JPWO2004040309A1 - 薬物の血漿蛋白結合における血漿蛋白質上の結合部位の測定法及び血漿蛋白質変異の測定法 - Google Patents
薬物の血漿蛋白結合における血漿蛋白質上の結合部位の測定法及び血漿蛋白質変異の測定法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このように生体の中では薬物はその特性に応じて一部血漿蛋白質等の生体高分子と可逆的に結合して存在している。一般に毛細血管壁或いは細胞膜等を通過できるものは非結合型の薬物であるので、有効成分として作用し得るのは血漿蛋白質等と結合していない遊離型の薬物であり、その作用部位への移行は血漿蛋白質等との結合によって大きく影響を受ける。血漿蛋白質と薬物との結合が、薬物が作用すべき病巣部位への分布や排泄に影響を与えることから、薬物の開発においては、当該薬物と血漿蛋白質との結合の有無を調べ、結合する場合にはその結合率を測定しておくことが必要である。
国際公開00/78352号公報には、血漿蛋白質と結合親和性を有する第一の薬物を投与して、当該第一の薬物と共通の血漿蛋白質に結合親和性を有する第二の薬物を投与し、第一の薬物の血漿蛋白質への結合を制御することができる薬物の投与方法及び製剤が記載されている。すなわち、当該公報には、第一の薬物の投与と同時又はその前後に、かかる第二の薬物を投与することによって、第一の薬物の血漿蛋白質への結合を制御し、血液中の第一の製剤の遊離濃度を高めるもしくは低減できることが記載されている。
例えば、99m−テクネチウム標識メルカプトアセチルグリシルグリシルグリシン(99mTc−MAG3)は、腎臓において尿細管分泌により効率的に尿中排泄されるため、腎及び尿路疾患の診断を目的として広く用いられている体内用放射性医薬品である。診断剤の濃度において、99mTc−MAG3は、血漿蛋白質にその約90%が結合していることが知られている。WO00/78352号公報には、99mTc−MAG3を第一の薬物とした場合、第二の薬物であるブコローム、セファゾリン、バルプロ酸等の投与により、99mTc−MAG3と血漿蛋白質との結合が抑制され、99mTc−MAG3の遊離濃度を高めることができ(置換効果)、結果として99mTc−MAG3がより効率的に尿中排泄されるようになることが記載されている。
また、本発明者らの特許出願、特願2002−267010号明細書には、血漿蛋白質と結合親和性を有する有効成分を含有する製剤の投与と同時或いはその前後に、当該有効成分と共通の血漿蛋白質に高い結合親和性を有するアミノ酸を含む製剤を投与すると、結合部位において競合的置換が生じ、有効成分の遊離濃度が増加し(置換効果)、従って、有効成分含有製剤を単独で投与するよりは高い薬物活性を得ることが期待できることが記載されている。逆に、アミノ酸を含む製剤の作用により、有効成分の血漿蛋白質結合が高まる場合には、有効成分の遊離濃度が低減し(遊離濃度低減効果)、血液中における有効成分の遊離濃度が長時間にわたり低めに維持されることによるクリアランスの低下で、持続的な薬効発現を達成することが期待できることも記載されている。
ところで、上記のような第二の薬物又はアミノ酸を含む製剤による置換効果は、第一の薬物や投与される生体によって異なることが予想される。薬物が結合する代表的な血漿蛋白質にはアルブミンと酸性糖蛋白質が挙げられ、それぞれ複数個の結合部位を有していることが明らかになっている。例えば第一の薬物の結合部位と第二の薬物の結合部位が同じ場合には、第二の薬物の置換効果により第一の薬物の遊離濃度は大きく変化するが、結合部位が異なる場合にはかかる置換効果による第一の薬物の遊離濃度の変化は小さいと考えられる。このため、第二の薬物による置換効果を期待する場合には、予め第一、第二の薬物の血漿蛋白質との結合部位を調べておく必要がある。薬物が血漿蛋白質上の複数の薬物結合サイトのうちのどのサイトと結合するのかが予めわかれば、当該薬物の薬物動態の予測がより容易になるからである。
一方、血漿蛋白質として代表的なアルブミンや酸性糖蛋白質自体に変異等がある場合にも、上記の置換効果に大きな影響を与える可能性がある。蛋白質の結合部位に変化が生じれば薬物との結合が変化するためである。
ところが、これまで薬物と血漿蛋白質との結合部位及び結合量を測定するための簡便な方法は開発されていなかった。
薬物の置換効果を測定するには、例えばWO00/78352号公報に記載されているように、放射性核種で標識した第一の薬物、及び置換用の第二の薬物を血漿と混合し、混合液全体の放射能量を測定し、また、限外濾過した後の蛋白質と結合していない薬物を含む濾液の放射能量を測定し、両者を比較すればよい。しかしながら、この方法では、第一の薬物、第二の薬物が変る度に第二の薬物の置換効果を測定する必要があり、このため、重篤な患者から測定用の血液を多量に採取しなければならず、加えて測定に手間や時間が掛かる等の問題があった。
本発明はまた、少量の試料で、正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知である薬物の遊離率を測定することにより、血漿蛋白質の変異を検出する方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、血漿蛋白質との結合部位が既知である薬物の遊離率の変化を測定することにより、血漿蛋白質の変異体を検出する方法を提供することを目的とする。
本発明は、血漿蛋白質との結合部位を測定すべき第一の薬物を、血漿蛋白質との結合部位が既知である第二の薬物及び血漿蛋白質と反応させ、第一の薬物の血漿蛋白質への結合に対する第二の薬物添加による影響、すなわち第一の薬物の遊離率の変化を測定することによって、第一の薬物の血漿蛋白質との結合部位を測定する方法を提供する。
