1ローラおよび第2ローラとを有し、前記第1ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第1溝A1からAnが形成された第1プーリを有し、前記第2ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第2溝B1からBnが形成された第2プーリを有し、前記第1および第2プーリは、前記ワイヤを第1溝A1から受け入れ、第2溝Bnから前記ワイヤを送り出すように配置されており、前記第1プーリは、第1溝Anが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、第2溝B1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有していることを特徴とし、そのことによって上記目的が達成される。
ある実施形態において、前記第1プーリは、さらに第1溝A1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、さらに第2溝Bnが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有している。
ある実施形態において、前記ワイヤは双方向に走行される。
ある実施形態において、前記第1プーリは、前記複数の第1溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有し、前記第2プーリは、前記複数の第2溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有する。
ある実施形態において、前記複数の走行線L1からLnのピッチが3mm以上である。
ある実施形態において、前記第1ローラと前記第2ローラとの間隔が300mm以下である。
ある実施形態において、ワイヤソー装置は、さらに第3ローラを有し、前記ワイヤの前記複数の走行線は、前記第1、第2および第3ローラによって規定される。
ある実施形態において、前記リールボビンと前記第1ローラまたは第2ローラとの間に滑車をさらに有し、前記滑車が有する溝は、非対称な断面形状を有する。
ある実施形態において、ワイヤソー装置は、前記リールボビンと前記第1ローラとの間に張力調整装置をさらに備える。
本発明の焼結磁石の製造方法は、磁石粉末の成形体を作製する工程と、上記のいずれかのワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含することを特徴とする。
ある実施形態において、前記成形体を加工する工程は、前記成形体を複数の部分にスライスする工程を包含する。
ある実施形態において、前記ワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程は、乾式で実行される。
本発明のワイヤソー装置は、芯線の外周面に砥粒が固着されたワイヤと、前記ワイヤがその周辺に巻きつけられるリールボビンと、前記ワイヤを互いに略平行な複数の走行線L1からLn(n≧2、L1からLnは一方向に沿って順に番号が付される。)に沿って走行させる第1ローラおよび第2ローラとを有し、前記第1ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第1溝A1からAnが形成された第1プーリを有し、前記第2ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第2溝B1からBnが形成された第2プーリを有し、前記第1および第2プーリは、前記ワイヤを第1溝A1から受け入れ、第2溝Bnから前記ワイヤを送り出すように配置されており、前記第1プーリは、第1溝Anが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、第2溝B1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有していることを特徴とし、そのことによって上記目的が達成される。
ある実施形態において、前記第1プーリは、さらに第1溝A1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、さらに第2溝Bnが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有している。
ある実施形態において、前記ワイヤは双方向に走行される。
ある実施形態において、前記第1プーリは、前記複数の第1溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有し、前記第2プーリは、前記複数の第2溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有する。
ある実施形態において、前記複数の走行線L1からLnのピッチが3mm以上である。
ある実施形態において、前記第1ローラと前記第2ローラとの間隔が300mm以下である。
ある実施形態において、ワイヤソー装置は、さらに第3ローラを有し、前記ワイヤの前記複数の走行線は、前記第1、第2および第3ローラによって規定される。
ある実施形態において、前記リールボビンと前記第1ローラまたは第2ローラとの間に滑車をさらに有し、前記滑車が有する溝は、非対称な断面形状を有する。
ある実施形態において、ワイヤソー装置は、前記リールボビンと前記第1ローラとの間に張力調整装置をさらに備える。
本発明の焼結磁石の製造方法は、磁石粉末の成形体を作製する工程と、上記のいずれかのワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含することを特徴とする。
ある実施形態において、前記成形体を加工する工程は、前記成形体を複数の部分にスライスする工程を包含する。
