JPWO2004026514A1 - スリッタースタンドの刃替装置および刃替方法 - Google Patents
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Abstract
上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸まで移送し刃物を組み込み、かつ、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から保管庫まで前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数組み合わせて把持し移送し戻す移送装置とからなるスリッタースタンドの刃替装置および刃替え方法。簡単な装置構成で、短時間にスリッタースタンドの刃物軸を交換可能な省力化を達成し得る。
Description
本発明は、スリッタースタンドの刃替装置および刃替方法に関する。さらに詳しくは、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上刃物回転軸および下刃物回転軸の刃物のための刃替装置および刃替方法に関する。ここでいう広幅の巻物状材料としては、鋼、アルミニウム、銅などの金属、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂などの高分子フィルムなどがあげられる。
スリッタースタンドにより、広幅の巻物状材料を上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに挟み込んでせん断し複数のスリット状材料とする操業において、スリット幅の変更または材料を変更する場合、材質によって決まる所定の丸刃の幅および丸刃間ギャップとなるように、上下刃物軸を変更する必要があるため、刃替作業が頻繁に行なわれる。
刃物回転軸の丸刃の間隔を調節する丸刃位置決め部品は、通常、異なる厚さのリング状スペーサを組み合わせて用いられており、異なる厚さのスペーサが百種以上必要となる場合もある。このように刃物回転軸を構成する丸刃および丸刃位置決め部品の数は多いが、刃物回転軸の組替え作業は短時間で行なう必要がある。
刃替作業時間を短縮する方法として、つぎに使用する上下刃物回転軸をあらかじめ仮組みしておき、刃物回転軸の変更を迅速に行なう方法が知られているが、人手でおこうなう場合、数名を要していた。
刃物組換えの省力化のための従来技術として、特開昭62−63098号公報や特開平11−19819号公報には、刃替装置は丸刃および丸刃位置決め部品であるスペーサを1個ずつロボットなどで保管庫から所定位置まで移送する技術が開示されている。
さらに特開2000−127079号公報には、図12に示されるように、ロボットで丸刃およびスペーサを複数個把持して保管庫から仮組み位置まで移送することにより、仮組み時間を短縮する技術が開示されている。すなわち、図12に示される装置では、ロボットアームの先端部71に設けられたテーパ状の心金72を管73に接続したのち、丸刃および/または丸刃位置決め部品からなる丸刃等74を押出機75によって押し出すことにより、丸刃等74を心金72に移送させることができる。このとき、心金72の外周面に設けられたアウターカバー76は、バネ77を押しながら図中上方へ一時的に逃げたのち、バネ77の復元力によって再び下方へ戻るときに、丸刃等74の内径部を保持することができる。
しかしながら、特開昭62−63098号公報や特開平11−19819号公報に記載されているように丸刃および丸刃位置決め部品であるスペーサを保管庫から仮組み位置まで個別に移送する方法は、部品点数が多いと人手で行なう場合よりもかえって移送時間がかかってしまうという問題がある。
また、特開2000−127079号公報記載の発明は複数の丸刃および丸刃位置決め部品を組み合わせて搬送できるため搬送時間が短縮できるが、丸刃および丸刃位置決め部品の保管装置は個々に押出し機構が設けられており、丸刃および丸刃位置決め部品を内側から把持する把持装置も特殊な形状を呈するため、制御が複雑であり、メンテナンスの点でも問題がある。
本発明は、簡単な装置構成で、短時間にスリッタースタンドの刃物軸を交換可能なスリッタースタンドの刃替装置および刃替方法を提供することにより、省力化を実現することを目的とする。
刃物回転軸の丸刃の間隔を調節する丸刃位置決め部品は、通常、異なる厚さのリング状スペーサを組み合わせて用いられており、異なる厚さのスペーサが百種以上必要となる場合もある。このように刃物回転軸を構成する丸刃および丸刃位置決め部品の数は多いが、刃物回転軸の組替え作業は短時間で行なう必要がある。
刃替作業時間を短縮する方法として、つぎに使用する上下刃物回転軸をあらかじめ仮組みしておき、刃物回転軸の変更を迅速に行なう方法が知られているが、人手でおこうなう場合、数名を要していた。
刃物組換えの省力化のための従来技術として、特開昭62−63098号公報や特開平11−19819号公報には、刃替装置は丸刃および丸刃位置決め部品であるスペーサを1個ずつロボットなどで保管庫から所定位置まで移送する技術が開示されている。
さらに特開2000−127079号公報には、図12に示されるように、ロボットで丸刃およびスペーサを複数個把持して保管庫から仮組み位置まで移送することにより、仮組み時間を短縮する技術が開示されている。すなわち、図12に示される装置では、ロボットアームの先端部71に設けられたテーパ状の心金72を管73に接続したのち、丸刃および/または丸刃位置決め部品からなる丸刃等74を押出機75によって押し出すことにより、丸刃等74を心金72に移送させることができる。このとき、心金72の外周面に設けられたアウターカバー76は、バネ77を押しながら図中上方へ一時的に逃げたのち、バネ77の復元力によって再び下方へ戻るときに、丸刃等74の内径部を保持することができる。
しかしながら、特開昭62−63098号公報や特開平11−19819号公報に記載されているように丸刃および丸刃位置決め部品であるスペーサを保管庫から仮組み位置まで個別に移送する方法は、部品点数が多いと人手で行なう場合よりもかえって移送時間がかかってしまうという問題がある。
また、特開2000−127079号公報記載の発明は複数の丸刃および丸刃位置決め部品を組み合わせて搬送できるため搬送時間が短縮できるが、丸刃および丸刃位置決め部品の保管装置は個々に押出し機構が設けられており、丸刃および丸刃位置決め部品を内側から把持する把持装置も特殊な形状を呈するため、制御が複雑であり、メンテナンスの点でも問題がある。
本発明は、簡単な装置構成で、短時間にスリッタースタンドの刃物軸を交換可能なスリッタースタンドの刃替装置および刃替方法を提供することにより、省力化を実現することを目的とする。
本発明の請求の範囲第1項にかかわるスリッタースタンドの刃替装置は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に、丸刃および該丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替装置であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸まで移送し刃物を組み込み、かつ、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から保管庫まで前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数組み合わせて把持し移送し戻す移送装置
とからなることを特徴とする。
本発明の請求の範囲第2項にかかわるスリッタースタンドの刃替装置は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に、丸刃および該丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替装置であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、所定位置に移送する移送装置と、
前記丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする仮組み装置と、
前記仮組みした丸刃および丸刃位置決め部品を仮組み装置から上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に挿入する挿入装置と、