また、本発明は、血漿蛋白質との結合部位を測定すべき第一の薬物を、血漿蛋白質との結合部位が既知である複数の第二の薬物及び血漿蛋白質と反応させ、第二の薬物と血漿蛋白質との結合による第一の薬物の遊離率の変化を測定することで、第一の薬物の血漿蛋白質との結合部位を測定する方法及びこの方法を実施するためのキットを提供する。
また、本発明は、正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知である薬物と血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率の変化を測定することにより、血液中の蛋白質の変異を検出する方法及びこの方法を実施するためのキットを提供する。
さらに、本発明は、血漿蛋白質との結合部位が既知である薬物と血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率の変化を経時的に測定することにより、血液中の蛋白質変異体を検出する方法及びこの方法を実施するためのキットを提供する。
本発明の方法により、ある薬物が、血漿蛋白質上のどの結合部位にどれくらいの結合力でどれくらいの量結合するかを測定することができ、従って、多数の候補薬物群の中から所望の血漿蛋白質結合プロファイルを有する薬物を選択することが可能となる。また、本発明の方法により、健常人及び患者の血漿蛋白質上の薬物結合部位の変異を知ることができる。さらに、本発明の方法を用いれば、既存の薬物の血漿蛋白質との結合を制御する(結合を増す又は遊離率を増す)ために必要な添加剤、つまり、置換薬である第二の薬物を選び出すことができる。
従って、本発明の方法により、処方される既存医薬品の体内薬物動態を改善するための添加剤を提供することが可能となり、本発明は、既存医薬品の処方の改良或いはより有効性を高める医薬品の製剤改良の検討に大きく寄与することができる。
本発明によれば、薬物の効果をコントロールするための置換薬物の選択を少量の試料で簡便に行うことができ、また、血漿蛋白質に変異がある場合にもその結合部位の異常を少量の試料で簡便に測定できることから薬物治療への貢献は大きい。
発明を実施するための形態
血漿蛋白質と結合性を有する第一の薬物の投与と同時或いはその前後に、共通の血漿蛋白質に高い結合性を有する第二の薬物を投与すると、結合部位において置換が生じ、第一の薬物のより高い遊離濃度を生じる(置換効果)と考えられ、第一の薬物を単独で投与するよりは高い薬物活性を得ることが期待できる。逆に第二の薬物の作用により第一の薬物の血漿蛋白質濃度が高まる場合(遊離濃度低減効果)には、血中の第一の薬物の遊離濃度が長時間にわたり低めに維持されることにより持続的な薬効発現を達成することも期待できる。
かかる血漿蛋白質と結合親和性を有する第一の薬物は、投与の目的に添った薬物であれば治療薬又は診断薬のいずれでも良い。第二の薬物は、治療又は診断目的とは関係なく先述の置換効果を得るためには第一の薬物と同じ血漿蛋白質への競合的結合親和性を有し、第一の薬物の血漿蛋白質への結合を阻害し第一の薬物の遊離量を増大させるもの、又は第一の薬物と血漿蛋白質への結合部位が共通し、かつより結合親和性の高いものから選ぶのが好ましい。逆に遊離濃度低減効果を得るためには、第二の薬物が血漿蛋白質に結合することにより第一の薬物の血漿蛋白結合が上昇するような薬物から、その効果の高いものを選ぶことにより目的を達成できる。
薬物のかかる置換効果及び遊離濃度低減効果の本態を解明した研究は見当たらないが、本発明者らによる特願2002−267010号明細書には、薬物の組み合わせにより血漿蛋白質への薬物の結合が低下した(置換効果)又は上昇した(遊離濃度低減効果)例が開示されている。第一の薬物と第二の薬物の組み合わせによってこのような効果を得ようとするには、本発明の方法によって、第一及び第二の薬物の血漿蛋白質との結合部位を予め求めておくことが望ましいことは明らかである。本発明の測定方法では、一の第一の薬物に対して、単一又は複数の第二の薬物を組み合わせて用いることができる。
本発明の測定法における血漿蛋白質は、ヒト由来のものであると動物由来のものであるとを問わない。薬物が結合する血漿蛋白質としては、代表的なものとして、ヒト血清アルブミン(HSA)、α1−酸性糖蛋白質(AGP)、ガンマグロブリン、リポ蛋白質等が挙げられ、一般にHSAまたAGPに結合するものが多い。
HSAは結合部位としてサイトI、サイトII及びサイトIIIを有している。薬物によってはHSA上の結合するサイトは既に確認されている。HSAのサイトIに結合特異性を有する薬物として、ブコローム(5−n−ブチル−1−シクロヘキシル−2,4,6−トリオキソパーヒドロピリミジン)、セファゾリン(7−[1−(H)−テトラゾリルアセトアミド]−3−[2−(5−メチル−1,3,4−チアゾリル)チオメチル]−3−セフェム−4−カルボキシラート)、フェニルブタゾン(1,2−ジフェニル−3,5−ジオキソ−4−n−ブチルピラゾリジン)、バルプロ酸(2−プロピルペンタン酸ナトリウム)、アスピリン(2−アセトキシ安息香酸)、サリチル酸(O−ヒドロキシ安息香酸)、セフトリアキソン((6R,7R)−7−[2−アミノ−4−チアゾイル]−2−メトキシイミノアセトアミド)−3−(2,5−ジヒドロ−2−メチル−6−オキシド−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルチオメチル)−8−オキソ−5−チア−1−アゾビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ジナトリウム)、スルファメチゾール(N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)スルファニルアミド)、カンレノン酸(17−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシラート)、ダンシル−L−アスパラギン等が挙げられる。