JPWO2004023141A1 - 生体内の酸化LDL−β2−グリコプロテインI複合体の測定方法 - Google Patents

生体内の酸化LDL−β2−グリコプロテインI複合体の測定方法 Download PDF

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Abstract

oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体を、生体内のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードとして用いることにより、生体内のβ2−GPI−oxLDL複合体を、より正確かつ厳密に測定することができ、更にこれを利用することにより新たな測定方法、検出方法、キットなどが得られる。

Description

本発明は、生体内に存在する「酸化LDL(oxLDL)とβ2−グリコプロテインI(β2−GPI)との複合体」(β2−GPI−oxLDL複合体)の測定に有用なスタンダード、及びこれを利用した生体内のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定方法等に関する。
まず、本明細書において用いる略号を説明する。
aPL:抗リン脂質抗体
aCL:抗カルジオリピン抗体
APS:抗リン脂質抗体症候群
β2−GPI:β2−グリコプロテインI
β2−GPI−oxLDL複合体:oxLDLとβ2−GPIとの複合体
BSA:ウシ血清アルブミン
CL:カルジオリピン
Cu2+−oxLDL:CuSOで酸化したoxLDL
DEAE:ジエチルアミノエチル
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
ELISA:酵素結合免疫吸着アッセイ
HRP:ホースラディッシュ(西洋ワサビ)のペルオキシダーゼ
LDL:低密度リポタンパク質
MDA:マロンジアルデヒド
OD:吸光度
oxLDL:酸化LDL
oxLig−1:7−ketocholesteryl−9−carboxynonanoate;9−oxo−9−(7−ketocholest−5−en−3β−yloxy)nonanoic acid(IUPAC)
oxLig−2:7−ketocholesteryl−12−carboxy(keto)dodecanoate
PAPS:原発性抗リン脂質抗体症候群
PBS:リン酸緩衝生理食塩液
PL(PLs):リン脂質
SLE:全身性エリテマトーデス
TBARS:チオバルビツール酸反応性物質
TLC:薄層クロマトグラフィー
9−COOH−22KC : 7−ketocholesteryl−13−carboxytridecanoate;13−oxo−13−(7−ketocholest−5−en−3β−yloxy)tridecanoic acid
β2−GPIは、APS患者に存在する「抗リン脂質抗体」が認識する主要な抗原であり、oxLDLに特異的に結合し、酸化されていない(ネイティブな)LDLには結合しないことが知られている。国際公開第95/9363号パンフレットには、このようなβ2−GPIとoxLDLとの特異的結合能を利用したoxLDLの測定方法や、これを応用した動脈硬化性疾患の診断用キット等が開示されている。またJ.Lipid Res.,42,p697−709(2001)[文献7]には、β2−GPIが、oxLDL中のoxLig−1構造部分を認識して結合することが開示されている。
oxLDLは生体内でβ2−GPIとの複合体(β2−GPI−oxLDL複合体)を形成しており、生体内に存在するこの複合体を測定することによって種々の疾患の検出を行うことができる。そして生体内に存在するこの複合体を測定する際のスタンダードとして、従来、Cu2+−oxLDLとβ2−GPIとをプレインキュベーションすることなく接触させたものが測定に用いられてきた。
生体内に存在する難解離性のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードは、生体内に存在する複合体と同一又は可能な限り近似していることが望まれる。しかし、生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体や、従来スタンダードとして用いられてきたβ2−GPI−oxLDL複合体におけるoxLDLとβ2−GPIとの結合様式等については知られていなかった。
本発明は、生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体の測定に有用なスタンダード、及びこれを利用した生体内のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定方法等に関する。
本発明者は、生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体における。xLDLとβ2−GPIとの結合様式を検討した結果、驚くべきことにその大部分が共有結合、又は少なくとも静電的な結合力を上回る強い結合を形成していることを見出した。一方、従来スタンダードとして用いられてきた、プレインキュベーションすることなく接触させたoxLDLとβ2−GPIとを測定に供する場合、それらによる複合体における結合は、単なる静電的な結合であることを見出した。
従来のスタンダードも、生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体の測定に使用しうるものではある。しかし、より正確かつ厳密な測定を行うためには、前記の通り、生体内に存在する複合体に可能な限り近似していることが望ましい。
そこで本発明者は、前記の新規な知見に基づき、β2−GPI−oxLDL複合体を測定するための新規なスタンダード、これを利用したβ2−GPI−oxLDL複合体の測定方法、この測定方法を利用した疾患の検出方法、前記スタンダードを利用した、β2−GPI−oxLDL複合体の測定キット等を提供するに至り、本発明を完成した。
また本発明者は、生体内に存在する「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」(自己抗体)の測定に用いる抗原も、生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体に可能な限り近似していることが望ましいことにも着目し、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定するための新規な抗原、これを利用した「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定方法、この測定方法を利用した疾患の検出方法、前記抗原が固着された固相、この固相を利用した、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定キット等を提供するに至り、本発明を完成した。
すなわち本発明は、oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体を成分とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダード(以下、本発明スタンダード1という)を提供する。
また本発明は、「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」を成分とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダード(以下、本発明スタンダード2という)を提供する。本発明スタンダード2における「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」は、以下の(a)及び(b)の性質を有するものが好ましい。
(a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
(b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
また本発明スタンダードを用いた測定に付される「検体」は、生体由来の検体であることが好ましい。また、この「生体由来の検体」は血液であることが好ましい。
以下、本発明スタンダード1及び2を併せて、単に「本発明スタンダード」という。
また本発明は、本発明スタンダードを用いることを特徴とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定方法(以下、本発明測定方法1という)を提供する。本発明測定方法1は、検体中の「oxLDL」と「β2−GPI」とを共有結合させるステップを少なくとも含むものが好ましい。また、検体中の「oxLDL」と「β2−GPI」とを、予めpH3〜9の条件下でインキュベートするステップを少なくとも含むものも好ましい。また、検体中の「『oxLDL』と『タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、アミノ糖又はアミノ脂質』とが静電的に結合した複合体」を解離させるステップを少なくとも含むものも好ましい。
また本発明は、本発明測定方法1を用いて検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定し、測定された「検体中の当該複合体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法(以下、本発明検出方法1という)を提供する。本発明検出方法1によって検出される疾患は、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい。
また本発明は、本発明スタンダードを構成成分として含むことを特徴する、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定キット(以下、本発明キット1という)を提供する。本発明キット1は、さらに「『oxLDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」を構成成分として含むことが好ましい。また本発明キット1は、疾患の検出に用いられるものが好ましい。
また本発明は、「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を成分とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定するための抗原(以下、本発明抗原1という)を提供する。
また本発明は、「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」を成分とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定するための抗原(以下、本発明抗原2という)を提供する。本発明抗原2における「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」は、以下の(a)及び(b)の性質を有するものが好ましい。
(a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
(b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
以下、本発明抗原1及び2を併せて、単に「本発明抗原」という。
また本発明は、本発明抗原を用いることを特徴とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定方法(以下、本発明測定方法2という)を提供する。
また本発明は、本発明測定方法2を用いて検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定し、測定された「検体中の当該抗体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法(以下、本発明検出方法2という)を提供する。本発明検出方法2によって検出される疾患は、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい。
