JPWO2003023832A1 - 露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
光学系の短期的な透過率変動が生じても、露光量分布の均一性を高く維持できる露光方法及び装置である。フライアイレンズ(9)からの露光光で第1レンズ系(12)、第2レンズ系(13)、回転駆動できる濃度フィルタ板(51)、及び固定ブラインド(14A)等を介してレチクル上の照明領域(35)を照明し、レチクルのパターンの像を投影光学系を介して走査露光方式でウエハ上に転写する。濃度フィルタ板(51)には、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を形成しておき、投影光学系等において短期的に透過率が変動して、照明領域(35)で光軸近傍の照度が低下する中心対称の短期的な照度むらが発生した場合に、照明領域(35)の照度分布が非走査方向(X方向)に均一になるように濃度フィルタ板(51)の回転角を制御する。
Description
技術分野
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、プラズマディスプレイ素子、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写するために使用される露光方法及び露光装置に関する。さらに本発明は、その露光方法及び装置を用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
半導体デバイスの集積度及び微細度の向上に対応するため、半導体デバイスを製造するためのリソグラフィ工程(代表的にはレジスト塗布工程、露光工程、及びレジスト現像工程からなる)を担う露光装置においては、露光量分布の均一性(露光量精度)を向上させて、線幅均一性をより高めることが要求されている。その露光量精度の向上は、主に露光フィールド内の露光光の照度分布の均一性の向上、即ち「照度むら」の低減と、露光エネルギー(パルス光ではパルスエネルギー)の制御精度の向上とによって達成される。
照度むらは主に、光軸に関して軸対称な照度むら(中心対称むら)、即ち2次関数的むらと、光軸を横切る領域内で次第に照度が増加、又は減少する傾斜むら、即ち1次関数的むらとに分けられる。これらの照度むらは、ステッパーのような一括露光型の露光装置においては、直交する2方向について高精度に補正を行う必要がある。一方、ステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の露光装置においては、走査方向の照度むらは走査露光動作によって殆ど問題にならない程度に平均化されるため、特に走査方向に直交する非走査方向の照度むらを高精度に補正することが求められている。
従来の照度むらの補正は、通常は照明光学系内の所定のレンズ群を光軸方向に駆動するか、又はこの光軸と直交する2軸の回りのチルト角を変えるように駆動することによって行われていた。また、一般に照明条件によって照度むらの様子は異なっている。特に中心対称むらは、レンズ群中で光束の通る位置が露光光(照明光)の開口数によって変化するのに対応して、照度の凹凸の度合いが変化する。そのため、調整対象のレンズ群は、一例として予め照明条件毎に最適位置が記憶されており、照明条件が切り替わる毎にそのレンズ群が最適位置に駆動される。
また、紫外域の露光光が光学素子の周囲の気体中の微量な有機物と反応することによって、その光学素子の表面に曇り物質が付着する現象が知られている。通常は照明光学系や投影光学系の各レンズの周囲にはケミカルフィルタ等を通して有機物等を除去した気体が供給されているが、露光装置を長期間使用するのに伴い、僅かに残存する有機物によって各レンズの曇りが次第に大きくなり、特に中心部の照度が低下する中心対称むらが経時的に進行することがある。この場合には、その中心対称むらの進行度に応じてオペレータが対応するレンズ群の位置を再調整していた。更に、露光装置を例えば数年使用する過程で、その中心対称むらが極端に進行したような場合には、調整対象のレンズ群そのものをより補正効果の強いレンズ群に交換することもあった。
上記の如く従来の露光装置の照度むらの補正は、光学系中の或る曲率(屈折力)を持つレンズを含む所定のレンズ群の位置やチルト角を制御するか、又はそのレンズ群を別のレンズ群に交換することによって行われていた。
しかしながら、平面以外の或る曲率を持つレンズを駆動して照度むらを補正しようとすると、マスクとしてのレチクル上の照明領域、更には被露光基板としてのウエハ上の露光領域での照明光のコヒーレンスファクタ(σ値)の均一性が悪化する場合がある。このように露光領域内でσ値の均一性が悪化すると、照度むらを抑制することの本来の目的である線幅均一性が低下してしまうという不都合がある。これに対して、そのσ値の均一性の悪化を抑えるように、照度むらの補正量を設定すると、線幅制御精度に限界が生じてしまう。
特に、近年も半導体デバイスのデザインルール(標準的な線幅)は年々微細化する一方であり、線幅制御精度を更に向上させるために、σ値の均一性を悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる露光方法の開発が望まれている。
更に、解像度を高めるために露光光の短波長化も進められており、最近では露光光としてほぼ真空紫外域のパルス光であるArFエキシマレーザ光(波長193nm)も使用されるようになって来ている。しかしながら、ArFエキシマレーザ光を、石英ガラスよりなる光学素子(レンズ等)に照射すると、その光学素子の透過率が短期的に変動する現象(例えば5分程度で飽和するが、照射を停止すると元に戻る変動現象)が知られている。その結果、石英ガラスよりなるレンズ等を備えた照明光学系や投影光学系を用いて、ArFエキシマレーザ光で露光を行うと、通過光量の大きい光軸付近で透過率が低下する短期的な中心対称むらが生じる。このような透過率変動は、そのまま被露光基板上での短期的な露光量分布の不均一性(露光量むら)の要因となるが、現状ではその変動量はほぼ許容範囲内である。
しかしながら、今後ArFエキシマレーザ光源のパワー、及び発振周波数が向上し、光学系全体としての透過率が向上すると、その短期的な透過率変動が許容範囲を超える恐れがある。また、従来のように光学系中の所定のレンズ群の位置やチルト角を制御するのは、例えば露光装置のメンテナンス時に行うものであるため、従来は短期的な透過率変動には対応できていなかった。
本発明は斯かる点に鑑み、光学系の短期的な透過率(又は反射率)の変動が生じても、露光量分布の均一性を向上できる露光技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる露光技術を提供することを第2の目的とする。
更に本発明は、その露光技術を用いて高い線幅制御精度でデバイスを製造できるデバイス製造技術を提供することをも目的とする。
発明の開示
本発明による第1の露光方法は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光方法において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)を回転自在に配置しておき、その第2物体の配置面上でその投影系を介したその露光ビームの照度分布を計測し、この計測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角を制御するものである。
斯かる本発明によれば、照度分布の計測によって、例えば投影系(PL)の短期的な透過率分布の変動が生じていることが分かった場合には、その透過率分布の変動に伴う照度分布の変動を抑制するように、そのフィルタ部材の回転角を制御する。これによって、その第2物体上での露光量分布の均一性を向上できる。更に、本発明によれば、平面以外の所定の曲率を持った光学素子を駆動することによって照度分布を調整するのではなく、例えば平板状のフィルタ部材の回転角を制御しているため、その第2物体の露光領域における露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、照度分布を制御できる。
なお、本発明において、そのフィルタ部材には、所定の反射率分布を持つフィルタ部材も含まれている。
また、本発明において、その第2物体は順次露光される複数枚の基板であるものとして、その露光ビームの照度分布の計測、及びこの計測結果に基づくそのフィルタ部材の回転角の制御をその基板の交換毎に行い、その基板の露光中に、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)に基づいてその第2物体上でのその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角をさらに制御することが望ましい。
このように例えば1ロットの基板に順次露光を行う場合、1枚の基板中の複数の区画領域(ショット領域)に順次露光を行うときには、実測ではなく予め行った実験結果、シミュレーション、又は理論式に基づいて照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてフィルタ部材の回転角を制御することによって、スループットを低下させることなく、積算露光量の制御精度を向上させることができる。
次に、本発明の第2の露光方法は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光方法において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)を回転自在に配置しておき、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)に基づいてその第2物体上でのその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角を制御するものである。
斯かる本発明によれば、実際に照度分布を計測するのではなく、その投影系を通過する露光ビームのエネルギー情報を用いて実験結果、シミュレーション、又は理論式に基づいて照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてそのフィルタ部材の回転角を制御している。従って、その投影系で短期的な透過率変動が生じる場合にも、照明系のコヒーレンスファクタの均一性を悪化させることなく、照度分布の均一性を向上できる。
これらの場合、一例として、その第2物体を露光する際に、その第1物体及び第2物体をその投影系に対して同期して移動するとともに、そのフィルタ部材は、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ1枚のフィルタ部材(51)よりなるものである。このように1次元の透過率分布を用いた場合には、走査露光を行ったときに非走査方向(走査方向に直交する方向)の積算露光量のむらを補正できる。即ち、その透過率分布が、光軸を通る直線に関して線対称に1次元的に変化する分布であるときには、走査露光後に、中心対称むら(2次関数的むら)を所定範囲内で実質的に連続的に補正できる。
また、別の例として、そのフィルタ部材は、それぞれ光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ2枚のフィルタ部材(51A,51B)よりなり、これら2枚のフィルタ部材が、光軸の回りに互いに逆方向に回転される。このように複数の1次元の透過率分布を組み合わせることで、静止状態における中心対称むら、及び傾斜むら等の2次元の照度むらの補正が可能となり、本発明をステッパー等の一括露光型の露光装置にも適用できるようになる。
次に、本発明による露光装置は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に配置された所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)と、このフィルタ部材を回転駆動する駆動系(52)と、その第2物体の配置面上でその投影系を介したその露光ビームの照度分布を計測する照度計測系(21,42)と、この照度計測装置の計測結果に基づいてその駆動系を介してそのフィルタ部材の回転角を制御する制御系(22)とを有するものである。
斯かる本発明によれば、その照度計測系の計測結果に基づいてそのフィルタ部材の回転角を制御することによって、本発明の露光方法を実施できる。
この場合、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギーを直接的又は間接的に計測するエネルギーモニタ(20)を備え、その制御系は、その照度計測系の計測結果及びそのエネルギーモニタの計測結果を用いてその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてその駆動系を介してそのフィルタ部材の回転角を制御するようにしてもよい。この予測制御方式によって、スループットを低下させることなく、照度分布の均一性を向上できる。そのエネルギーモニタ(20)は、一例として露光ビームのエネルギーを計測し、その計測結果としてエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)を出力する。
また、その第2物体を露光する際に、その第1物体及び第2物体をそれぞれその投影系に対して同期して移動する第1ステージ系(31,32)及び第2ステージ系(39,40)を備え、そのフィルタ部材を、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ1枚のフィルタ部材(51)より構成してもよい。走査露光方式で露光を行う場合、1次元の透過率分布を持つフィルタ部材を用いることで、中心対称の照度むらを走査露光によって抑制することができる。
また、その第1ステージ系のその第1物体の載置面の近傍にその露光ビームを通過させるための開口部(31a)を形成することが望ましい。その開口部を露光ビームの照明領域に移動して、その照度計測系で照度分布を計測することによって、その第1物体のパターンに影響されることなく、高精度に例えばその投影系のみの透過率分布の変動量を計測することができる。
また、本発明のデバイス製造方法は、本発明の何れかの露光方法、又は何れかの露光装置を用いてデバイスパターン(28)を基板(W)上に転写する工程を含むものである。本発明によって高い線幅制御精度の高機能のデバイスを量産することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい第1の実施の形態につき図面を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置の概略構成を示し、この図1において、露光光源1としては実質的に真空紫外域のArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されている。但し、露光光源1としては、F2レーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)等の他の真空紫外域のレーザ光源、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、YAGレーザの高調波発生装置、若しくは半導体レーザの高調波発生装置等を使用することができる。露光光源1からの波長193nmの真空紫外パルス光よりなる露光光IL(露光ビーム)は、露光装置本体との間で光路の位置を相対的にマッチングさせるためのビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。ウエハ上のフォトレジストに対する露光量を制御するための露光制御ユニット21が、露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー)を制御すると共に、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
可変減光器3を通った露光光ILは、所定の光軸に沿って配置される第1レンズ系4A及び第2レンズ系4Bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7A、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7Bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
第2フライアイレンズ9の射出面、即ち露光対象のマスクとしてのレチクル28のパターン面(レチクル面)に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面)には開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。開口絞り板10には、通常照明用の円形の開口絞り10a、変形照明の一例としての輪帯照明用の開口絞り10b、変形照明の別の例として複数の偏心した小開口よりなる開口絞り(不図示)、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り(不図示)が切り換え自在に配置されている。開口絞り板10及び駆動モータ10eより照明条件を複数の照明条件(通常照明、変形照明、及び小σ値照明)の何れかに切り換える「照明条件切り換え系」が構成されており、装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御系22が駆動モータ10eを介して照明条件を設定する。
図1において、第2フライアイレンズ9の射出面に通常照明用の開口絞り10aが設置されており、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り10aを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ19を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ20に入射し、インテグレータセンサ20の検出信号S1は露光制御ユニット21に供給されている。インテグレータセンサ20の検出信号と被露光基板としてのウエハW上での露光光ILの照度との関係は一例として定期的に高精度に計測されて、露光制御ユニット21内のメモリに記憶される。露光制御ユニット21は、インテグレータセンサ20の検出信号より間接的にウエハWに対する露光光ILの照度(平均値)(これが露光ビームのエネルギー強度に相当する)、及びその積分値(積算露光量の平均値)(これが露光ビームのエネルギー量に相当する)をモニタできるように構成されている。
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿って第1レンズ系12、第2レンズ系13、及び回転可能な平板状の濃度フィルタ板51を経て順次、固定ブラインド(固定視野絞り)14A及び可動ブラインド(可動視野絞り)14Bに入射する。後者の可動ブラインド14Bはレチクル面に対する共役面に設置され、前者の固定ブラインド14Aはその共役面から所定量だけデフォーカスした面に配置されている。また、本発明の濃度フィルタ又はフィルタ部材に対応する濃度フィルタ板51(詳細後述)は、その固定ブラインド14Aから更に所定量だけデフォーカスした面、即ちレチクル面との共役面から僅かにデフォーカスした面に配置されている。このように濃度フィルタ板51をレチクル面との共役面から僅かにデフォーカスした面に配置することによって、濃度フィルタ板51に付着した塵等の異物の像がウエハW上に転写されることが防止できる。