前記上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から取り外されるべき旧刃物を取り外す脱離装置と、
取り外されるべき旧刃物を受け取る受取装置
とからなることを特徴とする。
前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサからなるのが好ましい。
前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサおよびスペーサ上に装着される中空円筒状の1個以上の緩衝材からなるのが好ましい。
前記緩衝材が、前記スペーサの外側に一体になるように固着されてなるのが好ましい。
前記移送装置が、丸刃および丸刃位置決め部品を内側から複数把持可能なロボットハンドと、前記丸刃および丸刃位置決め部品を保管庫の所定位置から仮組み装置まで移送可能な多軸ロボットアームとからなるのが好ましい。
前記移送装置が、丸刃および/または位置決め部品が移送中に脱落するのを防ぐ機構を有してなるのが好ましい。
前記丸刃および丸刃位置決め部品を上下刃物回転軸に固定するクランプ機構が、前記上下刃物回転軸の開端部に設けられてなるのが好ましい。
前記仮組み装置が、2本以上の仮置き横軸を有するとともに、前記受取装置が2本以上の受取横軸を有し、当該仮置き装置および受取装置を該横軸がスリッタースタンドの上下刃物回転軸とほぼ軸線方向となるように設置し、スリッタースタンド方向に進退および昇降可能であるのが好ましい。
前記仮置き軸および受取軸の直径が、上下刃物回転軸の直径より小さいのが好ましい。
前記上下刃物回転軸から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなるのが好ましい。
前記受取装置から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなるのが好ましい。
本発明の請求の範囲第13項にかかわるスリッタースタンドの刃替方法は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸の刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて保管庫に移送し戻したのち、つぎの刃物を構成する丸刃および丸刃位置決め部品を組み込む順番に複数個組み合わせて前記刃物回転軸に移送し、固定することを特徴とするものである。
本発明の請求の範囲第14項にかかわるスリッタースタンドの刃替方法は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を移送装置により保管庫より仮組み装置に移送する際に、丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする順番に複数個組み合わせて仮組み装置の仮置き横軸に移送し、刃物を仮組みしたのち、受取装置の受取横軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を前記受取横軸に移動および退避させ、つぎに前記仮置き軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、前記仮組みした刃物を前記刃物回転軸に挿入し、固定することを特徴とするものである。
前記丸刃位置決め部品を構成するスペーサおよびスペーサ上に装着する中空円筒状の緩衝材を組み合わせて保管庫より仮組み装置へ移送装置によって移送する際に、必要なスペーサおよび緩衝材の組み合わせをあらかじめ設定し、一度に搬送可能な枚数のスペーサを順次保管庫内で把持したのち、さらに所定の緩衝材を装着して移送するのが好ましい。
前記丸刃および丸刃位置決め部品をロボットハンドにより内側から把持し移送するのが好ましい。
ここで、丸刃位置決め部品とは、たとえば図3に示されるように刃物回転軸上に装着する丸刃の間隔を調整する部品であり、鋼製のリング状スペーサまたは該スペーサ上にさらにゴム等の緩衝材を装着したものなどである。
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸まで移送し刃物を組み込み、かつ、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から保管庫まで前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数組み合わせて把持し移送し戻す移送装置
とからなることを特徴とする。
本発明の請求の範囲第2項にかかわるスリッタースタンドの刃替装置は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に、丸刃および該丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替装置であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、所定位置に移送する移送装置と、
前記丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする仮組み装置と、
前記仮組みした丸刃および丸刃位置決め部品を仮組み装置から上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に挿入する挿入装置と、
前記上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から取り外されるべき旧刃物を取り外す脱離装置と、
取り外されるべき旧刃物を受け取る受取装置
とからなることを特徴とする。
前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサからなるのが好ましい。
前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサおよびスペーサ上に装着される中空円筒状の1個以上の緩衝材からなるのが好ましい。
前記緩衝材が、前記スペーサの外側に一体になるように固着されてなるのが好ましい。
前記移送装置が、丸刃および丸刃位置決め部品を内側から複数把持可能なロボットハンドと、前記丸刃および丸刃位置決め部品を保管庫の所定位置から仮組み装置まで移送可能な多軸ロボットアームとからなるのが好ましい。
前記移送装置が、丸刃および/または位置決め部品が移送中に脱落するのを防ぐ機構を有してなるのが好ましい。
前記丸刃および丸刃位置決め部品を上下刃物回転軸に固定するクランプ機構が、前記上下刃物回転軸の開端部に設けられてなるのが好ましい。
前記仮組み装置が、2本以上の仮置き横軸を有するとともに、前記受取装置が2本以上の受取横軸を有し、当該仮置き装置および受取装置を該横軸がスリッタースタンドの上下刃物回転軸とほぼ軸線方向となるように設置し、スリッタースタンド方向に進退および昇降可能であるのが好ましい。
前記仮置き軸および受取軸の直径が、上下刃物回転軸の直径より小さいのが好ましい。
前記上下刃物回転軸から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなるのが好ましい。
前記受取装置から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなるのが好ましい。
本発明の請求の範囲第13項にかかわるスリッタースタンドの刃替方法は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸の刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて保管庫に移送し戻したのち、つぎの刃物を構成する丸刃および丸刃位置決め部品を組み込む順番に複数個組み合わせて前記刃物回転軸に移送し、固定することを特徴とするものである。
本発明の請求の範囲第14項にかかわるスリッタースタンドの刃替方法は、上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を移送装置により保管庫より仮組み装置に移送する際に、丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする順番に複数個組み合わせて仮組み装置の仮置き横軸に移送し、刃物を仮組みしたのち、受取装置の受取横軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を前記受取横軸に移動および退避させ、つぎに前記仮置き軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、前記仮組みした刃物を前記刃物回転軸に挿入し、固定することを特徴とするものである。
