JPWO2003104486A1 - トリグリセライドの選択的測定方法 - Google Patents

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正彦 岡田
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Abstract

本発明は、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質、リポプロテインリパーゼ、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素、及び過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素を含有する第1試薬と、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質を含有する第2試薬とを含む、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの選択的測定試薬;並びにこれを用いて被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法に関する。

Description

技術分野
本発明は、動脈硬化症の臨床診断に重要な、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定するための方法及び試薬に関する。
本発明は、化学分野、生命科学分野及び医療分野等において重要なものであり、特に臨床検査分野において重要なものである。
背景技術
コレステロールやトリグリセライドは生体にとって必須の栄養素である。これらは、水に溶け難いため、両親媒性の膜に包まれて(リポ蛋白として)血液中に存在している。
リポ蛋白には、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白(Very Low Density Lipoprotein;VLDL)、中間比重リポ蛋白(Intermediate Density Lipoprotein;IDL)、低比重リポ蛋白(Low Density Lipoprotein;LDL)、高比重リポ蛋白(High Density Lipoprotein;HDL)などの種類があり、複雑な代謝系を形成している。
各リポ蛋白ともコレステロールとトリグリセライドを含有しているが、超低比重リポ蛋白と中間比重リポ蛋白に関してはトリグリセライドが主成分であり、かつ動脈硬化症の発生に深く関わっている。したがって、超低比重リポ蛋白と中間比重リポ蛋白のトリグリセライドを分別測定することは有用である。
動脈硬化症の発生に関与する諸要因を調べたいくつかの大規模追跡調査によれば、低比重リポ蛋白コレステロールと、血清中トリグリセライドの総量(以下、総トリグリセライドと呼ぶ)は促進的に、また高比重リポ蛋白コレステロールは抑制的に作用することが証明されている。
トリグリセライドは低比重リポ蛋白と高比重リポ蛋白にはほとんどなく、大部分がカイロミクロン、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白に含まれている。
一方、カイロミクロン中のトリグリセライドは動脈硬化症の危険因子ではないことが示されている。
各種リポ蛋白を分別せずに総トリグリセライドを測定する方法はすでに存在し、広く使われている(Henry、J.B.、Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Method、Philadelphia:W.B.Sauders、pp.189−204)。
これらの方法は、血清中のトリグリセライドをまずリポプロテインリパーゼでグリセロールに分解し、次にこれをグリセロールキナーゼでグリセロール−3−リン酸に変化させ、更にグリセロール−3−リン酸オキシダーゼでジヒドロキシアセトン−3−リン酸に変え、その時生成される過酸化水素をペルオキシダーゼ系(トリンダー反応系)で発色測定するものである。
また、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼの代りにグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させて、生成したNADH(還元型補酵素)を測定する方法もある。
これらは、広く酵素的測定法と呼ばれている。
一方、低比重リポ蛋白又は高比重リポ蛋白に特定の界面活性剤と添加剤を選択的に作用させ、そこに含まれるコレステロールを定量する方法もすでに知られており(例えば、特開平9−313200号公報及び特開平9−285298号公報)、臨床検査などの目的で広く使われている。
従来、超低比重リポ蛋白及び/又は中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法は、操作が繁雑な超遠心法が存在するだけであり、操作が簡便な測定方法及び測定試薬は存在しなかった。
しかし、本発明者の一人である岡田がこれを解決し、超低比重リポ蛋白及び/又は中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法及び試薬を完成させた(WO00/60112)。
発明の開示
本発明により解決しようとする課題は、より簡便かつ正確に、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定することができる方法及び試薬の確立である。
より具体的には、超遠心分離機による分離操作等の繁雑な操作を必要とせず、汎用されている自動分析装置への適用が可能であって、より簡便かつ正確に測定を行うことができる、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法及び試薬を確立することである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、WO00/60112に記載の選択的反応促進物質の選択により、より簡便かつ正確に、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の第1段階:
▲1▼ 低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質の存在下、被検試料にリポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を接触させ反応させて、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる;
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素と反応させる;
▲3▼ 前記▲1▼及び▲2▼の反応により、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを消去する;
並びに、以下の第2段階:
▲1▼ 前記第1段階の後、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質の存在下、リポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を反応させて、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる;
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を測る;
により、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法。
(2)第二選択的反応促進物質がポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である前記(1)に記載の方法。
(3)第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数mと、第二選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数nとの比m/nが1.1〜1.2の範囲にある前記(2)に記載の方法。
(4)mが7.7〜18の範囲にあり、nが7〜15の範囲にある前記(3)に記載の方法。
(5)mが11〜12の範囲にあり、nが10である前記(3)に記載の方法。
(6)第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)第二選択的反応促進物質が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)ポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)第一選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数mが11〜12の範囲にあるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、第二選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数nが10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである前記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)第1段階及び/又は第2段階において、反応補助物質を存在させる前記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)反応補助物質が、多糖類若しくはその誘導体、ポリアニオン、ハロゲンイオン、金属イオン又はレクチンである前記(10)に記載の方法。
(12)第1段階に存在させるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであり、第2段階に存在させるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものである前記(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質、リポプロテインリパーゼ、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素、及び過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素を含有する第1試薬と、
超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質を含有する第2試薬とを含む、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの選択的測定試薬。
(14)第1試薬及び/又は第2試薬が、更に過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を含有する前記(13)に記載の試薬。
(15)第二選択的反応促進物質がポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である前記(13)又は(14)に記載の試薬。
(16)第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数mと、第二選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数nとの比m/nが1.1〜1.2の範囲にある前記(15)に記載の試薬。
(17)mが7.7〜18の範囲にあり、nが7〜15の範囲にある前記(16)に記載の試薬。
(18)mが11〜12の範囲にあり、nが10である前記(16)に記載の試薬。
(19)第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(13)〜(18)のいずれかに記載の試薬。
(20)第二選択的反応促進物質が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である前記(13)〜(19)のいずれかに記載の試薬。
(21)ポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンである前記(13)〜(20)のいずれかに記載の試薬。
(22)第一選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数mが11〜12の範囲のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、第二選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数nが10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである前記(13)〜(21)のいずれかに記載の試薬。
(23)第1試薬及び/又は第2試薬が、更に反応補助物質を含有する前記(13)〜(22)のいずれかに記載の試薬。
(24)反応補助物質が、多糖類若しくはその誘導体、ポリアニオン、ハロゲンイオン、金属イオン又はレクチンである前記(23)に記載の試薬。
(25)第1試薬に含有されるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであり、第2試薬に含有されるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものである前記(13)〜(24)のいずれかに記載の試薬。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.測定方法
1.測定方法・総論
本発明の被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法は、以下の第1段階及び第2段階の操作により行う。
第1段階:
▲1▼ 低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質の存在下、被検試料にリポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を接触させ反応させて、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる。