ある実施形態において、前記ワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程は、乾式で実行される。
図1は、本発明による実施形態のワイヤソー装置100の構成を模式的に示す図である。
図2は、ワイヤソー装置100において固定砥粒ワイヤ11の走行線を規定するローラ部の構成を模式的に示す図である。
図3は、ワイヤソー装置100の第1ローラ13の構成を模式的に示す図である。
図4は、本発明による他の実施形態のワイヤソー装置120の構成を模式的に示す図である。
図5は、本発明による実施形態のワイヤソー装置100の固定滑車26の好ましい溝構造を模式的に示す図である。
図2は、ワイヤソー装置100において固定砥粒ワイヤ11の走行線を規定するローラ部の構成を模式的に示す図である。
図3は、ワイヤソー装置100の第1ローラ13の構成を模式的に示す図である。
図4は、本発明による他の実施形態のワイヤソー装置120の構成を模式的に示す図である。
図5は、本発明による実施形態のワイヤソー装置100の固定滑車26の好ましい溝構造を模式的に示す図である。
以下では、磁石粉末の成形体を焼結前にワイヤソーを用いて加工するために好適に用いられるワイヤソー装置を例に本発明の実施形態を説明する。
図1および図2を参照しながら、本発明による実施形態のワイヤソー装置100の構成を説明する。図1は、ワイヤソー装置100を模式的に示す図であり、図2はワイヤソー装置100において固定砥粒ワイヤの走行線を規定するローラ部分の構成を模式的に示す図である。
ワイヤソー装置100は、図1に示すように、固定砥粒ワイヤ11と、ワイヤ11がその周辺に巻きつけられるリールボビン(貯線ドラム)12と、ワイヤ11を互いに略平行な複数の走行線(図2のL1〜L5)に沿って走行させる第1ローラ13および第2ローラ14とを有する。ワイヤ11は第1ローラ13と第2ローラ14との間に多条に配設され、この一対のローラ13および14の間に張設されたワイヤ11を走行させながらワークピース(ここでは成形体)1を切削加工する。リールボビン12は、回転軸が駆動モータ(不図示)に接続されており、双方向(正逆方向)に回転可能で、ワイヤ11を双方向に走行させることができる。なお、ここでいうワイヤ11の走行線L1〜L5は、ワイヤ11の走行経路の内、ワークピース1を加工する(ワークピース1に接触する)領域を走行するワイヤ11の位置(軌跡)を指す。
ワークピース1は、支持台30上に載置され、移動装置(不図示)によって、走行しているワイヤ11に向かって直線的に移動させられる(一定の切断荷重で押し当てられる)。
ワイヤソー装置100は、必要に応じて、リールボビン12から送り出されたワイヤ11を第1ローラ13に導くための固定滑車25と、第2ローラ14から送り出されたワイヤ11をリールボビン12に導くための固定滑車26をさらに有する。また、リールボビン12と固定滑車25との間に、張力調整装置20が設けられていることが好ましい。張力調整装置20は、例えば、2つの固定滑車21および22と、これらの間に配置された可動滑車23とを備えている。張力調節装置20は、ワイヤ11が巻き掛けられた可動滑車23に対して、図1中に白抜き矢印で示した方向への付勢力Pを与えることによって、ワイヤ11に張力を付与し、これにより、ワイヤ11の弛みを防止することができる。さらに、張力調節装置20は、ワークピース1の押し当てなどによってワイヤ11に所定以上の張力が働く場合には、上記付勢力Pに対抗して可動滑車23が上方(白抜き矢印の反対方向)に移動することができるように構成されている。これにより、ワイヤ11に加えられる張力を緩和しながら、ワイヤ11がワークピース1に対して与える圧力を平衡に保つ。すなわち、ワークピース1に対して一定の圧力でワイヤ11の押し当てを行うことができる。
次に、図2を参照しながら、第1ローラ13および第2ローラ14を含むローラ部の構成を説明する。
第1ローラ13は走行線L1からL5にこの順で対応する第1溝A1からA5が形成された第1プーリ13Aを有する。第2ローラ14は走行線L1からL5にこの順で対応する第2溝B1からB5が形成された第2プーリ14Aを有する。ワイヤ11は、第1プーリ13Aの溝A1〜A5と、第2プーリ14Aの溝B1からB5に順次巻き掛けられ、互いに略平行な走行線L1〜L5を形成する。
走行線L1からLn(および対応する溝A1からA5、溝B1からB5)の番号(1からn)は、一方向に沿って順に番号が付される。ここでは、図1に示した構成において第1ローラ13および第2ローラ14が固定されている側(ローラの内側ということがある。)から最も外側に向かって順に番号付し、第1ローラ13の溝A1からワイヤ11を供給する場合を正方向とする例を示すが、これに限られない。例えば、図2に示した構成においてワイヤ11の走行方向を逆にした構成は、図2に示した構成を紙面に垂直な軸を中心に180°回転させた構成と等価である。すなわち、図2において第1ローラ13と第2ローラ14とを入れ替え、走行線L1〜L5および対応する溝の番号を、右から順に1〜5と付したものに相当する。このように走行線L1〜L5の番号は、一方向に沿って順に番号が付されていれば、どちら側から付してもよい。
滑車25を介して第1プーリ13Aに供給されるワイヤ11は、まず溝A1に受容され、溝A1に対向する位置にある第2プーリ14Aの溝B1に掛けられ、次に、第1プーリ13Aの溝A2に掛けられ、以下、順に、第2プーリ14Aの溝B5まで導かれ、溝B5から滑車26へと送られる。すなわち、ワイヤ11が掛けられる溝の順序は、A1−B1−A2−B2−A3−B3−A4−B4−A5−B5であり、A1−B1、A2−B2、A3−B3、A4−B4およびA5−B5で、それぞれ走行線L1、L2、L3、L4およびL5が規定される。