なお、濃度フィルタ板51をそのデフォーカス面に配置する代わりに、或いはそれと組み合わせて、例えば濃度フィルタ板51とレチクル28との間に配置される光学素子(一例としては、レンズ系16〜18の少なくとも1つ、或いは不図示の拡散板等)を駆動して、濃度フィルタ板51や異物の像を照明領域35内で不鮮明にすることによって、照度均一性の低下、ひいてはウエハW上での露光量分布の均一性の低下を防止するようにしてもよい。
固定ブラインド14Aは、例えば特開平4−196513号公報に開示されているように、投影光学系PLの投影視野内で光軸AXをほぼ中心とし、走査露光時にレチクル28及びウエハWが移動される走査方向(Y方向)と直交する非走査方向(X方向)に直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」と言う)に伸びるように配置された開口部を有する。即ち、本例では固定ブラインド14Aは、露光光ILが照射されるレチクル28上の照明領域35、及びウエハW上の露光領域35P(投影光学系PLに関して照明領域35と共役で、照明領域35内のパターンの像が形成される投影領域)を規定すると共に、少なくとも走査方向に関する幅が固定である開口部を有する。
一方、可動ブラインド14Bは、ウエハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、固定ブラインド14Aによって規定される照明領域35及び露光領城35Pの走査方向の幅を可変とするために使用される。可動ブラインド14Bは、更に走査方向と直交した方向(非走査方向)に関してレチクル28のパターン領域のサイズに応じてその幅を可変とするためにも使用される。可動ブラインド14Bの開口率の情報は露光制御ユニット21にも供給され、インテグレータセンサ20の検出信号から求められる照度にその開口率を乗じた値が、ウエハW上の実際の照度となる。
なお、固定ブラインド14A、可動ブラインド14B、及び濃度フィルタ板51はその配置が図1に限定されるものではなく、要はウエハWの表面(投影光学系PLの結像面)と実質的に共役な面、或いはその共役面から所定距離だけ離れた面に配置すればよく、更にはその少なくとも1つをウエハWの表面に近接して配置してもよい。
露光時に固定ブラインド14Aを通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー15、結像用のレンズ系16、第1コンデンサレンズ系17、及び第2コンデンサレンズ系18を介して、マスクとしてのレチクル28のパターン面(レチクル面)の照明領域(照明視野領域)35を照明する。露光光ILのもとで、レチクル28の照明領域内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板(被露光基板)としてのウエハW上のフォトレジスト層のスリット状の露光領域35Pに転写される。レチクル28及びウエハWがそれぞれ本発明の第1物体及び第2物体に対応しており、ウエハWは例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の円板状の基板である。本例の投影系としての投影光学系PLは、合成石英ガラスよりなる複数のレンズ、及び必要に応じて色収差補正用に蛍石(CaF2)よりなる複数のレンズを含むジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることは言うまでもない。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査方向(ここでは図1の紙面に平行な方向)にY軸を取り、走査方向に直交する非走査方向(ここでは図1の紙面に垂直な方向)にX軸を取って説明する。
図1において、本例では、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、ビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、レンズ系7A,7B、ミラー8、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、レンズ系12,13、固定ブラインド14A、可動ブラインド14B、結像レンズ系16、副コンデンサレンズ系17、及び主コンデンサレンズ系18等より照明光学系ILSが構成され、露光光源1及び照明光学系ILSが本発明の照明系に対応している。本例では、照明光学系ILS中に濃度フィルタ板51が配置されており、照明光学系ILSの光軸IAXは、レチクル28上で投影光学系PLの光軸AXと合致している。
なお、濃度フィルタ板51は、固定ブラインド14Aの入射側ではなく、可動ブラインド14Bの射出側に近接した面に配置してもよい。又は、例えば固定ブラインド14Aをレチクル28のパターン面(レチクル面)の近傍の面、例えばレチクル28の上面に近接した面に配置し、濃度フィルタ板51を図1の可動ブラインド14Bの入射側に所定間隔だけデフォーカスさせた面に配置してもよい。これによって、濃度フィルタ板51を容易に配置できるようになる。
その他に、濃度フィルタ板51を、照明光学系ILS内で可動ブラインド14Bが配置される面(像面との共役面)とは異なる別の像面との共役面(即ち、レチクル面との共役面)から離した面に配置してもよい。一例としては、図1において、可動ブラインド14Bの近傍に固定ブラインド14Aを配置した状態で、濃度フィルタ板51をレチクル28のパターン面の近傍の面、例えばレチクル28の上面又は下面に所定間隔隔てた面に配置してもよい。更に、投影光学系PLが内部で中間像を形成する場合には、その中間像の形成面から離した面に濃度フィルタ板51を配置してもよい。また、可動ブラインド14Bについても、例えばレチクル面に近接させて配置する構成も可能である。
そして、本例のレンズ系12,13、及び濃度フィルタ板51にはそれぞれ駆動ユニット24,25及び52が装着されている。
図2は、図1の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と、照明領域35との関係を示す斜視図であり、この図2において、照明領域35に対するレチクルの走査方向SD(Y方向)、及び非走査方向(X方向)に対応する固定ブラインド14A上での方向をそれぞれY方向及びX方向としている。なお、固定ブラインド14A(固定視野絞り)は、そのスリット状の開口のみを図示している。
この場合、駆動ユニット24は第1レンズ系12の光軸IAXの方向の位置を調整する。また、図1の駆動ユニット25は、図2の駆動ユニット25Rより構成され、駆動ユニット25Rは、第2レンズ系13の光軸IAXを通りY軸に平行な軸の回りのチルト角(傾斜角)、即ち照明領域35の非走査方向に対応する方向のチルト角を調整する。更に、図1の駆動ユニット52は、図2の円板状の濃度フィルタ板51の周囲に不図示のリング状のホルダを介して装着された歯車部52Gと、この歯車部52Gを回転駆動するための歯車及びモータを含む駆動部52Wとを含み、駆動ユニット52によって光軸IAXを中心として濃度フィルタ板51を90°の範囲内で所望の角度θだけ回転できるように構成されている。
駆動ユニット24及び25Rとしては、例えば電動式のマイクロメータ、又はピエゾ素子等の駆動素子で駆動対象の光学素子のホルダを変位させる駆動装置を使用することができる。この場合、駆動ユニット24,25R、及び駆動部52Wには、それぞれ駆動可能範囲(駆動ストローク)内での光学素子の変位量を示すエンコーダ(ロータリエンコーダ等)(不図示)が組み込まれており、これらのエンコーダの検出信号が図1の駆動系26に供給される。その検出信号、及び主制御系22からの駆動情報(変位量、チルト角、回転角等を示す情報)に基づいて駆動系26は駆動ユニット24,25,52を介してレンズ系12,13及び濃度フィルタ板51の状態を、主制御系22に指示された状態に制御する。
この場合、一例として、第1レンズ系12を光軸方向に駆動することによって、光軸に関して軸対称な照度むらである中心対称むら(2次関数的むら)の補正が行われ、第2レンズ系13のチルト角の制御を行うことによって、光軸を横切る領域内で次第に照度が増加、又は減少する照度むらである傾斜むら(1次関数的むら)の補正が行われる。
また、本例では露光光としてArFエキシマレーザ光が使用されており、投影光学系PL中に石英ガラスよりなるレンズが含まれているため、露光中に投影光学系PLの像面の光軸付近で照度が低下する短期的な中心対称むらが生じる。この短期的な中心対称むらは、露光光の照射を停止すると次第に回復して来る可逆的な変化である。そこで、ウエハに対する露光量制御精度をより向上するために、本例では例えば1ロットのウエハに露光を行う場合に1枚又は複数枚のウエハへの露光毎という短期的なタイミングで、その中心対称むらを補正する。更に、1枚のウエハの複数のショット領域(区画領域)に露光する際にも中心対称むらは僅かに変動するため、ウエハに対する露光量制御精度を一層向上するために、本例では1枚のウエハの各ショット領域への露光毎というより短期的なタイミングでも、その中心対称むらを補正する。このような短期的な中心対称むらを補正するために、本例では濃度フィルタ板51の回転角の制御が行われる(詳細後述)。
なお、本例では濃度フィルタ板51の回転角の制御によって実質的に中心対称むらを補正できるため、第1レンズ系12の駆動ユニット24を省略してもよい。これによって、照明光学系の機構を簡素化できる。又は、第1レンズ系12による中心対称むらの補正は、露光装置の組立調整時やメンテナンス時のように初期状態や長期的な変動の調整を行う場合に行うようにしてもよい。この場合には、電動式の駆動ユニット24の代わりに、マイクロメータヘッドのようなマニュアル方式の駆動機構を取り付けてもよい。
図1に戻り、レチクル28は、レチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上にY方向に等速移動できると共に、X方向、Y方向、回転方向に微動できるように載置されている。レチクルステージ31(レチクル28)の2次元的な位置、及び回転角は駆動制御ユニット34内のレーザ干渉計によってリアルタイムに計測されている。この計測結果及び主制御系22からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット34内の駆動モータ(リニアモータやボイスコイルモータ等)は、レチクルステージ31の走査速度、及び位置の制御を行う。
また、レチクルステージ31のレチクル28の保持部に対して走査方向の近傍に、X方向に細長く照明領域35よりも広い開口部31aが形成され、この計測窓としての開口部31a上にガラス基板よりなる評価マーク板33が固定されている。評価マーク板33のほぼ照明領域35と同じ大きさの領域内に、ほぼ均一な分布で複数個の2次元の同一の評価用マーク36Aが形成されている。その評価用マーク36Aの像を投影光学系PLを介してウエハ側に投影し、その空間像の位置を計測することによって、投影光学系PLのディストーション、像面湾曲等の結像特性及び照明光学系のテレセントリック性の崩れ量を計測することができる。
本例では、後述のように投影光学系PLの像面での照度分布を計測する場合に、レチクルステージ31をY方向に駆動して、評価マーク板33(開口部31a)の中心を照明領域35の中心に移動して、開口部31aの中に照明領域35が完全に収まるようにする。評価マーク板33及びレチクル28の透過率は予め高精度に計測されて主制御系22の記憶部に記憶されている。なお、投影光学系PLの像面での照度分布のみを計測できればよい場合には、開口部31aのみを設けておいて、評価マーク板33を取り外しておいてもよい。又は、レチクル28をY方向に細長い形状にしておき、レチクル28のパターン面(下面)の転写対象のデバイスパターンの隣に照明領域35よりも広い計測窓としての透過部を形成しておき、投影光学系PLの像面での照度分布を計測する場合に、その透過部を照明領域35に移動してもよい。
次に、図1において、ウエハWは、ウエハホルダ38を介してウエハステージ39上に吸着保持され、ウエハステージ39は、ウエハベース40上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウエハステージ39は、ウエハベース40上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウエハステージ39には、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれており、投影光学系PLの下部側面には、ウエハWの表面の複数の計測点でフォーカス位置を計測するための多点のオートフォーカスセンサ(不図示)も設けられている。露光時には、そのオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、オートフォーカス方式でウエハステージ39のZレベリング機構を駆動することで、ウエハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦される。
ウエハステージ39のX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角は駆動制御ユニット41内のレーザ干渉計によってリアルタイムに計測されている。この計測結果及び主制御系22からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット41内の駆動モータ(リニアモータ等)は、ウエハステージ39の走査速度及び位置の制御を行う。主制御系22は、レチクルステージ31及びウエハステージ39のそれぞれの移動位置、移動速度、移動加速度、位置オフセット等の各種情報を駆動制御ユニット34及び41に送る。そして、走査露光時には、レチクルステージ31を介して露光光ILの照明領域35に対してレチクル28が+Y方向(又は−Y方向)に速度Vrで走査されるのに同期して、ウエハステージ39を介して露光領域35Pに対してウエハWが−Y方向(又は+Y方向)に速度β・Vr(βはレチクル28からウエハWへの投影倍率)で走査される。この際の走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するために、駆動制御ユニット34によって可動ブラインド14Bの開閉動作が制御される。
更に主制御系22は、ウエハW上の各ショット領域のフォトレジストを適正露光量で走査露光するための各種露光条件を露光データファイルより読み出して、露光制御ユニット21とも連携して最適な露光シーケンスを実行する。即ち、ウエハW上の1つのショット領域への走査露光開始の指令が主制御系22から露光制御ユニット21に発せられると、露光制御ユニット21は露光光源1の発光を開始すると共に、インテグレータセンサ20を介してウエハWに対する露光光ILの照度(単位面積、単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を算出する。その積分値は走査露光開始時に0にリセットされている。そして、露光制御ユニット21では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じて、走査露光後のウエハW上のフォトレジストの各点で適正露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、及びパルスエネルギー)及び可変減光器3の減光率を制御する。そして、当該ショット領域への走査露光の終了時に、露光光源1の発光が停止される。
さて、本例のウエハステージ39上のウエハホルダ38の近傍には、露光量分布計測装置としての照度むらセンサ42が設置され、図3(a)に示すように、照度むらセンサ42には、ピンホール状の受光部42aを有する光電センサよりなる第1センサと、走査方向SD(Y方向)に細長く配列された一列の光電変換素子(画素)を有するラインセンサ状の第2センサ42bとが設けられ、主制御系22からの制御情報に応じて、第1センサ又は第2センサの何れかの光電変換信号が検出信号S4として図1の露光制御ユニット21に供給されている。
図3(a)において、第2センサ42bの画素の走査方向SDの長さは、露光領域35Pの走査方向SDの幅よりも広く設定され、露光領域35Pにおける非走査方向(X方向)の照度むらを計測する場合には、図1のウエハステージ39を駆動して露光領域35PのX方向の側面に照度むらセンサ42の第2センサ42bが配置され、第2センサ42bから読み取られた光電変換信号が検出信号S4として露光制御ユニット21に供給される。その後、露光光源1の発光を開始して、ウエハステージ39を駆動して露光領域35Pを横切るように第2センサ42bをX方向に所定間隔で配置された複数の計測点に移動して、各計測点で露光制御ユニット21において第2センサ42bの検出信号をY方向に積算して得られる積算信号を求め、この積算信号を主制御系22に供給する。実際には露光光ILにはパルス発光毎に或る程度のエネルギーのばらつきがあるため、その積算信号は、図1のインテグレータセンサ20の検出信号S1を用いて規格化してある。主制御系22は、規格化された積算信号(これもS4と呼ぶ)を第2センサ42bの非走査方向の位置Xに対応させて記憶装置に記憶する。
図3(b)は、その積算信号S4の一例を示し、この図3(b)において、横軸は第2センサ42bの非走査方向の位置X、縦軸は積算信号S4である。この積算信号S4は、非走査方向の各計測点において、露光領域35Pの露光量を走査方向に積算して得られる露光量、即ち走査露光によってウエハ上の所定の点に与えられる露光量(積算露光量)に実質的に等しい。従って、積算信号S4は、露光領域35Pによってウエハ上の各ショット領域を走査露光した後の露光量(積算露光量)の非走査方向の分布(露光量むら)を実質的に表していることになる。
図3(b)において、積算信号S4が直線53Aで表すように位置Xに対して平坦であるときには、非走査方向の露光量のむらが無いことを表しており、この状態では露光量分布の高い均一性(高い露光量精度)が得られる。一方、積算信号S4が、曲線53Bのように、光軸AXを含む中央部で小さくなる中凹の分布を示すときには、光軸に関して軸対称な露光量むら、即ち軸対称な照度むら(中心対称むら)が生じていることが分かる。これを補正するためには、例えば図1中の濃度フィルタ板51を用いて光軸近傍の透過率を相対的に高くすればよい。更に、積算信号S4が、直線53Cのように、光軸AXを横切るように次第に増加する傾斜むらを示すときには、これを補正するためには、例えば図1の第2レンズ系13のチルト角を制御すればよい。本例では、このようにラインセンサ状の第2センサ42bを用いることによって、走査露光後の露光量の非走査方向のむら、即ち非走査方向の照度むらを容易に計測することができる。また、図3(a)のピンホール状の受光部42a(第1センサ)を露光領域35P内に2次元的に設置された複数の計測点に移動して、それぞれ照度を計測することによって、露光領域35P内のX方向、及びY方向の照度むらを計測することもできる。
