JPWO2004022736A1 - 遺伝子のターゲティング破壊法および超耐熱菌ゲノム、ならびにこれらを利用したゲノムチップ - Google Patents
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Abstract
本発明は、生物のゲノムの任意の場所で効率よく確実な遺伝子ターゲティングの方法およびそのためのキットを提供する。本発明はまた、生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法であって、1)該生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;2)該配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;3)該選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;4)該ベクターで該生物を形質転換する工程;および5)該生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、を包含する、方法を提供する。本発明はさらに、超耐熱菌ゲノムおよびそのアレイを提供する。
Description
本発明は、ゲノム遺伝学に関する。より詳細には、本発明は、超好熱始原菌のゲノムおよびゲノムチップに関する。本発明はまた、新規ターゲティング破壊のための方法に関する。
超好熱始原菌は、高温で生存するので、この微生物が生産するタンパク質(例えば、酵素)は、一般に高度に耐熱性である(すなわち、構造的に安定である)。さらに、超好熱始原菌が属する始原菌は従来から知られていた原核生物および真核生物とは異なる生物であると提唱されていることからも明らかなように、進化的にもこれらの生物とは異なる。従って、たとえ原核生物および真核生物に由来する公知の酵素などと類似の機能を有していても、超好熱始原菌由来の酵素は、構造的にも酵素学的にも従来の酵素とは異なる場合が多い。例えば、超好熱始原菌KOD−1株(Thermococcus kodakaraensis KOD1、以下KOD1またはKOD1株ともいう;Morikawa,M.ら、Appl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994))から単離されたシャペロニンは、Escherichia coli由来のGroELと同様の機能を有している。しかし、GroELがこれ自体が14量体を形成し、さらに7量体を形成しているGroESとともに複合体を形成して機能するのに対し、KOD−1株由来のシャペロニンは単独で機能する(Yan,Zら、Appl.Environ.Microbiol.63:785−789)。
一方、遺伝子のターゲティング破壊のための方法として従来プラスミドを用いた遺伝子破壊が知られている(Bartolucci S.、Third International Congress on Extremophiles Hamburg,Germany,September 3−7,2000)。Bartolucciの方法は、耐熱性菌を用いた組換えタンパク質の同種および異種の発現系を利用する。この方法では、ターゲッティングした遺伝子が確実に破壊されるかどうかが不定で、効率よいターゲティング破壊ができるとは言えない。
したがって、一部の遺伝子のみの情報を基にした遺伝子ターゲティングにはおのずから限界がある。
したがって、本発明は、上記状況に鑑み、生物のゲノムの任意の場所で効率よく確実な遺伝子ターゲティングの方法およびそのためのキットを提供することを目的とする。
また、超耐熱菌のゲノム全体をチップに載せることによって、ゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析する方法は、いまだに存在していない。本発明はまた、そのようなゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析するための技術を開発することを目的とする。
発明の要旨
上記課題は、ある生物のゲノムの全配列の情報を利用し、染色体自体の一部をターゲティングすることによって解決された。本発明では特に、あるゲノム配列の一例として、耐熱性菌の一つであるThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノムの全配列を決定し、上記方法が効率よくかつ確実に実施され得ることを実証した。
本発明はまた、耐熱性菌の一つであるThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノムの全配列を決定することによって、ゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析する技術が初めて提供された。したがって、チップ上で、生物自体の遺伝子発現のシミュレーションが可能となった。
したがって、本発明は、以下を提供する。
1)生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法であって、
A)上記生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;
B)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)上記選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;および
E)上記生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、
を包含する、方法。
(2)上記工程B)において、上記領域は少なくとも2つ選択される、項目1に記載の方法。
(3)上記ベクターは、プロモーターをさらに含む、項目1に記載の方法。
(4)上記マーカー遺伝子の発現産物を検出する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(5)上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域内に配置される、項目1に記載の方法。
(6)上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域の外に配置される、項目に1記載の方法。
(7)上記ゲノムは、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムである、項目1に記載の方法。
(8)上記ゲノムは、配列番号1または1087に示される配列を有する、項目1に記載の方法。
(9)上記領域は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、項目1に記載の方法。
(10)配列番号1または1087に示される配列を有する、核酸分子。
(11)配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続する核酸配列を含む、核酸分子。
(12)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列をコードする配列を含む、核酸分子。
(13)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、核酸分子。
(14)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチド。
(15)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(16)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(17)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド。
(18)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、項目17に記載のポリペプチド。
(19)耐熱性タンパク質をスクリーニングする方法であって、
A)耐熱性生物のゲノムの全配列を提供する工程;
B)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)上記選択された領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;
E)上記耐熱性生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程;
F)相同的組換えが起きた上記耐熱性生物を選択する工程;および
G)上記耐熱性タンパク質を同定するアッセイを行う工程、
を包含する、方法。
(20)耐熱性タンパク質をスクリーニングするキットであって、
A)耐熱性生物;ならびに
B)上記耐熱性生物において選択されたある領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクター、
を備える、キット。
(21)C)上記耐熱性タンパク質を同定するためのアッセイシステム、
をさらに備える、項目20に記載のキット。
(22)上記耐熱性生物は、超好熱始原菌である、項目20に記載のキット。
(23)上記耐熱性生物は、Thermococcus kodakaraensis KOD1である、項目20に記載のキット。
(24)生体分子チップであって、
配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、
生体分子チップ。
(25)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列を網羅するように配置される、項目24に記載の生体分子チップ。
(26)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の任意のオープンリーディングフレームを含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(27)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の実質的にすべてのオープンリーディングフレームを含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(28)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(29)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列を実質的にすべて含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(30)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(31)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも15の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(32)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも30の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(33)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなるをコードする配列の実質的にすべての配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(34)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(35)上記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、項目24に記載の生体分子チップ。
(36)上記支持体は、アドレス可能である、項目24に記載の生体分子チップ。
(37)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
(38)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、項目37に記載の生体分子チップ。
(39)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、項目37に記載の生体分子チップ。
(40)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、項目37に記載の生体分子チップ。
(41)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、項目40に記載の生体分子チップ。
(42)上記生物学的活性は、エピトープ活性を含む、項目40に記載の生体分子チップ。
(43)配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体の核酸配列の情報が格納された、記録媒体。
(44)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目43に記載の記録媒体。
(45)上記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、項目43に記載の記録媒体。
(46)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体のアミノ配列の情報が格納された、記録媒体。
(47)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、項目46に記載の記録媒体。
(48)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、項目46に記載の記録媒体。
(49)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、項目46に記載の記録媒体。
(50)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含み、上記機能に関する情報が格納される、項目49に記載の記録媒体。
(51)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体に対する抗体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
(52)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列と、相同な配列を有するRNAi分子。
(53)少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体である、項目52に記載のRNAi分子。
(54)3’突出末端を含む、項目52に記載のRNAi分子。
(55)上記3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNAである、項目54に記載のRNAi分子。
上記生体分子チップは、DNAチップ、プロテインチップなどであり得る。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
一方、遺伝子のターゲティング破壊のための方法として従来プラスミドを用いた遺伝子破壊が知られている(Bartolucci S.、Third International Congress on Extremophiles Hamburg,Germany,September 3−7,2000)。Bartolucciの方法は、耐熱性菌を用いた組換えタンパク質の同種および異種の発現系を利用する。この方法では、ターゲッティングした遺伝子が確実に破壊されるかどうかが不定で、効率よいターゲティング破壊ができるとは言えない。
したがって、一部の遺伝子のみの情報を基にした遺伝子ターゲティングにはおのずから限界がある。
したがって、本発明は、上記状況に鑑み、生物のゲノムの任意の場所で効率よく確実な遺伝子ターゲティングの方法およびそのためのキットを提供することを目的とする。
また、超耐熱菌のゲノム全体をチップに載せることによって、ゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析する方法は、いまだに存在していない。本発明はまた、そのようなゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析するための技術を開発することを目的とする。
発明の要旨
上記課題は、ある生物のゲノムの全配列の情報を利用し、染色体自体の一部をターゲティングすることによって解決された。本発明では特に、あるゲノム配列の一例として、耐熱性菌の一つであるThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノムの全配列を決定し、上記方法が効率よくかつ確実に実施され得ることを実証した。
本発明はまた、耐熱性菌の一つであるThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノムの全配列を決定することによって、ゲノム全体を効率よくおよび/または全体として解析する技術が初めて提供された。したがって、チップ上で、生物自体の遺伝子発現のシミュレーションが可能となった。
したがって、本発明は、以下を提供する。
1)生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法であって、
A)上記生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;
B)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)上記選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;および
E)上記生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、
を包含する、方法。
(2)上記工程B)において、上記領域は少なくとも2つ選択される、項目1に記載の方法。
(3)上記ベクターは、プロモーターをさらに含む、項目1に記載の方法。
(4)上記マーカー遺伝子の発現産物を検出する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(5)上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域内に配置される、項目1に記載の方法。
(6)上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域の外に配置される、項目に1記載の方法。
(7)上記ゲノムは、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムである、項目1に記載の方法。
(8)上記ゲノムは、配列番号1または1087に示される配列を有する、項目1に記載の方法。
(9)上記領域は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、項目1に記載の方法。
(10)配列番号1または1087に示される配列を有する、核酸分子。
(11)配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続する核酸配列を含む、核酸分子。
(12)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列をコードする配列を含む、核酸分子。
(13)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、核酸分子。
(14)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチド。
(15)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(16)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(17)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド。
(18)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、項目17に記載のポリペプチド。
(19)耐熱性タンパク質をスクリーニングする方法であって、
A)耐熱性生物のゲノムの全配列を提供する工程;
B)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)上記選択された領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;
E)上記耐熱性生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程;
F)相同的組換えが起きた上記耐熱性生物を選択する工程;および
G)上記耐熱性タンパク質を同定するアッセイを行う工程、
を包含する、方法。
(20)耐熱性タンパク質をスクリーニングするキットであって、
A)耐熱性生物;ならびに
B)上記耐熱性生物において選択されたある領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクター、
を備える、キット。
(21)C)上記耐熱性タンパク質を同定するためのアッセイシステム、
をさらに備える、項目20に記載のキット。
(22)上記耐熱性生物は、超好熱始原菌である、項目20に記載のキット。
(23)上記耐熱性生物は、Thermococcus kodakaraensis KOD1である、項目20に記載のキット。
(24)生体分子チップであって、
配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、
生体分子チップ。
(25)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列を網羅するように配置される、項目24に記載の生体分子チップ。
(26)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の任意のオープンリーディングフレームを含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(27)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の実質的にすべてのオープンリーディングフレームを含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(28)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(29)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列を実質的にすべて含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(30)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(31)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも15の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(32)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも30の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(33)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなるをコードする配列の実質的にすべての配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(34)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目24に記載の生体分子チップ。
(35)上記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、項目24に記載の生体分子チップ。
(36)上記支持体は、アドレス可能である、項目24に記載の生体分子チップ。
(37)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
(38)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、項目37に記載の生体分子チップ。
(39)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、項目37に記載の生体分子チップ。
(40)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、項目37に記載の生体分子チップ。
(41)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、項目40に記載の生体分子チップ。
(42)上記生物学的活性は、エピトープ活性を含む、項目40に記載の生体分子チップ。
(43)配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体の核酸配列の情報が格納された、記録媒体。
(44)上記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、項目43に記載の記録媒体。
(45)上記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、項目43に記載の記録媒体。
(46)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体のアミノ配列の情報が格納された、記録媒体。
(47)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、項目46に記載の記録媒体。
(48)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、項目46に記載の記録媒体。
(49)上記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、項目46に記載の記録媒体。
(50)上記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含み、上記機能に関する情報が格納される、項目49に記載の記録媒体。
(51)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体に対する抗体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
(52)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列と、相同な配列を有するRNAi分子。
(53)少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体である、項目52に記載のRNAi分子。
(54)3’突出末端を含む、項目52に記載のRNAi分子。
(55)上記3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNAである、項目54に記載のRNAi分子。
上記生体分子チップは、DNAチップ、プロテインチップなどであり得る。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
図1は、ダブルクロスオーバー破壊の概念図である。
図2は、ダブルクロスオーバー破壊で用いたLinear DNAの構造の模式図である。
図3は、シングルクロスオーバー破壊の概念図である。
図4は、ゲノムの構成を示す図である。
図5は、ゲノムの構成を示す別の図である。
図6は、ゲノムの構成を示す別の図である。
図7は、ゲノム生体分子チップの例示的概略図である。
配列表の説明は、別の表(表2)に示される。
図2は、ダブルクロスオーバー破壊で用いたLinear DNAの構造の模式図である。
図3は、シングルクロスオーバー破壊の概念図である。
図4は、ゲノムの構成を示す図である。
図5は、ゲノムの構成を示す別の図である。
図6は、ゲノムの構成を示す別の図である。
図7は、ゲノム生体分子チップの例示的概略図である。
配列表の説明は、別の表(表2)に示される。
以下に本発明の最良の形態を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」「an」「the」など、独語の場合の「ein」「der」「das」「die」などおよびその格変化形、仏語の場合の「un」「une」「le」「la」など、スペイン語における「un」「una」「el」「la」など、他の言語における対応する冠詞、形容詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において用いられる「生物」とは、当該分野における最も広義に用いられ、生命現象を営むものであって、ゲノムを含むものをいう。生物には、原核生物(例えば、大腸菌、超好熱始原菌など)、真核生物(例えば、植物、動物など)などが包含されるがそれらに限定されない。
本明細書において「ゲノム」とは、生物が生命活動を営むために欠くことのできない染色体の1組の遺伝子群をいう。細菌、ファージ、ウイルスなどのような一倍体の生物では、それらの種を規定する遺伝情報を担う1つのDNA分子またはRNA分子そのものがゲノムに相当する。他方、多くの真核生物にみられるような二倍体の生物では生殖細胞に1組のゲノム(例えば、ヒトでは23、マウスでは20の染色体)を有し、体細胞中に2組のゲノムを有する。
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子という。本明細書では「遺伝子」は「ポリヌクレオチド」「オリゴヌクレオチド」および「核酸」と同義で用いられ得る。本明細書において場合によっては「遺伝子」は、「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」をさすことがある。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。配列表に示される配列を含む遺伝子産物は、通常ポリペプチド形態をとる。本明細書では、本発明のポリペプチドは、通常、特定の配列(配列表に記載される配列またはそれらの改変体)を有する。改変を有する配列は、本発明において、種々の目的(例えば、診断目的)に使用され得る。
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。本発明の遺伝子は、通常、このポリヌクレオチド形態をとる。
本明細書において使用される用語「核酸分子」もまた、本明細書において、核酸、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用され、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどを含む。本明細書では、核酸および核酸分子は、用語「遺伝子」の概念に含まれ得る。ある遺伝子配列をコードする核酸分子はまた「スプライス変異体(バリアント、改変体)」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。したがって、本明細書では、たとえば、配列表に具体的に記載される配列を含む遺伝子のほかに、そのスプライス変異体もまた本発明に包含されることが理解される。このような変異体は、種々の検定において有用であり得る。
本明細書において「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。
本明細書において「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体であるが、D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にある。
本明細書において「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシン、パラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸、ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。
本明細書において「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニン、カナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられるがそれらに限定されない。アミノ酸アナログの例としてのアミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書において「対応する」アミノ酸および核酸とは、それぞれあるポリペプチドおよび核酸分子において、比較の基準となるポリペプチドおよび核酸分子における所定のアミノ酸および核酸と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸および核酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸およびそれをコードする核酸をいう。例えば、アンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。
本明細書において「対応する」遺伝子(例えば、ポリペプチド、核酸分子など)とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。したがって、本発明の各々の遺伝子に対応する遺伝子は、他の生物においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある生物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、配列表に示される配列を含む遺伝子)の配列をクエリ配列として用いてその生物(例えば、他の超耐熱菌など)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または加減としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。
本明細書において生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対して「特異的に相互作用する因子」または「特異的な因子」とは、交換可能に使用され、その生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満のもの。あるいは、ある特定の場合、同一性99%未満のもの。さらに別の実施形態では、点変異のみの相違を有するものなど)生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に高いものをいう。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。生物学的因子がポリペプチドの場合、そのポリペプチドに特異的な因子には、特異的抗体が含まれ、特定の実施形態では、本発明の特異的な因子には、この特異的抗体に対して特異的な因子を含み得ることが理解される。このような特異的抗体に対して特異的な因子には、目的とするポリペプチド自体が含まれることが理解される。
本明細書において「因子」としては、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、エネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質(例えば、抗体を含む)、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子(例えば、糖タンパク質、糖脂質など)が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、そのような因子としては、例えば、アンチセンス、RNAiなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「有機低分子」とは、有機分子であって、比較的分子量が小さなものをいう。通常有機低分子は、分子量が約1000以下のものをいうが、それ以上のものであってもよい。有機低分子は、通常当該分野において公知の方法を用いるかそれらを組み合わせて合成することができる。そのような有機低分子は、生物に生産させてもよい。有機低分子としては、例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体、ならびにそれらの断片、例えばF(ab’)2およびFab断片、ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。
本明細書中で使用される「モノクローナル抗体」は、同質な抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、それが作製される様式では限定されない。この用語は、全免疫グロブリン分子ならびにFab分子、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、およびもとのモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示す他の分子を含む。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する方法は当該分野で公知であり、そして以下でより十分に記載される。
モノクローナル抗体は、当該分野で周知の標準的な技術(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature(1975)256:495)またはその改変(例えば、Buckら(1982)In Vitro 18:377)を使用して調製される。代表的には、マウスまたはラットを、タンパク質キャリアに結合したタンパク質で免疫化し、追加免疫し、そして脾臓(および必要に応じていくつかの大きなリンパ節)を取り出し、そして単一細胞を解離する。必要に応じて、この脾臓細胞は、非特異的接着細胞の除去後、抗原でコーティングされたプレートまたはウェルに細胞懸濁液を適用することにより、スクリーニングされ得る。抗原に特異的なイムノグロブリンを発現するB細胞がプレートに結合し、そして懸濁液の残渣でもリンス除去されない。次いで、得られたB細胞(すなわちすべての剥離した脾臓細胞)をミエローマ細胞と融合させて、ハイブリドーマを得、このハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を産生させる。
本明細書において「抗原」(antigen)とは、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の基質をいう。本明細書において「免疫原」(immunogen)とは、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原をいう。
本明細書において「単鎖抗体」とは、Fv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントがアミノ酸架橋を介して連結されれることによって形成され、単鎖ポリペプチドを生じたものをいう。
本明細書において「複合分子」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖、低分子などの分子が複数種連結してできた分子をいう。そのような複合分子としては、例えば、糖脂質、糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書では、FIR、CENP−Aなどの遺伝子またはその産物あるいは本発明の因子と同様の機能を有する限り、それぞれFIR、CENP−Aなどの遺伝子またはその産物あるいは本発明の因子としてそのような複合分子も使用することができる。
本明細書において「単離された」物質(例えば、核酸またはタンパク質などのような生物学的因子)とは、その物質が天然に存在する環境(例えば、生物体の細胞内)の他の物質(好ましくは、生物学的因子)(例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製されたものをいう。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
本明細書において「精製された」物質(例えば、核酸またはタンパク質などのような生物学的因子)とは、その物質に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された物質におけるその物質の純度は、その物質が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。
本明細書において「精製された」および「単離された」とは、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の物質が存在することを意味する。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど遺伝子産物の「発現」とは、その遺伝子(通常は、DNA形態)などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一形態であり得る。別の実施形態では、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
従って、本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「減少」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に減少することをいう。好ましくは、発現の減少は、ポリペプチドの発現量の減少を含む。本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「増加」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に増加することをいう。好ましくは、発現の増加は、ポリペプチドの発現量の増加を含む。本明細書において遺伝子の「発現」の「誘導」とは、ある細胞にある因子を作用させてその遺伝子の発現量を増加させることをいう。したがって、発現の誘導は、まったくその遺伝子の発現が見られなかった場合にその遺伝子が発現するようにすること、およびすでにその遺伝子の発現が見られていた場合にその遺伝子の発現が増大することを包含する。
本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、植物の特定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レベルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位(例えば、癌罹患部位などの特異的部位)にのみ発現してもよく、それ以外の部位においても発現していてもよい。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含される。例えば、2つの因子が相互作用する(例えば、本発明の遺伝子産物とその受容体とが結合する)場合、その生物学的活性は、本発明の遺伝子産物とその受容体との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化(例えば、アポトーシス)などを包含する。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。あるいは、本発明においては、生体内にある改変体分子と同様の活性を有する場合もまた、生物学的活性を有するとの定義に含め得る。
本明細書において「アンチセンス(活性)」とは、標的遺伝子の発現を特異的に抑制または低減することができる活性をいう。アンチセンス活性は、通常、目的とする遺伝子(例えば、本発明の遺伝子など)の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列によって達成される。そのような活性を有する核酸分子をアンチセンス分子という。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。そのような核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、もっとも好ましくは95%相同な核酸配列が含まれる。そのようなアンチセンス活性は、目的とする遺伝子の核酸配列の5’末端の配列に対して相補的であることが好ましい。そのようなアンチセンスの核酸配列には、上述の配列に対して、1つまたは数個あるいは1つ以上のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有するものもまた含まれる。
本明細書において「RNAi」とは、RNA interferenceの略称で、二本鎖RNA(dsRNAともいう)のようなRNAiを引き起こす因子を細胞に導入することにより、相同なmRNAが特異的に分解され、遺伝子産物の合成が抑制される現象およびそれに用いられる技術をいう。本明細書においてRNAiはまた、場合によっては、RNAiを引き起こす因子と同義に用いられ得る。
本明細書において「RNAiを引き起こす因子」とは、RNAiを引き起こすことができるような任意の因子をいい、本明細書では、「RNAi分子」ともいう。本明細書において「遺伝子」に対して「RNAiを引き起こす因子」とは、その遺伝子に関するRNAiを引き起こし、RNAiがもたらす効果(例えば、その遺伝子の発現抑制など)が達成されることをいう。そのようなRNAiを引き起こす因子としては、例えば、標的遺伝子の核酸配列の一部に対して少なくとも約70%の相同性を有する配列またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含む、少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体が挙げられるがそれに限定されない。ここで、この因子は、好ましくは、3’突出末端を含み、より好ましくは、3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNA(例えば、2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
理論に束縛されないが、RNAiが働く機構として考えられるものの一つとして、dsRNAのようなRNAiを引き起こす分子が細胞に導入されると、比較的長い(例えば、40塩基対以上)RNAの場合、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、その分子を3’末端から約20塩基対ずつ切り出し、短鎖dsRNA(siRNAとも呼ばれる)を生じる。本明細書において「siRNA」とは、short interfering RNAの略称であり、人工的に化学合成されるかまたは生化学的に合成されたものか、あるいは生物体内で合成されたものか、あるいは約40塩基以上の二本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対以上の短鎖二本鎖RNAをいい、通常、5’−リン酸、3’−OHの構造を有しており、3’末端は約2塩基突出している。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、RISC(RNA−induced−silencing−complex)が形成される。この複合体は、siRNAと同じ配列を有するmRNAを認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部でmRNAを切断する。siRNAの配列と標的として切断するmRNAの配列の関係については、100%一致することが好ましい。しかし、siRNAの中央から外れた位置についての塩基の変異については、完全にRNAiによる切断活性がなくなるのではなく、部分的な活性が残存する。他方、siRNAの中央部の塩基の変異は影響が大きく、RNAiによるmRNAの切断活性が極度に低下する。このような性質を利用して、変異をもつmRNAについては、その変異を中央に配したsiRNAを合成し、細胞内に導入することで特異的に変異を含むmRNAだけを分解することができる。従って、本発明では、siRNAそのものをRNAiを引き起こす因子として用いることができるし、siRNAを生成するような因子(例えば、代表的に約40塩基以上のdsRNA)をそのような因子として用いることができる。
また、理論に束縛されることを希望しないが、siRNAは、上記経路とは別に、siRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成され、このdsRNAが再びダイサーの基質となり、新たなsiRNAを生じて作用を増幅することも企図される。従って、本発明では、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子もまた、有用である。実際に、昆虫などでは、例えば35分子のdsRNA分子が、1,000コピー以上ある細胞内のmRNAをほぼ完全に分解することから、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子が有用であることが理解される。
本発明においてsiRNAと呼ばれる、約20塩基前後(例えば、代表的には約21〜23塩基長)またはそれ未満の長さの二本鎖RNAを用いることができる。このようなsiRNAは、細胞に発現させることにより遺伝子発現を抑制し、そのsiRNAの標的となる病原遺伝子の発現を抑えることから、疾患の治療、予防、予後などに使用することができる。
本発明において用いられるsiRNAは、RNAiを引き起こすことができる限り、どのような形態を採っていてもよい。
別の実施形態において、本発明のRNAiを引き起こす因子は、3’末端に突出部を有する短いヘアピン構造(shRNA;short hairpin RNA)であり得る。本明細書において「shRNA」とは、一本鎖RNAで部分的に回文状の塩基配列を含むことにより、分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのような構造となる約20塩基対以上の分子をいう。そのようなshRNAは、人工的に化学合成される。あるいは、そのようなshRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラーゼによりインビトロでRNAを合成することによって生成することができる。理論に束縛されることは希望しないが、そのようなshRNAは、細胞内に導入された後、細胞内で約20塩基(代表的には例えば、21塩基、22塩基、23塩基)の長さに分解され、siRNAと同様にRNAiを引き起こし、本発明の処置効果があることが理解されるべきである。このような効果は、昆虫、植物、動物(哺乳動物を含む)など広汎な生物において発揮されることが理解されるべきである。このように、shRNAは、siRNAと同様にRNAiを引き起こすことから、本発明の有効成分として用いることができる。shRNAはまた、好ましくは、3’突出末端を有し得る。二本鎖部分の長さは特に限定されないが、好ましくは約10ヌクレオチド長以上、より好ましくは約20ヌクレオチド長以上であり得る。ここで、3’突出末端は、好ましくはDNAであり得、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド長以上のDNAであり得、さらに好ましくは2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、人工的に合成した(例えば、化学的または生化学的)ものでも、天然に存在するものでも用いることができ、この両者の間で本発明の効果に本質的な違いは生じない。化学的に合成したものでは、液体クロマトグラフィーなどにより精製をすることが好ましい。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、インビトロで合成することもできる。この合成系において、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターを用いて、鋳型DNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成する。これらをインビトロでアニーリングした後、細胞に導入すると、上述のような機構を通じてRNAiが引き起こされ、本発明の効果が達成される。ここでは、例えば、リン酸カルシウム法でそのようなRNAを細胞内に導入することができる。
本発明のRNAiを引き起こす因子としてはまた、mRNAとハイブリダイズし得る一本鎖、あるいはそれらのすべての類似の核酸アナログのような因子も挙げられる。そのような因子もまた、本発明の処置方法および組成物において有用である。
本明細書において「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1−38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そしてミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、42℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,N,Y.1989);およびAnderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical approach、IV、IRL Press Limited(Oxford,England).Limited,Oxford,Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSO4またはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Anderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical Approach、第4章、IRL Press Limited(Oxford,England)を参照のこと。
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、50〜65℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015M ナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
本明細書において「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、当業者によって理解される。例えば、0.015M ナトリウムイオン(ホルムアミドなし)において、完全に一致した長いDNAの融解温度は、約71℃である。65℃(同じイオン強度)での洗浄において、これは、約6%不一致を許容にする。より離れた関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
約20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1M NaClにおける融解温度の適切な概算は、
Tm=(1つのA−T塩基につき2℃)+(1つのG−C塩基対につき4℃)
によって提供される。なお、6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである(Suggsら、Developmental Biology Using Purified Genes、683頁、BrownおよびFox(編)(1981)を参照のこと)。
本発明のタンパク質をコードする天然の核酸は、例えば、配列表に示される核酸配列の一部またはその改変体を含むPCRプライマーおよびハイブリダイゼーションプローブを有するcDNAライブラリーから容易に分離される。好ましい本発明の遺伝子またはその改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸は、本質的に1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);1mM EDTA;42℃の温度で 7% SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に2×SSC(600mM NaCl;60mM クエン酸ナトリウム);50℃の0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、さらに好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA; 7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に50℃の1×SSC(300mM NaCl;30mM クエン酸ナトリウム);1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、最も好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);200mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA;7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に65℃の0.5×SSC(150mM NaCl;15mM クエン酸ナトリウム);0.1%SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下に配列番号1または1087に示す配列の1つまたはその一部とハイブリダイズし得る。
本明細書において「プローブ」とは、インビトロおよび/またはインビボなどのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象となる物質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相同なまたは相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。
本明細書において「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman,J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアッセイ)、PCRおよび in situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、FIR、CENP−Aなどには、このような電子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNA Star)を用いて行ってもよい。
本明細書において「エピトープ」とは、抗原を決定する構造を構成する基のことをいう。従って、エピトープには特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、または、T細胞の場合は、T細胞レセプタータンパク質および/もしくは主要組織適合性複合体(MHC)レセプターによる認識について必要であるアミノ酸残基のセットが包含される。この用語はまた「抗原決定基」または「抗原決定部位」と交換可能に使用される。免疫系分野において、インビボまたはインビトロで、エピトープは、分子の特徴(例えば、一次ペプチド構造、二次ペプチド構造または三次ペプチド構造および電荷)であり、免疫グロブリン、T細胞レセプターまたはHLA分子によって認識される部位を形成する。ペプチドを含むエピトープは、エピトープに独特な空間的コンフォメーション中に3つ以上のアミノ酸を含み得る。一般に、エピトープは、少なくとも5つのこのようなアミノ酸からなり、代表的には少なくとも6つ、7つ、8つ、9つ、または10のこのようなアミノ酸からなる。エピトープの長さは、より長いほど、もとのペプチドの抗原性に類似することから一般的に好ましいが、コンフォメーションを考慮すると、必ずしもそうでないことがある。アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、X線結晶学、および2次元核磁気共鳴分光法を含む。さらに、所定のタンパク質におけるエピトープの同定は、当該分野で周知の技術を使用して容易に達成される。例えば、Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998(所定の抗原における免疫原性エピトープの位置を決定するために迅速にペプチドを合成する一般的な方法);米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定し、そして化学的に合成するための手順);およびGeysenら(1986)Molecular Immunology 23:709(所定の抗体に対して高い親和性を有するペプチドを同定するための技術)を参照されたい。同じエピトープを認識する抗体は、単純な免疫アッセイにおいて同定され得る。このように、ペプチドを含むエピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。
