JPWO2003033707A1 - ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子およびそれを用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子およびそれを用いたポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生分解性および優れた物性を有する3−ヒドロキシアルカン酸を単独重合または共重合してなるポリエステルの、酵母を宿主とした製造方法に関する。ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加したポリエステル合成に関与する1種以上の酵素遺伝子を作成し、当該酵素遺伝子発現カセットを酵母に導入し、得られた形質転換体を培養することにより、3−ヒドロキシアルカン酸を単独重合または共重合してなるポリエステルを菌体内に蓄積させ、その培養物からポリマーを採取することができる。

Description

技術分野
本発明は、ポリエステルを酵素合成するために必要な遺伝子、同遺伝子を利用してポリエステルを発酵合成する微生物、および、その微生物を用いたポリエステルの製造方法に関する。詳しくは、自然環境(土中、河川、海中)の下で、微生物の作用を受けて分解するプラスチック様高分子を酵素合成する宿主内で機能する遺伝子、および、同遺伝子で形質転換されたプラスチック様高分子を発酵合成する能力が改善された形質転換体、並びに、その形質転換体を利用したポリエステルの製造方法に関するものである。
背景技術
現在までに数多くの微生物において、エネルギー貯蔵物質としてポリエステルを菌体内に蓄積することが知られている。その代表例としては3−ヒドロキシ酪酸(以下3HBと略す)のホモポリマーであるポリ−3−ヒドロキシ酪酸(以下、P(3HB)と略す)であり、1925年にバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)で最初に発見された(M.Lemoigne,Ann.Inst.Pasteur,39,144(1925))。P(3HB)は熱可塑性高分子であり、自然環境中で生物的に分解されることから、環境にやさしいグリーンプラスチックとして注目されてきた。しかし、P(3HB)は結晶性が高いため、硬くて脆い性質を持っていることから実用的には応用範囲が限られる。この為、この性質の改良を目的とした研究がなされてきた。
その中で、特開昭57−150393号公報および特開昭59−220192号公報等に3−ヒドロキシ酪酸(3HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)とからなる共重合体(以下P(3HB−co−3HV)と略す)の製造方法が開示されている。このP(3HB−co−3HV)はP(3HB)に比べると柔軟性に富むため、幅広い用途に応用できると考えられた。しかしながら、実際のところP(3HB−co−3HV)は3HVモル分率を増加させても、それに伴う物性の変化が乏しく、特にフィルム等に使用するのに要求される柔軟性が向上しないため、シャンプーボトルや使い捨て剃刀の取っ手等硬質成型体の分野にしか利用されなかった。
近年、3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下、3HHと略す)との2成分共重合ポリエステル(以下P(3HB−co−3HH)と略す)およびその製造方法について研究がなされた。例えば、特開平5−93049号公報および特開平7−265065号公報にそれぞれ記載されている。これらの公報のP(3HB−co−3HH)の製造方法は、土壌より単離されたアエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を用いてオレイン酸等の脂肪酸やオリーブオイル等の油脂から発酵生産するものであった。また、P(3HB−co−3HH)の性質に関する研究もなされている(Y.Doi,S.Kitamura,H.Abe,Macromolecules 28,4822−4823(1995))。この報告では炭素数が12個以上の脂肪酸を唯一の炭素源としてA.caviaeを培養し、3HHが11〜19mol%のP(3HB−co−3HH)を発酵生産している。このP(3HB−co−3HH)は3HHモル分率の増加にしたがって、P(3HB)の硬くて脆い性質から次第に柔軟な性質を示すようになり、P(3HB−co−3HV)を上回る柔軟性を示すことが明らかにされた。しかしながら、上記製造方法では菌体生産量4g/L、ポリマー含量30%でありポリマー生産性が低いことから、実用化に向けさらに高い生産性が得られる方法が探索された。
P(3HB−co−3HH)を生産するアエロモナス・キャビエ(A.caviae)よりPHA(ポリヒドロキシアルカン酸)合成酵素遺伝子がクローニングされた(T.Fukui,Y.Doi,J.Bacteriol,vol.179,No.15,4821−4830(1997)、特開平10−108682号公報)。本遺伝子をラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha、旧Alcaligenes eutrophus)に導入した形質転換体を用い、炭素源として植物油脂を用いて培養した結果、菌体含量4g/L、ポリマー含量80%が達成された(T.Hukui等 Appl.Microbiol.Biotecnol.49,333(1998))。また、大腸菌等の細菌や植物を宿主としたP(3HB−co−3HH)の製造方法も開示されている(WO 00/43525)が、その生産性は記載されていない。
上記ポリマーP(3HB−co−3HH)は3HHモル分率を変えることで、硬質ポリマーから軟質ポリマーまで幅広い物性を持つため、テレビの筐体等のように硬さを要求されるものから糸やフィルム等のような柔軟性を要求されるものまで、幅広い分野への応用が期待できる。しかしながら、先に述べた製造方法ではP(3HB−co−3HH)の生産性が依然として低く、P(3HB−co−3HH)の実用化に向けた生産方法としては未だ不十分といわざるを得ない。
最近になって、菌体生産性の高い酵母を宿主とした生分解性ポリエステルの生産研究がLeafらによって行われた(Microbiology,vol.142,pp1169−1180(1996))。酵母の一種であるサッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)にラルストニア・ユートロファ(R.eutropha)のポリエステル合成酵素遺伝子を導入して形質転換体を作製し、グルコースを炭素源として培養することによってP(3HB)の蓄積(ポリマー含量0.5%)を確認している。しかし、上記研究で生産されるポリマーは硬くて脆い性質を有するP(3HB)であった。
酵母は増殖が早く菌体生産性が高いことで知られている。その中でもキャンディダ(Candida)属に属する酵母は、過去Single Cell Proteinとして注目され、ノルマルパラフィンを炭素源とした飼料用菌体生産が研究されてきた。また、近年キャンディダ(Candida)属の宿主ベクター系が開発され、遺伝子組換え技術を用いた物質生産が報告されている(化学と生物 vol.38,No9,614(2000))。キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)を宿主としたαアミラーゼの生産性は約12.3g/Lと高く、このように高い物質生産能力を有するキャンディダ(Candida)属は、ポリマー生産用宿主として期待される。さらに、細菌と比べて菌体と培養液との分離が容易であることから、ポリマーの抽出精製工程をより簡単にすることも可能である。
そこで、優れた物性を有するP(3HB−co−3HH)をキャンディダ(Candida)属酵母を用いて生産する方法が求められていた。
発明の要約
本発明は、上記現状に鑑み、酵母で機能的かつ効率よく発現できるポリエステル合成に関与する遺伝子、同遺伝子から成る遺伝子発現カセットを酵母に形質転換した形質転換体、および、得られた形質転換体を培養することにより、生分解性および優れた物性を有するポリエステルを製造する方法を提供するものである。
本発明者らは様々な検討を行った結果、ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子の一種以上のそれぞれに対して、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した、酵母で発現可能な新規遺伝子を作成し、これら遺伝子のそれぞれに、酵母で機能するプロモーターおよびターミネーターを連結することにより遺伝子発現カセットを作成し、さらに本遺伝子発現カセットを酵母に導入して形質転換体を作成し、本形質転換体を培養することにより、その培養物から極めて高い生産性が期待できる方法でポリエステルを製造できることを見いだした。
すなわち、本発明は、ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した、酵母で発現可能な遺伝子に関する。
その好ましい実施態様としては、ポリエステルの合成に関与する酵素が細菌由来の酵素、より好ましくはアエロモナス・キャビエ由来の酵素である上記遺伝子、また、細菌由来の遺伝子の遺伝暗号CTGの少なくとも1つが、TTA、TTG、CTT、CTCまたはCTAに変換されていることを特徴とする上記遺伝子に関する。
別の好ましい実施態様としては、ポリエステルの合成に関与する酵素がポリヒドロキシアルカン酸合成酵素またはR体特異的エノイルCoAヒドラターゼである上記遺伝子に関する。
また、本発明は、上記遺伝子から翻訳されるポリエステル合成に関与する酵素に関する。
