JPWO2004030767A1 - 有害物質処理システム - Google Patents

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Abstract

大気中に存在する人体に悪影響を与える有毒ガスや有害ガス、細菌等を大気中から除去して無害化することができ、処理した場所に被害を与えることが少ない有害物質処理システムを提供する。流体に含まれる有害物質を無害化して処理するために使用される処理システムであって、処理システムが、有害物質を含む流体を吸引する吸引手段10と、吸引手段10によって吸引された流体を排出する排出手段20を備えており、吸引手段10と排出手段20の間に、吸引手段10によって吸引された流体中に含まれる有害物質を処理する有害物質処理手段30とを備えている。流体を処理する場所や、その場所にいる人に悪影響を与えることなく有害物質を処理することができるし、排出される流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができ、二次災害などが生じることを防ぐことができる。

Description

本発明は、有害物質処理システムに関する。さらに詳しくは、人体に悪影響を与える有毒ガスや有害ガス、細菌等の無害化処理するための有害物質処理システムに関する。
近年、建築物用の新材料が開発されているが、かかる新材料には種々の原料が使用されており、この新材料が燃えた場合、火炎や煙だけでなく、一酸化炭素やアンモニア、アルデヒド等の有毒ガスが発生する。このような有毒ガスは、火災における被害者を増加させる原因となっている。
また、有毒ガスは火災に限らず、工場のガス漏れ事故やテロル(以下、テロと略称する)等によっても発生する可能性があり、このような有毒ガスから人命を守るには、ガス発生後、早急に有害ガスを無害化する等して、人のいる場所から除去する必要がある。
かかる有害ガスを処理する方法として、以下に示す技術(従来例1、特開平11−300152号公報参照)がある。
従来例1の有毒ガス除去方法は、pH7〜9が範囲である有毒ガス除去液を、噴射して拡散散布するものであり、火災等に伴って発生する人体に有害な酸性の有毒ガスと反応して、有毒ガスを中和して無害化することができる。
しかるに、従来例1の有害ガス除去方法は、液体の有害ガス除去液を散布するため、散布した場所が除去液によって水浸しになる可能性がある。そして、有害ガス除去液はアルカリ性であるため、除去液がふりかかった物が除去液によって損傷したりする可能性があるし、人にふりかかった場合には、人体に悪影響を与える恐れがあるという問題がある。
また、有毒ガス除去液は、空気中に散布するだけであるから、有毒ガス除去液と接触しない場所に存在する有毒ガスに対しては効果が得られない。例えば、天井等から散布した場合には、家具の影や戸棚に侵入したガスは処理できないという問題がある。
一方、空気中に散布された細菌等を、効率よく無害化したり空気中から除去することができる装置や方法は、現在開発されておらず、テロや事故、天災等の対策としてこのような細菌を処理する方法が求められている。
本発明はかかる事情に鑑み、大気中に存在する人体に悪影響を与える有毒ガスや有害ガス、細菌等を大気中から除去して無害化することができ、処理した場所に被害を与えることが少ない有害物質処理システムを提供することを目的とする。
第1発明の有害物質処理システムは、流体に含まれる有害物質を無害化して処理するために使用される処理システムであって、該処理システムが、有害物質を含む流体を吸引する吸引手段と、該吸引手段によって吸引された流体を排出する排出手段を備えており、前記吸引手段と前記排出手段の間に、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる有害物質を処理する有害物質処理手段とを備えていることを特徴とする。
第2発明の有害物質処理システムは、第1発明において、前記処理システムが、輸送手段に搭載されていることを特徴とする。
第3発明の有害物質処理システムは、第1発明において、前記有害物質処理手段が、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる浮遊物質を流体中から除去する浮遊物質除去装置を備えていることを特徴とする。
第4発明の有害物質処理システムは、第3発明において、前記有害物質処理手段が、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる有害物質を無害化する無害化手段を備えていることを特徴とする。
第5発明の有害物質処理システムは、第4発明において、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間に、前記無害化手段が設けられており、該無害化手段が、有害物質を中和する中和装置であることを特徴とする。
第6発明の有害物質処理システムは、第4発明において、前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に、前記無害化手段が設けられており、前記無害化手段が、有害物質と反応する触媒を備えた触媒装置であることを特徴とする。
第7発明の有害物質処理システムは、第6発明において、前記触媒装置が、流体を100℃以上に加熱する加熱器を備えていることを特徴とする。