また本発明は、本発明抗原が固着された固相(以下、本発明固相という)を提供する。
また本発明は、本発明固相を構成成分として含むことを特徴する、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定キット(以下、本発明キット2という)を提供する。本発明キット2は、さらに「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」に結合する物質を構成成分として含むことが好ましい。また本発明キット2は、疾患の検出に用いられるものが好ましい。
また本発明は、「β2−GPIを認識する抗体」及び/又は「LDLを認識する抗体」、並びに抗IgG抗体を用いることを特徴とする、検体中の免疫複合体の測定方法(以下、本発明測定方法3という)を提供する。
図1は、オキシステロールエステルの2つのω−カルボキシル変異体(oxLig−1及び9−COOH−22KC)のリガンドブロット分析を示す図である。TLCプレート上で展開したリガンドをIの噴霧(Ivapor)で染色し(A)、リガンドブロットは抗β2−GPI抗体(Cof−22(B)及びEY2C9(C))を用いて行った。
図2は、Cu2+で酸化したoxLDLとβ2−GPIとの複合体形成プロファイルを示す図である。
(A):oxLDL12h(apoB相当で、0(白三角印)、0.16(白四角印)又は2.5μg/ml(白丸印)を、ウエル中で種々の濃度のβ2−GPIとインキュベートし、β2−GPI−oxLDL複合体を検出するためのELISAを行った。
(B):図中に示した濃度のoxLDL12h(LDLを5μM CuSOによって37℃で12時間処理したもの;丸印)又はネイティブなLDL(四角印)を、β2−GPIの非存在下(白色)又は存在下(25μg/ml;黒色)でインキュベートし、ELISAを行った。
(C):図中に示した濃度のoxLDL12h及びβ2−GPI(25μg/ml)をウエル中でインキュベートし、非存在下(白丸印)、ヘパリン(100単位/ml)の存在下(黒四角印)又はMgCl(10mM)の存在下(黒菱形印)でELISAを行った。
(D):oxLDL12h−β2−GPI16h複合体は、oxLDL12h(100μg/ml)をβ2−GPI(100μg/ml)とともに37℃で16時間インキュベートすることによって調製した。ELISAは、この複合体(apoB相当で2.5μg/ml)を用いて、非存在下(白丸印)、ヘパリン(100単位/ml)の存在下(黒四角印)又はMgCl(10mM)の存在下(黒菱形印)で行った。データは、3つのサンプルの平均値+/−SDで示した。
図3は、Cu2+で酸化したoxLDLとβ2−GPIとの複合体形成の経時変化を示す図である。
(A):LDL(図中に示した時間、5μM CuSOで処理したもの)中のTBARSを測定した。
(B):Cu2+−oxLDL(apoB相当で2.5μg/ml)をβ2−GPI(0μg/ml(白丸印)、25μg/ml(黒丸印))とともにウエル中でインキュベーションすることによってβ2−GPI−oxLDL複合体を生成させ、ELISAを行った。25μg/mlのβ2−GPIを共存させたELISAは、ヘパリン(100単位/ml;黒四角印)又はMgCl(10mM;黒菱形印)の存在下においても行った。
(C):oxLDL12h(100μg/ml)をβ2−GPI(100μg/ml)とともに4℃(点線)又は37℃(実線)条件下で図示した時間インキュベートすることにより生成したβ2−GPI−oxLDL複合体を、ELISAで検出した。ELISAは、ヘパリン及びMgClの非存在下(白丸印)、又はヘパリン(100単位/ml;黒四角印)若しくはMgCl(10mM;黒菱形印)の存在下においても行った。
(D):β2−GPI−oxLDL複合体は、LDL(100μg/ml)とβ2−GPI(100μg/ml)とを、37℃におけるCu2+(5μM)酸化の過程で、同時にインキュベートすることによって形成され、β2−GPI−oxLDL複合体(apoB相当で2.5μg/ml)はELISAによって検出された。ELISAは、ヘパリン(100単位/ml;黒四角印)若しくはMgCl(10mM;黒菱形印)の存在下、又は非存在下(白丸印)でも行った。データは、3つのサンプルの平均値+/−SDで示した。
図4は、oxLDL12h−β2−GPI16h複合体の安定性と、種々のpH条件におけるそのNaCNBH−還元型を示す図である。
oxLDL12h−β2−GPI16h複合体(apoB相当で100μg/ml)を、PBS中で、200mM NaCNBHを用い、pH7.4で16時間処理することによって還元した。還元されていない、又は還元された複合体は、10mM MgClの非存在下又は存在下、図示したpH条件下で、37℃、16時間インキュベートした。300ng/mlのLDL(apoB相当)を含有するこの調製物中のβ2−GPI−oxLDL複合体をELISAによって測定した。データは、3つのサンプルの平均値+/−SDで示した。
図5は、患者の血清中に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体を示す図である。
(A):ネイティブなLDL(nLDL)−β2−GPI16h(ネイティブなLDLとβ2−GPIを37℃で16時間インキュベートした反応混合物;ネガティブコントロール)(apoB相当で300ng/ml)、oxLDL12h−β2−GPI16h(300ng/ml)又は100倍希釈したβ2−GPI−oxLDL複合体陽性の血清を、ヘパリン(100単位/ml)若しくはMgCl(10mM)の存在下、又は非存在下でインキュベートした。
(B):β2−GPI−oxLDL複合体陽性の血清を、MgCl〔10mM〕存在下、pH10、37℃で16時間プレインキュベートし、ELISAを行った。データは、2つのサンプルの平均値で示した。
図6は、ELISAで検出されたβ2−GPI−oxLDL複合体の血清レベルを示す図である。
健常人、原発性のAPS(PAPS)、SLEを伴うAPS(第2期のAPS)又はAPSを伴わないSLEの患者から採取した血清を100倍希釈し、β2−GPI−oxLDL複合体を検出した。カットオフ値(1U/ml)は、50人の健常人の平均値の標準偏差の3倍となるように調整した。図中の数字は、各群における平均値を示す。
図7は、3つの異なるELISA系で検出されたβ2−GPI関連IgG抗体の抗体価の相互関係を示す図である。
(A):「β2−GPI依存性IgG a CL(抗β2−GPI−CL IgG抗体)」と「抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体」との関係。
(B):「抗β2−GPI IgG抗体(β2−GPIでコートしたポリ酸素化プレートを用いたELISAで検出)」と「抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体」との関係。
図8は、IgG抗体価とIgG免疫複合体レベルとの相互関係を示す図である。
(A):「抗β2−GPI IgG抗体」と「β2−GPIとのIgG免疫複合体(IC)」との関係。
(B):「抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体」と「LDLとのIgG免疫複合体」との関係。
(C):「β2−GPIとのIgG免疫複合体」と「LDLとのIgG免疫複合体」との関係。
図9は、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」のELISAによる検出結果を示す図である。(A)β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体の血清レベルを示す図。(B)「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」と「抗β2−GPI IgG抗体」との関係。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明スタンダード
<1>−1 本発明スタンダード1
本発明スタンダード1は、oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体を成分とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードである。
本発明スタンダード1を構成する「oxLDL」は、LDLを酸化させることによって調製することができる。酸化の方法は特に限定されないが、Cu2+とともにインキュベートする方法が例示され、かつ好ましい。例えば、LDLを5μM程度のCuSOとともに37℃程度の温度でインキュベートすることによって、LDLを酸化させることができる。この場合、酸化反応を停止させるためにはEDTA等のキレート剤を添加すればよい。この方法の具体例は、後述の実施例を参照されたい。
また、本発明スタンダード1を構成する「β2−GPI」は、哺乳動物の血清等から取得することもでき、遺伝子工学的手法によって生産させることもできる。「β2−GPI」の由来は特に限定されないが、測定に付される「検体」が採取された動物種と同一の動物種由来のものが好ましい。例えば、測定に付される検体がヒトの血清である場合には、ヒト由来のβ2−GPIを用いることが好ましい。
本発明スタンダード1は、このような「oxLDL」と「β2−GPI」とが共有結合した複合体を成分とするものである。両者を共有結合させる方法は特に限定されず、公知の手法から適宜選択することができる。
このような方法で「oxLDL」と「β2−GPI」とを共有結合させることにより、これら両者が難解離性の複合体を形成する。本発明スタンダード1は、このような「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードとしたものである。
本明細書における「測定」との用語は、ある物質を定量的に測定することのみならず、定性的に検出すること(ある物質の存否を検出すること)をも含む概念である。
本明細書における「スタンダード」との用語は、ある物質の測定の際に用いる「標準物質」を意味する。すなわち、ある物質Aについて定量的又は定性的な測定を行う際には、基準となる当該物質A(標準物質)が必要になる。例えば、検体中の物質AをODによって定量的に測定する場合には、所定の濃度に調製した物質A(標準物質)についてODを測定し、この標準物質のOD値と、検体のOD値を比較することによって検体中の物質Aの濃度を求めることができる。また例えば、検体中における物質Aの存否を判定する場合(物質Aを定性的に測定する場合)には、物質A(標準物質)の物理化学的性質や生物学的性質(例えば抗原性等)を基準とし、これと同一の性質を示す物質の存否を指標として、検体中における物質Aの存否を判定(物質Aを定性的に測定)することができる。このような測定において用いる「標準物質」は、本明細書における「スタンダード」の典型例である。
本発明スタンダード1は、「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を成分とする限りにおいて、さらに他の成分を含んでいてもよい。ここにいう「他の成分」は、「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」自体の物理化学的性質や生物学的性質(例えば抗原性等)に影響を与えず、かつ、当該複合体のスタンダードとしての機能の発揮を阻害しないものである限りにおいて特に限定されない。ここにいう「他の成分」としては、通常の試薬の調製に用いられる賦形剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等が例示される。
また、本発明スタンダード1の形態も、スタンダードとして使用する際に所望の形態となしうる限りにおいて特に限定されず、例えば溶液、凍結物、凍結乾燥物等の形態を採用しうる。これを、アンプル、バイアル、シリンジ、ボトル等の適当な容器に充填し、そのまま流通させあるいは保存して、測定の際にスタンダードとして用いることができる。
<1>−2 本発明スタンダード2
