JPWO2003072216A1 - 凍結融解による濃縮物の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ターゲット成分及び不要な懸濁固形分を含む溶液から、低コスト且つ簡易に、ターゲット成分の濃縮液を得て且つ不要な懸濁固形分を除去する濃縮物の製造方法を提供する。本発明は、第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る工程、該凍結物全体を比較的緩慢に融解する工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する方法を提供する。
Description
技術分野
本発明は、凍結工程及び融解工程を用いて、成分Aを含む溶液Xから該成分Aの濃縮物を製造する方法に関する。特に、本発明は、凍結工程及び融解工程を用いて、溶液Xに懸濁固形分Bが含まれている場合、該懸濁固形分Bを容易に除去し且つ濃縮物を製造する方法に関する。
背景技術
成分Aを溶解する溶液Xであって懸濁固形分Bを含む溶液Xとして、多種多様なものが存在し、例えば液状食品から汚泥などの廃棄物に至るまでのものを挙げることができる。このような溶液Xから、目的成分Aの濃縮物を得るには、水分の除去、及び所望により懸濁固形分の除去を要する。このように、ある溶液Xから目的成分Aの濃縮物を得ることは、1)溶液体積が減少する;2)不要物である懸濁固形分の除去等によって溶液が安定化する;などの観点から、食品産業、環境産業、医薬品産業、及び化学産業など種々の産業上の応用が期待される、有用な技術である。
このような濃縮物を得る技術として、現在、a)蒸発法、b)膜濃縮法、又はc)凍結濃縮法などの濃縮法が用いられている。
a)蒸発法は、その名が示す通り、水分を蒸発させる方法であるが、エネルギーを多く消費する点、加熱操作であるため濃縮物の成分の品質の劣化を招く点、及び懸濁固形分を多く含む場合に蒸発法を行った後に容器内の残渣を処理する必要がある点などの多くの欠点を有する。
また、b)膜濃縮法は、その名が示す通り、膜を用いて濃縮する方法であるが、膜の目詰まりが生じるとその膜を交換する必要がありコスト高となる点、懸濁固形分を多く含む場合にはさらに目詰まりが生じコスト高となる点などの欠点を有する。
c)凍結濃縮法は、溶液を部分的に凍結させて、水分を氷の形で取り除き濃縮を達成する方法である。この方法は、高品質な濃縮液を得ることができる。しかしながら、凍結濃縮法は、濃縮液と氷との分離を容易に行うために、操作条件及び/又は装置構造が複雑化し且つコスト高となるため、普及が進んでいない。
また、c)凍結濃縮法において、処理すべき溶液が高濃度化すると粘度が上昇し、そのために濃縮液と氷との分離が困難になるという問題、即ちc)凍結濃縮法における濃縮には限界があるという問題もある。
その他の方法として、汚泥などから懸濁固形分を除去するには、薬品注入によるd)凝集沈殿法が一般的であるが、薬品のコストを要すること、及び環境汚染の観点から最善の処理法とはいえない。
発明の開示
本発明は、上述の従来の濃縮法、例えばa)蒸発法、b)膜濃縮法、c)凍結濃縮法、又はd)凝集沈殿法などの濃縮法の問題点を解決することをその目的とする。
具体的には、本発明の目的は、コストを低減し、且つ簡易に行うことができる濃縮物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的の他に、又は上記目的に加えて、処理すべき溶液が懸濁固形分を含む場合、特に多く含む場合、該懸濁固形分を容易に除去することができる濃縮物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的の他に、又は上記目的に加えて、上記製造方法によって得られた濃縮物、特に低コストの製法で得られた、高品質の濃縮物を提供することにある。
本発明者らは、以下の発明により、上記課題を解決できることを見出した。特に、本発明者らは、凍結融解法を応用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
<1> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
(A/170)>Vmelt 式1。
<2> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
T>170(W/A) 式2。
<3> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解する融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程をさらに有するのがよい。該固形分除去工程は、遠心分離、濾過(例えば膜濾過)、クロマト分離などの手法を用いて行うのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを用いてもよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収工程をさらに有するのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるか、及び/又は融解初期画分中の第1の成分量が、第1の成分を含む溶液に含まれる第1の成分最を100とした場合、100/4以上であるのがよい。
<7> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、第1の回収工程及び/又は第2の回収工程は、a)融解物の濃度をモニタリングするか、及び/又はb)一定量を分取すること;により行うのがよい。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれかにおいて、融解初期画分及び融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<10> 上記<1>〜<9>のいずれかにおいて、融解中期画分及び融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<11> 上記<1>〜<10>のいずれかにおいて、融解初期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<12> 上記<1>〜<11>のいずれかにおいて、融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<13> 上記<1>〜<12>のいずれかにおいて、融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<14> 上記<1>〜<13>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収するか及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する工程をさらに有するのがよい。
<15> 上記<14>において、物理化学的手法が、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
<16> 上記<1>〜<15>のいずれかにおいて、融解工程の際、及び/又は融解工程後、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収工程をさらに有するのがよい。
<17> 上記<16>において、分離回収工程において、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離装置を配置するのがよい。
<18> 上記<16>又は<17>において、分離回収工程は、第1の回収工程及び/又は第2の回収工程前に行うのがよい。
<19> 上記<16>〜<18>のいずれかにおいて、固形分分離装置は、濾過器、フィルタ及びメッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
<20> 上記<16>〜<19>のいずれかにおいて、分離回収工程で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質を回収する工程をさらに有するのがよい。
<21> 上記<1>〜<20>のいずれかにおいて、融解工程において生じる融解潜熱及び/又は顕熱を、上記<1>〜<20>のいずれかで、エネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するのがよい。
<22> 上記<1>〜<21>のいずれかの方法によって製造される第1の成分の濃縮物。
<23> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
(A/170)>Vmelt 式1。
<24> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
T>170(W/A) 式2。
<25> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解する融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置。
<26> 上記<23>〜<25>のいずれかにおいて、凍結手段よりも上流に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去手段をさらに有するのがよい。該固形分除去手段は、遠心分離手段、濾過手段(濾過器、例えば膜濾過)、クロマト分離手段などであるのがよい。固形分除去手段を有する場合、第1の成分を有する溶液から固形分の一部又は全部を除去した液を凍結手段に付するのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去手段として、本発明の装置を挙げることもできる。
<27> 上記<23>〜<26>のいずれかにおいて、第1の回収手段は、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収手段をさらに有するのがよい。
<28> 上記<23>〜<27>のいずれかにおいて、融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるか、及び/又は融解初期画分中の第1の成分量が、第1の成分を含む溶液に含まれる第1の成分量を100とした場合、100/4以上であるのがよい。
<29> 上記<23>〜<28>のいずれかにおいて、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段は、a)融解物の濃度をモニタリングするモニタリング手段、及び/又はb)一定量を分取する分取手段を有するのがよい。