第8発明の有害物質処理システムは、第4発明において、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間および前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に、それぞれ前記無害化手段が設けられており、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間に設けられた無害化手段が、有害物質を中和する中和装置であり、前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に設けられた無害化手段が、有害物質と反応する触媒を備えた触媒装置であり、前記吸引手段と前記中和装置との間に、第一流路切換手段が設けられており、前記浮遊物質除去装置と前記触媒装置との間に、第二流路切換手段が設けられており、前記第一流路切換手段が、前記吸引手段と前記中和装置とを連通させる処理径路と、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置とを連通させる迂回経路とを備えており、前記第二流路切換手段が、前記浮遊物質除去装置と前記触媒装置とを連通させる処理径路と、前記浮遊物質除去装置と前記排出手段とを連通させる迂回経路とを備えていることを特徴とする。
第9発明の有害物質処理システムは、第8発明において、前記第一流路切換手段および前記第二流路切換手段を制御する切換制御手段が設けられており、前記切換制御手段が、流体中に含まれる有害物質の種類が入力される入力部と、該入力部に入力された有害物質の種類に基づいて、前記第一流路切換手段の経路および前記第二流路切換手段の経路を選択する経路選択部と、該経路選択部が選択した経路に基づいて、前記第一流路切換手段の経路および前記第二流路切換手段の経路を切り換える切換手段作動部とからなることを特徴とする。
第10発明の有害物質処理システムは、第9発明において、前記吸引手段が、流体中に含まれる有害物質の種類を検出する検出手段を備えており、該流体中に含まれる有害物質の種類を検出する検知部と、該検知部によって検知された有害物質の種類に応じた信号を発信する信号発信部とからなり、前記切換制御手段が、前記検出手段の信号発信部から発信された信号を受信して、前記入力部に入力する受信部を備えていることを特徴とする。
第11発明の有害物質処理システムは、第1発明において、前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体を冷却する冷却器とからなることを特徴とする。
第12発明の有害物質処理システムは、第11発明において、前記吸引部の吸入口に、火炎の進入を防止する火炎遮断部材が取り付けられており、該火炎遮断部材が、多孔質な難燃性物質であることを特徴とする。
第13発明の有害物質処理システムは、第1発明において、前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体を加熱する加熱器とからなることを特徴とする。
第14発明の有害物質処理システムは、第1発明において、前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体に含まれる有害物質を吸着処理するフィルタ部とからなることを特徴とする。
図1は、本実施形態の有害物質処理システム1の概略側面図である。
図2は、本実施形態の有害物質処理システム1の概略平面図である。
図3は、本実施形態の有害物質処理システム1のブロック図である。
図4は、火災時に発生する有害物質の処理に使用される吸引部50の概略説明図である。
図5は、熱に弱い有害物質の処理に使用される吸引部50の概略説明図である。
図6は、有毒ガスの処理に使用される吸引部50の概略説明図である。
図7は、(A)は本実施形態の有害物質処理システム1によって火災時に発生する有害物質を処理手順の説明図であり、(B)は本実施形態の有害物質処理システム1によって熱に弱い有害物質を処理する手順の説明図である。
図8は、本実施形態の有害物質処理システム1によって、有毒ガスを処理する手順の説明図である。
図9は、本実施形態の有害物質処理システム1を搭載した輸送手段の説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の有害物質処理システム1の概略側面図である。図2は本実施形態の有害物質処理システム1の概略平面図である。図3は本実施形態の有害物質処理システム1のブロック図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態の有害物質処理システム1は、吸引手段10、排出手段20、および有害物質処理手段30から構成されたものであり、大気中や建物、地下道、ピット等の内部に存在する気体や液体等の流体を吸引してから、この吸引した流体に含まれる有害物質を有害物質処理手段30によって無害化したり流体から除去するようにしたことが特徴である。
図1〜図2において、符号2は、前記各手段に電力を供給するための電源を示しているが、電源を設けずに商用電源から前記各手段に電力を供給するようにしてもよい。
また、符号20は、排出手段を示している。排出手段20は、単なるパイプでもよいが、ブロワ等のように流体を強制的に排出させる手段を設ければ、効率よく流体を排出することができる。
図1〜図3に示すように、吸引手段10は、真空ポンプや真空ブロワ等、流体を吸引することができるポンプ12を備えている。
この吸引手段10のポンプ12と、前記排出手段20との間には、吸引手段10によって吸引された流体中に含まれる有害物質を処理する有害物質処理手段30が設けられている。この有害物質処理手段30は、浮遊物質除去装置31や中和装置35、触媒装置40を備えている。これらの装置は、その内部に供給される流体を、周囲の環境から隔離した状態、つまり装置内に流体を密封した状態で流体中の有害物質を処理することができるものであるが、詳細は後述する。
したがって、本実施形態の有害物質処理システム1によれば、ポンプ12を作動させれば、有害物質を含む流体を吸引することができるから、有害物質を人などがいる場所から取り除くことができる。そして、吸引された流体を有害物質処理手段30に送り、有害物質処理手段30内において、周囲の環境から隔離した状態で処理することができる。このため、有害物質が発生した場所や、その場所にいる人に悪影響を与えることなく有害物質を処理することができる。
