JPWO2002075795A1 - 露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
露光対象物が収納される気密室内に露光ビームを透過する気体を供給する場合に、その気密室内の不純物濃度を急激に高めることなく、その気密室内の物体の交換を行うことができる露光方法及び装置である。ウエハ室(38)内にウエハステージ系(WST)を収納し、ロードロック室(72A,72B)及びウエハ搬送室(73)内にウエハローダ系(WLDA,WLDB)を収納する。給気装置(5)からウエハ室(38)内に高純度のパージガスを供給し、ウエハ室(38)内の気体の一部をバイパス用配管(61A,61B)を介してロードロック室(72A,72B)に供給し、この内の気体の一部をバイパス用配管(62A,62B)を介してウエハ搬送室(73)に供給し、ウエハ室(38)及びロードロック室(72A,72B)内の気体を回収装置(4)を介して再利用する。
Description
技術分野
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、プラズマディスプレイ素子又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写する際に使用される露光方法及び装置、並びにその露光方法を使用するデバイス製造方法に関する。
背景技術
半導体素子等を製造する際に使用される一括露光型(ステッパー型)、又は走査露光型(ステップ・アンド・スキャン方式等)の露光装置においては、解像度を更に高めるために、露光ビームとしてKrFエキシマレーザ(波長248nm)よりも短波長のArFエキシマレーザ(波長193nm)が使用されつつある。また、露光ビームとして、更に短波長のF2レーザ光(波長157nm)等の使用も検討されている。ところが、これらの波長200nm以下程度の真空紫外光(VUV光)は、通常の空気に含まれる酸素等の気体(不純物)による吸収率が高いため、その真空紫外光を露光ビームとして使用する場合には、露光光源から被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)までの露光ビームの光路の大部分を気密室(サブチャンバ)内に収納し、この気密室内に窒素ガスやヘリウムガスのような真空紫外光に対して高透過率の気体(パージガス)を供給する必要がある。
そのため、ウエハの位置決めを行うウエハステージを、気密室としてのウエハ室内に収納する必要性がある。更に、このウエハ室内にパージガスを供給し、そのウエハ室内の不純物濃度が許容範囲を超えたときに、そのウエハ室内の気体をそのパージガスで再置換するようにした露光装置が提案されている。
上記の如く真空紫外光を露光ビームとして使用する露光装置では、ウエハ室内に真空紫外光を透過する気体であるパージガスを供給することが検討されている。これに関して、露光装置においては、1つの露光工程で、1ロットのウエハに順次露光を行う必要がある。未露光のウエハ、及び露光済みのウエハは、ほぼ大気環境下に設置されたウエハカセット内に収納されているため、露光工程中に、そのウエハカセットとその気密化されたウエハ室との間で繰り返してウエハの交換を行う必要がある。
しかしながら、このように露光工程中に、ほぼ大気環境下のウエハカセットとそのパージガスが供給されているウエハ室との間でウエハの交換を行うと、そのウエハ室内に大気、ひいては露光ビームを吸収する酸素等の不純物が混入して、そのウエハ室内の不純物の濃度が上昇してしまう。
更に、例えばパージガスとしてヘリウムガスを使用する場合には、ヘリウムガスは高価であるため、そのようにウエハ室内と大気環境下のウエハカセットとの間を直接連通できるようにすると、ウエハ交換毎にヘリウムガスが大量に漏れ出ることになる。その結果、ヘリウムガスの使用量が増加して、露光装置の運転コストが上昇するという不都合がある。
また、マスクとしてのレチクルの位置決めを行うレチクルステージが収納されるレチクル室内にもパージガスが供給されるが、露光工程中にそのレチクルステージ上のレチクルの交換を行うために、単にレチクル室を開放する場合には、ウエハ室の場合と同様に、レチクル室内の不純物濃度が大幅に上昇してしまう。そのため、レチクル室内をパージガスで再置換するものとすると、露光工程のスループットが低下し、パージガスの使用量も増加してしまう。
本発明は斯かる点に鑑み、露光対象の物体を気密室内に収納して、その気密室内に露光ビームを透過する気体を供給する場合に、その気密室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その気密室内の物体の交換を行うことができる露光技術を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明による第1の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体をその露光ビームを透過する気体が供給される気密室(38)内に収納して露光を行うとともに、その物体をその気密室内に搬入して、その物体をその露光ビームで露光して、その物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、その気密室内の不純物の濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気密室に対するその露光ビームを透過する気体の供給量を制御するものである。
斯かる本発明によれば、その気密室内の物体を交換する際にも、その気密室内の不純物濃度が急激に高まることがなくなり、その露光ビームを透過する気体の使用量も低く抑えることができる。
この場合、一例としてその1サイクルは20〜30秒であり、その許容範囲は10ppb〜20ppmである。その許容範囲を10ppbより小さくするのは、その気密室の気密性を高めるための設備や、その気密室内にその露光ビームを透過する気体を供給する設備のコストが高くなり過ぎる一方で、その許容範囲を20ppmより大きくすると、その気密室内でのその露光ビームの吸収率が高くなり、その物体上での照度が低下して、スループットを高められなくなる。
なお、許容範囲を10ppb〜20ppmと広範囲に設定しているのは、露光装置における露光ビームの波長を200nm以下の真空紫外光に対応させるためである。すなわち、露光ビームの波長がArFエキシマレーザ(波長193nm)であれば、不純物として、酸素及び有機物に着目し、酸素濃度及び有機物濃度の少なくとも一方を5〜20ppm以下にすればよい。また、露光ビームの波長がF2レーザ(波長157nm)であれば、不純物として、酸素、水蒸気及び有機物に着目し、酸素濃度及び水蒸気濃度を0.1ppm以下にし、有機物濃度を10ppb以下にすればよい。
次に、本発明の第2の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体が一時的に保持され、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)とにその物体が移動する空間を分割し、その露光室とその予備室とを配管(61A,61B)によって連通させて、その露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室にその露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給された気体をその配管を介してその予備室内に供給し、その予備室内に供給されたその気体の少なくとも一部をその搬送室を介して排気するものである。
斯かる本発明によれば、その露光対象の物体が収納される露光室(38)と、その外気に開放される搬送室(73)との間に予備室(72A,72B)が配置されるため、その露光室内の物体を交換する場合にもその露光室が直接外気に開放されることがない。また、その露光ビームを透過する気体は、露光室から予備室を経て搬送室側に流れるため、その物体の交換時にその露光室内の不純物濃度が急激に高まることはない。
本発明において、その露光室内に例えばツイン・ステージ方式のステージ系が設置されるようなときには、2つの可動ステージに対応させて2つの予備室を設けるようにしてもよい。なお、本発明における予備室は、必要に応じて少なくとも1つ以上設ければよい。
また、その予備室とその搬送室とを配管(62A,62B)で連通させるようにしてもよい。これによって、予備室と搬送室との間のシャッタが閉じている場合に、搬送室を外気に開放するような場合でも、予備室から搬送室にその露光ビームを透過する気体が流れるため、搬送室内に不純物を含む外気が大量に流入することがなくなる。
また、その予備室内の気体の排気を行うようにしてもよく、この場合には更にその予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる清浄な気体を再びその露光室に供給するようにしてもよい。予備室内の気体は不純物の量が少ないため、不純物除去処理を行って再利用することによって、その露光ビームを透過する気体の使用量を減少させることができ、運転コストを低減できる。
次に、本発明の第3の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体が一時的に保持されて、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)とにその物体が移動する空間を分割し、その搬送室、その露光室、及びその予備室内から排気された気体を共通の容器(5A)内に回収し、この回収された気体の一部を排気するとともに、その回収された気体にその露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、この純化処理が施された気体をその搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給するものである。
斯かる露光方法においても、その露光室とその搬送室との間に予備室が配置されているため、その露光室内の物体の交換を行う際にも、その露光室内の不純物濃度が急激に上昇することがない。また、複数の部屋から排気された気体を共通の容器に回収し、この回収された気体に純化処理を行うようにしているため、給排気機構を単純化して、且つ単純な制御でその露光室内の不純物濃度を低く管理することができる。
この場合、その搬送室を外気に開放した際にその搬送室内に混入する外気の体積を所定倍した体積のその露光ビームを透過する気体をその回収された気体に加えるようにしてもよい。これによって、制御が更に容易になる。
また、その搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給される気体の流量を互いに独立に制御し、その搬送室、その露光室、及びその予備室内から排気される気体の圧力を互いに独立に制御することが望ましい。これによって、例えば露光室内の不純物濃度の許容値を他の部屋内の不純物濃度の許容値よりも低くするというように、複数の部屋内の不純物濃度を独立に管理できる。
また、その搬送室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体をその容器内に回収することが望ましい。搬送室は外気に開放されることがあり、その内部の気体は他の部屋に比べて不純物の濃度が高いと考えられるため、そのように不純物除去処理を行うことによって、その露光室内の不純物濃度を低下させることができる。
次に、本発明の第1の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その露光時にその物体を収納する気密室(38)と、その露光ビームを透過する気体をその気密室内に供給する気体供給装置(5,6)と、その気密室内の不純物濃度を計測する不純物センサ(93A)と、その物体をその気密室内に搬入し、その露光ビームで露光を行い、その物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、その不純物センサによって計測される濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気体供給装置の動作を制御する制御系(67)とを有するものである。この露光装置によって、本発明の第1の露光方法を実施できる。
また、本発明の第2の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その物体を一時的に保持し、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)と、その露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室にその露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給されたその気体を配管(61A,61B)を介して、その予備室内に供給する気体供給系(5,6)と、その予備室内に供給されたその気体の少なくとも一部をその搬送室を介して排気する気体排気系(17F,63B)とを有するものである。斯かる露光装置によって本発明の第2の露光方法を実施できる。
この場合、その予備室とその搬送室とを連通させる配管(62A,62B)と、その予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体を再びその露光室に供給する気体純化系(4,5,6)とを設けることが望ましい。
また、本発明の第3の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その物体が一時的に保持されて気密化され、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)と、その搬送室、その露光室、及びその予備室内の気体を共通の容器(5A)に回収する排気系(103)と、この回収された気体の一部を排気するとともに、この回収された気体にその露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行う気体純化系(5A,6)と、この純化処理が施された気体をその搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給する気体供給系(68A)とを有するものである。この露光装置によって本発明の第3の露光方法を実施できる。
次に、本発明のデバイス製造方法は、本発明の露光方法を用いてデバイスパターン(R1,R2)をワークピース(W1,W2)上に転写する工程を含むものである。本発明によって、微細なデバイスを高スループットで量産することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、露光ビームとして真空紫外光を用いた、ステップ・アンド・スキャン方式よりなる走査露光方式の投影露光装置で露光を行う場合に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置を示す正面図、図2はその投影露光装置を示す側面図であり、この図1及び図2において、一例として本例の投影露光装置の大部分は半導体製造工場の床1上のクリーンルーム内に設置され、その階下の機械室の準クリーンルーム内の床2上にその投影露光装置の露光光源3が設置されている。露光光源3としては、ArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されるが、それ以外のF2レーザ光源(波長157nm)、Kr2レーザ光源(波長146nm)、YAGレーザの高調波発生装置、半導体レーザの高調波発生装置等の真空紫外光(本例では波長200nm以下の光)を発生する光源も使用することができる。また、露光光源3としてKrFエキシマレーザ光源(波長248nm)や水銀ランプ(i線等)等を使用する場合にも本発明が適用できる。
本例のように露光ビームとして真空紫外光を使用する場合、真空紫外光は、通常の大気中に存在する酸素、水蒸気、炭化水素系ガス(二酸化炭素等)、有機物、及びハロゲン化物等の吸光物質よりなる不純物によって大きく吸収されるため、露光ビームの減衰を防止するためには、これらの不純物の気体の濃度を露光ビームの光路上で平均的に10ppb〜100ppm程度以下に抑えることが望ましい。そこで本例では、その露光ビームの光路上の気体を、露光ビームを透過する気体、即ち窒素(N2)ガス、又はヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、若しくはラドン(Rn)よりなる希ガス等の露光ビームに対して高透過率で化学的に安定であると共に、不純物が高度に除去された気体(以下、「パージガス」とも呼ぶ。)で置換する。窒素ガス及び希ガスをまとめて不活性ガスとも呼ぶ。
なお、その不純物(吸光物質)の濃度(又はその許容値)は、露光ビームの光路上に存在する不純物の種類に応じて異ならせてもよく、例えば有機系の不純物の濃度を10ppb〜10ppm程度以下として最も厳しく管理し、それに続いて、水蒸気、酸素、及びその他の物質に順にその濃度を緩くしてもよい。
なお、本例では、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、酸素濃度及び水蒸気濃度を0.1ppm以下、有機物濃度が10ppb以下になるように、厳しく管理する必要がある。
また、窒素ガスは、真空紫外域中でも波長150nm程度までは露光ビームが透過する気体(パージガス)として使用することができるが、波長が150nm程度以下の光に対してはほぼ吸光物質(不純物)として作用するようになる。そこで、波長が150nm程度以下の露光ビームに対するパージガスとしては希ガスを使用することが望ましい。また、希ガスの中では屈折率の安定性、及び高い熱伝導率等の観点より、ヘリウムガスが望ましいが、ヘリウムは高価であるため、運転コスト等を重視する場合には他の希ガスを使用してもよい。また、パージガスとしては、単一の種類の気体を供給するだけでなく、例えば窒素とヘリウムとを所定比で混合した気体のような混合気体を供給するようにしてもよい。
そして、以下では屈折率の安定性(結像特性の安定性)、並びに高い熱伝導率(高い冷却効果)等を重視して、そのパージガスとしてヘリウムガスを使用する場合を例にとって本発明の実施の形態を説明する。ヘリウムガスを使用する場合には、屈折率の揺らぎが小さくなるため、レーザ干渉計やアライメントセンサ等の各種センサの計測精度も向上する。そのため、床2上には、投影露光装置及びこれに付属する装置内の複数の気密室に対して高純度のパージガスを供給し、それらの気密室を流れた気体の少なくとも一部を回収して再利用するための気体供給回収装置(給排気機構)の本体部が設置されている。更に本例では、各ステージ系で使用されるエアーベアリング(エアーパッド)で緩衝用に使用される気体としてもそのパージガスと同じ気体が使用されると共に、各ステージ系等の計測システムとして使用されるレーザ干渉計の計測ビームの光路にもそのパージガスと同じ気体が供給されている。この際に、その計測ビームの光路上の気体(パージガス)の屈折率を計測する機構が備えられており、この計測値に基づいてそのレーザ干渉計の計測値の補正が行われる。
その気体供給回収装置の本体部は、図2に示すように、送風ポンプを含み対応する気密室から不純物を含む気体を回収する回収装置4、高純度のパージガスを蓄積する蓄積装置6、その回収された気体に必要に応じて高純度のパージガスを加えてその気密室に供給する給気装置5、及びこれらの装置全体の動作を統轄制御する主制御系67(図4参照)を備えている。また、その気密室と給気装置5及び回収装置4とはそれぞれ給気管7D及び排気管7Aを介して連結され、回収装置4と給気装置5とは配管7Bを介して連結され、給気装置5と蓄積装置6とは配管7Cを介して連結されている。
本例の露光ビームとしての露光光ILの光路は複数の気密室(投影光学系の内部も含む)に分かれており、それらの気密室のいくつかに通じる気密室も設けられており、これらの内の1つ毎の気密室、又は数個毎の気密室に対応して、それぞれ図2の構成の気体供給回収装置が設けられている。その気体供給回収装置は、ほぼ大気圧に近いパージガスをほぼ定常的な流れによるガスフロー制御によって、対応する気密室に供給している。その他に、例えば投影露光装置の稼働開始直後等には、所定の気密室内の気体を短時間にパージガスで置換するために、当該気密室内の気体を或る程度吸引してからそのパージガスを供給するようにしてもよい。それらの内の特定の気体供給回収装置の詳細な構成及び動作については後述する。
以下、本例の投影露光装置の構成につき詳細に説明する。先ず図2において、床2上の露光光源3から射出された露光ビームとしての波長193nmのパルスレーザ光よりなる露光光(露光用の照明光)ILは、補助チャンバ8内のミラーを経て上方に反射されて、その上の床1上の第1サブチャンバ9内のビームマッチングユニット(不図示)によって光軸が調整されて第1照明系IS1に入射する。この第1照明系IS1において、露光光ILはビーム整形光学系(不図示)によって断面形状が整形されて、透過率を切り換えることができる減光フィルタ部(不図示)によってパルスエネルギーが調整されて、照度分布均一化用のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としてのフライアイレンズ10に入射する。
フライアイレンズ10の射出面は、後続の光学系によって被照明体としてのレチクルR1(又はR2)のパターン面(以下、「レチクル面」という)に対して光学的なフーリエ変換面(照明光学系の瞳面)に合致するように配置されている。この瞳面には、露光光の開口数を決定するための絞り切り換え部材11が配置され、この絞り切り換え部材11には、通常照明用の開口絞り、小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の開口絞り、輪帯照明用の開口絞り、複数の開口を持つ変形照明用の開口絞り等からなる複数の照明系の開口絞り(σ絞り)が交換自在に配置されており、装置全体の動作を統轄制御する主制御系(不図示)の制御によって、照明条件に応じたσ絞りが露光光ILの光路上に設置される。
そのσ絞りを通過した露光光ILは、第1リレーレンズ系12を経て反射率が大きく透過率の小さいビームスプリッタ13に入射し、ビームスプリッタ13を透過した光は光電検出器よりなるインテグレータセンサ14で受光され、このインテグレータセンサ14の検出信号に基づいて、ウエハ上で適正露光エネルギーが得られるように露光光ILのパルスエネルギーが制御される。一方、ビームスプリッタ13で反射された露光光ILは、ほぼ水平に第1の照明系IS1の射出面に配置された可動視野絞り15に入射する。可動視野絞り15の配置面は、レチクル面とほぼ共役であり、この可動視野絞り15は、被露光基板としてのウエハW1(又はW2)の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に、本来の回路パターン以外のパターンが露光されないように視野を開閉する役割を果たす。視野の開閉時に振動を発生する恐れのある可動視野絞り15が配置された第1照明系IS1は、露光本体部とは別体として第1サブチャンバ9内に支持されているため、露光本体部での露光精度(重ね合わせ精度、転写忠実度等)が向上する。
なお、可動視野絞り15は、走査露光の開始時及び終了時にその視野を開閉する、即ち走査方向に関する視野の幅を変更するだけでなく、走査露光に先立ち、転写対象の回路パターンの非走査方向に関する大きさに応じて、その視野の非走査方向の幅を変更できるようにも構成されている。整形光学系(不図示)〜可動視野絞り15より第1照明系IS1が構成され、第1照明系IS1は気密性の高い箱状の第1サブチャンバ9内に収納されている。
可動視野絞り15を通過した露光光ILは、露光本体部のフレーム機構に取り付けられた第2サブチャンバ19内の第2照明系IS2に入射する。第2照明系IS2の入射面、即ちレチクル面との共役面から所定量だけデフォーカスした面には固定視野絞り20が配置され、固定視野絞り20には、そのレチクル面での照明領域を走査方向に直交する非走査方向に細長いスリット状の領域に規定するための開口が形成されている。固定視野絞り20を通過した露光光ILは、第2リレーレンズ系21A、レンズ系21B、光路折り曲げ用のミラー22、及びコンデンサレンズ系21Cを経てマスクとしてのレチクルR1のパターン面の照明領域を照明する。固定視野絞り20〜コンデンサレンズ系21Cより第2照明系IS2が構成され、第2照明系IS2は気密性の高い箱状の第2サブチャンバ19内に収納されている。第1照明系IS1及び第2照明系IS2より照明光学系が構成されている。なお、固定視野絞り20は、前述したレチクル面との共役面からデフォーカスした面ではなく、レチクル面から所定間隔だけ離れた面に配置するようにしてもよい。
図1において、その露光光ILのもとで、レチクルR1(又はR2)の照明領域内のパターンの像は、投影系としての投影光学系PLを介して投影倍率β(βは、1/4倍又は1/5倍等)で、感光基板(感応基板又は被露光基板)としてのフォトレジストが塗布されたウエハW1(又はW2)上のスリット状の露光領域に投影される。この状態でレチクルR1及びウエハW1を投影倍率βを速度比として所定の走査方向に同期移動することで、ウエハW1上の一つのショット領域にレチクルR1のパターン像が転写される。この露光に際して、複数枚のレチクルのパターンの像をステップ・アンド・スティッチ方式で継ぎ合わせながら露光してもよい。本例のウエハステージ系は後述のようにダブル・ステージ方式であるため、投影光学系PLの像面側には2つのウエハW1,W2がそれぞれ独立に移動できるように配置されている。ウエハW1,W2が本発明の露光対象の物体に対応しており、ウエハW1,W2は例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が200mm又は300mm等の円板状の基板である。
