JPWO2003054936A1 - ガスパージ方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
所定波長の光(EL)の光路上に配置された特定物体(RST又はR)と光学装置(ILU)との間の空間をガスパージするに際し、特定物体との間に所定のクリアランスが形成される状態で、光学装置と特定物体との間の空間(IM)を外気から遮蔽する遮蔽部材(22)を配置し、前記光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガスを、遮蔽部材に接続された給気用配管(60)を介して前記空間(IM)に供給する。また、空間(IM)内の内部ガスを遮蔽部材に接続された排気用配管(61)を介して外部に排気する。これにより、光学装置と特定物体との間の空間を覆うことができる小型の遮蔽部材を用いるだけで、大型で重い気密型の遮蔽容器を用いた場合とほぼ同程度の高精度なガス置換が可能となる。
Description
技術分野
本発明はガスパージ方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間をガスパージするガスパージ方法及び該ガスパージ方法の実施に好適な露光装置、並びに該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来より、半導体素子(集積回路)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、電子デバイスの微細パターンを基板上に形成する種々の露光装置が用いられている。近年では、特に生産性の面から、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して形成したフォトマスク(マスク)又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)のパターンを、投影光学系を介してウエハ等の被露光基板(以下、「ウエハ」と呼ぶ)上に縮小転写する縮小投影露光装置が、主として用いられている。
この種の投影露光装置では、集積回路の微細化に対応して高解像度を実現するため、その露光波長をより短波長側にシフトしてきた。現在、その波長はKrFエキシマレーザの248nmが主流となっているが、より短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化段階に入りつつある。そして、最近では、更に短波長の波長157nmのF2レーザや、波長126nmのAr2レーザ等の、いわゆる真空紫外域と呼ばれる波長帯の光を発する光源を使用する投影露光装置の提案も行なわれている。
かかる波長180nm以下の真空紫外光は、大気中の酸素や水蒸気によって激しい吸収を受ける。このため、真空紫外光を露光光として使用する露光装置では、露光光の光路上の空間から酸素や水蒸気などの吸光物質を排除するため、その空間内の気体を、露光光を殆ど吸収しない、窒素やヘリウムなどの希ガスでガス置換(ガスパージ)する必要がある。例えば、発振波長157nmのF2レーザを光源とする露光装置では、レーザからウエハに至るまでの光路の大部分で、残存酸素濃度を1ppm以下に抑える必要があると言われている。
また、高解像度化は、露光波長の短波長化のみならず、光学系の大開口数(N.A.)化によっても実現可能であることから、最近では光学系のより一層の大N.A.化の開発もなされている。しかるに、高解像度の実現のためには、投影光学系の大N.A.化に加えて投影光学系の収差の低減が必要である。このため、投影光学系の製造工程では、光の干渉を利用した波面収差計測を行ない、残存収差量を露光波長の1/1000程度の精度で計測し、その計測値に基づいて投影光学系の調整を行っている。
このような大N.A.化や低収差化は、視野が小さい光学系ほど実現が容易である。但し、露光装置としては、視野(露光フィールド)が大きいほど、処理能力(スループット)が向上する。そこで、小視野ではあるが大N.A.の投影光学系を用いて、かつ実質的に大きな露光フィールドを得るために、露光中に、レチクルとウエハをその結像関係を維持したまま相対走査する例えば走査型投影露光装置、例えばステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(すなわちいわゆるスキャニング・ステッパなど)が最近の主流となっている。
ところで、上述の真空紫外光を光源とする露光装置においては、レチクル近傍の空間の残存酸素及び水蒸気濃度も、1ppm程度以下に抑える必要がある。これを実現する方法として、レチクルを保持するレチクルステージ全体を大きな気密型の遮蔽容器(レチクルステージチャンバ)で覆い、その内部(レチクルステージ,レチクルを含む)全体をガスパージする方法も考えられる。しかしながら、このような遮蔽容器を採用すると、露光装置が大型化及び重量化し、半導体工場のクリーンルーム内における、露光装置1台あたりの設置面積(フットプリント)がより大きくなり、設備コスト(あるいはランニング・コスト)の増大により結果的に半導体素子の生産性が低下してしまう。また、レチクル近傍へのアクセスが困難となり、レチクルステージなどのメンテナンス時の作業性が低下してメンテナンスに要する時間が増大し、この点においても半導体素子の生産性が低下してしまう。
特に走査型投影露光装置は、露光中にレチクルを高速に走査する必要から大型のレチクルステージを備えており、この大型のレチクルステージ全体を覆う遮蔽容器(レチクルステージチャンバ)は一層大型化してしまう。
なお、レチクル近傍の空間のガスパージは、投影露光装置のみの問題ではなく、投影露光装置に搭載する投影光学系の収差を計測するための検査光学装置などでも問題となる。
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間の効率的なガス置換を大型で重い気密型の遮蔽容器を用いることなく実現するガスパージ方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上することが可能な露光装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができるデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間をガスパージするガスパージ方法であって、少なくとも前記物体及び該物体を保持する保持部材のいずれかである特定物体との間に所定の第1クリアランスが形成される状態で、前記光学装置と前記物体との間の空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を配置する工程と;前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを、前記遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記遮蔽部材内部の空間に供給する工程と;を含む第1のガスパージ方法である。
ここで、吸収性ガスとは、前記所定波長の光(光学装置で用いる光)に対する吸収特性が大きいガスの総称であり、例えば、光が波長120nm〜180nmの真空紫外光である場合、その真空紫外光を激しく吸収する酸素、水蒸気、炭化水素などの吸光物質を含むガスが該当する。本明細書では、かかる意味で「吸収性ガス」なる用語を用いるものとする。なお、一般的な空気(大気)も酸素と水蒸気を大量に含むので、吸収性ガスとして扱うこととする。従って、吸収性ガスは、上記の光の波長(所定波長)に応じて異なることになる。
これによれば、遮蔽部材は、少なくとも前記物体及び該物体を保持する保持部材のいずれかである特定物体との間に所定の第1クリアランスが形成される状態で配置されるので、その第1クリアランスを適宜な寸法に設定することにより、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の遮蔽部材内部の空間をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その遮蔽部材内部の空間に遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」とも記述する)が供給される。これにより、物体と光学装置との間の光路上の空間、すなわち遮蔽部材内部の空間の気体を低吸収性ガスに置換することが可能となる。これにより、空間内から前記吸収性ガスを追放(パージ)することができる。従って、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間の高精度なガス置換を大型で重い気密型の遮蔽容器を用いることなく実現することが可能となる。換言すれば、本発明によれば、光学装置と物体との間の空間を覆うことができる小型の遮蔽部材を用いるだけで、大型で重い気密型の遮蔽容器を用いた場合とほぼ同程度の高精度なガス置換が可能となる。
この場合において、前記遮蔽部材内部の空間内のガスを前記遮蔽部材に形成された排気用開口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第1のガスパージ方法では、前記第1クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第1のガスパージ方法では、前記遮蔽部材は、前記光学装置に対する振動の伝達を低減することとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材は、前記光学装置との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されていることとすることができる。
この場合において、前記第2クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材の前記光学装置に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、所定波長の光が照射される光学系を有する光学装置に用いられる光検出器の受光面を含む空間をガスパージするガスパージ方法であって、一方の面が開口し内部に前記光検出器をその受光面を前記開口に向けて収容した保持部材の前記開口の周囲の端面を、前記光学装置の構成部品の一部に、シール部材を介して結合し、前記光検出器の受光面を含む空間を外気から遮蔽する工程と;前記光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガスを、前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された給気用開口を介して前記空間に供給し、該空間内のガスを前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された排気用開口を介して外部に排気する工程と;を含む第2のガスパージ方法である。
これによれば、一方の面が開口し内部に光検出器をその受光面を前記開口に向けて収容した保持部材の前記開口の周囲の端面を、前記光学装置の構成部品の一部に、シール部材を介して結合し、前記光検出器の受光面を含む空間を外気から遮蔽する。このため、光学装置の構成部品と保持部材とで形成される光検出器の受光面を含む空間が、気密性の良い空間となる。そして、光学装置に照射され、該光学装置の光学系を介して受光素子に入射する光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガス(低吸収性ガス)を、前記構成部品及び保持部材のいずれかに形成された給気用開口を介して前記空間に供給し、該空間内のガスを前記構成部品及び保持部材のいずれかに形成された排気用開口を介して外部に排気する。これにより、光学装置から光検出器の受光面までの間の空間内部の気体が、特定ガスで置換され、光学装置を介して前記空間内に入射する所定波長の光が、光検出器の受光面にて受光されるまでの間に、空間内部で吸収されることは殆どなくなる。従って、光検出器の光量検出を精度良く行うことが可能となり、この光量検出の結果に基づいて、例えば光学装置の光学特性の計測などを行う場合には、その計測精度を向上させることが可能となる。
この場合において、前記保持部材の前記光検出器が載置される部分に予め貫通孔を形成する工程と;前記光検出器の裏面側から前記貫通孔を介して前記光検出器からの電気配線を外部に取り出す工程と;を更に含むこととすることができる。
本発明の第2のガスパージ方法では、前記保持部材を冷却する工程を更に含むこととすることができる。
この場合において、前記保持部材の冷却は、前記保持部材の前記光検出器とは反対側の面にペルチェ素子を接続して行うこととすることができる。
この場合において、前記ペルチェ素子の前記保持部材とは反対側を冷却する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第2のガスパージ方法では、前記光学装置の前記保持部材が結合される前記構成部品の前記保持部材とは反対側に光透過性部材を配置して、前記光検出器の受光面を含む空間を複数の空間に仕切る工程を更に含むこととすることができる。
本発明は、第3の観点からすると、マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、所定波長の光により前記マスクを照明する照明光学系と;前記マスク及び該マスクを保持するマスク保持部材のいずれかである特定物体と前記照明光学系との間に配置され、少なくとも前記特定物体との間に所定の第1クリアランスを形成した状態で、前記マスクの前記照明光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域に対応する領域を含む第1空間を外気から遮蔽する第1遮蔽部材と;前記第1遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを前記第1空間に供給する第1ガス供給系と;を備える第1の露光装置である。
これによれば、マスク及びマスク保持部材のいずれかである特定物体と照明光学系との間に少なくとも特定物体との間に所定の第1クリアランスを形成した状態で配置された第1遮蔽部材により、マスクの照明光学系側の少なくともマスクのパターン領域に対応する領域を含む第1空間が外気から遮蔽される。そして、第1ガス供給系により、第1遮蔽部材に形成された給気用開口を介して所定波長の光(露光光)に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガス(低吸収性ガス)が前記第1空間に供給される。これにより、第1空間内の気体が特定ガスに置換される。従って、第1空間内から露光光を吸収する吸収性ガスを排除することができ、照明光学系から照射される光が、第1空間内で殆ど吸収されることなくマスクを照明するので、露光光の透過率の低下を抑制し、高精度な露光を実現することが可能となる。この場合、照明光学系とマスク又はマスク保持部材との間の第1空間を覆うことができる小型の第1遮蔽部材を用いるだけで、上記の第1空間を大型で重い気密型の遮蔽容器(マスクステージチャンバ)を用いた場合とほぼ同程度の効率の良いガス置換が可能となる。従って、装置の大型化、重量化を抑制することが可能となる。
この場合において、前記マスクから射出される光を前記基板上に投射する投影光学系と;前記特定物体と前記投影光学系との間に配置され、前記投影光学系に対する振動の伝達を低減した状態で、前記マスクの前記投影光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域を含む第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材は、少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第1空間内のガスを外部に排気する第1ガス排気系と;前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気する第2ガス排気系と;を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1及び第2クリアランスの少なくとも一方は、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1及び第2クリアランスの少なくとも一方が、約3mm以下である場合、前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記特定物体に向けて供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材及び少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材を備える場合、前記第1遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第1クリアランスを前記第1遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;前記第2遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;の少なくとも一方を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記第2遮蔽部材と前記投影光学系との間には、所定の第3クリアランスが形成されていることとすることができる。
この場合において、前記第3クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて第2遮蔽部材を備え、該第2遮蔽部材と投影光学系との間に第3クリアランスが形成されている場合、前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面及び前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面はともに平面であり、これらの端面にそれぞれ対向する前記特定物体の面はともに平面であることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記基板を保持する基板保持部材と;前記マスク保持部材を所定の走査方向に駆動する駆動源を含み、前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備え、前記駆動源の少なくとも一部が、前記第1空間及び前記第2空間の外部に配置されることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、マスク保持部材と基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置を備える場合、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第3クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第3空間を外気から遮蔽する第3遮蔽部材と;前記第3遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第3空間に供給する第3ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第3遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第3空間のガスを外部に排気するガス排気系を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1、第2及び第3遮蔽部材を備える場合、前記第3遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第4クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第3遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第4クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記排気機構は、前記第3空間内のガスを前記第4クリアランスを介して外部に排気することとすることができる。
この場合において、前記第3ガス供給系は、前記第4クリアランスを介して前記特定ガスを前記第3空間に供給することとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前述した第1、第2及び第3遮蔽部材を備える場合、前記第3遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第3空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1遮蔽部材と前記照明光学系との間には、所定の第2クリアランスが形成されていることとすることができる。
この場合において、前記第2クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
本発明では、第1遮蔽部材と照明光学系との間に、所定の第2クリアランスが形成されている場合、前記第1遮蔽部材の前記照明光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第2クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気するガス排気系を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第2遮蔽部材が、前記基板との間に所定の第2クリアランスを形成した状態で配置され、第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して特定ガスを第2空間に供給する第2ガス供給系を備える場合、前記第2遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第3クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第3クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記排気機構は、前記第2空間内のガスを前記第3クリアランスを介して外部に排気することとすることができる。
この場合において、前記第2ガス供給系は、前記第3クリアランスを介して前記特定ガスを前記第2空間に供給することとすることができる。
本発明の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて基板の投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材をも備える場合、前記第2遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板の前記投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材を備える場合、前記第2遮蔽部材の前記基板側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板を保持する基板保持部材と;前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、さらに、前記光により前記マスクが照明される照明領域の前記走査方向の長さに基づいて決定されることとすることができる。
本発明は、第4の観点からすると、露光光で照明されたマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上に転写する露光装置であって、前記基板と前記投影光学系との間に、前記基板と前記投影光学系とに接触することなく配置され、前記基板と前記投影光学系との間における前記露光光の光路を含む空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を備える第2の露光装置である。
これによれば、遮蔽部材として、基板と投影光学系との間における露光光の光路を含む所定の空間を覆うことができる程度の小型の遮蔽部材を用いることができ、その空間内の気体を例えば低吸収性ガスで置換する場合には、前記空間を大型で重い気密型の遮蔽容器(基板ステージチャンバ)を用いた場合とほぼ同程度の効率の良いガス置換が可能となる。これにより、基板と投影光学系との間における露光光の光路を含む空間から露光光を吸収する吸収性ガスを排除することができ、投影光学系から射出された光がその空間内で殆ど吸収されることなく基板に照射されるので、露光光の透過率の低下を抑制することができる。また、基板側の振動が遮蔽部材を介して投影光学系に伝達されるのが防止されている。従って、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上することが可能となる。
この場合において、前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内のガスを吸引排気することによって、前記遮蔽部材で遮蔽された空間を前記外気から遮蔽することとすることができる。
この場合において、前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内に、前記露光光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを供給することとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、本発明の露光装置を用いて露光を行うことにより、基板上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造することができる。従って、本発明は更に別の観点からすると、本発明の露光装置を用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図7Bに基づいて説明する。
図1には、本第1の実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、エネルギビームとしての露光用照明光ELをマスクとしてのレチクルRに照射して、該レチクルRと基板としてのウエハWとを所定の走査方向(ここでは、図1における紙面直交方向であるY軸方向とする)に同期移動してレチクルRのパターンを投影光学系PLを介してウエハW上複数のショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置100は、不図示の光源及び光学装置(照明光学系)としての照明ユニットILUを含み、露光用照明光(以下、「露光光」と呼ぶ)ELによりレチクルRを照明する照明系、レチクルRを保持するマスク保持部材としてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持する基板保持部材としてのウエハステージWST、及びこれらの制御系、並びに構成各部を支持する支持架台BD等を備えている。
前記支持架台BDは、クリーンルームの床面F上に複数(例えば3個又は4個)の第1の防振ユニット43を介して設けられた複数本(例えば3本又は4本)の脚部34Aと該脚部34Aによりほぼ水平に支持された鏡筒定盤(メインフレームとも呼ばれる)34Bとを有する第1架台34と、該第1架台34の天板を構成する鏡筒定盤34B上面に設けられZ軸方向(上下方向)に延びる複数の支持部材21と該複数の支持部材21によりその上面がほぼ水平となるように支持されたレチクルステージ定盤27とを有する第2架台32とを備えている。第1架台34の鏡筒定盤34Bの下方には、複数の第2の防振ユニット41を介して上面の平坦度が高く設定された平板状のウエハステージベースBSが床面Fの上方に配設されている。
前記光源としては、ここでは、波長約120nm〜約180nmの真空紫外域に属する光を発する光源、例えば出力波長157nmのフッ素レーザ(F2レーザ)が用いられている。光源は、ビームマッチングユニットと呼ばれる光軸調整用の光学系を一部に含む不図示の送光光学系を介して照明ユニットILUを構成する照明系ハウジング2の一端に接続されている。照明系ハウジング2は、実際には、図1の紙面奥側に所定距離伸び、そこから下方に伸びる全体としてほぼL字状の形状を有している。
前記光源は、実際には、照明ユニットILU及び投影光学系PL等を含む露光装置本体が設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置されている。なお、光源として、出力波長146nmのクリプトンダイマーレーザ(Kr2レーザ)、出力波長126nmのアルゴンダイマーレーザ(Ar2レーザ)などの他の真空紫外光源を用いても良く、あるいは、出力波長193nmのArFエキシマレーザ、出力波長248nmのKrFエキシマレーザ等を用いても良い。
前記照明ユニットILUは、内部を外部から隔離する照明系ハウジング2と、その内部に所定の位置関係で配置されたオプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及び光路折り曲げ用のミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。なお、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子などが用いられる。本実施形態の照明ユニットは、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号などに開示されるものと同様の構成となっている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
照明ユニットILUでは、回路パターン等が形成されたレチクルR上のスリット状の照明領域(前記レチクルブラインドで規定されるX軸方向に細長く伸びるスリット状の領域)を露光光ELによりほぼ均一な照度で照明する。
なお、照明系ハウジング2内のレチクルR側端部近傍には、図1に示されるように、平板状の光透過窓部材20が配設されている。この光透過窓部材20は、照明ユニットILUからの露光光ELを透過するとともに、照明系ハウジング2内を気密状態に維持する機能を有している。なお、光透過窓部材20としては平板状のものに限らず、照明ユニットILUを構成するいずれかのレンズを照明系ハウジング2に気密に固定することで、そのレンズを上記光透部材20の代わりにしても良い。
なお、上記照明ユニットILUを構成する光学部材のうち、レンズや照度均一化光学系、光透過窓部材20といった露光光ELを透過する部材の材料としては、真空紫外光に対する透過率の高い例えばホタル石を使用することが望ましい。但し、部分的には、水酸基を10ppm以下程度に排除し、フッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ石英(いわゆるモディファイド石英)を用いることもできる。また、フッ素ドープ石英に限られず、通常の石英や単に水酸基の少ない石英、さらに水素を添加した石英を使用することも可能である。また、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムなどのフッ化物結晶を使用しても良い。
なお、前記送光光学系や照明ユニットILU内のメンテナンス時に外部から浸入する大気が、メンテナンス対象の空間以外に広がらないようにするために、送光光学系と照明ユニットILUの境界部分に、仕切り窓を設けることとしても良い。また、このような仕切り窓を、送光光学系や照明ユニットILU内に設置される任意の光学部材で代用し、送光光学系と照明ユニットILU内を複数の気密空間に分離することとしても良い。
前記レチクルステージRSTは、平面視(上方から見て)矩形の形状を有し、第2架台32を構成するレチクルステージ定盤27上方に、不図示の気体静圧軸受けを介して浮上支持されている。レチクルステージRSTの中央部には、図1のレチクルR近傍の拡大断面図である図3Bから分かるように、平面視(上方から見て)矩形の段付き開口53が形成されており、該段付き開口53の内縁部近傍の複数箇所には一段高い真空吸着部53aが設けられている。これらの複数の真空吸着部53aのそれぞれに設けられた不図示の真空吸着機構(バキュームチャック)によってレチクルRが吸着保持されている。このレチクルRのパターン面(下面)には、矩形枠状のペリクルフレーム57及び該ペリクルフレーム57の下面に貼り付けられたペリクル56が設けられている。ペリクル56によりパターン面に対する塵等の付着が防止されるようになっている。