従って、ペプチドを含むエピトープとして使用するためには、少なくとも3アミノ酸の長さの配列が必要であり、好ましくは、この配列は、少なくとも4アミノ酸、より好ましくは5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸の長さの配列が必要であり得る。
本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
本明細書では塩基配列の同一性、類似性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。本明細書においてアミノ酸配列の同一性、類似性の比較および相同性の算出もまた、配列分析用のツールであるBLASTXを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に受け入れられた1文字コードにより言及され得る。
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、必要に応じて、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444−2448、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22(2):4673−4680、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383−402、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272、Altschul et al.,1997,Nuc.Acids Res.25:3389−3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
(1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との間で「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマトリックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al.,1992,Science 256:1443−1445、Henikoff and Henikoff,1993,Proteins 17:49−61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、Schwartz and Dayhoff,eds.,1978,Matrices for Detecting Distance Relationships:Atlas of Protein Sequence and Structure,Washington:National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268参照のこと)。
本明細書において、配列が「相同」であるとは、相同的組換えが起こる程度に相同性が高いことをいう。したがって、配列が「相同」であるかどうかは、染色体の変異を相補し得るDNAを生細胞内に導入し、生体内遺伝子組み換えを起こさせることにより調べることができる。そのような相同であるかどうかを調べるアッセイには、そのような相補し得るDNAの組み込みを表原型(たとえば、緑色蛍光タンパク質であれば、緑色の蛍光)を調べることによって確認する方法がある。したがって、配列が相同であるためには、代表的には、2つの配列の間の相同性が互いに少なくとも約70%相同であり、好ましくは少なくとも約80%相同であり、より好ましくは少なくとも約90%相同であり、さらにより好ましくは少なくとも約95%相同であり、もっとも好ましくは少なくとも約99%相同であり得る。
本明細書において配列の「領域」とは、その配列において一定の長さを持った部分をいう。そのような領域は、一般に、ある機能を有することが多い。本発明のターゲティング破壊のために用いられる場合、配列の「領域」は、その長さが少なくとも約10ヌクレオチドであり、好ましくは、少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは、少なくとも約20ヌクレオチドであり、さらに好ましくは少なくとも約30ヌクレオチドであり、さらに好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドであり得る。好ましくは、そのような領域は、遺伝子の機能を担う部分を含み得る。ある好ましい実施形態では、配列の「領域」は、1または2以上の遺伝子であり得る。
本明細書において「ターゲティング」とは、遺伝子のターゲティング破壊について使用される場合、特定の遺伝子を標的とすることをいう。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能を発揮する活性が包含される。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。本発明においては、おのおのの遺伝子産物は、表2の説明に記載される生物学的活性を有する。あるいは、本発明のポリペプチドは、エピトープ活性を有する。
本明細書において「マーカー遺伝子」とは、遺伝学的解析で標識(マーカー)として用いられる遺伝子をいう。標識遺伝子としては、通常、その機能の詳細よりも変異形質が明確で検出が容易なものが用いられる。薬剤耐性の遺伝子のほか、微生物では生化学的形質(栄養要求性など)の遺伝子がよく用いられ、形態学的形質の遺伝子もまた用いられ得る。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、アンピリシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、原核生物細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自律複製が可能であるか、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。好ましくは、そのようなベクターは、Thermococcus kodakaraensis KOD1内で自律複製可能なものが挙げられる。
本明細書において「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、植物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。植物の場合、本発明に用いる植物の発現ベクターはさらにT−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバクテリウムを用いてその植物を形質転換する場合に遺伝子の導入の効率を高める。
本明細書において「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
原核細胞に対する「組換えベクター」としては、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもRoche Molecular Biochemicalsより市販)、pKK233−2(Pharmacia)、pSE280(Invitrogen)、pGEMEX−1(Promega)、pQE−8(QIAGEN)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200(Agric.Biol.Chem.,48,669(1984))、pLSA1(Agric.Biol.Chem.,53,277(1989))、pGEL1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985))、pBluescript II SK+(Stratagene)、pBluescript II SK(−)(Stratagene)、pTrs30(FERM BP−5407)、pTrs32(FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGKA2(FERM B−6798)、pTerm2(特開平3−22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pEG400[J.Bacteriol.,172,2392(1990)]、pGEX(Pharmacia)、pETシステム(Novagen)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(Invitrogen)、pMAL−c2(New England Biolabs)、pUC19[Gene,33,103(1985)]、pSTV28(宝酒造)、pUC118(宝酒造)、pPA1(特開昭63−233798)などが例示される。
本明細書において「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモータ領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在するがそれに限定されず、例えば、イントロン、3’末端より下流などにも存在し得る。
本明細書において「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。
本発明を利用する場合、ベクターの導入方法としては、細胞に核酸分子を導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換(塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)法(特許第2606856、特許第2517813)等)が例示される。
本明細書において「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等が例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。
本明細書において「相同的組換え」とは、1対の二本鎖DNAの相同的な塩基配列を有する部分に起こる組換えをいう。生体内では染色体乗換えなどの形で見られる。
本明細書において「相同的組換えが生じる条件」とは、ゲノムを有するある生物、およびそのゲノムの配列の任意の少なくとも1つの領域と相同な配列を有する核酸分子が存在する場合に、相同的組換えが生じる条件をいう。そのような条件は、生物によってことなるが、当業者には周知である。そのような条件としては、たとえば、
という条件が挙げられるがそれらに限定されない。ここで、上記ASW(人工海水)の組成は以下のとおりである:1×人工海水(Artificial sea water(ASW))(/L):NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SO4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸0.01g。
相同的組換えは、ゲノムとベクターとの間の少なくとも1つの領域が相同であれば生じ得るが、好ましくは、ゲノムとベクターとの間の相同な領域は2つあることが好ましい。
本明細書において「クロスオーバー」または「交差」とは、染色体について私用されるとき、対合している一対の相同染色体が途中からつなぎ変わり、新たな核酸配列の組合わせを生じることをいう。
本明細書において「シングルクロスオーバー」とは、染色体について私用されるとき、クロスオーバーを起こす核酸分子同士の間に1箇所相同な領域を有し、その箇所でのみクロスオーバーが起き、結果として一方の核酸配列が他方に組み込まれることをいう。
本明細書において「ダブルクロスオーバー」とは、染色体について私用されるとき、クロスオーバーを起こす核酸分子同士の間に2箇所相同な領域を有し、その相同な領域の間の核酸配列が他方に入れ替わることをいう。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
本明細書において遺伝子の「発現産物」とは、遺伝子の発現の結果生じる物質をいい、転写産物であるmRNAなど、翻訳産物であるポリペプチドおよびその翻訳後修飾物であるポリペプチドなどが挙げられる。そのような発現産物の検出は、直接的または間接的であり得、そのような検出は当該分野において周知の技術(たとえば、サザンブロット、ノーザンブロットなど)によって行われ得る。そのような技術は本明細書において他の場所においても説明されており、他の場所において引用された文献にも記載されている。
本明細書においてポリペプチドを製造する方法としては、例えば、そのポリペプチドを産生する初代培養細胞または株化細胞を培養し、培養上清などから単離または精製することによりそのポリペプチドを得る方法が挙げられる。あるいは、遺伝子操作手法を利用して、そのポリペプチドをコードする遺伝子を適切な発現ベクターに組み込み、これを用いて発現宿主を形質転換し、この形質転換細胞の培養上清または細胞抽出物から組換えポリペプチドを得ることができる。上記宿主細胞は、生理活性を保持するポリペプチドを発現するものであれば、特に限定されず、従来から遺伝子操作において利用される各種の宿主細胞(例えば、大腸菌、酵母、動物細胞など)を用いることが可能である。組換え宿主細胞を培養する条件は、使用される宿主細胞の種類に依存して適切に選択される。宿主細胞としては、組換えDNA技術において使用可能な任意の宿主細胞が使用され得る。これらは例えば、細菌細胞、酵母細胞、動物細胞、植物細胞および昆虫細胞などを包含する。好ましい宿主細胞は細菌細胞である。このようにして得られた細胞に由来するポリペプチドは、天然型のポリペプチドと実質的に同一の作用を有する限り、アミノ酸配列中の1以上のアミノ酸が置換、付加および/または欠失していてもよく、糖鎖が置換、付加および/または欠失していてもよい。発現産物が細胞外に分泌される場合は、例えば培養物を遠心分離またはろ過することによって上清を得、これを直接精製するかあるいは沈澱法または限外ろ過などにより濃縮してから精製する。発現産物が細胞中に蓄積される場合は、細胞を、細胞壁溶解酵素、浸透圧の変化、ガラスビーズ、ホモジナイザーまたは超音波処理などを用いて破壊して細胞抽出物を得、これを精製する。精製は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動などの当該分野で公知の方法を組み合わせて実施され得る。
あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、カチオン性領域または基質分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。
アミノ酸の置換において親水性指数もまた、考慮され得る。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本発明において「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明において「サイレント置換」とは、ヌクレオチド配列置換において、そのヌクレオチドがコードするアミノ酸には変化が生じない置換をいう。このようなサイレント置換は、遺伝コードの縮重を利用して行うことができる。そのような縮重については、当該分野で周知であり、本明細書において引用される文献などにも記載されている。
本明細書において「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用であることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。このような保存的改変、サイレント改変もまた、本発明の範囲内にある。
本明細書において使用される核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、癌マーカー、神経疾患マーカーなど)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、植物の特定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レベルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位(特異的部位)にのみ発現してもよく、それ以外の部位においても発現していてもよい。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。
本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYなどを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
本明細書において「耐熱性」とは、通常の生物が生存する環境温度より高い温度に対して抵抗性を有することをいい、たとえば、37℃を超える温度に対する抵抗性が挙げられる。より通常には、耐熱性は、50℃以上の温度に対する抵抗性をいう。耐熱性は、生物について使用されるときは、低温でも高温でも生育することができる性質をいうことがある。他方、耐熱性は、ポリペプチドについて使用されるときは、高温(たとえば、37℃を超える温度、50℃以上の温度)に対する抵抗性をいう。また、このうちで、90℃以上でも抵抗性を有するものの性質を「超耐熱性」ともいう。
本明細書において、高温で生育することができる生物はまた「好熱菌」と呼ぶことがある。好熱菌は、通常生育至適温度が50〜105℃で、30℃以下ではほとんど増殖しない。また、このうちで、90℃以上の至適温度をもつものは「超好熱菌」と呼ばれる。
本明細書において使用される「超好熱始原菌」および「超耐熱菌」は、交換可能に使用され、90℃以上で生育する微生物であるをいう。好ましくは超好熱始原菌は、超耐熱DNAリガーゼを産生する、本発明者らが単離した耐熱性チオールプロテアーゼ産生菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株(Morikawa,M.et al.、Appl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994))である。KOD−1株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されており、その受託番号はFERM P−15007号である。なお、このKOD−1株は、上記文献に記載されているように、分離された当初Pyrococcus属に分類されていた。しかし、DNASIS(日立ソフトウェアーエンジニアリング社製)に入力されているGenBank R91.0 October,1995+Daily Updateの登録データを用いた16S rRNAの配列の比較を実施したところ、KOD−1株はPyrococcus属よりはむしろThermococcus属に近縁であることが示され、現在ではThermococcus kodakaraensis KOD−1と分類されている。
本明細書において、超耐熱性タンパク質を生産する超好熱始原菌の培養は、例えばAppl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994)(前出)に記載の培養条件下で実施し得る。培養は、静置培養または窒素ガスによる通気撹拌培養のいずれかであり得、そして連続的または回分的のいずれかであり得る。
超好熱始原菌の染色体DNAは、培養された細菌細胞を、界面活性剤(例えば、N−ラウリルサルコシン)などを用いて溶解し、得られた溶解物を塩化セシウムエチジウムブロミド平衡密度勾配超遠心分離法などにより分画して得ることができる(例えば、Imanaka et al.、J.Bacteriol.147:776−786(1981)を参照のこと)。ライブラリーは、得られた染色体DNAを各種制限酵素で切断した後、同一の制限酵素または共通の切断末端を与える制限酵素で切断したベクター(ファージまたはプラスミドなどのような)にT4 DNAリガーゼなどを用いて連結することにより得ることができる。
ライブラリーのスクリーニングは、このライブラリーから目的の超耐熱性DNAリガーゼをコードするDNAを含むクローンを選択することにより行い得る。選択は、例えば、予め決定された超耐熱性DNAリガーゼの部分アミノ酸配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチド、目的のDNAと相同性を有すると推測されるクローン化DNAなどをプローブとして用いて実施され得る。あるいは、選択は、目的の酵素を発現させることにより実施され得る。例えば、発現の検出は、目的の酵素の活性が容易に検出され得る場合は、プレートに加えられた基質に対する発現産物の活性を検出することにより、または目的の酵素に対する抗体が利用可能である場合は、発現産物と抗体との反応性を利用して実施され得る。
得られたクローン化DNAの解析は、例えば選択されたDNAを単離し、この制限地図を作製すること、およびヌクレオチド配列を決定することなどにより実施され得る。クローン化DNAの調製、制限酵素処理、サブクローニング、ヌクレオチド配列の決定などの技術は当該分野において周知であり、例えば「Molecular Cloning:A Laboratory Manual第2版」(Sambrook,FritschおよびManiatis編,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されている。
次いで、得られたクローン化DNAを、使用される宿主細胞に適合性の発現ベクター中に作動可能に挿入し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、形質転換された宿主細胞を培養することにより、超耐熱性タンパク質を発現させ得る。
(生体分子チップ)
本発明のゲノム情報をもちいて生体分子チップ(例えば、DNAチップ、プロテインチップ、糖タンパク質チップ、抗体チップなど)を提供することができる。
本発明の遺伝子などの発現調節の解析は、DNAアレイを用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。本発明はまた、本発明において初めて同定されたゲノム配列を用いた、擬似ゲノムDNAアレイ(超耐熱菌ゲノムアレイともいう)を提供する。
DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新PCR法」)に広く概説されている。また、DNAアレイを用いた植物の解析についても最近行われるようになっている(Schenk PMら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)97:11655−11660)。以下、DNAアレイおよびそれを使用する遺伝子分析方法を簡単に説明する。
「DNAアレイ」とは、DNAを基板上にアレイ整列(array)させて、固定させたデバイスをいう。DNAアレイは、基盤の大きさまたは載せるDNAの密度によって、DNAマクロアレイおよびDNAマイクロアレイなどに分けられるが、本明細書では厳密に区別して使用するものではない。
マクロとマイクロとの境界は厳密に決まっているわけではないが、一般に「DNAマクロアレイ」とは、メンブレン上にDNAをスポットした高密度フィルター(high density filter)をいい「DNAマイクロアレイ」とは、ガラス、シリコンなどの基板表面にDNAを載せたものをいう。載せる種類によって、cDNAアレイ、オリゴDNAアレイなどがある。
高密度オリゴDNAアレイのうち、半導体集積回路製造のための光リソグラフィー(photolithography)技術を応用し、基板上で一度に複数種のオリゴDNAを合成することで作製されたものを、半導体チップになぞらえて、特に「DNAチップ(chip)」という。この方法を用いて作製されたものとしては、GeneChip(登録商標)(Affimetrix、CA)などが挙げられる(Marshall Aら、(1998)Nat.Biotechnol.16:27−31およびRamsay Gら、(1998)Nat.Biotechnol.16 40−44を参照のこと)。好ましくは、本発明におけるマイクロアレイを用いた遺伝子解析においては、このGeneChip(登録商標)が用いられ得る。DNAチップは、狭義には上記のように定義されるが、DNAアレイまたはDNAマイクロアレイ全体をいうこともある。
DNAマイクロアレイは、このように、ガラス基板上に数千〜数万またはそれを超える遺伝子DNAを高密度に配列したデバイスであることから、cDNA、cRNAまたはゲノムDNAとのハイブリダイゼーションによって、遺伝子発現のプロファイルまたは遺伝子多型をゲノムスケールで解析することが可能となっている。この手法により、シグナル伝達系および/または転写制御経路の解析(Fambrough Dら(1999),Cell 97,727−741)、組織修復の機構の解析(Iyer VRら、(1999),Science 283:83−87)、医薬品の作用機構(Marton MJ、(1999),Nat.Med.4:1293−1301)、発生・分化の過程における遺伝子発現変動の広汎な解析、病態に伴って発現変動する遺伝子群の同定、またはシグナル伝達系もしくは転写制御に関与する新たな遺伝子の発見などが可能となってきた。また、遺伝子多型についても、多数のSNPを1つのDNAマイクロアレイで解析することが可能となっている(Cargill Mら、(1999),Nat.Genet.22:231−238)。
DNAマイクロアレイを用いたアッセイの原理を説明する。DNAマイクロアレイは、表面を適切に加工したスライドガラスのような固相基板上に多数の異なるDNAプローブを高密度に固定して作製する。その後、標識した核酸(標的)を、適切なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリダイズさせ、各々のプローブからのシグナルを自動検出器で検出する。このデータをコンピュータで大量解析する。例えば、遺伝子モニタリングにおいては、オリゴDNAまたはcDNAをプローブとしたマイクロアレイに、mRNAから逆転写反応により蛍光標識を取り込ませた標的cDNAをハイブリダイズさせて、蛍光イメージアナライザで検出する。この際、T7ポリメラーゼを用いてcRNA合成反応を行ったり、酵素反応を介させたりと、他の種々のシグナル増幅反応も行い得る。
Fodorらは、コンビナトリアルケミストリと半導体製造用光リソグラフィ技術とを合わせて、基板上にポリマーを合成する技術を開発した(Fodor SPら、(1991)Science 251:767−773)。これを、合成型DNAチップという。光リソグラフィでは、極めて微細な表面加工が可能なので、10μm2/DNAサンプルといった集積度の高いDNAマイクロアレイを作製し得る。この方法では、一般に、ガラス基板上に25〜30程度のDNAが合成され得る。
合成型DNAチップを用いた遺伝子発現は、Lockartらが報告している(Lockart DJら(1996)Nat.Biotechnol.:14:1675−1680)。この方法では、合成され得る長さが短いため特異性が低いという本タイプのチップの欠点が解消された。ここでは、1つの遺伝子発現をみるために、十数か所に対応するパーフェクトマッチ(perfect match;PM)オリゴヌクレオチドプローブと、PMプローブの中央の1塩基に変異を入れたミスマッチ(mismatch;MM)オリゴヌクレオチドプローブとを調製することで、この問題が解決された。MMプローブは、ここでは、ハイブリダイゼーションの特異性の指標として用いられ、そしてPMプローブとMMプローブとのシグナル比から、遺伝子発現レベルが決定され得る。PMプローブとMMプローブとのシグナル比が同等な場合は、クロスハイブリダイゼーションと呼び、有意なシグナルとは解釈されない。
いわゆる貼り付け型DNAマイクロアレイにおいては、スライドグラスにDNAを貼り付けていくタイプのDNAマイクロアレイを作製し、蛍光検出する(http://cmgm.stanford.edu/pbrownもまた参照のこと)。この方法では、大掛かりな半導体製造機は必要ではなく、DNAアレイ機および検出器があれば、研究室内でアッセイすることが可能である。この方法は、貼り付けるDNAを選択することが可能であるという利点を有する。高密度化についても、例えば、直径100μmのスポットを100μm間隔でスポットすれば、計算上1cm2に2500のDNAをスポットすることが可能である。したがって、通常スライドグラス(有効面積は、およそ4cm2)におよそ1万個のDNAを載せ得る。
合成型DNAアレイにおける標識方法としては、例えば、二蛍光標識法が挙げられる。この方法では、2つの異なるmRNAサンプルをそれぞれ異なる蛍光で標識し、同一マイクロアレイ上で競合的ハイブリダイゼーションを行って、療法の蛍光を測定し、それを比較することで遺伝子発現の相違を検出する。蛍光色素としては、例えば、Cy5およびCy3などが最も用いられているが、それらに限定されない。Cy3およびCy5の利点は、蛍光波長の重なりが殆どないという点である。二蛍光標識法は、遺伝子発現の相違のみならず、変異または多型性を検出するためにも使用され得る。
DNAアレイを用いるアッセイにおいては、アレイ機が使用され得る。アレイ機は、基本的に、高性能サーボモーターと組み合わせて、コンピュータの制御下でピン先またはスライドホルダをXYZ軸方向に作動し、マイクロタイタープレートからスライドグラス表面上にDNAサンプルを運ぶ装置である。ピン先の形状には、種々の加工がなされている。例えば、烏口のように割れたペン先にDNA溶液を溜めて、複数のスライドガラスにスポットする方式である。洗浄・乾燥のサイクルを挟んで、次にDNAサンプルを載せるという工程を繰り返す。ここで、サンプル同士の混入を防ぐためにも、ピン先の洗浄・乾燥を完全に行うことに注意する。このようなアレイ機としては、SPBIO2000(日立ソフトウェアエンジニアリング;1回打ち型)、GMS417Arrayer(宝酒造;ピンリング型)、Gene Tip Stamping(日本レーザ電子;万年筆型)などが挙げられる。
DNAアレイを用いたアッセイに使用されるDNA固定法には種々の方法が存在する。基板の材質として、ガラスは、メンブレンと比較して有効固定面積が小さく、荷電量も少ないことから、種々のコーティングがなされている。実用的には、ポリL−リシンコートまたはシリル化などが行われている(Schena Mら(1995)Science 270:467−470)、Schena Mら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)93:10614−10619を参照のこと)。また、市販のDNAマイクロアレイ専用コーティング済スライドガラス(例えば、ポリカルボジイミドガラス(日清紡)など)も使用され得る。オリゴDNAの場合は、DNA末端をアミノ化してシラン化ガラスに架橋する方法も利用可能である。
DNAマイクロアレイには、主に、PCRで増幅されたcDNA断片が載せられ得る。cDNAの濃度が充分ではない場合、シグナルを充分に検出し得ない場合が存在する。このように、一度のPCRにおいて充分量のcDNA断片が得られなかった場合には、PCRを何度か繰り返し、得られたPCR産物をまとめて精製・濃縮し得る。プローブcDNAは、一般的には、cDNAをランダムに数多く載せるが、実験の目的によっては、選択された一群の遺伝子(例えば、本発明の遺伝子群またはプロモーター群)またはRDA(representational differential analysis)で得られた発現変化候補遺伝子を載せ得る。クローンの重複は避けることが好ましい。クローンは、手持ちのcDNAライブラリーから調製してもよく、cDNAクローンをまとめて入手してもよい。
DNAアレイを用いたアッセイにおいては、DNAマイクロアレイ上でハイブリダイズした蛍光シグナルを蛍光検出器等で検出する。このような検出器は、現在までに種々の検出器が利用可能である。例えば、スタンフォード大学のグループは、オリジナルスキャナを開発しており、このスキャナは、蛍光顕微鏡と稼動ステージとを組み合わせたものである(http://cmgm.stanford.edu/pbrownを参照のこと)。従来型のゲル用蛍光イメージアナライザであるFMBIO(日立ソフトウェアエンジニアリング)、Storm(Molecular Dynamics)などでも、スポットがそれほど高密度でなければ、DNAマイクロアレイの読み取りを行い得る。その他に利用可能な検出器としては、ScanArray 4000、同5000(GeneralScanning;スキャン型(共焦点型))、GMS418 Array Scanner(宝酒造;スキャン型(共焦点型))、Gene Tip Scanner(日本レーザ電子;スキャン型(非共焦点型))、Gene Tac 2000(Genomic Solutions;CCDカメラ型))などが挙げられる。
DNAマイクロアレイから得られるデータは膨大であることから、クローンとスポットとの対応の管理、データ解析などを行うためのデータ解析ソフトウェアが重要である。そのようなソフトウェアとしては、各種検出システムに付属のソフトウェアが利用可能である(Ermolaeva Oら(1998)Nat.Genet.20:19−23)。また、データベースのフォーマットとしては、例えば、Affymetrixが提唱しているGATC(genetic analysis technology consortium)と呼ばれる形式が挙げられる。
本明細書においてタンパク質の発現の調節はまた、ディファレンシャルディスプレイ(differential display)技術を用いた遺伝子解析でも解析することができる。
本明細書において「ディファレンシャルディスプレイ(技術)」とは、発現変動する遺伝子を検出または同定するための方法である。この方法では、2つ以上のサンプルからcDNAをそれぞれ作製し、任意のプライマーセットを用いてPCRにより増幅し、その後、生成された複数のPCR産物をゲル電気泳動により分離し、パターン化した後、各バンドの相対的なシグナル強度変化をもとに、発現変動遺伝子がクローニングされる。
本明細書において使用される「支持体」は、生体分子のような物質を固定することができる材料(material)をいう。支持体の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子のような物質に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。
支持体として使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。支持体は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどの有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。支持体を構成する材料が固相である場合、本明細書において特に「固相支持体」という。本明細書において、プレート、マイクロウェルプレート、チップ、スライドグラス、フィルム、ビーズ、金属(表面)などの形態をとり得る。支持体はコーティングされていてもよく、コーティングされていなくてもよい。
本明細書において「チップ」とは、多様の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。本明細書において、「生体分子チップ」とは、基板と、生体分子とを含み、その基板には本明細書において定義された生体分子が少なくとも1つ配置されている。
本明細書において使用される用語「アドレス」とは、基板上のユニークな位置をいい、他のユニークな位置から弁別可能であり得るものをいう。アドレスは、そのアドレスを伴う生体分子との関連づけに適切であり、そしてすべての各々のアドレスにおける存在物が他のアドレスにおける存在物から識別され得る(例えば、光学的)、任意の形状を採り得る。アドレスの形は、例えば、円状、楕円状、正方形、長方形であり得るか、または不規則な形であり得る。
各々のアドレスのサイズは、とりわけ、その基板の大きさ、特定の基板上のアドレスの数、分析物の量および/または利用可能な試薬、生体分子のサイズおよびそのアレイが使用される任意の方法のために必要な解像度の程度に依存する。大きさは、例えば、1−2nmから数cm(たとえば、1−2mm〜数cmなど、125×80mm、10×10mmなど)の範囲であり得るが、そのアレイの適用に一致した任意の大きさが可能である。そのような場合、基板材料は、アレイの特定の製造プロセスおよび適用のために適切な大きさおよび形状へと形成される。例えば、測定対象物が多く入手可能な場合の分析において、比較的大きな基板(例えば、1cm×1cmまたはそれより大きい)の上のアレイを構築することがより経済的であり得る。ここでは、あまり感受性ではなく、それゆえより経済的な検出システムが使用され得るさらなる利点が伴う。他方、分析物および/または試薬が利用可能である量が限定されている場合、これらの成分の消費を最小限化するようにアレイが設計され得る。
アドレスの空間配置および形状は、そのマイクロアレイが使用される特定の適用に適合するように設計される。アドレスは、密に充填され得、広汎に分散され得るか、または特定の型の分析物に適切な所望のパターンへとサブグループ化され得る。本明細書において用いられるように、「アレイ」とは、固相表面または膜上の固定物体の固定されたパターンまたはそのようなパターンを有する分子集団を意味する。典型的に、アレイはそれ自身固相表面または膜に固定されている核酸配列を捕獲するように結合した生体分子(例えば、DNA、RNA、タンパク質−RNA融合分子、タンパク質、有機低分子など)で構成される。アレイ上には、生体分子の「スポット」が配置され得る。本明細書において「スポット」とは、生体分子の一定の集合をいう。
基板には、任意の数のアドレスが配置され得るが、通常、108アドレスまで、他の実施形態において107アドレスまで、106アドレスまで、105アドレスまで、104アドレスまで、103アドレスまで、または102アドレスまでのアドレスが配置され得る。したがって、1アドレスに生体分子1個が配置されているときは、基板には、108個の生体分子まで、他の実施形態において107個の生体分子まで、106個の生体分子まで、105個の生体分子まで、104個の生体分子まで、103個の生体分子まで、または102個の生体分子までの個の生体分子が配置され得る。これらの場合において、より小さな基板の大きさおよびより小さなアドレスが適切である。特に、アドレスの大きさは、単一の生体分子のサイズと同じ小さくあり得る(これは、1−2nmの桁であり得る)。最小限の基板の面積は、いくつかの場合において基板上のアドレスの数によって決定される。
本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイルスなどを含むがそれらに限定されない。生体分子は、生体から抽出される分子を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子であれば生体分子の定義に入る。したがって、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(たとえば、低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子などが包含されるがそれらに限定されない。生体分子にはまた、本発明の基板に結合され得る限り、細胞自体、組織の一部または全部なども包含され得る。好ましくは、生体分子は、核酸またはタンパク質を含む。別の好ましい実施形態では、生体分子は、核酸(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA、あるいはPCRなどによって合成されたDNA)である。他の好ましい実施形態では、生体分子はタンパク質であり得る。好ましくは、本発明の基板上には、1アドレスあたり1種類の生体分子が提供され得る。別の実施形態では、二種類以上の生体分子を含むサンプルが1アドレスに提供されていてもよい。
本明細書において「液相」とは、当該分野において通常用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、溶液中での状態をいう。
本明細書において「固相」とは、当該分野において用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、固体の状態をいう。本明細書において液体および固体を総合して流体ということがある。
本明細書において「接触」とは、2つの物質(例えば、組成物および細胞)が互いに相互作用するに十分に至近距離に存在することをいう。
本明細書において「相互作用」とは、2つの物体について言及するとき、その2つの物体が相互に力を及ぼしあうことをいう。そのような相互作用としては、例えば、共有結合、水素結合、ファンデルワールス力、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、疎水性相互作用、静電的相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、相互作用は、水素結合、疎水性相互作用などの生体内で生じる通常の相互作用であり得る。
1つの実施形態において、本発明では、生体分子(たとえば、有機低分子、コンビナトリアルケミストリー生成物)のライブラリーを、基板に結合させ得、これを用いて分子をスクリーニングするためのマイクロアレイを生成することができる。本発明で使用する化合物ライブラリは、例えば、コンビナトリアルケミストリー技術、醗酵方法、植物および細胞抽出手順などが挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの手段により、作製することができるかまたは入手することができる。コンビナトリアルライブラリを作成する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、E.R.Felder,Chimia 1994,48,512−541;Gallopら、J.Med.Chem.1994,37,1233−1251;R.A.Houghten,Trends Genet.1993,9,235−239;Houghtenら、Nature 1991,354,84−86;Lamら、Nature 1991,354,82−84;Carellら、Chem.Biol.1995,3,171−183;Maddenら、Perspectives in Drug Discovery and Design2,269−282;Cwirlaら、Biochemistry 1990,87,6378−6382;Brennerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1992,89,5381−5383;Gordonら、J.Med.Chem.1994,37,1385−1401;Leblら、Biopolymers 1995,37 177−198;およびそれらで引用された参考文献を参照のこと。これらの参考文献は、その全体を、本明細書中で参考として援用する。
本発明の方法、生体分子チップおよび装置は、例えば、診断、法医学、薬物探索(医薬品のスクリーニング)および開発、分子生物学的分析(例えば、アレイベースのヌクレオチド配列分析およびアレイベースの遺伝子配列分析)、タンパク質特性および機能の分析、薬理ゲノム学、プロテオミクス、環境調査ならびにさらなる生物学的および化学的な分析において使用され得る。
本発明はさらに、RFLP、SNP(スニップ。一塩基多型)解析等の多型解析、塩基配列の解析等にも適応することが可能である。本発明はまた、医薬品のスクリーニングにおいて使用することができる。
本発明はまた、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで、生体分子の検査が必要なものに全て適応可能である。
本発明はまた、生体から直接採取したサンプル以外に、PCR、SDA、NASBA法等で増幅した遺伝子の検出に対しても用いることは可能である。本発明はさらに、標的遺伝子は予め電気化学的に活性な物質や、FITC、ローダミン、アクリジン、Texas Red、フルオレセインなどの蛍光物質、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素、ハプテン、発光物質、抗体、抗原、金コロイドなどのコロイド粒子、金属、金属イオン、およびトリスビピリジン、トリスフェナントロリン、ヘキサアミンなどとの金属キレートなどで標識しておくことも可能である。
1つの実施形態において、核酸を用いた検査のためには、これら検体試料から核酸成分の抽出を行う。抽出方法は特に限定される物ではなく、フェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社、ドイツ)などを利用することも可能である。次に、抽出した核酸成分を含むサンプルと本発明の生体分子チップとの間でハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、ウシ胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを添加し得る。これに抽出した核酸成分を添加し、90℃以上で熱変性させる。生体分子チップの挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行うことができる。また、基板上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。反応中は、撹拌、あるいは震盪などの操作で反応速度を高めることもできる。反応温度は10℃〜90℃の範囲であり、また反応時間は1分以上から1晩程度行う。ハイブリダイゼーション反応後、電極を取り出し洗浄を行う。洗浄には、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いることができる。
本明細書において「標識」は、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。上記の核酸断片および相補性を示すオリゴヌクレオチドを何れも蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、Cy DyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。
本明細書において、「チップ属性データ」とは、本発明の生体分子チップに関する何らかの情報に関連するデータをいう。チップ属性データには、チップID、基板データ、生体分子属性データのような生体分子チップに関連する情報が含まれる。本明細書において「チップID」とは、個々のチップを識別する符号をいう。本明細書において、「基板データ」または「基板属性データ」とは、同じ意味で用いられ、本発明の生体分子チップにおいて利用される基板に関するデータを言う。基板データは、たとえば、生体分子の配置またはパターンに関する情報を含み得る。「生体分子属性データ」とは、生体分子に関する情報をいい、たとえば、その生体分子の遺伝子配列(核酸である場合はヌクレオチド配列、タンパク質である場合はアミノ酸配列)、遺伝子配列に関連する情報(たとえば、特定疾患または状態との関連)、低分子である場合には、ホルモンである場合にはその働き、コンビナトリアルライブラリーである場合にはそのライブラリー情報、低分子に親和性のある分子情報などが挙げられる。本明細書で使用される「測定データ」とは、本発明の生体分子基板、装置およびシステムにより測定された生のデータおよびそこから導き出される特定の処理データをいう。そのようなデータは、生の場合、電気信号の強さで表され得、処理されたデータの場合は、遺伝子機能、遺伝子発現量のような具体的な生化学データであり得る。
本明細書において「記録領域」とは、データが記録され得る領域をいう。記録領域には、上記チップ属性データのほか、測定したデータも記録することができる。
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、マイクロフルイディクス、微細加工、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。
微細加工については、例えば、Campbell,S.A.(1996).The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication,Oxford University Press;Zaut,P.V.(1996).Micromicroarray Fabrication:a Practical Guide to Semiconductor Processing,Semiconductor Services;Madou,M.J.(1997).Fundamentals of Microfabrication,CRC1 5 Press;Rai−Choudhury,P.(1997).Handbook of Microlithography,Micromachining,& Microfabrication:Microlithographyなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
フォトリソグラフィー技術は、Fordor et al.によって開発された技術であり、光反応性保護基を利用する(Science,251、767(1991)を参照のこと)。この保護基は、各塩基モノマーと同種、あるいは別種の塩基モノマーとの結合を阻害する働きがあり、この保護基が結合している塩基末端には、新たな塩基の結合反応は生じない。また、この保護基は、光照射によって容易に除去することができる。まず、基板全面にこの保護基を有するアミノ基を固定化させておく。次に、所望の塩基を結合させたいスポットにのみ、通常の半導体プロセスで使用されるフォトリソグラフィー技術と同様の方法を使って、選択的に光照射を行う。これにより、光が照射された部分の塩基のみ、後続の結合によって次の塩基を導入できる。ここに、同じ保護基を末端に有する所望の塩基を結合させる。そして、フォトマスクの形状を変更して、別のスポットに選択的に光照射を行う。このあと、同様にして、保護基を有する塩基を結合させる。この工程をスポット毎に所望の塩基配列が得られるまで繰返すことによってDNAアレイが作製される。本明細書において、フォトリソグラフィー技術が使用され得る。
インクジェット方式(技術)は、熱、圧電効果を利用し非常に小さい液滴を2次元平面の所定の位置に射出する技術であり、主にプリンター装置において広く用いられている。DNAアレイの製造には、圧電素子をガラスキャピラリーと組み合わせた構造のインクジェット装置が使用される。液体チャンバーに接続された圧電素子に電圧を加えることにより、圧電素子の体積の変化によってチャンバー内の液体が、チャンバーに接続された、キャピラリーから液滴となって射出される。射出される液滴の大きさは、キャピラリーの径、圧電素子の体積変化量、液体の物理的性質によって決定されるが、一般には、直径が30μm程度である。圧電素子を用いたインクジェット装置は、このような液滴を10KHz程度の周期で射出することができる。このようなインクジェット装置を使ったDNAアレイ製造装置は、インクジェット装置とDNAアレイ基板とを相対運動させることにより、DNAアレイ上の所望のスポットに所望の液滴を滴下することができる。インクジェット装置を使ったDNAアレイ製造装置には、大きくわけて2種類ある。1つはただ1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置であり、もう1つはマルチヘッドのインクジェット装置を用いた装置である。ただ1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置は、オリゴマー末端の保護基を除去する試薬を所望のスポットに滴下する構成になっている。所望の塩基を導入したいスポットの保護基を、このインクジェット装置を用いて除去して活性な状態にした後、DNAアレイ全体に所望の塩基の結合反応操作を実施する。この際、インクジェット装置からの試薬の滴下によって、末端が活性化したオリゴマーを持つスポットのみに所望の塩基が結合する。この後、新たに付加した塩基の末端を保護する操作を行う。次に、保護基を除去するスポットを変更してこの操作を所望のヌクレオチド配列が得られるまで繰返す。一方、マルチヘッドのインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置は、各塩基を含む試薬毎にインクジェット装置を用意することによって、各スポット毎に所望の塩基を直接結合させることができる構成になっており、前述した1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置よりも高いスループットが得られる。あらかじめ合成したオリゴヌクレオチドを基板に固定化させる方法のうち、メカニカルマイクロスポッティング技術は、ステンレス製のピンの先端についたオリゴヌクレオチドを含む液体を機械的に基板上に押し付けて固定化していく技術である。この方法で得られるスポットは、50〜300μm程度になる。マイクロスポッティング後には、UV光による固定化等の後処理が行われる。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の最良の形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
次に、本発明の特徴の一つでもある新規遺伝子ターゲティング破壊について説明する。
1つの局面において、本発明は、生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法を提供する。この方法は、1)上記生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;2)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;3)上記選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;4)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;および5)上記生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、を包含する。この方法は、ゲノム配列全体が解明されたことによりはじめて達成されるものであり、従来の技術、たとえば、Bartolucci S.のSulfolobus solfataricusを用いたモデルシステムでは、狙った遺伝子の破壊はできず、偶然により破壊された結果を利用することしかできない点で異なり、この相違点により、本発明は、所望の遺伝子を効率よく迅速に破壊することができ、機能解析などを行うことができるという効果がもたらされた。
好ましくは、本発明の上記工程2)において、上記領域は少なくとも2つ選択される。領域が2つあることにより、ダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊が行われるからである。本発明により示されるように、ダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は、シングルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊よりも一般的に効率がよい。従って、上記領域は2つあることが好ましくあり得る。
本発明において使用されるベクターは、破壊ベクターとも呼ばれるが、プロモーターのようなさらなる遺伝子調節エレメントをさらに含んでいてもよい。
本発明の遺伝子ターゲティング方法は、上記マーカー遺伝子の発現産物を検出する工程をさらに包含し得る。ここで、この発現産物は、例えば、mRNA、ポリペプチド、翻訳後修飾を受けたポリペプチドであり得る。
1つの実施形態において、上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域内に配置されても、上記選択された領域の外に配置されていてもよい。
本明細書において、本発明において使用されるゲノムは、そのゲノムの全配列がほぼ判明していればどのようなゲノムであってもよい。そのようなゲノムの例としては、例えば、Aeropyrum pernix、Archaeoglobus fulgidus、Methanobacterium thermoautorophicum、Methanococcus jannaschii、Pyurococcus abyssi、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcaniumのような古細菌、Aquifexaeolicus、Thermotoga maritimaなどの細菌などが挙げられるがそれらに限定されない。1つの実施形態では、ゲノムは、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムであってもよい。なぜなら、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムは、いまや全配列が判明したからである。ここで、全配列が判明またはほぼ判明したとは、どの領域の配列を選択したとしても、相同組換えを生じさせるに十分な相同な配列の領域を提供することができる程度に配列が判明していることをいう。したがって、そのような状態は、全配列が1塩基も欠けずに、判明していることが好ましいが、1、2、3塩基わからない状態の部分があってもよい。そのようなわからない状態の部分は、相同組換えを生じさせるに十分な相同な配列の領域を提供することができる程度であれば、複数存在していてもよい。
好ましくは、本発明のゲノムは、配列番号1に示される配列を有する。
好ましくは、本発明の方法において、選択される領域は上記領域は、配列番号1中のオープンリーディングフレームであり、これは、配列番号1、342、723、1087、1469または1838に示される配列において、以下の表:
における遺伝子番号(1)〜(2151)の配列からなる群より選択される。1つの実施形態では、このような領域は、遺伝子番号(1)〜(2151)空なる群より選択される。
ここで、上記表中、翻訳されたアミノ酸配列は、通常メチオニンで始まり「アミノ酸配列番号Y(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)」として同定されるが、他のリーディングフレームもまた、公知の分子生物学技術を使用して容易に翻訳され得る。別のオープンリーディングフレームによって生成されるポリペプチドもまた、本発明の範囲内に入ることが企図される。
本明細書において開示された配列の正確さは十分であり、当該分野において周知の種々の用途および以下でさらに記載される種々の用途に適切である。例えば、配列番号1のオープンリーディングフレーム領域の配列は、そのオープンリーディングフレームにおいて含まれる核酸配列に含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイゼーションプローブを設計するために有用である。これらのプローブはまた、生物学的サンプル中の核酸分子にハイブリダイズし、それによって本発明の種々の法医学的方法、および診断方法を可能にする。同様に、配列番号Zから同定されるポリペプチドは、例えば、本明細書において同定されるオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質(ポリペプチドおよび分泌タンパク質を含む)に特異的に結合する抗体を作製するために使用され得る。
本発明者らは、配列決定に際して細心の注意を払って分析を行った。しかし、配列決定反応によって生成されるDNA配列は、配列決定の誤差を含み得る。この誤差は、誤って同定されたヌクレオチドとして、または生成されたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入もしくは欠失として存在する。誤って挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配列のリーディングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合において、作製されるDNA配列が、実際のDNA配列と99.9%(例えば、1000塩基を超えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入または欠失)を超えて同一であり得るとしても、推定アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列とは異なる。
従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこれらの適用のために、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列、および配列番号Zとして同定される翻訳されたアミノ酸配列のみならず、特許生物寄託センターに寄託された本発明のThermococcus kodakaraensis KOD1のゲノム中に含まれる核酸配列およびそれによってコードされるアミノ酸配列もまた提供する。当業者は、そのようなより正確な配列を寄託された本発明のThermococcus kodakaraensis KOD1の配列を配列決定することによって判定することができる。本発明においてまた提供されるものは、対立遺伝子変異体、オルソログ、および/または種ホモログである。