投影光学系PLとしては、例えば国際公開(WO)00/39623号に開示されているように、1本の光軸に沿って複数の屈折レンズと、それぞれ光軸の近傍に開口を有する2つの凹面鏡とを配置して構成される直筒型の反射屈折系や、1本の光軸に沿って屈折レンズを配置して構成される直筒型の屈折系等を使用することができる。更に、投影光学系PLとしては、例えば日本国特願2000−59268に開示されているように、レチクルからウエハに向かう光軸を持つ光学系と、その光軸に対してほぼ直交する光軸を持つ反射屈折光学系とを有し、内部で中間像を形成する反射屈折系、又は双筒型の反射屈折系等を使用してもよい。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(本例ではほぼ水平面に合致している)内で走査露光時のレチクルR1及びウエハW1の走査方向(即ち、図1の紙面に垂直な方向)に沿ってY軸を取り、非走査方向(即ち、図1の紙面に平行な方向)に沿ってX軸を取って説明する。
ここで、本例のレチクルR1,R2を支持するステージ系、投影光学系PL、及びウエハW1,W2を支持するステージ系を含む露光本体部の全体の構成につき説明する。即ち、図1の床1上にほぼ正方形の頂点に配置された4箇所の防振台31A〜31D(3箇所等でもよい)を介して剛性の高い定盤32が設置され、定盤32の中央部にウエハベース39が設置され、定盤32及びウエハベース39を第1ベース部材とみなすことができる。そして、定盤32上に電気式の水準器(不図示)が設置されており、防振台31A〜31Dはそれぞれエアーダンパ又は油圧式のダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパと、ボイスコイルモータ等のアクチュエータよりなる電磁式のダンパとを含む能動型の防振装置である。一例としてその水準器で検出される定盤32の上面の水平面に対する傾斜角(2軸の回りの傾斜角)が許容範囲内に収まるように、4個の防振台31A〜31D中の電磁式のダンパが駆動され、必要に応じて機械式のダンパの空気圧又は油圧等が制御される。この場合、機械的なダンパによって、床からの高い周波数の振動は露光本体部に伝わる前に減衰され、残存している低い周波数の振動は電磁的なダンパによって減衰される。
定盤32の上面にほぼ正方形の頂点に位置するように4本のコラム33が固定され、4本のコラム33の上面に4箇所の防振台34を介して、中央部に露光光ILを通過する開口が設けられた支持板35が固定されている。なお、防振台34は防振台31A〜31Dと同一構成(但し、耐荷重は小さい)の能動型の防振装置であり、コラム33及び防振台34、並びに防振台31A〜31Dをほぼ正三角形の頂点に位置するように3箇所に配置するようにしてもよい。図2に示すように、支持板35上に第2照明系IS2が収納された第2サブチャンバ19が設置されている。
図1に戻り、支持板35は第2ベース部材ともみなすことができ、その上面は平面度の極めて良好なガイド面に仕上げられ、そのガイド面上にレチクルステージ24がエアーベアリングを介して円滑に2次元的に摺動自在に載置され、レチクルステージ24上にレチクルR1が真空吸着等によって保持されている。図2に示すように、レチクルステージ24上のレチクルR1の走査方向SDに隣接する領域に別のレチクルR2が保持されており、例えば二重露光などが効率的に実行できるように構成されている。このように本例のレチクルステージ24は、1つのステージに2枚のレチクルが載置されるダブルステージ方式であるが、各レチクル毎に可動ステージを用いるツインステージ方式を採用してもよい。
レチクルステージ24は、例えばレチクルR1,R2を保持する微動ステージと、これを囲む枠状の粗動ステージとから構成されており、後者の粗動ステージを不図示のリニアモータによってY方向(走査方向)に駆動し、前者の微動ステージを例えば3個のアクチュエータによって粗動ステージに対してX方向、Y方向、回転方向に微動することによって、レチクルR1,R2を+Y方向又は−Y方向に所望の走査速度で高精度に駆動すると共に、同期誤差を補正することができる。この際に、レチクルステージ24は、不図示の駆動部材を用いてY方向に対して運動量保存則を満たすように駆動されて、走査露光時に振動が殆ど発生しないように構成されている。また、レチクルステージ24のX方向の位置情報を検出するためにレーザ干渉計よりなるX軸のレチクル干渉計25Xが配置され、レチクルステージ24のY方向の位置情報を検出するために図2に示すようにY軸のレチクル干渉計25Yが配置されている。レチクル干渉計25X,25Yはそれぞれ内部の参照鏡(不図示)を基準としてレチクルステージ24の位置を計測すると共に、それぞれ複数軸の干渉計を備えており、これらによってレチクルステージ24のX軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)も計測されている。
本例では、レチクルステージ24(可動ステージ)、この駆動装置(不図示)、レチクル干渉計25X,25Y等からレチクルステージ系RSTが構成され、レチクルステージ系RSTは気密性の高い箱状のレチクル室23に覆われており、レチクル室23の上板の中央部に露光光ILを通過させる窓部が形成されている。そして、レチクル干渉計25X,25Yによってレチクル室23に対するレチクルステージ24(レチクルR1,R2)の位置関係(X方向、Y方向への位置、及び回転角)が計測されており、レチクル干渉計25X,25Yの一部はそれぞれレチクル室23の側面に埋め込まれている。レチクル干渉計25X,25Yの背面にはコーナキューブ型の移動鏡が設けられている。なお、レチクル干渉計25X,25Yはその全てのユニットがレチクル室23内に収納されていなくともよい。即ち、レチクル干渉計25X,25Yの少なくとも一部、例えば一部の光学素子をレチクル室23に設け、その光学素子にその移動鏡を設けるようにしてもよい。これは、後述のウエハ干渉計49AX等についても同様である。
次に図1において、4本のコラム33のほぼ中間の高さの4箇所の段差部に、防振台36を介して第3ベース部材としての支持板37が固定され、支持板37に設けられたU字型の切り欠き部(不図示)に投影光学系PLがフランジ部を介して設置されている。即ち、投影光学系PLは支持板37に対して+Y方向(図2の右方向)から出し入れできるように支持されている。防振台36は防振台31A〜31Dと同一構成(但し、耐荷重は小さい)の能動型の防振装置であり、コラム33を3箇所に配置する場合には、防振台36も3箇所に配置される。定盤32、ウエハベース39、コラム33、防振台34、支持板35、防振台36、及び支持板37の集合体(32〜37)をフレーム機構とみなすことができる。
そして、投影光学系PLの下端部にはリング状の基準板102が固定され、支持板37の上面の端部にレーザ干渉計の光源部59が設置され、この光源部59から射出された波長安定化されたレーザビーム(例えば波長633nmのHe−Neレーザビーム)が、分岐光学系60によって複数軸の計測用のレーザビームに分岐されている。図1及び図2において、支持板37の上面の−X方向の端部、及び+Y方向の端部にそれぞれレーザ干渉計よりなるレチクル用のX軸の干渉計ユニット54X、及びY軸の干渉計ユニット54Yが設置され、これらの干渉計ユニット54X,54Yに分岐光学系60で分岐された2本のレーザビームが供給されており、これらに対応して投影光学系PLのX方向及びY方向の側面に参照鏡53X及び53Yが固定されている。この場合、干渉計ユニット54X,54Yは主計測系の一部に対応しており、X軸の干渉計ユニット54Xは、参照鏡53Xを基準として、レチクル干渉計25Xの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のX方向への変位量を計測し、Y軸の干渉計ユニット54Yは、参照鏡53Yを基準として、レチクル干渉計25Yの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のY方向への変位量を計測し、計測値を不図示の主制御系に供給する。干渉計ユニット54X,54Yは複数軸の計測軸を有しており、主制御系は供給された計測値に基づいて、投影光学系PLを基準としてレチクル干渉計25X,25Y、ひいてはレチクル室23のX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXR1,ΔYR1)及び回転角ΔθR1を算出する。
更に、レチクル干渉計25X,25Yによって計測されるレチクル室23を基準とする、レチクルステージ24(レチクルR1,R2)のX方向、Y方向への位置(XR1,YR1)及び回転角θR1も主制御系に供給されており、主制御系は以下の演算によって、投影光学系PLを基準としたレチクルステージ24のX方向、Y方向への位置(XR2,YR2)及び回転角θR2を算出する。
XR2=XR1+ΔXR1,YR2=YR1+ΔYR1 …(1A)
θR2=θR1+ΔθR1 …(1B)
このように算出される位置(XR2,YR2)及び回転角θR2に基づいて、主制御系はレチクルステージ24の位置及び速度を制御する。これによって、レチクルステージ24をレチクル室23内に密閉した構造でありながら、レチクルステージ24を投影光学系PLを基準として高精度に駆動することができる。
また、ウエハのアライメントを行うために、基準板102に投影光学系PLをX方向に挟むように、マーク検出系としてのオフ・アクシス方式で結像方式のアライメントセンサ27A及び27Bが固定されている。不図示であるが、レチクルステージ24の上方には、レチクルのアライメントを行うために、レチクルアライメント顕微鏡が配置されている。そのレチクルアライメント顕微鏡が、露光光と同一波長のアライメント光を用いるときには、そのアライメント光の全ての光路をパージガスで置換しておくことが望ましい。
次に、図1及び図2において、定盤32上に固定されたウエハベース39の上面は平面度の極めて良好なガイド面に加工され、このガイド面に可動ステージとしての第1のウエハステージ40A及び第2のウエハステージ40Bが、それぞれエアーベアリングを介して円滑に、かつX軸ガイド部材41,42及びY軸ガイド部材43A,43Bに沿って2次元的に摺動自在に載置され、ウエハステージ40A及び40B上にそれぞれ第1のウエハW1及び第2のウエハW2が真空吸着等によって保持されている。ウエハステージ40A,40Bは、例えばリニアモータ方式でY方向に連続移動すると共に、X方向及びY方向にステップ移動する。この際に、ウエハステージ40A,40Bは、それぞれX軸ガイド部材41,42及びY軸ガイド部材43A,43Bが逆方向に移動することによって、X方向、Y方向に対して運動量保存則を満たすように駆動されて、ステップ移動時及び走査露光時に振動が殆ど発生しないように構成されている。
また、ウエハステージ40A,40B内のZレベリング機構(試料台)は、レベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW1,W2のZ方向への変位、及び2軸の回り(即ち、X軸及びY軸の回り)の傾斜ができるように構成されている。このように本例のウエハステージは、ダブル・ウエハステージ方式である。そして、ウエハステージ40A及び40BのX方向の位置情報を検出するために、図1に示すようにレーザ干渉計よりなるX軸のウエハ干渉計49AX及び49BXが対向するように配置され、ウエハステージ40A,40BのY方向の位置情報を検出するために、図2に示すようにY軸のウエハ干渉計50AYが配置されている。Y軸の干渉計としては実際にはX方向に所定間隔で3軸分が配置されている(詳細後述)。
ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYはそれぞれ内部の参照鏡(不図示)を基準としてウエハステージ40A,40Bの位置を計測すると共に、それぞれ複数軸の干渉計を備えており、これらによってウエハステージ40A,40BのX軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)も計測されている。なお、レチクルステージ24及びウエハステージ40A,40Bにおいては、アッベ誤差が生じる方向、又は計測誤差が所定の許容値を超える恐れのある方向(軸)のみでその回転角(ピッチング量又はローリング量)を計測可能としてもよい。
本例では、ウエハステージ40A,40B、この駆動装置(X軸ガイド部材41,42、Y軸ガイド部材43A,43B等)、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AY等からウエハステージ系WSTが構成され、ウエハステージ系WSTは気密性の高い箱状のウエハ室38に覆われており、ウエハ室38の上板の中央部の開口に投影光学系PLの先端部が差し込まれている。ウエハ室38が本発明の気密室、又は露光室に対応している。そして、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYによってウエハ室38に対するウエハステージ40A,40B(ウエハW1,W2)の位置関係(X方向、Y方向への位置、及び回転角)が計測されており、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYの一部はそれぞれウエハ室38の側面に埋め込まれている。
次に図1及び図2において、支持板37の底面の±X方向の端部、及び+Y方向の端部にそれぞれレーザ干渉計よりなるウエハ用のX軸の干渉計ユニット57AX,57BX、及びY軸の干渉計ユニット57Yが設置され、これらの干渉計ユニット57AX,57BX,57Yにも分岐光学系60で分岐された3本のレーザビームが供給されており、これらに対応して投影光学系PLのX方向及びY方向の側面に参照鏡56AX,56BX及び56Yが固定されている。この場合、干渉計ユニット57AX,57BX,57Yは主計測系の一部に対応しており、X軸の干渉計ユニット57AX,57BXは、それぞれ参照鏡56AX,56BXを基準として、ウエハ干渉計49AX,49BXの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のX方向への変位量を計測し、Y軸の干渉計ユニット57Yは、参照鏡56Yを基準として、ウエハ干渉計50AYの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のY方向への変位量を計測し、計測値を不図示の主制御系に供給する。干渉計ユニット57AX,57BX,57Yは複数軸の計測軸を有しており、主制御系は供給された計測値に基づいて、投影光学系PLを基準としてウエハ干渉計49AX,50AYの位置ずれ量、ひいてはウエハ室38のX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXW1,ΔYW1)及び回転角ΔθW1を算出する。これと並列にウエハ干渉計49BX,50AYのX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXW2,ΔYW2)及び回転角ΔθW2も算出する。
更に、一方のウエハ干渉計49AX,50AYによって計測されるウエハ室38を基準とする、第1のウエハステージ40A(ウエハW1)のX方向、Y方向の位置(XW1,YW1)及び回転角θW1も主制御系に供給されており、主制御系は以下の演算によって、投影光学系PLを基準としたウエハステージ40AのX方向、Y方向の位置(XW3,YW3)及び回転角θW3を算出する。
XW3=XW1+ΔXW1,YW3=YW1+ΔYW1 …(2A)
θW3=θW1+ΔθW1 …(2B)
このように算出される位置(XW3,YW3)及び回転角θW3に基づいて、主制御系はウエハステージ40Aの位置及び速度を制御する。同様に、他方のウエハ干渉計49BX,50AYによって計測される、ウエハ室38を基準とする第2のウエハステージ40B(ウエハW2)のX方向、Y方向の位置(XW2,YW2)及び回転角θW2を、上記の位置ずれ量(ΔXW2,ΔYW2)及び回転角ΔθW2で補正して得られる座標に基づいて、第2のウエハステージ40Bの位置及び速度が制御される。これによって、ウエハステージ40A,40Bをウエハ室38内に密閉した構造でありながら、ウエハステージ40A,40Bを投影光学系PLを基準として高精度に駆動することができる。
更に、既に説明したようにレチクル室23内のレチクルステージ24も投影光学系PLを基準として高精度に駆動されているため、本例のレチクル室23内のレチクルステージ24と、ウエハ室38内のウエハステージ40A,40Bとは共に投影光学系PLを基準として、即ち同一の基準に基づいて相対的な位置関係を高精度に保ちながら駆動される。これによって、レチクルR1,R2のパターン像をウエハW1,W2上に露光する際に高い露光精度(重ね合わせ精度、転写忠実度等)が得られる。また、本例のウエハステージ系WSTはツイン・ウエハステージ方式であり、例えば第1のウエハステージ40A側でウエハW1に対する走査露光中に、第2のウエハステージ40B側でウエハW2の交換及びアライメントを行うことができるため、高いスループットが得られる。
なお、上記のレチクル室23の外部の干渉計ユニット54X,54Y、及びウエハ室38の外側の干渉計ユニット57AX,57BX,57Y等の光路は、実際には不図示の円筒型のカバーで密閉されており、その内部にパージガス(本例ではヘリウムガス)が供給されている。また、熱の影響を低減するために、光源部59を例えば露光本体部の外部に設置してもよい。これは干渉計ユニットのレシーバ(受光素子)なども同様である。
また、図2において、床1上で投影露光装置の定盤32の−Y方向の側面に、外気(即ち、ほぼ大気と同じ雰囲気のクリーンルーム内の空気)と同じ環境下でレチクルライブラリやウエハカセット等が配置されたインターフェース・コラム71が設置され、インターフェース・コラム71の上端部と支持板35上のレチクル室23との間に気密性の高い箱状のレチクルローダ室87が配置され、インターフェース・コラム71の下端部と定盤32上のウエハ室38との間に気密性の高い箱状のウエハローダ室70が配置されている。レチクルローダ室87内には、そのレチクルライブラリとレチクルステージ系RSTとの間でレチクルの受け渡しを行うレチクルローダ系(不図示)が設置され、ウエハローダ室70内にはそのウエハカセットとウエハステージ系WSTとの間でウエハの受け渡しを行うウエハローダ系(詳細後述)が設置されている。
本例のレチクルライブラリ及びウエハカセットはそれぞれ外気と同じ環境下に設置されているが、その他の構成として、レチクルを収納するカセット(レチクルライブラリ)及びウエハを収納するカセット(ウエハカセット)を密閉型として、それらのカセット内をパージガスで置換しておいてもよい。このとき、そのカセット内のレチクル又はウエハを、外気(空気)に触れさせることなく、上記のパージガスで置換されている気密室(レチクル室23、ウエハ室38)に搬入可能に構成することが望ましい。なお、パージガスが供給される空間(気密室)を形成する部材の内壁は、脱ガスが少ない材料で形成するか、又は脱ガスが少ない材料でコーティングを施すことが望ましい。これはレチクルローダ室87、及びウエハローダ室70の内部も同様である。また、その気密室内に設置される機構部の構成部材についても、脱ガスが少ない材料で形成するか、又は脱ガスが少ない材料でコーティングを施すことが望ましい。
さて、本例の投影露光装置では露光光ILとして真空紫外光が使用されているため、その露光光ILの透過率を高めてウエハW1,W2上での照度を高くして高いスループットを得るために、その露光光ILの光路には高透過率のパージガス(本例ではヘリウムガス)が供給されている。即ち、図2において、それぞれ回収装置4、給気装置5、及び蓄積装置6を含む複数の気体供給回収装置から供給される高純度のパージガスは、それぞれバルブ付きの給気管16A,16B,16C,16D,及び16Eを介して第1サブチャンバ9(これは補助チャンバ8に連通している)、第2サブチャンバ19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部に供給される。そして、第1サブチャンバ9、第2サブチャンバ19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部を流れた不純物を含んだパージガスは、それぞれバルブ付きの排気管17A,17B,17C,17D,及び17Eを介してその気体供給回収装置に回収される。
この場合、給気管16A〜16E、及び排気管17A〜17Eに備えられているバルブは、それぞれ電磁的に開閉自在なバルブであり、それらの開閉動作は互いに独立にコンピュータよりなる主制御系67(図4参照)によって制御されると共に、その複数の気体供給回収装置の動作もその主制御系によって制御される。その結果、サブチャンバ9,19の内部、レチクル室23の内部、ウエハ室38の内部、及び投影光学系PLの内部(例えば複数のレンズ室)の何れに対してもパージガスを所望の流量で供給できるように構成されている。また、パージガスの温度、圧力、及び必要に応じて湿度は、例えば各気密室内への送風口付近に配置された環境センサの出力に応じて制御できるように構成されている。
この際に、第1サブチャンバ9と第2サブチャンバ19との間の空間、第2サブチャンバ19とレチクル室23との間の空間、レチクル室23と投影光学系PLの上端部との間の空間、及び投影光学系PLとウエハ室38との間の空間は、それぞれ外気から隔離されるように大きい可撓性を有し、かつ気体の遮断性の高い膜状の軟性シールド部材18A,18B,18C,及び18D(被覆部材)によって密閉されている。軟性シールド部材18A等は、一例として、伸縮性の良好な保護膜(例えばポリエチレン)と、ガスバリヤ性の良好なフィルム素材(例えばエチレン・ビニル・アルコール樹脂(EVOH樹脂)とをラミネート加工(多層加工)して、その内面に脱ガスの極めて少ない安定化膜(例えばアルミニウムのような金属膜)を被着して形成されている。これによって、露光光源3から被露光基板としてのウエハW1,W2までの露光光ILの光路は、ほぼ完全に密封されていることになる。このため、露光光ILの光路上への外部からの不純物(吸光物質)を含む気体の混入は殆ど無く、露光光の減衰量は極めて低く抑えられる。
また、サブチャンバ9,19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部には、それぞれ不純物中の酸素ガスの濃度を検出するための酸素濃度センサがそれぞれ設置され、酸素濃度が所定のサンプリングレートで連続的に計測されて、上記の主制御系に供給されている。この場合、酸素濃度を計測することによって代表的に不純物の濃度が計測されており、酸素濃度センサとしては、例えばポーラログラフ式酸素濃度計、ジルコニア式酸素濃度計、又は黄リン発光式の酸素センサ等が使用できる。但し、それと共に、又は単独に水蒸気や2酸化炭素等の吸光物質の濃度を計測するようにしてもよい。そして、その各気密室内での不純物の濃度の計測値は主制御系に供給されており、何れかの気密室において所定の許容濃度以上の不純物が検出された場合には、その主制御系の指令によりその不純物の濃度が許容濃度以下となるまでその不純物が検出された気密室内へのパージガスの供給が行われる。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、上述した酸素濃度系の他に、水蒸気濃度を計測する水濃度計測装置(例えば、露点計など)を配置することが望ましい。
また、軟性シールド部材18A〜18Dは例えば合成樹脂より形成されて、それぞれ大きい可撓性を有しているため、隣接する気密室の間、例えばサブチャンバ19とレチクル室23との間、レチクル室23と投影光学系PLとの間、及び投影光学系PLとウエハ室38との間で互いに振動が伝わらない。従って、気密性を保持した上で振動の影響が軽減されている。
更に、本例ではレチクル室23とレチクルローダ室87との間の空間を密閉するように軟性シールド部材18Eが設けられ、レチクル室23に供給されたパージガスの一部はレチクルローダ室87内にも満たされている。従って、レチクルローダ系によってレチクルR1,R2の交換を行う際に、レチクルローダ室87の搬送口のシャッターを開いても、レチクル室23内のパージガスの濃度が大きく低下することは無い。この場合、レチクルローダ室87内にも不純物の濃度センサを配置して、レチクル室23内での不純物の許容濃度よりもレチクルローダ室87内での不純物の許容濃度を高く(緩く)設定し、レチクル室23内での不純物の濃度が許容濃度以下であっても、レチクルローダ室87内での不純物の濃度が許容濃度を超えたときに、気体供給回収装置からレチクル室23にパージガスを供給するようにしている。これによって、レチクルの交換時にもレチクル室23内でのパージガスの濃度が高く維持されると共に、パージガスの使用量を減らすことができる。更に、レチクルローダ室87をレチクルR1,R2の搬送路に沿って複数の気密室に分割し、これらの複数の気密室内にレチクルローダ系の構成部分を配置してもよい。この際に、その複数の気密室内で不純物の濃度、又はその許容値を異ならしめてもよい。
次に、本例のツイン・ウエハステージ方式のウエハステージ系、及びウエハローダ系の構成につき図3を参照して詳細に説明する。
図3は、図1中のウエハステージ系WST、及びウエハローダ系を示す一部を断面とした平面図であり、この図3に示すように本例のウエハ室38内のウエハステージ系WSTは、ウエハベース39上のガイド面にエアーベアリングを介して浮上支持されると共に、X方向及びY方向に独立して移動自在な2つのウエハステージ40A,40Bと、これらの駆動系と、これらの位置を計測する干渉計システムとを備えており、ウエハステージ40A,40B上にそれぞれ不図示のウエハホルダを介してウエハW1,W2が保持されている。これを更に詳述すると、ウエハベース39を走査露光時の走査方向SD(Y方向)に挟むように、X軸に平行に1対のX軸ガイド部材41,42が配置され、これらのX軸ガイド部材41,42に対してエアーパッドを介してX方向に摺動自在に第1のX軸スライダ44A,45A、及び第2のX軸スライダ44B,45Bが載置されている。また、X軸ガイド部材41,42は、不図示のガイド部材に沿ってX方向に移動できるように支持されている。
