JPH0970820A - ワイヤー式加工切断装置 - Google Patents

ワイヤー式加工切断装置

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JPH0970820A
JPH0970820A JP22953095A JP22953095A JPH0970820A JP H0970820 A JPH0970820 A JP H0970820A JP 22953095 A JP22953095 A JP 22953095A JP 22953095 A JP22953095 A JP 22953095A JP H0970820 A JPH0970820 A JP H0970820A
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JP
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wire
processing
work
tension
abrasive grains
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JP22953095A
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English (en)
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Yusuke Sakagami
裕介 坂上
Takatomo Shinohara
孝友 篠原
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23DPLANING; SLOTTING; SHEARING; BROACHING; SAWING; FILING; SCRAPING; LIKE OPERATIONS FOR WORKING METAL BY REMOVING MATERIAL, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23D57/00Sawing machines or sawing devices not covered by one of the preceding groups B23D45/00 - B23D55/00
    • B23D57/003Sawing machines or sawing devices working with saw wires, characterised only by constructional features of particular parts
    • B23D57/0069Sawing machines or sawing devices working with saw wires, characterised only by constructional features of particular parts of devices for tensioning saw wires
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28DWORKING STONE OR STONE-LIKE MATERIALS
    • B28D5/00Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor
    • B28D5/04Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools
    • B28D5/045Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools by cutting with wires or closed-loop blades

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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 遊離砥粒とワイヤーを用いて加工する方式に
おいて、ワイヤーの往復運動に関する機構を無くして、