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素と反応させる。
▲3▼ 前記▲1▼及び▲2▼の反応により、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを消去する。
第2段階:
▲1▼ 前記第1段階の後、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質の存在下、リポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を反応させて、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる。
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を測る。
以上の操作により、被検試料中の高比重リポ蛋白及び低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを消去し、また被検試料中のカイロミクロンに含まれるトリグリセライドを測定反応にはかかわらせないことにより、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドのみを過酸化水素又は還元型補酵素に導いて選択的に測定が行えるようにしたものである。
2.第1段階
本発明の測定方法における第1段階では、次の反応を行う。
▲1▼ 低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質の存在下、被検試料にリポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を接触させることにより、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させてグリセロールを生成させる。
そして、この生成したグリセロールを、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素による反応によって、過酸化水素又は還元型補酵素に導く。
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素と反応させることにより、反応系に過酸化水素又は還元型補酵素が存在しないようにする。
▲3▼ 前記▲1▼及び▲2▼の反応により、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを他の物質に変えてしまうことにより、これらを反応系より消去する。
3.第2段階
本発明の測定方法における第2段階では、次の反応を行う。
▲1▼ 第1段階の後、この第1段階の反応系において、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質を接触させる。
そして、この第二選択的反応促進物質の存在下、リポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を反応させるが、先に第1段階で低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドは消去されているので、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドがリポプロテインリパーゼと反応してグリセロールが生成する。
更に、この生成したグリセロールを、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素による反応によって、過酸化水素又は還元型補酵素に導く。
▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を、直接測るか、又はこれらより別のシグナルを導き出すことにより測る。
4.選択的反応促進物質
(1)第一選択的反応促進物質
本発明における第一選択的反応促進物質は、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる物質である。
即ち、この第一選択的反応促進物質の存在下では、リポプロテインリパーゼによるリポ蛋白中のトリグリセライドからグリセロールを生じさせる反応は、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに対して選択的に進むものである。
この第一選択的反応促進物質としては、ポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が用いられる。
前記のポリオキシアルキレンのエーテル化合物としては、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル)、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテルが好適である。
また、前記のポリオキシアルキレンのエステル化合物としては、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル(例えば、ラウリン酸ポリオキシアルキレン、ステアリン酸ポリオキシアルキレン、オレイン酸ポリオキシアルキレン、ヤシ油脂肪酸ポリオキシアルキレン)、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル(例えば、オクチル安息香酸ポリオキシエチレン、ノニル安息香酸ポリオキシエチレン、ラウリル安息香酸ポリオキシエチレン、ステアリル安息香酸ポリオキシエチレン)、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルが好適である。
特に、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテルが好適である。
前記のポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルにおける直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基、並びにポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステルにおける直鎖脂肪酸及び分岐鎖脂肪酸は、特に制限はないが、炭素数が7〜30のものが好適である。
前記のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物におけるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基であることが好適である。
前記の第一選択的反応促進物質は、1種類のものを使用する〔存在(含有)させる〕だけではなく、2種以上のものを使用しても〔存在(含有)させても〕よい。
前記の第一選択的反応促進物質を存在(又は含有)させる濃度は、この第一選択的反応促進物質の種類、トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素の種類及び由来、被検試料中のリポ蛋白に含まれるトリグリセライドの濃度、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した濃度で存在(含有)させればよいが、通常は、0.005〜5%の濃度で存在(含有)させればよく、0.01〜2%の濃度で存在(含有)させることが好適であり、特に0.05〜1%の濃度で存在(含有)させることが好適である。
(2)第二選択的反応促進物質
本発明における第二選択的反応促進物質は、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる物質である。
即ち、この第二選択的反応促進物質の存在下では、リポプロテインリパーゼによるリポ蛋白中のトリグリセライドからグリセロールを生じさせる反応は、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに対して選択的に進むものである。
この第二選択的反応促進物質としては、ポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が好適である。
前記のポリオキシアルキレンのエーテル化合物としては、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル)、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテルが好適である。
また、前記のポリオキシアルキレンのエステル化合物としては、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル(例えば、ラウリン酸ポリオキシアルキレン、ステアリン酸ポリオキシアルキレン、オレイン酸ポリオキシアルキレン、ヤシ油脂肪酸ポリオキシアルキレン)、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル(例えば、オクチル安息香酸ポリオキシエチレン、ノニル安息香酸ポリオキシエチレン、ラウリル安息香酸ポリオキシエチレン、ステアリル安息香酸ポリオキシエチレン)、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルが好適である。
特に、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、又はポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテルが好適である。
前記のポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルにおける直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基、並びにポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステルにおける直鎖脂肪酸及び分岐鎖脂肪酸は、特に制限はないが、炭素数が7〜30のものが好適である。
前記のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物におけるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基であることが好適である。
前記の第二選択的反応促進物質は、1種類のものを使用する〔存在(含有)させる〕だけではなく、2種以上のものを使用しても〔存在(含有)させても〕よい。
前記の第二選択的反応促進物質を存在(又は含有)させる濃度は、この第二選択的反応促進物質の種類、トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素の種類及び由来、被検試料中のリポ蛋白に含まれるトリグリセライドの濃度、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した濃度で存在(含有)させればよいが、通常は、0.005〜5%の濃度で存在(含有)させればよく、0.01〜2%の濃度で存在(含有)させることが好適であり、特に0.05〜1%の濃度で存在(含有)させることが好適である。
なお、本発明においては、第2段階における第二選択的反応促進物質の組成及び濃度と、第1段階における第一選択的反応促進物質の組成及び濃度は、全く同一とならないようにしなくてはならない。
(3)選択的反応促進物質のポリオキシアルキレンの平均付加モル数
前記の第一選択的反応促進物質であるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数がmであり、前記の第二選択的反応促進物質であるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数がnであるときに、mとnの比m/nは1.1〜1.2の範囲にあることが好適である。
前記のmとnの比m/nが1.1〜1.2の範囲にあり、かつ、mが7.7〜18の範囲にあり、nが7〜15の範囲にあることがより好適である。mが11〜12の範囲にあり、nが10であることが特に好適である。
更に、前記の第一選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数mが11〜12の範囲のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、前記の第二選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数nが10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであることが特に好適である。
なお、前記のmの値を大きくする程、中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに比して超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを、より選択的に測定することができる。
また、前記のmの値を小さくする程、超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに比して中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを、より選択的に測定することができる。
そして、前記のmとnの比m/nを大きくする程、中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに比して超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを、より選択的に測定することができる。
このように、前記のmの値、又は前記のm/nを適宜設定することにより、測定の目的に応じて、選択性を変化させることができる。
5.トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応