HSAサイトIIに結合特異性を有するものとしてイブプロフェン(2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸)、ナブメトン(4−(6−メトキシ−2−ナフチル)2−ブタノン;ナブメトンの代謝物である6−メトキシ−2−ナフチル酢酸がサイトII結合特異性を示す)、プロペネシド(4−(N,N−ジプロピルスルファモイル)安息香酸)等が挙げられる。また、HSA上の結合部位は同定されていないが、エトポシド((5S,5aR,8aR,9S)−9−[(4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−イソベンゾフロ[5,6−f][1,3]ベンゾジオキソール−6(5aH)−オン)もHSAに結合特異性を有することが知られている。
AGPに結合特異性を有する薬物としては、ジソピラミド(α−(2−ジイソプロピルアミノエチル)−α−フェニル−2−ピリジンアセトアミド)、ベラパミル(α−[3−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−メチルアミノ]プロピル]−3,4−ジメトキシ−α−(1−メチルエチル)ベンゼンアセトニトリル)、プロプラノロール(1−イソプロピルアミノ−3−(1−ナフチルオキシ)−2−プロパノール)、エリスロマイシン等が挙げられる。
AGPは結合部位として酸性薬物結合部位サイトA及び塩基性薬物結合部位サイトBを有している。AGPのそれぞれのサイトに結合する薬物についても既に確認されているものがある。サイトA及びサイトBの両方に結合する薬物としてプロプラノロール、サイトBのみに結合性を有する薬物としてはベラパミルがある。
これらの薬物は、それ自体が薬理作用を有するので、生体に及ぼす影響を考慮しながら使用されなければならない。
一方、特願2002−267010号明細書には、血漿蛋白質と結合親和性を有する有効成分の投与に際して、当該有効成分と共通の血漿蛋白質に結合親和性を有する単一又は複数のアミノ酸を含む製剤を、有効成分の投与と同時又はその前後に投与し、有効成分の血漿蛋白質への結合を制御することを特徴とする、血漿蛋白質に結合親和性を有する有効成分の血液中遊離濃度を制御する製剤及びその投与方法が述べられている。この単一又は複数のアミノ酸を含む製剤は、例えば、トリプトファン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、プロリン、システイン及びアラニン又はそれらの塩並びにそれらの誘導体又はそれら誘導体の塩等から選択される。すなわち、これらのアミノ酸には、N−アセチルトリプトファン、ヒドロキシフェニルグリシン等のアミノ酸分子中に置換基を導入したアミノ酸誘導体及びそれらの塩も含まれる。このとき、例えば、複数の血漿蛋白質又はヒト血清アルブミンの複数の結合部位に対する有効成分の結合制御を期待する場合、相乗効果を期待する場合などでは、複数のアミノ酸が選択されることもある。また、複数のアミノ酸を用いる場合に、プロテアミン12X(登録商標)及びキドミン(登録商標)等のアミノ酸を含む輸液を選択してもよいし、それら輸液と同等の組成または成分量を含む製剤としてもよい。有効成分の血漿蛋白質への結合を制御するため、単一又は複数のアミノ酸を用いることにより、血漿蛋白質結合を制御するための製剤そのものの生体への影響をより少なくし、かつ、現実の投与により一層適した製剤を提供することができる。
特に、トリプトファンはHSAサイトII及びAGPに有効な置換薬であり、トリプトファンの誘導体であるN−アセチルトリプトファンはHSAのサイトIIに有効な置換薬である一方、AGPには遊離濃度低減効果を示す。アスパラギン酸はAGPに置換効果を示し、グリシンの誘導体であるヒドロキシフェニルグリシンはHSAサイトII及びAGPに対して遊離濃度低減効果を示す。これに対して、プロテアミン12Xのようにアミノ酸の混合物であるアミノ酸輸液はHSAのサイトII及びAGPのいずれの結合部位にも置換効果を示し、汎用置換薬として利用できる可能性がある。
本発明の測定法における第一の薬物又は第二の薬物は、標識物質により標識されていることを必ずしも必要とするものではないが、これらの薬物を放射性核種、蛍光性物質、色素等の種々の標識物質で標識すれば置換効果の測定が容易になる。標識として使用される放射性核種としては、3−水素(3H)、11−炭素(11C)、14−炭素(14C)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)、32−リン(32P)、59−鉄(59Fe)、67−銅(67Cu)、67−ガリウム(67Ga)、81m−クリプトン(81mKr)、81−ルビジウム(81Rb)、89−ストロンチム(89Sr)、90−イットリウム(90Y)、99m−テクネチウム(99mTc)、111−インジウム(111In)、123−ヨード(123I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、133−キセノン(133Xe)、117mスズ(117mSn)、153−サマリウム(153Sm)、186−レニウム(186Re)、188−レニウム(188Re)、201−タリウム(201Tl)、212−ビスマス(212Bi)、213−ビスマス(213Bi)及び211−アスタチン(211At)等が例示され、診断用としては18−フッ素(18F)、99m−テクネチウム(99mTc)、67−ガリウム(67Ga)、111−インジウム(111In)、123−ヨード(123I)、131−ヨード(131I)等が用いられることが多い。