JPWO2003020476A1 - 二足移動ロボットの遠隔操作装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、二足移動ロボットの遠隔操作装置に関する。
背景技術
近年、本願出願人等により実用化が図られている二足移動ロボットは、人間と同様に2本の脚体を交互に離床・着床させる動作により移動するものである。尚、本明細書では、二足移動ロボットの「移動」は、ある場所から別の場所への移動を含むことはもちろんのこと、ほぼ同じ場所で旋回して、ロボットの向きを変えるような動作も含まれる。そして、この旋回動作ではロボットの移動方向は、時計回り方向、反時計回り方向というような旋回方向を意味する。また、二足移動ロボットの「停止状態」は、ロボットの移動を行っていない状態であり、両脚体を停止させた状態はもちろんのこと、ロボットが同じ場所で向きを変えずに足踏みしているような状態も含まれる。
本願出願人は、この種の二足移動ロボットをジョイスティック等の操作子を有するリモートコントローラにより操縦して移動させるシステムの構築を試みている。この場合、例えば、リモートコントローラの操作子の操作方向と操作量とに応じてロボットの移動方向と歩幅をリアルタイムで決定し、それらの決定した移動方向及び歩幅でロボットの脚体を作動させることが考えられる。
しかしながら、このような遠隔操作装置では、ロボットを所望の位置まで移動させようとした場合には、現在位置からその所望の位置までの移動量に対応する操作量で操作子を操作しなければならないが、その操作量を微妙に調整することが難しい。このため、例えば、ある場所から別の場所へ比較的微小量(1歩で移動できるような移動量)だけ移動させて停止させるような操作子の操作を行うことが難しい。また、最終的に到達させたい場所が判っていても、その場所に向かってロボットを移動させながら操作子の操作量を正確に調整することは難しく、その結果、所望の場所に確実に到達させることが困難となる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、二足移動ロボットの所望の位置への移動を比較的簡単な操作で確実に行うことができる遠隔操作装置を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明の二足移動ロボットの遠隔操作装置は、2本の脚体を交互に離床・着床させる動作により移動する二足移動ロボットの遠隔操作装置であり、前記の目的を達成するために、三つの基本的態様がある。その第1の態様は、二足移動ロボットの移動方向を指示する操作子と、該二足移動ロボットの停止状態において前記操作子が非操作状態から二足移動ロボットの所望の移動方向に対応する操作状態に操作された回数を所定の操作終了条件が成立するまで計数し、その計数した回数に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
かかる本発明の第1の態様によれば、二足移動ロボットの操縦者が、該ロボットを所望の移動方向に所望の移動量だけ移動させようとする場合には、該操縦者は、所望の移動量に対応する回数だけ前記操作子を所望の移動方向に対応する操作状態に操作する。このとき、移動量設定手段は、操作子の上記の操作の終了を判断するための所定の操作終了条件が成立するまで、所望の移動方向に対応する操作状態への操作子の操作回数を計数し、その計数した回数に応じて前記所望の移動方向への二足移動移動ロボットの移動量を設定する。そして、その設定された移動量での所望の移動方向への二足移動ロボットの移動が前記移動制御手段の制御により行われる。
このように本発明の第1の態様では、所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を、二足移動ロボットが停止した状態での前記操作子の操作回数によって設定することができるため、その設定を容易に行うことができる。従って、ロボットを所望の方向で所望の位置に移動させる操作を容易且つ確実に行うことができ、ロボットの所望の位置への移動を簡単な操作で確実に行うことができる。尚、前記操作終了条件としては、例えば、遠隔操作装置にあらかじめ備えた確定スイッチが操作されたか否か、あるいは、前記操作子があらかじめ定めた一定時間以上、非操作状態に維持されたか否か等の条件が挙げられる。
かかる本発明の第1の態様では、前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向が複数種類(例えばロボットの前後方向、左右方向、旋回方向等)ある場合には、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎にその移動方向に対応する操作状態に操作された回数を計数すると共に、各種類の移動方向毎にその計数した回数に応じて二足移動ロボットの移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめる。
これによれば、二足移動ロボットが移動可能な任意の方向の所望の位置に該ロボットを移動させたい場合には、操縦者が、前記操作子により指示可能な各種類の移動方向毎にロボットの所要の移動量を前記操作子の操作回数により設定することで、前記移動制御手段により、その各種類の移動方向毎の移動量が合成されて、二足移動ロボットが上記の所望の位置に移動する。このため、二足移動ロボットの任意の方向の所望の位置への移動を行うための操作を容易に行うことができる。
次に、本発明の第2の態様は、前記二足移動ロボットの移動方向を指示する操作子と、該二足移動ロボットの停止状態において前記操作子が非操作状態から二足移動ロボットの所望の移動方向に対応する操作状態に継続的に保持された時間を所定の操作終了条件が成立するまで計時し、その計時時間に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
かかる本発明の第2の態様によれば、二足移動ロボットの操縦者が、該ロボットを所望の移動方向に所望の移動量だけ移動させようとする場合には、該操縦者は、所望の移動量に対応する時間だけ前記操作子を所望の移動方向に対応する操作状態に継続的に操作する。このとき、移動量設定手段は、操作子の上記の操作の終了を判断するための所定の操作終了条件が成立するまで、所望の移動方向に対応する操作状態への操作子の継続的な操作時間を計時し、その計時した時間に応じて前記所望の移動方向への二足移動移動ロボットの移動量を設定する。そして、その設定された移動量での所望の移動方向への二足移動ロボットの移動が前記移動制御手段の制御により行われる。
このように本発明の第2の態様では、所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を、二足移動ロボットが停止した状態での前記操作子の継続的な操作時間によって設定することができるため、前記第1の態様の場合と同様、該ロボットを所望の方向で所望の位置に移動させる操作を容易且つ確実に行うことができ、ロボットの所望の位置への移動を簡単な操作で確実に行うことができる。尚、前記操作終了条件としては、例えば、前記第1の態様と同様の条件が挙げられる。
かかる本発明の第2の態様では、前記移動量設定手段は、前記操作子の操作の開始後、前記操作終了条件が成立するまでに、前記操作子の所望の移動方向に対応する操作状態への操作が複数回行われたときには、該操作子が該操作状態に継続的に保持された時間を累積して計時し、前記操作終了条件が成立した時までの計時時間に応じて前記移動量を設定することが好ましい。
これによれば、操作子の操作を間欠的に行うことで、所望の移動方向への移動量を少しづつ変化させながら設定することができる。このため、操作子の操作による所望の移動量の設定をより容易に行うことができる。
さらに、本発明の第2の態様では、前記操作子の操作中に前記計時時間に対応する移動量が該計時時間の増加に伴い所定の移動量づつ変化する毎に報知を行う報知手段を備えることが好適である。これによれば、操縦者は、操作子の操作を継続している時間とロボットの移動量の設定値との対応関係を前記の報知により把握し易くなるため、操作子の操作による所望の移動量の設定が容易になる。
また、本発明の第2の態様では、前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向は複数種類あり、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎にその移動方向に対応する操作状態に継続的に保持された時間を計時すると共に、その各種類の移動方向毎の計時時間に応じて二足移動ロボットの移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめる。
これによれば、各種類の移動方向毎の操作子の操作時間により各種類の移動方向毎に設定される移動量が前記移動制御手段により合成され、二足移動ロボットがその合成により得られる所望の位置に移動するため、前記第1の態様の場合と同様、二足移動ロボットの任意の方向の所望の位置への移動を行うための操作を容易に行うことができる。
次に、本発明の第3の態様は、前記二足移動ロボットの移動方向を指示する操作状態と非操作状態とを有する第1の操作子と、該二足移動ロボットの所望の移動量に応じた操作量に可変的に操作可能で且つ任意の操作量状態に保持可能な第2の操作子と、前記二足移動ロボットの停止状態において該第2の操作子が所望の操作量に操作された状態で前記第1の操作子が所望の移動方向に対応する操作状態に操作されたとき、前記第2操作子の操作量に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
かかる本発明の第3の態様によれば、二足移動ロボットの操縦者が、該ロボットを所望の移動方向に所望の移動量だけ移動させようとする場合には、該操縦者は、前記第2の操作子を所望の移動量に対応する操作量だけ操作して、その操作量に保持する。そして、操縦者はこの状態で、前記第1の操作子を所望の移動方向に対応する操作状態に操作する。このとき、移動量設定手段は、先に操作された第2の操作子の操作量に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する。そして、その設定された移動量での所望の移動方向への二足移動ロボットの移動が前記移動制御手段の制御により行われる。
このように本発明の第3の態様では、所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量が、二足移動ロボットが停止した状態での前記第2の操作子の操作量によって設定され、しかもこの第2の操作子は任意の操作量状態に保持可能である。また、二足移動ロボットの移動方向は、第1の操作子の操作により指示される。このため、該ロボットを所望の方向で所望の位置に移動させる操作を容易且つ確実に行うことができ、ロボットの所望の位置への移動を第1及び第2の操作子の簡単な操作で確実に行うことができる。
かかる本発明の第3の態様では、前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向は複数種類あり、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎に前記第2操作子の操作量に応じて前記移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめる。
これによれば、前記第1の操作子により指示される各種類の移動方向毎に、第2の操作子の操作量により設定される移動量が前記移動制御手段により合成され、二足移動ロボットがその合成により得られる所望の位置に移動するため、前記第1の態様の場合と同様、二足移動ロボットの任意の方向の所望の位置への移動を行うための操作を容易に行うことができる。
以上説明した本発明の各態様では、前記移動制御手段による前記二足移動ロボットの移動開始前に前記移動量設定手段により設定された移動量に基づく該二足移動ロボットの現在位置からの移動位置を表す移動後位置情報を表示する表示手段を備えることが好適である。これによれば、操縦者は、二足移動ロボットの移動開始前に、前記移動後位置情報により該ロボットの移動後の位置を確認することができるため、操作子の操作による移動量の設定を必要に応じて修正したりすることが可能となる。
また、本発明の各態様では、前記移動量設定手段が設定する移動量は、前記二足移動ロボットの各脚体を一回づつ交互に離床・着床させることにより該二足移動ロボットが移動可能な移動量であり、前記移動制御手段は、前記二足移動ロボットの移動を行わしめるとき、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体の足平部を前記所望の移動方向に前記移動量だけ移動させた位置に着床させ、次いで、該他方の脚体の足平部を着床させた状態で前記一方の脚体の足平部を該他方の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、前記二足移動ロボットを移動せしめる。
これによれば、前記移動量設定手段が設定する移動量は、二足移動ロボットの各脚体を一回づつ交互に離床・着床させることにより移動可能な移動量であり、最初に離床・着床させる脚体(前記他方の脚体)の足平部が、支持脚側の脚体(前記一方の脚体)の足平部に対して前記所望の移動方向に前記移動量だけ移動し、その次の離床・着床動作(前記一方の脚体の離床・着床動作)によって、両脚体の両足平部が並列することとなる。これにより、比較的小さい移動量での二足移動ロボットの移動を確実に行うことができる。