<30> 上記<23>〜<29>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<31> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解初期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<32> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<33> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<34> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<35> 上記<23>〜<34>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収する第3の回収手段、及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する清澄手段をさらに有するのがよい。
<36> 上記<35>において、物理化学的手法が、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
<37> 上記<23>〜<36>のいずれかにおいて、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収手段をさらに有するのがよい。
<38> 上記<37>において、分離回収手段は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離手段、例えば濾過器、フィルタ及びメッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種を配置するのがよい。
<39> 上記<37>又は<38>において、分離回収手段は、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段よりも上流に配置するのがよい。
<40> 上記<37>〜<39>のいずれかにおいて、分離回収手段で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質を回収する第4の回収手段をさらに有するのがよい。
<41> 上記<23>〜<40>のいずれかにおいて、融解手段において生じる融解潜熱及び/又は顕熱を、上記<23>〜<40>のいずれかで、エネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するのがよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、該溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を比較的緩慢に融解する融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する。
また、本発明の方法は、融解工程が溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収工程をさらに有するのがよい。なお、懸濁固形分の分離回収工程については後述する。
さらに、本発明の方法は、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程をさらに有するのがよい。この固形分除去工程は、遠心分離、濾過(例えば膜濾過)、クロマト分離などの手法を用いて行うのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階的に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを用いてもよい。これらの固形分除去工程を設けることにより、本発明は、より濃度の高い濃縮物を提供することができる。
本発明の方法がターゲットとする溶液は、第1の成分を有する。第1の成分は、濃縮のターゲットとする成分である。第1の成分とは、本明細書において、1種の成分を意味するだけでなく、2種又はそれ以上の成分群をも意味する。
本発明の方法はまず、ターゲットである、第1の成分を有する溶液を急速に凍結する凍結工程に付す。凍結工程は、第1の成分を有する溶液の凝固点と実際に凍結する温度との差、即ち過冷却度が0.2℃以上、好ましくは1℃以上であるのがよい。具体的には、凍結工程は、凝固点が第1の成分及びその量に依存するが、ディープフリーザーが提供する約−80℃、液体窒素が提供する約−200℃に、第1の成分を有する溶液を置くのがよい。なお、上述のように、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程を有してもよい。
次いで、凍結工程で得られた凍結物を融解工程に付する。ここで、融解工程は、次のメカニズムを基にして比較的緩慢に融解するのがよい。即ち、一般的に溶液(懸濁固形分を含む溶液を含む)を凍結させると、氷結晶は、純粋な水分子のみから成長する。凍結物内の構造は、氷結晶とそれ以外の成分が濃縮された高濃度部分が点在するようになる。このような凍結物の構造は、どのように凍結したもの、例えば上記の凍結工程の凍結法においても同様なメカニズムであると考えられる。このようにして得られた凍結物を比較的緩慢に融解すれば、この高濃度部分の周りの氷から融解し始め、高濃度成分が初段階で融出して、所望の濃縮物を得ることができる。なお、溶液に懸濁固形分が含まれる場合、その懸濁固形分は凍結によってゲル構造を形成保持し、初段階では融出してこないため、懸濁固形分の分離も比較的容易に行うことができる。
さらに、融解工程は、次のような式で表すことができる。即ち、VL:氷結晶が中心方向に融解する線速度(cm/分);Vmelt:凍結物の融解速度(g/分);A:凍結物の表面積(cm2);ρ:氷の密度(g/cm3);W:凍結物の重量(g);T:融解に要する時間(分);とすると、凍結物の融解速度は式Aで、凍結物全体を融解するのに必要な時間は式Bで、表すことができる。
Vmolt=ρ・VL・A 式A。
T=W/(ρ・VL・A) 式B。
氷の大きさを含めて種々の操作条件を、後述の実施例を含めて検討した結果、VL=0.007(cm/min)のしきい値以下で融解することにより、上記のように、高濃度成分を初期段階で融出させることができることを見出した。また、この際には、上述のように、懸濁固形分も融出しないか又はその量が少ないことを見出した。このVL<0.007(cm/min)(式C)及びρ(氷の密度(g/cm3))を上記式A及びBと組み合わせることにより、以下の式1及び式2を見出すことができる。
Vmelt<(A/170) 式1。
T>170(W/A) 式2。
このように、式1及び/又は式2を満たすことにより、凍結対象溶液の組成・濃度などの性質を問わず、融解速度の制御という簡便な操作によって、濃縮物を得ることができる。なお、上記式2を踏まえて、一般に、凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解するのがよい。
なお、融解に要する時間Tの始点及び終点は、本明細書において、特記しない限り次のように規定することができる。即ち、融解の始点は、融解物が生じる時間であり、終点は、融解物が生じなくなった時間をいう。
本発明の融解工程において、融解物を得る。この融解工程の融解初期に得られる融解物、即ち融解初期画分を回収すると、第1の成分(ターゲット成分)の濃縮物を得ることができる。ここで、「融解初期」とは、第1の成分を含む溶液中に含まれる第1の成分量を100とした場合、融解物中の第1の成分の量が100/4となるまでの期間をいうか、及び/又は融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるまでの期間の融解物を回収したものをいう。また、本発明の方法は、融解初期画分以外の融解物を、融解中期画分、及び融解後期画分に分ける第2の回収工程を有してもよい。
「融解中期」とは、融解初期画分を回収した後であって、該融解物の濃度が第1の成分を含む溶液の第1の成分についての濃度とほぼ同程度となるような期間をいう。さらに、「融解後期」とは、融解中期以降の融解物をいう。
第1の回収工程及び/又は第2の回収工程は、a)融解物の濃度をモニタリングするか、及び/又はb)一定量を分取すること;により行うことができる。a)のモニタリングを行うことにより、ある時点での融解物が融解初期画分であるか否かなどを即時に求めることができる。一方、一定量を分取しておき、その濃度を調べることにより、第1回目の分取分〜第n回目の分取分までが、融解初期画分であり、第n+1回目〜第m回目(mは自然数であって、m>n+1を満たす)が融解中期画分であり、第m+1回目以降が融解後期画分であることがわかる。なお、上記a)又はb)の手法は、単に例示であって、これに限定されるものではない。
なお、第1の成分を含む溶液中に含まれる第1の成分量を、凍結前に測定するのがよい。測定方法は、従来より公知の種々の方法によって行うことができ、その方法は限定されない。
本発明の融解工程は、第1の成分を有する溶液が懸濁固形分を含む場合、該懸濁固形分を分離回収する工程をさらに有するのがよい。
分離回収工程は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じるとき、該凍結物の下流に固形分分離装置を配置して行うのがよい。また、固形分分離装置は、上記の融解物の各画分を分けて回収する第1の回収工程及び/又は第2の回収工程の前に、設置するのがよい。
固形分分離装置として、例えば濾過器、フィルタ、及びメッシュなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
分離回収工程で得られた懸濁固形分は、従来より公知の物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質、例えば有用な物質を回収することができる。懸濁固形分は、融解物と分離して得られる、即ち脱水化及び減容化されているため、比較的簡易な処理によって有用な物質を得ることができる。ここで、物理化学的処理及び/又は生物学的処理として、さらなる脱水、さらなる乾燥、薬品添加によるもの、発酵、などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の方法をより簡潔に説明する。本発明の方法は、凍結工程で得た凍結物をメッシュなどの上に載せ、融解させる。融解によって生じた融解物は、メッシュを透過して融解物となる。一方、懸濁固形分も融解時に生じるが、該懸濁固形分はメッシュを透過しない。また、上述のように、懸濁固形分は、融解初期段階では融出してこないか又はその量は微量である。このようにして、本発明の方法は、懸濁固形分を容易に除去することができる。また、本発明の方法の融解工程によって生じた融解物のうち、融解初期画分は、その濃度が、本発明に用いる、第1の成分を有する溶液のそれよりも高い。即ち、第1の成分の濃縮物を得ることができる。
