JPWO2003018910A1 - 紙のサイジング方法及びサイズ紙 - Google Patents
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Abstract
この発明は、紙を製造する際の抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることができる内添又は表面サイジング方法及びその方法により得られるサイズ紙を提供することを、目的とし、疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理された前記水性分散液を、その水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することを特徴とする紙のサイジング方法
Description
技術分野
本発明は、疎水性化合物を含有する水性分散液を用いたサイジング方法、及びその方法により得られるサイズ紙に係わり、さらに詳しくは、紙を製造する際の抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることができるサイジング方法及びその方法により得られるサイズ紙に関する。
背景技術
従来の紙(板紙も含む、以下同様)の製造方法において、これらの紙にサイズ性、防水性、耐水性等の機能を付与する為にサイズ剤の使用によるサイジングが行なわれている。サイジング方法としては、サイズ剤を紙層形成前のパルプスラリーに添加する所謂内添サイジング方法と、サイズ剤を成紙の表面に塗工する所謂表面サイジング方法とがある。
内添サイジング方法における内添サイズ剤には、ロジンサイズ剤、ケテンダイマーサイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、脂肪酸アミドサイズ剤などが広く使用されている。これら各種の内添サイズ剤は、疎水性化合物であるロジン、ケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、脂肪酸アミドなどの水性分散液を含有する。表面サイズ剤としては、スチレンアクリル系ポリマー、スチレン無水マレイン酸系ポリマー、ケテンダイマーサイズ剤などが使用されている。
内添サイジング方法では、パルプスラリーに内添サイズ剤が添加される。この際、パルプスラリーには必要に応じて填料、紙力増強剤、歩留まり向上剤等の他の内添薬品も添加される。これらの内添薬品が添加されたパルプスラリーは、抄紙機のヘッドボックスに送られ、ワイヤー上に分配され、ついでプレス工程による機械的脱水、熱乾燥工程を経て、さらに必要に応じて表面加工を施されて成紙となる。これらの過程で、抄紙装置、例えば内添サイズ剤の添加場所からヘッドボックスに至る配管内、ワイヤー、プレスロール、スムーザーロール、フェルト、ドライヤーシリンダー、キャンバス、キャレンダー等に固形物が多量に付着し、汚れとして蓄積することがある。内添サイジング方法を実施するときには、この汚れを除去するために装置、機器等を停止して汚れ除去作業を余儀なくされる。これらの汚れ成分を分析すると、内添サイズ剤が多く含まれていることが判明した。
また、表面サイジング方法を行なう場合には、紙層形成後の紙表面に表面サイズ剤を、サイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメタリングコーター、ビルブレードコーター或いはキャレンダー等を用いて塗工し、乾燥する。この際、表面サイズ剤を含む塗工液は循環して用いられることにより、塗工時に繰り返しての機械的衝撃が加えられるため、これに耐えられる必要がある。このように、表面サイズ剤に機械的衝撃が加えられるので、その安定性の乏しい表面サイズ剤は、装置及び機器類にその凝集物を付着させ、これが粕となって塗工ロールなどに汚れを生じさせる。
内添サイズ剤或いは表面サイズ剤を含有する固形分の付着が抄紙装置或いは抄紙用具に発生すると、抄紙作業時間の経過と共にその蓄積量が増大して、その結果として紙の表面が傷つけられたり、甚だしい場合には紙が切れたりすることもある。さらにひどくなると、抄紙機を止めて洗浄しなければならず、生産性が著しく低下する。このように前記固形分の付着は操業上のトラブルを引き起こす原因になるので、この固形分の付着が製紙業界では深刻な問題となっている。特に、内添サイジングの場合、夏場、抄紙温度が35℃から55℃程度までの高温になるとプレスロールへのサイズ剤の付着が顕著となる。
夏場の気温上昇や抄紙系のクローズド化による抄紙水温の上昇に伴い、抄紙装置が汚れることがあり、その理由はサイズ剤が高温で粘着性を帯びるためと考えられている。一般的なケテンダイマーサイズ剤は、牛脂を原料とした炭素数16と18の直鎖飽和脂肪酸の混合物から作られ、そのケテンダイマーの融点はおよそ45〜50℃である。このケテンダイマーサイズ剤を使用すると、実際の抄紙機において抄紙水温が40℃付近に上昇する場合に、プレスロール、スムーザーロール等にケテンダイマーを主成分とする汚れが付着する。この対策として、特開平1−280098号公報(特許第3023679号特許公報)では炭素数18の直鎖飽和脂肪酸から誘導され、その融点が55℃以上と高いアルキルケテンダイマーを含有するケテンダイマーサイズ剤が提案された。そのケテンダイマーサイズ剤は、実機で広く使用されているが、その汚れ防止効果はまだ十分とは言えない。また、特開平10−310993号公報(特許第2947260号特許公報)では炭素数の少ない直鎖飽和脂肪酸や直鎖不飽和脂肪酸から誘導され、融点が40℃以下に調節されたアルキルケテンダイマーやアルケニルケテンダイマーを含有するケテンダイマーサイズ剤が提案されているが、そのようなケテンダイマーサイズ剤は汚れ防止効果が認められるものの、サイズ効果が劣る場合があり、したがって、そのケテンダイマーサイズ剤が使用される場合が自ずと制限されている。
また、特開平2−200893号公報(特許第2729961号特許公報)では、ケテンダイマーサイズ剤をケテンダイマーの融点近傍まで加温することで、複数あるケテンダイマーの結晶形のうち、低温側の結晶を変化させ、消失させることにより、汚れの発生を防止することが提案されているが、その効果は十分とは言えない。
本発明の目的は、疎水性化合物を含有する水性分散液からなる製紙用サイズ剤を用い、機械的安定性にきわめて優れ、抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることのできるサイジング方法及びその方法により得られるサイズ紙を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、サイズ剤に含まれる疎水性成分の融点と凝固点とが前記問題点に深く係わっていることをつきとめ、本発明を完成するに至ったものである。
前記課題を解決するための本発明の構成は、(1)疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理された前記水性分散液を、その水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することを特徴とする紙のサイジング方法であり、これによって抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることを可能にする。
本発明に係る紙のサイジング方法における好適な態様では、(2)前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記加温処理以前に、疎水性化合物と水性媒体とを用いて調製されてなり、又、別の好適な態様では、(3)前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する直前に、前記疎水性化合物と水性媒体とを用いて、前記加温処理しつつ調製されてなる。
更に別な態様は、(4)疎水性化合物が2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物及び脂肪酸アミドよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、