別の局面において、本発明は、配列番号1または1087に示される配列を有する、核酸分子自体を提供する。この核酸分子自体は、本発明の遺伝子ターゲティング破壊方法において有用である。
本発明はまた、別の局面において、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続する核酸配列を含む、核酸分子を提供する。
本明細書において用語「プローブ」とは、可変の長さの核酸配列であって、ある特定の配列を探索するために使用されるものをいう。プローブは、好ましくは、用途に依存するが、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドであってもよく、または約6,000ヌクレオチドであってもよい。プローブは、同一、類似または相補的な核酸配列の検出において使用される。より長いプローブは、通常、天然供給源または組換え供給源から入手され、非常に特異的であり、オリゴマーよりもはるかに遅くハイブリダイズする。プローブは、一本鎖または二本鎖であり得、そしてPCR、メンブレンベースのハイブリダイゼーション技術またはELISAのような技術において特異性を有するように設計される。
本明細書において用語「プライマー」とは、可変の長さの核酸配列であって、PCRなどの核酸の合成反応にあたりポリヌクレオチド鎖がのびていく出発点として働くポリヌクレオチドをいう。プライマーは、好ましくは、用途に依存するが、少なくとも約6ヌクレオチド、少なくとも約7ヌクレオチド、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約9ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約17ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドであってもよく、または約6,000ヌクレオチドであってもよい。
1つの局面において、本発明は、上述の表1に記載される遺伝子番号(1)〜(2151)のいずれかのアミノ酸配列(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)を有するポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これらの融合タンパク質は、種々の適用に使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(EP A 394,827もまた参照のこと;Trauneckerら、Nature、331:84−86(1988))。
別の局面において、本発明は、上述の表1に記載される遺伝子番号(1)〜(2151)のいずれかのアミノ酸配列(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)の少なくとも3アミノ酸配列を含むペプチド分子を提供する。そのようなペプチド分子は、エピトープとして使用され得る。好ましくは、そのようなペプチド分子は、少なくとも約4アミノ酸配列、少なくとも約5アミノ酸配列、少なくとも約6アミノ酸配列、少なくとも約7アミノ酸配列、少なくとも約8アミノ酸配列、少なくとも約9アミノ酸配列、少なくとも約10アミノ酸配列、少なくとも約15アミノ酸配列、少なくとも約20アミノ酸配列、少なくとも約30アミノ酸配列、少なくとも約40アミノ酸配列、少なくとも約50アミノ酸配列、少なくとも約100アミノ酸配列含み得る。より長いほうが特異性が高い。
用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ましくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、本発明は、エピトープを含むポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、下記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセイによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し得るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除外するが、他の抗原との交差反応を除外する必要はない。抗原性エピトープは、免疫原性である必要はない。
エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生され得る。(例えば、Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。これはさらに、米国特許第4,631,211号に記載される)。
本発明においては、抗原性エピトープは、通常3アミノ酸、好ましくは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチドは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープおよびその一部を含む。抗原性エピトープは、有用である(例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起するため)。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープ、および2、3、4、5以上のこれらの抗原性エピトープの任意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、標的分子として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:767−778(1984);Sutcliffeら、Science 219:660−666(1983)を参照のこと)。
同様に、免疫原性のエピトープを使用して、例えば、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導し得る。(例えば、Sutcliffeら(前出);Wilsonら(前出);Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピトープは、本明細書で開示された免疫原性エピトープ、ならびにこれらの免疫原性エピトープの2つ、3つ、4つ、5つ以上の任意の組み合わせを含む。1つ以上の免疫原性エピトープを含むポリペプチドは、キャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系(例えば、ウサギまたはマウス)に対する抗体応答を惹起するために提示され得るか、または、そのポリペプチドが十分に長い場合では(少なくとも約25アミノ酸)、このポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし、8〜10程度のわずかなアミノ酸を含む免疫原性エピトープが、変性されたポリペプチドの直鎖エピトープに(少なくとも)結合し得る抗体を惹起するのに十分であることが示された(例えば、ウエスタンブロッティングにおいて)。
本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導するために使用され得る。この方法としては、インビボ免疫、インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Sutcliffeら,前出;Wilsonら,前出;およびBittleら,J.Gen.Virol.,66:2347−2354(1985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(hemacyanin)(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペプチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプチドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリアに結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、エマルジョン(約100μgのペプチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答を刺激すると知られる任意の他のアジュバントを含む)の腹腔内注射および/または皮内注射により免疫される。いくつかのブースター注射が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法に従う固体支持体上のペプチドの吸着および選択された抗体の溶出による)により上昇し得る。
当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、他のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよびそれらの部分)、あるいはアルブミン(組換えアルブミン(例えば、1999年3月2日発行の米国特許第5,876,969号、欧州特許第0 413 622号、および1998年6月16日発行の米国特許第5,766,883号(これらは、本明細書によってその全体において参考として援用される)を参照のこと)を含むが、限定はされない)と融合され得、キメラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そしてインビボでの半減期を増大させ得る。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら、Nature,331:84〜86(1988)を参照のこと。上皮の障壁を横切る抗原の免疫系への増強された送達は、IgGまたはFcフラグメントのようなFcRn結合パートナーへ結合された抗原(例えば、インシュリン)について実証された(例えば、PCT公開WO96/22024および同WO99/04813を参照のこと)。IgG部分のジスルフィド結合に起因するジスルフィド結合二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、単量体ポリペプチドまたはそれらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果的であることが見出された。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)を参照のこと。上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグ(例えば、赤血球凝集素(「HA」)タグまたはフラッグ(flag)タグ)として目的の遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。例えば、Janknechtらによって記載される系は、ヒト細胞株中で発現される非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknecht ら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−897)。この系において、目的の遺伝子はワクシニア組換えプラスミドへサブクローン化され、その結果、この遺伝子のオープンリーディングフレームが、6つのヒスチジン残基からなるアミノ末端タグへ翻訳時に融合される。このタグは、融合タンパク質についての基質結合ドメインとしての機能を果たす。組換えワクシニアウイルスを用いて感染された細胞からの抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸−アガロースカラム上へロードされ、そしてヒスチジンタグ化タンパク質は、イミダゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
「単離された」核酸分子は、この核酸の天然の供給源中に存在するその他の核酸分子から分離されているものである。単離された核酸分子の例としては、ベクター中に含まれる組換えDNA分子、異種宿主細胞中に維持される組換えDNA分子、部分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNAまたはRNA分子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは「単離された」核酸は、この核酸が由来する生物のゲノムDNA中でこの核酸に天然で隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)がない。例えば、種々の実施形態で、単離されたNOVX核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然で隣接する、約50kb、25kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kbより少ないヌクレオチド配列を含み得る。さらに「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、組換え技法により産生されるとき、その他の細胞物質または培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成されるとき、化学物質前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部をコードする、核酸分子を提供する。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部を含む、ポリペプチドを提供する。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部を含む、エピトープを提供する。
別の局面において、耐熱性タンパク質をスクリーニングする方法を提供する。ここでこの方法は、1)耐熱性生物のゲノムの全配列を提供する工程;2)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;3)上記選択された領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクターを提供する工程;4)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;5)上記耐熱性生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程;6)相同的組換えが起きた上記耐熱性生物を選択する工程;および7)上記耐熱性タンパク質を同定するアッセイを行う工程、を包含する。ここで、ゲノムの全配列は、完全な配列でなくてもよいが、好ましくは完全な配列である。ここで、選択される領域は、好ましくは2つの領域またはそれを超える領域であり得る。領域の長さは相同的組換えが生じる限りどのような長さでもよく、例えば、少なくとも約500塩基、少なくとも約600塩基、少なくとも約700塩基、少なくとも約800塩基、少なくとも約900塩基、少なくとも約1000塩基、少なくとも約2000塩基などであり得る。上述の耐熱性タンパク質の候補は、発現が予測される限り、本発明のどのようなタンパク質であってもよい。ベクターはそのタンパク質を発現させることができる限りどのようなベクターであってもよい。
ベクターには好ましくは、プロモーターのような遺伝子調節エレメントが含まれ得る。形質転換は適切な条件であればどのような条件であってもよい。
相同的組換えが生じる条件とは、相同的組換えが起きる条件であればどのような条件であってもよく、通常は、以下のような条件でよい。
という条件が挙げられるがそれらに限定されない。ここで、上記ASW(人工海水)の組成は以下のとおりである:1×人工海水(Artificial sea water(ASW))(/L):NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SO4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸 0.01g。。
相同的組換えが起きた生物を選択する方法は、相同的組換えが起きた生物に特有のマーカーを検出することによって行われ得る。従って、相同的組換えが起きた生物に発現されるようなマーカーを上述のベクターに含ませておくことが好ましくあり得る。
耐熱性のタンパク質の同定は、そのタンパク質が通常活性を発揮すると考えられている条件において、温度のみを例えば、約50℃、好ましくは約60℃、より好ましくは約70℃、さらに好ましくは約80℃、もっとも好ましくは約90℃に上昇させた条件であっても、活性がみられることを確認することによって行うことができる。
別の局面において、本発明は、耐熱性タンパク質をスクリーニングするキットを提供する。このキットは、1)耐熱性生物;ならびに2)上記耐熱性生物において選択されたある領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクター、を備える。
好ましい実施形態において、この耐熱性生物は、超好熱始原菌であり、より好ましくはThermococcus kodakaraensis KOD1である。
好ましい実施形態において、本発明のキットは、3)上記耐熱性タンパク質を同定するためのアッセイシステム、をさらに備える。このアッセイシステムは、その耐熱性タンパク質の活性によって変動する。
(各遺伝子の説明)
以下に、本発明において同定されたThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノム配列に含まれていた各遺伝子についての説明を付す。
(超好熱菌のゲノムの概論)
超好熱菌の染色体DNAは安定である。DNAの二本鎖は水素結合で維持されているため、高温環境では一本鎖に解離するのではないかという素朴な疑問が生じる。KOD1株には2種の塩基性ヒストン様タンパクが存在し、これが負に荷電しているDNAに結合することにより、ヌクレオソーム様複合体を形成してコンパクト化することにより安定化している。本発明によって、さらにポリアミンがこれに結合して安定化を促進していることもさらに明らかにできた。なおアセチル化されたポリアミン(アセチルポリアミン)はヌクレオソーム様複合体への結合能が弱いため、脱アセチル化酵素の働きにより得られたポリアミンがより強固に結合できるようになっている。一般的に超好熱菌の細胞内K+イオン濃度は常温菌の場合よりはるかに高いので、二本鎖DNAの安定化にも貢献していることは聞違いない。実際DNAの融解曲線を調べるとこれらの特性が明らかに示されている。
(耐熱性についての普遍性)
本発明者はKOD1株のglutamate dehydrogenase(GDH)の研究を通じて、超好熱菌由来タンパク質に普遍的な特性を発見した。すなわち、常温菌由来のタンパク質は一般に熱により変性するのに対し、超好熱菌由来の組換えタンパク質は熱により成熟していくことを明らかにした。KOD1株内の高温環境で合成されたGDHは6量体構造を有し、高い比活性を示す。一方、GDH遺伝子を大腸菌を宿主として発現させた場合では、天然型のGDHと比べて酵素活性が低く、構造の異なる単量体タンパク質が得られた。そこで70℃、20分の熱処理を施すと組換え型GDHは比活性、立体構造ともに天然型のGDHに近づくことが明らかとなった。また、一度熱処理を行うことにより、本酵素は低温域でも天然型GDKと類似した挙動をした。このような特徴はGDHのみならず、本発明者らが解析した超好熱菌由来酵素の全てについて認められた。以上のことから、耐熱性タンパク質の成熟化には熱が重要であり、それは熱による酵素タンパク質の不可逆な構造変換に起因することが判明した。
(新しい構造や機能特性を有する酵素の発見)
リブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)は全ての植物・藻類・藍藻に存在し、二酸化炭素を有機物に固定する重要な役割を担っている。Rubiscoは地球上で最も多量に存在する酵素であり、本酵素の改良は地球温暖化や食糧問題の解決に大きく貢献すると期待されている。いままで原始生命体に近い始原菌はRubiscoを有しないと考えられてきたが、本発明者らはKOD1株内に高い炭酸固定能を有するRubiscoが存在することを発見した。この酵素(Tk−Rubisco)は従来のRubiscoと比較して20倍も高い活性を有し、二酸化炭素に対する特異性も極めて高いことが判明した。Tk−Rubiscoは構造的にも新規であり、前例のない五角形型10量体構造をとっていた。現在は本酵素の生理的役割の解明とともに、植物などの光合成生物への導入を進めている。
(構造解析に基いた超好無菌由来タンパク質の耐熱性機構の解明)
超好熱菌由来タンパク質が示す高度な耐熱性は、タンパク質科学の基礎分野のみならず、酵素を利用する様々な応用分野から注目を集めている。本発明者らは多数のKOD1株由来酵素の立体構造を明らかにしており、それらの耐熱性機構を解明することができた。代表的な例としてO6−メチルグアニン−DNAメチルトランスフェラーゼ(Tk−MGMT)が挙げられる。Tk−MGMTとその大腸菌由来酵素(AdaC)の立体構造を比較すると、Tk−MGMTにはα−ヘリックスを安定化するヘリックス内イオン結合が多数存在することが判明した。また、タンパク質全体の構造を安定化するヘリックス間イオン結合も多く存在していた。大腸菌由来AdaCにはこのようなイオン結合は少なく、超好熱菌由来酵素は多数のイオン結合やイオン結合ネットワークにより高度な耐熱性を発揮していることが判った。これは上述のGDHにおいても同様であり、生化学的にも証明することができた。すなわち、GDH内に存在するイオン結合ネットワークを壊すような部位特異的変異を導入した場合には、変異酵素の熱安定性が大きく低下した。逆にイオン結合を増加させた変異酵素の耐熱性は上昇した。
(有用酵素の利用)
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)は遺伝子操作技術にもはや不可欠な技術の1つとなっており、その応用は医療、環境、食糧など様々な分野に及んでいる。現在、PCR法に求められている改良点は増幅時間の短縮、誤増幅の防止、長いDNA断片の増幅である。特に臨床検査、食品検査では速く、正確にDNAを合成するDNAポリメラーゼが要求されている。本発明者らはKOD1株のDNAポリメラーゼ(KOD DNAポリメラーゼ)の機能解析を行った結果、本酵素は従来酵素と比較してDNAの合成速度が速く、長いDNAを合成する能力も高いことを見いだした。実際、KOD1株のDNAポリメラーゼを用いると、従来のTaq酵素で2時間かかっていたPCRの反応時間を約25分に短縮できた。また、KOD DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失させた改変型酵素と野生型酵素とを最適な割合で混合することにより、より優れた反応効率・伸長性を得ることができた。本発明者らはさらにKOD DNAポリメラーゼの抗体を用いることにより、PCR反応の初期に見られる誤増幅を抑え、極めて正確で効率の良いDNA増幅系を確立することができた。本システムは東洋紡績社から「KOD−Plus−」システムとして上梓中であり、またLife Technologies/GIBCO BRL社より「PlatinumTM Pfx DNA polymerase」として欧米各国で販売されている。最近本発明者らはさらにKOD DNAポリメラーゼの結晶化・X線構造解析を行い、その立体構造を決定した。詳細な立体構造に基いて、本酵素の伸長反応の速さ、複製能力の正確さなどがどのような構造に起因するかを解明することができた。
本発明者らはDNAポリメラーゼ以外にも多数の有用耐熱性酵素を同定解析している。DNAリガーゼは2つのDNA断片の末端を結合させる反応を触媒し、本酵素も遺伝子組換え技術の中で不可欠な酵素である。従来から使用されている細菌やファージ由来酵素のほとんどが熱に弱く、不安定なものであるが、KOD1株のDNAリガーゼ(Tk−Lig)は30℃から100℃において高いDNAリガーゼ活性を示した。さらにTk−Ligのニック部位における基質(base−pairing)特異性は興味深く、3’末端に対しては厳密な塩基対形成が必要であったが、5’末端に対しては基質特異性が甘いことが判明した。これらのような特徴をもつDNA ligaseは他に報告例はなく、1塩基置換(SNPs)検出への本酵素の応用が期待される。糖質関連酵素としては、デンプンなどに見られるα(1−4)結合を切断するα−アミラーゼまたは環化反応を触媒してシクロデキストリンを合成するシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、転移反応を触媒する4−α−グルカノトランスフェラーゼについて生化学的諸性質を明らかにしている。セルロースやキチンに見られるβ(1−4)結合を切断するβ−グルコシダーゼ、キチナーゼについても詳細な解析を行った。特にKOD1株のキチナーゼには同一ポリペプチド鎖上に2つのキチナーゼ活性ドメインが存在し、1つがエンドキチナーゼ活性、もう片方がエキソキチナーゼ活性を有した。これら2つの触媒ドメインの相乗作用により本酵素は極めて高いキチン分解活性を示す。
(Thermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノム解析と遺伝子導入技術の開発)
本研究を通じて本発明者らはKOD1株に関するほぼすべての遺伝子を解析し、かなりの種類のタンパク質の詳細な生化学的性質を明らかにしてきた。KOD1株は生物の進化系統樹の根に近いところに位置する極めて単純化された生命体であり、生命の基本メカニズムを理解する上で、本菌は恰好の題材であると考えられる。また、KOD1株は上述のように新しい特徴を有する酵素や応用可能な耐熱性酵素を多数生産している。このような背景のもと、本発明者らはKOD1株の全ゲノム解析を進めることにした。KOD1株のゲノムは2,076,138塩基対からなり、予想通り極めて短いものであった(大腸菌の40%以下)。また、遺伝子の数も少なく1500個程度であった。KOD1株がこのような少ない数の遺伝子で生命を維持していることから、本菌の研究を通じて生命の基本原理の解明も実現可能と期待している。
ポストゲノム研究において最も重要な研究課題は機能未知遺伝子の生理的役割を解明することである。DNA chipによる網羅的遺伝子発現解析、proteomeによる網羅的タンパク質解析はこの目的のために有効な解析法である。本発明者らもこれらの手法を用いて研究を進めているが、最近、もう1つ重要なシステムの構築に成功した。すなわちKOD1株ゲノム上の任意の遺伝子を特異的に破棄する技術である。これにより機能未知遺伝子を破壊してその影響を解析することにより、その生理的役割を明らかにすることが可能となった。
KOD1のゲノムに含まれる遺伝子は、以下の表2に示されるように多岐にわたっている。そのような遺伝子の機能の説明は、当該分野で周知の生化学の文献(たとえば、Sambrook,J.et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(2001);Ausubel,F.et al.,Short protocols in molecular biology,4th ed.John Wiley&Sons,NJ,USA(1999);Ausubel,F.,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NJ,USA(1988);太田次郎編、生物学ハンドブック、朝倉書店(1987);今堀和友、山川民夫監修、生化学辞典第3版、東京化学同人(1998);西塚泰美編、細胞機能と代謝マップ、東京化学同人(1997);Lewin Genes VII、Oxford University Press,Oxford,UK(2000)など)に記載されている。また、そのようなタンパク質の機能を測定する方法は、例えば、Sambrook,J.et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(2001);Frank T.,et al.,Thermophiles(Archaea:A Laboratory Manual 3),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(1995);丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982);Methods in Enzymologyシリーズ、Academic Press;今堀和友、山川民夫監修、生化学辞典第3版、東京化学同人(1998);西塚泰美編、細胞機能と代謝マップ、東京化学同人(1997);Lengeler,J.et al.Biology of the Prokaryotes,Blackwell Science,Oxford,UK(1998);Lewin Genes VII、Oxford University Press,Oxford,UK(2000)など)に記載されている。
このように、本発明のよってKOD1のゲノムに含まれる遺伝子はその機能がほぼ解明されたが、その機能を、以下の表にまとめる。表2に記載される領域(1)に規定される遺伝子(以下、遺伝子ID(1)とする(この遺伝子のアミノ酸配列は、表中の配列番号に示される配列番号に該当する配列である)。
表2において、読み枠に記載されている、f−1〜f−3は、センス鎖でのオープンリーディングフレームを示し、r−1〜r−3は、アンチセンス鎖でのオープンリーディングフレームを示す。分類において、Jは、翻訳、リボソーム構造、生物発生に関連するポリペプチドを示し;Kは、転写に関連するポリペプチドを示し;Lは、DNA複製、組換え、修復に関連するポリペプチドを示し;Dは細胞分裂、染色体分画化に関連するポリペプチドを示し;Oは、翻訳ご就職、タンパク質代謝回転、シャペロンに関連するポリペプチドを示し;Mは細胞エンベロープ生物発生、外膜に関連するポリペプチドを示し;Nは細胞運動性、分泌に関連するポリペプチドを示し;Pは無機イオン輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Tはシグナル伝達機構に関連するポリペプチドを示し;Cはエネルギー産生、変換に関連するポリペプチドを示し;Gは、炭水化物輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Eはアミノ酸輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Fはヌクレオチド輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Hは補酵素代謝に関連するポリペプチドを示し;Iは脂質代謝に関連するポリペプチドを示し;Qは二次代謝産物生合成、輸送、異化に関連するポリペプチドを示し;Rは一般的な機能予測のみのポリペプチドを示し;そして、Sは機能未知のポリペプチドを示す。分類は暫定的であり、2以上の分類が当てはまることもあることからその場合は両方の文字が記載されている。
(生体分子チップ)
別の局面において、本発明は、生体分子チップを提供する。この生体分子チップは、支持体と、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体のうち少なくとも1つとを含み、これは、支持体に配置されていることを特徴とする。
従って、1つの実施形態において、本発明は、a)配列番号1または1087に示す塩基配列もしくはその相補体またはそのフラグメント配列を有する、ポリヌクレオチド;(b)2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;(c)2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリペプチドであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;(d)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または(e)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む、核酸分子を提供する。
1つの好ましい実施形態において、上記(c)における置換、付加および欠失の数は、限定され、例えば、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下であることが好ましい。より少ない数の置換、付加および欠失が好ましいが、生物学的活性を保持する(好ましくは、表2に示される生物学的活性を有するかまたは実質的に同一の活性を有する、あるいはその異常型の活性(例えば、正常な生物学的活性の阻害活性))限り、多い数であってもよい。
別の好ましい実施形態において、上記ポリペプチドが有する生物学的活性としては、例えば、2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的な抗体との相互作用、表2に示される生物学的活性などが挙げられるがそれらに限定されない。これらは例えば、免疫学的アッセイ、標識アッセイなどによって測定することができる。
別の好ましい実施形態において、(d)に記載の対立遺伝子変異体は、配列番号1または1087に示す核酸配列またはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と少なくとも99%の相同性を有することが有利である。
上記種相同体は、その種の遺伝子配列データベースが存在する場合、そのデータベースに対して、本発明の遺伝子配列をクエリ配列として検索することによって同定することができる。あるいは、本発明の遺伝子配列の全部または一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは、それらのフラグメント)をプローブまたはプライマーとして、その種の遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。そのような同定方法は、当該分野において周知であり、本明細書において記載される文献にも記載されている。種相同体は、例えば、配列番号1または1087に示す核酸配列あるいはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
好ましい実施形態において、上記(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性は、少なくとも約80%であり得、より好ましくは少なくとも約90%であり得、さらに好ましくは少なくとも約98%であり得、もっとも好ましくは少なくとも約99%であり得る。最も好ましくは、本発明の遺伝子配列は、配列番号1まはた1087に記載される配列またはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と100%同一の配列を有する。
好ましい実施形態において、本発明の遺伝子をコードする核酸分子またはそのフラグメントおよび改変体は、少なくとも8の連続するヌクレオチド長であり得る。本発明の核酸分子は、本発明の使用目的によってその適切なヌクレオチド長が変動し得る。より好ましくは、本発明の核酸分子は、少なくとも10の連続するヌクレオチド長であり得、さらに好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチド長であり得、なお好ましくは少なくとも20の連続するヌクレオチド長、さらにより好ましくは少なくとも30の連続するまたは不連続のヌクレオチド長であり得る。これらのヌクレオチド長の下限は、具体的に挙げた数字のほかに、それらの間の数(例えば、9、11、12、13、14、16など)あるいは、それ以上の数(例えば、21、22、...30、など)であってもよい。本発明の核酸分子は、目的とする用途(例えば、アンチセンス、RNAi、マーカー、プライマー、プローブ、所定の因子と相互作用し得ること)として使用することができる限り、その上限の長さは、配列番号1に示す配列の全長であってもよく、それを超える長さであってもよい。あるいは、プライマーとして使用する場合は、通常少なくとも約8のヌクレオチド長であり得、好ましくは約10ヌクレオチド長であり得る。プローブとして使用する場合は、通常少なくとも約15ヌクレオチド長であり得、好ましくは約17ヌクレオチド長、より好ましくは約30ヌクレオチド長であり得る。
1つの実施形態において、本発明の遺伝子をコードする核酸分子は、配列番号1の核酸配列のオープンリーディングフレームの全範囲を含む。より好ましくは、本発明の核酸分子は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列のいずれか1つからなる。
したがって、本発明の生体分子チップには、核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列を網羅するように配置されることが好ましい。網羅的に配置することによって、ゲノムの働きを網羅的に解析することができるからである。これは、本発明によって、ゲノムの配列全体が解読されたことによって初めて達成されたものであり、従来では達成できなかった格別の効果を示す。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の任意のオープンリーディングフレームを含む。このように、ゲノム上の任意のオープリンリーディングフレームを選択することができるという効果は、従来では実施し得なかった格別の効果であるといえる。特に、90℃のような超高熱において生活する生物のゲノム全体の解析を行うことは従来不可能であったことに留意すべきである。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の実質的にすべてのオープンリーディングフレームを含むことが好ましい。ここで、実質的にすべてとの用語は、ゲノムの全体的に必要であるに充分な数をいう。したがって、実質的にすべてとの用語は、必ずしもすべてである必要はなく、目的に応じて、当業者は適宜その数を選択することができる。例示的な「実質的にすべての数」とは、例えば、全オープンリーディングフレームの少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%などが挙げられるがそれらに限定されない。別の代表的な例としては、本明細書において機能がすでに同定された約900の遺伝子が実質的にすべての数であり得る。このような実質的にすべてのオープンリーディングフレームが解析され得るという効果は、従来達成することができなかったものである。
したがって、別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列を実質的にすべて含むことが好ましい。すべての配列を含むことにより、ゲノムモデルを再現できるからである。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む。ここで、配列の選択は、上述のように種々のファクターを考慮して決定することができる。少なくとも8の連続したヌクレオチド長は、超好熱始原菌に特有の配列を有し得ることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも15の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む。少なくとも15の連続したヌクレオチド長は、超好熱始原菌に特有の配列を実質的に特異的に同定することができることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも30の連続したまたは不連続のヌクレオチド長を有する配列を含む。少なくとも30の連続したまたは不連続のヌクレオチド長は、プローブとして用いた際でも充分に超好熱始原菌に特有の配列を実質的に特異的に同定することができることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような配列は、超好熱始原菌に含まれるかまたは含まれると予想されるポリペプチドをコードする核酸分子を網羅的に解析できることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような配列を配置したチップは、すべての遺伝子の挙動を調査するのに利用され得る。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する。このような配列は、実際に超好熱始原菌が有するオープンリーディングフレームが配置されていることから、ゲノムレベルのアッセイをより正確に行うことができる。したがって、このようなゲノムレベルの全体の解析に使用するためにこの実施形態は用いられ得る。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに含まれる支持体は、アドレス可能である。アドレスを付すことによって、すべての核酸分子の解析が容易になる。そのようなアドレスの付し方は、当該分野において周知である。
別の局面において、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップを提供する。
従って、1つの実施形態において、本発明は、(a)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;(b)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;(c)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;(d)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、を含む、ポリペプチドを提供する。
1つの好ましい実施形態において、上記(b)における置換、付加および欠失の数は限定されていてもよく、例えば、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下であることが好ましい。より少ない数の置換、付加および欠失が好ましいが、生物学的活性を保持する(好ましくは、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなる正常型遺伝子と類似するかまたは実質的に同一の活性を有する、あるいは配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有する遺伝子のの異常型活性)限り、多い数であってもよい。
別の好ましい実施形態において、上記(c)におけるスプライス変異体または対立遺伝子変異体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも99%の相同性を有することが好ましい。
別の好ましい実施形態において、上記種相同体は、本明細書中上述のように同定することができ、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
上記種相同体は、その種の遺伝子配列データベースが存在する場合、そのデータベースに対して、本発明の配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をクエリ配列として検索することによって同定することができる。あるいは、本発明の配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の全部または一部をプローブまたはプライマーとして、その種の遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。そのような同定方法は、当該分野において周知であり、本明細書において記載される文献にも記載されている。種相同体は、例えば、配列番号1または1087に示す核酸配列もしくはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)または配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
別の好ましい実施形態において、上記(e)における上記改変体ポリペプチドが有する生物学的活性としては、例えば、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的な抗体との相互作用、表2に記載される生物学的機能などが挙げられるがそれらに限定されない。これらは例えば、酵素アッセイ、免疫学的アッセイ、蛍光アッセイなどによって測定することができる。
好ましい実施形態において、上記(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する相同性は、少なくとも約80%であり得、より好ましくは少なくとも約90%であり得、さらに好ましくは少なくとも約98%であり得、もっとも好ましくは少なくとも約99%であり得る。最も好ましくは、本発明の遺伝子産物は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなる配列を有する。
本発明のポリペプチドは、通常、少なくとも3の連続するアミノ酸配列を有する。本発明のポリペプチドが有するアミノ酸長は、目的とする用途に適合する限り、どれだけ短くてもよいが、好ましくは、より長い配列が使用され得る。従って、好ましくは、少なくとも4アミノ酸長、より好ましくは少なくとも5アミノ酸長、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも7アミノ酸長、少なくとも8アミノ酸長、少なくとも9アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長であってもよい。さらに好ましくは少なくとも15アミノ酸長であり得、なお好ましくは少なくとも20アミノ酸長であり得る。これらのアミノ酸長の下限は、具体的に挙げた数字のほかに、それらの間の数(例えば、11、12、13、14、16など)あるいは、それ以上の数(例えば、21、22、...30、など)であってもよい。本発明のポリペプチドは、ある因子と相互作用することができる限り、その上限の長さは、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の全長と同一であってもよく、それを超える長さであってもよい。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成としては、上記形態および構成において記載される任意の形態を利用することができる。
本発明のポリペプチド形態の遺伝子産物は、標識されているかまたは標識され得ることが好ましい。このような標識されているかまたは標識され得る遺伝子産物を用いて、その遺伝子産物に対する抗体量を測定することができ、それにより、その遺伝子産物の発現量を間接的に測定することができるからである。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む。少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を有することによって、特異的なエピトープを構成することが可能となるからである。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態としては、上記形態において記載される任意の形態を利用することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む。少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を有することによって、より効率よく特異的なエピトープを構成することが可能となるからである。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成としては、上記形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する。ここで、この生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含むことが好ましい。別の実施形態では、この生物学的活性は、エピトープ活性を含む。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成は、上記形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の局面において、本発明は、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体の核酸配列の情報が格納された、記録媒体を提供する。ここで核酸配列の情報としては、核酸配列自体の情報のほか、通常の配列表に記載されるような情報もまた含まれる。そのような情報としては、例えば、コード領域、イントロン領域、特異的発現、プロモーター配列および活性、生物学的機能、類似配列、ホモログ、論文情報、などが挙げられるがそれらに限定されない。
好ましい実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような情報を提供することは、従来の技術では不可能であったことから、本発明において初めて達成された効果であるといえる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する。これだけの、情報が記録された記録媒体は、従来にはなく、本発明の記録媒体は、ゲノム全体の解析利用できるという効果を有する。好ましくは、本発明の記録媒体は、実質的にすべてのオープンリーディングフレーム配列の情報を含む。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の局面において、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体のアミノ配列の情報が格納された、記録媒体を提供する。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含み、該機能に関する情報が格納される。ここで、含まれる配列および構成ならびに情報に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成ならびに情報を利用することができる。
別の局面では、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体に対する抗体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップを提供する。ここで、含まれる配列および構成ならびに情報に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成ならびに情報を利用することができる。
別の局面において、本発明は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列と、相同な配列を有するRNAi分子を提供する。ここで、RNAi分子としては、本明細書において詳述される任意の形態を用いることができ、当業者は、本発明の配列情報がいったん与えられたならば、適宜任意の適切なRNAi分子を製造および使用することができる。
好ましい実施形態において、本発明のRNAi分子氏は、少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体である。
より好ましい実施形態において、上記RNAi分子は、3’突出末端を含む。
別の好ましい実施形態において、上記3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNAである。
他の好ましい実施形態において、上記3’突出末端は、2〜4ヌクレオチド長のDNAである。
このようなRNAi分子は、超好熱始原菌の特定の機能を抑制するために用いられる。任煮のRNAi分子を用いることは、従来できなかったことであり、格別の効果を奏する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において用いられる「生物」とは、当該分野における最も広義に用いられ、生命現象を営むものであって、ゲノムを含むものをいう。生物には、原核生物(例えば、大腸菌、超好熱始原菌など)、真核生物(例えば、植物、動物など)などが包含されるがそれらに限定されない。
本明細書において「ゲノム」とは、生物が生命活動を営むために欠くことのできない染色体の1組の遺伝子群をいう。細菌、ファージ、ウイルスなどのような一倍体の生物では、それらの種を規定する遺伝情報を担う1つのDNA分子またはRNA分子そのものがゲノムに相当する。他方、多くの真核生物にみられるような二倍体の生物では生殖細胞に1組のゲノム(例えば、ヒトでは23、マウスでは20の染色体)を有し、体細胞中に2組のゲノムを有する。
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子という。本明細書では「遺伝子」は「ポリヌクレオチド」「オリゴヌクレオチド」および「核酸」と同義で用いられ得る。本明細書において場合によっては「遺伝子」は、「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」をさすことがある。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。配列表に示される配列を含む遺伝子産物は、通常ポリペプチド形態をとる。本明細書では、本発明のポリペプチドは、通常、特定の配列(配列表に記載される配列またはそれらの改変体)を有する。改変を有する配列は、本発明において、種々の目的(例えば、診断目的)に使用され得る。
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。本発明の遺伝子は、通常、このポリヌクレオチド形態をとる。
本明細書において使用される用語「核酸分子」もまた、本明細書において、核酸、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用され、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどを含む。本明細書では、核酸および核酸分子は、用語「遺伝子」の概念に含まれ得る。ある遺伝子配列をコードする核酸分子はまた「スプライス変異体(バリアント、改変体)」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。したがって、本明細書では、たとえば、配列表に具体的に記載される配列を含む遺伝子のほかに、そのスプライス変異体もまた本発明に包含されることが理解される。このような変異体は、種々の検定において有用であり得る。
本明細書において「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。
本明細書において「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体であるが、D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にある。
本明細書において「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシン、パラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸、ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。
本明細書において「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニン、カナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられるがそれらに限定されない。アミノ酸アナログの例としてのアミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書において「対応する」アミノ酸および核酸とは、それぞれあるポリペプチドおよび核酸分子において、比較の基準となるポリペプチドおよび核酸分子における所定のアミノ酸および核酸と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸および核酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸およびそれをコードする核酸をいう。例えば、アンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。
本明細書において「対応する」遺伝子(例えば、ポリペプチド、核酸分子など)とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。したがって、本発明の各々の遺伝子に対応する遺伝子は、他の生物においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある生物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、配列表に示される配列を含む遺伝子)の配列をクエリ配列として用いてその生物(例えば、他の超耐熱菌など)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または加減としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。
本明細書において生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対して「特異的に相互作用する因子」または「特異的な因子」とは、交換可能に使用され、その生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満のもの。あるいは、ある特定の場合、同一性99%未満のもの。さらに別の実施形態では、点変異のみの相違を有するものなど)生物学的因子(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に高いものをいう。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。生物学的因子がポリペプチドの場合、そのポリペプチドに特異的な因子には、特異的抗体が含まれ、特定の実施形態では、本発明の特異的な因子には、この特異的抗体に対して特異的な因子を含み得ることが理解される。このような特異的抗体に対して特異的な因子には、目的とするポリペプチド自体が含まれることが理解される。
本明細書において「因子」としては、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、エネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質(例えば、抗体を含む)、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子(例えば、糖タンパク質、糖脂質など)が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、そのような因子としては、例えば、アンチセンス、RNAiなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「有機低分子」とは、有機分子であって、比較的分子量が小さなものをいう。通常有機低分子は、分子量が約1000以下のものをいうが、それ以上のものであってもよい。有機低分子は、通常当該分野において公知の方法を用いるかそれらを組み合わせて合成することができる。そのような有機低分子は、生物に生産させてもよい。有機低分子としては、例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体、ならびにそれらの断片、例えばF(ab’)2およびFab断片、ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。
本明細書中で使用される「モノクローナル抗体」は、同質な抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、それが作製される様式では限定されない。この用語は、全免疫グロブリン分子ならびにFab分子、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、およびもとのモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示す他の分子を含む。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する方法は当該分野で公知であり、そして以下でより十分に記載される。
モノクローナル抗体は、当該分野で周知の標準的な技術(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature(1975)256:495)またはその改変(例えば、Buckら(1982)In Vitro 18:377)を使用して調製される。代表的には、マウスまたはラットを、タンパク質キャリアに結合したタンパク質で免疫化し、追加免疫し、そして脾臓(および必要に応じていくつかの大きなリンパ節)を取り出し、そして単一細胞を解離する。必要に応じて、この脾臓細胞は、非特異的接着細胞の除去後、抗原でコーティングされたプレートまたはウェルに細胞懸濁液を適用することにより、スクリーニングされ得る。抗原に特異的なイムノグロブリンを発現するB細胞がプレートに結合し、そして懸濁液の残渣でもリンス除去されない。次いで、得られたB細胞(すなわちすべての剥離した脾臓細胞)をミエローマ細胞と融合させて、ハイブリドーマを得、このハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を産生させる。