さらに、本発明は、上記遺伝子が酵母に一種類以上導入されてなることを特徴とする形質転換体に関する。好ましくは、上記遺伝子と、酵母で機能するプロモーターおよびターミネーターからなる、ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子発現カセットが、酵母に1種類以上導入されていることを特徴とする形質転換体に関する。
別の好ましい実施態様としては、ポリエステルが、下記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸の単独重合体または共重合体である上記形質転換体に関し、
Figure 2003033707
(式中、Rは、アルキル基を表す。)
さらに好ましくは、ポリエステルが、下記式(2)で示される3−ヒドロキシ酪酸と下記式(3)で示される3−ヒドロキシヘキサン酸とを共重合してなる共重合ポリエステルP(3HB−co−3HH)である上記形質転換体に関する。
Figure 2003033707
また、本発明は、上記形質転換体を培養して得られる培養物から、ポリエステルを採取することを特徴とするポリエステルの製造方法に関する。
発明の詳細な開示
以下に、本発明の詳細を説明する。
(1)ポリエステルの合成に関与する酵素並びにそれをコードする遺伝子
本発明におけるポリエステルとしては特に限定されないが、一般式(1):
Figure 2003033707
(式中、Rはアルキル基を示す。)
で示される3−ヒドロキシアルカン酸の単独重合体または共重合体が好ましい。つまり、式(1)で表される1種の3−ヒドロキシアルカン酸の単独重合体、または、式(1)で表される2種以上の3−ヒドロキシアルカン酸の共重合体が好ましい。
また、式(2):
Figure 2003033707
で示される3−ヒドロキシ酪酸と式(3):
Figure 2003033707
で示される3−ヒドロキシヘキサン酸とを共重合して得られる、式(4):
Figure 2003033707
(式中、m,nは1以上の整数を示す)で表される共重合ポリエステルP(3HB−co−3HH)がより好ましい。
ここで、上記一般式におけるRはアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜11、より好ましくは炭素数1〜4、さらに好ましくは炭素数1〜3である。
本発明でいう、ポリエステルの合成に関与する酵素としては、ポリエステル合成酵素だけでなく、ポリエステルの中間体を合成する酵素も含む。上記ポリエステル合成酵素としては、例えば、ポリヒドロキシアルカン酸(以下PHAという)合成酵素等が挙げられる。また、ポリエステルの中間体を合成する酵素としては、例えば、β酸化経路の中間体のエノイルCoAをモノマーである(R)−3−ヒドロキシアシルCoAに変換するR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ(T.Fukui,et al,FEMS Microbiology Letters,vol.170,69−75(1999))や、アセチルCoAを二量化してモノマーである3−ヒドロキシブチリルCoAを合成するβケトチオラーゼ・NADPH依存性アセトアセチルCoA還元酵素(Peoples OP,et al,J.Biol.Chem.264(26)15298−15303(1989))、3−ケトアシルCoAリダクターゼ(fabG)(Qun Ren,et al,J.Bacteriol,vol.182,No.10、pp2978−2981)、3−ヒドロキシアシルCoAエピメラーゼ(fadB)、アシルCoAデヒドロゲナーゼ(Qun Ren,et al,Applied and Environmental Microbiology,Vol.66,No.4,pp1311−1320)等が挙げられる。
これらポリエステルの合成に関与する酵素としては特に限定されないが、細菌由来の酵素が好ましく、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)またはラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)由来の酵素がより好ましく、例えば特開平10−108682号公報に記載されている酵素を用いることができる。
上記のような細菌由来の酵素をコードする遺伝子を酵母に形質転換する場合、細菌由来の遺伝子をそのまま用いると宿主酵母の中には遺伝暗号読みとりに異常を示す場合がある。例えばキャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)(Y.Kawaguchi et al,Nature 341 164−166(1989))やキャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)(H.Sugiyama et al,Yeast 11 43−52(1995))は、遺伝暗号CTGがロイシンではなくセリンに翻訳される酵母である。このような酵母において、当該酵母以外の生物由来のポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子を発現させる場合、遺伝暗号の読みとり異常が生じることがあるため、当該酵素のアミノ酸配列の異なった酵素が生産されることがある。その結果、当該酵素の機能が十分発揮できない恐れが生ずる可能性がある。
このような問題は、予め遺伝子内に含まれる遺伝暗号CTGの少なくとも一つを、ロイシンに対応する他の遺伝暗号(TTA,TTG,CTT,CTC,CTA)に変換した遺伝子を使用することによって解決することができる。変換するロイシンに対応する他の遺伝暗号に制限はないが、導入する遺伝子の翻訳効率を考慮すると、遺伝子導入する宿主酵母において、使用頻度の高い遺伝暗号に変換することが好ましい。例えば、キャンディダ・マルトーサにおいては、遺伝暗号CTGをTTA,TTGのいずれかに変換することが望ましく、最も好適にはTTGに変換することが望ましい。
また、遺伝子を構成する遺伝暗号の使用頻度は、生物によって偏りが見られる。すなわち、トリプトファンとメチオニン以外のアミノ酸では、当該アミノ酸に対応する複数の遺伝暗号が存在するが、遺伝暗号使用頻度に各生物特有の偏りが見られる。キャンディダ・マルトーサでは、例えばアラニンに対応する遺伝暗号はGCT,GCC,GCA,GCGであるが、最も高頻度に遺伝子を構成する遺伝暗号はGCTである。このように複数ある同一アミノ酸を指定する遺伝暗号のうち、使用される遺伝暗号は生物によって偏りが認められ、使用頻度の高い遺伝暗号から成る遺伝子の翻訳効率が高いことが指摘されている。例えばアエロモナス・キャビエ由来のPHA合成酵素遺伝子やR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子のGC含量はそれぞれ67.16%、65.77%であるが、キャンディダ・マルトーサ由来で現在までに報告されている酵素、例えばホスホグリセリン酸キナーゼではGC含量39.55%、またP450(ALK2−A)ではGC含量35.67%である。
このように遺伝暗号使用頻度の偏りの結果、遺伝子のGC含量が変化する。したがって、例えばポリエステル合成に関与する遺伝子をキャンディダ・マルトーサにおいて効率よく発現させるためには、前記の遺伝暗号CTGを他のロイシン対応遺伝暗号に変更することに加えて、キャンディダ・マルトーサにおいて使用頻度の高い遺伝暗号に変更した当該遺伝子を使用することが好ましい。
キャンディダ・マルトーサにおける遺伝暗号使用頻度に関しては、Klaus Wolf編集のNonconventional Yeasts in Biotechnology(Springer出版)において記載されている。アラニンに対応する遺伝暗号はGCTが好ましく、アルギニンではAGA、アスパラギンではAACまたはAAT、アスパラギン酸ではGAT、システインではTGT、グリシンではGGT、グルタミンではCAA、グルタミン酸ではGAA、ヒスチジンではCACまたはCAT、イソロイシンではATT、ロイシンではTTGまたはTTA、リジンではAAA、フェニルアラニンではTTCまたはTTT、プロリンではCCA、セリンではTCT、スレオニンではACT、チロシンではTATまたはTAC、バリンではGTTがそれぞれ好ましいが、特にこれらの遺伝暗号に制限されない。
一例として、キャンディダ・マルトーサを宿主とした場合、本ポリエステル合成に関与する酵素遺伝子として、配列番号5で示されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成酵素遺伝子、配列番号6で示されるR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子を利用することができる。
なお、上記配列番号5又は6で表される遺伝子の塩基配列は、実質的な酵素活性を有する限り、1つ若しくは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加されたものであってもよい。
ここで、「1つ若しくは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列」とは、蛋白核酸酵素 増刊 遺伝子増幅PCR法 TAKKAJ 35(17),2951−3178(1990)又はHenry A.Erlich編 加藤郁之進鑑訳 PCRテクノロジー(1990)等に記載の当業者に周知の方法により、欠失、置換および/または付加できる程度の数の塩基が、欠失、置換および/または付加されてなる塩基配列を意味する。
また、上記塩基配列からなるDNAは、実質的な酵素活性を有する限り、配列番号5又は6に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであってもよい。