別な態様では、(5)前記疎水性化合物が、0℃以上50℃以下の凝固点を有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、(6)前記疎水性化合物が、25℃以上100℃以下の融点を有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、
前記課題を解決するための本発明の他の構成は、(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載された紙のサイジング方法によって製造されることを特徴とするサイズ紙であり、(8)前記(1)〜(6)の紙のサイジング方法によって得ることを特徴とするサイズ紙である。
前記サイズ紙の好適な態様においては、(9)前記サイズ紙が、炭酸カルシウムを含有する、上質紙、中質紙または再生紙であり、また、(10)前記サイズ紙が、液体容器用原紙または写真用印画紙用原紙である。
発明を実施するための最良の形態
本発明のサイジング方法においては、疎水性化合物を含有する水性分散液が使用される。本発明における疎水性化合物を含有する水性分散液は、水性媒体中に疎水性化合物が液相状態及び/又は固相状態で分散している液を含む。
本発明において、疎水性化合物としては、2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物、脂肪酸アミド等が挙げられ、これらは一種単独でも又二種以上を併用することもできる。これらのうち、2−オキセタノン化合物及び置換環状ジカルボン酸無水物が特に重要である。
前記2−オキセタノン化合物は、以下の基本構造式(1)を有するアルキル及び/又はアルケニルケテンダイマー、並びに、
(但し、式(1)中のR1、R2は、8〜24個の炭素原子を有する同一または異なる飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
以下の基本構造(2)を有するアルキル及び/又はアルケニルケテンマルチマーの総称である。
(但し、式(2)中、nは自然数であり、通常1〜10であり、R3及びR5は8〜24個の炭素原子を有する同一または異なる飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基であり、R4は4〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基である。)
この2−オキセタノン化合物は、炭素数6から30の飽和または不飽和モノカルボン酸、炭素数6から44の飽和ジカルボン酸または不飽和ジカルボン酸、及びこれらの塩化物、並びにこれらの混合物を原料として製造される。具体的な原料としては、飽和モノカルボン酸としてステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、及びベヘン酸、これらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択され、不飽和モノカルボン酸としてオレイン酸、リノール酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、ドコセン酸及びドコサペンタエン酸、及びこれらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される。飽和または不飽和ジカルボン酸としては、具体的にセバシン酸、アゼライン酸、11,10−ドデカンニ酸、ブラジル酸、ドコサンニ酸、及びこれらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される。
前記2−オキセタノン化合物は、上記の原料を用いて通常の有機合成法により合成することができ、又、市販品として容易に得ることもできるものもある。例えばステアリルケテンダイマーは、ステアリン酸にホスゲン、三塩化リン、塩化チオニルなどの塩素化剤を反応させ、ステアリン酸クロライドにし、次いでトリエチルアミンで脱塩酸処理した後、トリエチルアミン塩酸塩を除去することで得られる。
前記置換環状ジカルボン酸無水物としては、以下の基本構造式(3)を有する置換環状ジカルボン酸無水物であり、
(但し、式(3)中、R6は炭素数5以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアラルケニル基、nは2〜3の整数を表わす。)
具体的にはヘキサデシルコハク酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物等のアルキルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物等のアルケニルコハク酸無水物、及びヘキサデシルグルタル酸無水物、オクタデシルグルタル酸無水物、ヘキサデセニルグルタル酸無水物、オクタデセニルグルタル酸無水物等のアルキルグルタル酸無水物などが挙げられる。
これらの置換環状ジカルボン酸無水物は、通常の有機合成法により合成することができ、又、市販品として容易に得ることができるものもある。例えばヘキサデシルコハク酸無水物は、1−ヘキサデセンに無水マレイン酸を付加させることで合成される。
前記脂肪酸アミドとしては、例えば、特開昭55−36390号公報、特開昭54−147205号公報、特公昭39−004507号公報、特公昭38−020601号公報、米国特許第3692092号公報に記載されているような脂肪酸と多価アミンとの縮合反応によって得られる脂肪酸多価アミド等を挙げることができ、又、中には市販品として容易に得ることができるものもある。
本発明において、疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物及び脂肪酸アミドよりなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する水性分散液を調製するに当たり、必要に応じて他の添加剤を併用することができる。この添加剤としては例えば、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩等のアニオン性乳化剤、あるいは両性澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、カチオン性、アニオン性、あるいは両性のアクリルアミド系ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等の高分子系乳化剤等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を併用することができる。
また、必要に応じて界面活性剤として従来公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤あるいはノニオン性界面活性剤を使用できる。
この水性分散液における疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物や置換環状ジカルボン酸無水物の含有量は、通常0.1〜50重量%である。
水性分散液における分散媒つまり水性媒体としては、水等を挙げることができる。
本発明において、疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物を含有する水性分散液は、次のようにして調製することができる。即ち、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物や置換環状ジカルボン酸無水物の融点以上100℃以下の温度で、この2−オキセタノン化合物等と必要に応じて含有される前記添加物、或いは高分子系乳化剤等と水性媒体とを、例えば、スタティックミキサー、攪拌翼付混合機等で混合し、ホモミキサー、高圧吐出ホモジナイザー、超音波乳化機、高せん断型回転乳化機等の各種乳化機乃至乳化装置で均一に前記疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物又は置換環状ジカルボン酸無水物を水性媒体中に分散させることによって製造されることができる。必要に応じてこの水性分散液に塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の水溶性無機物を添加することができる。