更に、露光領域35P内における非走査方向(X方向)の各位置で、走査方向(Y方向)に関して各計測点での照度を積算して露光光ILの積算光量(露光量)を求めることで、前述の第2センサ42bと同様に非走査方向に関する露光量分布(露光量むら)を得ることもできる。このとき、非走査方向の各位置で、受光部42aを走査方向にステッピングさせながら各計測点の照度を計測してもよいが、非走査方向の各位置で、露光領域35Pに対して受光部42aを走査方向に沿って相対移動すると共に、ウエハWの走査露光と同一条件で露光光源1の発振(発振周波数やパルスエネルギー)及びウエハステージ39の移動速度を制御することが好ましい。これにより、受光部42aが露光領域35Pを横切る間に、走査露光時と同じパルス数の露光光ILが受光部42aに照射され、非走査方向の各位置で露光光ILの積算光量(露光量)を正確に計測することが可能となる。従って、本例では照射むらセンサ42が受光部42a(第1センサ)及び第2センサ42bを有するものとしたが、照度むらセンサ42には第1、第2センサの一方のみを設けるだけでもよい。なお、前述の第2センサ42bは非走査方向の各位置で露光光ILの積算光量(露光量)を計測するときに露光領域35P内に配置される画素(アレイ)の数が、走査露光時にウエハW上の各点に照射されるパルス数と同数であるとよい。このとき、例えば走査露光時と同数の露光光ILを照射し、各パルス毎に異なる受光素子の出力を積算してその積算光量を決定することが好ましい。
図1に戻り、ウエハステージ39上には不図示であるが、露光領域35Pの全体を覆う受光部を有する照射量モニタも設置され、例えば定期的にこの照射量モニタの検出信号とインテグレータセンサ20の検出信号とに基づいて、インテグレータセンサ20の検出信号からウエハW上の照度を間接的に求めるための係数が算出される。更に、ウエハステージ39上のウエハホルダ38の近傍には、ガラス基板よりなる走査板43が設置され、走査板43上の遮光膜中にほぼ正方形の開口パターン43aが形成されている。そして、ウエハステージ39中の走査板43の底面側に集光レンズ44、及び光電検出器45が配置され、走査板43、集光レンズ44、及び光電検出器45より空間像計測系46が構成され、光電検出器45の検出信号は露光制御ユニット21内の演算部に供給されている。その空間像計測系46によって、レチクルステージ31上の評価マーク板33に形成された評価用マーク36Aの像の位置を計測することができる。
さて、上記のように本例の露光光ILはArFエキシマレーザ光であり、投影光学系PLに露光光ILを照射することによって、投影光学系PLの像面(ウエハの表面)で光軸付近の照度が低下する中心対称むら(以下、「短期的な中凹むら」と呼ぶ)が短期的な照度分布変動として生じる。同様に、図1のビームスプリッタ11とレチクル28との間の照明光学系ILSを構成する光学素子においても中心対称の透過率変動が生じ、これによっても短期的な中凹むらが発生するが、この中凹むらは投影光学系PLの透過率変動に起因する短期的な中凹むらに含めて考えることとする。本例では、この短期的な中凹むらを補正するために濃度フィルタ板51が使用される。
また、本例の露光光ILは波長200nm以下のほぼ真空紫外光(VUV光:Vacuum Ultraviolet ray)であり、水蒸気、二酸化炭素等の吸光物質による吸収が大きい。また、酸素による吸収も次第に大きくなって来る。そこで、図1の露光光源1からウエハWまでの露光光ILの光路(照明光学系と投影光学系との間の空間、及び投影光学系とウエハとの間の空間を含む)には、それらの吸光物質を除去すると共に、ケミカルフィルタやHEPAフィルタ(high efficiency particulate air−filter)等を用いて有機物や細かい塵等を除去した気体であるパージガスが供給されている。パージガスとしては、ドライエアー、窒素ガス、又はヘリウムガス等が使用できる。
このように有機物等を高度に除去したパージガスを使用しても、残存している微量な有機物等が露光光ILと化学反応を起こし、照明光学系ILS及び投影光学系PL中の各光学素子の表面に次第に曇り物質が付着して、透過率分布が変化して、経時的にウエハW上の露光領域35Pで照度むらが生じる。その曇り物質に起因する照度むらも、光軸AX(本例では露光中心と合致する)に関して軸対称な中心対称むら(2次関数的むら)になる傾向があると共に、特に光軸AX近傍の中央部で照度が低下する照度むら(以下、「長期的な中凹むら」と言う)を引き起こす傾向がある。本例では、そのように経時的に生じる中心対称むら(特に長期的な中凹むら)も図1の濃度フィルタ板51を用いて補正する。
以下、その回転可能な濃度フィルタ板51の構成及びその使用方法の一例につき詳細に説明する。
図4(a)は、図1(又は図2)の濃度フィルタ板51の初期状態の配置を示し、この図4(a)において、濃度フィルタ板51は、露光光を透過する平坦な円板状の薄いガラス基板の一面に、金属(例えばクロム)等の所定の遮光物質、又は減光物質を光軸IAXを通る直線に関して線対称に1次元の所定の透過率分布が得られるように、蒸着等によって被着したものである。
図4(a)では、濃度フィルタ板51の透過率分布を持つ方向が固定ブラインド14A(スリット状の開口で表されている。以下同様。)に対してY方向(走査方向)に設定されており、そのY方向の透過率T(Y)は係数aを用いて次のように表される。
T(Y)=1/(a・Y2+1) …(1)
この関数は、中心対称むらが通常2次関数的むらになることに起因して、その2次関数的むらを相殺するように決定されている。この関数は、実際の中心対称むらの(予期される)発生量によって幾通りにも決められる。(1)式中の係数aは、濃度フィルタ板51の最大補正量を決定するパラメータであり、濃度フィルタ板51の半径をR、濃度フィルタ板51の最外郭における透過率の最大補正量をDとすると、係数aは次のようになる。最大補正量Dは、一例として0.1(10%)である。
a=D/{(1−D)R2} …(2)
本例では、図1の投影露光装置を2年程度以上実際の露光工程で稼働させた場合でも、短期的な中凹むら、及び光学素子に次第に付着する曇り物質に起因する照度むら(長期的な中凹むら)をその1枚の濃度フィルタ板51によって補正できるようにする。仮に、その投影露光装置を2年間使用した後の、露光領域35Pにおける中心対称むら、特に長期的な中凹むらの程度をレンジで10%程度と仮定すると、(2)式の係数aの値は次のようになる。
a=0.1/(0.9・R2) …(2A)
なお、投影光学系PLの短期的な中凹むらは、例えば2年程度経過した後の長期的な中凹むらよりも小さいため、(2A)式の係数aを用いることで、短期的な中凹むらも高精度に補正することができる。
この濃度フィルタ板51は、図4(a)〜(c)に示すように光軸IAXを中心として90°の範囲内で任意の回転角θだけ回転させることができる。
図4(a)は、濃度フィルタ板51を回転させていない状態、即ち回転角θが0°の初期状態を示し、この初期状態では固定ブラインド14Aの開口内の非走査方向(X方向)の平均的な透過率T(X)は、直線54Aで示すように平坦であり、非走査方向の照度むらを調整する機能は働いていない。なお、以下の図において、光軸IAXでのX座標を0としている。また、走査方向(Y方向)に対しては透過率分布が中央部で高くなっているが、これによる走査方向の照度むらは走査露光によって平均化される。
それに対して、図4(c)は、経時変化によって極度に進行した中凹むら、及び短期的な大きい中凹むらを補正するために、濃度フィルタ板51の回転角θを90°とした場合を示している。この場合の非走査方向の透過率T(X)は次のようになる。
T(X)=1/(a・X2+1) …(3)
このとき、透過率T(X)の分布は曲線54Cで示すように最大値(X=0)と最小値(両端部)との差が最大となり、濃度フィルタ板51による中凹むらの補正効果は最大となる。また、(2)式より曲線54Cの最大値は1で、最小値T’は0.9(90%)となる。
そして、図4(b)は、濃度フィルタ板51を45°回転させた状態(θ=45°)を示し、この場合の固定ブラインド14Aの開口(ウエハ上の露光領域35Pに対応している)内の各点に対応した透過率T(X,Y,θ)は、次のようになる。
T(X,Y,θ)=1/{a(Xsinθ−Ycosθ)2+1} …(4)
そして、その透過率をY方向に平均化して得られる非走査方向の透過率T(X)は、曲線54Bで表されており、これによってθ=90°とθ=0°との中間程度の中凹むらの補正効果が得られることが分かる。本例では、一例として、予め濃度フィルタ板51の回転角θを0°から90°まで例えば1°間隔で変化させて、各回転角θiで、非走査方向の透過率T(X)の中央の値Tcenに対する両端での値Tedgの比の値で定義される透過率補正率Tcor(θi)(=Tedg/Tcen)を計算で求めておく。そして、1°間隔の回転角θiに対する透過率補正率Tcor(θi)の値の関係を、主制御系22の記憶部にテーブルとして記憶しておく。(2A)式が成立する場合には、透過率補正率Tcor(θi)の最大値は1で、最小値は0.9である。
図4(a)〜(c)に示すように、濃度フィルタ板51を任意の回転角θに回転させることにより、非走査方向における平均透過率分布を任意の特性(平坦な分布から中央に比べて端部の照度がほぼ10%程度低い分布までの任意の特性)に調節することができ、経時的照射変動による中凹むら及び短期的で可逆的な中凹むらを逐次補正することができる。しかも、濃度フィルタ板51は像面との共役面の近傍に設置された薄い平板であるため、照度むらを補正した場合に照明光学系のコヒーレンスファクタ(σ値)の均一性には殆ど影響を与えない。即ち、初期状態で、σ値の均一性を所定の許容範囲内に調整しておけば、経時変化による照度むら及び短期的な中凹むらを補正したときにもσ値の均一性は悪化することがなく、常に高い線幅均一性が得られる。
なお、この濃度フィルタ板51は、図5に示すような種々の製造方法で製造することができる。
図5(a)の濃度フィルタ板51は、光透過性の合成石英、蛍石等の基板上にクロム(Cr)等の減光物質を膜厚を連続的に変化させて蒸着することによって、Y方向に連続的に変化する透過率分布を得たものである。なお、クロム等の金属は通常の膜厚では遮光物質となるが、本例ではクロム等を光が或る程度透過するような膜厚の領域で減光物質として使用している。また、図5(b)の濃度フィルタ板51Gは、基板の一面をY方向に複数の帯状の領域に分割し、これらの帯状の領域にそれぞれ所定の透過率が得られるように誘電体多層膜を形成したものである。即ち、濃度フィルタ板51Gは、透過率分布がY方向に段階的に変化しているが、その分割数を例えば10個程度以上に多くすることによって、連続的に変化する透過率分布とほぼ同等の照度むらの補正効果が得られる。
一方、図5(c)の濃度フィルタ板51Dは、基板上にクロム等の微細な多数の遮光性のドットパターンをY方向に全体として所定の透過率分布(巨視的な濃度分布)が得られるような存在確率で被着したものであり、これを用いても図5(a)の場合と同様に照度むらを補正することができる。濃度フィルタ板51Dも、像面の共役面から若干デフォーカスした位置に設置されると共に、部分的にはそれぞれランダムな分布で形成されるため、そのドットパターンが像面上に転写されることはない。そのランダムなドットパターンは、一例として直径が25μm程度の微細な円形パターンであり、中凹むらの最大補正量を10%程度とすると、濃度フィルタ板51D中の任意の位置におけるドットパターンの存在確率は0〜15%程度の範囲に収まると予想される。
次に、図6のフローチャートを参照して、本例の投影露光装置を用いて1ロットのウエハに露光を行う場合の露光シーケンスの一例につき説明する。
先ず、図1の投影露光装置において、濃度フィルタ板51の回転角θは0°に設定しておく。そして、レチクルステージ31上にレチクル28をロードした後、不図示のレチクル側のアライメントセンサを用いてレチクル28のアライメントを行う。続いて図6のステップ101において、図1のウエハステージ39上にそのロットの先頭のフォトレジストが塗布されたウエハWをロードする。その後、不図示のウエハ側のアライメントセンサを用いてウエハWの全部のショット領域のアライメントを行う。次のステップ102において、図1のレチクルステージ31をY方向に駆動して、レチクルステージ31の開口部31a(評価マーク板33)を露光光ILによる照明領域35を囲む位置に移動する。次のステップ103において、ウエハステージ39を駆動して、図3(a)に示すように照度むらセンサ42中のラインセンサ状の第2センサ42bを投影光学系PLの露光領域35Pに対してX方向(非走査方向)の外側に移動する。
そして、露光光源1による露光光ILのパルス発光を開始させて、ウエハステージ39を駆動して、第2センサ42bを露光領域35PをX方向(非走査方向)に横切るように移動させると共に、パルス発光に同期して第2センサ42bの検出信号S4を図1の露光制御ユニット21で順次取り込むことによって、露光領域35PのX方向の照度分布を計測する。この照度分布の計測結果は露光制御ユニット21から主制御系22に供給される。この際に本例では、開口部31aを覆うように評価マーク板33が設置され、評価マーク板33には評価用マーク36Aが形成されているが、評価用マーク36Aは実際には例えば10μm角程度と極めて小さいため、照度分布の計測結果には実質的に影響はない。
次に、ステップ104において、主制御系22は、露光領域35Pでの走査露光後の照度分布(積算露光量)が非走査方向(X方向)に均一になるように、駆動系26を介して濃度フィルタ板51の回転角θを制御する。具体的に、主制御系22は、ステップ103で計測された露光領域35Pの非走査方向の照度分布の中央(X=0)の値Ecenに対する両端での値Eedgの比の値(=Eedg/Ecen)で定義される露光量(透過率)の中凹むら率Eerrを求める。即ち、次式が成立している。
Eerr=Eedg/Ecen …(5)
中凹むらが生じている場合には、Ecen<Eedgであるため、Eerr>1となる。更に、主制御系22は、上記のように内部の記憶部にテーブルとして記憶されている濃度フィルタ板51の1°間隔の回転角θiと透過率補正率Tcor(θi)との関係から、計測された露光量の中凹むら率Eerrの逆数(1/Eerr)に最も近い透過率補正率Tcor(θj)、及びこのときの回転角θjを求める。この際に、露光量の補正精度を高めるために、補間計算によって逆数(1/Eerr)に最も近い透過率補正率が得られるときの回転角θjを1°よりも細かい分解能で計算してもよい。そして、主制御系22は、濃度フィルタ板51の回転角θをその回転角θjに設定する。これによって、露光光ILの照射によって投影光学系PLで透過率の中凹むらが生じていても、ウエハW上での照度分布(走査方向に積分した値)の非走査方向への分布は均一化される。なお、濃度フィルタ板51の回転角の変更によって平均照度が変化する場合には、所望の平均照度が得られるように、露光光源1の発光パワーの微調整、及び可変減光器3における減光率の切り替えが行われる。
この状態でステップ105に移行して、露光光源1のパルス発光、及びレチクルステージ31及びウエハステージ39の同期駆動を制御することによって、ウエハWの1番目のショット領域に走査露光方式でレチクル28のパターンの縮小像を投影光学系PLを介して転写する。この際に、投影光学系PLの露光領域35Pの照度分布(走査方向に積分した分布)は非走査方向に均一であるため、ウエハWの1番目のショット領域に対する走査露光後の積算露光量は均一化される。
次に、この1番目のショット領域に対する露光によって、投影光学系PLの透過率分布に僅かではあるが更に短期的な中凹むらが生じる。これに対して照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を実際に計測するのではスループットが低下してしまう。そこで、本例では各ショット領域間での投影光学系PLの透過率の変動量を実験結果又は計算によって予測する。即ち、動作はステップ106に移行して、主制御系22は、前のショット領域に対する露光による投影光学系PLの透過率の短期的な中凹むらの変化量、ひいては露光領域35Pの照度分布の変化量を予測する。
その第1の予測方法では、予め投影光学系PLに1つのショット領域への露光を行う場合と同じ条件で露光光ILを照射した後、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布の変化量を計測し、順次次のショット領域への露光を行う場合と同じ条件で露光光ILを照射して、それぞれ照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布の変化量を計測しておく。そして、このように仮想的に順次1つのショット領域に露光した後の投影光学系PLの露光領域35Pでの照度分布の変化量を、例えば露光済みのショット領域の個数に対応させてテーブルとして記憶しておくことによって、実際の露光時には、そのテーブルを用いて1つ又は複数個のショット領域への露光後の照度分布の変化量を予測することができる。
更に、種々の露光条件に対応するために、各ショット領域への露光量(積算露光エネルギー)を複数に設定して計測用の露光を行って、それぞれ照度分布の変化量を計測し、計測された照度分布の変化量を露光量及び露光済みのショット領域の個数を複数のパラメータとするテーブルの形で記憶しておいてもよい。この場合、実際の露光時には、そのテーブルの中で実際の露光量に近い2つの露光量に対応する特性を用いて、補間計算によってその実際の露光量を用いた場合の照度分布の変化量を予測することができる。
次に、第2の予測方法は、計算によって光学系の透過率の変化量を求める方法である。具体的に、ウエハWが走査方向の位置Yにあるときの、投影光学系PL(より正確には、図1のビームスプリッタ11からウエハWまでの光学系)の透過率をK(Y)とする。そして、当該ショット領域への露光を開始する際の透過率K0に対する透過率の変動量をΔK(Y)とすると、ΔK(Y)は次のように表すことができる。
ΔK(Y)=ΔK(t−Δt)・exp(−Δt/τ)
+C・W(Y)・{1−exp(−Δt/τ)} …(6)
この式における係数等の定義は以下の通りである。
Δt:サンプリング間隔(sec)。これは実際の露光時間に比べて十分短い時間である。
τ:透過率変動の時定数であり、露光プロセス(レチクルパターンの種類、照明条件、及びパルスエネルギー密度等)毎に予め実測等によって決定されている。
ΔK(t−Δt):Δt前の透過率変動量。
C:透過率の変動率(%/W)であり、露光プロセス毎に予め実測等によって決定されている。
W(Y):照射平均パワー(W)。位置Yにおいて時間Δtの間に投入される露光光のパワーである。
また、(5)式は、ウエハW上の非走査方向の位置X毎に計算することができる。主制御系22は、一例として、(6)式に基づいて1つのショット領域に露光する間の投影光学系PLの露光領域35Pの中央での透過率の変動量ΔKcen、及び両端での透過率の変動量ΔKedgを算出する。これらを用いて(5)式の露光量(透過率)の中凹むら率Eerrを補正すると次のようになる。
Eerr’={Eedg・(1+ΔKedg)}/{Ecen・(1+ΔKcen)} …(7)