前記丸刃位置決め部品を構成するスペーサおよびスペーサ上に装着する中空円筒状の緩衝材を組み合わせて保管庫より仮組み装置へ移送装置によって移送する際に、必要なスペーサおよび緩衝材の組み合わせをあらかじめ設定し、一度に搬送可能な枚数のスペーサを順次保管庫内で把持したのち、さらに所定の緩衝材を装着して移送するのが好ましい。
前記丸刃および丸刃位置決め部品をロボットハンドにより内側から把持し移送するのが好ましい。
ここで、丸刃位置決め部品とは、たとえば図3に示されるように刃物回転軸上に装着する丸刃の間隔を調整する部品であり、鋼製のリング状スペーサまたは該スペーサ上にさらにゴム等の緩衝材を装着したものなどである。
図1は、本発明の一実施の形態である刃替装置を備えたスリッターを示す平面図である。
図2は、図1のスリッターの正面図である。
図3は、図1の刃物回転軸に装着される刃物セットを示す断面説明図である。
図4は、図1のロボットハンドの説明図である。
図5は、図1のロボットハンドを用いて複数の丸刃等を把持する直前の状態を示す斜視説明図である。
図6は、図1のロボットハンドの主要部の拡大斜視図である。
図7は、本発明の刃替装置が適用可能なスリッターの他の例として、仮置き軸を備えたスリッターを示す正面図である。
図8は、図7のスリッターの平面図である。
図9は、本発明のさらに他の実施の形態である刃替装置を備えたスリッターを模式的に示す平面図である。
図10は、本発明の刃替装置に用いられるハンドリングロボットを2台配置した状態を概略的に示す平面図である。
図11は、本発明の刃替装置に用いられるハンドリングロボットを4台配置した状態を概略的に示す平面図である。
図12は、従来の刃替え装置の把持部分の拡大断面図である。
図2は、図1のスリッターの正面図である。
図3は、図1の刃物回転軸に装着される刃物セットを示す断面説明図である。
図4は、図1のロボットハンドの説明図である。
図5は、図1のロボットハンドを用いて複数の丸刃等を把持する直前の状態を示す斜視説明図である。
図6は、図1のロボットハンドの主要部の拡大斜視図である。
図7は、本発明の刃替装置が適用可能なスリッターの他の例として、仮置き軸を備えたスリッターを示す正面図である。
図8は、図7のスリッターの平面図である。
図9は、本発明のさらに他の実施の形態である刃替装置を備えたスリッターを模式的に示す平面図である。
図10は、本発明の刃替装置に用いられるハンドリングロボットを2台配置した状態を概略的に示す平面図である。
図11は、本発明の刃替装置に用いられるハンドリングロボットを4台配置した状態を概略的に示す平面図である。
図12は、従来の刃替え装置の把持部分の拡大断面図である。
図1〜2は、スリッター本体1が刃替えのためオフラインに引き出され、反駆動側の軸受け2が上下一対の刃物回転軸である刃物回転軸3から外された状態を示している。刃物回転軸3の駆動側には丸刃および/または丸刃位置決め部品からなる丸刃等8とほぼ同一の内径を有する案内スリーブ4を装着し、刃物回転軸の反駆動側先端にはキャップ31が装着されている。スリッターの周囲には丸刃等8を種別に保管する保管庫、および汎用ハンドリングロボット6が配置されている。
保管庫は、丸刃等8の種類や個数が少ない場合は種別ごとに積み重ねて平面上に保管してもよいが、丸刃等の種類や個数が多い場合は床面積を小さくでき、かつ移送距離を短縮できるように複数の棚を有する保管棚であることが好ましい。保管棚は、対向面を上方に向かうにつれて間隔が広がるように傾斜面としたレールを少なくとも一対設け、丸刃等を図5に示すようにほぼ垂直に立てた状態で保管することが、省スペースおよび後述するロボットハンドによるハンドリングの点でさらに好ましい。
汎用ハンドリングロボット6は、丸刃等8を複数個把持することができるロボットハンド7と、丸刃等8を保管棚5の保管位置から上下の刃物回転軸3または後述する仮置き軸等の所定位置まで移送可能な多軸ロボットアーム6aとから構成されている。
丸刃等8は、円柱状の刃物回転軸3に装着できるようにリング形状となっており、ロボットハンドで複数個把持する場合、外側から把持する手段、内側から把持する手段および内側と外側の両方から把持する手段とがある。
丸刃51およびスペーサ53は、内径が同一であるが、外径は丸刃の方がスペーサより大きく、スペーサ53上に装着するゴムリング54は外径が丸刃より小さく、内径はスペーサ53の外形とほぼ等しくなっている。丸刃51とスペーサ53を複数組み合わせて移送する場合、外側から把持する手段または内側と外側の両方から把持する手段でも可能であるが、丸刃51とスペーサ53は外径が異なるため複数個把持するにはロボットハンドの形状が複雑になるとともに動作制御も複雑となる。丸刃51およびスペーサ53は内径が同一であるため、ロボットハンドにより内側から把持する手段が最も好ましく、後述するようにスペーサ53上にゴムリング54を装着した状態で移送することもできる。
次回せん断する材料、スリット幅で決まる丸刃の間隔および丸刃間クリアランスに基づき、上下の刃物回転軸に組み込む丸刃の個数、および位置決め部品の組合せを決定する。図1〜2において、ロボットハンド7は、保管棚5に収納された丸刃および/または丸刃位置決め部品からなる丸刃等8を、前記組合せに基づき、刃物回転軸または仮組置き軸に組み上げる順番で所定の個数を複数個組み合わせて内側から把持し、上下それぞれの刃物回転軸3または仮組置き軸に移送し、所定の刃物セット50(図3参照)を組み上げることができる。
ロボットハンド7により、前回使用した刃物セット50の丸刃等8を刃物回転軸3または後述する受取軸65から、保管棚5の保管位置に戻す場合も、丸刃等を複数組み合わせた状態で移送することができる。
図3には、刃物回転軸3に装着された刃物セット50の一例が示されている。ここの刃物セット50は、複数の丸刃51と、隣接する2枚の丸刃51のあいだを所定の間隔に保つための丸刃位置決め部品52とから構成されている。
丸刃位置決め部品52は、スペーサ53および該スペーサ53上に装着する中空円筒状の少なくとも1個のゴムリングなどの緩衝材54から構成されている。ゴムリングなどの緩衝材54の使用目的としては、▲1▼せん断側とは反対側の丸刃の角によって付けられるカッターマークの防止、▲2▼丸刃間の板が湾曲するとせん断後の板幅が若干広くなるが、この湾曲の防止、▲3▼せん断後の板が丸刃間に挟まることの防止、および▲4▼板をピンチし、板に推力を与えること、などがあげられる。たとえば、▲1▼のカッターマークの防止の目的に着目すれば、巻物状材料をせん断する時に当該材料がせん断側とは反対の丸刃の角に接触しないように、丸刃径より大きな外径の緩衝材を組み込む。
丸刃と接触して製品表面に傷が付くのを避けるために、緩衝材は、せん断後の製品が丸刃と接触しても付きにくい材料で作製されるのが好ましく、または表面の傷があまり問題とされない材料をせん断する場合は、丸刃位置決め部品52は、複数個のスペーサ53のみでもよい。また、消耗品である緩衝材料は、刃替えの都度脱着すれば傷んだ緩衝材は個別に容易に交換可能であるが、部品数が増えるため、緩衝材をスペーサの外側に一体となるように固着しておいてもよい。
ここで、次回せん断する材料、スリット幅から刃物セット(丸刃の幅と枚数、スペーサの幅と枚数、および組み込む順番、スペーサ上に装着するゴムリングの幅と枚数)を決定する方法の一例を説明する。
たとえば、あらかじめ保管棚に
▲1▼0.1mm調整用スペーサ:幅9.1〜9.9mm
▲2▼1mm調整用スペーサ:幅11〜19mm
▲3▼幅埋めスペーサ:幅10mmと50mmの2種
▲4▼ゴムリング:幅20mmと50mmの2種
をそれぞれ保管しておき、丸刃厚10mm、クリアランス0.15mm、スリット幅100mmの場合、上の丸刃の間隔を、スリット幅に外接するように、スリット幅とほぼ同じ100mmに設定する。一方、下の丸刃の間隔を、スリット幅に内側に収まるように、スリット幅100mmから前記2枚の丸刃厚およびそれぞれのクリアランスを差し引いた79.7mmに設定する必要がある。