本発明スタンダード2は、「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」を成分とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードである。
本発明スタンダード2における「oxLDL」及び「β2−GPI」についての説明は、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
本発明スタンダード2は、このようなoxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体を成分とするものである。「得られうる」としたのは、本発明スタンダード2の成分であるβ2−GPI−oxLDL複合体は、「oxLDLとβ2−GPIとを37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって実際に得られた物」に限られるわけではなく、これと異なる方法によって得られた複合体であっても良いという趣旨である。したがって、異なる方法で得られたβ2−GPI−oxLDL複合体が、「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって実際に得られたβ2−GPI−oxLDL複合体」と物質的に同一と評価される場合には、当該異なる方法で得られたβ2−GPI−oxLDL複合体も、本発明スタンダード2の成分として採用することができる。
また、本発明スタンダード2の成分である「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」は、以下の(a)及び(b)の性質を有するものが好ましい。
(a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
(b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
上記(a)及び(b)の性質を有するβ2−GPI−oxLDL複合体は、少なくとも、oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得ることができる。しかし前記した通り、本発明スタンダード2の成分として用いることができるβ2−GPI−oxLDL複合体は、この方法によって実際に得られた物に限定されるわけではなく、これと異なる方法によって得られた複合体であっても良い。
本発明スタンダード2は、このようなβ2−GPI−oxLDL複合体を、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定するためのスタンダードとしたものである。
本発明スタンダード2は、このようなβ2−GPI−oxLDL複合体を成分とする限りにおいてさらに他の成分を含んでいてもよい点、「他の成分」として用いることができるものについての説明や例示等は、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
また、本発明スタンダード2の形態等に関する説明等も、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
本発明スタンダードを用いた測定に付される検体は、β2−GPI−oxLDL複合体の測定が必要とされているものであれば特に限定されない。また検体は、β2−GPI−oxLDL複合体について精製されていなくてもよい。検体としては生体由来のものが好ましく、生体由来の検体として具体的には、血液(本明細書では、血清及び血漿を含む概念として用いる)等が例示される。血液をそのまま用いてもよく、これを希釈したものや、サンプル中のβ2−GPI−oxLDL複合体に影響を与えない限りにおいてこれを加工したものであってもよい。
<2>本発明測定方法1
本発明測定方法1は、本発明スタンダードを用いることを特徴とする、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定方法である。
ここにいう「本発明スタンダード」は、本発明スタンダード1であっても2であってもよい。これらの説明は前記の通りである。
本発明測定方法1は、本発明スタンダードを用いる限りにおいて、その具体的な方法は限定されない。具体的な方法の一例として、例えば抗体を用いた免疫学的な測定手法(ELISA法(サンドイッチ法、競合法、阻害法等)、イムノブロッティング、凝集法等)が例示される。
生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体におけるoxLDLとβ2−GPIとの結合の大部分は共有結合、又は少なくとも静電的な結合力を上回る強い結合を形成していること、及び静電的な結合をしているものも多少量存在していることが本発明者によって見出されている。そして共有結合している複合体と、静電的な結合をしている複合体とでは、物理化学的性質や生物学的性質(例えば抗原性等)が若干異なることが、本発明者により確認されている。
したがって、検体中に存在する「静電的な結合により形成されているβ2−GPI−oxLDL複合体」におけるoxLDLとβ2−GPIとを、予め全て共有結合させておけば、検体中に存在する全ての複合体(共有結合したもの、及び静電的な結合をしたもの)を、より正確に測定することができる点で好ましい。すなわち本発明測定方法1は、検体中の「oxLDL」と「β2−GPI」とを共有結合させるステップを少なくとも含むことが好ましい。共有結合させる方法についての説明は、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
また、前記の「本発明スタンダード2」で説明した通り、oxLDLとβ2−GPIとをpH7.4のようなpH3〜9の条件下でインキュベートすることによって、oxLDLとβ2−GPIとの間に、下記(a)及び(b)の性質を有する結合を形成させることができる。
(a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
(b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
したがって、検体中に存在する「静電的な結合により形成されているβ2−GPI−oxLDL複合体」を、予め全て上記(a)及び(b)の性質を有する結合にさせておけば、検体中に存在する全ての複合体(上記(a)及び(b)の性質を有する結合をしたもの、及び静電的な結合をしたもの)を、より正確に測定することができる点で好ましい。すなわち本発明測定方法1は、検体中の「oxLDL」と「β2−GPI」とを、予めpH3〜9の条件下でインキュベートするステップを少なくとも含むことが好ましい。具体的には、pH7.4程度を例示することができる。
なお、上記(a)及び(b)の性質を有する結合は、Schiff(シッフ)塩基の形成によるものと考えられ、この反応は酸触媒で進行する。従って、インキュベート時のpHは中性〜酸性であることが好ましい。ただし、強酸性条件下ではタンパク質の変性が起こることから好ましくない。
インキュベート時の温度は、oxLDLやβ2−GPIの機能を喪失しない程度である限りにおいて特に限定されないが、例えば37℃程度が例示される。また、インキュベートの時間も特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。一般にインキュベート時間が長いほど、前記の結合をより完全に形成させることができる。
また、検体中に存在する「静電的な結合により形成されているβ2−GPI−oxLDL複合体」におけるoxLDLとβ2−GPIとを、予め全て解離させておけば、検体中に存在する、共有結合又は前記(a)及び(b)の性質を有する結合をした複合体のみを、より正確に測定することができる点で好ましい。すなわち本発明測定方法1は、検体中の「『oxLDL』と『タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、アミノ糖又はアミノ脂質』とが静電的に結合した複合体」を解離させるステップを少なくとも含むことが好ましい。解離させる方法・条件等については、静電的に結合した複合体のみを解離し、共有結合又は前記(a)及び(b)の性質を有する結合をした複合体を解離しないものである限りにおいて特に限定されないが、ヘパリンや、MgCl、CaCl等の塩の存在下で複合体をインキュベートする方法が例示される。これらの物質の濃度、インキュベート時の温度、インキュベートの時間等は、静電的に結合した複合体のみを解離し、共有結合又は前記(a)及び(b)の性質を有する結合をした複合体を解離しない範囲において、当業者が適宜設定することができる。例えば、インキュベートの温度としては37℃程度が例示される。またインキュベートの時間は、一般に長いほど前記の複合体の成分をより完全に解離することができる。
なお、「検体」の意義については、「本発明スタンダード」における説明と同様である。
<3>本発明検出方法1
本発明検出方法1は、本発明測定方法1を用いて検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定し、測定された「検体中の当該複合体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法である。
本発明検出方法1においては、まず本発明測定方法1によって検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を測定する。本発明測定方法1についての説明は前記の通りである。ここで用いる「検体」は、疾患の検出対象となる動物の生体由来のものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、血液等が例示される。「検体」に関するその他の説明は、前記の「本発明スタンダード」における説明と同様である。
本発明検出方法1においては、次いで、本発明測定方法1を用いて測定された「検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体」と疾患とを関連づけることにより疾患を検出する。
前記の通り、本明細書における「測定」との用語は、定量的な測定のみならず、定性的な検出(存否の検出)をも含む概念である。したがって、ここにいう「測定された『検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体』」は、検体中の当該複合体の「量」(定量的な測定結果)であっても「存否」(定性的な測定結果)であってもよい。また「量」については、濃度既知の本発明スタンダードを用いて作成した検量線や関係式等から求めた量(実測値)であっても良く、健常動物(疾患に罹患していない動物)に対する比(相対値)であっても良い。
そして、β2−GPI−oxLDL複合体の量はある種の疾患によって増加することから、検体中の当該複合体量が健常人のそれに比して多い場合には、「疾患に罹患している」もしくは「疾患に罹患している可能性が高い」と関連づけることができる。検体中の当該複合体量が健常人のそれと同等であれば、「疾患に罹患していない」もしくは「疾患に罹患している可能性は低い」と関連づけることができる。
また本発明検出方法1は、疾患への罹患の有無のみでなく、罹患の程度の検出も含まれる。例えば、ある個人の検体中の当該複合体量を定期的に測定し、当該複合体量が増加傾向にある場合には「疾患が進行している」もしくは「疾患が進行している可能性が高い」と関連づけることができる。逆に、測定された当該複合体量が減少傾向にある場合には、「疾患が改善方向にある」もしくは「疾患が改善方向にある可能性が高い」と関連づけることができる。また測定された当該複合体量に変化がない場合には、「疾患の程度(または健常性)に変化がない」もしくは「疾患の程度(または健常性)に変化がない可能性が高い」と関連づけることができる。
本発明検出方法1によって検出される「疾患」は、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい。
<4>本発明キット1