「配列番号5又は6に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、配列番号5又は6に示す塩基配列からなるDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、又はサザン・ハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAのことをいう。当業者であれば、Molecular Cloning 2nd Edt.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されている方法に準じて該ハイブリダイゼーションを実施して、目的とするDNAを容易に取得できる。
(2)ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した、酵母で発現可能な遺伝子
本発明の特徴は、上記ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した、酵母で発現可能な遺伝子を利用することにある。
酵母を用いてポリエステルを発酵生産させる場合、炭素源としては、炭水化物、油脂類、脂肪酸類、n−パラフィン等、酵母が利用できるものであれば特に制限なく利用することができる。しかし、油脂類、脂肪酸類あるいはn−パラフィン等を炭素源としてポリエステルを発酵生産する場合、これらの炭素源はβ酸化経路を経て代謝されるが、β酸化経路の代謝中間体は効率よくポリエステル合成の基質として利用される(T.Fukui,Y.Doi,J.Bacteriol.,179,No.15,4821−4830(1997),Q.Ren等,J.Bacteriol.,182,No.10,2978−2981(2000))。ここで、酵母におけるβ酸化は、細胞内小器官であるペルオキシソーム内で行われることから、ポリエステルの効率の良い合成のためには、ポリエステル合成に関与する酵素がペルオキシソームに局在することが好ましい。
ペルオキシソームへ輸送されるタンパク質は、遊離のリボソーム上で合成され、そのタンパク質配列中にあるペルオキシソーム配向シグナルの働きにより、ペルオキシソームへ輸送される(S.Subramani,J.Membrane Biol.,125,99−106,(1992)、板井 康能,化学と生物,35,No.10,687−695(1997)E.H.Hettema,Biochim.Biophys.Acta,1451,17−34(1999))。従って、これらペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを、ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に付加させることにより、ポリエステルの合成に関与する酵素をペルオキシソームに局在化させることができ、ポリエステルを効率よく合成することができる。
また、植物において、PHA合成酵素遺伝子をペルオキシソームに配向させることが報告されている(WO99/35278)。
カルボキシル末端にあるペルオキシソーム配向シグナルとして、3つのアミノ酸配列から成る「(セリン/アラニン/システイン)−(リジン/アルギニン/ヒスチジン)−ロイシン」が知られている。ここで、例えば、(セリン/アラニン/システイン)とは、セリン、アラニンまたはシステインのいずれかであるということを意味する。ポリエステルの合成に関与する酵素をペルオキシソームに配向させるためには、前記3アミノ酸を同酵素のカルボキシル末端に付加すればよい。このうち、一般的なカルボキシル末端ペルオキシソーム配向シグナルとして知られている「セリン−リジン−ロイシン」(以下SKLと略す)(配列番号1)や、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)でカルボキシル末端ペルオキシソーム配向シグナルとして知られている(J.D.Aitchison et al,J.Biol.Chem.266,23197−23203(1991))「アラニン−リジン−イソロイシン」(以下AKIと略す)(配列番号2)をカルボキシル末端に付加するのが好ましい。
上記アミノ酸に対応する塩基配列に特に制限はなく、例えばSKLであれば配列番号3、AKIであれば配列番号4の塩基配列を使用することができる。
また、N末端付近に存在する9つのアミノ酸配列「(アルギニン/リジン)−(ロイシン/バリン/イソロイシン)−(5アミノ酸)−(ヒスチジン/グルタミン)−(ロイシン/アラニン)」もペルオキシソーム配向シグナルとして知られている。これらの配列をポリエステル合成に関与する酵素に挿入、付加することによっても、同酵素をペルオキシソームに局在させることができる。
上記ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAをポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に付加した新規遺伝子は、化学合成法やPCR法等を用いて作製することができる。以下、一例として、ポリエステル合成に関与する酵素遺伝子としての、配列番号5で示されるPHA合成酵素遺伝子、配列番号6で示されるR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子のカルボキシル末端に、PCRによってSKLを付加する方法について説明する。
PCR用プライマーとして配列番号11と配列番号12を用いて、配列番号5で示されるPHA合成酵素遺伝子を鋳型にしてPCR反応を実施し、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAをPHA合成酵素遺伝子に付加した新規遺伝子(以下ORF2Sと略す)(配列番号7)を作製することができる。同様に、PCR用プライマーとして配列番号14と配列番号15を用いて、配列番号6で示されるR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子を鋳型にしてPCR反応を実施し、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAをR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子に付加した新規遺伝子(以下ORF3Sと略す)(配列番号9)を作製することができる。ここで用いるPCR条件は、目的遺伝子断片が増幅できればどのような条件を用いてもよい。
また、上記と同様にして、PHA合成酵素遺伝子、R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子のカルボキシル末端に、PCRによってAKIを付加することができる。配列番号11と13をプライマーとして使用して、PHA合成酵素遺伝子を鋳型にしてPCR反応を実施し、新規遺伝子(以下ORF2Aと略す)(配列番号8)を作製することができる。同様に、配列番号14と16をプライマーとして使用して、R体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子を鋳型にしてPCR反応を実施し、新規遺伝子(以下ORF3Aと略す)(配列番号10)を作製することができる。
なお、上記配列番号7〜10で表される新規遺伝子の塩基配列は、それぞれ、実質的な酵素活性を有する限り、1つ若しくは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加されたものであってもよい。また、上記塩基配列からなるDNAは、それぞれ、実質的な酵素活性を有する限り、上記配列番号に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであってもよい。
上記ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した遺伝子は、酵母で発現可能な遺伝子である。
ここで、酵母としては、特に制限はなく、菌株の寄託機関(例えばIFO、ATCC等)に寄託されている、アシクロコニディウム属(Aciculoconidium属),アンブロシオザイマ属(Ambrosiozyma属),アルスロアスカス属(Arthroascus属),アルキシオザイマ属(Arxiozyma属),アシュビア属(Ashbya属),バブジェビア属(Babjevia属),ベンシングトニア属(Bensingtonia属),ボトリオアスカス属(Botryoascus属),ボトリオザイマ属(Botryozyma属),ブレッタノマイセス属(Brettanomyces属),ビュレラ属(Bullera属),ビュレロマイセス属(Bulleromyces属),キャンディダ属(Candida属),シテロマイセス属(Citeromyces属),クラビスポラ属(Clavispora属),クリプトコッカス属(Cryptococcus属),シストフィロバシディウム属(Cystofilobasidium属),デバリオマイセス属(Debaryomyces属),デッケラ属(Dekkera属),ディポダスコプシス属(Dipodascopsis属),ディポダスカス属(Dipodascus属),エニエラ属(Eeniella属),エンドマイコプセラ属(Endomycopsella属),エレマスカス属(Eremascus属),エレモセシウム属(Eremothecium属),エリスロバシディウム属(Erythrobasidium属),フェロマイセス属(Fellomyces属),フィロバシディウム属(Filobasidium属),ガラクトマイセス属(Galactomyces属),ゲオトリクム属(Geotrichum属),ガイラーモンデラ属(Guilliermondella属),ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora属),ハンセヌラ属(Hansenula属),ハセガワエア属(Hasegawaea属),ホルターマンニア属(Holtermannia属),ホルモアスカス属(Hormoascus属),ハイフォピキア属(Hyphopichia属),イサットヘンキア属(Issatchenkia属),クロエケラ属(Kloeckera属),クロエケラスポラ属(Kloeckeraspora属),クルイベロマイセス属(Kluyveromyces属),コンドア属(Kondoa属),クライシア属(Kuraishia属),クルツマノマイセス属(Kurtzmanomyces属),ロイコスポリディウム属(Leucosporidium属),リポマイセス属(Lipomyces属),ロデロマイセス属(Lodderomyces属),マラセジア属(Malassezia属),メトシュニコウィア属(Metschnikowia属),ムラキア属(Mrakia属),マイクソザイマ属(Myxozyma属),ナドソニア属(Nadsonia属),ナカザワエア属(Nakazawaea属),ネマトスポラ属(Nematospora属),オガタエア属(Ogataea属),オースポリディウム属(Oosporidium属),パチソレン属(Pachysolen属),ファチコスポラ属(Phachytichospora属),ファフィア属(Phaffia属),ピキア属(Pichia属),ロドスポリディウム属(Rhodosporidium属),ロドトルラ属(Rhodotorula属),サッカロマイセス属(Saccharomyces属),サッカロマイコーデス属(Saccharomycodes属),サッカロマイコプシス属(Saccharomycopsis属),サイトエラ属(Saitoella属),サカグチア属(Sakaguchia属),サターノスポラ属(Saturnospora属),シゾブラストスポリオン属(Schizoblastosporion属),シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces属),シュワニオマイセス属(Schwanniomyces属),スポリディオボラス属(Sporidiobolus属),スポロボロマイセス属(Sporobolomyces属),スポロパキデミア属(Sporopachydermia属),ステファノアスカス属(Stephanoascus属),ステリグマトマイセス属(Sterigmatomyces属),ステリグマトスポリディウム属(Sterigmatosporidium属),シンビオタフリナ属(Symbiotaphrina属),シンポディオマイセス属(Sympodiomyces属),シンポディオマイコプシス属(Sympodiomycopsis属),トルラスポラ属(Torulaspora属),トリコスポリエラ属(Trichosporiella属),トリコスポロン属(Trichosporon属),トリゴノプシス属(Trigonopsis属),ツチヤエア属(Tsuchiyaea属),ウデニオマイセス属(Udeniomyces属),ワルトマイセス属(Waltomyces属),ウィカーハミア属(Wickerhamia属),ウィカーハミエラ属(Wickerhamiella属),ウィリオプシス属(Williopsis属),ヤマダザイマ属(Yamadazyma属),ヤロウィア属(Yarrowia属),ザイゴアスカス属(Zygoascus属),ザイゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces属),ザイゴウィリオプシス属(Zygowilliopsis属),ザイゴザイマ属(Zygozyma属)等の酵母を使用することができる。
上記酵母のうち、油脂を炭素源とした場合の増殖性がよく、菌株の安全性が高く、菌体と培養液の分離が比較的容易である点から、好ましくはキャンディダ属またはヤロウィア属のものであり、より好ましくはキャンディダ・マルトーサ、ヤロウィア・リポリティカであり、さらに好ましくはキャンディダ・マルトーサである。
また、上記ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した遺伝子から、ポリエステルの合成に関与する酵素が翻訳される。
(3)遺伝子発現カセットの構築
上記ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した遺伝子を酵母で発現させるには、当該遺伝子の5′上流にプロモーター、UAS等のDNA配列が、当該遺伝子の3′下流にポリA付加シグナル、ターミネーター等のDNA配列が必要である。酵母の染色体上に上記条件を満たす適当な部位があれば、当該遺伝子を直接挿入しても良いし、また、適当なプロモーターおよびターミネーターを有するプラスミドに当該遺伝子を挿入し、このプラスミドを酵母に形質転換させることもできる。本発明においては、当該遺伝子の5’上流にプロモーター、3’下流にターミネーターを連結した遺伝子発現カセットを構築し、これを酵母に形質転換するのが好ましい。
使用するプロモーター、ターミネーターは、酵母で機能するものであればどのような配列でも利用できる。プロモーターには構成的に発現を行うものや誘導的に発現を行うものがあるが、いずれのプロモーターを用いてもよい。本発明においては、上記プロモーター、ターミネーターが、キャンディダ・マルトーサで機能するものであることが好ましく、上記プロモーター、ターミネーターがキャンディダ・マルトーサ由来であることが好ましい。より好ましくは、キャンディダ・マルトーサのALK1、ALK5またはPOX2遺伝子由来のプロモーター、ALK1遺伝子由来のターミネーターを利用する。
例えば、プロモーターとしては、キャンディダ・マルトーサのALK1遺伝子(GenBank D00481)のプロモーターALK1p(配列番号17)、ALK5遺伝子のプロモーターALK5p(配列番号18)、POX2遺伝子(GenBank D21228)のプロモーターPOX2p(配列番号19)等を用いることができる。また、ターミネーターとしては、キャンディダ・マルトーサのALK1遺伝子のターミネーターALK1t(配列番号20)等を用いることができる。
なお、上記プロモーター、ターミネーターの塩基配列は、キャンディダ・マルトーサで機能する配列であれば、1つ若しくは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列であってもよい。また、上記塩基配列からなるDNAは、それぞれ、キャンディダ・マルトーサで機能するものであれば、上記配列番号に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであってもよい。
上記プロモーターは、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAが付加されたポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子の5’上流に、ターミネーターは、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAが付加されたポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子の3’下流に、それぞれ連結される。
遺伝子発現カセットの構築に用いられるベクターは、大腸菌において自律増殖するプラスミドであればどのようなベクターでもよく、さらに酵母において自律増殖可能な領域を合わせ持っていてもよい。酵母において自律増殖できるベクターは、菌体内に保持される。また、遺伝子発現カセットを染色体上に組み込むこともできる。一例として、キャンディダ・マルトーサにおいて自律増殖可能なpUTU1を用いることができる(M.Ohkuma,et al,J.Biol.Chem.,vol.273,3948−3953(1998))。
プロモーターおよびターミネーターと構造遺伝子を連結するための制限酵素部位を作成するためには、PCR法が利用できる。PCRに用いるプライマー配列は特に限定されないが、例えば、配列番号21から配列番号28に示す配列を使用できる。PCRの条件は目的遺伝子断片が増幅できればどのような条件を用いてもよい。
本発明の遺伝子発現カセットの構築方法は特に限定されないが、一例として、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNA配列をポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子に付加した遺伝子として、前記ORF2SとORF3Sの2種類の遺伝子を用いた場合の構築方法として以下に説明する。
(a)ALK1p、ALK5pとALK1tを用いた場合
プロモーター部分は、ALK1遺伝子を鋳型にして配列番号21と配列番号22を用いて、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのALK1pを作製することができる。ターミネーター部分は、ALK1遺伝子を鋳型にして配列番号27と配列番号28を用いて、5’末端がHindIII、3’末端がEcoRVのALK1tを作製することができる。ベクターには、pUTU1とキャンディダ・マルトーサのADE1遺伝子(配列番号29)(GenBank D00855)(S.Kawai,et al,Agric.Biol.Chem.,vol.55,59−65(1991))を用いて、マーカー遺伝子をウラシルからアデニンに変更したベクターpUTA1(図1)とpUCNT(WO94/03613)を使用することができる。
