JPWO2004008637A1 - デジタルフィルタの設計方法、デジタルフィルタ設計用プログラム、デジタルフィルタ - Google Patents
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Abstract
所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタに基づいて、中心周波数Fcが共通の通過域を有するハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13とを作成し、これらを縦続接続することによってバンドパスフィルタを設計することにより、数種類のユニットフィルタを組み合わせた特性値どうしの相殺により必要な周波数帯域を抜き出すようにすることなく、ハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13との縦続接続だけで、互いに重なった部分をバンドパスフィルタの通過域として取り出すことができるようにする。
Description
本発明は、デジタルフィルタの設計方法、デジタルフィルタ設計用プログラム、デジタルフィルタに関し、特に、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線を備え、各タップの信号をそれぞれ数倍した後、加算して出力するFIRフィルタの設計法に関するものである。
通信、計測、音声・画像信号処理、医療、地震学などの様々な分野で提供されている種々の電子機器においては、その内部で何らかのデジタル信号処理を行っているのが通常である。デジタル信号処理の最も重要な基本操作に、各種の信号や雑音が混在している入力信号の中から、必要なある周波数帯域の信号のみを取り出すフィルタリング処理がある。このために、デジタル信号処理を行う電子機器では、デジタルフィルタが用いられることが多い。
デジタルフィルタとしては、IIR(Infinite Impulse Response:無限長インパルス応答)フィルタやFIR(Finite Impulse Response:有限長インパルス応答)フィルタが多く用いられる。このうちFIRフィルタは、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線を備え、各タップの信号をそれぞれ数倍した後、加算して出力するタイプのフィルタであり、次のような利点を持つ。第1に、FIRフィルタの伝達関数の極はz平面の原点のみにあるため、回路は常に安定である。第2に、完全に正確な直線位相特性を実現することができる。
フィルタを通過域と阻止域との配置から分類すると、主にローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタの4つに分けられる。IIRフィルタやFIRフィルタで基本となるのはローパスフィルタであり、その他のハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタは、ローパスフィルタから周波数変換等の処理を行うことによって導かれる。
従来、基本となるローパスフィルタを設計する際には、サンプリング周波数とカットオフ周波数との比率をもとに、窓関数やチェビシェフ近似法などを用いた畳み込み演算等を行うことにより、FIRフィルタの各タップに対する係数を求める。そして、その求めたフィルタ係数を用いてシミュレーションを行うことにより周波数特性を確認しながら、係数値を適宜修正し、所要特性のローパスフィルタを得ていた。
また、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタ等の他のフィルタを設計する際には、まず上述のような手順で基本となるローパスフィルタを複数設計する。そして、それらを組み合わせて周波数変換等の操作を行うことにより、所望の周波数特性を有するFIRフィルタを設計していた。
しかしながら、上記従来のフィルタ設計法では、熟練した技術者が時間と手間をかけて設計する必要があり、所望特性のFIRフィルタを容易には設計できないという問題があった。
また、仮に所望特性に近いFIRフィルタを設計できたとしても、設計されたフィルタのタップ数は膨大となり、しかもその係数値は非常に複雑でランダムな値となる。そのため、そのタップ数および係数値を実現するためには大規模な回路構成(加算器、乗算器)が必要になるという問題もあった。また、設計されたFIRフィルタを実際に使用する際に、その演算量が非常に多くなり、処理負荷が重くなるという問題もあった。
そこで本出願人は、このような問題点に鑑みて、所望の周波数特性を有するFIRデジタルフィルタを簡易的に設計でき、かつ、希望する周波数特性を小さな回路規模で高精度に実現することが可能なフィルタ設計法を考案し、特許出願した(特願2001−400673)。
本発明は、この既出願の内容を更に改良するものであり、所望の周波数特性をより高精度に実現でき、かつ、そのような周波数特性を持つFIRデジタルフィルタをより簡易的に設計できるようにすることを目的とする。
デジタルフィルタとしては、IIR(Infinite Impulse Response:無限長インパルス応答)フィルタやFIR(Finite Impulse Response:有限長インパルス応答)フィルタが多く用いられる。このうちFIRフィルタは、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線を備え、各タップの信号をそれぞれ数倍した後、加算して出力するタイプのフィルタであり、次のような利点を持つ。第1に、FIRフィルタの伝達関数の極はz平面の原点のみにあるため、回路は常に安定である。第2に、完全に正確な直線位相特性を実現することができる。
フィルタを通過域と阻止域との配置から分類すると、主にローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタの4つに分けられる。IIRフィルタやFIRフィルタで基本となるのはローパスフィルタであり、その他のハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタは、ローパスフィルタから周波数変換等の処理を行うことによって導かれる。
従来、基本となるローパスフィルタを設計する際には、サンプリング周波数とカットオフ周波数との比率をもとに、窓関数やチェビシェフ近似法などを用いた畳み込み演算等を行うことにより、FIRフィルタの各タップに対する係数を求める。そして、その求めたフィルタ係数を用いてシミュレーションを行うことにより周波数特性を確認しながら、係数値を適宜修正し、所要特性のローパスフィルタを得ていた。
また、ハイパスフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタ等の他のフィルタを設計する際には、まず上述のような手順で基本となるローパスフィルタを複数設計する。そして、それらを組み合わせて周波数変換等の操作を行うことにより、所望の周波数特性を有するFIRフィルタを設計していた。
しかしながら、上記従来のフィルタ設計法では、熟練した技術者が時間と手間をかけて設計する必要があり、所望特性のFIRフィルタを容易には設計できないという問題があった。
また、仮に所望特性に近いFIRフィルタを設計できたとしても、設計されたフィルタのタップ数は膨大となり、しかもその係数値は非常に複雑でランダムな値となる。そのため、そのタップ数および係数値を実現するためには大規模な回路構成(加算器、乗算器)が必要になるという問題もあった。また、設計されたFIRフィルタを実際に使用する際に、その演算量が非常に多くなり、処理負荷が重くなるという問題もあった。
そこで本出願人は、このような問題点に鑑みて、所望の周波数特性を有するFIRデジタルフィルタを簡易的に設計でき、かつ、希望する周波数特性を小さな回路規模で高精度に実現することが可能なフィルタ設計法を考案し、特許出願した(特願2001−400673)。
本発明は、この既出願の内容を更に改良するものであり、所望の周波数特性をより高精度に実現でき、かつ、そのような周波数特性を持つFIRデジタルフィルタをより簡易的に設計できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線における各タップの信号を、所定の基本的な数値列より成るフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、それらの乗算結果を加算して出力するように成された基本ユニットフィルタに基づいて、互いに共通の通過域を有する1以上のユニットフィルタを作成し、上記1以上のユニットフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行う。
上記基本ユニットフィルタのフィルタ係数は、例えば、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率の数値列もしくは1,0,9,16,9,0,1の比率の数値列から成るものである。
また、上記1以上のユニットフィルタは、例えば、略同じ中心周波数を有するハイパスユニットフィルタとローパスユニットフィルタとを含む。
本発明の他の態様では、上記各タップの間に数クロック分のディレイを挿入することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を狭くする。
本発明の他の態様では、上記ユニットフィルタをYFで表した場合、
a*YFi−b*YFj
ただし、YFに対する乗算は上記ユニットフィルタの縦続接続を表し、a,b,i,jは上記ユニットフィルタの縦続接続数を表す係数であり、a>b、i<jの関係が成り立つように上記ユニットフィルタを縦続接続することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を広くする。
本発明の他の態様では、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線における各タップの信号を、所定の基本的な数値列より成るフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、それらの乗算結果を加算して出力するように成された基本ユニットフィルタに基づいて、比較的広い通過域を有するユニットフィルタを作成し、上記ユニットフィルタの通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分が通過域となるバンドパスフィルタを設計する。