本発明キット1は、本発明スタンダードを構成成分として含むことを特徴する、検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体の測定キットである。ここにいう「本発明スタンダード」は、本発明スタンダード1であっても2であってもよい。これらの説明は前記の通りである。
また本発明キット1は、本発明スタンダードを構成成分として含んでいる限りにおいて、さらに他の構成成分を含んでいてもよい。なかでも「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」をさらに構成成分として含むものが好ましい。
「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」も特に限定されないが、例えば抗β2−GPI自己抗体であるWB−CAL−1(IgG2a,κ)や、マウスモノクローナル抗ヒトapoB100抗体である1D2(IgG)等が例示される。
「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」は、標識物質で標識されていることが、検出が容易となることから好ましい。
また、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」自体が標識されていなくても、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」に結合する物質が標識されていてもよい。
このような標識に使用される標識物質としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光色素(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)など)、化学発光物質(ルミノールなど)、ビオチン、アビジン(ストレプトアビジンを含む)等が挙げられるが、通常タンパク質の標識に可能なものであれば、特に限定されない。標識方法は、標識物質に適した公知の方法、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エステル法等〔「タンパク質の化学(下)」、東京化学同人、1987年発行参照〕等から適宜選択することができる。例えば標識物質としてビオチンを使用する場合は、ビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook,p57−63,PIERCE CHEMICAL COMPANY,1994年発行参照)、またフルオレセインイソチオシアネートを使用する場合は特公昭63−17843号公報記載の方法等から適宜選択できる。
また標識物質の検出は、用いた標識物質に応じて当業者が適宜検出方法を選択することができる。例えば、標識物質としてペルオキシダーゼを使用した場合には、当該酵素の基質としてテトラメチルベンジジン、O−フェニレンジアミン等の発色基質および過酸化水素水を加え、酵素反応による生成物の発色の度合いを吸光度の変化で測定することにより検出を行うことができる。また、蛍光物質や化学発光物質を使用する場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を測定する方法等が挙げられる。
本発明キット1に加えうる他の構成成分としては、標識物質の検出試薬、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を標識する試薬等を例示することができる。これらの構成成分の他に、ブロッキング物質、洗浄液、検体希釈液、酵素反応停止液等を含んでいてもよい。
これらの構成成分は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時に本発明測定方法1に従って使えるキットとして保存しておくことができる。
本発明キット1を用いたβ2−GPI−oxLDL複合体の測定は、本発明測定方法1に従って行うことができる。
また本発明キット1は、疾患の検出に用いられるものが好ましい。本発明キット1を用いて検出される「疾患」は、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい。本発明キット1を用いた疾患の検出は、本発明検出方法1に従って行うことができる。
ここで用いる「検体」は、疾患の検出対象となる動物の生体由来のものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、血液等が例示される。「検体」に関するその他の説明は、前記の「本発明スタンダード」における説明と同様である。
<5>本発明抗原
<5>−1 本発明抗原1
本発明抗原1は、「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を成分とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定するための抗原である。
本発明抗原1の成分である「oxLDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」についての説明は、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。また、本発明抗原1はこのようなβ2−GPI−oxLDL複合体を成分とする限りにおいてさらに他の成分を含んでいてもよい点、「他の成分」として用いることができるものについての説明や例示等も、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
また、本発明抗原1の形態等に関する説明等も、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。また「検体」の意義についても、「本発明スタンダード」における説明と同様である。
<5>−2 本発明抗原2
本発明抗原2は、「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」を成分とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定するための抗原である。
本発明抗原2の成分である「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」についての説明は、前記の「本発明スタンダード2」における説明と同様である。したがって、本発明抗原2における「oxLDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうるβ2−GPI−oxLDL複合体」は、以下の(a)及び(b)の性質を有するものが好ましい。
(a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
(b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成するoxLDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
上記(a)及び(b)の性質を有するβ2−GPI−oxLDL複合体の製造方法についても、前記の「本発明スタンダード2」における説明と同様である。
また、本発明抗原2はこのようなβ2−GPI−oxLDL複合体を成分とする限りにおいてさらに他の成分を含んでいてもよい点、「他の成分」として用いることができるものについての説明や例示等は、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。
また、本発明抗原2の形態等に関する説明等も、前記の「本発明スタンダード1」における説明と同様である。また「検体」の意義についても、「本発明スタンダード」における説明と同様である。
本発明抗原を用いた測定の対象となる「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」は特に限定されないが、自己抗体や、本発明キット1で説明した抗体等が例示される。
本発明抗原は、いずれも「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」と結合することから、この特性を利用して「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定に用いることができる。
<6>本発明測定方法2
本発明測定方法2は、本発明抗原を用いることを特徴とする、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定方法である。
ここにいう「本発明抗原」は、本発明抗原1であっても2であってもよい。これらの説明は前記の通りである。
本発明測定方法2は、本発明抗原を用いる限りにおいて、その具体的な方法は限定されない。具体的な方法の例については、前記の「本発明測定方法1」における例と同様である。ただし本発明測定方法2においては、本発明抗原を固相に固着させて用いることが好ましい。すなわち本発明測定方法2は、後述の「本発明固相」を用いた方法であることが好ましい。
「検体」の意義についは、「本発明スタンダード」における説明と同様である。また「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」については、前記の「本発明抗原」における説明と同様である。
<7>本発明検出方法2
本発明検出方法2は、本発明測定方法2を用いて検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定し、測定された「検体中の当該抗体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法である。
本発明検出方法2においては、まず本発明測定方法2によって検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を測定する。本発明測定方法2についての説明は前記の通りである。ここで用いる「検体」は、疾患の検出対象となる動物の生体由来のものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、血液等が例示される。「検体」に関するその他の説明は、前記の「本発明スタンダード」における説明と同様である。
本発明検出方法2においては、次いで、本発明測定方法2を用いて測定された「検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」と疾患とを関連づけることにより疾患を検出する。
ここにいう「測定された『検体中のβ2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』」とは、前記の「本発明検出方法1」における説明と同様に、検体中の当該抗体の「量」(定量的な測定結果)であっても「存否」(定性的な測定結果)であってもよい。
また「量」が、実測値であっても相対値であっても良い点についても、前記の「本発明検出方法1」における説明と同様である。
「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の量はある種の疾患によって増加することから、検体中の当該抗体量が健常人のそれに比して多い場合には、「疾患に罹患している」もしくは「疾患に罹患している可能性が高い」と関連づけることができる。検体中の当該抗体量が健常人のそれと同等であれば、「疾患に罹患していない」もしくは「疾患に罹患している可能性は低い」と関連づけることができる。
本発明検出方法2が、疾患への罹患の有無のみでなく、罹患の程度の検出も含まれる点、及び、本発明検出方法2によって検出される「疾患」が、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい点についても、本発明検出方法1と同様である。
<8>本発明固相
本発明固相は、本発明抗原が固着された固相である。
ここにいう「本発明抗原」は、本発明抗原1であっても2であってもよい。これらの説明は前記の通りである。