ここで、本発明による実施形態のワイヤソー装置100においては、第1プーリ13Aは、溝A5が形成された部分13eが他の部分13a〜13dから独立に回転し得る構造を有し、且つ、第2プーリ14Aは、溝B1が形成された部分14aが他の部分14b〜14eから独立に回転し得る構造を有している。図2に示した例では、第1プーリ13Aは各溝A1〜A5がそれぞれ形成された部分13a〜13eがそれぞれ独立に回転し得る構造を有し、第1プーリ14Aは各溝B1〜B5がそれぞれ形成された部分14a〜14eがそれぞれ独立に回転し得る構造を有している。
これは、従来の一体ものとして構成されたプーリを用いたときに起こるワイヤの断線やプーリの磨耗の原因を調査した結果得られた知見に基づいている。
従来のプーリ(図2において、13a〜13eおよび14a〜14eが一体に形成されたもの)を用いると、溝A5が形成された部分および溝B1が形成された部分において、プーリの磨耗が激しく起こり、プーリの材料や使用条件によっては、溝A5および溝B1の底(切り欠きの先端)からクラックが生成する場合があった。
これは、溝A5および溝B1において、プーリがワイヤ11から強い力を受けているためと考えられる。図2からわかるように、隣接する走行線間を繋ぐ掛かり関係は、B1−A2、B2−A3、B3−A4およびB4−A5であり、これらの溝を掛けるワイヤ11は、ワイヤ11の走行線L1〜L5に対して傾斜している。このうち、溝B1はワイヤ11の受け入れ側に最も近く、溝A5はワイヤ11の送り出し側に最も近いため、ワイヤ11に掛かる張力の変化が激しいと考えられる。ワイヤ11を逆方向に走行させた場合は、溝A5がワイヤ11の受け入れ側に最も近く、溝B1がワイヤ11の送り出し側に最も近い位置となる。
リールボビン12の回転によって走行させられるワイヤ11は、プーリに接触し、プーリの表面との摩擦抵抗(砥粒がプーリの表面に噛み込む)を通じて力をプーリに伝達し、プーリを回転させながら走行する。走行するワイヤ11にとってプーリは負荷となる。もちろん、ワークピース1を切削している際には、ワークピース1が負荷となる。従って、リールボビン12で巻き取られることによって決まるワイヤ11の走行速度と、第1プーリと第2プーリとの間を走行するワイヤ11の走行速度にずれが生じ、このずれによる張力の偏りが溝B1および溝A5において最も大きい。その結果、溝B1および溝A5において、プーリの磨耗が最も激しくなると考えられる。
上述のようにして発生するワイヤ11に対する張力の偏りを無くすために、溝毎に独立に回転できるように分断した構造を有するのが図2に示した第1プーリ13Aおよび第2プーリ14Aである。ワイヤ11に掛かる負荷は場所によって異なるので、図2に示したように、全ての溝毎にプーリを分断した構成が最も好ましいが、溝B1および溝A5だけを他の部分から分断するだけでも、従来のプーリよりも磨耗を低減することができる。
実際に、図2に示した構成を有するプーリ13Aおよび14Aを作製し、焼結磁石用の成形体を切断したところ、第1プーリ13Aおよび第2プーリ14Aのそれぞれの部分(13a〜13eおよび14a〜14e)が互いに異なる速度で回転することが確認された。また、溝A5を有する部分13eと溝B1を有する部分14aが他の部分との速度の差が大きいことが認められた。従って、少なくとも溝A5を有する部分13eと溝B1を有する部分14aが他の部分から独立に回転できる構造とすることによって、プーリの磨耗を低減できる。
さらに、図2に示した分割構造を有するプーリ13Aおよび14Aを用いた場合は、それぞれが一体に形成された従来のプーリを用いた場合に比べ、ワイヤの断線が発生する頻度が著しく減少した。従って、ワイヤの断線も、上述したプーリの磨耗と同様に、溝A5および溝B1における張力の偏りが主な原因と考えられる。
図2に示したローラ13は、例えば、図3に示す構造を有している。勿論、図に示したローラ14もローラ13と同じ構造のものを用いることができる。
ローラ13は、中心軸62に挿入されたボビン52と、止め板54と、プーリ13Aを有している。ボビン52はボールベアリングを有し、中心軸62の周りに自由に回転できる構造を備えている。止め板54は、ボルト55によってボビン52に固定されている。ワッシャ53によって、止め板53と、止め板53に対向するボビンの受け部52aとの間隔が規定さており、プーリ13Aと止め板53および受け部52aとの間にクリアランスg(例えば0.1mm)が形成される。プーリ13Aは上述したように部分13a〜13eに分割されており、それぞれの部分がボビン52の円筒部52bの周りに自由に回転できる。
なお、隣接するプーリの部分間の摩擦力によって、プーリの部分が独立にスムーズに回転しない場合には、例えば、隣接する部分の間隙42に板ベアリングを設けることが好ましい。特に、上述したように、部分13a/13b間や部分13d/13e間では回転速度の差が大きいので、これらの間には板ベアリングなどによって摩擦抵抗を減少させることが好ましい。
ここで、希土類磁石粉末の成形体の切断に用いたワイヤソー装置100において、ローラ13およびローラ14の外径(図2中のD)、すなわち、プーリ13Aおよび14Aの外径は105mm、ローラ13とローラ14との中心間距離(図2中のL)は約250mm、リールボビンの直径は100mmで、約100mのワイヤ11を用いた。また、走行線L1〜L5のピッチは8mmとした。
ワイヤ11としては、ダイヤモンド砥粒をピアノ線に電着によって固定した電着砥粒ワイヤを用いた。ピアノ線の芯線径0.18mm、外径0.24mm、破断荷重約10kgf、ダイヤモンド砥粒の粒径40μm〜60μm(平均粒径42μm)のワイヤを用いた。なお、ワイヤ11に印加される張力は、約15Nに設定し、ワイヤ11の走行速度は約230m/minとした。また、走行方向の反転周期は約20〜30秒とした。