本発明の他の態様では、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタの何れか一方または双方に対して、請求の範囲第3項および請求の範囲第4項の何れか一方または双方の操作を行うことにより、上記バンドパスフィルタの通過域を微調整する。
本発明の他の態様では、上述の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行う。
上記のように本発明では、所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタから作成された1以上のユニットフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタを設計するようにした。または、比較的広い通過域を有するユニットフィルタの当該通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタを設計するようにしたので、殆どユニットフィルタの組み合わせだけでデジタルフィルタの複雑なフィルタ係数を得ることができ、熟練した技術者でなくてもフィルタ設計を極めて簡単に行うことができる。
また、本発明によれば、設計されるデジタルフィルタに必要なタップ数は非常にわずかで済み、かつ、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数の種類も非常に少なくて済むので、デジタルフィルタの構成を極めて簡単にすることができる。したがって、回路素子数(特に乗算器)を大幅に削減して回路規模を小さくすることができるとともに、消費電力の低減、演算負荷の軽減等を図ることができる。また、設計されるデジタルフィルタは、ユニットフィルタという同一パターンの繰り返しから成る極めて単純な構成であるので、集積化に際して工数を短縮することができ、IC化を容易にすることもできる。
また、本発明の他の特徴によれば、各タップ間に挿入するディレイの数(フィルタ係数間に挿入する“0”の数)がより多いユニットフィルタを縦続接続してデジタルフィルタを設計することにより、フィルタの縦続段数やタップ数を増やすことなく、バンド幅を任意に狭めることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、
a*YFi−b*YFj(a,b,i,jは係数。a>b、i<j)
の関係を満たすようにユニットフィルタを縦続接続するだけで、バンド幅を任意に広げることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、比較的広い通過域を有するユニットフィルタの当該通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、当該ハイパスフィルタおよびローパスフィルタの何れか一方または双方に対して上述のバンド幅を狭める操作またはバンド幅を広げる操作を行うようにしたので、バンド幅を簡単に微調整することができる。
上記基本ユニットフィルタのフィルタ係数は、例えば、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率の数値列もしくは1,0,9,16,9,0,1の比率の数値列から成るものである。
また、上記1以上のユニットフィルタは、例えば、略同じ中心周波数を有するハイパスユニットフィルタとローパスユニットフィルタとを含む。
本発明の他の態様では、上記各タップの間に数クロック分のディレイを挿入することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を狭くする。
本発明の他の態様では、上記ユニットフィルタをYFで表した場合、
a*YFi−b*YFj
ただし、YFに対する乗算は上記ユニットフィルタの縦続接続を表し、a,b,i,jは上記ユニットフィルタの縦続接続数を表す係数であり、a>b、i<jの関係が成り立つように上記ユニットフィルタを縦続接続することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を広くする。
本発明の他の態様では、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線における各タップの信号を、所定の基本的な数値列より成るフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、それらの乗算結果を加算して出力するように成された基本ユニットフィルタに基づいて、比較的広い通過域を有するユニットフィルタを作成し、上記ユニットフィルタの通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分が通過域となるバンドパスフィルタを設計する。
本発明の他の態様では、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタの何れか一方または双方に対して、請求の範囲第3項および請求の範囲第4項の何れか一方または双方の操作を行うことにより、上記バンドパスフィルタの通過域を微調整する。
本発明の他の態様では、上述の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行う。
上記のように本発明では、所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタから作成された1以上のユニットフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタを設計するようにした。または、比較的広い通過域を有するユニットフィルタの当該通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタを設計するようにしたので、殆どユニットフィルタの組み合わせだけでデジタルフィルタの複雑なフィルタ係数を得ることができ、熟練した技術者でなくてもフィルタ設計を極めて簡単に行うことができる。
また、本発明によれば、設計されるデジタルフィルタに必要なタップ数は非常にわずかで済み、かつ、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数の種類も非常に少なくて済むので、デジタルフィルタの構成を極めて簡単にすることができる。したがって、回路素子数(特に乗算器)を大幅に削減して回路規模を小さくすることができるとともに、消費電力の低減、演算負荷の軽減等を図ることができる。また、設計されるデジタルフィルタは、ユニットフィルタという同一パターンの繰り返しから成る極めて単純な構成であるので、集積化に際して工数を短縮することができ、IC化を容易にすることもできる。
また、本発明の他の特徴によれば、各タップ間に挿入するディレイの数(フィルタ係数間に挿入する“0”の数)がより多いユニットフィルタを縦続接続してデジタルフィルタを設計することにより、フィルタの縦続段数やタップ数を増やすことなく、バンド幅を任意に狭めることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、
a*YFi−b*YFj(a,b,i,jは係数。a>b、i<j)
の関係を満たすようにユニットフィルタを縦続接続するだけで、バンド幅を任意に広げることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、比較的広い通過域を有するユニットフィルタの当該通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、当該ハイパスフィルタおよびローパスフィルタの何れか一方または双方に対して上述のバンド幅を狭める操作またはバンド幅を広げる操作を行うようにしたので、バンド幅を簡単に微調整することができる。
図1は、本実施形態のフィルタ設計法で最も基本となる4種類の基本ユニットフィルタF0〜F3の回路構成およびフィルタ係数の数値列を示す図である。
図2は、ローパスユニットフィルタL10の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図3は、ローパスユニットフィルタL11の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図4は、ローパスユニットフィルタL10,L11の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図5は、ローパスユニットフィルタ(L10)mの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図6は、ハイパスユニットフィルタH10の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図7は、ハイパスユニットフィルタH10,H11の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図8は、ハイパスユニットフィルタ(H10)mの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図9は、本実施形態によるバンドパスフィルタの設計法を模式的に示す図である。
図10は、本実施形態によるバンドパスフィルタの具体的な設計例を示す図である。
図11は、本実施形態によるバンドパスフィルタの具体的な設計例を示す図である。
図12は、本実施形態によるバンドパスフィルタの回路構成例を示す図である。
図13は、図12に示したバンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図14は、バンド幅を狭める手段を模式的に示す図である。
図15は、バンド幅を広げる手段を模式的に示す図である。
図16は、ハイパスユニットフィルタH18のバンド幅を調整した結果の周波数−ゲイン特性の例を示す図である。
図17は、バンド幅を微調整する手段を模式的に示す図である。
図2は、ローパスユニットフィルタL10の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図3は、ローパスユニットフィルタL11の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図4は、ローパスユニットフィルタL10,L11の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図5は、ローパスユニットフィルタ(L10)mの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図6は、ハイパスユニットフィルタH10の生成アルゴリズムおよび回路構成を示す図である。
