JPWO2004026318A1 - α−グリコシルセラミドを有効成分とするC型肝炎ウイルス抑制剤 - Google Patents
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Abstract
ヒトC型肝炎ウイルスに感染した患者を対象とした、α−グリコシルセラミドを有効成分として含む当該ウイルスの増殖抑制剤の提供。 式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤。
Description
本発明は、ヒトC型肝炎ウイルスに感染した患者を対象とした、α−グリコシルセラミドを有効成分として含む当該ウイルスの増殖抑制剤に関する。
近年、海綿に由来するアゲラスフィン類の誘導体の一つとして合成されたKRN7000(Tetrahedron Lett.,34:5591−5592,1993;Tetrahedron Lett.,34:5593−5596,1993;Tetrahedron,50:2771−2784,1994)が、ナチュラルキラーT(NKT)細胞に発現する不可変型T細胞受容体(TCR)のリガンドであることが判明した(Science,278:1626−1629,1997;J.Exp.Med.,188:1521−1528,1998;J.Exp.Med.188:1529−1534,1998)。KRN7000に代表されるα−グリコシルセラミド(α−GlyCer)は親水性のガラクトース、グルコースなどの糖類と脂肪酸−スフィンゴシン塩基からなる疎水性セラミドとがα配位にて結合したスフィンゴ糖脂質であり、リガントとしてNKT細胞を刺激することで強い抗腫瘍活性を示すことが報告された(Oncol.Res.,7:529−534,1995;Cancer Res.,58:1202−1207,1998)。α−GlyCerは、糖脂質抗原として樹状細胞(DC)をはじめとした抗原提示細胞(APC)に取り込まれた後、蛋白抗原のプロセスを担うことで知られるTAP(transporter associated with antigen processing)経路を介さずプロセスされた後、主要組織適合抗原(MHC)クラスIb様の非多形性分子CD1dによってAPC膜上に提示される。NKT細胞は、膜上にある不可変型TCRが、APC上のCD1dにより提示されたKRN7000を認識することで活性化される。この原理に基づいて、α−GlyCerを取り込ませたヒト単球由来DCを用いたヒトNKT細胞の効率の良い培養が可能となった(Hum.Immunol.,60:10−19,1999)。さらに、インターロイキン−7(IL−7)やIL−15は、α−GlyCerと相乗的にNKT細胞をインビトロで増殖させることが報告された(Hum.Immunol.,61:357−365,1999)。
NKT細胞は、リンパ球サブセットに属し、TCRとナチュラルキラー(NK)細胞マーカーの両方を発現するユニークな細胞である(Annu.Rev.Immunol.,15,535−562,1997;J.Exp.Med.,182,633−638,1995)。注目すべき性質の一つとしては、NKT細胞に発現しているTCRα鎖は不可変型であり、このα鎖が、ごく限られた種類のβ鎖と対を形成することにより非常に限られたTCRレパトア(不可変型TCR)を発現することがあげられる。この不可変型TCRα鎖は、ヒトではVα24、マウスではVα14であり、両種間に高い相同性を持つことが知られており、特にTCRの抗原結合部位の中央を形成すると考えられているCDR3領域では85%と非常に高いアミノ酸レベルの相同性を示す。また、TCRβ鎖は、ヒトではVβ11、マウスではVβ8、Vβ7又はVβ2である(J.Exp.Med.,180:1097,1994;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7518,1991;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:6506,1992;J.Exp.Med.,176:269,1992)。一方、NK細胞マーカーとしては、NKR−P1(CD161又はNK1.1)がNKT細胞上に発現しているが、その機能は不明な部分が多い。また、NKT細胞は、Th1型サイトカイン(TH1細胞(Th1)により産生されるサイトカイン)であるインターフェロン−γ(IFN−γ)と、Th2型サイトカイン(TH2細胞(Th2)により産生されるサイトカイン)のインターロイキン−4(IL−4)の両方を産生することができる(J.Exp.Med.,179:1285−1295,1994;J.Exp.Med.,186:109,1997;J.Immunol.,161:3271−3281,1998)ことから、Tヘルパー細胞の分化調節に深く関与すると考えられている。なぜなら、IFN−γの過剰な産生はTh1への分化を、またIL−4の過剰な産生はTh2への分化を誘導するからである。さらに、NKT細胞は、NK細胞様の殺腫瘍活性の中心的な役割を担うパーフォリンおよびグランザイムを産生することが報告されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:5690−5693,1998;Hum.Immunol.,61:357−365,1999)。
KRN7000はNKT細胞のリガンドとして作用することは知られている(Kawano T et al.,Science 278:1626,1997)。すなわち、KRN7000は樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞(APC)に取り込まれた後、抗原提示分子の一種であるCD1dによってDCの表面に提示される。NKT細胞に発現する不可変型T細胞受容体(TCR)が、DCの表面上に提示されたCD1dとKRN7000のいわゆる免疫複合体を認識することができる。免疫複合体に結合したNKT細胞は活性化され、様々な免疫反応を惹起する。
生体内には種々の糖がセラミドとβ結合しているβ−ガラクトシルセラミドやβ−グリコシルセラミド等が存在している(Svennerholm,L.et al.,Biochem.Biophys.Acta,280,626(1972);Karlsson,K.−A.et al.,Biochim.Biophys.Acta,316,317(1973))。一方、α−ガラクトシルセラミドが顕著な免疫賦活作用および抗腫瘍作用を有すること(Morita,M.et al.,J.Med.Chem.,38,2176(1995))およびα−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミドのこれらの作用は、β−ガラクトシルセラミドやβ−グリコシルセラミドの作用よりもはるかに強力であること(Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,18,1487(1995))が知られている。さらに、α−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミド等のα−グリコシルセラミド構造を有する化合物は、生体内に投与した場合に放射線防護作用(Motoki,K.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,5,2413(1995))、マウスメラノーマB16の肺転移抑制作用(Kobayashi,E.et al.,Oncology Res.,7,529(1995))、およびマウス大腸癌Colon26やマウスTリンパ腫EL−4の肝転移抑制作用(元木一宏ら日本癌学会総会記事、523(1996))を有することおよび血小板数や白血球数を増加させること(Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,19,952(1996))が知られている。
ところで、KRN7000を含むα−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミドは感染症治療薬としての可能性も示唆されている(国際公開第93/05055号パンフレット)。実際、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)のトランスジェニックマウスに投与した結果、そのマウスの肝臓におけるHBVのDNA複製が強く抑制された(J.Exp.Med.192:921−930,2000)。
しかしながら、HBV抑制効果があったとしても、それを直ちに他のウイルスに当てはめることはできない。特に効果が認められたHBVはDNAウイルスであるので、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)のようなRNAウイルスに対しても効果を有するとは予測できない。
現在、世界中で1億を越える人がC型肝炎ウイルス(HCV)により感染されていると推定されている。その多くが慢性肝臓疾患、すなわち慢性C型肝炎に進行し、さらに、肝硬変、肝細胞性癌等を発症するリスクがある。C型肝炎ウイルスは大別して6種のジェノタイプ(genotype)に分類される。日米欧において、C型肝炎患者の約70%がジェノタイプ1(更にジェノタイプ1aと1bに分類される)に感染している。インターフェロン(IFN)が慢性C型肝炎の患者について臨床的に認められた治療薬であった。しかしながら、ジェノタイプ1はインターフェロン治療に対して明らかな抵抗性を示すことが知られている。また、インターフェロンは持続応答率が低く、投与頻度が高い上に、インターフェロン治療は治療された患者の寿命の性質を低下させるような副作用(即ち、網膜症、甲状腺炎、急性膵炎、うつ病)を誘発する。特にうつ病に起因する自殺は深刻な問題となっている。このように従来は、C型肝炎の治療に用い得る良好な結果を得られるC型肝炎ウイルス抑制剤は存在せず、新たなHCV感染症の治療に有効なC型肝炎ウイルス抑制剤が望まれていた。
国際公開第93/05055号パンフレット Tetrahedron Lett.,34:5591−5592,1993 Tetrahedron Lett.,34:5593−5596,1993 Tetrahedron,50:2771−2784,1994 Science,278:1626−1629,1997 J.Exp.Med.,188:1521−1528,1998 J.Exp.Med.188:1529−1534,1998 Oncol.Res.,7:529−534,1995 Cancer Res.,58:1202−1207,1998 Hum.Immunol.,60:10−19,1999 Hum.Immunol.,61:357−365,1999 Annu.Rev.Immunol.,15,535−562,1997 J.Exp.Med.,182,633−638,1995 J.Exp.Med.,180:1097,1994 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7518,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:6506,1992 J.Exp.Med.,176:269,1992 J.Exp.Med.,179:1285−1295,1994 J.Exp.Med.,186:109,1997 J.Immunol.,161:3271−3281,1998 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:5690−5693,1998 Hum.Immunol.,61:357−365,1999 Kawano T et al.,Science 278:1626,1997 Porcelli S et al.J Exp Med 178:1−16,1993 Svennerholm,L.et al.,Biochem.Biophys.Acta,280,626(1972) Karlsson,K.−A et al.,Biochim.Biophys.Acta,316,317(1973) Morita,M.et al.,J.Med.Chem.,38,2176(1995) Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,18,1487(1995) Motoki,K.et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.,5,2413(1995) Kobayashi,E.et al.,Oncology Res.,7,529(1995) 元木一宏ら、日本癌学会総会記事、523(1996) Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,19,952(1996) Eberl G et al.,J.Immunol 162:6410−6419,1999 J.Exp.Med 192:741−753,2000 J.Exp.Med.192:921−930,2000 Toder R et al.,Chromosome Res.9:431−435,2001
NKT細胞は、リンパ球サブセットに属し、TCRとナチュラルキラー(NK)細胞マーカーの両方を発現するユニークな細胞である(Annu.Rev.Immunol.,15,535−562,1997;J.Exp.Med.,182,633−638,1995)。注目すべき性質の一つとしては、NKT細胞に発現しているTCRα鎖は不可変型であり、このα鎖が、ごく限られた種類のβ鎖と対を形成することにより非常に限られたTCRレパトア(不可変型TCR)を発現することがあげられる。この不可変型TCRα鎖は、ヒトではVα24、マウスではVα14であり、両種間に高い相同性を持つことが知られており、特にTCRの抗原結合部位の中央を形成すると考えられているCDR3領域では85%と非常に高いアミノ酸レベルの相同性を示す。また、TCRβ鎖は、ヒトではVβ11、マウスではVβ8、Vβ7又はVβ2である(J.Exp.Med.,180:1097,1994;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7518,1991;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:6506,1992;J.Exp.Med.,176:269,1992)。一方、NK細胞マーカーとしては、NKR−P1(CD161又はNK1.1)がNKT細胞上に発現しているが、その機能は不明な部分が多い。また、NKT細胞は、Th1型サイトカイン(TH1細胞(Th1)により産生されるサイトカイン)であるインターフェロン−γ(IFN−γ)と、Th2型サイトカイン(TH2細胞(Th2)により産生されるサイトカイン)のインターロイキン−4(IL−4)の両方を産生することができる(J.Exp.Med.,179:1285−1295,1994;J.Exp.Med.,186:109,1997;J.Immunol.,161:3271−3281,1998)ことから、Tヘルパー細胞の分化調節に深く関与すると考えられている。なぜなら、IFN−γの過剰な産生はTh1への分化を、またIL−4の過剰な産生はTh2への分化を誘導するからである。さらに、NKT細胞は、NK細胞様の殺腫瘍活性の中心的な役割を担うパーフォリンおよびグランザイムを産生することが報告されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:5690−5693,1998;Hum.Immunol.,61:357−365,1999)。
KRN7000はNKT細胞のリガンドとして作用することは知られている(Kawano T et al.,Science 278:1626,1997)。すなわち、KRN7000は樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞(APC)に取り込まれた後、抗原提示分子の一種であるCD1dによってDCの表面に提示される。NKT細胞に発現する不可変型T細胞受容体(TCR)が、DCの表面上に提示されたCD1dとKRN7000のいわゆる免疫複合体を認識することができる。免疫複合体に結合したNKT細胞は活性化され、様々な免疫反応を惹起する。