上記のように移動量設定手段が設定する移動量を比較的小さいものとした本発明では、前記二足移動ロボットの移動後に該二足移動ロボットの開脚停止を行わしめる開脚停止モードを所定の操作により設定するための手段を備え、前記移動制御手段は、前記開脚停止モードが設定されているときには、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体を前記所望の移動方向に前記移動量だけ移動させた位置に着床させた後に、両脚体を停止させることが好ましい。
これによれば、二足移動ロボットの操縦者が所定の操作(スイッチ操作等)により前記開脚停止モードを設定したときには、一方の脚体の足平部のみの離床・着床が行われて、該一方の脚体の足平部が前記所望の移動方向に設定された移動量だけ移動して着床し、その状態で両脚体が停止することとなる。従って、必要に応じて二足移動ロボットの開脚停止(両足平部の間隔を広げた状態での停止)を行うことが可能となる。
また、本発明の各態様では、前記移動量設定手段が設定する移動量を、前記二足移動ロボットが複数歩の移動動作で移動可能な比較的大きな移動量としてもよい。この場合には、前記移動制御手段は、前記二足移動ロボットの移動を行わしめるとき、前記移動量設定手段により設定された前記所望の移動方向への移動量に応じて該二足移動ロボットの歩数を決定し、その決定した歩数分の二足移動ロボットの各脚体の離床・着床を行わしめると共に、最後の歩数目で離床・着床を行わせる脚体の足平部を支持脚側の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、該二足移動ロボットを移動せしめる。
これによれば、設定された所望の移動方向への移動量に応じて歩数を決定するので、一歩毎の二足移動ロボットの姿勢の安定性を確保し得るような適正な歩数を決定することが可能となる。そして、その決定した歩数分の各脚体の離床・着床を行わしめて二足移動ロボットを移動させ、特に最後の歩数目では、離床・着床を行わせる脚体(遊脚側の脚体)の足平部を支持脚側の脚体の足平部に並列させることにより、前記所望の移動方向への設定された移動量での二足移動ロボットの移動を該ロボットの安定した姿勢で確実に行うことが可能となる。
さらに、本発明の各態様では、上述のように、各脚体の1回づつの離床・着床動作による比較的小さな移動量で二足移動ロボットの移動させることと、複数歩の移動動作による比較的大きな移動量で二足移動ロボットを移動させることとを遠隔操作装置の操作によって選択的に行わせるようにすることも可能である。この場合には、前記二足移動ロボットの各脚体を一回づつ交互に離床・着床させることにより該二足移動ロボットが移動可能な移動量を前記移動量設定手段に設定させる第1移動モードと、前記二足移動ロボットが複数歩の移動動作で移動可能な移動量を前記移動量設定手段に設定させる第2移動モードとを所定の操作により選択するための手段(例えばモード選択スイッチ)を遠隔操作装置に備えておく。そして、移動制御手段は、前記第1移動モードが選択された状態で前記二足移動ロボットの移動を行わしめるときには(このとき移動量設定手段が設定する移動量が比較的小さいものとなる)、前記と同様に、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体の足平部を、前記第1移動モードに対応して前記移動量設定手段により設定された移動量だけ前記所望の移動方向に移動させた位置に着床させ、次いで、該他方の脚体の足平部を着床させた状態で前記一方の脚体の足平部を該他方の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、前記二足移動ロボットを移動せしめる。同様に、移動制御手段は、前記第2移動モードが選択された状態で二足移動ロボットの移動を行わしめるときには(このとき移動量設定手段が設定する移動量が比較的大きいものとなる)、前記第2移動モードに対応して前記移動量設定手段により設定された前記所望の移動方向への移動量に応じて該二足移動ロボットの歩数を決定し、その決定した歩数分の二足移動ロボットの各脚体の離床・着床を行わしめると共に、最後の歩数目で離床・着床を行わせる脚体の足平部を支持脚側の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、該二足移動ロボットを移動せしめる。
このようにすることにより、二足移動ロボットを比較的小さい移動量だけ所望の方向に移動させることと、比較的大きい移動量で所望の方向に移動させることとを、一つの遠隔操作装置を用いて選択的に行うことができ、遠隔操作操作装置によるロボットの移動の操作性を高めることができる。しかも、移動量設定手段による移動量の設定値のスケールを各移動モードに対応させて異なるものとすることで、各移動モード毎に操作子の操作形態を各別にする必要はなく、2種類の移動モードでのロボットの移動を容易に選択的に実行させることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第1実施形態を図1〜図12を参照して説明する。本実施形態は、本発明の第1の態様の一実施形態である。
図1を参照して、本実施形態における二足移動ロボットAは、上体1(胴体)、脚体2、腕体3及び頭部4を具備する人型のロボットである。尚、図1はロボットAの側面図であるため、脚体2及び腕体3は1個ずつしか記載されていないが、該脚体2及び腕体3は、それぞれ左右一対(2個)づつ備えられている。図1に示されている脚体2及び腕体3は、ロボットAの前方に向かって左側の脚体2及び腕体3である。このロボットAの上体1は、脚体2や腕体3が延設されると共に頭部4を支持するメインボディ5と、このメインボディ5に背負われるようにして該メインボディ5の背面部に装着された筐体状のサブボディ6とから構成されている。
メインボディ5の下端部には腰部7が形成されており、この腰部7に設けられた左右一対の股関節8からそれぞれ各脚体2が延設されている。各脚体2は、その足平部9と股関節8との間に、股関節8側から順番に膝関節10及び足首関節11を有している。この場合、股関節8は、上下、左右、及び前後方向の3軸回りの回転動作が可能とされ、膝関節10は、左右方向の1軸回りの回転動作が可能とされ、足首関節11は、前後及び左右方向の2軸回りの回転動作が可能とされている。これにより、各脚体2は、人の脚とほぼ同様の運動を行うことが可能とされている。
メインボディ5の上部の左右の各側部に肩関節13が設けられており、この肩関節13から各腕体3が延設されている。各腕体3は、そのハンド部14と肩関節14との間に、肩関節13側から順番に肘関節15及び手首関節16を有している。そして、肩関節13、肘関節15及び手首関節16は、それぞれ、3軸回り、1軸回り、1軸回りの回転動作が可能とされ、人の腕の運動に近い運動を各腕体3に行わせることが可能とされている。
尚、前記各脚体2及び及び各腕体3の各関節は、図示を省略する電動モータにより駆動されるようになっている。また、頭部4は、メインボディ5の上端部に支持され、その内部には、ロボットAの視覚用の撮像装置(図示省略)が内蔵されている。
前記メインボディ5には、ロボットAの動作用電源としての蓄電装置17が搭載されている。さらに、前記サブボディ6には、各脚体2や各腕体3の各関節を駆動する電動モータ(図示しない)のドライバ回路ユニット18や、ロボットAの動作制御(脚体2や腕体3の各関節の動作制御)を担うコントロールユニット19(以下、ECU19という)、該ECU19と後述する遠隔操作装置22との間で各種情報の授受を行うための通信装置20、前記蓄電装置17の出力電圧のレベルを上記ECU19の動作用の電圧等のレベルに変換するDC/DCコンバータ21等が収容されている。ここで、前記ECU19は、マイコン等を含む電子回路により構成されたもので、本発明における移動制御手段に相当するものである。また、本実施形態では、前記通信装置20は、無線による通信を行うものである。
尚、以下の説明において、左右の脚体2,2を区別するために、ロボットのAの前方に向かって右側の脚体2を右脚体2R、左側の脚体2を左脚体2Lと称することがある。
上述した二足移動ロボットAの脚体2による移動動作の遠隔操作を行うための本実施形態の遠隔操作装置22の主要構成が図2に示されている。同図示のように、この遠隔操作装置22は、オペレータ(ロボットAの操縦者)が所持して操作する操作器23と、この操作器23にケーブル24を介して接続された通信装置25とを具備している。ここで、通信装置25は、操作器23とロボットAのECU19との間での情報の授受をロボットAの通信装置20と協働して仲介するものであり、アンテナ25aを介して無線によりロボットAの通信装置20との通信を行う。
操作器23は、ロボットAの所望の移動方向及び移動量の指示操作を行うための複数(10個)の操作子26L(前),26L(後),26L(左),26L(右),26L(回),26R(前),26R(後),26R(左),26R(右),26R(回)を備えている(以下、これらの操作子を特に区別する必要が無いときは、総称的に操作子26と称することがある)。これらの操作子26のうち、操作子26L(前),26R(前)はロボットAを前方に移動させるための操作子、操作子26L(後),26R(後)はロボットAを後方に移動させるための操作子、操作子26L(左),26R(左)はロボットAを左方に移動させるための操作子、操作子26L(右),26R(右)はロボットAを右方に移動させるための操作子、操作子26L(回),26R(回)はロボットAを時計回り又は反時計回りに旋回させるための操作子である。
この場合、これらの操作子26のうち、操作子26L(回),26R(回)を除く操作子は、それぞれ押しボタンスイッチ型のものであり、押し操作された状態でのみON状態となり、押し操作されていない通常状態(非操作状態)ではOFF状態となっている。また、操作子26L(回),26R(回)は、それぞれ時計回り及び反時計回りの両方向で上下方向の軸心回りに回転可能なダイヤル式のものであり、通常状態(非操作状態)ではあらかじめ決められた中立回転位置に図示しないバネにより付勢されている。
また、操作子26のうち、操作子26L(前),26L(後),26L(左),26L(右),26L(回)は、特にロボットAを後述するように開脚停止させる際に左脚体2Lを動かすために用いる操作子であり、これらは、操作器23の前方に向かって左側の部分に設けられている。この場合、操作子26L(前),26L(後),26L(左),26L(右)は、それぞれ操作器23の左寄りの部分の表面部に、前後左右に十文字状に並んで配置され、操作子26L(回)は、操作器23の左寄り部分の前端面部に、該操作子26L(回)の外周面部の一部を露出させて設けられている(以下、操作子26L(前),26L(後),26L(左),26L(右),26L(回)を特に区別する必要が無いときは、それらを総称的に左操作子26Lと称することがある)。
また、上記左操作子26L以外の操作子26R(前),26R(後),26R(左),26R(右),26R(回)は、特にロボットAを後述するように開脚停止させる際に右脚体2Rを動かすために用いる操作子である。これらの操作子26R(前),26R(後),26R(左),26R(右),26R(回)は、操作器23の右側の部分に設けられ、前記左操作子26Lと同様に、該操作器23の右寄りの部分の表面部及び前端面部に配置されている(以下、操作子26R(前),26R(後),26R(左),26R(右),26R(回)を左操作子26Lの場合と同様、右操作子26Rと称することがある)。
尚、以下の説明では、左操作子26Lのそれぞれの操作子と、右操作子26Rのそれぞれの操作子とに関し、左右を区別する必要の無いときは、「R」、「L」の符号を省略し、操作子26(前),26(後),26(左),26(右),26(回)というように称することがある。
操作器23は、上述のように複数の操作子26を備える他、さらに、その表面部の中央部には、操作子26によるロボットAの移動方向及び移動量の後述の指示操作を確定するための確定スイッチ27と、その移動方向及び移動量の指示を解除するためキャンセルスイッチ28と、ロボットAを移動後に後述するように開脚状態で停止させるか否かを指示するための開脚停止ON/OFFスイッチ29と、操作子26の操作により決定されるロボットAの移動方向及び移動量によってロボットAが現在位置からどの移動位置に移動するかを表す移動後位置情報を表示する液晶表示器30と、各操作子26の操作中にそれぞれに対応するロボットAの各移動方向(本実施形態では前後方向、左右方向、旋回方向)で設定される移動量の変化を報知する報知手段としての複数のLEDランプ31とを備えている。さらに、操作器23の側面部には、操作器23の操作に応じたロボットAの移動モードを選択的に指定するための移動モード選択スイッチ32を備えている。この場合、本実施形態では、確定スイッチ27、キャンセルスイッチ28、及び開脚停止ON/OFFスイッチ29は、前記操作子26(前),26(後),26(左),26(右)と同様、押し操作によりON状態となる押しボタンスイッチ型のものであり、移動モード選択スイッチ32は、二つの操作位置を採り得る2位置切換スイッチである。また、前記複数のLEDランプ31は操作器23の左右方向に並列して設けられている。
ここで、本実施形態では、移動モード選択スイッチ32で選択可能な移動モードは、ロボットAの両脚体2,2の離床・着床動作を交互に一回づつ行うことで該ロボットAを移動させ得るような比較的小さい移動量だけ該ロボットAを移動させる小移動モードと、ロボットAの両脚体2の離床・着床動作を交互に複数回行う(ロボットAの移動動作を複数歩分行なう)必要があるような比較的大きい移動量で該ロボットAを移動させる大移動モードとがある。小移動モード及び大移動モードはそれぞれ本発明における第1移動モード、第2移動モードに相当するものである。