その他、トレーサー実験で汎用される核種である、13−窒素(13N)、22−ナトリウム(22Na)、35−硫黄(35S)、40−カリウム(40K)、45−カルシウム(45Ca)等で標識することもできる。また、2−水素(2H)等の放射性核種以外の同位体を利用すれば、質量分析計による測定も可能である。放射性核種以外を利用した標識としては、フルオレセイン(3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラニル(3H),9’−[9H]キサンセン]3−オン)、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレサミン(4−フェニルスピロ[フラン−2(3H),1’−(3’H)−イソベンゾフラン]3,3’−ジオン)等の蛍光性物質や色素も使用可能である。
また、本発明の測定法において、複数の第二の薬物を用いる際には、当該第二の薬物を各々同一又は異なる標識物質で標識することができる。異なる標識物質で標識すれば分離測定がより容易となるが、標識物質が同一であっても同時分離測定が可能であるため標識物質の種類は問わない。
むろん、本発明の方法における第一の薬物又は第二の薬物は、標識物質で標識していなくても同時分離測定が可能である。例えば、第一の薬物、第二の薬物及び血漿蛋白質の混合溶液のままでも、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分画測定を行うことができる。
本発明の方法に基づき、正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知である薬物と血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率の変化を測定することにより、血漿蛋白質の変異の程度を測定することができる。また、血漿蛋白質との結合部位が既知である薬物と血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率の変化を測定することにより、血漿蛋白質変異体を検出することができる。反応させる血漿蛋白質は、血液中、血漿中又は血清中のいずれに存在するものでもよい。
では、第一の薬物の血漿蛋白質結合部位を測定する方法について、実施例1を参照しながら説明する。まず、第一の薬物として、例えばワルファリン(14C−WRF)を健常成人から分離した血清1に添加し、これにコントロールとして生理食塩水を添加した時点での遊離率(表1では0.96)を求めておく。なお、この場合、ワルファリンの結合部位は実験前には不明とする。次に、ワルファリンと血清1の混合液を4つに分け、それぞれに第二の薬物として、HSAサイトIに結合するブコローム(BCL)、HSAのサイトIIに結合するイブプロフェン(IPF)、AGPのサイトA及びサイトBに結合するプロプラノロール(PPL)、AGPの主にサイトBに結合するベラパミル(VPM)を添加し、各々の遊離率を測定する(表1では、順に、2.83、0.97、1.00、1.06である)。生理食塩水を添加したときのコントロール遊離率とこれらを比較すると、BCLを添加した場合のみ遊離率が高く、IPF、PPL、VPMを添加した場合の変化は僅かである。ここで、BCLはHSAのサイトIに結合部位を有することから、ワルファリンもサイトIに結合する薬物であることが分かる。なお、表1は健常成人男性の血清を用いた結果であるが、ヒトプール血清を用いた表3でもコントロールの遊離率は同様の結果が得られている。
第一の薬物をジアゼパム(14C−DZP)とした場合も、同様に表1に示すように、HSAのサイトIIに結合部位を有するIPFの遊離率のみがコントロールに比べて1.7倍になっていることから、ジアゼパムがHSAのサイトIIに結合性を有する薬物であることが測定される。
ここでは、第一の薬物の結合する部位を測定する場合を説明したが、その逆も当然に可能である。すなわち、ワルファリンの結合部位がHSAサイトIであることが既知とすると、14C標識ワルファリンを第二の薬物とし、第一の薬物をBCL、IPF、PPL又はVPMとした場合には、これら第一の薬物の中でHSAサイトIと結合する第一の薬物がBCLであることが判断できる。
本発明の方法は、標識された第一の薬物に対して、結合部位ごとに遊離率を測定することができるが、同時測定可能な複数の標識された第二の薬物を使用すれば、一回の操作で第一の薬物がどのサイトに結合する薬物であるかを判定することができる。これを、実施例2を参照しながら説明する。
実施例2では、4核種同時測定による薬物の血漿蛋白質結合部位の簡便測定法の検討を行っている。血漿蛋白質との結合部位の不明な第一の薬物として、ブコローム(BCL)、イブプロフェン(IPF)、プロプラノロール(PPL)、ベラパミル(VPM)、第二の薬物としてヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIに結合する過テクネチウム酸(99mTcO4 −)、HSAのサイトIIに結合するジアゼパム(14C−DZP)、α1−酸性糖蛋白質(AGP)のサイトA及びサイトBに結合するプロプラノロール(3H−PPL)並びにHSAのサイトIIとAGPの両方に結合する125I−IMPを用いている。まず、正常ヒト血清に上記の第二の薬物のすべてを同時に添加し、生理食塩水を加えた時点での、各放射能を測定しコントロールの遊離率とした。ついで、第一の薬物例えばイブプロフェンを添加し、遊離率を測定したところ、表4に示すように、コントロールの遊離率と比べて著しく変化したのは、HSAのサイトIIに結合する14C−DZPの遊離率であった。これより、イブプロフェンの結合部位は、DZPと同じHSAサイトIIであることが測定できた。実施例1と異なる点は、4つの異なる標識物質で標識した第二の薬物を用いているため、1回の操作で測定ができることにある。