生体内には種々の糖がセラミドとβ結合しているβ−ガラクトシルセラミドやβ−グリコシルセラミド等が存在している(Svennerholm,L.et al.,Biochem.Biophys.Acta,280,626(1972);Karlsson,K.−A.et al.,Biochim.Biophys.Acta,316,317(1973))。一方、α−ガラクトシルセラミドが顕著な免疫賦活作用および抗腫瘍作用を有すること(Morita,M.et al.,J.Med.Chem.,38,2176(1995))およびα−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミドのこれらの作用は、β−ガラクトシルセラミドやβ−グリコシルセラミドの作用よりもはるかに強力であること(Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,18,1487(1995))が知られている。さらに、α−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミド等のα−グリコシルセラミド構造を有する化合物は、生体内に投与した場合に放射線防護作用(Motoki,K.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,5,2413(1995))、マウスメラノーマB16の肺転移抑制作用(Kobayashi,E.et al.,Oncology Res.,7,529(1995))、およびマウス大腸癌Colon26やマウスTリンパ腫EL−4の肝転移抑制作用(元木一宏ら日本癌学会総会記事、523(1996))を有することおよび血小板数や白血球数を増加させること(Motoki,K.et al.,Biol.Pharm.Bull.,19,952(1996))が知られている。
ところで、KRN7000を含むα−ガラクトシルセラミドやα−グリコシルセラミドは感染症治療薬としての可能性も示唆されている(国際公開第93/05055号パンフレット)。実際、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)のトランスジェニックマウスに投与した結果、そのマウスの肝臓におけるHBVのDNA複製が強く抑制された(J.Exp.Med.192:921−930,2000)。
しかしながら、HBV抑制効果があったとしても、それを直ちに他のウイルスに当てはめることはできない。特に効果が認められたHBVはDNAウイルスであるので、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)のようなRNAウイルスに対しても効果を有するとは予測できない。
現在、世界中で1億を越える人がC型肝炎ウイルス(HCV)により感染されていると推定されている。その多くが慢性肝臓疾患、すなわち慢性C型肝炎に進行し、さらに、肝硬変、肝細胞性癌等を発症するリスクがある。C型肝炎ウイルスは大別して6種のジェノタイプ(genotype)に分類される。日米欧において、C型肝炎患者の約70%がジェノタイプ1(更にジェノタイプ1aと1bに分類される)に感染している。インターフェロン(IFN)が慢性C型肝炎の患者について臨床的に認められた治療薬であった。しかしながら、ジェノタイプ1はインターフェロン治療に対して明らかな抵抗性を示すことが知られている。また、インターフェロンは持続応答率が低く、投与頻度が高い上に、インターフェロン治療は治療された患者の寿命の性質を低下させるような副作用(即ち、網膜症、甲状腺炎、急性膵炎、うつ病)を誘発する。特にうつ病に起因する自殺は深刻な問題となっている。このように従来は、C型肝炎の治療に用い得る良好な結果を得られるC型肝炎ウイルス抑制剤は存在せず、新たなHCV感染症の治療に有効なC型肝炎ウイルス抑制剤が望まれていた。
本発明は、α−グリコシルセラミドを含有する、C型肝炎ウイルスを抑制する薬剤の提供をその目的とする。
上述のようにKRN7000のヒトのHCV感染に対する抑制効果は疑問視されていた。しかしながら、本発明者等は、新規なHCV抑制剤が望まれる状況下、KRN7000がHCV感染に対して効果がないかどうかについて検討を行った。
一般的に、薬物の抗HCV効果を検討するための実験動物モデルは主としてHCVに感染したチンパンジーが用いられている。それはHBVと同様にHCVもマウスには感染しないことと、HBVのようなトランスジェニックマウスの作製が困難であることに起因する。
本発明者等はKRN7000を用いたHCV感染チンパンジーを用いた薬効試験の過程で、KRN7000がHCV抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のC型肝炎ウイルス抑制剤は、下記式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を有効成分として含んでなるものである:
(上記式中、
R1はHまたはOHであり、
Xは7〜27のいずれかの整数であり、
R2は下記(a)〜(e)からなる群から選択される置換基であり(ここで、Yは5〜17のいずれかの整数である)、
(a)−CH2(CH2)YCH3
(b)−CH(OH)(CH2)YCH3
(c)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)2 (d)−CH=CH(CH2)YCH3
(e)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)CH2CH3、そして R3〜R9は下記のi)〜v)のいずれかで定義される置換基である:i)R3、R6、およびR8がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R7は、OHまたは下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OH、または下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である;
ii)R3、R6およびR7がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R8はOH、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OHまたは下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である。)
以上の化合物の合成方法については、国際公開第98/44928号公報を参照することができる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 上記式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤、
(2) C型肝炎ウイルスがジェノタイプ1型である(1)のC型肝炎ウイルス抑制剤、
(3) (1)の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むC型肝炎治療剤、
(4) C型肝炎が慢性C型肝炎である、(3)のC型肝炎治療剤、
(5) C型肝炎が急性C型肝炎である、(3)のC型肝炎治療剤、
(6) (1)の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎により低下した肝機能を改善する薬剤、
(7) 式(I)の化合物中、R3、およびR6がHを表し、R4がOHまたは基(A)〜(D)のいずれかの置換基を表し、R5がOHまたは基(E)もしくは(F)の置換基を表し、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、R9がCH2OH、CH3、H、または基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、
(8) 式(I)の化合物中、Xが21〜25の整数であり、R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15である)を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、(9)式(I)の化合物中、Xが9〜13の整数であり、R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15である)を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、
(10) 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、(11)式(I)の化合物が、
(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、ならびに
(12) 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオールである、(1)〜(6)のいずれかの薬剤。
本発明の式(I)の化合物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤である。
(1)式(I)の化合物
前記式(I)の化合物中、セラミド部分のXは、好ましくは11〜25の整数である。
R2におけるYは好ましくは9〜17の整数、より好ましくは11〜15である。
式(I)のセラミド部分におけるXおよびR2の好ましい組み合わせは、Xが21〜25の整数であり、R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15である)を表す化合物、およびXが9〜13の整数であり、R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15である)を表す化合物である。
式(I)の糖部分におけるR3〜R9の好ましい組み合わせは、R3およびR6がHを表し、R4がOHまたは基(A)〜(D)のいずれかの置換基を表し、R5がOHまたは基(E)もしくは(F)の置換基を表し、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、R9がCH2OH、CH3、H、または基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す化合物である。
更に好ましい組み合わせとしては、R3およびR6がHであり、R4およびR5がOHであり、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、かつR9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す化合物、およびR3、R6およびR8がHであり、R4、R5およびR7がOHであり、かつR9がCH2OHである化合物が挙げられる。
式(I)の化合物の好ましい例としては、
Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4がOHまたは基(A)〜(D)からなる群から選択される基であり、 R5がOHまたは基(E)および(F)からなる群から選択される基であり、 R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)からなる群から選択される基である化合物、
Xが9〜13の整数であり、
R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4およびR5がOHであり、
R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がH、CH3、またはCH2OHである化合物、 Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4およびR5がOHであり、
R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)からなる群から選択される基である化合物、および
Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3、R6、およびR8がHであり、
R4、R5、およびR7がOHであり、
R9がCH2OHである化合物
が挙げられる。
本発明による薬剤剤の有効成分として好ましい化合物群としては、
(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)、
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−517)、
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−563)、
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−571)、
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−577)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−586)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−584)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(S1140B−9)、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(719−7)、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(STL−8)
が挙げられる。
これらの化合物については、NKT細胞増殖促進作用があることが確認されている(国際公開第98/44928号公報)。
本発明による薬剤の有効成分として特に好ましい化合物は、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)である。
式(I)の化合物は、薬学上許容される非毒性塩であることができる。式(I)の化合物の塩としては、酸付加塩、例えば、無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸、パントテン酸、ラウリルスルホン酸、メタンスルホン酸およびフタル酸)との塩が挙げられる。
式(I)の化合物は溶媒和物(例えば、水和物)であることができる。
式(I)の化合物は、α−グリコシルセラミドを合成するための合目的的な任意の方法により製造することができる。
まず、D−リキソースを出発物質としてセラミド部分を合成し、次いで、このセラミドに糖を導入することによって、式(I)の化合物を調製することができる。このようなα−グリコシルセラミドの一般的な合成方法については、例えば、国際公開第93/5055号公報、国際公開第94/2168号公報、国際公開第94/9020号公報、および国際公開第94/24142号公報を参照することができる。
また、式(I)の化合物は、天然物(生物等)からカラムクロマトグラフィー等によって単離、精製することもできる。
本発明の薬剤はC型肝炎ウイルスの増殖を抑制することから、C型肝炎の治療剤としても利用し得る。C型肝炎は慢性C型肝炎であっても、急性C型肝炎であっても本発明の治療剤として用いることができる。本発明の薬剤をC型肝炎ウイルスに感染した患者、C型肝炎ウイルスに感染し肝炎の症状を発症した患者に投与することにより、C型肝炎ウイルス感染症を治療することができ、またC型肝炎を治療することができる。本発明の薬剤を一定期間患者に投与することにより感染したC型肝炎を完全に消失させることが可能である。さらに、本発明の薬剤はC型肝炎ウイルス感染に起因するC型肝炎の諸症状を緩和することができる。本発明の薬剤の一定期間の投与により感染したC型肝炎ウイルスを完全に消失させることが可能であるが、完全な消失に至らない場合でも患者内でのウイルスの増殖を抑制することができ、C型肝炎ウイルスの症状を抑え肝機能を改善し、さらに肝硬変や肝癌へと進行するのを防止することができる。