(1)トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応
本発明の測定方法において、第1段階及び第2段階における、トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応は、リポプロテインリパーゼにより触媒される反応、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応よりなる。
(2)リポプロテインリパーゼにより触媒される反応
本発明におけるリポプロテインリパーゼにより触媒される反応は、被検試料中のリポ蛋白のトリグリセライドにリポプロテインリパーゼを接触させ作用させることにより、このトリグリセライドを1分子のグリセロールと3分子の脂肪酸に加水分解する反応である。
このリポプロテインリパーゼは、トリグリセライドを1分子のグリセロールと3分子の脂肪酸に加水分解する反応を触媒するものであれば、いかなるものでもよい。
このリポプロテインリパーゼは、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
リポプロテインリパーゼを存在(又は含有)させる活性値については、リポプロテインリパーゼの由来、第一選択的反応促進物質若しくは第二選択的反応促進物質の種類、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した活性値で存在(含有)させればよい。
通常、リポプロテインリパーゼは、1〜10,000,000単位/lの活性値で存在(含有)させることが好ましく、100〜1,000,000単位/lの活性値で存在(含有)させることがより好ましい。
本来、酵素の活性値は、活性測定方法により異なるものであり、また、同じ活性測定方法、同じ酵素であっても、その酵素の由来、あるいは精製度等により異なるものでもある。よって、先に記載した酵素の活性値の範囲を外れる酵素活性値だからといって、必ずしも本発明の効果が得られないとは限らないものである。
第1段階に存在させるリポプロテインリパーゼは、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであることが好ましい。第2段階に存在させるリポプロテインリパーゼは、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものであることが好ましい。
なお、その活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼとは、存在する界面活性剤の濃度の増加に従ってその酵素活性が増加してゆくリポプロテインリパーゼをいう。
また、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼとは、存在する界面活性剤の濃度の増加によりその酵素活性が急激に増加してほぼ一定値に達してしまい、それ以上界面活性剤の濃度が増加しても酵素活性がほとんど変化しないリポプロテインリパーゼをいう。
よって、あるリポプロテインリパーゼが、前記いずれのリポプロテインリパーゼであるかは、存在させる界面活性剤の濃度を増加させたときの酵素活性の増加度を測定すること、又は増加パターンを観測することにより判別することができる。
なお、この判別の方法の一例として、後述する「実験例」に示した測定方法によっても判別を行うことができる。
例えば、この「実験例」記載の方法により得られた測定値を、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼ(例えば、LPL又はLPL−311)を含有させたときの測定値で除した値が、0.5以下の場合はその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼと判定し、0.5を超えた場合はその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼと判定することができる。
なお、前記の界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤等を挙げることができ、特に非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
この非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物等を挙げることができ、特にポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル又はポリオキシアルキレンのアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。
また、その活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼとしては、例えば、「LP−BP」(旭化成)、又は「LPL−314」(東洋紡績)等を挙げることができる。
その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼとしては、例えば、「LPL」(旭化成)、又は「LPL−311」(東洋紡績)等を挙げることができる。」
(3)グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応
本発明におけるグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応は、リポプロテインリパーゼによる反応により生成したグリセロールから過酸化水素又は還元型補酵素を生成させることができる反応であれば、どのようなものでもよく、一つの反応からなるものでもよく、また、複数の反応からなるものであってもよい。
なお、還元型補酵素としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(還元型)〔NADH(還元型)〕、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(還元型)〔NADPH(還元型)〕等を挙げることができる。
このグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応としては、例えば、グリセロールとアデノシン三リン酸(ATP)をグリセロールキナーゼの触媒作用によりグリセロール−3−リン酸とアデノシン二リン酸(ADP)に変え、更にこのグリセロール−3−リン酸をグリセロール−3−リン酸オキシダーゼの触媒作用によりジヒドロキシアセトン−3−リン酸に変えるとともに過酸化水素を生じさせる、一連の反応を挙げることができる。
また、他の例として、グリセロールとアデノシン三リン酸(ATP)をグリセロールキナーゼの触媒作用によりグリセロール−3−リン酸とアデノシン二リン酸(ADP)に変え、更にこのグリセロール−3−リン酸をニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)〔NAD〕の存在下、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの触媒作用によりジヒドロキシアセトンリン酸に変えるとともにニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(還元型)〔NADH〕を生じさせる、一連の反応等をも挙げることができる。
本発明の方法において、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素は、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒するものであればいかなるものでもよいが、例えば、グリセロールキナーゼ及びグリセロール−3−リン酸オキシダーゼの組み合わせ、又はグリセロールキナーゼ及びグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの組み合わせ等を挙げることができる。
これらの酵素は、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
これらの酵素を存在(又は含有)させる活性値については、酵素の種類及び由来、第一選択的反応促進物質若しくは第二選択的反応促進物質の種類、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した活性値で存在(含有)させればよい。
なお、グリセロールキナーゼは、通常、0.01〜500,000単位/lの活性値で存在(含有)させることが好ましく、10〜10,000単位/lの活性値で存在(含有)させることが特に好ましい。
また、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼは、通常、1〜500,000単位/lの活性値で存在(含有)させることが好ましく、100〜50,000単位/lの活性値で存在(含有)させることが特に好ましい。
本来、酵素の活性値は、活性測定方法により異なるものであり、また、同じ活性測定方法、同じ酵素であっても、その酵素の由来、あるいは精製度等により異なるものでもある。よって、先に記載した各酵素の活性値の範囲を外れる酵素活性値だからといって、必ずしも本発明の効果が得られないとは限らないものである。
なお、グリセロールキナーゼによる触媒反応には、アデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオンが必要である。よって、グリセロールキナーゼを用いる場合には、第1段階及び第2段階の反応系にアデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンを存在(又は含有)させる。
このアデノシン三リン酸としては、遊離の酸又は塩の形態等のものを用いればよく、このアデノシン三リン酸又はその塩を存在(含有)させる濃度は、通常、0.001〜50g/lが好ましく、0.01〜10g/lが特に好ましい。
また、このマグネシウムイオンとしては、例えば、ハロゲンイオン又は有機酸などとの塩の形態等のものを用いればよく、通常、0.001〜100mMの濃度で存在(含有)させることが好ましく、0.01〜50mMの濃度で存在(含有)させることが特に好ましい。
そして、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼによる触媒反応には、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)〔NAD〕、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)〔NADP(酸化型)〕等の酸化型補酵素が必要であるので、第1段階及び第2段階の反応系にこの酸化型補酵素を存在(又は含有)させる。
6.過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応
本発明の測定方法の第1段階においては、第一選択的反応促進物質の存在下、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させ、更にこの過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える。
この一連の反応により、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの消去を行う。
この過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応は、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変えることができる反応であれば、どのようなものでもよく、一つの反応からなるものでもよく、また、複数の反応からなるものであってもよい。
(1)過酸化水素を他の物質に変える反応
▲1▼ カタラーゼによる反応
この過酸化水素を他の物質に変える反応としては、例えば、カタラーゼによる触媒反応により、2分子の過酸化水素を2分子の水と1分子の酸素に分解する反応等を挙げることができる。
このカタラーゼは、2分子の過酸化水素を2分子の水と1分子の酸素に分解する反応を触媒するものであれば、いかなるものでもよい。
このカタラーゼは、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
カタラーゼを存在(又は含有)させる活性値については、カタラーゼの由来、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した活性値で第1段階の反応系に存在(含有)させればよい。
通常、カタラーゼは、100単位/l以上の活性値で存在(含有)させることが好ましい。
本来、酵素の活性値は、活性測定方法により異なるものであり、また、同じ活性測定方法、同じ酵素であっても、その酵素の由来、あるいは精製度等により異なるものでもある。よって、先に記載した酵素の活性値の範囲を外れる酵素活性値だからといって、必ずしも本発明の効果が得られないとは限らないものである。
なお、第1段階において生成した過酸化水素をカタラーゼにより消去した後、第2段階においてはカタラーゼの活性を阻害して働かないようにして、第2段階で生成した過酸化水素がカタラーゼにより消去(分解)されないようにする必要がある。
これは、アジ化ナトリウムなどのカタラーゼの活性を阻害する物質を、第2段階において存在(又は含有)させることにより、達成することができる。
▲2▼ ペルオキシダーゼによる反応
この過酸化水素を他の物質に変える反応の他の例として、ペルオキシダーゼ(POD)による触媒反応により、過酸化水素と被酸化性物質(トリンダー反応系による色原体など)から酸化物質を生成させる反応等を挙げることができる。
このペルオキシダーゼは、過酸化水素と被酸化性物質とを反応させ、酸化物質を生成させて、過酸化水素を消費する反応を触媒するものであれば、いかなるものでもよい。
このペルオキシダーゼは、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、西洋ワサビなどの植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