図7は、ハイパスユニットフィルタH10,H11の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図8は、ハイパスユニットフィルタ(H10)mの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図9は、本実施形態によるバンドパスフィルタの設計法を模式的に示す図である。
図10は、本実施形態によるバンドパスフィルタの具体的な設計例を示す図である。
図11は、本実施形態によるバンドパスフィルタの具体的な設計例を示す図である。
図12は、本実施形態によるバンドパスフィルタの回路構成例を示す図である。
図13は、図12に示したバンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図14は、バンド幅を狭める手段を模式的に示す図である。
図15は、バンド幅を広げる手段を模式的に示す図である。
図16は、ハイパスユニットフィルタH18のバンド幅を調整した結果の周波数−ゲイン特性の例を示す図である。
図17は、バンド幅を微調整する手段を模式的に示す図である。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本出願人が既に出願した特願2001−400673(以下、既出願と言う)の概要を以下に説明する。この既出願は、以下に説明する4種類の基本ユニットフィルタF0,F1,F2,F3を用いて4種類のユニットフィルタL1n,L2n,H1n,H2nを作り、これらの組み合わせだけで所望の周波数特性を有するFIRフィルタを設計できるようにしたものである。
図1は、上記4種類の基本ユニットフィルタF0〜F3を示す図であり、(a)は回路構成を示し、(b)はフィルタ係数の数値列を示している。図1(a)に示すように、基本ユニットフィルタF0〜F3では、縦続接続された5個のD型フリップフロップ1−1〜1−5によって入力信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。そして、各D型フリップフロップ1−1〜1−5の入出力タップから取り出した信号に対し、フィルタ係数を16倍した結果の整数値h1〜h6を6個の係数器2−1〜2−6でそれぞれ乗算し、それらの乗算結果をすべて5個の加算器3−1〜3−5で加算する。さらに、最終段の加算器3−5の出力段に設けられた乗算器4において、加算出力を1/16倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
4種類の基本ユニットフィルタF0〜F3は、何れも回路構成は図1(a)のようになっており、フィルタ係数(係数器2−1〜2−6の乗数値h1〜h6)のみが図1(b)のように異なっている。図1(b)から分かるように、基本ユニットフィルタF0〜F3のフィルタ係数は、その絶対値として“1”または“8”のみを用いた極めて単純な数値列から成り、正または負の符号を加えてその配列を異ならせたものである。ただし、どの基本ユニットフィルタF0〜F3の係数も、中央付近のタップに対する乗数値h3,h4は絶対値が“8”、その両側のタップに対する乗数値h1,h2,h5,h6は絶対値が“1”となっている。
ユニットフィルタL1n,L2n,H1n,H2nは、これらの基本ユニットフィルタF0〜F3を用いて生成する。なお、ユニットフィルタを表す符号の後ろに付けた“n”の文字は、各タップ間に挿入するディレイのクロック数、すなわち、各フィルタ係数の間に挿入する“0”の数を示している(詳しくは後述する)。
図2は、ローパスユニットフィルタL10を示す図であり、(a)は当該ローパスユニットフィルタL10の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。図2(a)に示すように、ローパスユニットフィルタL10は、基本ユニットフィルタF0のフィルタ係数に対して1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
回路構成では、図2(b)に示すように、基本ユニットフィルタ(F0)11の後段に接続されたD型フリップフロップ12によって、基本ユニットフィルタ11の出力信号を1クロックCKだけ遅延させる。そして、D型フリップフロップ12によって遅延を受ける前後の信号を加算器13で加算し、その加算出力を乗算器14で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
図3は、ローパスユニットフィルタL11を示す図であり、(a)は当該ローパスユニットフィルタL11の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。ローパスユニットフィルタL11のフィルタ係数は、上記ローパスユニットフィルタL10の各フィルタ係数の間に“0”を1つずつ挿入することによって生成する。すなわち、ローパスユニットフィルタL11のフィルタ係数は、図3(a)に示すように、基本ユニットフィルタF01のフィルタ係数に対して1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
ローパスユニットフィルタL11の回路構成では、図3(b)に示すように、基本ユニットフィルタ(F01)21の後段に縦続接続された2つのD型フリップフロップ22−1,22−2によって、基本ユニットフィルタ21の出力信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。そして、2つのD型フリップフロップ22−1,22−2によって遅延を受ける前後の信号を加算器23で加算し、その加算出力を乗算器24で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
同様に、ローパスユニットフィルタL1n(n=2,3,・・・)のフィルタ係数は、ローパスユニットフィルタL10の各フィルタ係数の間に“0”をn個ずつ挿入することによって生成する。
図4は、ローパスユニットフィルタL10,L11の周波数−ゲイン特性を示す図である。ここではゲインおよび周波数を“1”で基準化している。この図4から分かるように、フィルタ係数間に挿入する“0”の数をnとすると、その周波数−ゲイン特性の周波数軸(周波数方向に対する周期)は1/nとなる。
次に、ユニットフィルタの縦続接続について説明する。ローパスユニットフィルタを縦続接続することにより、各ユニットフィルタの係数どうしが乗算・加算されて新しいフィルタ係数が作り出される。以下では、例えばローパスユニットフィルタL10の縦続数をmとするとき、これを(L10)mと記述することにする。
図5は、ローパスユニットフィルタL10,(L10)2,(L10)4,(L10)8周波数−ゲイン特性を示す図である。この図5でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。ローパスユニットフィルタL10が1個のみの場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.25である。これに対して縦続数mが多くなると、フィルタの通過帯域幅が狭くなる。例えばm=8の場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.125となる。
図6は、ハイパスユニットフィルタH10を示す図であり、(a)は当該ハイパスユニットフィルタH10の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。ハイパスユニットフィルタH10のフィルタ係数は、図6(a)に示すように、基本ユニットフィルタF2,F3のフィルタ係数を用いて1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
回路構成では、図6(b)に示すように、入力信号が2つの基本ユニットフィルタ(F2)41,(F3)42を通り、一方の基本ユニットフィルタ42の出力信号はその後段に接続されたD型フリップフロップ43によって1クロックCKだけ遅延される。そして、基本ユニットフィルタ41の出力信号と、D型フリップフロップ43によって1クロック遅れた基本ユニットフィルタ42の出力信号とを加算器44で加算し、その加算出力を乗算器45で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
上述したローパスユニットフィルタL1nの場合と同様に、ハイパスユニットフィルタH1n(n≧1)のフィルタ係数は、ハイパスユニットフィルタH10の各フィルタ係数の間に“0”をn個ずつ挿入することによって生成する。また、m個のハイパスユニットフィルタH1nを縦続接続することによって、新しいフィルタ係数を作ることが可能である。ハイパスユニットフィルタ(H1n)mの周波数−ゲイン特性は、縦続数mが多くなるほど通過帯域幅が狭くなり、高周波域においても極めて深くストレートに落ち込む特性が得られる。
図7は、ハイパスユニットフィルタH10,H11の周波数−ゲイン特性を示す図である。この図7でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。この図7から分かるように、ハイパスユニットフィルタH1nの場合も、フィルタ係数間にn個の“0”を挿入すると、その周波数−ゲイン特性の周波数軸(周波数方向に対する周期)は1/nとなる。
また、図8は、ハイパスユニットフィルタH10,(H10)2,(H10)4,(H10)8の周波数−ゲイン特性を示す図である。この図8でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。ハイパスユニットフィルタH10が1個のみの場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.25である。これに対して縦続数mが多くなると、フィルタの通過帯域幅が狭くなる。例えばm=8の場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.375となる。
以上が既出願の基本的な内容である。以下に、本実施形態によるフィルタ設計法について説明する。ここでは、上述したローパスユニットフィルタL1nとハイパスユニットフィルタH1nとを組み合わせることによって、所望の周波数帯域を通過域とするバンドパスフィルタを設計する例について説明する。
バンドパスフィルタの中心周波数Fcまたは信号のサンプリング周波数Fsの何れかを自由に決定できるときは、周波数抜き取りの条件を最適化することにより、フィルタの構成をより簡素化することができる。今、バンドパスフィルタの中心周波数Fcと信号のサンプリング周波数Fsとの関係が、
Fs=Fc*(4+2k) (k=0,1,2,・・・)