pUCNTのPvuII、NdeIサイトにALK1pを結合してpUCNT−ALK1pを構築し、pUCNTのHindIII、SspIサイトにALK1tを結合してpUCNT−ALK1tを構築し、次いで、pUCNT−ALK1pからPvuIIとNdeIでALK1pを切り出し、pUCNT−ALK1tのPvuII、NdeIサイトに結合して、pUAL1(図2)を構築することができる。
次に、pUAL1のNdeI、PstIサイトにORF2Sを結合し、プラスミドpUAL−ORF2S(図3)を構築することができる。
さらに、プラスミドpUAL−ORF2SからEcoT22Iを用いて、ORF2Sとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pUTA1のPstIサイトに結合し、pHA2S(図4)を構築することができる。
以上の構築方法を図8と図9にまとめて記載した。なお、図8、図9における「*1」は、ここで図8と図9がつながっていることを示す。
一方、キャンディダ・マルトーサのALK5遺伝子(GenBank D12717)を鋳型にして、配列番号23と24を使用して、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのALK5p(配列番号18)を作製することができる。このDNA断片をpUAL1のALK1pと入れ替えることで、pUAL5が構築できる。このプラスミドからPvuI、PvuIIを用いてALK5プロモーター、ALK1ターミネーターを切り出し、市販のベクターpSTV28のSmaI、PvuIサイトに接続することで、pSTAL5を構築することができる。このプラスミドのNdeI、PstIサイトにORF3Sを結合し、pSTAL5−ORF3S(図5)が構築できる。
さらに、pSTAL5−ORF3SからSalIを用いてORF3Sとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pHA2SのSalIサイトに結合したプラスミドpHA23S2(図6)を構築することができる。
以上の構築方法を図10と図11にまとめて記載した。なお、図10、図11における「*2」は、ここで図10と図11がつながっていることを示す。
(b)ALK1p、POX2pとALK1tを用いた場合
キャンディダ・マルトーサのPOX2遺伝子(GenBank D21228)を鋳型にして、配列番号25と配列番号26を使用して、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのPOX2p(配列番号19)を作製することができる。このDNA断片をpUCNT−ORF3Stのlacプロモーターと入れ替えることで、pPOX2−ORF3Sが構築できる。pPOX2−ORF3SからSalIを用いてORF3Sとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pHA2SのSalIサイトに結合したプラスミドpHA23S1(図7)を構築することができる。以上の構築方法を図12にまとめて記載した。
以上の方法により、酵母キャンディダ・マルトーサにおいて、一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸を単独重合または共重合してなるポリエステルを製造するための遺伝子発現カセットを構築することができる。
(4)宿主
本発明でいう酵母には特に制限はなく、菌株の寄託機関(例えばIFO、ATCC等)に寄託されている、アシクロコニディウム属(Aciculoconidium属),アンブロシオザイマ属(Ambrosiozyma属),アルスロアスカス属(Arthroascus属),アルキシオザイマ属(Arxiozyma属),アシュビア属(Ashbya属),バブジェビア属(Babjevia属),ベンシングトニア属(Bensingtonia属),ボトリオアスカス属(Botryoascus属),ボトリオザイマ属(Botryozyma属),ブレッタノマイセス属(Brettanomyces属),ビュレラ属(Bullera属),ビュレロマイセス属(Bulleromyces属),キャンディダ属(Candida属),シテロマイセス属(Citeromyces属),クラビスポラ属(Clavispora属),クリプトコッカス属(Cryptococcus属),シストフィロバシディウム属(Cystofilobasidium属),デバリオマイセス属(Debaryomyces属),デッケラ属(Dekkera属),ディポダスコプシス属(Dipodascopsis属),ディポダスカス属(Dipodascus属),エニエラ属(Eeniella属),エンドマイコプセラ属(Endomycopsella属),エレマスカス属(Eremascus属),エレモセシウム属(Eremothecium属),エリスロバシディウム属(Erythrobasidium属),フェロマイセス属(Fellomyces属),フィロバシディウム属(Filobasidium属),ガラクトマイセス属(Galactomyces属),ゲオトリクム属(Geotrichum属),ガイラーモンデラ属(Guilliermondella属),ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora属),ハンセヌラ属(Hansenula属),ハセガワエア属(Hasegawaea属),ホルターマンニア属(Holtermannia属),ホルモアスカス属(Hormoascus属),ハイフォピキア属(Hyphopichia属),イサットヘンキア属(Issatchenkia属),クロエケラ属(Kloeckera属),クロエケラスポラ属(Kloeckeraspora属),クルイベロマイセス属(Kluyveromyces属),コンドア属(Kondoa属),クライシア属(Kuraishia属),クルツマノマイセス属(Kurtzmanomyces属),ロイコスポリディウム属(Leucosporidium属),リポマイセス属(Lipomyces属),ロデロマイセス属(Lodderomyces属),マラセジア属(Malassezia属),メトシュニコウィア属(Metschnikowia属),ムラキア属(Mrakia属),マイクソザイマ属(Myxozyma属),ナドソニア属(Nadsonia属),ナカザワエア属(Nakazawaea属),ネマトスポラ属(Nematospora属),オガタエア属(Ogataea属),オースポリディウム属(Oosporidium属),パチソレン属(Pachysolen属),ファチコスポラ属(Phachytichospora属),ファフィア属(Phaffia属),ピキア属(Pichia属),ロドスポリディウム属(Rhodosporidium属),ロドトルラ属(Rhodotorula属),サッカロマイセス属(Saccharomyces属),サッカロマイコーデス属(Saccharomycodes属),サッカロマイコプシス属(Saccharomycopsis属),サイトエラ属(Saitoella属),サカグチア属(Sakaguchia属),サターノスポラ属(Saturnospora属),シゾプラストスポリオン属(Schizoblastosporion属),シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces属),シュワニオマイセス属(Schwanniomyces属),スポリディオボラス属(Sporidiobolus属),スポロボロマイセス属(Sporobolomyces属),スポロパキデミア属(Sporopachydermia属),ステファノアスカス属(Stephanoascus属),ステリグマトマイセス属(Sterigmatomyces属),ステリグマトスポリディウム属(Sterigmatosporidium属),シンビオタフリナ属(Symbiotaphrina属),シンポディオマイセス属(Sympodiomyces属),シンポディオマイコプシス属(Sympodiomycopsis属),トルラスポラ属(Torulaspora属),トリコスポリエラ属(Trichosporiella属),トリコスポロン属(Trichosporon属),トリゴノプシス属(Trigonopsis属),ツチヤエア属(Tsuchiyaea属),ウデニオマイセス属(Udeniomyces属),ワルトマイセス属(Waltomyces属),ウィカーハミア属(Wickerhamia属),ウィカーハミエラ属(Wickerhamiella属),ウィリオプシス属(Williopsis属),ヤマダザイマ属(Yamadazyma属),ヤロウィア属(Yarrowia属),ザイゴアスカス属(Zygoascus属),ザイゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces属),ザイゴウィリオプシス属(Zygowilliopsis属),ザイゴザイマ属(Zygozyma属)等の酵母を使用することができる。
また、本発明の形質転換体の宿主として用いられる酵母としては、特に限定されないが、油脂を炭素源とした場合の増殖性がよく、菌株の安全性が高く、菌体と培養液の分離が比較的容易である点から、好ましくはキャンディダ属またはヤロウィア属のものであり、より好ましくはキャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であり、さらに好ましくはキャンディダ・マルトーサである。
なお、宿主として用いられる酵母のうち、Candida maltosa AC16株は、受託番号FERM BP−7366として、平成12年11月15日に、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6にある独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに国際寄託されている。