このようにして調製された水性分散液は、疎水性化合物例えば前記2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物を含有する粒子の平均粒径が0.1以上3μm未満、好ましくは0.3以上1μm未満である。
前記水性分散液における疎水性化合物含有の粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA910(堀場製作所製)を用いて測定し、メジアン径(50%径)を平均粒径とする。
本発明においては、例えば、所定温度に維持された前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する前に、前記水性分散液を調製し、次いで直ちに、調製された水性分散液をパルプスラリー又は表面塗工液に添加することもできる。前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する直前に前記水性分散液を調製する態様として、例えば、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物と水性媒体とを前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しつつ、これらを撹拌しながら混合して分散状態を現出させることを、挙げることができる。この場合、水性分散液は、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液に添加されることになる。
又一方、疎水性化合物、前記疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物と水性媒体とを前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しつつ混合して水性分散液を調製し、得られた水性分散液を作り置きしておいてから、その水性分散液を前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加することもできる。ただし、作り置きしておいた水性分散液は、パルプスラリー又は表面塗工液に添加する前に、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しておくのが良い。
なお、水性分散液中の疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物は、サイズ効果を一層すぐれたものとするためには、その融点が25℃以上100℃以下であり、好ましくは40℃を越えて100℃以下である。
また、前記脂肪酸アミドを含有する水性分散液の調製は、2−オキセタノン化合物又は置換環状ジカルボン酸無水物を含有する水性分散液の調製と同様にして調製することができるのであるが、高分子乳化剤等の乳化剤を使用しなくても水性分散液を調製することもできる。
この脂肪酸アミドを含有する水性分散液中の脂肪酸アミドの融点は25℃以上100℃以下であるのが好ましい。
本願発明でいう融点とは、固相状態の疎水性化合物が加温された場合に、固相と液相の平衡状態を保つときの温度であり、凝固点とは、液相状態の疎水性化合物が冷却された場合に固相と液相の平衡状態を保つときの温度である。本願発明の具体的な疎水性化合物の融点及び凝固点は疎水性化合物を含有する水性分散液の示差走査熱分析(DSC:DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETORY)測定により決定される。DSC測定は示差熱走査熱量計SSC 5200H(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて行ない、DSC測定条件は以下の通りである。
昇温/冷却速度:5℃/分、
測定サンプル:水性分散液15mg、
リファレンス:水15mg、
DSCセル:アルミニウム性密閉セルP/N SSC000E031 AL 15−CAPSULE(セイコーインスツルメンツ社製)
疎水性化合物を含有する水性分散液のDSC測定結果から、疎水性化合物の融点と凝固点(結晶性物質においては結晶化温度)との差が大きい場合がある。すなわち疎水性化合物はその水性分散液中で融点以下になっても凝固せず、過冷却状態を保つ場合があることが知られている(日本油化学会誌第49巻第3号35−42頁)。我々はこの現象を製紙用サイズ剤に利用して、疎水性化合物を含有する水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度範囲に一旦加温処理してから、前記疎水性化合物の凝固点まで下がることのない温度に維持された水性分散液を、疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下の温度範囲内、特に、疎水性化合物の凝固点を越える温度から前記加温処理した温度までの温度範囲内にあるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することにより、疎水性化合物が融点以下になっても液相状態を保ち、抄紙装置の汚れの発生を防止することができることを見出した。
本発明のサイジング方法を行なえば、加温処理せずに使用する従来の方法と比較し、抄紙装置の汚れの発生を防止できる。
本発明において、前記水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度範囲に加温処理する方法としては、容器の外からの湯浴、または蒸気等による加温、熱交換器による加温、温水の混合による加温等による方法がある。
加温処理時間は、通常1秒〜10時間である。加温処理時間が長いと、疎水性化合物の劣化を生じる可能性があるので、好ましくない。
加温処理後に、疎水性化合物が加水分解等によって性能劣化することを抑えるため、加温処理後に時間を置くことなくすみやかに、具体的には加温処理後1時間以内に、パルプスラリー又は表面塗工液に、加温処理後の水性分散液を添加することが好ましい。前記温度範囲に水性分散液を加温しながら、或いは水性分散液を構成する疎水性化合物、水性媒体等を前記温度範囲に温度調整しながら水性分散液を調製しつつ、パルプスラリー又は表面塗工液に添加する操作を連続的に行うことは可能である。具体的には、例えば、図1に示すように疎水性化合物を含有する水性分散液を貯蔵する製造タンク1から定量ポンプ2によりこの水性分散液を加温装置3に一定流量で供給した後、温度計4により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液5にこの水性分散液を添加することが出来る。或いは、図2に示すように疎水性化合物の溶融タンク6から定量ポンプ7により一定流量で供給された疎水性化合物と、乳化剤/水の混合液の加温タンク8から定量ポンプ9により一定流量で供給された混合液とを混合装置10により混合した後、乳化装置11により分散し、温度計12により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液13にこの水性分散液を添加することが出来る。また、疎水性化合物を含有する水性分散液と疎水性化合物の融点以上に温度調整された水とを瞬時に混合希釈し、その希釈液の温度を疎水性化合物の融点以上に上昇させた後、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液に前記希釈液を添加する方法もある。
本発明において、パルプスラリー中に含まれるパルプ原料は、特に限定されない。パルプ原料としては、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、あるいはサーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙等の古紙パルプのいずれも使用することができる。また、パルプスラリー中に填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留まり向上剤等の添加剤も必要に応じて含まれても良い。