ここまでは、血液試料が正常な場合を例に挙げて説明したが、患者の血液の中には、健常人とは異なる血漿蛋白質との結合を示す場合がある。このため、薬物の投与前に患者の血漿蛋白質の結合部位に変異があるかどうかを把握しておくことが望ましい。このような場合にも、本発明の方法は適用が可能である。すなわち、薬物と正常血漿蛋白質との遊離率を予め測定しておき、当該薬物と患者血液中に存在する血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率を測定して比較すればよい。薬物には実施例2と同様に異なる放射性核種を標識しておけば、血漿蛋白質の複数の結合部位のどの部位に変異が生じているかを一回の測定で知ることができる。以下、実施例3、4を例にあげて説明する。
実施例3では正常男子血清を用いてアミノ酸及びアミノ酸輸液の血漿蛋白質結合部位及び置換効果を測定した。表5には、正常男子血清に生理食塩水を添加し、ヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIに結合する過テクネチウム酸(99mTcO4 −)、HSAのサイトIIに結合するジアゼパム(14C−DZP)、α1−酸性糖蛋白質(AGP)のサイトA及びサイトBに結合するプロプラノロール(3H−PPL)並びにHSAのサイトIIとAGPの両方に結合する125I−IMPを添加したときの遊離率がコントロール遊離率として示されており、それぞれ21.07、1.50、9.00、23.40であった。
これに対して、実施例4では、変異があるとされるヒト血清2に生理食塩水を添加し、これらの標識薬物を添加したときのコントロール遊離率が測定されている。表7には、表5と同順で遊離率が示され、コントロール遊離率は、それぞれ21.08、1.80、21.40、27.23であった。両者を比較すると、プロプラノロール(PPL)の遊離率のみが2.3倍以上異なっていることが分かる。PPLはAGPのサイトA及びサイトBの結合する薬物であるから、血清2はAGPの結合サイトA及びサイトBに変異を有する血清であると考えられる。
また、この方法を経時的に実施すれば、同一患者における血漿蛋白質の変異を測定することも可能である。
以上、本発明の測定方法を示したがこれらの測定方法を実施するためのキットも提供可能である。
第一の薬物の血漿蛋白質との結合部位を測定する場合には、血漿蛋白質との結合部位が既知である複数の第二の薬物及び正常コントロール血清を含有するキットとする。このキットは、必要に応じて、さらに限外濾過可能な装置を有している1のキットとして構成することができる。限外濾過可能な装置としては、例えば、血漿分離可能な孔径を有する膜を底部に備えた容器と、分離のために必要な圧力を加えることができる加圧装置の組み合わせが考えられる。この容器に血漿を入れ、圧力を加えると、容器の底部より血漿蛋白質を除いた液体成分が分離できるので、血漿部分の放射能と、血漿蛋白質を除いた濾液部分の放射能を分離して測定することができる。
血漿中の蛋白質の変異の程度を測定する場合には、正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知の薬物及び正常コントロール血清を有するキットとする。このキットも同様に必要に応じて、さらに限外濾過可能な装置を有している1のキットとして構成することができる。測定すべき血漿蛋白質を正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知の薬物と反応させ、血漿蛋白質と当該薬物との結合の程度を測定し、薬物の正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量を比較すれば、当該血漿蛋白質結合部位の変異の有無を測定することができる。
実施例1 2核種同時測定による薬物の血漿蛋白質結合部位の簡便測定法の検討
ヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIに結合するワルファリン(実験には14C標識体:14C−WRFを使用)、HSAのサイトIIに結合するジアゼパム(実験には14C標識体:14C−DZPを使用)、α1−酸性糖蛋白質(AGP)の酸性薬物結合部位(サイトA)及び塩基性薬物結合部位(サイトB)に結合するプロプラノロール(実験には3H標識体:3H−PPLを使用)並びにAGPの主にサイトBに結合するベラパミル(実験には3H標識体:3H−VPMを使用)を用い、特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物の添加による上記各標識薬物の置換効果を検討した。特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物には、HSAのサイトIに結合するブコローム(BCL)、HSAのサイトIIに結合するイブプロフェン(IPF)、AGPのサイトA及びサイトBの両方に結合するプロプラノロール(PPL)並びにAGPの主にサイトBに結合するベラパミル(VPM)(各試験濃度:400μM)を検討に用いた。