式(I)の化合物またはその塩又は溶媒和物は、治療方法、投与方法、および投与目的によって決まる適当な剤型、具体的には、注射剤、懸濁剤、乳化剤、軟膏剤、クリーム剤錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤等の製剤、に処方することができる。
これらの各種製剤は、下記の薬学上許容される担体等を用いて常法により製造することができる:賦形剤、例えば、溶剤(例えば、水、生理食塩水)、増量剤および充てん剤(例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軟質無水ケイ酸、炭酸カルシウム);補助剤、例えば、可溶化剤(例えば、エタノール、ポリソルベート剤)、結合剤(例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油)、安定剤(例えば、乳糖、マンニトール、マルトース、ポリソルベート類、マクロゴール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、等張化剤、湿潤化剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、溶解補助剤;添加剤、例えば、抗酸化剤、保存剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、着色剤、および甘味剤。
また、各種製剤には、必要に応じて、グリセリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、塩基性物質(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、アルギニン、メグルミン、トリスアミノメタン)を添加することもできる。
本発明において、式(I)の化合物は、合目的な任意の投与経路、具体的には、動物の場合には、腹腔内投与、皮下投与、静脈または動脈への血管内投与、注射による局所投与などの方法が可能である。また、ヒトの場合には、静脈内投与、動脈内投与、注射による局所投与、腹腔または胸腔への投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮吸収または直腸内投与により投与することができる。静脈内投与もしくは皮下投与がもっとも好ましい。
本発明による治療剤における各有効成分は、個々の状況に応じて連続的または間欠的に投与できる。具体的な投与量は、投与方法、患者の諸条件、たとえば、年齢、体重、性別、感受性、投与時間、併用薬剤などにより変化する。一般に、式(I)の化合物の投与量は、例えば、静脈内投与では、ヒト成人に対して1日あたり0.001〜10mg程度、好ましくは、0.05〜2mg、より好ましくは、0.01〜1mg、である。式(I)の化合物は、凍結乾燥製剤にするのが好ましく、投与直前に注射用蒸留水等で溶解し、患者に投与するのが好ましい。また、投与は一定間隔、例えば数日から数ヶ月ごとに行い、一定期間投与を続けるのが好ましい。
C型肝炎ウイルス抑制効果の判定は、定期的にC型肝炎ウイルスの感染の有無および感染量をモニターすることにより行うことができる。C型肝炎ウイルス量はRT−PCR等によりC型肝炎ウイルスRNA量を測定することによりモニターできる。さらに、C型肝炎ウイルスの減少または消失により肝炎が治癒し、感染中に低下していた肝機能も改善される。肝機能の改善は、血清中のALT、AST、LDHを測定することによりモニターできる。
さらに、本発明はC型肝炎ウイルスに感染した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎ウイルス抑制法であり、C型肝炎に罹患した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎の治療法であり、またC型肝炎ウイルスに感染し肝機能が低下した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎ウイルス感染により低下した肝機能の改善方法である。さらに、本発明は、式(I)の化合物のC型肝炎ウイルス抑制剤、C型肝炎治療剤およびC型肝炎ウイルス感染により低下した肝機能の改善用薬剤の製造への使用である。さらには、式(I)の化合物をインターフェロンや他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン(ribavirin,RBV)等との併用で用いることも本発明に含まれる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2002−275466号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
上述のようにKRN7000のヒトのHCV感染に対する抑制効果は疑問視されていた。しかしながら、本発明者等は、新規なHCV抑制剤が望まれる状況下、KRN7000がHCV感染に対して効果がないかどうかについて検討を行った。
一般的に、薬物の抗HCV効果を検討するための実験動物モデルは主としてHCVに感染したチンパンジーが用いられている。それはHBVと同様にHCVもマウスには感染しないことと、HBVのようなトランスジェニックマウスの作製が困難であることに起因する。
本発明者等はKRN7000を用いたHCV感染チンパンジーを用いた薬効試験の過程で、KRN7000がHCV抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のC型肝炎ウイルス抑制剤は、下記式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を有効成分として含んでなるものである:
(上記式中、
R1はHまたはOHであり、
Xは7〜27のいずれかの整数であり、
R2は下記(a)〜(e)からなる群から選択される置換基であり(ここで、Yは5〜17のいずれかの整数である)、
(a)−CH2(CH2)YCH3
(b)−CH(OH)(CH2)YCH3
(c)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)2 (d)−CH=CH(CH2)YCH3
(e)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)CH2CH3、そして R3〜R9は下記のi)〜v)のいずれかで定義される置換基である:i)R3、R6、およびR8がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R7は、OHまたは下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OH、または下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である;
ii)R3、R6およびR7がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R8はOH、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OHまたは下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である。)
以上の化合物の合成方法については、国際公開第98/44928号公報を参照することができる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 上記式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤、
(2) C型肝炎ウイルスがジェノタイプ1型である(1)のC型肝炎ウイルス抑制剤、
(3) (1)の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むC型肝炎治療剤、
(4) C型肝炎が慢性C型肝炎である、(3)のC型肝炎治療剤、
(5) C型肝炎が急性C型肝炎である、(3)のC型肝炎治療剤、
(6) (1)の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎により低下した肝機能を改善する薬剤、
(7) 式(I)の化合物中、R3、およびR6がHを表し、R4がOHまたは基(A)〜(D)のいずれかの置換基を表し、R5がOHまたは基(E)もしくは(F)の置換基を表し、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、R9がCH2OH、CH3、H、または基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、
(8) 式(I)の化合物中、Xが21〜25の整数であり、R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15である)を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、(9)式(I)の化合物中、Xが9〜13の整数であり、R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15である)を表す、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、
(10) 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、(11)式(I)の化合物が、
(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、(1)〜(6)のいずれかの薬剤、ならびに
(12) 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオールである、(1)〜(6)のいずれかの薬剤。
本発明の式(I)の化合物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤である。
(1)式(I)の化合物
前記式(I)の化合物中、セラミド部分のXは、好ましくは11〜25の整数である。
R2におけるYは好ましくは9〜17の整数、より好ましくは11〜15である。
式(I)のセラミド部分におけるXおよびR2の好ましい組み合わせは、Xが21〜25の整数であり、R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15である)を表す化合物、およびXが9〜13の整数であり、R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15である)を表す化合物である。
式(I)の糖部分におけるR3〜R9の好ましい組み合わせは、R3およびR6がHを表し、R4がOHまたは基(A)〜(D)のいずれかの置換基を表し、R5がOHまたは基(E)もしくは(F)の置換基を表し、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、R9がCH2OH、CH3、H、または基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す化合物である。
更に好ましい組み合わせとしては、R3およびR6がHであり、R4およびR5がOHであり、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、かつR9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す化合物、およびR3、R6およびR8がHであり、R4、R5およびR7がOHであり、かつR9がCH2OHである化合物が挙げられる。
式(I)の化合物の好ましい例としては、
Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4がOHまたは基(A)〜(D)からなる群から選択される基であり、 R5がOHまたは基(E)および(F)からなる群から選択される基であり、 R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)からなる群から選択される基である化合物、
Xが9〜13の整数であり、
R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4およびR5がOHであり、
R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がH、CH3、またはCH2OHである化合物、 Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3およびR6がHであり、
R4およびR5がOHであり、
R7およびR8がそれぞれHまたはOHであり(但し、両方が同一の基を表すことはない)、
R9がCH2OHまたは基(A’)〜(D’)からなる群から選択される基である化合物、および
Xが21〜25の整数であり、
R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15の整数である)であり、 R3、R6、およびR8がHであり、
R4、R5、およびR7がOHであり、
R9がCH2OHである化合物
が挙げられる。
本発明による薬剤剤の有効成分として好ましい化合物群としては、
(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)、
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−517)、
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−563)、
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−571)、
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−577)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−586)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−584)、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(S1140B−9)、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(719−7)、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(STL−8)
が挙げられる。
これらの化合物については、NKT細胞増殖促進作用があることが確認されている(国際公開第98/44928号公報)。
本発明による薬剤の有効成分として特に好ましい化合物は、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)である。
式(I)の化合物は、薬学上許容される非毒性塩であることができる。式(I)の化合物の塩としては、酸付加塩、例えば、無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸、パントテン酸、ラウリルスルホン酸、メタンスルホン酸およびフタル酸)との塩が挙げられる。
式(I)の化合物は溶媒和物(例えば、水和物)であることができる。
式(I)の化合物は、α−グリコシルセラミドを合成するための合目的的な任意の方法により製造することができる。
まず、D−リキソースを出発物質としてセラミド部分を合成し、次いで、このセラミドに糖を導入することによって、式(I)の化合物を調製することができる。このようなα−グリコシルセラミドの一般的な合成方法については、例えば、国際公開第93/5055号公報、国際公開第94/2168号公報、国際公開第94/9020号公報、および国際公開第94/24142号公報を参照することができる。
また、式(I)の化合物は、天然物(生物等)からカラムクロマトグラフィー等によって単離、精製することもできる。