パルプスラリーに添加する水性分散液の添加量は、絶乾パルプ重量に対する固形分重量%で0.002〜3、好ましくは0.005〜2である。
本発明において、表面塗工液には、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉及び両性澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、並びにポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、及びアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩等を塗工液に混合して使用することもできる。また、他の表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、及び顔料等の添加物を併用できる。
表面塗工液に添加する水性分散液の塗工量は、固形分として0.001〜1g/m2、好ましくは0.005〜0.5g/m2である。
本発明のサイズ紙は、特に制限されないが、各種の紙、板紙が挙げられる。紙の種類としては、PPC用紙、インクジェット印刷用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙及びその原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他ノート用紙、書籍用紙、各種印刷用紙、新聞用紙等の各種紙(洋紙)、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の板紙が挙げられる。
特に、炭酸カルシウムを含有する、上質紙、中質紙または脱墨パルプ他種々の古紙パルプを含有する再生紙は、抄紙装置が汚れ易く、本発明は有効である。
また、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の液体容器用原紙、写真用印画紙用原紙などのエッジウィックサイズ度を要求される紙種においては2−オキセタノン化合物系サイズ剤がパルプスラリーに絶乾パルプ重量に対する固形分重量%で0.2%以上の高率で添加されるため、抄紙装置が汚れ易く、本発明は特に有効である。
実施例
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下の製造例において%とあるのは特に断りのない限り固形分重量%を意味する。また、抄紙装置汚れ試験および内添サイズ効果試験において、填料、薬品の添加率は絶乾パルプ重量に対する固形分重量%である。
製造例1
ステアリン酸65%、パルミチン酸35%の混合物からなる脂肪酸を原料として合成された2−オキセタノン化合物である4−(C15,C17)−アルキリデン−3−(C14,C16)−アルキル−2−オキセタノンを用いた。この2−オキセタノン化合物100部を75℃で溶融させた。また、予め90℃で1時間糊化された5%濃度のカチオン化澱粉水溶液(4級アンモニウム塩で窒素原子を0.4%含有したカチオン化澱粉)500部、及び、ナフタレン−スルホン酸ナトリウム−ホルムアルデヒド縮合物の40%水溶液3部の混合液を75℃に加温した。前記2−オキセタノンと前記混合液を75℃でホモミキサーにて予備分散させた後、同温度に保ちながら高圧吐出型ホモジナイザーに24.5MPaのせん断圧力下で通して均一に分散させた。この分散液にイオン交換水を適宜加えて15℃まで冷却した後、325メッシュの金網にて濾過して、固形分20.0%の水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。この水性分散液における粒子の平均粒径は0.6μmであった。
製造例2〜5
製造例1と同様にして合成した2−オキセタノン化合物の原料脂肪酸組成を表1に示した。原料脂肪酸を変更した以外は、製造例1と同様の分散方法にて製造例2、3の固形分20.0%の2−オキセタノン水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。これらの水性分散液における粒子の平均粒径は0.5〜0.8μmであった。
製造例6
1−オクタデセンに無水コハク酸を付加させたオクタデセニルコハク酸無水物の市販品(新日本理化株式会社製、商品名オクタデセニル無水コハク酸)を用いた。この酸無水物100部を70℃で加温融解後、20.3%両性ポリアクリルアミド(特許第2761891号公報の実施例1中のP−1に準じて合成した)123部とイオン交換水117部を75℃で混合した。前記1−オクタデセンと前記混合液とを75℃で混合し、ユニバーサルホモジナイザー(日本精機製作所製)により分散し、イオン交換水285部で希釈し25℃まで冷却し、固形分20.0%の水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。この水性分散液における粒子の平均粒径は0.8μmであった。
(DSC測定)
上記製造例の製紙用サイズ剤中の2−オキセタノン化合物及び置換環状ジカルボン酸の融点及び凝固点をDSC測定により決定した。
上記DSC測定結果を表1、2に示す。
(抄紙装置汚れ試験▲1▼)
実施例1
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=9/1、カナディアン・スタンダード・フリーネス400)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)15%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(ケート304、日本NSC株式会社製)0.8%を順次添加し、表3に示す温度に維持した。次に、製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤1.2%を添加し、2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.7%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加して得たpH8.0、25℃のパルプスラリーを図2に示すロール汚れ試験機に供給し、1時間後のロール汚れ具合を調べた。結果を表3に示す。
実施例2〜22、比較例1〜17
表3に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例1と同様にして実施例2〜22、比較例1〜17について試験を行った。結果を表3に示す。
(抄紙装置汚れ試験装置)
図3はパルプスラリー投入口14から紙料をワイヤー装置15に順次供給し、減圧脱水した後第1ロール16と主ロール17で、次に第2ロール18と主ロールでプレスして脱水し、湿紙19を得るロール汚れ試験機を示すもので、その具体的構造は以下の通りである。
主ロール:直径25cm、幅40cm
第1ロール:直径14.5cm、幅40cm
第2ロール:直径10cm、幅40cm
ワイヤー:幅35cm
抄幅:15cm
抄速:1.5m/分
(抄紙装置汚れ試験の評価)
試験開始前と開始一時間後に第2ロール表面をマクベス濃度計にて測定し、次式に基づいて汚れ指数を算出した。
汚れ指数=[1−(1時間後のマクベス濃度/開始前のマクベス濃度)]×100
なお、この指数が大きいほどロールの汚れが多いことを示す。
(内添サイズ効果試験▲1▼)
実施例1
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=9/1、カナディアン・スタンダード・フリーネス400)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)15%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(ケート304、日本NSC株式会社製)0.8%を順次添加し、表3に示される温度に維持した。次に、製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤0.12%を添加し、2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.24%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加し、ノーブル・アンド・ウッド社製の手抄き装置にて坪量65g/m2の湿紙を得た。抄紙温度は、汚れ試験温度に準じた。この湿紙をプレスした後、ドラムドライヤーで80℃、100秒間乾燥した。この紙を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表3に示す。