そこで、上の丸刃の間隔(100mm)を得るために、▲3▼の50mmの幅埋めスペーサを2枚、または▲4▼の50mmのゴムリングを1枚+▲4▼の20mmのゴムリングを2枚組み合わせればよい。
一方、下の丸刃の間隔(79.7mm)を得るために、▲3▼の50mmの幅埋めスペーサを1枚+▲3▼の10mmの幅埋めスペーサを2枚+▲1▼のスペーサ(幅9.7mmのもの)1枚、または▲4▼の50mmのゴムリングを1枚+▲4▼の20mmのゴムリングを1枚組み合わせればよい。
図4は本実施の形態のロボットハンド7と保管棚5の断面の一部を示している。本発明による丸刃等8を把持する方法は、他の設備との取合いや把持強度などの点ですぐれた内径把持を採用している。
図4に示されるように、ハンドリングロボット6のアーム6aの先端部には、ロボットハンド7のベースプレート11が取り付けられ、このベースプレート11に2本の固定式フィンガー12a、12bを有する上フィンガーフレーム13が固着され、そして1本のフィンガー14を有する下フィンガーフレーム15がベースプレート11に形成された2本のレール17に沿って上下動可能に取り付けられている。さらに、下フィンガーフレーム15には、エアーシリンダー16が連結部18を介して連結されており、かかるエアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を上下に移動させることができる。
さらに、図5〜6に示されるように、本実施の形態のロボットハンド7に、3本のフィンガー12a、12b、14のほかに、スペーサを軸方向に押し出すためのスペーサプッシャー上レバー21、スペーサプッシャー下レバー22、および前述の緩衝材54としてのゴムリングを押し出すためのゴムリングプッシャー23、およびハンド移動中のゴムリング揺動を防止するゴムリング押え24が設けられている。
ゴムリング押え24は、ゴムリングを外周から挟むための一対の直棒24a、24bと、ゴムリングの外周面の一部を保持するために先端が円弧状に曲げられたアーム24cとを備えている。一対の直棒24a、24bは、一対のリンクアーム25a、25bの先端にそれぞれ固着され、ロボットハンド7に設けられた駆動源(図示せず)により、開閉運動をすることができる。また、アーム24cもロボットハンド7に設けられた駆動源(図示せず)により、上フィンガーフレーム13の前側と後側とのあいだを往復移動することができる。したがって、フィンガー12a、12bおよび14で内径把持されたスペーサ53上に装着されたゴムリングは、一対の直棒24aおよび24bによって外周からも把持されるため、移動中のゴムリングの揺動や脱落が生じることがない。
また、3本のフィンガー12a、12b、14のそれぞれの丸刃等8の内径部に当接する部分の最先端には突起14aを設け、最先端の丸刃等を強く把持し、それより内側の丸刃等はゴムなどの弾性部材14bを介して軽く把持される。
本実施の形態のロボットハンド7を備えたハンドリングロボット6を用いて、スリッター本体1に複数の丸刃等8を装着する場合、以下の手順で行なわれる。
まず、図5〜6に示されるように、前記ハンドリングロボット6のアーム6aを駆動させて、3本のフィンガー12a、12b、14を、収納棚5に垂直に立てて所定の個数および順序で配置された複数の丸刃等8の内径部に進入させる。そののち、ハンドリングロボットのアーム6aをわずかに上方へ移動させて上側のフィンガー12a、12bを丸刃等8の内径部に当接させる。ついで、エアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を、丸刃等8の半径方向の外方、すなわち下方へ移動させれば、複数の丸刃等8の内径部を3箇所でバランスよく強固に把持することができる。
ここで、さらに具体的にいえば、図4に示されるように、丸刃等8を3本のフィンガー12a、12b、14により内方から把持したとき、3本のフィンガー12a、12b、14は丸刃等8の重心に対してほぼ等距離になり、複数の丸刃等8はバランスよく把持されていることがわかる。
ついで、図1に示されるように、ハンドリングロボット6のアーム6aを移動させて、複数の丸刃等8を刃物回転軸3の先端まで搬送する。さらに刃物回転軸3の先端に装着されたガイドキャップ31に進入することにより、複数の丸刃等8はガイドキャップ31へ嵌合された状態になる。そののち、図4に示すエアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を上方へ移動させれば、複数の丸刃等8の把持は解除され、複数の丸刃等8は上側のフィンガー12a、12bにぶら下った状態になる。つぎに、ロボットを操作してハンドを少し下降させ、丸刃等8はガイドキャップにぶら下がった状態にし、さらにハンドをガイドキャップの軸方向に移動させてフィンガー12a、12b、14を離脱させる。これで複数の丸刃等8の装着作業は完了する。
図3に示される刃物セット50を構成する複数の丸刃等は、ロボットハンドで一度に把持して1回の作業で装着を完了してもよいし、複数回に分けて装着作業を行なってもよい。
なお、丸刃等8を刃物回転軸3から取り外す場合には、前述の手順とは逆の手順で行なえばよい。
以上のように、本実施の形態のロボットハンド7は、丸刃等8を内側から把持するため、丸刃等8の外面を損傷することなく強く把持することができる。その結果、ハンドリングロボットの高速運転が可能である。
また、本発明のロボットハンド7は丸刃等を一度に複数把持できるフィンガーとなっている点に特徴がある。一度に把持できる個数はフィンガー12a、12b、14の長さにより容易に調節できる。
丸刃等8は、幅の異なる丸刃毎、幅の異なるスペーサ毎に図5に示されるように、収納棚5に複数個並べて配置しておき、刃物回転軸3に装着する丸刃等の装着スケジュールにより、必要な丸刃またはスペーサを選択して、ロボットハンド7をそれぞれの配置箇所に移動させ、前記のように次々と把持して、まとめて刃物回転軸3に装着することができる。そのため、従来のように丸刃等8を個別に刃物回転軸3に装着するのに比較して、作業効率が非常によくなる。
さらに、本実施の形態のロボットハンド7は、丸刃等8の内径部のみを把持し丸刃等8の外径部や側部を開放することができるため、スペーサの外側に装着されるゴムリングを収納棚5に厚さ毎に種類分けして複数個並べて配置しておき(図4参照)、必要なゴムリングを選択して、ロボットハンド7を配置箇所に動かし、スペーサを把持した状態のロボットハンド7をゴムリングの内径部に挿入してスペーサの外側にゴムリングを装着したのち、ゴム押え24a、24bにより外部から把持して刃物回転軸3にスペーサとゴムリングを一体化して装着することができるため、作業能率をさらに向上させることができる。
なお、本実施の形態では、ロボットハンドの例として、3本のフィンガーを備えたロボットハンドを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、丸刃等の内径部を少なくとも3ヵ所でバランスよく把持することができるものであれば、ロボットハンドのフィンガーの本数および形状を適宜変更してもよい。
また、前述の丸刃および丸刃位置決め部品からなる丸刃等8を上下の刃物回転軸3に固定するためのクランプ機構55(図7〜8参照)を上下の刃物回転軸3の反駆動側である開端部に設けておけば、一連の刃替え作業の自動化が可能になる。クランプ機構は、たとえば、ロボットハンドまたは仮置き軸などに設けられた突起を用いて、クランプ機構の軸先端の操作突起を押圧操作することにより、クランプ機構の周面に設けられた突起が内部に引っ込んで丸刃等の出入れができるような構成などを採用することができる。または、クランプ機構の周面に設けられたリング状部材を出没させるようにしてもよい。
ロボットハンドの制御方法は、従来既存の技術を用いた方法を採用することができる。たとえば、あらかじめ保管棚に1000個程度の丸刃等を保管しておく。1個の丸刃等のハンドリングには数点の動作点を認識する必要があり、ロボットは数千の点を認識する必要がある。これを1点ずつロボットを手動操作してティーチングすることは現実的に不可能である。そこで、保管ワーク1種類当り、1〜3点をティーチングし、それ以外の点については、計算により内挿または外挿して求める。この場合でもティーチング点は100点前後になるため、自動ティーチングを行なうのが好ましい。