ワークを往復運動させると、更に砥粒を電着したワイヤ
ーを利用する方式において、エンドレスワイヤーを使用
することなく、張力を一定にする機構により、小型で部
品点数が少なくで保守性の優れたワイヤー式加工切断装
置を提供する。 【解決手段】 ワイヤー1の新線が巻れている供給リー
ル2からガイドリール、18,19を経て、溝付ガイド
ローラ7a,7b、溝付加工ローラ8,9の多条溝に沿
って巻回される。更にガイドリール22,21、を経て
巻取リール13に巻取られる。巻取リール13はトルク
モータによって一定のトルクで巻き取られるため、供給
リール2と巻取リール13の間のワイヤーには一定の張
力が働くことになる。ワイヤー1の往復運動がないため
ワイヤー張力が弛緩、緊張を繰り返すことがないためよ
り簡単な方法で張力が一定になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック、半導
体材料、圧電性結晶、磁性材料などの脆性材料をワイヤ
ーとワーク(被加工物)を相対運動させて遊離砥粒によ
って砥粒加工するワイヤー式加工切断装置に関する。更
に、砥粒をワイヤー表面に固着させた固定砥粒を用いた
ワイヤー式加工切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体用シリコンインゴット、水晶振動
子用水晶結晶、磁石などの脆性材料の加工切断には、加
工損失が少なく、加工劣化が少なく、加工表面精度が高
く、高速で加工切断できることが要求されている。その
加工切断方法の1つとして、ワイヤーをワークに摺接さ
せつつ、砥粒を水または油に分散させた加工液を供給し
て加工切断するワイヤー式加工切断装置がある。これは
1960年代にフランスで開発され、高精度電子部品の
需要に伴い広く普及した。
【0003】ワイヤーソーの長所は(1)研磨加工であ
るため、加工面の加工変質層とチッピングが小さい
(2)加工された部分の厚さ精度とテーパは数μmであ
り、加工精度が高い(3)数十から数百本のワイヤーで
一度に加工できるため加工能率が高いことであり、短所
は(1)加工液やワイヤーなどのランニングコストが研
削加工に比べ割高なこと(2)ワイヤーが加工途中で断
線することがある(3)遊離砥粒を用いる方式では加工
液が飛散するため装置が汚れ、作業環境が良くないこと
である。
【0004】ワイヤーソーには、遊離砥粒を利用する湿
式タイプと固定砥粒を利用する乾式タイプの2種類があ
る。湿式タイプは金属ワイヤーとワークの間に砥粒を含
んだ加工液を供給して加工するもので、加工液による冷
却効果がありワークの温度上昇が少ないが装置内が加工
液で汚れるという特徴がある。乾式タイプは、金属ワイ
ヤーの表面にダイヤモンドのような硬い砥粒を電解ニッ
ケルメッキで電着させるなど方式で固着させるので、ワ
イヤーのコストが高い。湿式のような冷却効果がないの
でワークの温度上昇がありワークによっては加工劣化な
ど考慮し、加工速度を調整する必要も出てくる。更に、
砥粒が固定させているので湿式のように加工液で汚れる
ことがないため、加工後の洗浄が容易である。
【0005】図2に従来の湿式ワイヤー式加工切断装置
の基本的構成例を示す。ワイヤー1の新線がワイヤー供
給リール2から出て、ガイドプーリ3、4、6を経て、
溝付ガイドローラ7及び溝付加工ローラ8、9に巻回さ
れる。その後ガイドプーリ10、11、12を経て巻取
リール13に回収される。ワイヤー1は、ガイドプーリ
3、4及び11、12とシーソー機構5によって往復運
動することが可能になり、ワーク14と相対運動をす
る。ワーク昇降機構15によってワーク14が上昇し
て、溝付加工ローラ8と9の間でワイヤー1がワーク1
4に摺接し、加工液供給部16から噴出した加工液17
が供給され砥粒加工がなされる。加工速度に応じてワー
ク昇降機構15が上昇しワーク14は常に新しい部分が
ワイヤー1に摺接するように上昇速度が設定される。単
にワイヤー1が往復運動するだけでは砥粒加工によって
摩耗するため、ある一定量の新線ワイヤーが供給され同
時に摩耗したワイヤーが回収されるしくみになってい
る。均一な砥粒加工のためには、加工液17が常に加工
部分近傍に適正量供給される必要がある。