また、吸引された流体は、有害物質を処理した後で外部に排出されるから、排出手段20から排出された流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができる。よって、有害物質処理システム1から排出される流体によって周囲環境が汚染されることを防ぐことができるから、排出される流体によって二次災害などが生じることを防ぐことができる。
さらに、流体とともに有害物質を吸引しているから、家具や建物の陰や隙間に侵入している有害物質であっても確実にその場所から除去して処理することができる。しかも、有害物質が流体中に拡散しやすい物質であったとしても、その拡散を防ぐことができ、被害の拡大を効果的に防ぐことができる。
つぎに、吸引手段10および有害物質処理手段30を詳細に説明する。
まず、吸引手段10を詳細に説明する。
図1〜図3において、符号11は吸引手段のホースを示している。このホース11は、その基端が前記ポンプ12に連通されており、その先端には、流体をホース1内に導入するための吸引部50が設けられている。
このため、ホース11を繰り出して吸引部50を有害物質が発生した場所まで移動させて、ポンプ12を作動させれば、その場所の流体とともに有害物質を吸収することができる。
図1〜図3に示すように、ホース11の基端とポンプ12との間には、活性炭や石炭、カーボンブラック等、多孔質物質を収容したタンク13が介装されている。
そして、ホース11の基端とタンク13との間、およびタンク13とポンプ12との間には、それぞれ流路切換手段である流路切換バルブ61,62がそれぞれ介装されている。流路切換バルブ61は、ホース11とタンク13とを連通させる処理径路と、ホース11と流路切換バルブ62とを連通させる迂回経路とを備えている。また、流路切換バルブ62は、流路切換バルブ61とポンプ12とを連通させる第1経路と、タンク13とポンプ12とを連通させる第2径路とを備えている。
このため、流路切換バルブ61を処理径路に切り換え、流路切換バルブ62を第2径路とすれば、吸引された流体をタンク13内に通すことができるから、流体中の有害物質を多孔質物質に吸着させて除去することができる。
逆に、流路切換バルブ61を迂回径路に切り換え、流路切換バルブ62を第1径路とすれば、吸引された流体を直接ポンプ12に送ることができる。すると、細菌やウイルス、リケッチャ等のように多孔質物質による吸着では完全に処理できない有害物質を、後述する有害物質処理手段30に確実に送ることができる。
なお、タンク13は設けなくてもよく、この場合、ホース11の基端とポンプ12とを直接連通させておけばよい。
つぎに、有害物質処理手段30を詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、前記吸引手段10のポンプ12と、前記排出手段20との間には、有害物質処理手段30の浮遊物質除去装置31が設けられている。この浮遊物質除去装置31は、流体中に含まれる浮遊物質、例えば粉塵や煤煙等のような粉体や、水滴や油滴のようなミストを流体中から除去するためのものであり、ミストレーサやミストコレクター等である。
この浮遊物質除去装置31によって、流体中に含まれ浮遊物質を除去してから流体を放出することができるから、排出される流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができ、二次災害などが生じることを防ぐことができる。
前記浮遊物質除去装置31と前記吸引手段10のポンプ12との間には、中和装置35が設けられている。この中和装置35は、酸性やアルカリ性の中和液を収容する中和槽と、中和槽内の中和液を循環させる中和液循環器35bを備えている。
そして、前記吸引手段10のポンプ12と中和装置35との間、および中和装置35と浮遊物質除去装置31との間には、それぞれ流路切換手段である流路切換バルブ63,64がそれぞれ介装されている。流路切換バルブ63は、ポンプ12と中和装置35とを連通させる処理径路と、ポンプ12と流路切換バルブ64とを連通させる迂回経路とを備えている。また、流路切換バルブ64は、流路切換バルブ63と浮遊物質除去装置31とを連通させる第1経路と、中和装置35と浮遊物質除去装置31とを連通させる第2径路とを備えている。
このため、流路切換バルブ63を処理径路に切り換え、流路切換バルブ62を第2径路とすれば、流体を中和装置35に通すことができる。すると、流体が、酸性の有害物質を含んでいる場合にはアルカリ性の中和液を、アルカリ性の有害物質を含んでいる場合には酸性の中和液を中和槽に収容し、この中和槽に流体を通せば、有害物質を中和無害化して人体に悪影響を及ぼさない状態にすることができる。
逆に、流路切換バルブ63を迂回径路に切り換え、流路切換バルブ64を第1径路とすれば、流体をポンプ12から浮遊物質除去装置31に直接送ることができる。すると、流体に含まれる有害物質が、酸性、アルカリ性のいずれであるか特定できない場合に、中和装置35において異常反応が発生することを防ぐことができる。
なお、流路切換バルブの種類やバルブの接続方法は上記の構成に限られず、ポンプ12から浮遊物質除去装置31に流体を流すときに、中和装置35に流体を通す経路と、流体をポンプ12から浮遊物質除去装置31に直接送る経路を切換えることができるような構成であればよい。
一方、前記浮遊物質除去装置31と排出手段20との間には、触媒装置40が設けられている。この触媒装置40は、流体を加熱するための加熱器と、この加熱器によって加熱された流体が通される触媒とを備えたものであり、例えば触媒脱臭処理装置(KATATOR:株式会社オーイーエス製)などである。
そして、前記浮遊物質除去装置31と触媒装置40との間には、流路切換手段である流路切換バルブ67が介装されている。流路切換バルブ67は、浮遊物質除去装置31と触媒装置40とを連通させる処理径路と、浮遊物質除去装置31と排出手段20とを連通させる迂回経路とを備えている。