であるとする。
この場合において、Fc=450KHzのとき、Fs=1.8MHz,2.7MHz,3.6MHz,・・・である。このような設定の場合には、ハイパスユニットフィルタH1(5+3k)とローパスユニットフィルタL1(3+2k)とを縦続接続するだけで、バンドパスフィルタを設計することができる。これらのハイパスユニットフィルタH1(5+3k)、ローパスユニットフィルタL1(3+2k)は共に、中心周波数Fcが450KHzとなる通過域を有している。
例えば、k=0(Fs=4Fc)の場合、ハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13との縦続接続によりバンドパスフィルタを設計することができる。また、k=1(Fs=6Fc)の場合、ハイパスユニットフィルタH18とローパスユニットフィルタL15との縦続接続によりバンドパスフィルタを設計することができる。
図9は、上述したバンドパスフィルタの設計法を模式的に示す図であり、(a)はk=0の場合、(b)はk=1の場合を示している。例えば図9(a)において、ハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13とを縦続接続すると、それぞれの通過域▲1▼,▲2▼で互いに重なった部分のみを通過域▲3▼として取り出すことができる。
図9(b)においても同様に、ハイパスユニットフィルタH18とローパスユニットフィルタL15とを縦続接続すると、それぞれの通過域▲1▼,▲2▼で互いに重なった部分のみを通過域▲3▼として取り出すことができる。k>0の場合は、求めるバンドパスフィルタの中心周波数Fc以外にも通過域が生じるので、これをローパスフィルタ(LPF1)▲4▼によって抜き取る。
バンドパスフィルタのバンド幅は、ハイパスユニットフィルタ(H1n)mあるいはローパスユニットフィルタ(L1n)mの縦続接続の段数(mの数)によって調整することが可能である。図9(b)に示す例では、ハイパスユニットフィルタH18およびローパスユニットフィルタL15の双方ともm=1としているが、これらを何れもm=8とした場合の周波数特性を、図10および図11に示す。
図10は、ハイパスユニットフィルタ(H18)8およびローパスユニットフィルタ(L15)8の周波数特性を重ねて示したものであり、これらのフィルタを縦続接続することにより、互いに重なった部分のみを取り出すことができる。また、図11は、LPF1あるいはLPF2による通過域の抜き取りを示したものであり、図10のように取り出した3つのバンドパスに対してLPF1あるいはLPF2をかけることにより、両端の通過域のみを取り出すことができる。
次に、実際の回路例を示す。目標規格は、中心周波数Fc=450KHz、−3dBバンド幅=100KHz、−80dBバンド幅=200KHzとする。図12は、この目標規格を実現するバンドパスフィルタの回路例を示す図である。
バンドパスの減衰量は、縦続接続するフィルタの個数に依存する。図12に示す回路では、80dB以上の減衰量を確保するために、8個のハイパスユニットフィルタH18と8個のローパスユニットフィルタL15との後段に、4個のローパスユニットフィルタL111を更に縦続接続している。これより後に接続されているローパスユニットフィルタ(L10)2、L11、L12、D型フリップフロップD9,D6および数個の乗加算器は、LPF1を構成する。なお、D9,D6は各々9クロック、6クロックのディレイを意味する。
この図12から分かるように、本実施形態のフィルタ設計法によれば、ほぼ同じユニットフィルタの繰り返しから成る極めて単純な構成で所望特性のバンドパスフィルタを得ることができる。また、各ユニットフィルタの内部構成は上述した通りであり、全体として必要なタップ数は144タップで、非常にわずかである。さらに、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数は−1/16,1/16,−8/16,8/16の4種類のみであり、特に−8/16=−1/2,8/16=1/2であるから、演算回路を格段に簡素化することができる。
図13は、図12のように構成したバンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示す図であり、(a)は全体の周波数特性を示し、ゲインを対数目盛りで表している。また、(b)および(c)は通過域の部分を拡大して示す図であり、(b)はゲインを対数目盛りで表し、(c)はゲインを直線目盛りで表している。
図13(a)から分かるように、図12のように構成したバンドパスフィルタは、80dB以上の減衰量を実現できている。しかし、−3dBのバンド幅は約63KHz、−80dBのバンド幅は約145KHzであり、要求仕様を満たしていない。図12の回路ではk=1(Fs=6Fc)としているが、より大きなバンド幅を必要とするときは、k≧2にしてサンプリング周波数Fsを大きくすれば良い。
次に、バンド幅を狭く調整するための手段について説明する。図5および図8を用いて上述したように、バンド幅を狭くするためにはフィルタの縦続段数を増やせば良いが、これには限界がある。ここでは、より効率的にバンド幅を狭くできる方法について説明する。図14は、その方法を模式的に示す図である。
図14(a)は図9(b)と同じものである。これより狭いバンド幅を得たい場合は、図14(b)に示すように、ハイパスユニットフィルタH18の代わりにハイパスユニットフィルタH114を用いる。ハイパスユニットフィルタH114は、ハイパスユニットフィルタH18と同様に中心周波数Fcが450KHzとなる通過域を有しており、しかも、バンド幅がハイパスユニットフィルタH18の9/15=3/5となっている。
したがって、このハイパスユニットフィルタH114を用いることにより、フィルタの縦続段数を増やすことなく、バンド幅を効率的に狭めることができる。また、ハイパスユニットフィルタH114は、各フィルタ係数の間に挿入する“0”の数を増やしただけなので、係数として実際に取り出すタップ数は全く増えず、回路規模が大きくなることもない。なお、ここではハイパスユニットフィルタH114を用いる例について説明したが、同じ中心周波数Fc=450KHzに通過域を有するユニットフィルタであれば、同様に用いることが可能である。
次に、バンド幅を広く調整するための手段について説明する。図15は、傾斜を含めたバンド幅の調整手法を説明するための周波数−ゲイン特性図である。この図15でもゲインを“1”で基準化している。ここでは、調整前のユニットフィルタの周波数特性をYFで表すものとする。上述したように、▲1▼に示すユニットフィルタYFを2個縦続接続すると、傾斜が急峻になってバンド幅が狭くなる(−6dBのクロック位置が低周波側に移動する)(▲2▼)。
そして、ゲインの中心値(=0.5)を軸として、▲2▼に示すユニットフィルタYF2の周波数−ゲイン特性を反転させる(▲3▼)。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルス(中心値が1で、その他が全て0のフィルタ係数に相当)からユニットフィルタYF2のフィルタ係数を引くことによって求められる(1−YF2)。ここでは、これを反転ユニットフィルタと呼ぶことにする。
さらに、▲3▼に示す反転ユニットフィルタを2個縦続接続する。これにより得られる周波数−ゲイン特性の傾斜は更に急峻になり、バンド幅も更に狭くなる(−6dBのクロック位置が高周波側に移動する)(▲4▼)。ここでは、縦続接続する反転ユニットフィルタの個数を▲2▼の場合と同じ2個としているが、これより多くすることにより、高周波側への移動量を、先ほどの低周波側への移動量より大きくすることができる。
最後に、ゲインの中心値(=0.5)を軸として、▲4▼に示す周波数−ゲイン特性を反転させる(▲5▼)。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルスから▲4▼のフィルタ係数を引くことによって求められる(1−(1−YF2)2)。元データ▲1▼の周波数特性と調整後データ▲5▼の周波数特性とを比較して見ると、調整後データ▲5▼の周波数特性は元データ▲1▼より傾斜が急峻になるとともに、バンド幅が広くなっている。
調整後データ▲5▼の式を展開すると、以下のようになる。
1−(1−YF2)2
=1−1+2YF2−YF4
=2YF2−YF4 ・・・(式1)
この式1は、▲1▼のユニットフィルタおよび▲3▼の反転ユニットフィルタをそれぞれ2個縦続接続した場合に得られる式であるが、縦続接続する段数はこれに限られない。ただし、バンド幅を広げるためには、▲1▼の縦続段数より▲3▼の縦続段数の方を多くするのが好ましい。
この場合、上述した式1は、次の式2のように一般化できる。
a*YFi−b*YFj ・・・(式2)
ただし、a,bは係数(a>b)、i<jであり、*は縦続接続を表す。図16は、調整前の元データとしてハイパスユニットフィルタH18を用い、このバンド幅を調整した結果の例を示す。ここでは、調整後のフィルタを
2*(H18)5−(H18)9
としている。この調整により、−3dBのバンド幅は約100KHz、−50dBのバンド幅は約200KHzとなる。
次に、バンド幅の周波数を微調整するための手段について説明する。図17は、周波数の微調整手法を説明するための周波数−ゲイン特性図である。この図17でもゲインを“1”で基準化している。
図17に示すように、ハイパスユニットフィルタH18の比較的広い通過域の中で、通過域が互いにオーバーラップするようにハイパスフィルタ(HPF)とローパスフィルタ(LPF)とを設計する。これらの各フィルタH18,HPF,LPFを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分(斜線部分)が通過域となるバンドパスフィルタを得ることができる。
このとき、ハイパスフィルタHPFおよびローパスフィルタLPFの何れか一方、あるいはその両方に対して、図5および図8あるいは図14で示したような通過域を狭める操作または、図15および図16で示したような通過域を広げる操作をすることにより、バンドパスフィルタのバンド幅を任意に微調整することができる。
図17(a)では、ローパスフィルタLPFに対して通過域を広げる操作をすることにより、バンドパスフィルタの片側のみを高周波側にシフトする例を示している。また、図17(b)では、ハイパスフィルタHPFに対して通過域を広げる操作をするとともに、ローパスフィルタLPFに対して通過域を狭める操作をすることにより、バンド幅を変えずにバンドパスフィルタの両側を低周波側にシフトする例を示している。