図3のブロック図を参照して、操作器23の内部には、前記各操作子26、確定スイッチ27、キャンセルスイッチ28、開脚停止ON/OFFスイッチ29及び移動モード選択スイッチ32のそれぞれの操作状態に応じた信号を生成する操作信号生成回路33と、その操作信号が入力される演算処理回路34と、LEDランプ31及び液晶表示器30をそれぞれ駆動する駆動回路35,36と、演算処理回路34と前記通信装置25との信号データの授受を担う通信処理回路37とを備えている。尚、操作子に係わる括弧付きの参照符号(39)は、後述の第4実施形態の説明に係わる参照符号である。
この場合、操作信号生成回路33は、前記操作子26(回)以外の各操作子26、確定スイッチ27、キャンセルスイッチ28、及び開脚停止ON/OFFスイッチ29に関しては、それらがON状態であるか否かを示す信号を生成する。また、操作信号生成回路33は、各操作子26(回)に関しては、それが中立回転位置から時計回り方向に所定量以上回転操作されたときと、反時計回り方向に所定量以上回転操作されたときとにそれぞれ各別の信号を生成する。換言すれば、各操作子26(回)が時計回り方向、反時計回り方向のいずれに回転操作されているかを示す信号を生成する。
また、演算処理回路34は、CPU等を含む回路であり、操作信号生成回路33から入力される操作信号に応じて後述するようにロボットAの移動量を設定する処理、その設定データや開脚停止ON/OFFスイッチ29及び移動モード選択スイッチ32の操作状態のデータ等から構成される移動指示データを通信処理回路37を介して通信装置25に出力する処理、LEDランプ31及び液晶表示器30の表示を駆動回路35,36を介して後述するように制御する処理等を実行するものである。尚、この演算処理回路34は、本発明における移動量設定手段に相当するものである。
次に本実施形態の装置の作動を説明する。まず、前記移動モード選択スイッチ32が小移動モードに操作され、且つ前記開脚停止ON/OFFスイッチ29がOFF状態になっている場合について説明する。また、ロボットAは、両脚体2,2の足平部9,9を左右方向に所定間隔で並列させた閉脚状態で停止している(移動していない)ものとする。この場合、両脚体2,2の足平部9,9を同じ場所で交互に離床・着床させ、足踏みさせていてもよい。
このような状態で、操作器23の前記演算処理回路34は、図4のフローチャートに示すような処理を実行する。
演算処理回路34は、まず、STEP1で各種変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCW,TP,TRの値を「0」に初期化する。ここで、変数NF,NB,NR,NLは、それぞれ操作子26(前)、操作子26(後)、操作子26(右)、操作子26(左)が押し操作された回数をカウントするための変数である。また、変数NCW,NCCWは、それぞれ操作子26(回)が時計回り方向に操作された回数、反時計回り方向に操作された回数をカウントするための変数である(以下、変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCWを操作回数変数という)。また、変数TPは、一つの操作子26が継続的に操作された時間(但し、各操作子26(回)については同じ回転方向に継続的に操作された時間)をカウントするための変数であり、変数TRは、操作子26のいずれもが操作されていない状態の継続時間をカウントするための変数である(以下、変数TP,TRを時間変数という)。
次いで、演算処理回路34は、操作信号生成回路33の出力に基づいて、いずれかの操作子26が操作されているか否かを判断する(STEP2)。そして、いずれかの操作子26が操作されている場合には、ロボットAの移動方向のどの方向に対応する操作子26の操作がなされているか否かが判断され(STEP3)、その判断された方向に対応する操作回数変数NF又はNB又はNR又はNL又はNCW又はNCCWの値が「1」だけ増加される(STEP4)。また、このSTEP4では前記各時間変数TP,TRの値が「0」に初期化される。尚、STEP4では、操作回数変数NFは、左右二つの操作子26L(前),26R(前)のいずれが操作されても、その値が増加され、このことは、操作回数変数NB,NR,NLについても同様である。さらに、操作回数変数NCWは、左右二つの操作子26L(回),26R(回)のいずれが時計回り方向に操作されても、その値が増加され、このことは操作回数変数NCCWについても同様である。
上記STEP4の処理に続いて、演算処理回路34は、操作子26の操作が解除されたか否かを判断し(STEP5)、操作子26の操作が継続している場合には、前記時間変数TPの現在値があらかじめ定めた上限時間MAXTPに達したか否かを判断する(STEP6)。このとき、TP≧MAXTPとなっている場合には、演算処理回路34は、ロボットAの移動を行わしめるための現在までの操作子26の操作がキャンセルされたものとして、前記STEP1の処理を実行し、操作回数変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCW及び時間変数TP,TRの値を「0」に初期化する。また、STEP6でTP<MAXTPである場合には、演算処理回路34は、時間変数TPの値をあらかじめ定めた所定の時間幅ΔTだけ増加させた後(STEP7)、その時間幅ΔTの時間、待機し(STEP8)、その後STEP5の判断処理に戻る。これらのSTEP5〜8のループ処理により、操作子26のいずれかが前記上限時間MAXTP以上、継続的に操作された場合には、ロボットAを移動させるための現在までの操作子26の操作がキャンセルされることとなる。
一方、前記STEP5の判断で、操作子26の継続的な操作時間が前記上限時間MAXTPに達する前に、該操作子26の操作が解除された場合には、演算処理回路34は、次に、前記キャンセルスイッチ28が操作されたか否かを判断する(STEP9)。そして、キャンセルスイッチ28が操作された場合には、演算処理回路34は、前記STEP6の判断結果がYESの場合と同様、前記STEP1の初期化処理を実行する。また、STEP9でキャンセルスイッチ28が操作されていない場合には、演算処理回路34は、さらに、前記確定スイッチ27が操作されたか否かを判断する(STEP10)。このとき、演算処理装置34は、確定スイッチ27が操作されたことを確認した場合には、ロボットAの移動を行わしめるための操作子26の操作が終了したものとして後述のSTEP16の処理を実行し、確定スイッチ27が操作されていない場合には、さらに前記時間変数TRの現在値があらかじめ定めた上限時間MAXTRに達したか否かを判断する(STEP11)。このとき、TR<MAXTRである場合には、演算処理回路34は、時間変数TRの値を所定の時間幅ΔTだけ増加させた後(STEP12)、その時間幅ΔTの時間、待機し(STEP13)、その後、前記STEP2の判断処理(操作子26が操作されているか否かの判断処理)を実行する。
そして、演算処理回路34は、STEP2の判断で、操作子26のいずれもが操作されていない場合には、ロボットAの前後方向の移動に係わる操作回数変数NF,NBの値の偏差X=NF−NB(以下、前後回数変数Xという)と、ロボットAの左右方向の移動に係わる操作回数変数NR,NLの値の偏差Y=NR−NL(以下、左右回数変数Yという)と、ロボットAの旋回移動に係わる操作回数変数NCW,NCCWの値の偏差THZ=NCW−NCCW(以下、旋回回数変数THZという)とを算出する(STEP14)。さらに演算処理回路34は、これらの前後回数変数X、左右回数変数Y及び旋回回数変数THZのいずれもが「0」であるか否かを判断し(STEP15)、X=Y=THZ=0である場合には、前記STEP2の判断処理を実行する。また、X,Y,THZのいずれかが「0」で無い場合には、前記STEP9の判断処理(キャンセルスイッチ28の操作の有無の判断)が実行される。
そして、STEP11の判断でTR≧MAXTRとなった場合、すなわち、操作子26の操作を最後に行ってからの経過時間が、キャンセルスイッチ28、確定スイッチ27、及び操作子26の操作が行われることなく前記上限時間MAXTRに達した場合(但しX=Y=THZ=0となっている場合を除く)には、前記STEP10で前記確定スイッチ27の操作が確認された場合と同様、ロボットAを移動させるための操作子26の操作が終了したものとして、以下に説明するSTEP16の処理を実行する。
このSTEP16では、演算処理回路34は、前記前後回数変数X、左右回数変数Y、及び旋回回数変数THZの値から、それらの各変数毎にあらかじめ定められたデータテーブルに基づいてロボットのAの前後方向の移動量、左右方向の移動量、及び旋回方向の移動量(回転量)をそれぞれ設定する。ここで、上記データテーブルは、前記移動モード選択スイッチ32により選択されるロボットAの移動モードの種類(前記小移動モード又は大移動モード)毎に各別に備えられており、小移動モードが選択されている状態では、この小移動モード用のデータテーブルがSTEP16で用いられる。
この場合、小移動モード用のデータテーブルにより設定されるロボットAの各方向の移動量は、ロボットAの両脚体2,2の離床・着床動作を交互に一回づつ行うことで該ロボットAを移動させ得るような比較的小さい移動量(例えばセンチメートルのオーダ)である。そして、本実施形態では、ロボットAの各方向の移動量は、それぞれに対応する回数変数X,Y,THZの値に比例した値に設定される。ここで、前後回数変数X(=NF−NB)に値に応じて設定される前後方向の移動量は、X>0であるとき、前方への移動量であり、X<0であるとき後方への移動量である。また、左右回数変数Y(=NR−NL)の値に応じて設定される左右方向の移動量は、Y>0であるとき、右方への移動量であり、Y<0であるとき、左方への移動量である。また、旋回回数変数THZ(=NCW−NCCW)の値に応じて設定される旋回方向の移動量は、THZ>0であるとき、時計回り方向の回転量であり、THZ<0であるとき、反時計回り方向の回転量である。尚、回数変数X,Y,THZのいずれかの値が「0」であるときには、その「0」の回数変数に対応する方向の移動量も「0」である。
このようにして、ロボットAの前後、左右、旋回方向の各方向の移動量をそれぞれの方向に対応する回数変数X,Y,THZの値に応じて設定することにより、各方向の移動量は、それぞれの方向に対応する操作子26の操作回数に応じて設定されることとなる。
尚、本実施形態では、ロボットAの各方向の移動量を、対応する回数変数X,Y,THZの値に比例させて設定するようにしたが、基本的には、回数変数X,Y,THZの値の絶対値が大きい程、対応する方向の移動量が大きくなるように設定すればよい。そして、例えば回数変数X,Y,THZの値の絶対値の大きさによって、移動量の増加の度合いを変化させるようにしてもよい。
上述のようにして前後、左右、旋回方向の各方向の移動量を設定した後、演算処理回路34は、その各方向毎の移動量の設定データと開脚停止 ON/OFFスイッチ29及び移動モード選択スイッチ32のそれぞれの操作状態のデータとを含む移動指示データを前記通信処理回路37を介して前記通信装置25に出力する(STEP17)。尚、本実施形態では、演算処理回路34は、前記STEP2で最初に操作された操作子26が左操作子26Lのものであるか右操作子26Rのものであるかを示すデータ(以下、左右操作判別データという)を記憶保持し、その左右操作判別データを上記移動指示データと共に出力するようにしている。また、演算処理回路34の処理は、上記移動指示データ等の出力を完了した時点で、あるいは、該移動指示データ等に基づくロボットAの後述する実際の移動が完了した後に、図4の「START」に戻る。
また、図4のフローチャートでは記載を省略しているが、操作器23の演算処理回路34は、一つの操作子26が操作される毎に、その操作によって更新された前記操作回数変数NF又はNB又はNR又はNL又はNCW又はNCCWの値に応じて前記LEDランプ31を一時的に点灯させる。この場合、例えば、各操作回数変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCWの値が大きくなる程、LEDランプ31の点灯個数が該LEDランプ31の配列の一端側から他端側に向かって増えていくようにLEDランプ31が点灯される。これにより、オペレータは、ロボットAの所望の移動方向に対応する操作子26の操作回数、ひいては、該移動方向に対する移動量の設定値を概略的に認識することができる。尚、操作子26が操作される毎に、各操作回数変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCWの値を液晶表示器30等に表示するようにしてもよい。
さらに、演算処理回路34は、操作子26の操作によって操作回数変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCWの値が更新される都度、それらの操作回数変数NF,NB,NR,NL,NCW,NCCWの値により定まる前記前後回数変数X、左右回数変数Y及び旋回回数変数THZから、前記STEP16で用いるデータテーブルにより前後方向、左右方向、及び旋回方向の各方向におけるロボットAの移動量を求める。そして、演算処理回路34は、その求めた各方向における移動量に基づいて、次のような表示を前記液晶表示器30に行わしめる。