健常成人男性の血液から分離した血清(ヒト血清1:HSA=5.07g/dL,AGP=72.0mg/dL)及び市販のヒトプール血清(コスモバイオ製Lot.No.13768:HSA=4.40g/dL,AGP=79.1mg/dL)のHSA濃度を500μMになるように1/15Mリン酸緩衝液(pH=7.4)で希釈した。この血清溶液500μLに特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物を20μL添加した。この時、各薬物は生理食塩水で溶解し、試験濃度となるように血清溶液に添加した。コントロール溶液としては、上記血清溶液に薬物の溶液の代わりに生理食塩水を20μL添加したものを用いた。その後、14C−WRF(3.7×10−1kBq/5μL)及び3H−VPM(9.25×10−1kBq/5μL)の混合溶液、又は14C−DZP(3.7×10−1kBq/5μL)及び3H−PPL(9.25×10−1kBq/5μL)の混合溶液を2核種同時に添加し試験溶液とした。
コントロール溶液及び各試験溶液より各20μLを採取し、限外濾過前のサンプルとした。次にコントロール溶液及び各試験溶液より各450μLを限外濾過器(トーソー製Ultracent10)に採取し,遠心分離機(TOMY製RLX−135)で3000rpm、10分間遠心分離することにより限外濾過を行った。遠心操作後それぞれ20μLの濾液を採取し、限外濾過後のサンプルとした。限外濾過前後のそれぞれのサンプルに液体シンチレーター(アマシャム製ACSII)を加えて、液体シンチレーションカウンタ(アロカ製LSC−5100)で14C及び3Hの放射能(cpm)を分離測定し、下記式により各試験溶液の遊離率(%)並びに特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物添加による遊離率の変化率を求めた。
遊離率(%)={限外濾過後の放射能(cpm)/限外濾過前の放射能(cpm)}×100
変化率(倍)=試験溶液の遊離率(%)/コントロール溶液の遊離率(%)
ヒト血清1を用いた場合の結果を表1及び表2に、ヒトプール血清の結果を表3に示す。なおコントロール及び各試験濃度の遊離率はn=3の平均値である。
表1に示したヒト血清1において、HSAのサイトIに結合するBCLを添加することにより、HSAのサイトIに結合することが知られている14C−WRFのみが顕著な置換効果を示した。同様に、HSAのサイトIIに結合するIPFの添加では、HSAのサイトIIに結合する14C−DZPのみが顕著に置換された。一方、AGPに結合親和性を有するPPL及びVPMの添加において、それぞれの3H標識体:3H−PPL及び3H−VPMは共に高い置換効果を示したが、AGP上の結合部位への親和性の相違によって、それぞれが対応する結合部位(3H−PPLではAGPのサイトA及びサイトB;3H−VPMではAGPサイトB)への置換効果が相対的に高くなった。よって、本2核種同時測定法では、添加した薬物の血漿蛋白質結合部位に対応する標識体の置換効果から、当該薬物の血漿蛋白質結合部位を簡便に決定し得ることが確認された。さらに、本法を用いることにより、2つの結合部位に関する置換効果を異なる2核種の放射線を分離測定することで、同一試験血清から同時に測定可能であることから、従来より少量の血清による測定が可能となった。
表2では、表1と同じ血清による追試験の結果を示したが、ほぼ完璧な再現性が得られ、本測定法の高い精度と信頼性が明らかとなった。
さらに、ヒトプール血清を用いた場合(表3)においても、置換効果の程度は異なるものの、血漿蛋白質結合部位に関する対応はヒト血清1と同様の結果が得られたことから、血漿蛋白質の組成が異なる血清においても、汎用的に本法が応用できることが確かめられた。
実施例2 4核種同時測定による薬物の血漿蛋白質結合部位の簡便測定法の検討
ヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIに結合する過テクネチウム酸(99mTcO4 −)、HSAのサイトIIに結合するジアゼパム(実験には14C標識体:14C−DZPを使用)、α1−酸性糖蛋白質(AGP)のサイトA及びサイトBに結合するプロプラノロール(実験には3H標識体:3H−PPLを使用)並びにHSAのサイトIIとAGPの両方に結合する125I−IMPを用い、特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物の添加による上記各標識薬物の置換効果を検討した。特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物には、実施例1と同様にHSAのサイトIに結合するブコローム(BCL)、HSAのサイトIIに結合するイブプロフェン(IPF)、AGPのサイトA及びサイトBの両方に結合するプロプラノロール(PPL)並びにAGPの主にサイトBに結合するベラパミル(VPM)(各試験濃度:400μM)を検討に用いた。
本実験では、健常成人男性の血液から分離した血清(ヒト血清1:HSA=5.07g/dL,AGP=72.0mg/dL)のHSA濃度を500μMになるように1/15Mリン酸緩衝液(pH=7.4)で希釈した。この血清溶液500μLに99mTcO4 −(9.25×10−2kBq/5μL)、14C−DZP(3.7×10−1kBq/5μL)、3H−PPL(9.25×10−1kBq/5μL)及び125I−IMP(1.85×10−1kBq/5μL)の混合溶液を4核種同時に添加し、限外濾過前後のサンプリング液量は5μLとした。なお、実施例1と同様にコントロール溶液としては、薬物の溶液の代わりに生理食塩水を添加したものを用いた。また、試験溶液には上記4核種が含まれるので液体シンチレーションカウンタ(アロカ製LSC−5100)に加え、オートウェルガンマカウンタ(アロカ製ARC−380)も使用し、99mTcと125Iをγ線のエネルギー設定を利用して分離測定すると共に、それらの計数率から求めた3H及び14Cに対するγ線による影響を補正したうえで、BCL、IPF、PPL及びVPM添加後の遊離率と変化率を求めた。結果を表4に示す。