ペルオキシダーゼを存在(又は含有)させる活性値については、ペルオキシダーゼの由来、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した活性値で第1段階の反応系に存在(含有)させればよい。
通常、ペルオキシダーゼは、30単位/l以上の活性値で存在(含有)させることが好ましい。
本来、酵素の活性値は、活性測定方法により異なるものであり、また、同じ活性測定方法、同じ酵素であっても、その酵素の由来、あるいは精製度等により異なるものでもある。よって、先に記載した酵素の活性値の範囲を外れる酵素活性値だからといって、必ずしも本発明の効果が得られないとは限らないものである。
被酸化性物質としては、例えば、トリンダー反応系による色原体等を挙げることができる。
このトリンダー反応系による色原体としては、例えば、4−アミノアンチピリン、フェノール若しくはその誘導体、又はアニリン誘導体等を挙げることができる。
なお、4−アミノアンチピリンとフェノール若しくはその誘導体の両方、又は4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体の両方を、第1段階の反応系において共存させると、生成した過酸化水素及びペルオキシダーゼにより発色してしまうので、共存しないよう、いずれか一方のみを存在(含有)させるようにすることが好ましい。
トリンダー反応系による色原体の詳細については、後の「7.過酸化水素又は還元型補酵素の測定」の「(1)過酸化水素」に記載した。
(2)還元型補酵素を他の物質に変える反応
還元型補酵素を他の物質に変える反応としては、例えば、この還元型補酵素を補酵素とする脱水素酵素による触媒反応により、この還元型補酵素を酸化型補酵素とする反応等を挙げることができる。
この脱水素酵素は、還元型補酵素を補酵素とし、この還元型補酵素を酸化型補酵素とする反応を触媒するものであれば、いかなるものでもよい。この脱水素酵素としては、例えば、乳酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素等を挙げることができる。
この脱水素酵素としては、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
この脱水素酵素を存在(又は含有)させる活性値については、この脱水素酵素の由来、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した活性値で第1段階の反応系に存在(含有)させればよい。
7.過酸化水素又は還元型補酵素の測定
本発明の測定方法の第2段階においては、第二選択的反応促進物質の存在下、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させ、更にこの過酸化水素又は還元型補酵素を測る。
この一連の反応により、被検試料の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれていたトリグリセライドの測定を行う。
この第2段階において生成した過酸化水素又は還元型補酵素を測る方法は、前記のグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素の量又は存否を測ることができる方法であれば、いかなる方法であってもよい。
例えば、生成した過酸化水素又は還元型補酵素から、何かしらのシグナルを導き出す方法等を挙げることができる。
(1)過酸化水素
過酸化水素を測るには、過酸化水素電極等により過酸化水素自体を測ってもよく、又は過酸化水素から別のシグナルを導き出し、このシグナルを測ってもよい。
この過酸化水素から別のシグナルを導き出して測る方法としては、例えば、ペルオキシダーゼ(POD)の存在下、色原体を酸化させ色素を生成させて、この生成した色素の吸光度などを測定する、トリンダー反応系を利用する反応等を挙げることができる。
ペルオキシダーゼは、例えば、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの、ヒト、ブタ若しくはウシなどの動物由来のもの、西洋ワサビなどの植物由来のもの、又は遺伝子組換え法により調製したもの等を用いることができる。
このペルオキシダーゼを存在(又は含有)させる活性値は、通常、30単位/1以上とすることが好ましい。
トリンダー反応系における色原体としては、例えば、4−アミノアンチピリンとフェノール若しくはその誘導体との組み合わせ、又は4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体との組み合わせ等を挙げることができる。
4−アミノアンチピリンは、通常、0.001〜50g/lの濃度で存在(又は含有)させることが好ましく、0.01〜10g/lの濃度で存在(含有)させることが特に好ましい。
フェノールの誘導体としては、例えば、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフェノール、若しくは2,4,6−トリクロロフェノール、又はこれらの塩等を挙げることができる。
アニリン誘導体としては、例えば、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAPS)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3,5−ジメトキシアニリン(CEDB)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン(ALPS)、N−(3−スルホプロピル)アニリン(HALPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(TOOS)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン(CEMB)、若しくはN−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メトキシアニリン(CEMO)、又はこれらの塩等を挙げることができる。
これらのフェノール若しくはその誘導体、又はアニリン誘導体は、通常、0.001〜50g/lの濃度で存在(又は含有)させることが好ましく、0.01〜10g/lの濃度で存在(含有)させることが特に好ましい。
(2)還元型補酵素
還元型補酵素を測ることは、還元型補酵素自体を340nmなどにおける吸光度を測ることなどにより測ってもよく、又は還元型補酵素から別のシグナルを導き出し、このシグナルを測ってもよい。
この還元型補酵素から別のシグナルを導き出し測る方法としては、例えば、ジアホラーゼ又は1−メトキシ−フェナジンメトサルフェートなどの存在下、テトラゾリウム塩などを還元させ色素を生成させて、これを測る反応等を挙げることができる。
8.反応補助物質
(1)反応補助物質
本発明の測定方法では、第1段階及び/又は第2段階において、反応補助物質を存在(又は含有)させてもよい。
この反応補助物質の存在(含有)により、第一選択的反応促進物質及び/又は第二選択的反応促進物質の選択的反応促進の働きを高めることができる。
反応補助物質の具体例として、多糖類若しくはその誘導体、ポリアニオン、ハロゲンイオン、金属イオン、レクチン等を挙げることができる。
これらの反応補助物質は、複数種類のものを組み合わせて、存在(又は含有)させてもよい。
(2)多糖類又はその誘導体
多糖類としては、単糖が数個以上脱水縮合して生じた糖質を挙げることができ、例えば、シクロデキストリン(CD)、デキストラン、又はヘパリン等を挙げることができる。
多糖類の誘導体としては、前記多糖類の水素若しくは水酸基などの官能基が、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、グルコシル基、マルトシル基、ジエチルアミノエチル基、メチル基若しくはエチリデン基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、ベンジル基若しくはベンジリデン基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基若しくはフェノキシ基などのエーテル基、アセトキシ基若しくはベンゾイロキシ基などのエステル基、アセチル基、プロピオニル基若しくはベンゾイル基などのアシル基、スルフヒドリル基、スルホ基、スルホニル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、カルボニル基、オキソ基、水酸基、又はニトロ基等で置換されたもの等を挙げることができる。
更に、多糖類の誘導体としては、前記多糖類又は前記置換体の架橋物等を挙げることができる。
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、γ−シクロデキストリン(γ−CD)等を挙げることができる。
また、シクロデキストリン誘導体としては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンの水酸基が、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、グルコシル基、マルトシル基、ベンジル基、若しくはスルホニル基などで置換されたもの、又はこれらのシクロデキストリン若しくはその誘導体の架橋物等を挙げることができる。
シクロデキストリンとしては、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンが好ましく、シクロデキストリン誘導体としては、β−シクロデキストリン若しくはγ−シクロデキストリンの水酸基などが置換されたもの、又はβ−シクロデキストリン若しくはγ−シクロデキストリンの架橋物が好ましい。
デキストランサルフェイト若しくはその誘導体は、分子量が1,000〜5,000,000の範囲のものが好ましく、分子量が5,000〜1,000,000の範囲のものが特に好ましい。
この多糖類又はその誘導体を存在(又は含有)させる濃度は、その種類、第一選択的反応促進物質及び/又は第二選択的反応促進物質の種類及び濃度、トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素の種類及び由来、被検試料中のリポ蛋白に含まれるトリグリセライドの濃度、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した濃度で存在(含有)させればよいが、通常は、0.005〜5%の濃度で存在(含有)させればよく、0.08〜2%の濃度で存在(含有)させることが好適であり、特に0.01〜1%の濃度で存在(含有)させることが好適である。
(3)他の反応補助物質
ポリアニオンとしては、例えば、リンタングステン等を挙げることができる。
ハロゲンイオンとしては、例えば、クロールイオン等を挙げることができる。
金属イオンとしては、例えば、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金属イオン等を挙げることができる。
レクチンとしては、例えば、レンズマメレクチン等を挙げることができる。
この他の反応補助物質を存在(又は含有)させる濃度は、その種類、第一選択的反応促進物質及び/又は第二選択的反応促進物質の種類及び濃度、トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素の種類及び由来、被検試料中のリポ蛋白に含まれるトリグリセライドの濃度、又は2試薬系などで測定を行う場合の第1試薬と第2試薬などの混合比率等により異なるので、一概には言えず、適宜その条件に適した濃度で存在(含有)させればよい。
9.その他の物質
本発明の測定方法においては、必要に応じて、更に、緩衝剤;他の酵素;他の酵素の基質;他の補酵素;アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アルブミンなどのタンパク質;アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;アスコルビン酸オキシダーゼなどの被検試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;賦形剤;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて存在させることができる。
本発明の測定方法の第1段階におけるpH及び第2段階におけるpHは、pH5〜10の範囲であることが好ましく、pH5.5〜9.0の範囲であることがより好ましい。
よって、第1段階及び第2段階においては、pHが前記のpHの範囲となるような緩衝剤を存在させることが好ましい。
このような緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
10.被検試料
本発明の測定方法において、被検試料は、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドが存在する可能性があり、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの測定を行おうとするものであれば、どのようなものでもよい。
このようなものの例として、ヒト又は動物の血液、血清、血漿等の体液;ヒト若しくは動物の臓器又は筋肉等の抽出液;ヒト又は動物の糞便の抽出液;細胞又は菌体の抽出液;あるいは植物の抽出液等を挙げることができる。
11.測定操作
本発明の測定方法は、前記の第1段階及び第2段階の操作により、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定するものであるが、実際に測定を行う際の測定操作は、二段階で実施(2ステップ法、2試薬系)してもよく、又は三段階以上で実施(多ステップ法、多試薬系)してもよい。
測定反応の開始方法は、基質若しくは測定反応に必須な物質を加えることにより行う方法、又は被検試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法でもよい。
測定操作時の温度は、30℃又は37℃等の測定反応が進行し、かつ測定反応にかかわる酵素等の反応成分が熱により失活又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、本発明の測定方法において、生成する過酸化水素又は還元型補酵素を測ることは、反応速度法(レート法)、終点法(エンドポイント法)等のいずれの方法によるものでもよい。