すなわち、図5を参照して、演算処理回路34は、例えばロボットAの現在位置を原点とする前後及び左右の二軸の座標の画像G1や、ロボットAの現在の足平部9,9の位置を表す画像G2、現在の前後回数変数X、左右回数変数Y及び旋回回数変数THZの値により定まるロボットAの移動後の足平部9,9の位置及び向きを表す画像G3、現在の前後回数変数X、左右回数変数Y及び旋回回数変数THZの値に対応する各方向の移動量の値を表す数値データの画像G4等を液晶表示器30に表示させる。
このような液晶表示器30の表示によって、オペレータは、自身が行った操作子26の操作によるロボットAの移動後の位置(向きを含む)を、逐次視覚的に確認することができることとなる。
一方、前述したような操作器23の演算処理回路34の処理によって該演算処理回路34から通信処理回路37を介して通信装置25に出力される前記移動指示データ及び左右操作判別データは、該通信装置25からロボットAの通信装置20を介して該ロボットAのECU19に与えられる。
このときECU19は、与えられた移動指示データ及び左右操作判別データに基づいて、ロボットAの脚体2,2の動作形態(足運びの形態)を規定する目標歩容を生成し、その目標歩容に基づいてロボットAの脚体2,2を動作させて該ロボットAの移動を制御する。この場合、前記開脚ON/OFFスイッチ29はOFF状態で、且つ移動モード選択スイッチ32により選択されている移動モードは小移動モードであるので、ECU19が生成する目標歩容は、両脚体2,2の離床・着床動作を一回づつ順番に行わせるような目標歩容である。
ここで、小移動モードにおける目標歩容の生成に際しては、ECU19は、基本的には、移動に際して最初に離床させる脚体2を前記左右操作判別データに基づいて決定する。すなわち、ECU19は、与えられた左右操作判別データによって、最初に操作された操作子26が右操作子26Rであることが把握されるときには、右脚体2Rを移動に際して最初に離床させる脚体2として決定し、最初に操作された操作子26が左操作子26Lであることが把握されるときには、左脚体2Lを最初に離床させる脚体2として決定する。但し、与えられた移動指示データに含まれる移動量の設定データが、左右方向及び旋回方向への移動の指示を含むものである場合には、ECU19は移動に際してのロボットAのバランス(安定性)の確保のし易さ、両足平部9,9の相互の干渉の回避等を考慮し、両脚体2,2のうち、指示された左右方向の移動の向き、あるいは旋回方向の回転の向きと同じ側に存する脚体2を最初に離床させる脚体2として決定する。すなわち、移動量の設定データが右向き、あるいは時計回りの向きの移動量を含む場合には、右脚体2Rが最初に離床させる脚体2とされ、移動量の設定データが左向き、あるいは反時計回りの向きの移動量を含む場合には、左脚体2Lが最初に離床させる脚体2とされる。尚、本実施形態では、ロボットAの前後方向での移動に関し、最初に操作された操作子26が右操作子26R、左操作子26Lのいずれであるかに応じて最初に離床させる脚体2を決定するようにしたが、例えば最後に操作された操作子26が右操作子26R、左操作子26Lのいずれであるかに応じて最初に離床させる脚体2を決定するようにしてもよい。
小移動モードにおける目標歩容の生成に際しては、ECU19は、最初に離床させる脚体2(遊脚側の脚体2)の足平部9の、支持脚側の脚体2の足平部9に対する相対的な着床位置(向きを含む)を、ロボットAの前後方向、左右方向、旋回方向の各方向毎の移動量の設定値に応じて決定する。より詳しくは、ロボットAの移動に際して最初に離床させる遊脚側の脚体2の足平部9の着床位置は、ロボットAの停止状態で該遊脚側の脚体2の足平部9を支持脚側の脚体2の足平部9の側方に所定間隔を存して並列させた状態から、前後方向、左右方向、旋回方向の各方向毎の移動量の設定値だけ、各方向に移動させた位置として決定される。さらに、ECU19は、2番目に離床させる脚体2の足平部9の着床位置は、支持脚側の脚体2の足平部9の側方に上記の所定間隔を存して並列する位置として決定する。
上述のような目標歩容に基づくロボットAの移動制御によって、操作器23の操作子26の操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。この場合のロボットAの移動の形態を図6(a)〜(d)及び図7(a),(b)に例示する。これらの各図は、小移動モードで同図に併記したように操作子26を操作した場合におけるロボットAの移動に際しての両脚体2,2の足平部9,9の初期状態から2歩目までの動きを模式的に各図の左側から順番に時系列的に表現したものである。いずれの場合も、ロボットAが移動していない初期状態では、両脚体2,2の足平部9,9は、所定の間隔で左右並列している。尚、この初期状態では、先にも述べたようにロボットAの脚体2,2の足踏み動作が行われていてもよい。
図6(a)は、操作子26のうちの右操作子26(前)のみを例えば3回操作した場合の例である。この場合、前記前後回数変数X=+3であり、ロボットAの移動量の設定値は、ロボットAの前方に向かって操作子26(前)の3回の操作に対応する移動量となる。そして、ロボットAの左右方向及び旋回方向の移動量の設定値は「0」である。このとき、操作子26の操作によるロボットAの移動量の設定に際して、右操作子26(前)が最初に操作されているので、1歩目では、右脚体2Rの足平部9が離床されて、前方への移動量の設定値だけ初期状態の位置から前方に向かって移動した位置に着床される。そして、2歩目では、左脚体2Lの足平部9が離床され、初期状態と同じ間隔で右脚体2Rの足平部9と並列する位置に着床される。これにより、操作子26(前)の操作に応じた方向(前方)に向かって、その操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。尚、例えば左操作子26(前)のみを3回操作した場合には、図6(a)の場合と両脚体2,2の離床・着床を行う順番のみが相違し、2歩目の着床後の両脚体2,2の足平部9,9の最終的な位置は、図6(a)の場合と同じである。
上記のようなロボットAの前後方向での移動は、例えば右操作子26(後)あるいは左操作子26(後)のいずれか一方のみを操作した場合にも同様に行われ、この一例が図6(b)に示されている。この場合、1歩目及び2歩目における各脚体2の足平部9の移動方向が後方になる点でのみ、操作子26(前)のみを操作した場合と相違する。尚、図6(b)の例では、左操作子26(後)のみが3回操作された場合の例であるため、1歩目では、左脚体2Lの離床・着床が行われる。
図6(c)は、右操作子26(右)あるいは左操作子26(右)のいずれかのみが例えば3回操作された場合の例である。この場合、ロボットAの移動量の設定値は、ロボットAの右方に向かって操作子26(右)の3回の操作に対応する移動量であり、前後方向及び旋回方向の移動量の設定値は「0」である。そして、この場合は、右操作子26(右)あるいは左操作子26(右)のいずれが操作されたかによらずに、1歩目では、ロボットAの移動の向き(ここでは右方)と同じ側の右脚体2Rが離床されて、右操作子26(右)あるいは左操作子26(右)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から右方に向かって移動した位置に着床される。そして、2歩目では、左脚体2Lの足平部9が離床された後、図6(a)の場合と同様に該足平部9が右脚体2Rの足平部9に対して初期状態と同じ状態になる位置に着床される。これにより、操作子26(右)の操作に応じた方向(右方)に向かって、その操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。また、このとき、1歩目で右脚体2Rを移動させることで、両足平部9,9の干渉を生じたりすることなく、ロボットAの安定した姿勢を保ちながら移動することができる。尚、右操作子26(左)あるいは左操作子26(左)のいずれかのみを操作した場合には、1歩目、2歩目で離床・着床を行う脚体2と、その脚体2の移動方向とが図6(c)の場合と逆になり、この点でのみ図6(c)の場合と相違する。
図6(d)は、右操作子26(回)あるいは左操作子26(回)のいずれかのみが例えば時計回りの向きに2回操作された場合の例である。この場合、ロボットAの移動量の設定値は、ロボットAの旋回方向で時計回りの向きに操作子26(回)の2回の操作に対応する移動量(回転量)であり、前後方向及び左右方向の移動量の設定値は「0」である。そして、この場合は、ロボットAの左右方向の移動の場合と同様、右操作子26(回)あるいは左操作子26(回)のいずれが操作されたかによらずに、1歩目では、ロボットAの旋回後の向き(ここでは右方)と同じ側の右脚体2Rが離床されて、右操作子26(回)あるいは左操作子26(回)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から時計回り方向に回転した位置に着床される。そして、2歩目では、左脚体2Lの足平部9が離床された後、該足平部9が右脚体2Rの足平部9に対して初期状態と同じ状態になる位置に着床される。これにより、操作子26(回)の操作に応じた方向(時計回り方向)に、その操作により設定された移動量(回転量)でのロボットAの旋回が行われることとなる。また、このとき、1歩目で右脚体2Rを移動させることで、ロボットAの安定した姿勢を保ちながら移動することができる。尚、右操作子26(回)あるいは左操作子26(回)のいずれかのみが反時計回り方向に操作された場合には、1歩目、2歩目で離床・着床を行う脚体2と、その脚体2の足平部9の回転方向とが図6(d)の場合と逆になり、この点でのみ図6(d)の場合と相違する。
前述した図6(a)〜(d)の例では、前後方向、左右方向、旋回方向のいずれか一つの方向にのみ、ロボットAを移動させる場合について説明したが、本実施形態では、それらの各方向の移動を合成(ベクトル的な合成)させたようなロボットAの移動も行うことができる。この例を示すのが図7(a),(b)であり、図7(a)は例えば右操作子26(前)あるいは左操作子26(前)を3回操作すると共に、右操作子26(右)あるいは左操作子26(右)を3回操作した場合の例である。この場合、ロボットAの移動量の設定値は、前後方向の移動量と左右方向の移動量とがあり、前後方向の移動量の設定値は、ロボットAの前方に向かって操作子26(前)の3回の操作に対応する移動量、左右方向の移動量の設定値は、ロボットAの右方に向かって操作子26(右)の3回の操作に対応する移動量である。そして、この場合は、ロボットAの右方への移動量の設定値(≠0)が含まれるため、1歩目では、右脚体2Rが離床されて、操作子26(前)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から前方に向かって移動し、且つ操作子26(右)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から右方に向かって移動した位置に着床される。そして、2歩目では、左脚体2Lの足平部9が離床された後、該足平部9が右脚体2Rの足平部9に対して初期状態と同じ状態になる位置に着床される。これにより、操作子26(前)及び操作子(右)の操作によりそれぞれ前後方向、左右方向で設定された移動量により定まる方向(図7(a)では、右斜め前方)に向かって、それらの移動量を合成した移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。尚、7(a)の例では、操作子26(前)及び操作子26(右)の操作回数はそれぞれ3回であるので、ロボットAの前後方向の移動量及び左右方向の移動量はそれぞれ図6(a)、図6(c)の場合と同一である。従って、2歩目でのロボットAの最終的な移動位置は、図6(a),図6(c)の移動を順番に行った場合と同一になる。
上記のようなロボットAの移動は、例えば前後方向、左右方向、及び旋回方向の全ての方向について操作子26の操作により移動量を設定した場合にも同様に行われる。この例を示す図が図7(b)であり、この例では、右操作子26(前)あるいは左操作子26(前)が3回操作されると共に、右操作子26(右)あるいは左操作子26(右)が1回操作され、さらに右操作子26(回)あるいは左操作子26(回)が時計回り方向に2回操作されている。この場合は1歩目では、右脚体2Rが離床されて、操作子26(前)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から前方に向かって移動し、且つ操作子26(右)の操作による移動量の設定値だけ初期状態の位置から右方に向かって移動し、且つ操作子26(回)の操作による移動量(時計回り方向の回転量)の設定値だけ初期状態の位置から時計回り方向に旋回した位置に着床される。そして、2歩目では、左脚体2Lの足平部9が離床された後、該足平部9が右脚体2Rの足平部9に対して初期状態と同じ状態になる位置に着床される。これにより、操作子26(前)、操作子(右)、及び操作子26(回)の操作によりそれぞれ前後方向、左右方向、旋回方向で設定された移動量により定まる方向に向かって、それらの移動量を合成した移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。尚、7(b)の例では、操作子26(前)及び操作子26(回)の操作回数はそれぞれ3回、2回であるので、ロボットAの前後方向の移動量及び旋回方向の移動量(回転量)はそれぞれ図6(a)、図6(d)の場合と同一であるが、操作子26(右)の操作回数は、1回であるので、左右方向への移動量は、図6(c)の場合(操作回数=3回)よりも小さくなる。