本発明の薬剤はC型肝炎ウイルスの増殖を抑制することから、C型肝炎の治療剤としても利用し得る。C型肝炎は慢性C型肝炎であっても、急性C型肝炎であっても本発明の治療剤として用いることができる。本発明の薬剤をC型肝炎ウイルスに感染した患者、C型肝炎ウイルスに感染し肝炎の症状を発症した患者に投与することにより、C型肝炎ウイルス感染症を治療することができ、またC型肝炎を治療することができる。本発明の薬剤を一定期間患者に投与することにより感染したC型肝炎を完全に消失させることが可能である。さらに、本発明の薬剤はC型肝炎ウイルス感染に起因するC型肝炎の諸症状を緩和することができる。本発明の薬剤の一定期間の投与により感染したC型肝炎ウイルスを完全に消失させることが可能であるが、完全な消失に至らない場合でも患者内でのウイルスの増殖を抑制することができ、C型肝炎ウイルスの症状を抑え肝機能を改善し、さらに肝硬変や肝癌へと進行するのを防止することができる。
式(I)の化合物またはその塩又は溶媒和物は、治療方法、投与方法、および投与目的によって決まる適当な剤型、具体的には、注射剤、懸濁剤、乳化剤、軟膏剤、クリーム剤錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤等の製剤、に処方することができる。
これらの各種製剤は、下記の薬学上許容される担体等を用いて常法により製造することができる:賦形剤、例えば、溶剤(例えば、水、生理食塩水)、増量剤および充てん剤(例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軟質無水ケイ酸、炭酸カルシウム);補助剤、例えば、可溶化剤(例えば、エタノール、ポリソルベート剤)、結合剤(例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油)、安定剤(例えば、乳糖、マンニトール、マルトース、ポリソルベート類、マクロゴール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、等張化剤、湿潤化剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、溶解補助剤;添加剤、例えば、抗酸化剤、保存剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、着色剤、および甘味剤。
また、各種製剤には、必要に応じて、グリセリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、塩基性物質(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、アルギニン、メグルミン、トリスアミノメタン)を添加することもできる。
本発明において、式(I)の化合物は、合目的な任意の投与経路、具体的には、動物の場合には、腹腔内投与、皮下投与、静脈または動脈への血管内投与、注射による局所投与などの方法が可能である。また、ヒトの場合には、静脈内投与、動脈内投与、注射による局所投与、腹腔または胸腔への投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮吸収または直腸内投与により投与することができる。静脈内投与もしくは皮下投与がもっとも好ましい。
本発明による治療剤における各有効成分は、個々の状況に応じて連続的または間欠的に投与できる。具体的な投与量は、投与方法、患者の諸条件、たとえば、年齢、体重、性別、感受性、投与時間、併用薬剤などにより変化する。一般に、式(I)の化合物の投与量は、例えば、静脈内投与では、ヒト成人に対して1日あたり0.001〜10mg程度、好ましくは、0.05〜2mg、より好ましくは、0.01〜1mg、である。式(I)の化合物は、凍結乾燥製剤にするのが好ましく、投与直前に注射用蒸留水等で溶解し、患者に投与するのが好ましい。また、投与は一定間隔、例えば数日から数ヶ月ごとに行い、一定期間投与を続けるのが好ましい。
C型肝炎ウイルス抑制効果の判定は、定期的にC型肝炎ウイルスの感染の有無および感染量をモニターすることにより行うことができる。C型肝炎ウイルス量はRT−PCR等によりC型肝炎ウイルスRNA量を測定することによりモニターできる。さらに、C型肝炎ウイルスの減少または消失により肝炎が治癒し、感染中に低下していた肝機能も改善される。肝機能の改善は、血清中のALT、AST、LDHを測定することによりモニターできる。
さらに、本発明はC型肝炎ウイルスに感染した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎ウイルス抑制法であり、C型肝炎に罹患した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎の治療法であり、またC型肝炎ウイルスに感染し肝機能が低下した患者に本発明の薬剤を投与することを含むC型肝炎ウイルス感染により低下した肝機能の改善方法である。さらに、本発明は、式(I)の化合物のC型肝炎ウイルス抑制剤、C型肝炎治療剤およびC型肝炎ウイルス感染により低下した肝機能の改善用薬剤の製造への使用である。さらには、式(I)の化合物をインターフェロンや他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン(ribavirin,RBV)等との併用で用いることも本発明に含まれる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2002−275466号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭の血液中の総白血球数、好中球数およびリンパ球数の経時的変化を示す図である。
図2Aは、KR7000投与前のC型肝炎ウイルス感染チンパンジーのFACSによるNKT細胞測定の結果を示す図である。
図2Bは、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭のT細胞数に対するNKT細胞数の百分比の経時的変化を示した図である。
図3は、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭の血清中のALT、ASTおよびLDHの経時的変化を示した図である。
図4は、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭のC型肝炎ウイルスの増減を示した図である。
図5は、本発明で使用するα−グリコシルセラミド化合物の代表例(KRN7000)の合成反応経路の概略を示す図である。
図6は、図5に続く合成反応経路の概略を示す図である。
図7は、実施例1〜3の化合物の化学式を示す図である。
図2Aは、KR7000投与前のC型肝炎ウイルス感染チンパンジーのFACSによるNKT細胞測定の結果を示す図である。
図2Bは、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭のT細胞数に対するNKT細胞数の百分比の経時的変化を示した図である。
図3は、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭の血清中のALT、ASTおよびLDHの経時的変化を示した図である。
図4は、KR7000を投与したC型肝炎ウイルス感染チンパンジー2頭のC型肝炎ウイルスの増減を示した図である。
図5は、本発明で使用するα−グリコシルセラミド化合物の代表例(KRN7000)の合成反応経路の概略を示す図である。
図6は、図5に続く合成反応経路の概略を示す図である。
図7は、実施例1〜3の化合物の化学式を示す図である。
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物の合成および単離・精製
〔実施例1〕 (2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)の合成
合成工程は、図5および6に示される通りである。図5の反応経路中、pyrはピリジン、BrPPh3(CH2)12CH3はトリデカントリフェニルホスホニウムブロミド、n−BuLiはn−ブチルリチウム、MsClは塩化メタンスルホニル、BnBrは臭化ベンジル、1−PrOHはプロピルアルコールを表し、図6の反応経路中、WSC−HClは1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩、MS4Aはモレキュラーシーブス4A、Hex4NBrはテトラヘキシルアンモニウムブロミドを表す。
(1)化合物G1の合成
D−リキソース(200g、1.33mol)に塩化カルシウムで乾燥したアセトン溶液(3.0L)に硫酸(0.5mL)を加え、18時間室温で攪拌した。モレキュラーシーブス4Aの粉末(100g)を加え、反応液を中和後、セライト濾過し、残渣をアセトンで洗浄した。濾液と洗液をあわせて減圧濃縮し、G1の粗生成物を得た。収量240g(95%)。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。分析用のサンプルは、ヘキサン:アセトン(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
mp76−78℃;FDMS m/z 191(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ5.45(1H,d,J=1.8Hz),4.83(1H,dd,J=3.7,5.5Hz),4.64(1H,d,J=6.1Hz),4.27−4.30(1H,m),3.90−3.99(2H,m),1.48(3H,s),1.32(3H,s)。
(2)化合物G2の合成
化合物G1(239g、約1.26mmol)の塩化メチレン溶液(168ml)に、ピリジン(10ml)、塩化トリチル(39.0g)を加え、32℃で4時間攪拌した。エタノール(8ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、減圧濃縮した。残渣は酢酸エチルに溶解し、0℃に冷却して結晶化した。収量501g(D−リキソースより87%)。
mp174−176℃;FDMS m/z 432M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.49(15H,m),5.38(1H,d,J=2.4Hz),4.75(1H,dd,J=3.7,6.1Hz),4.59(1H,d,J=6.1Hz),4.31−4.35(1H,m),3.43(1H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.39(1H,dd,J=6.7,9.8Hz),1.29(3H,s),1.28(3H,s)。
(3)化合物G3の合成
トリデカントリフェニルホスホニウムブロミド(962g、1.16mol;1−ブロモトリデカン、トリフェニルホスフィンを4.5時間、140℃に加熱して調製した)のTHF溶液(1500ml)に、アルゴン雰囲気下、n−ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液(462mL;366mmol)を0℃で滴下した。滴下終了後、15分間攪拌し、化合物G2(250g、579mmol)のTHF溶液(450ml)を滴下した。室温まで、徐々に温度を上げつつ18時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣にヘキサン:メタノール:水(10:7:3、1000ml)の混液を加え、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層はヘキサン(500ml)で抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G3の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量339g(98%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
FDMS m/z 598M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.45(15H,m),5.48−5.59(2H,m),4.91(0.7H,t,J=7.3Hz),4.44(0.3H,t,J=7.3Hz),4.26(0.3H,dd,J=4.3,7.3Hz),4.21(0.7H,dd,J=4.3,6.7Hz),3.75(0.7H,m),3.69(0.3H,m),3.24(0.3H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.17(0.7H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.09−3.14[1H,(3.11,dd,J=4.9,9.2Hz),H1bEoverlapped],1.75−2.03(2H,m),1.49(3H,s),1.39and1.38(3H,each s),1.21−1.34(20H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(4)化合物G4の合成
化合物G3(338g、約565mmol)の塩化メチレン溶液(1500ml)にピリジン(500ml)を加え、塩化メタンスルホニル(49ml、633mmol)を滴下し、31℃で24時間攪拌した。エタノール(40ml)を滴下し、室温で1時間攪拌した。減圧濃縮後、残渣にヘキサン:メタノール:水(10:7:3、1000ml)の混液を加え、分液した。水層はヘキサン(200ml)で3回抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G4の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量363g(95%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
FDMS m/z 676M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.47(15H,m),5.41(0.7H,ddd,J=5.5,9.2,11.0Hz),5.32(0.7H,bt,J=11.0Hz),5.22(0.3H,bdd,J=9.2,15.0Hz),5.02(0.3H,dt,Jt=7.3Hz,Jd=15.0Hz),4.8(0.7H,ddd,J=3.1,5.5,7.9Hz),4.73(0.7H,dd,J=5.5,9.8Hz),4.64−4.67(0.3H,m),4.61(0.3H,dd,J=5.5,9.2Hz),4.48(0.7H,dd,J=5.5,7.9Hz),4.22(0.3H,dd,J=5.5,9.2Hz),3.55(0.3H,dd,J=2.4,11.6Hz),3.45(0.7H,dd,J=3.2,11.0Hz),3.06−3.12[4H,(3.12,s),(3.11,s),(3.09,dd,J=3.1,11.0Hz)],1.66−1.82(2H,m),1.47and1.46(3H,each s),1.39(3H,s),1.13−1.35(20H,m),0.88(3H,t,J=6.8Hz)。
(5)化合物G5の合成
化合物G4(362g、約536mmol)の塩化メチレン溶液(1500ml)にメタノール(350ml)を加え、これに濃塩酸(200ml)を滴下し、5h室温で攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウムを加えて中和後、濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加え、食塩水で洗浄した。水層は酢酸エチルで抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。ヘキサンより結晶化した。収量161g(G2より70%)。