プーリ13Aおよび14Aは、ポリエチレンやポリウレタンあるいはアセタール樹脂(例えばジュラコン(商品名))などのプラスチック材料で形成する。プラスチック材料の種類によってワイヤ11との摩擦力(噛み込み程度)が変わるので、実際の切断条件(被切削材料、ワイヤ11の種類(太さ等)、切断荷重、切断速度、ワイヤの走行速度、隣接走行線間を渡すワイヤのなす角)などの応じて、適宜選択すれば良い。ここでは、ポリエチレン製のプーリ13Aおよび14Aを用いて、ワイヤ11を案内するための溝の幅は約4mm、深さdは約3mm、開き角θは約70度とした(図2参照)。
加工対象の成形体(グリーン)は、26質量%(Nd+Pr)、5質量%Dy、1質量%B、1質量%Co、0.2質量%Al、0.1質量%Cu、残部Feの合金組成を有する磁石粉末(FSSS粒径:3.0〜3.2μm)を公知のプレス装置を用いて成形したものである。磁石粉末を磁界配向させるための印加磁界は1.2T程度とした。このようにして得られた略直方体の成形体を約60mm×約30mm×約8mm(厚さ)の6枚の成形体片にスライスした。磁石粉末の密度は約7.5g/cm3、成形体密度は約4.2g/cm3であった。
図2に示した分割プーリを有するローラ13および14を用いた場合、プーリは約300時間の加工時間まで使用できた。またこの間、ワイヤ11の断線は発生しなかった。これに対し、従来の分割されていないプーリを用いた比較実験では、加工時間が約20時間でプーリの磨粍が顕著となり使用できなくなった。また、この間にワイヤの断線が頻発した。
このことからもわかるように、分割プーリを用いることによって、プーリの磨粍が抑制されるとともに、ワイヤの断線も抑制される。勿論、プーリの寿命はその材料の物性(ワイヤとの摩擦力の大きさに影響する。)にも依存する。従って、本実施形態で例示したように、比較的短いワイヤを用いて低負荷で加工する場合は、ワイヤの寿命が比較的長いので、プーリの寿命を優先するように材料を選定することが好ましい。
一方、希土類焼結磁石をスライス加工するときのように(例えば、特開2000−141199号公報参照。この公報に記載されている全ての内容を参考のために本明細書に援用する。)に適用することもできる。比較的長いワイヤ(例えば長さ数km)を用いて高負荷で加工する場合は、ワイヤの寿命が比較的短い反面、ワイヤのセットに時間が掛かるので、ワイヤが断線すると加工効率が著しく低下する。このような場合には、プーリの寿命よりもワイヤの断線の発生を抑制するように、プーリの材料を選定することが好ましい。
いずれにしても、本発明の実施形態による分割プーリ(典型的にはワイヤの走行線毎に独立して回転できるプーリ)を用いることによって、ワイヤに掛かる張力の偏りを低減することができるので、プーリの磨耗(およびクラック)の発生および/またはワイヤの断線の発生を抑制することができる。
本発明による効果は、ワイヤに張力の偏りが発生しやすい場合に有効であり、例示したように、ワイヤの走行線の間隔(ピッチ)が広く(例えば3mm以上)、隣接ローラ間の距離Lが短い(例えば300mm以下)場合に有効である。すなわち、隣接走行線間を渡すワイヤのなす角(≒tan−1(ピッチ/ローラ間距離))が大きい程(例えば、0.6°以上、特に例示したように1.8°以上)、有効である。また、ローラとワイヤとの摩擦力(噛み込み)が大きい程有効なので、切削加工時に潤滑液を用いない場合の方が顕著な効果が得られる。
例示した成形体のスライス加工において潤滑剤(例えばイソパラフィン)を使用すると、焼結前に潤滑剤を完全に除去することが困難であり、最終的な焼結磁石に不純物炭素として残存し、磁気特性を低下させる恐れがあるために、乾式加工することが好ましい。従って、本発明の効果が顕著に得られる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、張力の偏りが発生しやすい固定砥粒ワイヤを用いたワイヤソー装置に広く適用することができる。
例えば、図4に示すように、ワイヤ11を互いに略平行な複数の走行線に沿って走行させるローラを4本(第1ローラ13、第2ローラ14、第3ローラ15および第4ローラ15)を有するワイヤソー装置120に本発明を適用することができる。
ワイヤソー装置120においては、4本のローラ13〜16のうち、走行線の両端に位置し、走行線を実質的に規定し、成形体1を切削加工する際に最も負荷が掛かる第1ローラ13および第2ローラ14に分割プーリを設けることが好ましい。勿論、4本のローラ全てに分割プーリを設けても良いし、第3および第4ローラについては、最も外側だけを分割プーリにしても良い。
一般に、ワイヤ11を走行させるローラの数が増えるほど、ワイヤに掛かる張力の偏りは分散される傾向にあるので、本発明はローラの数が2本のワイヤソー装置において最も効果が顕著である。
上述したように、分割プーリを用いることによって、プーリからワイヤに掛かる張力の偏りを低減することができるので、プーリの磨耗の発生および/またはワイヤの断線の発生を抑制することができるが、ローラとリールボビンの間に設けられる滑車(例えば、図1に示したワイヤソー装置100の固定滑車26)からワイヤ11に掛かる張力に偏りが生じることがある。
一般に、滑車に設けるられる溝は、溝の中心に対して左右対称な形状を有しているが、図5に模式的に示すように、例えば固定滑車26においては、溝26Aの断面形状を非対称とし、ワイヤ11を巻き掛ける側の斜面26aの幅を反対側の斜面26bの幅よりも小さい構成、言いかえると、斜面26a側の傾斜角θaが斜面26b側の傾斜角θbよりも小さい構成とすることが好ましい。
固定滑車26に巻き掛けられるワイヤ11は、走行中に溝26Aの斜面26aに当り、斜面26aに転がるように溝26Aの底部に導かれる。ワイヤ11が斜面26aを転がる過程で、ワイヤ11が捻じれる。捻じれ量が多いほどワイヤ11の断線が発生し易くなる。上述のように、溝26Aの断面形状を非対称とし、巻き掛けられたワイヤ11が当接し、転がる方の斜面を他方の斜面よりも幅を狭くすれば、ワイヤ11の捻じれ量が低減され、その結果、ワイヤ11の断線の発生を抑制することができる。例えば、溝26Aの幅を5mm、溝の深さを3mmとした場合、溝の中心を斜面26a側に約1mmずらすことによって、断面形状が対称な溝構造(斜面の幅2.5mm、傾斜角40°)を採用した上記の実施形態に比べて、更に断線発生の頻度を低下させることができた。なお、このときの、斜面26aの幅は1.5mm、斜面26bの幅は3.5mm、傾斜角θaは28°、傾斜角θbは48°であった。