このため、流路切換バルブ67を処理径路に切り換えれば、流体を触媒装置40に通すことができる。流体を触媒に通せば、触媒反応によっても流体中の有害物質を分解処理することができるから、有害物質を効率よく確実に無害化処理することができる。しかも、流体を触媒に通す前に浮遊物質除去装置31によって浮遊物質が除去されているので、触媒装置40の触媒が汚れたり、煤などが堆積したりして触媒が詰まって触媒機能が低下することを防ぐことができる。
また、流体を触媒に通すまえに、加熱器によって流体を100℃以上に加熱してから触媒に供給するから、触媒の触媒反応を活性化することができ、有害物質をより効率よく分解処理することができる。
そして、有害物質が、細菌やウイルス、リケッチャ、熱によって容易に分解される物質等、熱に弱い物質であれば、加熱器によって流体を加熱するだけで有害物質を無害化することができる。
なお、流路切換バルブの種類やバルブの接続方法は上記の構成に限られず、浮遊物質除去装置31から排出手段20に流体を流すときに、触媒装置40に流体を通す経路と、流体を浮遊物質除去装置31から排出手段20に直接送る経路を切換えることができるような構成であればよい。
上記のごとき構成であるから、有害物質処理手段30によれば、流路切換バルブ63および流路切換バルブ67をいずれも処理径路に切り換えておき、流路切換バルブ64を第2経路に切り換えておけば、流体を中和装置35および触媒装置40の両方に通すことができる。すると、有害物質が酸性またはアルカリ性であれば中和装置35で確実に中和でき、中性物質であっても熱によって分解される物質であれば、触媒装置40によって分解して無害化することができる。よって、一台の処理システムで、複数の有害物質が含まれている流体を処理できるから、有害物質を含む流体の処理を容易かつ効率よく行うことができる。
また、有害物質が、触媒装置40と浮遊物質除去装置31だけで処理できるものであれば、流路切換バルブ63を迂回経路、流路切換バルブ64を第1経路に切り換え、流路切換バルブ67を処理径路に切り換えれば、浮遊物質除去装置31と触媒装置40だけに流体を通すことができる。すると、中和装置35を作動させなくてもよいから、異常反応を生じさせる心配なく、効率よく有害物質を処理することができる。
さらに、有害物質が、中和装置35と浮遊物質除去装置31だけで処理できるものであれば、流路切換バルブ63を処理経路、流路切換バルブ64を第2経路に切り換え、流路切換バルブ67を迂回径路に切り換えれば、浮遊物質除去装置31と中和装置35だけに流体を通すことができる。すると、触媒装置40を作動させなくてもよいから、効率よく有害物質を処理することができる。
つまり、有害物質の種類に応じて、流体を通す装置を自由に選択することができるから、処理作業にを効率よく行うことができるし、処理作業中に危険が発生することを防ぐことができるから、処理できる有害物質の種類が豊富になる。
上記の流路切換バルブ63および流路切換バルブ64が特許請求の範囲にいう第一流路切換手段であり、流路切換バルブ67が特許請求の範囲にいうおよび第二流路切換手段である。
また、有害物質処理手段30に、加熱装置36やタンク45を設けてもよい。
図1〜図3に示すように、流路切換バルブ63と中和装置35との間に、例えば電気ヒータやガスバーナー等によって流体を約100℃以上に加熱することができる加熱装置36を設ければ、流体中に含まれる有害物質が、細菌や、熱によって容易に分解される物質等のように熱に弱い物質であれば、加熱装置36によって流体を加熱するだけで有害物質を無害化することができる。
そして、加熱装置36と中和装置35との間に3方弁などの流路切換バルブ66を設け、流路切換バルブ63と流路切換バルブ64との間に3方弁などの流路切換バルブ65を設け、流路切換バルブ65と流路切換バルブ66と接続しておけば、ポンプ12から浮遊物質除去装置31に流体を流すときに、加熱装置36と中和装置35の両方に流体を通すことができるし、いずれか一方だけを通すこともできる。
なお、流路切換バルブの種類やバルブの接続方法は上記の構成に限られず、ポンプ12から浮遊物質除去装置31に流体を流すときに、加熱装置36と中和装置35の両方に流体を通すことができるし、いずれか一方だけを通すこともできるような構成であればよい。
また、図1〜図3に示すように、流路切換バルブ67と触媒装置40との間に、前述したタンク13と同様のタンク45を設ければ、浮遊物質除去装置31で除去しきれなかった粉塵やミストなどを吸着して流体から除去できる。
そして、タンク45と触媒装置40との間に3方弁などの流路切換バルブ70を設け、流路切換バルブ63と流路切換バルブ64との間に3方弁などの流路切換バルブ69を設け、流路切換バルブ69と流路切換バルブ70と接続しておく。そして、タンク45と流路切換バルブ70の間に、3方弁などの流路切換バルブ68設けておけば、浮遊物質除去装置31から排出手段20に流体を流すときに、タンク45と触媒装置40との両方に流体を通すことができるし、いずれか一方だけを通すこともできる。
なお、流路切換バルブの種類やバルブの接続方法は上記の構成に限られず、浮遊物質除去装置31から排出手段20に流体を流すときに、タンク45と触媒装置40との両方に流体を通すことができるし、いずれか一方だけを通すこともできるような構成であればよい。
つぎに、本実施形態の有害物質処理システム1によって、有害物質を処理する作業について説明する。
以下には、火災時に発生する有害物質を処理する作業と、熱に弱い有害物質を処理する作業および有毒ガスを処理する作業を説明するが、本実施形態の有害物質処理システム1が処理する有害物質は、上記の場合に発生する有害物質に限られず、テロや天災、事故等によって発生する有害物質の処理に適用できる。
また、流体を流す経路は、以下の経路に限られず、流路切換バルブ61〜70の経路の組み合わせを変えれば、有害物質の種類にあわせて適宜選択することができる。
まず、火災時に発生する有害物質を処理する作業を説明する。