本明細書において「抗原」(antigen)とは、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の基質をいう。本明細書において「免疫原」(immunogen)とは、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原をいう。
本明細書において「単鎖抗体」とは、Fv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントがアミノ酸架橋を介して連結されれることによって形成され、単鎖ポリペプチドを生じたものをいう。
本明細書において「複合分子」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖、低分子などの分子が複数種連結してできた分子をいう。そのような複合分子としては、例えば、糖脂質、糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書では、FIR、CENP−Aなどの遺伝子またはその産物あるいは本発明の因子と同様の機能を有する限り、それぞれFIR、CENP−Aなどの遺伝子またはその産物あるいは本発明の因子としてそのような複合分子も使用することができる。
本明細書において「単離された」物質(例えば、核酸またはタンパク質などのような生物学的因子)とは、その物質が天然に存在する環境(例えば、生物体の細胞内)の他の物質(好ましくは、生物学的因子)(例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製されたものをいう。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
本明細書において「精製された」物質(例えば、核酸またはタンパク質などのような生物学的因子)とは、その物質に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された物質におけるその物質の純度は、その物質が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。
本明細書において「精製された」および「単離された」とは、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の物質が存在することを意味する。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど遺伝子産物の「発現」とは、その遺伝子(通常は、DNA形態)などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一形態であり得る。別の実施形態では、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
従って、本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「減少」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に減少することをいう。好ましくは、発現の減少は、ポリペプチドの発現量の減少を含む。本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「増加」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に増加することをいう。好ましくは、発現の増加は、ポリペプチドの発現量の増加を含む。本明細書において遺伝子の「発現」の「誘導」とは、ある細胞にある因子を作用させてその遺伝子の発現量を増加させることをいう。したがって、発現の誘導は、まったくその遺伝子の発現が見られなかった場合にその遺伝子が発現するようにすること、およびすでにその遺伝子の発現が見られていた場合にその遺伝子の発現が増大することを包含する。
本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、植物の特定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レベルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位(例えば、癌罹患部位などの特異的部位)にのみ発現してもよく、それ以外の部位においても発現していてもよい。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含される。例えば、2つの因子が相互作用する(例えば、本発明の遺伝子産物とその受容体とが結合する)場合、その生物学的活性は、本発明の遺伝子産物とその受容体との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化(例えば、アポトーシス)などを包含する。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。あるいは、本発明においては、生体内にある改変体分子と同様の活性を有する場合もまた、生物学的活性を有するとの定義に含め得る。
本明細書において「アンチセンス(活性)」とは、標的遺伝子の発現を特異的に抑制または低減することができる活性をいう。アンチセンス活性は、通常、目的とする遺伝子(例えば、本発明の遺伝子など)の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列によって達成される。そのような活性を有する核酸分子をアンチセンス分子という。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。そのような核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、もっとも好ましくは95%相同な核酸配列が含まれる。そのようなアンチセンス活性は、目的とする遺伝子の核酸配列の5’末端の配列に対して相補的であることが好ましい。そのようなアンチセンスの核酸配列には、上述の配列に対して、1つまたは数個あるいは1つ以上のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有するものもまた含まれる。
本明細書において「RNAi」とは、RNA interferenceの略称で、二本鎖RNA(dsRNAともいう)のようなRNAiを引き起こす因子を細胞に導入することにより、相同なmRNAが特異的に分解され、遺伝子産物の合成が抑制される現象およびそれに用いられる技術をいう。本明細書においてRNAiはまた、場合によっては、RNAiを引き起こす因子と同義に用いられ得る。
本明細書において「RNAiを引き起こす因子」とは、RNAiを引き起こすことができるような任意の因子をいい、本明細書では、「RNAi分子」ともいう。本明細書において「遺伝子」に対して「RNAiを引き起こす因子」とは、その遺伝子に関するRNAiを引き起こし、RNAiがもたらす効果(例えば、その遺伝子の発現抑制など)が達成されることをいう。そのようなRNAiを引き起こす因子としては、例えば、標的遺伝子の核酸配列の一部に対して少なくとも約70%の相同性を有する配列またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含む、少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体が挙げられるがそれに限定されない。ここで、この因子は、好ましくは、3’突出末端を含み、より好ましくは、3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNA(例えば、2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
理論に束縛されないが、RNAiが働く機構として考えられるものの一つとして、dsRNAのようなRNAiを引き起こす分子が細胞に導入されると、比較的長い(例えば、40塩基対以上)RNAの場合、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、その分子を3’末端から約20塩基対ずつ切り出し、短鎖dsRNA(siRNAとも呼ばれる)を生じる。本明細書において「siRNA」とは、short interfering RNAの略称であり、人工的に化学合成されるかまたは生化学的に合成されたものか、あるいは生物体内で合成されたものか、あるいは約40塩基以上の二本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対以上の短鎖二本鎖RNAをいい、通常、5’−リン酸、3’−OHの構造を有しており、3’末端は約2塩基突出している。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、RISC(RNA−induced−silencing−complex)が形成される。この複合体は、siRNAと同じ配列を有するmRNAを認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部でmRNAを切断する。siRNAの配列と標的として切断するmRNAの配列の関係については、100%一致することが好ましい。しかし、siRNAの中央から外れた位置についての塩基の変異については、完全にRNAiによる切断活性がなくなるのではなく、部分的な活性が残存する。他方、siRNAの中央部の塩基の変異は影響が大きく、RNAiによるmRNAの切断活性が極度に低下する。このような性質を利用して、変異をもつmRNAについては、その変異を中央に配したsiRNAを合成し、細胞内に導入することで特異的に変異を含むmRNAだけを分解することができる。従って、本発明では、siRNAそのものをRNAiを引き起こす因子として用いることができるし、siRNAを生成するような因子(例えば、代表的に約40塩基以上のdsRNA)をそのような因子として用いることができる。
また、理論に束縛されることを希望しないが、siRNAは、上記経路とは別に、siRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成され、このdsRNAが再びダイサーの基質となり、新たなsiRNAを生じて作用を増幅することも企図される。従って、本発明では、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子もまた、有用である。実際に、昆虫などでは、例えば35分子のdsRNA分子が、1,000コピー以上ある細胞内のmRNAをほぼ完全に分解することから、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子が有用であることが理解される。
本発明においてsiRNAと呼ばれる、約20塩基前後(例えば、代表的には約21〜23塩基長)またはそれ未満の長さの二本鎖RNAを用いることができる。このようなsiRNAは、細胞に発現させることにより遺伝子発現を抑制し、そのsiRNAの標的となる病原遺伝子の発現を抑えることから、疾患の治療、予防、予後などに使用することができる。
本発明において用いられるsiRNAは、RNAiを引き起こすことができる限り、どのような形態を採っていてもよい。
別の実施形態において、本発明のRNAiを引き起こす因子は、3’末端に突出部を有する短いヘアピン構造(shRNA;short hairpin RNA)であり得る。本明細書において「shRNA」とは、一本鎖RNAで部分的に回文状の塩基配列を含むことにより、分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのような構造となる約20塩基対以上の分子をいう。そのようなshRNAは、人工的に化学合成される。あるいは、そのようなshRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラーゼによりインビトロでRNAを合成することによって生成することができる。理論に束縛されることは希望しないが、そのようなshRNAは、細胞内に導入された後、細胞内で約20塩基(代表的には例えば、21塩基、22塩基、23塩基)の長さに分解され、siRNAと同様にRNAiを引き起こし、本発明の処置効果があることが理解されるべきである。このような効果は、昆虫、植物、動物(哺乳動物を含む)など広汎な生物において発揮されることが理解されるべきである。このように、shRNAは、siRNAと同様にRNAiを引き起こすことから、本発明の有効成分として用いることができる。shRNAはまた、好ましくは、3’突出末端を有し得る。二本鎖部分の長さは特に限定されないが、好ましくは約10ヌクレオチド長以上、より好ましくは約20ヌクレオチド長以上であり得る。ここで、3’突出末端は、好ましくはDNAであり得、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド長以上のDNAであり得、さらに好ましくは2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、人工的に合成した(例えば、化学的または生化学的)ものでも、天然に存在するものでも用いることができ、この両者の間で本発明の効果に本質的な違いは生じない。化学的に合成したものでは、液体クロマトグラフィーなどにより精製をすることが好ましい。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、インビトロで合成することもできる。この合成系において、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターを用いて、鋳型DNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成する。これらをインビトロでアニーリングした後、細胞に導入すると、上述のような機構を通じてRNAiが引き起こされ、本発明の効果が達成される。ここでは、例えば、リン酸カルシウム法でそのようなRNAを細胞内に導入することができる。
本発明のRNAiを引き起こす因子としてはまた、mRNAとハイブリダイズし得る一本鎖、あるいはそれらのすべての類似の核酸アナログのような因子も挙げられる。そのような因子もまた、本発明の処置方法および組成物において有用である。
本明細書において「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1−38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そしてミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、42℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,N,Y.1989);およびAnderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical approach、IV、IRL Press Limited(Oxford,England).Limited,Oxford,Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSO4またはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Anderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical Approach、第4章、IRL Press Limited(Oxford,England)を参照のこと。
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、50〜65℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015M ナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
本明細書において「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、当業者によって理解される。例えば、0.015M ナトリウムイオン(ホルムアミドなし)において、完全に一致した長いDNAの融解温度は、約71℃である。65℃(同じイオン強度)での洗浄において、これは、約6%不一致を許容にする。より離れた関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
約20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1M NaClにおける融解温度の適切な概算は、
Tm=(1つのA−T塩基につき2℃)+(1つのG−C塩基対につき4℃)
によって提供される。なお、6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである(Suggsら、Developmental Biology Using Purified Genes、683頁、BrownおよびFox(編)(1981)を参照のこと)。
本発明のタンパク質をコードする天然の核酸は、例えば、配列表に示される核酸配列の一部またはその改変体を含むPCRプライマーおよびハイブリダイゼーションプローブを有するcDNAライブラリーから容易に分離される。好ましい本発明の遺伝子またはその改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸は、本質的に1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);1mM EDTA;42℃の温度で 7% SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に2×SSC(600mM NaCl;60mM クエン酸ナトリウム);50℃の0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、さらに好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA; 7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に50℃の1×SSC(300mM NaCl;30mM クエン酸ナトリウム);1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、最も好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);200mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA;7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に65℃の0.5×SSC(150mM NaCl;15mM クエン酸ナトリウム);0.1%SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下に配列番号1または1087に示す配列の1つまたはその一部とハイブリダイズし得る。
本明細書において「プローブ」とは、インビトロおよび/またはインビボなどのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象となる物質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相同なまたは相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。
本明細書において「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman,J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアッセイ)、PCRおよび in situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、FIR、CENP−Aなどには、このような電子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNA Star)を用いて行ってもよい。
本明細書において「エピトープ」とは、抗原を決定する構造を構成する基のことをいう。従って、エピトープには特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、または、T細胞の場合は、T細胞レセプタータンパク質および/もしくは主要組織適合性複合体(MHC)レセプターによる認識について必要であるアミノ酸残基のセットが包含される。この用語はまた「抗原決定基」または「抗原決定部位」と交換可能に使用される。免疫系分野において、インビボまたはインビトロで、エピトープは、分子の特徴(例えば、一次ペプチド構造、二次ペプチド構造または三次ペプチド構造および電荷)であり、免疫グロブリン、T細胞レセプターまたはHLA分子によって認識される部位を形成する。ペプチドを含むエピトープは、エピトープに独特な空間的コンフォメーション中に3つ以上のアミノ酸を含み得る。一般に、エピトープは、少なくとも5つのこのようなアミノ酸からなり、代表的には少なくとも6つ、7つ、8つ、9つ、または10のこのようなアミノ酸からなる。エピトープの長さは、より長いほど、もとのペプチドの抗原性に類似することから一般的に好ましいが、コンフォメーションを考慮すると、必ずしもそうでないことがある。アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、X線結晶学、および2次元核磁気共鳴分光法を含む。さらに、所定のタンパク質におけるエピトープの同定は、当該分野で周知の技術を使用して容易に達成される。例えば、Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998(所定の抗原における免疫原性エピトープの位置を決定するために迅速にペプチドを合成する一般的な方法);米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定し、そして化学的に合成するための手順);およびGeysenら(1986)Molecular Immunology 23:709(所定の抗体に対して高い親和性を有するペプチドを同定するための技術)を参照されたい。同じエピトープを認識する抗体は、単純な免疫アッセイにおいて同定され得る。このように、ペプチドを含むエピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。
従って、ペプチドを含むエピトープとして使用するためには、少なくとも3アミノ酸の長さの配列が必要であり、好ましくは、この配列は、少なくとも4アミノ酸、より好ましくは5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸の長さの配列が必要であり得る。
本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
本明細書では塩基配列の同一性、類似性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。本明細書においてアミノ酸配列の同一性、類似性の比較および相同性の算出もまた、配列分析用のツールであるBLASTXを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に受け入れられた1文字コードにより言及され得る。
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、必要に応じて、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444−2448、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22(2):4673−4680、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383−402、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272、Altschul et al.,1997,Nuc.Acids Res.25:3389−3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
(1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との間で「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマトリックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al.,1992,Science 256:1443−1445、Henikoff and Henikoff,1993,Proteins 17:49−61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、Schwartz and Dayhoff,eds.,1978,Matrices for Detecting Distance Relationships:Atlas of Protein Sequence and Structure,Washington:National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268参照のこと)。
本明細書において、配列が「相同」であるとは、相同的組換えが起こる程度に相同性が高いことをいう。したがって、配列が「相同」であるかどうかは、染色体の変異を相補し得るDNAを生細胞内に導入し、生体内遺伝子組み換えを起こさせることにより調べることができる。そのような相同であるかどうかを調べるアッセイには、そのような相補し得るDNAの組み込みを表原型(たとえば、緑色蛍光タンパク質であれば、緑色の蛍光)を調べることによって確認する方法がある。したがって、配列が相同であるためには、代表的には、2つの配列の間の相同性が互いに少なくとも約70%相同であり、好ましくは少なくとも約80%相同であり、より好ましくは少なくとも約90%相同であり、さらにより好ましくは少なくとも約95%相同であり、もっとも好ましくは少なくとも約99%相同であり得る。
本明細書において配列の「領域」とは、その配列において一定の長さを持った部分をいう。そのような領域は、一般に、ある機能を有することが多い。本発明のターゲティング破壊のために用いられる場合、配列の「領域」は、その長さが少なくとも約10ヌクレオチドであり、好ましくは、少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは、少なくとも約20ヌクレオチドであり、さらに好ましくは少なくとも約30ヌクレオチドであり、さらに好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドであり得る。好ましくは、そのような領域は、遺伝子の機能を担う部分を含み得る。ある好ましい実施形態では、配列の「領域」は、1または2以上の遺伝子であり得る。
本明細書において「ターゲティング」とは、遺伝子のターゲティング破壊について使用される場合、特定の遺伝子を標的とすることをいう。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能を発揮する活性が包含される。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。本発明においては、おのおのの遺伝子産物は、表2の説明に記載される生物学的活性を有する。あるいは、本発明のポリペプチドは、エピトープ活性を有する。
本明細書において「マーカー遺伝子」とは、遺伝学的解析で標識(マーカー)として用いられる遺伝子をいう。標識遺伝子としては、通常、その機能の詳細よりも変異形質が明確で検出が容易なものが用いられる。薬剤耐性の遺伝子のほか、微生物では生化学的形質(栄養要求性など)の遺伝子がよく用いられ、形態学的形質の遺伝子もまた用いられ得る。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、アンピリシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、原核生物細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自律複製が可能であるか、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。好ましくは、そのようなベクターは、Thermococcus kodakaraensis KOD1内で自律複製可能なものが挙げられる。
本明細書において「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、植物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。植物の場合、本発明に用いる植物の発現ベクターはさらにT−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバクテリウムを用いてその植物を形質転換する場合に遺伝子の導入の効率を高める。
本明細書において「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
原核細胞に対する「組換えベクター」としては、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもRoche Molecular Biochemicalsより市販)、pKK233−2(Pharmacia)、pSE280(Invitrogen)、pGEMEX−1(Promega)、pQE−8(QIAGEN)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200(Agric.Biol.Chem.,48,669(1984))、pLSA1(Agric.Biol.Chem.,53,277(1989))、pGEL1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985))、pBluescript II SK+(Stratagene)、pBluescript II SK(−)(Stratagene)、pTrs30(FERM BP−5407)、pTrs32(FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGKA2(FERM B−6798)、pTerm2(特開平3−22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pEG400[J.Bacteriol.,172,2392(1990)]、pGEX(Pharmacia)、pETシステム(Novagen)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(Invitrogen)、pMAL−c2(New England Biolabs)、pUC19[Gene,33,103(1985)]、pSTV28(宝酒造)、pUC118(宝酒造)、pPA1(特開昭63−233798)などが例示される。
本明細書において「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモータ領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在するがそれに限定されず、例えば、イントロン、3’末端より下流などにも存在し得る。
本明細書において「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。
本発明を利用する場合、ベクターの導入方法としては、細胞に核酸分子を導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換(塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)法(特許第2606856、特許第2517813)等)が例示される。
本明細書において「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等が例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。
本明細書において「相同的組換え」とは、1対の二本鎖DNAの相同的な塩基配列を有する部分に起こる組換えをいう。生体内では染色体乗換えなどの形で見られる。
本明細書において「相同的組換えが生じる条件」とは、ゲノムを有するある生物、およびそのゲノムの配列の任意の少なくとも1つの領域と相同な配列を有する核酸分子が存在する場合に、相同的組換えが生じる条件をいう。そのような条件は、生物によってことなるが、当業者には周知である。そのような条件としては、たとえば、
という条件が挙げられるがそれらに限定されない。ここで、上記ASW(人工海水)の組成は以下のとおりである:1×人工海水(Artificial sea water(ASW))(/L):NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SO4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸0.01g。
相同的組換えは、ゲノムとベクターとの間の少なくとも1つの領域が相同であれば生じ得るが、好ましくは、ゲノムとベクターとの間の相同な領域は2つあることが好ましい。
本明細書において「クロスオーバー」または「交差」とは、染色体について私用されるとき、対合している一対の相同染色体が途中からつなぎ変わり、新たな核酸配列の組合わせを生じることをいう。
本明細書において「シングルクロスオーバー」とは、染色体について私用されるとき、クロスオーバーを起こす核酸分子同士の間に1箇所相同な領域を有し、その箇所でのみクロスオーバーが起き、結果として一方の核酸配列が他方に組み込まれることをいう。
本明細書において「ダブルクロスオーバー」とは、染色体について私用されるとき、クロスオーバーを起こす核酸分子同士の間に2箇所相同な領域を有し、その相同な領域の間の核酸配列が他方に入れ替わることをいう。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
本明細書において遺伝子の「発現産物」とは、遺伝子の発現の結果生じる物質をいい、転写産物であるmRNAなど、翻訳産物であるポリペプチドおよびその翻訳後修飾物であるポリペプチドなどが挙げられる。そのような発現産物の検出は、直接的または間接的であり得、そのような検出は当該分野において周知の技術(たとえば、サザンブロット、ノーザンブロットなど)によって行われ得る。そのような技術は本明細書において他の場所においても説明されており、他の場所において引用された文献にも記載されている。
本明細書においてポリペプチドを製造する方法としては、例えば、そのポリペプチドを産生する初代培養細胞または株化細胞を培養し、培養上清などから単離または精製することによりそのポリペプチドを得る方法が挙げられる。あるいは、遺伝子操作手法を利用して、そのポリペプチドをコードする遺伝子を適切な発現ベクターに組み込み、これを用いて発現宿主を形質転換し、この形質転換細胞の培養上清または細胞抽出物から組換えポリペプチドを得ることができる。上記宿主細胞は、生理活性を保持するポリペプチドを発現するものであれば、特に限定されず、従来から遺伝子操作において利用される各種の宿主細胞(例えば、大腸菌、酵母、動物細胞など)を用いることが可能である。組換え宿主細胞を培養する条件は、使用される宿主細胞の種類に依存して適切に選択される。宿主細胞としては、組換えDNA技術において使用可能な任意の宿主細胞が使用され得る。これらは例えば、細菌細胞、酵母細胞、動物細胞、植物細胞および昆虫細胞などを包含する。好ましい宿主細胞は細菌細胞である。このようにして得られた細胞に由来するポリペプチドは、天然型のポリペプチドと実質的に同一の作用を有する限り、アミノ酸配列中の1以上のアミノ酸が置換、付加および/または欠失していてもよく、糖鎖が置換、付加および/または欠失していてもよい。発現産物が細胞外に分泌される場合は、例えば培養物を遠心分離またはろ過することによって上清を得、これを直接精製するかあるいは沈澱法または限外ろ過などにより濃縮してから精製する。発現産物が細胞中に蓄積される場合は、細胞を、細胞壁溶解酵素、浸透圧の変化、ガラスビーズ、ホモジナイザーまたは超音波処理などを用いて破壊して細胞抽出物を得、これを精製する。精製は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動などの当該分野で公知の方法を組み合わせて実施され得る。
あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、カチオン性領域または基質分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。
アミノ酸の置換において親水性指数もまた、考慮され得る。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本発明において「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明において「サイレント置換」とは、ヌクレオチド配列置換において、そのヌクレオチドがコードするアミノ酸には変化が生じない置換をいう。このようなサイレント置換は、遺伝コードの縮重を利用して行うことができる。そのような縮重については、当該分野で周知であり、本明細書において引用される文献などにも記載されている。
本明細書において「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用であることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。このような保存的改変、サイレント改変もまた、本発明の範囲内にある。
本明細書において使用される核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、癌マーカー、神経疾患マーカーなど)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、植物の特定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レベルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位(特異的部位)にのみ発現してもよく、それ以外の部位においても発現していてもよい。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。
本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYなどを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
本明細書において「耐熱性」とは、通常の生物が生存する環境温度より高い温度に対して抵抗性を有することをいい、たとえば、37℃を超える温度に対する抵抗性が挙げられる。より通常には、耐熱性は、50℃以上の温度に対する抵抗性をいう。耐熱性は、生物について使用されるときは、低温でも高温でも生育することができる性質をいうことがある。他方、耐熱性は、ポリペプチドについて使用されるときは、高温(たとえば、37℃を超える温度、50℃以上の温度)に対する抵抗性をいう。また、このうちで、90℃以上でも抵抗性を有するものの性質を「超耐熱性」ともいう。
本明細書において、高温で生育することができる生物はまた「好熱菌」と呼ぶことがある。好熱菌は、通常生育至適温度が50〜105℃で、30℃以下ではほとんど増殖しない。また、このうちで、90℃以上の至適温度をもつものは「超好熱菌」と呼ばれる。
本明細書において使用される「超好熱始原菌」および「超耐熱菌」は、交換可能に使用され、90℃以上で生育する微生物であるをいう。好ましくは超好熱始原菌は、超耐熱DNAリガーゼを産生する、本発明者らが単離した耐熱性チオールプロテアーゼ産生菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株(Morikawa,M.et al.、Appl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994))である。KOD−1株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されており、その受託番号はFERM P−15007号である。なお、このKOD−1株は、上記文献に記載されているように、分離された当初Pyrococcus属に分類されていた。しかし、DNASIS(日立ソフトウェアーエンジニアリング社製)に入力されているGenBank R91.0 October,1995+Daily Updateの登録データを用いた16S rRNAの配列の比較を実施したところ、KOD−1株はPyrococcus属よりはむしろThermococcus属に近縁であることが示され、現在ではThermococcus kodakaraensis KOD−1と分類されている。
本明細書において、超耐熱性タンパク質を生産する超好熱始原菌の培養は、例えばAppl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994)(前出)に記載の培養条件下で実施し得る。培養は、静置培養または窒素ガスによる通気撹拌培養のいずれかであり得、そして連続的または回分的のいずれかであり得る。
超好熱始原菌の染色体DNAは、培養された細菌細胞を、界面活性剤(例えば、N−ラウリルサルコシン)などを用いて溶解し、得られた溶解物を塩化セシウムエチジウムブロミド平衡密度勾配超遠心分離法などにより分画して得ることができる(例えば、Imanaka et al.、J.Bacteriol.147:776−786(1981)を参照のこと)。ライブラリーは、得られた染色体DNAを各種制限酵素で切断した後、同一の制限酵素または共通の切断末端を与える制限酵素で切断したベクター(ファージまたはプラスミドなどのような)にT4 DNAリガーゼなどを用いて連結することにより得ることができる。
ライブラリーのスクリーニングは、このライブラリーから目的の超耐熱性DNAリガーゼをコードするDNAを含むクローンを選択することにより行い得る。選択は、例えば、予め決定された超耐熱性DNAリガーゼの部分アミノ酸配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチド、目的のDNAと相同性を有すると推測されるクローン化DNAなどをプローブとして用いて実施され得る。あるいは、選択は、目的の酵素を発現させることにより実施され得る。例えば、発現の検出は、目的の酵素の活性が容易に検出され得る場合は、プレートに加えられた基質に対する発現産物の活性を検出することにより、または目的の酵素に対する抗体が利用可能である場合は、発現産物と抗体との反応性を利用して実施され得る。
得られたクローン化DNAの解析は、例えば選択されたDNAを単離し、この制限地図を作製すること、およびヌクレオチド配列を決定することなどにより実施され得る。クローン化DNAの調製、制限酵素処理、サブクローニング、ヌクレオチド配列の決定などの技術は当該分野において周知であり、例えば「Molecular Cloning:A Laboratory Manual第2版」(Sambrook,FritschおよびManiatis編,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されている。
次いで、得られたクローン化DNAを、使用される宿主細胞に適合性の発現ベクター中に作動可能に挿入し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、形質転換された宿主細胞を培養することにより、超耐熱性タンパク質を発現させ得る。
(生体分子チップ)
本発明のゲノム情報をもちいて生体分子チップ(例えば、DNAチップ、プロテインチップ、糖タンパク質チップ、抗体チップなど)を提供することができる。
本発明の遺伝子などの発現調節の解析は、DNAアレイを用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。本発明はまた、本発明において初めて同定されたゲノム配列を用いた、擬似ゲノムDNAアレイ(超耐熱菌ゲノムアレイともいう)を提供する。
DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新PCR法」)に広く概説されている。また、DNAアレイを用いた植物の解析についても最近行われるようになっている(Schenk PMら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)97:11655−11660)。以下、DNAアレイおよびそれを使用する遺伝子分析方法を簡単に説明する。
「DNAアレイ」とは、DNAを基板上にアレイ整列(array)させて、固定させたデバイスをいう。DNAアレイは、基盤の大きさまたは載せるDNAの密度によって、DNAマクロアレイおよびDNAマイクロアレイなどに分けられるが、本明細書では厳密に区別して使用するものではない。
マクロとマイクロとの境界は厳密に決まっているわけではないが、一般に「DNAマクロアレイ」とは、メンブレン上にDNAをスポットした高密度フィルター(high density filter)をいい「DNAマイクロアレイ」とは、ガラス、シリコンなどの基板表面にDNAを載せたものをいう。載せる種類によって、cDNAアレイ、オリゴDNAアレイなどがある。
高密度オリゴDNAアレイのうち、半導体集積回路製造のための光リソグラフィー(photolithography)技術を応用し、基板上で一度に複数種のオリゴDNAを合成することで作製されたものを、半導体チップになぞらえて、特に「DNAチップ(chip)」という。この方法を用いて作製されたものとしては、GeneChip(登録商標)(Affimetrix、CA)などが挙げられる(Marshall Aら、(1998)Nat.Biotechnol.16:27−31およびRamsay Gら、(1998)Nat.Biotechnol.16 40−44を参照のこと)。好ましくは、本発明におけるマイクロアレイを用いた遺伝子解析においては、このGeneChip(登録商標)が用いられ得る。DNAチップは、狭義には上記のように定義されるが、DNAアレイまたはDNAマイクロアレイ全体をいうこともある。
DNAマイクロアレイは、このように、ガラス基板上に数千〜数万またはそれを超える遺伝子DNAを高密度に配列したデバイスであることから、cDNA、cRNAまたはゲノムDNAとのハイブリダイゼーションによって、遺伝子発現のプロファイルまたは遺伝子多型をゲノムスケールで解析することが可能となっている。この手法により、シグナル伝達系および/または転写制御経路の解析(Fambrough Dら(1999),Cell 97,727−741)、組織修復の機構の解析(Iyer VRら、(1999),Science 283:83−87)、医薬品の作用機構(Marton MJ、(1999),Nat.Med.4:1293−1301)、発生・分化の過程における遺伝子発現変動の広汎な解析、病態に伴って発現変動する遺伝子群の同定、またはシグナル伝達系もしくは転写制御に関与する新たな遺伝子の発見などが可能となってきた。また、遺伝子多型についても、多数のSNPを1つのDNAマイクロアレイで解析することが可能となっている(Cargill Mら、(1999),Nat.Genet.22:231−238)。
DNAマイクロアレイを用いたアッセイの原理を説明する。DNAマイクロアレイは、表面を適切に加工したスライドガラスのような固相基板上に多数の異なるDNAプローブを高密度に固定して作製する。その後、標識した核酸(標的)を、適切なハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリダイズさせ、各々のプローブからのシグナルを自動検出器で検出する。このデータをコンピュータで大量解析する。例えば、遺伝子モニタリングにおいては、オリゴDNAまたはcDNAをプローブとしたマイクロアレイに、mRNAから逆転写反応により蛍光標識を取り込ませた標的cDNAをハイブリダイズさせて、蛍光イメージアナライザで検出する。この際、T7ポリメラーゼを用いてcRNA合成反応を行ったり、酵素反応を介させたりと、他の種々のシグナル増幅反応も行い得る。
Fodorらは、コンビナトリアルケミストリと半導体製造用光リソグラフィ技術とを合わせて、基板上にポリマーを合成する技術を開発した(Fodor SPら、(1991)Science 251:767−773)。これを、合成型DNAチップという。光リソグラフィでは、極めて微細な表面加工が可能なので、10μm2/DNAサンプルといった集積度の高いDNAマイクロアレイを作製し得る。この方法では、一般に、ガラス基板上に25〜30程度のDNAが合成され得る。
合成型DNAチップを用いた遺伝子発現は、Lockartらが報告している(Lockart DJら(1996)Nat.Biotechnol.:14:1675−1680)。この方法では、合成され得る長さが短いため特異性が低いという本タイプのチップの欠点が解消された。ここでは、1つの遺伝子発現をみるために、十数か所に対応するパーフェクトマッチ(perfect match;PM)オリゴヌクレオチドプローブと、PMプローブの中央の1塩基に変異を入れたミスマッチ(mismatch;MM)オリゴヌクレオチドプローブとを調製することで、この問題が解決された。MMプローブは、ここでは、ハイブリダイゼーションの特異性の指標として用いられ、そしてPMプローブとMMプローブとのシグナル比から、遺伝子発現レベルが決定され得る。PMプローブとMMプローブとのシグナル比が同等な場合は、クロスハイブリダイゼーションと呼び、有意なシグナルとは解釈されない。
いわゆる貼り付け型DNAマイクロアレイにおいては、スライドグラスにDNAを貼り付けていくタイプのDNAマイクロアレイを作製し、蛍光検出する(http://cmgm.stanford.edu/pbrownもまた参照のこと)。この方法では、大掛かりな半導体製造機は必要ではなく、DNAアレイ機および検出器があれば、研究室内でアッセイすることが可能である。この方法は、貼り付けるDNAを選択することが可能であるという利点を有する。高密度化についても、例えば、直径100μmのスポットを100μm間隔でスポットすれば、計算上1cm2に2500のDNAをスポットすることが可能である。したがって、通常スライドグラス(有効面積は、およそ4cm2)におよそ1万個のDNAを載せ得る。
合成型DNAアレイにおける標識方法としては、例えば、二蛍光標識法が挙げられる。この方法では、2つの異なるmRNAサンプルをそれぞれ異なる蛍光で標識し、同一マイクロアレイ上で競合的ハイブリダイゼーションを行って、療法の蛍光を測定し、それを比較することで遺伝子発現の相違を検出する。蛍光色素としては、例えば、Cy5およびCy3などが最も用いられているが、それらに限定されない。Cy3およびCy5の利点は、蛍光波長の重なりが殆どないという点である。二蛍光標識法は、遺伝子発現の相違のみならず、変異または多型性を検出するためにも使用され得る。
DNAアレイを用いるアッセイにおいては、アレイ機が使用され得る。アレイ機は、基本的に、高性能サーボモーターと組み合わせて、コンピュータの制御下でピン先またはスライドホルダをXYZ軸方向に作動し、マイクロタイタープレートからスライドグラス表面上にDNAサンプルを運ぶ装置である。ピン先の形状には、種々の加工がなされている。例えば、烏口のように割れたペン先にDNA溶液を溜めて、複数のスライドガラスにスポットする方式である。洗浄・乾燥のサイクルを挟んで、次にDNAサンプルを載せるという工程を繰り返す。ここで、サンプル同士の混入を防ぐためにも、ピン先の洗浄・乾燥を完全に行うことに注意する。このようなアレイ機としては、SPBIO2000(日立ソフトウェアエンジニアリング;1回打ち型)、GMS417Arrayer(宝酒造;ピンリング型)、Gene Tip Stamping(日本レーザ電子;万年筆型)などが挙げられる。
DNAアレイを用いたアッセイに使用されるDNA固定法には種々の方法が存在する。基板の材質として、ガラスは、メンブレンと比較して有効固定面積が小さく、荷電量も少ないことから、種々のコーティングがなされている。実用的には、ポリL−リシンコートまたはシリル化などが行われている(Schena Mら(1995)Science 270:467−470)、Schena Mら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)93:10614−10619を参照のこと)。また、市販のDNAマイクロアレイ専用コーティング済スライドガラス(例えば、ポリカルボジイミドガラス(日清紡)など)も使用され得る。オリゴDNAの場合は、DNA末端をアミノ化してシラン化ガラスに架橋する方法も利用可能である。
DNAマイクロアレイには、主に、PCRで増幅されたcDNA断片が載せられ得る。cDNAの濃度が充分ではない場合、シグナルを充分に検出し得ない場合が存在する。このように、一度のPCRにおいて充分量のcDNA断片が得られなかった場合には、PCRを何度か繰り返し、得られたPCR産物をまとめて精製・濃縮し得る。プローブcDNAは、一般的には、cDNAをランダムに数多く載せるが、実験の目的によっては、選択された一群の遺伝子(例えば、本発明の遺伝子群またはプロモーター群)またはRDA(representational differential analysis)で得られた発現変化候補遺伝子を載せ得る。クローンの重複は避けることが好ましい。クローンは、手持ちのcDNAライブラリーから調製してもよく、cDNAクローンをまとめて入手してもよい。
DNAアレイを用いたアッセイにおいては、DNAマイクロアレイ上でハイブリダイズした蛍光シグナルを蛍光検出器等で検出する。このような検出器は、現在までに種々の検出器が利用可能である。例えば、スタンフォード大学のグループは、オリジナルスキャナを開発しており、このスキャナは、蛍光顕微鏡と稼動ステージとを組み合わせたものである(http://cmgm.stanford.edu/pbrownを参照のこと)。従来型のゲル用蛍光イメージアナライザであるFMBIO(日立ソフトウェアエンジニアリング)、Storm(Molecular Dynamics)などでも、スポットがそれほど高密度でなければ、DNAマイクロアレイの読み取りを行い得る。その他に利用可能な検出器としては、ScanArray 4000、同5000(GeneralScanning;スキャン型(共焦点型))、GMS418 Array Scanner(宝酒造;スキャン型(共焦点型))、Gene Tip Scanner(日本レーザ電子;スキャン型(非共焦点型))、Gene Tac 2000(Genomic Solutions;CCDカメラ型))などが挙げられる。
DNAマイクロアレイから得られるデータは膨大であることから、クローンとスポットとの対応の管理、データ解析などを行うためのデータ解析ソフトウェアが重要である。そのようなソフトウェアとしては、各種検出システムに付属のソフトウェアが利用可能である(Ermolaeva Oら(1998)Nat.Genet.20:19−23)。また、データベースのフォーマットとしては、例えば、Affymetrixが提唱しているGATC(genetic analysis technology consortium)と呼ばれる形式が挙げられる。
本明細書においてタンパク質の発現の調節はまた、ディファレンシャルディスプレイ(differential display)技術を用いた遺伝子解析でも解析することができる。
本明細書において「ディファレンシャルディスプレイ(技術)」とは、発現変動する遺伝子を検出または同定するための方法である。この方法では、2つ以上のサンプルからcDNAをそれぞれ作製し、任意のプライマーセットを用いてPCRにより増幅し、その後、生成された複数のPCR産物をゲル電気泳動により分離し、パターン化した後、各バンドの相対的なシグナル強度変化をもとに、発現変動遺伝子がクローニングされる。
本明細書において使用される「支持体」は、生体分子のような物質を固定することができる材料(material)をいう。支持体の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子のような物質に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。
支持体として使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。支持体は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどの有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。支持体を構成する材料が固相である場合、本明細書において特に「固相支持体」という。本明細書において、プレート、マイクロウェルプレート、チップ、スライドグラス、フィルム、ビーズ、金属(表面)などの形態をとり得る。支持体はコーティングされていてもよく、コーティングされていなくてもよい。
本明細書において「チップ」とは、多様の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。本明細書において、「生体分子チップ」とは、基板と、生体分子とを含み、その基板には本明細書において定義された生体分子が少なくとも1つ配置されている。
本明細書において使用される用語「アドレス」とは、基板上のユニークな位置をいい、他のユニークな位置から弁別可能であり得るものをいう。アドレスは、そのアドレスを伴う生体分子との関連づけに適切であり、そしてすべての各々のアドレスにおける存在物が他のアドレスにおける存在物から識別され得る(例えば、光学的)、任意の形状を採り得る。アドレスの形は、例えば、円状、楕円状、正方形、長方形であり得るか、または不規則な形であり得る。
各々のアドレスのサイズは、とりわけ、その基板の大きさ、特定の基板上のアドレスの数、分析物の量および/または利用可能な試薬、生体分子のサイズおよびそのアレイが使用される任意の方法のために必要な解像度の程度に依存する。大きさは、例えば、1−2nmから数cm(たとえば、1−2mm〜数cmなど、125×80mm、10×10mmなど)の範囲であり得るが、そのアレイの適用に一致した任意の大きさが可能である。そのような場合、基板材料は、アレイの特定の製造プロセスおよび適用のために適切な大きさおよび形状へと形成される。例えば、測定対象物が多く入手可能な場合の分析において、比較的大きな基板(例えば、1cm×1cmまたはそれより大きい)の上のアレイを構築することがより経済的であり得る。ここでは、あまり感受性ではなく、それゆえより経済的な検出システムが使用され得るさらなる利点が伴う。他方、分析物および/または試薬が利用可能である量が限定されている場合、これらの成分の消費を最小限化するようにアレイが設計され得る。
アドレスの空間配置および形状は、そのマイクロアレイが使用される特定の適用に適合するように設計される。アドレスは、密に充填され得、広汎に分散され得るか、または特定の型の分析物に適切な所望のパターンへとサブグループ化され得る。本明細書において用いられるように、「アレイ」とは、固相表面または膜上の固定物体の固定されたパターンまたはそのようなパターンを有する分子集団を意味する。典型的に、アレイはそれ自身固相表面または膜に固定されている核酸配列を捕獲するように結合した生体分子(例えば、DNA、RNA、タンパク質−RNA融合分子、タンパク質、有機低分子など)で構成される。アレイ上には、生体分子の「スポット」が配置され得る。本明細書において「スポット」とは、生体分子の一定の集合をいう。
基板には、任意の数のアドレスが配置され得るが、通常、108アドレスまで、他の実施形態において107アドレスまで、106アドレスまで、105アドレスまで、104アドレスまで、103アドレスまで、または102アドレスまでのアドレスが配置され得る。したがって、1アドレスに生体分子1個が配置されているときは、基板には、108個の生体分子まで、他の実施形態において107個の生体分子まで、106個の生体分子まで、105個の生体分子まで、104個の生体分子まで、103個の生体分子まで、または102個の生体分子までの個の生体分子が配置され得る。これらの場合において、より小さな基板の大きさおよびより小さなアドレスが適切である。特に、アドレスの大きさは、単一の生体分子のサイズと同じ小さくあり得る(これは、1−2nmの桁であり得る)。最小限の基板の面積は、いくつかの場合において基板上のアドレスの数によって決定される。