次のステップ107において、主制御系22は、露光領域35Pの照度分布が非走査方向(X方向)に均一になるように、濃度フィルタ板51の回転角θを制御(補正)する。即ち、上記の第2の予測方法を用いるとすると、主制御系22は、ステップ104の動作と同様に、(7)式の補正後の中凹むら率Eerr’の逆数(1/Eerr’)に最も近い透過率補正率Tcor(θj’)、及びこのときの回転角θj’を求める。そして、既に設定されている回転角θjとの差分(=θj’−θj)だけ濃度フィルタ板51を回転する。この状態でステップ108に移行して、ウエハW上の次のショット領域に対してステップ105と同様に走査露光方式でレチクル28のパターンの像を転写する。この際に、前のショット領域への露光中に短期的に変化した投影光学系PLの透過率分布を補正するように、濃度フィルタ板51の回転角が補正されているため、このショット領域においても積算露光量分布が均一化されている。この第2の方法では、投影光学系PLの透過率の変動を考慮した露光領域の照度分布(投影光学系PLの透過率分布)を補正することができる。
次のステップ109において、ウエハW上の全部のショット領域への露光が終了したかどうかを判定し、未露光のショット領域がある場合には、ステップ106に戻って、露光領域35Pの照度分布の変化量の予測、その結果に基づく濃度フィルタ板51の回転角の補正(予測制御)及び走査露光を行う。一方、ステップ109において、全部のショット領域への露光が終了している場合には、ステップ110に移行して、1ロットの全部のウエハへの露光が終了したかどうかを判定し、未露光のウエハがある場合には、ステップ111に移行して露光済みのウエハWをウエハステージ39上から搬出した後、ステップ101に戻る。そして、次の露光対象のウエハをウエハステージ39上にロードした後、ステップ102〜104を実行して、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pでの照度分布を実測し、この結果に基づいて濃度フィルタ板51の回転角を制御(補正)してから、1番目のショット領域への走査露光を行う。以下、照度分布の変化量の予測、濃度フィルタ板51の回転角の補正、次のショット領域への走査露光が繰り返される。そして、ステップ110において、全部のウエハへの露光が終了した時点で露光工程が終了する。
このように本例によれば、露光光ILの照射によって投影光学系PLや照明光学系ILSの透過率に短期的な中凹むらが生じても、濃度フィルタ板51の回転角を制御するのみで、迅速に、かつ照明系のσ値に影響を与えることなく、走査露光後のウエハの各ショット領域での積算露光量分布を均一にすることができる。また、それらの光学系の透過率の長期的な中凹むらが生じても、濃度フィルタ板51の回転角の制御によって露光量制御精度を高く維持することができる。
なお、上記の実施の形態では、1枚のウエハ中では1つのショット領域毎に照度分布の変化量を予測して濃度フィルタ板51の回転角を補正(予測制御)しているが、2つ又は3つ等の複数のショット領域毎に照度分布の変化量を予測して濃度フィルタ板51の回転角を補正してもよい。逆に、ショット領域間での照度分布の変化量が小さい場合には、ショット領域間での予測制御を省略してもよい。また、1枚のウエハの露光を行う毎に、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を計測するのではなく、2枚又は3枚等の複数枚のウエハの露光毎に照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を実際に計測し、この計測結果に基づいて濃度フィルタ板51の回転角を制御して、その間では1つ又は複数のショット領域毎に予測制御方式で濃度フィルタ板51の回転角を制御してもよい。
なお、上記の実施の形態の投影露光装置においては、初期的に発生している照度むらの複数の照明条件の間の差に関しても補正は可能である。本例の濃度フィルタ板51は中凹むらをフラットにする機能しか有していないが、例えば図2の濃度フィルタ板51の近傍に予め固定の濃度フィルタ板等を挿入し、全ての照明条件における照度むらを若干の中凹むらにしておき、その差を濃度フィルタ板51の回転によって補正することで、照明条件を通常照明と変形照明との間で切り換えたような場合でも、照度むらの発生を抑制することができる。本例の濃度フィルタ板51は電動で制御できるため、照明条件を切り換える度に濃度フィルタ板51を最適な角度まで回転すれば良い。なお、全ての場合において初期的に若干の照度損失が発生するが、実際にはその照度損失は5%程度以下に抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態につき図7及び図8を参照して説明する。本例は、走査露光を行った後ではなく、静止露光状態であっても、中心対称むらを補正できる実施の形態である。本例の投影露光装置の基本的な構成は図1と同様であるが、本例では図1の1枚の濃度フィルタ板51の代わりに2枚のそれぞれ回転可能な濃度フィルタ板が設置されている点が異なっている。なお、図7において、図2に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7は、本例の投影露光装置のフライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系とスリット状の照明領域35との関係を示し、この図7において、固定ブラインド14Aの配置面、即ちレチクル面との共役面(像面との共役面)から僅かにデフォーカスした面から第2レンズ系13側に僅かにデフォーカスした位置に、隣接して第1の濃度フィルタ板51A及び第2の濃度フィルタ板51Bが光軸IAXの回りに回転自在に配置されている。2枚の濃度フィルタ板51A,51Bには、それぞれ図1の濃度フィルタ板51と同じ特性で、光軸を通る直線に関して線対称に1次元の透過率分布が形成されている。
また、第1の濃度フィルタ板51Aの周囲に装着された歯車部52GAと、駆動部52WAとによって、濃度フィルタ板51Aは光軸IAXを中心として反時計回りに90°の範囲内で角度θAだけ回転駆動される。一方、第2の濃度フィルタ板51Bの周囲に装着された歯車部52GBと、駆動部52WBとによって、濃度フィルタ板51Bは光軸IAXを中心として時計回りに90°の範囲内で角度θBだけ回転駆動される。更に、本例の初期状態では、2枚の濃度フィルタ板51A,51Bの回転角は、図4(a)の濃度フィルタ板51と同様に非走査方向の平均的な透過率分布が平坦となるように設定されている。
そして、中心対称むら(特に中凹むら)を補正する際には、2枚の濃度フィルタ板51A,51Bは逆位相で同じ回転角だけ、即ち反対方向に同じ回転角だけ駆動される。これにより、透過率分布を光軸IAXを中心とする軸対称な2次元の分布で補正できるため、静止状態で照明領域35(ひいては露光領域35P)の全面で均一な照度分布が得られる。しかも、照明光学系のσ値の均一性が悪化することもない。
図8は、そのように濃度フィルタ板51A,51Bを逆位相で回転した状態を示し、図8(a)においては濃度フィルタ板51Aが反時計回りに45°(θA=45°)回転され、図8(b)においては濃度フィルタ板51Bが時計回りに45°(θB=45°)回転されている。この場合、濃度フィルタ板51A及び51Bによる固定ブラインド14Aの開口中での透過率分布は、それぞれ図8(b)及び図8(d)に示すようになり、実際に固定ブラインド14Aの開口中の透過率分布は、図8(e)に示すように光軸IAXを中心とする同心円状となる。即ち、図8(b)と図8(d)との明暗領域が相殺し合い、走査方向に積分しなくとも、X方向及びY方向の両方に亘って理想的な中心対称の2次透過率分布が得られている。この透過率分布で通常の中凹むらを補正すれば、静止露光状態での照度むらも同時に補正することができる。このような2次元の照度むらは、図3(a)の照度むらセンサ42中のピンホール状の受光部42aを持つ第1センサによって計測することができる。
実際の走査露光型の投影露光装置のメンテナンス時には、走査させることなく、静止状態で露光を行うケースも存在するため、本例による静止状態での照度むら補正は有効である。また、本例の2枚の濃度フィルタ板51A,51Bは、走査露光型の露光装置のみならず、ステッパーのような一括露光型(静止露光型)の露光装置で照度むらを補正するためにも採用することが可能となる。即ち、本発明を一括露光型の露光装置にも適用することができる。
なお、上記の実施の形態では、オプティカル・インテグレータとしてフライアイレンズ6,9が使用されているが、オプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ)を使用する場合も本発明が適用できることは明らかである。更に、上記の実施の形態では2段のフライアイレンズ6,9を用いるいわゆるダブル・フライアイ方式の照明光学系ILSが使用されているが、1段のオプティカル・インテグレータ(フライアイレンズ、ロッドインテグレータ等)のみを用いる照明光学系の調整を行う場合にも本発明を適用することができる。
なお、オプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータを用いる場合、内面反射型インテグレータはその入射面が照明光学系の瞳面に配置され、且つその射出面がレチクル28のパターン面と共役に配置される。また、オプティカル・インテグレータとして、フライアイレンズを用いるときはその射出面側に複数の光源像からなる面光源、即ち2次光源が形成され、内面反射型インテグレータを用いるときはその入射面側に複数の虚像からなる2次光源が形成される。従って、上記各実施形態における照明条件の変更とは、照明光学系の瞳面上での露光光ILの強度分布を変更すること、及び照明光学系の瞳面上に形成される2次光源の大きさ及び形状の少なくとも一方を変更することと等価である。
更に、上記の実施の形態では、変形照明、通常照明、小σ値の照明などを行うために、照明光学系ILS内のフーリエ変換面(瞳面)上での照明光(露光光)の光量分布を変更する照明条件切り換え系は、開口絞り板10を含むものとしたが、これ以外の構成で照明条件を変更するようにしてもよい。即ち、照明条件切り換え系を開口絞り板10のみで構成してもよいが、例えば露光光源(1)とオプティカル・インテグレータ(9)との間に、照明条件(即ち、照明光学系の瞳面上での露光光ILの強度分布、本例では照明光路内に配置される複数の開口絞り10a〜10dの1つ)に応じて、オプティカル・インテグレータ(9)に対する露光光ILの入射条件(フライアイレンズではその入射面上での露光光ILの光量分布、内面反射型インテグレータ(ロッドレンズ等)ではその入射面に対する露光光ILの入射角や入射角度範囲等)を変更可能な光学部材を配置し、照明条件変更に伴う照明光量の損失を少なくすることが好ましい。この光学部材は、一例として、照明光学系の光路内に交換して配置され、前述の入射条件が異なる露光光(回折光)ILを発生する複数の回折光学素子(DOE)、ズーム光学系、及び照明光学系の光軸方向に相対移動可能な一対のプリズム(円錐プリズム(アキシコン)又は四角錐プリズム等)の少なくとも1つを含むことが望ましい。また、この光学部材を、開口絞り板10と併用してもよいし、或いは開口絞り板10の代わりに用いてもよい。なお、照明光学系内の少なくとも一つのオプティカル・インテグレータとして前述の回折光学素子を兼用してもよく、この兼用によって照明光学系の構成を少しは簡単にできる。
なお、上記の実施の形態において、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでもよい。
また、上記の実施の形態は、本発明を走査露光方式の投影露光装置に適用したものであるが、本発明はステップ・アンド・リピート方式(一括露光方式)の投影露光装置(ステッパー)、及び投影系を用いないプロキシミティ方式等の露光装置にも適用することができる。また、露光光(露光ビーム)は上記の紫外光に限られるものではなく、例えばレーザプラズマ光源又はSOR(Synchrotron Orbital Radiation)リングから発生する軟X線領域(波長5〜50nm)のEUV光を用いてもよい。EUV露光装置では、照明光学系及び投影光学系はそれぞれ複数の反射光学素子のみから構成される。そのため、上記の濃度フィルタ板51等も反射部材より構成してもよい。
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を使用した半導体デバイスの製造工程の一例につき図9を参照して説明する。
図9は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図9において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、次のステップS12において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクルR1をロードし、走査露光方式でレチクルR1のパターン(符号Aで表す)をウエハW上の全部のショット領域SEに転写(露光)する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。
次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、その後ステップS18において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクルR2をロードし、走査露光方式でレチクルR2のパターン(符号Bで表す)をウエハW上の各ショット領域SEに転写(露光)する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。
以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
なお、露光装置の用途としては半導体素子製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン、薄膜磁気ヘッド、又はDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
また、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をすると共に、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施の形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2001年9月7日付け提出の日本国特願2001−272769の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、照度分布の変化量の計測結果又は予測結果に基づいて、平板状の透過率分布を制御しているため、光学系の短期的な透過率の変動が生じても、露光後の露光量分布の均一性を向上できる利点がある。
また、平板状の透過率分布を制御することによって、露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる利点がある。
また、1枚の回転可能な1次元の透過率分布を持つフィルタ部材を使用することによって、簡単な構成で走査露光後に中心対称むら補正することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態の投影露光装置を示す一部を切り欠いた構成図である。図2は、図1の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と照明領域35との関係を示す斜視図である。図3において、(a)は露光領域と照度むらセンサ42とを示す平面図、(b)は照度むらセンサ42から得られる検出信号の一例を示す図である。図4は、その第1の実施の形態の濃度フィルタ板51の回転角を3種類に変えた状態を示す図である。図5は、濃度フィルタ板51及びこれと同等のフィルタ板を示す図である。図6は、第1の実施の形態の露光シーケンスの一例を示すフローチャートである。図7は、本発明の第2の実施の形態の投影露光装置の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と照明領域35との関係を示す斜視図である。図8において、(a)は第2の実施の形態の第1の濃度フィルタ板51Aを示す図、(b)はその濃度フィルタ板51Aの透過率分布を示す図、(c)は第2の実施の形態の第2の濃度フィルタ板51Bを示す図、(d)はその濃度フィルタ板51Bの透過率分布を示す図、(e)は最終的な透過率分布を示す図である。図9は、本発明の実施の形態の投影露光装置を用いた半導体デバイスの製造工程の一例を示す図である。
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、プラズマディスプレイ素子、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写するために使用される露光方法及び露光装置に関する。さらに本発明は、その露光方法及び装置を用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
半導体デバイスの集積度及び微細度の向上に対応するため、半導体デバイスを製造するためのリソグラフィ工程(代表的にはレジスト塗布工程、露光工程、及びレジスト現像工程からなる)を担う露光装置においては、露光量分布の均一性(露光量精度)を向上させて、線幅均一性をより高めることが要求されている。その露光量精度の向上は、主に露光フィールド内の露光光の照度分布の均一性の向上、即ち「照度むら」の低減と、露光エネルギー(パルス光ではパルスエネルギー)の制御精度の向上とによって達成される。
照度むらは主に、光軸に関して軸対称な照度むら(中心対称むら)、即ち2次関数的むらと、光軸を横切る領域内で次第に照度が増加、又は減少する傾斜むら、即ち1次関数的むらとに分けられる。これらの照度むらは、ステッパーのような一括露光型の露光装置においては、直交する2方向について高精度に補正を行う必要がある。一方、ステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の露光装置においては、走査方向の照度むらは走査露光動作によって殆ど問題にならない程度に平均化されるため、特に走査方向に直交する非走査方向の照度むらを高精度に補正することが求められている。
従来の照度むらの補正は、通常は照明光学系内の所定のレンズ群を光軸方向に駆動するか、又はこの光軸と直交する2軸の回りのチルト角を変えるように駆動することによって行われていた。また、一般に照明条件によって照度むらの様子は異なっている。特に中心対称むらは、レンズ群中で光束の通る位置が露光光(照明光)の開口数によって変化するのに対応して、照度の凹凸の度合いが変化する。そのため、調整対象のレンズ群は、一例として予め照明条件毎に最適位置が記憶されており、照明条件が切り替わる毎にそのレンズ群が最適位置に駆動される。
また、紫外域の露光光が光学素子の周囲の気体中の微量な有機物と反応することによって、その光学素子の表面に曇り物質が付着する現象が知られている。通常は照明光学系や投影光学系の各レンズの周囲にはケミカルフィルタ等を通して有機物等を除去した気体が供給されているが、露光装置を長期間使用するのに伴い、僅かに残存する有機物によって各レンズの曇りが次第に大きくなり、特に中心部の照度が低下する中心対称むらが経時的に進行することがある。この場合には、その中心対称むらの進行度に応じてオペレータが対応するレンズ群の位置を再調整していた。更に、露光装置を例えば数年使用する過程で、その中心対称むらが極端に進行したような場合には、調整対象のレンズ群そのものをより補正効果の強いレンズ群に交換することもあった。