自動ティーチングは、たとえば以下のようにして行なわれる。まず、保管棚やロボットハンドの機械図面上の寸法から必要な点をロボットに記憶させる。ロボットは、このデータを基に棚に接近する。そして、ロボットハンドに取り付けられた距離計で、図面値と実物の寸法との差分を計測し、記憶する。以後のハンドリング作業は機械図面値に計測した差分を補正し、動くべき点を求めて行なう。
以上の図1〜2に示される実施の形態では、ロボットハンド6によって保管棚5から刃物回転軸3へまたはその逆へ丸刃等8を直接移動させるシステムを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、保管棚5と刃物回転軸3とのあいだで仮置き軸を経由させて丸刃等を移動させてもよい。
図7〜8は、仮置き軸が刃替えのためスリッター側へ前進するその途中を、反駆動側の軸受け2が刃物回転軸3から外された状態を示している。また、刃物回転軸3の駆動側には丸刃等8とほぼ同一の内径を有する案内スリーブ4を装着し、刃物回転軸3の反駆動側先端の丸刃等8を自動クランプするためのクランプ機構55が設けられている。なお、42は案内スリーブ4の駆動装置である。さらに刃物回転軸3の回転駆動側端にはクランプ機構55を軸方向に往復移動させるための油圧シリンダー56が設けられている。なお、丸刃等8の反駆動側には丸刃等8と同様に軸受け57が刃物回転軸3に嵌められる。この軸受け57は、軸受け箱2に嵌合される。
また、スリッターの周囲には、図示されていないが、前記実施の形態と同様に、丸刃等8の保管棚、および汎用ハンドリングロボットが配置されている。丸刃等8のハンドリングが可能な汎用ハンドリングロボットのアームの先端には、たとえば3本の爪を有するロボットハンドが取り付けられている。
前記ロボットからの丸刃等8の受渡しは、図1に示される仮置き軸41に対して行なう。仮置き軸41は、上新刃用、下新刃用、上旧刃用および下旧刃用の計4本あるが、図7〜8では1本のみ図示されている。仮置き軸41の先端にはロボットハンドのたとえば3本の爪が進入する溝を有する受渡し部43が設けられている。4本の仮置き軸はそれぞれ、刃物回転軸3と連結するための前進、ロボット受渡し位置への後退をし、そして刃物回転軸3とのあいだで丸刃等を移動させるプッシャー7を備えている。
図9に示されるように、たとえば、上下の刃物回転軸61に前述の刃物セット50が装着されたスリッター60のための刃替装置62は、上下の受取横軸65を備えた受取装置63と、上下の仮置き横軸66を備えた仮置き装置64とから構成されている。受取軸65および仮置き軸66の直径は、上下の刃物回転軸61刃物回転軸の直径より小さくなるように設定されているため、受取軸65および仮置き軸66へ刃物セット50を移送させやすい。
刃物回転軸61に装着された古い刃物セット50は、図示されない油圧シリンダなどの脱離装置によって脱離され、受取装置63の上下の受取横軸65へそのままの状態で受け渡すことができる。また、仮置き装置64の上下の仮置き横軸66には、ハンドリングロボットなどの仮組み装置を用いて、所定の個数および順序の刃物等からなる新しい刃物セット50を上下の仮置き横軸66へ仮組みすることができる。上下の仮置き横軸66を上下の刃物回転軸61に連結したのち、仮組みされた新しい刃物セット50は、プッシャーなどの駆動手段により、刃物回転軸61へ装着させることができる。
スリッタスタンドの刃替は、ハンドリングロボット6が1台でも可能であるが、上刃物回転軸の刃替え専用と、下刃物回転軸の刃替え専用に2台のハンドリングロボットを使用し、上刃物回転軸と下刃物回転軸に対して独立に移送したり、戻した方が刃替え時間の短縮の点で好ましい。さらに、ハンドリングロボットを4台使用し、保管棚から刃物回転軸または仮置き軸に丸刃、丸刃位置決め部品を移送する専用と、刃物回転軸または受取軸から保管棚に戻す専用とすれば、次回使用する刃物セットの組み立てと前回使用した刃物セットを戻す操作を並行して進めることができるため、さらに刃替え時間を短縮することができる。
前記ハンドリングロボット6と保管棚5の配置は互いのハンドリングロボットの干渉防止および保管棚との取り合いを考慮し、ハンドリングロボット2台を用いる場合は、図10に示されるように、スリッタSの両側にハンドリングロボットR1、R2をそれぞれ配置するのが好ましい。また、ハンドリングロボット4台を用いる場合は、図11に示されるように、スリッタSの両側に互いに間隔をあけてハンドリングロボットR1、R2、R3、R4をそれぞれ配置するのが好ましい。ただし、本発明は図10〜11などの配置に限定されるものではなく、ハンドリングロボットの配置を適宜変更してもかまわない。
つぎに、刃替え時間を大幅に短縮することができる、いわゆる仮の仮置き軸(あるいは棚迂回軸、または一時保管装置)について説明する。
上下刃物回転軸または上下受取軸から前回使用した刃物セットを保管棚に戻す際、丸刃および丸刃位置決め部品をすべて保管棚に戻してもよいが、次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品は保管棚に戻さずに、上下刃物回転軸または上下刃物仮置き軸の近傍に保管しておき、次回も使用した方が効率的である。このためには次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品の数量が一時保管できる程度の保管棚または受取軸や仮置き軸と同等の横軸を有する一時保管装置を上下刃物回転軸または上下刃物仮置き軸の近傍に設置すればよい。
一時保管装置は刃物回転軸または受取軸とほぼ直線状の位置に進退可能に設置すれば、一時保管装置の横軸を受取軸の軸に当接させて、プッシャーによる平行移動で次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品をロボットによらず一時保管装置に移動させることができ、一時保管装置の横軸を離せば次回使用しない丸刃、丸刃位置決め部品をハンドリングロボットで保管棚に戻すことができる。その効果は、ハンドリングロボットによる丸刃、丸刃位置決め部品などの移動回数が減少し、ハンドリングロボットの作業時間、すなわち刃組み時間が大幅に減少することである。
本発明によれば、簡単な装置構成で、短時間にスリッタースタンドの刃物軸を交換可能なスリッタースタンドの刃替装置および刃替方法を提供することができる。それにより、大幅な省力化を実現することができる。
保管庫は、丸刃等8の種類や個数が少ない場合は種別ごとに積み重ねて平面上に保管してもよいが、丸刃等の種類や個数が多い場合は床面積を小さくでき、かつ移送距離を短縮できるように複数の棚を有する保管棚であることが好ましい。保管棚は、対向面を上方に向かうにつれて間隔が広がるように傾斜面としたレールを少なくとも一対設け、丸刃等を図5に示すようにほぼ垂直に立てた状態で保管することが、省スペースおよび後述するロボットハンドによるハンドリングの点でさらに好ましい。
汎用ハンドリングロボット6は、丸刃等8を複数個把持することができるロボットハンド7と、丸刃等8を保管棚5の保管位置から上下の刃物回転軸3または後述する仮置き軸等の所定位置まで移送可能な多軸ロボットアーム6aとから構成されている。
丸刃等8は、円柱状の刃物回転軸3に装着できるようにリング形状となっており、ロボットハンドで複数個把持する場合、外側から把持する手段、内側から把持する手段および内側と外側の両方から把持する手段とがある。
丸刃51およびスペーサ53は、内径が同一であるが、外径は丸刃の方がスペーサより大きく、スペーサ53上に装着するゴムリング54は外径が丸刃より小さく、内径はスペーサ53の外形とほぼ等しくなっている。丸刃51とスペーサ53を複数組み合わせて移送する場合、外側から把持する手段または内側と外側の両方から把持する手段でも可能であるが、丸刃51とスペーサ53は外径が異なるため複数個把持するにはロボットハンドの形状が複雑になるとともに動作制御も複雑となる。丸刃51およびスペーサ53は内径が同一であるため、ロボットハンドにより内側から把持する手段が最も好ましく、後述するようにスペーサ53上にゴムリング54を装着した状態で移送することもできる。
次回せん断する材料、スリット幅で決まる丸刃の間隔および丸刃間クリアランスに基づき、上下の刃物回転軸に組み込む丸刃の個数、および位置決め部品の組合せを決定する。図1〜2において、ロボットハンド7は、保管棚5に収納された丸刃および/または丸刃位置決め部品からなる丸刃等8を、前記組合せに基づき、刃物回転軸または仮組置き軸に組み上げる順番で所定の個数を複数個組み合わせて内側から把持し、上下それぞれの刃物回転軸3または仮組置き軸に移送し、所定の刃物セット50(図3参照)を組み上げることができる。