実施例2〜22、比較例1〜17
表3に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例1と同様にして実施例2〜22、比較例1〜17について試験を行った。結果を表3に示す。
(抄紙装置汚れ試験▲2▼)
実施例23
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、カナディアン・スタンダード・フリーネス375)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)30%を添加し、2分間撹拌後、カチオン化澱粉(エースK100、王子コーンスターチ株式会社製)0.9%を添加し、加温することにより表4に示される温度に維持した。次に、製造例6の製紙用サイズ剤を65℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤1.0%を添加し2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.7%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加して得たpH8.0、40℃のパルプスラリーを図2に示すロール汚れ試験機に供給し、1時間後のロール汚れ具合を調べた。結果を表4に示す。
実施例24、比較例18〜20
表4に示した加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例23と同様にして実施例24、比較例18〜20について試験を行った。結果を表4に示す。
(内添サイズ効果試験▲2▼)
実施例23
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、カナディアン・スタンダード・フリーネス375)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)30%を添加し、2分間撹拌後、カチオン化澱粉(エースK100、王子コーンスターチ株式会社製)0.9%を添加し、加温することにより表4に示される温度に維持した。次に、製造例6の製紙用サイズ剤を65℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤0.12%を添加し2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.24%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加し、ノーブル・アンド・ウッド社製の手抄き装置にて坪量80g/m2の湿紙を得た。抄紙温度は、汚れ試験温度に準じた。この湿紙をプレスした後、ドラムドライヤーで100℃、70秒間乾燥した。この紙を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表4に示す。
実施例24、比較例18〜20
表4に示した加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例23と同様にして実施例24、比較例18〜20について試験を行った。結果を表4に示す。
(表面サイズ効果試験)
実施例25
上記製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに塗工液温度である35℃の酸化澱粉と混合し塗工用原紙にラボラトリー・サイズプレス機(熊谷理機工業株式会社製)にて塗工し、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表5に示す。尚、試験条件は次の通りである。
(塗工用原紙)
中性上質紙
坪量:60g/m2
原紙ステキヒトサイズ:0.5秒
(塗工条件)
製紙用サイズ剤:塗工濃度0.15%(固形分)、塗工量0.03g/m2(固形分)
酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製):塗工濃度5%、塗工量1.0g/m2(固形分)
プレス速度:100m/分
塗工液温度:表5の塗工液温度
ドラムドライヤー:80℃、50秒間
実施例26〜46、比較例21〜33
表5に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、塗工液温度で行なう以外は実施例25と同様にして実施例26〜46、比較例21〜33について試験を行った。結果を表5に示す。
(熱・機械的安定性試験)
実施例25
上記製造例1の製紙用サイズ剤50gを55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちにマーロン安定度試験機(熊谷理機工業株式会社製)にて、196Nの荷重下、回転速度1000rpmで5分間攪拌し、この時生じた100メッシュ金網不通過の固型分重量を測定し、製紙用サイズ剤の固型分に対する重量%を算出した。試験温度は、上記サイズ効果試験で用いた塗工液温度である25℃で行った。この重量%が多い程、粕発生が多いことを示し、熱・機械的安定性が不良であることを示す。尚、これは表面塗工液による汚れと相関する試験として行なっている。結果を表5に示す。
実施例26〜46、比較例21〜33
表5に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、塗工液温度(試験温度を上記サイズ効果試験で用いた塗工液温度と同じ温度で行なったため便宜上、塗工液温度と記載した)で行なう以外は実施例13と同様にして実施例26〜46、比較例21〜33について試験を行った。結果を表5に示す。
産業上の利用性
本発明によれば、疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下に加温処理したのち、前記水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に添加する紙のサイジング方法によって抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
図1は、疎水性化合物を含有する水性分散液を貯蔵する製品タンクから定量ポンプによりこの水性分散液を加温装置に一定流量で供給した後、温度計により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液にこの水性分散液を添加する手順を示す説明図である。
図2は、疎水性化合物の溶融タンクから定量ポンプにより一定流量で供給された疎水性化合物と、乳化剤/水の混合液の加温タンクから定量ポンプにより一定流量で供給された混合液とを混合装置により混合した後、乳化装置により分散し、温度計により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液にこの水性分散液を添加する手順を示す説明図である。
図3は抄紙装置の汚れを試験する試験装置を示す概略説明図であり、抄紙装置のプレスパートを示すものである。
本発明は、疎水性化合物を含有する水性分散液を用いたサイジング方法、及びその方法により得られるサイズ紙に係わり、さらに詳しくは、紙を製造する際の抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることができるサイジング方法及びその方法により得られるサイズ紙に関する。
背景技術
従来の紙(板紙も含む、以下同様)の製造方法において、これらの紙にサイズ性、防水性、耐水性等の機能を付与する為にサイズ剤の使用によるサイジングが行なわれている。サイジング方法としては、サイズ剤を紙層形成前のパルプスラリーに添加する所謂内添サイジング方法と、サイズ剤を成紙の表面に塗工する所謂表面サイジング方法とがある。