上記の如く従来の露光装置の照度むらの補正は、光学系中の或る曲率(屈折力)を持つレンズを含む所定のレンズ群の位置やチルト角を制御するか、又はそのレンズ群を別のレンズ群に交換することによって行われていた。
しかしながら、平面以外の或る曲率を持つレンズを駆動して照度むらを補正しようとすると、マスクとしてのレチクル上の照明領域、更には被露光基板としてのウエハ上の露光領域での照明光のコヒーレンスファクタ(σ値)の均一性が悪化する場合がある。このように露光領域内でσ値の均一性が悪化すると、照度むらを抑制することの本来の目的である線幅均一性が低下してしまうという不都合がある。これに対して、そのσ値の均一性の悪化を抑えるように、照度むらの補正量を設定すると、線幅制御精度に限界が生じてしまう。
特に、近年も半導体デバイスのデザインルール(標準的な線幅)は年々微細化する一方であり、線幅制御精度を更に向上させるために、σ値の均一性を悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる露光方法の開発が望まれている。
更に、解像度を高めるために露光光の短波長化も進められており、最近では露光光としてほぼ真空紫外域のパルス光であるArFエキシマレーザ光(波長193nm)も使用されるようになって来ている。しかしながら、ArFエキシマレーザ光を、石英ガラスよりなる光学素子(レンズ等)に照射すると、その光学素子の透過率が短期的に変動する現象(例えば5分程度で飽和するが、照射を停止すると元に戻る変動現象)が知られている。その結果、石英ガラスよりなるレンズ等を備えた照明光学系や投影光学系を用いて、ArFエキシマレーザ光で露光を行うと、通過光量の大きい光軸付近で透過率が低下する短期的な中心対称むらが生じる。このような透過率変動は、そのまま被露光基板上での短期的な露光量分布の不均一性(露光量むら)の要因となるが、現状ではその変動量はほぼ許容範囲内である。
しかしながら、今後ArFエキシマレーザ光源のパワー、及び発振周波数が向上し、光学系全体としての透過率が向上すると、その短期的な透過率変動が許容範囲を超える恐れがある。また、従来のように光学系中の所定のレンズ群の位置やチルト角を制御するのは、例えば露光装置のメンテナンス時に行うものであるため、従来は短期的な透過率変動には対応できていなかった。
本発明は斯かる点に鑑み、光学系の短期的な透過率(又は反射率)の変動が生じても、露光量分布の均一性を向上できる露光技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる露光技術を提供することを第2の目的とする。
更に本発明は、その露光技術を用いて高い線幅制御精度でデバイスを製造できるデバイス製造技術を提供することをも目的とする。
発明の開示
本発明による第1の露光方法は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光方法において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)を回転自在に配置しておき、その第2物体の配置面上でその投影系を介したその露光ビームの照度分布を計測し、この計測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角を制御するものである。
斯かる本発明によれば、照度分布の計測によって、例えば投影系(PL)の短期的な透過率分布の変動が生じていることが分かった場合には、その透過率分布の変動に伴う照度分布の変動を抑制するように、そのフィルタ部材の回転角を制御する。これによって、その第2物体上での露光量分布の均一性を向上できる。更に、本発明によれば、平面以外の所定の曲率を持った光学素子を駆動することによって照度分布を調整するのではなく、例えば平板状のフィルタ部材の回転角を制御しているため、その第2物体の露光領域における露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、照度分布を制御できる。
なお、本発明において、そのフィルタ部材には、所定の反射率分布を持つフィルタ部材も含まれている。
また、本発明において、その第2物体は順次露光される複数枚の基板であるものとして、その露光ビームの照度分布の計測、及びこの計測結果に基づくそのフィルタ部材の回転角の制御をその基板の交換毎に行い、その基板の露光中に、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)に基づいてその第2物体上でのその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角をさらに制御することが望ましい。
このように例えば1ロットの基板に順次露光を行う場合、1枚の基板中の複数の区画領域(ショット領域)に順次露光を行うときには、実測ではなく予め行った実験結果、シミュレーション、又は理論式に基づいて照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてフィルタ部材の回転角を制御することによって、スループットを低下させることなく、積算露光量の制御精度を向上させることができる。
次に、本発明の第2の露光方法は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光方法において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)を回転自在に配置しておき、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)に基づいてその第2物体上でのその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいて、その第2物体上でのその露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、そのフィルタ部材の回転角を制御するものである。
斯かる本発明によれば、実際に照度分布を計測するのではなく、その投影系を通過する露光ビームのエネルギー情報を用いて実験結果、シミュレーション、又は理論式に基づいて照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてそのフィルタ部材の回転角を制御している。従って、その投影系で短期的な透過率変動が生じる場合にも、照明系のコヒーレンスファクタの均一性を悪化させることなく、照度分布の均一性を向上できる。
これらの場合、一例として、その第2物体を露光する際に、その第1物体及び第2物体をその投影系に対して同期して移動するとともに、そのフィルタ部材は、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ1枚のフィルタ部材(51)よりなるものである。このように1次元の透過率分布を用いた場合には、走査露光を行ったときに非走査方向(走査方向に直交する方向)の積算露光量のむらを補正できる。即ち、その透過率分布が、光軸を通る直線に関して線対称に1次元的に変化する分布であるときには、走査露光後に、中心対称むら(2次関数的むら)を所定範囲内で実質的に連続的に補正できる。
また、別の例として、そのフィルタ部材は、それぞれ光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ2枚のフィルタ部材(51A,51B)よりなり、これら2枚のフィルタ部材が、光軸の回りに互いに逆方向に回転される。このように複数の1次元の透過率分布を組み合わせることで、静止状態における中心対称むら、及び傾斜むら等の2次元の照度むらの補正が可能となり、本発明をステッパー等の一括露光型の露光装置にも適用できるようになる。
次に、本発明による露光装置は、露光ビームで第1物体(28)を照明し、その第1物体のパターン及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、その第2物体までのその露光ビームの光路上で、その投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に配置された所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材(51)と、このフィルタ部材を回転駆動する駆動系(52)と、その第2物体の配置面上でその投影系を介したその露光ビームの照度分布を計測する照度計測系(21,42)と、この照度計測装置の計測結果に基づいてその駆動系を介してそのフィルタ部材の回転角を制御する制御系(22)とを有するものである。
斯かる本発明によれば、その照度計測系の計測結果に基づいてそのフィルタ部材の回転角を制御することによって、本発明の露光方法を実施できる。
この場合、その投影系を通過するその露光ビームのエネルギーを直接的又は間接的に計測するエネルギーモニタ(20)を備え、その制御系は、その照度計測系の計測結果及びそのエネルギーモニタの計測結果を用いてその投影系を介したその露光ビームの照度分布の変化量を予測し、この予測結果に基づいてその駆動系を介してそのフィルタ部材の回転角を制御するようにしてもよい。この予測制御方式によって、スループットを低下させることなく、照度分布の均一性を向上できる。そのエネルギーモニタ(20)は、一例として露光ビームのエネルギーを計測し、その計測結果としてエネルギー情報(エネルギー量、エネルギー強度等)を出力する。
また、その第2物体を露光する際に、その第1物体及び第2物体をそれぞれその投影系に対して同期して移動する第1ステージ系(31,32)及び第2ステージ系(39,40)を備え、そのフィルタ部材を、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ1枚のフィルタ部材(51)より構成してもよい。走査露光方式で露光を行う場合、1次元の透過率分布を持つフィルタ部材を用いることで、中心対称の照度むらを走査露光によって抑制することができる。
また、その第1ステージ系のその第1物体の載置面の近傍にその露光ビームを通過させるための開口部(31a)を形成することが望ましい。その開口部を露光ビームの照明領域に移動して、その照度計測系で照度分布を計測することによって、その第1物体のパターンに影響されることなく、高精度に例えばその投影系のみの透過率分布の変動量を計測することができる。
また、本発明のデバイス製造方法は、本発明の何れかの露光方法、又は何れかの露光装置を用いてデバイスパターン(28)を基板(W)上に転写する工程を含むものである。本発明によって高い線幅制御精度の高機能のデバイスを量産することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい第1の実施の形態につき図面を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置の概略構成を示し、この図1において、露光光源1としては実質的に真空紫外域のArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されている。但し、露光光源1としては、F2レーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)等の他の真空紫外域のレーザ光源、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、YAGレーザの高調波発生装置、若しくは半導体レーザの高調波発生装置等を使用することができる。露光光源1からの波長193nmの真空紫外パルス光よりなる露光光IL(露光ビーム)は、露光装置本体との間で光路の位置を相対的にマッチングさせるためのビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。ウエハ上のフォトレジストに対する露光量を制御するための露光制御ユニット21が、露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー)を制御すると共に、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
可変減光器3を通った露光光ILは、所定の光軸に沿って配置される第1レンズ系4A及び第2レンズ系4Bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7A、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7Bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
第2フライアイレンズ9の射出面、即ち露光対象のマスクとしてのレチクル28のパターン面(レチクル面)に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面)には開口絞り板10が、駆動モータ10eによって回転自在に配置されている。開口絞り板10には、通常照明用の円形の開口絞り10a、変形照明の一例としての輪帯照明用の開口絞り10b、変形照明の別の例として複数の偏心した小開口よりなる開口絞り(不図示)、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り(不図示)が切り換え自在に配置されている。開口絞り板10及び駆動モータ10eより照明条件を複数の照明条件(通常照明、変形照明、及び小σ値照明)の何れかに切り換える「照明条件切り換え系」が構成されており、装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御系22が駆動モータ10eを介して照明条件を設定する。
図1において、第2フライアイレンズ9の射出面に通常照明用の開口絞り10aが設置されており、第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り10aを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11で反射された露光光は、集光用のレンズ19を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ20に入射し、インテグレータセンサ20の検出信号S1は露光制御ユニット21に供給されている。インテグレータセンサ20の検出信号と被露光基板としてのウエハW上での露光光ILの照度との関係は一例として定期的に高精度に計測されて、露光制御ユニット21内のメモリに記憶される。露光制御ユニット21は、インテグレータセンサ20の検出信号より間接的にウエハWに対する露光光ILの照度(平均値)(これが露光ビームのエネルギー強度に相当する)、及びその積分値(積算露光量の平均値)(これが露光ビームのエネルギー量に相当する)をモニタできるように構成されている。
ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿って第1レンズ系12、第2レンズ系13、及び回転可能な平板状の濃度フィルタ板51を経て順次、固定ブラインド(固定視野絞り)14A及び可動ブラインド(可動視野絞り)14Bに入射する。後者の可動ブラインド14Bはレチクル面に対する共役面に設置され、前者の固定ブラインド14Aはその共役面から所定量だけデフォーカスした面に配置されている。また、本発明の濃度フィルタ又はフィルタ部材に対応する濃度フィルタ板51(詳細後述)は、その固定ブラインド14Aから更に所定量だけデフォーカスした面、即ちレチクル面との共役面から僅かにデフォーカスした面に配置されている。このように濃度フィルタ板51をレチクル面との共役面から僅かにデフォーカスした面に配置することによって、濃度フィルタ板51に付着した塵等の異物の像がウエハW上に転写されることが防止できる。
なお、濃度フィルタ板51をそのデフォーカス面に配置する代わりに、或いはそれと組み合わせて、例えば濃度フィルタ板51とレチクル28との間に配置される光学素子(一例としては、レンズ系16〜18の少なくとも1つ、或いは不図示の拡散板等)を駆動して、濃度フィルタ板51や異物の像を照明領域35内で不鮮明にすることによって、照度均一性の低下、ひいてはウエハW上での露光量分布の均一性の低下を防止するようにしてもよい。
固定ブラインド14Aは、例えば特開平4−196513号公報に開示されているように、投影光学系PLの投影視野内で光軸AXをほぼ中心とし、走査露光時にレチクル28及びウエハWが移動される走査方向(Y方向)と直交する非走査方向(X方向)に直線スリット状、又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」と言う)に伸びるように配置された開口部を有する。即ち、本例では固定ブラインド14Aは、露光光ILが照射されるレチクル28上の照明領域35、及びウエハW上の露光領域35P(投影光学系PLに関して照明領域35と共役で、照明領域35内のパターンの像が形成される投影領域)を規定すると共に、少なくとも走査方向に関する幅が固定である開口部を有する。
一方、可動ブラインド14Bは、ウエハW上の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な露光を防止するために、固定ブラインド14Aによって規定される照明領域35及び露光領城35Pの走査方向の幅を可変とするために使用される。可動ブラインド14Bは、更に走査方向と直交した方向(非走査方向)に関してレチクル28のパターン領域のサイズに応じてその幅を可変とするためにも使用される。可動ブラインド14Bの開口率の情報は露光制御ユニット21にも供給され、インテグレータセンサ20の検出信号から求められる照度にその開口率を乗じた値が、ウエハW上の実際の照度となる。
なお、固定ブラインド14A、可動ブラインド14B、及び濃度フィルタ板51はその配置が図1に限定されるものではなく、要はウエハWの表面(投影光学系PLの結像面)と実質的に共役な面、或いはその共役面から所定距離だけ離れた面に配置すればよく、更にはその少なくとも1つをウエハWの表面に近接して配置してもよい。
露光時に固定ブラインド14Aを通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー15、結像用のレンズ系16、第1コンデンサレンズ系17、及び第2コンデンサレンズ系18を介して、マスクとしてのレチクル28のパターン面(レチクル面)の照明領域(照明視野領域)35を照明する。露光光ILのもとで、レチクル28の照明領域内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板(被露光基板)としてのウエハW上のフォトレジスト層のスリット状の露光領域35Pに転写される。レチクル28及びウエハWがそれぞれ本発明の第1物体及び第2物体に対応しており、ウエハWは例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の円板状の基板である。本例の投影系としての投影光学系PLは、合成石英ガラスよりなる複数のレンズ、及び必要に応じて色収差補正用に蛍石(CaF2)よりなる複数のレンズを含むジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることは言うまでもない。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査方向(ここでは図1の紙面に平行な方向)にY軸を取り、走査方向に直交する非走査方向(ここでは図1の紙面に垂直な方向)にX軸を取って説明する。