図7は(A)は本実施形態の有害物質処理システム1によって火災時に発生する有害物質を処理手順の説明図であり、(B)は本実施形態の有害物質処理システム1によって熱に弱い有害物質を処理する手順の説明図である。火災時には、建材等が燃焼して、例えば一酸化炭素やアツデヒド、シアン化水素、アンモニア、ホスゲン、塩化水素等の有害物質が発生することが知られている。しかし、発生するすべての有害物質を把握できないため、中和装置35や触媒装置40に流体を通した場合、中和装置35における異常反応や触媒装置40における爆発が発生する可能性がある。よって、火災時に発生する有害物質を処理する作業は、吸着処理と浮遊物質の除去だけを行えば、安全かつ効果的に火災発生場所から有害物質を除去でき、排出された空気が周囲環境に与える影響を最小限に抑えることができる。
処理する作業では、まず、図7(A)に示すように、吸引された流体が、タンク13からポンプ12.浮遊物質除去装置31、タンク45、排出手段20の順に流れるように流路切換バルブ61〜70を切り換える。
ついで、ホース11を繰り出して吸引部50を有害物質が発生した場所まで移動させる。ついで、ポンプ12を作動させれば、その場所の空気とともに、煙や発生した有害物質を吸収することができる。
すると、煙や発生した有害物質の約1〜2割程度は、タンク13においてその内部に収容されている多孔質物質に吸着される。そして、浮遊物質除去装置31によって粉塵などが取り除かれた後、タンク45内部の多孔質物質によってさらに約1〜2割の煙や有害物質吸着することができる。
よって、吸引された流体に含まれる煙や発生した有害物質のうち、ほぼ2〜4割を流体中から吸着することができるから、排出手段20から排出される空気による周囲環境の汚染を抑えることができる。
火災時に発生する有害物質には、一酸化炭素、塩化水素、シアン化水素、アンモニア、ホスゲン、アルデヒド、硫黄、ハロゲン化合物、エタン、水素、ケトン、有機酸等がある。
また、火災時に発生する有害物質ではないが、上記のごとく流体をタンク13からポンプ12.浮遊物質除去装置31、タンク45、排出手段20の順に流せば、クロロベンジリデンマロノニトリル等の催涙剤や、アダムサイト等の催吐剤等も処理することができる。
なお、建物等、密閉された空間で火災が発生した場合には、火災現場の空気を吸引し続ければ、建物の内部が負圧になり、バックドラフトの危険があるため、空気の吸引とともに窒素等の不活性ガスの供給を行ってもよい。この場合、吸引による有害物質の除去と、不活性ガスの供給による延焼防止という2つの効果を得られる可能性がある。
つぎに、熱に弱い有害物質を処理する作業を説明する。
テロや化学兵器の使用などによって、例えば炭素菌やコレラ菌等の細菌や、黄熱病ウイルスや天然痘ウイルス等、熱に弱い有害物質が散布された場合には、加熱することによって殺菌したり分解したりすることができる。よって、熱に弱い有害物質を処理する作業は、加熱処理を行えば、安全かつ効果的に有害物質を無害化でき、排出された空気が周囲環境に与える影響を抑えることができる。
したがって、図7(B)に示すように、吸引された流体が、ポンプ12から浮遊物質除去装置31、触媒装置40、排出手段20の順に流れるように流路切換バルブ61〜70を切り換えれば、熱に弱い有害物質を確実に処理することができるから、排出手段20から排出される空気による周囲環境の汚染を抑えることができる。
上記の作業で処理される細菌や熱に弱い有害物質として以下のものがある。
細菌には、炭素菌、赤痢菌、ペスト菌、コレラ菌、腸チフス菌等がある。
細菌以外の熱に弱い有害物質には、黄熱病ウイルスや、天然痘ウイルス、オウム病ウイルス等のウイルスや、フザリウム菌等の真菌、発疹チフスやQ熱、ロッキー山紅斑熱等のリケッチャなどがある。
つぎに、有毒ガスを処理する作業を説明する。
テロや化学兵器の使用などによって、有毒ガスが散布された場合には、そのガスが酸性またはアルカリ性である場合には、中和することが無害化する上で有効な手段であるし、酸化還元反応によって分解処理できるものであれば、触媒によって処理することが有効である。
したがって、中和することによって無害化できる有害物質であれば、図8(A)に示すように、吸引された流体が、ポンプ12から中和装置35、浮遊物質除去装置31、排出手段20の順に流れるように流路切換バルブ61〜70を切り換えれば、有害物質を確実に処理することができる。
この場合、有害物質によって使用する中和液が異なるが、中和液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて処理できる有害物質には、サリンやタブン、ソマン、VXガスなどの神経剤や、硫黄マスタードや窒素マスタード等のマスタードガスやルイサイト、ホスゲンオキシムなどのびらん剤、ホスゲンやジホスゲン、塩素等の窒息剤、シアン化水素や塩化シアン等のシアン化物等がある。
また、中和液として消石灰水溶液を用いて処理できる有害物質には、亜硫酸ガスやフッ化水素ガス、硝酸などの無機ガス等がある。
また、中和液として、少量の界面活性剤を加えた亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液を用いて処理できる有害物質には、クロルピクリン等の窒息剤等がある。
なお、サリンやタブン、ソマン、VXガスなどの神経剤や、硫黄マスタードや窒素マスタード等のマスタードガスやルイサイト、ホスゲンオキシムなどのびらん剤、ホスゲンやジホスゲン、塩素等の窒息剤、シアン化水素や塩化シアン等のシアン化物等は、中和した後、タンク45を通せば、活性炭等の多孔質物質に吸着されるから、より効果的に処理できる。
さらになお、サリン、タブン、ソマン、VXガス、シアン化水素、ホスゲン等は、中和した後、触媒装置40を通せば、もし中和されずに残ったものがあっても、酸化還元反応により分解されるから、より効果的に処理できる。
さらになお、サリン、タブン、ソマン、VXガス、シアン化水素、ホスゲン等は、中和した後、タンク45と触媒装置40の両方を通せば、酸化還元反応による分解と、活性炭等の多孔質物質に吸着によって、より効果的に処理できる。