mp66−67℃;FDMS m/z 377(M−H2O)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3+D2O)δ5.86(0.3H,dt,Jt=7.3Hz,Jd=14.7Hz),5.77(0.7H,dt,Jt=7.3,Jd=10.4Hz),5.55(0.3H,br.dd,J=7.3,14.7Hz),5.49(0.7H,bt,J=9.8Hz),4.91−4.97(1H,m),4.51(0.7H,bt,J=9.8Hz),4.11(0.3H,bt,J=7.3Hz),3.94−4.03(2H,m),3.67−3.73[1H,(3.70,dd,J=3.1,6.7Hz),(3.69,dd,J=3.1,7.3Hz)],3.20and3.19(3H,eachs),2.05−2.22(2H,m),1.22−1.43(20H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(6)化合物G6の合成
化合物G5(160g、405mmol)のTHF溶液(780ml)に5%パラジウム−硫酸バリウム(16g)を加え、反応容器を水素ガスで置換後、室温にて20時間攪拌した。反応液をセライト濾過後、クロロホルム:メタノールの混液(1:1)で洗浄した。濾液と洗液をあわせ、減圧濃縮した。残渣は酢酸エチルより結晶化した。収量146g(91%)。
[α]23 D+12°(c1,CHCl3/MeOH=1:1);mp124−126℃;FDMS m/z 397(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3/CD3OD=1:1)α4.93−4.96(1H,m,H2),3.91(1H,dd,J=6.7,12.2Hz),3.85(1H,dd,J=4.9,12.2Hz),3.54−3.60(1H,m),3.50(1H,dd,J=1.8,8.5Hz),3.19(3H,s),1.75−1.83(1H,m),1.53−1.62(1H,m),1.21−1.45(24H,m),0.89(3H,t,J=6.7Hz)。
(7)化合物G7の合成
化合物G6(145g、365mmol)のDMF溶液(1000ml)にアジ化ナトリウム(47g、730mmol)を加え、95℃で4時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチル(450ml)を加え、水洗した。水層は酢酸エチルで再抽出した。すべての有機層をあわせて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、G7の粗生成物を得た。収量122g(97%)。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量126g(95%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]23 D+16.5°(c0.5,CHCl3−MeOH,1:1);mp92−93℃;FDMS m/z 344(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CD3OD)δ3.91(1H,dd,J=3.7,11.6Hz),3.75(1H,dd,J=7.9,11.6Hz),3.49−3.61(3H,m),1.50−1.71(2H,m),1.22−1.46(24H,m),0.90(3H,t,J=6.7Hz)。
(8)化合物G8の合成
化合物G7(121g、約352mmol)の塩化メチレン溶液(750ml)にピリジン(250ml)、塩化トリチル(124g、445mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。エタノール(30ml)を滴下し、室温で30分間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣は、ヘキサン:酢酸エチル(10:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量34.4g(G6より52%)。
[α]24 D+11.9°(c0.9,CHCl3),FDMS m/z 585M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3+D2O)δ7.24−7.61(15H,m),3.62−3.66(2H,m),3.51−3.57(2H,m),3.42(1H,dd,J=6.0,10.4Hz),1.23−1.56(26H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(9)化合物G9の合成
化合物G8(33.5g、57.3mmol)のDMF溶液(300ml)に60%水素化ナトリウム(5.5g、NaHとして約138mmol)を加え、室温で40分間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、臭化ベンジル(15ml、120mmol)を滴下した。室温まで徐々に温度をあげながら18時間攪拌した。反応液に氷水(100ml)を加えて、反応を停止した後、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出液は食塩水で3回洗浄し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G9の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量42.2g(96%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(100:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]24 D+9.8°(c1.0,CHCl3),FDMS m/z 738(M−N2)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.07−7.48(25H,m),4.57(1H,d,J=11.6Hz),4.44(1H,d,J=11.6Hz),4.41(2H,s),3.73−3.79(1H,m),3.46−3.56(2H,m),3.37(1H,dd,J=8.6,10.4Hz),1.20−1.64(26H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(10)化合物G10およびG11の合成
化合物G9(41.2g、約54mmol)の1−プロパノール溶液(250ml)にメタノール(30ml)を加え、更に5%パラジウム炭素(4.1g)、蟻酸アンモニウム(27.1g、4.3mol)を加えた。室温で16時間攪拌後、酢酸エチルで希釈し、セライト濾過した。濾液を減圧濃縮し、酢酸エチルで溶解後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で3回洗浄し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G10の粗生成物を得た。収量38.9g(98%)。得られたG10は、これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。
化合物G10の塩化メチレン溶液(300ml)に、ヘキサコサン酸(22.4g、56.5mmol)、WSC塩酸塩(12.6g、64.6mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(500ml)を加え、0.5M塩酸水溶液、食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、更に食塩水で洗浄した。すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G11の粗生成物を得た。収量53.2g(88%)。得られたG11は、これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(100:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]24 D+5.3°(c0.4,CHCl3);FDMS m/z 1118M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.20−7.38(25H,m),5.57(1H,d,J=9.1Hz),4.80(1H,d,J=11.6Hz),4.48−4.50(3H,m),4.24−4.32(1H,m),3.83(1H,dd,J=3.0,6.7Hz),3.43−3.51(2H,m,H1a),3.29(1H,dd,J=4.3,9.8Hz),1.92(2H,t,J=7.3Hz),1.28−1.60(72H,m),0.88(6H,t,J=6.7Hz)。
(11)化合物G12の合成
化合物G11(52.2g、約47mmol)の塩化メチレン溶液(180ml)にメタノール(36ml)を加え、次いで10%塩酸メタノール溶液(3.0ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液は粉状の炭酸水素ナトリウム(18g)で中和し、セライト濾過した。残渣は塩化メチレンで洗浄した。濾液と洗液をあわせ、食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をアセトンに加熱溶解し、0℃に冷却して沈殿化により精製した。収量38.6g(G9より77%)。
[α]24 D−29.7°(c0.7,CHCl3):mp75−76.5℃;FDMS m/z 876M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.30−7.47(10H,m),6.03(1H,d,J=7.9Hz),4.72(1H,d,J=11.6Hz),4.66(1H,d,J=11.6Hz),4.61(1H,d,J=11.6Hz),4.45(1H,d,J=11.6Hz),4.12−4.17(1H,m),4.00(1H,dt,Jt=4.3,Jd=7.3Hz),3.67−3.72(2H,m),3.61(1H,ddd,J=4.3,8.6,11.6Hz),1.94−2.05(2H,m),1.15−1.69(72H,m),0.88(6H,t,J=6.1Hz)。
(12)化合物G13の合成
1) 2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノシルアセテート(79.8g)をトルエン(160ml)およびイソプロピルエーテル(520ml)の混液に溶解し、−10〜0℃に冷却した。これに、2.0等量のHBrを含むイソプロピルエーテル溶液を加えた(2.8mmol/ml、約100ml)。−10〜0℃で約90分間攪拌後、反応液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、攪拌して過剰のHBrを中和した。全量を分液ロートに移して分液後、水層を廃棄し、10%塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。減圧濃縮して2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルブロミド(Ga1Br)のシロップを得た。
2) 化合物G12(60.0g、68.6mmol)、テトラヘキシルアンモニウムブロミド(89.4g、206mmol)、モレキュラーシーブス4A(60g)のトルエン溶液(420ml)に、DMF(140ml)次いで、Ga1Br(約137mmol)のトルエン溶液(250ml)を加え、室温で72時間攪拌した。反応液にメタノール(12ml)を加え、2時間攪拌した。セライト濾過後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にアセトニトリルを加え、2時間攪拌し、沈殿を得た。得られた沈殿を減圧乾燥し、乾燥粉体を得た。これをヘキサン:酢酸エチル(8:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量70.9g(74%)。
[α]24 D+18.8°(c0.9,CHCl3);mp74−75℃;FDMS m/z 1399(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.37(30H,m),6.12(1H,d,J=9.0Hz),4.91(1H,d,J=11.6Hz),4.84(1H,d,J=3.7Hz),4.72−4.80(4H,m),4.35−4.65(7H,m),4.12−4.18(1H,m),3.99−4.05(2H,m),3.84−3.93(4H,m),3.73(1H,dd,J=3.7,11.0Hz),3.47−3.51(2H,m),3.42(1H,dd,J=6.1,9.1Hz),1.87−1.99(2H,m),1.18−1.70(72H,m),0.88(6H,t,J=7.4Hz)。
(13)化合物KRN7000の合成
化合物G13(60.0g、42.9mmol)をエタノール(960ml)に加えて懸濁させ、これに20%水酸化パラジウム(6.0g)のエタノール懸濁液を加えた。更に水素源となる4−メチルシクロヘキセン(120ml、93.5mmol)を加え、4時間加熱還流した後、濾過し、触媒を除いた。残渣は加温したエタノールで洗浄した。濾液を室温放置することによって得た白色沈殿を濾過、減圧乾燥した。得られた粉体をエタノール:水(92:8、3.5L)に懸濁し、攪拌しながら加熱溶解後、室温放置することによって再度沈殿化した。沈殿液を濾過し、濾取したケーキを減圧乾燥し、白色粉末を得た。収量35.0g(95%)。
[α]23 D+43.6°(c1.0,pyridine);mp189.5−190.5℃;negativeFABMS m/z 857(M−H)−;IR(cm−1,KBr)3300,2930,2850,1640,1540,1470,1070;1H−NMR(500MHz,C5D5N)δ8.47(1H,d,J=8.5Hz),5.58(1H,d,J=3.7Hz),5.27(1H,m),4.63−4.70(2H,m),4.56(1H,m),4.52(1H,t,J=6.1Hz),4.37−4.47(4H,m),4.33(2H,m),2.45(2H,t,J=7.3Hz),2.25−2.34(1H,m),1.87−1.97(2H,m),1.78−1.85(2H,m),1.62−1.72(1H,m),1.26−1.45(66H,m),0.88(6H,t,J=6.7Hz),13C−NMR(125MHz,C5D5N)δ173.2(s),101.5(d),76.7(d),73.0(d),72.5(d),71.6(d),71.0(d),70.3(d),68.7(t),62.7(t),51.4(d),36.8(t),34.4(t),32.1(t),30.4(t),30.2(t),30.03(t),30.00(t),29.93(t),29.87(t),29.81(t),29.76(t),29.6(t),26.5(t),26.4(t),22.9(t),14.3(q)。
〔実施例2〕 O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(S1140B−9)の単離および精製
沖縄県久米島近海の海底水深15〜25mで採取された海綿を、凍結乾燥した粉末447.1gをクロロホルムとメタノールの混液で抽出し、抽出液を減圧下濃縮して51.28gのエキスを得た。これを酢酸エチルと水で分配後、上層と中間層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮してそれぞれ18.37gと9.44gのフラクションを得た。上層より得たフラクションを10%水性メタノールとn−ヘキサンとで分配したアルコール層と、中間層より得たフラクションを合わせて濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに繰り返して順相TLC上単一の活性成分を169.9mg得た。さらにODS−AMカラム(YMC製、250mm×20mm径、メタノール、9.0ml/min)を用いた逆相HPLCで精製し(保持時間:30.3分)、純粋な表題化合物(S1140B−9)を10.2mg得た。なお、表題化合物は、F.Cafieri et al.,Liebigs Ann.Chem.1995,1477−1481を参照し、単離、精製することもできる。