以上に説明した本実施形態によるデジタルフィルタの設計方法を実現するための装置は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、本実施形態のフィルタ設計装置は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどで構成され、RAMやROMあるいはハードディスク等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
したがって、コンピュータが上記本実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、これをコンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。
すなわち、各種のユニットフィルタL1n,H1n等に関するフィルタ係数を情報としてRAMあるいはROM等のメモリに保持しておき、ユーザがユニットフィルタL1n,H1n等に関する任意の組み合わせを指示すると、CPUが、上記メモリに保持されているフィルタ係数の情報を用いて、指示された組み合わせに対応するフィルタ係数を演算して求めるようにすることが可能である。
例えば、各種のユニットフィルタL1n,H1nをアイコン化しておき(各アイコンに対応してフィルタ係数を情報として保持している)、ユーザがこれらのアイコンをディスプレイ画面上で任意に組み合わせて配置することにより、CPUがその配列に対応するフィルタ係数を自動的に演算して求めるようにしても良い。また、求めたフィルタ係数を自動的にFFT変換し、その結果を周波数−ゲイン特性図として表示するようにすれば、設計したフィルタの特性を確認することができ、フィルタ設計をより容易に行うことができる。
なお、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタをベースとした1以上のユニットフィルタを用いて、これらを縦続接続することによって所望の周波数特性を有するFIRフィルタを設計するようにしたので、殆どユニットフィルタの組み合わせだけでバンドパスフィルタの複雑なフィルタ係数を生成することができる。したがって、フィルタ設計法が単純で考えやすく、熟練した技術者でなくてもフィルタ設計を極めて簡単に行うことができる。
また、本実施形態を適用して設計されるフィルタ回路に必要なタップ数は非常にわずかで済み、かつ、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数は−1/16,1/16,−8/16,8/16の4種類のみであるから、フィルタ回路の構成を極めて簡単にすることができる。したがって、回路素子数(特に乗算器)を大幅に削減してフィルタ回路の規模を小さくすることができるとともに、消費電力の低減、演算負荷の軽減等を図ることができる。
また、本実施形態を適用して設計されるフィルタ回路は、殆ど同一パターンの繰り返しから成る極めて単純な構成であるので、集積化に際して工数を短縮することができ、IC化を容易にすることができるというメリットも有する。また、特性面では遮断特性の極めて大きな改善が可能となり、位相特性も直線で優れたフィルタ特性を得ることができる。
また、本実施形態では、バンドパスフィルタの中心周波数Fcまたは信号のサンプリング周波数Fsの何れかを自由に決定できるときは、ハイパスユニットフィルタH1(5+3k)とローパスユニットフィルタL1(3+2k)とを縦続接続するだけで、バンドパスフィルタを設計することができる。これにより、数種類のユニットフィルタを組み合わせた特性値どうしの相殺により必要な周波数帯域を抜き出すようにする必要もなく、バンドパスフィルタの設計を極めて簡単に行うことができるとともに、フィルタの構成をより簡素化することができる。
この場合において、フィルタの中心周波数Fcが同じで、かつ、フィルタ係数間に挿入する“0”の数がより多い(kの値が大きい)ユニットフィルタを縦続接続してバンドパスフィルタを設計することにより、フィルタの縦続段数やタップ数を増やすことなく、バンド幅を効率的に狭めることができる。すなわち、フィルタの回路規模を大きくすることなく、バンド幅を簡単に狭くすることができるようになる。
さらに、本実施形態では、
a*(H1n)i−b*(H1n)jあるいは
a*(L1n)i−b*(L1n)j
(a,b,i,jは係数。a>b、i<j)
の関係を満たすようにユニットフィルタを縦続接続するだけで、バンド幅を任意に広げることもできる。
また、このようにバンド幅を広げる操作と上述したバンド幅を狭める操作とを用いることにより、バンド幅を簡単に微調整することもできる。これにより、所望の周波数特性をより高精度に実現でき、かつ、そのような周波数特性を持つFIRデジタルフィルタをより簡易的に設計することができるようになる。
なお、上記実施形態では、基本ユニットフィルタの例としてL0〜L3を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、絶対値が“1”と“8”の数値を用いて図1(b)と異なる数値列を基本ユニットフィルタのフィルタ係数とするようにしても良い。また、上記実施形態では、ユニットフィルタの例としてL1n,H1nの2種類を示したが、これに限定されない。
また、上記実施形態では、基本ユニットフィルタのフィルタ係数として、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率から成る数値列を用いたが、これを1回移動平均して得られる、絶対値が1,0,9,16,9,0,1の比率から成る数値列を用いても良い。
また、上記実施形態では、バンドパスフィルタを設計する例について主に説明したが、同様の手法によりハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ等を設計することも可能である。以下に、これらの各フィルタを設計する場合の手法を簡単に説明する。
<バンドパスフィルタを作る場合>
▲1▼ハイパスユニットフィルタH11を縦続接続する(Fs=4*Fcに限る)。
▲2▼ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとを使用する。
▲3▼通過域が互いに重なったハイパスフィルタとローパスフィルタとを作る。
(互いに重なったバンドパスフィルタでも可)
<ハイパスフィルタを作る場合>
▲1▼ハイパスユニットフィルタH10を縦続接続する。
▲2▼(H10)m1*(H11)m2を作る。
<ローパスフィルタを作る場合>
▲1▼ローパスユニットフィルタL10を縦続接続する。
▲2▼(L10)m1*(L11)m2を作る。
<バンドエリミネーションフィルタを作る場合>
▲1▼ゲインの中心値を軸として、バンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を反転させる。具体的には、バンドパスフィルタの係数の最大値を基準ゲイン値“1”より減算するとともに、他の係数の極性を反転する。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルスからバンドパスフィルタのフィルタ係数を引くことによって求められる。
また、上述の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行うようにしても良い。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
図1は、上記4種類の基本ユニットフィルタF0〜F3を示す図であり、(a)は回路構成を示し、(b)はフィルタ係数の数値列を示している。図1(a)に示すように、基本ユニットフィルタF0〜F3では、縦続接続された5個のD型フリップフロップ1−1〜1−5によって入力信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。そして、各D型フリップフロップ1−1〜1−5の入出力タップから取り出した信号に対し、フィルタ係数を16倍した結果の整数値h1〜h6を6個の係数器2−1〜2−6でそれぞれ乗算し、それらの乗算結果をすべて5個の加算器3−1〜3−5で加算する。さらに、最終段の加算器3−5の出力段に設けられた乗算器4において、加算出力を1/16倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
4種類の基本ユニットフィルタF0〜F3は、何れも回路構成は図1(a)のようになっており、フィルタ係数(係数器2−1〜2−6の乗数値h1〜h6)のみが図1(b)のように異なっている。図1(b)から分かるように、基本ユニットフィルタF0〜F3のフィルタ係数は、その絶対値として“1”または“8”のみを用いた極めて単純な数値列から成り、正または負の符号を加えてその配列を異ならせたものである。ただし、どの基本ユニットフィルタF0〜F3の係数も、中央付近のタップに対する乗数値h3,h4は絶対値が“8”、その両側のタップに対する乗数値h1,h2,h5,h6は絶対値が“1”となっている。
ユニットフィルタL1n,L2n,H1n,H2nは、これらの基本ユニットフィルタF0〜F3を用いて生成する。なお、ユニットフィルタを表す符号の後ろに付けた“n”の文字は、各タップ間に挿入するディレイのクロック数、すなわち、各フィルタ係数の間に挿入する“0”の数を示している(詳しくは後述する)。
図2は、ローパスユニットフィルタL10を示す図であり、(a)は当該ローパスユニットフィルタL10の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。図2(a)に示すように、ローパスユニットフィルタL10は、基本ユニットフィルタF0のフィルタ係数に対して1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
回路構成では、図2(b)に示すように、基本ユニットフィルタ(F0)11の後段に接続されたD型フリップフロップ12によって、基本ユニットフィルタ11の出力信号を1クロックCKだけ遅延させる。そして、D型フリップフロップ12によって遅延を受ける前後の信号を加算器13で加算し、その加算出力を乗算器14で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
図3は、ローパスユニットフィルタL11を示す図であり、(a)は当該ローパスユニットフィルタL11の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。ローパスユニットフィルタL11のフィルタ係数は、上記ローパスユニットフィルタL10の各フィルタ係数の間に“0”を1つずつ挿入することによって生成する。すなわち、ローパスユニットフィルタL11のフィルタ係数は、図3(a)に示すように、基本ユニットフィルタF01のフィルタ係数に対して1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