図1において、本例では、ビームマッチングユニット2、可変減光器3、ビーム成形系5、第1フライアイレンズ6、レンズ系7A,7B、ミラー8、第2フライアイレンズ9、開口絞り板10、レンズ系12,13、固定ブラインド14A、可動ブラインド14B、結像レンズ系16、副コンデンサレンズ系17、及び主コンデンサレンズ系18等より照明光学系ILSが構成され、露光光源1及び照明光学系ILSが本発明の照明系に対応している。本例では、照明光学系ILS中に濃度フィルタ板51が配置されており、照明光学系ILSの光軸IAXは、レチクル28上で投影光学系PLの光軸AXと合致している。
なお、濃度フィルタ板51は、固定ブラインド14Aの入射側ではなく、可動ブラインド14Bの射出側に近接した面に配置してもよい。又は、例えば固定ブラインド14Aをレチクル28のパターン面(レチクル面)の近傍の面、例えばレチクル28の上面に近接した面に配置し、濃度フィルタ板51を図1の可動ブラインド14Bの入射側に所定間隔だけデフォーカスさせた面に配置してもよい。これによって、濃度フィルタ板51を容易に配置できるようになる。
その他に、濃度フィルタ板51を、照明光学系ILS内で可動ブラインド14Bが配置される面(像面との共役面)とは異なる別の像面との共役面(即ち、レチクル面との共役面)から離した面に配置してもよい。一例としては、図1において、可動ブラインド14Bの近傍に固定ブラインド14Aを配置した状態で、濃度フィルタ板51をレチクル28のパターン面の近傍の面、例えばレチクル28の上面又は下面に所定間隔隔てた面に配置してもよい。更に、投影光学系PLが内部で中間像を形成する場合には、その中間像の形成面から離した面に濃度フィルタ板51を配置してもよい。また、可動ブラインド14Bについても、例えばレチクル面に近接させて配置する構成も可能である。
そして、本例のレンズ系12,13、及び濃度フィルタ板51にはそれぞれ駆動ユニット24,25及び52が装着されている。
図2は、図1の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と、照明領域35との関係を示す斜視図であり、この図2において、照明領域35に対するレチクルの走査方向SD(Y方向)、及び非走査方向(X方向)に対応する固定ブラインド14A上での方向をそれぞれY方向及びX方向としている。なお、固定ブラインド14A(固定視野絞り)は、そのスリット状の開口のみを図示している。
この場合、駆動ユニット24は第1レンズ系12の光軸IAXの方向の位置を調整する。また、図1の駆動ユニット25は、図2の駆動ユニット25Rより構成され、駆動ユニット25Rは、第2レンズ系13の光軸IAXを通りY軸に平行な軸の回りのチルト角(傾斜角)、即ち照明領域35の非走査方向に対応する方向のチルト角を調整する。更に、図1の駆動ユニット52は、図2の円板状の濃度フィルタ板51の周囲に不図示のリング状のホルダを介して装着された歯車部52Gと、この歯車部52Gを回転駆動するための歯車及びモータを含む駆動部52Wとを含み、駆動ユニット52によって光軸IAXを中心として濃度フィルタ板51を90°の範囲内で所望の角度θだけ回転できるように構成されている。
駆動ユニット24及び25Rとしては、例えば電動式のマイクロメータ、又はピエゾ素子等の駆動素子で駆動対象の光学素子のホルダを変位させる駆動装置を使用することができる。この場合、駆動ユニット24,25R、及び駆動部52Wには、それぞれ駆動可能範囲(駆動ストローク)内での光学素子の変位量を示すエンコーダ(ロータリエンコーダ等)(不図示)が組み込まれており、これらのエンコーダの検出信号が図1の駆動系26に供給される。その検出信号、及び主制御系22からの駆動情報(変位量、チルト角、回転角等を示す情報)に基づいて駆動系26は駆動ユニット24,25,52を介してレンズ系12,13及び濃度フィルタ板51の状態を、主制御系22に指示された状態に制御する。
この場合、一例として、第1レンズ系12を光軸方向に駆動することによって、光軸に関して軸対称な照度むらである中心対称むら(2次関数的むら)の補正が行われ、第2レンズ系13のチルト角の制御を行うことによって、光軸を横切る領域内で次第に照度が増加、又は減少する照度むらである傾斜むら(1次関数的むら)の補正が行われる。
また、本例では露光光としてArFエキシマレーザ光が使用されており、投影光学系PL中に石英ガラスよりなるレンズが含まれているため、露光中に投影光学系PLの像面の光軸付近で照度が低下する短期的な中心対称むらが生じる。この短期的な中心対称むらは、露光光の照射を停止すると次第に回復して来る可逆的な変化である。そこで、ウエハに対する露光量制御精度をより向上するために、本例では例えば1ロットのウエハに露光を行う場合に1枚又は複数枚のウエハへの露光毎という短期的なタイミングで、その中心対称むらを補正する。更に、1枚のウエハの複数のショット領域(区画領域)に露光する際にも中心対称むらは僅かに変動するため、ウエハに対する露光量制御精度を一層向上するために、本例では1枚のウエハの各ショット領域への露光毎というより短期的なタイミングでも、その中心対称むらを補正する。このような短期的な中心対称むらを補正するために、本例では濃度フィルタ板51の回転角の制御が行われる(詳細後述)。
なお、本例では濃度フィルタ板51の回転角の制御によって実質的に中心対称むらを補正できるため、第1レンズ系12の駆動ユニット24を省略してもよい。これによって、照明光学系の機構を簡素化できる。又は、第1レンズ系12による中心対称むらの補正は、露光装置の組立調整時やメンテナンス時のように初期状態や長期的な変動の調整を行う場合に行うようにしてもよい。この場合には、電動式の駆動ユニット24の代わりに、マイクロメータヘッドのようなマニュアル方式の駆動機構を取り付けてもよい。
図1に戻り、レチクル28は、レチクルステージ31上に吸着保持され、レチクルステージ31は、レチクルベース32上にY方向に等速移動できると共に、X方向、Y方向、回転方向に微動できるように載置されている。レチクルステージ31(レチクル28)の2次元的な位置、及び回転角は駆動制御ユニット34内のレーザ干渉計によってリアルタイムに計測されている。この計測結果及び主制御系22からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット34内の駆動モータ(リニアモータやボイスコイルモータ等)は、レチクルステージ31の走査速度、及び位置の制御を行う。
また、レチクルステージ31のレチクル28の保持部に対して走査方向の近傍に、X方向に細長く照明領域35よりも広い開口部31aが形成され、この計測窓としての開口部31a上にガラス基板よりなる評価マーク板33が固定されている。評価マーク板33のほぼ照明領域35と同じ大きさの領域内に、ほぼ均一な分布で複数個の2次元の同一の評価用マーク36Aが形成されている。その評価用マーク36Aの像を投影光学系PLを介してウエハ側に投影し、その空間像の位置を計測することによって、投影光学系PLのディストーション、像面湾曲等の結像特性及び照明光学系のテレセントリック性の崩れ量を計測することができる。
本例では、後述のように投影光学系PLの像面での照度分布を計測する場合に、レチクルステージ31をY方向に駆動して、評価マーク板33(開口部31a)の中心を照明領域35の中心に移動して、開口部31aの中に照明領域35が完全に収まるようにする。評価マーク板33及びレチクル28の透過率は予め高精度に計測されて主制御系22の記憶部に記憶されている。なお、投影光学系PLの像面での照度分布のみを計測できればよい場合には、開口部31aのみを設けておいて、評価マーク板33を取り外しておいてもよい。又は、レチクル28をY方向に細長い形状にしておき、レチクル28のパターン面(下面)の転写対象のデバイスパターンの隣に照明領域35よりも広い計測窓としての透過部を形成しておき、投影光学系PLの像面での照度分布を計測する場合に、その透過部を照明領域35に移動してもよい。
次に、図1において、ウエハWは、ウエハホルダ38を介してウエハステージ39上に吸着保持され、ウエハステージ39は、ウエハベース40上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウエハステージ39は、ウエハベース40上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウエハステージ39には、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角を制御するZレベリング機構も組み込まれており、投影光学系PLの下部側面には、ウエハWの表面の複数の計測点でフォーカス位置を計測するための多点のオートフォーカスセンサ(不図示)も設けられている。露光時には、そのオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、オートフォーカス方式でウエハステージ39のZレベリング機構を駆動することで、ウエハWの表面が投影光学系PLの像面に合焦される。
ウエハステージ39のX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角は駆動制御ユニット41内のレーザ干渉計によってリアルタイムに計測されている。この計測結果及び主制御系22からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット41内の駆動モータ(リニアモータ等)は、ウエハステージ39の走査速度及び位置の制御を行う。主制御系22は、レチクルステージ31及びウエハステージ39のそれぞれの移動位置、移動速度、移動加速度、位置オフセット等の各種情報を駆動制御ユニット34及び41に送る。そして、走査露光時には、レチクルステージ31を介して露光光ILの照明領域35に対してレチクル28が+Y方向(又は−Y方向)に速度Vrで走査されるのに同期して、ウエハステージ39を介して露光領域35Pに対してウエハWが−Y方向(又は+Y方向)に速度β・Vr(βはレチクル28からウエハWへの投影倍率)で走査される。この際の走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するために、駆動制御ユニット34によって可動ブラインド14Bの開閉動作が制御される。
更に主制御系22は、ウエハW上の各ショット領域のフォトレジストを適正露光量で走査露光するための各種露光条件を露光データファイルより読み出して、露光制御ユニット21とも連携して最適な露光シーケンスを実行する。即ち、ウエハW上の1つのショット領域への走査露光開始の指令が主制御系22から露光制御ユニット21に発せられると、露光制御ユニット21は露光光源1の発光を開始すると共に、インテグレータセンサ20を介してウエハWに対する露光光ILの照度(単位面積、単位時間当たりのパルスエネルギーの和)の積分値を算出する。その積分値は走査露光開始時に0にリセットされている。そして、露光制御ユニット21では、その照度の積分値を逐次算出し、この結果に応じて、走査露光後のウエハW上のフォトレジストの各点で適正露光量が得られるように、露光光源1の出力(発振周波数、及びパルスエネルギー)及び可変減光器3の減光率を制御する。そして、当該ショット領域への走査露光の終了時に、露光光源1の発光が停止される。
さて、本例のウエハステージ39上のウエハホルダ38の近傍には、露光量分布計測装置としての照度むらセンサ42が設置され、図3(a)に示すように、照度むらセンサ42には、ピンホール状の受光部42aを有する光電センサよりなる第1センサと、走査方向SD(Y方向)に細長く配列された一列の光電変換素子(画素)を有するラインセンサ状の第2センサ42bとが設けられ、主制御系22からの制御情報に応じて、第1センサ又は第2センサの何れかの光電変換信号が検出信号S4として図1の露光制御ユニット21に供給されている。
図3(a)において、第2センサ42bの画素の走査方向SDの長さは、露光領域35Pの走査方向SDの幅よりも広く設定され、露光領域35Pにおける非走査方向(X方向)の照度むらを計測する場合には、図1のウエハステージ39を駆動して露光領域35PのX方向の側面に照度むらセンサ42の第2センサ42bが配置され、第2センサ42bから読み取られた光電変換信号が検出信号S4として露光制御ユニット21に供給される。その後、露光光源1の発光を開始して、ウエハステージ39を駆動して露光領域35Pを横切るように第2センサ42bをX方向に所定間隔で配置された複数の計測点に移動して、各計測点で露光制御ユニット21において第2センサ42bの検出信号をY方向に積算して得られる積算信号を求め、この積算信号を主制御系22に供給する。実際には露光光ILにはパルス発光毎に或る程度のエネルギーのばらつきがあるため、その積算信号は、図1のインテグレータセンサ20の検出信号S1を用いて規格化してある。主制御系22は、規格化された積算信号(これもS4と呼ぶ)を第2センサ42bの非走査方向の位置Xに対応させて記憶装置に記憶する。
図3(b)は、その積算信号S4の一例を示し、この図3(b)において、横軸は第2センサ42bの非走査方向の位置X、縦軸は積算信号S4である。この積算信号S4は、非走査方向の各計測点において、露光領域35Pの露光量を走査方向に積算して得られる露光量、即ち走査露光によってウエハ上の所定の点に与えられる露光量(積算露光量)に実質的に等しい。従って、積算信号S4は、露光領域35Pによってウエハ上の各ショット領域を走査露光した後の露光量(積算露光量)の非走査方向の分布(露光量むら)を実質的に表していることになる。
図3(b)において、積算信号S4が直線53Aで表すように位置Xに対して平坦であるときには、非走査方向の露光量のむらが無いことを表しており、この状態では露光量分布の高い均一性(高い露光量精度)が得られる。一方、積算信号S4が、曲線53Bのように、光軸AXを含む中央部で小さくなる中凹の分布を示すときには、光軸に関して軸対称な露光量むら、即ち軸対称な照度むら(中心対称むら)が生じていることが分かる。これを補正するためには、例えば図1中の濃度フィルタ板51を用いて光軸近傍の透過率を相対的に高くすればよい。更に、積算信号S4が、直線53Cのように、光軸AXを横切るように次第に増加する傾斜むらを示すときには、これを補正するためには、例えば図1の第2レンズ系13のチルト角を制御すればよい。本例では、このようにラインセンサ状の第2センサ42bを用いることによって、走査露光後の露光量の非走査方向のむら、即ち非走査方向の照度むらを容易に計測することができる。また、図3(a)のピンホール状の受光部42a(第1センサ)を露光領域35P内に2次元的に設置された複数の計測点に移動して、それぞれ照度を計測することによって、露光領域35P内のX方向、及びY方向の照度むらを計測することもできる。
更に、露光領域35P内における非走査方向(X方向)の各位置で、走査方向(Y方向)に関して各計測点での照度を積算して露光光ILの積算光量(露光量)を求めることで、前述の第2センサ42bと同様に非走査方向に関する露光量分布(露光量むら)を得ることもできる。このとき、非走査方向の各位置で、受光部42aを走査方向にステッピングさせながら各計測点の照度を計測してもよいが、非走査方向の各位置で、露光領域35Pに対して受光部42aを走査方向に沿って相対移動すると共に、ウエハWの走査露光と同一条件で露光光源1の発振(発振周波数やパルスエネルギー)及びウエハステージ39の移動速度を制御することが好ましい。これにより、受光部42aが露光領域35Pを横切る間に、走査露光時と同じパルス数の露光光ILが受光部42aに照射され、非走査方向の各位置で露光光ILの積算光量(露光量)を正確に計測することが可能となる。従って、本例では照射むらセンサ42が受光部42a(第1センサ)及び第2センサ42bを有するものとしたが、照度むらセンサ42には第1、第2センサの一方のみを設けるだけでもよい。なお、前述の第2センサ42bは非走査方向の各位置で露光光ILの積算光量(露光量)を計測するときに露光領域35P内に配置される画素(アレイ)の数が、走査露光時にウエハW上の各点に照射されるパルス数と同数であるとよい。このとき、例えば走査露光時と同数の露光光ILを照射し、各パルス毎に異なる受光素子の出力を積算してその積算光量を決定することが好ましい。
図1に戻り、ウエハステージ39上には不図示であるが、露光領域35Pの全体を覆う受光部を有する照射量モニタも設置され、例えば定期的にこの照射量モニタの検出信号とインテグレータセンサ20の検出信号とに基づいて、インテグレータセンサ20の検出信号からウエハW上の照度を間接的に求めるための係数が算出される。更に、ウエハステージ39上のウエハホルダ38の近傍には、ガラス基板よりなる走査板43が設置され、走査板43上の遮光膜中にほぼ正方形の開口パターン43aが形成されている。そして、ウエハステージ39中の走査板43の底面側に集光レンズ44、及び光電検出器45が配置され、走査板43、集光レンズ44、及び光電検出器45より空間像計測系46が構成され、光電検出器45の検出信号は露光制御ユニット21内の演算部に供給されている。その空間像計測系46によって、レチクルステージ31上の評価マーク板33に形成された評価用マーク36Aの像の位置を計測することができる。
さて、上記のように本例の露光光ILはArFエキシマレーザ光であり、投影光学系PLに露光光ILを照射することによって、投影光学系PLの像面(ウエハの表面)で光軸付近の照度が低下する中心対称むら(以下、「短期的な中凹むら」と呼ぶ)が短期的な照度分布変動として生じる。同様に、図1のビームスプリッタ11とレチクル28との間の照明光学系ILSを構成する光学素子においても中心対称の透過率変動が生じ、これによっても短期的な中凹むらが発生するが、この中凹むらは投影光学系PLの透過率変動に起因する短期的な中凹むらに含めて考えることとする。本例では、この短期的な中凹むらを補正するために濃度フィルタ板51が使用される。
また、本例の露光光ILは波長200nm以下のほぼ真空紫外光(VUV光:Vacuum Ultraviolet ray)であり、水蒸気、二酸化炭素等の吸光物質による吸収が大きい。また、酸素による吸収も次第に大きくなって来る。そこで、図1の露光光源1からウエハWまでの露光光ILの光路(照明光学系と投影光学系との間の空間、及び投影光学系とウエハとの間の空間を含む)には、それらの吸光物質を除去すると共に、ケミカルフィルタやHEPAフィルタ(high efficiency particulate air−filter)等を用いて有機物や細かい塵等を除去した気体であるパージガスが供給されている。パージガスとしては、ドライエアー、窒素ガス、又はヘリウムガス等が使用できる。
このように有機物等を高度に除去したパージガスを使用しても、残存している微量な有機物等が露光光ILと化学反応を起こし、照明光学系ILS及び投影光学系PL中の各光学素子の表面に次第に曇り物質が付着して、透過率分布が変化して、経時的にウエハW上の露光領域35Pで照度むらが生じる。その曇り物質に起因する照度むらも、光軸AX(本例では露光中心と合致する)に関して軸対称な中心対称むら(2次関数的むら)になる傾向があると共に、特に光軸AX近傍の中央部で照度が低下する照度むら(以下、「長期的な中凹むら」と言う)を引き起こす傾向がある。本例では、そのように経時的に生じる中心対称むら(特に長期的な中凹むら)も図1の濃度フィルタ板51を用いて補正する。