negative FABMS m/z 1007[(M−H)−];IR;1H NMR(500MHz,C5D5N,24℃)δ(ppm)8.55(1H,d,J=9.2Hz,NH),5.60(1H,d,J=3.7Hz,H1´´),5.57(1H,d,J=3.7Hz,H1´´´),5.13(1H,m,H2),4.75(1H,dd,J=3.7,10.4Hz,H2´´),4.62(2H,m),4.54(4H,m),4.25−4.47(10H,m),2.17(2H,m),1.99(1H,m),1.87(2H,m),1.75(1H,m),1.65(2H,m),1.12−1.49(60H,m),0.85(6H,m,terminal methyl);13C NMR(125MHz,C5D5N,45℃)δ(ppm)175.5(s,C1’),99.5(d,C1´´´),98.6(d,C1´´),76.7(d,C2´´),76.0(d,C3),72.8(d,C4),72.6(d,C5´´),72.6(d,C4´´),72.5(d,C2),71.3(d,C3´´´),71.0(d),70.8(d),70.5(d,C2´´´),69.7(d,C3´´),68.6(t,C1),62.7(t),62.5(t),51.2(t,C2),39.4(t),35.6(t),33.7(t),32.2(t),30.5(t),30.3(t),30.1(t),30.0(t),29.7(t),29.6(t),26.7(t),26.0(t),23.0(t),22.9(t),14.3(q,terminal methyl)
化合物の合成および単離・精製
〔実施例1〕 (2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール(KRN7000)の合成
合成工程は、図5および6に示される通りである。図5の反応経路中、pyrはピリジン、BrPPh3(CH2)12CH3はトリデカントリフェニルホスホニウムブロミド、n−BuLiはn−ブチルリチウム、MsClは塩化メタンスルホニル、BnBrは臭化ベンジル、1−PrOHはプロピルアルコールを表し、図6の反応経路中、WSC−HClは1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩、MS4Aはモレキュラーシーブス4A、Hex4NBrはテトラヘキシルアンモニウムブロミドを表す。
(1)化合物G1の合成
D−リキソース(200g、1.33mol)に塩化カルシウムで乾燥したアセトン溶液(3.0L)に硫酸(0.5mL)を加え、18時間室温で攪拌した。モレキュラーシーブス4Aの粉末(100g)を加え、反応液を中和後、セライト濾過し、残渣をアセトンで洗浄した。濾液と洗液をあわせて減圧濃縮し、G1の粗生成物を得た。収量240g(95%)。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。分析用のサンプルは、ヘキサン:アセトン(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
mp76−78℃;FDMS m/z 191(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ5.45(1H,d,J=1.8Hz),4.83(1H,dd,J=3.7,5.5Hz),4.64(1H,d,J=6.1Hz),4.27−4.30(1H,m),3.90−3.99(2H,m),1.48(3H,s),1.32(3H,s)。
(2)化合物G2の合成
化合物G1(239g、約1.26mmol)の塩化メチレン溶液(168ml)に、ピリジン(10ml)、塩化トリチル(39.0g)を加え、32℃で4時間攪拌した。エタノール(8ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、減圧濃縮した。残渣は酢酸エチルに溶解し、0℃に冷却して結晶化した。収量501g(D−リキソースより87%)。
mp174−176℃;FDMS m/z 432M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.49(15H,m),5.38(1H,d,J=2.4Hz),4.75(1H,dd,J=3.7,6.1Hz),4.59(1H,d,J=6.1Hz),4.31−4.35(1H,m),3.43(1H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.39(1H,dd,J=6.7,9.8Hz),1.29(3H,s),1.28(3H,s)。
(3)化合物G3の合成
トリデカントリフェニルホスホニウムブロミド(962g、1.16mol;1−ブロモトリデカン、トリフェニルホスフィンを4.5時間、140℃に加熱して調製した)のTHF溶液(1500ml)に、アルゴン雰囲気下、n−ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液(462mL;366mmol)を0℃で滴下した。滴下終了後、15分間攪拌し、化合物G2(250g、579mmol)のTHF溶液(450ml)を滴下した。室温まで、徐々に温度を上げつつ18時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣にヘキサン:メタノール:水(10:7:3、1000ml)の混液を加え、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層はヘキサン(500ml)で抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G3の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量339g(98%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
FDMS m/z 598M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.45(15H,m),5.48−5.59(2H,m),4.91(0.7H,t,J=7.3Hz),4.44(0.3H,t,J=7.3Hz),4.26(0.3H,dd,J=4.3,7.3Hz),4.21(0.7H,dd,J=4.3,6.7Hz),3.75(0.7H,m),3.69(0.3H,m),3.24(0.3H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.17(0.7H,dd,J=4.9,9.8Hz),3.09−3.14[1H,(3.11,dd,J=4.9,9.2Hz),H1bEoverlapped],1.75−2.03(2H,m),1.49(3H,s),1.39and1.38(3H,each s),1.21−1.34(20H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(4)化合物G4の合成
化合物G3(338g、約565mmol)の塩化メチレン溶液(1500ml)にピリジン(500ml)を加え、塩化メタンスルホニル(49ml、633mmol)を滴下し、31℃で24時間攪拌した。エタノール(40ml)を滴下し、室温で1時間攪拌した。減圧濃縮後、残渣にヘキサン:メタノール:水(10:7:3、1000ml)の混液を加え、分液した。水層はヘキサン(200ml)で3回抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G4の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量363g(95%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
FDMS m/z 676M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.47(15H,m),5.41(0.7H,ddd,J=5.5,9.2,11.0Hz),5.32(0.7H,bt,J=11.0Hz),5.22(0.3H,bdd,J=9.2,15.0Hz),5.02(0.3H,dt,Jt=7.3Hz,Jd=15.0Hz),4.8(0.7H,ddd,J=3.1,5.5,7.9Hz),4.73(0.7H,dd,J=5.5,9.8Hz),4.64−4.67(0.3H,m),4.61(0.3H,dd,J=5.5,9.2Hz),4.48(0.7H,dd,J=5.5,7.9Hz),4.22(0.3H,dd,J=5.5,9.2Hz),3.55(0.3H,dd,J=2.4,11.6Hz),3.45(0.7H,dd,J=3.2,11.0Hz),3.06−3.12[4H,(3.12,s),(3.11,s),(3.09,dd,J=3.1,11.0Hz)],1.66−1.82(2H,m),1.47and1.46(3H,each s),1.39(3H,s),1.13−1.35(20H,m),0.88(3H,t,J=6.8Hz)。
(5)化合物G5の合成
化合物G4(362g、約536mmol)の塩化メチレン溶液(1500ml)にメタノール(350ml)を加え、これに濃塩酸(200ml)を滴下し、5h室温で攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウムを加えて中和後、濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加え、食塩水で洗浄した。水層は酢酸エチルで抽出し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。ヘキサンより結晶化した。収量161g(G2より70%)。
mp66−67℃;FDMS m/z 377(M−H2O)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3+D2O)δ5.86(0.3H,dt,Jt=7.3Hz,Jd=14.7Hz),5.77(0.7H,dt,Jt=7.3,Jd=10.4Hz),5.55(0.3H,br.dd,J=7.3,14.7Hz),5.49(0.7H,bt,J=9.8Hz),4.91−4.97(1H,m),4.51(0.7H,bt,J=9.8Hz),4.11(0.3H,bt,J=7.3Hz),3.94−4.03(2H,m),3.67−3.73[1H,(3.70,dd,J=3.1,6.7Hz),(3.69,dd,J=3.1,7.3Hz)],3.20and3.19(3H,eachs),2.05−2.22(2H,m),1.22−1.43(20H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(6)化合物G6の合成
化合物G5(160g、405mmol)のTHF溶液(780ml)に5%パラジウム−硫酸バリウム(16g)を加え、反応容器を水素ガスで置換後、室温にて20時間攪拌した。反応液をセライト濾過後、クロロホルム:メタノールの混液(1:1)で洗浄した。濾液と洗液をあわせ、減圧濃縮した。残渣は酢酸エチルより結晶化した。収量146g(91%)。
[α]23 D+12°(c1,CHCl3/MeOH=1:1);mp124−126℃;FDMS m/z 397(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3/CD3OD=1:1)α4.93−4.96(1H,m,H2),3.91(1H,dd,J=6.7,12.2Hz),3.85(1H,dd,J=4.9,12.2Hz),3.54−3.60(1H,m),3.50(1H,dd,J=1.8,8.5Hz),3.19(3H,s),1.75−1.83(1H,m),1.53−1.62(1H,m),1.21−1.45(24H,m),0.89(3H,t,J=6.7Hz)。
(7)化合物G7の合成
化合物G6(145g、365mmol)のDMF溶液(1000ml)にアジ化ナトリウム(47g、730mmol)を加え、95℃で4時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチル(450ml)を加え、水洗した。水層は酢酸エチルで再抽出した。すべての有機層をあわせて食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、G7の粗生成物を得た。収量122g(97%)。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量126g(95%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]23 D+16.5°(c0.5,CHCl3−MeOH,1:1);mp92−93℃;FDMS m/z 344(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CD3OD)δ3.91(1H,dd,J=3.7,11.6Hz),3.75(1H,dd,J=7.9,11.6Hz),3.49−3.61(3H,m),1.50−1.71(2H,m),1.22−1.46(24H,m),0.90(3H,t,J=6.7Hz)。
(8)化合物G8の合成
化合物G7(121g、約352mmol)の塩化メチレン溶液(750ml)にピリジン(250ml)、塩化トリチル(124g、445mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。エタノール(30ml)を滴下し、室温で30分間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣は、ヘキサン:酢酸エチル(10:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量34.4g(G6より52%)。
[α]24 D+11.9°(c0.9,CHCl3),FDMS m/z 585M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3+D2O)δ7.24−7.61(15H,m),3.62−3.66(2H,m),3.51−3.57(2H,m),3.42(1H,dd,J=6.0,10.4Hz),1.23−1.56(26H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(9)化合物G9の合成
化合物G8(33.5g、57.3mmol)のDMF溶液(300ml)に60%水素化ナトリウム(5.5g、NaHとして約138mmol)を加え、室温で40分間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、臭化ベンジル(15ml、120mmol)を滴下した。室温まで徐々に温度をあげながら18時間攪拌した。反応液に氷水(100ml)を加えて、反応を停止した後、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出液は食塩水で3回洗浄し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G9の粗生成物を得た。これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。収量42.2g(96%)。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(100:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]24 D+9.8°(c1.0,CHCl3),FDMS m/z 738(M−N2)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.07−7.48(25H,m),4.57(1H,d,J=11.6Hz),4.44(1H,d,J=11.6Hz),4.41(2H,s),3.73−3.79(1H,m),3.46−3.56(2H,m),3.37(1H,dd,J=8.6,10.4Hz),1.20−1.64(26H,m),0.88(3H,t,J=6.7Hz)。
(10)化合物G10およびG11の合成