【0006】図6に従来の乾式ワイヤー式加工切断装置
の基本的構成例を示す。砥粒を電着したエンドレスのワ
イヤー1aが、溝付ガイドローラ7a、7b、7c、7
d及び溝付加工ローラ8、9に巻回される。複数本のワ
イヤー1aがワイヤー固定部29に固定され、ワイヤー
1aの数だけ同時に加工切断できる。
【0007】ワイヤー1aはワイヤー固定部29に固定
され、スライドガイド24に沿って直線運動する機構を
連動し往復運動することが可能になり、ワーク14と相
対運動をする。ワイヤー1aを往復運動させる機構は、
図6に示した機構以外にも可能であり、例えば溝付ガイ
ドローラ7a、7b、7c、7dを同期して正逆回転す
ることによっても可能である。その場合にはワイヤー張
力を一定にするため、エンドレスのワイヤー1aの長さ
を正確に揃えておく必要がある。ワーク昇降機構15に
よってワーク14が上昇して、溝付加工ローラ8と9の
間でワイヤー1aがワーク14に摺接し砥粒加工させ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の例のように、ワ
イヤーとワークの相対運動はワイヤーを溝付きガイドロ
ーラ、溝付き加工ローラの正逆回転することによって行
っているため、その往復運動分のワイヤーの移動量を吸
収する機構が必要となり装置が大型化するという課題が
あった。
【0009】具体的には、特公平6−88204号には
動滑車の昇降をモータで行い、ワイヤーの弛緩と緊張の
張力を緩和する機構が記載されている。特公平4−40
96号には溝付きローラ群を板でガイドして昇降させワ
イヤーの弛緩と緊張の張力を緩和する機構が記載されて
いる。特公昭58−2794号には液体と空気を利用し
てワークの昇降を微速に行う方法が記載されている。し
かし、いずれの場合にも加工が進むにつれて新しい加工
部をワイヤーに摺接させる目的で移動する機構が備わっ
ているが、ワークは往復運動せず支持台に固定されてい
る。そして、ワイヤーの往復運動を吸収するための多数
のガイドプーリとシーソー機構が備わっていることによ
って行われている。それらが占有する空間は大きなもの
になり、結果的に装置を大型化することになっている。
【0010】本発明の目的はこうした課題に鑑み、ワイ
ヤー張力が一定になり、砥粒を含んだ加工液を安定に供
給できる小型のワイヤー式加工切断装置を提供すること
である。更に、従来よりも装置の構造が簡単で部品点数
が少なく、結果的に安価で保守性の優れたワイヤー式加
工切断装置を提供することである。
【0011】以上は砥粒を含んだ加工液を利用する湿式
の場合であるが、砥粒を電着したワイヤーを使用する乾
式のワイヤー式加工切断装置の場合には、ワイヤーを多
回巻きにする際、エンドレスのワイヤーを溝付ローラに
それぞれ巻付ける場合にはワイヤーの長さを正確に揃え
ておく必要があり、ワイヤーの製造を困難にする要因で
もある。本発明の目的はこうした課題に鑑み、砥粒を電
着したエンドレスのワイヤーを用いなくてもワイヤー張
力が一定になり、しかも小型で装置の構造が簡単で部品
点数も少なく、結果的に安価で保守性の優れたワイヤー
式加工切断装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】遊離砥粒方式の場合に
は、(a)ワイヤーを供給する手段、(b)前記ワイヤ
ーに張力を付加する手段、(c)前記ワイヤーを複数の
ローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成する手段、
(d)ワークを固定し直線状に往復運動させる手段、
(e)前記(d)手段に固定され砥粒を含む加工液を供
給する手段、(f)前記ローラ群を昇降させる手段、
(g)前記ワイヤーを回収する手段からなることを特徴
とする。
【0013】更にワークを回転させる場合には、(a)
ワイヤーを供給する手段、(b)前記ワイヤーに張力を
付加する手段、(c)前記ワイヤーを複数のローラに巻
き付けて平行なワイヤー列を形成する手段、(d)ワー
クを回転運動させる手段、(e)前記(d)手段に固定
され砥粒を含む加工液を供給する手段、(f)前記ロー
ラ群を昇降させる手段、(g)前記ワイヤーを回収する
手段からなることを特徴とする。
【0014】固定砥粒方式の場合には、(a)砥粒を表