ローパスユニットフィルタL11の回路構成では、図3(b)に示すように、基本ユニットフィルタ(F01)21の後段に縦続接続された2つのD型フリップフロップ22−1,22−2によって、基本ユニットフィルタ21の出力信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。そして、2つのD型フリップフロップ22−1,22−2によって遅延を受ける前後の信号を加算器23で加算し、その加算出力を乗算器24で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
同様に、ローパスユニットフィルタL1n(n=2,3,・・・)のフィルタ係数は、ローパスユニットフィルタL10の各フィルタ係数の間に“0”をn個ずつ挿入することによって生成する。
図4は、ローパスユニットフィルタL10,L11の周波数−ゲイン特性を示す図である。ここではゲインおよび周波数を“1”で基準化している。この図4から分かるように、フィルタ係数間に挿入する“0”の数をnとすると、その周波数−ゲイン特性の周波数軸(周波数方向に対する周期)は1/nとなる。
次に、ユニットフィルタの縦続接続について説明する。ローパスユニットフィルタを縦続接続することにより、各ユニットフィルタの係数どうしが乗算・加算されて新しいフィルタ係数が作り出される。以下では、例えばローパスユニットフィルタL10の縦続数をmとするとき、これを(L10)mと記述することにする。
図5は、ローパスユニットフィルタL10,(L10)2,(L10)4,(L10)8周波数−ゲイン特性を示す図である。この図5でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。ローパスユニットフィルタL10が1個のみの場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.25である。これに対して縦続数mが多くなると、フィルタの通過帯域幅が狭くなる。例えばm=8の場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.125となる。
図6は、ハイパスユニットフィルタH10を示す図であり、(a)は当該ハイパスユニットフィルタH10の生成法を示し、(b)は回路構成を示している。ハイパスユニットフィルタH10のフィルタ係数は、図6(a)に示すように、基本ユニットフィルタF2,F3のフィルタ係数を用いて1回の移動平均演算を行うことによって生成する。
回路構成では、図6(b)に示すように、入力信号が2つの基本ユニットフィルタ(F2)41,(F3)42を通り、一方の基本ユニットフィルタ42の出力信号はその後段に接続されたD型フリップフロップ43によって1クロックCKだけ遅延される。そして、基本ユニットフィルタ41の出力信号と、D型フリップフロップ43によって1クロック遅れた基本ユニットフィルタ42の出力信号とを加算器44で加算し、その加算出力を乗算器45で1/2倍することにより、振幅を元に戻して出力する。
上述したローパスユニットフィルタL1nの場合と同様に、ハイパスユニットフィルタH1n(n≧1)のフィルタ係数は、ハイパスユニットフィルタH10の各フィルタ係数の間に“0”をn個ずつ挿入することによって生成する。また、m個のハイパスユニットフィルタH1nを縦続接続することによって、新しいフィルタ係数を作ることが可能である。ハイパスユニットフィルタ(H1n)mの周波数−ゲイン特性は、縦続数mが多くなるほど通過帯域幅が狭くなり、高周波域においても極めて深くストレートに落ち込む特性が得られる。
図7は、ハイパスユニットフィルタH10,H11の周波数−ゲイン特性を示す図である。この図7でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。この図7から分かるように、ハイパスユニットフィルタH1nの場合も、フィルタ係数間にn個の“0”を挿入すると、その周波数−ゲイン特性の周波数軸(周波数方向に対する周期)は1/nとなる。
また、図8は、ハイパスユニットフィルタH10,(H10)2,(H10)4,(H10)8の周波数−ゲイン特性を示す図である。この図8でもゲインおよび周波数を“1”で基準化している。ハイパスユニットフィルタH10が1個のみの場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.25である。これに対して縦続数mが多くなると、フィルタの通過帯域幅が狭くなる。例えばm=8の場合、振幅が0.5となる位置のクロックは0.375となる。
以上が既出願の基本的な内容である。以下に、本実施形態によるフィルタ設計法について説明する。ここでは、上述したローパスユニットフィルタL1nとハイパスユニットフィルタH1nとを組み合わせることによって、所望の周波数帯域を通過域とするバンドパスフィルタを設計する例について説明する。
バンドパスフィルタの中心周波数Fcまたは信号のサンプリング周波数Fsの何れかを自由に決定できるときは、周波数抜き取りの条件を最適化することにより、フィルタの構成をより簡素化することができる。今、バンドパスフィルタの中心周波数Fcと信号のサンプリング周波数Fsとの関係が、
Fs=Fc*(4+2k) (k=0,1,2,・・・)
であるとする。
この場合において、Fc=450KHzのとき、Fs=1.8MHz,2.7MHz,3.6MHz,・・・である。このような設定の場合には、ハイパスユニットフィルタH1(5+3k)とローパスユニットフィルタL1(3+2k)とを縦続接続するだけで、バンドパスフィルタを設計することができる。これらのハイパスユニットフィルタH1(5+3k)、ローパスユニットフィルタL1(3+2k)は共に、中心周波数Fcが450KHzとなる通過域を有している。
例えば、k=0(Fs=4Fc)の場合、ハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13との縦続接続によりバンドパスフィルタを設計することができる。また、k=1(Fs=6Fc)の場合、ハイパスユニットフィルタH18とローパスユニットフィルタL15との縦続接続によりバンドパスフィルタを設計することができる。
図9は、上述したバンドパスフィルタの設計法を模式的に示す図であり、(a)はk=0の場合、(b)はk=1の場合を示している。例えば図9(a)において、ハイパスユニットフィルタH15とローパスユニットフィルタL13とを縦続接続すると、それぞれの通過域▲1▼,▲2▼で互いに重なった部分のみを通過域▲3▼として取り出すことができる。
図9(b)においても同様に、ハイパスユニットフィルタH18とローパスユニットフィルタL15とを縦続接続すると、それぞれの通過域▲1▼,▲2▼で互いに重なった部分のみを通過域▲3▼として取り出すことができる。k>0の場合は、求めるバンドパスフィルタの中心周波数Fc以外にも通過域が生じるので、これをローパスフィルタ(LPF1)▲4▼によって抜き取る。
バンドパスフィルタのバンド幅は、ハイパスユニットフィルタ(H1n)mあるいはローパスユニットフィルタ(L1n)mの縦続接続の段数(mの数)によって調整することが可能である。図9(b)に示す例では、ハイパスユニットフィルタH18およびローパスユニットフィルタL15の双方ともm=1としているが、これらを何れもm=8とした場合の周波数特性を、図10および図11に示す。
図10は、ハイパスユニットフィルタ(H18)8およびローパスユニットフィルタ(L15)8の周波数特性を重ねて示したものであり、これらのフィルタを縦続接続することにより、互いに重なった部分のみを取り出すことができる。また、図11は、LPF1あるいはLPF2による通過域の抜き取りを示したものであり、図10のように取り出した3つのバンドパスに対してLPF1あるいはLPF2をかけることにより、両端の通過域のみを取り出すことができる。
次に、実際の回路例を示す。目標規格は、中心周波数Fc=450KHz、−3dBバンド幅=100KHz、−80dBバンド幅=200KHzとする。図12は、この目標規格を実現するバンドパスフィルタの回路例を示す図である。
バンドパスの減衰量は、縦続接続するフィルタの個数に依存する。図12に示す回路では、80dB以上の減衰量を確保するために、8個のハイパスユニットフィルタH18と8個のローパスユニットフィルタL15との後段に、4個のローパスユニットフィルタL111を更に縦続接続している。これより後に接続されているローパスユニットフィルタ(L10)2、L11、L12、D型フリップフロップD9,D6および数個の乗加算器は、LPF1を構成する。なお、D9,D6は各々9クロック、6クロックのディレイを意味する。
この図12から分かるように、本実施形態のフィルタ設計法によれば、ほぼ同じユニットフィルタの繰り返しから成る極めて単純な構成で所望特性のバンドパスフィルタを得ることができる。また、各ユニットフィルタの内部構成は上述した通りであり、全体として必要なタップ数は144タップで、非常にわずかである。さらに、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数は−1/16,1/16,−8/16,8/16の4種類のみであり、特に−8/16=−1/2,8/16=1/2であるから、演算回路を格段に簡素化することができる。
図13は、図12のように構成したバンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示す図であり、(a)は全体の周波数特性を示し、ゲインを対数目盛りで表している。また、(b)および(c)は通過域の部分を拡大して示す図であり、(b)はゲインを対数目盛りで表し、(c)はゲインを直線目盛りで表している。
図13(a)から分かるように、図12のように構成したバンドパスフィルタは、80dB以上の減衰量を実現できている。しかし、−3dBのバンド幅は約63KHz、−80dBのバンド幅は約145KHzであり、要求仕様を満たしていない。図12の回路ではk=1(Fs=6Fc)としているが、より大きなバンド幅を必要とするときは、k≧2にしてサンプリング周波数Fsを大きくすれば良い。
次に、バンド幅を狭く調整するための手段について説明する。図5および図8を用いて上述したように、バンド幅を狭くするためにはフィルタの縦続段数を増やせば良いが、これには限界がある。ここでは、より効率的にバンド幅を狭くできる方法について説明する。図14は、その方法を模式的に示す図である。