本発明抗原を固着するために用いる固相は、本発明抗原を固着させることができ、かつ、水、検体または測定反応液に不溶性である限りにおいて特に限定されない。固相の形状としては、プレート(例えばマイクロプレートのウェル等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル等を例示することができる。固相の材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド等が例示される。
これらの中でも、ポリスチレンを材質としたプレートが好ましい。
これらの固相に本発明抗原を固着させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法等、タンパク質や脂質の一般的な固着方法を利用することができる。
これらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡便かつ頻用されていることから好ましい。
物理的吸着法として具体的には、例えば本発明抗原を緩衝液等に溶解し、この溶液を固相(例えばマイクロプレート)に接触させることによって、本発明抗原を固相に吸着させる方法を挙げることができる。
また、本発明抗原を固着させた固相の表面には、これらが固着していない表面部分が残存している場合があり、そこに検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」や他の分子種が固着すると正確な測定結果が得られなくなるおそれがある。よって、検体を固相と接触させる前にブロッキング物質を添加して本発明抗原が固着していない部分を被覆しておくことが好ましい。このようなブロッキング物質としては、血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等が挙げられ、また、ブロッキング物質として市販されているものを使用することもできる。
ブロッキングの方法として具体的には、例えばブロッキング物質(血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等)を添加して、37℃程度で30分〜2時間保存するか、常温(15〜25℃)で1〜2時間保存する方法を挙げることができる。
<9>本発明キット2
本発明キット2は、本発明固相を構成成分として含むことを特徴する、検体中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定キットである。
また本発明キット2は、本発明固相を構成成分として含んでいる限りにおいて、さらに他の構成成分を含んでいてもよい。なかでも「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」に結合する物質をさらに構成成分として含むものが好ましい。
「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」は、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」に結合するものである限りにおいて特に限定されないが、「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」(免疫グロブリン)が由来する動物又はクラス等に応じた、その免疫グロブリンに特異的に結合する抗体等が例示される。例えば「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」がマウス由来のIgG1である場合には、「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」として抗マウスIgG1抗体を用いることができる。
このような「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」は、標識物質で標識されていることが、検出が容易となることから好ましい。
また、「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」自体が標識されていなくても、「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」に結合する物質が標識されていてもよい。
このような標識に使用される標識物質の説明、及び標識物質の検出についての説明は、前記の「本発明キット1」における説明と同様である。
本発明キット2に加えうる他の構成成分としては、標識物質の検出試薬、「『β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体』に結合する物質」を標識する試薬等を例示することができる。これらの構成成分の他に、ブロッキング物質、洗浄液、検体希釈液、酵素反応停止液等を含んでいてもよい。
これらの構成成分は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時に本発明測定方法2に従って使えるキットとして保存しておくことができる。
また本発明キット2を用いた「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の測定は、本発明測定方法2に従って行うことができる。
また本発明キット2は、疾患の検出に用いられるものが好ましい。本発明キット2を用いて検出される「疾患」が、APS、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化(脳梗塞、心筋梗塞など)及び糖尿病からなる群から選ばれるものが好ましい点については、前記の「本発明キット1」と同様である。
また本発明キット2を用いた疾患の検出は、本発明検出方法2に従って行うことができる。
ここで用いる「検体」は、疾患の検出対象となる動物の生体由来のものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、血液等が例示される。「検体」に関するその他の説明は、前記の「本発明スタンダード」における説明と同様である。
<10>本発明測定方法3
本発明測定方法3は、「β2−GPIを認識する抗体」及び/又は「LDLを認識する抗体」、並びに抗IgG抗体を用いることを特徴とする、検体中の免疫複合体の測定方法である。
本発明測定方法3により、β2−GPI又はLDLと共に形成されたIgG免疫複合体を検出することができる。
「β2−GPIを認識する抗体」は特に限定されないが、Cof−23が好ましい。また「LDLを認識する抗体」も特に限定されないが、抗apoB100抗体(1D2)が好ましい。また「抗IgG抗体」も特に限定されず、免疫複合体を構成するIgG(免疫グロブリンG)が由来する動物又はクラス等に応じた、そのIgGに特異的に結合する抗体が例示される。例えば免疫複合体を構成するIgGがヒト由来である場合には、抗IgG抗体として抗ヒトIgG抗体を用いることができる。
これらの抗体は、固相に固着されたものが好ましい。ここで用いることができる固相は、前記の「本発明固相」と同様である。また「検体」の意義については、「本発明スタンダード」における説明と同様である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、本実施例中の[]内の数字は、後述の引用文献の番号を示す。
まず、本実施例で用いた材料や方法等を説明する。
(1)モノクローナル抗体
Cof−22(IgG1,κ)及びCof−23(IgG1,κ):抗ヒトβ2−GPI抗体である。ヒトβ2−GPIで免疫したBALB/cマウスから確立された抗体である[文献2]。いずれも溶液中でモノメリックなβ2−GPIに結合する。
WB−CAL−1(IgG2a,κ):抗β2−GPI自己抗体である。WB F1マウス由来の抗体である[文献8]。
EY2C9(IgM):抗β2−GPI自己抗体である。APS患者の末梢血リンパ球から確立された抗体である[文献9]。
WB−CAL−1及びEY2C9は、いずれも「陰性に荷電したPLsと複合体を形成したβ2−GPI」又は「oxLDLと複合体を形成したβ2−GPI」にのみ結合し、溶液中でモノメリックなβ2−GPIには結合しない。
1D2(IgG):マウスモノクローナル抗ヒトapoB100抗体である。oxLDLとネイティブなLDLのいずれにも結合する。ヤマサ醤油株式会社より入手した。
(2)ヒトβ2−GPIの調製
β2−GPIは、健常人の血漿から[文献10]に記載の方法に準じて精製した。プールした健常人の血漿は、ヘパリン−セファロースカラム、DEAE−セルロースカラム、及び抗β2−GPIアフィニティーカラムを用いて精製した。種々のIgGによるコンタミネーションを除去するために、β2−GPIリッチな画分をさらにプロテインA−セファロースカラムに通した。最終的なβ2−GPI画分は、n−ブタノールで十分に洗浄することによって脱脂した。
(3)LDLの単離及び酸化
LDL(d=1.019〜1.063g/ml)は、[文献11]に記載の方法に従って、新鮮な健常人血漿を超遠心することによって単離した。単離したLDLを100μg/mlに調整し、5μM CuSO(10mM Hepes、150mM NaCl、pH7.4(Hepes緩衝液))とともに37℃で種々の時間インキュベートすることによって酸化した。EDTA(終濃度1mM)を添加することによって酸化を停止させ、このLDLを1mM EDTAを含有するHepes緩衝液に対して透析した。酸化の程度はチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)値[文献12]によって評価した。
(4)9−カルボキシノナノエートのオキシステロール誘導体の合成
7−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(oxLig−1)は、[文献7]に記載の方法によって合成した。22−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(9−COOH−22KC)も同様に合成した。すなわち、22−ケトコレステロール(22−ketocholesterol;10mg、0.025mmol)とアゼライン酸(azelaic acid;14.1mg、0.075mmol)のアセトン溶液(1ml)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride;19.2mg、0.10mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(4−(dimethylamino)pyridine;6.1mg、0.80mmol)を添加した。混合液を室温で2日間攪拌し、濃縮して、クロロホルムで抽出した。抽出物を2M塩酸で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発させた。残存物を、トルエン/酢酸エチル(3/1、v/v)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにアプライし9−COOH−22KCを得た(8.5mg、収率61%)。H NMRで解析した結果は次の通りであった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:5.35(d,H,J 5.1Hz,H−6),4.59(m,H,H−3)
oxLig−1と同様に、9−COOH−22KCのH NMRスペクトルは、H−3のシグナルがδ=4.59ppmの位置に多重として検出された。この結果は、この位置のヒドロキシル基がエステル化されていることを示唆している。スペクトルが、より低い磁気領域(magnetic field)におけるH−6のオレフィンのプロトンのシグナルをも示すにもかかわらず、スピン−スピン・カップリングは隣接するメチレン基の間に観察された。9−COOH−22KCの分子量は、oxLig−1と同一であった。9−COOH−22KCはリーベルマン−ブルヒアルト反応;Lieberman−Burchard反応)に陽性であり、7位の結合ケトンが存在しないことが示された。
(5)薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上でのリガンドブロット分析