ロボットハンド7により、前回使用した刃物セット50の丸刃等8を刃物回転軸3または後述する受取軸65から、保管棚5の保管位置に戻す場合も、丸刃等を複数組み合わせた状態で移送することができる。
図3には、刃物回転軸3に装着された刃物セット50の一例が示されている。ここの刃物セット50は、複数の丸刃51と、隣接する2枚の丸刃51のあいだを所定の間隔に保つための丸刃位置決め部品52とから構成されている。
丸刃位置決め部品52は、スペーサ53および該スペーサ53上に装着する中空円筒状の少なくとも1個のゴムリングなどの緩衝材54から構成されている。ゴムリングなどの緩衝材54の使用目的としては、▲1▼せん断側とは反対側の丸刃の角によって付けられるカッターマークの防止、▲2▼丸刃間の板が湾曲するとせん断後の板幅が若干広くなるが、この湾曲の防止、▲3▼せん断後の板が丸刃間に挟まることの防止、および▲4▼板をピンチし、板に推力を与えること、などがあげられる。たとえば、▲1▼のカッターマークの防止の目的に着目すれば、巻物状材料をせん断する時に当該材料がせん断側とは反対の丸刃の角に接触しないように、丸刃径より大きな外径の緩衝材を組み込む。
丸刃と接触して製品表面に傷が付くのを避けるために、緩衝材は、せん断後の製品が丸刃と接触しても付きにくい材料で作製されるのが好ましく、または表面の傷があまり問題とされない材料をせん断する場合は、丸刃位置決め部品52は、複数個のスペーサ53のみでもよい。また、消耗品である緩衝材料は、刃替えの都度脱着すれば傷んだ緩衝材は個別に容易に交換可能であるが、部品数が増えるため、緩衝材をスペーサの外側に一体となるように固着しておいてもよい。
ここで、次回せん断する材料、スリット幅から刃物セット(丸刃の幅と枚数、スペーサの幅と枚数、および組み込む順番、スペーサ上に装着するゴムリングの幅と枚数)を決定する方法の一例を説明する。
たとえば、あらかじめ保管棚に
▲1▼0.1mm調整用スペーサ:幅9.1〜9.9mm
▲2▼1mm調整用スペーサ:幅11〜19mm
▲3▼幅埋めスペーサ:幅10mmと50mmの2種
▲4▼ゴムリング:幅20mmと50mmの2種
をそれぞれ保管しておき、丸刃厚10mm、クリアランス0.15mm、スリット幅100mmの場合、上の丸刃の間隔を、スリット幅に外接するように、スリット幅とほぼ同じ100mmに設定する。一方、下の丸刃の間隔を、スリット幅に内側に収まるように、スリット幅100mmから前記2枚の丸刃厚およびそれぞれのクリアランスを差し引いた79.7mmに設定する必要がある。
そこで、上の丸刃の間隔(100mm)を得るために、▲3▼の50mmの幅埋めスペーサを2枚、または▲4▼の50mmのゴムリングを1枚+▲4▼の20mmのゴムリングを2枚組み合わせればよい。
一方、下の丸刃の間隔(79.7mm)を得るために、▲3▼の50mmの幅埋めスペーサを1枚+▲3▼の10mmの幅埋めスペーサを2枚+▲1▼のスペーサ(幅9.7mmのもの)1枚、または▲4▼の50mmのゴムリングを1枚+▲4▼の20mmのゴムリングを1枚組み合わせればよい。
図4は本実施の形態のロボットハンド7と保管棚5の断面の一部を示している。本発明による丸刃等8を把持する方法は、他の設備との取合いや把持強度などの点ですぐれた内径把持を採用している。
図4に示されるように、ハンドリングロボット6のアーム6aの先端部には、ロボットハンド7のベースプレート11が取り付けられ、このベースプレート11に2本の固定式フィンガー12a、12bを有する上フィンガーフレーム13が固着され、そして1本のフィンガー14を有する下フィンガーフレーム15がベースプレート11に形成された2本のレール17に沿って上下動可能に取り付けられている。さらに、下フィンガーフレーム15には、エアーシリンダー16が連結部18を介して連結されており、かかるエアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を上下に移動させることができる。
さらに、図5〜6に示されるように、本実施の形態のロボットハンド7に、3本のフィンガー12a、12b、14のほかに、スペーサを軸方向に押し出すためのスペーサプッシャー上レバー21、スペーサプッシャー下レバー22、および前述の緩衝材54としてのゴムリングを押し出すためのゴムリングプッシャー23、およびハンド移動中のゴムリング揺動を防止するゴムリング押え24が設けられている。
ゴムリング押え24は、ゴムリングを外周から挟むための一対の直棒24a、24bと、ゴムリングの外周面の一部を保持するために先端が円弧状に曲げられたアーム24cとを備えている。一対の直棒24a、24bは、一対のリンクアーム25a、25bの先端にそれぞれ固着され、ロボットハンド7に設けられた駆動源(図示せず)により、開閉運動をすることができる。また、アーム24cもロボットハンド7に設けられた駆動源(図示せず)により、上フィンガーフレーム13の前側と後側とのあいだを往復移動することができる。したがって、フィンガー12a、12bおよび14で内径把持されたスペーサ53上に装着されたゴムリングは、一対の直棒24aおよび24bによって外周からも把持されるため、移動中のゴムリングの揺動や脱落が生じることがない。
また、3本のフィンガー12a、12b、14のそれぞれの丸刃等8の内径部に当接する部分の最先端には突起14aを設け、最先端の丸刃等を強く把持し、それより内側の丸刃等はゴムなどの弾性部材14bを介して軽く把持される。
本実施の形態のロボットハンド7を備えたハンドリングロボット6を用いて、スリッター本体1に複数の丸刃等8を装着する場合、以下の手順で行なわれる。
まず、図5〜6に示されるように、前記ハンドリングロボット6のアーム6aを駆動させて、3本のフィンガー12a、12b、14を、収納棚5に垂直に立てて所定の個数および順序で配置された複数の丸刃等8の内径部に進入させる。そののち、ハンドリングロボットのアーム6aをわずかに上方へ移動させて上側のフィンガー12a、12bを丸刃等8の内径部に当接させる。ついで、エアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を、丸刃等8の半径方向の外方、すなわち下方へ移動させれば、複数の丸刃等8の内径部を3箇所でバランスよく強固に把持することができる。
ここで、さらに具体的にいえば、図4に示されるように、丸刃等8を3本のフィンガー12a、12b、14により内方から把持したとき、3本のフィンガー12a、12b、14は丸刃等8の重心に対してほぼ等距離になり、複数の丸刃等8はバランスよく把持されていることがわかる。
ついで、図1に示されるように、ハンドリングロボット6のアーム6aを移動させて、複数の丸刃等8を刃物回転軸3の先端まで搬送する。さらに刃物回転軸3の先端に装着されたガイドキャップ31に進入することにより、複数の丸刃等8はガイドキャップ31へ嵌合された状態になる。そののち、図4に示すエアーシリンダー16の駆動により、下側のフィンガー14および下フィンガーフレーム15を上方へ移動させれば、複数の丸刃等8の把持は解除され、複数の丸刃等8は上側のフィンガー12a、12bにぶら下った状態になる。つぎに、ロボットを操作してハンドを少し下降させ、丸刃等8はガイドキャップにぶら下がった状態にし、さらにハンドをガイドキャップの軸方向に移動させてフィンガー12a、12b、14を離脱させる。これで複数の丸刃等8の装着作業は完了する。
図3に示される刃物セット50を構成する複数の丸刃等は、ロボットハンドで一度に把持して1回の作業で装着を完了してもよいし、複数回に分けて装着作業を行なってもよい。
なお、丸刃等8を刃物回転軸3から取り外す場合には、前述の手順とは逆の手順で行なえばよい。
以上のように、本実施の形態のロボットハンド7は、丸刃等8を内側から把持するため、丸刃等8の外面を損傷することなく強く把持することができる。その結果、ハンドリングロボットの高速運転が可能である。
また、本発明のロボットハンド7は丸刃等を一度に複数把持できるフィンガーとなっている点に特徴がある。一度に把持できる個数はフィンガー12a、12b、14の長さにより容易に調節できる。
丸刃等8は、幅の異なる丸刃毎、幅の異なるスペーサ毎に図5に示されるように、収納棚5に複数個並べて配置しておき、刃物回転軸3に装着する丸刃等の装着スケジュールにより、必要な丸刃またはスペーサを選択して、ロボットハンド7をそれぞれの配置箇所に移動させ、前記のように次々と把持して、まとめて刃物回転軸3に装着することができる。そのため、従来のように丸刃等8を個別に刃物回転軸3に装着するのに比較して、作業効率が非常によくなる。