レチクルステージRSTのX軸方向両端部には、図1に示されるように、駆動装置としてのY軸リニアモータ24A,24Bそれぞれの可動子25a,25bが設けられている。Y軸リニアモータ24A,24Bの固定子26a,26bは、Y軸方向に所定長さで延設されている。これらの固定子26a,26bは、前記支持架台BDとは別に床面Fに固定され、上下方向を長手方向として配置されたモータ支持部材31a,31bによってそれぞれ支持されている。この場合、可動子25a,25bは、固定子26a,26bとの間にそれぞれ生じる電磁力により、Y軸方向に駆動され、これによりレチクルステージRSTが、レチクルステージ定盤27上をY軸方向に所定ストロークで駆動される。なお、レチクルステージRSTは、Y軸リニアモータ24A,24Bの発生推力をわずかに異ならせることにより、XY面内で微小駆動(回転を含む)可能に構成されている。
なお、上記では、Y軸リニアモータ24A,24Bの固定子26a,26bはモータ支持部材31a,31bを介して床面F上方にて支持され、固定子に生じた振動をモータ支持部材31a,31bを介して床面側に逃がす構成について説明した。しかし、これに限らず、例えば、固定子26a,26b、及びレチクルステージ定盤27をそれぞれの支持部材に対して気体静圧軸受けなどを介して浮上支持することとしても良い。このようにすると、レチクルステージRSTの駆動の際の反力に応じて固定子26a,26bが駆動され、レチクルステージRST、固定子を含む系の運動量が保存され、上記反力に起因する固定子の振動が防止される。また、この場合、重心の移動も生じないので、いわゆる偏荷重の発生も防止される。
また、固定子がレチクルステージ定盤27上に接続されている場合には、レチクルステージ定盤27を前述と同様に支持部材に対して相対移動可能な構成とすることにより、同様にしてレチクルステージ定盤27の振動を効果的に抑制することができる。これにより、レチクルステージRSTのY軸方向への駆動に伴う反力が投影光学系PLに与える影響を軽減することができる。
前記レチクルステージRSTには、図3Aに示されるように、その上面の−Y側端部には、X軸方向に延びる平面ミラーから成るレチクルY移動鏡37Yが固定され、該移動鏡37Yに対して、レチクルステージ定盤27上に設けられたレチクルY干渉計30からの測長ビームが垂直に照射されている。また、レチクルステージRSTの上面の−X側端部近傍に、Y軸方向に延びる平面ミラーから成るレチクルX移動鏡37Xが固定され、該移動鏡37Xに対して不図示のレチクルX干渉計からの測長ビームが垂直に照射されている。
これらのレチクルY干渉計30、レチクルX干渉計によってレチクルステージRSTのY軸方向の位置、X軸方向の位置が、例えば0.5〜1nm程度の分解能でそれぞれ常時検出されるようになっている。
なお、例えば、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(前述の移動鏡の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージRSTの走査方向(本実施形態ではY軸方向)の位置検出に用いられる移動鏡37Yの代わりに、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー(例えば、レトロリフレクタ)を用いても良い。ここで、レチクルY干渉計30とレチクルX干渉計の一方、例えばレチクルY干渉計30は、測長軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計30の計測値に基づきレチクルステージRSTのY位置に加え、θz方向の回転も計測できるようになっている。
上記のレチクルX干渉計,レチクルY干渉計30によって計測されるレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)、すなわちレチクルRの位置情報(又は速度情報)は不図示の制御装置に供給される。制御装置は、基本的にはそれらのレチクル干渉計から出力される位置情報(又は速度情報)が制御目標値と一致するようにY軸リニアモータ24A、24Bを制御している。
図1に戻り、照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間、すなわちレチクルステージRSTの上方には、第1遮蔽機構101が設けられ、レチクルステージRSTと投影光学系PLとの間、すなわちレチクルステージRSTの下方には第2遮蔽機構102が設けられている。これら遮蔽機構の構成等については後に詳述する。
前記投影光学系PLは、ホタル石、フッ化リチウム等のフッ化物結晶から成るレンズや反射鏡からなる光学系を、鏡筒19で密閉したものである。投影光学系PLとしては、ここでは、一例として両側テレセントリックで投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の屈折系が用いられているものとする。このため、前述の如く、照明ユニットILUからの露光光ELによりレチクルRが照明されると、その照明領域部分のレチクルR上のパターンが投影光学系PLによりウエハW上のショット領域の一部に縮小投影され、前記露光光ELで照明されたパターン部分の縮小像(部分像)が形成される。
前記投影光学系PLは、その光軸方向をZ軸方向として鏡筒定盤34Bの中央に形成された平面視(上方から見て)円形の開口内に挿入され、その高さ方向の中央やや下側に設けられたフランジFLGを介して鏡筒定盤34Bに固定されている。
なお、投影光学系PLとしては、屈折系に限らず、反射屈折系、反射系のいずれをも用いることができる。
前記ウエハステージWSTは、例えば磁気浮上型や加圧気体の静圧により浮上する気体浮上型のリニアモータ等から成る駆動装置としての不図示のウエハ駆動系によって前記ウエハステージベースBSの上面に沿ってかつ非接触でXY面内で自在に駆動されるようになっている。
ウエハステージWSTは、実際には、上記のXY面内で自在に駆動(θz回転を含む)されるXYステージ、このXYステージ上に搭載され、ウエハWを保持する基板テーブル等を備えている。基板テーブル上に不図示のウエハホルダが設けられ、該ウエハホルダによってウエハWが例えば真空吸着により保持されている。基板テーブルは、不図示の駆動系により、Z軸方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動される。このように、ウエハステージWSTは、実際には、複数のステージ、テーブルを含んで構成されるが、以下では、ウエハステージWSTは、ウエハ駆動系によってX、Y、Z、X軸回りの回転であるθx、Y軸回りの回転であるθy、及びθz方向の6自由度方向に駆動可能な単一のステージであるものとして説明する。
ウエハステージWSTの位置情報は、ウエハステージWST上面に設けられた移動鏡16を介してウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)20によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されるようになっている。
なお、実際には、移動鏡はX軸に直交する反射面を有するX移動鏡と、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡とが設けられ、これに対応してレーザ干渉計もX方向位置計測用のXレーザ干渉計とY方向位置計測用のYレーザ干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表して移動鏡16、ウエハ干渉計20として図示されている。なお、例えば、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡16の反射面に相当)を形成しても良い。また、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではレーザ干渉計26によって、ウエハステージWSTのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、多軸干渉計は45°傾いてウエハステージWSTに設置される反射面を介して、投影光学系PLが載置される架台(不図示)に設置される反射面にレーザビームを照射し、投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に関する相対位置情報を検出するようにしても良い。
上述したウエハ干渉計20からのウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は不図示の制御装置に送られ、制御装置ではウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)に基づいてウエハ駆動系を介してウエハステージWSTを駆動する。
ウエハステージWSTと投影光学系PLとの間には、第3遮蔽機構103が設けられている。この第3遮蔽機構103の構成等については後に詳述する。
制御系は、不図示の制御装置によって主に構成される。制御装置は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、上述した各種制御動作を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング等を制御する。
具体的には、制御装置は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、ウエハステージWSTを介してウエハWが露光領域に対して−Y方向(又は+Y方向)に速度VW=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レチクル干渉計、ウエハ干渉計20の計測値に基づいてY軸リニアモータ24A,24B、ウエハ駆動系を介してレチクルステージRST、ウエハステージWSTの位置及び速度をそれぞれ制御する。
また、ステッピングの際には、制御装置では、レチクル干渉計及びウエハ干渉計20の計測値に基づいてウエハ駆動系を介してウエハステージWSTの位置を制御する。
ところで、真空紫外域の波長の光を露光光とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の、かかる波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガス(以下、適宜「吸収性ガス」と呼ぶ)を排除する必要がある。このため、本実施形態では、光源からウエハWに至る光路上の全ての空間内部の吸収性ガスを極力排除する工夫がなされている。これについては、後に詳述する。
次に、前述の第1〜第3遮蔽機構(101,102,103)について説明する。
前記第1遮蔽機構101は、図1及び図3Aに示されるように、レチクルRの上方に設けられたXY断面が矩形枠状の一方の面(図1における下面)が全面に渡って開口し、他方の面(図1における上面)の中央部が開口した全体として厚さの薄い直方体状の部材から成る遮蔽部材としての照明系側ガスパージスカート22を含んで構成されている。この照明系側ガスパージスカート22は、レチクルR及び該レチクルRを保持するレチクルステージRSTのいずれかである特定物体と照明ユニットILUとの間に配置され、少なくとも前記特定物体との間に所定のクリアランスを形成した状態で、レチクルRの照明ユニットILU側の少なくともレチクルRのパターン領域に対応する領域を含む空間を外気から遮蔽する。
照明系側ガスパージスカート22は、その上端面22aが照明ユニットILUの照明系ハウジング2のレチクル側端部(下端部)に固定され、その下端面22bは、レチクルステージRSTの上面(照明ユニットILU側の面)に、接触することなく近接して配置されている。すなわち、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTの上面との間には、所定のクリアランスが形成されている。この場合、照明系側ガスパージスカート22と照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間には、概ね気密状態の空間IMが形成されている。
この空間IMにおいて、高い気密性を確保するためには、前述のクリアランスは狭ければ狭いほど好ましい。但し、レチクルステージRSTには、走査に伴う上下振動が発生するおそれがあるので、上下振動が生じた場合にもレチクルステージRSTと照明系側ガスパージスカート22との接触を回避するためには、ある程度の間隔を設けることが必要となる。その間隔は、各機構の構成によっても異なるが、気密性の観点からは、上記クリアランスは、最大でも3mm以下であることが好ましい。
なお、照明系側ガスパージスカート22とレチクルステージRSTとの間に配置され、照明系側ガスパージスカート22の下端部に、例えば伸縮自在のベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、該駆動機構によりベローズを伸縮及びチルト駆動することにより、クリアランスを照明系側ガスパージスカート22の全周に渡ってほぼ均一になるように調整することも可能である。
図4には、レチクルステージRSTの平面図が示されている。この図4に示されるように、照明系側ガスパージスカート22は、Y軸方向に長い矩形枠状となっている。このように照明系側ガスパージスカート22をY軸方向を長く設定しているのは、以下の理由による。すなわち、本実施形態においては、レチクルR(レチクルステージRST)はY軸方向へ走査(スキャン)されるようになっているが、レチクルRの汚染の防止のためには、レチクルステージRSTがY軸方向に走査された場合であっても、レチクルRが収容された段付き開口53が常に照明系側ガスパージスカート22の内部に収まっている必要がある。一方、Y軸方向長さ(図4に示される長さSY)が十分でないと、走査に伴ってレチクルRと段付き開口53が、照明系側ガスパージスカート22からはみ出す可能性があり、はみ出した場合には、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルRとの間に大きな隙間ができ、空間IMの気密性が維持されなくなってしまう。しかし、空間IMは、光源からウエハWに至る光路上の空間であるから、後述するガスパージを効率良く行うためには、ある程度以上の気密性を確保する必要があるので、このような事態が生じないようにする必要がある。
上記の長さSYは、具体的には、レチクルRのパターン領域のY軸方向長さと、レチクルRを照明する照明領域のY軸方向の長さ(いわゆるスリット幅)と、走査に伴う助走距離(露光が行われる同期移動時の前後の加速域と減速域とでレチクルステージRSTが移動する助走距離、すなわちいわゆるプリスキャン距離とオーバースキャン距離との和)を加えた長さとの合計により決定され、具体的には、レチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、照明系側ガスパージスカート22内部のY軸方向長さSYは、250mm程度以上とする必要がある。
一方、照明系側ガスパージスカート22のX軸方向長さSXについては、レチクルステージRSTはX軸方向にはY軸方向ほど大きくは駆動されないので、レチクルR(又は段付き開口53)の大きさに多少のマージンを設けておけば良く、例えばレチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、長さSXは180mm程度以上に設定しておけば良い。
なお、空間IMの気密性確保のためには、レチクルステージRSTがY軸方向に走査しても、レチクルステージRSTを、照明系側ガスパージスカート22が覆い続ける程度の大きさが必要となる。このため、レチクルステージRSTのY軸方向の全長(図4に示される長さRY1)は、照明系側ガスパージスカート22の内側のY軸方向長さSYと、照明系側ガスパージスカート22の側壁の厚さの2倍と、レチクルステージRSTのY方向走査長を加算した長さの総和以上の長さである必要があり、具体的には、例えば、レチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、レチクルステージRSTのY軸方向の全長RY1を600mm以上としておく必要がある。
また、レチクルステージRSTの走査による、レチクルステージRSTと照明系側ガスパージスカート22との接触を回避するためには、レチクルステージRSTの表面形状は少なくともY軸方向に関してフラットである必要がある。この条件を数式で表わすと、レチクルステージRSTの表面のZ位置のY方向位置に対する関数Z=f(Y)がYに関して一定である必要がある。
一方、レチクルステージRSTの表面形状は、X軸方向に関しては必ずしも平面である必要がなく、段差や湾曲があっても構わないが、その場合には、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bを、レチクルステージRSTの表面形状とほぼ同じ形状に加工する必要があり、加工性の観点からは非常に複雑となってしまう。従って、レチクルステージRSTのX軸方向の表面形状についても、平面であることが望ましい。
なお、この場合には、空間IM内に含まれる部材、例えばレチクルRやその他のレチクル周辺に配置される部材の全てが、レチクルステージRSTの上面よりも上側にはみ出さないような構造(図3B参照)を採用しておく必要がある。
前記第1遮蔽機構101は、上述の照明系側ガスパージスカート22の他に、空間IM内のガス置換を効率良く行うための配管系や差動排気機構なども有しているが、これらについては後に詳述する。
前記第2遮蔽機構102は、図1に示されるように、鏡筒定盤34B上に設けられた複数のバージスカート保持機構29を介して、レチクルステージRSTの下方にて保持された遮蔽部材としての投影系側ガスパージスカート28を備えている。投影系側ガスパージスカート28は、その上端面28aが、レチクルステージRSTの下面(投影光学系PL側の面)に接触することなく近接して配置され、その下端面28bは投影光学系PLの鏡筒19の上端面に、接触することなく近接して配置されている。すなわち、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRST下面との間、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bと投影光学系PLとの間には、それぞれクリアランスが形成されている。
この場合、投影系側ガスパージスカート28、レチクルステージRST、レチクルR、及び投影光学系PLにより、概ね気密状態の空間MPが形成されている。
ここで、上記クリアランスは、前述の照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間のクリアランスと同様に、狭ければ狭い程好ましいが、レチクルステージRSTの走査方向への移動に伴う上下振動が生じた場合にもレチクルステージRSTと投影系側ガスパージスカート28の接触を回避する必要があるので、その間隔をある程度開けることとしている。この場合のクリアランスとしては、上記と同様に3mm以下に設定することが好ましい。この場合にも、投影系側ガスパージスカート28の上端部などにベローズ及び該ベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aの全周に渡ってクリアランスを均一に設定することとしても良い。
投影系側ガスパージスカート28の上端部の形状、大きさ等は上記照明系側ガスパージスカート22の下端部と同様(すなわち内部がY軸方向長さSY、X軸方向長さSXである平面視矩形枠状)に設定されている。このような形状、大きさを採用した理由は、照明系側ガスパージスカート22の場合と同様であるので、その説明は省略するものとする。
なお、この場合、レチクルステージRSTの駆動に伴って、レチクルステージRST及びレチクルRが投影系側ガスパージスカート28に接触しないように、ペリクル56や、その他のレチクル周辺の構造物の全てがレチクルステージRSTよりも下側にはみ出さないような構成(図3B参照)を採用する必要がある。
一方、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bの形状は円形枠状とされている。これは投影光学系PLの鏡筒19が円筒形状を有し、その上端面の形状が円形枠状であるので、空間MPの気密性の観点からは、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bを、投影光学系PLの鏡筒19の上端面と同一形状とするのが好ましいからである。
なお、投影光学系PLは第1架台34に固定されているので、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとは、Oリング等のシール部材を介して気密的に接合(固定)することも可能である。但し、投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTの駆動等により振動し、その振動が投影光学系PLに伝達して、結像特性を劣化されるおそれがある場合には、本実施形態のように所定の間隔(クリアランス)を開けて、近接して配置したほうが好ましい。このクリアランスも、これまでと同様に、3mm以下に設定することが好ましい。
ところで、露光装置100においては、レチクルRを、適宜、他のレチクルと交換する必要があるので、空間IM、空間MPの気密性を維持したまま、レチクルRを交換することが可能なレチクルの交換機構を採用する必要がある。
これを実現するためには、例えば、照明系側ガスパージスカート22の側壁の一部に、開閉可能なレチクル搬送窓(不図示)を設け、このレチクル搬送窓を介して、不図示のレチクルローダによって、レチクルRを空間IM外部に搬出し、新たなレチクルを空間IM内に搬入することで、レチクル交換を行う構成を採用しても良いし、あるいは、レチクルステージRSTのY軸方向への走査ストロークを、レチクルR全体が、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28のY軸方向外側に出ても、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTを覆い続けるほど大きく取っておき、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28からレチクルR全体が出た状態で、照明系側ガスパージスカート22の外側に設けられたレチクルローダを用いて、レチクル交換を行うような構成とすることもできる。
なお、この場合、レチクル交換時のレチクルステージRSTの移動方向を、−Y方向に設定した場合には、レチクル交換の際にも照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28とレチクルステージRSTとの間の気密性が保たれるように(すなわち、レチクルR全体が照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28の外側に出た場合にも、レチクルステージRSTの+Y側端部が照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28の+Y側の側壁を越えないように)、レチクルステージRSTのY軸方向の長さ(具体的には図4に示されるレチクルRよりも+Y側の長さRY2)を十分に長く設定しておく必要がある。
ところで、照明系側ガスパージスカート22には、図2に示されるように、第1給気管60、第1排気管61、及び第2給気管72、第2排気管73の4種類の配管が接続されている。
図5Aには、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTとが近接配置された部分が断面図にて示されており、図5Bには、照明系側ガスパージスカート22のレチクルステージRSTに近接した面(下端面22b)の一部が拡大して示されている。なお、図5Aは、図5BのA−A線断面に相当する。
前記第1給気管60は、図5Aに示されるように、照明系側ガスパージスカート22の側壁の外側から内側に連通して形成された供給用開口としての貫通孔251に対して、コネクタ75を介して照明系側ガスパージスカート22の外側から接続されている。貫通孔251の第1給気管60とは反対側には給気ノズル76が設けられている。
前記第1排気管61は、不図示ではあるが、上記第1給気管60と同様に、照明系側ガスパージスカート22の側壁に外側から内側に連通して形成された不図示の排気用開口としての貫通孔に対して、コネクタを介して照明系側ガスパージスカート22の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間IM内の気体は低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、第1給気管60及び第1排気管61を用いて空間IM内を真空紫外域の光に対する吸収が少ない特性を有する特定ガス、例えば窒素、及びヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、又はそれらの混合ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」と呼ぶ)で満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管60の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50の一端に接続され、第1排気管61の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管60、第1排気管61には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間IM内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間IM内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管72の一端は、図5Aに示されるように、照明系側ガスパージスカート22の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路167に対してコネクタ65を介して接続されている。この第2給気管72の一端が接続された給気管路167の他端側は、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bに形成された給気口としての給気用環状凹溝67に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝67は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管73の一端は、照明系側ガスパージスカート22の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路168に対してコネクタ66を介して接続されている。この第2排気管73の一端が接続された排気管路168は、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bの空間IMに対して前記給気用環状凹溝67の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝68に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝68は、給気用環状凹溝67と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝67,68間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔を照明系側ガスパージスカート22の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管72の他端は、図2に示されるように、低吸収性ガスの供給装置80に接続され、第2排気管73の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図5Aに示されるように、第2給気管72及び給気管路167を介して供給された低吸収性ガス(加圧気体)が、環状凹溝67から照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTの上面との間のクリアランスD1に供給され、そのクリアランスD1内部のガスが環状凹溝68、排気管路168、及び第2排気管73を介しての外部に排気される。すなわち、第2給気管72及び第2排気管73を含む気体の流れは、主に第2給気管72→給気管路167→給気用環状凹溝67→クリアランスD1→排気用環状凹溝68→排気管路168→第2排気管73となり、クリアランスD1中には、照明系側ガスパージスカート22の内側(すなわち空間IM側)から外側に向かう気体の流れが形成される。これにより、照明系側ガスパージスカート22の内側(空間IM)に対する、外側からの酸素や水蒸気の流入を、上記気体の流れによって遮断することができ、空間IM内のパージ性能(すなわち、酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝67から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD1を介して空間IMに浸入する。また、排気用環状凹溝68を介してクリアランスD1内の気体が外部に排気されているので、照明系側ガスパージスカート22の外部の気体の一部がクリアランスD1に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝68を介して外部に排気される。
なお、実際には、環状凹溝67,68には複数(例えば3つ)の給気管路及び排気管路が形成されており、これら管路に、第2給気管及び第2排気管がそれぞれ接続されているが、図2等では説明及び図示の便宜上、第2給気管及び第2排気管は照明系側ガスパージスカート22にそれぞれ1本ずつ接続されているものとして示している。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、第2給気管72を介してクリアランスに供給される気体としては、上記低吸収性ガスに限らず、例えばクリアランスからのガス排気量が、クリアランスに対するガス供給量よりも大きく、給気用環状凹溝67から供給されるガスが空間IM内に浸入しない場合には、加圧空気など低吸収性ガス以外のガスを用いることとしても良い。
前記投影系側ガスパージスカート28には、図2に示されるように、第1給気管77、第1排気管78、第2給気管81,83、及び第2排気管82,84がそれぞれ接続されている。
図6Aには、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRSTとが近接配置された部分が断面図にて示されており、図6Bには、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLの鏡筒19とが近接配置された部分が断面図に示されている。
前記第1給気管77は、図6Aに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁に外側から内側に連通して形成された供給用開口としての貫通孔252に対して、コネクタ86を介して投影系側ガスパージスカート28の外側から接続されている。また、貫通孔252の第1給気管77とは反対側には、給気ノズル87が設けられている。