TLCリガンドブロットを行うために、脂質をポリグラム・シリカゲルG プレート(Polygram silica gel G plate;Machery−Nagel社製)にスポットし、クロロホルム/メタノール(8/1,v/v)で展開した。リガンドブロット分析は、[文献7]に記載の方法によって行った。すなわち、プレートを乾燥させ、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSでブロッキングした後、そのプレートをβ2−GPI及び抗β2−GPI抗体(Cof−22及びEY2C9)とともに1時間インキュベートした。次いで、そのプレートを西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識した抗マウスIgG抗体または抗ヒトIgM抗体で1時間インキュベートした。それぞれのステップの間で、プレートをPBSで十分に洗浄した。発色はHと4−メトキシ−1−ナフトール(4−methoxy−1−naphtol)を用いて行った。コントロールのTLCプレートにおいては、分離したリガンドをIの噴霧(Ivapor)で染色した。
(6)β2−GPI−oxLDL複合体を検出するためのELISA
抗β2−GPI抗体(WB−CAL−1)は、その8μg/ml溶液(Hepes緩衝液に溶解したもの;50μl/ウエル)をマイクロタイタープレート(Immulon 2HB、Dynex Technologies Inc.)に入れて4℃で一晩インキュベートすることによって吸着させた。このプレートを1%スキムミルクで1時間ブロッキングした。血清サンプル(100倍希釈したもの)またはβ2−GPI−oxLDL複合体若しくはoxLDLを含有する溶液をウエルに添加し(100μl/ウエル)、2時間インキュベートした。いくつかの実験については、このステップにおいて外来性のβ2−GPIを存在させた(25μg/ml)。次いで、ウエルをビオチン標識した抗apoB100抗体(1D2)と共に1時間インキュベートし、HRP標識したアビジンで30分間インキュベートした。発色は、o−フェニレンジアミンおよびHを用いて行った。発色反応を2Nの硫酸を添加することによって停止させ、490nmのODを測定した。これらのステップの間で、0.05%Tween20を含有するHepes緩衝液で十分に洗浄した。個々のアッセイにおけるサンプルの吸光度(OD)をブランクのウエルにおける平均ODで補正した。1.0ユニット/mlを、50人の健常人の血清サンプルの平均値の標準偏差の3倍となるように調整した結果、1.0ユニット/mlのoxLDL12h−β2−GPI16h複合体は、apoBで約4.5μg/mlに相当した。反応性が1.0ユニット/mlを上回ったサンプルを陽性とした。
(7)抗β2−GPI−脂質IgG抗体を検出するためのELISA
CL(ウシ心臓由来;シグマ社製)、oxLig−1又は9−COOH−22KC(50μg/mlエタノール、50μl/ウエル)をエバポレーションによってポリスチレンプレート(Immulon 1B;Dynex Technologies Inc.)に吸着させ、このプレートを1%BSAでブロックした。ウエル中で、精製したモノクローナル自己抗体又は血清サンプル(100倍希釈したもの)をβ2−GPI(25μg/ml)の存在下又は非存在下で1時間インキュベートし、次いでHRP標識した抗マウスIgG又は抗ヒトIgG若しくはIgMを添加した。
その後のステップは「β2−GPI−oxLDL複合体を検出するためのELISA」に記載された方法で行った。個々のサンプルの吸光度(OD)をブランクのウエルにおける平均ODで補正し、その抗体価を体内の陽性スタンダードで算出した。サンプル中の抗体価が、50人の健常人の血漿サンプル中の平均値の標準偏差の3倍を上回る場合に陽性とした。
(8)抗β2−GPI IgG抗体を検出するためのELISA
抗β2−GPI IgG抗体を検出するためのELISAは、[文献1]に記載の方法によって行った。すなわち、β2−GPIをポリ酸素化したポリスチレンプレート(カルボキシル化、Sumilon C、住友ベークライト社(Sumitomo Bakelite Co.,Ltd.))に10μg/ml(50μl/ウエル)入れて、4℃で一晩インキュベートすることによって吸着させ、このプレートを3%ゼラチンを用いてブロッキングした。血清サンプルを100倍希釈し、ウエル中で1時間インキュベートした。次いでHRP標識した抗ヒトIgGをプレートに添加した。その後のステップは「β2−GPI−oxLDL複合体を検出するためのELISA」に記載された方法で行った。
(9)IgG免疫複合体を検出するためのELISA
β2−GPI又はLDLと共に形成されたIgG免疫複合体を検出するために、抗β2−GPI抗体(Cof−23)又は抗apoB100抗体(1D2)を、ポリスチレンプレート(Immulon 1B)にそれぞれ5μg/ml(50μl/ウエル)入れ、4℃で一晩インキュベートすることによって吸着させた。次いでプレートを1%BSAでブロックした。血清サンプル(100倍希釈したもの)をウエル中で1時間インキュベートし、次いでHRP標識した抗ヒトIgGを添加した。その後のステップは「β2−GPI−oxLDL複合体を検出するためのELISA」に記載された方法で行った。
(10)「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を検出するためのELISA
oxLDL12h−β2−GPI16h複合体(10ug/ml、50ug/ウエル)をポリスチレンプレート(Immulon 1B)のウエル中で4℃、一晩インキュベートした後、1%BSAを含有するPBSでブロッキングした。次いで0.3%BSAを含有するPBSで100倍希釈した血清サンプルをウエルに入れ、1時間反応させた後、HRP標識した抗ヒトIgGで1時間反応させた。常法の通り、o−フェニレンジアミンおよびHを加えて発色させ、硫酸で反応を停止した後、490nmの吸光度を測定した。
(11)統計解析
統計解析は、StatViewソフトウエア(Abacus Concepts社)を用いて行った。自己抗体と臨床履歴を比較する場合には、Fisher’s exact検定を用いた。信頼率95%の信頼区間(C.I.)は、Woolfの方法によって算出した。
(12)血清サンプル
本実施例で用いた血清サンプルが由来する患者の構成を表1に示す。
Figure 2004023141
結果
(1)β2−GPI結合リガンドとしての7−ケトンの役割
ケトンの位置が異なる2つのω−カルボキシルオキシステロールエステルの変異体(7−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(7−ketocholesteryl−9−carboxynonanoate;oxLig−1)及び22−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(22−ketocholesteryl−9−carboxynonanoate;9−COOH−22KC)のβ2−GPIに対する結合を比較するため、抗β2−GPI抗体をプローブとして用いたリガンドブロット及びELISAを行った。Cof−22抗体及びEY2C9抗体を用いて検出したリガンドブロットにおいては、β2−GPIは7−ケト変異体(oxLig−1)に優先的に結合し、9−COOH−22KCには結合しなかった(図1)。リガンドをコートしたプレートを用いたELISAにおいて、抗β2−GPI抗体(Cof−22、WB−CAL−1又はEY2C9)を用いて検出した結果、β2−GPIは、固相化された9−COOH−22KCよりも、固相化されたoxLig−1により強く結合した(表2)。これらのデータは、コレステロール骨格の7位のケトンが、β2−GPIとそのリガンドである「Cu2+−oxLDLに由来するoxLig−1」との間の高親和性の相互作用に必須の決定基であることを示している。
Figure 2004023141
(2)β2−GPIと「Cu2+を介する酸化を受けたLDL」との相互作用
LDL(100μg/ml)を、5μMのCuSOとともに37℃で12時間インキュベートすることによって酸化し(これによって得られたoxLDLを「oxLDL12h」という)、EDTAを添加することによって酸化を停止させた。β2−GPI−oxLDL複合体を検出するELISAによって調べた結果、ウエル中でoxLDL12hを外来性のβ2−GPIとインキュベートした場合に限ってODが増加した。複合体の形成は、β2−GPIとoxLDLの両方の濃度に依存した(図2A、B)。有意な複合体形成は、oxLDL12hを用いた場合にのみ起こり、ネイティブなLDLでは起こらなかった。PH7.4における複合体形成は、ヘパリン又はMgClの存在下でほぼ完全にうち消された(図2C)。この阻害は、CaClの存在下においても同様に観察された(データは示さない)。これらのデータから、β2−GPIは、oxLDL12hと、まず解離可能な非共有的な複合体を形成しうることが示された。これに対して、oxLDL12hをβ2−GPIとともにpH7.4、37℃で16時間インキュベートすると、oxLDLとβ2−GPIとの比較的安定な複合体が一致して観察された(oxLDL12h−β2−GPI16h)。ヘパリン又はMgClをpH7.4の下で添加しても、oxLDL12h−β2−GPI16hの複合体形成を崩壊させることはできなかった(図2D)。
このプロセスをさらに調べるために、種々の経時的な実験を行った。図3Aは、CuSO処理したLDLにおける、TBARSの時間に依存した生成を示す図である。37℃でCu2+イオンに暴露したLDL調製物では速やかにTBARSが生成し、そのピークは4時間目で検出された。これに対し、β2−GPIとの結合を生じさせるLDLの酸化は、少し遅延して進行し、約12時間後に最高レベルに達した(図3B)。この複合体形成は、ヘパリン又はMgClの添加によってほぼ完全に阻害された。これらのデータは、β2−GPIはCu2+−oxLDLに結合するが、「MDAで修飾されたLDL」には結合しないという従来の知見[文献6]とも一致する。
予め形成されたoxLDL12hを、β2−GPIと共に4℃又は37℃条件下で、種々の時間インキュベートした(それぞれの終濃度は100μg/ml及び100μg/ml)(図3C)。β2−GPI−oxLDL複合体の形成は、温度及び時間に依存的であった。この複合体は、ヘパリン又はMgClを添加して、pH7.4の条件下でインキュベートしても解離しなかった。図3Dは、β2−GPIとoxLDLとの間の安定な相互作用が、たとえβ2−GPIの存在下であってもCu2+による酸化のプロセスの間に生成されることを示す図である。
(3)種々のpHにおける、in vitroのβ2−GPI−oxLDL複合体の安定性
安定な複合体が中性pHにおいて出現し、これはおそらくβ2−GPIのリジン残基とε−アミンと、Cu2+を介したoxLDL上で酸化的に生成したアルデヒドとの間に形成されたシッフ塩基付加物であると考えられる。これを確認するために、塩基性pH条件下で、非還元の、又はNaCNBH還元した複合体の安定性を解析した。図4に示す通り、MgClの非存在下で、調べた範囲のpH条件下においては、還元化したoxLDL12h−β2−GPI16h複合体の解離は観察されなかった。MgClの存在下では、pH10において82%の非還元の複合体が解離し、69%の還元化した複合体が解離した。この現象は、その付加物がシッフ塩基ではないこと、又はシッフ塩基であったとしてもそれがNaCNBHに接し得ない環境(例えば、疎水性ポケット)にあることを示している。
(4)患者の血清中に存在する、解離できないβ2−GPI−oxLDL複合体