生成する過酸化水素又は還元型補酵素を測ることにおいて、吸光度等の測定によりこれを行う場合、測定波長は測定する物質に応じて、紫外部、可視部又は赤外部の適当な波長を使用すればよい。
なお、吸光度等の測定は、一波長のみの測定でもよく、又は二波長による測定でもよい。
本発明の測定方法において、測定の手法は用手法、又は自動分析装置などの装置による方法のいずれをも用いることができる。
この装置としては、例えば、臨床検査用の自動分析装置等を挙げることができる。
この臨床検査用の自動分析装置の例として、コンティニュアスフロー式若しくはフローインジェクション式などのフロー方式の自動分析装置、クローズドタイプ・バッチ式、オープンタイプ・バッチ式、パック式若しくは遠心式などのディスクリート方式の自動分析装置、又はフィルム式、若しくは試験片式などのドライケミストリー方式の自動分析装置等を挙げることができる。
装置により測定を行う操作の一例を以下に示す。
▲1▼ まず、本発明の測定方法の第1段階を行うことができる測定試薬(本発明の測定試薬の第1試薬)、並びに本発明の測定方法の第2段階を行うことができる測定試薬(本発明の測定試薬の第2試薬)を各々、使用する装置に適合した容器に入れる。
▲2▼ これらの試薬が入った容器の各々を、装置の所定の位置に置く。
▲3▼ また、測定を行う被検試料も装置に適合した容器に入れ、所定の位置に置く。
▲4▼ 装置が臨床検査用の自動分析装置の場合は、使用する試薬、及び測定を行おうとする被検試料等についての測定条件(測定パラメータ)等を装置に入力し、設定する。
▲5▼ そして、測定を開始する。
通常は、被検試料と試薬の第1試薬のそれぞれをピペット(プローブ)又はチューブ等で反応セル(反応キュベット)に分注し、混合、接触させ、第1段階の反応系を形成させて、温度一定の条件下に保ち、第1段階の反応を行わせる。
▲6▼ 一定時間後(第1段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の被検試料と試薬の第1試薬との反応液(第1段階の反応系)について、規定波長の吸光度値を測定する。
▲7▼ 次に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液に、試薬の第2試薬をピペット(プローブ)又はチューブ等で分注し、混合、接触させ、第2段階の反応系を形成させて、温度一定の条件下に保ち、第2段階の反応を行わせる。
▲8▼ 一定時間後(第2段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の被検試料と試薬の第1試薬及び第2試薬との反応液(第2段階の反応系)について、規定波長の吸光度値を測定する。
▲9▼ 被検試料に替え精製水について、前記▲5▼〜▲8▼の操作を行い、試薬盲検の吸光度値を測定する。
Figure 2003104486
▲6▼で得た吸光度値より試薬盲検の吸光度値を差し引いたものを減じて、吸光度差の値を算出する。
Figure 2003104486
液)における吸光度差の値〔検量線〕とを比較することにより、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの濃度を算出して得る。
II.測定試薬
1.測定試薬・総論
本発明の被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの選択的測定試薬は、以下の第1試薬及び第2試薬より構成される。
第1試薬:
低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質、リポプロテインリパーゼ、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素、及び過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素を含有し、更に必要により過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を含有する試薬。
第2試薬:
超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質を含有し、更に必要により過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を含有する試薬。
なお、本発明の測定試薬は、前記の第1試薬及び第2試薬より構成されるものであるが、必要に応じて更に他の試薬、及び/又は標準物質(校正物質)等と組み合わされたものであってもよい。
また、本発明の測定試薬において、第1試薬の各成分は更に2試薬以上に分けて含有させてもよい。(この場合、第1試薬は、2試薬以上の複数試薬より構成される。)
同様に、第2試薬の各成分は更に2試薬以上に分けて含有させてもよい。(この場合、第2試薬は、2試薬以上の複数試薬より構成される。)
以上の試薬の構成により、被検試料の測定時に、被検試料中の高比重リポ蛋白及び低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを消去し、また被検試料中のカイロミクロンに含まれるトリグリセライドを測定反応にはかかわらせないことにより、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドのみを過酸化水素又は還元型補酵素に導いて選択的に測定が行えるようにしたものである。
2.第1試薬
本発明の測定試薬の第1試薬は、本発明の測定方法の第1段階を行うものである。(この第1段階については、前記の「I.測定方法」の「2.第1段階」等に詳細に記載)
3.第2試薬
本発明の測定試薬の第2試薬は、本発明の測定方法の第2段階を行うものである。(この第2段階については、前記の「I.測定方法」の「3.第2段階」等に詳細に記載)
4.選択的反応促進物質
(1)第一選択的反応促進物質
本発明の測定試薬の第1試薬に含有させる第一選択的反応促進物質は、前記の「I.測定方法」の「4.選択的反応促進物質」の「(1)第一選択的反応促進物質」に記載した通りである。
(2)第二選択的反応促進物質
本発明の測定試薬の第2試薬に含有させる第二選択的反応促進物質は、前記の「I.測定方法」の「4.選択的反応促進物質」の「(2)第二選択的反応促進物質」に記載した通りである。
(3)選択的反応促進物質のポリオキシアルキレンの平均付加モル数
本発明の測定試薬の第1試薬に含有させる第一選択的反応促進物質及び第2試薬に含有させる第二選択的反応促進物質における、ポリオキシアルキレンの平均付加モル数は、前記の「I.測定方法」の「4.選択的反応促進物質」の「(3)選択的反応促進物質のポリオキシアルキレンの平均付加モル数」に記載した通りである。
5.リポプロテインリパーゼ
本発明の測定試薬の第1試薬に含有させるリポプロテインリパーゼは、前記の「I.測定方法」の「5.トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応」の「(2)リポプロテインリパーゼにより触媒される反応」に記載した通りである。
なお、リポプロテインリパーゼは、第1試薬に含有させるだけではなく、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
6.グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素
本発明の測定試薬の第1試薬に含有させる、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素は、リポプロテインリパーゼによる反応により生成したグリセロールから過酸化水素又は還元型補酵素を生成させることができる反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよく、一連の反応を触媒する1種類の酵素であってもよく、また、一連の反応にかかわる複数種類の酵素からなるものであってもよい。
このグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素としては、例えば、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等を挙げることができる。
なお、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応及びこの反応を触媒する酵素の詳細については、前記の「I.測定方法」の「5.トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応」の「(3)グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応」に記載した通りである。
また、前記のグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素は、第1試薬に含有させるだけではなく、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、グリセロールキナーゼによる触媒反応には、アデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオンが必要である。よって、グリセロールキナーゼを用いる場合には、第1試薬にアデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンを存在(又は含有)させる。
このアデノシン三リン酸及びマグネシウムイオンは、前記の「I.測定方法」の「5.トリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる反応」の「(3)グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応」に記載した通りである。
前記のアデノシン三リン酸又はマグネシウムイオンは、第1試薬に含有させるだけではなく、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
また、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いる場合には、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)〔NAD〕、又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)〔NADP(酸化型)〕等の酸化型補酵素が必要であるので、第1試薬(又は、第1試薬及び第2試薬)にこの酸化型補酵素を含有させる。
7.過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素
本発明の測定試薬の第1試薬に含有させる、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素は、生成した過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒することができる酵素であれば、どのようなものでもよく、この反応を触媒する1種類の酵素であってもよく、また、この反応にかかわる複数種類の酵素からなるものであってもよい。
過酸化水素を他の物質に変える反応を触媒する酵素としては、例えば、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ等を挙げることができる。
また、還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素としては、この還元型補酵素を補酵素とし、この還元型補酵素を酸化型補酵素とする反応を触媒する脱水素酵素等を挙げることができ、より具体的には、例えば、乳酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素等を挙げることができる。
なお、過酸化水素を他の物質に変える反応を触媒する酵素として、カタラーゼを用い、これを第1試薬に含有させる場合には、アジ化ナトリウム等のカタラーゼの活性を阻害する物質を第2試薬に含有させることにより、第2段階で生成した過酸化水素がカタラーゼによって消去(分解)されないようにする必要がある。
また、過酸化水素を他の物質に変える反応を触媒する酵素として、ペルオキシダーゼを用い、これを第1試薬に含有させる場合には、被酸化性物質をも第1試薬に含有させる必要がある。
これにより、過酸化水素と被酸化性物質は、ペルオキシダーゼによる触媒反応により酸化物質に変わる。
この被酸化性物質としては、例えば、4−アミノアンチピリン、フェノール若しくはその誘導体、又はアニリン誘導体等を挙げることができる。
なお、4−アミノアンチピリンとフェノール若しくはその誘導体の両方、又は4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体の両方を、第1試薬に含有させると、第1段階において、生成した過酸化水素及びペルオキシダーゼにより発色してしまうので、共存しないよう、いずれか一方のみを第1試薬に存在(含有)させるようにしなければならない。
過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応及びこの反応を触媒する酵素の詳細については、前記の「I.測定方法」の「6.過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応」に記載した通りである。
8.過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質
過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質は、必要により本発明の測定試薬の第1試薬、第2試薬、又は、第1試薬及び第2試薬に含有させる。
即ち、被検試料と第1試薬を混合、接触させ(第1段階)、次いで、第2試薬を混合、接触させ(第2段階)、生成した過酸化水素又は還元型補酵素を測るのに、この過酸化水素自体又は還元型補酵素自体を測る場合以外は、過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を、第1試薬、第2試薬、又は、第1試薬及び第2試薬に含有させる必要がある。