面に固着したワイヤー、(b)前記ワイヤーを供給する
手段、(b)前記ワイヤーに張力を付加する手段、
(c)前記ワイヤーを複数のローラに巻き付けて平行な
ワイヤー列を形成する手段、(d)ワークを固定し直線
状に往復運動させる手段、(e)前記ローラ群を昇降さ
せる手段、(g)、前記ワイヤーを回収する手段からな
ることを特徴とするワイヤー式加工切断装置。
【0015】又(a)砥粒を表面に固着したワイヤー、
(b)前記ワイヤーを供給する手段、(c)前記ワイヤ
ーに張力を付加する手段、(d)前記ワイヤーを複数の
ローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成する手段、
(e)ワークを回転運動させる手段、(f)前記ローラ
群を昇降させる手段、(g)前記ワイヤーを回収する手
段からなることを特徴とするワイヤー式加工切断装置。
更に、前記ローラ群が樹脂でできていることを特徴とす
る。
【0016】
【作用】先ず加工液を利用する湿式の場合には、ワーク
を往復運動させる方式において課題になるのは、(1)
加工液の安定供給方法、(2)張力を一定に保持する方
法、(3)ワイヤー新線を供給する方法、である。
【0017】先ず(1)加工液の安定供給方法である
が、従来のワークが支持台に固定されえている場合に
は、加工液供給部が静止していても上から加工液が供給
され、ワイヤーの往復運動に対しても安定に供給され
る。それに対して本発明の例では、ワークが往復運動す
るため加工液供給部が静止しているとワークに加工液が
供給されないことになる。そこで、加工液供給部をワー
クと一緒に往復運動させることによって、ワークに安定
に供給されることになる。
【0018】次に(2)張力を一定に保持する方法と
(3)ワイヤー新線を供給する方法であるが、本発明の
場合にはワイヤーが往復運動をしないために、供給リー
ルと巻取リールの間に一定のトルクで巻取るモータを利
用してわずかにワイヤーを移動させるだけで両方の課題
が解決できる。即ち、一定トルクが作用することによっ
てワイヤー張力は一定に保持され、且つ巻取リールをわ
ずかにすることによってワイヤー新線の供給及び回収も
行うことができる。ワイヤーの張力は途中の溝付ガイド
ローラと溝付加工ローラが正逆回転しないため、速度反
転時に張力のオーバーシュートが発生しない。その結果
としてワイヤーの断線が発生し難くなる。また、溝付ガ
イドローラと溝付加工ローラは回転速度がゆっくりなの
ですべりが発生することも少なく、単に従動ローラにす
るだけで良い。従って、回転駆動に関するモータの数も
少なくなる。請求項2の発明についてもワークの運動が
回転運動に変わっただけで基本的には同じである。
【0019】ワークを回転させる場合にも同様のことが
言える。直線往復運動の代わりに一方向の回転運動にな
るだけであり、ワイヤー張力の変動が少なく、しかもワ
ーク及びワークを運動させる部分の除けば、同じ構造を
採用することができるため、同じ作用を与える。
【0020】更に、砥粒を表面に電着させたワイヤーを
利用する乾式の場合には、加工液を供給する必要がない
点を除けば、上記湿式の場合と同じ作用がある。ワイヤ
ー張力を一定に保持する機構については、エンドレスの
砥粒を電着したワイヤーを用いなくても長いワイヤーを
そのまま利用でき、しかも砥粒が脱落して加工効率の低
下したワイヤーを自動的に回収することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いてそれぞれ説明する。
【0022】(実施例1)図1に本発明の湿式でワーク
を直線運動をさせるワイヤー式加工切断装置の概略構造
を示す。ワイヤー1の新線が巻れている供給リール2か
らガイドリール、18、19を経て、溝付ガイドローラ
7a、7b、溝付加工ローラ8、9の多条溝に沿って巻
回される。更にガイドリール22、21、を経て巻取リ
ール13に巻取られる。巻取リール13はトルクモータ
によって一定のトルクで巻き取られるため、供給リール
2と巻取リール13の間のワイヤーには一定の張力が働
くことになる。ワイヤー1の往復運動がないためワイヤ
ー張力が弛緩、緊張を繰り返すことがないためより簡単
な方法で張力が一定になる。