ここでは、図1に示したワイヤソー装置100において、第2ローラ14から送り出されたワイヤ11をリールボビン12に導くための固定滑車26の溝26Aについて説明したが、非対称な断面形状を有する溝は、この例に限れず、ワイヤソー装置100およびワイヤソー装置120の、他の固定滑車あるいは可動滑車、さらにはプーリの溝に適用することもできる。なお、滑車やローラに設けられる溝の何れの面の幅を狭くするかは、その構造に応じて、適宜決められる。なお、ここで例示したワイヤソー装置100においては、切断中のワイヤに対する発生応力と、リールボビン12、ローラ13および14、固定滑車25、26の配置関係から、固定滑車26の溝26Aからワイヤ11が受ける捻じれ量が多いため、少なくとも固定滑車26の溝26Aの断面形状を非対称とすることが好ましい。
以上、酸化しやすく、加工しにくいR−Fe−B系焼結磁石について本発明を説明してきたが、本発明を他の材料からなる希土類焼結磁石や他の焼結磁石の製造方法に適用することも可能である。
また、成形体を切断する例を説明したが、ワイヤソーに対して成形体をNC制御によって2次元または3次元的に相対移動させながら切削加工することによって、成形体の外形加工に利用することもできる。これによって、弓形形状やかまぼこ形状等、任意の形状に成形体を切り出すことができる。
図1および図2を参照しながら、本発明による実施形態のワイヤソー装置100の構成を説明する。図1は、ワイヤソー装置100を模式的に示す図であり、図2はワイヤソー装置100において固定砥粒ワイヤの走行線を規定するローラ部分の構成を模式的に示す図である。
ワイヤソー装置100は、図1に示すように、固定砥粒ワイヤ11と、ワイヤ11がその周辺に巻きつけられるリールボビン(貯線ドラム)12と、ワイヤ11を互いに略平行な複数の走行線(図2のL1〜L5)に沿って走行させる第1ローラ13および第2ローラ14とを有する。ワイヤ11は第1ローラ13と第2ローラ14との間に多条に配設され、この一対のローラ13および14の間に張設されたワイヤ11を走行させながらワークピース(ここでは成形体)1を切削加工する。リールボビン12は、回転軸が駆動モータ(不図示)に接続されており、双方向(正逆方向)に回転可能で、ワイヤ11を双方向に走行させることができる。なお、ここでいうワイヤ11の走行線L1〜L5は、ワイヤ11の走行経路の内、ワークピース1を加工する(ワークピース1に接触する)領域を走行するワイヤ11の位置(軌跡)を指す。
ワークピース1は、支持台30上に載置され、移動装置(不図示)によって、走行しているワイヤ11に向かって直線的に移動させられる(一定の切断荷重で押し当てられる)。
ワイヤソー装置100は、必要に応じて、リールボビン12から送り出されたワイヤ11を第1ローラ13に導くための固定滑車25と、第2ローラ14から送り出されたワイヤ11をリールボビン12に導くための固定滑車26をさらに有する。また、リールボビン12と固定滑車25との間に、張力調整装置20が設けられていることが好ましい。張力調整装置20は、例えば、2つの固定滑車21および22と、これらの間に配置された可動滑車23とを備えている。張力調節装置20は、ワイヤ11が巻き掛けられた可動滑車23に対して、図1中に白抜き矢印で示した方向への付勢力Pを与えることによって、ワイヤ11に張力を付与し、これにより、ワイヤ11の弛みを防止することができる。さらに、張力調節装置20は、ワークピース1の押し当てなどによってワイヤ11に所定以上の張力が働く場合には、上記付勢力Pに対抗して可動滑車23が上方(白抜き矢印の反対方向)に移動することができるように構成されている。これにより、ワイヤ11に加えられる張力を緩和しながら、ワイヤ11がワークピース1に対して与える圧力を平衡に保つ。すなわち、ワークピース1に対して一定の圧力でワイヤ11の押し当てを行うことができる。
次に、図2を参照しながら、第1ローラ13および第2ローラ14を含むローラ部の構成を説明する。
第1ローラ13は走行線L1からL5にこの順で対応する第1溝A1からA5が形成された第1プーリ13Aを有する。第2ローラ14は走行線L1からL5にこの順で対応する第2溝B1からB5が形成された第2プーリ14Aを有する。ワイヤ11は、第1プーリ13Aの溝A1〜A5と、第2プーリ14Aの溝B1からB5に順次巻き掛けられ、互いに略平行な走行線L1〜L5を形成する。
走行線L1からLn(および対応する溝A1からA5、溝B1からB5)の番号(1からn)は、一方向に沿って順に番号が付される。ここでは、図1に示した構成において第1ローラ13および第2ローラ14が固定されている側(ローラの内側ということがある。)から最も外側に向かって順に番号付し、第1ローラ13の溝A1からワイヤ11を供給する場合を正方向とする例を示すが、これに限られない。例えば、図2に示した構成においてワイヤ11の走行方向を逆にした構成は、図2に示した構成を紙面に垂直な軸を中心に180°回転させた構成と等価である。すなわち、図2において第1ローラ13と第2ローラ14とを入れ替え、走行線L1〜L5および対応する溝の番号を、右から順に1〜5と付したものに相当する。このように走行線L1〜L5の番号は、一方向に沿って順に番号が付されていれば、どちら側から付してもよい。