内添サイジング方法における内添サイズ剤には、ロジンサイズ剤、ケテンダイマーサイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、脂肪酸アミドサイズ剤などが広く使用されている。これら各種の内添サイズ剤は、疎水性化合物であるロジン、ケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、脂肪酸アミドなどの水性分散液を含有する。表面サイズ剤としては、スチレンアクリル系ポリマー、スチレン無水マレイン酸系ポリマー、ケテンダイマーサイズ剤などが使用されている。
内添サイジング方法では、パルプスラリーに内添サイズ剤が添加される。この際、パルプスラリーには必要に応じて填料、紙力増強剤、歩留まり向上剤等の他の内添薬品も添加される。これらの内添薬品が添加されたパルプスラリーは、抄紙機のヘッドボックスに送られ、ワイヤー上に分配され、ついでプレス工程による機械的脱水、熱乾燥工程を経て、さらに必要に応じて表面加工を施されて成紙となる。これらの過程で、抄紙装置、例えば内添サイズ剤の添加場所からヘッドボックスに至る配管内、ワイヤー、プレスロール、スムーザーロール、フェルト、ドライヤーシリンダー、キャンバス、キャレンダー等に固形物が多量に付着し、汚れとして蓄積することがある。内添サイジング方法を実施するときには、この汚れを除去するために装置、機器等を停止して汚れ除去作業を余儀なくされる。これらの汚れ成分を分析すると、内添サイズ剤が多く含まれていることが判明した。
また、表面サイジング方法を行なう場合には、紙層形成後の紙表面に表面サイズ剤を、サイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメタリングコーター、ビルブレードコーター或いはキャレンダー等を用いて塗工し、乾燥する。この際、表面サイズ剤を含む塗工液は循環して用いられることにより、塗工時に繰り返しての機械的衝撃が加えられるため、これに耐えられる必要がある。このように、表面サイズ剤に機械的衝撃が加えられるので、その安定性の乏しい表面サイズ剤は、装置及び機器類にその凝集物を付着させ、これが粕となって塗工ロールなどに汚れを生じさせる。
内添サイズ剤或いは表面サイズ剤を含有する固形分の付着が抄紙装置或いは抄紙用具に発生すると、抄紙作業時間の経過と共にその蓄積量が増大して、その結果として紙の表面が傷つけられたり、甚だしい場合には紙が切れたりすることもある。さらにひどくなると、抄紙機を止めて洗浄しなければならず、生産性が著しく低下する。このように前記固形分の付着は操業上のトラブルを引き起こす原因になるので、この固形分の付着が製紙業界では深刻な問題となっている。特に、内添サイジングの場合、夏場、抄紙温度が35℃から55℃程度までの高温になるとプレスロールへのサイズ剤の付着が顕著となる。
夏場の気温上昇や抄紙系のクローズド化による抄紙水温の上昇に伴い、抄紙装置が汚れることがあり、その理由はサイズ剤が高温で粘着性を帯びるためと考えられている。一般的なケテンダイマーサイズ剤は、牛脂を原料とした炭素数16と18の直鎖飽和脂肪酸の混合物から作られ、そのケテンダイマーの融点はおよそ45〜50℃である。このケテンダイマーサイズ剤を使用すると、実際の抄紙機において抄紙水温が40℃付近に上昇する場合に、プレスロール、スムーザーロール等にケテンダイマーを主成分とする汚れが付着する。この対策として、特開平1−280098号公報(特許第3023679号特許公報)では炭素数18の直鎖飽和脂肪酸から誘導され、その融点が55℃以上と高いアルキルケテンダイマーを含有するケテンダイマーサイズ剤が提案された。そのケテンダイマーサイズ剤は、実機で広く使用されているが、その汚れ防止効果はまだ十分とは言えない。また、特開平10−310993号公報(特許第2947260号特許公報)では炭素数の少ない直鎖飽和脂肪酸や直鎖不飽和脂肪酸から誘導され、融点が40℃以下に調節されたアルキルケテンダイマーやアルケニルケテンダイマーを含有するケテンダイマーサイズ剤が提案されているが、そのようなケテンダイマーサイズ剤は汚れ防止効果が認められるものの、サイズ効果が劣る場合があり、したがって、そのケテンダイマーサイズ剤が使用される場合が自ずと制限されている。
また、特開平2−200893号公報(特許第2729961号特許公報)では、ケテンダイマーサイズ剤をケテンダイマーの融点近傍まで加温することで、複数あるケテンダイマーの結晶形のうち、低温側の結晶を変化させ、消失させることにより、汚れの発生を防止することが提案されているが、その効果は十分とは言えない。
本発明の目的は、疎水性化合物を含有する水性分散液からなる製紙用サイズ剤を用い、機械的安定性にきわめて優れ、抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることのできるサイジング方法及びその方法により得られるサイズ紙を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、サイズ剤に含まれる疎水性成分の融点と凝固点とが前記問題点に深く係わっていることをつきとめ、本発明を完成するに至ったものである。
前記課題を解決するための本発明の構成は、(1)疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理された前記水性分散液を、その水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することを特徴とする紙のサイジング方法であり、これによって抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることを可能にする。
本発明に係る紙のサイジング方法における好適な態様では、(2)前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記加温処理以前に、疎水性化合物と水性媒体とを用いて調製されてなり、又、別の好適な態様では、(3)前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する直前に、前記疎水性化合物と水性媒体とを用いて、前記加温処理しつつ調製されてなる。
更に別な態様は、(4)疎水性化合物が2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物及び脂肪酸アミドよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、
別な態様では、(5)前記疎水性化合物が、0℃以上50℃以下の凝固点を有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、(6)前記疎水性化合物が、25℃以上100℃以下の融点を有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の紙のサイジング方法であり、
前記課題を解決するための本発明の他の構成は、(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載された紙のサイジング方法によって製造されることを特徴とするサイズ紙であり、(8)前記(1)〜(6)の紙のサイジング方法によって得ることを特徴とするサイズ紙である。
前記サイズ紙の好適な態様においては、(9)前記サイズ紙が、炭酸カルシウムを含有する、上質紙、中質紙または再生紙であり、また、(10)前記サイズ紙が、液体容器用原紙または写真用印画紙用原紙である。
発明を実施するための最良の形態
本発明のサイジング方法においては、疎水性化合物を含有する水性分散液が使用される。本発明における疎水性化合物を含有する水性分散液は、水性媒体中に疎水性化合物が液相状態及び/又は固相状態で分散している液を含む。
本発明において、疎水性化合物としては、2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物、脂肪酸アミド等が挙げられ、これらは一種単独でも又二種以上を併用することもできる。これらのうち、2−オキセタノン化合物及び置換環状ジカルボン酸無水物が特に重要である。
前記2−オキセタノン化合物は、以下の基本構造式(1)を有するアルキル及び/又はアルケニルケテンダイマー、並びに、