【0023】ワイヤー1は溝付加工ローラ8と9の間で
ワーク14と摺接し、ある距離の相対運動を繰り返す。
そこへ加工液供給部16a,16bから加工液17が上
方から供給される。加工液供給部16a,16bはワー
ク14に対して静止しているので、常にある決まった位
置に加工液17が供給させることになる。但し、直線運
動を繰り返しているので、加速と減速する時に加工液1
7が慣性力でワーク14と違う挙動するので、その分の
違いを見込んで位置を決めてやる必要がある。
【0024】加工液17は砥粒と液体から構成され、加
工液17の粘性はあまり高粘性であると、加工部に供給
が充分されないし、逆にあまり低粘性であると余分な加
工液が垂れてしまい機械内部が汚れ易くなる。
【0025】加工液中の砥粒については、その形状は不
定形でありワイヤー径に比べその粒径が大きいと、加工
には無効な加工抵抗の水平成分が局部的に増え上記うね
りが発生し易くなる。従って砥粒の平均粒径はワイヤー
径の1/20〜1/4程度が望ましい。加工液中砥粒の
濃度があまり低いと加工効率が悪くなり、逆に砥粒濃度
があまり高いと加工液の流動性が悪くなり加工液の供給
が充分行えなくなる。加工液中の液体は錆防止及び適度
な粘性が得られるという理由から研削油のような機械油
が多く利用される。
【0026】ワーク14は直線状往復機構22により往
復運動することになるが、具体的にはリニアモータを使
用する方式と回転モータを使用する方式の2つがある。
リニアガイドを有するリニアモータを採用することが加
工速度や騒音の点で優れている。回転モータとボールネ
ジを組み合わせて回転運動を直線運動に変換する方式
は、往復運動の速度が遅いことと耐久性が劣る点があ
る。但し、いずれも加工液が垂れるため、リニアガイド
などの摺動部分に砥粒が付着して摩耗の原因やガタの原
因になるのでカバー等の保護が必要になる。
【0027】リニアモータには、代表的なものにリニア
誘導モータ(LIM)、リニア同期モータ(LSM)、
リニア直流モータ(LDM)、リニアパルスモータ(L
PM)などがありそれぞれの特徴を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】本発明ではいずれかの方式に限定するもの
ではないが、代表的なリニア同期モータの例を図4に示
す。リニアガイドを有する基板25に、永久磁石26が
複数個固定されている。図4の永久磁石26は斜めに配
置されている理由は、推力を平滑化するための対策であ
り必ずしも不可欠な配置ではないが、高精度の加工をす
るためにはより望ましい配置である。基板25の上にコ
イルを有する可動部27が載っており、リニアガイドに
沿って滑らかな直線運動ができる構造になっている。繰
り返しの再現精度が高く且つ摩耗し難いリニアガイドが
望ましく、ボールベアリングが可動部に配置されること
が多い。可動部27からはコイルの配線28が側方から
出ており、屈曲性の良い状態にまとめられて図4のよう
に可動部27が運動しても配線28には大きな応力が作
用しないようになっている。配線28はリニア同期モー
タの制御部に接続される。リニアモータには、加工液1
7が直接付着しないように、蛇腹式のカバー、更に加工
液避けのカバーなどが必要になる。図4ではそれらのカ
バーについては省略してある。回転モータとボールネジ
を利用した方法でも直線往復運動は可能であり、いずれ
かの方法に限定するものではない。
【0030】加工速度に応じて溝付きガイドローラ7
a、7b及び溝付き加工ローラ8、9を一定の速度で下
降させる。具体的には、モータでボールネジを回転させ
ることによって、溝付きガイドローラ7a、7b及び溝
付き加工ローラ8、9を支持する台を一定速度で上昇ま
たは下降させることができる。この速度と実際の加工速
度にずれがある場合には(特に下降速度が実際の加工速
度より速い場合)、ワイヤー1が上に凸状にたわむよう
になり安定した加工が出来なくなる。その場合には支持
台の下降速度をゆっくりにして実際の加工速度に合わせ
てやる必要がある。但し、加工液17の供給がうまくい
っていない場合やワイヤー1の張力が適正であに場合な
どもあるので、他の条件も調整してから加工速度を決め
ることが望ましい。また支持台の下降が一定速度でなく