前記第1排気管78は、不図示ではあるが、上記第1給気管77と同様に、投影系側ガスパージスカート28の側壁に外側から内側に連通して形成された貫通孔に対して、コネクタを介して投影系側ガスパージスカート28の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間MP内の気体も低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、第1給気管77及び第1排気管78を用いて空間MP内を前記低吸収性ガスで満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管77の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50に接続され、第1排気管78の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管77、第1排気管78には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間MP内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間MP内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管81の一端は、図6Aに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路169に対してコネクタ88を介して接続されている。この第2給気管81の一端が接続された給気管路169は、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aに形成された給気口としての給気用環状凹溝170に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝170は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管82の一端は、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路171に対してコネクタ89を介して接続されている。この第2排気管82の一端が接続された排気管路171は、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aの空間MPに対して給気用環状凹溝170の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝172に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝172は、給気用環状凹溝170と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝170,172間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔を投影系側ガスパージスカート28の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管81の他端は、図2に示されるように、前述の供給装置80に接続され、第2排気管82の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図6Aに示されるように、第2給気管81及び給気管路169を介して供給された加圧気体が、環状凹溝170から投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRSTの下面との間のクリアランスD2に供給され、そのクリアランスD2内部のガスが環状凹溝172、排気管路171、及び第2排気管82を介して外部に排気される。すなわち、第2給気管81及び第2排気管82を含む気体の流れは、主に第2給気管81→給気管路169→給気用環状凹溝170→クリアランスD2→排気用環状凹溝172→排気管路171→第2排気管82となり、クリアランスD2中には、投影系側ガスパージスカート28の内側(すなわち空間MP側)から外側に向かう気体の流れが形成されることになる。
この場合、給気用環状凹溝170から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD2を介して空間MPに浸入する。また、排気用環状凹溝172を介してクリアランスD2内の気体が外部に排気されているので、投影系側ガスパージスカート28の外部の気体の一部がクリアランスD2に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝172を介して外部に排気される。
前記第2給気管83の一端は、図6Bに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路173に対してコネクタ90を介して接続されている。この第2給気管83の一端が接続された給気管路173は、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bに形成された給気口としての給気用環状凹溝174に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝174は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管84の一端は、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路175に対してコネクタ91を介して接続されている。この第2排気管84の一端が接続された排気管路175は、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bの空間MPに対して給気用環状凹溝174の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝176に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝176は、給気用環状凹溝174と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝174,176間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、上記と同様、その間隔を投影系側ガスパージスカート28の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管83の他端は、図2に示されるように、前述の供給装置80に接続され、第2排気管84の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図6Bに示されるように、第2給気管83及び給気管路173を介して供給された加圧気体が、環状凹溝174から投影系側ガスパージスカート28の下端面28bとレチクルステージRSTの下面との間のクリアランスD3に供給され、そのクリアランスD3内部のガスが環状凹溝176、排気管路175、及び第2排気管84を介して外部に排気される。すなわち、第2給気管83及び第2排気管84を含む気体の流れは、主に第2給気管83→給気管路173→給気用環状凹溝174→クリアランスD3→排気用環状凹溝176→排気管路175→第2排気管84となり、クリアランスD3中には、投影系側ガスパージスカート28の内側(すなわち空間MP側)から外側に向かうガスの流れが形成されることになる。
このように、投影系側ガスパージスカート28の上端面28a及び下端面28bの両方において、空間MPの外側から内側へのガスの流れが形成されていることから、空間MPに対する投影系側ガスパージスカート28の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができ、空間MP内のパージ性能(すなわち、酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝174から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD3を介して空間MPに浸入する。また、排気用環状凹溝176を介してクリアランスD3内の気体が外部に排気されているので、投影系側ガスパージスカート28の外部の気体の一部がクリアランスD3に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝176を介して外部に排気される。
なお、実際には、環状凹溝170,172,174,176にはそれぞれ複数(例えば3つ)の給気管路及び排気管路が連通状態で形成されており、これら管路に、第2給気管及び第2排気管がそれぞれ接続されているが、図2等では説明及び図示の便宜上、第2給気管及び第2排気管は投影系側ガスパージスカート22にそれぞれ2本ずつ接続されているものとして示している。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、説明が前後するが、投影光学系PLの鏡筒19内のパージガスの種類と、空間MP内のパージガスの種類が異なる場合には、投影光学系PLのうちの上端(レチクルRに近い側)に位置する図6Bに示されるレンズL1の保持機構H1には、十分な気密性を持たせ、両ガスが混入しないようにしておく必要がある。
前記第3遮蔽機構103は、図1に示されるように、投影光学系PLとウエハステージWST上のウエハWとの間に配置され、鏡筒定盤34Bの下面に一端が固定された複数の吊り下げ支持部材92によって吊り下げ支持された遮蔽部材としてのウエハガスパージスカート36を含んで構成されている。ウエハガスパージスカート36の上端面36aは投影光学系PLの鏡筒19の下端面と接触することなく近接して配置され、また、ウエハガスパージスカート36の下端面36bもウエハWと接触することなく近接して配置されている。ウエハガスパージスカート36は、図1から分かるように、概略円柱状の形状を有し、その中央部に円錐台状の中空部36cが上側端面から下側端面まで連通した状態で形成されているため、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとウエハWとの間には、概ね気密状態の空間PWが形成されている。
図7Aには、ウエハガスパージスカート36の近傍の断面図が示され、図7Bには、ウエハガスパージスカート36を上側(+Z側)から見た図が示されている。なお、図7Aの中心線(投影光学系PLの光軸AX)よりも左半分の図は、図7BのB−B線断面図に相当し、図7Aの中心線よりも右半分の図は、図7BのC−C線断面図に相当する。
空間PWにおいて、気密性を確保するためには、投影光学系PLの鏡筒19とウエハガスパージスカート36との間の間隔(クリアランス)D4、及びウエハガスパージスカート36とウエハWとの間の間隔(クリアランス)D5は狭ければ狭いほど好ましい。ただし、ウエハガスパージスカート36とウエハWとの間のクリアランスD5については、ウエハステージWSTには、走査方向及びこれに直交する非走査方向への移動に伴う上下振動が発生する恐れがあるので、上下振動が生じた場合にもウエハWとウエハガスパージスカート36の接触を回避するために、ある程度の間隔を保っておく必要がある。その間隔は、各機構の構成によって異なるが、クリアランスD5は気密性の観点からは最大でも3mm以下であることが好ましい。
なお、ウエハガスパージスカート36の下端部にベローズ及び該ベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、クリアランスD5を全周に渡って均一に調整可能に設定することも可能である。
ウエハガスパージスカート36には、図2に示されるように、第1給気管111、第1排気管112、第2給気管113、及び第2排気管114が接続されている。ここで実際には、図7A,図7Bに示されるように第2給気管113は、ウエハガスパージスカート36に対して3本(第2給気管113A〜113C)接続されており、第2排気管114は、ウエハガスパージスカート36に対して3本(第2排気管114A〜114C)接続されているが、図2では図示の便宜上、各1本のみ図示している。
前記第1給気管111は、図7A,図7Bに示されるように、ウエハガスパージスカート36の外側から内側に連通して形成された給気用開口としての貫通孔253に対して、コネクタを介してウエハガスパージスカート36の外側から接続されている。貫通孔253の第1給気管111とは反対側には、給気ノズル115が設けられている。
前記第1排気管112は、ウエハガスパージスカート36を挟んで第1給気管111とほぼ対称な位置に配置され、ウエハガスパージスカート36の外側から内側に連通して形成された貫通孔254に対して、コネクタを介してウエハガスパージスカート36の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間PW内の気体も低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、上記第1給気管111及び第1排気管112を用いて空間PW内を前記低吸収性ガスで満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管111の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50の一端に接続され、第1排気管112の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管111、第1排気管112には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間PW内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間PW内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管113A〜113Cは、図7A及び図7Bを総合するとわかるように、ウエハガスパージスカート36内にほぼ等間隔で形成された略T字状の第2給気管路123A〜123Cに対してウエハガスパージスカート36の外側からコネクタを介して接続されている。第2給気管路123A〜123Cのそれぞれは、ウエハガスパージスカート36の上端面36aに形成された給気口としての給気用環状凹溝117と、ウエハガスパージスカート36の下端面36bに形成された給気口としての給気用環状凹溝119に連通した状態となっている。
また、前記第2排気管114A〜114Cは、ウエハガスパージスカート36内の前記第2給気管路123A〜123C近傍に形成された略T字状の第2排気管路124A〜124Cに対し、ウエハガスパージスカート36の外側からコネクタを介して接続されている。第2排気管路124A〜124Cのそれぞれは、ウエハガスパージスカート36の上端面36aの空間PWに対して前記給気用環状凹溝117の外側に形成された排気用環状凹溝118と、ウエハガスパージスカート36の下端面36bの空間PWに対して前記給気用環状凹溝119の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝120に連通した状態となっている。
この場合において、給気用環状凹溝117,119及び排気用環状凹溝118,120は、いずれもその幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝117,118間の間隔、環状凹溝119,120間の間隔は、ともに5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔をウエハガスパージスカート36側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管113A〜113C(以下、適宜「第2給気管113」とも記述する)は、図2に示されるように、ウエハガスパージスカート36と供給装置80とを接続し、第2排気管114A〜114C(以下、適宜「第2排気管114」とも記述する)は、ウエハガスパージスカート36と真空ポンプ79とを接続する。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、前述と同様に第2給気管113及び給気管路123を介して供給された加圧気体が、環状凹溝117、119それぞれからウエハガスパージスカート36の上端面36aと投影光学系PLの下面との間のクリアランスD4、ウエハガスパージスカート36の下端面36bとウエハWとの間のクリアランスD5にそれぞれ供給され、それらのクリアランスD4,D5内部のガスは環状凹溝118,120、排気管路124及び第2排気管114を順次介して外部に排気される。すなわち、第2給気管113及び第2排気管114を含む気体の流れは、主に第2給気管113→給気管路123A〜123C→給気用環状凹溝117(又は119)→クリアランスD4(又はD5)→排気用環状凹溝118(又は120)→排気管路124A〜124C→第2排気管114となり、クリアランスD4,D5のそれぞれには、ウエハガスパージスカート36の内側(すなわち空間PW側)から外側に向かう気体の流れが形成されることになる。
このように、ウエハガスパージスカート36の上端面36a及び下端面36bの両方において、空間PWの内側から外側への気体の流れが形成されていることから、空間PWに対するウエハガスパージスカート36の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができ、空間PW内のパージ性能(すなわち酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝117(又は119)から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD4(又はD5)を介して空間PWに浸入する。また、排気用環状凹溝118(又は120)を介してクリアランスD4(又はD5)内の気体が外部に排気されているので、ウエハガスパージスカート36の外部の気体の一部がクリアランスD4(又はD5)に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝118(又は120)を介して外部に排気される。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、投影光学系PLの鏡筒19内のパージガスの種類と、空間PW内のパージガスの種類が異なる場合には、投影光学系PLのうちの下端(ウエハWに近い側)に位置する図7Aに示されるレンズL2の保持機構H2には、十分な気密性を持たせ、両ガスが混入しないようにしておく必要がある。
なお、投影光学系PLは第1架台34に固定されているので、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとは、Oリング等のシール部材を介して気密的に接合(固定)することも可能である。ただし、ウエハガスパージスカート36がウエハステージWSTの駆動等により振動し、その振動が投影光学系PLに伝達して、結像特性を劣化されるおそれがある場合には、本実施形態のように所定の間隔をあけて、近接して配置したほうが好ましい。
説明が前後したが、本実施形態のように、真空紫外域の光を露光光ELとして用いる場合には、照明系ハウジング2内部や、投影光学系PLの鏡筒内部から吸収性ガスを排除する必要があることは勿論である。このため、本実施形態では、照明系ハウジング2は、図2に示されるように給気管10によりガス供給装置50に接続され、排気管11により不図示のガス回収装置に接続されている。同様に、鏡筒19は、給気管30によりガス供給装置50に接続され、排気管31により不図示のガス回収装置に接続されている。給気管10、30にはそれぞれ不図示の給気弁が設けられ、排気管11、31には、それぞれ不図示の排気弁が設けられている。不図示の制御装置が、各給気弁、各排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、照明系ハウジング2の内部や投影光学系PLの鏡筒19の内部に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度に抑制されている。なお、これらの空間の内部に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
なお、上記の説明では、ガス供給装置50から各空間内に供給された低吸収性ガスを使用後にはガス回収装置に向けて排気する場合について説明したが、これに限らず、それぞれの排気管をガス供給装置50に接続して、使用後のガスをガス供給装置50に戻すこととしても良い。この場合、ガス供給装置50の内部には、低吸収性ガスの貯蔵タンク、ポンプ、ガス精製装置等(いずれも図示省略)が内蔵される。この場合、ガス供給装置50に内蔵されるガス精製装置は、各空間の内部を通過して純度が低下した低吸収性ガスを再度所定の純度に再生するもので、例えばHEPAフィルタあるいはULPAフィルタ等の塵(パーティクル)を除去するエアフィルタと前述した酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の吸収性ガスを除去するケミカルフィルタとを含むフィルタタイプのものや、クライオポンプを用い、該クライオポンプで液化されたガス中の含有物質の気化温度の違いを利用して低吸収性ガスと不純物とを分離するタイプのものなどを用いることができる。また、ガス供給装置50内部の貯蔵タンクは、流量制御機能を有する弁を介して外部の低吸収性ガスの供給源に接続され、不足分の低吸収性ガスが適宜補われるようにすることが望ましい。
そして、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、各空間内に低吸収性ガスが充填され、照明系ハウジング2内の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度に抑制することができる。この場合、ガス供給装置50を含む循環経路により低吸収性ガスを長時間に渡って循環使用しても、ガス精製装置の作用により、各空間内の吸収性ガスの濃度を数ppm以下の濃度に維持できる。
また、ガス供給装置50は、その内部を前記各空間に応じて第1室〜第9室の9つの部屋に分割しても良い。この場合、各部屋の内部の低吸収性ガスの種類を異ならせても良い。
なお、本実施形態では、送光光学系内部の光路にも上記照明系ハウジング2と同様に低吸収性ガスが満たされていることは言うまでもない。
これまでの説明から分かるように、ガス供給装置50、第1給気管60、不図示の給気弁により、照明系側ガスパージスカート22内部の空間IMに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管61、不図示の排気弁により、空間IM内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。また、ガス供給装置50、第1給気管77、不図示の給気弁により、投影系側ガスパージスカート28内部の空間MPに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管78、不図示の排気弁により、空間MP内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。さらに、ガス供給装置50、第1給気管111、不図示の給気弁により、ウエハ側ガスパージスカート36内部の空間PWに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管112、不図示の排気弁により、空間PW内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。
また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路167、第2排気管路168、第2給気管72及び第2排気管73により、クリアランスD1内に加圧気体(低吸収性ガス)を供給するとともに、クリアランスD1内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路169、第2排気管路171、第2給気管81及び第2排気管82により、クリアランスD2内に加圧気体を供給するとともに、クリアランスD2内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路173、第2排気管路175、第2給気管83及び第2排気管84により、クリアランスD3内に加圧気体を供給するとともに、クリアランスD3内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路123A〜123C、第2排気管路124A〜124C、第2給気管113A〜113C及び第2排気管114A〜114Cにより、クリアランスD4、D5内に加圧気体をそれぞれ供給するとともに、それらのクリアランスD4、D5内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100及び該露光装置で行われるガスパージ方法によると、第1遮蔽機構101を構成する照明系側ガスパージスカート22は、レチクルステージRSTとの間にクリアランスD1が形成される状態で配置されるので、そのクリアランスD1を適宜な寸法に設定することにより、露光光ELの光路上に配置されたレチクルRと照明ユニットILUとの間の空間IM内をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その空間IM内に照明系側ガスパージスカート22に接続された第1給気管60を介して露光光ELに対する吸収特性が前述の吸収性ガスに比べて低い低吸収性ガスが供給され、照明系側ガスパージスカート22に接続された第1排気管61を介して排気される。これにより、レチクルRと照明ユニットILUとの間の空間IMの気体を低吸収性ガスに効率良く置換することができ、これにより空間IM内から吸収性ガスを追放(パージ)することができる。
また、照明系側ガスパージスカート22のレチクルR側の下端面22bに形成された給気用環状凹溝67等を介して低吸収性ガスをクリアランスD1内に供給するとともに、クリアランスD1内の気体を下端面22bの空間IMに対し給気用環状凹溝67の外側に形成された排気用環状凹溝68を介して外部に排気する構成としたことにより、レチクルステージRSTと照明ユニットILUとの間の空間IMの気密性を実質的に高め、より高精度なガスパージの実現が可能になる。
また、第2遮蔽機構102を構成する投影系側ガスパージスカート28は、レチクルステージRSTとの間にクリアランスD2が形成される状態で配置されるので、そのクリアランスD2を適宜な寸法に設定することにより、露光光ELの光路上に配置されたレチクルRと投影光学系PLとの間の空間MP内をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その空間MP内に投影系側ガスパージスカート28に接続された第1給気管77を介して低吸収性ガスが供給され、投影系側ガスパージスカート28に接続された第1排気管78を介して排気される。これにより、空間IMのみならず、レチクルRと投影光学系PLとの間の空間MPからも露光光を吸収する吸収性ガスが排除される
従って、大型で重い気密型のレチクルステージチャンバを用いることなく、照明ユニットILUから投影光学系PLに至る露光光ELの光路上の空間内の高精度なガス置換を行うことができ、これらの空間から吸収性ガスを排除することが可能となる。この場合、照明系側ガスパージスカート22、投影系側ガスパージスカート28として、レチクルステージRSTと照明ユニットILU又は投影光学系PLとの間の空間を覆うことができる程度の小型のものを用いることができるので、装置の大型化、重量化を抑制することができ、さらに、上記のようにクリアランスD1、D2がレチクルステージRSTとの間に形成されているので、レチクルRのパターン領域の一方の面側及び他方の面側の空間を外気から遮蔽しているにもかかわらず、レチクルステージRSTに外部から容易にアクセス可能となっている。
また、投影系側ガスパージスカート28においても、照明系側ガスパージスカート28と同様、レチクルRに対向する面(上端面28a)に形成された給気用環状凹溝170から低吸収性ガスをレチクルR(レチクルステージRST)に向けて供給するとともに、クリアランスD2内の気体を上端面28aの空間MPに対して給気用環状凹溝170の外側に形成された排気用環状凹溝172を介して外部に排気することとしているので、空間MPの気密性を実質的に向上して、より高精度なガス置換が可能となる。
また、投影光学系PLと投影系側ガスパージスカート28の間には、所定のクリアランスD3が形成されているので、投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTの駆動に伴って振動が生じても、その振動が投影光学系PLに伝達されるのを防止することができる。このようにクリアランスD3が形成されていても、本実施形態では、クリアランスD3内にクリアランスD1,D2と同様、空間MPの内側から外側に向かうガスの流れが形成されているので、気密性が低下することは殆どない。
また、本実施形態では、第3遮蔽機構103を構成するウエハガスパージスカート36が、投影光学系PLとの間に所定のクリアランスD4を形成し、かつウエハWとの間に所定のクリアランスD5を形成した状態で、投影光学系PLとウエハWとの間に配置され、ウエハガスパージスカート36内部の空間も上記各空間と同様にしてガス置換が行われている。
また、ウエハガスパージスカート36においても、投影光学系PLに対向する面(上端面36a)に形成された給気用環状凹溝117から低吸収性ガスをクリアランスD4内に供給するとともに、クリアランスD4内のガスを上端面36aの給気用環状凹溝117の外側に形成された排気用環状凹溝118を介して外部に排気することとしている。さらに、ウエハWに対向する面(下端面36b)に形成された給気用環状凹溝119から低吸収性ガスをクリアランスD5内に供給するとともに、クリアランスD5内のガスを下端面36bの給気用環状凹溝119の外側に形成された排気用環状凹溝120を介して外部に排気することとしている。このため、空間PWの気密性を実質的に向上して、より高精度なガス置換が可能となる。
従って、大型で重い気密型のウエハステージチャンバを用いることなく、投影光学系PLからウエハWに至る露光光ELの光路上の空間内の高精度なガス置換を行うことができ、この空間から吸収性ガスを排除することが可能となる。この場合、ウエハガスパージスカート36として、ウエハWと投影光学系PLとの間の空間を覆うことができる程度の小型のものを用いることができるので、装置の大型化、重量化を抑制することができる。
以上により、照明ユニットILUからウエハWに至る露光光ELの光路上の空間から低吸収性ガスを排除することができるので、露光光ELの透過率を良好に維持して高精度な露光を長期に渡って行うことができる。
また、照明系側ガスパージスカート22のレチクルステージRSTに対向した面(下端面22b)、投影系側ガスパージスカート28のレチクルステージRSTに対向した面(上端面28a)はともに平面であり、レチクルステージRSTの上下面はともに平面としたことにより、クリアランスD1,D2を充分に狭くした場合であっても、レチクルステージRSTを移動させた際に、各パージスカート22,28がレチクルステージRSTに接触することがない。従って、空間IM,MPの気密性を高く維持しつつ、レチクルステージRSTを大きく動かしたり、その移動の後にレチクル交換を容易に行ったり、あるいはレチクルステージRSTのメンテナンスを容易に行ったりすることが可能となる。
また、上記実施形態では、レチクルステージRSTを駆動するY軸リニアモータ24A,24Bがパージ空間の外側に配置されることから、ガスパージを行うべき空間を小さくし、ガスパージ用のガスの使用量を削減できるとともに、投影光学系PLやレチクルRを、レチクルステージRSTの走査に伴う発塵や発熱から遮蔽することができ、露光装置の安定性や、レチクルに対する塵付着(コンタミネーション)の防止が可能になる。
なお、上記実施形態では、照明ユニットILUから投影光学系PLまでの間の空間のみならず、投影光学系PLとウエハWとの間の空間も、ウエハガスパージスカート36を用いて、ほぼ気密状態にする場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。投影光学系PLとウエハWとの間の空間は、通常距離が短いので、この空間にガス供給配管とガス排気配管のそれぞれの端部を位置させて、ガス供給配管を介して低吸収性ガスを前記空間内に送り込むとともに、その空間内の吸収性ガスを含むガスをガス排気配管を介して外部に排気することによっても、ある程度吸収性ガスを投影光学系PLとウエハWとの間の光路上の空間から排除することが可能である。従って、かかる技術と、レチクル側に適用された本発明のガスパージ方法とを組み合わせても良い。
また、上記実施形態において、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間については、給気用環状凹溝117を省略することもできる。すなわち、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間は、排気用環状凹溝118によるクリアランスD4内のガス、あるいはクリアランスD4を介した外部のガス及び空間PW内のガスを吸引排気する構成であっても良い。このようにウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間に、排気用環状凹溝118を設けるだけでも、空間PWに対するウエハガスパージスカート36の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができる。
なお、上記実施形態では、照明系側ガスパージスカート22が、照明ユニットILUの下端面に直接固設されている場合について説明したが、その他の部分と同様に、所定間隔の間隙が形成されるように照明系側ガスパージスカート22を設けることとしても良い。
すなわち、図8に示されるように、照明系側ガスパージスカート22と照明ユニットILUのハウジング2の下端面との間にクリアランスD6が形成されるように設けることができる。この場合、空間IMの気密性を高めるために、これまでと同様に、給気口としての給気用環状凹溝370と排気口としての排気用環状凹溝372を照明系側ガスパージスカート22の上端面22aに形成し、給気用環状凹溝370に連通して形成された断面U字状の第2給気管路369と排気用環状凹溝372に連通して形成された断面U字状の第2排気管路371のそれぞれに、第2給気管383と第2排気管384の一端を接続し、これら第2給気管383、第2排気管384の他端を供給装置80及び真空ポンプ79にそれぞれ接続する。このように構成することで、これまでと同様に、クリアランスD6内には空間IMから外側に向かうガスの流れが形成されるので、空間IM外からのガスの流入が最大限に抑えられることになる。