化合物G9(41.2g、約54mmol)の1−プロパノール溶液(250ml)にメタノール(30ml)を加え、更に5%パラジウム炭素(4.1g)、蟻酸アンモニウム(27.1g、4.3mol)を加えた。室温で16時間攪拌後、酢酸エチルで希釈し、セライト濾過した。濾液を減圧濃縮し、酢酸エチルで溶解後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で3回洗浄し、すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G10の粗生成物を得た。収量38.9g(98%)。得られたG10は、これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。
化合物G10の塩化メチレン溶液(300ml)に、ヘキサコサン酸(22.4g、56.5mmol)、WSC塩酸塩(12.6g、64.6mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル(500ml)を加え、0.5M塩酸水溶液、食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、更に食塩水で洗浄した。すべての有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、G11の粗生成物を得た。収量53.2g(88%)。得られたG11は、これ以上の精製を行わずに次の工程に用いた。分析用のサンプルは、ヘキサン:酢酸エチル(100:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
[α]24 D+5.3°(c0.4,CHCl3);FDMS m/z 1118M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.20−7.38(25H,m),5.57(1H,d,J=9.1Hz),4.80(1H,d,J=11.6Hz),4.48−4.50(3H,m),4.24−4.32(1H,m),3.83(1H,dd,J=3.0,6.7Hz),3.43−3.51(2H,m,H1a),3.29(1H,dd,J=4.3,9.8Hz),1.92(2H,t,J=7.3Hz),1.28−1.60(72H,m),0.88(6H,t,J=6.7Hz)。
(11)化合物G12の合成
化合物G11(52.2g、約47mmol)の塩化メチレン溶液(180ml)にメタノール(36ml)を加え、次いで10%塩酸メタノール溶液(3.0ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応液は粉状の炭酸水素ナトリウム(18g)で中和し、セライト濾過した。残渣は塩化メチレンで洗浄した。濾液と洗液をあわせ、食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をアセトンに加熱溶解し、0℃に冷却して沈殿化により精製した。収量38.6g(G9より77%)。
[α]24 D−29.7°(c0.7,CHCl3):mp75−76.5℃;FDMS m/z 876M+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.30−7.47(10H,m),6.03(1H,d,J=7.9Hz),4.72(1H,d,J=11.6Hz),4.66(1H,d,J=11.6Hz),4.61(1H,d,J=11.6Hz),4.45(1H,d,J=11.6Hz),4.12−4.17(1H,m),4.00(1H,dt,Jt=4.3,Jd=7.3Hz),3.67−3.72(2H,m),3.61(1H,ddd,J=4.3,8.6,11.6Hz),1.94−2.05(2H,m),1.15−1.69(72H,m),0.88(6H,t,J=6.1Hz)。
(12)化合物G13の合成
1) 2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトピラノシルアセテート(79.8g)をトルエン(160ml)およびイソプロピルエーテル(520ml)の混液に溶解し、−10〜0℃に冷却した。これに、2.0等量のHBrを含むイソプロピルエーテル溶液を加えた(2.8mmol/ml、約100ml)。−10〜0℃で約90分間攪拌後、反応液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、攪拌して過剰のHBrを中和した。全量を分液ロートに移して分液後、水層を廃棄し、10%塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。減圧濃縮して2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルブロミド(Ga1Br)のシロップを得た。
2) 化合物G12(60.0g、68.6mmol)、テトラヘキシルアンモニウムブロミド(89.4g、206mmol)、モレキュラーシーブス4A(60g)のトルエン溶液(420ml)に、DMF(140ml)次いで、Ga1Br(約137mmol)のトルエン溶液(250ml)を加え、室温で72時間攪拌した。反応液にメタノール(12ml)を加え、2時間攪拌した。セライト濾過後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にアセトニトリルを加え、2時間攪拌し、沈殿を得た。得られた沈殿を減圧乾燥し、乾燥粉体を得た。これをヘキサン:酢酸エチル(8:1)を溶出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量70.9g(74%)。
[α]24 D+18.8°(c0.9,CHCl3);mp74−75℃;FDMS m/z 1399(M+1)+;1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.21−7.37(30H,m),6.12(1H,d,J=9.0Hz),4.91(1H,d,J=11.6Hz),4.84(1H,d,J=3.7Hz),4.72−4.80(4H,m),4.35−4.65(7H,m),4.12−4.18(1H,m),3.99−4.05(2H,m),3.84−3.93(4H,m),3.73(1H,dd,J=3.7,11.0Hz),3.47−3.51(2H,m),3.42(1H,dd,J=6.1,9.1Hz),1.87−1.99(2H,m),1.18−1.70(72H,m),0.88(6H,t,J=7.4Hz)。
(13)化合物KRN7000の合成
化合物G13(60.0g、42.9mmol)をエタノール(960ml)に加えて懸濁させ、これに20%水酸化パラジウム(6.0g)のエタノール懸濁液を加えた。更に水素源となる4−メチルシクロヘキセン(120ml、93.5mmol)を加え、4時間加熱還流した後、濾過し、触媒を除いた。残渣は加温したエタノールで洗浄した。濾液を室温放置することによって得た白色沈殿を濾過、減圧乾燥した。得られた粉体をエタノール:水(92:8、3.5L)に懸濁し、攪拌しながら加熱溶解後、室温放置することによって再度沈殿化した。沈殿液を濾過し、濾取したケーキを減圧乾燥し、白色粉末を得た。収量35.0g(95%)。
[α]23 D+43.6°(c1.0,pyridine);mp189.5−190.5℃;negativeFABMS m/z 857(M−H)−;IR(cm−1,KBr)3300,2930,2850,1640,1540,1470,1070;1H−NMR(500MHz,C5D5N)δ8.47(1H,d,J=8.5Hz),5.58(1H,d,J=3.7Hz),5.27(1H,m),4.63−4.70(2H,m),4.56(1H,m),4.52(1H,t,J=6.1Hz),4.37−4.47(4H,m),4.33(2H,m),2.45(2H,t,J=7.3Hz),2.25−2.34(1H,m),1.87−1.97(2H,m),1.78−1.85(2H,m),1.62−1.72(1H,m),1.26−1.45(66H,m),0.88(6H,t,J=6.7Hz),13C−NMR(125MHz,C5D5N)δ173.2(s),101.5(d),76.7(d),73.0(d),72.5(d),71.6(d),71.0(d),70.3(d),68.7(t),62.7(t),51.4(d),36.8(t),34.4(t),32.1(t),30.4(t),30.2(t),30.03(t),30.00(t),29.93(t),29.87(t),29.81(t),29.76(t),29.6(t),26.5(t),26.4(t),22.9(t),14.3(q)。
〔実施例2〕 O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(S1140B−9)の単離および精製
沖縄県久米島近海の海底水深15〜25mで採取された海綿を、凍結乾燥した粉末447.1gをクロロホルムとメタノールの混液で抽出し、抽出液を減圧下濃縮して51.28gのエキスを得た。これを酢酸エチルと水で分配後、上層と中間層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮してそれぞれ18.37gと9.44gのフラクションを得た。上層より得たフラクションを10%水性メタノールとn−ヘキサンとで分配したアルコール層と、中間層より得たフラクションを合わせて濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに繰り返して順相TLC上単一の活性成分を169.9mg得た。さらにODS−AMカラム(YMC製、250mm×20mm径、メタノール、9.0ml/min)を用いた逆相HPLCで精製し(保持時間:30.3分)、純粋な表題化合物(S1140B−9)を10.2mg得た。なお、表題化合物は、F.Cafieri et al.,Liebigs Ann.Chem.1995,1477−1481を参照し、単離、精製することもできる。
negative FABMS m/z 1007[(M−H)−];IR;1H NMR(500MHz,C5D5N,24℃)δ(ppm)8.55(1H,d,J=9.2Hz,NH),5.60(1H,d,J=3.7Hz,H1´´),5.57(1H,d,J=3.7Hz,H1´´´),5.13(1H,m,H2),4.75(1H,dd,J=3.7,10.4Hz,H2´´),4.62(2H,m),4.54(4H,m),4.25−4.47(10H,m),2.17(2H,m),1.99(1H,m),1.87(2H,m),1.75(1H,m),1.65(2H,m),1.12−1.49(60H,m),0.85(6H,m,terminal methyl);13C NMR(125MHz,C5D5N,45℃)δ(ppm)175.5(s,C1’),99.5(d,C1´´´),98.6(d,C1´´),76.7(d,C2´´),76.0(d,C3),72.8(d,C4),72.6(d,C5´´),72.6(d,C4´´),72.5(d,C2),71.3(d,C3´´´),71.0(d),70.8(d),70.5(d,C2´´´),69.7(d,C3´´),68.6(t,C1),62.7(t),62.5(t),51.2(t,C2),39.4(t),35.6(t),33.7(t),32.2(t),30.5(t),30.3(t),30.1(t),30.0(t),29.7(t),29.6(t),26.7(t),26.0(t),23.0(t),22.9(t),14.3(q,terminal methyl)
下記に記載の化合物は、それぞれの化合物の後に挙げた文献に記載の方法に従って合成した。
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−517) (国際公開第93/5055号公報)
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−563) (国際公開第94/9020号公報)
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−571) (国際公開第94/9020号公報)
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−577) (国際公開第94/9020号公報)
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−586) (国際公開第94/24142号公報)
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−584) (国際公開第94/24142号公報)
O−α−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(719−7) (国際公開第94/24142号公報)
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(STL−8) (国際公開第94/24142号公報)
式(I)の化合物と上記実施例に記載の化合物との対応は、下記表1に示されるとおりである。
〔実施例4〕薬理試験例:C型肝炎ウイルス持続感染チンパンジーに対するKRN7000の有効性試験
本発明の配糖体化合物の代表として、式(I)の化合物(KRN7000)を用いて以下の実験を行った。
C型肝炎ウイルスに持続感染する実験用の動物種はチンパンジーのみである。そこで、本試験はC型肝炎ウイルスキャリアを含むチンパンジーを長期間に渡り人工飼育・繁殖を行ってきたチンパンジー専用施設(三和化学研究所熊本霊長類パーク)の2頭を供試動物として選択し、実施した。本試験は、試験開始前に実験審査委員会による倫理ならびに試験内容の審査と実施許可を受け、また試験期間中においてはチンパンジーに与える苦痛を可能な限り排除し実施した。試験に用いた2頭のチンパンジーは以降、動物番号C33(HCV(1a)持続感染期間22年;)および動物番号C54(HCV(1b)持続感染期間20年)で示す。
約1ヶ月間の馴化期間の後に、動物に28日間間隔で2回(第0日目および第28日目)、10μg/kgの用量のKRN7000を静脈内投与した。KRN7000に対するチンパンジーの反応および慢性HCV感染に対する薬効を確認するためのサンプルを得るため、採血を各投与の前後に行った。総白血球数は自動血球計数装置(Sysmex K−4500、シスメックス株式会社)を用い測定した。白血球百分比は、全血を脱脂したスライドグラスに塗沫後、ディフ・クイック(国際試薬)により固定・染色し、白血球200個について鏡検して求めた。好中球およびリンパ球数は総白血球数にそれらの比率を乗じて算出した。NKT細胞数のT細胞中における百分比は、全血をそれぞれ異なる蛍光色素で標識された抗ヒトTCR Vα24抗体(ベックマン・コールタ株式会社)、KRN7000(α−GalCer)結合ヒトCD1d4量体(tetramer)ならびに抗ヒトCD3抗体(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)を用い染色した後、FACS Lysing Solution(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)にて溶血・固定し、FACS Calibur(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)にて測定した。抗ヒトTCR Vα24抗体、tetramerならびに抗ヒトCD3抗体の何れにも反応した細胞をチンパンジーにおけるNKT細胞と判定した。血清中のALT(alanine aminotransferase)、AST(aspartate aminotransferase)ならびにLDH(lactate dehydrogenase)活性は、自動分析装置を用いて測定した。血清中HCV−RNA量の測定は、アンプリコア(登録商標)GT HCVモニター(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いたRT−PCR法、ならびにクオンティプレックスHCV−RNA・2(バイエルコーポレーション)を用いた分岐DNAプローブ(bDNA)法で実施した。血清中KRN7000濃度は、LC−MS/MS(液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析)法にて測定した。