一定の荷重で上昇する方式もあり、この場合にはワーク
14とワイヤー1の接触力が一定になるという特徴があ
る。加工が進むにつれてこの接触部分の接触長が変化し
ないワーク(例えば立方体等)の場合には、接触圧力が
一定になり安定する。この昇降機構はボールネジの方式
に限定するものではなく、他の方法でも可能である。
【0031】実際の加工例として、水晶の結晶とPrF
eB系希土類磁石を切断した場合の条件と加工寸法のば
らつきについて述べる。(1)加工条件は、溝付加工ロ
ーラφ40mm、ナイロン66製、溝付ガイドローラφ
40mm、ナイロン66製、ワイヤー径φ0.16m
m、ワーク送り速度100m/分、加工速度5mm/時
間、加工液は、砥粒(GC1000):研削油=1:1
(2)ワークの例として、(A)水晶の結晶(B)Pr
FeB系希土類磁石、加工寸法はいずれも3.00mm
で同一条件(3)加工寸法ばらつき結果、(A)水晶の
結晶、平均値=3.006mm、標準偏差=0.011
mm、N=25個、(B)PrFeB系希土類磁石、平
均値=3.008mm、標準偏差=0.025mm、N
=25個PrFeB系希土類磁石の方がやや金属に近い
粘い性質を持っているため、加工寸法の標準偏差が大き
くなっているが、脆性材料の代表である水晶の結晶では
標準偏差0.011mmとばらつきは少なくなってお
り、加工精度も優れている。また、加工によって生じた
損失(加工溝の幅)は約0.2mmであり、ワイヤー径
0.16mmに平均砥粒径約0.02mmの2倍を加え
た程度になっており、加工損失も少ないことが判る。溝
付加工ローラをナイロン製にしたことにより、ローラ自
身の溝加工も容易になり、加工時間のうちワイヤー断線
は一度もなかった。
【0032】(実施例2)図3に本発明の湿式でワーク
を回転運動をさせるワイヤー式加工切断装置の概略構造
を示す。ワイヤー1の新線が巻れている供給リール2か
らガイドリール、18、19を経て、溝付ガイドローラ
7a、7b、溝付加工ローラ8、9の多条溝に沿って巻
回される。更にガイドリール22、21、を経て巻取リ
ール13に巻取られる。巻取リール13はトルクモータ
によって一定のトルクで巻き取られるため、供給リール
2と巻取リール13の間のワイヤーには一定の張力が働
くことになる。ワイヤー1の往復運動がないためワイヤ
ー張力が弛緩、緊張を繰り返すことがないためより簡単
な方法で張力が一定になる。加工液の供給や加工液17
については実施例1と同様である。
【0033】図5にワークを多数本同時に回転させる機
構の実施例を示してある。図5では円筒状のワークが6
本同時に同じ方向に回転する仕組みになっている。各ワ
ークはタイミングプーリ32に取り付けられ、タイミン
グベルト31によって連結されているため、各タイミン
グプーリは同じ回転速度で同一方向に回転することにな
る。これを図3の回転機構23の代わりにワイヤー1と
各ワーク14aが摺接するように設置すれば良い。この
場合にワイヤー1とワーク14a群を平行に設置するこ
ともできるが、加工による負荷が大きい場合には斜めに
設置することもできる。ワークを回転させる方法とし
て、タイミングベルトとタイミングプーリを利用する方
法以外にも、Vベルトとプーリを利用する方法、歯車を
利用する方法などがありいづれかに限定するものではな
い。
【0034】実際の加工例として、押出し成形の希土類
ボンド磁石を切断した場合の条件と加工寸法のばらつき
について述べる。(1)加工条件は、溝付加工ローラφ
40mm、ナイロン66製、溝付ガイドローラφ40m
m、ナイロン66製、ワイヤー径φ0.16mm、ワー
ク回転速度600rpm、加工速度10mm/時間、加
工液は、砥粒(GC1000):研削油=1:1(2)
ワークの例として、押出し成形希土類ボンド磁石(セイ
コーエプソン製NEODEX−8)、ワーク寸法:φ1
8xφ16x150mm、加工寸法2.80mm(3)
加工寸法ばらつき結果、平均値=2.794mm、標準
偏差=0.008mm、N=216個このワークは希土
類ボンド磁石のため機械的強度は金属に比べ弱いことも
あり、サンプル数が216個と多いにも関わらず標準偏
差は0.008mmと小さい。脆性材料とは異なり複合
材料であるため、実施例1の加工例と単純な比較はでき