この場合も、給気用環状凹溝370から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD6を介して空間IMに浸入する。また、排気用環状凹溝372を介してクリアランスD6内の気体が外部に排気されているので、照明系側ガスパージスカート22の外部の気体の一部がクリアランスD6に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝372を介して外部に排気される。
このため、空間IM内のパージ性能を維持した状態で、レチクルステージRSTの移動に伴った振動が照明系ガスパージスカート22に発生したとしても、照明ユニットILUへの振動の伝達を回避することができる。
この場合、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路369、第2排気管路371、第2給気管383、第2排気管384により、クリアランスD6内に、クリアランスD6内に加圧気体(低吸収性ガス)を供給するとともに、クリアランスD6内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。
なお、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に本発明のガスパージ方法を採用した場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)についても、好適に適用することができる。
図9には、本発明のガスパージ方法を適用するのに好適なステッパ型の露光装置におけるレチクルステージ近傍の状態が一部断面して示されている。
この図9に示されるように、レチクルステージは平板状の形状を有するステージ本体130と、該ステージ本体130の中央に形成された矩形開口130a近傍に固定された複数(例えば4つ)のレチクル保持部132とを備えている。
前記レチクル保持部132のそれぞれには、その上面に凹部134が形成されており、該凹部134に連通して形成された吸引用の管路135を介して、レチクル保持部132に接続された吸気管136により、レチクルRが吸着保持されている。
レチクルRと照明ユニットILUとの間には、上記実施形態と同様の第1の遮蔽機構101’が設けられている。
この第1の遮蔽機構101’は、照明系側ガスパージスカート22’を含んで構成され、この照明系側ガスパージスカート22’には、前述の第1の遮蔽機構101と同様に、第1給気管60’と第1排気管61’と複数の第2給気管72’と複数の第2排気管73’が接続されている。第1給気管60’はガス供給装置50に、第1排気管61’は、不図示のガス回収装置にそれぞれ接続されており、これにより、第1給気管60’からは、照明系側ガスパージスカート22’と照明ユニットILUとレチクルRとにより形成される概ね気密化された空間IM’内に低吸収性ガスが供給され、第1排気管61’からは空間IM’内の気体が排出されるので、空間IM’内が低吸収性ガスにより置換される。また、第2給気管72’と第2排気管73’とは、供給装置80及び真空ポンプ79にそれぞれ接続され、第2給気管72’からは照明系側ガスパージスカート22’とレチクルRとの間のクリアランスD1’に対して加圧気体が供給され、第2排気管73’からはクリアランスD1’の気体が真空ポンプの吸引力によって排気されるので、クリアランスD1’には、空間IM’から外側に向かったガスの流れが形成される。
レチクルRの下面側、すなわちレチクルRと投影光学系PLとの間には、第2の遮蔽機構102が設けられている。
この第2の遮蔽機構102は、投影系側ガスパージスカート28’を含んで構成され、この投影系側ガスパージスカート28’には、上記実施形態と同様に、第1給気管77’、第1排気管78’、複数の第2給気管81’、複数の第2排気管82’が接続されている。これら第1給気管77’、第1排気管78’はガス供給装置50、不図示のガス回収装置にそれぞれ接続されている。これにより、第1給気管77’からは、投影系側ガスパージスカート28’とレチクルRと投影光学系PLとにより形成される概ね気密化された空間MP’内に低吸収性ガスが供給され、第1排気管78’からは空間MP’内の気体が排出されるので、空間MP’内の気体が低吸収性ガスにより置換される。
また、第2給気管81’及び第2排気管82’は上記実施形態と同様に供給装置80、真空ポンプ79にそれぞれ接続されている。そして、第2給気管81’からは投影系側ガスパージスカート28’とレチクルRとの間のクリアランスD2’、及び投影系側ガスパージスカート28’と投影光学系PLとの間のクリアランスD3’に対して低吸収性ガスが供給され、第2排気管82’からはクリランスD2’及びクリアランスD3’の気体が排出される。これにより、クリアランスD2’,D3’には、空間MP’から外側に向かったガスの流れが形成されるので、空間MP’の気密性をより高めることが可能となっている。
ここで、ステッパにおいては露光動作中にレチクルを走査させない(すなわち、スキャニング・ステッパのような大きな動作がなされない)ので、第1、第2の遮蔽機構を構成するガスパージスカートは、上記実施形態よりも更にレチクルRに近接した状態で配置することができる。すなわち、各ガスパージスカート等により形成される概ね気密化された空間IM’,MP’は、上記実施形態の空間IM,MPよりも更に気密化されたパージ空間とすることができる。従って、露光光ELの吸収が上記実施形態よりもさらに抑制され、高精度な露光を実現することが可能となる。
なお、この場合のレチクル交換の方法は、例えば、レチクルRを図9の紙面直交方向にスライドすることで容易に実現可能となっている。
なお、これまでの説明では、空間(IM,MP,PW(又はIM’,MP’))内の排気を、各パージスカートに接続された第1排気管を介して行うこととしたが、これに限らず、各空間の隙間から外部に排気する構成とすることもできる。
なお、上記実施形態においては、投影光学系PLとして、図1に示されるような直筒型の鏡筒を採用したが、これに代えて、例えば、反射屈折型の投影光学系を採用した場合には、投影光学系の形状は曲折部分及び突起部分等を有する形状となるが、そのような場合であっても、投影光学系のレチクル側端面、あるいはウエハ側端面に、ガスパージスカートを近接配置することで、本発明を好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、投影系側ガスパージスカート28の端部と、投影光学系PLの鏡筒19の上端面との間に、所定のクリアランスを形成するように構成したが、投影光学系側ガスパージスカート28の端部を、投影光学系PLの鏡筒19の側面に対向するように構成し、投影光学系PLの鏡筒19の側面との間に、所定のクリアランスを形成するようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとの間では、振動が伝わらないように差動排気機構を設ける構成について説明したが、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとをフィルム状の連結部材で連結しても良い。この場合、連結部材としては、吸光物質の発生が低減されたフィルム状部材を用いることが好ましい。このフィルム状部材は、例えばエチレン・ビニル・アルコール樹脂(EVOH樹脂)より成るフィルム状素材の外面に、接着剤を介してポリエチレンより成る伸縮性の良好な保護膜を被着し、更にそのフィルム状素材の内面にアルミニウムより成る安定化膜を蒸着等によってコーティングして形成することができる。EVOH樹脂としては、例えば株式会社クラレの「商品名 エバール」を使用することができる。
また、本発明のガスパージ方法は、投影露光装置のみでなく、投影露光装置に搭載する投影光学系の検査に使用する検査光学装置に対しても適用することができる。この検査光学装置についての実施形態が、次に説明する第2の実施形態である。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について図10に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し、若しくは省略するものとする。
本第2の実施形態は、投影光学系PLの検査を行う検査光学装置に固有の、検査光学系が配置される空間を、本発明のガスパージ方法によってガスパージする場合についてのものである。
図10には、検査光学装置を構成する検査部200が投影光学系PL及びウエハガスパージスカート103とともに断面図にて示されている。なお、不図示ではあるが検査光学装置のうちのレチクル側(投影光学系PLの上方)のガスパージ方法については、前述したステッパの場合と同様であり、また、投影光学系PLの下側に設けられているウエハガスパージスカート103は、上記第1の実施形態と同一であるので、その説明は省略するものとする。
検査光学装置を構成する検査部200は、図10に示されるように、一方の端部(下端)が閉じられ、他方の面(上面)が開口した円筒状(底のある円筒状)の光学系支持筐体OBと、該光学系支持筐体OB内にZ軸方向に沿って順次配設されたレンズ161,162,163を含んで構成される光学系としての検査光学系160と、該検査光学系160の下方に配置された光検出器としての撮像素子164と、前記光学系支持筐体OBをX軸方向に駆動するX軸リニアモータMXと、光学系支持筐体OBをY軸方向に駆動するY軸リニアモータMYと、光学系支持筐体OBの上端面に固定された平板150と、を備えている。
前記検査光学系160のうちのレンズ161は、レンズホルダ210を介して光学系支持筐体OB内の上端部近傍にて保持されており、該レンズ161とレンズホルダ210により、光学系支持筐体OB内のレンズ161よりも下側の空間は、気密状態とされている。以下においては、この空間を「空間OC」と呼ぶものとする。
この検査光学装置を用いた投影光学系PLの収差計測に際しても、上記第1の実施形態と同様に、真空紫外光を使用することから、その真空紫外光の光路となる光学系支持筐体OB内部(空間OC内部)は、窒素や希ガス等の低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、光学系支持筐体OBには、外側から内側にかけて給気用開口としての貫通孔255が形成され、該貫通孔255の外側には、コネクタ152を介して給気管151が接続されている。また、貫通孔255の内側には、給気ノズル153が設けられている。空間OC内には、これら給気管151等を介して、ガス供給装置から低吸収性ガスが供給されるようになっている。
また、光学系支持筐体OBには、上記貫通孔255とは別の排気用開口としての貫通孔256が形成され、該貫通孔255の外側には、コネクタ155を介して排気管156が接続されている。空間OC内のガスは、これら排気管156等を介して光学系支持筐体OB外部へ排気される。このようにして、空間OC内のガスは低吸収性ガスにて置換される。
前記X軸リニアモータMXは、光学系支持筐体OBと接続された可動子212とX軸方向を長手方向とする固定子214とを含んで構成されている。可動子212は固定子214に沿ってX軸方向に駆動され、これにより光学系支持筐体OBがX軸方向にスライド駆動される。また、Y軸リニアモータMYは、X軸リニアモータMXの固定子214の下側に固定された可動子216とY軸方向を長手方向とする固定子218とを含んで構成されている。可動子216は固定子218に沿ってY軸方向に駆動され、これにより光学系支持筐体OBが前記X軸リニアモータMYとともにY軸方向にスライド駆動される。
このように、検査光学系160及び撮像素子164を内部に備える光学系支持筐体OBが2次元面内を移動可能とされている。
前記平板150は、例えば平面視(上方から見て)矩形の形状を有し、その中央部に円形開口150aが形成されている。なお、この平板150については後に詳述する。
このように構成される検査部200では、投影光学系PLによって形成される像等を、検査光学系160を構成するレンズ161〜163を介してCCD等から成る撮像素子164上に拡大投影し、例えば投影光学系PLの光学特性(収差など)を計測する。この場合、上記のように、リニアモータMX,MYにより光学系支持筐体OBが2次元移動可能とされているので、投影光学系PLの視野内の各計測点からの像光束すべてを受光可能であり、視野内の各計測点における収差等を計測することが可能となっている。
平板150は、上記のように投影光学系の視野内の各計測点からの像光束を受光する際に、リニアモータMY,MXにより光学系支持筐体OBが2次元面内で移動しても、ウエハガスパージスカート36の下端面が平板150からはみ出さない程度の大きさを有している。すなわち、平板150を設けることにより、投影光学系PLとウエハガスパージスカート36と検査部200との間に、上記実施形態と同様に、概ね気密化された空間POが形成され、この空間POは、検査部200が検査のために2次元方向に移動しても気密状態が常時維持されるようになっている。
以上説明したように、本第2の実施形態によると、投影光学系PLから検査部200の撮像素子164までの光路がすべて低吸収性ガスで置換されるので、高精度な投影光学系PLの検査が可能となる。
なお、光学系支持筐体OB中に設ける撮像素子164としてCCDを用いる場合には、一般的にはセラミックパッケージに装填され、その前面にはカバーガラスが設置されている。しかしながら、真空紫外光用に適したカバーガラスは透過率の点から良いものがなく、また仮にホタル石やフッ素添加の石英をカバーガラスに添付した場合には、カバーガラスとCCDの受光面との間の空間のガス置換が、困難になるという問題がある。この点を改善したのが次に示す第3の実施形態である。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について図11A,図11Bに基づいて説明する。ここで、前述した第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し、若しくは省略するものとする。
本第3の実施形態では、上記第2の実施形態の光学系支持筐体の構成、及び光検出器としての撮像素子(CCD)164の配置方法及びCCD上方に光透過窓部材287を設けた点に特徴を有している。
本実施形態においては、上記第2の実施形態の光学系支持筐体OBに代えて、図11Aに示されるように、第1部分筐体OBaと、第2部分筐体OBbとから構成される光学系支持筐体OB’が用いられている。これら第1部分筐体OBa、第2部分筐体OBbの境界部分には、溝部231が形成され、該溝部231にてホタル石またはフッ素ドープ石英等から成る光透過窓部材287が部分筐体OBa,OBbにより上下両側から挟持されている。この場合、光透過窓部材287は、第1部分筐体OBaと第2部分筐体OBbの双方の端面からわずかに突出した各3点の突起部290により点接触にて保持されている。
このように光透過窓部材287を上下各3点で点接触にて保持(挟持)したのは、光透過窓部材287を上下の空間が完全に気密になるように強固に固定すると、光透過窓部材287に多少なりとも応力変形が生じてしまうからであり、光透過窓部材287にて仕切られる上下の空間に同種の低吸収性ガスが供給される場合には、このように各3点にて挟持するのが望ましい。
なお、第2部分筐体OBbの上方には、第2実施形態と同様に検査光学系160が設けられている。
第1部分筐体OBaの下端面には、Oリング381を介して保持部材としてのセラミックパッケージ270がCCD164を搭載した状態で気密に接合され、断面概略S字状の止め金279及びねじ280を介して第1部分筐体OBaの下端面に固定されている。この場合、セラミックパッケージ270は、図11Bに示されるように、上面中央に凹部270bが形成された箱状部材から成り、その上端面270aは平坦度が高く設定されている。
なお、通常のセラミックパッケージではその前面(上面)にカバーガラスが設けられるが、本実施形態では、カバーガラスを設けないこととしている。
セラミックパッケージ270のCCD164の下側部分には図11Aに示されるように、CCD164の電荷転送制御回路等の電気回路からの電気配線271を引き出すための配線用孔165が形成されている。このようにして配線用孔165を形成することで、該配線用孔165から電気配線271を引き出し、外部で不図示の接続配線と接続を行なうことで、CCD164上面側のガスが配線用孔165を介して外部に漏れ出すことなく、CCD164に対する配線を行うことが可能となる。
ところで、セラミックパッケージ270の下面側には、図11Aに示されるように、ペルチェ素子272及び放熱装置274が設けられている。
前記ペルチェ素子272は、該ペルチェ素子272に接続された電流配線を介して所定の電流が供給されることにより、セラミックパッケージ270を冷却する機能を有している。
前記放熱装置274は、前記ペルチェ素子272のセラミックパッケージ270とは反対の面側に設けられている。この放熱装置274は、例えば内部に液体配管275が設けられ、該液体配管275に対し、不図示の液体供給装置から冷却液体を流すことによりペルチェ素子272の冷却を行う。なお、放熱装置274としては、その他の装置(例えば冷却ファンなど)を採用することとしても良い。
このようにペルチェ素子272及び放熱装置274を設けた理由は、(1)ペルチェ素子272については、CCD164が微弱光を検知する際には、S/N比(信号/ノイズ比)を改善する必要から、CCD164を冷却することが望ましいからであり、(2)放熱装置274については、ペルチェ素子272のCCDと反対側(図11Aにおける下側の面)は上記CCD164の冷却の際に高温になるので、ペルチェ素子272の下面側を、周囲温度(例えば23℃)よりも温度が大きく上昇しないように冷却する必要があるからである。
ここで、ペルチェ素子272を用いてCCD164を冷却すると、ペルチェ素子272によって冷却されたCCD164近傍のガスが、対流等によってCCD164の上方に配置されたレンズやその近傍の気体を冷却し光学性能を不安定にし兼ねない。そこで、上述のように光透過窓部材287を設けることとしたのである。
この場合において、光透過窓部材287とCCD164の間の空間も、真空紫外光が吸収されることなく良好に透過するように、低吸収性ガスにて置換する必要がある。このため、本実施形態では、これまでと同様に、給気管281の一端が第1部分筐体OBaの外側から内側にかけて形成された給気用開口としての貫通孔257にコネクタ283を介して接続され、貫通孔257の給気管281とは反対側には、給気ノズル285が設けられている。これら給気管281等を介して不図示のガス供給装置から低吸収性ガスが光透過窓部材287、第1部分筐体OBa及びセラミックパッケージ270により形成された気密化された空間GC内に供給される。一方、前記貫通孔257とは別に、第1部分筐体OBaの外側から内側にかけて形成された排気用開口としての貫通孔258に、コネクタ284を介して排気管282が接続されている。これら貫通孔258、排気管282等を介して空間GC内のガスが外部に排気される。これにより、空間GC内のガスが低吸収性ガスにて置換される。
なお、CCD164を、より低温に冷却する必要がある場合には、冷却されたCCD164周辺のガスが、上方に位置する光学系に伝わらないように光透過窓部材287と同様の光透過窓部材を多数段設けることが好ましい。
以上詳細に説明したように、本第3の実施形態によると、一方の面が開口し内部にCCD164をその受光面を開口に向けて収容したセラミックパッケージ270の開口の周囲の端面270aを、第1部分筐体OBaに対してシール部材(Oリング)381を介して結合し、CCD164の受光面を含む空間GCを外気から遮蔽する。このため、第1部分筐体OBaとセラミックパッケージ270とで形成される空間GCが、気密性の良い空間となる。そして、空間GC内に受光素子に入射する光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガス(低吸収性ガス)が、第1部分筐体OBaに接続された給気管281を介して供給され、空間GC内のガスが第1部分筐体OBaに接続された排気管を介して外部に排気される。これにより、空間GCが、低吸収性ガスにて精度良く置換されるので、CCD164の受光面にて受光されるまでの間に、光が吸収されることがほとんどなくなる。従って、CCD164の光量検出を精度良く行うことが可能となり、この光量検出の結果に基づいて、例えば投影光学系PLの光学特性の計測などを行う場合には、その計測精度を向上させることが可能となる。
なお、上記第3の実施形態では、空間GC内のガス置換のための給気管281及び排気管282を第1部分筐体OBaに接続することとしたが、これに限らず、セラミックパッケージ270に開口を形成し、該開口に対して給気管281,排気管282を接続することとしても良い。
なお、上記第3の実施形態では、光透過窓部材287を設ける必要から、光学系支持筐体として、第1部分筐体OBa、第2部分筐体OBbの2つの部分筐体から成る光学系支持筐体OB’を用いることとしたが、これに限らず、光透過窓部材287を設けなくても良い場合には、第2部分筐体OBbのみを用い、セラミックパッケージ270は、第2部分筐体OBbに直接固設することとしても良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、F2レーザ光源、ArFエキシマレーザ光源、KrFエキシマレーザ光源などに限らず、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
なお、複数のレンズから構成される照明ユニット、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるウエハステージ(スキャン型の場合はレチクルステージも)を露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、レチクル室、ウエハ室を構成する各隔壁を組み付け、ガスの配管系を接続し、の制御系に対する各部の接続を行い、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置100等の本発明に係る露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図12には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図12に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立てステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図13には、半導体デバイスにおける、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図13において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ316)において上記第1の実施形態の露光装置が用いられるので、露光光透過率を長期に渡り良好に維持して精度良くレチクルのパターンをウエハ上に転写することができる。この結果、高集積度のデバイスの生産性を向上させることが可能になる。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明のガスパージ方法は、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間のガス置換に適している。また、本発明の露光装置は、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、高集積度のデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の装置のガス配管を模式的に示す図である。
図3Aは、レチクルステージRST近傍を示す斜視図、図3Bは、レチクルステージRSTを示す概略断面図である。
図4は、レチクルステージRSTを示す平面図である。
図5Aは、照明系側ガスパージスカートの下端面とレチクルステージとが近接配置された部分を示す断面図、図5Bは、照明系側ガスパージスカートのレチクルステージに近接した面の一部を拡大して示す図である。
図6Aは、投影系側ガスパージスカートの上端面とレチクルステージとが近接配置された部分を示す断面図、図6Bは、投影系側ガスパージスカートと投影光学系とが近接配置された部分を示す断面図である。
図7Aは、ウエハガスパージスカートの近傍を示す断面図、図7Bは、ウエハガスパージスカートを上側(+Z側)から見た平面図である。
図8は、照明ユニットと照明系側ガスパージスカートの間にクリアランスが形成されるように照明系側ガスパージスカートを設けた場合の差動排気機構の構成を説明するための図である。
図9は、変形例に係るガスパージ方法を説明するための図である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検査光学装置の一部を成す検査部を、投影光学系及び遮蔽機構とともに示す断面図である。
図11Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学系支持筐体の下端部近傍を示す断面図であり、図11Bは、CCDが搭載されたセラミックパッケージを示す斜視図である。
図12は、本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
図13は、図12のステップ304の詳細を示すフローチャートである。
本発明はガスパージ方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間をガスパージするガスパージ方法及び該ガスパージ方法の実施に好適な露光装置、並びに該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来より、半導体素子(集積回路)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、電子デバイスの微細パターンを基板上に形成する種々の露光装置が用いられている。近年では、特に生産性の面から、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して形成したフォトマスク(マスク)又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)のパターンを、投影光学系を介してウエハ等の被露光基板(以下、「ウエハ」と呼ぶ)上に縮小転写する縮小投影露光装置が、主として用いられている。
この種の投影露光装置では、集積回路の微細化に対応して高解像度を実現するため、その露光波長をより短波長側にシフトしてきた。現在、その波長はKrFエキシマレーザの248nmが主流となっているが、より短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化段階に入りつつある。そして、最近では、更に短波長の波長157nmのF2レーザや、波長126nmのAr2レーザ等の、いわゆる真空紫外域と呼ばれる波長帯の光を発する光源を使用する投影露光装置の提案も行なわれている。
かかる波長180nm以下の真空紫外光は、大気中の酸素や水蒸気によって激しい吸収を受ける。このため、真空紫外光を露光光として使用する露光装置では、露光光の光路上の空間から酸素や水蒸気などの吸光物質を排除するため、その空間内の気体を、露光光を殆ど吸収しない、窒素やヘリウムなどの希ガスでガス置換(ガスパージ)する必要がある。例えば、発振波長157nmのF2レーザを光源とする露光装置では、レーザからウエハに至るまでの光路の大部分で、残存酸素濃度を1ppm以下に抑える必要があると言われている。
また、高解像度化は、露光波長の短波長化のみならず、光学系の大開口数(N.A.)化によっても実現可能であることから、最近では光学系のより一層の大N.A.化の開発もなされている。しかるに、高解像度の実現のためには、投影光学系の大N.A.化に加えて投影光学系の収差の低減が必要である。このため、投影光学系の製造工程では、光の干渉を利用した波面収差計測を行ない、残存収差量を露光波長の1/1000程度の精度で計測し、その計測値に基づいて投影光学系の調整を行っている。
このような大N.A.化や低収差化は、視野が小さい光学系ほど実現が容易である。但し、露光装置としては、視野(露光フィールド)が大きいほど、処理能力(スループット)が向上する。そこで、小視野ではあるが大N.A.の投影光学系を用いて、かつ実質的に大きな露光フィールドを得るために、露光中に、レチクルとウエハをその結像関係を維持したまま相対走査する例えば走査型投影露光装置、例えばステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(すなわちいわゆるスキャニング・ステッパなど)が最近の主流となっている。
ところで、上述の真空紫外光を光源とする露光装置においては、レチクル近傍の空間の残存酸素及び水蒸気濃度も、1ppm程度以下に抑える必要がある。これを実現する方法として、レチクルを保持するレチクルステージ全体を大きな気密型の遮蔽容器(レチクルステージチャンバ)で覆い、その内部(レチクルステージ,レチクルを含む)全体をガスパージする方法も考えられる。しかしながら、このような遮蔽容器を採用すると、露光装置が大型化及び重量化し、半導体工場のクリーンルーム内における、露光装置1台あたりの設置面積(フットプリント)がより大きくなり、設備コスト(あるいはランニング・コスト)の増大により結果的に半導体素子の生産性が低下してしまう。また、レチクル近傍へのアクセスが困難となり、レチクルステージなどのメンテナンス時の作業性が低下してメンテナンスに要する時間が増大し、この点においても半導体素子の生産性が低下してしまう。
特に走査型投影露光装置は、露光中にレチクルを高速に走査する必要から大型のレチクルステージを備えており、この大型のレチクルステージ全体を覆う遮蔽容器(レチクルステージチャンバ)は一層大型化してしまう。
なお、レチクル近傍の空間のガスパージは、投影露光装置のみの問題ではなく、投影露光装置に搭載する投影光学系の収差を計測するための検査光学装置などでも問題となる。
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間の効率的なガス置換を大型で重い気密型の遮蔽容器を用いることなく実現するガスパージ方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上することが可能な露光装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができるデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間をガスパージするガスパージ方法であって、少なくとも前記物体及び該物体を保持する保持部材のいずれかである特定物体との間に所定の第1クリアランスが形成される状態で、前記光学装置と前記物体との間の空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を配置する工程と;前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを、前記遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記遮蔽部材内部の空間に供給する工程と;を含む第1のガスパージ方法である。
ここで、吸収性ガスとは、前記所定波長の光(光学装置で用いる光)に対する吸収特性が大きいガスの総称であり、例えば、光が波長120nm〜180nmの真空紫外光である場合、その真空紫外光を激しく吸収する酸素、水蒸気、炭化水素などの吸光物質を含むガスが該当する。本明細書では、かかる意味で「吸収性ガス」なる用語を用いるものとする。なお、一般的な空気(大気)も酸素と水蒸気を大量に含むので、吸収性ガスとして扱うこととする。従って、吸収性ガスは、上記の光の波長(所定波長)に応じて異なることになる。
これによれば、遮蔽部材は、少なくとも前記物体及び該物体を保持する保持部材のいずれかである特定物体との間に所定の第1クリアランスが形成される状態で配置されるので、その第1クリアランスを適宜な寸法に設定することにより、所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の遮蔽部材内部の空間をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その遮蔽部材内部の空間に遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」とも記述する)が供給される。これにより、物体と光学装置との間の光路上の空間、すなわち遮蔽部材内部の空間の気体を低吸収性ガスに置換することが可能となる。これにより、空間内から前記吸収性ガスを追放(パージ)することができる。従って、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間の高精度なガス置換を大型で重い気密型の遮蔽容器を用いることなく実現することが可能となる。換言すれば、本発明によれば、光学装置と物体との間の空間を覆うことができる小型の遮蔽部材を用いるだけで、大型で重い気密型の遮蔽容器を用いた場合とほぼ同程度の高精度なガス置換が可能となる。