APS及び/又はSLE患者の血清サンプルを、高レベルのβ2−GPI−oxLDL複合体が存在するか否かについてスクリーニングした。β2−GPI−oxLDL複合体は、まず20個の血清サンプルから同定された。この群は、2.1〜13.7ユニット/ml(平均濃度:4.48ユニット/ml(カットオフ値:1.0ユニット/ml))という高濃度の血清複合体を示した。図5に示すように、ネイティブなLDLは、β2−GPIとともに37℃で16時間インキュベートしても複合体を形成しなかった。これに対し、oxLDL12h−β2−GPI16h複合体は、pH7.4の条件下で、ヘパリンやMgClが存在しても安定である。pH7.4における5つの血清サンプルにおいて検出されたoxLDL−β2−GPI複合体においても、典型的な結合パターンが見られた。20の全てのサンプルにおいて、in vivoで形成された複合体は、中性pHにおいて、ヘパリンやMgClが存在していても安定であった(ヘパリン及びMgClの存在下におけるODは、コントロールの条件に対して、それぞれ121+/−25.1%及び128+/−13.6%であった)。血清サンプル中に存在する、前段階で形成した複合体は、MgClとともにpH10、37℃で16時間インキュベーション(この条件は、in vitroで形成した複合体を解離させることができる)した後にも一貫して見られた(104+/−10.9%)(図4)これらのことから、解離不能な、共有的な付加物が、in vivoにおいてβ2−GPIとoxLDLとの間に形成されていると考えられる。また、今回の実験で見られたin vitro付加物は、解離不能な複合体形成の中間産物であると考えられる。
(5)β2−GPI−oxLDL複合体とその自己抗体の臨床的有意性
ELISAにおいて、apoB相当で10ng/ml〜1.25μg/mlを範囲とするoxLDL12h−β2−GPI16h複合体の見かけの検量線を作成した。このELISAは、用いたWB−CAL−1抗体がoxLDLと複合体を形成したβ2−GPIに高い特異性を有していることから、血清サンプル中に高濃度に存在する内在性の、かつ単量体のβ2−GPIによっては、影響を受けなかった。この実験では、β2−GPI−oxLDL複合体は、原発性のAPS、SLEを伴うAPS(第2期のAPS)及びAPSを伴わないSLEにおいて、それぞれ58.7%(27/46)、54.1%(20/37)及び56.8%(25/44)の患者で見られた(図6)。さらに、慢性腎炎(腎臓生検により診断された)では18.6%(16/86)の患者においてこの複合体が陽性であった。
抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体は、原発性のAPS、SLEを伴うAPS(第2期のAPS)及びAPSを伴わないSLEにおいて、それぞれ71.7%(33/46)、59.5%(22/37)及び11.4%(5/44)の患者で見られた。
127人からなるこの群の患者における抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体の抗体価は、β2−GPI依存性IgG a CL及び抗β2−GPI IgG抗体のいずれの抗体価とも強く相関していた(相関係数rは、それぞれ0.69及び0.81)(図7)。図8に示す通り、「抗β2−GPI IgG抗体」と「β2−GPIを含有するIgG免疫複合体」との間(r=0.50)(図8A);「抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体」と「β2−GPIを含有するIgG免疫複合体」との間(r=0.50)(図8B);及び「β2−GPIを含有するIgG免疫複合体」と「LDLを含有するIgG免疫複合体」との間(r=0.40)(図8C)において、良好な相関性が見られた。しかしながら、β2−GPI−oxLDL複合体のレベルと、これらの抗体の抗体価との間に、良好な相関性は見られなかった(データは示していない)。
これらの患者(127人のAPS及び/又はSLE患者)における抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体は、血栓症(動脈及び/又は静脈血栓症、動脈血栓症、及び静脈血栓症)や習慣流産(pregnancy morbidity)の履歴と有意な関連性が見られたが、血小板減少(thrombocytopnica)との間では見られなかった(表3)。動脈血栓症におけるアッセイのp値(期待値)、オッズ比、及び95%CIは、静脈血栓症、習慣流産及び血小板減少におけるものよりも良好であった。全ての患者を、β2−GPI−oxLDL複合体陽性群と陰性群に分け、抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体を統計学的に解析した。その結果、β2−GPI−oxLDL複合体陽性群においては、抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体と、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症及び習慣流産との間で、強い相関性が見られた。最も高い相関性は、動脈血栓症において見られた。
Figure 2004023141
(6)「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」の検出
血清中の「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」をELISAにより検出した。また「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」と「抗β2−GPI IgG抗体」との関係を調べた。結果を図9に示す。
考察
本発明者は、Cu2+によって生成するoxLDLへのβ2−GPI結合に関与する主要な脂質リガンドが、7−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(oxLig−1)のようなω−カルボキシル化された7−ケトコレステロールエステルであることを報告し、ω−カルボキシル基がβ2−GPIの認識に必須であることを示した[文献7]。In vitroでのβ2−GPIとCu2+−oxLDLとの相互作用は、初期の段階ではMg2+処理によって可逆的であるが、次第に解離のためにMg2+と高いpHを必要とする、より安定な相互作用に発展する。これに対して、oxLDLとβ2−GPIとの安定な、かつ解離できない複合体が、APS及び/又はSLE患者の血清サンプル中に見出された。さらに、これらの患者の血清から、LDLとβ2−GPIとを含有するIgG免疫複合体が検出され、また、血清のβ2−GPI−oxLDL複合体は動脈血栓症と関連することも示唆された。
泡沫細胞の形成は、初期のアテローム発生の特質とされており、LDLは泡沫細胞中に蓄積される脂質の主要なソースである。修飾されたLDLの、マクロファージのスカベンジャー受容体への結合は、調節されないコレステロールの蓄積に至り、アテローム硬化型の傷害の発生を伴う泡沫細胞の形成に至る。最近、私はCu2+−oxLDLへのβ2−GPI結合、及びマクロファージによる抗β2−GPI抗体を介するファゴサイトーシスを与える2つの主要なリガンドの構造を、7−ケトコレステリル−9−カルボキシノナノエート(7−ketocholesteryl−9−carboxynonanoate;oxLig−1)及び7−ケトコレステリル−12−カルボキシ(ケト)ドデカノエート(7−ketocholesteryl−12−carboxy(keto)dodecanoate;oxLig−2)と同定した[文献7]。
この研究では、リガンドのコレステロール骨格の7位に存在する結合ケトンがβ2−GPIへの高親和性結合に必須であり、22位に存在するケトンでは代替することができないことが示された(図1及び表2)
β2−GPIのドメインV中の、正に荷電した14個のアミノ酸残基からなるパッチ及び可動性のループは、CL、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びホスファチジルグリセロールのような両親媒性化合物と相互作用するために重要であることが報告されている[文献3−5]。β2−GPIのこの結合領域が、oxLDLとの相互作用にも関係していることも報告されている[文献13]。リガンドの結合ケトンは、ω−カルボキシル基とともに親水性のスペースに配向し、β2−GPIに特異的に結合するものと考えられる。一般に、結合ケトンはω−アルデヒドに比してシッフ塩基付加化合物の形成活性は低い。oxLDLとβ2−GPIとの相互作用はMgCl、CaCl及びヘパリンのいずれによっても阻害されることから、β2−GPIリガンドは、中性pH条件下において、oxLDLとβ2−GPIとの間の非共有結合性の静電的な相互作用に関与していると考えられる。
今日、APS患者の血清中に見出される抗β2−GPI抗体が、PLをコートしたマイクロタイタープレートを用いたELISAにおいて、β2−GPIと、CL、ホスファチジルセリン及びホスファチジン酸のような負に荷電したPLsとの複合体に結合することがよく知られている[文献10]。また最近、APS患者に存在するaCLが、酸化されたCLとβ2−GPIとの間に形成されたシッフ塩基付加化合物と反応することが示されている。しかしながら、このような負に荷電したPLsは、LDLの非常にマイナーな構成成分である。LDL中のCu2+を介した酸化産物には、9−/又は13−ヒドロペルオキシ(又はヒドロキシ)−オクタデカジエノエート(octadecadienoate)、9−オキソノナノエート(9−oxononanoate)、又は9−カルボキシノナノエート(9−carboxynonanoate)でエステル化されたコレステロール/又はオキシステロールが含まれ、これらのいくつかは動脈硬化性のプラークにも存在している[文献14−16]。既に報告されている通り[文献7]、酸化されたPLsではなくoxLig−1及びoxLig−2のようなω−カルボキシル−オキシステリルエステル(ω−carboxyl−oxysteryl ester)が、Cu2+−oxLDL中において主要なβ2−GPIリガンドとして検出された。これらのin vitro及びin vivo付加化合物の性質は化学的に明らかにされていない。しかし、いくつかのコレステリルエステルの酸化修飾体とβ2−GPIとのコンジュゲートである可能性が高い。この研究では、過剰量のNaCNBH(200mM)によるoxLDL12−β2−GPI16h複合体の処理は、シッフ塩基付加物中のイミンの還元には有効ではなかった。この結果から、oxLDLとβ2−GPIとの、安定でかつ解離しない複合体はミカエル反応、又はポリ不飽和脂肪酸のアルコキシルラジカルによるリジン残基の直接的な酸化のような他のメカニズムによって生成する可能性を示している。
この研究では、APS及び/又はSLEの患者(54.1〜58.7%)において、oxLDLは、β2−GPIとの安定な、かつ解離しない複合体として循環していることが示された。oxLDLは、スカベンジャー受容体を介してマクロファージに優先的に取り込まれ、泡沫細胞の形成とアテローム硬化型の傷害の発生に至ることが多く報告されている。しかしながら、動脈硬化症の患者の血流中を循環するoxLDLに関しては不完全な形成が存在する。この実験では患者の血清中の遊離型のoxLDLを測定していないが、in vivoで生成されたoxLDLは内在性のβ2−GPIと複合体を形成していると考えられる(血漿中のβ2−GPIの濃度は約200μg/mlである)。図3Dに示した通り、in virtoで酸化を受けたLDLは、β2−GPIの存在下、中性pH条件において、インキュベーション時間の増加に伴って安定な付加物を形成する。さらに、β2−GPIとoxLDLとの間の安定な相互作用が、緩衝液のみ、1%BSAを含有する緩衝液、50%ヒト血清のような種々のin vitro条件下において観察される(データは示さない)。こうして、oxLig−1及びoxLig−2に関連するβ2−GPIリガンドは、過剰量の種々の血漿/血清タンパク質の存在下において、β2−GPIとoxLDLとの間で特異的な相互作用を引き起こし、安定な複合体を形成する。