ないが、ワイヤー式加工切断装置が広く使用できること
を示している。
【0035】(実施例3)図7に本発明の乾式でワーク
を直線運動をさせるワイヤー式加工切断装置の概略構造
を示す。ワイヤー1aの新線が巻れている供給リール2
からガイドリール18、19を経て、溝付ガイドローラ
7a、7b、溝付加工ローラ8、9の多条溝に沿って巻
回される。更にガイドリール22、21を経て巻取リー
ル13に巻取られる。巻取リール13はトルクモータに
よって一定のトルクで巻き取られるため、供給リール2
と巻取リール13の間のワイヤーには一定の張力が働く
ことになる。ワイヤー1aの往復運動がないためワイヤ
ー張力が弛緩、緊張を繰り返すことがないためより簡単
な方法で張力が一定になる。
【0036】ワイヤー1aは、ピアノ線等の高強度の金
属ワイヤーにメッキをし表面に砥粒を電着させることに
よって製造する。その製造工程は、(1)ドラムに巻か
れた金属ワイヤーを銅電極に接触させ給電可能にする
(2)アセトン等の有機溶剤で洗浄する(3)10%塩
酸等で酸洗浄する(4)予備メッキ槽でNiメッキをす
る(5)砥粒を電着する(6)後メッキ槽でNiメッキ
をする(7)ドラムに巻き取る、のようになる。メッキ
槽は3槽に分かれており、第1槽では金属ワイヤーとN
iメッキの付着を向上させるための予備メッキである。
第2槽では予備メッキされたワイヤー表面にダイヤモン
ド等の砥粒を着床させるためにある。第3槽では、電着
された砥粒をNiメッキで埋設して強固に固着させるこ
とになる。ワイヤー芯線の径Dと砥粒の平均粒径dの関
係は、1/4≦d/D≦1/20程度が望ましい。更に
第3槽でのメッキ厚は、薄いと砥粒が遊離し易く逆に厚
いと砥粒が埋設して加工能力が低下するので、砥粒の平
均粒径の半分程度が望ましい。ワークを直線往復運動さ
せるための機構は、実施例1と同じものが使用できる。
【0037】実際の加工例として、水晶の結晶とPrF
eB系希土類磁石を切断した場合の条件と加工寸法のば
らつきについて述べる。(1)加工条件は、溝付加工ロ
ーラφ40mm、ナイロン66製、溝付ガイドローラφ
40mm、ナイロン66製、ワイヤー芯線径φ0.20
mm、ダイヤモンド砥粒、ワーク送り速度100m/
分、加工速度3mm/時間(2)ワークの例として、
(A)水晶の結晶(B)PrFeB系希土類磁石、加工
寸法はいずれも3.00mmで同一条件(3)加工寸法
ばらつき結果、(A)水晶の結晶、平均値=3.012
mm、標準偏差=0.010mm、N=25個、(B)
PrFeB系希土類磁石、平均値=3.014mm、標
準偏差=0.023mm、N=25個実施例1に比べる
と加工速度が劣っているものの、加工精度としては同程
度と見なしてよい。
【0038】(実施例4)図8に本発明の乾式でワーク
を回転運動をさせるワイヤー式加工切断装置の概略構造
を示す。ワイヤー1aの新線が巻れている供給リール2
からガイドリール18、19を経て、溝付ガイドローラ
7a、7b、溝付加工ローラ8、9の多条溝に沿って巻
回される。更にガイドリール22、21を経て巻取リー
ル13に巻取られる。巻取リール13はトルクモータに
よって一定のトルクで巻き取られるため、供給リール2
と巻取リール13の間のワイヤーには一定の張力が働く
ことになる。ワイヤー1aの往復運動がないためワイヤ
ー張力が弛緩、緊張を繰り返すことがないためより簡単
な方法で張力が一定になる。ワイヤー1aは実施例3と
同じである。又、ワークを回転運動させる機構について
は、実施例2と同じものが使用できる。
【0039】実際の加工例として、押出し成形の希土類
ボンド磁石を切断した場合の条件と加工寸法のばらつき
について述べる。(1)加工条件は、溝付加工ローラφ
40mmのナイロン66製、溝付ガイドローラφ40m
mのナイロン66製、ワイヤー芯線径φ0.20mm、
ダイヤモンド砥粒、ワーク回転速度600rpm、加工
速度6mm/時間(2)ワークの例として、押出し成形
希土類ボンド磁石(セイコーエプソン製NEODEX−
8)ワーク寸法:φ18xφ16x150mm、加工寸
法は2.80mmとした。(3)加工寸法ばらつき結
果、平均値=2.802mm、標準偏差=0.014m
m、N=216個この実施例と比較して標準偏差は0.