以上説明したように、小移動モードでは(但し、開脚停止ON/OFFスイッチ28のOFF状態)、両脚体2,2の離床・着床が順番に1回づつ行われる。そして、このとき、1歩目で離床・着床させる脚体2の足平部9を前後方向、左右方向及び旋回方向で操作器23の操作子26の操作により設定された移動量だけ移動させ、2歩目で両脚体2を並列させることにより、ロボットAの所望の移動方向への所望の移動量での移動がなされることとなる。これにより、ロボットAの比較的小さい移動量での所望の位置への移動を確実に行うことができる。そしてこの場合、各方向への移動量の設定は操作子26の簡単な操作で行うことができる。尚、本実施形態では、前後方向での移動(図6(a),(b)のような移動)に際して、操作器23の最初に操作された操作子26が右操作子26Rであるか左操作子26Lであるかによって、1歩目に動かす脚体2を決定するようにしたが、小移動モード(但し、開脚停止ON/OFFスイッチ28のOFF状態)では、ロボットAの最終的な移動位置のみが問題となるので、基本的には、1歩目に動かす脚体2は、左右いずれの脚体2でもよい。この場合、例えば、各脚体2を所定のクロックに同期した所定のタイミングで離床・着床させるように定めておき、操作器23による移動量の設定が左脚体2Lの離床タイミングの直前になされた場合には、該左脚体2Lを1歩目で動かし、移動量の設定が右脚体2Rの離床タイミングの直前になされた場合には、該右脚体2Rを1歩目で動かすようにしてもよい。
次に、ロボットAの移動モードが小移動モードに設定された状態で操作器23の開脚停止ON/OFFスイッチ29がON状態に操作された場合の作動を説明する。この場合、操作器23における操作子26の操作に応じた前記演算処理回路34の処理は前述の通りであり、ロボットAのECU19による脚体2,2の動作制御のみが前述の小移動モードの基本的作動と若干相違する。
すなわち、ECU19は、ロボットAの両脚体2,2の足平部9,9を所定の間隔で並列させた状態(前記図6、図7に示した初期状態)から、一方の脚体2のみの離床・着床動作を1回だけ行わしめ、その離床・着床動作の終了後は、両脚体2,2の着床状態を維持する。この場合、離床・着床動作を行なう脚体2の足平部9の移動は、前述の小移動モードにおける1歩目と同様に、前後方向、左右方向、及び旋回方向の各方向で操作器23により設定された移動量に従って行われる。また、この場合、離床・着床動作を行う脚体2は、各方向での移動量の設定に際して最初に操作された操作子26が右操作子26である場合には、右脚体2Rとされ、左操作子26である場合には、左脚体2Lとされる。
このようなECU19による脚体2の動作制御により、オペレータが開脚停止ON/OFFスイッチ29をON状態に操作した状態で、例えば右操作子26(前)のみを3回操作してロボットAの移動量を設定すると、前記図6(a)の1歩目までの右脚体2Rの動作が行なわれ、この一歩目までの動作で脚体2,2の動作は終了する。これにより、ロボットAは、両脚体2,2の足平部9,9を前後に開いた形態での開脚停止状態となる。また、例えば右操作子26(右)のみを3回操作した場合には、図6(c)の1歩目までの右脚体2Rの動作が行なわれ、これによりロボットAは、両脚体2,2の足平部9,9を左右に広げた形態での開脚停止状態となる。また、例えば、右操作子26(前)を3回操作すると共に、右操作子26(右)を3回操作した場合には、図7(a)の1歩目までの右脚体2Rの動作が行なわれ、これによりロボットAは、右脚体2Rの足平部9を右斜め前に出した形態での開脚停止状態となる。
以上説明したようなロボットAの開脚停止の作動は、操作子26の他の形態の操作によっても同様に行われる。
次に、前記移動モード選択スイッチ32によりロボットAの移動モードが前記大移動モードに選択された場合の作動を説明する。大移動モードにおける操作器23の演算処理回路34の基本的処理内容は、前記小移動モードの場合と同一であり、図4のフローチャートに示した手順で実行される。但し、この場合には、図4のSTEP16でロボットAの前後方向、左右方向及び旋回方向の移動量を設定する際に参照するデータテーブルは、大移動モード用のデータテーブルである。ここで、大移動モードは、先にも述べたように、ロボットAの両脚体2の離床・着床動作を交互に複数回行う(ロボットAの移動動作を複数歩分行なう)必要があるような比較的大きい移動量で該ロボットAを移動させるモードである。このため、前記前後回数変数X、左右回数変数Y及び旋回回数変数THZのそれぞれの各値に対応する前後方向の移動量、左右方向の移動量、旋回方向の移動量は、小移動モードの場合よりも大きく、例えば数メートルのオーダである。そして、本実施形態では、小移動モードの場合と同様、各方向の移動量は、それぞれに対応する回数変数X,Y,THZの値に比例した値に設定される。但し、必ずしもこの比例関係を満たさずともよいことは小移動モードの場合と同様である。また、操作器23の前記液晶表示器30の表示に関しては、その表示内容自体は、小移動モードの場合と同様であるが、図5に示した足平部9,9の画像G2,G3のサイズや、画像G4の数値データの単位は、大移動モードでのロボットAの移動量のスケールに合わせたものとされる。
一方、ロボットAのECU19は、操作器23から前述のように与えられる移動指示データに基づいて、ロボットAの歩数を決定すると共に、その1歩毎のロボットAの脚体2,2の目標歩容を生成し、その目標歩容に基づいてロボットAの脚体2,2を動作させて該ロボットAの移動を制御する。
すなわち、ECU19は、移動指示データが表すロボットAの前後方向、左右方向、旋回方向の各方向の移動量の設定値から、あらかじめロボットAの移動時の安定性の確保等を考慮して定められたマップ等に基づき該移動量の設定値により定まる目的位置までの歩数を決定する。さらに、ECU19は、その決定した歩数と各方向の移動量の設定値とからロボットAの1歩毎の各方向への移動量を決定し、これに基づいて1歩毎の目標歩容を生成する。この場合、特に最後の歩数目では、前記小移動モードにおける2歩目と同様に、遊脚側の脚体2の足平部9を支持脚側の脚体2の足平部9に対して所定間隔で左右方向に並列させるように目標歩容が生成される。尚、1歩目に動かすべき脚体2は、基本的には左右いずれの脚体2でもよいが、操作器23で最初に操作された操作子26が左右いずれの操作子26であるか(これは前記左右操作判別データにより把握される)に応じて決定するようにしてもよい。あるいは、操作器23で最後に操作された操作子26が左右いずれの操作子26であるかに応じて1歩目に動かすべき脚体2を決定するようにしてもよい。
上述のように生成される目標歩容に基づくロボットAの移動制御によって、操作器23の操作子26の操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。この場合のロボットAの移動の形態を図8〜図12に例示する。これらの各図は、大移動モードで同図に併記したように操作子26を操作した場合におけるロボットAの移動に際しての両脚体2,2の足平部9,9の初期状態(足平部9,9が所定の間隔で左右に並列した状態)からの1歩毎の動きを模式的に順番に時系列的に表現したものである。
図8は、操作子26のうち、ロボットAの前方への移動に係わる操作子26(前)のみを例えば4回操作した場合の例である。この場合のロボットAの移動量の設定値は、ロボットAの前方に向かって操作子26(前)の4回の操作に対応する移動量であり、ロボットAの左右方向及び旋回方向の移動量の設定値は「0」である。このとき、ロボットAの移動に要する歩数は例えば5歩に設定され、4歩目までは、遊脚側の脚体2の足平部9は、支持脚側の脚体2の足平部9に対して前方への移動量の設定値に応じた所定量づつ、前方に移動した位置に着床させられる。そして、最後の5歩目では、遊脚側の脚体2(図の例では左脚体2L)の足平部9は、支持脚側の脚体2(図の例では右脚体2R)の足平部9と所定間隔で並列する位置に着床させられ、両足平部9,9が初期状態と同じ状態になる。これにより、操作子26(前)の操作に応じた方向(前方)に向かって、その操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。尚、操作子26(後)のみを操作した場合には、図8の場合と逆に各歩数目における遊脚側の脚体2の足平部9が後方に移動されることとなる点を除いて、図8の場合と同様にロボットAの脚体2の動作が行われる。
図9はロボットAの右方への移動に係わる操作子26(右)のみを例えば2回操作した場合の例である。この場合のロボットAの移動量の設定値は、右方に向かって操作子26(右)の2回の操作に対応する移動量であり、前後方向及び旋回方向の移動量の設定値は「0」である。このとき、ロボットAの移動に要する歩数は例えば4歩に設定され、1歩目と3歩目(奇数歩目)では、ロボットAの移動の向き(右方)と同じ側の右脚体2Rを遊脚として、該右脚体2Rの足平部9が移動量の設定値に応じた所定量づつ、右方に移動した位置に着床させられる。そして、2歩目と4歩目(偶数歩目)では、左脚体2Lが遊脚とされ、該左脚体2Lの足平部9が支持脚側の右脚体2Rの足平部9と初期状態と同じ所定の間隔で並列する位置に着床させられる。これにより、操作子26(右)の操作に応じた方向(右方)に向かって、その操作により設定された移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。尚、操作子26(左)のみを操作した場合には、図9の場合と逆に奇数歩目で左脚体2Lの足平部9が左方に移動され、偶数歩目で右脚体2Rの足平部9が左脚体2Lの足平部9に対して初期状態と同じ状態に並列する。
図10はロボットAの旋回に係わる操作子26(回)のみを例えば反時計回り方向に2回操作した場合の例である。この場合のロボットAの移動量の設定値は、反時計回り方向に向かって操作子26(回)の2回の操作に対応する回転量であり、前後方向及び左右方向の移動量の設定値は「0」である。このとき、ロボットAの移動に要する歩数は例えば4歩に設定され、1歩目と3歩目(奇数歩目)では、ロボットAの旋回の向き(反時計回り方向)と同じ側の左脚体2Lを遊脚として、該左脚体2Lの足平部9が移動量(回転量)の設定値に応じた所定量づつ、反時計回り方向に旋回した位置に着床させられる。そして、2歩目と4歩目(偶数歩目)では、右脚体2Rが遊脚とされ、該右脚体2Rの足平部9が支持脚側の左脚体2Lの足平部9と初期状態と同じ所定の間隔で並列する位置に着床させられる。これにより、操作子26(回)の操作方向に対応する方向(反時計回り方向)に向かって、その操作により設定された移動量(回転量)でのロボットAの旋回が行われることとなる。尚、操作子26(回)のみを時計回り方向に操作した場合には、図10の場合と逆に奇数歩目で右脚体2Rの足平部9が時計回り方向に旋回され、偶数歩目で左脚体2Lの足平部9が右脚体2Rの足平部9に対して初期状態と同じ状態に並列する。
前述の図8〜図10は、前後方向、左右方向、及び旋回方向の一方向でのみ操作子26を操作した場合の例であるが、前述の小移動モードの場合と同様に、大移動モードにおいても、それらの各方向の移動を合成させたようなロボットAの移動も行うことができる。この例を示すのが図11,12であり、図11は例えば操作子26(前)を6回操作すると共に、操作子26(右)を2回操作した場合の例である。尚、図11中の丸付き数字は、歩数の番数を表している。この場合、ロボットAの移動量の設定値は、前後方向の移動量と左右方向の移動量とがあり、前後方向の移動量の設定値は、ロボットAの前方に向かって操作子26(前)の6回の操作に対応する移動量、左右方向の移動量の設定値は、ロボットAの右方に向かって操作子26(右)の2回の操作に対応する移動量である。このとき、ロボットAの移動に要する歩数は例えば7歩に設定され、6歩目までは、遊脚側の脚体2は、支持脚側の脚体2に対して前方への移動量の設定値に応じた所定量づつ、前方に移動し、且つ、右方への移動量の設定値に応じた所定量づつ右方に移動した位置に着床させられる。そして、最後の7歩目では、遊脚側の脚体2(図の例では左脚体2L)の足平部9は、支持脚側の脚体2(図の例では右脚体2R)の足平部9と所定間隔で並列する位置に着床させられ、両足平部9,9が初期状態と同じ状態になる。これにより、操作子26(前)及び操作子(右)の操作によりそれぞれ前後方向、左右方向で設定された移動量により定まる方向(図11では、右斜め前方)に向かって、それらの移動量を合成した移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。
また、図12は例えば操作子26(前)を4回操作すると共に、操作子26(右)を3回操作し、さらに操作子26(回)を時計回り側に1回操作した場合の例である。尚、図12中の丸付き数字は、歩数の番数を表している。この場合、ロボットAの移動量の設定値は、前後方向、左右方向、及び旋回方向の全ての方向の移動量があり、前後方向の移動量の設定値は、ロボットAの前方に向かって操作子26(前)の4回の操作に対応する移動量、左右方向の移動量の設定値は、ロボットAの右方に向かって操作子26(右)の3回の操作に対応する移動量、旋回方向の移動量の設定値は、時計回り方向に操作子26(回)の1回の操作に対応する回転量である。このとき、ロボットAの移動に要する歩数は例えば7歩に設定され、6歩目までは、遊脚側の脚体2は、支持脚側の脚体2に対して前方への移動量の設定値に応じた所定量づつ、前方に移動し、且つ、右方への移動量の設定値に応じた所定量づつ右方に移動し、且つ、時計回り方向の移動量の設定値に応じた所定量づつ時計回り方向に旋回した位置に着床させられる。そして、最後の7歩目では、遊脚側の脚体2(図の例では左脚体2L)の足平部9は、支持脚側の脚体2(図の例では右脚体2R)の足平部9と所定間隔で並列する位置に着床させられ、両足平部9,9が初期状態と同じ状態になる。これにより、操作子26(前)、操作子(右)、及び操作子26(回)の操作によりそれぞれ前後方向、左右方向、旋回方向で設定された移動量により定まる方向に向かって、それらの移動量を合成した移動量でのロボットAの移動が行われることとなる。