滑車25を介して第1プーリ13Aに供給されるワイヤ11は、まず溝A1に受容され、溝A1に対向する位置にある第2プーリ14Aの溝B1に掛けられ、次に、第1プーリ13Aの溝A2に掛けられ、以下、順に、第2プーリ14Aの溝B5まで導かれ、溝B5から滑車26へと送られる。すなわち、ワイヤ11が掛けられる溝の順序は、A1−B1−A2−B2−A3−B3−A4−B4−A5−B5であり、A1−B1、A2−B2、A3−B3、A4−B4およびA5−B5で、それぞれ走行線L1、L2、L3、L4およびL5が規定される。
ここで、本発明による実施形態のワイヤソー装置100においては、第1プーリ13Aは、溝A5が形成された部分13eが他の部分13a〜13dから独立に回転し得る構造を有し、且つ、第2プーリ14Aは、溝B1が形成された部分14aが他の部分14b〜14eから独立に回転し得る構造を有している。図2に示した例では、第1プーリ13Aは各溝A1〜A5がそれぞれ形成された部分13a〜13eがそれぞれ独立に回転し得る構造を有し、第1プーリ14Aは各溝B1〜B5がそれぞれ形成された部分14a〜14eがそれぞれ独立に回転し得る構造を有している。
これは、従来の一体ものとして構成されたプーリを用いたときに起こるワイヤの断線やプーリの磨耗の原因を調査した結果得られた知見に基づいている。
従来のプーリ(図2において、13a〜13eおよび14a〜14eが一体に形成されたもの)を用いると、溝A5が形成された部分および溝B1が形成された部分において、プーリの磨耗が激しく起こり、プーリの材料や使用条件によっては、溝A5および溝B1の底(切り欠きの先端)からクラックが生成する場合があった。
これは、溝A5および溝B1において、プーリがワイヤ11から強い力を受けているためと考えられる。図2からわかるように、隣接する走行線間を繋ぐ掛かり関係は、B1−A2、B2−A3、B3−A4およびB4−A5であり、これらの溝を掛けるワイヤ11は、ワイヤ11の走行線L1〜L5に対して傾斜している。このうち、溝B1はワイヤ11の受け入れ側に最も近く、溝A5はワイヤ11の送り出し側に最も近いため、ワイヤ11に掛かる張力の変化が激しいと考えられる。ワイヤ11を逆方向に走行させた場合は、溝A5がワイヤ11の受け入れ側に最も近く、溝B1がワイヤ11の送り出し側に最も近い位置となる。
リールボビン12の回転によって走行させられるワイヤ11は、プーリに接触し、プーリの表面との摩擦抵抗(砥粒がプーリの表面に噛み込む)を通じて力をプーリに伝達し、プーリを回転させながら走行する。走行するワイヤ11にとってプーリは負荷となる。もちろん、ワークピース1を切削している際には、ワークピース1が負荷となる。従って、リールボビン12で巻き取られることによって決まるワイヤ11の走行速度と、第1プーリと第2プーリとの間を走行するワイヤ11の走行速度にずれが生じ、このずれによる張力の偏りが溝B1および溝A5において最も大きい。その結果、溝B1および溝A5において、プーリの磨耗が最も激しくなると考えられる。
上述のようにして発生するワイヤ11に対する張力の偏りを無くすために、溝毎に独立に回転できるように分断した構造を有するのが図2に示した第1プーリ13Aおよび第2プーリ14Aである。ワイヤ11に掛かる負荷は場所によって異なるので、図2に示したように、全ての溝毎にプーリを分断した構成が最も好ましいが、溝B1および溝A5だけを他の部分から分断するだけでも、従来のプーリよりも磨耗を低減することができる。
実際に、図2に示した構成を有するプーリ13Aおよび14Aを作製し、焼結磁石用の成形体を切断したところ、第1プーリ13Aおよび第2プーリ14Aのそれぞれの部分(13a〜13eおよび14a〜14e)が互いに異なる速度で回転することが確認された。また、溝A5を有する部分13eと溝B1を有する部分14aが他の部分との速度の差が大きいことが認められた。従って、少なくとも溝A5を有する部分13eと溝B1を有する部分14aが他の部分から独立に回転できる構造とすることによって、プーリの磨耗を低減できる。
さらに、図2に示した分割構造を有するプーリ13Aおよび14Aを用いた場合は、それぞれが一体に形成された従来のプーリを用いた場合に比べ、ワイヤの断線が発生する頻度が著しく減少した。従って、ワイヤの断線も、上述したプーリの磨耗と同様に、溝A5および溝B1における張力の偏りが主な原因と考えられる。
図2に示したローラ13は、例えば、図3に示す構造を有している。勿論、図に示したローラ14もローラ13と同じ構造のものを用いることができる。
ローラ13は、中心軸62に挿入されたボビン52と、止め板54と、プーリ13Aを有している。ボビン52はボールベアリングを有し、中心軸62の周りに自由に回転できる構造を備えている。止め板54は、ボルト55によってボビン52に固定されている。ワッシャ53によって、止め板53と、止め板53に対向するボビンの受け部52aとの間隔が規定さており、プーリ13Aと止め板53および受け部52aとの間にクリアランスg(例えば0.1mm)が形成される。プーリ13Aは上述したように部分13a〜13eに分割されており、それぞれの部分がボビン52の円筒部52bの周りに自由に回転できる。
なお、隣接するプーリの部分間の摩擦力によって、プーリの部分が独立にスムーズに回転しない場合には、例えば、隣接する部分の間隙42に板ベアリングを設けることが好ましい。特に、上述したように、部分13a/13b間や部分13d/13e間では回転速度の差が大きいので、これらの間には板ベアリングなどによって摩擦抵抗を減少させることが好ましい。
ここで、希土類磁石粉末の成形体の切断に用いたワイヤソー装置100において、ローラ13およびローラ14の外径(図2中のD)、すなわち、プーリ13Aおよび14Aの外径は105mm、ローラ13とローラ14との中心間距離(図2中のL)は約250mm、リールボビンの直径は100mmで、約100mのワイヤ11を用いた。また、走行線L1〜L5のピッチは8mmとした。