この場合において、前記遮蔽部材内部の空間内のガスを前記遮蔽部材に形成された排気用開口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第1のガスパージ方法では、前記第1クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第1のガスパージ方法では、前記遮蔽部材は、前記光学装置に対する振動の伝達を低減することとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材は、前記光学装置との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されていることとすることができる。
この場合において、前記第2クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記遮蔽部材の前記光学装置に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むこととすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、所定波長の光が照射される光学系を有する光学装置に用いられる光検出器の受光面を含む空間をガスパージするガスパージ方法であって、一方の面が開口し内部に前記光検出器をその受光面を前記開口に向けて収容した保持部材の前記開口の周囲の端面を、前記光学装置の構成部品の一部に、シール部材を介して結合し、前記光検出器の受光面を含む空間を外気から遮蔽する工程と;前記光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガスを、前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された給気用開口を介して前記空間に供給し、該空間内のガスを前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された排気用開口を介して外部に排気する工程と;を含む第2のガスパージ方法である。
これによれば、一方の面が開口し内部に光検出器をその受光面を前記開口に向けて収容した保持部材の前記開口の周囲の端面を、前記光学装置の構成部品の一部に、シール部材を介して結合し、前記光検出器の受光面を含む空間を外気から遮蔽する。このため、光学装置の構成部品と保持部材とで形成される光検出器の受光面を含む空間が、気密性の良い空間となる。そして、光学装置に照射され、該光学装置の光学系を介して受光素子に入射する光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガス(低吸収性ガス)を、前記構成部品及び保持部材のいずれかに形成された給気用開口を介して前記空間に供給し、該空間内のガスを前記構成部品及び保持部材のいずれかに形成された排気用開口を介して外部に排気する。これにより、光学装置から光検出器の受光面までの間の空間内部の気体が、特定ガスで置換され、光学装置を介して前記空間内に入射する所定波長の光が、光検出器の受光面にて受光されるまでの間に、空間内部で吸収されることは殆どなくなる。従って、光検出器の光量検出を精度良く行うことが可能となり、この光量検出の結果に基づいて、例えば光学装置の光学特性の計測などを行う場合には、その計測精度を向上させることが可能となる。
この場合において、前記保持部材の前記光検出器が載置される部分に予め貫通孔を形成する工程と;前記光検出器の裏面側から前記貫通孔を介して前記光検出器からの電気配線を外部に取り出す工程と;を更に含むこととすることができる。
本発明の第2のガスパージ方法では、前記保持部材を冷却する工程を更に含むこととすることができる。
この場合において、前記保持部材の冷却は、前記保持部材の前記光検出器とは反対側の面にペルチェ素子を接続して行うこととすることができる。
この場合において、前記ペルチェ素子の前記保持部材とは反対側を冷却する工程を更に含むこととすることができる。
本発明の第2のガスパージ方法では、前記光学装置の前記保持部材が結合される前記構成部品の前記保持部材とは反対側に光透過性部材を配置して、前記光検出器の受光面を含む空間を複数の空間に仕切る工程を更に含むこととすることができる。
本発明は、第3の観点からすると、マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、所定波長の光により前記マスクを照明する照明光学系と;前記マスク及び該マスクを保持するマスク保持部材のいずれかである特定物体と前記照明光学系との間に配置され、少なくとも前記特定物体との間に所定の第1クリアランスを形成した状態で、前記マスクの前記照明光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域に対応する領域を含む第1空間を外気から遮蔽する第1遮蔽部材と;前記第1遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを前記第1空間に供給する第1ガス供給系と;を備える第1の露光装置である。
これによれば、マスク及びマスク保持部材のいずれかである特定物体と照明光学系との間に少なくとも特定物体との間に所定の第1クリアランスを形成した状態で配置された第1遮蔽部材により、マスクの照明光学系側の少なくともマスクのパターン領域に対応する領域を含む第1空間が外気から遮蔽される。そして、第1ガス供給系により、第1遮蔽部材に形成された給気用開口を介して所定波長の光(露光光)に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガス(低吸収性ガス)が前記第1空間に供給される。これにより、第1空間内の気体が特定ガスに置換される。従って、第1空間内から露光光を吸収する吸収性ガスを排除することができ、照明光学系から照射される光が、第1空間内で殆ど吸収されることなくマスクを照明するので、露光光の透過率の低下を抑制し、高精度な露光を実現することが可能となる。この場合、照明光学系とマスク又はマスク保持部材との間の第1空間を覆うことができる小型の第1遮蔽部材を用いるだけで、上記の第1空間を大型で重い気密型の遮蔽容器(マスクステージチャンバ)を用いた場合とほぼ同程度の効率の良いガス置換が可能となる。従って、装置の大型化、重量化を抑制することが可能となる。
この場合において、前記マスクから射出される光を前記基板上に投射する投影光学系と;前記特定物体と前記投影光学系との間に配置され、前記投影光学系に対する振動の伝達を低減した状態で、前記マスクの前記投影光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域を含む第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材は、少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第1空間内のガスを外部に排気する第1ガス排気系と;前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気する第2ガス排気系と;を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1及び第2クリアランスの少なくとも一方は、約3mm以下であることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1及び第2クリアランスの少なくとも一方が、約3mm以下である場合、前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記特定物体に向けて供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材及び少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材を備える場合、前記第1遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第1クリアランスを前記第1遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;前記第2遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;の少なくとも一方を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記第2遮蔽部材と前記投影光学系との間には、所定の第3クリアランスが形成されていることとすることができる。
この場合において、前記第3クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて第2遮蔽部材を備え、該第2遮蔽部材と投影光学系との間に第3クリアランスが形成されている場合、前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面及び前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面はともに平面であり、これらの端面にそれぞれ対向する前記特定物体の面はともに平面であることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記基板を保持する基板保持部材と;前記マスク保持部材を所定の走査方向に駆動する駆動源を含み、前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備え、前記駆動源の少なくとも一部が、前記第1空間及び前記第2空間の外部に配置されることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、マスク保持部材と基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置を備える場合、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置される第2遮蔽部材をも備える場合、前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第3クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第3空間を外気から遮蔽する第3遮蔽部材と;前記第3遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第3空間に供給する第3ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第3遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第3空間のガスを外部に排気するガス排気系を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第1、第2及び第3遮蔽部材を備える場合、前記第3遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第4クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第3遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第4クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記排気機構は、前記第3空間内のガスを前記第4クリアランスを介して外部に排気することとすることができる。
この場合において、前記第3ガス供給系は、前記第4クリアランスを介して前記特定ガスを前記第3空間に供給することとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前述した第1、第2及び第3遮蔽部材を備える場合、前記第3遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第3空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記第1遮蔽部材と前記照明光学系との間には、所定の第2クリアランスが形成されていることとすることができる。
この場合において、前記第2クリアランスは、約3mm以下であることとすることができる。
本発明では、第1遮蔽部材と照明光学系との間に、所定の第2クリアランスが形成されている場合、前記第1遮蔽部材の前記照明光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第2クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気するガス排気系を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、第2遮蔽部材が、前記基板との間に所定の第2クリアランスを形成した状態で配置され、第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して特定ガスを第2空間に供給する第2ガス供給系を備える場合、前記第2遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第3クリアランスを形成した状態で配置されることとすることができる。
この場合において、前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第3クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記排気機構は、前記第2空間内のガスを前記第3クリアランスを介して外部に排気することとすることができる。
この場合において、前記第2ガス供給系は、前記第3クリアランスを介して前記特定ガスを前記第2空間に供給することとすることができる。
本発明の露光装置では、第1遮蔽部材に加えて基板の投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材をも備える場合、前記第2遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板の前記投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材を備える場合、前記第2遮蔽部材の前記基板側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構を更に備えることとすることができる。
本発明の第1の露光装置では、前記基板を保持する基板保持部材と;前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることとすることができる。
この場合において、前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、さらに、前記光により前記マスクが照明される照明領域の前記走査方向の長さに基づいて決定されることとすることができる。
本発明は、第4の観点からすると、露光光で照明されたマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上に転写する露光装置であって、前記基板と前記投影光学系との間に、前記基板と前記投影光学系とに接触することなく配置され、前記基板と前記投影光学系との間における前記露光光の光路を含む空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を備える第2の露光装置である。
これによれば、遮蔽部材として、基板と投影光学系との間における露光光の光路を含む所定の空間を覆うことができる程度の小型の遮蔽部材を用いることができ、その空間内の気体を例えば低吸収性ガスで置換する場合には、前記空間を大型で重い気密型の遮蔽容器(基板ステージチャンバ)を用いた場合とほぼ同程度の効率の良いガス置換が可能となる。これにより、基板と投影光学系との間における露光光の光路を含む空間から露光光を吸収する吸収性ガスを排除することができ、投影光学系から射出された光がその空間内で殆ど吸収されることなく基板に照射されるので、露光光の透過率の低下を抑制することができる。また、基板側の振動が遮蔽部材を介して投影光学系に伝達されるのが防止されている。従って、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上することが可能となる。
この場合において、前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内のガスを吸引排気することによって、前記遮蔽部材で遮蔽された空間を前記外気から遮蔽することとすることができる。
この場合において、前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内に、前記露光光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを供給することとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、本発明の露光装置を用いて露光を行うことにより、基板上にパターンを精度良く形成することができ、これにより、より高集積度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造することができる。従って、本発明は更に別の観点からすると、本発明の露光装置を用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図7Bに基づいて説明する。
図1には、本第1の実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、エネルギビームとしての露光用照明光ELをマスクとしてのレチクルRに照射して、該レチクルRと基板としてのウエハWとを所定の走査方向(ここでは、図1における紙面直交方向であるY軸方向とする)に同期移動してレチクルRのパターンを投影光学系PLを介してウエハW上複数のショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置100は、不図示の光源及び光学装置(照明光学系)としての照明ユニットILUを含み、露光用照明光(以下、「露光光」と呼ぶ)ELによりレチクルRを照明する照明系、レチクルRを保持するマスク保持部材としてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持する基板保持部材としてのウエハステージWST、及びこれらの制御系、並びに構成各部を支持する支持架台BD等を備えている。
前記支持架台BDは、クリーンルームの床面F上に複数(例えば3個又は4個)の第1の防振ユニット43を介して設けられた複数本(例えば3本又は4本)の脚部34Aと該脚部34Aによりほぼ水平に支持された鏡筒定盤(メインフレームとも呼ばれる)34Bとを有する第1架台34と、該第1架台34の天板を構成する鏡筒定盤34B上面に設けられZ軸方向(上下方向)に延びる複数の支持部材21と該複数の支持部材21によりその上面がほぼ水平となるように支持されたレチクルステージ定盤27とを有する第2架台32とを備えている。第1架台34の鏡筒定盤34Bの下方には、複数の第2の防振ユニット41を介して上面の平坦度が高く設定された平板状のウエハステージベースBSが床面Fの上方に配設されている。
前記光源としては、ここでは、波長約120nm〜約180nmの真空紫外域に属する光を発する光源、例えば出力波長157nmのフッ素レーザ(F2レーザ)が用いられている。光源は、ビームマッチングユニットと呼ばれる光軸調整用の光学系を一部に含む不図示の送光光学系を介して照明ユニットILUを構成する照明系ハウジング2の一端に接続されている。照明系ハウジング2は、実際には、図1の紙面奥側に所定距離伸び、そこから下方に伸びる全体としてほぼL字状の形状を有している。
前記光源は、実際には、照明ユニットILU及び投影光学系PL等を含む露光装置本体が設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置されている。なお、光源として、出力波長146nmのクリプトンダイマーレーザ(Kr2レーザ)、出力波長126nmのアルゴンダイマーレーザ(Ar2レーザ)などの他の真空紫外光源を用いても良く、あるいは、出力波長193nmのArFエキシマレーザ、出力波長248nmのKrFエキシマレーザ等を用いても良い。
前記照明ユニットILUは、内部を外部から隔離する照明系ハウジング2と、その内部に所定の位置関係で配置されたオプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及び光路折り曲げ用のミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。なお、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子などが用いられる。本実施形態の照明ユニットは、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号などに開示されるものと同様の構成となっている。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
照明ユニットILUでは、回路パターン等が形成されたレチクルR上のスリット状の照明領域(前記レチクルブラインドで規定されるX軸方向に細長く伸びるスリット状の領域)を露光光ELによりほぼ均一な照度で照明する。
なお、照明系ハウジング2内のレチクルR側端部近傍には、図1に示されるように、平板状の光透過窓部材20が配設されている。この光透過窓部材20は、照明ユニットILUからの露光光ELを透過するとともに、照明系ハウジング2内を気密状態に維持する機能を有している。なお、光透過窓部材20としては平板状のものに限らず、照明ユニットILUを構成するいずれかのレンズを照明系ハウジング2に気密に固定することで、そのレンズを上記光透部材20の代わりにしても良い。
なお、上記照明ユニットILUを構成する光学部材のうち、レンズや照度均一化光学系、光透過窓部材20といった露光光ELを透過する部材の材料としては、真空紫外光に対する透過率の高い例えばホタル石を使用することが望ましい。但し、部分的には、水酸基を10ppm以下程度に排除し、フッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ石英(いわゆるモディファイド石英)を用いることもできる。また、フッ素ドープ石英に限られず、通常の石英や単に水酸基の少ない石英、さらに水素を添加した石英を使用することも可能である。また、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムなどのフッ化物結晶を使用しても良い。
なお、前記送光光学系や照明ユニットILU内のメンテナンス時に外部から浸入する大気が、メンテナンス対象の空間以外に広がらないようにするために、送光光学系と照明ユニットILUの境界部分に、仕切り窓を設けることとしても良い。また、このような仕切り窓を、送光光学系や照明ユニットILU内に設置される任意の光学部材で代用し、送光光学系と照明ユニットILU内を複数の気密空間に分離することとしても良い。
前記レチクルステージRSTは、平面視(上方から見て)矩形の形状を有し、第2架台32を構成するレチクルステージ定盤27上方に、不図示の気体静圧軸受けを介して浮上支持されている。レチクルステージRSTの中央部には、図1のレチクルR近傍の拡大断面図である図3Bから分かるように、平面視(上方から見て)矩形の段付き開口53が形成されており、該段付き開口53の内縁部近傍の複数箇所には一段高い真空吸着部53aが設けられている。これらの複数の真空吸着部53aのそれぞれに設けられた不図示の真空吸着機構(バキュームチャック)によってレチクルRが吸着保持されている。このレチクルRのパターン面(下面)には、矩形枠状のペリクルフレーム57及び該ペリクルフレーム57の下面に貼り付けられたペリクル56が設けられている。ペリクル56によりパターン面に対する塵等の付着が防止されるようになっている。
レチクルステージRSTのX軸方向両端部には、図1に示されるように、駆動装置としてのY軸リニアモータ24A,24Bそれぞれの可動子25a,25bが設けられている。Y軸リニアモータ24A,24Bの固定子26a,26bは、Y軸方向に所定長さで延設されている。これらの固定子26a,26bは、前記支持架台BDとは別に床面Fに固定され、上下方向を長手方向として配置されたモータ支持部材31a,31bによってそれぞれ支持されている。この場合、可動子25a,25bは、固定子26a,26bとの間にそれぞれ生じる電磁力により、Y軸方向に駆動され、これによりレチクルステージRSTが、レチクルステージ定盤27上をY軸方向に所定ストロークで駆動される。なお、レチクルステージRSTは、Y軸リニアモータ24A,24Bの発生推力をわずかに異ならせることにより、XY面内で微小駆動(回転を含む)可能に構成されている。
なお、上記では、Y軸リニアモータ24A,24Bの固定子26a,26bはモータ支持部材31a,31bを介して床面F上方にて支持され、固定子に生じた振動をモータ支持部材31a,31bを介して床面側に逃がす構成について説明した。しかし、これに限らず、例えば、固定子26a,26b、及びレチクルステージ定盤27をそれぞれの支持部材に対して気体静圧軸受けなどを介して浮上支持することとしても良い。このようにすると、レチクルステージRSTの駆動の際の反力に応じて固定子26a,26bが駆動され、レチクルステージRST、固定子を含む系の運動量が保存され、上記反力に起因する固定子の振動が防止される。また、この場合、重心の移動も生じないので、いわゆる偏荷重の発生も防止される。
また、固定子がレチクルステージ定盤27上に接続されている場合には、レチクルステージ定盤27を前述と同様に支持部材に対して相対移動可能な構成とすることにより、同様にしてレチクルステージ定盤27の振動を効果的に抑制することができる。これにより、レチクルステージRSTのY軸方向への駆動に伴う反力が投影光学系PLに与える影響を軽減することができる。
前記レチクルステージRSTには、図3Aに示されるように、その上面の−Y側端部には、X軸方向に延びる平面ミラーから成るレチクルY移動鏡37Yが固定され、該移動鏡37Yに対して、レチクルステージ定盤27上に設けられたレチクルY干渉計30からの測長ビームが垂直に照射されている。また、レチクルステージRSTの上面の−X側端部近傍に、Y軸方向に延びる平面ミラーから成るレチクルX移動鏡37Xが固定され、該移動鏡37Xに対して不図示のレチクルX干渉計からの測長ビームが垂直に照射されている。
これらのレチクルY干渉計30、レチクルX干渉計によってレチクルステージRSTのY軸方向の位置、X軸方向の位置が、例えば0.5〜1nm程度の分解能でそれぞれ常時検出されるようになっている。
なお、例えば、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(前述の移動鏡の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージRSTの走査方向(本実施形態ではY軸方向)の位置検出に用いられる移動鏡37Yの代わりに、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー(例えば、レトロリフレクタ)を用いても良い。ここで、レチクルY干渉計30とレチクルX干渉計の一方、例えばレチクルY干渉計30は、測長軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計30の計測値に基づきレチクルステージRSTのY位置に加え、θz方向の回転も計測できるようになっている。
上記のレチクルX干渉計,レチクルY干渉計30によって計測されるレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)、すなわちレチクルRの位置情報(又は速度情報)は不図示の制御装置に供給される。制御装置は、基本的にはそれらのレチクル干渉計から出力される位置情報(又は速度情報)が制御目標値と一致するようにY軸リニアモータ24A、24Bを制御している。
図1に戻り、照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間、すなわちレチクルステージRSTの上方には、第1遮蔽機構101が設けられ、レチクルステージRSTと投影光学系PLとの間、すなわちレチクルステージRSTの下方には第2遮蔽機構102が設けられている。これら遮蔽機構の構成等については後に詳述する。
前記投影光学系PLは、ホタル石、フッ化リチウム等のフッ化物結晶から成るレンズや反射鏡からなる光学系を、鏡筒19で密閉したものである。投影光学系PLとしては、ここでは、一例として両側テレセントリックで投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の屈折系が用いられているものとする。このため、前述の如く、照明ユニットILUからの露光光ELによりレチクルRが照明されると、その照明領域部分のレチクルR上のパターンが投影光学系PLによりウエハW上のショット領域の一部に縮小投影され、前記露光光ELで照明されたパターン部分の縮小像(部分像)が形成される。
前記投影光学系PLは、その光軸方向をZ軸方向として鏡筒定盤34Bの中央に形成された平面視(上方から見て)円形の開口内に挿入され、その高さ方向の中央やや下側に設けられたフランジFLGを介して鏡筒定盤34Bに固定されている。
なお、投影光学系PLとしては、屈折系に限らず、反射屈折系、反射系のいずれをも用いることができる。
前記ウエハステージWSTは、例えば磁気浮上型や加圧気体の静圧により浮上する気体浮上型のリニアモータ等から成る駆動装置としての不図示のウエハ駆動系によって前記ウエハステージベースBSの上面に沿ってかつ非接触でXY面内で自在に駆動されるようになっている。
ウエハステージWSTは、実際には、上記のXY面内で自在に駆動(θz回転を含む)されるXYステージ、このXYステージ上に搭載され、ウエハWを保持する基板テーブル等を備えている。基板テーブル上に不図示のウエハホルダが設けられ、該ウエハホルダによってウエハWが例えば真空吸着により保持されている。基板テーブルは、不図示の駆動系により、Z軸方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動される。このように、ウエハステージWSTは、実際には、複数のステージ、テーブルを含んで構成されるが、以下では、ウエハステージWSTは、ウエハ駆動系によってX、Y、Z、X軸回りの回転であるθx、Y軸回りの回転であるθy、及びθz方向の6自由度方向に駆動可能な単一のステージであるものとして説明する。
ウエハステージWSTの位置情報は、ウエハステージWST上面に設けられた移動鏡16を介してウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)20によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されるようになっている。
なお、実際には、移動鏡はX軸に直交する反射面を有するX移動鏡と、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡とが設けられ、これに対応してレーザ干渉計もX方向位置計測用のXレーザ干渉計とY方向位置計測用のYレーザ干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表して移動鏡16、ウエハ干渉計20として図示されている。なお、例えば、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡16の反射面に相当)を形成しても良い。また、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではレーザ干渉計26によって、ウエハステージWSTのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、多軸干渉計は45°傾いてウエハステージWSTに設置される反射面を介して、投影光学系PLが載置される架台(不図示)に設置される反射面にレーザビームを照射し、投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に関する相対位置情報を検出するようにしても良い。