以上説明したように、大移動モードでは、ロボットAの複数歩の両脚体2,2の離床・着床が行われることにより、ロボットAを所望の移動方向に、比較的大きな所望の移動量で移動させることができる。そして、この場合、操作子26の比較的簡単な操作で各方向へのロボットAの移動量を設定することができる。
尚、本実施形態では採用していないが、大移動モードにおいて、開脚停止ON/OFFスイッチ29がON状態に操作されている場合には、小移動モードの場合と同様に両足平部9,9の開脚状態(例えば図11,12の6歩目の状態)で停止させるようにしてもよい。
次に本発明の第2実施形態を図13を参照して説明する。尚、本実施形態は、前記第1実施形態と操作器23の演算処理回路34の処理のみが相違するものであるので、第1実施形態と同一の参照符号を用いて説明するものとし、第1実施形態と同一の構成及び作動については説明を省略する。
本実施形態では、操作器23の演算処理回路34は、図13のフローチャートに示すような処理を実行する。
演算処理装置34は、まず、STEP21で各種変数TF,TB,TR,TL,TCW,TCCW,Tの値を「0」に初期化する。ここで、変数TF,TB,TR,TLは、それぞれ操作子26(前)、操作子26(後)、操作子26(右)、操作子26(左)が継続的に押し操作されている時間を計時するための変数である。また、変数TCW,TCCWは、それぞれ操作子26(回)が時計回り方向に継続的に操作されている時間、反時計回り方向に継続的に操作されている時間をカウントするための変数である(以下、変数TF,TB,TR,TL,TCW,TCCWを操作時間変数という)。また、変数Tは、操作子26のいずれもが操作されていない状態の継続時間を計時するための変数である(以下、変数Tを無操作時間変数という)。
次いで、演算処理回路34は、操作信号生成回路33の出力に基づいて、いずれかの操作子26が操作されているか否かを判断する(STEP22)。そして、いずれかの操作子26が操作されている場合には、ロボットAの移動方向のどの方向に対応する操作子26の操作がなされているか否かが判断され(STEP23)、その判断された方向に対応する操作時間変数TF又はTB又はTR又はTL又はTCW又はTCCWの値が「1」だけ増加される(STEP24)。尚、STEP24では、操作時間変数TFは、左右二つの操作子26L(前),26R(前)のいずれが操作されても、その値が増加され、このことは、操作時間変数TB,TR,TLについても同様である。さらに、操作時間変数TCWは、左右二つの操作子26L(回),26R(回)のいずれが時計回り方向に操作されても、その値が増加され、このことは操作回数変数NCCWについても同様である。
上記STEP24の処理に続いて、演算処理回路34は、操作子26の操作が解除されたか否かを判断する(STEP25)。このとき、操作子26の操作が継続している場合には、あらかじめ定めた所定の時間幅ΔTの時間、待機した後(STEP26)、STEP23、24の処理に戻り、操作中の操作子26に対応する操作時間変数TF又はTB又はTR又はTL又はTCW又はTCCWの値が「1」だけ増加される。このようにして、操作子26の操作を継続している限り、前記時間幅ΔT毎に、操作に対応する操作時間変数TF又はTB又はTR又はTL又はTCW又はTCCWの値が「1」づつ増加される。従って、各操作時間変数TF,TB,TR,TL,TCW,TCCWの値は、各方向に対応する操作子26の操作を継続的に操作している時間を表すものとなる。
一方、上記STEP25の判断で、操作子26の操作の解除が確認された場合には、演算処理回路34は、次に、ロボットAの前後方向の移動に係わる操作時間変数TF,TBの値の偏差TX=TF−TB(以下、前後時間変数TXという)と、ロボットAの左右方向の移動に係わる操作時間変数TR,TLの値の偏差TY=TR−TL(以下、左右時間変数TYという)と、ロボットAの旋回移動に係わる操作回数変数TCW,TCCWの値の偏差TTHZ=TCW−TCCW(以下、旋回時間変数TTHZという)とを算出する(STEP27)。尚、これらの時間変数TX,TY,TTHZの初期値は「0」である。
さらに演算処理回路34は、前記確定スイッチ27が操作されたか否かを判断する(STEP28)。このとき、演算処理装置34は、確定スイッチ27が操作されたことを確認した場合には、ロボットAの移動を行わしめるための操作子26の操作が終了したものとして後述のSTEP35の処理を実行し、確定スイッチ27が操作されていない場合には、さらに前記キャンセルスイッチ28が操作されたか否かを判断する(STEP29)。そして、キャンセルスイッチ28が操作された場合には、演算処理回路34は、STEP21に戻って初期化処理を実行する。また、STEP29でキャンセルスイッチ28が操作されていない場合には、演算処理回路34は、前記所定の時間幅ΔTの時間、待機した後(STEP30)前記STEP22の判断処理(操作子26が操作されているか否かの判断処理)を実行する。
そして、演算処理回路34は、STEP22の判断で、操作子26のいずれもが操作されていない場合には、前記前後時間変数TX、左右時間変数TY及び旋回時間変数TTHZのいずれもが「0」であるか否かを判断し(STEP31)、TX=TY=TTHZ=0である場合には、前記無操作時間変数Tの値を「0」に設定した後(STEP32)、前記STEP22の判断処理を実行する。また、TX,TY,TTHZのいずれかが「0」で無い場合には、無操作時間変数Tの値を前記時間幅ΔTだけ増加させ(STEP33)、さらにこの無操作時間変数Tの値があらかじめ定めた上限値MAXTに達したか否かが判断される(STEP34)。このとき、T<MAXTである場合には、演算処理回路34は、前記STEP30で前記時間幅ΔTの時間、待機した後、再びSTEP22の判断処理を実行する。
そして、STEP34の判断でT≧MAXTとなった場合、すなわち、操作子26の操作を最後に行ってからの経過時間が、キャンセルスイッチ28、確定スイッチ27、及び操作子26の操作が行われることなく前記上限時間MAXTに達した場合(但しTX=TY=TTHZ=0となっている場合を除く)には、演算処理回路34は、前記STEP28で前記確定スイッチ27の操作が確認された場合と同様、ロボットAを移動させるための操作子26の操作が終了したものとして、以下に説明するSTEP35の処理を実行する。
このSTEP35では、演算処理回路34は、前記前後時間変数TX、左右時間変数TY、及び旋回時間変数TTHZの値から、それらの各変数毎にあらかじめ定められたデータテーブルに基づいてロボットのAの前後方向の移動量、左右方向の移動量、及び旋回方向の移動量(回転量)をそれぞれ設定する。ここで、上記データテーブルは、前記第1実施形態と同様、前記移動モード選択スイッチ32により選択されるロボットAの移動モードの種類(前記小移動モード又は大移動モード)毎に各別に備えられており、それぞれの移動モードに応じたデータテーブルが用いられる。この場合、小移動モード用のデータテーブルにより設定されるロボットAの各方向の移動量は、ロボットAの両脚体2,2の離床・着床動作を交互に一回づつ行うことで該ロボットAを移動させ得るような比較的小さい移動量である。また、大移動モード用のデータテーブルにより設定されるロボットAの各方向の移動量は、ロボットAの両脚体2の離床・着床動作を交互に複数回行う(ロボットAの移動動作を複数歩分行なう)必要があるような比較的大きい移動量である。
そして、本実施形態では、ロボットAの各方向の移動量は、それぞれに対応する時間変数TX,TY,TTHZの値に比例した値に設定される。ここで、前後時間変数TX(=TF−TB)に値に応じて設定される前後方向の移動量は、TX>0であるとき、前方への移動量であり、TX<0であるとき後方への移動量である。また、左右時間変数TY(=TR−TL)の値に応じて設定される左右方向の移動量は、TY>0であるとき、右方への移動量であり、TY<0であるとき、左方への移動量である。また、旋回時間変数TTHZ(=TCW−TCCW)の値に応じて設定される旋回方向の移動量は、TTHZ>0であるとき、時計回り方向の回転量であり、TTHZ<0であるとき、反時計回り方向の回転量である。尚、時間変数TX,TY,TTHZのいずれかの値が「0」であるときには、その「0」の時間変数に対応する方向の移動量も「0」である。また、各時間変数TX,TY,TTHZと各移動モードにおける移動量との関係は必ずしも比例関係を満たす必要はなく、基本的には、時間変数TX,TY,TTHZの値の絶対値が大きい程、対応する方向の移動量が大きくなるように設定すればよい。
このようにして、本実施形態では、ロボットAの前後、左右、旋回方向の各方向の移動量をそれぞれの方向に対応する時間変数TX,TY,TTHZの値に応じて移動モード毎に各別のデータテーブルにより設定することにより、各方向の移動量は、移動モード毎に、それぞれの方向に対応する操作子26の継続的な操作時間に応じて設定されることとなる。尚、この場合、演算処理回路34の処理がSTEP35の処理に移行する前に、同一方向に係わる操作子26の操作を複数回行った場合には、前述の演算処理回路34の処理から明らかなように、その操作子26の操作時間は、累積的な操作時間となる。
上述のようにして前後、左右、旋回方向の各方向の移動量を設定した後、演算処理回路34は、その各方向毎の移動量の設定データと開脚停止ON/OFFスイッチ29及び移動モード選択スイッチ32のそれぞれの操作状態のデータとを含む移動指示データを前記通信処理回路37、通信装置25、及びロボットAの通信装置20を介して該ロボットAのECU19に出力する(STEP36)。これにより演算処理回路34の処理が終了する。尚、この場合、前記第1実施形態と同様、最初(あるいは最後)に操作された操作子26が左操作子26L、右操作子26Rのいずれであるかを示す左右操作判別データも移動指示データと共に操作器23の演算処理回路34からロボットAのECU19に出力される。従って、ロボットAの移動に際して操作器23の演算処理回路34からロボットAのECU19に出力されるデータの内容は、前記第1実施形態と同一である。また、演算処理回路34の処理は、上記移動指示データ等の出力を完了した時点で、あるいは、該移動指示データ等に基づくロボットAの実際の移動が完了した後に、図13の「START」に戻る。
また、図13のフローチャートでは記載を省略しているが、操作器23の演算処理回路34は、一つの操作子26が操作されている間、その操作によって更新された前記操作時間変数TF又はTB又はTR又はTL又はTCW又はTCCWの値に応じて前記LEDランプ31を点灯させる。この場合、例えば、各操作時間変数TF,TB,TR,TL,TCW,TCCWの値が所定量づつ大きくなる程、LEDランプ31の点灯個数が該LEDランプ31の配列の一端側から他端側に向かって増えていくようにLEDランプ31が点灯される。これにより、オペレータは、ロボットAの所望の移動方向に対応する操作子26の操作時間、ひいては、該移動方向に対する移動量の設定値の変化を視覚的に認識しながら操作子26を操作することができる。尚、各方向毎の操作子26の操作時間を表す前記操作時間変数TF,TB,TR,TL,TCW,TCCWの値を液晶表示器30等により表示するようにしてもよい。
さらに、演算処理回路34は、前記STEP27で、前記前後時間変数TX、左右時間変数TY及び旋回時間変数TTHZの値が更新される毎に、前記STEP35で用いるデータテーブルにより前後方向、左右方向、及び旋回方向の各方向におけるロボットRの移動量を求める。そして、演算処理回路34は、その求めた各方向における移動量に基づいて、前記第1実施形態の場合と全く同様に、前記液晶表示器30の表示(図5参照)を行わしめる。これにより、オペレータは、自身が行った操作子26の操作によるロボットAの移動後の位置(向きを含む)を、逐次視覚的に確認することができることとなる。
以上説明した処理が本実施形態における操作器23の演算処理回路34の処理である。そして、該演算処理回路34からロボットAのECU19に前記移動指示データが出力された後は、該ECU19は、前記第1実施形態と全く同様に、小移動モードにおけるロボットAの脚体2,2の動作制御(前記開脚停止の場合の制御を含む)や、大移動モードにおけるロボットAの脚体2,2の動作制御を実行する。従って、本実施形態においても、操作器23の比較的簡単な操作によって、ロボットAを所望の方向の所望の位置に移動させることができる。この場合、小移動モードでは、比較的小さいな移動量でのロボットAの所望の位置への移動を行うことができ、大移動モードでは、比較的大きな移動量でのロボットAの所望の位置への移動を行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態を図14〜図16を参照して説明する。尚、本実施形態は、前記第1実施形態と操作器の一部の構成及び演算処理回路34の処理のみが相違するものであるので、同一構成部分もしくは同一機能部分は第1実施形態と同一の参照符号を用いて説明するものとし、第1実施形態と同一の構成及び作動については説明を省略する。