ワイヤ11としては、ダイヤモンド砥粒をピアノ線に電着によって固定した電着砥粒ワイヤを用いた。ピアノ線の芯線径0.18mm、外径0.24mm、破断荷重約10kgf、ダイヤモンド砥粒の粒径40μm〜60μm(平均粒径42μm)のワイヤを用いた。なお、ワイヤ11に印加される張力は、約15Nに設定し、ワイヤ11の走行速度は約230m/minとした。また、走行方向の反転周期は約20〜30秒とした。
プーリ13Aおよび14Aは、ポリエチレンやポリウレタンあるいはアセタール樹脂(例えばジュラコン(商品名))などのプラスチック材料で形成する。プラスチック材料の種類によってワイヤ11との摩擦力(噛み込み程度)が変わるので、実際の切断条件(被切削材料、ワイヤ11の種類(太さ等)、切断荷重、切断速度、ワイヤの走行速度、隣接走行線間を渡すワイヤのなす角)などの応じて、適宜選択すれば良い。ここでは、ポリエチレン製のプーリ13Aおよび14Aを用いて、ワイヤ11を案内するための溝の幅は約4mm、深さdは約3mm、開き角θは約70度とした(図2参照)。
加工対象の成形体(グリーン)は、26質量%(Nd+Pr)、5質量%Dy、1質量%B、1質量%Co、0.2質量%Al、0.1質量%Cu、残部Feの合金組成を有する磁石粉末(FSSS粒径:3.0〜3.2μm)を公知のプレス装置を用いて成形したものである。磁石粉末を磁界配向させるための印加磁界は1.2T程度とした。このようにして得られた略直方体の成形体を約60mm×約30mm×約8mm(厚さ)の6枚の成形体片にスライスした。磁石粉末の密度は約7.5g/cm3、成形体密度は約4.2g/cm3であった。
図2に示した分割プーリを有するローラ13および14を用いた場合、プーリは約300時間の加工時間まで使用できた。またこの間、ワイヤ11の断線は発生しなかった。これに対し、従来の分割されていないプーリを用いた比較実験では、加工時間が約20時間でプーリの磨粍が顕著となり使用できなくなった。また、この間にワイヤの断線が頻発した。
このことからもわかるように、分割プーリを用いることによって、プーリの磨粍が抑制されるとともに、ワイヤの断線も抑制される。勿論、プーリの寿命はその材料の物性(ワイヤとの摩擦力の大きさに影響する。)にも依存する。従って、本実施形態で例示したように、比較的短いワイヤを用いて低負荷で加工する場合は、ワイヤの寿命が比較的長いので、プーリの寿命を優先するように材料を選定することが好ましい。
一方、希土類焼結磁石をスライス加工するときのように(例えば、特開2000−141199号公報参照。この公報に記載されている全ての内容を参考のために本明細書に援用する。)に適用することもできる。比較的長いワイヤ(例えば長さ数km)を用いて高負荷で加工する場合は、ワイヤの寿命が比較的短い反面、ワイヤのセットに時間が掛かるので、ワイヤが断線すると加工効率が著しく低下する。このような場合には、プーリの寿命よりもワイヤの断線の発生を抑制するように、プーリの材料を選定することが好ましい。
いずれにしても、本発明の実施形態による分割プーリ(典型的にはワイヤの走行線毎に独立して回転できるプーリ)を用いることによって、ワイヤに掛かる張力の偏りを低減することができるので、プーリの磨耗(およびクラック)の発生および/またはワイヤの断線の発生を抑制することができる。
本発明による効果は、ワイヤに張力の偏りが発生しやすい場合に有効であり、例示したように、ワイヤの走行線の間隔(ピッチ)が広く(例えば3mm以上)、隣接ローラ間の距離Lが短い(例えば300mm以下)場合に有効である。すなわち、隣接走行線間を渡すワイヤのなす角(≒tan−1(ピッチ/ローラ間距離))が大きい程(例えば、0.6°以上、特に例示したように1.8°以上)、有効である。また、ローラとワイヤとの摩擦力(噛み込み)が大きい程有効なので、切削加工時に潤滑液を用いない場合の方が顕著な効果が得られる。
例示した成形体のスライス加工において潤滑剤(例えばイソパラフィン)を使用すると、焼結前に潤滑剤を完全に除去することが困難であり、最終的な焼結磁石に不純物炭素として残存し、磁気特性を低下させる恐れがあるために、乾式加工することが好ましい。従って、本発明の効果が顕著に得られる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、張力の偏りが発生しやすい固定砥粒ワイヤを用いたワイヤソー装置に広く適用することができる。
例えば、図4に示すように、ワイヤ11を互いに略平行な複数の走行線に沿って走行させるローラを4本(第1ローラ13、第2ローラ14、第3ローラ15および第4ローラ15)を有するワイヤソー装置120に本発明を適用することができる。
ワイヤソー装置120においては、4本のローラ13〜16のうち、走行線の両端に位置し、走行線を実質的に規定し、成形体1を切削加工する際に最も負荷が掛かる第1ローラ13および第2ローラ14に分割プーリを設けることが好ましい。勿論、4本のローラ全てに分割プーリを設けても良いし、第3および第4ローラについては、最も外側だけを分割プーリにしても良い。
一般に、ワイヤ11を走行させるローラの数が増えるほど、ワイヤに掛かる張力の偏りは分散される傾向にあるので、本発明はローラの数が2本のワイヤソー装置において最も効果が顕著である。
上述したように、分割プーリを用いることによって、プーリからワイヤに掛かる張力の偏りを低減することができるので、プーリの磨耗の発生および/またはワイヤの断線の発生を抑制することができるが、ローラとリールボビンの間に設けられる滑車(例えば、図1に示したワイヤソー装置100の固定滑車26)からワイヤ11に掛かる張力に偏りが生じることがある。
一般に、滑車に設けるられる溝は、溝の中心に対して左右対称な形状を有しているが、図5に模式的に示すように、例えば固定滑車26においては、溝26Aの断面形状を非対称とし、ワイヤ11を巻き掛ける側の斜面26aの幅を反対側の斜面26bの幅よりも小さい構成、言いかえると、斜面26a側の傾斜角θaが斜面26b側の傾斜角θbよりも小さい構成とすることが好ましい。