上述したウエハ干渉計20からのウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は不図示の制御装置に送られ、制御装置ではウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)に基づいてウエハ駆動系を介してウエハステージWSTを駆動する。
ウエハステージWSTと投影光学系PLとの間には、第3遮蔽機構103が設けられている。この第3遮蔽機構103の構成等については後に詳述する。
制御系は、不図示の制御装置によって主に構成される。制御装置は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、上述した各種制御動作を行う他、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング等を制御する。
具体的には、制御装置は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VR=Vで走査されるのに同期して、ウエハステージWSTを介してウエハWが露光領域に対して−Y方向(又は+Y方向)に速度VW=β・V(βはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レチクル干渉計、ウエハ干渉計20の計測値に基づいてY軸リニアモータ24A,24B、ウエハ駆動系を介してレチクルステージRST、ウエハステージWSTの位置及び速度をそれぞれ制御する。
また、ステッピングの際には、制御装置では、レチクル干渉計及びウエハ干渉計20の計測値に基づいてウエハ駆動系を介してウエハステージWSTの位置を制御する。
ところで、真空紫外域の波長の光を露光光とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の、かかる波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガス(以下、適宜「吸収性ガス」と呼ぶ)を排除する必要がある。このため、本実施形態では、光源からウエハWに至る光路上の全ての空間内部の吸収性ガスを極力排除する工夫がなされている。これについては、後に詳述する。
次に、前述の第1〜第3遮蔽機構(101,102,103)について説明する。
前記第1遮蔽機構101は、図1及び図3Aに示されるように、レチクルRの上方に設けられたXY断面が矩形枠状の一方の面(図1における下面)が全面に渡って開口し、他方の面(図1における上面)の中央部が開口した全体として厚さの薄い直方体状の部材から成る遮蔽部材としての照明系側ガスパージスカート22を含んで構成されている。この照明系側ガスパージスカート22は、レチクルR及び該レチクルRを保持するレチクルステージRSTのいずれかである特定物体と照明ユニットILUとの間に配置され、少なくとも前記特定物体との間に所定のクリアランスを形成した状態で、レチクルRの照明ユニットILU側の少なくともレチクルRのパターン領域に対応する領域を含む空間を外気から遮蔽する。
照明系側ガスパージスカート22は、その上端面22aが照明ユニットILUの照明系ハウジング2のレチクル側端部(下端部)に固定され、その下端面22bは、レチクルステージRSTの上面(照明ユニットILU側の面)に、接触することなく近接して配置されている。すなわち、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTの上面との間には、所定のクリアランスが形成されている。この場合、照明系側ガスパージスカート22と照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間には、概ね気密状態の空間IMが形成されている。
この空間IMにおいて、高い気密性を確保するためには、前述のクリアランスは狭ければ狭いほど好ましい。但し、レチクルステージRSTには、走査に伴う上下振動が発生するおそれがあるので、上下振動が生じた場合にもレチクルステージRSTと照明系側ガスパージスカート22との接触を回避するためには、ある程度の間隔を設けることが必要となる。その間隔は、各機構の構成によっても異なるが、気密性の観点からは、上記クリアランスは、最大でも3mm以下であることが好ましい。
なお、照明系側ガスパージスカート22とレチクルステージRSTとの間に配置され、照明系側ガスパージスカート22の下端部に、例えば伸縮自在のベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、該駆動機構によりベローズを伸縮及びチルト駆動することにより、クリアランスを照明系側ガスパージスカート22の全周に渡ってほぼ均一になるように調整することも可能である。
図4には、レチクルステージRSTの平面図が示されている。この図4に示されるように、照明系側ガスパージスカート22は、Y軸方向に長い矩形枠状となっている。このように照明系側ガスパージスカート22をY軸方向を長く設定しているのは、以下の理由による。すなわち、本実施形態においては、レチクルR(レチクルステージRST)はY軸方向へ走査(スキャン)されるようになっているが、レチクルRの汚染の防止のためには、レチクルステージRSTがY軸方向に走査された場合であっても、レチクルRが収容された段付き開口53が常に照明系側ガスパージスカート22の内部に収まっている必要がある。一方、Y軸方向長さ(図4に示される長さSY)が十分でないと、走査に伴ってレチクルRと段付き開口53が、照明系側ガスパージスカート22からはみ出す可能性があり、はみ出した場合には、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルRとの間に大きな隙間ができ、空間IMの気密性が維持されなくなってしまう。しかし、空間IMは、光源からウエハWに至る光路上の空間であるから、後述するガスパージを効率良く行うためには、ある程度以上の気密性を確保する必要があるので、このような事態が生じないようにする必要がある。
上記の長さSYは、具体的には、レチクルRのパターン領域のY軸方向長さと、レチクルRを照明する照明領域のY軸方向の長さ(いわゆるスリット幅)と、走査に伴う助走距離(露光が行われる同期移動時の前後の加速域と減速域とでレチクルステージRSTが移動する助走距離、すなわちいわゆるプリスキャン距離とオーバースキャン距離との和)を加えた長さとの合計により決定され、具体的には、レチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、照明系側ガスパージスカート22内部のY軸方向長さSYは、250mm程度以上とする必要がある。
一方、照明系側ガスパージスカート22のX軸方向長さSXについては、レチクルステージRSTはX軸方向にはY軸方向ほど大きくは駆動されないので、レチクルR(又は段付き開口53)の大きさに多少のマージンを設けておけば良く、例えばレチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、長さSXは180mm程度以上に設定しておけば良い。
なお、空間IMの気密性確保のためには、レチクルステージRSTがY軸方向に走査しても、レチクルステージRSTを、照明系側ガスパージスカート22が覆い続ける程度の大きさが必要となる。このため、レチクルステージRSTのY軸方向の全長(図4に示される長さRY1)は、照明系側ガスパージスカート22の内側のY軸方向長さSYと、照明系側ガスパージスカート22の側壁の厚さの2倍と、レチクルステージRSTのY方向走査長を加算した長さの総和以上の長さである必要があり、具体的には、例えば、レチクルRが6インチ角(150mm角)サイズである場合には、レチクルステージRSTのY軸方向の全長RY1を600mm以上としておく必要がある。
また、レチクルステージRSTの走査による、レチクルステージRSTと照明系側ガスパージスカート22との接触を回避するためには、レチクルステージRSTの表面形状は少なくともY軸方向に関してフラットである必要がある。この条件を数式で表わすと、レチクルステージRSTの表面のZ位置のY方向位置に対する関数Z=f(Y)がYに関して一定である必要がある。
一方、レチクルステージRSTの表面形状は、X軸方向に関しては必ずしも平面である必要がなく、段差や湾曲があっても構わないが、その場合には、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bを、レチクルステージRSTの表面形状とほぼ同じ形状に加工する必要があり、加工性の観点からは非常に複雑となってしまう。従って、レチクルステージRSTのX軸方向の表面形状についても、平面であることが望ましい。
なお、この場合には、空間IM内に含まれる部材、例えばレチクルRやその他のレチクル周辺に配置される部材の全てが、レチクルステージRSTの上面よりも上側にはみ出さないような構造(図3B参照)を採用しておく必要がある。
前記第1遮蔽機構101は、上述の照明系側ガスパージスカート22の他に、空間IM内のガス置換を効率良く行うための配管系や差動排気機構なども有しているが、これらについては後に詳述する。
前記第2遮蔽機構102は、図1に示されるように、鏡筒定盤34B上に設けられた複数のバージスカート保持機構29を介して、レチクルステージRSTの下方にて保持された遮蔽部材としての投影系側ガスパージスカート28を備えている。投影系側ガスパージスカート28は、その上端面28aが、レチクルステージRSTの下面(投影光学系PL側の面)に接触することなく近接して配置され、その下端面28bは投影光学系PLの鏡筒19の上端面に、接触することなく近接して配置されている。すなわち、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRST下面との間、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bと投影光学系PLとの間には、それぞれクリアランスが形成されている。
この場合、投影系側ガスパージスカート28、レチクルステージRST、レチクルR、及び投影光学系PLにより、概ね気密状態の空間MPが形成されている。
ここで、上記クリアランスは、前述の照明ユニットILUとレチクルステージRSTとの間のクリアランスと同様に、狭ければ狭い程好ましいが、レチクルステージRSTの走査方向への移動に伴う上下振動が生じた場合にもレチクルステージRSTと投影系側ガスパージスカート28の接触を回避する必要があるので、その間隔をある程度開けることとしている。この場合のクリアランスとしては、上記と同様に3mm以下に設定することが好ましい。この場合にも、投影系側ガスパージスカート28の上端部などにベローズ及び該ベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aの全周に渡ってクリアランスを均一に設定することとしても良い。
投影系側ガスパージスカート28の上端部の形状、大きさ等は上記照明系側ガスパージスカート22の下端部と同様(すなわち内部がY軸方向長さSY、X軸方向長さSXである平面視矩形枠状)に設定されている。このような形状、大きさを採用した理由は、照明系側ガスパージスカート22の場合と同様であるので、その説明は省略するものとする。
なお、この場合、レチクルステージRSTの駆動に伴って、レチクルステージRST及びレチクルRが投影系側ガスパージスカート28に接触しないように、ペリクル56や、その他のレチクル周辺の構造物の全てがレチクルステージRSTよりも下側にはみ出さないような構成(図3B参照)を採用する必要がある。
一方、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bの形状は円形枠状とされている。これは投影光学系PLの鏡筒19が円筒形状を有し、その上端面の形状が円形枠状であるので、空間MPの気密性の観点からは、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bを、投影光学系PLの鏡筒19の上端面と同一形状とするのが好ましいからである。
なお、投影光学系PLは第1架台34に固定されているので、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとは、Oリング等のシール部材を介して気密的に接合(固定)することも可能である。但し、投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTの駆動等により振動し、その振動が投影光学系PLに伝達して、結像特性を劣化されるおそれがある場合には、本実施形態のように所定の間隔(クリアランス)を開けて、近接して配置したほうが好ましい。このクリアランスも、これまでと同様に、3mm以下に設定することが好ましい。
ところで、露光装置100においては、レチクルRを、適宜、他のレチクルと交換する必要があるので、空間IM、空間MPの気密性を維持したまま、レチクルRを交換することが可能なレチクルの交換機構を採用する必要がある。
これを実現するためには、例えば、照明系側ガスパージスカート22の側壁の一部に、開閉可能なレチクル搬送窓(不図示)を設け、このレチクル搬送窓を介して、不図示のレチクルローダによって、レチクルRを空間IM外部に搬出し、新たなレチクルを空間IM内に搬入することで、レチクル交換を行う構成を採用しても良いし、あるいは、レチクルステージRSTのY軸方向への走査ストロークを、レチクルR全体が、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28のY軸方向外側に出ても、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTを覆い続けるほど大きく取っておき、照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28からレチクルR全体が出た状態で、照明系側ガスパージスカート22の外側に設けられたレチクルローダを用いて、レチクル交換を行うような構成とすることもできる。
なお、この場合、レチクル交換時のレチクルステージRSTの移動方向を、−Y方向に設定した場合には、レチクル交換の際にも照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28とレチクルステージRSTとの間の気密性が保たれるように(すなわち、レチクルR全体が照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28の外側に出た場合にも、レチクルステージRSTの+Y側端部が照明系側ガスパージスカート22及び投影系側ガスパージスカート28の+Y側の側壁を越えないように)、レチクルステージRSTのY軸方向の長さ(具体的には図4に示されるレチクルRよりも+Y側の長さRY2)を十分に長く設定しておく必要がある。
ところで、照明系側ガスパージスカート22には、図2に示されるように、第1給気管60、第1排気管61、及び第2給気管72、第2排気管73の4種類の配管が接続されている。
図5Aには、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTとが近接配置された部分が断面図にて示されており、図5Bには、照明系側ガスパージスカート22のレチクルステージRSTに近接した面(下端面22b)の一部が拡大して示されている。なお、図5Aは、図5BのA−A線断面に相当する。
前記第1給気管60は、図5Aに示されるように、照明系側ガスパージスカート22の側壁の外側から内側に連通して形成された供給用開口としての貫通孔251に対して、コネクタ75を介して照明系側ガスパージスカート22の外側から接続されている。貫通孔251の第1給気管60とは反対側には給気ノズル76が設けられている。
前記第1排気管61は、不図示ではあるが、上記第1給気管60と同様に、照明系側ガスパージスカート22の側壁に外側から内側に連通して形成された不図示の排気用開口としての貫通孔に対して、コネクタを介して照明系側ガスパージスカート22の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間IM内の気体は低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、第1給気管60及び第1排気管61を用いて空間IM内を真空紫外域の光に対する吸収が少ない特性を有する特定ガス、例えば窒素、及びヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、又はそれらの混合ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」と呼ぶ)で満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管60の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50の一端に接続され、第1排気管61の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管60、第1排気管61には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間IM内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間IM内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管72の一端は、図5Aに示されるように、照明系側ガスパージスカート22の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路167に対してコネクタ65を介して接続されている。この第2給気管72の一端が接続された給気管路167の他端側は、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bに形成された給気口としての給気用環状凹溝67に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝67は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管73の一端は、照明系側ガスパージスカート22の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路168に対してコネクタ66を介して接続されている。この第2排気管73の一端が接続された排気管路168は、照明系側ガスパージスカート22の下端面22bの空間IMに対して前記給気用環状凹溝67の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝68に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝68は、給気用環状凹溝67と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝67,68間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔を照明系側ガスパージスカート22の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管72の他端は、図2に示されるように、低吸収性ガスの供給装置80に接続され、第2排気管73の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図5Aに示されるように、第2給気管72及び給気管路167を介して供給された低吸収性ガス(加圧気体)が、環状凹溝67から照明系側ガスパージスカート22の下端面22bとレチクルステージRSTの上面との間のクリアランスD1に供給され、そのクリアランスD1内部のガスが環状凹溝68、排気管路168、及び第2排気管73を介しての外部に排気される。すなわち、第2給気管72及び第2排気管73を含む気体の流れは、主に第2給気管72→給気管路167→給気用環状凹溝67→クリアランスD1→排気用環状凹溝68→排気管路168→第2排気管73となり、クリアランスD1中には、照明系側ガスパージスカート22の内側(すなわち空間IM側)から外側に向かう気体の流れが形成される。これにより、照明系側ガスパージスカート22の内側(空間IM)に対する、外側からの酸素や水蒸気の流入を、上記気体の流れによって遮断することができ、空間IM内のパージ性能(すなわち、酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝67から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD1を介して空間IMに浸入する。また、排気用環状凹溝68を介してクリアランスD1内の気体が外部に排気されているので、照明系側ガスパージスカート22の外部の気体の一部がクリアランスD1に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝68を介して外部に排気される。
なお、実際には、環状凹溝67,68には複数(例えば3つ)の給気管路及び排気管路が形成されており、これら管路に、第2給気管及び第2排気管がそれぞれ接続されているが、図2等では説明及び図示の便宜上、第2給気管及び第2排気管は照明系側ガスパージスカート22にそれぞれ1本ずつ接続されているものとして示している。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、第2給気管72を介してクリアランスに供給される気体としては、上記低吸収性ガスに限らず、例えばクリアランスからのガス排気量が、クリアランスに対するガス供給量よりも大きく、給気用環状凹溝67から供給されるガスが空間IM内に浸入しない場合には、加圧空気など低吸収性ガス以外のガスを用いることとしても良い。
前記投影系側ガスパージスカート28には、図2に示されるように、第1給気管77、第1排気管78、第2給気管81,83、及び第2排気管82,84がそれぞれ接続されている。
図6Aには、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRSTとが近接配置された部分が断面図にて示されており、図6Bには、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLの鏡筒19とが近接配置された部分が断面図に示されている。
前記第1給気管77は、図6Aに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁に外側から内側に連通して形成された供給用開口としての貫通孔252に対して、コネクタ86を介して投影系側ガスパージスカート28の外側から接続されている。また、貫通孔252の第1給気管77とは反対側には、給気ノズル87が設けられている。
前記第1排気管78は、不図示ではあるが、上記第1給気管77と同様に、投影系側ガスパージスカート28の側壁に外側から内側に連通して形成された貫通孔に対して、コネクタを介して投影系側ガスパージスカート28の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間MP内の気体も低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、第1給気管77及び第1排気管78を用いて空間MP内を前記低吸収性ガスで満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管77の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50に接続され、第1排気管78の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管77、第1排気管78には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間MP内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間MP内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管81の一端は、図6Aに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路169に対してコネクタ88を介して接続されている。この第2給気管81の一端が接続された給気管路169は、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aに形成された給気口としての給気用環状凹溝170に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝170は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管82の一端は、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路171に対してコネクタ89を介して接続されている。この第2排気管82の一端が接続された排気管路171は、投影系側ガスパージスカート28の上端面28aの空間MPに対して給気用環状凹溝170の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝172に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝172は、給気用環状凹溝170と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝170,172間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔を投影系側ガスパージスカート28の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管81の他端は、図2に示されるように、前述の供給装置80に接続され、第2排気管82の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図6Aに示されるように、第2給気管81及び給気管路169を介して供給された加圧気体が、環状凹溝170から投影系側ガスパージスカート28の上端面28aとレチクルステージRSTの下面との間のクリアランスD2に供給され、そのクリアランスD2内部のガスが環状凹溝172、排気管路171、及び第2排気管82を介して外部に排気される。すなわち、第2給気管81及び第2排気管82を含む気体の流れは、主に第2給気管81→給気管路169→給気用環状凹溝170→クリアランスD2→排気用環状凹溝172→排気管路171→第2排気管82となり、クリアランスD2中には、投影系側ガスパージスカート28の内側(すなわち空間MP側)から外側に向かう気体の流れが形成されることになる。
この場合、給気用環状凹溝170から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD2を介して空間MPに浸入する。また、排気用環状凹溝172を介してクリアランスD2内の気体が外部に排気されているので、投影系側ガスパージスカート28の外部の気体の一部がクリアランスD2に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝172を介して外部に排気される。
前記第2給気管83の一端は、図6Bに示されるように、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の給気管路173に対してコネクタ90を介して接続されている。この第2給気管83の一端が接続された給気管路173は、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bに形成された給気口としての給気用環状凹溝174に連通した状態となっている。この場合において、給気用環状凹溝174は、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。
また、第2排気管84の一端は、投影系側ガスパージスカート28の側壁内部に形成された断面L字状の排気管路175に対してコネクタ91を介して接続されている。この第2排気管84の一端が接続された排気管路175は、投影系側ガスパージスカート28の下端面28bの空間MPに対して給気用環状凹溝174の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝176に連通した状態となっている。この場合において、排気用環状凹溝176は、給気用環状凹溝174と同様、その幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝174,176間の間隔は、5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、上記と同様、その間隔を投影系側ガスパージスカート28の側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管83の他端は、図2に示されるように、前述の供給装置80に接続され、第2排気管84の他端は、真空ポンプ79に接続されている。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、図6Bに示されるように、第2給気管83及び給気管路173を介して供給された加圧気体が、環状凹溝174から投影系側ガスパージスカート28の下端面28bとレチクルステージRSTの下面との間のクリアランスD3に供給され、そのクリアランスD3内部のガスが環状凹溝176、排気管路175、及び第2排気管84を介して外部に排気される。すなわち、第2給気管83及び第2排気管84を含む気体の流れは、主に第2給気管83→給気管路173→給気用環状凹溝174→クリアランスD3→排気用環状凹溝176→排気管路175→第2排気管84となり、クリアランスD3中には、投影系側ガスパージスカート28の内側(すなわち空間MP側)から外側に向かうガスの流れが形成されることになる。
このように、投影系側ガスパージスカート28の上端面28a及び下端面28bの両方において、空間MPの外側から内側へのガスの流れが形成されていることから、空間MPに対する投影系側ガスパージスカート28の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができ、空間MP内のパージ性能(すなわち、酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝174から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD3を介して空間MPに浸入する。また、排気用環状凹溝176を介してクリアランスD3内の気体が外部に排気されているので、投影系側ガスパージスカート28の外部の気体の一部がクリアランスD3に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝176を介して外部に排気される。
なお、実際には、環状凹溝170,172,174,176にはそれぞれ複数(例えば3つ)の給気管路及び排気管路が連通状態で形成されており、これら管路に、第2給気管及び第2排気管がそれぞれ接続されているが、図2等では説明及び図示の便宜上、第2給気管及び第2排気管は投影系側ガスパージスカート22にそれぞれ2本ずつ接続されているものとして示している。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、説明が前後するが、投影光学系PLの鏡筒19内のパージガスの種類と、空間MP内のパージガスの種類が異なる場合には、投影光学系PLのうちの上端(レチクルRに近い側)に位置する図6Bに示されるレンズL1の保持機構H1には、十分な気密性を持たせ、両ガスが混入しないようにしておく必要がある。
前記第3遮蔽機構103は、図1に示されるように、投影光学系PLとウエハステージWST上のウエハWとの間に配置され、鏡筒定盤34Bの下面に一端が固定された複数の吊り下げ支持部材92によって吊り下げ支持された遮蔽部材としてのウエハガスパージスカート36を含んで構成されている。ウエハガスパージスカート36の上端面36aは投影光学系PLの鏡筒19の下端面と接触することなく近接して配置され、また、ウエハガスパージスカート36の下端面36bもウエハWと接触することなく近接して配置されている。ウエハガスパージスカート36は、図1から分かるように、概略円柱状の形状を有し、その中央部に円錐台状の中空部36cが上側端面から下側端面まで連通した状態で形成されているため、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとウエハWとの間には、概ね気密状態の空間PWが形成されている。