そして、第1のX軸スライダ44A,45Aに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在に第1のY軸ガイド43Aが配置され、第2のX軸スライダ44B,45Bに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在に第2のY軸ガイド43Bが配置され、Y軸ガイド43A,43Bに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在にウエハステージ40A,40Bが配置されている。また、X軸ガイド部材41,42に対して第1のX軸スライダ44A,45A及び第2のX軸スライダ44B,45Bを運動量保存則をほぼ満たして相対駆動するためのX軸の第1及び第2のリニアモータ(不図示)と、Y軸ガイド43A,43Bに対してウエハステージ40A,40Bを運動量保存則をほぼ満たしてY方向に相対駆動するための2つのリニアモータ(不図示)とが設けられている。
また、第1のウエハステージ40Aの+X方向側、及び−X方向側の上面にそれぞれアライメントセンサ27Aのベースライン計測用の基準マークが形成された基準マーク部材47、及び露光光の光量や照度むら等を計測するための計測部材46が固定され、第2のウエハステージ40Bの上面にもそれらと同一の基準マーク部材及び計測部材が固定されている。
ここで、本例のウエハステージ系WSTの計測システムの一例につき説明する。図3において、第1のウエハステージ40Aの−X方向及び+Y方向の側面にはX軸の移動鏡48AX、及びY軸の移動鏡48AYが固定され、第2のウエハステージ40Bの+X方向及び+Y方向の側面にもX軸の移動鏡、及びY軸の移動鏡が固定されている。なお、このように移動鏡48AX,48AY等を用いる他に、ウエハステージ40A,40Bの側面を鏡面加工して、この鏡面部に計測用のレーザビームを照射してもよい。
この場合、本例では投影光学系PLの光軸AX(露光領域の中心)と、第1のアライメントセンサ27Aの光軸(検出中心)と、第2のアライメントセンサ27Bの光軸(検出中心)とはX軸に平行な直線(以下、「最小誤差軸」と呼ぶ。)上に配列されている。そして、その最小誤差軸上で−X方向及び+X方向に対向するようにX軸のウエハ干渉計49AX,49BXが設置され、第1のウエハ干渉計49AXからの2つの計測ビームが最小誤差軸に沿って第1のウエハステージ40AのX軸の移動鏡48AXに照射されている。これと対称に、第2のウエハ干渉計49BXからの2つの計測ビームが最小誤差軸に沿って第2のウエハステージ40BのX軸の移動鏡に照射されている。それらの2つの計測ビームの他に、実際にはZ方向に離れた計測ビームも移動鏡48AX等に照射されており、ウエハ干渉計49AX,49BXはそれぞれウエハステージ40A,40BのX方向の位置、Z軸の回りの回転角(ヨーイング量)、及びY軸の回りの回転角(ローリング量)を計測する。
また、光軸AXを通りY軸に平行な計測ビームがY軸のウエハ干渉計50AYからウエハステージ40AのY軸の移動鏡48AYに照射されている。また、アライメントセンサ27A,27Bのそれぞれの検出中心を通りY軸に平行な計測ビームをそれぞれ有するウエハ干渉計50BY,50CYも設けられている。中央のウエハ干渉計50AYはX方向に2軸で、Z方向にも2軸(不図示)の計測ビームを備えているため、ウエハステージ40A,40BのY方向の位置、Z軸の回りの回転角(ヨーイング量)、及びX軸の回りの回転角(ピッチング量)を計測できる。本例では、投影光学系PLは、ウエハステージ40A,40B上のウエハW1,W2を露光する場合に共通に使用されるが、第1のウエハステージ40A上のウエハW1のアライメント時には−X方向のアライメントセンサ27Aが使用され、第2のウエハステージ40B上のウエハW2のアライメント時には+X方向のアライメントセンサ27Bが使用される。そして、投影光学系PLを用いた露光時のウエハステージ40A,40BのY方向の位置計測には、中央のウエハ干渉計50AYの計測値が用いられ、アライメントセンサ27A、又は27Bの使用時のウエハステージ40A、又は40BのY方向の位置計測には、それぞれレーザ干渉計50BY又は50CYの計測値が用いられる。
このように本例では、Y軸のウエハ干渉計50AY〜50CYをX方向(非走査方向)に複数個設けることによって、ウエハステージ40A,40BのY軸の移動鏡48AY等に常に何れかのY軸の計測ビームが照射されるようにしている。このため、ツイン・ウエハステージ方式において個々のウエハステージ40A,40Bを小型化して高速駆動できると共に、各ウエハステージ40A,40Bの位置を高精度に検出できる利点がある。
また、例えば一方のアライメントセンサ27Aによるアライメントの後で第1のウエハステージ40Aを露光位置に移動する場合や、他方のアライメントセンサ27Bによるアライメントの後で第2のウエハステージ40Bを露光位置に移動する場合には、Y軸の両側のウエハ干渉計50BY,50CYとY軸の中央のウエハ干渉計50AYとの間で計測値の受け渡しを行う必要がある。この計測値の受け渡しは、一例として次のように行われる。即ち、図3の状態から第1のウエハステージ40Aが−X方向に移動する場合には、ウエハ干渉計49AXによって計測されるウエハステージ40Aのヨーイング量が0となる状態で、次のウエハ干渉計50BYの計測値がそれまで使用されていたウエハ干渉計50AYの計測値に合致するように、次のウエハ干渉計50BYの計測値にオフセットを加えればよい。
また、図3において、X軸のウエハ干渉計49AX,49BXの背面にはそれぞれコーナキューブよりなる2軸の移動鏡61AX,61BXが固定され、これらの移動鏡61AX,61BXのX方向の位置、及びZ軸の回りの回転角が既に説明した干渉計ユニット57AX,57BXによって投影光学系PLを基準として計測されている。更に、Y軸の中央のウエハ干渉計50AYの背面にもそれぞれコーナキューブよりなる2軸の移動鏡61AYが固定され、この移動鏡61AYのY方向の位置、及びZ軸の回りの回転角が既に説明した干渉計ユニット57Yによって投影光学系PLを基準として計測されている。
本例では、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AY〜50CYよりなる合計5つの干渉計によって、ウエハ室38内でのウエハステージ40A,40Bの2次元の座標位置、及び3軸の回りの回転角を管理する第1の計測システムが構成され、干渉計ユニット57AX,57BX,57Yによって投影光学系PLに対するウエハ干渉計49AX,49BX,50AY(ウエハ室38)の2次元の座標位置、及びZ軸の回りの回転角を管理する第2の計測システム(主計測系)が構成されている。そして、第1の計測システム及び第2の計測システムによって、投影光学系PLを基準として2つのウエハステージ40A,40BのそれぞれのX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角が高精度に計測されており、この計測値に基づいてアライメント時の位置決め、及び走査露光時の位置や速度の制御が高精度に行われる。
また、本例ではその計測システムの他に、ウエハ室38の上部に、不図示であるが、投影光学系PLによるスリット状の露光領域、又はこれに対して走査方向(Y方向)に手前側の領域(先読み領域)にあるウエハW1(又はW2)上の複数の計測点に光軸AXに対して斜めにスリット像を投影する投射系と、その被検面からの反射光を受光して、それらの計測点でのフォーカス位置(Z方向の位置)を検出する受光系とからなる斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(AFセンサ)も設置されている。このAFセンサで検出されるフォーカス位置の情報に基づいて、走査露光中にウエハW1(又はW2)の表面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、ウエハステージ40A(40B)内のZレベリング機構が制御される。
また、ウエハ室38内には、ウエハW1,W2のプリアライメントを行うための第1及び第2のプリアライメント機構(不図示)も備えられている。この場合、第1のウエハステージ40A上のウエハW1のプリアライメントは、ウエハ室38内の−X方向の端部の位置A1で行われ、第2のウエハステージ40B上のウエハW2のプリアライメントは、+X方向の端部の位置B1で行われるため、そのプリアライメント機構はそれぞれ位置A1,B1(プリアライメント位置)の上方に配置されている。そして、位置A1,B1と、露光が行われる露光領域(光軸AXを含むスリット状の領域)との間にアライメントセンサ27A,27Bによるウエハアライメントの位置が設定されている。
図3において、本例では、上記のようにウエハステージ40A,40Bの内の一方が露光シーケンスを実行している間、他方はウエハローダ系WLDA,WLDBとの間でウエハ交換を行ってから、ウエハアライメントシーケンスを実行する。そのため、ウエハ室38の−Y方向側に所定間隔を隔てて気密性の高い箱状のウエハローダ室70(搬送室)が設置され、ウエハローダ室70内にそのウエハローダ系WLDA,WLDBが収納されている。そして、ウエハ室38内で第1のウエハステージ40A(ウエハW1)は露光後に点線で示すように−X方向の位置A1に移動し、第2のウエハステージ40B(ウエハW2)は露光後に点線で示すように+X方向の位置B1に移動する。ウエハ室38の側面の位置A1及びB1の近傍にスリット状の搬送口52A及び52Bが形成され、搬送口52A,52Bに対向するように、ウエハローダ室70の側面にもスリット状の搬送口74A,74Bが形成され、ウエハローダ室70の内部は、第1の搬送口74Aに接する第1のロードロック室72A、第2の搬送口74Bに接する第2のロードロック室72B、及び2つのロードロック室72A,72Bの中間のウエハ搬送室73に分割されている。
本例と本発明とを対応させると、ウエハ室38が露光室に対応し、ロードロック室72A,72Bが予備室に対応し、ウエハ搬送室73が搬送室に対応している。
そして、搬送口74A,74Bの内側に開閉自在にシャッタ75A,75Bが設けられ、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間にもそれぞれ搬送口が形成され、これらの搬送口を開閉するためのシャッタ78A,78Bが設けられている。更に、ウエハ搬送室73の−Y方向の側面にはX方向に沿って並列に2つの搬送口が形成され、これらの搬送口を開閉するためのシャッタ85A,85Bが設けられている。そのウエハローダ室70の−Y方向に接するようにインターフェース・コラム71が設置されており、インターフェース・コラム71内の外気と同じ環境下において、ウエハ搬送室73のシャッタ85A,85Bによって開閉される搬送口の近傍の位置A4、及び位置B4にはそれぞれ1ロットのウエハを収納するウエハカセット(不図示)が設置されている。
シャッタ85A又は85Bを開けることによって、ウエハ搬送室73の内部はインターフェース・コラム71の内部の気体、即ち本例では外気と同じ雰囲気に開放される。シャッタ75A,75B、78A,78B、85A,85Bの開閉動作は不図示の主制御系によって制御されるが、第1のロードロック室72Aの2つのシャッタ75A,78Aは同時に開くことはなく、同様に第2のロードロック室72Bの2つのシャッタ75B,78Bも同時に開くことはない。更に、ウエハ搬送室73のロードロック室72A,72B側のシャッタ78A,78Bの何れかと、インターフェース・コラム71側のシャッタ85A,85Bの何れかとは同時に開くことはない。従って、ロードロック室72A,72Bの内部は外気と直接連通することはなく、ウエハ室38の内部も外気と直接連通することはない。
なお、搬送口74A,74B等を閉じた場合の気密性を高めるために、シャッタ75A,75B、78A,78B、85A,85Bの代わりに、いわゆるゲートバルブを設けてもよい。また、ウエハ室38の搬送口52A,52Bと、ウエハローダ室70の搬送口74A,74Bとの間の空間を外気から遮蔽するように、それぞれ図1の軟性シールド部材18Dと同様の高い可撓性を有する円筒状で膜状の軟性シールド部材18F,18Gが装着されている。これによって、ウエハローダ室70内の振動がウエハ室38内に伝わらないと共に、ウエハ室38の内部からウエハローダ室70の内部の空間までを高純度のパージガスで満たすことができる。
また、第1のロードロック室72A内の中央部の位置A2(温度制御位置)に来たウエハの温度を制御するために、3点接触型のヒータ及び冷却器を含む温度調整装置76Aが設置され、位置A2と位置A1との間で搬送口52A,74Aを通してウエハの受け渡しを行うために第1のスライドアーム77Aが配置され、ロードロック室72A内の上部にスライドアーム77AのZ方向への微動、及びY方向への移動を行うための搬送装置(不図示)が配置されている。また、ウエハ搬送室73内の−X方向側に、インターフェース・コラム71及びロードロック室72Aの内部との間でウエハの受け渡しを行うための第1の搬送ロボット79Aが配置されている。搬送ロボット79Aは、回転及び上下動を行う回転軸82と、この回転軸82上で回転を行う第1アーム81と、この第1アーム81の先端部で回転を行う第2アーム80とを備えており、この第2アーム80の先端部に搬送対象のウエハが吸着保持される。
ハンドリング機構としての搬送ロボット79Aは、ウエハの搬入時にインターフェース・コラム71内の位置A4からシャッタ85Aのある搬送口を通してウエハ搬送室73内に搬入したウエハを、回転軸82上の位置A3に設置する。位置A3に設置されたウエハの外周部の180°離れた2箇所に視野を持つように2つの撮像装置83A,84Aが配置され、外形検出系としての撮像装置83A,84Aの撮像信号が不図示のウエハローダ制御系に供給され、このウエハローダ制御系は、その撮像信号を処理して位置A3にあるウエハの外周部のノッチ部(切り欠き部)の位置、及びその中心位置を検出し、このノッチ部の位置が所定の位置(例えば+Y方向)に来るように、かつそのウエハの中心位置が所定の位置に来るように搬送ロボット79Aの動作を制御する。これによって、ウエハの1回目のプリアライメントが行われる。
温度調整装置76A、スライドアーム77A、この搬送装置(不図示)、搬送ロボット79A、及び撮像装置83A,84Aより第1のウエハローダ系WLDAが構成されている。この第1のウエハローダ系WLDAと対称に、ウエハ室38内の位置B1と、ロードロック室72B内の位置B2と、ウエハ搬送室73内の位置B3と、インターフェース・コラム71内の位置B4との間でウエハの受け渡しを行うための第2のウエハローダ系WLDBが配置されている。ウエハローダ系WLDBも温度調整装置76B、スライドアーム77B、この搬送装置(不図示)、第2の搬送ロボット79B、及び撮像装置83B,84Bより構成されている。ウエハローダ系WLDA,WLDBは搬送系と呼ぶことができる。そのウエハの1回目のプリアライメントは、ウエハのその搬送系に対する外形基準によるアライメントとみなすことができる。
なお、図3の構成例において、ウエハ搬送室73内には1台の搬送ロボット79Aのみを配置して、この搬送ロボット79A(ハンドリング機構)を2つのウエハローダ系WLDA,WLDBで共有してもよい。この際には、外形検出系も1組の撮像装置83A,84Aのみを配置するだけでよい。投影光学系PLによる露光はウエハステージ40A,40Bに対して交互に行われるため、その構成でもスループットは殆ど低下しないと共に、ウエハローダ系を全体として小型化することができる。
次に、本例のウエハ室38及びウエハローダ室70に対してパージガスを供給する気体供給回収装置の構成につ図4を参照して詳細に説明する。図4において、図2に対応する部分には同一符号を付している。
図4は、図3に対応させて本例の気体供給回収装置の構成を示す一部を断面図とした平面図であり、この図4において、ウエハ室38とロードロック室72A及び72Bとはそれぞれバイパス用の配管61A及び61Bを介して連通しており、配管61A及び61Bの途中にはそれぞれ気体をウエハ室38からロードロック室72A及び72Bの方向にのみ流すための逆止弁VA1及びVB1が配置されている。更に、ロードロック室72A及び72Bとウエハ搬送室73とはそれぞれバイパス用の配管62A及び62Bを介して連通しており、配管62A及び62Bの途中にはそれぞれ気体をロードロック室72A及び72Bからウエハ搬送室73の方向にのみ流すための逆止弁VA2及びVB2が配置されている。
また、ウエハ室38は排気管17E及び送風ポンプ63Aを介して配管7Eに接続され、第1のロードロック室72Aは排気管17G及び送風ポンプ63Cを介して配管7Eに接続され、第2のロードロック室72Bは排気管17G及び送風ポンプ63Cを介して配管7Eに接続され、ウエハ搬送室73は排気管17F及び送風ポンプ63Bを介して工場用の排気管64Aに接続されている。送風ポンプ63A,63C,63Dは、それぞれ装置全体の動作を統轄制御する主制御系67の制御のもとで、ウエハ室38、及びロードロック室72A,72Bから配管7E側に気体を指定された流量で排気し、送風ポンプ63Bは、主制御系67の制御のもとでウエハ搬送室73から排気管64A側に気体を指定された流量で排気する。
配管7Eは、気体中の酸素、有機系ガス等の不純物を除去するためのケミカルフィルタ65A、水蒸気を吸着する不図示のフィルタ、及び微少な塵埃を除去するためのHEPAフィルタ(high efficiency particulate air−filter)又はULPAフィルタ(ultra low penetration air−filter)よりなる防塵フィルタ66A、及び配管7Bを介して給気装置5と連結されており、ウエハ室38、及びロードロック室72A,72Bから配管7E側に回収(排気)された気体は、清浄化されて比較的純度の高いパージガス(本例ではヘリウムガス)として給気装置5に供給される。送風ポンプ63A,63C,63D、配管7E、ケミカルフィルタ65A、防塵フィルタ66A、及びこれらの動作を制御する制御部69Aより回収装置4が構成されており、制御部69Aは主制御系67に制御されている。
給気装置5には配管7Cを介して高純度のパージガスを蓄積するガスボンベ等からなる蓄積装置6も連結されており、給気装置5は、回収装置4から供給される気体と蓄積装置6から供給される高純度のパージガスとの混合ガスである所定純度以上のパージガスを、配管7D、温度制御装置68A、HEPAフィルタ等の防塵フィルタ66B、及び給気管16Eを介して外気とほぼ同じ1気圧程度でウエハ室38に供給する。温度制御装置68Aは、加熱器(ヒータ等)、吸熱器(ペルティエ素子等)、及び温度センサを備えており、内部を通過する気体の温度をウエハ室38内の温度として予め設定されている温度に制御する。送風ポンプ63B、給気装置5、蓄積装置6、及び温度制御装置68Aの動作も主制御系67によって制御されている。
なお、図4では説明の便宜上、給気管16Eの吹き出し口はウエハ室38の側面に設けられているが、給気管16Eは実際には点線で示すように、ウエハ室38の上部の3箇所の吹き出し口94,95A,95Bに通じている。また、排気管17Eに通じる排気口も、実際にはウエハ室38の底面に設けられており、給気管16Eを介して給気されたパージガスは、3箇所の吹き出し口94,95A,95Bからウエハ室38の内部にダウンフロー方式で供給されている。
この場合、吹き出し口94は、Y軸のウエハ干渉計50AYの光路を含む領域の上部に設定され、吹き出し口95A,95BはX軸の2つのウエハ干渉計49AX,49BXの光路を含む領域の上部に設定されており、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYの光路には常時高純度で一定温度のパージガスが供給されているため、その光路の屈折率が安定化して計測精度が向上する。本例のパージガスはヘリウムガスであるため、特に光路の屈折率の変化が少なく、高精度に計測が行われる。
また、本例では給気管16Eを介してウエハ室38内に供給されたパージガスの一部は、バイパス用の配管61A,61Bを介してロードロック室72A,72B内に供給され、ロードロック室72A,72B内に供給されたパージガスの一部はバイパス用の配管62A,62Bを介してウエハ搬送室73内に供給されている。従って、ロードロック室72A,72B内の気圧はウエハ室38内に対して僅かに低く設定され、ウエハ搬送室73内の気圧(シャッタ85A,85Bを閉じた状態)はロードロック室72A,72B内に対して僅かに低く設定されている。そして、ロードロック室72A,72B内の気体は排気管17G,17Hを介して回収装置4に回収されており、ウエハ搬送室73内の気体は排気管17Fを介して工場用の排気管64A側に排気されている。排気管17Fは、点線で示すように、ウエハ搬送室73の底面に設けられた排気口96に通じており、ロードロック室72A,72B及びウエハ搬送室73内では何れもパージガスがダウンフロー方式で供給されている。本例のパージガスはヘリウムガスであり、不純物としての酸素等は重いために底面側に溜まり易く、ダウンフロー方式でパージガスを供給することによって、不純物を効率的に排気することができる。
なお、図4の実施の形態ではバイパス用の配管61A,61B,62A,62B内に逆止弁VA1〜VB2が設けられているが、本例ではロードロック室72A,72B内の気圧はウエハ室38内よりも僅かに低く、ウエハ搬送室73内の気圧はロードロック室72A,72B内よりも僅かに低いため、逆止弁VA1〜VB2は必ずしも設ける必要はない。また、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間のバイパス用の配管62A,62Bにのみ逆止弁VA2,VB2を設けるようにしてもよい。
また、給気管16E、排気管17E〜17H、配管7B,7Cの途中にはそれぞれ主制御系67の制御のもとで電磁的に開閉自在のバルブが設置されているが、通常の露光工程ではこれらのバルブは開けられている。また、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73の内部にはそれぞれ不純物センサとしての酸素濃度センサ93A,93B,93C,93Dが設置されており、これらの酸素濃度センサ93A〜93Dによる酸素の残留濃度の計測情報が主制御系67に供給されている。そして、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の酸素濃度の許容値は予め設定されていると共に、その許容値はウエハ室38内で最も低く(厳しく)設定され、次にロードロック室72A,72B内で低く設定され、ウエハ搬送室73内では最も高く(緩く)設定されている。
その酸素濃度の許容値は、一例としてウエハ室38内では1枚のウエハを交換してから、そのウエハのアライメント及び露光を行ってそのウエハが交換されるまでの1サイクルの間に連続して5〜20ppmであり、その1サイクルは本例では20〜30sec程度である。ウエハ室38内での酸素濃度が20ppmを超えると、露光光の吸収が大きくなりウエハW1,W2上での露光光の照度が低下して、スループットが低下してしまう。一方、ウエハ室38内での酸素濃度を5ppmより低く抑えようとすると、ウエハ室38の気密性を高める必要があるとともに、蓄積装置6から供給される高純度のパージガスの使用量が増加して、露光装置の製造コスト及び運転コストが増大してしまう。また、ウエハW1,W2上での露光照度を高めて、更に露光工程のスループットを高めるためには、ウエハ室38内での酸素濃度の許容値は10ppm以下とすることが望ましい。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、酸素濃度を0.1ppm以下にすると共に、水蒸気濃度も0.1ppm以下とすることが望ましい。さらに、有機物濃度は10ppb以下にすることが望ましい。
また、ロードロック室72A,72B内での酸素濃度の許容値は、ウエハ室38内での許容値の2倍〜10倍程度に設定され、ウエハ搬送室73内での酸素濃度の許容値は、ロードロック室72A,72B内での許容値の10倍〜100倍程度に設定されている。
そして、主制御系67は、露光工程中に、送風ポンプ63B、回収装置4、及び給気装置5の動作を制御することによって、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の酸素の残留濃度がそれぞれ上記の許容値以下となるように、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73に対してパージガスの供給、及び内部の気体の排気と回収とを行う。具体的に、制御方法の一例としては、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内からそれぞれ排気管17E、排気管17G,17H、及び排気管17Fを介して所定の一定流量で排気を行い、この合計の排気量にウエハ室38及びウエハローダ室70の側壁等からのパージガスの漏れ量、及びウエハ搬送室73のシャッタ85A,85Bを開いた場合のパージガスの単位時間当たりの平均流出量を加算した流量で、ウエハ室38に対して給気管16Eを介してパージガスをほぼ一定流量で供給すればよい。
このようにウエハ室38及びウエハローダ室70内にパージガスが供給されている状態で、これから露光されるウエハは、インターフェース・コラム71内のウエハカセットから、ウエハローダ系WLDA(又はWLDB)によってウエハ搬送室73及びロードロック室72A(又は72B)を経てウエハ室38内のウエハステージ40A(又は40B)上に搬送される。一方、露光済みのウエハは、ウエハステージ40A(又は40B)上からウエハローダ系WLDA(又はWLDB)によってロードロック室72A(又は72B)及びウエハ搬送室73を経てインターフェース・コラム71内のウエハカセット内に搬送される。