(5)形質転換体の作製
本発明の形質転換体は、上記ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した遺伝子が、酵母に一種類以上導入されてなるものである。また、上記遺伝子と、酵母で機能するプロモーターおよびターミネーターからなる、ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子発現カセットが、酵母に1種類以上導入されていることが好ましい。
ポリマー合成に関与する遺伝子発現カセット組換えベクターの酵母への導入は、公知の方法により行うことができる。例えば、カルシウム法(Lederberg.E.M.et al.,J.Bacteriol.119.1072(1974))やエレクトロポレーション法(Current Protocols in Morecular Biology、1巻、1.8.4頁、1994年)等を用いることができる。また、Fast TrackTM−Yeast Transformation KitSM(Geno Technology)のような市販の形質転換キットを利用することもできる。
一例として、宿主として、キャンディダ・マルトーサCHA1株(S.Kawai,et al,Agric.Biol.Chem.,vol.55,59−65(1991))を用いることができる。上記の形質転換法を用いて、ポリマー合成に関与する遺伝子発現カセットで本菌株を形質転換し、例えば、上述したpHA2SやpHA23S2等のプラスミドを有するキャンディダ・マルトーサ形質転換体を作製することができる。
なお、上記形質転換体のうち、プラスミドpHA23S1を導入した株である、Candida maltosa AC16(pHA23S1)は、受託番号FERM BP−7762として、プラスミドpHA23S2を導入した株である、Candida maltosa AC16(pHA23S2)は、受託番号FERM BP−7763として、それぞれ平成13年10月3日に、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6にある独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに国際寄託されている。
(6)ポリエステルの製造
本発明のポリエステルの製造方法においては、本発明の上記形質転換体を培養して得られる培養物から、ポリエステルを採取する。
つまり、本発明のポリエステルの製造は、培養培地に上記形質転換体を添加して培養した後、得られた当該培養菌体または培養物からポリエステルを回収することにより行うことができる。ここで、培養温度は、その菌の生育可能な温度、好ましくは15℃〜40℃、より好ましくは20℃〜40℃、さらに好ましくは28℃〜34℃である。また、培養時間は、特に限定されないが、例えばバッチ培養では1〜7日間が好ましく、また連続培養も可能である。
培養培地は、酵母が利用できるものである限り特に限定されない。例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、その他の有機栄養源等を含有する培地を使用することができる。
炭素源としては、酵母が資化できるものである限り特に限定されず、例えば炭水化物、油脂類、脂肪酸類、n−パラフィン等を用いることができる。炭水化物としては、例えばグルコース、シュークロース、グリセリン等が挙げられる。油脂類としては、例えばナタネ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等が挙げられる。脂肪酸類としては、例えばヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸等の飽和・不飽和脂肪酸、あるいはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂肪酸誘導体が挙げられる。n−パラフィンとしては、例えばドデカン、テトラデカン等が挙げられる。
また、プロモーターの発現が誘導型である場合には、適時誘導物質(例えば、アルコール等)を添加すればよい。誘導物質が主要炭素源である場合もある。
一例として、キャンディダ・マルトーサの培養において、炭素源として油脂類を用いて培養することもできる。また、油脂を資化できないかまたは効率よく資化できない酵母では、培地中にリパーゼを添加することによって改善することもできる。さらに、リパーゼ遺伝子を形質転換することにより、油脂資化能を付与することもできる。
また、炭素源として奇数の炭素鎖を有する脂肪酸やn−パラフィン等を用いた場合、上記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸を単独重合または共重合してなるポリエステルの炭素鎖に奇数成分の割合を高めることができる。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸水素マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
その他の有機栄養源としては、例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸類;ビタミンB1、ビタミンB12、ビオチン、ニコチン酸アミド、パントテン酸、ビタミンC等のビタミン類等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルの菌体からの回収は、例えば、次のような方法が使用できる。培養終了後、遠心分離器等で培養液から菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄した後、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてポリエステルを抽出する。このポリエステルを含んだ有機溶剤溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、その濾液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えてポリエステルを沈殿させる。沈殿したポリエステルから、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させて、ポリエステルを回収することができる。
本発明では、ポリエステルを生産する菌体として酵母を使用するため、上記のような簡便な分離回収方法が利用可能である。
また、得られたポリエステルの分析は、例えば、ガスクロマトグラフ法や核磁気共鳴法等により行う。
本発明のポリエステルの製造方法は、上述のような構成からなるので、一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸の単独重合体または共重合体であるポリエステルを生産性良く製造することができる。
また、上述したプラスミドpHA2S等を用いて、ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した遺伝子と、酵母で機能するプロモーターおよびターミネーターを有するキャンディダ・マルトーサ形質転換体を作製し、培養する方法により、前述の式(2)で示される3−ヒドロキシ酪酸と式(3)で示される3−ヒドロキシヘキサン酸とを共重合してなる共重合ポリエステルP(3HB−co−3HH)を製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例にその技術範囲を限定するものではない。
(実施例1)ポリエステル合成に関与する遺伝子の設計と合成
ポリエステル合成に関与する酵素遺伝子として、アエロモナス・キャビエの由来のPHA合成酵素と、β酸化経路の中間体のエノイルCoAをモノマーである(R)−3−ヒドロキシアシルCoAに変換するR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ(T.Fukui,et al,FEMS MicrobiologyLetters,vol.170,69−75(1999))のアミノ酸配列をもとに、当該酵素遺伝子を合成した。
キャンディダ・マルトーサは、CTGコドンをロイシンではなくセリンに翻訳する酵母である。このため、ロイシンコドンにはCTGを割り当てなかった。各アミノ酸に対応するコドンはキャンディダ・マルトーサにおいて使用頻度の高いコドンを優先的に選択した。コドンの使用頻度はKlaus Wolf著のNonconvendtional Yeast in Biotechnology(Springer出版)を参考にした。
遺伝子の設計は次のようにして行った。アエロモナス・キャビエ由来のPHA合成酵素と、β酸化経路の中間体のエノイルCoAをモノマーである(R)−3−ヒドロキシアシルCoAに変換するR体特異的エノイルCoAヒドラターゼのそれぞれのDNA配列とアミノ酸配列をもとに、各アミノ酸に対応する最適コドンを割り当てた。
さらに、アエロモナス・キャビエ由来のPHA合成酵素のDNA配列において、2個所のKpnI部位を作成するために、969番目のTをC、1449番目のTをCに変換した。
以上の置換によっては、当該遺伝子のアミノ酸配列は変更されない。
このようにしてPHA合成酵素遺伝子(ORF2)(配列番号5)とR体特異的エノイルCoAヒドラターゼ遺伝子(ORF3)(配列番号6)を設計し、化学合成した。
(実施例2)ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子発現カセットの構築