表4に示した通り、ヒト血清1において、HSAのサイトIに結合するBCLを添加することにより、HSAのサイトIに結合することが知られている99mTcO4 −のみが有意な置換効果を示した。同様に、HSAのサイトIIに結合するIPFの添加では、HSAのサイトIIに結合する14C−DZP及び125I−IMPに置換効果が認められた。一方、AGPに結合親和性を有するPPL及びVPMの添加において、同じ結合部位を示す3H−PPL及び125I−IMPは共に高い置換効果を示した。よって、本4核種同時測定法でも、添加した薬物の血漿蛋白質結合部位に対応する標識体の置換効果から、当該薬物の血漿蛋白質結合部位をより簡便に決定し得ることが確認された。本法では、同一試験血清から、異なる4核種の放射線の分離測定と補正により、4つの結合部位に関する置換効果を同時に測定可能であることから、僅か500μLの希釈血清により主要な薬物結合部位の測定が可能となった。さらに、同様の原理に基づき、分離測定と補正の可能な他の標識体を同時に用いることで、同一試験血清からより多くの血漿蛋白結合に関する情報を得ることが可能となった。
実施例3 多核種同時測定による薬物の血漿蛋白質結合部位と置換効果の検討
実施例1に示した2核種同時測定及び実施例2に示した4核種同時測定による簡易測定法を用いて、WO00/78352号公報で挙げられている第一の薬物と共通の血漿蛋白質に結合親和性を有する第二の薬物の候補薬物に考えられるエリスロマイシン(ETM)、特願2002−267010号で挙げられているアミノ酸及びアミノ酸輸液(以下、置換薬物)に関して、それらの血漿蛋白質結合部位と置換効果を検討した。アミノ酸としては、トリプトファン(Trp)、N−アセチルトリプトファン(NAT)、アラニン(Ala)、アスパラギン酸(Asp)及びヒドロキシフェニルグリシン(HPG)(各試験濃度:400μM)を、アミノ酸輸液にはプロテアミン12X(PTA)(試験濃度:1/100)を血清溶液に添加した。
血清には、健常成人男性の血液から分離した血清(ヒト血清1:HSA=5.07g/dL,AGP=72.0mg/dL)及び市販のヒトプール血清(コスモバイオ製Lot.No.13768:HSA=4.40g/dL,AGP=79.1mg/dL)のHSA濃度を500μMになるように1/15Mリン酸緩衝液(pH=7.4)で希釈して用いた。コントロール溶液としては、置換薬物の溶液の代わりに生理食塩水を添加したものを用いた。ヒト血清1を用いた場合の結果を表5に、ヒトプール血清の結果を表6に示す。
抗生物質であるETMは、安全に投与できる置換薬物として有力な候補薬物であるが、本測定法の結果(表6)よりAGPに結合親和性を示す薬物に対して有効な置換薬物であることが確認された。
アミノ酸及びアミノ酸輸液に関しては、TrpはHSAのサイトIに親和性を有する薬物には有意な置換効果は認められないものの、HSAのサイトII又はAGPに親和性を有する薬物に対しては有効な置換薬物であることが明らかになった(表5)。また、HSAのサイトII及びAGP両者に親和性を有する薬物に対しても有効な置換薬物として働くことが確認された(表5)。一方、Trpの誘導体であるNATはHSAのサイトIIに親和性を有する薬物に対して有効な置換薬物であるが、AGPに親和性を有する薬物に対しては若干遊離濃度を低減させる効果を示した。AspはHSAのサイトI、サイトIIに親和性を有する薬物に対しては有意な置換効果を示さないが、AGPに親和性を有する薬物に対しては有効な置換薬物であり、トータルでHSAのサイトII及びAGP両者に親和性を有する薬物に対しても有効な置換薬物として働くことが明らかになった。さらに、グリシンの誘導体であるHPGはHSAのサイトII又はAGPに親和性を有する薬物に対して遊離濃度低減効果を示した。以上のように個々のアミノ酸はそれぞれ結合位置特異性を持つ置換薬物として作用することが明らかとなったが、PTAの例(表5)で示されたようにアミノ酸の混合物であるアミノ酸輸液はHSAのサイトI、サイトII、AGPいずれにも置換効果を示し、汎用置換薬物として利用できる可能性が示された。
実施例4 多核種同時測定による血漿蛋白質変異体診断への応用と変異体血清における薬物の血漿蛋白結合のモニタリング
実施例2に示した4核種同時測定による簡易測定法を用いて、特定の血漿蛋白質が変異体である血清の鑑別診断へ応用した。また、当該血清における薬物の蛋白結合置換効果のモニタリングへの可能性を検討した。
血清には、AGPが変異体である成人男性の血液から分離した血清(ヒト血清2:HSA=4.88g/dL,AGP=38.0mg/dL)のHSA濃度を500μMになるように1/15Mリン酸緩衝液(pH=7.4)で希釈して用いた。
特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物には、実施例2同様にHSAのサイトIに結合するブコローム(BCL)、HSAのサイトIIに結合するイブプロフェン(IPF)、AGPのサイトA及びサイトBの両方に結合するプロプラノロール(PPL)並びにAGPの主にサイトBに結合するベラパミル(VpM)(各試験濃度:400μM)を用い、AGPの変異に関する鑑別診断への応用性を検討した。コントロール溶液としては、薬物の溶液の代わりに生理食塩水を添加したものを用いた。結果を表7に示す。