なお、この過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質は、生成した過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出すことができる反応にかかわる物質であれば、どのようなものでもよく、前記反応にかかわる1種類の物質であってもよく、また、前記反応にかかわる複数種類の物質からなるものであってもよい。
そして、この過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質としては、例えば、ペルオキシダーゼ、トリンダー反応系における色原体(4−アミノアンチピリン、フェノール若しくはその誘導体、又はアニリン誘導体)、ジアホラーゼ、1−メトキシ−フェナジンメトサルフェート、又はテトラゾリウム塩等を挙げることができる。
また、この過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質の全てを第1試薬、又は第2試薬に含有させてもよいが、過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を第1試薬と第2試薬に分けて含有させた方が、試薬が安定となるので好ましい。
例えば、4−アミノアンチピリンとフェノール若しくはその誘導体を分け、又は4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体を分けて、第1試薬と第2試薬の各々に含有させる。
更に、ペルオキシダーゼ及び4−アミノアンチピリン及びフェノール若しくはその誘導体、又はペルオキシダーゼ及び4−アミノアンチピリン及びアニリン誘導体を、第1試薬に含有させると、第1段階において、生成した過酸化水素により発色してしまうので、前記の3物質が共存しないよう、第1試薬と第2試薬に分けて含有させるようにすることが好ましい。
なお、過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質の詳細については、前記の「I.測定方法」の「7.過酸化水素又は還元型補酵素の測定」に記載した通りである。
9.反応補助物質
本発明の測定試薬において、第1試薬及び/又は第2試薬に反応補助物質を含有させてもよい。
なお、この反応補助物質の詳細については、前記の「I.測定方法」の「8.反応補助物質」に記載した通りである。
10.その他の物質
本発明の測定試薬の第1試薬及び/又は第2試薬においては、必要に応じて、更に、緩衝剤;他の酵素;他の酵素の基質;他の補酵素;アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アルブミンなどのタンパク質:アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;アスコルビン酸オキシダーゼなどの被検試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;賦形剤;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて含有させることができる。
本発明の測定試薬の第1試薬のpH及び第2試薬のpHは、各々pH5〜10の範囲であることが好ましく、pH5.5〜9.0の範囲であることが特に好ましい。
よって、第1試薬及び第2試薬の各々においては、pHが前記のpHの範囲となるような緩衝剤を含有させることが好ましい。
このような緩衝剤は、前記の「I.測定方法」の「9.その他の物質」に例示した通りである。
11.被検試料
本発明の測定試薬の対象となる被検試料の詳細については、前記の「I.測定方法」の「10.被検試料」に例示した通りである。
12.測定操作
本発明の測定試薬により、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する操作の詳細については、前記の「I.測定方法」の「11.測定操作」に記載した通りである。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2002−168738の明細書に記載された内容を包含する。
発明を実施するための最良の形態
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕本発明の測定方法及び測定試薬による精製リポ蛋白画分中のトリグセライドの測定
各種の第一選択的反応促進物質及び第二選択的反応促進物質を各々用いた測定方法及び測定試薬にて、精製リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定を行った。
1.本発明の測定試薬の調製
(1)第1試薬(試薬A)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
Figure 2003104486
(2)第2試薬(試薬B)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
2.総トリグリセライド測定試薬(対照)の調製
(1)第1試薬(試薬C)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(2)第2試薬(試薬D)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
3.精製リポ蛋白画分の調製
凝固阻止剤を入れた採血管で血液を採取し、これを密度勾配遠心法にて分離し、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白の5種類の比重の異なるリポ蛋白の画分をそれぞれ得た。これらの5種類の画分を被検試料として測定に供した。
4.リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定
前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定は、以下に示す手順で日立7170S形自動分析装置(日立製作所)を用いて行った。
▲1▼ 反応セル(反応キュベット)に、前記3で調製したリポ蛋白画分の2.5μlを被検試料として分注した。
次に、この反応セル(反応キュベット)に、前記1の(1)の本発明の第1試薬(試薬A)200μlを分注し、混合した。
そして、この反応セル(反応キュベット)を、37℃で加温して、第1段階の反応を行わせた。
▲2▼ 前記の第1試薬(試薬A)の添加後4分30秒目(16ポイント目)に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液(被検試料と第1試薬との反応液)の吸光度(主波長600nm、副波長700nm)を試料盲検として測定した。
▲3▼ 前記の吸光度の測定後に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液に、更に、前記1の(2)の本発明の第2試薬(試薬B)を100μl分注し、混合した。
そして、この反応セル(反応キュベット)を、37℃で加温して、第2段階の反応を行わせた。
▲4▼ 前記の第1試薬(試薬A)の添加後9分47秒目(34ポイント目)に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液(被検試料と第1試薬及び第2試薬との反応液)の吸光度(主波長600nm、副波長700nm)を、この被検試料の測定値として測定した。
▲5▼ 前記の被検試料に替え、精製水について、前記▲1▼〜▲4▼の操作を行い、試薬盲検の吸光度を測定した。
▲6▼ 前記▲4▼で得た吸光度(測定値)より試薬盲検の吸光度を差し引いたものから、前記▲2▼で得た吸光度(試料盲検)より試薬盲検の吸光度を差し引いたものを減じて、被検試料の吸光度差を算出した。
▲7▼ トリグリセライドであるトリオレイン(トリオレオイルグリセロール)の水溶液(濃度:250mg/dl)を被検試料とし、前記2の(1)の総トリグリセライド測定試薬の第1試薬(試薬C)、及び前記2の(2)の総トリグリセライド測定試薬の第2試薬(試薬D)を用いて、前記▲1▼〜▲6▼の操作を行い、このトリオレインの水溶液の吸光度差〔検量線〕を算出した。
▲8▼ 前記▲6▼で算出した被検試料の吸光度差と、前記▲7▼で算出した250mg/dlのトリオレインの水溶液の吸光度差〔検量線〕を比較し、被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度を算出して得た。
なお、前記の測定における、本発明の第1試薬(試薬A)に含有させた第一選択的反応促進物質と、本発明の第2試薬(試薬B)に含有させた第二選択的反応促進物質との組合せは、表2に示した。
また、前記の方法と同様にし、前記2の(1)の総トリグリセライド測定試薬の第1試薬(試薬C)、及び前記2の(2)の総トリグリセライド測定試薬の第2試薬(試薬D)を用いて、前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定を行った。
本発明の測定試薬に含有させた第一選択的反応促進物質及び第二選択的反応促進物質の効果を確かめるため、本発明の測定試薬(試薬A及び試薬B)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)を、総トリグリセライド測定試薬(試薬C及び試薬D)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)で除した値を求めた。
この値を表2に示した。
Figure 2003104486
5.まとめ
(1)第二選択的反応促進物質をNP−10とした場合
本発明の第2試薬(試薬B)に含有させる第二選択的反応促進物質をNP−10(ポリオキシエチレンの平均付加モル数が10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)とし、本発明の第1試薬(試薬A)に含有させる第一選択的反応促進物質(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)のポリオキシエチレンの平均付加モル数を種々変えた場合の測定結果について以下説明を行う。
▲1▼ 第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数が10〔NP−10〕の場合には、被検試料がカイロミクロン画分、超低比重リポ蛋白画分、中間比重リポ蛋白画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分のいずれの場合でも、各々のリポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できていないことが分かる。
▲2▼ 第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数が11〔エマルゲン911〕の場合、11.2〔NP−11.2〕の場合、11.4〔NP−11.4〕の場合、11.5〔NP−11.5〕の場合、及び11.6〔NP−11.6〕の場合にはいずれも、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、それに対してカイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分、及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドはほとんど測定していないか又は僅かにしか測定していないことが分かる。
即ち、ポリオキシエチレンの平均付加モル数を四捨五入した場合、第二選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(n)が10であって、第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(m)が11〜12のとき(m/nが1.1〜1.2のとき)、カイロミクロン、低比重リポ蛋白、及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに比較して、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定することができることが確かめられた。
▲3▼ 第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数が13〔NP−13〕の場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できているものの、低比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドをも測定してしまうことが分かる。
即ち、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドだけを選択的に測定することができないことが確かめられた。
(2)第一選択的反応促進物質をエマルゲン911とした場合
本発明の第1試薬(試薬A)に含有させる第一選択的反応促進物質をエマルゲン911(ポリオキシエチレンの平均付加モル数が11のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)とし、本発明の第2試薬(試薬B)に含有させる第二選択的反応促進物質(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)のポリオキシエチレンの平均付加モル数を種々変えた場合の測定結果について以下説明を行う。
▲1▼ 第二選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数が10〔NP−10〕の場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、それに対してカイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドをほとんど測定していないことが分かる。