本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイルスなどを含むがそれらに限定されない。生体分子は、生体から抽出される分子を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子であれば生体分子の定義に入る。したがって、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(たとえば、低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子などが包含されるがそれらに限定されない。生体分子にはまた、本発明の基板に結合され得る限り、細胞自体、組織の一部または全部なども包含され得る。好ましくは、生体分子は、核酸またはタンパク質を含む。別の好ましい実施形態では、生体分子は、核酸(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA、あるいはPCRなどによって合成されたDNA)である。他の好ましい実施形態では、生体分子はタンパク質であり得る。好ましくは、本発明の基板上には、1アドレスあたり1種類の生体分子が提供され得る。別の実施形態では、二種類以上の生体分子を含むサンプルが1アドレスに提供されていてもよい。
本明細書において「液相」とは、当該分野において通常用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、溶液中での状態をいう。
本明細書において「固相」とは、当該分野において用いられる意味と同じ意味で用いられ、通常、固体の状態をいう。本明細書において液体および固体を総合して流体ということがある。
本明細書において「接触」とは、2つの物質(例えば、組成物および細胞)が互いに相互作用するに十分に至近距離に存在することをいう。
本明細書において「相互作用」とは、2つの物体について言及するとき、その2つの物体が相互に力を及ぼしあうことをいう。そのような相互作用としては、例えば、共有結合、水素結合、ファンデルワールス力、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、疎水性相互作用、静電的相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、相互作用は、水素結合、疎水性相互作用などの生体内で生じる通常の相互作用であり得る。
1つの実施形態において、本発明では、生体分子(たとえば、有機低分子、コンビナトリアルケミストリー生成物)のライブラリーを、基板に結合させ得、これを用いて分子をスクリーニングするためのマイクロアレイを生成することができる。本発明で使用する化合物ライブラリは、例えば、コンビナトリアルケミストリー技術、醗酵方法、植物および細胞抽出手順などが挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの手段により、作製することができるかまたは入手することができる。コンビナトリアルライブラリを作成する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、E.R.Felder,Chimia 1994,48,512−541;Gallopら、J.Med.Chem.1994,37,1233−1251;R.A.Houghten,Trends Genet.1993,9,235−239;Houghtenら、Nature 1991,354,84−86;Lamら、Nature 1991,354,82−84;Carellら、Chem.Biol.1995,3,171−183;Maddenら、Perspectives in Drug Discovery and Design2,269−282;Cwirlaら、Biochemistry 1990,87,6378−6382;Brennerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1992,89,5381−5383;Gordonら、J.Med.Chem.1994,37,1385−1401;Leblら、Biopolymers 1995,37 177−198;およびそれらで引用された参考文献を参照のこと。これらの参考文献は、その全体を、本明細書中で参考として援用する。
本発明の方法、生体分子チップおよび装置は、例えば、診断、法医学、薬物探索(医薬品のスクリーニング)および開発、分子生物学的分析(例えば、アレイベースのヌクレオチド配列分析およびアレイベースの遺伝子配列分析)、タンパク質特性および機能の分析、薬理ゲノム学、プロテオミクス、環境調査ならびにさらなる生物学的および化学的な分析において使用され得る。
本発明はさらに、RFLP、SNP(スニップ。一塩基多型)解析等の多型解析、塩基配列の解析等にも適応することが可能である。本発明はまた、医薬品のスクリーニングにおいて使用することができる。
本発明はまた、医療以外にも、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業、林業などで、生体分子の検査が必要なものに全て適応可能である。
本発明はまた、生体から直接採取したサンプル以外に、PCR、SDA、NASBA法等で増幅した遺伝子の検出に対しても用いることは可能である。本発明はさらに、標的遺伝子は予め電気化学的に活性な物質や、FITC、ローダミン、アクリジン、Texas Red、フルオレセインなどの蛍光物質、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素、ハプテン、発光物質、抗体、抗原、金コロイドなどのコロイド粒子、金属、金属イオン、およびトリスビピリジン、トリスフェナントロリン、ヘキサアミンなどとの金属キレートなどで標識しておくことも可能である。
1つの実施形態において、核酸を用いた検査のためには、これら検体試料から核酸成分の抽出を行う。抽出方法は特に限定される物ではなく、フェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社、ドイツ)などを利用することも可能である。次に、抽出した核酸成分を含むサンプルと本発明の生体分子チップとの間でハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、ウシ胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを添加し得る。これに抽出した核酸成分を添加し、90℃以上で熱変性させる。生体分子チップの挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行うことができる。また、基板上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。反応中は、撹拌、あるいは震盪などの操作で反応速度を高めることもできる。反応温度は10℃〜90℃の範囲であり、また反応時間は1分以上から1晩程度行う。ハイブリダイゼーション反応後、電極を取り出し洗浄を行う。洗浄には、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いることができる。
本明細書において「標識」は、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。上記の核酸断片および相補性を示すオリゴヌクレオチドを何れも蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、Cy DyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。
本明細書において、「チップ属性データ」とは、本発明の生体分子チップに関する何らかの情報に関連するデータをいう。チップ属性データには、チップID、基板データ、生体分子属性データのような生体分子チップに関連する情報が含まれる。本明細書において「チップID」とは、個々のチップを識別する符号をいう。本明細書において、「基板データ」または「基板属性データ」とは、同じ意味で用いられ、本発明の生体分子チップにおいて利用される基板に関するデータを言う。基板データは、たとえば、生体分子の配置またはパターンに関する情報を含み得る。「生体分子属性データ」とは、生体分子に関する情報をいい、たとえば、その生体分子の遺伝子配列(核酸である場合はヌクレオチド配列、タンパク質である場合はアミノ酸配列)、遺伝子配列に関連する情報(たとえば、特定疾患または状態との関連)、低分子である場合には、ホルモンである場合にはその働き、コンビナトリアルライブラリーである場合にはそのライブラリー情報、低分子に親和性のある分子情報などが挙げられる。本明細書で使用される「測定データ」とは、本発明の生体分子基板、装置およびシステムにより測定された生のデータおよびそこから導き出される特定の処理データをいう。そのようなデータは、生の場合、電気信号の強さで表され得、処理されたデータの場合は、遺伝子機能、遺伝子発現量のような具体的な生化学データであり得る。
本明細書において「記録領域」とは、データが記録され得る領域をいう。記録領域には、上記チップ属性データのほか、測定したデータも記録することができる。
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、マイクロフルイディクス、微細加工、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。
微細加工については、例えば、Campbell,S.A.(1996).The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication,Oxford University Press;Zaut,P.V.(1996).Micromicroarray Fabrication:a Practical Guide to Semiconductor Processing,Semiconductor Services;Madou,M.J.(1997).Fundamentals of Microfabrication,CRC1 5 Press;Rai−Choudhury,P.(1997).Handbook of Microlithography,Micromachining,& Microfabrication:Microlithographyなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
フォトリソグラフィー技術は、Fordor et al.によって開発された技術であり、光反応性保護基を利用する(Science,251、767(1991)を参照のこと)。この保護基は、各塩基モノマーと同種、あるいは別種の塩基モノマーとの結合を阻害する働きがあり、この保護基が結合している塩基末端には、新たな塩基の結合反応は生じない。また、この保護基は、光照射によって容易に除去することができる。まず、基板全面にこの保護基を有するアミノ基を固定化させておく。次に、所望の塩基を結合させたいスポットにのみ、通常の半導体プロセスで使用されるフォトリソグラフィー技術と同様の方法を使って、選択的に光照射を行う。これにより、光が照射された部分の塩基のみ、後続の結合によって次の塩基を導入できる。ここに、同じ保護基を末端に有する所望の塩基を結合させる。そして、フォトマスクの形状を変更して、別のスポットに選択的に光照射を行う。このあと、同様にして、保護基を有する塩基を結合させる。この工程をスポット毎に所望の塩基配列が得られるまで繰返すことによってDNAアレイが作製される。本明細書において、フォトリソグラフィー技術が使用され得る。
インクジェット方式(技術)は、熱、圧電効果を利用し非常に小さい液滴を2次元平面の所定の位置に射出する技術であり、主にプリンター装置において広く用いられている。DNAアレイの製造には、圧電素子をガラスキャピラリーと組み合わせた構造のインクジェット装置が使用される。液体チャンバーに接続された圧電素子に電圧を加えることにより、圧電素子の体積の変化によってチャンバー内の液体が、チャンバーに接続された、キャピラリーから液滴となって射出される。射出される液滴の大きさは、キャピラリーの径、圧電素子の体積変化量、液体の物理的性質によって決定されるが、一般には、直径が30μm程度である。圧電素子を用いたインクジェット装置は、このような液滴を10KHz程度の周期で射出することができる。このようなインクジェット装置を使ったDNAアレイ製造装置は、インクジェット装置とDNAアレイ基板とを相対運動させることにより、DNAアレイ上の所望のスポットに所望の液滴を滴下することができる。インクジェット装置を使ったDNAアレイ製造装置には、大きくわけて2種類ある。1つはただ1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置であり、もう1つはマルチヘッドのインクジェット装置を用いた装置である。ただ1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置は、オリゴマー末端の保護基を除去する試薬を所望のスポットに滴下する構成になっている。所望の塩基を導入したいスポットの保護基を、このインクジェット装置を用いて除去して活性な状態にした後、DNAアレイ全体に所望の塩基の結合反応操作を実施する。この際、インクジェット装置からの試薬の滴下によって、末端が活性化したオリゴマーを持つスポットのみに所望の塩基が結合する。この後、新たに付加した塩基の末端を保護する操作を行う。次に、保護基を除去するスポットを変更してこの操作を所望のヌクレオチド配列が得られるまで繰返す。一方、マルチヘッドのインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置は、各塩基を含む試薬毎にインクジェット装置を用意することによって、各スポット毎に所望の塩基を直接結合させることができる構成になっており、前述した1台のインクジェット装置を用いたDNAアレイ製造装置よりも高いスループットが得られる。あらかじめ合成したオリゴヌクレオチドを基板に固定化させる方法のうち、メカニカルマイクロスポッティング技術は、ステンレス製のピンの先端についたオリゴヌクレオチドを含む液体を機械的に基板上に押し付けて固定化していく技術である。この方法で得られるスポットは、50〜300μm程度になる。マイクロスポッティング後には、UV光による固定化等の後処理が行われる。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の最良の形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
次に、本発明の特徴の一つでもある新規遺伝子ターゲティング破壊について説明する。
1つの局面において、本発明は、生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法を提供する。この方法は、1)上記生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;2)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;3)上記選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;4)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;および5)上記生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、を包含する。この方法は、ゲノム配列全体が解明されたことによりはじめて達成されるものであり、従来の技術、たとえば、Bartolucci S.のSulfolobus solfataricusを用いたモデルシステムでは、狙った遺伝子の破壊はできず、偶然により破壊された結果を利用することしかできない点で異なり、この相違点により、本発明は、所望の遺伝子を効率よく迅速に破壊することができ、機能解析などを行うことができるという効果がもたらされた。
好ましくは、本発明の上記工程2)において、上記領域は少なくとも2つ選択される。領域が2つあることにより、ダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊が行われるからである。本発明により示されるように、ダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は、シングルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊よりも一般的に効率がよい。従って、上記領域は2つあることが好ましくあり得る。
本発明において使用されるベクターは、破壊ベクターとも呼ばれるが、プロモーターのようなさらなる遺伝子調節エレメントをさらに含んでいてもよい。
本発明の遺伝子ターゲティング方法は、上記マーカー遺伝子の発現産物を検出する工程をさらに包含し得る。ここで、この発現産物は、例えば、mRNA、ポリペプチド、翻訳後修飾を受けたポリペプチドであり得る。
1つの実施形態において、上記マーカー遺伝子は、上記選択された領域内に配置されても、上記選択された領域の外に配置されていてもよい。
本明細書において、本発明において使用されるゲノムは、そのゲノムの全配列がほぼ判明していればどのようなゲノムであってもよい。そのようなゲノムの例としては、例えば、Aeropyrum pernix、Archaeoglobus fulgidus、Methanobacterium thermoautorophicum、Methanococcus jannaschii、Pyurococcus abyssi、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcaniumのような古細菌、Aquifexaeolicus、Thermotoga maritimaなどの細菌などが挙げられるがそれらに限定されない。1つの実施形態では、ゲノムは、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムであってもよい。なぜなら、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムは、いまや全配列が判明したからである。ここで、全配列が判明またはほぼ判明したとは、どの領域の配列を選択したとしても、相同組換えを生じさせるに十分な相同な配列の領域を提供することができる程度に配列が判明していることをいう。したがって、そのような状態は、全配列が1塩基も欠けずに、判明していることが好ましいが、1、2、3塩基わからない状態の部分があってもよい。そのようなわからない状態の部分は、相同組換えを生じさせるに十分な相同な配列の領域を提供することができる程度であれば、複数存在していてもよい。
好ましくは、本発明のゲノムは、配列番号1に示される配列を有する。
好ましくは、本発明の方法において、選択される領域は上記領域は、配列番号1中のオープンリーディングフレームであり、これは、配列番号1、342、723、1087、1469または1838に示される配列において、以下の表:
ここで、上記表中、翻訳されたアミノ酸配列は、通常メチオニンで始まり「アミノ酸配列番号Y(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)」として同定されるが、他のリーディングフレームもまた、公知の分子生物学技術を使用して容易に翻訳され得る。別のオープンリーディングフレームによって生成されるポリペプチドもまた、本発明の範囲内に入ることが企図される。
本明細書において開示された配列の正確さは十分であり、当該分野において周知の種々の用途および以下でさらに記載される種々の用途に適切である。例えば、配列番号1のオープンリーディングフレーム領域の配列は、そのオープンリーディングフレームにおいて含まれる核酸配列に含まれるcDNAを検出する核酸ハイブリダイゼーションプローブを設計するために有用である。これらのプローブはまた、生物学的サンプル中の核酸分子にハイブリダイズし、それによって本発明の種々の法医学的方法、および診断方法を可能にする。同様に、配列番号Zから同定されるポリペプチドは、例えば、本明細書において同定されるオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質(ポリペプチドおよび分泌タンパク質を含む)に特異的に結合する抗体を作製するために使用され得る。
本発明者らは、配列決定に際して細心の注意を払って分析を行った。しかし、配列決定反応によって生成されるDNA配列は、配列決定の誤差を含み得る。この誤差は、誤って同定されたヌクレオチドとして、または生成されたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入もしくは欠失として存在する。誤って挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配列のリーディングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合において、作製されるDNA配列が、実際のDNA配列と99.9%(例えば、1000塩基を超えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入または欠失)を超えて同一であり得るとしても、推定アミノ酸配列は、実際のアミノ酸配列とは異なる。
従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこれらの適用のために、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列、および配列番号Zとして同定される翻訳されたアミノ酸配列のみならず、特許生物寄託センターに寄託された本発明のThermococcus kodakaraensis KOD1のゲノム中に含まれる核酸配列およびそれによってコードされるアミノ酸配列もまた提供する。当業者は、そのようなより正確な配列を寄託された本発明のThermococcus kodakaraensis KOD1の配列を配列決定することによって判定することができる。本発明においてまた提供されるものは、対立遺伝子変異体、オルソログ、および/または種ホモログである。
別の局面において、本発明は、配列番号1または1087に示される配列を有する、核酸分子自体を提供する。この核酸分子自体は、本発明の遺伝子ターゲティング破壊方法において有用である。
本発明はまた、別の局面において、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続する核酸配列を含む、核酸分子を提供する。
本明細書において用語「プローブ」とは、可変の長さの核酸配列であって、ある特定の配列を探索するために使用されるものをいう。プローブは、好ましくは、用途に依存するが、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドであってもよく、または約6,000ヌクレオチドであってもよい。プローブは、同一、類似または相補的な核酸配列の検出において使用される。より長いプローブは、通常、天然供給源または組換え供給源から入手され、非常に特異的であり、オリゴマーよりもはるかに遅くハイブリダイズする。プローブは、一本鎖または二本鎖であり得、そしてPCR、メンブレンベースのハイブリダイゼーション技術またはELISAのような技術において特異性を有するように設計される。
本明細書において用語「プライマー」とは、可変の長さの核酸配列であって、PCRなどの核酸の合成反応にあたりポリヌクレオチド鎖がのびていく出発点として働くポリヌクレオチドをいう。プライマーは、好ましくは、用途に依存するが、少なくとも約6ヌクレオチド、少なくとも約7ヌクレオチド、少なくとも約8ヌクレオチド、少なくとも約9ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約17ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドであってもよく、または約6,000ヌクレオチドであってもよい。
1つの局面において、本発明は、上述の表1に記載される遺伝子番号(1)〜(2151)のいずれかのアミノ酸配列(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)を有するポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これらの融合タンパク質は、種々の適用に使用され得る。例えば、本発明のポリペプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(EP A 394,827もまた参照のこと;Trauneckerら、Nature、331:84−86(1988))。
別の局面において、本発明は、上述の表1に記載される遺伝子番号(1)〜(2151)のいずれかのアミノ酸配列(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837および1839〜2157)の少なくとも3アミノ酸配列を含むペプチド分子を提供する。そのようなペプチド分子は、エピトープとして使用され得る。好ましくは、そのようなペプチド分子は、少なくとも約4アミノ酸配列、少なくとも約5アミノ酸配列、少なくとも約6アミノ酸配列、少なくとも約7アミノ酸配列、少なくとも約8アミノ酸配列、少なくとも約9アミノ酸配列、少なくとも約10アミノ酸配列、少なくとも約15アミノ酸配列、少なくとも約20アミノ酸配列、少なくとも約30アミノ酸配列、少なくとも約40アミノ酸配列、少なくとも約50アミノ酸配列、少なくとも約100アミノ酸配列含み得る。より長いほうが特異性が高い。
用語「エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、動物において、好ましくは哺乳動物において、そして最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性または免疫原性活性を有するポリペプチドの部分をいう。好ましい実施形態において、本発明は、エピトープを含むポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。「免疫原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で公知の任意の方法によって決定されるような(例えば、下記に記載される抗体を産生するための方法による)、動物における抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義される(例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983)を参照のこと)。用語「抗原性エピトープ」とは、本明細書中で使用される場合、当該分野で周知の任意の方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセイによる)によって決定されるような、抗体がその抗原に免疫特異的に結合し得るタンパク質の一部として定義される。免疫特異的結合は、非特異的結合は除外するが、他の抗原との交差反応を除外する必要はない。抗原性エピトープは、免疫原性である必要はない。
エピトープとして機能するフラグメントは、任意の従来の方法によって産生され得る。(例えば、Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985)を参照のこと。これはさらに、米国特許第4,631,211号に記載される)。
本発明においては、抗原性エピトープは、通常3アミノ酸、好ましくは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7アミノ酸配列を含み、より好ましくは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸配列を含み、そして最も好ましくは約15アミノ酸と約30アミノ酸との間の配列を含む。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含有する好ましいポリペプチドは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ酸残基の長さである。さらなる非排他的に好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープおよびその一部を含む。抗原性エピトープは、有用である(例えば、エピトープに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹起するため)。好ましい抗原性エピトープは、本明細書中で開示される抗原性エピトープ、および2、3、4、5以上のこれらの抗原性エピトープの任意の組合わせを含む。抗原性エピトープは、イムノアッセイにおいて、標的分子として使用され得る。(例えば、Wilsonら、Cell 37:767−778(1984);Sutcliffeら、Science 219:660−666(1983)を参照のこと)。
同様に、免疫原性のエピトープを使用して、例えば、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導し得る。(例えば、Sutcliffeら(前出);Wilsonら(前出);Chowら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:910−914;およびBittleら、J.Gen.Virol.66:2347−2354(1985)を参照のこと)。好ましい免疫原性エピトープは、本明細書で開示された免疫原性エピトープ、ならびにこれらの免疫原性エピトープの2つ、3つ、4つ、5つ以上の任意の組み合わせを含む。1つ以上の免疫原性エピトープを含むポリペプチドは、キャリアタンパク質(例えば、アルブミン)とともに動物系(例えば、ウサギまたはマウス)に対する抗体応答を惹起するために提示され得るか、または、そのポリペプチドが十分に長い場合では(少なくとも約25アミノ酸)、このポリペプチドはキャリアなしで提示され得る。しかし、8〜10程度のわずかなアミノ酸を含む免疫原性エピトープが、変性されたポリペプチドの直鎖エピトープに(少なくとも)結合し得る抗体を惹起するのに十分であることが示された(例えば、ウエスタンブロッティングにおいて)。
本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導するために使用され得る。この方法としては、インビボ免疫、インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Sutcliffeら,前出;Wilsonら,前出;およびBittleら,J.Gen.Virol.,66:2347−2354(1985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(hemacyanin)(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペプチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプチドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリアに結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、エマルジョン(約100μgのペプチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答を刺激すると知られる任意の他のアジュバントを含む)の腹腔内注射および/または皮内注射により免疫される。いくつかのブースター注射が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した遊離のペプチドを用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法に従う固体支持体上のペプチドの吸着および選択された抗体の溶出による)により上昇し得る。
当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、他のポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよびそれらの部分)、あるいはアルブミン(組換えアルブミン(例えば、1999年3月2日発行の米国特許第5,876,969号、欧州特許第0 413 622号、および1998年6月16日発行の米国特許第5,766,883号(これらは、本明細書によってその全体において参考として援用される)を参照のこと)を含むが、限定はされない)と融合され得、キメラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そしてインビボでの半減期を増大させ得る。これは、ヒトCD4−ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP 394,827;Trauneckerら、Nature,331:84〜86(1988)を参照のこと。上皮の障壁を横切る抗原の免疫系への増強された送達は、IgGまたはFcフラグメントのようなFcRn結合パートナーへ結合された抗原(例えば、インシュリン)について実証された(例えば、PCT公開WO96/22024および同WO99/04813を参照のこと)。IgG部分のジスルフィド結合に起因するジスルフィド結合二量体構造を有するIgG融合タンパク質はまた、単量体ポリペプチドまたはそれらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和においてより効果的であることが見出された。例えば、Fountoulakisら,J.Biochem.,270:3958−3964(1995)を参照のこと。上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグ(例えば、赤血球凝集素(「HA」)タグまたはフラッグ(flag)タグ)として目的の遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。例えば、Janknechtらによって記載される系は、ヒト細胞株中で発現される非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknecht ら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−897)。この系において、目的の遺伝子はワクシニア組換えプラスミドへサブクローン化され、その結果、この遺伝子のオープンリーディングフレームが、6つのヒスチジン残基からなるアミノ末端タグへ翻訳時に融合される。このタグは、融合タンパク質についての基質結合ドメインとしての機能を果たす。組換えワクシニアウイルスを用いて感染された細胞からの抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸−アガロースカラム上へロードされ、そしてヒスチジンタグ化タンパク質は、イミダゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出され得る。
「単離された」核酸分子は、この核酸の天然の供給源中に存在するその他の核酸分子から分離されているものである。単離された核酸分子の例としては、ベクター中に含まれる組換えDNA分子、異種宿主細胞中に維持される組換えDNA分子、部分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNAまたはRNA分子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは「単離された」核酸は、この核酸が由来する生物のゲノムDNA中でこの核酸に天然で隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)がない。例えば、種々の実施形態で、単離されたNOVX核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然で隣接する、約50kb、25kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kbより少ないヌクレオチド配列を含み得る。さらに「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、組換え技法により産生されるとき、その他の細胞物質または培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成されるとき、化学物質前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部をコードする、核酸分子を提供する。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部を含む、ポリペプチドを提供する。
別の局面において、本発明は、表1における遺伝子番号(1)〜(2151)(配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列)の配列からなる群より選択される少なくとも1つの配列またはその配列と70%相同な配列あるいはその一部を含む、エピトープを提供する。
別の局面において、耐熱性タンパク質をスクリーニングする方法を提供する。ここでこの方法は、1)耐熱性生物のゲノムの全配列を提供する工程;2)上記配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;3)上記選択された領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクターを提供する工程;4)上記ベクターで上記生物を形質転換する工程;5)上記耐熱性生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程;6)相同的組換えが起きた上記耐熱性生物を選択する工程;および7)上記耐熱性タンパク質を同定するアッセイを行う工程、を包含する。ここで、ゲノムの全配列は、完全な配列でなくてもよいが、好ましくは完全な配列である。ここで、選択される領域は、好ましくは2つの領域またはそれを超える領域であり得る。領域の長さは相同的組換えが生じる限りどのような長さでもよく、例えば、少なくとも約500塩基、少なくとも約600塩基、少なくとも約700塩基、少なくとも約800塩基、少なくとも約900塩基、少なくとも約1000塩基、少なくとも約2000塩基などであり得る。上述の耐熱性タンパク質の候補は、発現が予測される限り、本発明のどのようなタンパク質であってもよい。ベクターはそのタンパク質を発現させることができる限りどのようなベクターであってもよい。
ベクターには好ましくは、プロモーターのような遺伝子調節エレメントが含まれ得る。形質転換は適切な条件であればどのような条件であってもよい。
相同的組換えが生じる条件とは、相同的組換えが起きる条件であればどのような条件であってもよく、通常は、以下のような条件でよい。
という条件が挙げられるがそれらに限定されない。ここで、上記ASW(人工海水)の組成は以下のとおりである:1×人工海水(Artificial sea water(ASW))(/L):NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SO4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸 0.01g。。
相同的組換えが起きた生物を選択する方法は、相同的組換えが起きた生物に特有のマーカーを検出することによって行われ得る。従って、相同的組換えが起きた生物に発現されるようなマーカーを上述のベクターに含ませておくことが好ましくあり得る。
耐熱性のタンパク質の同定は、そのタンパク質が通常活性を発揮すると考えられている条件において、温度のみを例えば、約50℃、好ましくは約60℃、より好ましくは約70℃、さらに好ましくは約80℃、もっとも好ましくは約90℃に上昇させた条件であっても、活性がみられることを確認することによって行うことができる。
別の局面において、本発明は、耐熱性タンパク質をスクリーニングするキットを提供する。このキットは、1)耐熱性生物;ならびに2)上記耐熱性生物において選択されたある領域と相同な配列、および上記耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクター、を備える。
好ましい実施形態において、この耐熱性生物は、超好熱始原菌であり、より好ましくはThermococcus kodakaraensis KOD1である。
好ましい実施形態において、本発明のキットは、3)上記耐熱性タンパク質を同定するためのアッセイシステム、をさらに備える。このアッセイシステムは、その耐熱性タンパク質の活性によって変動する。
(各遺伝子の説明)
以下に、本発明において同定されたThermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノム配列に含まれていた各遺伝子についての説明を付す。
(超好熱菌のゲノムの概論)
超好熱菌の染色体DNAは安定である。DNAの二本鎖は水素結合で維持されているため、高温環境では一本鎖に解離するのではないかという素朴な疑問が生じる。KOD1株には2種の塩基性ヒストン様タンパクが存在し、これが負に荷電しているDNAに結合することにより、ヌクレオソーム様複合体を形成してコンパクト化することにより安定化している。本発明によって、さらにポリアミンがこれに結合して安定化を促進していることもさらに明らかにできた。なおアセチル化されたポリアミン(アセチルポリアミン)はヌクレオソーム様複合体への結合能が弱いため、脱アセチル化酵素の働きにより得られたポリアミンがより強固に結合できるようになっている。一般的に超好熱菌の細胞内K+イオン濃度は常温菌の場合よりはるかに高いので、二本鎖DNAの安定化にも貢献していることは聞違いない。実際DNAの融解曲線を調べるとこれらの特性が明らかに示されている。
(耐熱性についての普遍性)
本発明者はKOD1株のglutamate dehydrogenase(GDH)の研究を通じて、超好熱菌由来タンパク質に普遍的な特性を発見した。すなわち、常温菌由来のタンパク質は一般に熱により変性するのに対し、超好熱菌由来の組換えタンパク質は熱により成熟していくことを明らかにした。KOD1株内の高温環境で合成されたGDHは6量体構造を有し、高い比活性を示す。一方、GDH遺伝子を大腸菌を宿主として発現させた場合では、天然型のGDHと比べて酵素活性が低く、構造の異なる単量体タンパク質が得られた。そこで70℃、20分の熱処理を施すと組換え型GDHは比活性、立体構造ともに天然型のGDHに近づくことが明らかとなった。また、一度熱処理を行うことにより、本酵素は低温域でも天然型GDKと類似した挙動をした。このような特徴はGDHのみならず、本発明者らが解析した超好熱菌由来酵素の全てについて認められた。以上のことから、耐熱性タンパク質の成熟化には熱が重要であり、それは熱による酵素タンパク質の不可逆な構造変換に起因することが判明した。
(新しい構造や機能特性を有する酵素の発見)
リブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)は全ての植物・藻類・藍藻に存在し、二酸化炭素を有機物に固定する重要な役割を担っている。Rubiscoは地球上で最も多量に存在する酵素であり、本酵素の改良は地球温暖化や食糧問題の解決に大きく貢献すると期待されている。いままで原始生命体に近い始原菌はRubiscoを有しないと考えられてきたが、本発明者らはKOD1株内に高い炭酸固定能を有するRubiscoが存在することを発見した。この酵素(Tk−Rubisco)は従来のRubiscoと比較して20倍も高い活性を有し、二酸化炭素に対する特異性も極めて高いことが判明した。Tk−Rubiscoは構造的にも新規であり、前例のない五角形型10量体構造をとっていた。現在は本酵素の生理的役割の解明とともに、植物などの光合成生物への導入を進めている。
(構造解析に基いた超好無菌由来タンパク質の耐熱性機構の解明)
超好熱菌由来タンパク質が示す高度な耐熱性は、タンパク質科学の基礎分野のみならず、酵素を利用する様々な応用分野から注目を集めている。本発明者らは多数のKOD1株由来酵素の立体構造を明らかにしており、それらの耐熱性機構を解明することができた。代表的な例としてO6−メチルグアニン−DNAメチルトランスフェラーゼ(Tk−MGMT)が挙げられる。Tk−MGMTとその大腸菌由来酵素(AdaC)の立体構造を比較すると、Tk−MGMTにはα−ヘリックスを安定化するヘリックス内イオン結合が多数存在することが判明した。また、タンパク質全体の構造を安定化するヘリックス間イオン結合も多く存在していた。大腸菌由来AdaCにはこのようなイオン結合は少なく、超好熱菌由来酵素は多数のイオン結合やイオン結合ネットワークにより高度な耐熱性を発揮していることが判った。これは上述のGDHにおいても同様であり、生化学的にも証明することができた。すなわち、GDH内に存在するイオン結合ネットワークを壊すような部位特異的変異を導入した場合には、変異酵素の熱安定性が大きく低下した。逆にイオン結合を増加させた変異酵素の耐熱性は上昇した。
(有用酵素の利用)
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)は遺伝子操作技術にもはや不可欠な技術の1つとなっており、その応用は医療、環境、食糧など様々な分野に及んでいる。現在、PCR法に求められている改良点は増幅時間の短縮、誤増幅の防止、長いDNA断片の増幅である。特に臨床検査、食品検査では速く、正確にDNAを合成するDNAポリメラーゼが要求されている。本発明者らはKOD1株のDNAポリメラーゼ(KOD DNAポリメラーゼ)の機能解析を行った結果、本酵素は従来酵素と比較してDNAの合成速度が速く、長いDNAを合成する能力も高いことを見いだした。実際、KOD1株のDNAポリメラーゼを用いると、従来のTaq酵素で2時間かかっていたPCRの反応時間を約25分に短縮できた。また、KOD DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失させた改変型酵素と野生型酵素とを最適な割合で混合することにより、より優れた反応効率・伸長性を得ることができた。本発明者らはさらにKOD DNAポリメラーゼの抗体を用いることにより、PCR反応の初期に見られる誤増幅を抑え、極めて正確で効率の良いDNA増幅系を確立することができた。本システムは東洋紡績社から「KOD−Plus−」システムとして上梓中であり、またLife Technologies/GIBCO BRL社より「PlatinumTM Pfx DNA polymerase」として欧米各国で販売されている。最近本発明者らはさらにKOD DNAポリメラーゼの結晶化・X線構造解析を行い、その立体構造を決定した。詳細な立体構造に基いて、本酵素の伸長反応の速さ、複製能力の正確さなどがどのような構造に起因するかを解明することができた。
本発明者らはDNAポリメラーゼ以外にも多数の有用耐熱性酵素を同定解析している。DNAリガーゼは2つのDNA断片の末端を結合させる反応を触媒し、本酵素も遺伝子組換え技術の中で不可欠な酵素である。従来から使用されている細菌やファージ由来酵素のほとんどが熱に弱く、不安定なものであるが、KOD1株のDNAリガーゼ(Tk−Lig)は30℃から100℃において高いDNAリガーゼ活性を示した。さらにTk−Ligのニック部位における基質(base−pairing)特異性は興味深く、3’末端に対しては厳密な塩基対形成が必要であったが、5’末端に対しては基質特異性が甘いことが判明した。これらのような特徴をもつDNA ligaseは他に報告例はなく、1塩基置換(SNPs)検出への本酵素の応用が期待される。糖質関連酵素としては、デンプンなどに見られるα(1−4)結合を切断するα−アミラーゼまたは環化反応を触媒してシクロデキストリンを合成するシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、転移反応を触媒する4−α−グルカノトランスフェラーゼについて生化学的諸性質を明らかにしている。セルロースやキチンに見られるβ(1−4)結合を切断するβ−グルコシダーゼ、キチナーゼについても詳細な解析を行った。特にKOD1株のキチナーゼには同一ポリペプチド鎖上に2つのキチナーゼ活性ドメインが存在し、1つがエンドキチナーゼ活性、もう片方がエキソキチナーゼ活性を有した。これら2つの触媒ドメインの相乗作用により本酵素は極めて高いキチン分解活性を示す。
(Thermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノム解析と遺伝子導入技術の開発)
本研究を通じて本発明者らはKOD1株に関するほぼすべての遺伝子を解析し、かなりの種類のタンパク質の詳細な生化学的性質を明らかにしてきた。KOD1株は生物の進化系統樹の根に近いところに位置する極めて単純化された生命体であり、生命の基本メカニズムを理解する上で、本菌は恰好の題材であると考えられる。また、KOD1株は上述のように新しい特徴を有する酵素や応用可能な耐熱性酵素を多数生産している。このような背景のもと、本発明者らはKOD1株の全ゲノム解析を進めることにした。KOD1株のゲノムは2,076,138塩基対からなり、予想通り極めて短いものであった(大腸菌の40%以下)。また、遺伝子の数も少なく1500個程度であった。KOD1株がこのような少ない数の遺伝子で生命を維持していることから、本菌の研究を通じて生命の基本原理の解明も実現可能と期待している。
ポストゲノム研究において最も重要な研究課題は機能未知遺伝子の生理的役割を解明することである。DNA chipによる網羅的遺伝子発現解析、proteomeによる網羅的タンパク質解析はこの目的のために有効な解析法である。本発明者らもこれらの手法を用いて研究を進めているが、最近、もう1つ重要なシステムの構築に成功した。すなわちKOD1株ゲノム上の任意の遺伝子を特異的に破棄する技術である。これにより機能未知遺伝子を破壊してその影響を解析することにより、その生理的役割を明らかにすることが可能となった。
KOD1のゲノムに含まれる遺伝子は、以下の表2に示されるように多岐にわたっている。そのような遺伝子の機能の説明は、当該分野で周知の生化学の文献(たとえば、Sambrook,J.et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(2001);Ausubel,F.et al.,Short protocols in molecular biology,4th ed.John Wiley&Sons,NJ,USA(1999);Ausubel,F.,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NJ,USA(1988);太田次郎編、生物学ハンドブック、朝倉書店(1987);今堀和友、山川民夫監修、生化学辞典第3版、東京化学同人(1998);西塚泰美編、細胞機能と代謝マップ、東京化学同人(1997);Lewin Genes VII、Oxford University Press,Oxford,UK(2000)など)に記載されている。また、そのようなタンパク質の機能を測定する方法は、例えば、Sambrook,J.et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(2001);Frank T.,et al.,Thermophiles(Archaea:A Laboratory Manual 3),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA(1995);丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982);Methods in Enzymologyシリーズ、Academic Press;今堀和友、山川民夫監修、生化学辞典第3版、東京化学同人(1998);西塚泰美編、細胞機能と代謝マップ、東京化学同人(1997);Lengeler,J.et al.Biology of the Prokaryotes,Blackwell Science,Oxford,UK(1998);Lewin Genes VII、Oxford University Press,Oxford,UK(2000)など)に記載されている。
このように、本発明のよってKOD1のゲノムに含まれる遺伝子はその機能がほぼ解明されたが、その機能を、以下の表にまとめる。表2に記載される領域(1)に規定される遺伝子(以下、遺伝子ID(1)とする(この遺伝子のアミノ酸配列は、表中の配列番号に示される配列番号に該当する配列である)。
表2において、読み枠に記載されている、f−1〜f−3は、センス鎖でのオープンリーディングフレームを示し、r−1〜r−3は、アンチセンス鎖でのオープンリーディングフレームを示す。分類において、Jは、翻訳、リボソーム構造、生物発生に関連するポリペプチドを示し;Kは、転写に関連するポリペプチドを示し;Lは、DNA複製、組換え、修復に関連するポリペプチドを示し;Dは細胞分裂、染色体分画化に関連するポリペプチドを示し;Oは、翻訳ご就職、タンパク質代謝回転、シャペロンに関連するポリペプチドを示し;Mは細胞エンベロープ生物発生、外膜に関連するポリペプチドを示し;Nは細胞運動性、分泌に関連するポリペプチドを示し;Pは無機イオン輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Tはシグナル伝達機構に関連するポリペプチドを示し;Cはエネルギー産生、変換に関連するポリペプチドを示し;Gは、炭水化物輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Eはアミノ酸輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Fはヌクレオチド輸送、代謝に関連するポリペプチドを示し;Hは補酵素代謝に関連するポリペプチドを示し;Iは脂質代謝に関連するポリペプチドを示し;Qは二次代謝産物生合成、輸送、異化に関連するポリペプチドを示し;Rは一般的な機能予測のみのポリペプチドを示し;そして、Sは機能未知のポリペプチドを示す。分類は暫定的であり、2以上の分類が当てはまることもあることからその場合は両方の文字が記載されている。
(生体分子チップ)
別の局面において、本発明は、生体分子チップを提供する。この生体分子チップは、支持体と、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体のうち少なくとも1つとを含み、これは、支持体に配置されていることを特徴とする。
従って、1つの実施形態において、本発明は、a)配列番号1または1087に示す塩基配列もしくはその相補体またはそのフラグメント配列を有する、ポリヌクレオチド;(b)2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;(c)2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリペプチドであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;(d)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または(e)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む、核酸分子を提供する。
1つの好ましい実施形態において、上記(c)における置換、付加および欠失の数は、限定され、例えば、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下であることが好ましい。より少ない数の置換、付加および欠失が好ましいが、生物学的活性を保持する(好ましくは、表2に示される生物学的活性を有するかまたは実質的に同一の活性を有する、あるいはその異常型の活性(例えば、正常な生物学的活性の阻害活性))限り、多い数であってもよい。
別の好ましい実施形態において、上記ポリペプチドが有する生物学的活性としては、例えば、2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的な抗体との相互作用、表2に示される生物学的活性などが挙げられるがそれらに限定されない。これらは例えば、免疫学的アッセイ、標識アッセイなどによって測定することができる。
別の好ましい実施形態において、(d)に記載の対立遺伝子変異体は、配列番号1または1087に示す核酸配列またはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と少なくとも99%の相同性を有することが有利である。
上記種相同体は、その種の遺伝子配列データベースが存在する場合、そのデータベースに対して、本発明の遺伝子配列をクエリ配列として検索することによって同定することができる。あるいは、本発明の遺伝子配列の全部または一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは、それらのフラグメント)をプローブまたはプライマーとして、その種の遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。そのような同定方法は、当該分野において周知であり、本明細書において記載される文献にも記載されている。種相同体は、例えば、配列番号1または1087に示す核酸配列あるいはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
好ましい実施形態において、上記(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性は、少なくとも約80%であり得、より好ましくは少なくとも約90%であり得、さらに好ましくは少なくとも約98%であり得、もっとも好ましくは少なくとも約99%であり得る。最も好ましくは、本発明の遺伝子配列は、配列番号1まはた1087に記載される配列またはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)と100%同一の配列を有する。
好ましい実施形態において、本発明の遺伝子をコードする核酸分子またはそのフラグメントおよび改変体は、少なくとも8の連続するヌクレオチド長であり得る。本発明の核酸分子は、本発明の使用目的によってその適切なヌクレオチド長が変動し得る。より好ましくは、本発明の核酸分子は、少なくとも10の連続するヌクレオチド長であり得、さらに好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチド長であり得、なお好ましくは少なくとも20の連続するヌクレオチド長、さらにより好ましくは少なくとも30の連続するまたは不連続のヌクレオチド長であり得る。これらのヌクレオチド長の下限は、具体的に挙げた数字のほかに、それらの間の数(例えば、9、11、12、13、14、16など)あるいは、それ以上の数(例えば、21、22、...30、など)であってもよい。本発明の核酸分子は、目的とする用途(例えば、アンチセンス、RNAi、マーカー、プライマー、プローブ、所定の因子と相互作用し得ること)として使用することができる限り、その上限の長さは、配列番号1に示す配列の全長であってもよく、それを超える長さであってもよい。あるいは、プライマーとして使用する場合は、通常少なくとも約8のヌクレオチド長であり得、好ましくは約10ヌクレオチド長であり得る。プローブとして使用する場合は、通常少なくとも約15ヌクレオチド長であり得、好ましくは約17ヌクレオチド長、より好ましくは約30ヌクレオチド長であり得る。
1つの実施形態において、本発明の遺伝子をコードする核酸分子は、配列番号1の核酸配列のオープンリーディングフレームの全範囲を含む。より好ましくは、本発明の核酸分子は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列のいずれか1つからなる。
したがって、本発明の生体分子チップには、核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列を網羅するように配置されることが好ましい。網羅的に配置することによって、ゲノムの働きを網羅的に解析することができるからである。これは、本発明によって、ゲノムの配列全体が解読されたことによって初めて達成されたものであり、従来では達成できなかった格別の効果を示す。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の任意のオープンリーディングフレームを含む。このように、ゲノム上の任意のオープリンリーディングフレームを選択することができるという効果は、従来では実施し得なかった格別の効果であるといえる。特に、90℃のような超高熱において生活する生物のゲノム全体の解析を行うことは従来不可能であったことに留意すべきである。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の実質的にすべてのオープンリーディングフレームを含むことが好ましい。ここで、実質的にすべてとの用語は、ゲノムの全体的に必要であるに充分な数をいう。したがって、実質的にすべてとの用語は、必ずしもすべてである必要はなく、目的に応じて、当業者は適宜その数を選択することができる。例示的な「実質的にすべての数」とは、例えば、全オープンリーディングフレームの少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%などが挙げられるがそれらに限定されない。別の代表的な例としては、本明細書において機能がすでに同定された約900の遺伝子が実質的にすべての数であり得る。このような実質的にすべてのオープンリーディングフレームが解析され得るという効果は、従来達成することができなかったものである。