(但し、式(1)中のR1、R2は、8〜24個の炭素原子を有する同一または異なる飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
以下の基本構造(2)を有するアルキル及び/又はアルケニルケテンマルチマーの総称である。
(但し、式(2)中、nは自然数であり、通常1〜10であり、R3及びR5は8〜24個の炭素原子を有する同一または異なる飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基であり、R4は4〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のアルキル基又はアルケニル基である。)
この2−オキセタノン化合物は、炭素数6から30の飽和または不飽和モノカルボン酸、炭素数6から44の飽和ジカルボン酸または不飽和ジカルボン酸、及びこれらの塩化物、並びにこれらの混合物を原料として製造される。具体的な原料としては、飽和モノカルボン酸としてステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、及びベヘン酸、これらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択され、不飽和モノカルボン酸としてオレイン酸、リノール酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸、ドコセン酸及びドコサペンタエン酸、及びこれらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される。飽和または不飽和ジカルボン酸としては、具体的にセバシン酸、アゼライン酸、11,10−ドデカンニ酸、ブラジル酸、ドコサンニ酸、及びこれらの酸塩化物、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される。
前記2−オキセタノン化合物は、上記の原料を用いて通常の有機合成法により合成することができ、又、市販品として容易に得ることもできるものもある。例えばステアリルケテンダイマーは、ステアリン酸にホスゲン、三塩化リン、塩化チオニルなどの塩素化剤を反応させ、ステアリン酸クロライドにし、次いでトリエチルアミンで脱塩酸処理した後、トリエチルアミン塩酸塩を除去することで得られる。
前記置換環状ジカルボン酸無水物としては、以下の基本構造式(3)を有する置換環状ジカルボン酸無水物であり、
(但し、式(3)中、R6は炭素数5以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、またはアラルケニル基、nは2〜3の整数を表わす。)
具体的にはヘキサデシルコハク酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物等のアルキルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物等のアルケニルコハク酸無水物、及びヘキサデシルグルタル酸無水物、オクタデシルグルタル酸無水物、ヘキサデセニルグルタル酸無水物、オクタデセニルグルタル酸無水物等のアルキルグルタル酸無水物などが挙げられる。
これらの置換環状ジカルボン酸無水物は、通常の有機合成法により合成することができ、又、市販品として容易に得ることができるものもある。例えばヘキサデシルコハク酸無水物は、1−ヘキサデセンに無水マレイン酸を付加させることで合成される。
前記脂肪酸アミドとしては、例えば、特開昭55−36390号公報、特開昭54−147205号公報、特公昭39−004507号公報、特公昭38−020601号公報、米国特許第3692092号公報に記載されているような脂肪酸と多価アミンとの縮合反応によって得られる脂肪酸多価アミド等を挙げることができ、又、中には市販品として容易に得ることができるものもある。
本発明において、疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物及び脂肪酸アミドよりなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する水性分散液を調製するに当たり、必要に応じて他の添加剤を併用することができる。この添加剤としては例えば、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩等のアニオン性乳化剤、あるいは両性澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、カチオン性、アニオン性、あるいは両性のアクリルアミド系ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等の高分子系乳化剤等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を併用することができる。
また、必要に応じて界面活性剤として従来公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤あるいはノニオン性界面活性剤を使用できる。
この水性分散液における疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物や置換環状ジカルボン酸無水物の含有量は、通常0.1〜50重量%である。
水性分散液における分散媒つまり水性媒体としては、水等を挙げることができる。
本発明において、疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物を含有する水性分散液は、次のようにして調製することができる。即ち、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物や置換環状ジカルボン酸無水物の融点以上100℃以下の温度で、この2−オキセタノン化合物等と必要に応じて含有される前記添加物、或いは高分子系乳化剤等と水性媒体とを、例えば、スタティックミキサー、攪拌翼付混合機等で混合し、ホモミキサー、高圧吐出ホモジナイザー、超音波乳化機、高せん断型回転乳化機等の各種乳化機乃至乳化装置で均一に前記疎水性化合物、例えば2−オキセタノン化合物又は置換環状ジカルボン酸無水物を水性媒体中に分散させることによって製造されることができる。必要に応じてこの水性分散液に塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の水溶性無機物を添加することができる。
このようにして調製された水性分散液は、疎水性化合物例えば前記2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物を含有する粒子の平均粒径が0.1以上3μm未満、好ましくは0.3以上1μm未満である。
前記水性分散液における疎水性化合物含有の粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA910(堀場製作所製)を用いて測定し、メジアン径(50%径)を平均粒径とする。
本発明においては、例えば、所定温度に維持された前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する前に、前記水性分散液を調製し、次いで直ちに、調製された水性分散液をパルプスラリー又は表面塗工液に添加することもできる。前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する直前に前記水性分散液を調製する態様として、例えば、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物と水性媒体とを前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しつつ、これらを撹拌しながら混合して分散状態を現出させることを、挙げることができる。この場合、水性分散液は、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液に添加されることになる。