なお、本発明によって得られた融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分は、それ自体を第1の成分を有する溶液として用いることができる。また、その他に、第1の成分を有する溶液を有する場合、該溶液と、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分とを混合して、本発明の第1の成分を有する溶液として用いることができる。要するに、濃縮物としては比較的濃度が高くなった融解初期画分を、本発明の方法により再度(又はそれ以上)濃縮することにより、より高濃度の濃縮物を得ることができる。また、濃縮物としては比較的濃度が低い融解中期画分又は融解後期画分を、本発明の方法により濃縮して、所望の濃縮物を得ることができる。換言すると、本発明の方法を多段階で行うことにより、所望の濃縮物を得ることができる。なお、上述のように、凍結工程前に行う固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを挙げることができる。この場合、本発明の方法1セットにより、固形分を除去することができるだけでなく、複数セット行うことにより濃縮の度合いをより効率的に高めることができる。
また、本発明の方法は、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収するか及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する工程をさらに有していてもよい。要するに、各画分を本発明の方法により濃縮してもよい他、従来から用いられる方法によって濃縮、回収、及び/又は清澄化することができる。なお、物理化学的手法として、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の融解工程において生じる融解潜熱及び顕熱は、種々のエネルギー源として用いることができる。例えば、本発明の方法の各工程に用いても、その他のエネルギー源として利用してもよい。
本発明の方法は、次のような装置によって行うことができる。
即ち、本発明のある面としての装置は、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を比較的緩慢に融解する融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得ることができる。
本発明の装置は、凍結手段よりも上流に、即ち第1の成分を有する溶液を凍結手段に付する前に、該溶液から固形分を除去する固形分除去手段を配置するのがよい。この固形分除去手段は、遠心分離手段、濾過手段(濾過器、例えば膜濾過)、クロマト分離手段などであるのがよい。固形分除去手段を有する場合、第1の成分を有する溶液から固形分の一部又は全部を除去した液を凍結手段に付するのがよい。なお、後述の本発明の方法を1セットとして該セットを多段階に行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去手段として、本発明の装置を挙げることもできる。
また、本発明の装置は、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収手段をさらに有するのがよい。分離回収手段は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離手段、例えば濾過器、フィルタ、及びメッシュなどを配置するのがよい。なお、分離回収手段は、融解手段より生じる融解物についての下流側であって、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段よりも上流側に配置するのがよい。
また、第1の回収手段は、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収手段をさらに有するのがよい。第1の回収手段及び/又は第2の回収手段は、a)融解物の濃度をモニタリングするモニタリング手段、及び/又はb)一定量を分取する分取手段を有するのがよい。
本発明の装置、特に本発明の装置のうちの融解手段、並びに第1及び/又は第2の回収手段は、凍結手段によって得られた凍結物を、コンベアなどの移動手段上に載せ、移動手段の移動と共に得られる融解物をそれぞれ、移動初期段階を「融解初期画分」、移動中期段階を「融解中期画分」、及び移動後期段階を「融解後期画分」として回収するように、設けることもできる。
例えば、図1に示す移動手段3を有する装置1を例示することができる。ここでは、移動手段3であるコンベア3のテーブル5を例えば金属製のメッシュとするのがよい。融解物X、Y及びZが、メッシュを通過して、鉛直下方Cに流れるのがよい。また、固形分Sがある場合、該固形分Sがメッシュにより除去されるのがよい。さらに、コンベアテーブルがメッシュであることから、コンベア終端において、該メッシュから固形分が排出されるように、装置を設計するのがよい。
融解物を得る段階においては、まず、このメッシュ状のコンベアテーブル上に凍結物を置く。次いで、コンベアを移動させる。移動速度は、融解速度とシンクロさせるのがよい。即ち、融解速度を1時間とした場合、移動速度は、凍結物が終端に行くまでの時間を1時間となるように、設定するのがよい。コンベアテーブル下には、受け皿7を設けるのがよい。受け皿7は、コンベア両端を複数個に分けてコンベア両端をカバーする大きさのものであるのがよい。この受け皿は、移動初期段階を「融解初期画分」、移動中期段階を「融解中期画分」、及び移動後期段階を「融解後期画分」として回収する第1及び/又は第2の回収手段に相当する。
本発明の装置は、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収する第3の回収手段、及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する清澄手段をさらに有するのがよい。物理化学的手法は、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
本発明の装置は、分離回収手段で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質、例えば有用な物質を回収する第4の回収手段をさらに有するのがよい。
さらに、本発明の装置は、融解手段において生じる融解潜熱及び顕熱を、本発明の装置のエネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するエネルギー伝達手段を有するのがよい。
実施例
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本実施例は単に例示であって、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
サンプルとして、10%濃度に調整したグルコース水溶液A−1を5dm3用いた(溶液中のグルコース量:500g)。
水溶液A−1を、1dm3ずつプラスチック製の円筒容器(半径4.35cm、高さ16.8cm)に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、凍結物B−1を5個得た。
5個の凍結物B−1を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、濃縮のターゲット成分であるグルコース濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は13時間10分、融解速度は6.3g/分であった。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が26.2%となった時点のものを初期画分X−1として500cm3(グルコース量:131g)を採取した。また、初期画分X−1以降の融解液のグルコース濃度が15.9%となった時点のものを中期画分Y−1として1000cm3(グルコース量:159g)を採取した。残りを後期画分Z−1とした(グルコース濃度:5.1%、グルコース量:128g)。
初期画分X−1は、そのグルコース濃度が26.2%であり、水溶液A−1の濃度10%よりも約2.6倍濃縮されたことが分かる。
(実施例2)
実施例1と同様の水溶液A−1を用いた。但し、凍結において、実施例1とは異なるサイズの凍結物B−2を得た。即ち、水溶液A−1を、プラスチック製の家庭用製氷皿に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−2を400個を得た。
400個の凍結物B−2を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、濃縮のターゲット成分であるグルコース濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は15時間10分、融解速度は5.5g/分であった。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が33.6%となった時点のものを初期画分X−2として500cm3(グルコース量:168g)を採取した。また、初期画分X−2以降の融解液のグルコース濃度が16.5%となった時点のものを中期画分Y−2として820cm3(グルコース量:135.3g)を採取した。残りを後期画分Z−2とした(グルコース濃度:3.3%、グルコース量:88.6g)。
初期画分X−2は、そのグルコース濃度が33.6%であり、水溶液A−1の濃度10%よりも約3.4倍濃縮されたことが分かる。
また、実施例1と比較すると、凍結物のサイズが違っても、本発明の融解速度及び融解時間により、濃縮物を得られることがわかる。
(実施例3)
生ゴミ糖化液A−3 5dm3を試料として用いた。なお、この糖化液A−3は、標準組成、即ち炭水化物43%、野菜・果実類38%及びタンパク質19%からなる生ゴミに水を等量加え、その後アミラーゼを添加して6時間糖化したものであった。なお、生ゴミ糖化液5dm3中、ターゲット成分であるグルコース量は、屈折率計を用いて測定したところ、830gであった(濃度:16.6%)。
糖化液A−3 5dm3を、各々1dm3ずつプラスチック製円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、表面積2850cm2の円筒形凍結物を5個得た。
この円筒形の凍結物5個を金属製メッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製タンク内(温度:20℃)で融解させた。融解時間は12時間、即ち融解速度は6.9g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量を流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が38%となった時点のものを初期画分X−3として1000cm3(グルコース量:380g)を採取した。また、初期画分X−3以降の融解液のグルコース濃度が24.2%となった時点のものを中期画分Y−3として1000cm3(グルコース量:242g)を採取した。残りを後期画分Z−3とした(グルコース濃度:6.3%、グルコース量:189g))。
初期画分X−3は、そのグルコース濃度が38%であり、水溶液A−3の濃度16.6%よりも約2.3倍濃縮されたことが分かる。
(実施例4)