この際に、シャッタ85A,85Bとシャッタ78A,78Bとは同時に開くことがなく、シャッタ78A,78Bとシャッタ75A,75Bとは同時に開くことがないため、ロードロック室72A,72Bは直接外気と連通することはない。また、ウエハ室38はロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73を介して外気と接しているため、露光工程中にウエハ室38内とインターフェース・コラム71との間をウエハが頻繁に行き来しても、ウエハ室38内のパージガスの純度は高い状態に維持される。
図8の曲線LC1〜LC3は、本例の露光動作中のウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の不純物としての酸素の濃度変化の一例を示し、この図8において、横軸は露光中の経過時間t(sec)、左側の縦軸はウエハ室38内の酸素濃度D1(ppm)、及びロードロック室72A,72B内の酸素濃度D2(ppm)を示し、右側の縦軸はウエハ搬送室73内の酸素濃度D3(ppm)を示す。また、曲線LC1,LC2,LC3がそれぞれ酸素濃度D1,D2,D3の変化を示し、時間Twが1枚のウエハに対して交換、アライメント、及び露光に要する1サイクルの時間(図8では24sec)を示している。また、図8の酸素濃度は、ウエハ室38からの排気流量が10(1000cc/min)、ロードロック室72A,72Bからの合計の排気流量が40(1000cc/min)、ウエハ搬送室73からの排気流量が40(1000cc/min)の条件で計測した。
図8の曲線LC1〜LC3より分かるように、1サイクルの時間Twの間にウエハ室38内の酸素濃度D1は10ppm以下に抑えられ、ロードロック室72A,72B内の酸素濃度D2もほぼ10ppm程度以下に抑えられ、ウエハ搬送室73内の酸素濃度D3はほぼ250ppm程度以下に抑えられている。また、図4において、本例では不純物濃度が最も高いウエハ搬送室73から排気された気体は、再利用することなく工場用排気管側に排気されているため、再利用する気体から不純物を除く機構は簡単なものでよく、気体供給回収機構の構成が簡素化できる利点がある。
更に、図4において、本例ではバイパス用の配管61A,61Bが設けられているため、例えばロードロック室72A,72Bでウエハ室38側のシャッタ75A,75Bを開いたような場合でも、ウエハ室38内からロードロック室72A,72B内に急激にパージガスが流出することがなく、ウエハ室38内のパージガスの濃度は安定に維持される。同様に、バイパス用の配管62A,62Bが設けられているため、ウエハ搬送室73でロードロック室72A,72B側のシャッタ78A,78Bを開いたような場合でも、ロードロック室72A,72Bからウエハ搬送室73内に急激にパージガスが流出することがなく、ロードロック室72A,72B内のパージガスの濃度は安定に維持され、結果としてウエハ室38内のパージガスの濃度は安定に高い状態に維持される。
なお、例えばウエハ室38内での酸素濃度が許容値を超えた場合には、アライメント及び露光動作を中止して、その酸素濃度が許容範囲内に収まるまで、ひいてはパージガスの純度が高純度で安定化するまでウエハステージ40A,40Bを待機させるようにしてもよい。これによって、アライメント精度及び露光精度の悪化を防止することができる。
また、図4のウエハ室38内の不純物センサとしての酸素濃度センサ93Aの代わりに、レーザ干渉計のレーザビームに対する屈折率測定システムを使用してもよい。
図9は、そのように不純物センサの代わりに使用できるマッハ・ツェンダー干渉計方式の屈折率測定システムの一例を示し、この図9において、レーザ光源111から射出されたレーザビームは、ビームスプリッタ112で2分割され、第1のレーザビームはミラー113で反射されて、密閉容器117中の真空の光路を経た後、ビームスプリッタ118を介して2つの光電検出器120A,120Bに入射する。一方、ビームスプリッタ112で反射された第2のレーザビームは、ウエハ室38に連通する密閉容器114の内部を通った後、ミラー116で反射されて一部は1/4波長板119を経て光電検出器120A,120Bに入射し、光電検出器120A,120Bの検出信号が信号処理装置121に供給されている。信号処理装置121は、光電検出器120A,120Bの検出信号を処理することによって、密閉容器117中の真空の光路を基準として密閉容器114中の気体の屈折率、ひいてはウエハ室38内の気体の屈折率を算出する。
また、0℃における1気圧の条件下で、ヘリウムの屈折率は1.000035、不純物としての酸素の屈折率は1.000272であるため、計測された屈折率の値から例えば線形近似によって酸素濃度(ppm)を間接的に求めることができる。その屈折率の値はウエハ室38内のレーザ干渉計の計測値を求める場合にも使用されるため、屈折率計測システムを不純物センサとしても使用することによって、必要な設備を少なくすることができる。
次に、図4の実施の形態の第1の変形例につき図5を参照して説明する。図5において、図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図5はその変形例の気体供給回収装置を示し、この図5において、図4の回収装置4が回収装置4Aで置き換えられている。回収装置4Aにおいて、ロードロック室72A,72Bからそれぞれ排気管17G,17H及び送風ポンプ63C,63Dを介して回収された気体はガス純化器101に供給される。ガス純化器101は、内部に冷凍装置を備え、供給された気体の温度を低下させて、順次液化した成分を分離することによって、高純度のパージガス成分のみを抽出する。本例のパージガスであるヘリウムの沸点は−268.9℃であり、不純物としての酸素、二酸化炭素、…の沸点はそれぞれ−183℃、−78.5℃、…とヘリウムの沸点よりもかなり高いため、ガス純化器101によってヘリウムのみを高純度で分離することができる。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、ガス純化器101によって、水蒸気も分離できるように構成することが望ましい。
ガス純化器101で分離された高純度のパージガス(ヘリウム)は、配管7Gに供給される。配管7Gには、ウエハ室38から排気管17E及び送風ポンプ63Aを介して回収された気体も供給されており、配管7Gで合成された気体は、ケミカルフィルタ65A、防塵フィルタ66A、及び配管7Bを介して給気装置5に供給される。このように回収装置4Aには、ロードロック室72A,72Bから回収された気体からパージガスを高純度で分離するガス純化器101が含まれている点が図4の実施の形態とは異なっており、それ以外は図4の実施の形態と同様である。
図5の実施の形態によれば、ウエハ搬送室73に接しており不純物濃度が高くなり易いロードロック室72A,72Bから回収された気体を、ガス純化器101に通しているため、再利用するパージガスの純度を高めることができる。また、ウエハ室38から回収された気体は、ガス純化器101を通すことなく給気装置5に供給されている。なぜなら、ウエハ室38内の気体の不純物濃度はかなり低く管理されているため、特にガス純化器101に通す必要はないからである。これによって、ガス純化器101を小型化でき、製造コストを低減できる。なお、ウエハ室38から回収された気体をガス純化器101に通して、再利用するパージガスの純度を更に高めてもよい。
次に、図4の実施の形態の第2の変形例につき図6を参照して説明する。図6において、図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図6はその変形例の気体供給回収装置を示し、この図6において、給気装置5から温度制御装置68A及び防塵フィルタ66Bを介して給気管16E側に供給されたパージガスの一部が、分岐された電磁バルブ付きの給気管16Fを介してウエハ搬送室73に供給されている。また、ウエハ室38とロードロック室72A,72Bとの間にはバイパス用の配管61A,61Bが設けられているが、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間にはバイパス用の配管は設けられていない。それ以外の構成は図4の実施の形態と同様である。
図6の構成例においては、不純物濃度が高くなるウエハ搬送室73だけは単独にパージガスの供給、及び内部の気体の排気が行われている。そして、ウエハ室38とロードロック室72A,72Bとは、図4の実施の形態と同様にパージガスの循環が行われている。これによって、ウエハ室38内の不純物濃度を容易に低く管理することが可能となっている。この第2の変形例では、ロードロック室72A,72Bは一時的にも外気と連通することがないため、バイパス用の配管61A,61B中の逆止弁VA1,VB1は省略してもよい。
次に、本発明の他の実施の形態につき図7を参照して説明する。本例は、隣接する複数の気密室内の気体の供給及び排気を互いに独立に行うものであり、図7において図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7は、本例の気体供給回収装置の構成を示す一部を断面図とした平面図であり、この図7において、ウエハ室38(露光室)は排気管17Eを介して送風ポンプ103に接続され、ロードロック室72A,72B(予備室)はそれぞれ排気管17G,17Hを介して送風ポンプ103に接続され、ウエハ搬送室73(搬送室)は排気管17F、図5のガス純化器101と同じ構成のガス純化器102、及び配管106を介して送風ポンプ103に接続されている。送風ポンプ103は、主制御系67の制御のもとで、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の気体を指定された流量で排気し、排気された気体は配管7Bを介して給気装置5Aに供給されている。
給気装置5Aは、送風ポンプ103から送られて来る気体を一時蓄積する大容量のタンクと、このタンク内の気体の一部を工場用の排気管105側に排気する排気部と、この排気された気体を補うように蓄積装置6から配管7Cを介して高純度のパージガスを取り込んでそのタンクに補充する補充部と、主制御系67からの指令に応じてそのタンク内の高純度のパージガスを配管7D側に供給する出力部とを備えている。
配管7Dは温度制御装置68A及び防塵フィルタ66Bを介して配管7Hに接続され、配管7Hは分岐した給気管16E,16G,16H,及び16Fを介してそれぞれウエハ室38、第1のロードロック室72A、第2のロードロック室72B、及びウエハ搬送室73に連結されている。また、本例の給気管16E,16G,16H,16Fにはそれぞれ内部を流れる気体の流量を制御する流量制御弁(例えばバタフライ・バルブよりなる)VR1〜VR4が設けられ、これらの流量制御弁VR1〜VR4の開閉動作も主制御系67によって制御されている。
本例では、主制御系67の制御のもとで、給気装置5Aから給気管16E,16G,16H,16Fを介してそれぞれウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73に互いに独立に設定された流量で、ほぼ外気と同じ1気圧程度で所定温度に制御された、高純度のパージガス(本例ではヘリウムガス)がダウンフロー方式で供給される。即ち、隣接する気密室間にバイパス用の配管は設けられていない。そして、ウエハ室38及びロードロック室72A,72Bから排気された気体は、排気管17E,17G,17Hを介して給気装置5A内に回収されて再び使用される。また、ウエハ搬送室73から排気された気体は、排気管17F、ガス純化器102、及び配管106を介して高純度のパージガスのみが抽出され、この抽出された高純度のパージガスが給気装置5Aに回収されて再び使用される。
また、本例においても、図7において、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内に酸素濃度センサ93A〜93Dが設置され、主制御系67は、酸素濃度センサ93A〜93Dによって計測される不純物としての酸素の残留濃度が、各気密室毎に設定されている許容値以下になるように、給気装置5A及び流量制御弁VR1〜VR4の動作を制御する。これによって、ウエハ室38内の不純物濃度は許容値以下に抑えられて、高いスループットで露光が行われる。
また、本例ではウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73から回収された気体は、一度給気装置5A内の大容量のタンク内に蓄積され、ここで所定純度のパージガスが得られるように、一部の気体が蓄積装置6内の高純度のパージガスと交換される。従って、簡単な構成で、且つ簡単な制御で、複数の気密室から回収された気体を再び高純度のパージガスとして再利用することができる。更に、不純物濃度が高いウエハ搬送室73から排気された気体はガス純化器102に通しているため、その不純物の影響は無くなっている。
なお、例えば給気装置5Aで排気する気体を増加して、蓄積装置6から補充する高純度のパージガスの量を多くする場合には、不純物の影響を少なくできるため、ガス純化器102を省略して、ウエハ搬送室73から回収された気体を直接給気装置5Aに供給するようにしてもよい。逆に、給気装置5Aで排気する気体をできるだけ少なくして、再利用するパージガスの割合を増やしたい場合には、ガス純化器102を図7の送風ポンプ103と給気装置5Aとの間の位置P1に移して、全部の気密室から回収された気体をガス純化器102に通して、得られた高純度のパージガスを再利用するようにしてもよい。
また、図7の構成例においても、不純物としての酸素の濃度の許容値は、一例としてウエハ室38内では1枚のウエハを交換してから、そのウエハのアライメント及び露光を行ってそのウエハが交換されるまでの1サイクル(例えば20〜30sec程度)の間に連続して5〜20ppmである。また、ロードロック室72A,72B内での酸素濃度の許容値は、ウエハ室38内での許容値の2倍〜10倍程度に設定され、ウエハ搬送室73内での酸素濃度の許容値は、ロードロック室72A,72B内での許容値の10倍〜100倍程度に設定されている。
なお、上記の実施の形態では、ロードロック室72A,72Bに比べてウエハ搬送室73内の不純物濃度の許容値は高く設定されているが、ロードロック室72A,72B及びウエハ搬送室73内の不純物濃度の許容値を共通にウエハ室38内と同程度以上の許容値に設定してもよい。この場合には、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73とを一つの気密室としてもよい。また、検出対象の吸光物質(不純物)の種類を多くして、その吸光物質毎にその濃度の許容値を異ならせてもよく、最も許容値が厳しい物質の濃度に着目してパージガスの流量などを制御するようにしてもよい。
また、パージガスの別の管理方法として、ウエハ室38に隣接するロードロック室72A,72Bではその内部の吸光物質(不純物)の許容濃度をウエハ室38内と同程度に設定し、ロードロック室72A,72Bよりもウエハカセット側に配置されるウエハ搬送室73などでは、その内部の吸光物質の許容濃度をウエハ室38内よりも高く設定するようにしてもよい。これによって管理が単純化される。
なお、露光光としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)などを使用する場合にも、その光路にはヘリウムガスや窒素ガスなどのパージガスを供給することが望ましい。しかしながら、その場合のパージガスの濃度は例えば90〜99%程度に落としても、ウエハ上で高い露光強度が得られると共に、レーザ干渉計等のセンサでも高い計測精度が得られる。但し、この場合にそのセンサの光路での屈折率の揺らぎが大きくならないように、気密室に対するパージガスの供給管や排気管の位置をそのセンサの光路からできるだけ離して配置することが望ましい。
なお、露光光としてF2レーザ光、或いはF2レーザ光より短い波長の光を使用する場合には、その光路にヘリウムガスや窒素ガス等のパージガスを供給しつつ、露光光を吸収する吸光物質(前述した酸素、水蒸気、有機物等を含む)の濃度を厳密に管理することが好ましい。
なお、上記の実施の形態のレチクルステージ系RSTはダブルステージ方式で、ウエハステージ系WSTはツインステージ方式であり、高いスループットが得られる。しかしながら、例えば露光装置をより小型化したいような場合には、レチクルステージ系及びウエハステージ系の少なくとも一方をシングル・ステージ方式としてもよく、この場合にも本発明が適用できる。
また、上記の実施の形態では、ウエハステージ系WST側の空間を搬送室、露光室(ウエハ室)、予備室に分割している。同様にして、レチクルステージ系RST側でレチクル(露光対象の物体とみなすことができる)が移動する空間を、レチクルが一時的に保持され、レチクルの搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、そのレチクルに露光光を照射する際にそのレチクルを収納する露光室(レチクル室)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室とに分割する場合にも本発明を適用することができる。
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を使用した半導体デバイスの製造工程の一例につき図10を参照して説明する。
図10は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図10において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、このウエハWを図1の投影露光装置の例えばウエハステージ40A上にロードする。次のステップS12において、図1のレチクルR1を照明領域の下方に移動して、レチクルR1のパターン(符号Aで表す)をウエハW上の全部のショット領域SEに走査露光する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。
次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、その後ステップS18において、図1のレチクルR1の代わりにレチクルR2を照明領城の下方に移動して、レチクルR2のパターン(符号Bで表す)をウエハW上の各ショット領域SEに走査露光する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。
以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
また、上記の実施の形態では、走査露光方式の投影露光装置に本発明を適用したが、本発明はこれに限られず、ステップ・アンド・リピート方式等の一括露光型(静止露光型)の投影露光装置、或いはプロキシミティ方式等の露光装置であっても同様に適用することができる。
なお、露光装置の用途としては半導体素子製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン、薄膜磁気ヘッド、又はDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
また、上記の実施の形態の露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をすると共に、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、要約を含む2001年3月19日付け提出の日本国特願2001−079531の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明の第1の露光方法によれば、露光の1サイクルの間、気密室内の不純物の濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気密室に対する露光ビームを透過する気体の供給量を制御しているため、その気密室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その気密室内の物体の交換を行うことができる。
また、本発明の第2の露光方法によれば、露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室に露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給された気体を配管を介して予備室内に供給しているため、その露光室(気密室)内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その露光室内の物体の交換を行うことができる。
また、本発明の第3の露光方法によれば、複数の気密室内から排気された気体を共通の容器内に回収し、この回収された気体の一部を排気するとともに、その回収された気体に露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、この純化処理が施された気体を複数の気密室内に供給しているため、その複数の気密室の内の露光室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その露光室内の物体の交換を行うことができる。
更に本発明のデバイス製造方法によれば、本発明の露光方法を用いて高いスループットで各種デバイスを製造できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を示す一部を切り欠いた概略構成図である。図2は、図1の投影露光装置の一部を切り欠いた右側面図である。図3は、図2のウエハ室38及びウエハローダ室70の内部のウエハステージ系及びウエハローダ系を示す一部を切り欠いた平面図である。図4は、図1の実施の形態の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図5は、図4の実施の形態の第1の変形例の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図6は、図4の実施の形態の第2の変形例の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図7は、本発明の別の実施の形態の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図8は、図4の実施の形態の複数の気密室内の不純物濃度の変化の一例を示す図である。図9は、不純物センサとして代用できる屈折率測定装置の一例を示す図である。図10は、本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を用いた半導体デバイスの製造工程の一例を示す図である。
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、プラズマディスプレイ素子又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写する際に使用される露光方法及び装置、並びにその露光方法を使用するデバイス製造方法に関する。
背景技術
半導体素子等を製造する際に使用される一括露光型(ステッパー型)、又は走査露光型(ステップ・アンド・スキャン方式等)の露光装置においては、解像度を更に高めるために、露光ビームとしてKrFエキシマレーザ(波長248nm)よりも短波長のArFエキシマレーザ(波長193nm)が使用されつつある。また、露光ビームとして、更に短波長のF2レーザ光(波長157nm)等の使用も検討されている。ところが、これらの波長200nm以下程度の真空紫外光(VUV光)は、通常の空気に含まれる酸素等の気体(不純物)による吸収率が高いため、その真空紫外光を露光ビームとして使用する場合には、露光光源から被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)までの露光ビームの光路の大部分を気密室(サブチャンバ)内に収納し、この気密室内に窒素ガスやヘリウムガスのような真空紫外光に対して高透過率の気体(パージガス)を供給する必要がある。
そのため、ウエハの位置決めを行うウエハステージを、気密室としてのウエハ室内に収納する必要性がある。更に、このウエハ室内にパージガスを供給し、そのウエハ室内の不純物濃度が許容範囲を超えたときに、そのウエハ室内の気体をそのパージガスで再置換するようにした露光装置が提案されている。
上記の如く真空紫外光を露光ビームとして使用する露光装置では、ウエハ室内に真空紫外光を透過する気体であるパージガスを供給することが検討されている。これに関して、露光装置においては、1つの露光工程で、1ロットのウエハに順次露光を行う必要がある。未露光のウエハ、及び露光済みのウエハは、ほぼ大気環境下に設置されたウエハカセット内に収納されているため、露光工程中に、そのウエハカセットとその気密化されたウエハ室との間で繰り返してウエハの交換を行う必要がある。
しかしながら、このように露光工程中に、ほぼ大気環境下のウエハカセットとそのパージガスが供給されているウエハ室との間でウエハの交換を行うと、そのウエハ室内に大気、ひいては露光ビームを吸収する酸素等の不純物が混入して、そのウエハ室内の不純物の濃度が上昇してしまう。
更に、例えばパージガスとしてヘリウムガスを使用する場合には、ヘリウムガスは高価であるため、そのようにウエハ室内と大気環境下のウエハカセットとの間を直接連通できるようにすると、ウエハ交換毎にヘリウムガスが大量に漏れ出ることになる。その結果、ヘリウムガスの使用量が増加して、露光装置の運転コストが上昇するという不都合がある。
また、マスクとしてのレチクルの位置決めを行うレチクルステージが収納されるレチクル室内にもパージガスが供給されるが、露光工程中にそのレチクルステージ上のレチクルの交換を行うために、単にレチクル室を開放する場合には、ウエハ室の場合と同様に、レチクル室内の不純物濃度が大幅に上昇してしまう。そのため、レチクル室内をパージガスで再置換するものとすると、露光工程のスループットが低下し、パージガスの使用量も増加してしまう。