図7Aには、ウエハガスパージスカート36の近傍の断面図が示され、図7Bには、ウエハガスパージスカート36を上側(+Z側)から見た図が示されている。なお、図7Aの中心線(投影光学系PLの光軸AX)よりも左半分の図は、図7BのB−B線断面図に相当し、図7Aの中心線よりも右半分の図は、図7BのC−C線断面図に相当する。
空間PWにおいて、気密性を確保するためには、投影光学系PLの鏡筒19とウエハガスパージスカート36との間の間隔(クリアランス)D4、及びウエハガスパージスカート36とウエハWとの間の間隔(クリアランス)D5は狭ければ狭いほど好ましい。ただし、ウエハガスパージスカート36とウエハWとの間のクリアランスD5については、ウエハステージWSTには、走査方向及びこれに直交する非走査方向への移動に伴う上下振動が発生する恐れがあるので、上下振動が生じた場合にもウエハWとウエハガスパージスカート36の接触を回避するために、ある程度の間隔を保っておく必要がある。その間隔は、各機構の構成によって異なるが、クリアランスD5は気密性の観点からは最大でも3mm以下であることが好ましい。
なお、ウエハガスパージスカート36の下端部にベローズ及び該ベローズを伸縮駆動及びチルト駆動する駆動機構を設け、クリアランスD5を全周に渡って均一に調整可能に設定することも可能である。
ウエハガスパージスカート36には、図2に示されるように、第1給気管111、第1排気管112、第2給気管113、及び第2排気管114が接続されている。ここで実際には、図7A,図7Bに示されるように第2給気管113は、ウエハガスパージスカート36に対して3本(第2給気管113A〜113C)接続されており、第2排気管114は、ウエハガスパージスカート36に対して3本(第2排気管114A〜114C)接続されているが、図2では図示の便宜上、各1本のみ図示している。
前記第1給気管111は、図7A,図7Bに示されるように、ウエハガスパージスカート36の外側から内側に連通して形成された給気用開口としての貫通孔253に対して、コネクタを介してウエハガスパージスカート36の外側から接続されている。貫通孔253の第1給気管111とは反対側には、給気ノズル115が設けられている。
前記第1排気管112は、ウエハガスパージスカート36を挟んで第1給気管111とほぼ対称な位置に配置され、ウエハガスパージスカート36の外側から内側に連通して形成された貫通孔254に対して、コネクタを介してウエハガスパージスカート36の外側から接続されている。
本実施形態のように、真空紫外域の露光波長を使用する露光装置では、酸素、水蒸気等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、空間PW内の気体も低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、本実施形態では、上記第1給気管111及び第1排気管112を用いて空間PW内を前記低吸収性ガスで満たすこととしている。
すなわち、前記第1給気管111の他端は、図2に示されるように、ガス供給装置50の一端に接続され、第1排気管112の他端は不図示のガス回収装置に接続されている。第1給気管111、第1排気管112には、それぞれ不図示の給気弁、及び排気弁が設けられており、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、空間PW内に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、空間PW内に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
前記第2給気管113A〜113Cは、図7A及び図7Bを総合するとわかるように、ウエハガスパージスカート36内にほぼ等間隔で形成された略T字状の第2給気管路123A〜123Cに対してウエハガスパージスカート36の外側からコネクタを介して接続されている。第2給気管路123A〜123Cのそれぞれは、ウエハガスパージスカート36の上端面36aに形成された給気口としての給気用環状凹溝117と、ウエハガスパージスカート36の下端面36bに形成された給気口としての給気用環状凹溝119に連通した状態となっている。
また、前記第2排気管114A〜114Cは、ウエハガスパージスカート36内の前記第2給気管路123A〜123C近傍に形成された略T字状の第2排気管路124A〜124Cに対し、ウエハガスパージスカート36の外側からコネクタを介して接続されている。第2排気管路124A〜124Cのそれぞれは、ウエハガスパージスカート36の上端面36aの空間PWに対して前記給気用環状凹溝117の外側に形成された排気用環状凹溝118と、ウエハガスパージスカート36の下端面36bの空間PWに対して前記給気用環状凹溝119の外側に形成された排気口としての排気用環状凹溝120に連通した状態となっている。
この場合において、給気用環状凹溝117,119及び排気用環状凹溝118,120は、いずれもその幅が例えば1〜3mm程度、その深さが例えば1〜3mm程度に設定されている。また、環状凹溝117,118間の間隔、環状凹溝119,120間の間隔は、ともに5〜20mm程度に設定することができる。なお、気密性確保の点からは、その間隔をウエハガスパージスカート36側壁の厚さに応じて、可能な限り広く設定しておくことが好ましい。
ここで、第2給気管113A〜113C(以下、適宜「第2給気管113」とも記述する)は、図2に示されるように、ウエハガスパージスカート36と供給装置80とを接続し、第2排気管114A〜114C(以下、適宜「第2排気管114」とも記述する)は、ウエハガスパージスカート36と真空ポンプ79とを接続する。そして、不図示の制御装置が、供給装置80に内蔵されたポンプ及び真空ポンプ79の作動、停止を適宜制御することにより、前述と同様に第2給気管113及び給気管路123を介して供給された加圧気体が、環状凹溝117、119それぞれからウエハガスパージスカート36の上端面36aと投影光学系PLの下面との間のクリアランスD4、ウエハガスパージスカート36の下端面36bとウエハWとの間のクリアランスD5にそれぞれ供給され、それらのクリアランスD4,D5内部のガスは環状凹溝118,120、排気管路124及び第2排気管114を順次介して外部に排気される。すなわち、第2給気管113及び第2排気管114を含む気体の流れは、主に第2給気管113→給気管路123A〜123C→給気用環状凹溝117(又は119)→クリアランスD4(又はD5)→排気用環状凹溝118(又は120)→排気管路124A〜124C→第2排気管114となり、クリアランスD4,D5のそれぞれには、ウエハガスパージスカート36の内側(すなわち空間PW側)から外側に向かう気体の流れが形成されることになる。
このように、ウエハガスパージスカート36の上端面36a及び下端面36bの両方において、空間PWの内側から外側への気体の流れが形成されていることから、空間PWに対するウエハガスパージスカート36の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができ、空間PW内のパージ性能(すなわち酸素濃度,水蒸気濃度の低減性能)向上に極めて効果がある。
この場合、給気用環状凹溝117(又は119)から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD4(又はD5)を介して空間PWに浸入する。また、排気用環状凹溝118(又は120)を介してクリアランスD4(又はD5)内の気体が外部に排気されているので、ウエハガスパージスカート36の外部の気体の一部がクリアランスD4(又はD5)に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝118(又は120)を介して外部に排気される。
なお、環状凹溝としては上記のように2つの凹溝を形成する場合に限らず、2つの溝をさらに複数組み合わせ、4重又は6重…の溝を形成することも可能である。
なお、投影光学系PLの鏡筒19内のパージガスの種類と、空間PW内のパージガスの種類が異なる場合には、投影光学系PLのうちの下端(ウエハWに近い側)に位置する図7Aに示されるレンズL2の保持機構H2には、十分な気密性を持たせ、両ガスが混入しないようにしておく必要がある。
なお、投影光学系PLは第1架台34に固定されているので、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとは、Oリング等のシール部材を介して気密的に接合(固定)することも可能である。ただし、ウエハガスパージスカート36がウエハステージWSTの駆動等により振動し、その振動が投影光学系PLに伝達して、結像特性を劣化されるおそれがある場合には、本実施形態のように所定の間隔をあけて、近接して配置したほうが好ましい。
説明が前後したが、本実施形態のように、真空紫外域の光を露光光ELとして用いる場合には、照明系ハウジング2内部や、投影光学系PLの鏡筒内部から吸収性ガスを排除する必要があることは勿論である。このため、本実施形態では、照明系ハウジング2は、図2に示されるように給気管10によりガス供給装置50に接続され、排気管11により不図示のガス回収装置に接続されている。同様に、鏡筒19は、給気管30によりガス供給装置50に接続され、排気管31により不図示のガス回収装置に接続されている。給気管10、30にはそれぞれ不図示の給気弁が設けられ、排気管11、31には、それぞれ不図示の排気弁が設けられている。不図示の制御装置が、各給気弁、各排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、照明系ハウジング2の内部や投影光学系PLの鏡筒19の内部に低吸収性ガスが充填され、その内部の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度に抑制されている。なお、これらの空間の内部に低吸収性ガスを常時フローすることとしても良い。
なお、上記の説明では、ガス供給装置50から各空間内に供給された低吸収性ガスを使用後にはガス回収装置に向けて排気する場合について説明したが、これに限らず、それぞれの排気管をガス供給装置50に接続して、使用後のガスをガス供給装置50に戻すこととしても良い。この場合、ガス供給装置50の内部には、低吸収性ガスの貯蔵タンク、ポンプ、ガス精製装置等(いずれも図示省略)が内蔵される。この場合、ガス供給装置50に内蔵されるガス精製装置は、各空間の内部を通過して純度が低下した低吸収性ガスを再度所定の純度に再生するもので、例えばHEPAフィルタあるいはULPAフィルタ等の塵(パーティクル)を除去するエアフィルタと前述した酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の吸収性ガスを除去するケミカルフィルタとを含むフィルタタイプのものや、クライオポンプを用い、該クライオポンプで液化されたガス中の含有物質の気化温度の違いを利用して低吸収性ガスと不純物とを分離するタイプのものなどを用いることができる。また、ガス供給装置50内部の貯蔵タンクは、流量制御機能を有する弁を介して外部の低吸収性ガスの供給源に接続され、不足分の低吸収性ガスが適宜補われるようにすることが望ましい。
そして、不図示の制御装置が、給気弁、排気弁の開閉、及びガス供給装置50に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することにより、各空間内に低吸収性ガスが充填され、照明系ハウジング2内の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度に抑制することができる。この場合、ガス供給装置50を含む循環経路により低吸収性ガスを長時間に渡って循環使用しても、ガス精製装置の作用により、各空間内の吸収性ガスの濃度を数ppm以下の濃度に維持できる。
また、ガス供給装置50は、その内部を前記各空間に応じて第1室〜第9室の9つの部屋に分割しても良い。この場合、各部屋の内部の低吸収性ガスの種類を異ならせても良い。
なお、本実施形態では、送光光学系内部の光路にも上記照明系ハウジング2と同様に低吸収性ガスが満たされていることは言うまでもない。
これまでの説明から分かるように、ガス供給装置50、第1給気管60、不図示の給気弁により、照明系側ガスパージスカート22内部の空間IMに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管61、不図示の排気弁により、空間IM内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。また、ガス供給装置50、第1給気管77、不図示の給気弁により、投影系側ガスパージスカート28内部の空間MPに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管78、不図示の排気弁により、空間MP内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。さらに、ガス供給装置50、第1給気管111、不図示の給気弁により、ウエハ側ガスパージスカート36内部の空間PWに低吸収性ガス(特定ガス)を供給するガス供給系が構成され、不図示のガス回収装置、第1排気管112、不図示の排気弁により、空間PW内のガスを外部に排気するガス排気系が構成されている。
また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路167、第2排気管路168、第2給気管72及び第2排気管73により、クリアランスD1内に加圧気体(低吸収性ガス)を供給するとともに、クリアランスD1内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路169、第2排気管路171、第2給気管81及び第2排気管82により、クリアランスD2内に加圧気体を供給するとともに、クリアランスD2内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路173、第2排気管路175、第2給気管83及び第2排気管84により、クリアランスD3内に加圧気体を供給するとともに、クリアランスD3内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。また、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路123A〜123C、第2排気管路124A〜124C、第2給気管113A〜113C及び第2排気管114A〜114Cにより、クリアランスD4、D5内に加圧気体をそれぞれ供給するとともに、それらのクリアランスD4、D5内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100及び該露光装置で行われるガスパージ方法によると、第1遮蔽機構101を構成する照明系側ガスパージスカート22は、レチクルステージRSTとの間にクリアランスD1が形成される状態で配置されるので、そのクリアランスD1を適宜な寸法に設定することにより、露光光ELの光路上に配置されたレチクルRと照明ユニットILUとの間の空間IM内をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その空間IM内に照明系側ガスパージスカート22に接続された第1給気管60を介して露光光ELに対する吸収特性が前述の吸収性ガスに比べて低い低吸収性ガスが供給され、照明系側ガスパージスカート22に接続された第1排気管61を介して排気される。これにより、レチクルRと照明ユニットILUとの間の空間IMの気体を低吸収性ガスに効率良く置換することができ、これにより空間IM内から吸収性ガスを追放(パージ)することができる。
また、照明系側ガスパージスカート22のレチクルR側の下端面22bに形成された給気用環状凹溝67等を介して低吸収性ガスをクリアランスD1内に供給するとともに、クリアランスD1内の気体を下端面22bの空間IMに対し給気用環状凹溝67の外側に形成された排気用環状凹溝68を介して外部に排気する構成としたことにより、レチクルステージRSTと照明ユニットILUとの間の空間IMの気密性を実質的に高め、より高精度なガスパージの実現が可能になる。
また、第2遮蔽機構102を構成する投影系側ガスパージスカート28は、レチクルステージRSTとの間にクリアランスD2が形成される状態で配置されるので、そのクリアランスD2を適宜な寸法に設定することにより、露光光ELの光路上に配置されたレチクルRと投影光学系PLとの間の空間MP内をある程度気密な状態で外気から遮蔽することができる。そして、その空間MP内に投影系側ガスパージスカート28に接続された第1給気管77を介して低吸収性ガスが供給され、投影系側ガスパージスカート28に接続された第1排気管78を介して排気される。これにより、空間IMのみならず、レチクルRと投影光学系PLとの間の空間MPからも露光光を吸収する吸収性ガスが排除される
従って、大型で重い気密型のレチクルステージチャンバを用いることなく、照明ユニットILUから投影光学系PLに至る露光光ELの光路上の空間内の高精度なガス置換を行うことができ、これらの空間から吸収性ガスを排除することが可能となる。この場合、照明系側ガスパージスカート22、投影系側ガスパージスカート28として、レチクルステージRSTと照明ユニットILU又は投影光学系PLとの間の空間を覆うことができる程度の小型のものを用いることができるので、装置の大型化、重量化を抑制することができ、さらに、上記のようにクリアランスD1、D2がレチクルステージRSTとの間に形成されているので、レチクルRのパターン領域の一方の面側及び他方の面側の空間を外気から遮蔽しているにもかかわらず、レチクルステージRSTに外部から容易にアクセス可能となっている。
また、投影系側ガスパージスカート28においても、照明系側ガスパージスカート28と同様、レチクルRに対向する面(上端面28a)に形成された給気用環状凹溝170から低吸収性ガスをレチクルR(レチクルステージRST)に向けて供給するとともに、クリアランスD2内の気体を上端面28aの空間MPに対して給気用環状凹溝170の外側に形成された排気用環状凹溝172を介して外部に排気することとしているので、空間MPの気密性を実質的に向上して、より高精度なガス置換が可能となる。
また、投影光学系PLと投影系側ガスパージスカート28の間には、所定のクリアランスD3が形成されているので、投影系側ガスパージスカート28がレチクルステージRSTの駆動に伴って振動が生じても、その振動が投影光学系PLに伝達されるのを防止することができる。このようにクリアランスD3が形成されていても、本実施形態では、クリアランスD3内にクリアランスD1,D2と同様、空間MPの内側から外側に向かうガスの流れが形成されているので、気密性が低下することは殆どない。
また、本実施形態では、第3遮蔽機構103を構成するウエハガスパージスカート36が、投影光学系PLとの間に所定のクリアランスD4を形成し、かつウエハWとの間に所定のクリアランスD5を形成した状態で、投影光学系PLとウエハWとの間に配置され、ウエハガスパージスカート36内部の空間も上記各空間と同様にしてガス置換が行われている。
また、ウエハガスパージスカート36においても、投影光学系PLに対向する面(上端面36a)に形成された給気用環状凹溝117から低吸収性ガスをクリアランスD4内に供給するとともに、クリアランスD4内のガスを上端面36aの給気用環状凹溝117の外側に形成された排気用環状凹溝118を介して外部に排気することとしている。さらに、ウエハWに対向する面(下端面36b)に形成された給気用環状凹溝119から低吸収性ガスをクリアランスD5内に供給するとともに、クリアランスD5内のガスを下端面36bの給気用環状凹溝119の外側に形成された排気用環状凹溝120を介して外部に排気することとしている。このため、空間PWの気密性を実質的に向上して、より高精度なガス置換が可能となる。
従って、大型で重い気密型のウエハステージチャンバを用いることなく、投影光学系PLからウエハWに至る露光光ELの光路上の空間内の高精度なガス置換を行うことができ、この空間から吸収性ガスを排除することが可能となる。この場合、ウエハガスパージスカート36として、ウエハWと投影光学系PLとの間の空間を覆うことができる程度の小型のものを用いることができるので、装置の大型化、重量化を抑制することができる。
以上により、照明ユニットILUからウエハWに至る露光光ELの光路上の空間から低吸収性ガスを排除することができるので、露光光ELの透過率を良好に維持して高精度な露光を長期に渡って行うことができる。
また、照明系側ガスパージスカート22のレチクルステージRSTに対向した面(下端面22b)、投影系側ガスパージスカート28のレチクルステージRSTに対向した面(上端面28a)はともに平面であり、レチクルステージRSTの上下面はともに平面としたことにより、クリアランスD1,D2を充分に狭くした場合であっても、レチクルステージRSTを移動させた際に、各パージスカート22,28がレチクルステージRSTに接触することがない。従って、空間IM,MPの気密性を高く維持しつつ、レチクルステージRSTを大きく動かしたり、その移動の後にレチクル交換を容易に行ったり、あるいはレチクルステージRSTのメンテナンスを容易に行ったりすることが可能となる。
また、上記実施形態では、レチクルステージRSTを駆動するY軸リニアモータ24A,24Bがパージ空間の外側に配置されることから、ガスパージを行うべき空間を小さくし、ガスパージ用のガスの使用量を削減できるとともに、投影光学系PLやレチクルRを、レチクルステージRSTの走査に伴う発塵や発熱から遮蔽することができ、露光装置の安定性や、レチクルに対する塵付着(コンタミネーション)の防止が可能になる。
なお、上記実施形態では、照明ユニットILUから投影光学系PLまでの間の空間のみならず、投影光学系PLとウエハWとの間の空間も、ウエハガスパージスカート36を用いて、ほぼ気密状態にする場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。投影光学系PLとウエハWとの間の空間は、通常距離が短いので、この空間にガス供給配管とガス排気配管のそれぞれの端部を位置させて、ガス供給配管を介して低吸収性ガスを前記空間内に送り込むとともに、その空間内の吸収性ガスを含むガスをガス排気配管を介して外部に排気することによっても、ある程度吸収性ガスを投影光学系PLとウエハWとの間の光路上の空間から排除することが可能である。従って、かかる技術と、レチクル側に適用された本発明のガスパージ方法とを組み合わせても良い。
また、上記実施形態において、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間については、給気用環状凹溝117を省略することもできる。すなわち、ウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間は、排気用環状凹溝118によるクリアランスD4内のガス、あるいはクリアランスD4を介した外部のガス及び空間PW内のガスを吸引排気する構成であっても良い。このようにウエハガスパージスカート36と投影光学系PLとの間に、排気用環状凹溝118を設けるだけでも、空間PWに対するウエハガスパージスカート36の外側の酸素や水蒸気の流入を遮断することができる。
なお、上記実施形態では、照明系側ガスパージスカート22が、照明ユニットILUの下端面に直接固設されている場合について説明したが、その他の部分と同様に、所定間隔の間隙が形成されるように照明系側ガスパージスカート22を設けることとしても良い。
すなわち、図8に示されるように、照明系側ガスパージスカート22と照明ユニットILUのハウジング2の下端面との間にクリアランスD6が形成されるように設けることができる。この場合、空間IMの気密性を高めるために、これまでと同様に、給気口としての給気用環状凹溝370と排気口としての排気用環状凹溝372を照明系側ガスパージスカート22の上端面22aに形成し、給気用環状凹溝370に連通して形成された断面U字状の第2給気管路369と排気用環状凹溝372に連通して形成された断面U字状の第2排気管路371のそれぞれに、第2給気管383と第2排気管384の一端を接続し、これら第2給気管383、第2排気管384の他端を供給装置80及び真空ポンプ79にそれぞれ接続する。このように構成することで、これまでと同様に、クリアランスD6内には空間IMから外側に向かうガスの流れが形成されるので、空間IM外からのガスの流入が最大限に抑えられることになる。
この場合も、給気用環状凹溝370から供給される低吸収性ガスの一部は、クリアランスD6を介して空間IMに浸入する。また、排気用環状凹溝372を介してクリアランスD6内の気体が外部に排気されているので、照明系側ガスパージスカート22の外部の気体の一部がクリアランスD6に浸入しても、この気体は排気用環状凹溝372を介して外部に排気される。
このため、空間IM内のパージ性能を維持した状態で、レチクルステージRSTの移動に伴った振動が照明系ガスパージスカート22に発生したとしても、照明ユニットILUへの振動の伝達を回避することができる。
この場合、供給装置80、真空ポンプ79、第2給気管路369、第2排気管路371、第2給気管383、第2排気管384により、クリアランスD6内に、クリアランスD6内に加圧気体(低吸収性ガス)を供給するとともに、クリアランスD6内のガスを外部に排気する差動排気機構が構成されている。
なお、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に本発明のガスパージ方法を採用した場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)についても、好適に適用することができる。
図9には、本発明のガスパージ方法を適用するのに好適なステッパ型の露光装置におけるレチクルステージ近傍の状態が一部断面して示されている。
この図9に示されるように、レチクルステージは平板状の形状を有するステージ本体130と、該ステージ本体130の中央に形成された矩形開口130a近傍に固定された複数(例えば4つ)のレチクル保持部132とを備えている。
前記レチクル保持部132のそれぞれには、その上面に凹部134が形成されており、該凹部134に連通して形成された吸引用の管路135を介して、レチクル保持部132に接続された吸気管136により、レチクルRが吸着保持されている。
レチクルRと照明ユニットILUとの間には、上記実施形態と同様の第1の遮蔽機構101’が設けられている。
この第1の遮蔽機構101’は、照明系側ガスパージスカート22’を含んで構成され、この照明系側ガスパージスカート22’には、前述の第1の遮蔽機構101と同様に、第1給気管60’と第1排気管61’と複数の第2給気管72’と複数の第2排気管73’が接続されている。第1給気管60’はガス供給装置50に、第1排気管61’は、不図示のガス回収装置にそれぞれ接続されており、これにより、第1給気管60’からは、照明系側ガスパージスカート22’と照明ユニットILUとレチクルRとにより形成される概ね気密化された空間IM’内に低吸収性ガスが供給され、第1排気管61’からは空間IM’内の気体が排出されるので、空間IM’内が低吸収性ガスにより置換される。また、第2給気管72’と第2排気管73’とは、供給装置80及び真空ポンプ79にそれぞれ接続され、第2給気管72’からは照明系側ガスパージスカート22’とレチクルRとの間のクリアランスD1’に対して加圧気体が供給され、第2排気管73’からはクリアランスD1’の気体が真空ポンプの吸引力によって排気されるので、クリアランスD1’には、空間IM’から外側に向かったガスの流れが形成される。
レチクルRの下面側、すなわちレチクルRと投影光学系PLとの間には、第2の遮蔽機構102が設けられている。
この第2の遮蔽機構102は、投影系側ガスパージスカート28’を含んで構成され、この投影系側ガスパージスカート28’には、上記実施形態と同様に、第1給気管77’、第1排気管78’、複数の第2給気管81’、複数の第2排気管82’が接続されている。これら第1給気管77’、第1排気管78’はガス供給装置50、不図示のガス回収装置にそれぞれ接続されている。これにより、第1給気管77’からは、投影系側ガスパージスカート28’とレチクルRと投影光学系PLとにより形成される概ね気密化された空間MP’内に低吸収性ガスが供給され、第1排気管78’からは空間MP’内の気体が排出されるので、空間MP’内の気体が低吸収性ガスにより置換される。
また、第2給気管81’及び第2排気管82’は上記実施形態と同様に供給装置80、真空ポンプ79にそれぞれ接続されている。そして、第2給気管81’からは投影系側ガスパージスカート28’とレチクルRとの間のクリアランスD2’、及び投影系側ガスパージスカート28’と投影光学系PLとの間のクリアランスD3’に対して低吸収性ガスが供給され、第2排気管82’からはクリランスD2’及びクリアランスD3’の気体が排出される。これにより、クリアランスD2’,D3’には、空間MP’から外側に向かったガスの流れが形成されるので、空間MP’の気密性をより高めることが可能となっている。
ここで、ステッパにおいては露光動作中にレチクルを走査させない(すなわち、スキャニング・ステッパのような大きな動作がなされない)ので、第1、第2の遮蔽機構を構成するガスパージスカートは、上記実施形態よりも更にレチクルRに近接した状態で配置することができる。すなわち、各ガスパージスカート等により形成される概ね気密化された空間IM’,MP’は、上記実施形態の空間IM,MPよりも更に気密化されたパージ空間とすることができる。従って、露光光ELの吸収が上記実施形態よりもさらに抑制され、高精度な露光を実現することが可能となる。
なお、この場合のレチクル交換の方法は、例えば、レチクルRを図9の紙面直交方向にスライドすることで容易に実現可能となっている。
なお、これまでの説明では、空間(IM,MP,PW(又はIM’,MP’))内の排気を、各パージスカートに接続された第1排気管を介して行うこととしたが、これに限らず、各空間の隙間から外部に排気する構成とすることもできる。
なお、上記実施形態においては、投影光学系PLとして、図1に示されるような直筒型の鏡筒を採用したが、これに代えて、例えば、反射屈折型の投影光学系を採用した場合には、投影光学系の形状は曲折部分及び突起部分等を有する形状となるが、そのような場合であっても、投影光学系のレチクル側端面、あるいはウエハ側端面に、ガスパージスカートを近接配置することで、本発明を好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、投影系側ガスパージスカート28の端部と、投影光学系PLの鏡筒19の上端面との間に、所定のクリアランスを形成するように構成したが、投影光学系側ガスパージスカート28の端部を、投影光学系PLの鏡筒19の側面に対向するように構成し、投影光学系PLの鏡筒19の側面との間に、所定のクリアランスを形成するようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとの間では、振動が伝わらないように差動排気機構を設ける構成について説明したが、投影系側ガスパージスカート28と投影光学系PLとをフィルム状の連結部材で連結しても良い。この場合、連結部材としては、吸光物質の発生が低減されたフィルム状部材を用いることが好ましい。このフィルム状部材は、例えばエチレン・ビニル・アルコール樹脂(EVOH樹脂)より成るフィルム状素材の外面に、接着剤を介してポリエチレンより成る伸縮性の良好な保護膜を被着し、更にそのフィルム状素材の内面にアルミニウムより成る安定化膜を蒸着等によってコーティングして形成することができる。EVOH樹脂としては、例えば株式会社クラレの「商品名 エバール」を使用することができる。
また、本発明のガスパージ方法は、投影露光装置のみでなく、投影露光装置に搭載する投影光学系の検査に使用する検査光学装置に対しても適用することができる。この検査光学装置についての実施形態が、次に説明する第2の実施形態である。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について図10に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し、若しくは省略するものとする。
本第2の実施形態は、投影光学系PLの検査を行う検査光学装置に固有の、検査光学系が配置される空間を、本発明のガスパージ方法によってガスパージする場合についてのものである。
図10には、検査光学装置を構成する検査部200が投影光学系PL及びウエハガスパージスカート103とともに断面図にて示されている。なお、不図示ではあるが検査光学装置のうちのレチクル側(投影光学系PLの上方)のガスパージ方法については、前述したステッパの場合と同様であり、また、投影光学系PLの下側に設けられているウエハガスパージスカート103は、上記第1の実施形態と同一であるので、その説明は省略するものとする。