実施例3で得られた初期画分X−3及び中期画分Y−3をターゲット成分である糖を含む溶液として用いて、濃縮物を得る本発明の方法を行った。
即ち、グルコース水溶液A−4 2dm3(グルコース量:622g、グルコース濃度:31.1%)を試料として用いた。
液A−4 2dm3を、各々1dm3ずつプラスチック製円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、表面積が各々570cm2の円筒形凍結物を2個得た。
この円筒形の凍結物2個を金属製メッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製タンク内(温度:20℃)で融解させた。融解時間は7時間20分、即ち融解速度は4.5g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量を流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が52.7%となった時点のものを初期画分X−4として400cm3(グルコース量:210g)を採取した。また、初期画分X−4以降の融解液のグルコース濃度が45.9%となった時点のものを中期画分Y−4として400cm3(グルコース量:184g)を採取した。残りを後期画分Z−4とした(グルコース濃度:17.1%、グルコース量:205g))。
初期画分X−4は、そのグルコース濃度が52.7%であり、液A−4の濃度31.1%よりも約1.7倍濃縮されたことが分かる。また、X−4のグルコース濃度:52.7%は、液A−3の濃度16.6%の3.17倍濃縮されたことがわかる。よって、本発明の方法を多段階で行うことにより、1回の濃縮物よりもより濃縮されたものを得られることがわかる。
(実施例5)
サンプルとして、10%濃度に調整したグルコース水溶液A−5を1dm3用いた。この水溶液A−5中、濃縮のターゲット成分であるグルコースの量は100gであった。
水溶液A−5を、プラスチック製の円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させた。
凍結後、取り出した凍結物を削り、微細なシャーベット氷状(平均氷結晶粒径700μm)にしたもの(B−5)を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は7時間、融解速度は2.4g/分であった。
なお、シャーベット氷状の凍結物は、各々が直径700μmの球形であるとすると、計1dm3を換算して総表面積は85520cm2であった。これを、式1及び式2で当てはめた場合、融解速度が503g/分以下、又は融解時間が2分以上となるべきであり、上記融解時間及び融解速度はそれらを満たしていた。
融解液を、融解初期画分X−5、融解中期画分Y−5及び融解後期画分Z−5に分けて採取した。それぞれは、ターゲット成分であるグルコースの濃度をモニターし且つ融解液量をモニターして、融解初期画分X−5のグルコース濃度が23.6%(グルコース量:47.2g)、融解中期画分Y−5のグルコース濃度が11.9%(グルコース量:35.6g)となるようにし、それ以降を融解後期画分Z−5(グルコース濃度:1.4%、グルコース量:6.8g)となるように分取した。
このように、融解初期画分X−5は、その糖の濃度が23.6%であり、濃縮前の濃度10%よりも約2.4倍に濃縮されたことがわかる。
(実施例6)
サンプルとして、パームオイル廃液A−6を200g用いた。ターゲット成分として、廃液A−6中に含まれる塩分(NaCl換算)に着目し、その量を測定したところ4.6gであった(濃度:2.3%)。また、廃液A−6は、全固形分8.34gを含んでいた。
廃液A−6を製氷皿に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩かけて凍結させ、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−6を16個得た。
得られた凍結物B−6 16個を金属製のメッシュかご(400メッシュ)内に置き、金属製のタンク内(25℃)で融解させた。融解時間は2時間52分、融解速度は1.2g/分であった。
メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、ターゲット成分である塩分(NaCl換算)の濃度を、電気伝導度計を用いて測定した。
タンク下部より回収した融解液の塩分濃度を電気伝導度計でモニターし且つ融解液量をモニターして、初期画分X−6の塩分濃度が3.1%(塩分量:2.48g)、及び中期画分Y−6の塩分濃度は2.4%(塩分量:1.44g)となるようにし、残りを後期画分Z−6とした(塩分濃度:1.3%、塩分量:0.36g)。
また、融解中、メッシュかごには固形分が保持され、融解終了後に固形分8.07gを回収し、排出することができた。即ち、廃液A−6中の全固形分8.34g中の96.8%を除去することができた。
融解初期画分X−6は、塩分濃度3.1%であり、廃液A−6中の塩分濃度2.3%と比較すると、1.3倍に濃縮されたことがわかる。また、融解初期画分X−6は、固形分が除去されていた。
(実施例7)
サンプルとして、野菜搾汁液A−7を200g用いた。この搾汁液A−7中、濃縮のターゲット成分である糖の量を、屈折率計を用いて測定して、7.6gであった(濃度3.8%)。
この搾汁液A−7を製氷皿に入れ、−20℃の家庭用フリーザで一晩かけて凍結させ、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−7を16個得た。
凍結物B−7 16個を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内で、温度20℃で融解させた。融解時間は1時間50分であり、融解速度は1.8g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は、流量計で測定した。また、ターゲット成分である糖の濃度を屈折率計で測定した。
タンク下部より回収した融解液は、その糖の濃度を屈折率計でモニターし且つその液量をモニターして、初期画分X−7の糖濃度が6.2%(糖の量:3.6g)、中期画分Y−7の糖濃度は3.1%(糖の量:1.3g)となるようにし、残りを後期画分Z−7(糖濃度:1.1%、糖の量:0.88g))とした。
また、融解中、メッシュかごには固形分が保持され、融解終了後に固形分を回収し、排出することができた。
融解初期画分X−7は、その糖濃度6.2%であり、野菜搾汁液A−7中の糖濃度3.8%と比較すると、約1.6倍濃縮されたことがわかる。また、融解初期画分X−7は、野菜搾汁液A−7に含まれていた固形分が除去されていた。
(実施例8)
サンプルとして、宮崎県高千穂町の焼酎会社の麦焼酎廃液A−8を用いた。まず、焼酎廃液A−8を遠心分離して固形分B−8を除去し、固形分フリーの麦焼酎廃液A−8’を得た。固形分濃度がそれぞれ、麦焼酎廃液A−8の2倍(A−8’a);等倍(A−8’b);1/2倍(A−8’c);1/4倍(A−8’d);固形分なし(A−8’e);となるように、麦焼酎廃液A−8’中に、固形分B−8を戻して、サンプルA−8’a〜A−8’eを調製した。
その後、サンプルA−8’a〜A−8’eを容量1Lのプラスチック製円筒容器内に入れ、−18℃の家庭用冷凍庫で一晩凍結を行い、各サンプルの凍結物を得た。サンプルA−8’a〜A−8’eの各々の凍結物は、室温条件下、1辺1.5mmのメッシュ上で融解し、融解液を等量ずつ分取した。融解液は、手持屈折率計で糖濃度を測定した。
図2に、サンプルA−8’a〜A−8’eの各融解液の糖濃度を測定した結果を示す。なお、図2の縦軸は、凍結前の各サンプルの糖濃度を1とし(凍結前の各サンプルの糖濃度はすべて同じであった)、それとの濃縮の度合いを「濃縮率」として標準化した値をプロットした。
図2から、固形分が少なくなるに従って、濃縮率が大となる傾向が観察される。一方、固形分が多いと濃縮率が低い、即ち濃縮が困難になることがわかる。よって、本実施例から、凍結工程前に、固形分除去工程を設けることにより、濃縮率の高い(濃度が高い)濃縮物を得られることがわかる。
さらに、本発明の凍結融解法により固形分除去も達成できることを確認した。即ち、懸濁固形分21,000ppmの焼酎廃液A−9を凍結し、凍結物を得た。この凍結物をメッシュ上で融解すると、固形分はメッシュ上に残り、メッシュを通過した融解液X−9の懸濁固形分濃度は3750ppmであった。さらに、この液を12時間静置させて、その上清みを回収するとその固形分濃度は225ppmであった。したがって、「凍結融解」→「沈降」という簡単な操作を経ることにより、融解液X−9のデカント液X−9’の固形分濃度は、焼酎廃液A−9の約1/100にできることを確認した。
産業上の利用可能性
本発明は、食品産業、環境産業、医薬品産業、及び化学産業などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の装置の一態様を示す図である。
図2は、本発明の実施例8の融解液の濃縮率を示す図である。
本発明は、凍結工程及び融解工程を用いて、成分Aを含む溶液Xから該成分Aの濃縮物を製造する方法に関する。特に、本発明は、凍結工程及び融解工程を用いて、溶液Xに懸濁固形分Bが含まれている場合、該懸濁固形分Bを容易に除去し且つ濃縮物を製造する方法に関する。
背景技術
成分Aを溶解する溶液Xであって懸濁固形分Bを含む溶液Xとして、多種多様なものが存在し、例えば液状食品から汚泥などの廃棄物に至るまでのものを挙げることができる。このような溶液Xから、目的成分Aの濃縮物を得るには、水分の除去、及び所望により懸濁固形分の除去を要する。このように、ある溶液Xから目的成分Aの濃縮物を得ることは、1)溶液体積が減少する;2)不要物である懸濁固形分の除去等によって溶液が安定化する;などの観点から、食品産業、環境産業、医薬品産業、及び化学産業など種々の産業上の応用が期待される、有用な技術である。
このような濃縮物を得る技術として、現在、a)蒸発法、b)膜濃縮法、又はc)凍結濃縮法などの濃縮法が用いられている。
a)蒸発法は、その名が示す通り、水分を蒸発させる方法であるが、エネルギーを多く消費する点、加熱操作であるため濃縮物の成分の品質の劣化を招く点、及び懸濁固形分を多く含む場合に蒸発法を行った後に容器内の残渣を処理する必要がある点などの多くの欠点を有する。
また、b)膜濃縮法は、その名が示す通り、膜を用いて濃縮する方法であるが、膜の目詰まりが生じるとその膜を交換する必要がありコスト高となる点、懸濁固形分を多く含む場合にはさらに目詰まりが生じコスト高となる点などの欠点を有する。
c)凍結濃縮法は、溶液を部分的に凍結させて、水分を氷の形で取り除き濃縮を達成する方法である。この方法は、高品質な濃縮液を得ることができる。しかしながら、凍結濃縮法は、濃縮液と氷との分離を容易に行うために、操作条件及び/又は装置構造が複雑化し且つコスト高となるため、普及が進んでいない。
また、c)凍結濃縮法において、処理すべき溶液が高濃度化すると粘度が上昇し、そのために濃縮液と氷との分離が困難になるという問題、即ちc)凍結濃縮法における濃縮には限界があるという問題もある。