また、酸化還元反応によって分解処理できる有害物質であれば、図8(B)に示すように、吸引された流体が、ポンプ12から浮遊物質除去装置31、触媒装置40、排出手段20の順に流れるように流路切換バルブ61〜68を切り換えれば、有害物質を確実に処理することができる。
上記の作業で処理できる有害物質には、アンモニアや硫化水素、シアン化水素、二流化水素、セレン化水素、窒素化合物などの無機化合物や、トルエンやアセチレン、メタノール、酸化エチレン、メチルアミン、クロロホルムなどの有機化合物等がある。
また、前記流路切換バルブ61〜70として電磁弁を使用すれば、全ての流路切換バルブ61〜70の経路の切換を、簡単かつ短時間で行うことができる。とくに、以下のごとき流路切換バルブ61〜70の開閉を制御する切換制御手段80を設けておけば、全ての流路切換バルブ61〜70の経路の切換を同時かつ正確に短時間で行うことができる。
図3に示すように、切換制御手段80は、入力部81と、経路選択部82と、切換手段作動部83とを備えている。
入力部81は、流体中に含まれる有害物質の種類が入力するためのものである。
経路選択部82は、入力部81に入力された有害物質の種類に基づいて、前記流路切換バルブ61〜70の経路を選択するものである。
切換手段作動部83は、経路選択部82が選択した経路に基づいて、流路切換バルブ61〜70の経路、つまり流体を通す経路を切り換えるものである。
すると、入力部81から有害物質の種類を入力すれば、経路選択部82によって有害物質の種類に応じて最適な経路が選択され、切換手段作動部83によって流路切換バルブ61〜70の経路が自動的に切り換えられる。このため、有害物質の処理を確実に行うことができ、流路切換バルブ61〜70における経路選択のミスを防ぐことができる。
そして、吸引手段10の吸引部50に、流体中に含まれる有害物質の種類を検出する検知部91(例えば、化学剤検知警報装置(株式会社山田洋行製))と、この検知部91によって検知された有害物質の種類に応じた信号を発信する信号発信部92を備えた検出手段90を設けておき、前記切換制御手段80に、信号発信部92から発信された信号を受信して入力部81に入力する受信部84を設けてもよい。
この場合、吸引手段10の吸引部50が流体を吸引すれば、検出手段90によって流体中の有害物質の種類が自動的に検出される。すると、有害物質の種類の判断ミスや、入力部81への入力ミスを防ぐことができるから、流体を通す経路選択をより迅速かつ確実に行うことができる。
なお、上記のごとき検出手段90を設けない場合には、ガス検知管等を用いて調べた有害物質の種類を、キーボードやタッチスクリーン等の入力部81を設けておき、手動入力によって入力してもよい。また、有害物質の種類は、被害にあった人の症状から判別してもよい。
つぎに、吸引部50について説明する。
図4は火災時に発生する有害物質の処理に使用される吸引部50の概略説明図である。図5は熱に弱い有害物質の処理に使用される吸引部50の概略説明図である。図6は化学兵器等の有害物質の処理に使用される吸引部50の概略説明図である。
まず、火災時等、高温の流体に含まれる有害物質の処理に使用される吸引部50を説明する。
図4に示すように、吸引部50は、前記吸引手段10のホース11の先端に取り付けられ、ホース11に吸引する流体を導入するためのものである。この吸引部50の内部には、基端が前記ホース11に連通されている内側通路51aと、先端が外部に連通されている外側通路51bと、前記外側通路51bと基端と内側通路51aの先端との間を連通させる接続通路51cとが形成されている。つまり、吸引部50の内部における流体の流路が長くなるように、流体を流す通路が吸引部50の内部で折れ曲がっているのである。そして、吸引部50の外周面には放熱部材52が取り付けられている。
このため、火災現場の空気などのように、有害物質を含む流体が非常に高温のものであっても、吸引した流体は、外側通路51bから接続通路51c、内側通路51aと流れる間に冷却されるので、ホース11に流入するまでに流体をある程度冷却することができる。しかも、吸引部50の外周面には放熱部材52が設けられているから、冷却効果を高めることができる。よって、高温の流体を吸引しても、放熱部材52や各流路によって流体を冷却してからポンプ12や有害物質処理手段31に供給することができるから、ポンプ12等が高温の流体によって損傷することを防ぐことができる。
また、外側通路51bの先端、つまり流体を吸引する吸入口51hには、火炎の進入を防止する、例えば活性炭やセラミック等の多孔質な難燃性物質である火炎遮断部材53が取り付けておけば、火災現場等のように火炎が存在する場所の空気等を吸引しても、火炎を吸収することなく有害物質等を含む流体だけを吸入することができるから、吸引部50やポンプ12等が火炎によって損傷することを防ぐことができるので、好適である。
上記の外側通路51b、接続通路51c、内側通路51aおよび放熱部材52が特許請求の範囲にいう冷却器である。
なお、冷却器は上記のごとき構成に限られず、吸引部50によって吸引した流体を冷却してからポンプ12等に供給できるものであれば、特に限定はなく、また、冷却器を設ける位置も、とくに限定はない。
つぎに、熱に弱い有害物質の処理に使用される吸引部50を説明する。
図5に示すように、吸引部50の中心には、先端が外部に連通され、基端がホース11に連通された流体通路51が形成されている。この流体通路51の周囲には、ヒータやガスバーナー等、流体通路51内を流れる流体を加熱することができる加熱器54が設けられている。
このため、吸引した流体中に含まれる有害物質が熱に弱い細菌などであれば、吸引部50の流体通路51内でも処理することができる。つまり、有害物質の処理を吸引部50と有害物質処理手段30の両方で行うことができるから、熱に弱い有害物質を確実に処理することができるし、有害物質処理手段30に加わる負担を軽減することができる。
なお、流体通路51とホース11の間に冷却器55を設けておけば、加熱されて高温になった流体がポンプ12等に流れることを防ぐことができる。