検査光学装置を構成する検査部200は、図10に示されるように、一方の端部(下端)が閉じられ、他方の面(上面)が開口した円筒状(底のある円筒状)の光学系支持筐体OBと、該光学系支持筐体OB内にZ軸方向に沿って順次配設されたレンズ161,162,163を含んで構成される光学系としての検査光学系160と、該検査光学系160の下方に配置された光検出器としての撮像素子164と、前記光学系支持筐体OBをX軸方向に駆動するX軸リニアモータMXと、光学系支持筐体OBをY軸方向に駆動するY軸リニアモータMYと、光学系支持筐体OBの上端面に固定された平板150と、を備えている。
前記検査光学系160のうちのレンズ161は、レンズホルダ210を介して光学系支持筐体OB内の上端部近傍にて保持されており、該レンズ161とレンズホルダ210により、光学系支持筐体OB内のレンズ161よりも下側の空間は、気密状態とされている。以下においては、この空間を「空間OC」と呼ぶものとする。
この検査光学装置を用いた投影光学系PLの収差計測に際しても、上記第1の実施形態と同様に、真空紫外光を使用することから、その真空紫外光の光路となる光学系支持筐体OB内部(空間OC内部)は、窒素や希ガス等の低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、光学系支持筐体OBには、外側から内側にかけて給気用開口としての貫通孔255が形成され、該貫通孔255の外側には、コネクタ152を介して給気管151が接続されている。また、貫通孔255の内側には、給気ノズル153が設けられている。空間OC内には、これら給気管151等を介して、ガス供給装置から低吸収性ガスが供給されるようになっている。
また、光学系支持筐体OBには、上記貫通孔255とは別の排気用開口としての貫通孔256が形成され、該貫通孔255の外側には、コネクタ155を介して排気管156が接続されている。空間OC内のガスは、これら排気管156等を介して光学系支持筐体OB外部へ排気される。このようにして、空間OC内のガスは低吸収性ガスにて置換される。
前記X軸リニアモータMXは、光学系支持筐体OBと接続された可動子212とX軸方向を長手方向とする固定子214とを含んで構成されている。可動子212は固定子214に沿ってX軸方向に駆動され、これにより光学系支持筐体OBがX軸方向にスライド駆動される。また、Y軸リニアモータMYは、X軸リニアモータMXの固定子214の下側に固定された可動子216とY軸方向を長手方向とする固定子218とを含んで構成されている。可動子216は固定子218に沿ってY軸方向に駆動され、これにより光学系支持筐体OBが前記X軸リニアモータMYとともにY軸方向にスライド駆動される。
このように、検査光学系160及び撮像素子164を内部に備える光学系支持筐体OBが2次元面内を移動可能とされている。
前記平板150は、例えば平面視(上方から見て)矩形の形状を有し、その中央部に円形開口150aが形成されている。なお、この平板150については後に詳述する。
このように構成される検査部200では、投影光学系PLによって形成される像等を、検査光学系160を構成するレンズ161〜163を介してCCD等から成る撮像素子164上に拡大投影し、例えば投影光学系PLの光学特性(収差など)を計測する。この場合、上記のように、リニアモータMX,MYにより光学系支持筐体OBが2次元移動可能とされているので、投影光学系PLの視野内の各計測点からの像光束すべてを受光可能であり、視野内の各計測点における収差等を計測することが可能となっている。
平板150は、上記のように投影光学系の視野内の各計測点からの像光束を受光する際に、リニアモータMY,MXにより光学系支持筐体OBが2次元面内で移動しても、ウエハガスパージスカート36の下端面が平板150からはみ出さない程度の大きさを有している。すなわち、平板150を設けることにより、投影光学系PLとウエハガスパージスカート36と検査部200との間に、上記実施形態と同様に、概ね気密化された空間POが形成され、この空間POは、検査部200が検査のために2次元方向に移動しても気密状態が常時維持されるようになっている。
以上説明したように、本第2の実施形態によると、投影光学系PLから検査部200の撮像素子164までの光路がすべて低吸収性ガスで置換されるので、高精度な投影光学系PLの検査が可能となる。
なお、光学系支持筐体OB中に設ける撮像素子164としてCCDを用いる場合には、一般的にはセラミックパッケージに装填され、その前面にはカバーガラスが設置されている。しかしながら、真空紫外光用に適したカバーガラスは透過率の点から良いものがなく、また仮にホタル石やフッ素添加の石英をカバーガラスに添付した場合には、カバーガラスとCCDの受光面との間の空間のガス置換が、困難になるという問題がある。この点を改善したのが次に示す第3の実施形態である。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について図11A,図11Bに基づいて説明する。ここで、前述した第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し、若しくは省略するものとする。
本第3の実施形態では、上記第2の実施形態の光学系支持筐体の構成、及び光検出器としての撮像素子(CCD)164の配置方法及びCCD上方に光透過窓部材287を設けた点に特徴を有している。
本実施形態においては、上記第2の実施形態の光学系支持筐体OBに代えて、図11Aに示されるように、第1部分筐体OBaと、第2部分筐体OBbとから構成される光学系支持筐体OB’が用いられている。これら第1部分筐体OBa、第2部分筐体OBbの境界部分には、溝部231が形成され、該溝部231にてホタル石またはフッ素ドープ石英等から成る光透過窓部材287が部分筐体OBa,OBbにより上下両側から挟持されている。この場合、光透過窓部材287は、第1部分筐体OBaと第2部分筐体OBbの双方の端面からわずかに突出した各3点の突起部290により点接触にて保持されている。
このように光透過窓部材287を上下各3点で点接触にて保持(挟持)したのは、光透過窓部材287を上下の空間が完全に気密になるように強固に固定すると、光透過窓部材287に多少なりとも応力変形が生じてしまうからであり、光透過窓部材287にて仕切られる上下の空間に同種の低吸収性ガスが供給される場合には、このように各3点にて挟持するのが望ましい。
なお、第2部分筐体OBbの上方には、第2実施形態と同様に検査光学系160が設けられている。
第1部分筐体OBaの下端面には、Oリング381を介して保持部材としてのセラミックパッケージ270がCCD164を搭載した状態で気密に接合され、断面概略S字状の止め金279及びねじ280を介して第1部分筐体OBaの下端面に固定されている。この場合、セラミックパッケージ270は、図11Bに示されるように、上面中央に凹部270bが形成された箱状部材から成り、その上端面270aは平坦度が高く設定されている。
なお、通常のセラミックパッケージではその前面(上面)にカバーガラスが設けられるが、本実施形態では、カバーガラスを設けないこととしている。
セラミックパッケージ270のCCD164の下側部分には図11Aに示されるように、CCD164の電荷転送制御回路等の電気回路からの電気配線271を引き出すための配線用孔165が形成されている。このようにして配線用孔165を形成することで、該配線用孔165から電気配線271を引き出し、外部で不図示の接続配線と接続を行なうことで、CCD164上面側のガスが配線用孔165を介して外部に漏れ出すことなく、CCD164に対する配線を行うことが可能となる。
ところで、セラミックパッケージ270の下面側には、図11Aに示されるように、ペルチェ素子272及び放熱装置274が設けられている。
前記ペルチェ素子272は、該ペルチェ素子272に接続された電流配線を介して所定の電流が供給されることにより、セラミックパッケージ270を冷却する機能を有している。
前記放熱装置274は、前記ペルチェ素子272のセラミックパッケージ270とは反対の面側に設けられている。この放熱装置274は、例えば内部に液体配管275が設けられ、該液体配管275に対し、不図示の液体供給装置から冷却液体を流すことによりペルチェ素子272の冷却を行う。なお、放熱装置274としては、その他の装置(例えば冷却ファンなど)を採用することとしても良い。
このようにペルチェ素子272及び放熱装置274を設けた理由は、(1)ペルチェ素子272については、CCD164が微弱光を検知する際には、S/N比(信号/ノイズ比)を改善する必要から、CCD164を冷却することが望ましいからであり、(2)放熱装置274については、ペルチェ素子272のCCDと反対側(図11Aにおける下側の面)は上記CCD164の冷却の際に高温になるので、ペルチェ素子272の下面側を、周囲温度(例えば23℃)よりも温度が大きく上昇しないように冷却する必要があるからである。
ここで、ペルチェ素子272を用いてCCD164を冷却すると、ペルチェ素子272によって冷却されたCCD164近傍のガスが、対流等によってCCD164の上方に配置されたレンズやその近傍の気体を冷却し光学性能を不安定にし兼ねない。そこで、上述のように光透過窓部材287を設けることとしたのである。
この場合において、光透過窓部材287とCCD164の間の空間も、真空紫外光が吸収されることなく良好に透過するように、低吸収性ガスにて置換する必要がある。このため、本実施形態では、これまでと同様に、給気管281の一端が第1部分筐体OBaの外側から内側にかけて形成された給気用開口としての貫通孔257にコネクタ283を介して接続され、貫通孔257の給気管281とは反対側には、給気ノズル285が設けられている。これら給気管281等を介して不図示のガス供給装置から低吸収性ガスが光透過窓部材287、第1部分筐体OBa及びセラミックパッケージ270により形成された気密化された空間GC内に供給される。一方、前記貫通孔257とは別に、第1部分筐体OBaの外側から内側にかけて形成された排気用開口としての貫通孔258に、コネクタ284を介して排気管282が接続されている。これら貫通孔258、排気管282等を介して空間GC内のガスが外部に排気される。これにより、空間GC内のガスが低吸収性ガスにて置換される。
なお、CCD164を、より低温に冷却する必要がある場合には、冷却されたCCD164周辺のガスが、上方に位置する光学系に伝わらないように光透過窓部材287と同様の光透過窓部材を多数段設けることが好ましい。
以上詳細に説明したように、本第3の実施形態によると、一方の面が開口し内部にCCD164をその受光面を開口に向けて収容したセラミックパッケージ270の開口の周囲の端面270aを、第1部分筐体OBaに対してシール部材(Oリング)381を介して結合し、CCD164の受光面を含む空間GCを外気から遮蔽する。このため、第1部分筐体OBaとセラミックパッケージ270とで形成される空間GCが、気密性の良い空間となる。そして、空間GC内に受光素子に入射する光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガス(低吸収性ガス)が、第1部分筐体OBaに接続された給気管281を介して供給され、空間GC内のガスが第1部分筐体OBaに接続された排気管を介して外部に排気される。これにより、空間GCが、低吸収性ガスにて精度良く置換されるので、CCD164の受光面にて受光されるまでの間に、光が吸収されることがほとんどなくなる。従って、CCD164の光量検出を精度良く行うことが可能となり、この光量検出の結果に基づいて、例えば投影光学系PLの光学特性の計測などを行う場合には、その計測精度を向上させることが可能となる。
なお、上記第3の実施形態では、空間GC内のガス置換のための給気管281及び排気管282を第1部分筐体OBaに接続することとしたが、これに限らず、セラミックパッケージ270に開口を形成し、該開口に対して給気管281,排気管282を接続することとしても良い。
なお、上記第3の実施形態では、光透過窓部材287を設ける必要から、光学系支持筐体として、第1部分筐体OBa、第2部分筐体OBbの2つの部分筐体から成る光学系支持筐体OB’を用いることとしたが、これに限らず、光透過窓部材287を設けなくても良い場合には、第2部分筐体OBbのみを用い、セラミックパッケージ270は、第2部分筐体OBbに直接固設することとしても良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、F2レーザ光源、ArFエキシマレーザ光源、KrFエキシマレーザ光源などに限らず、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
なお、複数のレンズから構成される照明ユニット、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるウエハステージ(スキャン型の場合はレチクルステージも)を露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、レチクル室、ウエハ室を構成する各隔壁を組み付け、ガスの配管系を接続し、の制御系に対する各部の接続を行い、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置100等の本発明に係る露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図12には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図12に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立てステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図13には、半導体デバイスにおける、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図13において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ316)において上記第1の実施形態の露光装置が用いられるので、露光光透過率を長期に渡り良好に維持して精度良くレチクルのパターンをウエハ上に転写することができる。この結果、高集積度のデバイスの生産性を向上させることが可能になる。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明のガスパージ方法は、光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間のガス置換に適している。また、本発明の露光装置は、装置の大型化、重量化を抑制しつつ露光精度を向上するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、高集積度のデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、図1の装置のガス配管を模式的に示す図である。
図3Aは、レチクルステージRST近傍を示す斜視図、図3Bは、レチクルステージRSTを示す概略断面図である。
図4は、レチクルステージRSTを示す平面図である。
図5Aは、照明系側ガスパージスカートの下端面とレチクルステージとが近接配置された部分を示す断面図、図5Bは、照明系側ガスパージスカートのレチクルステージに近接した面の一部を拡大して示す図である。
図6Aは、投影系側ガスパージスカートの上端面とレチクルステージとが近接配置された部分を示す断面図、図6Bは、投影系側ガスパージスカートと投影光学系とが近接配置された部分を示す断面図である。
図7Aは、ウエハガスパージスカートの近傍を示す断面図、図7Bは、ウエハガスパージスカートを上側(+Z側)から見た平面図である。
図8は、照明ユニットと照明系側ガスパージスカートの間にクリアランスが形成されるように照明系側ガスパージスカートを設けた場合の差動排気機構の構成を説明するための図である。
図9は、変形例に係るガスパージ方法を説明するための図である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検査光学装置の一部を成す検査部を、投影光学系及び遮蔽機構とともに示す断面図である。
図11Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学系支持筐体の下端部近傍を示す断面図であり、図11Bは、CCDが搭載されたセラミックパッケージを示す斜視図である。
図12は、本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
図13は、図12のステップ304の詳細を示すフローチャートである。
Claims (53)
- 所定波長の光の光路上に配置された物体と光学装置との間の空間をガスパージするガスパージ方法であって、
少なくとも前記物体及び該物体を保持する保持部材のいずれかである特定物体との間に所定の第1クリアランスが形成される状態で、前記光学装置と前記物体との間の空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を配置する工程と;
前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを、前記遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記遮蔽部材内部の空間に供給する工程と;を含むガスパージ方法。 - 請求項1に記載のガスパージ方法において、
前記遮蔽部材内部の空間内のガスを前記遮蔽部材に形成された排気用開口を介して外部に排気する工程を更に含むことを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項1に記載のガスパージ方法において、
前記第1クリアランスは、約3mm以下であることを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項3に記載のガスパージ方法において、
前記遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むことを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項1に記載のガスパージ方法において、
前記遮蔽部材は、前記光学装置に対する振動の伝達を低減することを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項5に記載のガスパージ方法において、
前記遮蔽部材は、前記光学装置との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されていることを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項6に記載のガスパージ方法において、
前記第2クリアランスは、約3mm以下であることを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項7に記載のガスパージ方法において、
前記遮蔽部材の前記光学装置に対向する端面に形成された給気口を介して所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する工程を更に含むガスパージ方法。 - 所定波長の光が照射される光学系を有する光学装置に用いられる光検出器の受光面を含む空間をガスパージするガスパージ方法であって、
一方の面が開口し内部に前記光検出器をその受光面を前記開口に向けて収容した保持部材の前記開口の周囲の端面を、前記光学装置の構成部品の一部に、シール部材を介して結合し、前記光検出器の受光面を含む空間を外気から遮蔽する工程と;
前記光に対する吸収特性が吸収性ガスに比べて低い特定ガスを、前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された給気用開口を介して前記空間に供給し、該空間内のガスを前記構成部品及び前記保持部材のいずれかに形成された排気用開口を介して外部に排気する工程と;を含むガスパージ方法。 - 請求項9に記載のガスパージ方法において、
前記保持部材の前記光検出器が載置される部分に予め貫通孔を形成する工程と;
前記光検出器の裏面側から前記貫通孔を介して前記光検出器からの電気配線を外部に取り出す工程と;を更に含むガスパージ方法。 - 請求項9に記載のガスパージ方法において、
前記保持部材を冷却する工程を更に含むガスパージ方法。 - 請求項11に記載のガスパージ方法において、
前記保持部材の冷却は、前記保持部材の前記光検出器とは反対側の面にペルチェ素子を接続して行うことを特徴とするガスパージ方法。 - 請求項12に記載のガスパージ方法において、
前記ペルチェ素子の前記保持部材とは反対側を冷却する工程を更に含むガスパージ方法。 - 請求項9に記載のガスパージ方法において、
前記光学装置の前記保持部材が結合される前記構成部品の前記保持部材とは反対側に光透過性部材を配置して、前記光検出器の受光面を含む空間を複数の空間に仕切る工程を更に含むガスパージ方法。 - マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、
所定波長の光により前記マスクを照明する照明光学系と;
前記マスク及び該マスクを保持するマスク保持部材のいずれかである特定物体と前記照明光学系との間に配置され、少なくとも前記特定物体との間に所定の第1クリアランスを形成した状態で、前記マスクの前記照明光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域に対応する領域を含む第1空間を外気から遮蔽する第1遮蔽部材と;
前記第1遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを前記第1空間に供給する第1ガス供給系と;を備える露光装置。 - 請求項15に記載の露光装置において、
前記マスクから射出される光を前記基板上に投射する投影光学系と;
前記特定物体と前記投影光学系との間に配置され、前記投影光学系に対する振動の伝達を低減した状態で、前記マスクの前記投影光学系側の少なくとも前記マスクのパターン領域を含む第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;
前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備える露光装置。 - 請求項16に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材は、少なくとも前記特定物体との間に、所定の第2クリアランスを形成した状態で配置されることを特徴とする露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第1空間内のガスを外部に排気する第1ガス排気系と;
前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気する第2ガス排気系と;を更に備える露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記第1及び第2クリアランスの少なくとも一方は、約3mm以下であることを特徴とする露光装置。 - 請求項19に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第1クリアランス内に供給するとともに、前記第1クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項19に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記特定物体に向けて供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第1クリアランスを前記第1遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;前記第2遮蔽部材の前記特定物体側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構と;の少なくとも一方を更に備える露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材と前記投影光学系との間には、所定の第3クリアランスが形成されていることを特徴とする露光装置。 - 請求項23に記載の露光装置において、
前記第3クリアランスは、約3mm以下であることを特徴とする露光装置。 - 請求項23に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面及び前記第2遮蔽部材の前記特定物体に対向する端面はともに平面であり、これらの端面にそれぞれ対向する前記特定物体の面はともに平面であることを特徴とする露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記基板を保持する基板保持部材と;
前記マスク保持部材を所定の走査方向に駆動する駆動源を含み、前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備え、
前記駆動源の少なくとも一部が、前記第1空間及び前記第2空間の外部に配置されることを特徴とする露光装置。 - 請求項27に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることを特徴とする露光装置。 - 請求項17に記載の露光装置において、
前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第3クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第3空間を外気から遮蔽する第3遮蔽部材と;
前記第3遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第3空間に供給する第3ガス供給系と;を更に備える露光装置。 - 請求項29に記載の露光装置において、
前記第3遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第3空間内のガスを外部に排気するガス排気系を更に備える露光装置。 - 請求項29に記載の露光装置において、
前記第3遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第4クリアランスを形成した状態で配置されることを特徴とする露光装置。 - 請求項31に記載の露光装置において、
前記第3遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第4クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項32に記載の露光装置において、
前記排気機構は、前記第3空間内のガスを前記第4クリアランスを介して外部に排気することを特徴とする露光装置。 - 請求項33に記載の露光装置において、
前記第3ガス供給系は、前記第4クリアランスを介して前記特定ガスを前記第3空間に供給することを特徴とする露光装置。 - 請求項29に記載の露光装置において、
前記第3遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第3クリアランス内に供給するとともに、前記第3クリアランス内の気体を前記端面の前記第3空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項15に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材と前記照明光学系との間には、所定の第2クリアランスが形成されていることを特徴とする露光装置。 - 請求項36に記載の露光装置において、
前記第2クリアランスは、約3mm以下であることを特徴とする露光装置。 - 請求項36に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記照明光学系に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第1空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項15に記載の露光装置において、
前記基板と前記投影光学系との間に配置され、少なくとも前記基板との間に所定の第2クリアランスを形成した状態で、前記基板の前記投影光学系側の第2空間を外気から遮蔽する第2遮蔽部材と;
前記第2遮蔽部材に形成された給気用開口を介して前記特定ガスを前記第2空間に供給する第2ガス供給系と;を更に備える露光装置。 - 請求項39に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材に形成された排気用開口を介して前記第2空間内のガスを外部に排気するガス排気系を更に備える露光装置。 - 請求項39に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材は、前記投影光学系との間に、所定の第3クリアランスを形成した状態で配置されることを特徴とする露光装置。 - 請求項41に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材の前記投影光学系に対向する端面に形成された排気口を介して、前記第3クリアランス内の気体を外部に排気する排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項42に記載の露光装置において、
前記排気機構は、前記第2空間内のガスを前記第3クリアランスを介して外部に排気することを特徴とする露光装置。 - 請求項43に記載の露光装置において、
前記第2ガス供給系は、前記第3クリアランスを介して前記特定ガスを前記第2空間に供給することを特徴とする露光装置。 - 請求項39に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材の前記基板に対向する端面に形成された給気口から所定の気体を前記第2クリアランス内に供給するとともに、前記第2クリアランス内の気体を前記端面の前記第2空間に対して前記給気口の外側に形成された排気口を介して外部に排気する差動排気機構を更に備える露光装置。 - 請求項39に記載の露光装置において、
前記第2遮蔽部材の前記基板側の端部に設けられ、前記第2クリアランスを前記第2遮蔽部材の全周に渡って調整可能な調整機構を更に備える露光装置。 - 請求項15に記載の露光装置において、
前記基板を保持する基板保持部材と;
前記マスク保持部材と前記基板保持部材とを所定の走査方向に同期移動する駆動装置と;を更に備える露光装置。 - 請求項47に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、少なくとも、前記露光が行われる前記同期移動時の前後の加速域と減速域とで前記マスク保持部材が移動する助走距離と、前記マスクのパターン領域の前記走査方向の長さとに基づいて決定されることを特徴とする露光装置。 - 請求項48に記載の露光装置において、
前記第1遮蔽部材の前記走査方向に関する長さは、さらに、前記光により前記マスクが照明される照明領域の前記走査方向の長さに基づいて決定されることを特徴とする露光装置。 - 露光光で照明されたマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上に転写する露光装置であって、
前記基板と前記投影光学系との間に、前記基板と前記投影光学系とに接触することなく配置され、前記基板と前記投影光学系との間における前記露光光の光路を含む空間を外気から遮蔽する遮蔽部材を備えることを特徴とする露光装置。 - 請求項50に記載の露光装置において、
前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内のガスを吸引排気することによって、前記遮蔽部材で遮蔽された空間を前記外気から遮蔽することを特徴とする露光装置。 - 請求項51に記載の露光装置において、
前記基板と前記遮蔽部材との間、あるいは前記投影光学系と前記遮蔽部材との間に形成されるクリアランス内に、前記露光光に対する吸収特性が吸収性ガスより低い特定ガスを供給することを特徴とする露光装置。 - リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項15〜52のいずれか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
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