即ち、第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(m)が11であって、第二選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(n)が10のとき(m/nが1.1のとき)、カイロミクロン、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドに比較して、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定することができることが、この実験結果からも確かめられた。
▲2▼ 第二選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数が11.2〔NP−11.2〕の場合、11.4〔NP−11.4〕の場合、11.6〔NP−11.6〕の場合、及び13〔NP−13〕の場合には、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できているものの比率が低いことが分かる。
即ち、ポリオキシエチレンの平均付加モル数を四捨五入した場合、第一選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(m)が11であって、第二選択的反応促進物質のポリオキシエチレンの平均付加モル数(n)が11〜13のとき(m/nが0.85〜1.0のとき)は、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの選択的測定には適さないものであることが確かめられた。
〔実施例2〕反応補助物質の効果の確認
第一選択的反応促進物質及び/又は第二選択的反応促進物質の選択的反応促進の働きが、反応補助物質の存在(含有)により高まることの効果を確かめた。
1.本発明の測定試薬の調製
(1)第1試薬(試薬E)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
反応補助物質〔物質名及び濃度は表3に記載〕
Figure 2003104486
(2)第2試薬(試薬F)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
2.総トリグリセライド測定試薬(対照)
(1)第1試薬(試薬C)
前記実施例1の2の(1)の第1試薬(試薬C)を用いた。
(2)第2試薬(試薬D)
前記実施例1の2の(2)の第2試薬(試薬D)を用いた。
3.精製リポ蛋白画分
前記実施例1の3のカイロミクロン、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白の5種類のリポ蛋白の画分を、それぞれ被検試料として測定に用いた。
4.リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定
前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定は、本発明の第1試薬(試薬A)に代えて前記1の(1)の本発明の第1試薬(試薬E)を用いたこと、及び本発明の第2試薬(試薬B)に代えて前記1の(2)の本発明の第2試薬(試薬F)を用いたこと以外は、前記実施例1の4の▲1▼〜▲8▼の記載の通りに行った。
そして、前記の各々の第1試薬(試薬E)毎に〔各反応補助物質及び各濃度毎に〕、前記の測定を行った。
また、前記の方法と同様にし、前記2の(1)の総トリグリセライド測定試薬の第1試薬(試薬C)、及び前記2の(2)の総トリグリセライド測定試薬の第2試薬(試薬D)を用いて、前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定を行った。
そして、本発明の測定試薬(試薬E及び試薬F)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)を、総トリグリセライド測定試薬(試薬C及び試薬D)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)で除した値を求めた。
この値を表4に示した。
Figure 2003104486
5.まとめ
▲1▼ 反応補助物質としてβ−CDを、本発明の第1試薬(試薬E)に含有させることにより、低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測り込んでしまう度合いを低減させることができることが分かる。
そして、含有させる濃度を増加させたとき、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測定できる度合いは減少するものの、それを上回る比率で低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの測り込みを減少させることができることが分かる。
これは、反応補助物質として、ヒドロキシプロピル−γ−CD、マルトシル−β−CD、水溶性β−シクロデキストリンポリマー、又は水溶性γ−シクロデキストリンポリマーを用いたときも、同様の効果が生じることが分かる。
▲2▼ 反応補助物質としてγ−CDを、本発明の第1試薬(試薬E)に含有させることにより、低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測り込んでしまう度合いを低減させることができることが分かる。
そして、含有させる濃度を増加させたとき、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測定できる度合いは減少するものの、それを上回る比率で低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの測り込みを減少させることができることが分かる。
▲3▼ 反応補助物質としてα−CDスルホン酸ナトリウムを、本発明の第1試薬(試薬E)に含有させることにより、低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測り込んでしまう度合いを低減させることができることが分かる。
▲4▼ 反応補助物質としてイソエリートPを、本発明の第1試薬(試薬E)に含有させることにより、低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを測り込んでしまう度合いを低減させることができることが分かる。
そして、含有させる濃度を増加させたとき、低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの測り込みを減少させることができることが分かる。
以上のことより、反応補助物質であるシクロデキストリン又はその誘導体を存在(含有)させることにより、第一選択的反応促進物質及び/又は第二選択的反応促進物質の選択的反応促進の働きを高められることが確かめられた。
〔実施例3〕リポプロテインリパーゼの性質による効果の確認
第1試薬に含有させる(第1段階に存在させる)リポプロテインリパーゼ、及び第2試薬に含有させる(第2段階に存在させる)リポプロテインリパーゼの性質による測定結果への効果について確かめた。
1.本発明の測定試薬の調製
(1)第1試薬(試薬G)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
リポプロテインリパーゼ〔商品名及び活性値は表5に記載〕
(2)第2試薬(試薬H)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
リポプロテインリパーゼ〔商品名及び活性値は表5に記載〕
2.総トリグリセライド測定試薬(対照)
(1)第1試薬(試薬C)
前記実施例1の2の(1)の第1試薬(試薬C)を用いた。
(2)第2試薬(試薬D)
前記実施例1の2の(2)の第2試薬(試薬D)を用いた。
3.精製リポ蛋白画分
前記実施例1の3のカイロミクロン、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白の5種類のリポ蛋白の画分を、それぞれ被検試料として測定に用いた。
4.リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定
前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定は、本発明の第1試薬(試薬A)に代えて前記1の(1)の本発明の第1試薬(試薬G)を用いたこと、及び本発明の第2試薬(試薬B)に代えて前記1の(2)の本発明の第2試薬(試薬H)を用いたこと以外は、前記実施例1の4の▲1▼〜▲8▼の記載の通りに行った。
なお、前記の測定における、本発明の第1試薬(試薬G)に含有させたリポプロテインリパーゼと、本発明の第2試薬(試薬H)に含有させたリポプロテインリパーゼとの組合せは表5に示した通りである。
また、前記の方法と同様にし、前記2の(1)の総トリグリセライド測定試薬の第1試薬(試薬C)、及び前記2の(2)の総トリグリセライド測定試薬の第2試薬(試薬D)を用いて、前記3で調製した各リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定を行った。
そして、本発明の測定試薬(試薬G及び試薬H)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)を、総トリグリセライド測定試薬(試薬C及び試薬D)を用いたときの各被検試料(リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度(測定値)で除した値を求めた。
この値を表5に示した。
Figure 2003104486
5.まとめ
▲1▼ その活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであるLP−BP(旭化成)を第1試薬に含有させ(第1段階に存在させ)、そして、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであるLPL(旭化成)を第2試薬に含有させた(第2段階に存在させた)場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、それに対してカイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドはほとんど測定していないか又は僅かにしか測定していないことが分かる。
そして、第1試薬に含有させた(第1段階に存在させた)LP−BPの活性値が高くなるにつれ、低比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドの測り込みが少なくなることも分かる。
▲2▼ その活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであるLPL−314(東洋紡績)を第1試薬に含有させ(第1段階に存在させ)、そして、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであるLPL(旭化成)を第2試薬に含有させた(第2段階に存在させた)場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、それに対してカイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドはほとんど測定していないか又は僅かにしか測定していないことが分かる。
そして、第1試薬に含有させた(第1段階に存在させた)LPL−314の活性値が高くなるにつれ、低比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドの測り込みが少なくなることも分かる。
▲3▼ その活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであるLP−BP(旭化成)を第1試薬に含有させ(第1段階に存在させ)、そして、やはりその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであるLPL−314(東洋紡績)を第2試薬に含有させた(第2段階に存在させた)場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、そして、カイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドは僅かにしか測定していないことが分かる。
しかし、この場合、前記▲1▼及び▲2▼に比べて、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できる度合いが若干低いことが分かる。
▲4▼ その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであるLPL−311(東洋紡績)を第1試薬に含有させ(第1段階に存在させ)、そして、やはりその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであるLPL(旭化成)を第2試薬に含有させた(第2段階に存在させた)場合、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できており、そして、カイロミクロン画分、低比重リポ蛋白画分及び高比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドはほとんど測定していないか又は僅かにしか測定していないことが分かる。
しかし、この場合、第1試薬に含有させた(第1段階に存在させた)LPL−311の活性値が高くなるにつれ、超低比重リポ蛋白画分及び中間比重リポ蛋白画分に含まれるトリグリセライドを測定できる度合いが低くなることが分かる。
以上のことより、第1試薬に含有させる(第1段階に存在させる)リポプロテインリパーゼは、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであることが好ましく、そして、第2試薬に含有させる(第2段階に存在させる)リポプロテインリパーゼは、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものであることが好ましいことが確かめられた。
〔実験例〕(リポプロテインリパーゼの性質の確認)