つぎに、化学兵器等の有害物質の処理に使用される吸引部50を説明する。
図6に示すように、吸引部50の中心には、先端が外部に連通され、基端がホース11に連通された流体通路51が形成されている。そして、流体通路51の基端部には、吸引した流体に含まれる有害物質を吸着処理するフィルタ部56が設けられている。このフィルタ部56は、活性炭とソーダ石灰とからなる前処理部57と、フェルトからなる後処理部58とから構成されている。
このため、吸引した流体がフィルタ部56を通過すれば、流体に含まれる有害物質のうち、粒径の大きい物質(例えば、粒径が100Å以上)は前処理部57において吸着することができ、粒径の小さい物質(例えば、粒径が100Å未満)は後処理部57において吸着することができる。つまり、有害物質の処理を吸引部50のフィルタ部56と有害物質処理手段30の両方で行うことができるから、有害物質の処理を確実にすることができるし、有害物質処理手段30に加わる負担を軽減することができる。
また、本実施形態の有害物質処理システム1を、駅の構内や工場、ビルなどに設置しておけば、有害物質発生時に迅速な処理を行うことができるが、図9に示すように、トラックやトレーラ、牽引台車等の輸送手段に設置しておけば、有害物質発生場所に現場に迅速に移動させることができる。よって、有害物質処理システム1がない場所に有害物質が発生しても、有害物質を迅速に処理することができるから、被害が拡大することを防ぐことができる。
第1発明によれば、有害物質を含む流体を、吸引手段によって吸引してから有害物質処理手段によって処理することができるし、有害物質を処理した後できれいになった流体を排出することができる。このため、流体を処理する場所や、その場所にいる人に悪影響を与えることなく有害物質を処理することができるし、排出される流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができ、二次災害などが生じることを防ぐことができる。また、家具や建物の陰や隙間に侵入しているから有害物質であっても確実に処理することができる。さらに、流体とともに有害物質を吸引することができるから、有害物質が流体中に拡散しやすい物質であったとしても、その拡散を防ぐことができ、被害の拡大を効果的に防ぐことができる。
第2発明によれば、輸送手段に搭載されているので、有害物質を処理する現場に迅速に移動させることができる。よって、有害物質を迅速に処理することができるから、被害が拡大することを防ぐことができる。
第3発明の有害物質処理システムは、煙や粉塵など、流体中に含まれる粉体や粒子を除去してから大気中に放出することができるから、排出される流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができ、二次災害などが生じることを防ぐことができる。
第4発明によれば、有害物質を無害化してから大気中に放出することができるから、排出される流体によって周囲の環境が汚染されることを防ぐことができ、二次災害などが生じることを防ぐことができる。
第5発明によれば、流体が、酸性またはアルカリ性の有害物質を含んでいても、中和装置によって有害物質を中和することができるから、人体に悪影響を及ぼさない流体として排出することができる。
第6発明によれば、触媒反応によっても有害物質を分解処理することができるから、有害物質を効率よく確実に無害化処理することができる。そして、浮遊物質除去装置によって浮遊物質が除去されてから流体が供給されるので、触媒装置が汚れたり、煤などが堆積したりして触媒機能が低下することを防ぐことができる。
第7発明によれば、加熱器によって流体を100℃以上に加熱することができるから、細菌や熱によって容易に分解される物質等、熱に弱い有害物質であれば、触媒装置によって分解して無害化することができる。
第8発明によれば、第一流路切換手段および第二流路切換手段を、いずれも処理径路に切り換えておけば、流体を中和装置および触媒装置の両方に通すことができる。すると、有害物質が酸性またはアルカリ性であれば中和装置で確実に中和でき、中性物質であっても熱によって分解される物質であれば、触媒装置によって分解して無害化することができる。よって、一台の処理システムで、複数の有害物質が含まれている流体を処理できるから、有害物質を含む流体の処理を容易かつ効率よく行うことができる。また、第一流路切換手段を切り換えて迂回経路とすれば吸引手段と浮遊物質除去装置とを直接連通させることができる。すると、有害物質が、酸性、アルカリ性のいずれであるか特定できない場合には、中和装置を通さずに流体を、直接、浮遊物質除去装置に供給することができるから、中和装置において異常反応が発生することを防ぐことができる。さらに、第二流路切換手段を切り換えて迂回経路とすれば浮遊物質除去装置と排出手段とを直接連通させることができる。すると、有害物質が中和装置と浮遊物質除去装置だけで処理できるものであれば、触媒装置を作動させる必要がないので、効率よく有害物質を処理することができる。
第9発明によれば、入力部から有害物質の種類を入力すれば、経路選択部によって有害物質の種類に応じて最適な経路が選択され、切換手段作動部によって第一流路切換手段および第二流路切換手段が切り換えられる。このため、有害物質の処理を確実に行うことができ、各流路切換手段において経路選択のミスを防ぐことができる。
第10発明によれば、吸引手段が流体を吸引すれば、検出手段が有害物質の種類を検出するから、流体を通す経路選択をより迅速かつ確実に行うことができる。
第11発明によれば、火災現場の空気などのように、有害物質を含む非常に高温の流体を吸引しても、冷却器によって流体を冷却してからポンプや有害物質処理手段に供給することができるので、ポンプ等が高温の流体によって損傷することを防ぐことができる。
第12発明によれば、火災現場等のように火炎が存在する場所の空気等を吸引しても、火炎を吸収することなく有害物質等を含む流体だけを吸入することができるから、吸引部やポンプが火炎によって損傷することを防ぐことができる。