図14(a)は図9(b)と同じものである。これより狭いバンド幅を得たい場合は、図14(b)に示すように、ハイパスユニットフィルタH18の代わりにハイパスユニットフィルタH114を用いる。ハイパスユニットフィルタH114は、ハイパスユニットフィルタH18と同様に中心周波数Fcが450KHzとなる通過域を有しており、しかも、バンド幅がハイパスユニットフィルタH18の9/15=3/5となっている。
したがって、このハイパスユニットフィルタH114を用いることにより、フィルタの縦続段数を増やすことなく、バンド幅を効率的に狭めることができる。また、ハイパスユニットフィルタH114は、各フィルタ係数の間に挿入する“0”の数を増やしただけなので、係数として実際に取り出すタップ数は全く増えず、回路規模が大きくなることもない。なお、ここではハイパスユニットフィルタH114を用いる例について説明したが、同じ中心周波数Fc=450KHzに通過域を有するユニットフィルタであれば、同様に用いることが可能である。
次に、バンド幅を広く調整するための手段について説明する。図15は、傾斜を含めたバンド幅の調整手法を説明するための周波数−ゲイン特性図である。この図15でもゲインを“1”で基準化している。ここでは、調整前のユニットフィルタの周波数特性をYFで表すものとする。上述したように、▲1▼に示すユニットフィルタYFを2個縦続接続すると、傾斜が急峻になってバンド幅が狭くなる(−6dBのクロック位置が低周波側に移動する)(▲2▼)。
そして、ゲインの中心値(=0.5)を軸として、▲2▼に示すユニットフィルタYF2の周波数−ゲイン特性を反転させる(▲3▼)。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルス(中心値が1で、その他が全て0のフィルタ係数に相当)からユニットフィルタYF2のフィルタ係数を引くことによって求められる(1−YF2)。ここでは、これを反転ユニットフィルタと呼ぶことにする。
さらに、▲3▼に示す反転ユニットフィルタを2個縦続接続する。これにより得られる周波数−ゲイン特性の傾斜は更に急峻になり、バンド幅も更に狭くなる(−6dBのクロック位置が高周波側に移動する)(▲4▼)。ここでは、縦続接続する反転ユニットフィルタの個数を▲2▼の場合と同じ2個としているが、これより多くすることにより、高周波側への移動量を、先ほどの低周波側への移動量より大きくすることができる。
最後に、ゲインの中心値(=0.5)を軸として、▲4▼に示す周波数−ゲイン特性を反転させる(▲5▼)。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルスから▲4▼のフィルタ係数を引くことによって求められる(1−(1−YF2)2)。元データ▲1▼の周波数特性と調整後データ▲5▼の周波数特性とを比較して見ると、調整後データ▲5▼の周波数特性は元データ▲1▼より傾斜が急峻になるとともに、バンド幅が広くなっている。
調整後データ▲5▼の式を展開すると、以下のようになる。
1−(1−YF2)2
=1−1+2YF2−YF4
=2YF2−YF4 ・・・(式1)
この式1は、▲1▼のユニットフィルタおよび▲3▼の反転ユニットフィルタをそれぞれ2個縦続接続した場合に得られる式であるが、縦続接続する段数はこれに限られない。ただし、バンド幅を広げるためには、▲1▼の縦続段数より▲3▼の縦続段数の方を多くするのが好ましい。
この場合、上述した式1は、次の式2のように一般化できる。
a*YFi−b*YFj ・・・(式2)
ただし、a,bは係数(a>b)、i<jであり、*は縦続接続を表す。図16は、調整前の元データとしてハイパスユニットフィルタH18を用い、このバンド幅を調整した結果の例を示す。ここでは、調整後のフィルタを
2*(H18)5−(H18)9
としている。この調整により、−3dBのバンド幅は約100KHz、−50dBのバンド幅は約200KHzとなる。
次に、バンド幅の周波数を微調整するための手段について説明する。図17は、周波数の微調整手法を説明するための周波数−ゲイン特性図である。この図17でもゲインを“1”で基準化している。
図17に示すように、ハイパスユニットフィルタH18の比較的広い通過域の中で、通過域が互いにオーバーラップするようにハイパスフィルタ(HPF)とローパスフィルタ(LPF)とを設計する。これらの各フィルタH18,HPF,LPFを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分(斜線部分)が通過域となるバンドパスフィルタを得ることができる。
このとき、ハイパスフィルタHPFおよびローパスフィルタLPFの何れか一方、あるいはその両方に対して、図5および図8あるいは図14で示したような通過域を狭める操作または、図15および図16で示したような通過域を広げる操作をすることにより、バンドパスフィルタのバンド幅を任意に微調整することができる。
図17(a)では、ローパスフィルタLPFに対して通過域を広げる操作をすることにより、バンドパスフィルタの片側のみを高周波側にシフトする例を示している。また、図17(b)では、ハイパスフィルタHPFに対して通過域を広げる操作をするとともに、ローパスフィルタLPFに対して通過域を狭める操作をすることにより、バンド幅を変えずにバンドパスフィルタの両側を低周波側にシフトする例を示している。
以上に説明した本実施形態によるデジタルフィルタの設計方法を実現するための装置は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、本実施形態のフィルタ設計装置は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどで構成され、RAMやROMあるいはハードディスク等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
したがって、コンピュータが上記本実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、これをコンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。
すなわち、各種のユニットフィルタL1n,H1n等に関するフィルタ係数を情報としてRAMあるいはROM等のメモリに保持しておき、ユーザがユニットフィルタL1n,H1n等に関する任意の組み合わせを指示すると、CPUが、上記メモリに保持されているフィルタ係数の情報を用いて、指示された組み合わせに対応するフィルタ係数を演算して求めるようにすることが可能である。
例えば、各種のユニットフィルタL1n,H1nをアイコン化しておき(各アイコンに対応してフィルタ係数を情報として保持している)、ユーザがこれらのアイコンをディスプレイ画面上で任意に組み合わせて配置することにより、CPUがその配列に対応するフィルタ係数を自動的に演算して求めるようにしても良い。また、求めたフィルタ係数を自動的にFFT変換し、その結果を周波数−ゲイン特性図として表示するようにすれば、設計したフィルタの特性を確認することができ、フィルタ設計をより容易に行うことができる。
なお、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタをベースとした1以上のユニットフィルタを用いて、これらを縦続接続することによって所望の周波数特性を有するFIRフィルタを設計するようにしたので、殆どユニットフィルタの組み合わせだけでバンドパスフィルタの複雑なフィルタ係数を生成することができる。したがって、フィルタ設計法が単純で考えやすく、熟練した技術者でなくてもフィルタ設計を極めて簡単に行うことができる。
また、本実施形態を適用して設計されるフィルタ回路に必要なタップ数は非常にわずかで済み、かつ、各タップ出力に対して必要なフィルタ係数は−1/16,1/16,−8/16,8/16の4種類のみであるから、フィルタ回路の構成を極めて簡単にすることができる。したがって、回路素子数(特に乗算器)を大幅に削減してフィルタ回路の規模を小さくすることができるとともに、消費電力の低減、演算負荷の軽減等を図ることができる。
また、本実施形態を適用して設計されるフィルタ回路は、殆ど同一パターンの繰り返しから成る極めて単純な構成であるので、集積化に際して工数を短縮することができ、IC化を容易にすることができるというメリットも有する。また、特性面では遮断特性の極めて大きな改善が可能となり、位相特性も直線で優れたフィルタ特性を得ることができる。
また、本実施形態では、バンドパスフィルタの中心周波数Fcまたは信号のサンプリング周波数Fsの何れかを自由に決定できるときは、ハイパスユニットフィルタH1(5+3k)とローパスユニットフィルタL1(3+2k)とを縦続接続するだけで、バンドパスフィルタを設計することができる。これにより、数種類のユニットフィルタを組み合わせた特性値どうしの相殺により必要な周波数帯域を抜き出すようにする必要もなく、バンドパスフィルタの設計を極めて簡単に行うことができるとともに、フィルタの構成をより簡素化することができる。
この場合において、フィルタの中心周波数Fcが同じで、かつ、フィルタ係数間に挿入する“0”の数がより多い(kの値が大きい)ユニットフィルタを縦続接続してバンドパスフィルタを設計することにより、フィルタの縦続段数やタップ数を増やすことなく、バンド幅を効率的に狭めることができる。すなわち、フィルタの回路規模を大きくすることなく、バンド幅を簡単に狭くすることができるようになる。
さらに、本実施形態では、
a*(H1n)i−b*(H1n)jあるいは
a*(L1n)i−b*(L1n)j
(a,b,i,jは係数。a>b、i<j)
の関係を満たすようにユニットフィルタを縦続接続するだけで、バンド幅を任意に広げることもできる。
また、このようにバンド幅を広げる操作と上述したバンド幅を狭める操作とを用いることにより、バンド幅を簡単に微調整することもできる。これにより、所望の周波数特性をより高精度に実現でき、かつ、そのような周波数特性を持つFIRデジタルフィルタをより簡易的に設計することができるようになる。
なお、上記実施形態では、基本ユニットフィルタの例としてL0〜L3を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、絶対値が“1”と“8”の数値を用いて図1(b)と異なる数値列を基本ユニットフィルタのフィルタ係数とするようにしても良い。また、上記実施形態では、ユニットフィルタの例としてL1n,H1nの2種類を示したが、これに限定されない。
また、上記実施形態では、基本ユニットフィルタのフィルタ係数として、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率から成る数値列を用いたが、これを1回移動平均して得られる、絶対値が1,0,9,16,9,0,1の比率から成る数値列を用いても良い。