図1に、投与前後の総白血球数、好中球数ならびにリンパ球数の推移を示す。2頭とも何れの投与においても投与6時間後における好中球数の増加が認められ、多くの場合、その変動を反映した総白血球数の一過性の増加がみられた。また、投与6時間後にはリンパ球数の減少が一部の例外を除き認められた。
図2に、CD3陽性細胞にゲートした細胞集団の内に存在する、tetramerで染色され、かつTCR Vα24陽性のチンパンジーにおけるNKT細胞のFACS(fluorescence activated cell sorter)による解析図の代表例(図2A)と、KRN7000投与前後におけるそれらNKT細胞の変動(図2B)を示す。2頭とも何れの投与においても、投与翌日にはNKT細胞は検出されなくなった。被験動物番号C54の場合、NKT細胞は本剤投与後の消失の後、緩やかな回復傾向を示した。このKRN7000投与後におけるNKT細胞の急速な消失は、KRN7000の刺激により直ちにNKT細胞が活性化した後アポトーシスに至ったことを示唆する。また、活性化したNKT細胞からは各種サイトカインが放出されたものと推定される。
図3に、KRN7000投与前後における肝傷害の指標となる臨床検査項目である血清中のALT、ASTならびにLDH活性の値を示す。2頭とも何れの投与においても、投与後1ないし3日目をピークとして一過性に軽度上昇を示し、その後投与前値に回復した。
図4に、RT−PCR法あるいはbDNA法を用いて測定した、KRN7000投与前後における血清中のHCV−RNA量の変動を示す。2頭とも何れの投与においてもKRN7000投与1あるいは3日後に血清中のHCV−RNA量の明らかな減少が認められた。また、1回目(第0日目)の投与よりも2回目(第28日目)の投与によりHCV−RNA量の持続的な低下が認められた。
表2に、KRN7000投与前後における血清中KRN7000濃度の測定成績を示す。2頭とも何れの投与においてもKRN7000投与15分後を最大とするKRN7000が検出され、投与したKRN7000が確実に体内移行したことが示された。
以上、KRN7000投与により刺激されたNKT細胞の活性化に基づくサイトカインの放出によると考えられる白血球数の変動や軽度一過性の肝細胞傷害所見がみられ、それと同時に血清中HCV−RNA量が減少したという結果から、投与したKRN7000の作用により肝臓局所でHCV感染肝細胞におけるHCV−RNA複製が抑制されたことを示唆している。従って、今回の試験によりKRN7000の慢性HCV感染チンパンジーにおける抗HCV作用が明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−517) (国際公開第93/5055号公報)
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−563) (国際公開第94/9020号公報)
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−571) (国際公開第94/9020号公報)
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール(AGL−577) (国際公開第94/9020号公報)
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−586) (国際公開第94/24142号公報)
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール(AGL−584) (国際公開第94/24142号公報)
O−α−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(719−7) (国際公開第94/24142号公報)
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール(STL−8) (国際公開第94/24142号公報)
式(I)の化合物と上記実施例に記載の化合物との対応は、下記表1に示されるとおりである。
〔実施例4〕薬理試験例:C型肝炎ウイルス持続感染チンパンジーに対するKRN7000の有効性試験
本発明の配糖体化合物の代表として、式(I)の化合物(KRN7000)を用いて以下の実験を行った。
C型肝炎ウイルスに持続感染する実験用の動物種はチンパンジーのみである。そこで、本試験はC型肝炎ウイルスキャリアを含むチンパンジーを長期間に渡り人工飼育・繁殖を行ってきたチンパンジー専用施設(三和化学研究所熊本霊長類パーク)の2頭を供試動物として選択し、実施した。本試験は、試験開始前に実験審査委員会による倫理ならびに試験内容の審査と実施許可を受け、また試験期間中においてはチンパンジーに与える苦痛を可能な限り排除し実施した。試験に用いた2頭のチンパンジーは以降、動物番号C33(HCV(1a)持続感染期間22年;)および動物番号C54(HCV(1b)持続感染期間20年)で示す。
約1ヶ月間の馴化期間の後に、動物に28日間間隔で2回(第0日目および第28日目)、10μg/kgの用量のKRN7000を静脈内投与した。KRN7000に対するチンパンジーの反応および慢性HCV感染に対する薬効を確認するためのサンプルを得るため、採血を各投与の前後に行った。総白血球数は自動血球計数装置(Sysmex K−4500、シスメックス株式会社)を用い測定した。白血球百分比は、全血を脱脂したスライドグラスに塗沫後、ディフ・クイック(国際試薬)により固定・染色し、白血球200個について鏡検して求めた。好中球およびリンパ球数は総白血球数にそれらの比率を乗じて算出した。NKT細胞数のT細胞中における百分比は、全血をそれぞれ異なる蛍光色素で標識された抗ヒトTCR Vα24抗体(ベックマン・コールタ株式会社)、KRN7000(α−GalCer)結合ヒトCD1d4量体(tetramer)ならびに抗ヒトCD3抗体(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)を用い染色した後、FACS Lysing Solution(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)にて溶血・固定し、FACS Calibur(日本ベクトン・デッキンソン株式会社)にて測定した。抗ヒトTCR Vα24抗体、tetramerならびに抗ヒトCD3抗体の何れにも反応した細胞をチンパンジーにおけるNKT細胞と判定した。血清中のALT(alanine aminotransferase)、AST(aspartate aminotransferase)ならびにLDH(lactate dehydrogenase)活性は、自動分析装置を用いて測定した。血清中HCV−RNA量の測定は、アンプリコア(登録商標)GT HCVモニター(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いたRT−PCR法、ならびにクオンティプレックスHCV−RNA・2(バイエルコーポレーション)を用いた分岐DNAプローブ(bDNA)法で実施した。血清中KRN7000濃度は、LC−MS/MS(液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析)法にて測定した。
図1に、投与前後の総白血球数、好中球数ならびにリンパ球数の推移を示す。2頭とも何れの投与においても投与6時間後における好中球数の増加が認められ、多くの場合、その変動を反映した総白血球数の一過性の増加がみられた。また、投与6時間後にはリンパ球数の減少が一部の例外を除き認められた。
図2に、CD3陽性細胞にゲートした細胞集団の内に存在する、tetramerで染色され、かつTCR Vα24陽性のチンパンジーにおけるNKT細胞のFACS(fluorescence activated cell sorter)による解析図の代表例(図2A)と、KRN7000投与前後におけるそれらNKT細胞の変動(図2B)を示す。2頭とも何れの投与においても、投与翌日にはNKT細胞は検出されなくなった。被験動物番号C54の場合、NKT細胞は本剤投与後の消失の後、緩やかな回復傾向を示した。このKRN7000投与後におけるNKT細胞の急速な消失は、KRN7000の刺激により直ちにNKT細胞が活性化した後アポトーシスに至ったことを示唆する。また、活性化したNKT細胞からは各種サイトカインが放出されたものと推定される。
図3に、KRN7000投与前後における肝傷害の指標となる臨床検査項目である血清中のALT、ASTならびにLDH活性の値を示す。2頭とも何れの投与においても、投与後1ないし3日目をピークとして一過性に軽度上昇を示し、その後投与前値に回復した。
図4に、RT−PCR法あるいはbDNA法を用いて測定した、KRN7000投与前後における血清中のHCV−RNA量の変動を示す。2頭とも何れの投与においてもKRN7000投与1あるいは3日後に血清中のHCV−RNA量の明らかな減少が認められた。また、1回目(第0日目)の投与よりも2回目(第28日目)の投与によりHCV−RNA量の持続的な低下が認められた。
表2に、KRN7000投与前後における血清中KRN7000濃度の測定成績を示す。2頭とも何れの投与においてもKRN7000投与15分後を最大とするKRN7000が検出され、投与したKRN7000が確実に体内移行したことが示された。
以上、KRN7000投与により刺激されたNKT細胞の活性化に基づくサイトカインの放出によると考えられる白血球数の変動や軽度一過性の肝細胞傷害所見がみられ、それと同時に血清中HCV−RNA量が減少したという結果から、投与したKRN7000の作用により肝臓局所でHCV感染肝細胞におけるHCV−RNA複製が抑制されたことを示唆している。従って、今回の試験によりKRN7000の慢性HCV感染チンパンジーにおける抗HCV作用が明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
実施例が示すように、本発明の薬剤をC型肝炎ウイルスに感染したチンパンジーに投与することにより、C型肝炎ウイルスの減少が認められ、低下していた肝機能の改善が期待された。従って、本発明の薬剤はヒトにおけるC型肝炎ウイルス抑制剤、C型肝炎治療剤として利用することができる。
Claims (12)
- 式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎ウイルス抑制剤。
(上記式中、
R1はHまたはOHであり、
Xは7〜27のいずれかの整数であり、
R2は下記(a)〜(e)からなる群から選択される置換基であり(ここで、Yは5〜17のいずれかの整数である)、
(a)−CH2(CH2)YCH3
(b)−CH(OH)(CH2)YCH3
(c)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)2(d)−CH=CH(CH2)YCH3
(e)−CH(OH)(CH2)YCH(CH3)CH2CH3、そして R3〜R9は下記のi)〜v)のいずれかで定義される置換基である:i)R3、R6、およびR8がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R7は、OHまたは下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OH、または下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である;
ii)R3、R6およびR7がHのとき
R4はH、OH、NH2、NHCOCH3、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R5はOH、または下記基(E)および(F):
からなる群から選択される置換基であり、
R8はOH、または下記基(A)〜(D):
からなる群から選択される置換基であり、
R9はH、CH3、CH2OHまたは下記基(A’)〜(D’):
からなる群から選択される置換基である。) - C型肝炎ウイルスがジェノタイプ1型である請求項1記載のC型肝炎ウイルス抑制剤。
- 請求項1記載の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むC型肝炎治療剤。
- C型肝炎が慢性C型肝炎である、請求項3記載のC型肝炎治療剤。
- C型肝炎が急性C型肝炎である、請求項3記載のC型肝炎治療剤。
- 請求項1記載の式(I)の化合物またはその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、C型肝炎により低下した肝機能を改善する薬剤。
- 式(I)の化合物中、R3、およびR6がHを表し、R4がOHまたは基(A)〜(D)のいずれかの置換基を表し、R5がOHまたは基(E)もしくは(F)の置換基を表し、R7およびR8がそれぞれHまたはOHのいずれかを表し(但し、R7およびR8の両方が同一の基を表すことはない)、R9がCH2OH、CH3、H、または基(A’)〜(D’)のいずれかの置換基を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
- 式(I)の化合物中、Xが21〜25の整数であり、R2が置換基(b)(式中、Yは11〜15である)を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
- 式(I)の化合物中、Xが9〜13の整数であり、R2が置換基(a)(式中、Yは11〜15である)を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
- 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(α−D−グルコピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(6’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
(2S,3R)−1−(β−L−アラビノピラノシルオキシ)−2−テトラデカノイルアミノ−3−オクタデカノール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。 - 式(I)の化合物が、
(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→6)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−ヘキサコサノイル−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→2)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、
O−β−D−ガラクトフラノシル−(1→3)−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオール、および
O−(N−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−α−D−カラクトピラノシル−(1→3)−O−[α−D−グルコピラノシル−(1→2)]−O−α−D−ガラクトピラノシル−(1→1)−(2S,3S,4R)−2−アミノ−N−[(R)−2−ヒドロキシテトラコサノイル]−1,3,4−オクタデカントリオールからなる群から選ばれる化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。 - 式(I)の化合物が、(2S,3S,4R)−1−(α−D−ガラクトピラノシルオキシ)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−オクタデカンジオールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
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