本発明は斯かる点に鑑み、露光対象の物体を気密室内に収納して、その気密室内に露光ビームを透過する気体を供給する場合に、その気密室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その気密室内の物体の交換を行うことができる露光技術を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明による第1の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体をその露光ビームを透過する気体が供給される気密室(38)内に収納して露光を行うとともに、その物体をその気密室内に搬入して、その物体をその露光ビームで露光して、その物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、その気密室内の不純物の濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気密室に対するその露光ビームを透過する気体の供給量を制御するものである。
斯かる本発明によれば、その気密室内の物体を交換する際にも、その気密室内の不純物濃度が急激に高まることがなくなり、その露光ビームを透過する気体の使用量も低く抑えることができる。
この場合、一例としてその1サイクルは20〜30秒であり、その許容範囲は10ppb〜20ppmである。その許容範囲を10ppbより小さくするのは、その気密室の気密性を高めるための設備や、その気密室内にその露光ビームを透過する気体を供給する設備のコストが高くなり過ぎる一方で、その許容範囲を20ppmより大きくすると、その気密室内でのその露光ビームの吸収率が高くなり、その物体上での照度が低下して、スループットを高められなくなる。
なお、許容範囲を10ppb〜20ppmと広範囲に設定しているのは、露光装置における露光ビームの波長を200nm以下の真空紫外光に対応させるためである。すなわち、露光ビームの波長がArFエキシマレーザ(波長193nm)であれば、不純物として、酸素及び有機物に着目し、酸素濃度及び有機物濃度の少なくとも一方を5〜20ppm以下にすればよい。また、露光ビームの波長がF2レーザ(波長157nm)であれば、不純物として、酸素、水蒸気及び有機物に着目し、酸素濃度及び水蒸気濃度を0.1ppm以下にし、有機物濃度を10ppb以下にすればよい。
次に、本発明の第2の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体が一時的に保持され、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)とにその物体が移動する空間を分割し、その露光室とその予備室とを配管(61A,61B)によって連通させて、その露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室にその露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給された気体をその配管を介してその予備室内に供給し、その予備室内に供給されたその気体の少なくとも一部をその搬送室を介して排気するものである。
斯かる本発明によれば、その露光対象の物体が収納される露光室(38)と、その外気に開放される搬送室(73)との間に予備室(72A,72B)が配置されるため、その露光室内の物体を交換する場合にもその露光室が直接外気に開放されることがない。また、その露光ビームを透過する気体は、露光室から予備室を経て搬送室側に流れるため、その物体の交換時にその露光室内の不純物濃度が急激に高まることはない。
本発明において、その露光室内に例えばツイン・ステージ方式のステージ系が設置されるようなときには、2つの可動ステージに対応させて2つの予備室を設けるようにしてもよい。なお、本発明における予備室は、必要に応じて少なくとも1つ以上設ければよい。
また、その予備室とその搬送室とを配管(62A,62B)で連通させるようにしてもよい。これによって、予備室と搬送室との間のシャッタが閉じている場合に、搬送室を外気に開放するような場合でも、予備室から搬送室にその露光ビームを透過する気体が流れるため、搬送室内に不純物を含む外気が大量に流入することがなくなる。
また、その予備室内の気体の排気を行うようにしてもよく、この場合には更にその予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる清浄な気体を再びその露光室に供給するようにしてもよい。予備室内の気体は不純物の量が少ないため、不純物除去処理を行って再利用することによって、その露光ビームを透過する気体の使用量を減少させることができ、運転コストを低減できる。
次に、本発明の第3の露光方法は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光方法において、その物体が一時的に保持されて、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)とにその物体が移動する空間を分割し、その搬送室、その露光室、及びその予備室内から排気された気体を共通の容器(5A)内に回収し、この回収された気体の一部を排気するとともに、その回収された気体にその露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、この純化処理が施された気体をその搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給するものである。
斯かる露光方法においても、その露光室とその搬送室との間に予備室が配置されているため、その露光室内の物体の交換を行う際にも、その露光室内の不純物濃度が急激に上昇することがない。また、複数の部屋から排気された気体を共通の容器に回収し、この回収された気体に純化処理を行うようにしているため、給排気機構を単純化して、且つ単純な制御でその露光室内の不純物濃度を低く管理することができる。
この場合、その搬送室を外気に開放した際にその搬送室内に混入する外気の体積を所定倍した体積のその露光ビームを透過する気体をその回収された気体に加えるようにしてもよい。これによって、制御が更に容易になる。
また、その搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給される気体の流量を互いに独立に制御し、その搬送室、その露光室、及びその予備室内から排気される気体の圧力を互いに独立に制御することが望ましい。これによって、例えば露光室内の不純物濃度の許容値を他の部屋内の不純物濃度の許容値よりも低くするというように、複数の部屋内の不純物濃度を独立に管理できる。
また、その搬送室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体をその容器内に回収することが望ましい。搬送室は外気に開放されることがあり、その内部の気体は他の部屋に比べて不純物の濃度が高いと考えられるため、そのように不純物除去処理を行うことによって、その露光室内の不純物濃度を低下させることができる。
次に、本発明の第1の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その露光時にその物体を収納する気密室(38)と、その露光ビームを透過する気体をその気密室内に供給する気体供給装置(5,6)と、その気密室内の不純物濃度を計測する不純物センサ(93A)と、その物体をその気密室内に搬入し、その露光ビームで露光を行い、その物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、その不純物センサによって計測される濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気体供給装置の動作を制御する制御系(67)とを有するものである。この露光装置によって、本発明の第1の露光方法を実施できる。
また、本発明の第2の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その物体を一時的に保持し、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)と、その露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室にその露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給されたその気体を配管(61A,61B)を介して、その予備室内に供給する気体供給系(5,6)と、その予備室内に供給されたその気体の少なくとも一部をその搬送室を介して排気する気体排気系(17F,63B)とを有するものである。斯かる露光装置によって本発明の第2の露光方法を実施できる。
この場合、その予備室とその搬送室とを連通させる配管(62A,62B)と、その予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体を再びその露光室に供給する気体純化系(4,5,6)とを設けることが望ましい。
また、本発明の第3の露光装置は、露光ビームで物体(W1)を露光する露光装置において、その物体が一時的に保持されて気密化され、その物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室(73)と、その物体を露光する際に、その物体を収納する露光室(38)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室(72A,72B)と、その搬送室、その露光室、及びその予備室内の気体を共通の容器(5A)に回収する排気系(103)と、この回収された気体の一部を排気するとともに、この回収された気体にその露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行う気体純化系(5A,6)と、この純化処理が施された気体をその搬送室、その露光室、及びその予備室内に供給する気体供給系(68A)とを有するものである。この露光装置によって本発明の第3の露光方法を実施できる。
次に、本発明のデバイス製造方法は、本発明の露光方法を用いてデバイスパターン(R1,R2)をワークピース(W1,W2)上に転写する工程を含むものである。本発明によって、微細なデバイスを高スループットで量産することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、露光ビームとして真空紫外光を用いた、ステップ・アンド・スキャン方式よりなる走査露光方式の投影露光装置で露光を行う場合に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置を示す正面図、図2はその投影露光装置を示す側面図であり、この図1及び図2において、一例として本例の投影露光装置の大部分は半導体製造工場の床1上のクリーンルーム内に設置され、その階下の機械室の準クリーンルーム内の床2上にその投影露光装置の露光光源3が設置されている。露光光源3としては、ArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されるが、それ以外のF2レーザ光源(波長157nm)、Kr2レーザ光源(波長146nm)、YAGレーザの高調波発生装置、半導体レーザの高調波発生装置等の真空紫外光(本例では波長200nm以下の光)を発生する光源も使用することができる。また、露光光源3としてKrFエキシマレーザ光源(波長248nm)や水銀ランプ(i線等)等を使用する場合にも本発明が適用できる。
本例のように露光ビームとして真空紫外光を使用する場合、真空紫外光は、通常の大気中に存在する酸素、水蒸気、炭化水素系ガス(二酸化炭素等)、有機物、及びハロゲン化物等の吸光物質よりなる不純物によって大きく吸収されるため、露光ビームの減衰を防止するためには、これらの不純物の気体の濃度を露光ビームの光路上で平均的に10ppb〜100ppm程度以下に抑えることが望ましい。そこで本例では、その露光ビームの光路上の気体を、露光ビームを透過する気体、即ち窒素(N2)ガス、又はヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、若しくはラドン(Rn)よりなる希ガス等の露光ビームに対して高透過率で化学的に安定であると共に、不純物が高度に除去された気体(以下、「パージガス」とも呼ぶ。)で置換する。窒素ガス及び希ガスをまとめて不活性ガスとも呼ぶ。
なお、その不純物(吸光物質)の濃度(又はその許容値)は、露光ビームの光路上に存在する不純物の種類に応じて異ならせてもよく、例えば有機系の不純物の濃度を10ppb〜10ppm程度以下として最も厳しく管理し、それに続いて、水蒸気、酸素、及びその他の物質に順にその濃度を緩くしてもよい。
なお、本例では、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、酸素濃度及び水蒸気濃度を0.1ppm以下、有機物濃度が10ppb以下になるように、厳しく管理する必要がある。
また、窒素ガスは、真空紫外域中でも波長150nm程度までは露光ビームが透過する気体(パージガス)として使用することができるが、波長が150nm程度以下の光に対してはほぼ吸光物質(不純物)として作用するようになる。そこで、波長が150nm程度以下の露光ビームに対するパージガスとしては希ガスを使用することが望ましい。また、希ガスの中では屈折率の安定性、及び高い熱伝導率等の観点より、ヘリウムガスが望ましいが、ヘリウムは高価であるため、運転コスト等を重視する場合には他の希ガスを使用してもよい。また、パージガスとしては、単一の種類の気体を供給するだけでなく、例えば窒素とヘリウムとを所定比で混合した気体のような混合気体を供給するようにしてもよい。
そして、以下では屈折率の安定性(結像特性の安定性)、並びに高い熱伝導率(高い冷却効果)等を重視して、そのパージガスとしてヘリウムガスを使用する場合を例にとって本発明の実施の形態を説明する。ヘリウムガスを使用する場合には、屈折率の揺らぎが小さくなるため、レーザ干渉計やアライメントセンサ等の各種センサの計測精度も向上する。そのため、床2上には、投影露光装置及びこれに付属する装置内の複数の気密室に対して高純度のパージガスを供給し、それらの気密室を流れた気体の少なくとも一部を回収して再利用するための気体供給回収装置(給排気機構)の本体部が設置されている。更に本例では、各ステージ系で使用されるエアーベアリング(エアーパッド)で緩衝用に使用される気体としてもそのパージガスと同じ気体が使用されると共に、各ステージ系等の計測システムとして使用されるレーザ干渉計の計測ビームの光路にもそのパージガスと同じ気体が供給されている。この際に、その計測ビームの光路上の気体(パージガス)の屈折率を計測する機構が備えられており、この計測値に基づいてそのレーザ干渉計の計測値の補正が行われる。
その気体供給回収装置の本体部は、図2に示すように、送風ポンプを含み対応する気密室から不純物を含む気体を回収する回収装置4、高純度のパージガスを蓄積する蓄積装置6、その回収された気体に必要に応じて高純度のパージガスを加えてその気密室に供給する給気装置5、及びこれらの装置全体の動作を統轄制御する主制御系67(図4参照)を備えている。また、その気密室と給気装置5及び回収装置4とはそれぞれ給気管7D及び排気管7Aを介して連結され、回収装置4と給気装置5とは配管7Bを介して連結され、給気装置5と蓄積装置6とは配管7Cを介して連結されている。
本例の露光ビームとしての露光光ILの光路は複数の気密室(投影光学系の内部も含む)に分かれており、それらの気密室のいくつかに通じる気密室も設けられており、これらの内の1つ毎の気密室、又は数個毎の気密室に対応して、それぞれ図2の構成の気体供給回収装置が設けられている。その気体供給回収装置は、ほぼ大気圧に近いパージガスをほぼ定常的な流れによるガスフロー制御によって、対応する気密室に供給している。その他に、例えば投影露光装置の稼働開始直後等には、所定の気密室内の気体を短時間にパージガスで置換するために、当該気密室内の気体を或る程度吸引してからそのパージガスを供給するようにしてもよい。それらの内の特定の気体供給回収装置の詳細な構成及び動作については後述する。
以下、本例の投影露光装置の構成につき詳細に説明する。先ず図2において、床2上の露光光源3から射出された露光ビームとしての波長193nmのパルスレーザ光よりなる露光光(露光用の照明光)ILは、補助チャンバ8内のミラーを経て上方に反射されて、その上の床1上の第1サブチャンバ9内のビームマッチングユニット(不図示)によって光軸が調整されて第1照明系IS1に入射する。この第1照明系IS1において、露光光ILはビーム整形光学系(不図示)によって断面形状が整形されて、透過率を切り換えることができる減光フィルタ部(不図示)によってパルスエネルギーが調整されて、照度分布均一化用のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としてのフライアイレンズ10に入射する。
フライアイレンズ10の射出面は、後続の光学系によって被照明体としてのレチクルR1(又はR2)のパターン面(以下、「レチクル面」という)に対して光学的なフーリエ変換面(照明光学系の瞳面)に合致するように配置されている。この瞳面には、露光光の開口数を決定するための絞り切り換え部材11が配置され、この絞り切り換え部材11には、通常照明用の開口絞り、小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の開口絞り、輪帯照明用の開口絞り、複数の開口を持つ変形照明用の開口絞り等からなる複数の照明系の開口絞り(σ絞り)が交換自在に配置されており、装置全体の動作を統轄制御する主制御系(不図示)の制御によって、照明条件に応じたσ絞りが露光光ILの光路上に設置される。
そのσ絞りを通過した露光光ILは、第1リレーレンズ系12を経て反射率が大きく透過率の小さいビームスプリッタ13に入射し、ビームスプリッタ13を透過した光は光電検出器よりなるインテグレータセンサ14で受光され、このインテグレータセンサ14の検出信号に基づいて、ウエハ上で適正露光エネルギーが得られるように露光光ILのパルスエネルギーが制御される。一方、ビームスプリッタ13で反射された露光光ILは、ほぼ水平に第1の照明系IS1の射出面に配置された可動視野絞り15に入射する。可動視野絞り15の配置面は、レチクル面とほぼ共役であり、この可動視野絞り15は、被露光基板としてのウエハW1(又はW2)の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に、本来の回路パターン以外のパターンが露光されないように視野を開閉する役割を果たす。視野の開閉時に振動を発生する恐れのある可動視野絞り15が配置された第1照明系IS1は、露光本体部とは別体として第1サブチャンバ9内に支持されているため、露光本体部での露光精度(重ね合わせ精度、転写忠実度等)が向上する。
なお、可動視野絞り15は、走査露光の開始時及び終了時にその視野を開閉する、即ち走査方向に関する視野の幅を変更するだけでなく、走査露光に先立ち、転写対象の回路パターンの非走査方向に関する大きさに応じて、その視野の非走査方向の幅を変更できるようにも構成されている。整形光学系(不図示)〜可動視野絞り15より第1照明系IS1が構成され、第1照明系IS1は気密性の高い箱状の第1サブチャンバ9内に収納されている。
可動視野絞り15を通過した露光光ILは、露光本体部のフレーム機構に取り付けられた第2サブチャンバ19内の第2照明系IS2に入射する。第2照明系IS2の入射面、即ちレチクル面との共役面から所定量だけデフォーカスした面には固定視野絞り20が配置され、固定視野絞り20には、そのレチクル面での照明領域を走査方向に直交する非走査方向に細長いスリット状の領域に規定するための開口が形成されている。固定視野絞り20を通過した露光光ILは、第2リレーレンズ系21A、レンズ系21B、光路折り曲げ用のミラー22、及びコンデンサレンズ系21Cを経てマスクとしてのレチクルR1のパターン面の照明領域を照明する。固定視野絞り20〜コンデンサレンズ系21Cより第2照明系IS2が構成され、第2照明系IS2は気密性の高い箱状の第2サブチャンバ19内に収納されている。第1照明系IS1及び第2照明系IS2より照明光学系が構成されている。なお、固定視野絞り20は、前述したレチクル面との共役面からデフォーカスした面ではなく、レチクル面から所定間隔だけ離れた面に配置するようにしてもよい。
図1において、その露光光ILのもとで、レチクルR1(又はR2)の照明領域内のパターンの像は、投影系としての投影光学系PLを介して投影倍率β(βは、1/4倍又は1/5倍等)で、感光基板(感応基板又は被露光基板)としてのフォトレジストが塗布されたウエハW1(又はW2)上のスリット状の露光領域に投影される。この状態でレチクルR1及びウエハW1を投影倍率βを速度比として所定の走査方向に同期移動することで、ウエハW1上の一つのショット領域にレチクルR1のパターン像が転写される。この露光に際して、複数枚のレチクルのパターンの像をステップ・アンド・スティッチ方式で継ぎ合わせながら露光してもよい。本例のウエハステージ系は後述のようにダブル・ステージ方式であるため、投影光学系PLの像面側には2つのウエハW1,W2がそれぞれ独立に移動できるように配置されている。ウエハW1,W2が本発明の露光対象の物体に対応しており、ウエハW1,W2は例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が200mm又は300mm等の円板状の基板である。
投影光学系PLとしては、例えば国際公開(WO)00/39623号に開示されているように、1本の光軸に沿って複数の屈折レンズと、それぞれ光軸の近傍に開口を有する2つの凹面鏡とを配置して構成される直筒型の反射屈折系や、1本の光軸に沿って屈折レンズを配置して構成される直筒型の屈折系等を使用することができる。更に、投影光学系PLとしては、例えば日本国特願2000−59268に開示されているように、レチクルからウエハに向かう光軸を持つ光学系と、その光軸に対してほぼ直交する光軸を持つ反射屈折光学系とを有し、内部で中間像を形成する反射屈折系、又は双筒型の反射屈折系等を使用してもよい。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(本例ではほぼ水平面に合致している)内で走査露光時のレチクルR1及びウエハW1の走査方向(即ち、図1の紙面に垂直な方向)に沿ってY軸を取り、非走査方向(即ち、図1の紙面に平行な方向)に沿ってX軸を取って説明する。
ここで、本例のレチクルR1,R2を支持するステージ系、投影光学系PL、及びウエハW1,W2を支持するステージ系を含む露光本体部の全体の構成につき説明する。即ち、図1の床1上にほぼ正方形の頂点に配置された4箇所の防振台31A〜31D(3箇所等でもよい)を介して剛性の高い定盤32が設置され、定盤32の中央部にウエハベース39が設置され、定盤32及びウエハベース39を第1ベース部材とみなすことができる。そして、定盤32上に電気式の水準器(不図示)が設置されており、防振台31A〜31Dはそれぞれエアーダンパ又は油圧式のダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパと、ボイスコイルモータ等のアクチュエータよりなる電磁式のダンパとを含む能動型の防振装置である。一例としてその水準器で検出される定盤32の上面の水平面に対する傾斜角(2軸の回りの傾斜角)が許容範囲内に収まるように、4個の防振台31A〜31D中の電磁式のダンパが駆動され、必要に応じて機械式のダンパの空気圧又は油圧等が制御される。この場合、機械的なダンパによって、床からの高い周波数の振動は露光本体部に伝わる前に減衰され、残存している低い周波数の振動は電磁的なダンパによって減衰される。
定盤32の上面にほぼ正方形の頂点に位置するように4本のコラム33が固定され、4本のコラム33の上面に4箇所の防振台34を介して、中央部に露光光ILを通過する開口が設けられた支持板35が固定されている。なお、防振台34は防振台31A〜31Dと同一構成(但し、耐荷重は小さい)の能動型の防振装置であり、コラム33及び防振台34、並びに防振台31A〜31Dをほぼ正三角形の頂点に位置するように3箇所に配置するようにしてもよい。図2に示すように、支持板35上に第2照明系IS2が収納された第2サブチャンバ19が設置されている。
図1に戻り、支持板35は第2ベース部材ともみなすことができ、その上面は平面度の極めて良好なガイド面に仕上げられ、そのガイド面上にレチクルステージ24がエアーベアリングを介して円滑に2次元的に摺動自在に載置され、レチクルステージ24上にレチクルR1が真空吸着等によって保持されている。図2に示すように、レチクルステージ24上のレチクルR1の走査方向SDに隣接する領域に別のレチクルR2が保持されており、例えば二重露光などが効率的に実行できるように構成されている。このように本例のレチクルステージ24は、1つのステージに2枚のレチクルが載置されるダブルステージ方式であるが、各レチクル毎に可動ステージを用いるツインステージ方式を採用してもよい。
レチクルステージ24は、例えばレチクルR1,R2を保持する微動ステージと、これを囲む枠状の粗動ステージとから構成されており、後者の粗動ステージを不図示のリニアモータによってY方向(走査方向)に駆動し、前者の微動ステージを例えば3個のアクチュエータによって粗動ステージに対してX方向、Y方向、回転方向に微動することによって、レチクルR1,R2を+Y方向又は−Y方向に所望の走査速度で高精度に駆動すると共に、同期誤差を補正することができる。この際に、レチクルステージ24は、不図示の駆動部材を用いてY方向に対して運動量保存則を満たすように駆動されて、走査露光時に振動が殆ど発生しないように構成されている。また、レチクルステージ24のX方向の位置情報を検出するためにレーザ干渉計よりなるX軸のレチクル干渉計25Xが配置され、レチクルステージ24のY方向の位置情報を検出するために図2に示すようにY軸のレチクル干渉計25Yが配置されている。レチクル干渉計25X,25Yはそれぞれ内部の参照鏡(不図示)を基準としてレチクルステージ24の位置を計測すると共に、それぞれ複数軸の干渉計を備えており、これらによってレチクルステージ24のX軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)も計測されている。