第13発明によれば、加熱器によって吸引した流体を加熱すれば、流体中の熱に弱い有害物質、例えば細菌などを処理することができる。つまり、有害物質の処理を吸引部と有害物質処理手段の両方で行うことができるから、熱に弱い有害物質を確実に処理することができるし、有害物質処理手段に加わる負担を軽減することができる。
第14発明によれば、吸引した流体に含まれる有害物質をフィルタ部においても吸着することができる。つまり、有害物質の処理を吸引部と有害物質処理手段の両方で行うことができるから、有害物質の処理を確実にすることができるし、有害物質処理手段に加わる負担を軽減することができる。

Claims (14)

  1. 流体に含まれる有害物質を無害化して処理するために使用される処理システムであって、該処理システムが、有害物質を含む流体を吸引する吸引手段と、該吸引手段によって吸引された流体を排出する排出手段を備えており、前記吸引手段と前記排出手段の間に、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる有害物質を処理する有害物質処理手段とを備えていることを特徴とする有害物質処理システム。
  2. 前記処理システムが、輸送手段に搭載されていることを特徴とする請求項1記載の有害物質処理システム。
  3. 前記有害物質処理手段が、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる浮遊物質を流体中から除去する浮遊物質除去装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の有害物質処理システム。
  4. 前記有害物質処理手段が、該吸引手段によって吸引された流体中に含まれる有害物質を無害化する無害化手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の有害物質処理システム。
  5. 前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間に、前記無害化手段が設けられており、該無害化手段が、有害物質を中和する中和装置であることを特徴とする請求項4記載の有害物質処理システム。
  6. 前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に、前記無害化手段が設けられており、前記無害化手段が、有害物質と反応する触媒を備えた触媒装置であることを特徴とする請求項4記載の有害物質処理システム。
  7. 前記触媒装置が、流体を100℃以上に加熱する加熱器を備えていることを特徴とする請求項6記載の有害物質処理システム。
  8. 前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間および前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に、それぞれ前記無害化手段が設けられており、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置との間に設けられた無害化手段が、有害物質を中和する中和装置であり、前記浮遊物質除去装置と前記排出手段との間に設けられた無害化手段が、有害物質と反応する触媒を備えた触媒装置であり、前記吸引手段と前記中和装置との間に、第一流路切換手段が設けられており、前記浮遊物質除去装置と前記触媒装置との間に、第二流路切換手段が設けられており、前記第一流路切換手段が、前記吸引手段と前記中和装置とを連通させる処理径路と、前記吸引手段と前記浮遊物質除去装置とを連通させる迂回経路とを備えており、前記第二流路切換手段が、前記浮遊物質除去装置と前記触媒装置とを連通させる処理径路と、前記浮遊物質除去装置と前記排出手段とを連通させる迂回経路とを備えていることを特徴とする請求項4記載の有害物質処理システム。
  9. 前記第一流路切換手段および前記第二流路切換手段を制御する切換制御手段が設けられており、前記切換制御手段が、流体中に含まれる有害物質の種類が入力される入力部と、該入力部に入力された有害物質の種類に基づいて、前記第一流路切換手段の経路および前記第二流路切換手段の経路を選択する経路選択部と、該経路選択部が選択した経路に基づいて、前記第一流路切換手段の経路および前記第二流路切換手段の経路を切り換える切換手段作動部とからなることを特徴とする請求項8記載の有害物質処理システム。
  10. 前記吸引手段が、流体中に含まれる有害物質の種類を検出する検出手段を備えており、該流体中に含まれる有害物質の種類を検出する検知部と、該検知部によって検知された有害物質の種類に応じた信号を発信する信号発信部とからなり、前記切換制御手段が、前記検出手段の信号発信部から発信された信号を受信して、前記入力部に入力する受信部を備えていることを特徴とする請求項9記載の有害物質処理システム。
  11. 前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体を冷却する冷却器とからなることを特徴とする請求項1記載の有害物質処理システム。
  12. 前記吸引部の吸入口に、火炎の進入を防止する火炎遮断部材が取り付けられており、該火炎遮断部材が、多孔質な難燃性物質であることを特徴とする請求項11記載の有害物質処理システム。
  13. 前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体を加熱する加熱器とからなることを特徴とする請求項1記載の有害物質処理システム。
  14. 前記吸引手段が、流体を吸引するポンプと、該ポンプの吸入口に接続された吸引部と、該吸引部に設けられた、吸引した流体に含まれる有害物質を吸着処理するフィルタ部とからなることを特徴とする請求項1記載の有害物質処理システム。
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