その他の方法として、汚泥などから懸濁固形分を除去するには、薬品注入によるd)凝集沈殿法が一般的であるが、薬品のコストを要すること、及び環境汚染の観点から最善の処理法とはいえない。
発明の開示
本発明は、上述の従来の濃縮法、例えばa)蒸発法、b)膜濃縮法、c)凍結濃縮法、又はd)凝集沈殿法などの濃縮法の問題点を解決することをその目的とする。
具体的には、本発明の目的は、コストを低減し、且つ簡易に行うことができる濃縮物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的の他に、又は上記目的に加えて、処理すべき溶液が懸濁固形分を含む場合、特に多く含む場合、該懸濁固形分を容易に除去することができる濃縮物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的の他に、又は上記目的に加えて、上記製造方法によって得られた濃縮物、特に低コストの製法で得られた、高品質の濃縮物を提供することにある。
本発明者らは、以下の発明により、上記課題を解決できることを見出した。特に、本発明者らは、凍結融解法を応用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
<1> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
(A/170)>Vmelt 式1。
<2> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
T>170(W/A) 式2。
<3> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解する融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程をさらに有するのがよい。該固形分除去工程は、遠心分離、濾過(例えば膜濾過)、クロマト分離などの手法を用いて行うのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを用いてもよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収工程をさらに有するのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるか、及び/又は融解初期画分中の第1の成分量が、第1の成分を含む溶液に含まれる第1の成分最を100とした場合、100/4以上であるのがよい。
<7> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、第1の回収工程及び/又は第2の回収工程は、a)融解物の濃度をモニタリングするか、及び/又はb)一定量を分取すること;により行うのがよい。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれかにおいて、融解初期画分及び融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<10> 上記<1>〜<9>のいずれかにおいて、融解中期画分及び融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<11> 上記<1>〜<10>のいずれかにおいて、融解初期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<12> 上記<1>〜<11>のいずれかにおいて、融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<13> 上記<1>〜<12>のいずれかにおいて、融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<14> 上記<1>〜<13>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収するか及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する工程をさらに有するのがよい。
<15> 上記<14>において、物理化学的手法が、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
<16> 上記<1>〜<15>のいずれかにおいて、融解工程の際、及び/又は融解工程後、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収工程をさらに有するのがよい。
<17> 上記<16>において、分離回収工程において、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離装置を配置するのがよい。
<18> 上記<16>又は<17>において、分離回収工程は、第1の回収工程及び/又は第2の回収工程前に行うのがよい。
<19> 上記<16>〜<18>のいずれかにおいて、固形分分離装置は、濾過器、フィルタ及びメッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
<20> 上記<16>〜<19>のいずれかにおいて、分離回収工程で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質を回収する工程をさらに有するのがよい。
<21> 上記<1>〜<20>のいずれかにおいて、融解工程において生じる融解潜熱及び/又は顕熱を、上記<1>〜<20>のいずれかで、エネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するのがよい。
<22> 上記<1>〜<21>のいずれかの方法によって製造される第1の成分の濃縮物。
<23> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
(A/170)>Vmelt 式1。
<24> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
T>170(W/A) 式2。
<25> 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解する融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置。
<26> 上記<23>〜<25>のいずれかにおいて、凍結手段よりも上流に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去手段をさらに有するのがよい。該固形分除去手段は、遠心分離手段、濾過手段(濾過器、例えば膜濾過)、クロマト分離手段などであるのがよい。固形分除去手段を有する場合、第1の成分を有する溶液から固形分の一部又は全部を除去した液を凍結手段に付するのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去手段として、本発明の装置を挙げることもできる。
<27> 上記<23>〜<26>のいずれかにおいて、第1の回収手段は、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収手段をさらに有するのがよい。
<28> 上記<23>〜<27>のいずれかにおいて、融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるか、及び/又は融解初期画分中の第1の成分量が、第1の成分を含む溶液に含まれる第1の成分量を100とした場合、100/4以上であるのがよい。
<29> 上記<23>〜<28>のいずれかにおいて、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段は、a)融解物の濃度をモニタリングするモニタリング手段、及び/又はb)一定量を分取する分取手段を有するのがよい。
<30> 上記<23>〜<29>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<31> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解初期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<32> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解中期画分及び/又は融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<33> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解中期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<34> 上記<23>〜<30>のいずれかにおいて、融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いるのがよい。
<35> 上記<23>〜<34>のいずれかにおいて、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収する第3の回収手段、及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する清澄手段をさらに有するのがよい。
<36> 上記<35>において、物理化学的手法が、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
<37> 上記<23>〜<36>のいずれかにおいて、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収手段をさらに有するのがよい。
<38> 上記<37>において、分離回収手段は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離手段、例えば濾過器、フィルタ及びメッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種を配置するのがよい。
<39> 上記<37>又は<38>において、分離回収手段は、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段よりも上流に配置するのがよい。
<40> 上記<37>〜<39>のいずれかにおいて、分離回収手段で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質を回収する第4の回収手段をさらに有するのがよい。
<41> 上記<23>〜<40>のいずれかにおいて、融解手段において生じる融解潜熱及び/又は顕熱を、上記<23>〜<40>のいずれかで、エネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するのがよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、該溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を比較的緩慢に融解する融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する。