(a)ALK1p、ALK5pとALK1tを用いた場合
キャンディダ・マルトーサでORF2、ORF3を発現させるために、それぞれの5′上流にキャンディダ・マルトーサ由来プロモーターを、3’下流にターミネーターを連結することにした。ORF2にはALK1遺伝子(GenBank D00481)のプロモーターALK1p(配列番号17)を、またORF3にはALK5遺伝子(GenBank D12717)のプロモーターALK5p(配列番号18)を連結することにした。3’下流には共にキャンディダ・マルトーサのALK1遺伝子のターミネーターALK1t(配列番号20)を連結することにした。プロモーターおよびターミネーターと構造遺伝子を連結するための制限酵素部位を作成するために、PCR法を利用した。PCRに用いたプライマー配列を配列番号21から配列番号28に示す。PCRの条件は94℃で1分、55℃で2分、72℃で3分を1サイクルとし、これを25回繰り返して、目的遺伝子断片を増幅した。ポリメラーゼは宝酒造社製のExTaqを使用した。
ALK1pは、ALK1遺伝子を鋳型にして配列番号21と配列番号22を用いて、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのALK1pを作製した。ALK5pは、ALK5遺伝子を鋳型にして配列番号23と配列番号24を用いて、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのALK5pを作製した。ALK1tは、ALK1遺伝子を鋳型にして配列番号27と配列番号28を用いて、5’末端がHindIII、3’末端がEcoRVのALK1tを作製した。
最終的にORF2とORF3を連結するベクターには、pUC19(宝酒造社製)にキャンディダ・マルトーサの自己複製領域(ARS)(GenBank D29758)およびURA3遺伝子(GenBank D12720)を連結したpUTU1(M.Ohkuma,et al,J.Biol.Chem.,vol.273,3948−3953(1998))と、キャンディダ・マルトーサのADE1遺伝子(配列番号29)(GenBank D00855)(S.Kawai,et al,Agric.Biol.Chem.,vol.55,59−65(1991))を用いて、マーカー遺伝子をウラシルからアデニンに変更したベクターであるpUTA1(図1)を構築し使用した。
次に、pUCNT(WO94/03613)のPvuII、NdeIサイトにALK1pを結合してpUCNT−ALK1pを構築した。また、pUCNTのHindIII、SspIサイトにALK1tを結合してpUCNT−ALK1tを構築した。pUCNT−ALK1pからPvuIIとNdeIでALK1pを切り出し、pUCNT−ALK1tのPvuII、NdeIサイトに結合して、pUAL1(図2)を構築した。
前記ORF2、ORF3がキャンディダ・マルトーサで発現し、ペルオキシソームに配向するように、それぞれのカルボキシ末端にペルオキシソーム配向シグナルを付加することにした。付加するペルオキシソーム配向シグナルとしては、カルボキシ末端にSer−Lys−Leu(SKL)またはAla−Lys−Ile(AKI)のアミノ酸を使用することにした。ORF2、ORF3遺伝子にこれらのアミノ酸を付加して得られた遺伝子(ORF2S、ORF2A、ORF3S、ORF3A)の塩基配列を、配列番号7から10に示した。ORF2のDNAを鋳型にして、配列番号11と12をプライマーとして使用してORF2Sを、また配列番号11と13を使用してORF2Aを作成した。同様に、ORF3のDNAを鋳型にして、配列番号14と15をプライマーとして使用してORF3Sを、また配列番号14と16を使用してORF3Aを作成した。PCRの条件は上記のとおりに行った。
増幅したDNAをNdeIとPstIで処理し、ORF2SはpUAL1のNdeI、PstIサイトに結合してプラスミドpUAL−ORF2Sを構築し、また、同様にしてpUAL−ORF2A(図3)を構築した。ORF3SはpUCNT−ALK1tのNdeI、PstIサイトに結合し、pUCNT−ORF3Stを構築した。ORF3Aは、ORF3Sと同様の方法を用いて構築した。
プラスミドpUAL−ORF2S、pUAL−ORF2AからEcoT22Iを用いて、ORF2S、ORF2Aとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pUTA1のPstIサイトに結合し、pHA2S、pHA2A(図4)を構築した。
キャンディダ・マルトーサのALK5遺伝子(GenBank D12717)を鋳型とし、配列番号23と24を使用して5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのALK5p(配列番号18)を作製した。このDNA断片をpUAL1のALK1pと入れ替え、pUAL5を構築した。このプラスミドからPvuI、PvuIIを用いてALK5プロモーター、ALK1ターミネーターを切り出し、pSTV28(宝酒造社製)のSmaI、PvuIサイトに接続することで、pSTAL5を構築した。このプラスミドのNdeI、PstIサイトにORF3Sを結合し、pSTAL5−ORF3S(図5)を構築した。
pSTAL5−ORF3SからSalIを用いてORF3Sとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pHA2SのSalIサイトに結合したプラスミドpHA23S2(図6)を構築した。
(b)ALK1p、POX2pとALK1tを用いた場合
キャンディダ・マルトーサのPOX2遺伝子(GenBank D21228)を元にして配列番号25と配列番号26をプライマーとして設計した。これらを使用しキャンディダ・マルトーサIAM12247のゲノムDNAを鋳型として、5’末端がPvuII、3’末端がNdeIのPOX2p(配列番号19)を作製した。このDNA断片をpUCNT−ORF3Stのlacプロモーターと入れ替え、pPOX2−ORF3Sを構築した。pPOX2−ORF3SからSalIを用いてORF3Sとともに上流にあるプロモーター、下流にあるターミネーターを一緒に切り出し、pHA2SのSalIサイトに結合したプラスミドpHA23S1(図7)を構築することができた。
全体の構築図を図8〜図12に示す。
(実施例3)形質転換体の構築
酵母菌の培養用に使用した試薬は、特に断らない限り和光純薬から販売されているものを用いた。また本発明の実施において、多くの市販のキットを用いたが、特に断らない限り添付の使用説明書に従って行った。
宿主には、ADE1遺伝子破壊株であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに国際寄託されているキャンディダ・マルトーサAC16株(受託番号FERM BP−7366)を使用し、これに、上記の本発明の遺伝子発現カセットであるプラスミドpHA2S、pHA2A、pHA23S1、pHA23S2をそれぞれ導入した。構築したプラスミドを宿主に導入する方法は、エレクトロポレーション法で行った。遺伝子導入装置はBTX社製のELECTRO CELL MANIPULATOR 600を用いた。キュベットはBIO MEDICAL CORPORATION CO.LTD製のBM6200を用いた。コンピテント細胞100μlにプラスミド1μlを加え、調製したコンピテント細胞/プラスミド溶液を100μl取りキュベットに注入し、パルス装置にセットした。続いて、静電容量40μF、抵抗値246ohm、電圧1.9KVの条件で電気パルスをかけた。パルス後、それぞれのキュベットに1Mソルビトールを1ml加え、穏やかに混合し、室温で1時間放置した。プラスミドを導入後、選択プレート(0.67w/v%Yeast Nitrogen base without amino acid(Difco社製)、2w/v%グルコース、2w/v%寒天)で培養し、形質転換体を取得した。得られた形質転換体のうち、プラスミドpHA23S1を導入した株は、Candida maltosa AC16(pHA23S1)、受託番号FERM BP−7762として、また、プラスミドpHA23S2を導入した株は、Candida maltosa AC16(pHA23S2)、受託番号FERM BP−7763として、それぞれ独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに国際寄託した。
(実施例4)形質転換体を使用したポリマー生産
(a)プラスミドpHA2S、pHA2Aを導入した形質転換体を使用したポリマー生産
ポリマー生産に必要な遺伝子を導入したキャンディダ・マルトーサ形質転換体を次のように培養した。培地はYNB培地(0.67w/v%Yeast Nitrogen base without amino acid)に、1w/v%カサミノ酸、1v/v%テトラデカンを添加した培地を使用した。
各形質転換体のグリセロールストック500μlを、50mlの前培地が入った500ml坂口フラスコに接種して20時間培養し、300mLの生産培地を入れた2L坂口フラスコに10v/v%接種した。これを培養温度30℃、振盪速度90rpm、4日間培養という条件で培養した。培養液から、遠心分離によって菌体を回収し、80mlの蒸留水に懸濁して超高圧ホモジナイザー(APV社製 Rannie2000 15000Psiで15分)で破砕した後、遠心分離を行い、得られた沈殿物をメタノールで洗浄した後、凍結乾燥した。
得られた乾燥菌体を粉砕し、クロロホルムを100ml添加し一晩攪拌して抽出した。濾過して菌体を除去し、濾液をエバポレーターで1−2mlにまで濃縮し、濃縮液に約10mlのヘキサンを添加して、ポリマーP(3HB−co−3HH)を析出させた。このときの培養結果を表1に示す。