aPLの、動脈/静脈血栓症、習慣流産、及び血小板減少のような重大な臨床合併症との関連は、APSの患者において確立されている。aCLは、当初、CLのような酸性PLsに結合すると考えられていたが、現在はβ2−GPIがaCLの真の抗原であると広く受け入れられている。1998年に、抗β2−GPI IgG抗体がSLE患者の動脈血栓症の血清マーカーとなりうることが示され、抗MDA−LDL IgG抗体は動脈血栓症とは関係しないことが示された。本研究では、抗β2−GPI−CL IgG抗体、抗β2−GPI IgG抗体、及び抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体の抗体価との間の良好な関連性が示された(図7)。抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体の出現は、静脈血栓症や習慣流産に比して、動脈血栓症の履歴と最も高い相関性を示した(表3)。これに対し、これらの抗体の有意な関連性は、血小板減少においては見られなかった。これらの知見は、β2−GPI−oxLig−1(β2−GPI−oxLDL)複合体は、aCLの真のターゲット抗原であることを示唆している。抗β2−GPI−oxLig−1 IgG抗体は、自己免疫疾患に基づくアテローム性血栓症/アテローム性動脈硬化症の誘発因子として有力な候補である。
しかしながら、調査したAPS/SLE患者の全ては、β2−GPI−oxLDL複合体陽性と陰性の2つの群に分けられ、陽性群においては、陰性群に比して抗β2−GPI−oxLig−1抗体とこれらの臨床症状の発症との間により強い関連性が見られた。自己抗体陽性APS患者においては、β2−GPIとLDLを伴うIgG免疫複合体も観察された。In vivoにおけるLDLの酸化メカニズムは未解明であるが、その結果物であるβ2−GPI−oxLDL複合体は、APSにおいて、血栓症、特に動脈血栓症の発症を誘発する自己抗原として、病原性の役割を果たしていると考えられる。
Georgeらは、通常の飼料を与え、β2−GPIで免疫したLDL受容体欠損マウスは、アテローム性動脈硬化症が加速することを報告している[文献17]。β2−GPIは、内皮下領域及びヒトのアテローム硬化型プラークのintimal−medialborderに豊富に存在し、単球及びCD4陽性のリンパ球と共存している[文献18]。よって、APSのアテローム発生におけるβ2−GPIとoxLDLが関与する自己免疫メカニズムの情況証拠がさらに高まった。
これは、安定な、かつ、解離不能なβ2−GPI−oxLDL複合体が患者の血清中に見出され、この複合体はAPSの動脈血栓症についての定量可能な危険因子であろうということの最初の報告である。しかしながら、β2−GPI−oxLDL複合体は、APSのみならず、抗体陰性かつ非血栓性のSLE及び慢性腎炎においても見られる。このことは、血清の複合体レベルのみではAPSにおける臨床症状を予期できないことを示している。脂質及びリポタンパク質代謝の異常は、種々の腎臓疾患及び高脂血症に共通しており、腎疾患患者のアテローム硬化性心血管性障害の高率発生や高い死亡率に関与するLDLのような血漿リポタンパク質を増加させると理解されている。これらの知見は、冠動脈疾患患者の血流中で循環するβ2−GPI−oxLDL複合体の臨床的意義についての重要な、かつ新たな問題を提起するものでもある。
本発明キットの作成
(1)下記の構成からなる本発明キット1を作成した。
oxLDL12hをβ2−GPIとともにpH7.4、37℃で16時間インキュベートすることによって得られたβ2−GPI−oxLDL複合体(1mg)(スタンダード)
2.96ウェルのイムノプレート 1枚
抗β2−GPI抗体(WB−CAL−1) 1本
3.ビオチン標識した抗apoB100抗体(1D2)
4.HRP標識したアビジン
5.o−フェニレンジアミン溶液 1本
6.過酸化水素水 1本
7.反応停止液(1N HCl) 1本
(2)下記の構成からなる本発明キット2を作成した。
1.oxLDL12hをβ2−GPIとともにpH7.4、37℃で16時間インキュベートすることによって得られたβ2−GPI−oxLDL複合体が固着された96ウェルのイムノプレート1枚
2.HRP標識した抗ヒトIgG抗体
3.o−フェニレンジアミン溶液 1本
4.過酸化水素水 1本
引用文献
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15.J.Lipid Res,,36,p1876−1886(1995)
16.J.Lipid Res.,38,p1347−1360(1997)
17.Circulation,98,p1108−1115(1998)
18.Circulation,99,p2227−2230(1999)
産業上の利用の可能性
本発明スタンダードを用いると、特に生体内に存在するβ2−GPI−oxLDL複合体を、より正確かつ厳密に測定することができ、さらにこれによって本発明測定方法1、本発明検出方法1、及び本発明キット1が提供されることから極めて有用である。
また本発明抗原を用いると、特に生体内に存在する「β2−GPI−oxLDL複合体を認識する抗体」を、より正確かつ厳密に測定することができ、さらにこれによって本発明測定方法2、本発明検出方法2、本発明固相、及び本発明キット2が提供されることから極めて有用である。また、本発明測定方法3によれば、β2−GPI又はLDLと共に形成されたIgG免疫複合体を、簡便かつ迅速に検出することができることから極めて有用である。

Claims (25)

  1. 「酸化LDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を成分とする、検体中の「酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」を測定するためのスタンダード。
  2. 「酸化LDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうる酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」を成分とする、検体中の「酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」を測定するためのスタンダード。
  3. 「酸化LDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうる酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」が、以下の(a)及び(b)の性質を有することを特徴とする、請求項2に記載のスタンダード。
    (a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成する酸化LDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
    (b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成する酸化LDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
  4. 検体が、生体由来の検体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタンダード。
  5. 生体由来の検体が、血液である、請求項4に記載のスタンダード。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のスタンダードを用いることを特徴とする、検体中の「酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」の測定方法。
  7. 検体中の「酸化LDL」と「β2−GPI」とを共有結合させるステップを少なくとも含む、請求項6に記載の測定方法。
  8. 検体中の「酸化LDL」と「β2−GPI」とを、予めpH3〜9の条件下でインキュベートするステップを少なくとも含む、請求項6に記載の測定方法。
  9. 検体中の「『酸化LDL』と『タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、アミノ糖又はアミノ脂質』とが静電的に結合した複合体」を解離させるステップを少なくとも含む、請求項6に記載の測定方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の測定方法を用いて検体中の「酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」を測定し、測定された「検体中の当該複合体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法。
  11. 疾患が、抗リン脂質抗体症候群、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化及び糖尿病からなる群から選ばれるものである、請求項10に記載の検出方法。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のスタンダードを構成成分として含むことを特徴する、検体中の「酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」の測定キット。
  13. さらに「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」を構成成分として含むことを特徴とする、請求項12に記載の測定キット。
  14. 疾患の検出に用いられることを特徴とする、請求項12又は13に記載の測定キット。
  15. 「酸化LDLとβ2−GPIとが共有結合した複合体」を成分とする、検体中の「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」を測定するための抗原。
  16. 「酸化LDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうる酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」を成分とする、検体中の「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」を測定するための抗原。
  17. 「酸化LDLとβ2−GPIとを、37℃、pH7.4の条件下で16時間インキュベートすることによって得られうる酸化LDLとβ2−GPIとの複合体」が、以下の(a)及び(b)の性質を有することを特徴とする、請求項16に記載の抗原。
    (a)100単位/mlのヘパリンを共存させても、複合体を構成する酸化LDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
    (b)10mMのMgClを共存させても、複合体を構成する酸化LDLとβ2−GPIとが実質的に解離しない。
  18. 請求項15〜17のいずれか1項に記載の抗原を用いることを特徴とする、検体中の「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」の測定方法。
  19. 請求項18に記載の測定方法を用いて検体中の「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」を測定し、測定された「検体中の当該抗体」と疾患とを関連づけることを特徴とする、疾患の検出方法。
  20. 疾患が、抗リン脂質抗体症候群、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、習慣流産、腎疾患、動脈硬化及び糖尿病からなる群から選ばれる、請求項19に記載の検出方法。
  21. 請求項15〜17のいずれか1項に記載の抗原が固着された固相。
  22. 請求項21に記載の固相を構成成分として含むことを特徴する、検体中の「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」の測定キット。
  23. さらに「『酸化LDLとβ2−GPIとの複合体』を認識する抗体」に結合する物質を構成成分として含むことを特徴とする、請求項22に記載の測定キット。
  24. 疾患の検出に用いられることを特徴とする、請求項23に記載の測定キット。
  25. 「β2−GPIを認識する抗体」及び/又は「LDLを認識する抗体」、並びに抗IgG抗体を用いることを特徴とする、検体中の免疫複合体の測定方法。
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