固定滑車26に巻き掛けられるワイヤ11は、走行中に溝26Aの斜面26aに当り、斜面26aに転がるように溝26Aの底部に導かれる。ワイヤ11が斜面26aを転がる過程で、ワイヤ11が捻じれる。捻じれ量が多いほどワイヤ11の断線が発生し易くなる。上述のように、溝26Aの断面形状を非対称とし、巻き掛けられたワイヤ11が当接し、転がる方の斜面を他方の斜面よりも幅を狭くすれば、ワイヤ11の捻じれ量が低減され、その結果、ワイヤ11の断線の発生を抑制することができる。例えば、溝26Aの幅を5mm、溝の深さを3mmとした場合、溝の中心を斜面26a側に約1mmずらすことによって、断面形状が対称な溝構造(斜面の幅2.5mm、傾斜角40°)を採用した上記の実施形態に比べて、更に断線発生の頻度を低下させることができた。なお、このときの、斜面26aの幅は1.5mm、斜面26bの幅は3.5mm、傾斜角θaは28°、傾斜角θbは48°であった。
ここでは、図1に示したワイヤソー装置100において、第2ローラ14から送り出されたワイヤ11をリールボビン12に導くための固定滑車26の溝26Aについて説明したが、非対称な断面形状を有する溝は、この例に限れず、ワイヤソー装置100およびワイヤソー装置120の、他の固定滑車あるいは可動滑車、さらにはプーリの溝に適用することもできる。なお、滑車やローラに設けられる溝の何れの面の幅を狭くするかは、その構造に応じて、適宜決められる。なお、ここで例示したワイヤソー装置100においては、切断中のワイヤに対する発生応力と、リールボビン12、ローラ13および14、固定滑車25、26の配置関係から、固定滑車26の溝26Aからワイヤ11が受ける捻じれ量が多いため、少なくとも固定滑車26の溝26Aの断面形状を非対称とすることが好ましい。
以上、酸化しやすく、加工しにくいR−Fe−B系焼結磁石について本発明を説明してきたが、本発明を他の材料からなる希土類焼結磁石や他の焼結磁石の製造方法に適用することも可能である。
また、成形体を切断する例を説明したが、ワイヤソーに対して成形体をNC制御によって2次元または3次元的に相対移動させながら切削加工することによって、成形体の外形加工に利用することもできる。これによって、弓形形状やかまぼこ形状等、任意の形状に成形体を切り出すことができる。
本発明によると、ワイヤソー装置におけるワイヤの断線および/またはプーリの磨耗を従来よりも低減させることができる。その結果、本発明によるワイヤソー装置を用いると、従来よりも高い効率で焼結磁石を製造することができる。
Claims (12)
- 芯線の外周面に砥粒が固着されたワイヤと、
前記ワイヤがその周辺に巻きつけられるリールボビンと、
前記ワイヤを互いに略平行な複数の走行線L1からLn(n≧2、L1からLnは一方向に沿って順に番号が付される。)に沿って走行させる第1ローラおよび第2ローラとを有し、
前記第1ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第1溝A1からAnが形成された第1プーリを有し、前記第2ローラは前記複数の走行線L1からLnにこの順で対応する複数の第2溝B1からBnが形成された第2プーリを有し、
前記第1および第2プーリは、前記ワイヤを第1溝A1から受け入れ、第2溝Bnから前記ワイヤを送り出すように配置されており、
前記第1プーリは、第1溝Anが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、第2溝B1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有している、ワイヤソー装置。 - 前記第1プーリは、さらに第1溝A1が形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有し、且つ、前記第2プーリは、さらに第2溝Bnが形成された部分が他の部分から独立に回転し得る構造を有している、請求項1に記載のワイヤソー装置。
- 前記ワイヤは双方向に走行される、請求項2に記載のワイヤソー装置。
- 前記第1プーリは、前記複数の第1溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有し、前記第2プーリは、前記複数の第2溝のそれぞれが形成された部分毎に互いに独立に回転し得る構造を有する、請求項1から3のいずれかに記載のワイヤソー装置。
- 前記複数の走行線L1からLnのピッチが3mm以上である、請求項1から4のいずれかに記載のワイヤソー装置。
- 前記第1ローラと前記第2ローラとの間隔が300mm以下である、請求項5に記載のワイヤソー装置。
- さらに第3ローラを有し、前記ワイヤの前記複数の走行線は、前記第1、第2および第3ローラによって規定される、請求項1から6のいずれかに記載のワイヤソー装置。
- 前記リールボビンと前記第1ローラまたは第2ローラとの間に滑車をさらに有し、前記滑車が有する溝は、非対称な断面形状を有する、請求項1から7のいずれかに記載のワイヤソー装置。
- 前記リールボビンと前記第1ローラとの間に張力調整装置をさらに備える、請求項1から8のいずれかに記載のワイヤソー装置。
- 焼結磁石の製造方法であって、
磁石粉末の成形体を作製する工程と、
請求項1から9のいずれかに記載のワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程と、
前記成形体を焼結する工程と、
を包含する焼結磁石の製造方法。 - 前記成形体を加工する工程は、前記成形体を複数の部分にスライスする工程を包含する、請求項10に記載の焼結磁石の製造方法。
- 前記ワイヤソー装置を用いて前記成形体を加工する工程は、乾式で実行される、請求項10または11に記載の焼結磁石の製造方法。
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