したがって、別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列を実質的にすべて含むことが好ましい。すべての配列を含むことにより、ゲノムモデルを再現できるからである。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む。ここで、配列の選択は、上述のように種々のファクターを考慮して決定することができる。少なくとも8の連続したヌクレオチド長は、超好熱始原菌に特有の配列を有し得ることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも15の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む。少なくとも15の連続したヌクレオチド長は、超好熱始原菌に特有の配列を実質的に特異的に同定することができることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも30の連続したまたは不連続のヌクレオチド長を有する配列を含む。少なくとも30の連続したまたは不連続のヌクレオチド長は、プローブとして用いた際でも充分に超好熱始原菌に特有の配列を実質的に特異的に同定することができることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような配列は、超好熱始原菌に含まれるかまたは含まれると予想されるポリペプチドをコードする核酸分子を網羅的に解析できることから、そのような解析を行うのに都合がよい。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような配列を配置したチップは、すべての遺伝子の挙動を調査するのに利用され得る。
別のより好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップに配置される核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する。このような配列は、実際に超好熱始原菌が有するオープンリーディングフレームが配置されていることから、ゲノムレベルのアッセイをより正確に行うことができる。したがって、このようなゲノムレベルの全体の解析に使用するためにこの実施形態は用いられ得る。
別の実施形態において、本発明の生体分子チップに含まれる支持体は、アドレス可能である。アドレスを付すことによって、すべての核酸分子の解析が容易になる。そのようなアドレスの付し方は、当該分野において周知である。
別の局面において、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップを提供する。
従って、1つの実施形態において、本発明は、(a)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;(b)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;(c)表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;(d)配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、を含む、ポリペプチドを提供する。
1つの好ましい実施形態において、上記(b)における置換、付加および欠失の数は限定されていてもよく、例えば、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下であることが好ましい。より少ない数の置換、付加および欠失が好ましいが、生物学的活性を保持する(好ましくは、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなる正常型遺伝子と類似するかまたは実質的に同一の活性を有する、あるいは配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有する遺伝子のの異常型活性)限り、多い数であってもよい。
別の好ましい実施形態において、上記(c)におけるスプライス変異体または対立遺伝子変異体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも99%の相同性を有することが好ましい。
別の好ましい実施形態において、上記種相同体は、本明細書中上述のように同定することができ、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
上記種相同体は、その種の遺伝子配列データベースが存在する場合、そのデータベースに対して、本発明の配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をクエリ配列として検索することによって同定することができる。あるいは、本発明の配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の全部または一部をプローブまたはプライマーとして、その種の遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。そのような同定方法は、当該分野において周知であり、本明細書において記載される文献にも記載されている。種相同体は、例えば、配列番号1または1087に示す核酸配列もしくはその一部(例えば、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列)または配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも約30%の相同性を有することが好ましい。好ましくは、種相同体は、上記基準配列と、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、相同であり得る。
別の好ましい実施形態において、上記(e)における上記改変体ポリペプチドが有する生物学的活性としては、例えば、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特異的な抗体との相互作用、表2に記載される生物学的機能などが挙げられるがそれらに限定されない。これらは例えば、酵素アッセイ、免疫学的アッセイ、蛍光アッセイなどによって測定することができる。
好ましい実施形態において、上記(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する相同性は、少なくとも約80%であり得、より好ましくは少なくとも約90%であり得、さらに好ましくは少なくとも約98%であり得、もっとも好ましくは少なくとも約99%であり得る。最も好ましくは、本発明の遺伝子産物は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなる配列を有する。
本発明のポリペプチドは、通常、少なくとも3の連続するアミノ酸配列を有する。本発明のポリペプチドが有するアミノ酸長は、目的とする用途に適合する限り、どれだけ短くてもよいが、好ましくは、より長い配列が使用され得る。従って、好ましくは、少なくとも4アミノ酸長、より好ましくは少なくとも5アミノ酸長、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも7アミノ酸長、少なくとも8アミノ酸長、少なくとも9アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長であってもよい。さらに好ましくは少なくとも15アミノ酸長であり得、なお好ましくは少なくとも20アミノ酸長であり得る。これらのアミノ酸長の下限は、具体的に挙げた数字のほかに、それらの間の数(例えば、11、12、13、14、16など)あるいは、それ以上の数(例えば、21、22、...30、など)であってもよい。本発明のポリペプチドは、ある因子と相互作用することができる限り、その上限の長さは、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列の全長と同一であってもよく、それを超える長さであってもよい。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成としては、上記形態および構成において記載される任意の形態を利用することができる。
本発明のポリペプチド形態の遺伝子産物は、標識されているかまたは標識され得ることが好ましい。このような標識されているかまたは標識され得る遺伝子産物を用いて、その遺伝子産物に対する抗体量を測定することができ、それにより、その遺伝子産物の発現量を間接的に測定することができるからである。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む。少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を有することによって、特異的なエピトープを構成することが可能となるからである。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態としては、上記形態において記載される任意の形態を利用することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む。少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を有することによって、より効率よく特異的なエピトープを構成することが可能となるからである。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成としては、上記形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明の生体分子チップにおいて支持体に配置されるポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する。ここで、この生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含むことが好ましい。別の実施形態では、この生物学的活性は、エピトープ活性を含む。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成は、上記形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の局面において、本発明は、配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体の核酸配列の情報が格納された、記録媒体を提供する。ここで核酸配列の情報としては、核酸配列自体の情報のほか、通常の配列表に記載されるような情報もまた含まれる。そのような情報としては、例えば、コード領域、イントロン領域、特異的発現、プロモーター配列および活性、生物学的機能、類似配列、ホモログ、論文情報、などが挙げられるがそれらに限定されない。
好ましい実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む。このような情報を提供することは、従来の技術では不可能であったことから、本発明において初めて達成された効果であるといえる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する。これだけの、情報が記録された記録媒体は、従来にはなく、本発明の記録媒体は、ゲノム全体の解析利用できるという効果を有する。好ましくは、本発明の記録媒体は、実質的にすべてのオープンリーディングフレーム配列の情報を含む。ここで、含まれる配列に関するより好ましい形態および構成は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の局面において、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体のアミノ配列の情報が格納された、記録媒体を提供する。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係るポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する。ここで、含まれる配列および構成に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成を利用することができる。
別の実施形態では、本発明の記録媒体に格納される情報に係る生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含み、該機能に関する情報が格納される。ここで、含まれる配列および構成ならびに情報に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成ならびに情報を利用することができる。
別の局面では、本発明は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体に対する抗体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップを提供する。ここで、含まれる配列および構成ならびに情報に関するより好ましい形態は、上記の形態において記載される任意の形態および構成ならびに情報を利用することができる。
別の局面において、本発明は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列と、相同な配列を有するRNAi分子を提供する。ここで、RNAi分子としては、本明細書において詳述される任意の形態を用いることができ、当業者は、本発明の配列情報がいったん与えられたならば、適宜任意の適切なRNAi分子を製造および使用することができる。
好ましい実施形態において、本発明のRNAi分子氏は、少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体である。
より好ましい実施形態において、上記RNAi分子は、3’突出末端を含む。
別の好ましい実施形態において、上記3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNAである。
他の好ましい実施形態において、上記3’突出末端は、2〜4ヌクレオチド長のDNAである。
このようなRNAi分子は、超好熱始原菌の特定の機能を抑制するために用いられる。任煮のRNAi分子を用いることは、従来できなかったことであり、格別の効果を奏する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下の実施例は、例示であって、本発明を限定しないことが意図される。
(実施例1:ゲノム配列決定)
(KOD−1株の染色体DNAの調製)
KOD−1株を、Appl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994)に記載の0.5×2216マリンブロース培地(2216マリンブロース:18.7g/L、PIPES 3.48g/L、CaCl2・H2O 0.725g/L、0.4mL 0.2%レザズリン、475mL人工海水(NaCl 28.16g/L、KCl 0.7g/L、MgCl2・6H2O 5.5g/L、MgSO4・7H2O 6.9g/L)、蒸留水500mL、pH7.0)1,000mlに接種して、2リットルの発酵槽を用いて培養した。培養に際しては、発酵槽内を窒素ガスで置換し、同ガスで内圧を0.1Kg/cm2に維持した。培養は、温度85±1℃にて14時間培養した。なお、培養は静置培養で実施し、培養中窒素ガスの通気および撹拌は行わなかった。培養終了後、培養液(約1,000ml)を10,000rpmで10分間遠心分離することにより菌体を回収した。
得られた菌体1gを10mlのA溶液(50mM Tris−HCl、50mM EDTA、pH8.0)に懸濁し、遠心分離(8,000rpm、5分間、4℃)により集菌後、3mlの15%ショ糖を含むA溶液に懸濁し、37℃にて30分間保温後、1%N−ラウリルサルコシンを含むA溶液3mlを添加した。この液にさらに5.4gの塩化セシウムおよび10mg/mlの臭化エチジウム溶液300μlを添加し、55,000rpm、16時間、18℃にて超遠心分離を行い、染色体DNAを分画した。得られた染色体DNA画分からn−ブタノール抽出により臭化エチジウムを除去後、TE溶液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA)に対して一夜透析し、染色体DNAを得た。
(染色体ライブラリーのスクリーニング/配列の解析)
ゲノム配列の決定は、一般的に行われているボトムダウンアプローチに準じて行った。その概要は以下のとおりである。まず、単離されたDNAを断片化し、pUCなどのクローニングベクター中にクローニングした。次に、クローニングされた断片をショットガン配列決定を行って配列決定した。これにより400−500bpの断片の配列が決定された。この配列決定は、1Mbpあたりおよそ15000個行った。各々決定された配列をアセンブルしてコンティグと称する一群の配列が判明する。この後、コンティグの間のギャップ(物理的ギャップおよび配列ギャップ)をクローニングして、ギャップの配列を決定しギャップを埋めた。その後、塩基配列データの解析を行い、オープンリーディングフレームを同定しアノテーション(annotation)を行った。より詳細には以下のとおりに行った。
第一に、ゲノムライブラリーを構築した。ここでは、遺伝子配列による偏りを防ぐために、制限酵素を用いた部分消化法ではなく、物理的な切断を行った。この際、複数の長さのライブラリーを構築した。ここでは、2−3kbpの断片を含むプラスミドライブラリーおよび約20kbpのλファージライブラリーを構築した。
第二に、プラスミドライブラリーのショットガン配列決定を行った。配列決定は、Applied Biosystemsから市販される配列決定装置を用いた。ここで、配列決定は、400−500bpの塩基配列を約150000個/1Mbp得るように行った。同様に、λファージライブラリーの末端ショットガン配列決定をも行った。これで理論上はゲノム全長を6回以上配列決定する計算になる。
第三に、ショットガン配列決定によって得られた塩基配列データ(約2Mbpのゲノムに対して約4万個のデータ)をアセンブルしてギャップを埋める作業を行った。この際に、長い断片からなるλファージライブラリーの末端配列データを用いて、各領域の相対的位置および向きを決定した。この作業の後に得られたものは通常コンティグと呼ばれる配列である。本実施例では、多数のコンティグが得られた。その間の配列未決定領域(ギャップ)を埋める作業を行った。コンティグとコンティグとの間のギャップをまたぐような断片が同定されている場合、そのギャップは配列ギャップ(sequence gap)と呼び、まだそのような断片がクローニングされていない場合はそのギャップは、物理ギャップ(Physical gap)と呼ぶ。この物理ギャップを埋める作業は、LA−PCRなどの増幅および塩基配列決定などの操作によって行った。これにより、ほぼすべての配列データがひとつのコンティグ内に収まり、配列決定作業を終了した。
第四に、配列データの解析を行った。オープンリーディングフレーム(ORF)の同定およびそれらのアノテーションを行った。この作業では、Hidden Markovモデル(HMM)およびInterpolated Markovモデル(GLIMMER)などのプログラムを用いることによりORFの同定を行った。その後は、各々のORFのBLAST、BLASTXおよびFASTAなどの検索を行って機能を同定した。この後、遺伝学的および生化学的な解析を行った(Fraser C.M.,Res Microbiol.,151,79−84(2000);Fraser C.M.et al.,,Nature,406,799−803(2000);Nelson et al.,Nat Biotechnol.,18,1049−1054(2000);Kawarabayasi Y.et al.,DNA Res.,6,83−101,145−222(1999)などを参照)。
以上のようにして決定した核酸配列は配列番号1(配列番号1、342および723はプラス(センス)鎖、配列番号1087、1469および1838はマイナス(アンチセンス)鎖)に示される配列であった。
(各遺伝子の機能分析)
次いで、各遺伝子のアミノ酸配列をソフトウエアDNASIS、BLAST、およびCLUSTAL Wを使用して、EMBL、PDBなどのデータベースに登録されている公知のタンパク質のアミノ酸配列と比較した。この結果、種々のポリペプチドのアミノ酸配列との高い相同性が見出されたことから、それらの各遺伝子の機能が推定(infer)された(上記表2を参照)。
(実施例2:ターゲティング(ダブルクロスオーバー破壊))
(菌株および増殖条件)
T.kodakaraensis KOD1およびその誘導体は、リッチ増殖培地(ASW−YT)またはアミノ酸含有合成培地(ASW−AA)中で85℃で厳密な嫌気性条件下で培養した。ASW−YT培地は、人工海水を1.25倍に希釈し(ASW×0.8)たものに、5.0g/Lイーストエキストラクト、5.0g/Lトリプトン、および0.2g/L硫黄元素(pH6.6)を含む。ASWの組成は以下のとおりである:NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SQ4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸0.01g。ASW−AA培地は、0.8×ASWに5.0ml/L改変Wolfe微量鉱物(0.5g MnSO4・2H2O;0.1g CoCl2;0.1g ZnSO4;0.01g CuSO4・5H2O;0.01g AlK(SO4)2;0.01g H3BO3;および0.01g NaMoO4・2H2Oを1L中に含む)、5.0ml/Lのビタミン混合物(以下の文献を参照)、20種のアミノ酸(250mgシステイン・HCl;75mgアラニン;125mgアルギニン・HCl;100mgアスパラギン・H2O;50mgアスパラギン酸;50mgグルタミン、200mgグルタミン酸;200mgグリシン;100mgヒスチジン・HCl・H2O;100mgイソロイシン;100mgロイシン;100mgリジン・HCl;75mgメチオニン;75mgフェニルアラニン;125mgプロリン;75mgセリン;100mgスレオニン;75mgトリプトファン;100mgチロシン;および50mgバリンを1L中に含む)ならびに0.2g/L硫黄元素(pHはNaOHで6.9に調整した)を補充したものである(Robb,F.T.,and A.R.Place.1995.Media for Thermophiles,p.167−168.In F.T.Robb and A.R.Place(ed.)Archea:a laboratory manual−Thermophiles.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)。必要に応じて、5−FOA(和光純薬、大阪、日本)およびウラシル(興人、東京、日本)をASW−AA培地に、Robbに記載されるような濃度で添加した。トリプトファン栄養要求性を調べるために、トリプトファン欠損ASW−AA,ASW−AAW−を用いた。培地中の溶解酸素を減らすために、5.0%Na2S・9H2Oを、リザズリンナトリウム塩(1.0mg/L)の色がなくなるまで加えた。プレート培養の場合、1.0%(w/v)ゲルライト(Gelrite)(和光純薬)を加えて、培地を、硫黄元素および5.0%Na2S・9H2O溶液の代わりに2.0ml/Lポリスルフィド溶液(10gNa2S・9H2Oおよび3.0gの硫黄元素/15ml)で固化させた。細胞は、嫌気性のチャンバ(エスペック(Tabai Espec)大阪)中で85℃でインキュベートした。
DNA操作一般のために使用したE.coli株であるDH5αは、LB培地(Sambrook,J.,and D.Russel.2001.Molecular cloning:a laboratory manual,3rd edn.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)でルーチンで培養し、そして50μg/mlアンピシリンを必要に応じて補充した。
(UV照射での変異誘発および5−FOA耐性変異体の単離)
T.kodakaraensis KOD1は、2.0LのASW−AA液体培地で39時間にわたり培養した。定常期の細胞を、遠心分離(6,000×g、30分)で採集した。以下の手順を嫌気性チャンバにおいて嫌気的に行った。細胞を、60mlのASW中に再懸濁し(3/100容積)、そして懸濁物の一部(10ml)をペリルディッシュに入れた。攪拌しながら、その懸濁物を15W殺菌ランプから20cmの距離で適切な時間(0秒、30秒、60秒、90秒および120秒)UV照射した。アリコート(200μl)を、0.75%5−FOAを含むASW−AAプレート培地に広げ、ウラシル栄養要求性(Pyr−)変異体をドミナントスクリーニングした。得られた変異体の増殖を支持するために10μg/mlウラシルを含めた。この細胞を、85℃で5日間インキュベートした。生存細胞数を、細胞懸濁物を適切な希釈率で5−FOAを含まないASW−AAプレート培地に播種し、形成されるコロニーを計数することによって判定した。
5−FOA耐性コロニーを分離し、ASW−YT液体培地中で培養した。増殖した細胞を2日間ASW−AA液体培地中でインキュベートしてウラシルの持込を除き、さらに、5μg/mlウラシルを添加したかまたは添加しないASW−AA液体培地中に継代培養して、分離体のウラシルの栄養要求性を調べた。
(酵素アッセイ)
T.kodakaraensis KOD1およびその変異体株の無細胞抽出物を以下のように調製した。細胞を、ASW−YT液体培地中で20時間培養し、遠心分離で採取(6,000×g、30分)し、そして1/1000容積のTriton X−100を0.1%含む50mM Tris−HCl(pH7.5)中で溶解した。ボルテックスで10分間混合後、遠心分離(3,000×g、20分間)後の上清を無細胞抽出物として用いた。タンパク質濃度をBio−Rad Protein Assay System(Bio−Rad,Hercules,CA,USA)を用い、標準としてウシ血清アルブミンを用いて決定した。
オロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ(OMPdecase,PyrF)活性は、オロチジン−5’−モノホスフェート(OMP)のウリジン−5’−モノホスフェート(UMP)への変換に由来する285nmでの吸光度の減少(Δε285=1,380M−1cm−1)をモニターすることによって決定した(Beckwith,J.R.,A.B.Pardee,R.Austrian,and F.Jacob.1962.Coordination of the synthesis of the enzymes in the pyrimidine pathway of E.coli.J.Mol.Biol.5:618−634.)。アッセイ混合物は、総容量1ml中、100mM Tris−HCl(pH8.6)、1.5mM MgCl2、0.125mM OMP、および酵素溶液から構成される。キャップしたキュベット中でこの混合物を85℃で5分間予備インキュベートした後、この反応、酵素溶液を添加することによって開始し、そして10分間同じ温度でモニターした。
オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(OPRTase,PyrE)活性は、295nmでオロチン酸を分光光度学的に測定することによってアッセイした。pyrE+株からの酵素サンプルを測定するとき、反応産物OMPの内因性OMPデカーゼによる連続的な脱カルボキシル化を考慮しなければならない。OMPデカーゼ活性は、T.kodakaraensisにおけるOPRTアーゼ活性よりも高いことから、OPRTアーゼ活性は、3,670M−1cm−1のΔε295で性格に決定され得る。これは、オロチン酸からOMPを経てUMPへと変換されることに対応する。pyrF−株の場合、本発明者らは、2,520M−1cm−1のΔε295で開始基質からOMPへの変換をモニターした。この反応を、Tris−HCl(pH8.6),1.5mM MgCl2,0.125mMオロチン酸,無細胞抽出物および1.6mM 5−ホスホリボシルピロホスフェート(PRPP)を含む1ml混合物中で行った。このPRPPを含まないアッセイ混合物はキャップしたキュベット中にあり、85℃で10分間予備インキュベートし、そしてその反応を、PRPPの添加により開始した。A295における減少は、同じ温度で3分間にわたり測定した。
(DNA操作および配列決定)
一般的なDNA操作は、Sambrook and Russelに記載されるように行った(Sambrook,J.,and D.Russel.2001.Molecular cloning:a laboratory manual,3rd edn.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)。T.kodakaraensisのゲノムDNAは、上述のように単離した。PCRは、KOD−Plus−(東洋紡、大阪、日本)をDNAポリメラーゼとして用いて行った。PCRのために使用したプライマーの配列は、以下に示される。必要に応じてPCRによって増幅したDNAフラグメントは、T4キナーゼ(東洋紡)によってリン酸化した。制限酵素および改変酵素は、寶酒造(京都、日本)または東洋紡から購入した。アガロースゲル電気泳動後のDNAフラグメントを回収し、そしてGFX PCR DNAおよびGel Band Purification Kit(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)で精製した。プラスミドDNAは、Qiagen Plasmid Kits(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて単離した。DNA配列決定は、ABI PRISMキットおよびモデル3100キャピラリー配列決定機(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)を用いて行った。
(pUDTおよびpUDT2の構築)
2つの破壊ベクターpUDT1(配列番号2158)およびpUDT2(配列番号2159)を、T.kodakaraensisにおける、シングルクロスオーバー事象およびダブルクロスオーバー事象のそれぞれの相同組み換えのために構築した。構築は以下のとおりである。Tk−pyrFを含むDNAフラグメント(676bp)を以下のプライマーTK1−DUR/TK1−DUFを用いてT.kodakaraensis KOD1ゲノムDNAから増幅した:
TK1−DUR/TK1−DUF:5’−GGGCATATGGAGGAGAGCAGGCTCATTCTGGCG−3’(配列番号2160)/5’−CTGAGGGGGTGTTTGACTTTCAA−3’(配列番号2161)、ここで下線付き配列は、NdeI部位を示す。
推定プロモーター領域(130bp)は、プライマーTK2−DPR/TK2−DPFで増幅した:
TK2−DPR/TK2−DPF:5’−GGGCTGCAGCCGCAACGCGCATTTTGCTCACCCGAA AA−3’(配列番号2162)/5’−GGGCATATGCATCACCTTTTTAACGGCCCTCTCCAAGAG−3’(配列番号2163)、ここで下線付き配列は、PstIおよびNdeI部位をそれぞれ表す。
両方のフラグメントを、適切なプロモーターpyrF方向でpUC118中にサブクローニングした。得られたプラスミドを、pUD(3,944)と命名した。Tk−trpEの短縮フラグメント(788bp)を、以下のプライマーTK3−DTR/TK3−DTFを用いて増幅した:
TK3−DTR/TK3−DTF:5’−GGGGCATGCGGTGGCTT CGTTGGCTACGTCTCCTACG−3’(配列番号2164)/5’−GGGCTGCAGTTCGGGGCTCCGGTTAGTGTTCCCGCCG−3’(配列番号2165)、下線付き配列は、SphIおよびPstIの部位をそれぞれ示す。ついで、これを、pUDとSphIおよびPst部位で連結して、pUDT1を(4732bp)得た。
pUDT2を構築するために、Tk−trpEおよびフランキング領域を含むフラグメント(2223bp)を以下のプライマーTK4−DT2R/TK4−DT2Fを用いて増幅した:TK4−DT2R/TK4−DT2F:5’−GGGGTCGACCGGG TCTGGCGAGGGCAATGAGGGAC−3’(配列番号2166)/5’−GGGGAATTCGGTTATAGTGTTCGGAACGACCTTCACTC−3’(配列番号2167)、下線付き配列は、それぞれSalI部位およびEcoRI部位を示す)。これをついで、pUC119中にSalIおよびEcorI部位でサブクローニングした。得られたプラスミドは、pUT4(5,340bp)と命名した。pUDはPvuIIで消化し、ついでpyrFおよびその推定プロモーター領域(1104bp)を含むフラグメントを単離した。pUDT2(6,012bp)は、pUT4内のこの単離されたフラグメントを、Tk−trpE中の平滑SacI部位に挿入することによって得た。
T.kodakaraensisにおける相同組換えのための直鎖状DNAフラグメントは、PCRでpUDT2をテンプレートとして調製し、そしてアガロースゲル電気泳動後に精製した。
(T.kodakaraensisの形質転換)Methanococcus voltaePSのための塩化カルシウム法(Bertani,G.,and L.Baresi.1987.Genetic transformation in the methanogen Methanococcus voltae PS.J.Bacteriol.169:2730−2738.)を、T.kodakaraensisの形質転換のために改変した。T.kodakaraensis KU25は、ASW−YT液体培地で12時間培養し、そして細胞を、3mlブロスから対数増殖期後期で採取し(17,000×g、5分)、200μlの形質転換緩衝液(カルシウムカチオンとリン酸基との間の沈降現象を避けるためにKH2PO4を含まない0.8×改変ASW中の80mM CaCl2)(1/15容積)中に再懸濁した。これを、30分間氷上で維持した。ついで、3μgのDNAをTE緩衝液に溶解し、これをその懸濁液に加えた。そして細胞を氷上で1時間インキュベートし、続いて45秒間85℃で熱ショックを与え、さらに、氷上で10分間インキュベートした。コントロール実験として、等容積のTE緩衝液を、DNA溶液のかわりに細胞に加えた。処理した細胞を、20mlのASW−AA液体培地中で、ウラシルの非存在下で2世代培養してPyr+形質転換体をスクリーニングしそして濃縮した。ついで、この細胞を、ウラシルを含まないASW−AAプレート培養物中に広げ、そして85℃で5−8日インキュベートした。得られたPyr+株は、コロニーPCRおよびDIG−DNA標識および検出キット(Boehringer Mannheim,Mannheim,ドイツ)を用いたサザンハイブリダイゼーションを行って分析した。
(実験手順)
ダブルターゲティング破壊では、環状DNA分子を用いてダブルクロスオーバー破壊を用いた遺伝子のターゲティング破壊を行った。その模式図を図1に示す。
(破壊ベクターの作製)
(KOD1の調製)
上述のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
上述のように形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、相同的組換えが起こったPyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株を、ASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
反応混合物:2.5ユニット KODポリメラーゼ(東洋紡)0.5μl;10×KODポリメラーゼ緩衝液(東洋紡)5.0μl;25mM MgCl2 4.0μl;dNTP混合物 4.0μl;20pmol/μlプライマー10.5μl;20pmol/μlプライマー2 0.5μl;滅菌水 37.0μl;細胞懸濁液0.5μl。この反応混合物を以下の反応条件で行った:96℃2分間;96℃30秒、55℃3秒、72℃30秒を30サイクル;72℃を3分間。
コロニーPCRおよびサザンブロット分析を行ったところ、以下の結果が得られた。
T/Cは、目的の形質転換体/コロニーPCRにより検討したクローン数(すなわち、PyrF+株)を意味する。
上記結果のように、環状分子を用いたダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は非常に高率で進むことがわかった。
(実施例3:ダブルクロスオーバー破壊の例:線状DNAを用いた場合)
次に、線状DNA分子を用いたダブルクロスオーバー破壊の例を示す。
(破壊ベクターの作製)
線状の破壊ベクターとして図2に示すような線状DNA分子Linear DNAを調製した。Linear DNAは、実施例2において作製したpUDT2をテンプレートとして、適切なプライマーを用いて増幅することにより得た。
(KOD1の調製)
実施例2に記載のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
調製したKOD−1株を塩化カルシウム法によりLinear DNAを用いて形質転換した。形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、相同的組換えが起こったPyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株をASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
コロニーPCRおよびサザンブロットは上述のように行った。
このように分析した結果、以下の結果が得られた。
T/Cは、目的の形質転換体/コロニーPCRにより検討したクローン数(すなわち、PyrF+株)を意味する。
上記結果のように、線状分子を用いたダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は環状分子に比べて低率ではあるが、それでも十分に高率で進むことがわかった。環状分子より低い原因としては、宿主由来のヌクレアーゼによる切断などが考えられる。
また、上記結果に続き、線状DNAの場合に好ましい長さを調べたところ、両末端にそれぞれ少なくとも500塩基ずつあれば、約5%以上の確率でターゲティング破壊が進み、両末端に少なくとも1000塩基ずつあれば、約20%以上の確率でターゲティング破壊が進んでいたことも確認した。従って、線状分子を使用した場合のターゲティング破壊では、少なくとも500塩基、好ましくは少なくとも1000塩基の核酸配列が両端に必要であることがわかる。
(実施例4:ダブルクロスオーバー破壊の例:他の遺伝子)
上述の遺伝子以外の遺伝子(例えば、配列番号395(トリプトファンシンターゼ)をコードする配列)を選択してトリプトファン栄養要求性をもとに同様の実験を行ったところ、同じようなターゲティング破壊を行うことができた。
(実施例5:シングルクロスオーバー破壊)
次にシングルクロスオーバー破壊システムを用い環状分子を用いた場合の遺伝子のターゲティング破壊を行った。その模式図を図3に示す。pUDT1(配列番号2158)は上述のように作製した。
(KOD1の調製)
実施例2に記載のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
調製したKOD−1株を塩化カルシウム法により形質転換した。形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、PyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株を、ASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
コロニーPCRは、およびサザンブロット分析は、上述のように行った。。
このように分析した結果、以下の結果が得られた。
T/Cは、目的の形質転換体/コロニーPCRにより検討したクローン数(すなわち、PyrF+株)を意味する。
上記結果のように、環状分子を用いたシングルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は、ダブルクロスオーバによる遺伝子ターゲティング破壊よりもはるかに低い確率で進むことがわかった。シングルクロスオーバーによる効率がダブルクロスオーバーによる効率よりも低い理由としては、宿主由来の制限酵素によるpUDT1の切断などが考えられる。
このように、本発明は、シングル破壊の系でも機能することが実証された。また、線状分子を用いた場合でも、シングル破壊の系は環状分子よりはるかに低率であるが機能することが判明した。
(実施例6:シングルクロスオーバー破壊の例:他の遺伝子)
実施例4と同様の遺伝子をシングルクロスオーバー破壊で行ったところ、実施例5と同様に効率はよくないが破壊することができることが判明した。
(実施例7:DNAリガーゼ遺伝子の発現)
ATP依存性DNAリガーゼをEscherichia coli内で発現させるためには、以下のようなプロトコルを使用した。本発明において同定されたDNAリガーゼ(例えば、配列番号1131)の配列を含む、上記ファージクローンのフラグメントを鋳型として2種類のDNAリガーゼコード領域のフラグメントを得、これをpUC18に挿入した。挿入フラグメントのヌクレオチド配列を確認し、このプラスミドからDNAリガーゼを含むフラグメントをプラスミドpET21a(Novagen)に挿入して、プラスミドを構築した。発現および活性の確認は以下のように実施した。
上記のプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換する。出現するアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.3になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続する。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで70℃で10分間熱処理する。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより試料を得た。この試料をさらに周知の種々の精製方法またはその組み合わせを使用してさらに精製し得る。
酵素活性は、λファージDNAのHindIII消化物に得られた試料を作用させた後、反応物をアガロースゲル電気泳動し、DNAフラグメントの移動度の変化を観察する方法、または32Pで標識したオリゴdTに得られた試料を作用させ、未反応の32Pをアルカリホスファターゼで除去し、次いで放射活性を測定する方法などによって測定される(Rossi,Rら,(1997)Nucleic Acids Research,25(11):2106−2113;Odell,M.ら,(1996)Virology 221:120−129;Sriskanda,V.ら,(1998)Nucleic Acids Research,26(20):4618−4625;Takahashi,M.ら,(1984)The Journal of Biological Chemistry,259(16):10041−10047)を参照のこと)。
(実施例8:蟻酸脱水素酵素の発現および確認)
蟻酸脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)は、蟻酸イオンをCO2に酸化する反応を触媒する酵素である。その反応は式HCOO−+NAD+⇔CO2+NADHで表される。ここで、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド;還元型はNADH)は、酸化還元酵素反応に関与する補酵素の1つである。
蟻酸脱水素酵素活性は、例えば、電子受容体としてNADP+(340nm、ε=6.22×103)、メチルビオロゲン(600nm、ε=1.13×104)、またはベンジルビオロゲン(605nm、ε=1.47×104)を用いて測定される(Andreesen,J.R.ら(1974)J.Bacteriol.,120:6−14)。
公知の蟻酸脱水素酵素には、αサブユニットのみからなるホモ二量体、αおよびβサブユニットからなるヘテロ二量体および四量体、ならびにα、β、およびγサブユニットからなる十二量体などがある。
本発明の蟻酸脱水素酵素は単一または複数のサブユニットからなり得る。好ましくは、本発明の蟻酸脱水素酵素は2種類以上のサブユニットからなる。
(耐熱性蟻酸脱水素酵素の発現)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる蟻酸脱水素酵素(配列番号305、673、1050および1051)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、プラスミドpET21a/fdhABを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を蟻酸脱水素酵素活性を常法(Andreesen,J.R.ら(1974)J.Bacteriol.,120:6−14)に従って測定したところ、蟻酸脱水素酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例9:超耐熱性β−グリコシダーゼ)
β−グリコシダーゼは、β−グリコシド結合を加水分解する酵素群の総称である。β−グリコシダーゼには例えば、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトシダーゼなどが含まれる。
β−グリコシダーゼの一種であるβ−ガラクトシダーゼは、β−D−ガラクトシドを加水分解してD−ガラクトースを生成する酵素である。β−ガラクトシダーゼのラクトース(グルコース−β−D−ガラクトシド)をグルコースとガラクトースとに分解する能力は、牛乳中のラクトースを処理して低ラクトース乳を生産するために利用されている。この目的のためには、酵素を牛乳中に添加する方法に加えて、固定化酵素の利用も検討されている。一般に、固定化酵素として利用される酵素は、使用される反応条件(pH、温度など)において高い活性を示し、そして構造的に安定性であることが好ましい。
本明細書では、β−ガラクトシダーゼは、β−D−ガラクトシドを加水分解してD−ガラクトースを生成する酵素であり、系統名β−D−ガラクトシドガラクトヒドロラーゼを有するものをいう。本発明のβ−グリコシダーゼは、β−ガラクトシダーゼ活性に加えて、β−グルコシダーゼ、β−マンノシダーゼおよび/またはβ−キシロシダーゼ活性を有し得る。本発明のβ−グリコシダーゼは、オリゴ糖を加水分解する活性に加えて転移活性を有し得る。
(β−グリコシダーゼの発現)
上述の実施例と同様の方法を用いてβ−グリコシダーゼ(配列番号1122)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.5になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで85℃30分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を濃縮した後、これをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された分子量のバンドが検出され、このバンドはIPTGの誘導後の時間とともに増加した。
上記の熱処理した試料を使用して本発明のβ−グリコシダーゼの酵素化学的性質を検討した。酵素活性の測定方法については、Pisani,F.M.ら、Eur.J.Biochem.,187,321−328(1990)を参照のこと。1分間当たり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素活性を1Uとした。
本発明のβ−グリコシダーゼの至適pHを調べた。反応は、酵素1.5μg/mlを含む各種緩衝液中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として75℃で実施した。使用した緩衝液はリン酸ナトリウム緩衝液(pH6〜8)、クエン酸緩衝液(pH4〜6)、ホウ酸緩衝液(pH8〜9)、グリシン緩衝液(pH8.5〜10)であった(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが約6.5に至適pHを有することを示す。
本発明のβ−グリコシダーゼの至適温度を調べた。反応は、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として各種温度で実施した(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが約100℃に至適温度を有することを示す。また、この結果を用いて、アレニウスプロットを実施したところ、75℃(1/T*10−3=2.87)の付近で直線の傾きが変化していることが判明した。式k=Ae−E/RT(ここで、kは反応速度定数、Eは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度、Aは頻度因子である)にこの結果を当てはめると、25〜75℃の範囲ではE=53.4kJ/molであり、そして75〜100℃の範囲ではE=17.7kJ/molであると算出された。
本発明のβ−グリコシダーゼの熱安定性を調べた。上記試料を90℃または100℃で各種時間インキュベートした後、酵素活性を、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として80℃で測定した(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが、90℃および100℃において、それぞれ約18時間および約1時間を有することを示す。同様の実験を110℃において実施したところ、この酵素は約15分間で失活した。
本発明のβ−グリコシダーゼの基質特異性を調べた。2.8mMの各種基質に対する活性を、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で80℃で測定したところ、本発明のβ−グリコシダーゼが、高いβ−グルコシダーゼ活性を有し、そしてβ−マンノシダーゼ、β−グルコシダーゼおよびβ−キシロシダーゼ活性も有することを示す。
これら4つの酵素としての反応速度定数を、3.0μg/mlの酵素の、0.28mM〜5.6mMの濃度の基質に対する活性を測定して得たところ、基質としての各々2mMのオリゴ糖(β−ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオースおよびセロペンタオース)ならびに酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を、80℃で7時間インキュベートした。次いでこの反応液を薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた(データ示さず)。β−ラクトース以外のレーンには、グルコースのスポットが観察された。4糖であるセロテトラオースは3糖および1糖にそして5糖であるセロペンタオースは4糖および1糖にそれぞれ分解された。この結果は本発明のβ−グリコシダーゼがエキソ型の加水分解活性を有することを示す。
各々5mMのセロビオース、セロトリオース、セロテトラオースおよびセロペンタオースならびに酵素3μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を、80℃で4時間インキュベートした。また同様の反応系においてセロテトラオースを0、1、2、4および7時間インキュベートした。次いでこの反応液を薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた。セロビオース、セロトリオース、セロテトラオースならびにセロペンタオースはそれぞれ2糖、3糖、4糖および5糖であるが、基質としてのこれらの糖より大きなスポットが反応後に観察された。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼがエキソ型の糖分解活性に加えて糖転移活性も有することを示す(ただし、この反応条件においては、反応時間とともにグルコースおよびセロビオースが増加し、このことは、この条件下では転移反応よりも加水分解が経時的に進行したことを示す)。すなわち、本発明のβ−グリコシダーゼは、セロビオースがマンノースにβ−結合したオリゴ糖など、任意の組み合わせのβ−結合を有するオリゴ糖の合成に応用され得る。
(実施例10:超耐熱性キチナーゼ)
キチンはムコ多糖の一種であり、β−ポリ−N−アセチルグルコサミンの構造を有する。キチンは、節足動物、軟体動物、甲殻類、昆虫類、菌類、細菌などの細胞壁物質として天然に多量に存在するキチナーゼはキチンを加水分解する酵素であり、カタツムリの胃液、昆虫の脱皮液、果実の果皮、微生物などにおいて見出されている。この酵素は、キチンのβ−1,4結合を加水分解してN−アセチルグルコサミンを生成する酵素であり、系統名ポリ(1,4−β−(2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコシド))グリカノヒドロラーゼを有する。
キチナーゼは、上記のように自然界に多量に存在するキチンを、微生物などにより利用可能な形態に分解する目的において工業的に有用であり得る。また、キチナーゼは、植物においては、本来病原菌に対する防御機構における役割を果たしていると考えられているので、この酵素をコードする遺伝子を導入することによる、耐病性植物の開発が試みられている。
(超耐熱性キチナーゼの発現)
上述の実施例に記載されるように、超耐熱性キチナーゼ(配列番号991)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.3になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで70℃10分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された約130kDaのバンドが検出された。
上記の熱処理した試料を、硫安沈澱(40%飽和)、陰イオン交換カラム(HiTrapQ)、ゲル濾過カラム、および陰イオン交換カラム(MonoQ)を使用して、SDS−PAGEで単一バンドとして観察されるまで精製した。
酵素活性を「キチン・キトサン実験マニュアル」(キチン・キトサン研究会編、技報堂出版)に記載の方法に従ってコロイダルキチンを基質として測定した。1分間当たり1μmolのN−アセチルグルコサミンに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとした。
基質となるコロイダルキチンを以下の手順で調製した。キチン(和光純薬工業)10gを、85%リン酸500mlに溶解して−4℃で24時間撹拌した。この粘ちょうな液体を、10倍量の脱イオン水に撹拌しながら添加した。遠心分離によって沈澱を得、これを脱イオン水でpHが5.0以上になるまで繰り返し洗浄した。NaOHでpHを7.0に調整し、次いでさらに1回脱イオン水で洗浄した。これを少量の水に溶解し、オートクレーブした。
本発明の超耐熱性キチナーゼの至適温度を、上記精製酵素の活性を、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中で、60分間、種々の温度で測定することにより決定した。反応は氷冷により停止した(データ示さず)。本発明の超耐熱性キチナーゼは、約80℃に至適温度を有することが示された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの至適pHを、上記精製酵素の活性を、80℃で、60分間、以下の緩衝液を使用して種々のpHで測定することにより決定した:50mMクエン酸水素2ナトリウム−HCl(pH2.5〜4.0);50mM酢酸ナトリウム(pH4.0〜5.5);50mM MES−NaOH(pH5.5〜7.0);50mM Tris−HCl(pH7.0〜9.0);50mMグリシン−NaOH(pH9.0〜10.0)。反応は氷冷により停止した。結果を図5に示す。本発明の超耐熱性キチナーゼは、約4.0に至適pHを有することが示された。さらに、pH8.0付近においても、ピークが観察された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの活性に対する塩の影響を、上記精製酵素の活性を、種々の濃度の塩(NaClまたはKCl)を添加した50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中で、120分間、80℃で測定することにより検討した。反応は氷冷により停止した(データ示さず)。本発明の超耐熱性キチナーゼの活性は、塩の添加とともに上昇し、特にKClの添加により約2倍まで上昇した。
本発明の超耐熱性キチナーゼのオリゴ糖およびコロイダルキチンに対する作用を検討した。使用したオリゴ糖は、N−アセチル−D−グルコサミン(G1)、ジ−N−アセチル−キトビオース(G2)、トリ−N−アセチル−キトトリオース(G3)、テトラ−N−アセチル−キトテトラオース(G4)、ペンタ−N−アセチル−キトペンタオース(G5)、およびヘキサ−N−アセチル−キトヘキサオース(G6)である。0.7mgの各々のオリゴ糖、70mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、200mM KCl、および精製酵素(G1〜G3については0.9μg、G4〜G6については1.8μg)を含む50μlの反応液を、80℃でインキュベートし、そして0、5、15、30、60、または120分でサンプリングした。コロイダルキチンについては、0.16mgのコロイダルキチン、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)、および0.6μgの精製酵素を含む1mlの反応液を、80℃でインキュベートし、そして1.5、3.0、および4.5時間でサンプリングし、遠心分離により20倍濃縮した。次いで、これらを、以下のようにTLCに供した。Kieselgel 60 silica gel plate(Merck社)にサンプリングした液をスポットし、展開液(n−ブタノール:メタノール:25%アンモニア溶液:水=5:4:2:1)を使用して展開した。展開後、プレートを乾燥させ、これに発色試薬(アニリン4ml、ジフェニルアミン4g、アセトン200ml、85%リン酸30mlを混合して調製した)を噴霧し、そしてこれを180℃で約5分間加熱して、発色させた(データ示さず)。
これらの結果から、本発明の超耐熱性キチナーゼは、二糖以下の基質には分解作用を示さず、そしてキチンを基質とした場合に、主要生成物として二糖のキトビオースを生成することが示された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの4−メチルウンベリフェロン(4−MU)オリゴ糖に対する作用を検討した。GlcNAc−4−MU、GlcNAc2−4−MU、またはGlcNAc3−4−MU(0.01mM)10μl、100mM酢酸緩衝液(pH5.0)990μl、および精製酵素20μl(18ng)を80℃でインキュベートした。0、5、15、30、45、60、または180分で100μlの反応液をサンプリングし、これを900μlの氷冷100mMグリシン−NaOH(pH11)に添加して反応を停止した。この試料の350nmにおける励起光および440nmにおける蛍光を分光蛍光光度計を使用して測定した(データ示さず)。この結果、各々の基質に対する反応速度を決定した。
二糖の誘導体に対する反応速度と、三糖の誘導体に対する反応速度とを比較することによって、酵素の切断様式がエンド型であるかまたはエキソ型であるかを予測し得ることが報告されており(Robbins,P.W.,J.Biol.Chem.,263(1),443−447(1988))、ここで二糖の誘導体に対する反応速度がより大きい場合には、その酵素がエキソ型であると予測され、一方三糖の誘導体に対する反応速度がより大きい場合には、その酵素がエンド型であると予測される。この記載に基づけば、本発明の超耐熱性キチナーゼは、エンド型であると判断される。