図14に示すように本実施形態では、操作器23には、前記第1実施形態で説明した構成に加えて、該操作器23の側面部に矢印yで示すように前後に摺動自在なスライドつまみ38が備えられている。このスライドつまみ38は、ロボットAの前後方向、左右方向及び旋回方向の各方向における移動量を設定するためのものであり、後方側の位置(図示のmin位置)から前方側への操作量(摺動量)を大きくすることが、ロボットAの移動量を大きくすることに対応している。そして、該スライドつまみ38は、ボリュームつまみ状のものであり、その摺動可能範囲(図示のmin位置からmax位置までの範囲)の任意の摺動位置で保持可能となっている。本実施形態の操作器23の機構的構成は、上記のスライドつまみ38以外は、前記第1実施形態のものと同一である。
また、図15に示す本実施形態の操作器23の内部回路にあっては、前記第1実施形態と同様に、操作信号生成回路33、演算処理回路34、通信処理回路37、LEDランプ31の駆動回路35、及び液晶表示器30の駆動回路36を備えている。但し、この場合、本実施形態における操作信号生成回路33は、操作子26、確定スイッチ27、キャンセルスイッチ28、開脚停止ON/OFFスイッチ29、移動モード選択スイッチ32の操作状態の信号を演算処理回路34に出力する他、さらに前記スライドつまみ38の操作量を示す信号を演算処理回路34に出力するようにしている。
尚、本実施形態におけるスライドつまみ38は、本発明の第3の態様における第2の操作子に相当し、操作子26は本発明の第3の態様における第1の操作子に相当するものである。また、本実施形態では、第2の操作子としてスライドつまみ28を採用しているが、旋回用の操作子26(回)のようなダイヤル式のものであってもよい。
かかる本実施形態の装置では、操作器23の演算処理回路34は、図16のフローチャートに示すような処理を実行する。
演算処理装置34は、まず、STEP41で各種変数DF,DB,DR,DL,DCW,DCCW,Tの値を「0」に初期化する。ここで、変数DF,DB,DR,DL,DCW,DCCWは、それぞれロボットAの前方、後方、右方、左方、時計回り方向、反時計回り方向への移動量の設定値を表す変数(以下、移動量変数という)である。また、変数Tは、操作子26のいずれもが操作されていない状態の継続時間を計時するための無操作時間変数である。
次いで、演算処理回路34は、操作信号生成回路33の出力に基づいて、スライドつまみ38の現在の操作量Sを検出する(STEP42)。ここで、本実施形態では、オペレータはロボットAの所望の方向への移動量を設定するとき、スライドつまみ38を所望の移動量に相応する量だけ、図14のmin位置からmax位置側に向かって摺動させ、この状態で、所望の移動方向に対応する操作子26の操作を行う。例えば、ロボットAを前方に所定量移動させたい場合には、オペレータは、スライドつまみ38を所望の移動量に対応する量だけ操作した上で、操作子26R(前)あるいは操作子26L(前)を操作する。上記STEP42で演算処理回路34が検出するスライドつまみ38の操作量Sは、上記のようにしてオペレータが操作したスライドつまみ38の操作量である。
次いで、演算処理回路34は、操作信号生成回路33の出力に基づいて、いずれかの操作子26が操作されているか否かを判断する(STEP43)。そして、いずれかの操作子26が操作されている場合には、演算処理回路34は、ロボットAの移動方向のどの方向に対応する操作子26の操作がなされているか否かを判断し(STEP44)、その判断した方向に対応する移動量変数DF又はDB又はDR又はDL又はDCW又はDCCWの値を、STEP42で検出したスライドつまみ38の操作量Sに、各方向毎にあらかじめ定めたゲインGF又はGB又はGR又はGL又はGCW又はGCCWを乗算した値に設定する(STEP45)。ここで、ゲインGF,GB,GR,GL,GCW,GCCWは各別の値でもよいが、本実施形態では、前方及び後方にそれぞれ対応するゲインGF,GBは同一の値とされ、右方及び左方にそれぞれ対応するゲインGR,GLは同一の値とされ、時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ対応するゲインGCW,GCCWは同一の値とされている。また、前記ゲインGF,GB,GR,GL,GCW,GCCWは、前記移動モード選択スイッチ32により設定されている移動モード(小移動モードと大移動モード)毎に各別に定められており、各移動モードでのロボットAの移動量のスケールに合わせて、小移動モードでは、比較的小さな値に定められ、大移動モードでは、比較的大きな値に定められている。かかるSTEP45の処理により、前方、後方、右方、左方、時計回り方向、反時計回り方向の各方向毎に、スライドつまみ38の操作量Sに応じたロボットAの移動量が設定されることとなる。また、このとき設定される移動量は、選択されている移動モードが大移動モード及び小移動モードのいずれであるかに応じて各別に設定されることとなる。
STEP45の処理に続いて、演算処理回路34は、ロボットAの前後方向の移動に係わる移動量変数DF,DBの値の偏差DX=DF−DBと、ロボットAの左右方向の移動に係わる移動量変数DR,DLの値の偏差DY=DR−DLと、ロボットAの旋回移動に係わる移動量変数DCW,DCCWの値の偏差DTHZ=DCW−DCCWとを算出する(STEP46)。これらの偏差DX,DY,DTHZは、それぞれロボットAの前後方向、左右方向、旋回方向のトータル的な移動量の設定値を表すものである(以下、該偏差DX,DY,DTHZをそれぞれ前後移動量変数DX、左右移動量変数DY、旋回移動量変数DTHZという)。
次いで、演算処理回路34は、前記キャンセルスイッチ28が操作されたか否かを判断する(STEP47)。そして、キャンセルスイッチ28が操作された場合には、演算処理回路34は、前記STEP41の初期化処理を実行する。また、STEP47でキャンセルスイッチ28が操作されていない場合には、演算処理回路34は、さらに、前記確定スイッチ27が操作されたか否かを判断する(STEP48)。このとき、演算処理回路34は、確定スイッチ27が操作されたことを確認した場合には、ロボットAの移動を行わしめるための操作子26の操作が終了したものとして後述のSTEP52の処理を実行する。また、演算処理回路34は、確定スイッチ27が操作されていない場合には、STEP42の処理に戻って、スライドつまみ38の操作量Sを検出する。そして、このSTEP42に続く、STEP43の判断処理で、いずれの操作子26の操作もなされていない場合には、演算処理回路34は、前記無操作時間変数Tの値をあらかじめ定めた所定の時間幅ΔTだけ増加させた後(STEP49)、該無操作時間変数Tの値があらかじめ定めた上限時間MAXTに達したか否かを判断する(STEP50)。このとき、T<MAXTである場合には、演算処理回路34は、前記時間幅ΔTの時間、待機し(STEP51)、その後、前記STEP43の判断処理(操作子26が操作されているか否かの判断処理)を実行する。
そして、STEP50の判断でT≧MAXTとなった場合、すなわち、操作子26の操作を最後に行ってからの経過時間が、キャンセルスイッチ28、確定スイッチ27、及び操作子26の操作が行われることなく前記上限時間MAXTに達した場合には、前記STEP48で前記確定スイッチ27の操作が確認された場合と同様、ロボットAを移動させるための操作子26の操作が終了したものとして、以下に説明するSTEP52の処理を実行する。
このSTEP52では、演算処理回路34は、現在の前後移動量変数DX、左右移動量変数DY及び旋回移動量変数DTHZの値をそれぞれ前後方向、左右方向、旋回方向のロボットAの最終的な移動量の設定値とし、その設定データと、開脚停止ON/OFFスイッチ29及び移動モード選択スイッチ32のそれぞれの操作状態のデータとを含む移動指示データを前記通信処理回路37、通信装置25及びロボットAの通信装置20を介してロボットAのECU19に出力する。これにより、演算処理回路34の処理が終了する。尚、この場合、STEP52では、前記第1実施形態と同様、最初(あるいは最後)に操作された操作子26が左操作子26L、右操作子26Rのいずれであるかを示す左右操作判別データも移動指示データと共に操作器23の演算処理回路34からロボットAのECU19に出力される。従って、ロボットAの移動に際して操作器23の演算処理回路34からロボットAのECU19に出力されるデータの内容は、前記第1実施形態と同一である。また、演算処理回路34の処理は、上記移動指示データ等の出力を完了した時点で、あるいは、該移動指示データ等に基づくロボットAの実際の移動が完了した後に、図16の「START」に戻る。
以上のような演算処理回路34の処理によって、オペレータは、ロボットAの所望の移動方向毎に、スライドつまみ38と対応する方向の操作子26とを順番に操作することで、該スライドつまみ38の操作量に応じたロボットAの移動量を設定することができることとなる。尚、本実施形態では、各方向の移動量の設定値は、スライドつまみ38の操作量に比例したものとなるが、必ずしも、この比例関係を満たす必要はなく、基本的にはスライドつまみ38の操作量が大きい程、各方向の移動量の設定値が大きくなるようにすればよい。この場合、前記スライドつまみ38の操作量に対する移動量の設定値を前記第1あるいは第2実施形態と同様に各移動モード毎のデータテーブルにより設定するようにしてもよい。
また、図16のフローチャートでは記載を省略しているが、操作器23の演算処理回路34は、スライドつまみ38が操作されたとき、その操作量に応じて前記LEDランプ31を点灯させる。この場合、例えば、スライドつまみ38の操作量が所定量づつ大きくなる程、LEDランプ31の点灯個数が該LEDランプ31の配列の一端側から他端側に向かって増えていくようにLEDランプ31が点灯される。これにより、オペレータは、スライドつまみ38の操作量、ひいては、その操作量に対応するロボットAの移動量の設定値の変化を視覚的に認識しながら操作子26を操作することができる。
さらに、演算処理回路34は、前記STEP46で、前記前後移動量変数DX、左右移動量変数DY及び旋回移動量変数DTHZの値が更新される毎に、それらの変数DX,DY,DTHZの値により定まる各方向の移動量に基づいて、前記第1実施形態の場合と全く同様に、前記液晶表示器30の表示(図5参照)を行わしめる。これにより、オペレータは、自身が行ったスライドつまみ38及び操作子26の操作によるロボットAの移動後の位置(向きを含む)を、逐次視覚的に確認することができることとなる。
以上説明した処理が本実施形態における操作器23の演算処理回路34の処理である。そして、該演算処理回路34からロボットAのECU19に前記移動指示データが出力された後は、該ECU19は、前記第1実施形態と全く同様に、小移動モードにおけるロボットAの脚体2,2の動作制御(前記開脚停止の場合の制御を含む)や、大移動モードにおけるロボットAの脚体2,2の動作制御を実行する。従って、本実施形態においても、操作器23の比較的簡単な操作によって、ロボットAを所望の方向の所望の位置に移動させることができる。この場合、小移動モードでは、比較的小さいな移動量でのロボットAの所望の位置への移動を行うことができ、大移動モードでは、比較的大きな移動量でのロボットAの所望の位置への移動を行うことができる。
尚、以上説明した各実施形態における演算処理回路34の処理では、操作子26の操作が行われない時間があらかじめ定めた上限時間MAXT以上になったら、確定スイッチ27の操作が確認された場合と同様の処理を行うようにしたが、キャンセルスイッチ28が操作された場合と同様の処理を行うようにしてもよい。
次に本発明の第4実施形態を図17を参照して説明する。本実施形態は、本発明の第1の態様の他の実施形態である。尚、本実施形態は、操作器の一部の構成のみが前記第1実施形態と相違するものであるので、同一構成部分もしくは同一機能部分は第1実施形態と同一の参照符号を用いて説明するものとし、第1実施形態と同一の構成及び作動については説明を省略する。
図17を参照して、本実施形態の操作器23は、前記第1実施形態の右操作子26R及び左操作子26Lの代わりに、ジョイスティック状の操作子39R,39Lを備え、それぞれの操作子39R,39Lが操作器23の表面部の右寄りの箇所、左寄りの箇所に配置されている(以下の説明では操作子39R,39Lを総称的に操作子39と称することがある)。この場合、各操作子39は、操作器23の内部に転動自在に設けられた球体40の上面部に突設されており、該球体40の転動によって、図の矢印P,Q,Rで示すように前後方向の揺動、左右方向の揺動、並びに上下方向の軸心回りの回転(時計回り方向及び反時計回り方向の回転)が可能となっている。そして、各操作子39は、各方向の揺動あるいは回転動作に関して、図示しないばねにより、上下方向に起立し、且つそれぞれの上面部の周縁部に付されたマーク41が前方を向くような中立姿勢状態に付勢されている。