さらに、本実施の形態のロボットハンド7は、丸刃等8の内径部のみを把持し丸刃等8の外径部や側部を開放することができるため、スペーサの外側に装着されるゴムリングを収納棚5に厚さ毎に種類分けして複数個並べて配置しておき(図4参照)、必要なゴムリングを選択して、ロボットハンド7を配置箇所に動かし、スペーサを把持した状態のロボットハンド7をゴムリングの内径部に挿入してスペーサの外側にゴムリングを装着したのち、ゴム押え24a、24bにより外部から把持して刃物回転軸3にスペーサとゴムリングを一体化して装着することができるため、作業能率をさらに向上させることができる。
なお、本実施の形態では、ロボットハンドの例として、3本のフィンガーを備えたロボットハンドを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、丸刃等の内径部を少なくとも3ヵ所でバランスよく把持することができるものであれば、ロボットハンドのフィンガーの本数および形状を適宜変更してもよい。
また、前述の丸刃および丸刃位置決め部品からなる丸刃等8を上下の刃物回転軸3に固定するためのクランプ機構55(図7〜8参照)を上下の刃物回転軸3の反駆動側である開端部に設けておけば、一連の刃替え作業の自動化が可能になる。クランプ機構は、たとえば、ロボットハンドまたは仮置き軸などに設けられた突起を用いて、クランプ機構の軸先端の操作突起を押圧操作することにより、クランプ機構の周面に設けられた突起が内部に引っ込んで丸刃等の出入れができるような構成などを採用することができる。または、クランプ機構の周面に設けられたリング状部材を出没させるようにしてもよい。
ロボットハンドの制御方法は、従来既存の技術を用いた方法を採用することができる。たとえば、あらかじめ保管棚に1000個程度の丸刃等を保管しておく。1個の丸刃等のハンドリングには数点の動作点を認識する必要があり、ロボットは数千の点を認識する必要がある。これを1点ずつロボットを手動操作してティーチングすることは現実的に不可能である。そこで、保管ワーク1種類当り、1〜3点をティーチングし、それ以外の点については、計算により内挿または外挿して求める。この場合でもティーチング点は100点前後になるため、自動ティーチングを行なうのが好ましい。
自動ティーチングは、たとえば以下のようにして行なわれる。まず、保管棚やロボットハンドの機械図面上の寸法から必要な点をロボットに記憶させる。ロボットは、このデータを基に棚に接近する。そして、ロボットハンドに取り付けられた距離計で、図面値と実物の寸法との差分を計測し、記憶する。以後のハンドリング作業は機械図面値に計測した差分を補正し、動くべき点を求めて行なう。
以上の図1〜2に示される実施の形態では、ロボットハンド6によって保管棚5から刃物回転軸3へまたはその逆へ丸刃等8を直接移動させるシステムを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、保管棚5と刃物回転軸3とのあいだで仮置き軸を経由させて丸刃等を移動させてもよい。
図7〜8は、仮置き軸が刃替えのためスリッター側へ前進するその途中を、反駆動側の軸受け2が刃物回転軸3から外された状態を示している。また、刃物回転軸3の駆動側には丸刃等8とほぼ同一の内径を有する案内スリーブ4を装着し、刃物回転軸3の反駆動側先端の丸刃等8を自動クランプするためのクランプ機構55が設けられている。なお、42は案内スリーブ4の駆動装置である。さらに刃物回転軸3の回転駆動側端にはクランプ機構55を軸方向に往復移動させるための油圧シリンダー56が設けられている。なお、丸刃等8の反駆動側には丸刃等8と同様に軸受け57が刃物回転軸3に嵌められる。この軸受け57は、軸受け箱2に嵌合される。
また、スリッターの周囲には、図示されていないが、前記実施の形態と同様に、丸刃等8の保管棚、および汎用ハンドリングロボットが配置されている。丸刃等8のハンドリングが可能な汎用ハンドリングロボットのアームの先端には、たとえば3本の爪を有するロボットハンドが取り付けられている。
前記ロボットからの丸刃等8の受渡しは、図1に示される仮置き軸41に対して行なう。仮置き軸41は、上新刃用、下新刃用、上旧刃用および下旧刃用の計4本あるが、図7〜8では1本のみ図示されている。仮置き軸41の先端にはロボットハンドのたとえば3本の爪が進入する溝を有する受渡し部43が設けられている。4本の仮置き軸はそれぞれ、刃物回転軸3と連結するための前進、ロボット受渡し位置への後退をし、そして刃物回転軸3とのあいだで丸刃等を移動させるプッシャー7を備えている。
図9に示されるように、たとえば、上下の刃物回転軸61に前述の刃物セット50が装着されたスリッター60のための刃替装置62は、上下の受取横軸65を備えた受取装置63と、上下の仮置き横軸66を備えた仮置き装置64とから構成されている。受取軸65および仮置き軸66の直径は、上下の刃物回転軸61刃物回転軸の直径より小さくなるように設定されているため、受取軸65および仮置き軸66へ刃物セット50を移送させやすい。
刃物回転軸61に装着された古い刃物セット50は、図示されない油圧シリンダなどの脱離装置によって脱離され、受取装置63の上下の受取横軸65へそのままの状態で受け渡すことができる。また、仮置き装置64の上下の仮置き横軸66には、ハンドリングロボットなどの仮組み装置を用いて、所定の個数および順序の刃物等からなる新しい刃物セット50を上下の仮置き横軸66へ仮組みすることができる。上下の仮置き横軸66を上下の刃物回転軸61に連結したのち、仮組みされた新しい刃物セット50は、プッシャーなどの駆動手段により、刃物回転軸61へ装着させることができる。
スリッタスタンドの刃替は、ハンドリングロボット6が1台でも可能であるが、上刃物回転軸の刃替え専用と、下刃物回転軸の刃替え専用に2台のハンドリングロボットを使用し、上刃物回転軸と下刃物回転軸に対して独立に移送したり、戻した方が刃替え時間の短縮の点で好ましい。さらに、ハンドリングロボットを4台使用し、保管棚から刃物回転軸または仮置き軸に丸刃、丸刃位置決め部品を移送する専用と、刃物回転軸または受取軸から保管棚に戻す専用とすれば、次回使用する刃物セットの組み立てと前回使用した刃物セットを戻す操作を並行して進めることができるため、さらに刃替え時間を短縮することができる。
前記ハンドリングロボット6と保管棚5の配置は互いのハンドリングロボットの干渉防止および保管棚との取り合いを考慮し、ハンドリングロボット2台を用いる場合は、図10に示されるように、スリッタSの両側にハンドリングロボットR1、R2をそれぞれ配置するのが好ましい。また、ハンドリングロボット4台を用いる場合は、図11に示されるように、スリッタSの両側に互いに間隔をあけてハンドリングロボットR1、R2、R3、R4をそれぞれ配置するのが好ましい。ただし、本発明は図10〜11などの配置に限定されるものではなく、ハンドリングロボットの配置を適宜変更してもかまわない。
つぎに、刃替え時間を大幅に短縮することができる、いわゆる仮の仮置き軸(あるいは棚迂回軸、または一時保管装置)について説明する。
上下刃物回転軸または上下受取軸から前回使用した刃物セットを保管棚に戻す際、丸刃および丸刃位置決め部品をすべて保管棚に戻してもよいが、次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品は保管棚に戻さずに、上下刃物回転軸または上下刃物仮置き軸の近傍に保管しておき、次回も使用した方が効率的である。このためには次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品の数量が一時保管できる程度の保管棚または受取軸や仮置き軸と同等の横軸を有する一時保管装置を上下刃物回転軸または上下刃物仮置き軸の近傍に設置すればよい。
一時保管装置は刃物回転軸または受取軸とほぼ直線状の位置に進退可能に設置すれば、一時保管装置の横軸を受取軸の軸に当接させて、プッシャーによる平行移動で次回使用する丸刃、丸刃位置決め部品をロボットによらず一時保管装置に移動させることができ、一時保管装置の横軸を離せば次回使用しない丸刃、丸刃位置決め部品をハンドリングロボットで保管棚に戻すことができる。その効果は、ハンドリングロボットによる丸刃、丸刃位置決め部品などの移動回数が減少し、ハンドリングロボットの作業時間、すなわち刃組み時間が大幅に減少することである。