また、本発明の方法は、融解工程が溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収工程をさらに有するのがよい。なお、懸濁固形分の分離回収工程については後述する。
さらに、本発明の方法は、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程をさらに有するのがよい。この固形分除去工程は、遠心分離、濾過(例えば膜濾過)、クロマト分離などの手法を用いて行うのがよい。なお、後述のように、本発明の方法を1セットとして該セットを複数回(即ち、本発明を多段階的に)行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを用いてもよい。これらの固形分除去工程を設けることにより、本発明は、より濃度の高い濃縮物を提供することができる。
本発明の方法がターゲットとする溶液は、第1の成分を有する。第1の成分は、濃縮のターゲットとする成分である。第1の成分とは、本明細書において、1種の成分を意味するだけでなく、2種又はそれ以上の成分群をも意味する。
本発明の方法はまず、ターゲットである、第1の成分を有する溶液を急速に凍結する凍結工程に付す。凍結工程は、第1の成分を有する溶液の凝固点と実際に凍結する温度との差、即ち過冷却度が0.2℃以上、好ましくは1℃以上であるのがよい。具体的には、凍結工程は、凝固点が第1の成分及びその量に依存するが、ディープフリーザーが提供する約−80℃、液体窒素が提供する約−200℃に、第1の成分を有する溶液を置くのがよい。なお、上述のように、凍結工程前に、第1の成分を有する溶液から固形分を除去する固形分除去工程を有してもよい。
次いで、凍結工程で得られた凍結物を融解工程に付する。ここで、融解工程は、次のメカニズムを基にして比較的緩慢に融解するのがよい。即ち、一般的に溶液(懸濁固形分を含む溶液を含む)を凍結させると、氷結晶は、純粋な水分子のみから成長する。凍結物内の構造は、氷結晶とそれ以外の成分が濃縮された高濃度部分が点在するようになる。このような凍結物の構造は、どのように凍結したもの、例えば上記の凍結工程の凍結法においても同様なメカニズムであると考えられる。このようにして得られた凍結物を比較的緩慢に融解すれば、この高濃度部分の周りの氷から融解し始め、高濃度成分が初段階で融出して、所望の濃縮物を得ることができる。なお、溶液に懸濁固形分が含まれる場合、その懸濁固形分は凍結によってゲル構造を形成保持し、初段階では融出してこないため、懸濁固形分の分離も比較的容易に行うことができる。
さらに、融解工程は、次のような式で表すことができる。即ち、VL:氷結晶が中心方向に融解する線速度(cm/分);Vmelt:凍結物の融解速度(g/分);A:凍結物の表面積(cm2);ρ:氷の密度(g/cm3);W:凍結物の重量(g);T:融解に要する時間(分);とすると、凍結物の融解速度は式Aで、凍結物全体を融解するのに必要な時間は式Bで、表すことができる。
Vmolt=ρ・VL・A 式A。
T=W/(ρ・VL・A) 式B。
氷の大きさを含めて種々の操作条件を、後述の実施例を含めて検討した結果、VL=0.007(cm/min)のしきい値以下で融解することにより、上記のように、高濃度成分を初期段階で融出させることができることを見出した。また、この際には、上述のように、懸濁固形分も融出しないか又はその量が少ないことを見出した。このVL<0.007(cm/min)(式C)及びρ(氷の密度(g/cm3))を上記式A及びBと組み合わせることにより、以下の式1及び式2を見出すことができる。
Vmelt<(A/170) 式1。
T>170(W/A) 式2。
このように、式1及び/又は式2を満たすことにより、凍結対象溶液の組成・濃度などの性質を問わず、融解速度の制御という簡便な操作によって、濃縮物を得ることができる。なお、上記式2を踏まえて、一般に、凍結物全体を1時間以上かけて、好ましくは2時間以上かけて融解するのがよい。
なお、融解に要する時間Tの始点及び終点は、本明細書において、特記しない限り次のように規定することができる。即ち、融解の始点は、融解物が生じる時間であり、終点は、融解物が生じなくなった時間をいう。
本発明の融解工程において、融解物を得る。この融解工程の融解初期に得られる融解物、即ち融解初期画分を回収すると、第1の成分(ターゲット成分)の濃縮物を得ることができる。ここで、「融解初期」とは、第1の成分を含む溶液中に含まれる第1の成分量を100とした場合、融解物中の第1の成分の量が100/4となるまでの期間をいうか、及び/又は融解初期画分は、その濃度が第1の成分を有する溶液の第1の成分の濃度の1.3倍以上であるまでの期間の融解物を回収したものをいう。また、本発明の方法は、融解初期画分以外の融解物を、融解中期画分、及び融解後期画分に分ける第2の回収工程を有してもよい。
「融解中期」とは、融解初期画分を回収した後であって、該融解物の濃度が第1の成分を含む溶液の第1の成分についての濃度とほぼ同程度となるような期間をいう。さらに、「融解後期」とは、融解中期以降の融解物をいう。
第1の回収工程及び/又は第2の回収工程は、a)融解物の濃度をモニタリングするか、及び/又はb)一定量を分取すること;により行うことができる。a)のモニタリングを行うことにより、ある時点での融解物が融解初期画分であるか否かなどを即時に求めることができる。一方、一定量を分取しておき、その濃度を調べることにより、第1回目の分取分〜第n回目の分取分までが、融解初期画分であり、第n+1回目〜第m回目(mは自然数であって、m>n+1を満たす)が融解中期画分であり、第m+1回目以降が融解後期画分であることがわかる。なお、上記a)又はb)の手法は、単に例示であって、これに限定されるものではない。
なお、第1の成分を含む溶液中に含まれる第1の成分量を、凍結前に測定するのがよい。測定方法は、従来より公知の種々の方法によって行うことができ、その方法は限定されない。
本発明の融解工程は、第1の成分を有する溶液が懸濁固形分を含む場合、該懸濁固形分を分離回収する工程をさらに有するのがよい。
分離回収工程は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じるとき、該凍結物の下流に固形分分離装置を配置して行うのがよい。また、固形分分離装置は、上記の融解物の各画分を分けて回収する第1の回収工程及び/又は第2の回収工程の前に、設置するのがよい。
固形分分離装置として、例えば濾過器、フィルタ、及びメッシュなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
分離回収工程で得られた懸濁固形分は、従来より公知の物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質、例えば有用な物質を回収することができる。懸濁固形分は、融解物と分離して得られる、即ち脱水化及び減容化されているため、比較的簡易な処理によって有用な物質を得ることができる。ここで、物理化学的処理及び/又は生物学的処理として、さらなる脱水、さらなる乾燥、薬品添加によるもの、発酵、などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の方法をより簡潔に説明する。本発明の方法は、凍結工程で得た凍結物をメッシュなどの上に載せ、融解させる。融解によって生じた融解物は、メッシュを透過して融解物となる。一方、懸濁固形分も融解時に生じるが、該懸濁固形分はメッシュを透過しない。また、上述のように、懸濁固形分は、融解初期段階では融出してこないか又はその量は微量である。このようにして、本発明の方法は、懸濁固形分を容易に除去することができる。また、本発明の方法の融解工程によって生じた融解物のうち、融解初期画分は、その濃度が、本発明に用いる、第1の成分を有する溶液のそれよりも高い。即ち、第1の成分の濃縮物を得ることができる。
なお、本発明によって得られた融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分は、それ自体を第1の成分を有する溶液として用いることができる。また、その他に、第1の成分を有する溶液を有する場合、該溶液と、融解初期画分、融解中期画分及び/又は融解後期画分とを混合して、本発明の第1の成分を有する溶液として用いることができる。要するに、濃縮物としては比較的濃度が高くなった融解初期画分を、本発明の方法により再度(又はそれ以上)濃縮することにより、より高濃度の濃縮物を得ることができる。また、濃縮物としては比較的濃度が低い融解中期画分又は融解後期画分を、本発明の方法により濃縮して、所望の濃縮物を得ることができる。換言すると、本発明の方法を多段階で行うことにより、所望の濃縮物を得ることができる。なお、上述のように、凍結工程前に行う固形分除去工程として、本発明の方法1セット又は1セット目を含む複数セットを挙げることができる。この場合、本発明の方法1セットにより、固形分を除去することができるだけでなく、複数セット行うことにより濃縮の度合いをより効率的に高めることができる。
また、本発明の方法は、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収するか及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する工程をさらに有していてもよい。要するに、各画分を本発明の方法により濃縮してもよい他、従来から用いられる方法によって濃縮、回収、及び/又は清澄化することができる。なお、物理化学的手法として、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の融解工程において生じる融解潜熱及び顕熱は、種々のエネルギー源として用いることができる。例えば、本発明の方法の各工程に用いても、その他のエネルギー源として利用してもよい。
本発明の方法は、次のような装置によって行うことができる。
即ち、本発明のある面としての装置は、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を比較的緩慢に融解する融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得ることができる。
本発明の装置は、凍結手段よりも上流に、即ち第1の成分を有する溶液を凍結手段に付する前に、該溶液から固形分を除去する固形分除去手段を配置するのがよい。この固形分除去手段は、遠心分離手段、濾過手段(濾過器、例えば膜濾過)、クロマト分離手段などであるのがよい。固形分除去手段を有する場合、第1の成分を有する溶液から固形分の一部又は全部を除去した液を凍結手段に付するのがよい。なお、後述の本発明の方法を1セットとして該セットを多段階に行うことにより、1セット目又は1セット目を含む初期段階において、固形分を除去することができる。したがって、固形分除去手段として、本発明の装置を挙げることもできる。