以下、その回転可能な濃度フィルタ板51の構成及びその使用方法の一例につき詳細に説明する。
図4(a)は、図1(又は図2)の濃度フィルタ板51の初期状態の配置を示し、この図4(a)において、濃度フィルタ板51は、露光光を透過する平坦な円板状の薄いガラス基板の一面に、金属(例えばクロム)等の所定の遮光物質、又は減光物質を光軸IAXを通る直線に関して線対称に1次元の所定の透過率分布が得られるように、蒸着等によって被着したものである。
図4(a)では、濃度フィルタ板51の透過率分布を持つ方向が固定ブラインド14A(スリット状の開口で表されている。以下同様。)に対してY方向(走査方向)に設定されており、そのY方向の透過率T(Y)は係数aを用いて次のように表される。
T(Y)=1/(a・Y2+1) …(1)
この関数は、中心対称むらが通常2次関数的むらになることに起因して、その2次関数的むらを相殺するように決定されている。この関数は、実際の中心対称むらの(予期される)発生量によって幾通りにも決められる。(1)式中の係数aは、濃度フィルタ板51の最大補正量を決定するパラメータであり、濃度フィルタ板51の半径をR、濃度フィルタ板51の最外郭における透過率の最大補正量をDとすると、係数aは次のようになる。最大補正量Dは、一例として0.1(10%)である。
a=D/{(1−D)R2} …(2)
本例では、図1の投影露光装置を2年程度以上実際の露光工程で稼働させた場合でも、短期的な中凹むら、及び光学素子に次第に付着する曇り物質に起因する照度むら(長期的な中凹むら)をその1枚の濃度フィルタ板51によって補正できるようにする。仮に、その投影露光装置を2年間使用した後の、露光領域35Pにおける中心対称むら、特に長期的な中凹むらの程度をレンジで10%程度と仮定すると、(2)式の係数aの値は次のようになる。
a=0.1/(0.9・R2) …(2A)
なお、投影光学系PLの短期的な中凹むらは、例えば2年程度経過した後の長期的な中凹むらよりも小さいため、(2A)式の係数aを用いることで、短期的な中凹むらも高精度に補正することができる。
この濃度フィルタ板51は、図4(a)〜(c)に示すように光軸IAXを中心として90°の範囲内で任意の回転角θだけ回転させることができる。
図4(a)は、濃度フィルタ板51を回転させていない状態、即ち回転角θが0°の初期状態を示し、この初期状態では固定ブラインド14Aの開口内の非走査方向(X方向)の平均的な透過率T(X)は、直線54Aで示すように平坦であり、非走査方向の照度むらを調整する機能は働いていない。なお、以下の図において、光軸IAXでのX座標を0としている。また、走査方向(Y方向)に対しては透過率分布が中央部で高くなっているが、これによる走査方向の照度むらは走査露光によって平均化される。
それに対して、図4(c)は、経時変化によって極度に進行した中凹むら、及び短期的な大きい中凹むらを補正するために、濃度フィルタ板51の回転角θを90°とした場合を示している。この場合の非走査方向の透過率T(X)は次のようになる。
T(X)=1/(a・X2+1) …(3)
このとき、透過率T(X)の分布は曲線54Cで示すように最大値(X=0)と最小値(両端部)との差が最大となり、濃度フィルタ板51による中凹むらの補正効果は最大となる。また、(2)式より曲線54Cの最大値は1で、最小値T’は0.9(90%)となる。
そして、図4(b)は、濃度フィルタ板51を45°回転させた状態(θ=45°)を示し、この場合の固定ブラインド14Aの開口(ウエハ上の露光領域35Pに対応している)内の各点に対応した透過率T(X,Y,θ)は、次のようになる。
T(X,Y,θ)=1/{a(Xsinθ−Ycosθ)2+1} …(4)
そして、その透過率をY方向に平均化して得られる非走査方向の透過率T(X)は、曲線54Bで表されており、これによってθ=90°とθ=0°との中間程度の中凹むらの補正効果が得られることが分かる。本例では、一例として、予め濃度フィルタ板51の回転角θを0°から90°まで例えば1°間隔で変化させて、各回転角θiで、非走査方向の透過率T(X)の中央の値Tcenに対する両端での値Tedgの比の値で定義される透過率補正率Tcor(θi)(=Tedg/Tcen)を計算で求めておく。そして、1°間隔の回転角θiに対する透過率補正率Tcor(θi)の値の関係を、主制御系22の記憶部にテーブルとして記憶しておく。(2A)式が成立する場合には、透過率補正率Tcor(θi)の最大値は1で、最小値は0.9である。
図4(a)〜(c)に示すように、濃度フィルタ板51を任意の回転角θに回転させることにより、非走査方向における平均透過率分布を任意の特性(平坦な分布から中央に比べて端部の照度がほぼ10%程度低い分布までの任意の特性)に調節することができ、経時的照射変動による中凹むら及び短期的で可逆的な中凹むらを逐次補正することができる。しかも、濃度フィルタ板51は像面との共役面の近傍に設置された薄い平板であるため、照度むらを補正した場合に照明光学系のコヒーレンスファクタ(σ値)の均一性には殆ど影響を与えない。即ち、初期状態で、σ値の均一性を所定の許容範囲内に調整しておけば、経時変化による照度むら及び短期的な中凹むらを補正したときにもσ値の均一性は悪化することがなく、常に高い線幅均一性が得られる。
なお、この濃度フィルタ板51は、図5に示すような種々の製造方法で製造することができる。
図5(a)の濃度フィルタ板51は、光透過性の合成石英、蛍石等の基板上にクロム(Cr)等の減光物質を膜厚を連続的に変化させて蒸着することによって、Y方向に連続的に変化する透過率分布を得たものである。なお、クロム等の金属は通常の膜厚では遮光物質となるが、本例ではクロム等を光が或る程度透過するような膜厚の領域で減光物質として使用している。また、図5(b)の濃度フィルタ板51Gは、基板の一面をY方向に複数の帯状の領域に分割し、これらの帯状の領域にそれぞれ所定の透過率が得られるように誘電体多層膜を形成したものである。即ち、濃度フィルタ板51Gは、透過率分布がY方向に段階的に変化しているが、その分割数を例えば10個程度以上に多くすることによって、連続的に変化する透過率分布とほぼ同等の照度むらの補正効果が得られる。
一方、図5(c)の濃度フィルタ板51Dは、基板上にクロム等の微細な多数の遮光性のドットパターンをY方向に全体として所定の透過率分布(巨視的な濃度分布)が得られるような存在確率で被着したものであり、これを用いても図5(a)の場合と同様に照度むらを補正することができる。濃度フィルタ板51Dも、像面の共役面から若干デフォーカスした位置に設置されると共に、部分的にはそれぞれランダムな分布で形成されるため、そのドットパターンが像面上に転写されることはない。そのランダムなドットパターンは、一例として直径が25μm程度の微細な円形パターンであり、中凹むらの最大補正量を10%程度とすると、濃度フィルタ板51D中の任意の位置におけるドットパターンの存在確率は0〜15%程度の範囲に収まると予想される。
次に、図6のフローチャートを参照して、本例の投影露光装置を用いて1ロットのウエハに露光を行う場合の露光シーケンスの一例につき説明する。
先ず、図1の投影露光装置において、濃度フィルタ板51の回転角θは0°に設定しておく。そして、レチクルステージ31上にレチクル28をロードした後、不図示のレチクル側のアライメントセンサを用いてレチクル28のアライメントを行う。続いて図6のステップ101において、図1のウエハステージ39上にそのロットの先頭のフォトレジストが塗布されたウエハWをロードする。その後、不図示のウエハ側のアライメントセンサを用いてウエハWの全部のショット領域のアライメントを行う。次のステップ102において、図1のレチクルステージ31をY方向に駆動して、レチクルステージ31の開口部31a(評価マーク板33)を露光光ILによる照明領域35を囲む位置に移動する。次のステップ103において、ウエハステージ39を駆動して、図3(a)に示すように照度むらセンサ42中のラインセンサ状の第2センサ42bを投影光学系PLの露光領域35Pに対してX方向(非走査方向)の外側に移動する。
そして、露光光源1による露光光ILのパルス発光を開始させて、ウエハステージ39を駆動して、第2センサ42bを露光領域35PをX方向(非走査方向)に横切るように移動させると共に、パルス発光に同期して第2センサ42bの検出信号S4を図1の露光制御ユニット21で順次取り込むことによって、露光領域35PのX方向の照度分布を計測する。この照度分布の計測結果は露光制御ユニット21から主制御系22に供給される。この際に本例では、開口部31aを覆うように評価マーク板33が設置され、評価マーク板33には評価用マーク36Aが形成されているが、評価用マーク36Aは実際には例えば10μm角程度と極めて小さいため、照度分布の計測結果には実質的に影響はない。
次に、ステップ104において、主制御系22は、露光領域35Pでの走査露光後の照度分布(積算露光量)が非走査方向(X方向)に均一になるように、駆動系26を介して濃度フィルタ板51の回転角θを制御する。具体的に、主制御系22は、ステップ103で計測された露光領域35Pの非走査方向の照度分布の中央(X=0)の値Ecenに対する両端での値Eedgの比の値(=Eedg/Ecen)で定義される露光量(透過率)の中凹むら率Eerrを求める。即ち、次式が成立している。
Eerr=Eedg/Ecen …(5)
中凹むらが生じている場合には、Ecen<Eedgであるため、Eerr>1となる。更に、主制御系22は、上記のように内部の記憶部にテーブルとして記憶されている濃度フィルタ板51の1°間隔の回転角θiと透過率補正率Tcor(θi)との関係から、計測された露光量の中凹むら率Eerrの逆数(1/Eerr)に最も近い透過率補正率Tcor(θj)、及びこのときの回転角θjを求める。この際に、露光量の補正精度を高めるために、補間計算によって逆数(1/Eerr)に最も近い透過率補正率が得られるときの回転角θjを1°よりも細かい分解能で計算してもよい。そして、主制御系22は、濃度フィルタ板51の回転角θをその回転角θjに設定する。これによって、露光光ILの照射によって投影光学系PLで透過率の中凹むらが生じていても、ウエハW上での照度分布(走査方向に積分した値)の非走査方向への分布は均一化される。なお、濃度フィルタ板51の回転角の変更によって平均照度が変化する場合には、所望の平均照度が得られるように、露光光源1の発光パワーの微調整、及び可変減光器3における減光率の切り替えが行われる。
この状態でステップ105に移行して、露光光源1のパルス発光、及びレチクルステージ31及びウエハステージ39の同期駆動を制御することによって、ウエハWの1番目のショット領域に走査露光方式でレチクル28のパターンの縮小像を投影光学系PLを介して転写する。この際に、投影光学系PLの露光領域35Pの照度分布(走査方向に積分した分布)は非走査方向に均一であるため、ウエハWの1番目のショット領域に対する走査露光後の積算露光量は均一化される。
次に、この1番目のショット領域に対する露光によって、投影光学系PLの透過率分布に僅かではあるが更に短期的な中凹むらが生じる。これに対して照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を実際に計測するのではスループットが低下してしまう。そこで、本例では各ショット領域間での投影光学系PLの透過率の変動量を実験結果又は計算によって予測する。即ち、動作はステップ106に移行して、主制御系22は、前のショット領域に対する露光による投影光学系PLの透過率の短期的な中凹むらの変化量、ひいては露光領域35Pの照度分布の変化量を予測する。
その第1の予測方法では、予め投影光学系PLに1つのショット領域への露光を行う場合と同じ条件で露光光ILを照射した後、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布の変化量を計測し、順次次のショット領域への露光を行う場合と同じ条件で露光光ILを照射して、それぞれ照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布の変化量を計測しておく。そして、このように仮想的に順次1つのショット領域に露光した後の投影光学系PLの露光領域35Pでの照度分布の変化量を、例えば露光済みのショット領域の個数に対応させてテーブルとして記憶しておくことによって、実際の露光時には、そのテーブルを用いて1つ又は複数個のショット領域への露光後の照度分布の変化量を予測することができる。
更に、種々の露光条件に対応するために、各ショット領域への露光量(積算露光エネルギー)を複数に設定して計測用の露光を行って、それぞれ照度分布の変化量を計測し、計測された照度分布の変化量を露光量及び露光済みのショット領域の個数を複数のパラメータとするテーブルの形で記憶しておいてもよい。この場合、実際の露光時には、そのテーブルの中で実際の露光量に近い2つの露光量に対応する特性を用いて、補間計算によってその実際の露光量を用いた場合の照度分布の変化量を予測することができる。
次に、第2の予測方法は、計算によって光学系の透過率の変化量を求める方法である。具体的に、ウエハWが走査方向の位置Yにあるときの、投影光学系PL(より正確には、図1のビームスプリッタ11からウエハWまでの光学系)の透過率をK(Y)とする。そして、当該ショット領域への露光を開始する際の透過率K0に対する透過率の変動量をΔK(Y)とすると、ΔK(Y)は次のように表すことができる。
ΔK(Y)=ΔK(t−Δt)・exp(−Δt/τ)
+C・W(Y)・{1−exp(−Δt/τ)} …(6)
この式における係数等の定義は以下の通りである。
Δt:サンプリング間隔(sec)。これは実際の露光時間に比べて十分短い時間である。
τ:透過率変動の時定数であり、露光プロセス(レチクルパターンの種類、照明条件、及びパルスエネルギー密度等)毎に予め実測等によって決定されている。
ΔK(t−Δt):Δt前の透過率変動量。
C:透過率の変動率(%/W)であり、露光プロセス毎に予め実測等によって決定されている。
W(Y):照射平均パワー(W)。位置Yにおいて時間Δtの間に投入される露光光のパワーである。
また、(5)式は、ウエハW上の非走査方向の位置X毎に計算することができる。主制御系22は、一例として、(6)式に基づいて1つのショット領域に露光する間の投影光学系PLの露光領域35Pの中央での透過率の変動量ΔKcen、及び両端での透過率の変動量ΔKedgを算出する。これらを用いて(5)式の露光量(透過率)の中凹むら率Eerrを補正すると次のようになる。
Eerr’={Eedg・(1+ΔKedg)}/{Ecen・(1+ΔKcen)} …(7)
次のステップ107において、主制御系22は、露光領域35Pの照度分布が非走査方向(X方向)に均一になるように、濃度フィルタ板51の回転角θを制御(補正)する。即ち、上記の第2の予測方法を用いるとすると、主制御系22は、ステップ104の動作と同様に、(7)式の補正後の中凹むら率Eerr’の逆数(1/Eerr’)に最も近い透過率補正率Tcor(θj’)、及びこのときの回転角θj’を求める。そして、既に設定されている回転角θjとの差分(=θj’−θj)だけ濃度フィルタ板51を回転する。この状態でステップ108に移行して、ウエハW上の次のショット領域に対してステップ105と同様に走査露光方式でレチクル28のパターンの像を転写する。この際に、前のショット領域への露光中に短期的に変化した投影光学系PLの透過率分布を補正するように、濃度フィルタ板51の回転角が補正されているため、このショット領域においても積算露光量分布が均一化されている。この第2の方法では、投影光学系PLの透過率の変動を考慮した露光領域の照度分布(投影光学系PLの透過率分布)を補正することができる。
次のステップ109において、ウエハW上の全部のショット領域への露光が終了したかどうかを判定し、未露光のショット領域がある場合には、ステップ106に戻って、露光領域35Pの照度分布の変化量の予測、その結果に基づく濃度フィルタ板51の回転角の補正(予測制御)及び走査露光を行う。一方、ステップ109において、全部のショット領域への露光が終了している場合には、ステップ110に移行して、1ロットの全部のウエハへの露光が終了したかどうかを判定し、未露光のウエハがある場合には、ステップ111に移行して露光済みのウエハWをウエハステージ39上から搬出した後、ステップ101に戻る。そして、次の露光対象のウエハをウエハステージ39上にロードした後、ステップ102〜104を実行して、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pでの照度分布を実測し、この結果に基づいて濃度フィルタ板51の回転角を制御(補正)してから、1番目のショット領域への走査露光を行う。以下、照度分布の変化量の予測、濃度フィルタ板51の回転角の補正、次のショット領域への走査露光が繰り返される。そして、ステップ110において、全部のウエハへの露光が終了した時点で露光工程が終了する。
このように本例によれば、露光光ILの照射によって投影光学系PLや照明光学系ILSの透過率に短期的な中凹むらが生じても、濃度フィルタ板51の回転角を制御するのみで、迅速に、かつ照明系のσ値に影響を与えることなく、走査露光後のウエハの各ショット領域での積算露光量分布を均一にすることができる。また、それらの光学系の透過率の長期的な中凹むらが生じても、濃度フィルタ板51の回転角の制御によって露光量制御精度を高く維持することができる。
なお、上記の実施の形態では、1枚のウエハ中では1つのショット領域毎に照度分布の変化量を予測して濃度フィルタ板51の回転角を補正(予測制御)しているが、2つ又は3つ等の複数のショット領域毎に照度分布の変化量を予測して濃度フィルタ板51の回転角を補正してもよい。逆に、ショット領域間での照度分布の変化量が小さい場合には、ショット領域間での予測制御を省略してもよい。また、1枚のウエハの露光を行う毎に、照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を計測するのではなく、2枚又は3枚等の複数枚のウエハの露光毎に照度むらセンサ42を用いて露光領域35Pの照度分布を実際に計測し、この計測結果に基づいて濃度フィルタ板51の回転角を制御して、その間では1つ又は複数のショット領域毎に予測制御方式で濃度フィルタ板51の回転角を制御してもよい。