本発明の超耐熱性キチナーゼの各々のドメインが有する機能を、種々の欠失変異体を作製することにより検討した。欠失変異体Pk−ChiAΔ1(第1のBacillus circulansキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを含む)、Pk−ChiAΔ2(第4のStreptomyces erythraeusキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを含む)、Pk−ChiAΔ3(第1のBacillus circulansキチナーゼ相同領域を含む)、ならびにPk−ChiAΔ4(第4のStreptomyces erythraeusキチナーゼ相同領域を含む)を以前の報告)(特開平11−313688)のように作製した。
各々のプラスミドを保有するE.coli形質転換株の培養物から、70℃10分間の熱処理によって、粗酵素液を得た。この粗酵素液を、コロイダルキチンプレート(0.5%コロイダルキチン、1.5%寒天)にスポットし、そしてこれをインキュベートすることによって、その活性を検討した(データ示さず)。第1のキチナーゼ相同領域のみを有する欠失変異体はわずかな活性を示し、第4のキチナーゼ相同領域のみを有する欠失変異体はほとんど活性を示さなかった。いずれかのキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを有する欠失変異体は、いずれも高い活性を示した。
欠失変異体Pk−ChiAΔ2およびPk−ChiAΔ4の粗酵素液30μlを、30μlの1%コロイダルキチンと混合し、そして70℃で1時間インキュベートした。次いで、反応液を遠心分離し、上清、およびコロイダルキチンを含む沈澱を得、沈澱については沈澱を50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)で2回洗浄し、そしてこれらをSDS−PAGEに供した(データ示さず)。これらの結果は、2つのセルロース結合ドメインがキチンとの結合およびキチナーゼ活性に必要とされることを示す。
(実施例11:超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ)
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、光合成反応を触媒する酵素であり、植物の葉緑体中および光合成能を有する微生物などに存在する。高等植物などのリブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、大サブユニット8個および小サブユニット8個からなる巨大分子であり(タイプI)、植物においては葉の主要な可溶性タンパク質である。一方、細菌などの微生物のリブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、小サブユニットのみからなる(タイプII)。
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、植物の分類上のマーカーとして利用されており、例えば、細胞融合における細胞のマーカーとして利用されている。さらに地球環境の改善の観点からは、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ遺伝子を改変して、大気中のCO2の固定化能を上昇させた植物を育種するなどの試みがなされようとしている。同様に光合成細菌の育種または光合成能を有するデバイスの開発なども意図され得る。このような目的において、より高い酵素活性を有し、かつ構造的に安定なリブロースビスリン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子が有用である。
本明細書において、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼとは、リブロースリン酸にCO2を付加して2分子の3−ホスホグリセリン酸を生成する酵素をいう。さらにリブロースビスリン酸カルボキシラーゼはO2存在下において、リブロースリン酸にO2を付加して2−ホスホグリコール酸および3−ホスホグリセリン酸を生成する活性(オキシゲナーゼ活性)を有する。
(超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの発現)
上述の実施例において記載される方法に従って、PCR法を用いて超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ(配列番号338)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.5になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、100mMビシン/KOH(pH8.3)/10mM MgCl2中で超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで85℃30分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を濃縮した後、これをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された分子量のバンドが検出され、このバンドはIPTGの誘導後の時間とともに増加した(データ示さず)。
上記の熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を、陰イオン交換カラムResource Q(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、およびゲル濾過カラムSuperdex 200 HR 10/30(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を用いてさらに精製し、SDS−PAGEにより単一バンドであることを確認した(データ示さず)。
精製は、AKTA explorer 10S(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を使用して実施した。陰イオン交換カラムについては、分離を、100mMビシン/KOH(pH8.3)/10mM MgCl2の緩衝液に対する、0〜1.0M NaClのグラジエントを使用して実施した。ゲル濾過については、50mMリン酸ナトリウム/0.15M NaCl緩衝液を使用した。
ゲル濾過を使用した解析によって、発現された酵素は、ラージサブユニットのみの8量体を形成していることが示唆された。
上記の精製した試料のカルボキシラーゼ活性を、D−リブロース1,5−ビスホスフェート(RuBP)(Sigma)を基質として、Uemura,K.ら、Plant Cell Physiol.,37(3),325−331(1996)に記載の方法に従って測定した。
まず、本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの至適pHを調べた。反応は、クエン酸緩衝液(pH5.6)、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.3)、ビシン緩衝液(pH7.3、7.8、8.0もしくは8.3)、またはグリシン緩衝液(pH9.1もしくは10.1)および10mM MgCl2を含有する緩衝液中で30mM RuBPを基質として各種温度で実施し、1分間当たり1mg当たり1μmolのCO2を固定する活性を1Uとした。pH8.3における活性に対する割合としての結果を表した。この結果は、本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼが約8.3の至適pHを有することを示す。
本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの至適温度を調べた。反応は、100mMビシン−KOH(pH8.3)および10mM MgCl2を含有する緩衝液中で30mM RuBPを基質として各種温度で実施した(データ示さず)。本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは約90℃に至適温度を有することが示された。
本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの耐熱性を調べた。精製酵素を80℃および100℃で種々の時間インキュベートした後の残存活性を測定した(データ示さず)。本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは80℃において約15時間の半減期を有することが示された。
本発明の超耐熱性リブロースリン酸カルボキシラーゼのカルボキシラーゼ活性およびオキシゲナーゼ活性を50℃〜90℃で測定した。さらに、カルボキシラーゼ活性/オキシゲナーゼ活性比であるτ値を算出した(Ezakiら、J.Biol.Chem.(J Biol Chem.1999 Feb 19;274(8):5078−82)を参照のこと)。
大気中の二酸化炭素濃度の上昇から、地球温暖化などの環境問題が生じている。この問題の解決策として、炭酸固定反応を触媒するリブロースリン酸カルボキシラーゼが注目されている。ここで、大気中の酸素濃度対二酸化炭素濃度の比率は約20:0.03であり、酸素が圧倒的に多い。従って、上記のような目的のためには、カルボキシラーゼ反応に対する高い特異性、すなわち大きなτ値が必要とされる。KOD−1株由来の酵素は、従来のタイプIIの酵素のτ値(約30〜200)およびタイプIの酵素のτ値(約10)に比較して、高いτ値を有しているので、より効率的な炭酸固定への応用が期待される。
(実施例12:フルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ(配列番号1275)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、フルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例13:グリセロールキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグリセロールキナーゼ(配列番号1646)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例14:グルタメートデヒドロゲナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタメートデヒドロゲナーゼ(配列番号1239および1637)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例15:ピルベートキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるピルベートキナーゼ(配列番号1776)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例16:エノラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエノラーゼ(配列番号681)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例17:フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフルクトース1,6−ビスホスファターゼ(配列番号1488)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例18:ヒドロゲナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒドロゲナーゼ(各サブユニットは、配列番号1141、1142、1502および1503)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例19:β−グリコシダーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるβ−グリコシダーゼ(配列番号990)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例20:α−アミラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるα−アミラーゼ(配列番号268)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例21:デアセチラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるデアセチラーゼ(配列番号1190)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例22:シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(配列番号1068)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例23:4−α−D−グルカノトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる4−α−D−グルカノトランスフェラーゼ(配列番号1185)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例24:DNAポリメラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるDNAポリメラーゼ(配列番号2、93、379、648、649、743、1386、1740、1830)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、上記おのおのの配列について酵素活性が確認された。また、この酵素は、上記おのおのの配列について90℃に至適温度を有していた。
(実施例25:ホーミングエンドヌクレアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるホーミングエンドヌクレアーゼ(配列番号2)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のエンドヌクレアーゼアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例26:ヒストン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒストン(配列番号173、1470、1962など)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のヒストンキナーゼを用いた方法に従って測定したところ、基質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例27:ヒストンA&B)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒストンA&B(配列番号1470、1962)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のヒストンキナーゼを用いた方法に従って測定したところ、基質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例28:Recタンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるRecタンパク質(配列番号1106)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質としてMethods in Enzymology 262(1995)に記載される方法にしたがって測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例29:O6−メチルグアニン DNAメチルトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるO6−メチルグアニン DNAメチルトランスフェラーゼ(配列番号1034)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液をMethods in Enzymology 262(1995)に記載されるアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例30:PCNA)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるPCNA(proliferating Cell Nuclear Antigen;増殖性細胞核抗原)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を、Methods in Enzymology 262(1995)に記載されるアッセイに準じた方法に従って測定したところ、この粗タンパク質が標記タンパク質であることが確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例31:インドールピルベートフェレドキシンオキシドレダクターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるインドールピルベートフェレドキシンオキシドレダクターゼ(配列番号245、291、658、659、660、661、704、941、1036、1037、1295、1297、1338、1683、1685、1686、1725、1827、2012、2147)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例32:グルタミンシンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタミンシンセターゼ(配列番号627)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例33:アントラニレートホスホリボシルトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアントラニレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(配列番号394、1767)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0,1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例34:コビリン酸シンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるコビリン酸シンターゼ(配列番号137、1904)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をMethods in Enzymology,Acadmic Pressに記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例35:ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(配列番号44)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例36:コバラミンシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるコバラミンシンターゼ(配列番号181、910、1720、1973)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をMethods in Enzymology,Acadmic Pressに記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例37:インドール−3−グリセロール−ホスフェートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるインドール−3−グリセロール−ホスフェートシンターゼ(配列番号772)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例38:トリプトファンシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるトリプトファンシンターゼ(配列番号395、774、954、2032)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をそれぞれについて丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、それぞれの酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例39:リボースホスフェートピロホスホキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるリボースホスフェートピロホスホキナーゼ(配列番号701)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例40:グルタメートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタメートシンターゼ(配列番号1578)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例41:オロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるオロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ(配列番号1096)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例42:アントラニレートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアントラニレートシンターゼ(配列番号43および773)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例43:アスパルチル−tRNA−シンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアスパルチル−tRNA−シンセターゼ(配列番号808)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例44:フェニルアラニル−tRNA−シンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフェニルアラニル−tRNA−シンセターゼ(配列番号506および878)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例45:シャペロニン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるシャペロニンA(配列番号1368)およびシャペロニンB(配列番号721)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をFrydman,J.et al.(1994)Nature 370,111.に記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例46:TATA結合タンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるTATA結合タンパク質(配列番号31)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をMethods in Enzymology,Academic Pressに記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例47:TBP相互作用タンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるTBP相互作用タンパク質(配列番号1289)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をMethods in Enzymology,Academic Pressに記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例48:RNアーゼHII)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるRNアーゼHII(配列番号856)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例49:ヒドロゲナーゼ成熟因子)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒドロゲナーゼ成熟因子(配列番号1144、1154、1156、1516、1518、1519、1869および1871)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例50:Lonプロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるLonプロテアーゼ(配列番号929)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例51:チオールプロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるチオールプロテアーゼをEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例52:フラゲリン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフラゲリン(配列番号11、350、351、727および728)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をAldridge P,Hughes KT.,Curr Opin Microbiol.2002 Apr;5(2):160−5またはそれに記載される文献に示される方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例53:スブチリシン様プロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるスブチリシン様プロテアーゼ(配列番号979)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例54:細胞分裂制御タンパク質A)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる細胞分裂制御タンパク質A(配列番号1369)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラネミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液を用いて細胞分裂制御の活性を確認したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例55:エンドヌクレアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエンドヌクレアーゼ(配列番号547、697、900、1450、1702、1716、1731、2010)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のエンドヌクレアーゼアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例56:フェレドキシン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフェレドキシン(配列番号253)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質液を丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例57:エキソ−β−D−グルコサミニダーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエキソ−β−D−グルコサミニダーゼ(配列番号1902)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質液を丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例58:他の推定機能の確認)
上記実施例において生物学的機能が実証された遺伝子産物以外のものについて、本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる遺伝子産物をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施する。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得る。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換する。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続する。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得る。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とする。
この粗タンパク質液を、発現させたタンパク質の表2に記載の推定機能について、丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)またはMethods in Enzymologyシリーズ、Academic Pressに記載の方法に従って測定する。アッセイ後活性が確認される。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有することが確認される。
(実施例59:生体分子チップ−DNAチップ)
次に、生体分子チップの作製例を示す。この実施例では、配列の異なるDNAを基板上に配列し、固定化する方法を述べる。
本発明の特定の配列のDNA断片の集合体を、ドット形状に基板に固定されたDNAスポットとして固定する。基板は、通常ガラスを用いるがプラスチックでもよい。形状は、DNAチップのような四角形でもよいし、円形でもよい。DNAドットは各々異なる本発明の遺伝子をコードする任意のDNAを含み、基板とは固定化されている。DNAドットの大きさは、マイクロアレイの場合は直径100〜200μm、DNAチップの場合は、10〜30μmである。
次に、各々のDNAスポットの形成法を述べる。例えば、目的のDNA溶液を、ピン法、インクジェット方式等を用いてDNAの基板上に配置する。
これによって製造されたDNAチップの調製例を図7に示す。
(実施例60:生体分子チップ−プロテインチップ)
次に、生体分子チップの作製例を示す。この実施例では、配列の異なるプロテインを基板上に配列し、固定化する方法を述べる。
本発明の特定の配列のプロテイン断片の集合体を、ドット形状に基板に固定されたプロテインスポットとして固定する。基板は、通常ガラスを用いるがプラスチックでもよい。形状は、DNAチップのような四角形でもよいし、円形でもよい。DNAドットは各々異なる本発明の遺伝子をコードする任意のDNAを含み、基板とは固定化されている。プロテインのドットの大きさは、マイクロアレイの場合は直径100〜200μm、プロテインチップの場合は、10〜30μmである。
次に、各々のプロテインのスポットの形成法を述べる。例えば、目的のプロテインの溶液を、ピン法、インクジェット方式等を用いてプロテインの基板上に配置する。
これによって製造されたプロテインチップの調製例を図7に示す。外観はDNAチップに類似する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
(実施例1:ゲノム配列決定)
(KOD−1株の染色体DNAの調製)
KOD−1株を、Appl.Environ.Microbiol.60(12),4559−4566(1994)に記載の0.5×2216マリンブロース培地(2216マリンブロース:18.7g/L、PIPES 3.48g/L、CaCl2・H2O 0.725g/L、0.4mL 0.2%レザズリン、475mL人工海水(NaCl 28.16g/L、KCl 0.7g/L、MgCl2・6H2O 5.5g/L、MgSO4・7H2O 6.9g/L)、蒸留水500mL、pH7.0)1,000mlに接種して、2リットルの発酵槽を用いて培養した。培養に際しては、発酵槽内を窒素ガスで置換し、同ガスで内圧を0.1Kg/cm2に維持した。培養は、温度85±1℃にて14時間培養した。なお、培養は静置培養で実施し、培養中窒素ガスの通気および撹拌は行わなかった。培養終了後、培養液(約1,000ml)を10,000rpmで10分間遠心分離することにより菌体を回収した。
得られた菌体1gを10mlのA溶液(50mM Tris−HCl、50mM EDTA、pH8.0)に懸濁し、遠心分離(8,000rpm、5分間、4℃)により集菌後、3mlの15%ショ糖を含むA溶液に懸濁し、37℃にて30分間保温後、1%N−ラウリルサルコシンを含むA溶液3mlを添加した。この液にさらに5.4gの塩化セシウムおよび10mg/mlの臭化エチジウム溶液300μlを添加し、55,000rpm、16時間、18℃にて超遠心分離を行い、染色体DNAを分画した。得られた染色体DNA画分からn−ブタノール抽出により臭化エチジウムを除去後、TE溶液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA)に対して一夜透析し、染色体DNAを得た。
(染色体ライブラリーのスクリーニング/配列の解析)
ゲノム配列の決定は、一般的に行われているボトムダウンアプローチに準じて行った。その概要は以下のとおりである。まず、単離されたDNAを断片化し、pUCなどのクローニングベクター中にクローニングした。次に、クローニングされた断片をショットガン配列決定を行って配列決定した。これにより400−500bpの断片の配列が決定された。この配列決定は、1Mbpあたりおよそ15000個行った。各々決定された配列をアセンブルしてコンティグと称する一群の配列が判明する。この後、コンティグの間のギャップ(物理的ギャップおよび配列ギャップ)をクローニングして、ギャップの配列を決定しギャップを埋めた。その後、塩基配列データの解析を行い、オープンリーディングフレームを同定しアノテーション(annotation)を行った。より詳細には以下のとおりに行った。
第一に、ゲノムライブラリーを構築した。ここでは、遺伝子配列による偏りを防ぐために、制限酵素を用いた部分消化法ではなく、物理的な切断を行った。この際、複数の長さのライブラリーを構築した。ここでは、2−3kbpの断片を含むプラスミドライブラリーおよび約20kbpのλファージライブラリーを構築した。
第二に、プラスミドライブラリーのショットガン配列決定を行った。配列決定は、Applied Biosystemsから市販される配列決定装置を用いた。ここで、配列決定は、400−500bpの塩基配列を約150000個/1Mbp得るように行った。同様に、λファージライブラリーの末端ショットガン配列決定をも行った。これで理論上はゲノム全長を6回以上配列決定する計算になる。
第三に、ショットガン配列決定によって得られた塩基配列データ(約2Mbpのゲノムに対して約4万個のデータ)をアセンブルしてギャップを埋める作業を行った。この際に、長い断片からなるλファージライブラリーの末端配列データを用いて、各領域の相対的位置および向きを決定した。この作業の後に得られたものは通常コンティグと呼ばれる配列である。本実施例では、多数のコンティグが得られた。その間の配列未決定領域(ギャップ)を埋める作業を行った。コンティグとコンティグとの間のギャップをまたぐような断片が同定されている場合、そのギャップは配列ギャップ(sequence gap)と呼び、まだそのような断片がクローニングされていない場合はそのギャップは、物理ギャップ(Physical gap)と呼ぶ。この物理ギャップを埋める作業は、LA−PCRなどの増幅および塩基配列決定などの操作によって行った。これにより、ほぼすべての配列データがひとつのコンティグ内に収まり、配列決定作業を終了した。
第四に、配列データの解析を行った。オープンリーディングフレーム(ORF)の同定およびそれらのアノテーションを行った。この作業では、Hidden Markovモデル(HMM)およびInterpolated Markovモデル(GLIMMER)などのプログラムを用いることによりORFの同定を行った。その後は、各々のORFのBLAST、BLASTXおよびFASTAなどの検索を行って機能を同定した。この後、遺伝学的および生化学的な解析を行った(Fraser C.M.,Res Microbiol.,151,79−84(2000);Fraser C.M.et al.,,Nature,406,799−803(2000);Nelson et al.,Nat Biotechnol.,18,1049−1054(2000);Kawarabayasi Y.et al.,DNA Res.,6,83−101,145−222(1999)などを参照)。
以上のようにして決定した核酸配列は配列番号1(配列番号1、342および723はプラス(センス)鎖、配列番号1087、1469および1838はマイナス(アンチセンス)鎖)に示される配列であった。
(各遺伝子の機能分析)
次いで、各遺伝子のアミノ酸配列をソフトウエアDNASIS、BLAST、およびCLUSTAL Wを使用して、EMBL、PDBなどのデータベースに登録されている公知のタンパク質のアミノ酸配列と比較した。この結果、種々のポリペプチドのアミノ酸配列との高い相同性が見出されたことから、それらの各遺伝子の機能が推定(infer)された(上記表2を参照)。
(実施例2:ターゲティング(ダブルクロスオーバー破壊))
(菌株および増殖条件)
T.kodakaraensis KOD1およびその誘導体は、リッチ増殖培地(ASW−YT)またはアミノ酸含有合成培地(ASW−AA)中で85℃で厳密な嫌気性条件下で培養した。ASW−YT培地は、人工海水を1.25倍に希釈し(ASW×0.8)たものに、5.0g/Lイーストエキストラクト、5.0g/Lトリプトン、および0.2g/L硫黄元素(pH6.6)を含む。ASWの組成は以下のとおりである:NaCl 20g;MgCl2・6H2O 3g;MgSO4・7H2O 6g;(NH4)2SQ4 1g;NaHCO3 0.2g;CaCl2・2H2O 0.3g;KCl 0.5g;NaBr 0.05g;SrCl2・6H2O 0.02g;およびFe(NH4)クエン酸0.01g。ASW−AA培地は、0.8×ASWに5.0ml/L改変Wolfe微量鉱物(0.5g MnSO4・2H2O;0.1g CoCl2;0.1g ZnSO4;0.01g CuSO4・5H2O;0.01g AlK(SO4)2;0.01g H3BO3;および0.01g NaMoO4・2H2Oを1L中に含む)、5.0ml/Lのビタミン混合物(以下の文献を参照)、20種のアミノ酸(250mgシステイン・HCl;75mgアラニン;125mgアルギニン・HCl;100mgアスパラギン・H2O;50mgアスパラギン酸;50mgグルタミン、200mgグルタミン酸;200mgグリシン;100mgヒスチジン・HCl・H2O;100mgイソロイシン;100mgロイシン;100mgリジン・HCl;75mgメチオニン;75mgフェニルアラニン;125mgプロリン;75mgセリン;100mgスレオニン;75mgトリプトファン;100mgチロシン;および50mgバリンを1L中に含む)ならびに0.2g/L硫黄元素(pHはNaOHで6.9に調整した)を補充したものである(Robb,F.T.,and A.R.Place.1995.Media for Thermophiles,p.167−168.In F.T.Robb and A.R.Place(ed.)Archea:a laboratory manual−Thermophiles.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)。必要に応じて、5−FOA(和光純薬、大阪、日本)およびウラシル(興人、東京、日本)をASW−AA培地に、Robbに記載されるような濃度で添加した。トリプトファン栄養要求性を調べるために、トリプトファン欠損ASW−AA,ASW−AAW−を用いた。培地中の溶解酸素を減らすために、5.0%Na2S・9H2Oを、リザズリンナトリウム塩(1.0mg/L)の色がなくなるまで加えた。プレート培養の場合、1.0%(w/v)ゲルライト(Gelrite)(和光純薬)を加えて、培地を、硫黄元素および5.0%Na2S・9H2O溶液の代わりに2.0ml/Lポリスルフィド溶液(10gNa2S・9H2Oおよび3.0gの硫黄元素/15ml)で固化させた。細胞は、嫌気性のチャンバ(エスペック(Tabai Espec)大阪)中で85℃でインキュベートした。
DNA操作一般のために使用したE.coli株であるDH5αは、LB培地(Sambrook,J.,and D.Russel.2001.Molecular cloning:a laboratory manual,3rd edn.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)でルーチンで培養し、そして50μg/mlアンピシリンを必要に応じて補充した。
(UV照射での変異誘発および5−FOA耐性変異体の単離)
T.kodakaraensis KOD1は、2.0LのASW−AA液体培地で39時間にわたり培養した。定常期の細胞を、遠心分離(6,000×g、30分)で採集した。以下の手順を嫌気性チャンバにおいて嫌気的に行った。細胞を、60mlのASW中に再懸濁し(3/100容積)、そして懸濁物の一部(10ml)をペリルディッシュに入れた。攪拌しながら、その懸濁物を15W殺菌ランプから20cmの距離で適切な時間(0秒、30秒、60秒、90秒および120秒)UV照射した。アリコート(200μl)を、0.75%5−FOAを含むASW−AAプレート培地に広げ、ウラシル栄養要求性(Pyr−)変異体をドミナントスクリーニングした。得られた変異体の増殖を支持するために10μg/mlウラシルを含めた。この細胞を、85℃で5日間インキュベートした。生存細胞数を、細胞懸濁物を適切な希釈率で5−FOAを含まないASW−AAプレート培地に播種し、形成されるコロニーを計数することによって判定した。
5−FOA耐性コロニーを分離し、ASW−YT液体培地中で培養した。増殖した細胞を2日間ASW−AA液体培地中でインキュベートしてウラシルの持込を除き、さらに、5μg/mlウラシルを添加したかまたは添加しないASW−AA液体培地中に継代培養して、分離体のウラシルの栄養要求性を調べた。
(酵素アッセイ)
T.kodakaraensis KOD1およびその変異体株の無細胞抽出物を以下のように調製した。細胞を、ASW−YT液体培地中で20時間培養し、遠心分離で採取(6,000×g、30分)し、そして1/1000容積のTriton X−100を0.1%含む50mM Tris−HCl(pH7.5)中で溶解した。ボルテックスで10分間混合後、遠心分離(3,000×g、20分間)後の上清を無細胞抽出物として用いた。タンパク質濃度をBio−Rad Protein Assay System(Bio−Rad,Hercules,CA,USA)を用い、標準としてウシ血清アルブミンを用いて決定した。
オロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ(OMPdecase,PyrF)活性は、オロチジン−5’−モノホスフェート(OMP)のウリジン−5’−モノホスフェート(UMP)への変換に由来する285nmでの吸光度の減少(Δε285=1,380M−1cm−1)をモニターすることによって決定した(Beckwith,J.R.,A.B.Pardee,R.Austrian,and F.Jacob.1962.Coordination of the synthesis of the enzymes in the pyrimidine pathway of E.coli.J.Mol.Biol.5:618−634.)。アッセイ混合物は、総容量1ml中、100mM Tris−HCl(pH8.6)、1.5mM MgCl2、0.125mM OMP、および酵素溶液から構成される。キャップしたキュベット中でこの混合物を85℃で5分間予備インキュベートした後、この反応、酵素溶液を添加することによって開始し、そして10分間同じ温度でモニターした。
オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(OPRTase,PyrE)活性は、295nmでオロチン酸を分光光度学的に測定することによってアッセイした。pyrE+株からの酵素サンプルを測定するとき、反応産物OMPの内因性OMPデカーゼによる連続的な脱カルボキシル化を考慮しなければならない。OMPデカーゼ活性は、T.kodakaraensisにおけるOPRTアーゼ活性よりも高いことから、OPRTアーゼ活性は、3,670M−1cm−1のΔε295で性格に決定され得る。これは、オロチン酸からOMPを経てUMPへと変換されることに対応する。pyrF−株の場合、本発明者らは、2,520M−1cm−1のΔε295で開始基質からOMPへの変換をモニターした。この反応を、Tris−HCl(pH8.6),1.5mM MgCl2,0.125mMオロチン酸,無細胞抽出物および1.6mM 5−ホスホリボシルピロホスフェート(PRPP)を含む1ml混合物中で行った。このPRPPを含まないアッセイ混合物はキャップしたキュベット中にあり、85℃で10分間予備インキュベートし、そしてその反応を、PRPPの添加により開始した。A295における減少は、同じ温度で3分間にわたり測定した。
(DNA操作および配列決定)
一般的なDNA操作は、Sambrook and Russelに記載されるように行った(Sambrook,J.,and D.Russel.2001.Molecular cloning:a laboratory manual,3rd edn.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)。T.kodakaraensisのゲノムDNAは、上述のように単離した。PCRは、KOD−Plus−(東洋紡、大阪、日本)をDNAポリメラーゼとして用いて行った。PCRのために使用したプライマーの配列は、以下に示される。必要に応じてPCRによって増幅したDNAフラグメントは、T4キナーゼ(東洋紡)によってリン酸化した。制限酵素および改変酵素は、寶酒造(京都、日本)または東洋紡から購入した。アガロースゲル電気泳動後のDNAフラグメントを回収し、そしてGFX PCR DNAおよびGel Band Purification Kit(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)で精製した。プラスミドDNAは、Qiagen Plasmid Kits(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて単離した。DNA配列決定は、ABI PRISMキットおよびモデル3100キャピラリー配列決定機(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)を用いて行った。
(pUDTおよびpUDT2の構築)
2つの破壊ベクターpUDT1(配列番号2158)およびpUDT2(配列番号2159)を、T.kodakaraensisにおける、シングルクロスオーバー事象およびダブルクロスオーバー事象のそれぞれの相同組み換えのために構築した。構築は以下のとおりである。Tk−pyrFを含むDNAフラグメント(676bp)を以下のプライマーTK1−DUR/TK1−DUFを用いてT.kodakaraensis KOD1ゲノムDNAから増幅した:
TK1−DUR/TK1−DUF:5’−GGGCATATGGAGGAGAGCAGGCTCATTCTGGCG−3’(配列番号2160)/5’−CTGAGGGGGTGTTTGACTTTCAA−3’(配列番号2161)、ここで下線付き配列は、NdeI部位を示す。
推定プロモーター領域(130bp)は、プライマーTK2−DPR/TK2−DPFで増幅した:
TK2−DPR/TK2−DPF:5’−GGGCTGCAGCCGCAACGCGCATTTTGCTCACCCGAA AA−3’(配列番号2162)/5’−GGGCATATGCATCACCTTTTTAACGGCCCTCTCCAAGAG−3’(配列番号2163)、ここで下線付き配列は、PstIおよびNdeI部位をそれぞれ表す。
両方のフラグメントを、適切なプロモーターpyrF方向でpUC118中にサブクローニングした。得られたプラスミドを、pUD(3,944)と命名した。Tk−trpEの短縮フラグメント(788bp)を、以下のプライマーTK3−DTR/TK3−DTFを用いて増幅した:
TK3−DTR/TK3−DTF:5’−GGGGCATGCGGTGGCTT CGTTGGCTACGTCTCCTACG−3’(配列番号2164)/5’−GGGCTGCAGTTCGGGGCTCCGGTTAGTGTTCCCGCCG−3’(配列番号2165)、下線付き配列は、SphIおよびPstIの部位をそれぞれ示す。ついで、これを、pUDとSphIおよびPst部位で連結して、pUDT1を(4732bp)得た。
pUDT2を構築するために、Tk−trpEおよびフランキング領域を含むフラグメント(2223bp)を以下のプライマーTK4−DT2R/TK4−DT2Fを用いて増幅した:TK4−DT2R/TK4−DT2F:5’−GGGGTCGACCGGG TCTGGCGAGGGCAATGAGGGAC−3’(配列番号2166)/5’−GGGGAATTCGGTTATAGTGTTCGGAACGACCTTCACTC−3’(配列番号2167)、下線付き配列は、それぞれSalI部位およびEcoRI部位を示す)。これをついで、pUC119中にSalIおよびEcorI部位でサブクローニングした。得られたプラスミドは、pUT4(5,340bp)と命名した。pUDはPvuIIで消化し、ついでpyrFおよびその推定プロモーター領域(1104bp)を含むフラグメントを単離した。pUDT2(6,012bp)は、pUT4内のこの単離されたフラグメントを、Tk−trpE中の平滑SacI部位に挿入することによって得た。
T.kodakaraensisにおける相同組換えのための直鎖状DNAフラグメントは、PCRでpUDT2をテンプレートとして調製し、そしてアガロースゲル電気泳動後に精製した。
(T.kodakaraensisの形質転換)Methanococcus voltaePSのための塩化カルシウム法(Bertani,G.,and L.Baresi.1987.Genetic transformation in the methanogen Methanococcus voltae PS.J.Bacteriol.169:2730−2738.)を、T.kodakaraensisの形質転換のために改変した。T.kodakaraensis KU25は、ASW−YT液体培地で12時間培養し、そして細胞を、3mlブロスから対数増殖期後期で採取し(17,000×g、5分)、200μlの形質転換緩衝液(カルシウムカチオンとリン酸基との間の沈降現象を避けるためにKH2PO4を含まない0.8×改変ASW中の80mM CaCl2)(1/15容積)中に再懸濁した。これを、30分間氷上で維持した。ついで、3μgのDNAをTE緩衝液に溶解し、これをその懸濁液に加えた。そして細胞を氷上で1時間インキュベートし、続いて45秒間85℃で熱ショックを与え、さらに、氷上で10分間インキュベートした。コントロール実験として、等容積のTE緩衝液を、DNA溶液のかわりに細胞に加えた。処理した細胞を、20mlのASW−AA液体培地中で、ウラシルの非存在下で2世代培養してPyr+形質転換体をスクリーニングしそして濃縮した。ついで、この細胞を、ウラシルを含まないASW−AAプレート培養物中に広げ、そして85℃で5−8日インキュベートした。得られたPyr+株は、コロニーPCRおよびDIG−DNA標識および検出キット(Boehringer Mannheim,Mannheim,ドイツ)を用いたサザンハイブリダイゼーションを行って分析した。
(実験手順)
ダブルターゲティング破壊では、環状DNA分子を用いてダブルクロスオーバー破壊を用いた遺伝子のターゲティング破壊を行った。その模式図を図1に示す。
(破壊ベクターの作製)
(KOD1の調製)
上述のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
上述のように形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、相同的組換えが起こったPyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株を、ASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
反応混合物:2.5ユニット KODポリメラーゼ(東洋紡)0.5μl;10×KODポリメラーゼ緩衝液(東洋紡)5.0μl;25mM MgCl2 4.0μl;dNTP混合物 4.0μl;20pmol/μlプライマー10.5μl;20pmol/μlプライマー2 0.5μl;滅菌水 37.0μl;細胞懸濁液0.5μl。この反応混合物を以下の反応条件で行った:96℃2分間;96℃30秒、55℃3秒、72℃30秒を30サイクル;72℃を3分間。
コロニーPCRおよびサザンブロット分析を行ったところ、以下の結果が得られた。
上記結果のように、環状分子を用いたダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は非常に高率で進むことがわかった。
(実施例3:ダブルクロスオーバー破壊の例:線状DNAを用いた場合)
次に、線状DNA分子を用いたダブルクロスオーバー破壊の例を示す。
(破壊ベクターの作製)
線状の破壊ベクターとして図2に示すような線状DNA分子Linear DNAを調製した。Linear DNAは、実施例2において作製したpUDT2をテンプレートとして、適切なプライマーを用いて増幅することにより得た。
(KOD1の調製)
実施例2に記載のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
調製したKOD−1株を塩化カルシウム法によりLinear DNAを用いて形質転換した。形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、相同的組換えが起こったPyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株をASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
コロニーPCRおよびサザンブロットは上述のように行った。
このように分析した結果、以下の結果が得られた。
上記結果のように、線状分子を用いたダブルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は環状分子に比べて低率ではあるが、それでも十分に高率で進むことがわかった。環状分子より低い原因としては、宿主由来のヌクレアーゼによる切断などが考えられる。
また、上記結果に続き、線状DNAの場合に好ましい長さを調べたところ、両末端にそれぞれ少なくとも500塩基ずつあれば、約5%以上の確率でターゲティング破壊が進み、両末端に少なくとも1000塩基ずつあれば、約20%以上の確率でターゲティング破壊が進んでいたことも確認した。従って、線状分子を使用した場合のターゲティング破壊では、少なくとも500塩基、好ましくは少なくとも1000塩基の核酸配列が両端に必要であることがわかる。
(実施例4:ダブルクロスオーバー破壊の例:他の遺伝子)
上述の遺伝子以外の遺伝子(例えば、配列番号395(トリプトファンシンターゼ)をコードする配列)を選択してトリプトファン栄養要求性をもとに同様の実験を行ったところ、同じようなターゲティング破壊を行うことができた。
(実施例5:シングルクロスオーバー破壊)
次にシングルクロスオーバー破壊システムを用い環状分子を用いた場合の遺伝子のターゲティング破壊を行った。その模式図を図3に示す。pUDT1(配列番号2158)は上述のように作製した。
(KOD1の調製)
実施例2に記載のようにKOD−1株を調製した。
(形質転換および相同的組換え)
調製したKOD−1株を塩化カルシウム法により形質転換した。形質転換したKOD−1株は、ASW−AAで維持した。この際、KOD−1株は、持込ウラシルによって増殖する。
次に、このKOD−1株を新鮮なアミノ酸液体培地に植え継いだ。新鮮なアミノ酸液体培地において増殖するものは、PyrF+株のみであることから、これにより、相同的組換えが起こったものについてのスクリーニングおよび濃縮が行われたことになる。
次に、増殖した株を、ASW−AAに植え継いだ。次にこの固体倍地上で増殖したコロニーをコロニーPCRおよびサザンブロット分析で確認した。その手順を以下に示す。
コロニーPCRは、およびサザンブロット分析は、上述のように行った。。
このように分析した結果、以下の結果が得られた。
上記結果のように、環状分子を用いたシングルクロスオーバーによる遺伝子のターゲティング破壊は、ダブルクロスオーバによる遺伝子ターゲティング破壊よりもはるかに低い確率で進むことがわかった。シングルクロスオーバーによる効率がダブルクロスオーバーによる効率よりも低い理由としては、宿主由来の制限酵素によるpUDT1の切断などが考えられる。
このように、本発明は、シングル破壊の系でも機能することが実証された。また、線状分子を用いた場合でも、シングル破壊の系は環状分子よりはるかに低率であるが機能することが判明した。
(実施例6:シングルクロスオーバー破壊の例:他の遺伝子)
実施例4と同様の遺伝子をシングルクロスオーバー破壊で行ったところ、実施例5と同様に効率はよくないが破壊することができることが判明した。
(実施例7:DNAリガーゼ遺伝子の発現)
ATP依存性DNAリガーゼをEscherichia coli内で発現させるためには、以下のようなプロトコルを使用した。本発明において同定されたDNAリガーゼ(例えば、配列番号1131)の配列を含む、上記ファージクローンのフラグメントを鋳型として2種類のDNAリガーゼコード領域のフラグメントを得、これをpUC18に挿入した。挿入フラグメントのヌクレオチド配列を確認し、このプラスミドからDNAリガーゼを含むフラグメントをプラスミドpET21a(Novagen)に挿入して、プラスミドを構築した。発現および活性の確認は以下のように実施した。
上記のプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換する。出現するアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.3になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続する。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで70℃で10分間熱処理する。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより試料を得た。この試料をさらに周知の種々の精製方法またはその組み合わせを使用してさらに精製し得る。
酵素活性は、λファージDNAのHindIII消化物に得られた試料を作用させた後、反応物をアガロースゲル電気泳動し、DNAフラグメントの移動度の変化を観察する方法、または32Pで標識したオリゴdTに得られた試料を作用させ、未反応の32Pをアルカリホスファターゼで除去し、次いで放射活性を測定する方法などによって測定される(Rossi,Rら,(1997)Nucleic Acids Research,25(11):2106−2113;Odell,M.ら,(1996)Virology 221:120−129;Sriskanda,V.ら,(1998)Nucleic Acids Research,26(20):4618−4625;Takahashi,M.ら,(1984)The Journal of Biological Chemistry,259(16):10041−10047)を参照のこと)。
(実施例8:蟻酸脱水素酵素の発現および確認)
蟻酸脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)は、蟻酸イオンをCO2に酸化する反応を触媒する酵素である。その反応は式HCOO−+NAD+⇔CO2+NADHで表される。ここで、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド;還元型はNADH)は、酸化還元酵素反応に関与する補酵素の1つである。