本例では、レチクルステージ24(可動ステージ)、この駆動装置(不図示)、レチクル干渉計25X,25Y等からレチクルステージ系RSTが構成され、レチクルステージ系RSTは気密性の高い箱状のレチクル室23に覆われており、レチクル室23の上板の中央部に露光光ILを通過させる窓部が形成されている。そして、レチクル干渉計25X,25Yによってレチクル室23に対するレチクルステージ24(レチクルR1,R2)の位置関係(X方向、Y方向への位置、及び回転角)が計測されており、レチクル干渉計25X,25Yの一部はそれぞれレチクル室23の側面に埋め込まれている。レチクル干渉計25X,25Yの背面にはコーナキューブ型の移動鏡が設けられている。なお、レチクル干渉計25X,25Yはその全てのユニットがレチクル室23内に収納されていなくともよい。即ち、レチクル干渉計25X,25Yの少なくとも一部、例えば一部の光学素子をレチクル室23に設け、その光学素子にその移動鏡を設けるようにしてもよい。これは、後述のウエハ干渉計49AX等についても同様である。
次に図1において、4本のコラム33のほぼ中間の高さの4箇所の段差部に、防振台36を介して第3ベース部材としての支持板37が固定され、支持板37に設けられたU字型の切り欠き部(不図示)に投影光学系PLがフランジ部を介して設置されている。即ち、投影光学系PLは支持板37に対して+Y方向(図2の右方向)から出し入れできるように支持されている。防振台36は防振台31A〜31Dと同一構成(但し、耐荷重は小さい)の能動型の防振装置であり、コラム33を3箇所に配置する場合には、防振台36も3箇所に配置される。定盤32、ウエハベース39、コラム33、防振台34、支持板35、防振台36、及び支持板37の集合体(32〜37)をフレーム機構とみなすことができる。
そして、投影光学系PLの下端部にはリング状の基準板102が固定され、支持板37の上面の端部にレーザ干渉計の光源部59が設置され、この光源部59から射出された波長安定化されたレーザビーム(例えば波長633nmのHe−Neレーザビーム)が、分岐光学系60によって複数軸の計測用のレーザビームに分岐されている。図1及び図2において、支持板37の上面の−X方向の端部、及び+Y方向の端部にそれぞれレーザ干渉計よりなるレチクル用のX軸の干渉計ユニット54X、及びY軸の干渉計ユニット54Yが設置され、これらの干渉計ユニット54X,54Yに分岐光学系60で分岐された2本のレーザビームが供給されており、これらに対応して投影光学系PLのX方向及びY方向の側面に参照鏡53X及び53Yが固定されている。この場合、干渉計ユニット54X,54Yは主計測系の一部に対応しており、X軸の干渉計ユニット54Xは、参照鏡53Xを基準として、レチクル干渉計25Xの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のX方向への変位量を計測し、Y軸の干渉計ユニット54Yは、参照鏡53Yを基準として、レチクル干渉計25Yの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のY方向への変位量を計測し、計測値を不図示の主制御系に供給する。干渉計ユニット54X,54Yは複数軸の計測軸を有しており、主制御系は供給された計測値に基づいて、投影光学系PLを基準としてレチクル干渉計25X,25Y、ひいてはレチクル室23のX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXR1,ΔYR1)及び回転角ΔθR1を算出する。
更に、レチクル干渉計25X,25Yによって計測されるレチクル室23を基準とする、レチクルステージ24(レチクルR1,R2)のX方向、Y方向への位置(XR1,YR1)及び回転角θR1も主制御系に供給されており、主制御系は以下の演算によって、投影光学系PLを基準としたレチクルステージ24のX方向、Y方向への位置(XR2,YR2)及び回転角θR2を算出する。
XR2=XR1+ΔXR1,YR2=YR1+ΔYR1 …(1A)
θR2=θR1+ΔθR1 …(1B)
このように算出される位置(XR2,YR2)及び回転角θR2に基づいて、主制御系はレチクルステージ24の位置及び速度を制御する。これによって、レチクルステージ24をレチクル室23内に密閉した構造でありながら、レチクルステージ24を投影光学系PLを基準として高精度に駆動することができる。
また、ウエハのアライメントを行うために、基準板102に投影光学系PLをX方向に挟むように、マーク検出系としてのオフ・アクシス方式で結像方式のアライメントセンサ27A及び27Bが固定されている。不図示であるが、レチクルステージ24の上方には、レチクルのアライメントを行うために、レチクルアライメント顕微鏡が配置されている。そのレチクルアライメント顕微鏡が、露光光と同一波長のアライメント光を用いるときには、そのアライメント光の全ての光路をパージガスで置換しておくことが望ましい。
次に、図1及び図2において、定盤32上に固定されたウエハベース39の上面は平面度の極めて良好なガイド面に加工され、このガイド面に可動ステージとしての第1のウエハステージ40A及び第2のウエハステージ40Bが、それぞれエアーベアリングを介して円滑に、かつX軸ガイド部材41,42及びY軸ガイド部材43A,43Bに沿って2次元的に摺動自在に載置され、ウエハステージ40A及び40B上にそれぞれ第1のウエハW1及び第2のウエハW2が真空吸着等によって保持されている。ウエハステージ40A,40Bは、例えばリニアモータ方式でY方向に連続移動すると共に、X方向及びY方向にステップ移動する。この際に、ウエハステージ40A,40Bは、それぞれX軸ガイド部材41,42及びY軸ガイド部材43A,43Bが逆方向に移動することによって、X方向、Y方向に対して運動量保存則を満たすように駆動されて、ステップ移動時及び走査露光時に振動が殆ど発生しないように構成されている。
また、ウエハステージ40A,40B内のZレベリング機構(試料台)は、レベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW1,W2のZ方向への変位、及び2軸の回り(即ち、X軸及びY軸の回り)の傾斜ができるように構成されている。このように本例のウエハステージは、ダブル・ウエハステージ方式である。そして、ウエハステージ40A及び40BのX方向の位置情報を検出するために、図1に示すようにレーザ干渉計よりなるX軸のウエハ干渉計49AX及び49BXが対向するように配置され、ウエハステージ40A,40BのY方向の位置情報を検出するために、図2に示すようにY軸のウエハ干渉計50AYが配置されている。Y軸の干渉計としては実際にはX方向に所定間隔で3軸分が配置されている(詳細後述)。
ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYはそれぞれ内部の参照鏡(不図示)を基準としてウエハステージ40A,40Bの位置を計測すると共に、それぞれ複数軸の干渉計を備えており、これらによってウエハステージ40A,40BのX軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)も計測されている。なお、レチクルステージ24及びウエハステージ40A,40Bにおいては、アッベ誤差が生じる方向、又は計測誤差が所定の許容値を超える恐れのある方向(軸)のみでその回転角(ピッチング量又はローリング量)を計測可能としてもよい。
本例では、ウエハステージ40A,40B、この駆動装置(X軸ガイド部材41,42、Y軸ガイド部材43A,43B等)、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AY等からウエハステージ系WSTが構成され、ウエハステージ系WSTは気密性の高い箱状のウエハ室38に覆われており、ウエハ室38の上板の中央部の開口に投影光学系PLの先端部が差し込まれている。ウエハ室38が本発明の気密室、又は露光室に対応している。そして、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYによってウエハ室38に対するウエハステージ40A,40B(ウエハW1,W2)の位置関係(X方向、Y方向への位置、及び回転角)が計測されており、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYの一部はそれぞれウエハ室38の側面に埋め込まれている。
次に図1及び図2において、支持板37の底面の±X方向の端部、及び+Y方向の端部にそれぞれレーザ干渉計よりなるウエハ用のX軸の干渉計ユニット57AX,57BX、及びY軸の干渉計ユニット57Yが設置され、これらの干渉計ユニット57AX,57BX,57Yにも分岐光学系60で分岐された3本のレーザビームが供給されており、これらに対応して投影光学系PLのX方向及びY方向の側面に参照鏡56AX,56BX及び56Yが固定されている。この場合、干渉計ユニット57AX,57BX,57Yは主計測系の一部に対応しており、X軸の干渉計ユニット57AX,57BXは、それぞれ参照鏡56AX,56BXを基準として、ウエハ干渉計49AX,49BXの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のX方向への変位量を計測し、Y軸の干渉計ユニット57Yは、参照鏡56Yを基準として、ウエハ干渉計50AYの背面に固定されたコーナーキューブ型の移動鏡のY方向への変位量を計測し、計測値を不図示の主制御系に供給する。干渉計ユニット57AX,57BX,57Yは複数軸の計測軸を有しており、主制御系は供給された計測値に基づいて、投影光学系PLを基準としてウエハ干渉計49AX,50AYの位置ずれ量、ひいてはウエハ室38のX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXW1,ΔYW1)及び回転角ΔθW1を算出する。これと並列にウエハ干渉計49BX,50AYのX方向、Y方向への位置ずれ量(ΔXW2,ΔYW2)及び回転角ΔθW2も算出する。
更に、一方のウエハ干渉計49AX,50AYによって計測されるウエハ室38を基準とする、第1のウエハステージ40A(ウエハW1)のX方向、Y方向の位置(XW1,YW1)及び回転角θW1も主制御系に供給されており、主制御系は以下の演算によって、投影光学系PLを基準としたウエハステージ40AのX方向、Y方向の位置(XW3,YW3)及び回転角θW3を算出する。
XW3=XW1+ΔXW1,YW3=YW1+ΔYW1 …(2A)
θW3=θW1+ΔθW1 …(2B)
このように算出される位置(XW3,YW3)及び回転角θW3に基づいて、主制御系はウエハステージ40Aの位置及び速度を制御する。同様に、他方のウエハ干渉計49BX,50AYによって計測される、ウエハ室38を基準とする第2のウエハステージ40B(ウエハW2)のX方向、Y方向の位置(XW2,YW2)及び回転角θW2を、上記の位置ずれ量(ΔXW2,ΔYW2)及び回転角ΔθW2で補正して得られる座標に基づいて、第2のウエハステージ40Bの位置及び速度が制御される。これによって、ウエハステージ40A,40Bをウエハ室38内に密閉した構造でありながら、ウエハステージ40A,40Bを投影光学系PLを基準として高精度に駆動することができる。
更に、既に説明したようにレチクル室23内のレチクルステージ24も投影光学系PLを基準として高精度に駆動されているため、本例のレチクル室23内のレチクルステージ24と、ウエハ室38内のウエハステージ40A,40Bとは共に投影光学系PLを基準として、即ち同一の基準に基づいて相対的な位置関係を高精度に保ちながら駆動される。これによって、レチクルR1,R2のパターン像をウエハW1,W2上に露光する際に高い露光精度(重ね合わせ精度、転写忠実度等)が得られる。また、本例のウエハステージ系WSTはツイン・ウエハステージ方式であり、例えば第1のウエハステージ40A側でウエハW1に対する走査露光中に、第2のウエハステージ40B側でウエハW2の交換及びアライメントを行うことができるため、高いスループットが得られる。
なお、上記のレチクル室23の外部の干渉計ユニット54X,54Y、及びウエハ室38の外側の干渉計ユニット57AX,57BX,57Y等の光路は、実際には不図示の円筒型のカバーで密閉されており、その内部にパージガス(本例ではヘリウムガス)が供給されている。また、熱の影響を低減するために、光源部59を例えば露光本体部の外部に設置してもよい。これは干渉計ユニットのレシーバ(受光素子)なども同様である。
また、図2において、床1上で投影露光装置の定盤32の−Y方向の側面に、外気(即ち、ほぼ大気と同じ雰囲気のクリーンルーム内の空気)と同じ環境下でレチクルライブラリやウエハカセット等が配置されたインターフェース・コラム71が設置され、インターフェース・コラム71の上端部と支持板35上のレチクル室23との間に気密性の高い箱状のレチクルローダ室87が配置され、インターフェース・コラム71の下端部と定盤32上のウエハ室38との間に気密性の高い箱状のウエハローダ室70が配置されている。レチクルローダ室87内には、そのレチクルライブラリとレチクルステージ系RSTとの間でレチクルの受け渡しを行うレチクルローダ系(不図示)が設置され、ウエハローダ室70内にはそのウエハカセットとウエハステージ系WSTとの間でウエハの受け渡しを行うウエハローダ系(詳細後述)が設置されている。
本例のレチクルライブラリ及びウエハカセットはそれぞれ外気と同じ環境下に設置されているが、その他の構成として、レチクルを収納するカセット(レチクルライブラリ)及びウエハを収納するカセット(ウエハカセット)を密閉型として、それらのカセット内をパージガスで置換しておいてもよい。このとき、そのカセット内のレチクル又はウエハを、外気(空気)に触れさせることなく、上記のパージガスで置換されている気密室(レチクル室23、ウエハ室38)に搬入可能に構成することが望ましい。なお、パージガスが供給される空間(気密室)を形成する部材の内壁は、脱ガスが少ない材料で形成するか、又は脱ガスが少ない材料でコーティングを施すことが望ましい。これはレチクルローダ室87、及びウエハローダ室70の内部も同様である。また、その気密室内に設置される機構部の構成部材についても、脱ガスが少ない材料で形成するか、又は脱ガスが少ない材料でコーティングを施すことが望ましい。
さて、本例の投影露光装置では露光光ILとして真空紫外光が使用されているため、その露光光ILの透過率を高めてウエハW1,W2上での照度を高くして高いスループットを得るために、その露光光ILの光路には高透過率のパージガス(本例ではヘリウムガス)が供給されている。即ち、図2において、それぞれ回収装置4、給気装置5、及び蓄積装置6を含む複数の気体供給回収装置から供給される高純度のパージガスは、それぞれバルブ付きの給気管16A,16B,16C,16D,及び16Eを介して第1サブチャンバ9(これは補助チャンバ8に連通している)、第2サブチャンバ19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部に供給される。そして、第1サブチャンバ9、第2サブチャンバ19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部を流れた不純物を含んだパージガスは、それぞれバルブ付きの排気管17A,17B,17C,17D,及び17Eを介してその気体供給回収装置に回収される。
この場合、給気管16A〜16E、及び排気管17A〜17Eに備えられているバルブは、それぞれ電磁的に開閉自在なバルブであり、それらの開閉動作は互いに独立にコンピュータよりなる主制御系67(図4参照)によって制御されると共に、その複数の気体供給回収装置の動作もその主制御系によって制御される。その結果、サブチャンバ9,19の内部、レチクル室23の内部、ウエハ室38の内部、及び投影光学系PLの内部(例えば複数のレンズ室)の何れに対してもパージガスを所望の流量で供給できるように構成されている。また、パージガスの温度、圧力、及び必要に応じて湿度は、例えば各気密室内への送風口付近に配置された環境センサの出力に応じて制御できるように構成されている。
この際に、第1サブチャンバ9と第2サブチャンバ19との間の空間、第2サブチャンバ19とレチクル室23との間の空間、レチクル室23と投影光学系PLの上端部との間の空間、及び投影光学系PLとウエハ室38との間の空間は、それぞれ外気から隔離されるように大きい可撓性を有し、かつ気体の遮断性の高い膜状の軟性シールド部材18A,18B,18C,及び18D(被覆部材)によって密閉されている。軟性シールド部材18A等は、一例として、伸縮性の良好な保護膜(例えばポリエチレン)と、ガスバリヤ性の良好なフィルム素材(例えばエチレン・ビニル・アルコール樹脂(EVOH樹脂)とをラミネート加工(多層加工)して、その内面に脱ガスの極めて少ない安定化膜(例えばアルミニウムのような金属膜)を被着して形成されている。これによって、露光光源3から被露光基板としてのウエハW1,W2までの露光光ILの光路は、ほぼ完全に密封されていることになる。このため、露光光ILの光路上への外部からの不純物(吸光物質)を含む気体の混入は殆ど無く、露光光の減衰量は極めて低く抑えられる。
また、サブチャンバ9,19、レチクル室23、投影光学系PL、及びウエハ室38の内部には、それぞれ不純物中の酸素ガスの濃度を検出するための酸素濃度センサがそれぞれ設置され、酸素濃度が所定のサンプリングレートで連続的に計測されて、上記の主制御系に供給されている。この場合、酸素濃度を計測することによって代表的に不純物の濃度が計測されており、酸素濃度センサとしては、例えばポーラログラフ式酸素濃度計、ジルコニア式酸素濃度計、又は黄リン発光式の酸素センサ等が使用できる。但し、それと共に、又は単独に水蒸気や2酸化炭素等の吸光物質の濃度を計測するようにしてもよい。そして、その各気密室内での不純物の濃度の計測値は主制御系に供給されており、何れかの気密室において所定の許容濃度以上の不純物が検出された場合には、その主制御系の指令によりその不純物の濃度が許容濃度以下となるまでその不純物が検出された気密室内へのパージガスの供給が行われる。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、上述した酸素濃度系の他に、水蒸気濃度を計測する水濃度計測装置(例えば、露点計など)を配置することが望ましい。
また、軟性シールド部材18A〜18Dは例えば合成樹脂より形成されて、それぞれ大きい可撓性を有しているため、隣接する気密室の間、例えばサブチャンバ19とレチクル室23との間、レチクル室23と投影光学系PLとの間、及び投影光学系PLとウエハ室38との間で互いに振動が伝わらない。従って、気密性を保持した上で振動の影響が軽減されている。
更に、本例ではレチクル室23とレチクルローダ室87との間の空間を密閉するように軟性シールド部材18Eが設けられ、レチクル室23に供給されたパージガスの一部はレチクルローダ室87内にも満たされている。従って、レチクルローダ系によってレチクルR1,R2の交換を行う際に、レチクルローダ室87の搬送口のシャッターを開いても、レチクル室23内のパージガスの濃度が大きく低下することは無い。この場合、レチクルローダ室87内にも不純物の濃度センサを配置して、レチクル室23内での不純物の許容濃度よりもレチクルローダ室87内での不純物の許容濃度を高く(緩く)設定し、レチクル室23内での不純物の濃度が許容濃度以下であっても、レチクルローダ室87内での不純物の濃度が許容濃度を超えたときに、気体供給回収装置からレチクル室23にパージガスを供給するようにしている。これによって、レチクルの交換時にもレチクル室23内でのパージガスの濃度が高く維持されると共に、パージガスの使用量を減らすことができる。更に、レチクルローダ室87をレチクルR1,R2の搬送路に沿って複数の気密室に分割し、これらの複数の気密室内にレチクルローダ系の構成部分を配置してもよい。この際に、その複数の気密室内で不純物の濃度、又はその許容値を異ならしめてもよい。
次に、本例のツイン・ウエハステージ方式のウエハステージ系、及びウエハローダ系の構成につき図3を参照して詳細に説明する。
図3は、図1中のウエハステージ系WST、及びウエハローダ系を示す一部を断面とした平面図であり、この図3に示すように本例のウエハ室38内のウエハステージ系WSTは、ウエハベース39上のガイド面にエアーベアリングを介して浮上支持されると共に、X方向及びY方向に独立して移動自在な2つのウエハステージ40A,40Bと、これらの駆動系と、これらの位置を計測する干渉計システムとを備えており、ウエハステージ40A,40B上にそれぞれ不図示のウエハホルダを介してウエハW1,W2が保持されている。これを更に詳述すると、ウエハベース39を走査露光時の走査方向SD(Y方向)に挟むように、X軸に平行に1対のX軸ガイド部材41,42が配置され、これらのX軸ガイド部材41,42に対してエアーパッドを介してX方向に摺動自在に第1のX軸スライダ44A,45A、及び第2のX軸スライダ44B,45Bが載置されている。また、X軸ガイド部材41,42は、不図示のガイド部材に沿ってX方向に移動できるように支持されている。
そして、第1のX軸スライダ44A,45Aに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在に第1のY軸ガイド43Aが配置され、第2のX軸スライダ44B,45Bに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在に第2のY軸ガイド43Bが配置され、Y軸ガイド43A,43Bに対してエアーパッドを介してY方向に摺動自在にウエハステージ40A,40Bが配置されている。また、X軸ガイド部材41,42に対して第1のX軸スライダ44A,45A及び第2のX軸スライダ44B,45Bを運動量保存則をほぼ満たして相対駆動するためのX軸の第1及び第2のリニアモータ(不図示)と、Y軸ガイド43A,43Bに対してウエハステージ40A,40Bを運動量保存則をほぼ満たしてY方向に相対駆動するための2つのリニアモータ(不図示)とが設けられている。
また、第1のウエハステージ40Aの+X方向側、及び−X方向側の上面にそれぞれアライメントセンサ27Aのベースライン計測用の基準マークが形成された基準マーク部材47、及び露光光の光量や照度むら等を計測するための計測部材46が固定され、第2のウエハステージ40Bの上面にもそれらと同一の基準マーク部材及び計測部材が固定されている。
ここで、本例のウエハステージ系WSTの計測システムの一例につき説明する。図3において、第1のウエハステージ40Aの−X方向及び+Y方向の側面にはX軸の移動鏡48AX、及びY軸の移動鏡48AYが固定され、第2のウエハステージ40Bの+X方向及び+Y方向の側面にもX軸の移動鏡、及びY軸の移動鏡が固定されている。なお、このように移動鏡48AX,48AY等を用いる他に、ウエハステージ40A,40Bの側面を鏡面加工して、この鏡面部に計測用のレーザビームを照射してもよい。
この場合、本例では投影光学系PLの光軸AX(露光領域の中心)と、第1のアライメントセンサ27Aの光軸(検出中心)と、第2のアライメントセンサ27Bの光軸(検出中心)とはX軸に平行な直線(以下、「最小誤差軸」と呼ぶ。)上に配列されている。そして、その最小誤差軸上で−X方向及び+X方向に対向するようにX軸のウエハ干渉計49AX,49BXが設置され、第1のウエハ干渉計49AXからの2つの計測ビームが最小誤差軸に沿って第1のウエハステージ40AのX軸の移動鏡48AXに照射されている。これと対称に、第2のウエハ干渉計49BXからの2つの計測ビームが最小誤差軸に沿って第2のウエハステージ40BのX軸の移動鏡に照射されている。それらの2つの計測ビームの他に、実際にはZ方向に離れた計測ビームも移動鏡48AX等に照射されており、ウエハ干渉計49AX,49BXはそれぞれウエハステージ40A,40BのX方向の位置、Z軸の回りの回転角(ヨーイング量)、及びY軸の回りの回転角(ローリング量)を計測する。
また、光軸AXを通りY軸に平行な計測ビームがY軸のウエハ干渉計50AYからウエハステージ40AのY軸の移動鏡48AYに照射されている。また、アライメントセンサ27A,27Bのそれぞれの検出中心を通りY軸に平行な計測ビームをそれぞれ有するウエハ干渉計50BY,50CYも設けられている。中央のウエハ干渉計50AYはX方向に2軸で、Z方向にも2軸(不図示)の計測ビームを備えているため、ウエハステージ40A,40BのY方向の位置、Z軸の回りの回転角(ヨーイング量)、及びX軸の回りの回転角(ピッチング量)を計測できる。本例では、投影光学系PLは、ウエハステージ40A,40B上のウエハW1,W2を露光する場合に共通に使用されるが、第1のウエハステージ40A上のウエハW1のアライメント時には−X方向のアライメントセンサ27Aが使用され、第2のウエハステージ40B上のウエハW2のアライメント時には+X方向のアライメントセンサ27Bが使用される。そして、投影光学系PLを用いた露光時のウエハステージ40A,40BのY方向の位置計測には、中央のウエハ干渉計50AYの計測値が用いられ、アライメントセンサ27A、又は27Bの使用時のウエハステージ40A、又は40BのY方向の位置計測には、それぞれレーザ干渉計50BY又は50CYの計測値が用いられる。
このように本例では、Y軸のウエハ干渉計50AY〜50CYをX方向(非走査方向)に複数個設けることによって、ウエハステージ40A,40BのY軸の移動鏡48AY等に常に何れかのY軸の計測ビームが照射されるようにしている。このため、ツイン・ウエハステージ方式において個々のウエハステージ40A,40Bを小型化して高速駆動できると共に、各ウエハステージ40A,40Bの位置を高精度に検出できる利点がある。