このような操作子39を備えた本実施形態の操作器23では、右側の操作子39Rを前方あるいは後方に所定量以上揺動させる操作が、それぞれ前記第1実施形態における右操作子26(前)あるいは右操作子26(後)を操作することと同等の操作となっており、それぞれロボットAの前方への移動、後方への移動に対応している。また、操作子39Rを右方あるいは左方に所定量以上揺動させる操作が、それぞれ前記第1実施形態における右操作子26(右)あるいは右操作子26(左)を操作することと同等の操作となっており、それぞれロボットAの右方への移動、左方への移動に対応している。また、操作子39Rを時計回りあるいは反時計回り方向に所定量以上回転させる操作が、それぞれ前記第1実施形態における右操作子26(回)を時計回りあるいは反時計回りに操作することと同等の操作となっており、それぞれロボットAの時計回り方向の旋回移動、反時計回り方向の旋回移動に対応している。左側の操作子39Lについても同様である。
また、本実施形態では、ロボットAの移動モードは、前記第1実施形態と同様に小移動モード(開脚停止を行うモードを含む)及び大移動モードを有するほか、さらに、ロボットAの移動を操作子39の操作に応じてほぼリアルタイムで行うためのリアルタイムモードがあり、これらの移動モードを択一的に選択するために本実施形態の操作器23に備えられた移動モード選択スイッチ32は、3種類の移動モードに対応して3種類の操作位置に切換可能な3位置スイッチにより構成されている。
以上説明した以外の構成は、前記第1実施形態と同一である。但し、本実施形態では、操作器23の内部回路(図3参照)にあっては、操作信号生成回路33は、各操作子39の前後方向、左右方向、軸心回りの回転方向の各方向における操作量を示す信号を生成して、演算処理回路34に出力する。そして、演算処理回路34は、その信号により、各操作子39が前方、後方、右方、左方、時計回り方向、反時計回り方向のいずれに操作されているかを認識する。
かかる操作器23を備えた本実施形態の装置では、小移動モード及び大移動モードにおける作動は、ロボットAの各移動方向に対応する操作器23の操作子39の操作の仕方が前記第1実施形態と相違する点を除いて、該第1実施形態と全く同一である。従って、本実施形態においても、操作子39の比較的簡単な操作により、ロボットAを所望の位置に移動させることができる。
そして、本実施形態では、前記リアルタイムモードでは、操作子39の操作に応じてほぼリアルタイムでロボットAの移動が行われる。この作動の詳細については、本願出願人が、特願2000−351753号、あるいはPCT国際公開WO 02/40227にて詳細に説明しており、また、本発明の本筋をなすものではないので、ここでは詳細な説明は省略するがその概要は次の通りである。すなわち、ロボットAの脚体2,2は所定のクロックに同期したタイミングで交互に離床・着床動作が行なわれる。そして、このとき、左脚体2Lの離床・着床動作の際には、該左脚体2Lの離床の直前における操作子39Lの操作量及び操作方向(回転方向を含む)に応じて右脚体2Rの足平部9に対する左脚体2Lの足平部9の相対的な移動量及び移動方向が決定され、その決定された移動量及び移動方向の位置に該左脚体2Lの足平部9が着床される。また、右脚体2Rの離床・着床動作の際には、該右脚体2Rの離床の直前における操作子39Rの操作量及び操作方向(回転方向を含む)に応じて左脚体2Lの足平部9に対する右脚体2Rの足平部9の相対的な移動量及び移動方向が決定され、その決定された移動量及び移動方向の位置に該右脚体2Rの足平部9が着床される。
尚、本実施形態では、本発明の第1の態様を例にとって説明したが、ジョイスティック状の操作子を本発明の第2の態様あるいは第3の態様に適用することもできることはもちろんである。この場合、本発明の第2の態様に適用する場合には、第2の態様の操作器23の代わりに前記第4実施形態で説明した操作器23を用いればよく、本発明の第3の態様に適用する場合には、第4実施形態で説明した操作器23に、第3実施形態で説明したスライドつまみを備えた上で、該第3実施形態と同様の処理を行うようにすればよい。
また、以上説明した第1〜第4の各実施形態では、小移動モード及び大移動モードにおけるロボットAの移動量の設定処理を操作器23の演算処理回路34で行うようにしたが、該演算処理回路34の処理をロボットAのECU19で行うようにしてもよい。
産業上の利用可能性
以上のように、本願発明は種々様々な作業を行わせることが可能な二足移動ロボットを容易に遠隔操作することができる装置を提供できるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施形態で操縦する二足移動ロボットの側面図、図2は本発明の第1実施形態における遠隔操作装置を示す斜視図、図3は図2の遠隔操作装置の操作器の回路構成を示すブロック図、図4は図2の遠隔操作装置の操作器における処理を説明するためのフローチャート、図5は図2の遠隔操作装置の操作器の液晶表示器の表示内容を示す説明図、図6〜図12は本発明の第1実施形態におけるロボットの移動の形態を例示する説明図である。図13は本発明の第2実施形態における遠隔操作装置の操作器の処理を説明するためのフローチャートである。図14は本発明の第3実施形態における遠隔操作装置を示す斜視図、図15は図14の遠隔操作装置の操作器の回路構成を示すブロック図、図16は図14の遠隔操作装置の操作器の処理を説明するためのフローチャートである。図17は本発明の第4実施形態の遠隔操作装置を示す斜視図である。
Claims (13)
- 2本の脚体を交互に離床・着床させる動作により移動する二足移動ロボットの遠隔操作装置であって、
前記二足移動ロボットの移動方向を指示する操作子と、該二足移動ロボットの停止状態において前記操作子が非操作状態から二足移動ロボットの所望の移動方向に対応する操作状態に操作された回数を所定の操作終了条件が成立するまで計数し、その計数した回数に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とする二足移動ロボットの遠隔操作装置。 - 前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向は複数種類あり、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎にその移動方向に対応する操作状態に操作された回数を計数すると共に、各種類の移動方向毎にその計数した回数に応じて二足移動ロボットの移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 2本の脚体を交互に離床・着床させる動作により移動する二足移動ロボットの遠隔操作装置であって、
前記二足移動ロボットの移動方向を指示する操作子と、該二足移動ロボットの停止状態において前記操作子が非操作状態から二足移動ロボットの所望の移動方向に対応する操作状態に継続的に保持された時間を所定の操作終了条件が成立するまで計時し、その計時時間に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とする二足移動ロボットの遠隔操作装置。 - 前記移動量設定手段は、前記操作子の操作の開始後、前記操作終了条件が成立するまでに、前記操作子の所望の移動方向に対応する操作状態への操作が複数回行われたときには、該操作子が該操作状態に継続的に保持された時間を累積して計時し、前記操作終了条件が成立した時までの計時時間に応じて前記移動量を設定することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記操作子の操作中に前記計時時間に対応する移動量が該計時時間の増加に伴い所定の移動量づつ変化する毎に報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向は複数種類あり、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎にその移動方向に対応する操作状態に継続的に保持された時間を計時すると共に、その各種類の移動方向毎の計時時間に応じて二足移動ロボットの移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 2本の脚体を交互に離床・着床させる動作により移動する二足移動ロボットの遠隔操作装置であって、
前記二足移動ロボットの移動方向を指示する操作状態と非操作状態とを有する第1の操作子と、該二足移動ロボットの所望の移動量に応じた操作量に可変的に操作可能で且つ任意の操作量状態に保持可能な第2の操作子と、前記二足移動ロボットの停止状態において該第2の操作子が所望の操作量に操作された状態で前記第1の操作子が所望の移動方向に対応する操作状態に操作されたとき、前記第2操作子の操作量に応じて前記所望の移動方向への二足移動ロボットの移動量を設定する移動量設定手段と、その設定された移動量での前記所望の移動方向への移動を二足移動ロボットに行わしめる移動制御手段とを備えたことを特徴とする二足移動ロボットの遠隔操作装置。 - 前記操作子により指示可能な二足移動ロボットの移動方向は複数種類あり、前記移動量設定手段は、各種類の移動方向毎に前記第2操作子の操作量に応じて前記移動量を設定し、前記移動制御手段は、各種類の移動方向毎に設定された移動量を合成して二足移動ロボットの移動を行わしめることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記移動制御手段による前記二足移動ロボットの移動開始前に前記移動量設定手段により設定された移動量に基づく該二足移動ロボットの現在位置からの移動位置を表す移動後位置情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項、第3項及び第7項のいずれか1項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記移動量設定手段が設定する移動量は、前記二足移動ロボットの各脚体を一回づつ交互に離床・着床させることにより該二足移動ロボットが移動可能な移動量であり、前記移動制御手段は、前記二足移動ロボットの移動を行わしめるとき、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体の足平部を前記所望の移動方向に前記移動量設定手段により設定された移動量だけ移動させた位置に着床させ、次いで、該他方の脚体の足平部を着床させた状態で前記一方の脚体の足平部を該他方の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、前記二足移動ロボットを移動せしめることを特徴とする請求の範囲第1項、第3項及び第7項のいずれか1項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記二足移動ロボットの移動後に該二足移動ロボットの開脚停止を行わしめる開脚停止モードを所定の操作により設定するための手段を備えており、前記移動制御手段は、前記開脚停止モードが設定されているときには、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体を前記所望の移動方向に前記移動量だけ移動させた位置に着床させた後に、両脚体を停止させることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記移動量設定手段が設定する移動量は、前記二足移動ロボットが複数歩の移動動作で移動可能な移動量であり、前記移動制御手段は、前記二足移動ロボットの移動を行わしめるとき、前記移動量設定手段により設定された前記所望の移動方向への移動量に応じて該二足移動ロボットの歩数を決定し、その決定した歩数分の二足移動ロボットの各脚体の離床・着床を行わしめると共に、最後の歩数目で離床・着床を行わせる脚体の足平部を支持脚側の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、該二足移動ロボットを移動せしめることを特徴とする請求の範囲第1項、第3項及び第7項のいずれか1項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
- 前記二足移動ロボットの各脚体を一回づつ交互に離床・着床させることにより該二足移動ロボットが移動可能な移動量を前記移動量設定手段に設定させる第1移動モードと、前記二足移動ロボットが複数歩の移動動作で移動可能な移動量を前記移動量設定手段に設定させる第2移動モードとを所定の操作により選択するための手段を備えており、
前記移動制御手段は、前記第1移動モードが選択された状態で前記二足移動ロボットの移動を行わしめるときには、該二足移動ロボットの両脚体のうちのいずれか一方の脚体の足平部を着床させた状態で、該一方の脚体の足平部に対して他方の脚体の足平部を、前記第1移動モードに対応して前記移動量設定手段により設定された移動量だけ前記所望の移動方向に移動させた位置に着床させ、次いで、該他方の脚体の足平部を着床させた状態で前記一方の脚体の足平部を該他方の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、前記二足移動ロボットを移動せしめ、
前記第2移動モードが選択された状態で前記二足移動ロボットの移動を行わしめるときには、前記第2移動モードに対応して前記移動量設定手段により設定された前記所望の移動方向への移動量に応じて該二足移動ロボットの歩数を決定し、その決定した歩数分の二足移動ロボットの各脚体の離床・着床を行わしめると共に、最後の歩数目で離床・着床を行わせる脚体の足平部を支持脚側の脚体の足平部に並列する位置に移動させることにより、該二足移動ロボットを移動せしめることを特徴とする請求の範囲第1項、第3項及び第7項のいずれか1項に記載の二足移動ロボットの遠隔操作装置。
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