014mmとやや大きいが、円筒状ワークの場合にはワ
ークを回転させる方式の方が無駄な動きが無く、加工速
度の点で優れている。回転による振れなどの影響がある
ため、実施例3の加工例と単純な比較はできないが、ワ
イヤー式加工切断装置が効果的なことを示している。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、ワイヤー張
力が一定になり、砥粒を含んだ加工液を安定に供給でき
る小型のワイヤー式加工切断装置となる。更に、従来よ
りも装置の構造が簡単で部品点数が少なく、結果的に安
価で保守性の優れたワイヤー式加工切断装置となる。
【0041】更に、砥粒を電着したワイヤーを使用する
乾式のワイヤー式加工切断装置の場合には、砥粒を電着
したエンドレスのワイヤーを用いなくてもワイヤー張力
が一定になり、しかも砥粒が脱落し摩耗したワイヤーの
回収も自動的に行える小型のワイヤー式加工切断装置と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の湿式のワイヤー式加工切断装置の概
略構造を示す図。
【図2】 従来の湿式のワイヤー式加工切断装置の概略
構造例を示す図。
【図3】 本発明の別な湿式のワイヤー式加工切断装置
の概略構造を示す図。
【図4】 本発明の同期式リニアモータの概略構造例を
示す図。
【図5】 本発明のワーク回転機構の概略構造例を示す
図。
【図6】 従来の乾式のワイヤー式加工切断装置の概略
構造例を示す図。
【図7】 本発明の乾式のワイヤー式加工切断装置の概
略構造を示す図。
【図8】 本発明の乾式のワイヤー式加工切断装置の概
略構造を示す図。
【符号の説明】
1、1a ワイヤー 2 供給リール 3、4、6 ガイドプーリ 10、11、12 ガイドプーリ 5 シーソー機構 7a〜7d 溝付ガイドローラ 8、9 溝付加工ローラ 13 巻取リール 14 ワーク 14a 円筒状ワーク 16a、16b 加工液供給部 17 加工液 18、19 ガイドプーリ 20、21 ガイドプーリ 22 直線状往復機構 23 回転機構 24 スライドガイド 25 基板 26 永久磁石 27 可動部 28 配線 29 ワイヤー固定部 30 支持板 31 タイミングベルト 32 タイミングプーリ 33 テンションローラ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ワイヤーを供給する手段、(b)
    前記ワイヤーに張力を付加する手段、(c)前記ワイヤ
    ーを複数のローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成
    する手段、(d)ワークを固定し直線状に往復運動させ
    る手段、(e)前記(d)手段に固定され砥粒を含む加
    工液を供給する手段、(f)前記ローラ群を昇降させる
    手段、(g)前記ワイヤーを回収する手段からなること
    を特徴とするワイヤー式加工切断装置。
  2. 【請求項2】 (a)ワイヤーを供給する手段、(b)
    前記ワイヤーに張力を付加する手段、(c)前記ワイヤ
    ーを複数のローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成
    する手段、(d)ワークを回転運動させる手段、(e)
    前記(d)手段に固定され砥粒を含む加工液を供給する
    手段、(f)前記ローラ群を昇降させる手段、(g)前
    記ワイヤーを回収する手段からなることを特徴とするワ
    イヤー式加工切断装置。
  3. 【請求項3】 (a)砥粒を表面に固着したワイヤー、
    (b)前記ワイヤーを供給する手段、(b)前記ワイヤ
    ーに張力を付加する手段、(c)前記ワイヤーを複数の
    ローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成する手段、
    (d)ワークを固定し直線状に往復運動させる手段、
    (e)前記ローラ群を昇降させる手段、(g)前記ワイ
    ヤーを回収する手段からなることを特徴とするワイヤー
    式加工切断装置。
  4. 【請求項4】 (a)砥粒を表面に固着したワイヤー、
    (b)前記ワイヤーを供給する手段、(c)前記ワイヤ
    ーに張力を付加する手段、(d)前記ワイヤーを複数の
    ローラに巻き付けて平行なワイヤー列を形成する手段、
    (e)ワークを回転運動させる手段、(f)前記ローラ
    群を昇降させる手段、(g)前記ワイヤーを回収する手
    段からなることを特徴とするワイヤー式加工切断装置。
  5. 【請求項5】 前記ローラ群が樹脂でできていることを
    特徴とする請求項1〜4記載のワイヤー式加工切断装
    置。
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