また、例えば一方のアライメントセンサ27Aによるアライメントの後で第1のウエハステージ40Aを露光位置に移動する場合や、他方のアライメントセンサ27Bによるアライメントの後で第2のウエハステージ40Bを露光位置に移動する場合には、Y軸の両側のウエハ干渉計50BY,50CYとY軸の中央のウエハ干渉計50AYとの間で計測値の受け渡しを行う必要がある。この計測値の受け渡しは、一例として次のように行われる。即ち、図3の状態から第1のウエハステージ40Aが−X方向に移動する場合には、ウエハ干渉計49AXによって計測されるウエハステージ40Aのヨーイング量が0となる状態で、次のウエハ干渉計50BYの計測値がそれまで使用されていたウエハ干渉計50AYの計測値に合致するように、次のウエハ干渉計50BYの計測値にオフセットを加えればよい。
また、図3において、X軸のウエハ干渉計49AX,49BXの背面にはそれぞれコーナキューブよりなる2軸の移動鏡61AX,61BXが固定され、これらの移動鏡61AX,61BXのX方向の位置、及びZ軸の回りの回転角が既に説明した干渉計ユニット57AX,57BXによって投影光学系PLを基準として計測されている。更に、Y軸の中央のウエハ干渉計50AYの背面にもそれぞれコーナキューブよりなる2軸の移動鏡61AYが固定され、この移動鏡61AYのY方向の位置、及びZ軸の回りの回転角が既に説明した干渉計ユニット57Yによって投影光学系PLを基準として計測されている。
本例では、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AY〜50CYよりなる合計5つの干渉計によって、ウエハ室38内でのウエハステージ40A,40Bの2次元の座標位置、及び3軸の回りの回転角を管理する第1の計測システムが構成され、干渉計ユニット57AX,57BX,57Yによって投影光学系PLに対するウエハ干渉計49AX,49BX,50AY(ウエハ室38)の2次元の座標位置、及びZ軸の回りの回転角を管理する第2の計測システム(主計測系)が構成されている。そして、第1の計測システム及び第2の計測システムによって、投影光学系PLを基準として2つのウエハステージ40A,40BのそれぞれのX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角が高精度に計測されており、この計測値に基づいてアライメント時の位置決め、及び走査露光時の位置や速度の制御が高精度に行われる。
また、本例ではその計測システムの他に、ウエハ室38の上部に、不図示であるが、投影光学系PLによるスリット状の露光領域、又はこれに対して走査方向(Y方向)に手前側の領域(先読み領域)にあるウエハW1(又はW2)上の複数の計測点に光軸AXに対して斜めにスリット像を投影する投射系と、その被検面からの反射光を受光して、それらの計測点でのフォーカス位置(Z方向の位置)を検出する受光系とからなる斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(AFセンサ)も設置されている。このAFセンサで検出されるフォーカス位置の情報に基づいて、走査露光中にウエハW1(又はW2)の表面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、ウエハステージ40A(40B)内のZレベリング機構が制御される。
また、ウエハ室38内には、ウエハW1,W2のプリアライメントを行うための第1及び第2のプリアライメント機構(不図示)も備えられている。この場合、第1のウエハステージ40A上のウエハW1のプリアライメントは、ウエハ室38内の−X方向の端部の位置A1で行われ、第2のウエハステージ40B上のウエハW2のプリアライメントは、+X方向の端部の位置B1で行われるため、そのプリアライメント機構はそれぞれ位置A1,B1(プリアライメント位置)の上方に配置されている。そして、位置A1,B1と、露光が行われる露光領域(光軸AXを含むスリット状の領域)との間にアライメントセンサ27A,27Bによるウエハアライメントの位置が設定されている。
図3において、本例では、上記のようにウエハステージ40A,40Bの内の一方が露光シーケンスを実行している間、他方はウエハローダ系WLDA,WLDBとの間でウエハ交換を行ってから、ウエハアライメントシーケンスを実行する。そのため、ウエハ室38の−Y方向側に所定間隔を隔てて気密性の高い箱状のウエハローダ室70(搬送室)が設置され、ウエハローダ室70内にそのウエハローダ系WLDA,WLDBが収納されている。そして、ウエハ室38内で第1のウエハステージ40A(ウエハW1)は露光後に点線で示すように−X方向の位置A1に移動し、第2のウエハステージ40B(ウエハW2)は露光後に点線で示すように+X方向の位置B1に移動する。ウエハ室38の側面の位置A1及びB1の近傍にスリット状の搬送口52A及び52Bが形成され、搬送口52A,52Bに対向するように、ウエハローダ室70の側面にもスリット状の搬送口74A,74Bが形成され、ウエハローダ室70の内部は、第1の搬送口74Aに接する第1のロードロック室72A、第2の搬送口74Bに接する第2のロードロック室72B、及び2つのロードロック室72A,72Bの中間のウエハ搬送室73に分割されている。
本例と本発明とを対応させると、ウエハ室38が露光室に対応し、ロードロック室72A,72Bが予備室に対応し、ウエハ搬送室73が搬送室に対応している。
そして、搬送口74A,74Bの内側に開閉自在にシャッタ75A,75Bが設けられ、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間にもそれぞれ搬送口が形成され、これらの搬送口を開閉するためのシャッタ78A,78Bが設けられている。更に、ウエハ搬送室73の−Y方向の側面にはX方向に沿って並列に2つの搬送口が形成され、これらの搬送口を開閉するためのシャッタ85A,85Bが設けられている。そのウエハローダ室70の−Y方向に接するようにインターフェース・コラム71が設置されており、インターフェース・コラム71内の外気と同じ環境下において、ウエハ搬送室73のシャッタ85A,85Bによって開閉される搬送口の近傍の位置A4、及び位置B4にはそれぞれ1ロットのウエハを収納するウエハカセット(不図示)が設置されている。
シャッタ85A又は85Bを開けることによって、ウエハ搬送室73の内部はインターフェース・コラム71の内部の気体、即ち本例では外気と同じ雰囲気に開放される。シャッタ75A,75B、78A,78B、85A,85Bの開閉動作は不図示の主制御系によって制御されるが、第1のロードロック室72Aの2つのシャッタ75A,78Aは同時に開くことはなく、同様に第2のロードロック室72Bの2つのシャッタ75B,78Bも同時に開くことはない。更に、ウエハ搬送室73のロードロック室72A,72B側のシャッタ78A,78Bの何れかと、インターフェース・コラム71側のシャッタ85A,85Bの何れかとは同時に開くことはない。従って、ロードロック室72A,72Bの内部は外気と直接連通することはなく、ウエハ室38の内部も外気と直接連通することはない。
なお、搬送口74A,74B等を閉じた場合の気密性を高めるために、シャッタ75A,75B、78A,78B、85A,85Bの代わりに、いわゆるゲートバルブを設けてもよい。また、ウエハ室38の搬送口52A,52Bと、ウエハローダ室70の搬送口74A,74Bとの間の空間を外気から遮蔽するように、それぞれ図1の軟性シールド部材18Dと同様の高い可撓性を有する円筒状で膜状の軟性シールド部材18F,18Gが装着されている。これによって、ウエハローダ室70内の振動がウエハ室38内に伝わらないと共に、ウエハ室38の内部からウエハローダ室70の内部の空間までを高純度のパージガスで満たすことができる。
また、第1のロードロック室72A内の中央部の位置A2(温度制御位置)に来たウエハの温度を制御するために、3点接触型のヒータ及び冷却器を含む温度調整装置76Aが設置され、位置A2と位置A1との間で搬送口52A,74Aを通してウエハの受け渡しを行うために第1のスライドアーム77Aが配置され、ロードロック室72A内の上部にスライドアーム77AのZ方向への微動、及びY方向への移動を行うための搬送装置(不図示)が配置されている。また、ウエハ搬送室73内の−X方向側に、インターフェース・コラム71及びロードロック室72Aの内部との間でウエハの受け渡しを行うための第1の搬送ロボット79Aが配置されている。搬送ロボット79Aは、回転及び上下動を行う回転軸82と、この回転軸82上で回転を行う第1アーム81と、この第1アーム81の先端部で回転を行う第2アーム80とを備えており、この第2アーム80の先端部に搬送対象のウエハが吸着保持される。
ハンドリング機構としての搬送ロボット79Aは、ウエハの搬入時にインターフェース・コラム71内の位置A4からシャッタ85Aのある搬送口を通してウエハ搬送室73内に搬入したウエハを、回転軸82上の位置A3に設置する。位置A3に設置されたウエハの外周部の180°離れた2箇所に視野を持つように2つの撮像装置83A,84Aが配置され、外形検出系としての撮像装置83A,84Aの撮像信号が不図示のウエハローダ制御系に供給され、このウエハローダ制御系は、その撮像信号を処理して位置A3にあるウエハの外周部のノッチ部(切り欠き部)の位置、及びその中心位置を検出し、このノッチ部の位置が所定の位置(例えば+Y方向)に来るように、かつそのウエハの中心位置が所定の位置に来るように搬送ロボット79Aの動作を制御する。これによって、ウエハの1回目のプリアライメントが行われる。
温度調整装置76A、スライドアーム77A、この搬送装置(不図示)、搬送ロボット79A、及び撮像装置83A,84Aより第1のウエハローダ系WLDAが構成されている。この第1のウエハローダ系WLDAと対称に、ウエハ室38内の位置B1と、ロードロック室72B内の位置B2と、ウエハ搬送室73内の位置B3と、インターフェース・コラム71内の位置B4との間でウエハの受け渡しを行うための第2のウエハローダ系WLDBが配置されている。ウエハローダ系WLDBも温度調整装置76B、スライドアーム77B、この搬送装置(不図示)、第2の搬送ロボット79B、及び撮像装置83B,84Bより構成されている。ウエハローダ系WLDA,WLDBは搬送系と呼ぶことができる。そのウエハの1回目のプリアライメントは、ウエハのその搬送系に対する外形基準によるアライメントとみなすことができる。
なお、図3の構成例において、ウエハ搬送室73内には1台の搬送ロボット79Aのみを配置して、この搬送ロボット79A(ハンドリング機構)を2つのウエハローダ系WLDA,WLDBで共有してもよい。この際には、外形検出系も1組の撮像装置83A,84Aのみを配置するだけでよい。投影光学系PLによる露光はウエハステージ40A,40Bに対して交互に行われるため、その構成でもスループットは殆ど低下しないと共に、ウエハローダ系を全体として小型化することができる。
次に、本例のウエハ室38及びウエハローダ室70に対してパージガスを供給する気体供給回収装置の構成につ図4を参照して詳細に説明する。図4において、図2に対応する部分には同一符号を付している。
図4は、図3に対応させて本例の気体供給回収装置の構成を示す一部を断面図とした平面図であり、この図4において、ウエハ室38とロードロック室72A及び72Bとはそれぞれバイパス用の配管61A及び61Bを介して連通しており、配管61A及び61Bの途中にはそれぞれ気体をウエハ室38からロードロック室72A及び72Bの方向にのみ流すための逆止弁VA1及びVB1が配置されている。更に、ロードロック室72A及び72Bとウエハ搬送室73とはそれぞれバイパス用の配管62A及び62Bを介して連通しており、配管62A及び62Bの途中にはそれぞれ気体をロードロック室72A及び72Bからウエハ搬送室73の方向にのみ流すための逆止弁VA2及びVB2が配置されている。
また、ウエハ室38は排気管17E及び送風ポンプ63Aを介して配管7Eに接続され、第1のロードロック室72Aは排気管17G及び送風ポンプ63Cを介して配管7Eに接続され、第2のロードロック室72Bは排気管17G及び送風ポンプ63Cを介して配管7Eに接続され、ウエハ搬送室73は排気管17F及び送風ポンプ63Bを介して工場用の排気管64Aに接続されている。送風ポンプ63A,63C,63Dは、それぞれ装置全体の動作を統轄制御する主制御系67の制御のもとで、ウエハ室38、及びロードロック室72A,72Bから配管7E側に気体を指定された流量で排気し、送風ポンプ63Bは、主制御系67の制御のもとでウエハ搬送室73から排気管64A側に気体を指定された流量で排気する。
配管7Eは、気体中の酸素、有機系ガス等の不純物を除去するためのケミカルフィルタ65A、水蒸気を吸着する不図示のフィルタ、及び微少な塵埃を除去するためのHEPAフィルタ(high efficiency particulate air−filter)又はULPAフィルタ(ultra low penetration air−filter)よりなる防塵フィルタ66A、及び配管7Bを介して給気装置5と連結されており、ウエハ室38、及びロードロック室72A,72Bから配管7E側に回収(排気)された気体は、清浄化されて比較的純度の高いパージガス(本例ではヘリウムガス)として給気装置5に供給される。送風ポンプ63A,63C,63D、配管7E、ケミカルフィルタ65A、防塵フィルタ66A、及びこれらの動作を制御する制御部69Aより回収装置4が構成されており、制御部69Aは主制御系67に制御されている。
給気装置5には配管7Cを介して高純度のパージガスを蓄積するガスボンベ等からなる蓄積装置6も連結されており、給気装置5は、回収装置4から供給される気体と蓄積装置6から供給される高純度のパージガスとの混合ガスである所定純度以上のパージガスを、配管7D、温度制御装置68A、HEPAフィルタ等の防塵フィルタ66B、及び給気管16Eを介して外気とほぼ同じ1気圧程度でウエハ室38に供給する。温度制御装置68Aは、加熱器(ヒータ等)、吸熱器(ペルティエ素子等)、及び温度センサを備えており、内部を通過する気体の温度をウエハ室38内の温度として予め設定されている温度に制御する。送風ポンプ63B、給気装置5、蓄積装置6、及び温度制御装置68Aの動作も主制御系67によって制御されている。
なお、図4では説明の便宜上、給気管16Eの吹き出し口はウエハ室38の側面に設けられているが、給気管16Eは実際には点線で示すように、ウエハ室38の上部の3箇所の吹き出し口94,95A,95Bに通じている。また、排気管17Eに通じる排気口も、実際にはウエハ室38の底面に設けられており、給気管16Eを介して給気されたパージガスは、3箇所の吹き出し口94,95A,95Bからウエハ室38の内部にダウンフロー方式で供給されている。
この場合、吹き出し口94は、Y軸のウエハ干渉計50AYの光路を含む領域の上部に設定され、吹き出し口95A,95BはX軸の2つのウエハ干渉計49AX,49BXの光路を含む領域の上部に設定されており、ウエハ干渉計49AX,49BX,50AYの光路には常時高純度で一定温度のパージガスが供給されているため、その光路の屈折率が安定化して計測精度が向上する。本例のパージガスはヘリウムガスであるため、特に光路の屈折率の変化が少なく、高精度に計測が行われる。
また、本例では給気管16Eを介してウエハ室38内に供給されたパージガスの一部は、バイパス用の配管61A,61Bを介してロードロック室72A,72B内に供給され、ロードロック室72A,72B内に供給されたパージガスの一部はバイパス用の配管62A,62Bを介してウエハ搬送室73内に供給されている。従って、ロードロック室72A,72B内の気圧はウエハ室38内に対して僅かに低く設定され、ウエハ搬送室73内の気圧(シャッタ85A,85Bを閉じた状態)はロードロック室72A,72B内に対して僅かに低く設定されている。そして、ロードロック室72A,72B内の気体は排気管17G,17Hを介して回収装置4に回収されており、ウエハ搬送室73内の気体は排気管17Fを介して工場用の排気管64A側に排気されている。排気管17Fは、点線で示すように、ウエハ搬送室73の底面に設けられた排気口96に通じており、ロードロック室72A,72B及びウエハ搬送室73内では何れもパージガスがダウンフロー方式で供給されている。本例のパージガスはヘリウムガスであり、不純物としての酸素等は重いために底面側に溜まり易く、ダウンフロー方式でパージガスを供給することによって、不純物を効率的に排気することができる。
なお、図4の実施の形態ではバイパス用の配管61A,61B,62A,62B内に逆止弁VA1〜VB2が設けられているが、本例ではロードロック室72A,72B内の気圧はウエハ室38内よりも僅かに低く、ウエハ搬送室73内の気圧はロードロック室72A,72B内よりも僅かに低いため、逆止弁VA1〜VB2は必ずしも設ける必要はない。また、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間のバイパス用の配管62A,62Bにのみ逆止弁VA2,VB2を設けるようにしてもよい。
また、給気管16E、排気管17E〜17H、配管7B,7Cの途中にはそれぞれ主制御系67の制御のもとで電磁的に開閉自在のバルブが設置されているが、通常の露光工程ではこれらのバルブは開けられている。また、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73の内部にはそれぞれ不純物センサとしての酸素濃度センサ93A,93B,93C,93Dが設置されており、これらの酸素濃度センサ93A〜93Dによる酸素の残留濃度の計測情報が主制御系67に供給されている。そして、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の酸素濃度の許容値は予め設定されていると共に、その許容値はウエハ室38内で最も低く(厳しく)設定され、次にロードロック室72A,72B内で低く設定され、ウエハ搬送室73内では最も高く(緩く)設定されている。
その酸素濃度の許容値は、一例としてウエハ室38内では1枚のウエハを交換してから、そのウエハのアライメント及び露光を行ってそのウエハが交換されるまでの1サイクルの間に連続して5〜20ppmであり、その1サイクルは本例では20〜30sec程度である。ウエハ室38内での酸素濃度が20ppmを超えると、露光光の吸収が大きくなりウエハW1,W2上での露光光の照度が低下して、スループットが低下してしまう。一方、ウエハ室38内での酸素濃度を5ppmより低く抑えようとすると、ウエハ室38の気密性を高める必要があるとともに、蓄積装置6から供給される高純度のパージガスの使用量が増加して、露光装置の製造コスト及び運転コストが増大してしまう。また、ウエハW1,W2上での露光照度を高めて、更に露光工程のスループットを高めるためには、ウエハ室38内での酸素濃度の許容値は10ppm以下とすることが望ましい。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、酸素濃度を0.1ppm以下にすると共に、水蒸気濃度も0.1ppm以下とすることが望ましい。さらに、有機物濃度は10ppb以下にすることが望ましい。
また、ロードロック室72A,72B内での酸素濃度の許容値は、ウエハ室38内での許容値の2倍〜10倍程度に設定され、ウエハ搬送室73内での酸素濃度の許容値は、ロードロック室72A,72B内での許容値の10倍〜100倍程度に設定されている。
そして、主制御系67は、露光工程中に、送風ポンプ63B、回収装置4、及び給気装置5の動作を制御することによって、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の酸素の残留濃度がそれぞれ上記の許容値以下となるように、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73に対してパージガスの供給、及び内部の気体の排気と回収とを行う。具体的に、制御方法の一例としては、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内からそれぞれ排気管17E、排気管17G,17H、及び排気管17Fを介して所定の一定流量で排気を行い、この合計の排気量にウエハ室38及びウエハローダ室70の側壁等からのパージガスの漏れ量、及びウエハ搬送室73のシャッタ85A,85Bを開いた場合のパージガスの単位時間当たりの平均流出量を加算した流量で、ウエハ室38に対して給気管16Eを介してパージガスをほぼ一定流量で供給すればよい。
このようにウエハ室38及びウエハローダ室70内にパージガスが供給されている状態で、これから露光されるウエハは、インターフェース・コラム71内のウエハカセットから、ウエハローダ系WLDA(又はWLDB)によってウエハ搬送室73及びロードロック室72A(又は72B)を経てウエハ室38内のウエハステージ40A(又は40B)上に搬送される。一方、露光済みのウエハは、ウエハステージ40A(又は40B)上からウエハローダ系WLDA(又はWLDB)によってロードロック室72A(又は72B)及びウエハ搬送室73を経てインターフェース・コラム71内のウエハカセット内に搬送される。
この際に、シャッタ85A,85Bとシャッタ78A,78Bとは同時に開くことがなく、シャッタ78A,78Bとシャッタ75A,75Bとは同時に開くことがないため、ロードロック室72A,72Bは直接外気と連通することはない。また、ウエハ室38はロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73を介して外気と接しているため、露光工程中にウエハ室38内とインターフェース・コラム71との間をウエハが頻繁に行き来しても、ウエハ室38内のパージガスの純度は高い状態に維持される。
図8の曲線LC1〜LC3は、本例の露光動作中のウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の不純物としての酸素の濃度変化の一例を示し、この図8において、横軸は露光中の経過時間t(sec)、左側の縦軸はウエハ室38内の酸素濃度D1(ppm)、及びロードロック室72A,72B内の酸素濃度D2(ppm)を示し、右側の縦軸はウエハ搬送室73内の酸素濃度D3(ppm)を示す。また、曲線LC1,LC2,LC3がそれぞれ酸素濃度D1,D2,D3の変化を示し、時間Twが1枚のウエハに対して交換、アライメント、及び露光に要する1サイクルの時間(図8では24sec)を示している。また、図8の酸素濃度は、ウエハ室38からの排気流量が10(1000cc/min)、ロードロック室72A,72Bからの合計の排気流量が40(1000cc/min)、ウエハ搬送室73からの排気流量が40(1000cc/min)の条件で計測した。
図8の曲線LC1〜LC3より分かるように、1サイクルの時間Twの間にウエハ室38内の酸素濃度D1は10ppm以下に抑えられ、ロードロック室72A,72B内の酸素濃度D2もほぼ10ppm程度以下に抑えられ、ウエハ搬送室73内の酸素濃度D3はほぼ250ppm程度以下に抑えられている。また、図4において、本例では不純物濃度が最も高いウエハ搬送室73から排気された気体は、再利用することなく工場用排気管側に排気されているため、再利用する気体から不純物を除く機構は簡単なものでよく、気体供給回収機構の構成が簡素化できる利点がある。
更に、図4において、本例ではバイパス用の配管61A,61Bが設けられているため、例えばロードロック室72A,72Bでウエハ室38側のシャッタ75A,75Bを開いたような場合でも、ウエハ室38内からロードロック室72A,72B内に急激にパージガスが流出することがなく、ウエハ室38内のパージガスの濃度は安定に維持される。同様に、バイパス用の配管62A,62Bが設けられているため、ウエハ搬送室73でロードロック室72A,72B側のシャッタ78A,78Bを開いたような場合でも、ロードロック室72A,72Bからウエハ搬送室73内に急激にパージガスが流出することがなく、ロードロック室72A,72B内のパージガスの濃度は安定に維持され、結果としてウエハ室38内のパージガスの濃度は安定に高い状態に維持される。
なお、例えばウエハ室38内での酸素濃度が許容値を超えた場合には、アライメント及び露光動作を中止して、その酸素濃度が許容範囲内に収まるまで、ひいてはパージガスの純度が高純度で安定化するまでウエハステージ40A,40Bを待機させるようにしてもよい。これによって、アライメント精度及び露光精度の悪化を防止することができる。
また、図4のウエハ室38内の不純物センサとしての酸素濃度センサ93Aの代わりに、レーザ干渉計のレーザビームに対する屈折率測定システムを使用してもよい。
図9は、そのように不純物センサの代わりに使用できるマッハ・ツェンダー干渉計方式の屈折率測定システムの一例を示し、この図9において、レーザ光源111から射出されたレーザビームは、ビームスプリッタ112で2分割され、第1のレーザビームはミラー113で反射されて、密閉容器117中の真空の光路を経た後、ビームスプリッタ118を介して2つの光電検出器120A,120Bに入射する。一方、ビームスプリッタ112で反射された第2のレーザビームは、ウエハ室38に連通する密閉容器114の内部を通った後、ミラー116で反射されて一部は1/4波長板119を経て光電検出器120A,120Bに入射し、光電検出器120A,120Bの検出信号が信号処理装置121に供給されている。信号処理装置121は、光電検出器120A,120Bの検出信号を処理することによって、密閉容器117中の真空の光路を基準として密閉容器114中の気体の屈折率、ひいてはウエハ室38内の気体の屈折率を算出する。
また、0℃における1気圧の条件下で、ヘリウムの屈折率は1.000035、不純物としての酸素の屈折率は1.000272であるため、計測された屈折率の値から例えば線形近似によって酸素濃度(ppm)を間接的に求めることができる。その屈折率の値はウエハ室38内のレーザ干渉計の計測値を求める場合にも使用されるため、屈折率計測システムを不純物センサとしても使用することによって、必要な設備を少なくすることができる。