本発明によれば、簡単な装置構成で、短時間にスリッタースタンドの刃物軸を交換可能なスリッタースタンドの刃替装置および刃替方法を提供することができる。それにより、大幅な省力化を実現することができる。
本発明は、スリッタースタンドにより、広幅の巻物状材料を上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに挟み込んでせん断し複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの刃替装置および刃替方法に利用することができる。
Claims (16)
- 上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に、丸刃および該丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替装置であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸まで移送し刃物を組み込み、かつ、上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から保管庫まで前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数組み合わせて把持し移送し戻す移送装置
とからなるスリッタースタンドの刃替装置。 - 上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に、丸刃および該丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替装置であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する各種丸刃および各種丸刃位置決め部品を分別保管する保管庫と、
前記丸刃および/または丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて把持し、所定位置に移送する移送装置と、
前記丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする仮組み装置と、
前記仮組みした丸刃および丸刃位置決め部品を仮組み装置から上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に挿入する挿入装置と、
前記上刃物回転軸および/または下刃物回転軸から取り外されるべき旧刃物を取り外す脱離装置と、
取り外されるべき旧刃物を受け取る受取装置
とからなるスリッタースタンドの刃替装置。 - 前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサからなる請求の範囲第1項または第2項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記丸刃位置決め部品が、複数のスペーサおよびスペーサ上に装着される中空円筒状の1個以上の緩衝材からなる請求の範囲第1項または第2項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記緩衝材が、前記スペーサの外側に一体になるように固着されてなる請求の範囲第4項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記移送装置が、丸刃および丸刃位置決め部品を内側から複数把持可能なロボットハンドと、前記丸刃および丸刃位置決め部品を保管庫から所定位置まで移送可能な多軸ロボットアームとからなる請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項または第5項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記移送装置が、丸刃および/または位置決め部品が移送中に脱落するのを防ぐ機構を有してなる請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項または第6項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記丸刃および丸刃位置決め部品を上下刃物回転軸に固定するクランプ機構が、前記上下刃物回転軸の開端部に設けられてなる請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項または第7項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記仮組み装置が、2本以上の仮置き横軸を有するとともに、前記受取装置が2本以上の受取横軸を有し、当該仮置き装置および受取装置を該横軸がスリッタースタンドの上下刃物回転軸とほぼ軸線方向となるように設置し、スリッタースタンド方向に進退および昇降可能である請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項または第8項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記仮置き軸および受取軸の直径が、上下刃物回転軸の直径より小さい請求の範囲第9項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記上下刃物回転軸から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなる請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項、第9項または第10項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 前記受取装置から取り外される丸刃および/または丸刃位置決め部品を一時的に保管するための一時保管装置をさらに備えてなる請求の範囲第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項、第9項または第10項記載のスリッタースタンドの刃替装置。
- 上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸の刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を複数個組み合わせて保管庫に移送し戻したのち、つぎの刃物を構成する丸刃および丸刃位置決め部品を組み込む順番に複数個組み合わせて前記刃物回転軸に移送し、固定することを特徴とするスリッタースタンドの刃替方法。 - 上刃物回転軸と下刃物回転軸とのあいだに広幅の巻物状材料を挟み込んでせん断し、複数のスリット状の材料とするスリッタースタンドの上下刃物回転軸に丸刃および丸刃を位置決めする丸刃位置決め部品を組み入れる刃替方法であって、
前記上下刃物回転軸に装着して刃物を構成する丸刃および/または複数の丸刃位置決め部品を移送装置により保管庫より仮組み装置に移送する際に、丸刃および丸刃位置決め部品を仮組みする順番に複数個組み合わせて仮組み装置の仮置き横軸に移送し、刃物を仮組みしたのち、受取装置の受取横軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、刃物の固定を解除後、取り外されるべき旧刃物を前記受取横軸に移動および退避させ、つぎに前記仮置き軸を上刃物回転軸および/または下刃物回転軸に当接させ、前記仮組みした刃物を前記刃物回転軸に挿入し、固定することを特徴とするスリッタースタンドの刃替方法。 - 前記丸刃位置決め部品を構成するスペーサおよびスペーサ上に装着する中空円筒状の緩衝材を組み合わせて保管庫より仮組み装置へ移送装置によって移送する際に、必要なスペーサおよび緩衝材の組み合わせをあらかじめ設定し、一度に搬送可能な枚数のスペーサを順次保管庫内で把持したのち、さらに所定の緩衝材を装着して移送する請求の範囲第12項または第13項記載のスリッタースタンドの刃替方法。
- 前記丸刃および丸刃位置決め部品をロボットハンドにより内側から把持し移送する請求の範囲第12項、第13項または第14項記載のスリッタースタンドの刃替方法。
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