一方、実施例3で選択した置換薬物として、アミノ酸としては、トリプトファン(Trp)、アラニン(Ala)及びアスパラギン酸(Asp)(各試験濃度:400μM)を、アミノ酸輸液にはプロテアミン12X(PTA)(試験濃度:1/100)を血清溶液に添加し、それらの血漿蛋白質結合部位と置換効果をモニタリングした。その結果を表8に示す。
ヒト血清2は薬物の血漿蛋白結合性からAGPが変異体であると考えられている血清である。表7においても、AGPに結合親和性を有するPPL及びVPMの添加において、同じ結合部位を有する3H−PPLの置換効果は実施例2で示した他の血清に比して低く、125I−IMPに対する置換効果も僅かであった。一方、HSAのサイトIに結合するBCLの添加により、HSAのサイトIに結合する99mTcO4 −が有意な置換効果を示した。また、HSAのサイトIIに結合するIPFの添加では、HSAのサイトIIに結合する14C−DZPに対して置換効果が認められたか、125I−IMPには、逆に結合促進としての作用、すなわち遊離濃度低減効果を示した。また、これらのHSAに結合親和性を有するBCL及びIPFの添加において、AGPに結合を示す3H−PPL及び125I−IMPとの結合が増加した。このように、本多核種同時測定法を臨床に応用することにより、特定の血漿蛋白質に結合親和性を有する薬物添加による置換効果の差から、当該血清に含まれる血漿蛋白質の変異の有無を簡便に診断し得ることが示された。本法では、僅か500μLの希釈血清により主要な薬物結合部位の測定が可能であることから、患者血清を用いる診断法として有用であることが明らかとなった。
さらに、このような血漿蛋白質が変異している場合、通常の投薬によっても、重篤な副作用を示す可能性が高い。加えて、WO00/78352号公報で挙げられている第一の薬物と共通の血漿蛋白質に結合親和性を有する第二の薬物や、特願2002−267010号明細書で挙げられているアミノ酸及びアミノ酸輸液等の置換薬物の併用に際しては、個々の血清における置換効果をモニタリングすることが重要となる。表8は、表7に示したヒト血清2を用いたモニタリングの結果である。実施例3の結果と比較しても、全く異なった置換効果を示しているが、本法が僅か500μLの希釈血清により全ての主要な薬物結合について同時に測定し得ることから、個々の患者血清によるモニタリングへの応用を可能にするものである。
Claims (20)
- 血漿蛋白質との結合部位を測定すべき第一の薬物を、血漿蛋白質との結合部位が既知である第二の薬物及び血漿蛋白質と反応させ、血漿蛋白質と第二の薬物との結合による第一の薬物の遊離率の変化を測定することによって第一の薬物の血漿蛋白質との結合部位を測定する方法。
- 血漿蛋白質がヒト又は動物由来のものである請求項1に記載の測定法。
- 第一の薬物が放射性核種、蛍光性物質又は色素によって標識されている請求項1に記載の測定法。
- 血漿蛋白質が血清アルブミン又は酸性糖蛋白質であり、第一の薬物が放射性核種によって標識されている請求項1から3のいずれか1項に記載の測定法。
- 血漿蛋白質との結合部位を測定すべき第一の薬物を、血漿蛋白質との結合部位が既知である複数の第二の薬物及び血漿蛋白質と反応させ、血漿蛋白質と第二の薬物との結合による第一の薬物の遊離率の変化を測定することによって第一の薬物の血漿蛋白質との結合部位を測定する方法。
- 血漿蛋白質がヒト又は動物由来のものである請求項5に記載の測定法。
- 第一の薬物が放射性核種、蛍光性物質又は色素によって標識されている請求項5に記載の測定法。
- 血漿蛋白質が血清アルブミン又は酸性糖蛋白質であり、複数の第二の薬物が、これら血漿蛋白質の異なる結合サイトと結合している請求項5から7のいずれか1項に記載の測定法。
- 複数の第二の薬物が、各々同一又は異なる物質で標識されている請求項7に記載の測定法。
- 複数の第二の薬物が、各々異なる放射性核種で標識されており、当該異なる放射性核種が、同時に分離測定可能である請求項9に記載の測定法。
- 正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知である薬物と血漿蛋白質を反応させ、当該薬物の遊離率を測定することにより、血漿蛋白質の変異を検出する方法。
- 血漿蛋白質がヒト又は動物由来のものである請求項11に記載の検出法。
- 当該薬物が放射性核種、蛍光性物質又は色素によって標識されている請求項11に記載の検出法。
- 当該薬物が複数種であり、各々同一又は異なる物質で標識されている請求項13に記載の検出法。
- 血漿蛋白質が血清アルブミン又は酸性糖蛋白質であり、当該複数種の薬物が、これら血漿蛋白質の異なる結合サイトと結合している請求項14に記載の検出法。
- 当該複数種の薬物が各々同一又は異なる放射性核種で標識されており、当該異なる放射性核種が同時に分離測定可能である請求項15に記載の検出法。
- 血漿蛋白質との結合部位が既知である薬物と血漿蛋白質とを反応させ、当該薬物の遊離率の変化を測定することにより、血漿蛋白質変異体を検出する請求項15又は16に記載の検出法。
- 血漿蛋白質との結合部位が既知である複数の第二の薬物及び正常コントロール血清を含有する請求項5から10のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
- 正常血漿蛋白質との結合部位及び結合量が既知である薬物、並びに正常コントロール血清を含有する請求項11から17のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
- 当該キットがさらに限外濾過装置を有している請求項18又は19に記載のキット。
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