次に、図4の実施の形態の第1の変形例につき図5を参照して説明する。図5において、図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図5はその変形例の気体供給回収装置を示し、この図5において、図4の回収装置4が回収装置4Aで置き換えられている。回収装置4Aにおいて、ロードロック室72A,72Bからそれぞれ排気管17G,17H及び送風ポンプ63C,63Dを介して回収された気体はガス純化器101に供給される。ガス純化器101は、内部に冷凍装置を備え、供給された気体の温度を低下させて、順次液化した成分を分離することによって、高純度のパージガス成分のみを抽出する。本例のパージガスであるヘリウムの沸点は−268.9℃であり、不純物としての酸素、二酸化炭素、…の沸点はそれぞれ−183℃、−78.5℃、…とヘリウムの沸点よりもかなり高いため、ガス純化器101によってヘリウムのみを高純度で分離することができる。
なお、露光光源3としてF2レーザ光源が使用される場合には、ガス純化器101によって、水蒸気も分離できるように構成することが望ましい。
ガス純化器101で分離された高純度のパージガス(ヘリウム)は、配管7Gに供給される。配管7Gには、ウエハ室38から排気管17E及び送風ポンプ63Aを介して回収された気体も供給されており、配管7Gで合成された気体は、ケミカルフィルタ65A、防塵フィルタ66A、及び配管7Bを介して給気装置5に供給される。このように回収装置4Aには、ロードロック室72A,72Bから回収された気体からパージガスを高純度で分離するガス純化器101が含まれている点が図4の実施の形態とは異なっており、それ以外は図4の実施の形態と同様である。
図5の実施の形態によれば、ウエハ搬送室73に接しており不純物濃度が高くなり易いロードロック室72A,72Bから回収された気体を、ガス純化器101に通しているため、再利用するパージガスの純度を高めることができる。また、ウエハ室38から回収された気体は、ガス純化器101を通すことなく給気装置5に供給されている。なぜなら、ウエハ室38内の気体の不純物濃度はかなり低く管理されているため、特にガス純化器101に通す必要はないからである。これによって、ガス純化器101を小型化でき、製造コストを低減できる。なお、ウエハ室38から回収された気体をガス純化器101に通して、再利用するパージガスの純度を更に高めてもよい。
次に、図4の実施の形態の第2の変形例につき図6を参照して説明する。図6において、図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図6はその変形例の気体供給回収装置を示し、この図6において、給気装置5から温度制御装置68A及び防塵フィルタ66Bを介して給気管16E側に供給されたパージガスの一部が、分岐された電磁バルブ付きの給気管16Fを介してウエハ搬送室73に供給されている。また、ウエハ室38とロードロック室72A,72Bとの間にはバイパス用の配管61A,61Bが設けられているが、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73との間にはバイパス用の配管は設けられていない。それ以外の構成は図4の実施の形態と同様である。
図6の構成例においては、不純物濃度が高くなるウエハ搬送室73だけは単独にパージガスの供給、及び内部の気体の排気が行われている。そして、ウエハ室38とロードロック室72A,72Bとは、図4の実施の形態と同様にパージガスの循環が行われている。これによって、ウエハ室38内の不純物濃度を容易に低く管理することが可能となっている。この第2の変形例では、ロードロック室72A,72Bは一時的にも外気と連通することがないため、バイパス用の配管61A,61B中の逆止弁VA1,VB1は省略してもよい。
次に、本発明の他の実施の形態につき図7を参照して説明する。本例は、隣接する複数の気密室内の気体の供給及び排気を互いに独立に行うものであり、図7において図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7は、本例の気体供給回収装置の構成を示す一部を断面図とした平面図であり、この図7において、ウエハ室38(露光室)は排気管17Eを介して送風ポンプ103に接続され、ロードロック室72A,72B(予備室)はそれぞれ排気管17G,17Hを介して送風ポンプ103に接続され、ウエハ搬送室73(搬送室)は排気管17F、図5のガス純化器101と同じ構成のガス純化器102、及び配管106を介して送風ポンプ103に接続されている。送風ポンプ103は、主制御系67の制御のもとで、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内の気体を指定された流量で排気し、排気された気体は配管7Bを介して給気装置5Aに供給されている。
給気装置5Aは、送風ポンプ103から送られて来る気体を一時蓄積する大容量のタンクと、このタンク内の気体の一部を工場用の排気管105側に排気する排気部と、この排気された気体を補うように蓄積装置6から配管7Cを介して高純度のパージガスを取り込んでそのタンクに補充する補充部と、主制御系67からの指令に応じてそのタンク内の高純度のパージガスを配管7D側に供給する出力部とを備えている。
配管7Dは温度制御装置68A及び防塵フィルタ66Bを介して配管7Hに接続され、配管7Hは分岐した給気管16E,16G,16H,及び16Fを介してそれぞれウエハ室38、第1のロードロック室72A、第2のロードロック室72B、及びウエハ搬送室73に連結されている。また、本例の給気管16E,16G,16H,16Fにはそれぞれ内部を流れる気体の流量を制御する流量制御弁(例えばバタフライ・バルブよりなる)VR1〜VR4が設けられ、これらの流量制御弁VR1〜VR4の開閉動作も主制御系67によって制御されている。
本例では、主制御系67の制御のもとで、給気装置5Aから給気管16E,16G,16H,16Fを介してそれぞれウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73に互いに独立に設定された流量で、ほぼ外気と同じ1気圧程度で所定温度に制御された、高純度のパージガス(本例ではヘリウムガス)がダウンフロー方式で供給される。即ち、隣接する気密室間にバイパス用の配管は設けられていない。そして、ウエハ室38及びロードロック室72A,72Bから排気された気体は、排気管17E,17G,17Hを介して給気装置5A内に回収されて再び使用される。また、ウエハ搬送室73から排気された気体は、排気管17F、ガス純化器102、及び配管106を介して高純度のパージガスのみが抽出され、この抽出された高純度のパージガスが給気装置5Aに回収されて再び使用される。
また、本例においても、図7において、ウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73内に酸素濃度センサ93A〜93Dが設置され、主制御系67は、酸素濃度センサ93A〜93Dによって計測される不純物としての酸素の残留濃度が、各気密室毎に設定されている許容値以下になるように、給気装置5A及び流量制御弁VR1〜VR4の動作を制御する。これによって、ウエハ室38内の不純物濃度は許容値以下に抑えられて、高いスループットで露光が行われる。
また、本例ではウエハ室38、ロードロック室72A,72B、及びウエハ搬送室73から回収された気体は、一度給気装置5A内の大容量のタンク内に蓄積され、ここで所定純度のパージガスが得られるように、一部の気体が蓄積装置6内の高純度のパージガスと交換される。従って、簡単な構成で、且つ簡単な制御で、複数の気密室から回収された気体を再び高純度のパージガスとして再利用することができる。更に、不純物濃度が高いウエハ搬送室73から排気された気体はガス純化器102に通しているため、その不純物の影響は無くなっている。
なお、例えば給気装置5Aで排気する気体を増加して、蓄積装置6から補充する高純度のパージガスの量を多くする場合には、不純物の影響を少なくできるため、ガス純化器102を省略して、ウエハ搬送室73から回収された気体を直接給気装置5Aに供給するようにしてもよい。逆に、給気装置5Aで排気する気体をできるだけ少なくして、再利用するパージガスの割合を増やしたい場合には、ガス純化器102を図7の送風ポンプ103と給気装置5Aとの間の位置P1に移して、全部の気密室から回収された気体をガス純化器102に通して、得られた高純度のパージガスを再利用するようにしてもよい。
また、図7の構成例においても、不純物としての酸素の濃度の許容値は、一例としてウエハ室38内では1枚のウエハを交換してから、そのウエハのアライメント及び露光を行ってそのウエハが交換されるまでの1サイクル(例えば20〜30sec程度)の間に連続して5〜20ppmである。また、ロードロック室72A,72B内での酸素濃度の許容値は、ウエハ室38内での許容値の2倍〜10倍程度に設定され、ウエハ搬送室73内での酸素濃度の許容値は、ロードロック室72A,72B内での許容値の10倍〜100倍程度に設定されている。
なお、上記の実施の形態では、ロードロック室72A,72Bに比べてウエハ搬送室73内の不純物濃度の許容値は高く設定されているが、ロードロック室72A,72B及びウエハ搬送室73内の不純物濃度の許容値を共通にウエハ室38内と同程度以上の許容値に設定してもよい。この場合には、ロードロック室72A,72Bとウエハ搬送室73とを一つの気密室としてもよい。また、検出対象の吸光物質(不純物)の種類を多くして、その吸光物質毎にその濃度の許容値を異ならせてもよく、最も許容値が厳しい物質の濃度に着目してパージガスの流量などを制御するようにしてもよい。
また、パージガスの別の管理方法として、ウエハ室38に隣接するロードロック室72A,72Bではその内部の吸光物質(不純物)の許容濃度をウエハ室38内と同程度に設定し、ロードロック室72A,72Bよりもウエハカセット側に配置されるウエハ搬送室73などでは、その内部の吸光物質の許容濃度をウエハ室38内よりも高く設定するようにしてもよい。これによって管理が単純化される。
なお、露光光としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)などを使用する場合にも、その光路にはヘリウムガスや窒素ガスなどのパージガスを供給することが望ましい。しかしながら、その場合のパージガスの濃度は例えば90〜99%程度に落としても、ウエハ上で高い露光強度が得られると共に、レーザ干渉計等のセンサでも高い計測精度が得られる。但し、この場合にそのセンサの光路での屈折率の揺らぎが大きくならないように、気密室に対するパージガスの供給管や排気管の位置をそのセンサの光路からできるだけ離して配置することが望ましい。
なお、露光光としてF2レーザ光、或いはF2レーザ光より短い波長の光を使用する場合には、その光路にヘリウムガスや窒素ガス等のパージガスを供給しつつ、露光光を吸収する吸光物質(前述した酸素、水蒸気、有機物等を含む)の濃度を厳密に管理することが好ましい。
なお、上記の実施の形態のレチクルステージ系RSTはダブルステージ方式で、ウエハステージ系WSTはツインステージ方式であり、高いスループットが得られる。しかしながら、例えば露光装置をより小型化したいような場合には、レチクルステージ系及びウエハステージ系の少なくとも一方をシングル・ステージ方式としてもよく、この場合にも本発明が適用できる。
また、上記の実施の形態では、ウエハステージ系WST側の空間を搬送室、露光室(ウエハ室)、予備室に分割している。同様にして、レチクルステージ系RST側でレチクル(露光対象の物体とみなすことができる)が移動する空間を、レチクルが一時的に保持され、レチクルの搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、そのレチクルに露光光を照射する際にそのレチクルを収納する露光室(レチクル室)と、その搬送室とその露光室との間に配置される予備室とに分割する場合にも本発明を適用することができる。
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を使用した半導体デバイスの製造工程の一例につき図10を参照して説明する。
図10は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図10において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、このウエハWを図1の投影露光装置の例えばウエハステージ40A上にロードする。次のステップS12において、図1のレチクルR1を照明領域の下方に移動して、レチクルR1のパターン(符号Aで表す)をウエハW上の全部のショット領域SEに走査露光する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。
次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、その後ステップS18において、図1のレチクルR1の代わりにレチクルR2を照明領城の下方に移動して、レチクルR2のパターン(符号Bで表す)をウエハW上の各ショット領域SEに走査露光する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。
以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
また、上記の実施の形態では、走査露光方式の投影露光装置に本発明を適用したが、本発明はこれに限られず、ステップ・アンド・リピート方式等の一括露光型(静止露光型)の投影露光装置、或いはプロキシミティ方式等の露光装置であっても同様に適用することができる。
なお、露光装置の用途としては半導体素子製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン、薄膜磁気ヘッド、又はDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
また、上記の実施の形態の露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をすると共に、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、要約を含む2001年3月19日付け提出の日本国特願2001−079531の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明の第1の露光方法によれば、露光の1サイクルの間、気密室内の不純物の濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、その気密室に対する露光ビームを透過する気体の供給量を制御しているため、その気密室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その気密室内の物体の交換を行うことができる。
また、本発明の第2の露光方法によれば、露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、その露光室に露光ビームを透過する気体を供給するとともに、その露光室内に供給された気体を配管を介して予備室内に供給しているため、その露光室(気密室)内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その露光室内の物体の交換を行うことができる。
また、本発明の第3の露光方法によれば、複数の気密室内から排気された気体を共通の容器内に回収し、この回収された気体の一部を排気するとともに、その回収された気体に露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、この純化処理が施された気体を複数の気密室内に供給しているため、その複数の気密室の内の露光室内の不純物の濃度を急激に高めることなく、その露光室内の物体の交換を行うことができる。
更に本発明のデバイス製造方法によれば、本発明の露光方法を用いて高いスループットで各種デバイスを製造できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を示す一部を切り欠いた概略構成図である。図2は、図1の投影露光装置の一部を切り欠いた右側面図である。図3は、図2のウエハ室38及びウエハローダ室70の内部のウエハステージ系及びウエハローダ系を示す一部を切り欠いた平面図である。図4は、図1の実施の形態の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図5は、図4の実施の形態の第1の変形例の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図6は、図4の実施の形態の第2の変形例の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図7は、本発明の別の実施の形態の気体供給回収装置を示す一部を切り欠いた平面図である。図8は、図4の実施の形態の複数の気密室内の不純物濃度の変化の一例を示す図である。図9は、不純物センサとして代用できる屈折率測定装置の一例を示す図である。図10は、本発明の実施の形態の一例の投影露光装置を用いた半導体デバイスの製造工程の一例を示す図である。
Claims (19)
- 露光ビームで物体を露光する露光方法において、
前記物体を前記露光ビームを透過する気体が供給される気密室内に収納して露光を行うとともに、
前記物体を前記気密室内に搬入して、前記物体を前記露光ビームで露光して、前記物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、前記気密室内の不純物の濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、前記気密室に対する前記露光ビームを透過する気体の供給量を制御することを特徴とする露光方法。 - 前記1サイクルは20〜30秒であり、前記許容範囲は10ppb〜20ppmであることを特徴とする請求の範囲1に記載の露光方法。
- 前記物体が一時的に保持され、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記搬送室と前記気密室との間に配置される予備室とを更に有し、
前記気密室と前記予備室とを配管によって、連通させて、
前記気密室内の不純物濃度が前記所定の許容範囲内に収まるように、前記気密室に前記露光ビームを透過する気体を供給するとともに、前記気密室内に供給された気体を前記配管を介して前記予備室内に供給し、
前記予備室内に供給された前記気体の少なくとも一部を前記搬送室を介して排気することを特徴とする請求の範囲1に記載の露光方法。 - 前記予備室と前記搬送室とを配管で連通させることを特徴とする請求の範囲3に記載の露光方法。
- 前記予備室内の気体の排気も行うことを特徴とする請求の範囲3又は4に記載の露光方法。
- 前記予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる清浄な気体を再び前記気密室に供給することを特徴とする請求の範囲5に記載の露光方法。
- 前記物体が一時的に保持され、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記搬送室と前記気密室との間に配置される予備室とを更に有し、
前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室から排気された気体を共通の容器内に回収し、
該回収された気体の一部を排気するとともに、前記回収された気体に前記露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、
該純化処理が施された気体を前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室内に供給することを特徴とする請求の範囲1に記載の露光方法。 - 前記搬送室を外気に開放した際に前記搬送室内に混入する外気の体積を所定倍した体積の前記露光ビームを透過する気体を前記回収された気体に加えることを特徴とする請求の範囲7に記載の露光方法。
- 前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室内に供給される気体の流量を互いに独立に制御し、前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室内から排気される気体の圧力を互いに独立に制御することを特徴とする請求の範囲7又は8に記載の露光方法。
- 前記搬送室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体を前記容器内に回収することを特徴とする請求の範囲7、8、又は9に記載の露光方法。
- 露光ビームで物体を露光する露光装置において、
前記露光時に前記物体を収納する気密室と、
前記露光ビームを透過する気体を前記気密室内に供給する気体供給装置と、
前記気密室内の不純物濃度を計測する不純物センサと、
前記物体を前記気密室内に搬入し、前記露光ビームで露光を行い、前記物体を次の露光対象の物体と交換するまでの1サイクルの間、前記不純物センサによって計測される濃度の変化量が所定の許容範囲以下に保たれるように、前記気体供給装置の動作を制御する制御系とを有することを特徴とする露光装置。 - 前記物体を一時的に保持し、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記搬送室と前記気密室との間に配置される予備室と、
前記気密室内の不純物濃度が前記所定の許容範囲内に収まるように、前記気密室に前記露光ビームを透過する気体を供給するとともに、前記気密室内に供給された気体を配管を介して前記予備室内に供給する気体供給系と、
前記予備室内に供給された前記気体の少なくとも一部を前記搬送室を介して排気する気体排気系とを有することを特徴とする請求の範囲11に記載の露光装置。 - 前記予備室と前記搬送室とを連通させる配管と、
前記予備室から排気された気体から不純物を除去して得られる気体を再び前記気密室に供給する気体純化系とを設けたことを特徴とする請求の範囲12に記載の露光装置。 - 前記物体を一時的に保持し、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記搬送室と前記気密室との間に配置される予備室と、
前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室から排気された気体を共通の容器内に回収する排気系と、
該回収された気体の一部を排気するとともに、前記回収された気体の前記露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行う気体純化系と、
該純化処理が施された気体を前記搬送室、前記気密室、及び前記予備室内に供給する気体供給系とを有することを特徴とする請求の範囲11に記載の露光装置。 - 露光ビームで物体を露光する露光方法において、
前記物体が一時的に保持され、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記物体を露光する際に、前記物体を収納する露光室と、
前記搬送室と前記露光室との間に配置される予備室とに前記物体が移動する空間を分割し、
前記露光室と前記予備室とを配管によって連通させて、
前記露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、前記露光室に前記露光ビームを透過する気体を供給するとともに、前記露光室内に供給された気体を前記配管を介して前記予備室内に供給し、
前記予備室内に供給された前記気体の少なくとも一部を前記搬送室を介して排気することを特徴とする露光方法。 - 露光ビームで物体を露光する露光方法において、
前記物体が一時的に保持されて、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記物体を露光する際に、前記物体を収納する露光室と、
前記搬送室と前記露光室との間に配置される予備室とに前記物体が移動する空間を分割し、
前記搬送室、前記露光室、及び前記予備室内から排気された気体を共通の容器内に回収し、
該回収された気体の一部を排気するとともに、前記回収された気体に前記露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行い、
該純化処理が施された気体を前記搬送室、前記露光室、及び前記予備室内に供給することを特徴とする露光方法。 - 露光ビームで物体を露光する露光装置において、
前記物体を一時的に保持し、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記物体を露光する際に、前記物体を収納する露光室と、
前記搬送室と前記露光室との間に配置される予備室と、
前記露光室内の不純物濃度が所定の許容範囲内に収まるように、前記露光室に前記露光ビームを透過する気体を供給するとともに、前記露光室内に供給された前記気体を配管を介して、前記予備室内に供給する気体供給系と、
前記予備室内に供給された前記気体の少なくとも一部を前記搬送室を介して排気する気体排気系とを有することを特徴とする露光装置。 - 露光ビームで物体を露光する露光装置において、
前記物体を一時的に保持し、前記物体の搬入又は搬出時に外気に開放される搬送室と、
前記物体を露光する際に、前記物体を収納する露光室と、
前記搬送室と前記露光室との間に配置される予備室と、
前記搬送室、前記露光室、及び前記予備室内の気体を共通の容器に回収する排気系と、
該回収された気体の一部を排気するとともに、該回収された気体に前記露光ビームを透過する気体を加える純化処理を行う気体純化系と、
該純化処理が施された気体を前記搬送室、前記露光室、及び前記予備室内に供給する気体供給系とを有することを特徴とする露光装置。 - 請求の範囲1〜10、15、16の何れか一項に記載の露光方法を用いてデバイスパターンをワークピース上に転写する工程を含むデバイス製造方法。
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