また、本発明の装置は、溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収手段をさらに有するのがよい。分離回収手段は、凍結物から懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離手段、例えば濾過器、フィルタ、及びメッシュなどを配置するのがよい。なお、分離回収手段は、融解手段より生じる融解物についての下流側であって、第1の回収手段及び/又は第2の回収手段よりも上流側に配置するのがよい。
また、第1の回収手段は、融解初期画分以外の融解物を、第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収手段をさらに有するのがよい。第1の回収手段及び/又は第2の回収手段は、a)融解物の濃度をモニタリングするモニタリング手段、及び/又はb)一定量を分取する分取手段を有するのがよい。
本発明の装置、特に本発明の装置のうちの融解手段、並びに第1及び/又は第2の回収手段は、凍結手段によって得られた凍結物を、コンベアなどの移動手段上に載せ、移動手段の移動と共に得られる融解物をそれぞれ、移動初期段階を「融解初期画分」、移動中期段階を「融解中期画分」、及び移動後期段階を「融解後期画分」として回収するように、設けることもできる。
例えば、図1に示す移動手段3を有する装置1を例示することができる。ここでは、移動手段3であるコンベア3のテーブル5を例えば金属製のメッシュとするのがよい。融解物X、Y及びZが、メッシュを通過して、鉛直下方Cに流れるのがよい。また、固形分Sがある場合、該固形分Sがメッシュにより除去されるのがよい。さらに、コンベアテーブルがメッシュであることから、コンベア終端において、該メッシュから固形分が排出されるように、装置を設計するのがよい。
融解物を得る段階においては、まず、このメッシュ状のコンベアテーブル上に凍結物を置く。次いで、コンベアを移動させる。移動速度は、融解速度とシンクロさせるのがよい。即ち、融解速度を1時間とした場合、移動速度は、凍結物が終端に行くまでの時間を1時間となるように、設定するのがよい。コンベアテーブル下には、受け皿7を設けるのがよい。受け皿7は、コンベア両端を複数個に分けてコンベア両端をカバーする大きさのものであるのがよい。この受け皿は、移動初期段階を「融解初期画分」、移動中期段階を「融解中期画分」、及び移動後期段階を「融解後期画分」として回収する第1及び/又は第2の回収手段に相当する。
本発明の装置は、融解初期画分、融解中期画分、及び融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収する第3の回収手段、及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する清澄手段をさらに有するのがよい。物理化学的手法は、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法であるのがよい。
本発明の装置は、分離回収手段で得られた懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質、例えば有用な物質を回収する第4の回収手段をさらに有するのがよい。
さらに、本発明の装置は、融解手段において生じる融解潜熱及び顕熱を、本発明の装置のエネルギーとして利用するか、又はその他のエネルギー源として利用するエネルギー伝達手段を有するのがよい。
実施例
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本実施例は単に例示であって、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
サンプルとして、10%濃度に調整したグルコース水溶液A−1を5dm3用いた(溶液中のグルコース量:500g)。
水溶液A−1を、1dm3ずつプラスチック製の円筒容器(半径4.35cm、高さ16.8cm)に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、凍結物B−1を5個得た。
5個の凍結物B−1を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、濃縮のターゲット成分であるグルコース濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は13時間10分、融解速度は6.3g/分であった。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が26.2%となった時点のものを初期画分X−1として500cm3(グルコース量:131g)を採取した。また、初期画分X−1以降の融解液のグルコース濃度が15.9%となった時点のものを中期画分Y−1として1000cm3(グルコース量:159g)を採取した。残りを後期画分Z−1とした(グルコース濃度:5.1%、グルコース量:128g)。
初期画分X−1は、そのグルコース濃度が26.2%であり、水溶液A−1の濃度10%よりも約2.6倍濃縮されたことが分かる。
(実施例2)
実施例1と同様の水溶液A−1を用いた。但し、凍結において、実施例1とは異なるサイズの凍結物B−2を得た。即ち、水溶液A−1を、プラスチック製の家庭用製氷皿に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−2を400個を得た。
400個の凍結物B−2を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、濃縮のターゲット成分であるグルコース濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は15時間10分、融解速度は5.5g/分であった。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が33.6%となった時点のものを初期画分X−2として500cm3(グルコース量:168g)を採取した。また、初期画分X−2以降の融解液のグルコース濃度が16.5%となった時点のものを中期画分Y−2として820cm3(グルコース量:135.3g)を採取した。残りを後期画分Z−2とした(グルコース濃度:3.3%、グルコース量:88.6g)。
初期画分X−2は、そのグルコース濃度が33.6%であり、水溶液A−1の濃度10%よりも約3.4倍濃縮されたことが分かる。
また、実施例1と比較すると、凍結物のサイズが違っても、本発明の融解速度及び融解時間により、濃縮物を得られることがわかる。
(実施例3)
生ゴミ糖化液A−3 5dm3を試料として用いた。なお、この糖化液A−3は、標準組成、即ち炭水化物43%、野菜・果実類38%及びタンパク質19%からなる生ゴミに水を等量加え、その後アミラーゼを添加して6時間糖化したものであった。なお、生ゴミ糖化液5dm3中、ターゲット成分であるグルコース量は、屈折率計を用いて測定したところ、830gであった(濃度:16.6%)。
糖化液A−3 5dm3を、各々1dm3ずつプラスチック製円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、表面積2850cm2の円筒形凍結物を5個得た。
この円筒形の凍結物5個を金属製メッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製タンク内(温度:20℃)で融解させた。融解時間は12時間、即ち融解速度は6.9g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量を流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が38%となった時点のものを初期画分X−3として1000cm3(グルコース量:380g)を採取した。また、初期画分X−3以降の融解液のグルコース濃度が24.2%となった時点のものを中期画分Y−3として1000cm3(グルコース量:242g)を採取した。残りを後期画分Z−3とした(グルコース濃度:6.3%、グルコース量:189g))。
初期画分X−3は、そのグルコース濃度が38%であり、水溶液A−3の濃度16.6%よりも約2.3倍濃縮されたことが分かる。
(実施例4)
実施例3で得られた初期画分X−3及び中期画分Y−3をターゲット成分である糖を含む溶液として用いて、濃縮物を得る本発明の方法を行った。
即ち、グルコース水溶液A−4 2dm3(グルコース量:622g、グルコース濃度:31.1%)を試料として用いた。
液A−4 2dm3を、各々1dm3ずつプラスチック製円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させて、表面積が各々570cm2の円筒形凍結物を2個得た。
この円筒形の凍結物2個を金属製メッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製タンク内(温度:20℃)で融解させた。融解時間は7時間20分、即ち融解速度は4.5g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量を流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
上記屈折率計でグルコース濃度をモニターして、融解液のグルコース濃度が52.7%となった時点のものを初期画分X−4として400cm3(グルコース量:210g)を採取した。また、初期画分X−4以降の融解液のグルコース濃度が45.9%となった時点のものを中期画分Y−4として400cm3(グルコース量:184g)を採取した。残りを後期画分Z−4とした(グルコース濃度:17.1%、グルコース量:205g))。
初期画分X−4は、そのグルコース濃度が52.7%であり、液A−4の濃度31.1%よりも約1.7倍濃縮されたことが分かる。また、X−4のグルコース濃度:52.7%は、液A−3の濃度16.6%の3.17倍濃縮されたことがわかる。よって、本発明の方法を多段階で行うことにより、1回の濃縮物よりもより濃縮されたものを得られることがわかる。
(実施例5)
サンプルとして、10%濃度に調整したグルコース水溶液A−5を1dm3用いた。この水溶液A−5中、濃縮のターゲット成分であるグルコースの量は100gであった。
水溶液A−5を、プラスチック製の円筒容器に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩凍結させた。
凍結後、取り出した凍結物を削り、微細なシャーベット氷状(平均氷結晶粒径700μm)にしたもの(B−5)を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内(温度:20℃)で融解させた。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、ターゲット成分であるグルコースの濃度を屈折率計で測定した。
融解時間は7時間、融解速度は2.4g/分であった。