なお、上記の実施の形態の投影露光装置においては、初期的に発生している照度むらの複数の照明条件の間の差に関しても補正は可能である。本例の濃度フィルタ板51は中凹むらをフラットにする機能しか有していないが、例えば図2の濃度フィルタ板51の近傍に予め固定の濃度フィルタ板等を挿入し、全ての照明条件における照度むらを若干の中凹むらにしておき、その差を濃度フィルタ板51の回転によって補正することで、照明条件を通常照明と変形照明との間で切り換えたような場合でも、照度むらの発生を抑制することができる。本例の濃度フィルタ板51は電動で制御できるため、照明条件を切り換える度に濃度フィルタ板51を最適な角度まで回転すれば良い。なお、全ての場合において初期的に若干の照度損失が発生するが、実際にはその照度損失は5%程度以下に抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態につき図7及び図8を参照して説明する。本例は、走査露光を行った後ではなく、静止露光状態であっても、中心対称むらを補正できる実施の形態である。本例の投影露光装置の基本的な構成は図1と同様であるが、本例では図1の1枚の濃度フィルタ板51の代わりに2枚のそれぞれ回転可能な濃度フィルタ板が設置されている点が異なっている。なお、図7において、図2に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7は、本例の投影露光装置のフライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系とスリット状の照明領域35との関係を示し、この図7において、固定ブラインド14Aの配置面、即ちレチクル面との共役面(像面との共役面)から僅かにデフォーカスした面から第2レンズ系13側に僅かにデフォーカスした位置に、隣接して第1の濃度フィルタ板51A及び第2の濃度フィルタ板51Bが光軸IAXの回りに回転自在に配置されている。2枚の濃度フィルタ板51A,51Bには、それぞれ図1の濃度フィルタ板51と同じ特性で、光軸を通る直線に関して線対称に1次元の透過率分布が形成されている。
また、第1の濃度フィルタ板51Aの周囲に装着された歯車部52GAと、駆動部52WAとによって、濃度フィルタ板51Aは光軸IAXを中心として反時計回りに90°の範囲内で角度θAだけ回転駆動される。一方、第2の濃度フィルタ板51Bの周囲に装着された歯車部52GBと、駆動部52WBとによって、濃度フィルタ板51Bは光軸IAXを中心として時計回りに90°の範囲内で角度θBだけ回転駆動される。更に、本例の初期状態では、2枚の濃度フィルタ板51A,51Bの回転角は、図4(a)の濃度フィルタ板51と同様に非走査方向の平均的な透過率分布が平坦となるように設定されている。
そして、中心対称むら(特に中凹むら)を補正する際には、2枚の濃度フィルタ板51A,51Bは逆位相で同じ回転角だけ、即ち反対方向に同じ回転角だけ駆動される。これにより、透過率分布を光軸IAXを中心とする軸対称な2次元の分布で補正できるため、静止状態で照明領域35(ひいては露光領域35P)の全面で均一な照度分布が得られる。しかも、照明光学系のσ値の均一性が悪化することもない。
図8は、そのように濃度フィルタ板51A,51Bを逆位相で回転した状態を示し、図8(a)においては濃度フィルタ板51Aが反時計回りに45°(θA=45°)回転され、図8(b)においては濃度フィルタ板51Bが時計回りに45°(θB=45°)回転されている。この場合、濃度フィルタ板51A及び51Bによる固定ブラインド14Aの開口中での透過率分布は、それぞれ図8(b)及び図8(d)に示すようになり、実際に固定ブラインド14Aの開口中の透過率分布は、図8(e)に示すように光軸IAXを中心とする同心円状となる。即ち、図8(b)と図8(d)との明暗領域が相殺し合い、走査方向に積分しなくとも、X方向及びY方向の両方に亘って理想的な中心対称の2次透過率分布が得られている。この透過率分布で通常の中凹むらを補正すれば、静止露光状態での照度むらも同時に補正することができる。このような2次元の照度むらは、図3(a)の照度むらセンサ42中のピンホール状の受光部42aを持つ第1センサによって計測することができる。
実際の走査露光型の投影露光装置のメンテナンス時には、走査させることなく、静止状態で露光を行うケースも存在するため、本例による静止状態での照度むら補正は有効である。また、本例の2枚の濃度フィルタ板51A,51Bは、走査露光型の露光装置のみならず、ステッパーのような一括露光型(静止露光型)の露光装置で照度むらを補正するためにも採用することが可能となる。即ち、本発明を一括露光型の露光装置にも適用することができる。
なお、上記の実施の形態では、オプティカル・インテグレータとしてフライアイレンズ6,9が使用されているが、オプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ)を使用する場合も本発明が適用できることは明らかである。更に、上記の実施の形態では2段のフライアイレンズ6,9を用いるいわゆるダブル・フライアイ方式の照明光学系ILSが使用されているが、1段のオプティカル・インテグレータ(フライアイレンズ、ロッドインテグレータ等)のみを用いる照明光学系の調整を行う場合にも本発明を適用することができる。
なお、オプティカル・インテグレータとして内面反射型インテグレータを用いる場合、内面反射型インテグレータはその入射面が照明光学系の瞳面に配置され、且つその射出面がレチクル28のパターン面と共役に配置される。また、オプティカル・インテグレータとして、フライアイレンズを用いるときはその射出面側に複数の光源像からなる面光源、即ち2次光源が形成され、内面反射型インテグレータを用いるときはその入射面側に複数の虚像からなる2次光源が形成される。従って、上記各実施形態における照明条件の変更とは、照明光学系の瞳面上での露光光ILの強度分布を変更すること、及び照明光学系の瞳面上に形成される2次光源の大きさ及び形状の少なくとも一方を変更することと等価である。
更に、上記の実施の形態では、変形照明、通常照明、小σ値の照明などを行うために、照明光学系ILS内のフーリエ変換面(瞳面)上での照明光(露光光)の光量分布を変更する照明条件切り換え系は、開口絞り板10を含むものとしたが、これ以外の構成で照明条件を変更するようにしてもよい。即ち、照明条件切り換え系を開口絞り板10のみで構成してもよいが、例えば露光光源(1)とオプティカル・インテグレータ(9)との間に、照明条件(即ち、照明光学系の瞳面上での露光光ILの強度分布、本例では照明光路内に配置される複数の開口絞り10a〜10dの1つ)に応じて、オプティカル・インテグレータ(9)に対する露光光ILの入射条件(フライアイレンズではその入射面上での露光光ILの光量分布、内面反射型インテグレータ(ロッドレンズ等)ではその入射面に対する露光光ILの入射角や入射角度範囲等)を変更可能な光学部材を配置し、照明条件変更に伴う照明光量の損失を少なくすることが好ましい。この光学部材は、一例として、照明光学系の光路内に交換して配置され、前述の入射条件が異なる露光光(回折光)ILを発生する複数の回折光学素子(DOE)、ズーム光学系、及び照明光学系の光軸方向に相対移動可能な一対のプリズム(円錐プリズム(アキシコン)又は四角錐プリズム等)の少なくとも1つを含むことが望ましい。また、この光学部材を、開口絞り板10と併用してもよいし、或いは開口絞り板10の代わりに用いてもよい。なお、照明光学系内の少なくとも一つのオプティカル・インテグレータとして前述の回折光学素子を兼用してもよく、この兼用によって照明光学系の構成を少しは簡単にできる。
なお、上記の実施の形態において、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでもよい。
また、上記の実施の形態は、本発明を走査露光方式の投影露光装置に適用したものであるが、本発明はステップ・アンド・リピート方式(一括露光方式)の投影露光装置(ステッパー)、及び投影系を用いないプロキシミティ方式等の露光装置にも適用することができる。また、露光光(露光ビーム)は上記の紫外光に限られるものではなく、例えばレーザプラズマ光源又はSOR(Synchrotron Orbital Radiation)リングから発生する軟X線領域(波長5〜50nm)のEUV光を用いてもよい。EUV露光装置では、照明光学系及び投影光学系はそれぞれ複数の反射光学素子のみから構成される。そのため、上記の濃度フィルタ板51等も反射部材より構成してもよい。
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を使用した半導体デバイスの製造工程の一例につき図9を参照して説明する。
図9は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図9において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、次のステップS12において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクルR1をロードし、走査露光方式でレチクルR1のパターン(符号Aで表す)をウエハW上の全部のショット領域SEに転写(露光)する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。
次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、その後ステップS18において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクルR2をロードし、走査露光方式でレチクルR2のパターン(符号Bで表す)をウエハW上の各ショット領域SEに転写(露光)する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。
以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
なお、露光装置の用途としては半導体素子製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン、薄膜磁気ヘッド、又はDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
また、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をすると共に、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施の形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2001年9月7日付け提出の日本国特願2001−272769の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、照度分布の変化量の計測結果又は予測結果に基づいて、平板状の透過率分布を制御しているため、光学系の短期的な透過率の変動が生じても、露光後の露光量分布の均一性を向上できる利点がある。
また、平板状の透過率分布を制御することによって、露光ビームのコヒーレンスファクタの均一性を殆ど悪化させることなく、露光量分布の均一性を向上できる利点がある。
また、1枚の回転可能な1次元の透過率分布を持つフィルタ部材を使用することによって、簡単な構成で走査露光後に中心対称むら補正することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態の投影露光装置を示す一部を切り欠いた構成図である。図2は、図1の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と照明領域35との関係を示す斜視図である。図3において、(a)は露光領域と照度むらセンサ42とを示す平面図、(b)は照度むらセンサ42から得られる検出信号の一例を示す図である。図4は、その第1の実施の形態の濃度フィルタ板51の回転角を3種類に変えた状態を示す図である。図5は、濃度フィルタ板51及びこれと同等のフィルタ板を示す図である。図6は、第1の実施の形態の露光シーケンスの一例を示すフローチャートである。図7は、本発明の第2の実施の形態の投影露光装置の第2フライアイレンズ9から固定ブラインド14Aまでの光学系と照明領域35との関係を示す斜視図である。図8において、(a)は第2の実施の形態の第1の濃度フィルタ板51Aを示す図、(b)はその濃度フィルタ板51Aの透過率分布を示す図、(c)は第2の実施の形態の第2の濃度フィルタ板51Bを示す図、(d)はその濃度フィルタ板51Bの透過率分布を示す図、(e)は最終的な透過率分布を示す図である。図9は、本発明の実施の形態の投影露光装置を用いた半導体デバイスの製造工程の一例を示す図である。
Claims (22)
- 露光ビームで第1物体を照明し、前記第1物体のパターン及び投影系を介して第2物体を露光する露光方法において、
前記第2物体までの前記露光ビームの光路上で、前記投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材を回転自在に配置しておき、
前記第2物体の配置面上で前記投影系を介した前記露光ビームの照度分布を計測し、
該計測結果に基づいて、前記第2物体上での前記露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、前記フィルタ部材の回転角を制御することを特徴とする露光方法。 - 前記第2物体は順次露光される複数枚の基板であり、
前記露光ビームの照度分布の計測、及びこの計測結果に基づく前記フィルタ部材の回転角の制御を前記基板の交換毎に行い、
前記基板の露光中に、前記投影系を通過する前記露光ビームのエネルギー情報に基づいて前記第2物体上での前記投影系を介した前記露光ビームの照度分布の変化量を予測し、
該予測結果に基づいて、前記第2物体上での前記露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、前記フィルタ部材の回転角をさらに制御することを特徴とする請求の範囲1に記載の露光方法。 - 前記複数枚の基板の露光面はそれぞれ前記第1物体のパターン像が転写される複数個の区画領域に分割されており、
前記露光ビームの照度分布の変化量の予測、及びこれに基づく前記フィルタ部材の回転角の制御は、前記基板の各区画領域への露光前に行われることを特徴とする請求の範囲2に記載の露光方法。 - 露光ビームで第1物体を照明し、前記第1物体のパターン及び投影系を介して第2物体を露光する露光方法において、
前記第2物体までの前記露光ビームの光路上で、前記投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材を回転自在に配置しておき、
前記投影系を通過する前記露光ビームのエネルギー情報に基づいて前記第2物体上での前記投影系を介した前記露光ビームの照度分布の変化量を予測し、
該予測結果に基づいて、前記第2物体上での前記露光ビームの照度分布の均一性を高めるために、前記フィルタ部材の回転角を制御することを特徴とする露光方法。 - 前記露光ビームの照度分布の変化は、前記投影光学系を構成する複数の光学素子に前記露光ビームが照射されることによって生じる光学特性の変化に起因することを特徴とする請求の範囲4に記載の露光方法。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量は、前記光学特性の変化に起因する中心対称のムラ成分の変化量を含むことを特徴とする請求の範囲5に記載の露光方法。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量は、前記第2物体上の複数個の区画領域に対してそれぞれ予測されることを特徴とする請求の範囲4、5、又は6に記載の露光方法。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量は、前記第2物体上の複数個の区画領域のうち、一つの区画領域への露光を行う条件で、予め照度分布計測センサで計測した結果に基づいて、予測されることを特徴とする請求の範囲4、5、又は6に記載の露光方法。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量は、経時的に変化する前記投影光学系の透過率の変動量に基づいて、予測されることを特徴とする請求の範囲4、5、又は6に記載の露光方法。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量の予測は、前記投影光学系による前記第2物体上の露光領域の中央の透過率の変動量の予測と、該露光領域の端部での変動量の予測とを含むことを特徴とする請求の範囲9に記載の露光方法。
- 前記第2物体を露光する際に、前記第1物体及び第2物体を前記投影系に対して同期して移動するとともに、
前記フィルタ部材は、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の濃度分布を持つ1枚のフィルタ部材よりなることを特徴とする請求の範囲1〜10の何れか一項に記載の露光方法。 - 前記フィルタ部材は、それぞれ光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ2枚のフィルタ部材よりなり、
該2枚のフィルタ部材が、光軸の回りに互いに逆方向に回転されることを特徴とする請求の範囲1〜10の何れか一項に記載の露光方法。 - 請求の範囲1〜12の何れか一項に記載の露光方法を用いるデバイス製造方法。
- 露光ビームで第1物体を照明し、前記第1物体のパターン及び投影系を介して第2物体を露光する露光装置において、
前記第2物体までの前記露光ビームの光路上で、前記投影系の像面と共役な面、又はこの近傍の面上に配置された所定の透過率分布を持つ1枚又は複数枚のフィルタ部材と、
該フィルタ部材を回転駆動する駆動系と、
前記第2物体の配置面上で前記投影系を介した前記露光ビームの照度分布を計測する照度計測系と、
該照度計測装置の計測結果に基づいて前記駆動系を介して前記フィルタ部材の回転角を制御する制御系とを有することを特徴とする露光装置。 - 前記投影系を通過する前記露光ビームのエネルギーを直接的又は間接的に計測するエネルギーモニタを備え、
前記制御系は、前記照度計測系の計測結果及び前記エネルギーモニタの計測結果を用いて前記投影系を介した前記露光ビームの照度分布の変化量を予測し、該予測結果に基づいて前記駆動系を介して前記フィルタ部材の回転角を制御することを特徴とする請求の範囲14に記載の露光装置。 - 前記第2物体を露光する際に、前記第1物体及び第2物体をそれぞれ前記投影系に対して同期して移動する第1ステージ系及び第2ステージ系を備え、
前記フィルタ部材は、光軸を通る直線に関して線対称の1次元の透過率分布を持つ1枚のフィルタ部材よりなることを特徴とする請求の範囲14又は15に記載の露光装置。 - 前記第1ステージ系の前記第1物体の載置面の近傍に前記露光ビームを通過させるための開口部が形成されたことを特徴とする請求の範囲16に記載の露光装置。
- 前記露光ビームの照度分布の変化は、前記投影光学系を構成する複数の光学素子に前記露光ビームが照射されることによって生じる光学特性の変化に起因することを特徴とする請求の範囲15に記載の露光装置。
- 前記露光ビームの照度分布の変化量は、前記光学特性の変化に起因する中心対称のムラ成分の変化量を含むことを特徴とする請求の範囲18に記載の露光装置。
- 前記制御系は、経時的に変化する前記投影光学系の透過率の変動量に基づいて、前記露光ビームの照度分布の変化量を予測し、該予測結果に基づいて前記駆動系を介して前記フィルタ部材の回転角を制御することを特徴とする請求の範囲15に記載の露光装置。
- 前記制御系は、前記投影光学系による前記第2物体上の露光領域の中央の透過率の変動量と、該露光領域の端部での変動量とをそれぞれ予測することを特徴とする請求の範囲20に記載の露光装置。
- 請求の範囲14〜21の何れか一項に記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
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