また、上記実施形態では、バンドパスフィルタを設計する例について主に説明したが、同様の手法によりハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ等を設計することも可能である。以下に、これらの各フィルタを設計する場合の手法を簡単に説明する。
<バンドパスフィルタを作る場合>
▲1▼ハイパスユニットフィルタH11を縦続接続する(Fs=4*Fcに限る)。
▲2▼ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとを使用する。
▲3▼通過域が互いに重なったハイパスフィルタとローパスフィルタとを作る。
(互いに重なったバンドパスフィルタでも可)
<ハイパスフィルタを作る場合>
▲1▼ハイパスユニットフィルタH10を縦続接続する。
▲2▼(H10)m1*(H11)m2を作る。
<ローパスフィルタを作る場合>
▲1▼ローパスユニットフィルタL10を縦続接続する。
▲2▼(L10)m1*(L11)m2を作る。
<バンドエリミネーションフィルタを作る場合>
▲1▼ゲインの中心値を軸として、バンドパスフィルタの周波数−ゲイン特性を反転させる。具体的には、バンドパスフィルタの係数の最大値を基準ゲイン値“1”より減算するとともに、他の係数の極性を反転する。これは、ディレイを合わせて基準ゲイン値“1”のユニットパルスからバンドパスフィルタのフィルタ係数を引くことによって求められる。
また、上述の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行うようにしても良い。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、所望の周波数特性をより高精度に実現でき、かつ、そのような周波数特性を持つFIRデジタルフィルタをより簡易的に設計できるようにするのに有用である。
Claims (22)
- 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線における各タップの信号を、所定の基本的な数値列より成るフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、それらの乗算結果を加算して出力するように成された基本ユニットフィルタに基づいて、互いに共通の通過域を有する1以上のユニットフィルタを作成し、上記1以上のユニットフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行うようにしたことを特徴とするデジタルフィルタの設計方法。
- 上記1以上のユニットフィルタは、略同じ中心周波数を有するハイパスユニットフィルタとローパスユニットフィルタとを含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 上記各タップの間に数クロック分のディレイを挿入することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を狭くするようにしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 上記ユニットフィルタをYFで表した場合、
a*YFi−b*YFj
ただし、YFに対する乗算は上記ユニットフィルタの縦続接続を表し、a,b,i,jは上記ユニットフィルタの縦続接続数を表す係数であり、a>b、i<j
の関係が成り立つように上記ユニットフィルタを縦続接続することにより、上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を広くするようにしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。 - 比較的広い通過域を有するユニットフィルタの当該通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分が通過域となるバンドパスフィルタを設計するようにしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線における各タップの信号を、所定の基本的な数値列より成るフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、それらの乗算結果を加算して出力するように成された基本ユニットフィルタに基づいて、比較的広い通過域を有するユニットフィルタを作成し、
上記ユニットフィルタの通過域の中で、それぞれの通過域が互いに重複するようにハイパスフィルタとローパスフィルタとを設計し、上記ユニットフィルタ、上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタを縦続接続することにより、それぞれの通過域の重なった部分が通過域となるバンドパスフィルタを設計するようにしたことを特徴とするデジタルフィルタの設計方法。 - 上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタの何れか一方または双方に対して、上記各タップの間に数クロック分のディレイを挿入することによって上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を狭くする処理および、a*YFi−b*YFj(ただし、上記ユニットフィルタYFに対する乗算は上記ユニットフィルタの縦続接続を表し、a,b,i,jは上記ユニットフィルタの縦続接続数を表す係数であり、a>b、i<j)の関係が成り立つように上記ユニットフィルタを縦続接続することによって上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を広くする処理の何れか一方または双方の操作を行うことにより、上記バンドパスフィルタの通過域を微調整するようにしたことを特徴とする請求の範囲第5項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 上記ハイパスフィルタおよび上記ローパスフィルタの何れか一方または双方に対して、上記各タップの間に数クロック分のディレイを挿入することによって上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を狭くする処理および、a*YFi−b*YFj(ただし、上記ユニットフィルタYFに対する乗算は上記ユニットフィルタの縦続接続を表し、a,b,i,jは上記ユニットフィルタの縦続接続数を表す係数であり、a>b、i<j)の関係が成り立つように上記ユニットフィルタを縦続接続することによって上記ユニットフィルタの通過域のバンド幅を広くする処理の何れか一方または双方の操作を行うことにより、上記バンドパスフィルタの通過域を微調整するようにしたことを特徴とする請求の範囲第6項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 上記基本ユニットフィルタのフィルタ係数は、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率の数値列もしくは1,0,9,16,9,0,1の比率の数値列から成ることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 上記基本ユニットフィルタのフィルタ係数は、絶対値が1,1,8,8,1,1の比率の数値列もしくは1,0,9,16,9,0,1の比率の数値列から成ることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のデジタルフィルタの設計方法。
- 請求の範囲第1項に記載されたデジタルフィルタの設計方法に関する処理手順をコンピュータに実行させるためのデジタルフィルタ設計用プログラム。
- 請求の範囲第6項に記載されたデジタルフィルタの設計方法に関する処理手順をコンピュータに実行させるためのデジタルフィルタ設計用プログラム。
- 請求の範囲第1項に記載されたデジタルフィルタの設計方法を用いて設計されたことを特徴とするデジタルフィルタ。
- 請求の範囲第6項に記載されたデジタルフィルタの設計方法を用いて設計されたことを特徴とするデジタルフィルタ。
- 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線を備え、各タップの信号を、請求の範囲第1項に記載のフィルタ設計法により求められたフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、加算して出力することを特徴とするデジタルフィルタ。
- 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線を備え、各タップの信号を、請求の範囲第6項に記載のフィルタ設計法により求められたフィルタ係数によりそれぞれ数倍した後、加算して出力することを特徴とするデジタルフィルタ。
- 所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタに基づいて作成された、互いに共通の通過域を有する1以上のユニットフィルタを縦続接続することによって構成されているデジタルフィルタ。
- 所定の基本的な数値列をフィルタ係数とする基本ユニットフィルタに基づいて作成された比較的広い通過域を有するユニットフィルタと、上記ユニットフィルタの通過域の中でそれぞれの通過域が互いに重複するように作成されたハイパスフィルタおよびローパスフィルタとを縦続接続することによって構成されているデジタルフィルタ。
- 請求の範囲第1項に記載の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行うようにしたことを特徴とするデジタルフィルタの設計方法。
- 請求の範囲第6項に記載の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタを縦続接続することによってデジタルフィルタの設計を行うようにしたことを特徴とするデジタルフィルタの設計方法。
- 請求の範囲第1項に記載の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタの縦続接続より成るデジタルフィルタ。
- 請求の範囲第6項に記載の設計方法を用いて生成したフィルタ列を1つ以上のブロックに分割し、ブロック毎の最終生成係数である1つ以上のフィルタの縦続接続より成るデジタルフィルタ。
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