なお、シャーベット氷状の凍結物は、各々が直径700μmの球形であるとすると、計1dm3を換算して総表面積は85520cm2であった。これを、式1及び式2で当てはめた場合、融解速度が503g/分以下、又は融解時間が2分以上となるべきであり、上記融解時間及び融解速度はそれらを満たしていた。
融解液を、融解初期画分X−5、融解中期画分Y−5及び融解後期画分Z−5に分けて採取した。それぞれは、ターゲット成分であるグルコースの濃度をモニターし且つ融解液量をモニターして、融解初期画分X−5のグルコース濃度が23.6%(グルコース量:47.2g)、融解中期画分Y−5のグルコース濃度が11.9%(グルコース量:35.6g)となるようにし、それ以降を融解後期画分Z−5(グルコース濃度:1.4%、グルコース量:6.8g)となるように分取した。
このように、融解初期画分X−5は、その糖の濃度が23.6%であり、濃縮前の濃度10%よりも約2.4倍に濃縮されたことがわかる。
(実施例6)
サンプルとして、パームオイル廃液A−6を200g用いた。ターゲット成分として、廃液A−6中に含まれる塩分(NaCl換算)に着目し、その量を測定したところ4.6gであった(濃度:2.3%)。また、廃液A−6は、全固形分8.34gを含んでいた。
廃液A−6を製氷皿に入れ、家庭用フリーザ(庫内温度:−20℃)で一晩かけて凍結させ、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−6を16個得た。
得られた凍結物B−6 16個を金属製のメッシュかご(400メッシュ)内に置き、金属製のタンク内(25℃)で融解させた。融解時間は2時間52分、融解速度は1.2g/分であった。
メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は流量計で測定した。また、ターゲット成分である塩分(NaCl換算)の濃度を、電気伝導度計を用いて測定した。
タンク下部より回収した融解液の塩分濃度を電気伝導度計でモニターし且つ融解液量をモニターして、初期画分X−6の塩分濃度が3.1%(塩分量:2.48g)、及び中期画分Y−6の塩分濃度は2.4%(塩分量:1.44g)となるようにし、残りを後期画分Z−6とした(塩分濃度:1.3%、塩分量:0.36g)。
また、融解中、メッシュかごには固形分が保持され、融解終了後に固形分8.07gを回収し、排出することができた。即ち、廃液A−6中の全固形分8.34g中の96.8%を除去することができた。
融解初期画分X−6は、塩分濃度3.1%であり、廃液A−6中の塩分濃度2.3%と比較すると、1.3倍に濃縮されたことがわかる。また、融解初期画分X−6は、固形分が除去されていた。
(実施例7)
サンプルとして、野菜搾汁液A−7を200g用いた。この搾汁液A−7中、濃縮のターゲット成分である糖の量を、屈折率計を用いて測定して、7.6gであった(濃度3.8%)。
この搾汁液A−7を製氷皿に入れ、−20℃の家庭用フリーザで一晩かけて凍結させ、直方体状(2.0cm×2.5cm×2.5cm)の凍結物B−7を16個得た。
凍結物B−7 16個を金属製のメッシュかご(400メッシュ)に入れ、金属製のタンク内で、温度20℃で融解させた。融解時間は1時間50分であり、融解速度は1.8g/分であった。メッシュを通過した融解液をタンク下部より回収した。融解液量は、流量計で測定した。また、ターゲット成分である糖の濃度を屈折率計で測定した。
タンク下部より回収した融解液は、その糖の濃度を屈折率計でモニターし且つその液量をモニターして、初期画分X−7の糖濃度が6.2%(糖の量:3.6g)、中期画分Y−7の糖濃度は3.1%(糖の量:1.3g)となるようにし、残りを後期画分Z−7(糖濃度:1.1%、糖の量:0.88g))とした。
また、融解中、メッシュかごには固形分が保持され、融解終了後に固形分を回収し、排出することができた。
融解初期画分X−7は、その糖濃度6.2%であり、野菜搾汁液A−7中の糖濃度3.8%と比較すると、約1.6倍濃縮されたことがわかる。また、融解初期画分X−7は、野菜搾汁液A−7に含まれていた固形分が除去されていた。
(実施例8)
サンプルとして、宮崎県高千穂町の焼酎会社の麦焼酎廃液A−8を用いた。まず、焼酎廃液A−8を遠心分離して固形分B−8を除去し、固形分フリーの麦焼酎廃液A−8’を得た。固形分濃度がそれぞれ、麦焼酎廃液A−8の2倍(A−8’a);等倍(A−8’b);1/2倍(A−8’c);1/4倍(A−8’d);固形分なし(A−8’e);となるように、麦焼酎廃液A−8’中に、固形分B−8を戻して、サンプルA−8’a〜A−8’eを調製した。
その後、サンプルA−8’a〜A−8’eを容量1Lのプラスチック製円筒容器内に入れ、−18℃の家庭用冷凍庫で一晩凍結を行い、各サンプルの凍結物を得た。サンプルA−8’a〜A−8’eの各々の凍結物は、室温条件下、1辺1.5mmのメッシュ上で融解し、融解液を等量ずつ分取した。融解液は、手持屈折率計で糖濃度を測定した。
図2に、サンプルA−8’a〜A−8’eの各融解液の糖濃度を測定した結果を示す。なお、図2の縦軸は、凍結前の各サンプルの糖濃度を1とし(凍結前の各サンプルの糖濃度はすべて同じであった)、それとの濃縮の度合いを「濃縮率」として標準化した値をプロットした。
図2から、固形分が少なくなるに従って、濃縮率が大となる傾向が観察される。一方、固形分が多いと濃縮率が低い、即ち濃縮が困難になることがわかる。よって、本実施例から、凍結工程前に、固形分除去工程を設けることにより、濃縮率の高い(濃度が高い)濃縮物を得られることがわかる。
さらに、本発明の凍結融解法により固形分除去も達成できることを確認した。即ち、懸濁固形分21,000ppmの焼酎廃液A−9を凍結し、凍結物を得た。この凍結物をメッシュ上で融解すると、固形分はメッシュ上に残り、メッシュを通過した融解液X−9の懸濁固形分濃度は3750ppmであった。さらに、この液を12時間静置させて、その上清みを回収するとその固形分濃度は225ppmであった。したがって、「凍結融解」→「沈降」という簡単な操作を経ることにより、融解液X−9のデカント液X−9’の固形分濃度は、焼酎廃液A−9の約1/100にできることを確認した。
産業上の利用可能性
本発明は、食品産業、環境産業、医薬品産業、及び化学産業などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の装置の一態様を示す図である。
図2は、本発明の実施例8の融解液の濃縮率を示す図である。
Claims (17)
- 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
(A/170)>Vmelt 式1。 - 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法:
T>170(W/A) 式2。 - 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造方法であって、前記溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結工程、該凍結物全体を1時間以上かけて融解する融解工程、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収することにより第1の成分の濃縮物を得る第1の回収工程を有する、上記方法。
- 前記凍結工程前に、前記溶液から固形分を除去する固形分除去工程をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 融解初期画分以外の融解物を、前記第1の溶液と略同濃度の融解中期画分と、前記第1の溶液よりも希釈された融解後期画分とに分けて回収する第2の回収工程を、さらに有する請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 前記第1の回収工程及び/又は前記第2の回収工程は、a)融解物の濃度をモニタリングするか、及び/又はb)一定量を分取すること;により行う請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- 前記融解初期画分、前記融解中期画分及び/又は前記融解後期画分を、第1の成分を有する溶液として用いる請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 前記融解初期画分、前記融解中期画分、及び前記融解後期画分から選ばれる少なくとも1種の画分中に含まれる第1の成分を物理化学的手法により回収するか及び/又は該少なくとも1種の画分を清澄化する工程をさらに有する請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記物理化学的手法が、蒸発、晶析、膜分離、及び電気透析からなる群から選ばれる少なくとも1つの手法である請求項8記載の方法。
- 前記融解工程の際、及び/又は前記融解工程後、前記溶液中に含まれる懸濁固形分を融解物から分離回収する分離回収工程をさらに有する請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- 前記分離回収工程において、前記凍結物からの前記懸濁固形分及び/又は融解物が生じる下流に固形分分離装置を配置する請求項10記載の方法。
- 前記分離回収工程で得られた前記懸濁固形分を物理化学的処理及び/又は生物学的処理することにより、該懸濁固形分に含まれる物質を回収する工程をさらに有する請求項10又は11記載の方法。
- 前記融解工程において生じる融解潜熱及び/又は顕熱を、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法のエネルギーとして、又はその他のエネルギー源として利用する請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法により製造される第1の成分の濃縮物。
- 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式1を満たす融解速度Vmelt(g/分)で融解する(式1中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
(A/170)>Vmelt 式1。 - 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を以下の式2を満たす時間T(分)で融解する(式2中、Aは凍結物の表面積(cm2)を示し、Wは凍結物の重量(g)を示す)融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置:
T>170(W/A) 式2。 - 第1の成分を有する溶液から第1の成分の濃縮物を得る濃縮物の製造装置であって、溶液を急速に凍結させて凍結物を得る凍結手段、該凍結物全体を1時間以上かけて融解する融解手段、及び融解初期に得られる融解初期画分を回収する第1の回収手段を有し、これにより第1の成分の濃縮物を得る、上記装置。
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