各種のリポプロテインリパーゼについて、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであるか、又はその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものであるか、性質の確認を行った。
1.測定試薬の調製
(第1試薬の調製)
(1)第1試薬(試薬I)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(2)第1試薬(試薬J)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(第2試薬の調製)
(3)第2試薬(試薬K)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(4)第2試薬(試薬L)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(5)第2試薬(試薬M)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(6)第2試薬(試薬N)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(7)第2試薬(試薬O)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(8)第2試薬(試薬P)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(9)第2試薬(試薬Q)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
(10)第2試薬(試薬R)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH6.0(20℃)の試薬を調製した。
Figure 2003104486
2.精製リポ蛋白画分の調製
凝固阻止剤を入れた採血管で血液を採取し、これを密度勾配遠心法にて分離し、超低比重リポ蛋白の画分を得た。この画分を被検試料として測定に供した。
3.リポプロテインリパーゼの性質の確認
前記1で調製した各試薬により前記2で調製した超低比重リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定を行うことによって、各リポプロテインリパーゼの性質の確認を行った。
なお、この測定は、表6に記載した試薬の組合せにおいて、前記実施例1の4の「リポ蛋白画分中のトリグリセライドの測定」に記載の方法と同様にして、日立7170S形自動分析装置(日立製作所)を用いて行った。
各リポプロテインリパーゼの性質を確かめるため、前記各測定により得られた測定値〔被検試料(超低比重リポ蛋白画分)に含まれるトリグリセライドの濃度〕(測定値)を、表6に示したように他の測定値で除した値を求めた。
この値を表6に示した。
Figure 2003104486
4.まとめ
(1)界面活性剤がBT−12の場合
▲1▼ LP−BPを第2試薬に含有させたときの測定値を、LPLを第2試薬に含有させたときの測定値で除した場合
この除した値は0.15である。
このことより、同じ界面活性剤濃度において、LP−BPに比べてLPLの方がより酵素活性が高いことが分かる。
即ち、LP−BPはその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであり、LPLはその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであることが確かめられた。
▲2▼ LPL−314を第2試薬に含有させたときの測定値を、LPL−311を第2試薬に含有させたときの測定値で除した場合
この除した値は0.44である。
このことより、同じ界面活性剤濃度において、LPL−314に比べてLPL−311の方がより酵素活性が高いことが分かる。
即ち、LPL−314はその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであり、LPL−311はその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであることが確かめられた。
(2)界面活性剤がR−1020の場合
▲1▼ LP−BPを第2試薬に含有させたときの測定値を、LPLを第2試薬に含有させたときの測定値で除した場合
この除した値は0.46である。
このことより、同じ界面活性剤濃度において、LP−BPに比べてLPLの方がより酵素活性が高いことが分かる。
即ち、LP−BPはその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであり、LPLはその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであることが確かめられた。
▲2▼ LPL−314を第2試薬に含有させたときの測定値を、LPL−311を第2試薬に含有させたときの測定値で除した場合
この除した値は0.29である。
このことより、同じ界面活性剤濃度において、LPL−314に比べてLPL−311の方がより酵素活性が高いことが分かる。
即ち、LPL−314はその活性が界面活性剤の濃度に依存するリポプロテインリパーゼであり、LPL−311はその活性が界面活性剤の濃度に依存し難いリポプロテインリパーゼであることが確かめられた。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明の、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法及び試薬は、超遠心分離機による分離操作等の繁雑な操作を必要とせず、汎用されている自動分析装置への適用が可能であって、より簡便かつ正確に測定を行うことができるものである。

Claims (25)

  1. 以下の第1段階:
    ▲1▼ 低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質の存在下、被検試料にリポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を接触させ反応させて、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる;
    ▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を、過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素と反応させる;
    ▲3▼ 前記▲1▼及び▲2▼の反応により、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを消去する;
    並びに、以下の第2段階:
    ▲1▼ 前記第1段階の後、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質の存在下、リポプロテインリパーゼ、及びグリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素を反応させて、超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる;
    ▲2▼ 前記▲1▼の反応により生成した過酸化水素又は還元型補酵素を測る;
    により、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的に測定する方法。
  2. 第二選択的反応促進物質がポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数mと、第二選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数nとの比m/nが1.1〜1.2の範囲にある請求の範囲第2項記載の方法。
  4. mが7.7〜18の範囲にあり、nが7〜15の範囲にある請求の範囲第3項記載の方法。
  5. mが11〜12の範囲にあり、nが10である請求の範囲第3項記載の方法。
  6. 第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 第二選択的反応促進物質が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である請求の範囲第1項記載の方法。
  8. ポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンである請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 第一選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数mが11〜12の範囲にあるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、第二選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数nが10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである請求の範囲第1項記載の方法。
  10. 第1段階及び/又は第2段階において、反応補助物質を存在させる請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 反応補助物質が、多糖類若しくはその誘導体、ポリアニオン、ハロゲンイオン、金属イオン又はレクチンである請求の範囲第10項記載の方法。
  12. 第1段階に存在させるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであり、第2段階に存在させるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものである請求の範囲第1項記載の方法。
  13. 低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である第一選択的反応促進物質、リポプロテインリパーゼ、グリセロールより過酸化水素又は還元型補酵素を生成させる一連の反応を触媒する酵素、及び過酸化水素又は還元型補酵素を他の物質に変える反応を触媒する酵素を含有する第1試薬と、
    超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白及び高比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドを選択的にリポプロテインリパーゼと反応させることができる第二選択的反応促進物質を含有する第2試薬とを含む、被検試料中の超低比重リポ蛋白及び中間比重リポ蛋白、又は超低比重リポ蛋白に含まれるトリグリセライドの選択的測定試薬。
  14. 第1試薬及び/又は第2試薬が、更に過酸化水素又は還元型補酵素からシグナルを導き出す反応にかかわる物質を含有する請求の範囲第13項記載の試薬。
  15. 第二選択的反応促進物質がポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である請求の範囲第13項記載の試薬。
  16. 第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数mと、第二選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物のポリオキシアルキレンの平均付加モル数nとの比m/nが1.1〜1.2の範囲にある請求の範囲第15項記載の試薬。
  17. mが7.7〜18の範囲にあり、nが7〜15の範囲にある請求の範囲第16項記載の試薬。
  18. mが11〜12の範囲にあり、nが10である請求の範囲第16項記載の試薬。
  19. 第一選択的反応促進物質として用いるポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第13項記載の試薬。
  20. 第二選択的反応促進物質が、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンの直鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの分岐鎖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンの直鎖アルキル置換安息香酸エステル、及びポリオキシアルキレンの分岐鎖アルキル置換安息香酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオキシアルキレンのエーテル化合物又はエステル化合物である請求の範囲第13項記載の試薬。
  21. ポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンである請求の範囲第13項記載の試薬。
  22. 第一選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数mが11〜12の範囲のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであり、第二選択的反応促進物質が、ポリオキシエチレンの平均付加モル数nが10のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである請求の範囲第13項記載の試薬。
  23. 第1試薬及び/又は第2試薬が、更に反応補助物質を含有する請求の範囲第13項記載の試薬。
  24. 反応補助物質が、多糖類若しくはその誘導体、ポリアニオン、ハロゲンイオン、金属イオン又はレクチンである請求の範囲第23項記載の試薬。
  25. 第1試薬に含有されるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存するものであり、第2試薬に含有されるリポプロテインリパーゼが、その活性が界面活性剤の濃度に依存し難いものである請求の範囲第13項記載の試薬。
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