Figure 2003033707
(b)プラスミドpHA2S、pHA23S1、pHA23S2を導入した形質転換体を使用したポリマー生産
培地はYNB培地(0.67w/v%Yeast Nitrogen base without amino acid)に、2v/v%ドデカンまたは2v/v%ヤシ油を添加した培地を使用した。
培養条件は、培養日数を2日間とした以外は上記(a)項記載の方法で行った。ポリマーP(3HB−co−3HH)の抽出も同様に上記(a)項記載の方法で行った。培養結果を表2に示す。
Figure 2003033707
(比較例1)
ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加しないポリエステル合成酵素遺伝子により構築したプラスミドpUTA−ORF23(WO01/88144)を導入した形質転換体(菌体量10.3g/L)を用いた以外は、実施例4の(a)と同様にして培養を行った。その結果、得られたポリマーP(3HB−co−3HH)含量は0.1wt%であった。
このように、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加したポリエステル合成酵素遺伝子を作成し、当該酵素遺伝子とプロモーターおよびターミネーターからなる発現カセットを酵母に導入し、得られた形質転換体を培養することにより、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加しないポリエステル合成酵素遺伝子を用いた場合に比べて、より多量のポリエステルを製造することができる。
産業上の利用可能性
本発明により、生分解性および優れた物性を有する上記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸を単独重合または共重合してなるポリエステルを、酵母を用いて、高い生産性で製造することが可能となった。
【配列表】
Figure 2003033707
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【図面の簡単な説明】
図1は、実施例においてベクターとして使用したプラスミドpUTA1を示す模式図である。
図2は、実施例において構築したプラスミドpUAL1を示す模式図である。
図3は、実施例において構築したプラスミドpUAL−ORF2S、pUAL−ORF2Aを示す模式図である。
図4は、実施例において構築したプラスミドpHA2S、pHA2Aを示す模式図である。
図5は、実施例において構築したプラスミドpSTAL5−ORF3Sを示す模式図である。
図6は、実施例において構築したプラスミドpHA23S2を示す模式図である。
図7は、実施例において構築したプラスミドpHA23S1を示す模式図である。
図8、図9は、本発明の形質転換体を作成する際に用いられるプラスミドpHA2S、pHA2Aの構築方法を示したプラスミド構築図である。
図10、図11は、本発明の形質転換体を作成する際に用いられるプラスミドpHA23S2の構築方法を示したプラスミド構築図である。
図12は、本発明の形質転換体を作成する際に用いられるプラスミドpHA23S1の構築方法を示したプラスミド構築図である。

Claims (23)

  1. ポリエステルの合成に関与する酵素をコードする遺伝子に、ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAを付加した、酵母で発現可能な遺伝子。
  2. ペルオキシソーム配向シグナルが配列番号1または配列番号2によって示されるアミノ酸配列からなる請求の範囲第1項記載の遺伝子。
  3. ペルオキシソーム配向シグナルをコードするDNAの塩基配列が配列番号3または配列番号4によって示される請求の範囲第1または2項記載の遺伝子。
  4. ポリエステルの合成に関与する酵素が細菌由来の酵素である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の遺伝子。
  5. 細菌がアエロモナス・キャビエである請求の範囲第4項記載の遺伝子。
  6. 細菌由来の酵素の遺伝子の遺伝暗号CTGの少なくとも1つが、TTA、TTG、CTT、CTCまたはCTAに変換されていることを特徴とする請求の範囲第4または5項記載の遺伝子。
  7. ポリエステルの合成に関与する酵素がポリヒドロキシアルカン酸合成酵素またはR体特異的エノイルCoAヒドラターゼである請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の遺伝子。
  8. ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素をコードする遺伝子が配列番号5によって示される塩基配列からなる請求の範囲第7項記載の遺伝子。
  9. R体特異的エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子が配列番号6によって示される塩基配列からなる請求の範囲第7項記載の遺伝子。
  10. 配列番号7または配列番号8によって示される塩基配列からなる請求の範囲第8項記載の遺伝子。
  11. 配列番号9または配列番号10によって示される塩基配列からなる請求の範囲第9項記載の遺伝子。
  12. 請求の範囲第1〜11項のいずれかに記載の遺伝子から翻訳されるポリエステル合成に関与する酵素。
  13. 請求の範囲第1〜11項のいずれかに記載の遺伝子が、酵母に一種類以上導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  14. 請求の範囲第1〜11項のいずれかに記載の遺伝子と、酵母で機能するプロモーターおよびターミネーターからなる、ポリエステルの合成に関与する酵素遺伝子発現カセットが、酵母に1種類以上導入されていることを特徴とする形質転換体。
  15. プロモーターおよびターミネーターが、キャンディダ・マルトーサ由来である請求の範囲第14項記載の形質転換体。
  16. プロモーターが、キャンディダ・マルトーサのALK1、ALK5またはPOX2由来である請求の範囲第14または15項記載の形質転換体。
  17. ターミネーターが、キャンディダ・マルトーサのALK1由来である請求の範囲第14〜16項のいずれかに記載の形質転換体。
  18. 酵母が、アシクロコニディウム属,アンブロシオザイマ属,アルスロアスカス属,アルキシオザイマ属,アシュビア属,バブジェビア属,ベンシングトニア属,ボトリオアスカス属,ボトリオザイマ属,ブレッタノマイセス属,ビュレラ属,ビュレロマイセス属,キャンディダ属、シテロマイセス属,クラビスポラ属,クリプトコッカス属,シストフィロバシディウム属,デバリオマイセス属,デッケラ属,ディポダスコプシス属,ディポダスカス属,エニエラ属,エンドマイコプセラ属,エレマスカス属,エレモセシウム属,エリスロバシディウム属,フェロマイセス属,フィロバシディウム属,ガラクトマイセス属,ゲオトリクム属,ガイラーモンデラ属,ハンセニアスポラ属,ハンセヌラ属,ハセガワエア属,ホルターマンニア属,ホルモアスカス属,ハイフォピキア属,イサットヘンキア属,クロエケラ属,クロエケラスポラ属,クルイベロマイセス属,コンドア属,クライシア属,クルツマノマイセス属,ロイコスポリディウム属,リポマイセス属,ロデロマイセス属,マラセジア属,メトシュニコウィア属,ムラキア属,マイクソザイマ属,ナドソニア属,ナカザワエア属,ネマトスポラ属,オガタエア属,オースポリディウム属,パチソレン属,ファチコスポラ属,ファフィア属,ピキア属,ロドスポリディウム属,ロドトルラ属,サッカロマイセス属,サッカロマイコーデス属,サッカロマイコプシス属,サイトエラ属,サカグチア属,サターノスポラ属,シゾブラストスポリオン属,シゾサッカロマイセス属,シュワニオマイセス属,スポリディオボラス属,スポロボロマイセス属,スポロパキデミア属,ステファノアスカス属,ステリグマトマイセス属,ステリグマトスポリディウム属,シンビオタフリナ属,シンポディオマイセス属,シンポディオマイコプシス属,トルラスポラ属,トリコスポリエラ属,トリコスポロン属,トリゴノプシス属,ツチヤエア属,ウデニオマイセス属,ワルトマイセス属,ウィカーハミア属,ウィカーハミエラ属,ウィリオプシス属,ヤマダザイマ属,ヤロウィア属,ザイゴアスカス属,ザイゴサッカロマイセス属,ザイゴウィリオプシス属またはザイゴザイマ属のいずれかである請求の範囲第13〜17項のいずれかに記載の形質転換体。
  19. 酵母がキャンディダ属またはヤロウィア属である請求の範囲第18項記載の形質転換体。
  20. 酵母がキャンディダ・マルトーサである請求の範囲第19項記載の形質転換体。
  21. ポリエステルが、下記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカン酸の単独重合体または共重合体である請求の範囲第13〜20項のいずれかに記載の形質転換体。
    Figure 2003033707
    (式中、Rは、アルキル基を表す。)
  22. ポリエステルが、下記式(2)で示される3−ヒドロキシ酪酸と下記式(3)で示される3−ヒドロキシヘキサン酸とを共重合してなる共重合ポリエステルP(3HB−co−3HH)である請求の範囲第13〜21項のいずれかに記載の形質転換体。
    Figure 2003033707
  23. 請求の範囲第13〜22項のいずれかに記載の形質転換体を用いるポリエステルの製造方法であって、前記形質転換体を培養して得られる培養物から、ポリエステルを採取することを特徴とするポリエステルの製造方法。
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