蟻酸脱水素酵素活性は、例えば、電子受容体としてNADP+(340nm、ε=6.22×103)、メチルビオロゲン(600nm、ε=1.13×104)、またはベンジルビオロゲン(605nm、ε=1.47×104)を用いて測定される(Andreesen,J.R.ら(1974)J.Bacteriol.,120:6−14)。
公知の蟻酸脱水素酵素には、αサブユニットのみからなるホモ二量体、αおよびβサブユニットからなるヘテロ二量体および四量体、ならびにα、β、およびγサブユニットからなる十二量体などがある。
本発明の蟻酸脱水素酵素は単一または複数のサブユニットからなり得る。好ましくは、本発明の蟻酸脱水素酵素は2種類以上のサブユニットからなる。
(耐熱性蟻酸脱水素酵素の発現)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる蟻酸脱水素酵素(配列番号305、673、1050および1051)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、プラスミドpET21a/fdhABを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を蟻酸脱水素酵素活性を常法(Andreesen,J.R.ら(1974)J.Bacteriol.,120:6−14)に従って測定したところ、蟻酸脱水素酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例9:超耐熱性β−グリコシダーゼ)
β−グリコシダーゼは、β−グリコシド結合を加水分解する酵素群の総称である。β−グリコシダーゼには例えば、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトシダーゼなどが含まれる。
β−グリコシダーゼの一種であるβ−ガラクトシダーゼは、β−D−ガラクトシドを加水分解してD−ガラクトースを生成する酵素である。β−ガラクトシダーゼのラクトース(グルコース−β−D−ガラクトシド)をグルコースとガラクトースとに分解する能力は、牛乳中のラクトースを処理して低ラクトース乳を生産するために利用されている。この目的のためには、酵素を牛乳中に添加する方法に加えて、固定化酵素の利用も検討されている。一般に、固定化酵素として利用される酵素は、使用される反応条件(pH、温度など)において高い活性を示し、そして構造的に安定性であることが好ましい。
本明細書では、β−ガラクトシダーゼは、β−D−ガラクトシドを加水分解してD−ガラクトースを生成する酵素であり、系統名β−D−ガラクトシドガラクトヒドロラーゼを有するものをいう。本発明のβ−グリコシダーゼは、β−ガラクトシダーゼ活性に加えて、β−グルコシダーゼ、β−マンノシダーゼおよび/またはβ−キシロシダーゼ活性を有し得る。本発明のβ−グリコシダーゼは、オリゴ糖を加水分解する活性に加えて転移活性を有し得る。
(β−グリコシダーゼの発現)
上述の実施例と同様の方法を用いてβ−グリコシダーゼ(配列番号1122)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.5になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで85℃30分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を濃縮した後、これをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された分子量のバンドが検出され、このバンドはIPTGの誘導後の時間とともに増加した。
上記の熱処理した試料を使用して本発明のβ−グリコシダーゼの酵素化学的性質を検討した。酵素活性の測定方法については、Pisani,F.M.ら、Eur.J.Biochem.,187,321−328(1990)を参照のこと。1分間当たり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素活性を1Uとした。
本発明のβ−グリコシダーゼの至適pHを調べた。反応は、酵素1.5μg/mlを含む各種緩衝液中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として75℃で実施した。使用した緩衝液はリン酸ナトリウム緩衝液(pH6〜8)、クエン酸緩衝液(pH4〜6)、ホウ酸緩衝液(pH8〜9)、グリシン緩衝液(pH8.5〜10)であった(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが約6.5に至適pHを有することを示す。
本発明のβ−グリコシダーゼの至適温度を調べた。反応は、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として各種温度で実施した(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが約100℃に至適温度を有することを示す。また、この結果を用いて、アレニウスプロットを実施したところ、75℃(1/T*10−3=2.87)の付近で直線の傾きが変化していることが判明した。式k=Ae−E/RT(ここで、kは反応速度定数、Eは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度、Aは頻度因子である)にこの結果を当てはめると、25〜75℃の範囲ではE=53.4kJ/molであり、そして75〜100℃の範囲ではE=17.7kJ/molであると算出された。
本発明のβ−グリコシダーゼの熱安定性を調べた。上記試料を90℃または100℃で各種時間インキュベートした後、酵素活性を、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で2.8mM pNp−β−グルコピラノシドを基質として80℃で測定した(データ示さず)。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼが、90℃および100℃において、それぞれ約18時間および約1時間を有することを示す。同様の実験を110℃において実施したところ、この酵素は約15分間で失活した。
本発明のβ−グリコシダーゼの基質特異性を調べた。2.8mMの各種基質に対する活性を、酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で80℃で測定したところ、本発明のβ−グリコシダーゼが、高いβ−グルコシダーゼ活性を有し、そしてβ−マンノシダーゼ、β−グルコシダーゼおよびβ−キシロシダーゼ活性も有することを示す。
これら4つの酵素としての反応速度定数を、3.0μg/mlの酵素の、0.28mM〜5.6mMの濃度の基質に対する活性を測定して得たところ、基質としての各々2mMのオリゴ糖(β−ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオースおよびセロペンタオース)ならびに酵素1.5μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を、80℃で7時間インキュベートした。次いでこの反応液を薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた(データ示さず)。β−ラクトース以外のレーンには、グルコースのスポットが観察された。4糖であるセロテトラオースは3糖および1糖にそして5糖であるセロペンタオースは4糖および1糖にそれぞれ分解された。この結果は本発明のβ−グリコシダーゼがエキソ型の加水分解活性を有することを示す。
各々5mMのセロビオース、セロトリオース、セロテトラオースおよびセロペンタオースならびに酵素3μg/mlを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を、80℃で4時間インキュベートした。また同様の反応系においてセロテトラオースを0、1、2、4および7時間インキュベートした。次いでこの反応液を薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた。セロビオース、セロトリオース、セロテトラオースならびにセロペンタオースはそれぞれ2糖、3糖、4糖および5糖であるが、基質としてのこれらの糖より大きなスポットが反応後に観察された。この結果は、本発明のβ−グリコシダーゼがエキソ型の糖分解活性に加えて糖転移活性も有することを示す(ただし、この反応条件においては、反応時間とともにグルコースおよびセロビオースが増加し、このことは、この条件下では転移反応よりも加水分解が経時的に進行したことを示す)。すなわち、本発明のβ−グリコシダーゼは、セロビオースがマンノースにβ−結合したオリゴ糖など、任意の組み合わせのβ−結合を有するオリゴ糖の合成に応用され得る。
(実施例10:超耐熱性キチナーゼ)
キチンはムコ多糖の一種であり、β−ポリ−N−アセチルグルコサミンの構造を有する。キチンは、節足動物、軟体動物、甲殻類、昆虫類、菌類、細菌などの細胞壁物質として天然に多量に存在するキチナーゼはキチンを加水分解する酵素であり、カタツムリの胃液、昆虫の脱皮液、果実の果皮、微生物などにおいて見出されている。この酵素は、キチンのβ−1,4結合を加水分解してN−アセチルグルコサミンを生成する酵素であり、系統名ポリ(1,4−β−(2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコシド))グリカノヒドロラーゼを有する。
キチナーゼは、上記のように自然界に多量に存在するキチンを、微生物などにより利用可能な形態に分解する目的において工業的に有用であり得る。また、キチナーゼは、植物においては、本来病原菌に対する防御機構における役割を果たしていると考えられているので、この酵素をコードする遺伝子を導入することによる、耐病性植物の開発が試みられている。
(超耐熱性キチナーゼの発現)
上述の実施例に記載されるように、超耐熱性キチナーゼ(配列番号991)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.3になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで70℃10分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された約130kDaのバンドが検出された。
上記の熱処理した試料を、硫安沈澱(40%飽和)、陰イオン交換カラム(HiTrapQ)、ゲル濾過カラム、および陰イオン交換カラム(MonoQ)を使用して、SDS−PAGEで単一バンドとして観察されるまで精製した。
酵素活性を「キチン・キトサン実験マニュアル」(キチン・キトサン研究会編、技報堂出版)に記載の方法に従ってコロイダルキチンを基質として測定した。1分間当たり1μmolのN−アセチルグルコサミンに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとした。
基質となるコロイダルキチンを以下の手順で調製した。キチン(和光純薬工業)10gを、85%リン酸500mlに溶解して−4℃で24時間撹拌した。この粘ちょうな液体を、10倍量の脱イオン水に撹拌しながら添加した。遠心分離によって沈澱を得、これを脱イオン水でpHが5.0以上になるまで繰り返し洗浄した。NaOHでpHを7.0に調整し、次いでさらに1回脱イオン水で洗浄した。これを少量の水に溶解し、オートクレーブした。
本発明の超耐熱性キチナーゼの至適温度を、上記精製酵素の活性を、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中で、60分間、種々の温度で測定することにより決定した。反応は氷冷により停止した(データ示さず)。本発明の超耐熱性キチナーゼは、約80℃に至適温度を有することが示された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの至適pHを、上記精製酵素の活性を、80℃で、60分間、以下の緩衝液を使用して種々のpHで測定することにより決定した:50mMクエン酸水素2ナトリウム−HCl(pH2.5〜4.0);50mM酢酸ナトリウム(pH4.0〜5.5);50mM MES−NaOH(pH5.5〜7.0);50mM Tris−HCl(pH7.0〜9.0);50mMグリシン−NaOH(pH9.0〜10.0)。反応は氷冷により停止した。結果を図5に示す。本発明の超耐熱性キチナーゼは、約4.0に至適pHを有することが示された。さらに、pH8.0付近においても、ピークが観察された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの活性に対する塩の影響を、上記精製酵素の活性を、種々の濃度の塩(NaClまたはKCl)を添加した50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中で、120分間、80℃で測定することにより検討した。反応は氷冷により停止した(データ示さず)。本発明の超耐熱性キチナーゼの活性は、塩の添加とともに上昇し、特にKClの添加により約2倍まで上昇した。
本発明の超耐熱性キチナーゼのオリゴ糖およびコロイダルキチンに対する作用を検討した。使用したオリゴ糖は、N−アセチル−D−グルコサミン(G1)、ジ−N−アセチル−キトビオース(G2)、トリ−N−アセチル−キトトリオース(G3)、テトラ−N−アセチル−キトテトラオース(G4)、ペンタ−N−アセチル−キトペンタオース(G5)、およびヘキサ−N−アセチル−キトヘキサオース(G6)である。0.7mgの各々のオリゴ糖、70mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、200mM KCl、および精製酵素(G1〜G3については0.9μg、G4〜G6については1.8μg)を含む50μlの反応液を、80℃でインキュベートし、そして0、5、15、30、60、または120分でサンプリングした。コロイダルキチンについては、0.16mgのコロイダルキチン、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)、および0.6μgの精製酵素を含む1mlの反応液を、80℃でインキュベートし、そして1.5、3.0、および4.5時間でサンプリングし、遠心分離により20倍濃縮した。次いで、これらを、以下のようにTLCに供した。Kieselgel 60 silica gel plate(Merck社)にサンプリングした液をスポットし、展開液(n−ブタノール:メタノール:25%アンモニア溶液:水=5:4:2:1)を使用して展開した。展開後、プレートを乾燥させ、これに発色試薬(アニリン4ml、ジフェニルアミン4g、アセトン200ml、85%リン酸30mlを混合して調製した)を噴霧し、そしてこれを180℃で約5分間加熱して、発色させた(データ示さず)。
これらの結果から、本発明の超耐熱性キチナーゼは、二糖以下の基質には分解作用を示さず、そしてキチンを基質とした場合に、主要生成物として二糖のキトビオースを生成することが示された。
本発明の超耐熱性キチナーゼの4−メチルウンベリフェロン(4−MU)オリゴ糖に対する作用を検討した。GlcNAc−4−MU、GlcNAc2−4−MU、またはGlcNAc3−4−MU(0.01mM)10μl、100mM酢酸緩衝液(pH5.0)990μl、および精製酵素20μl(18ng)を80℃でインキュベートした。0、5、15、30、45、60、または180分で100μlの反応液をサンプリングし、これを900μlの氷冷100mMグリシン−NaOH(pH11)に添加して反応を停止した。この試料の350nmにおける励起光および440nmにおける蛍光を分光蛍光光度計を使用して測定した(データ示さず)。この結果、各々の基質に対する反応速度を決定した。
二糖の誘導体に対する反応速度と、三糖の誘導体に対する反応速度とを比較することによって、酵素の切断様式がエンド型であるかまたはエキソ型であるかを予測し得ることが報告されており(Robbins,P.W.,J.Biol.Chem.,263(1),443−447(1988))、ここで二糖の誘導体に対する反応速度がより大きい場合には、その酵素がエキソ型であると予測され、一方三糖の誘導体に対する反応速度がより大きい場合には、その酵素がエンド型であると予測される。この記載に基づけば、本発明の超耐熱性キチナーゼは、エンド型であると判断される。
本発明の超耐熱性キチナーゼの各々のドメインが有する機能を、種々の欠失変異体を作製することにより検討した。欠失変異体Pk−ChiAΔ1(第1のBacillus circulansキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを含む)、Pk−ChiAΔ2(第4のStreptomyces erythraeusキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを含む)、Pk−ChiAΔ3(第1のBacillus circulansキチナーゼ相同領域を含む)、ならびにPk−ChiAΔ4(第4のStreptomyces erythraeusキチナーゼ相同領域を含む)を以前の報告)(特開平11−313688)のように作製した。
各々のプラスミドを保有するE.coli形質転換株の培養物から、70℃10分間の熱処理によって、粗酵素液を得た。この粗酵素液を、コロイダルキチンプレート(0.5%コロイダルキチン、1.5%寒天)にスポットし、そしてこれをインキュベートすることによって、その活性を検討した(データ示さず)。第1のキチナーゼ相同領域のみを有する欠失変異体はわずかな活性を示し、第4のキチナーゼ相同領域のみを有する欠失変異体はほとんど活性を示さなかった。いずれかのキチナーゼ相同領域および2つのセルロース結合ドメインを有する欠失変異体は、いずれも高い活性を示した。
欠失変異体Pk−ChiAΔ2およびPk−ChiAΔ4の粗酵素液30μlを、30μlの1%コロイダルキチンと混合し、そして70℃で1時間インキュベートした。次いで、反応液を遠心分離し、上清、およびコロイダルキチンを含む沈澱を得、沈澱については沈澱を50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)で2回洗浄し、そしてこれらをSDS−PAGEに供した(データ示さず)。これらの結果は、2つのセルロース結合ドメインがキチンとの結合およびキチナーゼ活性に必要とされることを示す。
(実施例11:超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ)
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、光合成反応を触媒する酵素であり、植物の葉緑体中および光合成能を有する微生物などに存在する。高等植物などのリブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、大サブユニット8個および小サブユニット8個からなる巨大分子であり(タイプI)、植物においては葉の主要な可溶性タンパク質である。一方、細菌などの微生物のリブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、小サブユニットのみからなる(タイプII)。
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは、植物の分類上のマーカーとして利用されており、例えば、細胞融合における細胞のマーカーとして利用されている。さらに地球環境の改善の観点からは、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ遺伝子を改変して、大気中のCO2の固定化能を上昇させた植物を育種するなどの試みがなされようとしている。同様に光合成細菌の育種または光合成能を有するデバイスの開発なども意図され得る。このような目的において、より高い酵素活性を有し、かつ構造的に安定なリブロースビスリン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子が有用である。
本明細書において、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼとは、リブロースリン酸にCO2を付加して2分子の3−ホスホグリセリン酸を生成する酵素をいう。さらにリブロースビスリン酸カルボキシラーゼはO2存在下において、リブロースリン酸にO2を付加して2−ホスホグリコール酸および3−ホスホグリセリン酸を生成する活性(オキシゲナーゼ活性)を有する。
(超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの発現)
上述の実施例において記載される方法に従って、PCR法を用いて超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ(配列番号338)を発現させた。出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.5になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、100mMビシン/KOH(pH8.3)/10mM MgCl2中で超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより可溶性画分を回収し、次いで85℃30分間熱処理した。熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を濃縮した後、これをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供したところ、予想された分子量のバンドが検出され、このバンドはIPTGの誘導後の時間とともに増加した(データ示さず)。
上記の熱安定性可溶性画分を遠心分離することにより得られた試料を、陰イオン交換カラムResource Q(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、およびゲル濾過カラムSuperdex 200 HR 10/30(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を用いてさらに精製し、SDS−PAGEにより単一バンドであることを確認した(データ示さず)。
精製は、AKTA explorer 10S(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を使用して実施した。陰イオン交換カラムについては、分離を、100mMビシン/KOH(pH8.3)/10mM MgCl2の緩衝液に対する、0〜1.0M NaClのグラジエントを使用して実施した。ゲル濾過については、50mMリン酸ナトリウム/0.15M NaCl緩衝液を使用した。
ゲル濾過を使用した解析によって、発現された酵素は、ラージサブユニットのみの8量体を形成していることが示唆された。
上記の精製した試料のカルボキシラーゼ活性を、D−リブロース1,5−ビスホスフェート(RuBP)(Sigma)を基質として、Uemura,K.ら、Plant Cell Physiol.,37(3),325−331(1996)に記載の方法に従って測定した。
まず、本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの至適pHを調べた。反応は、クエン酸緩衝液(pH5.6)、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.3)、ビシン緩衝液(pH7.3、7.8、8.0もしくは8.3)、またはグリシン緩衝液(pH9.1もしくは10.1)および10mM MgCl2を含有する緩衝液中で30mM RuBPを基質として各種温度で実施し、1分間当たり1mg当たり1μmolのCO2を固定する活性を1Uとした。pH8.3における活性に対する割合としての結果を表した。この結果は、本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼが約8.3の至適pHを有することを示す。
本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの至適温度を調べた。反応は、100mMビシン−KOH(pH8.3)および10mM MgCl2を含有する緩衝液中で30mM RuBPを基質として各種温度で実施した(データ示さず)。本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは約90℃に至適温度を有することが示された。
本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼの耐熱性を調べた。精製酵素を80℃および100℃で種々の時間インキュベートした後の残存活性を測定した(データ示さず)。本発明の超耐熱性リブロースビスリン酸カルボキシラーゼは80℃において約15時間の半減期を有することが示された。
本発明の超耐熱性リブロースリン酸カルボキシラーゼのカルボキシラーゼ活性およびオキシゲナーゼ活性を50℃〜90℃で測定した。さらに、カルボキシラーゼ活性/オキシゲナーゼ活性比であるτ値を算出した(Ezakiら、J.Biol.Chem.(J Biol Chem.1999 Feb 19;274(8):5078−82)を参照のこと)。
大気中の二酸化炭素濃度の上昇から、地球温暖化などの環境問題が生じている。この問題の解決策として、炭酸固定反応を触媒するリブロースリン酸カルボキシラーゼが注目されている。ここで、大気中の酸素濃度対二酸化炭素濃度の比率は約20:0.03であり、酸素が圧倒的に多い。従って、上記のような目的のためには、カルボキシラーゼ反応に対する高い特異性、すなわち大きなτ値が必要とされる。KOD−1株由来の酵素は、従来のタイプIIの酵素のτ値(約30〜200)およびタイプIの酵素のτ値(約10)に比較して、高いτ値を有しているので、より効率的な炭酸固定への応用が期待される。
(実施例12:フルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ(配列番号1275)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、フルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例13:グリセロールキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグリセロールキナーゼ(配列番号1646)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例14:グルタメートデヒドロゲナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタメートデヒドロゲナーゼ(配列番号1239および1637)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例15:ピルベートキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるピルベートキナーゼ(配列番号1776)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例16:エノラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエノラーゼ(配列番号681)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例17:フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフルクトース1,6−ビスホスファターゼ(配列番号1488)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例18:ヒドロゲナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒドロゲナーゼ(各サブユニットは、配列番号1141、1142、1502および1503)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例19:β−グリコシダーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるβ−グリコシダーゼ(配列番号990)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例20:α−アミラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるα−アミラーゼ(配列番号268)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例21:デアセチラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるデアセチラーゼ(配列番号1190)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例22:シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(配列番号1068)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例23:4−α−D−グルカノトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる4−α−D−グルカノトランスフェラーゼ(配列番号1185)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例24:DNAポリメラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるDNAポリメラーゼ(配列番号2、93、379、648、649、743、1386、1740、1830)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、上記おのおのの配列について酵素活性が確認された。また、この酵素は、上記おのおのの配列について90℃に至適温度を有していた。
(実施例25:ホーミングエンドヌクレアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるホーミングエンドヌクレアーゼ(配列番号2)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のエンドヌクレアーゼアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例26:ヒストン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒストン(配列番号173、1470、1962など)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のヒストンキナーゼを用いた方法に従って測定したところ、基質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例27:ヒストンA&B)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒストンA&B(配列番号1470、1962)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のヒストンキナーゼを用いた方法に従って測定したところ、基質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例28:Recタンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるRecタンパク質(配列番号1106)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を基質としてMethods in Enzymology 262(1995)に記載される方法にしたがって測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例29:O6−メチルグアニン DNAメチルトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるO6−メチルグアニン DNAメチルトランスフェラーゼ(配列番号1034)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液をMethods in Enzymology 262(1995)に記載されるアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例30:PCNA)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるPCNA(proliferating Cell Nuclear Antigen;増殖性細胞核抗原)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質溶液とした。
この粗タンパク質溶液を、Methods in Enzymology 262(1995)に記載されるアッセイに準じた方法に従って測定したところ、この粗タンパク質が標記タンパク質であることが確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例31:インドールピルベートフェレドキシンオキシドレダクターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるインドールピルベートフェレドキシンオキシドレダクターゼ(配列番号245、291、658、659、660、661、704、941、1036、1037、1295、1297、1338、1683、1685、1686、1725、1827、2012、2147)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例32:グルタミンシンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタミンシンセターゼ(配列番号627)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例33:アントラニレートホスホリボシルトランスフェラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアントラニレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(配列番号394、1767)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0,1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を基質として丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例34:コビリン酸シンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるコビリン酸シンターゼ(配列番号137、1904)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をMethods in Enzymology,Acadmic Pressに記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例35:ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(配列番号44)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例36:コバラミンシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるコバラミンシンターゼ(配列番号181、910、1720、1973)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をMethods in Enzymology,Acadmic Pressに記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例37:インドール−3−グリセロール−ホスフェートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるインドール−3−グリセロール−ホスフェートシンターゼ(配列番号772)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例38:トリプトファンシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるトリプトファンシンターゼ(配列番号395、774、954、2032)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液をそれぞれについて丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、それぞれの酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例39:リボースホスフェートピロホスホキナーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるリボースホスフェートピロホスホキナーゼ(配列番号701)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例40:グルタメートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるグルタメートシンターゼ(配列番号1578)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例41:オロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるオロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼ(配列番号1096)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例42:アントラニレートシンターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアントラニレートシンターゼ(配列番号43および773)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例43:アスパルチル−tRNA−シンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるアスパルチル−tRNA−シンセターゼ(配列番号808)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例44:フェニルアラニル−tRNA−シンセターゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフェニルアラニル−tRNA−シンセターゼ(配列番号506および878)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例45:シャペロニン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるシャペロニンA(配列番号1368)およびシャペロニンB(配列番号721)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をFrydman,J.et al.(1994)Nature 370,111.に記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例46:TATA結合タンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるTATA結合タンパク質(配列番号31)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をMethods in Enzymology,Academic Pressに記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃でも安定であった。
(実施例47:TBP相互作用タンパク質)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるTBP相互作用タンパク質(配列番号1289)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をMethods in Enzymology,Academic Pressに記載される方法に従って測定したところ、このタンパク質としての活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例48:RNアーゼHII)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるRNアーゼHII(配列番号856)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例49:ヒドロゲナーゼ成熟因子)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるヒドロゲナーゼ成熟因子(配列番号1144、1154、1156、1516、1518、1519、1869および1871)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例50:Lonプロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるLonプロテアーゼ(配列番号929)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例51:チオールプロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるチオールプロテアーゼをEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例52:フラゲリン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフラゲリン(配列番号11、350、351、727および728)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液をAldridge P,Hughes KT.,Curr Opin Microbiol.2002 Apr;5(2):160−5またはそれに記載される文献に示される方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例53:スブチリシン様プロテアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるスブチリシン様プロテアーゼ(配列番号979)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素溶液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例54:細胞分裂制御タンパク質A)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる細胞分裂制御タンパク質A(配列番号1369)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラネミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質溶液を用いて細胞分裂制御の活性を確認したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例55:エンドヌクレアーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエンドヌクレアーゼ(配列番号547、697、900、1450、1702、1716、1731、2010)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、それぞれPCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液を丸尾文治、田宮信雄監修、酵素ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載のエンドヌクレアーゼアッセイに準じた方法に従って測定したところ、酵素活性が確認された。また、この酵素は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例56:フェレドキシン)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるフェレドキシン(配列番号253)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質液を丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例57:エキソ−β−D−グルコサミニダーゼ)
本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされるエキソ−β−D−グルコサミニダーゼ(配列番号1902)をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施した。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得た。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換した。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続した。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得た。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とした。
この粗タンパク質液を丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)に記載の方法に従って測定したところ、タンパク質活性が確認された。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有していた。
(実施例58:他の推定機能の確認)
上記実施例において生物学的機能が実証された遺伝子産物以外のものについて、本発明によって得られたオープンリーディングフレームによりコードされる遺伝子産物をEscherichia coli内で発現させるために、以下の操作を実施する。これらのオープンリーディングフレームを含むフラグメントを、PCRを用いて増幅し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)に挿入して、発現プラスミドを得る。このプラスミドを用いてEscherichia coli BL21(DE3)株を形質転換する。
出現したアンピシリン耐性形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)を含有するNZCYM培地(1%NZアミン、0.5% NaCl、0.5%イーストエキス、0.1%カザミノ酸、0.2%MgSO4・7H2O(pH7))に接種し、37℃でOD660が0.4になるまで培養し、次いでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG、0.1mM)を添加し、さらに4時間37℃で培養を継続する。培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、超音波処理により破砕し、これを再度遠心分離することにより細胞抽出液を得る。この細胞抽出液を80℃で15分間加熱し、次いで遠心分離して上清を得、これを粗タンパク質液とする。
この粗タンパク質液を、発現させたタンパク質の表2に記載の推定機能について、丸尾文治、田宮信雄監修、タンパク質ハンドブック、朝倉書店(1982)またはMethods in Enzymologyシリーズ、Academic Pressに記載の方法に従って測定する。アッセイ後活性が確認される。また、このタンパク質は、90℃に至適温度を有することが確認される。
(実施例59:生体分子チップ−DNAチップ)
次に、生体分子チップの作製例を示す。この実施例では、配列の異なるDNAを基板上に配列し、固定化する方法を述べる。
本発明の特定の配列のDNA断片の集合体を、ドット形状に基板に固定されたDNAスポットとして固定する。基板は、通常ガラスを用いるがプラスチックでもよい。形状は、DNAチップのような四角形でもよいし、円形でもよい。DNAドットは各々異なる本発明の遺伝子をコードする任意のDNAを含み、基板とは固定化されている。DNAドットの大きさは、マイクロアレイの場合は直径100〜200μm、DNAチップの場合は、10〜30μmである。
次に、各々のDNAスポットの形成法を述べる。例えば、目的のDNA溶液を、ピン法、インクジェット方式等を用いてDNAの基板上に配置する。
これによって製造されたDNAチップの調製例を図7に示す。
(実施例60:生体分子チップ−プロテインチップ)
次に、生体分子チップの作製例を示す。この実施例では、配列の異なるプロテインを基板上に配列し、固定化する方法を述べる。
本発明の特定の配列のプロテイン断片の集合体を、ドット形状に基板に固定されたプロテインスポットとして固定する。基板は、通常ガラスを用いるがプラスチックでもよい。形状は、DNAチップのような四角形でもよいし、円形でもよい。DNAドットは各々異なる本発明の遺伝子をコードする任意のDNAを含み、基板とは固定化されている。プロテインのドットの大きさは、マイクロアレイの場合は直径100〜200μm、プロテインチップの場合は、10〜30μmである。
次に、各々のプロテインのスポットの形成法を述べる。例えば、目的のプロテインの溶液を、ピン法、インクジェット方式等を用いてプロテインの基板上に配置する。
これによって製造されたプロテインチップの調製例を図7に示す。外観はDNAチップに類似する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
生物のゲノムの任意の場所で効率よく確実な遺伝子ターゲティングの方法およびそのためのキットを提供することができた。また、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノム全配列情報、およびそこに含まれる遺伝子の情報もまた提供される。
本発明は、種々の超耐熱性の遺伝子産物を提供し、しかも、生物のゲノムの任意の場所で効率よく確実な遺伝子ターゲティングの方法およびそのためのキットを提供するという点において有用である。このような種々の超耐熱性の遺伝子産物は、ゲノム解析などの点で超耐熱性の生物の全体的な解析にも応用することができる。
Claims (56)
- 生物のゲノムにおける任意の遺伝子をターゲティング破壊するための方法であって、
A)該生物のゲノムの全配列の情報を提供する工程;
B)該配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)該選択された領域と相同な配列、およびマーカー遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)該ベクターで該生物を形質転換する工程;および
E)該生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程、
を包含する、方法。 - 前記工程B)において、前記領域は少なくとも2つ選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記ベクターは、プロモーターをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記マーカー遺伝子の発現産物を検出する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記マーカー遺伝子は、前記選択された領域内に配置される、請求項1に記載の方法。
- 前記マーカー遺伝子は、前記選択された領域の外に配置される、請求項に1記載の方法。
- 前記ゲノムは、Thermococcus kodakaraensis KOD1のゲノムである、請求項1に記載の方法。
- 前記ゲノムは、配列番号1または1087に示される配列を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記領域は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 配列番号1または1087に示される配列を有する、核酸分子。
- 配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続する核酸配列を含む、核酸分子。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列をコードする配列を含む、核酸分子。
- 表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、核酸分子。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチド。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド。
- 前記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、請求項17に記載のポリペプチド。
- 耐熱性タンパク質をスクリーニングする方法であって、
A)耐熱性生物のゲノムの全配列を提供する工程;
B)該配列の任意の少なくとも1つの領域を選択する工程;
C)該選択された領域と相同な配列、および該耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクターを提供する工程;
D)該ベクターで該生物を形質転換する工程;
E)該耐熱性生物を相同的組換えが生じる条件下に配置する工程;
F)相同的組換えが起きた該耐熱性生物を選択する工程;および
G)該耐熱性タンパク質を同定するアッセイを行う工程、
を包含する、方法。 - 耐熱性タンパク質をスクリーニングするキットであって、
A)耐熱性生物;ならびに
B)該耐熱性生物において選択されたある領域と相同な配列、および該耐熱性タンパク質の候補をコードする遺伝子を含むベクター、
を備える、キット。 - C)前記耐熱性タンパク質を同定するためのアッセイシステム、
をさらに備える、請求項20に記載のキット。 - 前記耐熱性生物は、超好熱始原菌である、請求項20に記載のキット。
- 前記耐熱性生物は、Thermococcus kodakaraensis KOD1である、請求項20に記載のキット。
- 生体分子チップであって、
配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、
生体分子チップ。 - 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列を網羅するように配置される、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の任意のオープンリーディングフレームを含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号1または1087に示される配列の実質的にすべてのオープンリーディングフレームを含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つの配列をコードする配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列を実質的にすべて含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも15の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも30の連続したヌクレオチド長を有する配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス値、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 前記支持体は、アドレス可能である、請求項24に記載の生体分子チップ。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の生体分子チップ。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2167からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の生体分子チップ。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、請求項37に記載の生体分子チップ。
- 前記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含む、請求項40に記載の生体分子チップ。
- 前記生物学的活性は、エピトープ活性を含む、請求項40に記載の生体分子チップ。
- 配列番号1または1087に示される配列の少なくとも8の連続または不連続のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその改変体の核酸配列の情報が格納された、記録媒体。
- 前記核酸分子またはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる配列をコードする配列の実質的にすべての配列の少なくとも8の連続したヌクレオチド長を有する配列、またはその1もしくは数個の置換、付加および/もしくは欠失を含む配列を含む、請求項43に記載の記録媒体。
- 前記核酸分子またはその改変体は、表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有するか、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を有する、請求項43に記載の記録媒体。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体のアミノ配列の情報が格納された、記録媒体。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の記録媒体。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも8つの連続するアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の記録媒体。
- 前記ポリペプチドまたはその改変体は、配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列の少なくとも3つの連続するまたは不連続のアミノ酸配列を含み、かつ、生物学的活性を有する、請求項46に記載の記録媒体。
- 前記生物学的活性は、表2における日本語または英語による説明に示される機能を含み、該機能に関する情報が格納される、請求項49に記載の記録媒体。
- 配列番号2〜341、343〜722、724〜1086、1088〜1468、1470〜1837、および1839〜2157からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列を含む、ポリペプチドまたはその改変体に対する抗体が少なくとも1つ支持体に配置された、生体分子チップ。
- 表2の読み枠がf−1、f−2またはf−3の場合、表2に示される配列番号1の核酸番号(センス鎖、開始)の位置から核酸番号(センス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列、あるいは表2の読み枠がr−1、r−2またはr−3の場合、配列番号1087の核酸番号(アンチセンス鎖、開始)の位置から核酸番号(アンチセンス鎖、終結)の位置までの配列またはその配列と少なくとも70%相同である配列と、相同な配列を有するRNAi分子。
- 少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体である、請求項52に記載のRNAi分子。
- 3’突出末端を含む、請求項52に記載のRNAi分子。
- 前記3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNAである、請求項54に記載のRNAi分子。
- 前記3’突出末端は、2〜4ヌクレオチド長のDNAである、請求項54に記載のRNAi分子。
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