又一方、疎水性化合物、前記疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物と水性媒体とを前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しつつ混合して水性分散液を調製し、得られた水性分散液を作り置きしておいてから、その水性分散液を前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加することもできる。ただし、作り置きしておいた水性分散液は、パルプスラリー又は表面塗工液に添加する前に、疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理しておくのが良い。
なお、水性分散液中の疎水性化合物例えば2−オキセタノン化合物は、サイズ効果を一層すぐれたものとするためには、その融点が25℃以上100℃以下であり、好ましくは40℃を越えて100℃以下である。
また、前記脂肪酸アミドを含有する水性分散液の調製は、2−オキセタノン化合物又は置換環状ジカルボン酸無水物を含有する水性分散液の調製と同様にして調製することができるのであるが、高分子乳化剤等の乳化剤を使用しなくても水性分散液を調製することもできる。
この脂肪酸アミドを含有する水性分散液中の脂肪酸アミドの融点は25℃以上100℃以下であるのが好ましい。
本願発明でいう融点とは、固相状態の疎水性化合物が加温された場合に、固相と液相の平衡状態を保つときの温度であり、凝固点とは、液相状態の疎水性化合物が冷却された場合に固相と液相の平衡状態を保つときの温度である。本願発明の具体的な疎水性化合物の融点及び凝固点は疎水性化合物を含有する水性分散液の示差走査熱分析(DSC:DIFFERENTIAL SCANNING CALORIMETORY)測定により決定される。DSC測定は示差熱走査熱量計SSC 5200H(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて行ない、DSC測定条件は以下の通りである。
昇温/冷却速度:5℃/分、
測定サンプル:水性分散液15mg、
リファレンス:水15mg、
DSCセル:アルミニウム性密閉セルP/N SSC000E031 AL 15−CAPSULE(セイコーインスツルメンツ社製)
疎水性化合物を含有する水性分散液のDSC測定結果から、疎水性化合物の融点と凝固点(結晶性物質においては結晶化温度)との差が大きい場合がある。すなわち疎水性化合物はその水性分散液中で融点以下になっても凝固せず、過冷却状態を保つ場合があることが知られている(日本油化学会誌第49巻第3号35−42頁)。我々はこの現象を製紙用サイズ剤に利用して、疎水性化合物を含有する水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度範囲に一旦加温処理してから、前記疎水性化合物の凝固点まで下がることのない温度に維持された水性分散液を、疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下の温度範囲内、特に、疎水性化合物の凝固点を越える温度から前記加温処理した温度までの温度範囲内にあるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することにより、疎水性化合物が融点以下になっても液相状態を保ち、抄紙装置の汚れの発生を防止することができることを見出した。
本発明のサイジング方法を行なえば、加温処理せずに使用する従来の方法と比較し、抄紙装置の汚れの発生を防止できる。
本発明において、前記水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度範囲に加温処理する方法としては、容器の外からの湯浴、または蒸気等による加温、熱交換器による加温、温水の混合による加温等による方法がある。
加温処理時間は、通常1秒〜10時間である。加温処理時間が長いと、疎水性化合物の劣化を生じる可能性があるので、好ましくない。
加温処理後に、疎水性化合物が加水分解等によって性能劣化することを抑えるため、加温処理後に時間を置くことなくすみやかに、具体的には加温処理後1時間以内に、パルプスラリー又は表面塗工液に、加温処理後の水性分散液を添加することが好ましい。前記温度範囲に水性分散液を加温しながら、或いは水性分散液を構成する疎水性化合物、水性媒体等を前記温度範囲に温度調整しながら水性分散液を調製しつつ、パルプスラリー又は表面塗工液に添加する操作を連続的に行うことは可能である。具体的には、例えば、図1に示すように疎水性化合物を含有する水性分散液を貯蔵する製造タンク1から定量ポンプ2によりこの水性分散液を加温装置3に一定流量で供給した後、温度計4により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液5にこの水性分散液を添加することが出来る。或いは、図2に示すように疎水性化合物の溶融タンク6から定量ポンプ7により一定流量で供給された疎水性化合物と、乳化剤/水の混合液の加温タンク8から定量ポンプ9により一定流量で供給された混合液とを混合装置10により混合した後、乳化装置11により分散し、温度計12により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液13にこの水性分散液を添加することが出来る。また、疎水性化合物を含有する水性分散液と疎水性化合物の融点以上に温度調整された水とを瞬時に混合希釈し、その希釈液の温度を疎水性化合物の融点以上に上昇させた後、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液に前記希釈液を添加する方法もある。
本発明において、パルプスラリー中に含まれるパルプ原料は、特に限定されない。パルプ原料としては、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、あるいはサーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙等の古紙パルプのいずれも使用することができる。また、パルプスラリー中に填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留まり向上剤等の添加剤も必要に応じて含まれても良い。
パルプスラリーに添加する水性分散液の添加量は、絶乾パルプ重量に対する固形分重量%で0.002〜3、好ましくは0.005〜2である。
本発明において、表面塗工液には、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉及び両性澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、並びにポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、及びアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩等を塗工液に混合して使用することもできる。また、他の表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、及び顔料等の添加物を併用できる。
表面塗工液に添加する水性分散液の塗工量は、固形分として0.001〜1g/m2、好ましくは0.005〜0.5g/m2である。
本発明のサイズ紙は、特に制限されないが、各種の紙、板紙が挙げられる。紙の種類としては、PPC用紙、インクジェット印刷用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙及びその原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他ノート用紙、書籍用紙、各種印刷用紙、新聞用紙等の各種紙(洋紙)、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の板紙が挙げられる。
特に、炭酸カルシウムを含有する、上質紙、中質紙または脱墨パルプ他種々の古紙パルプを含有する再生紙は、抄紙装置が汚れ易く、本発明は有効である。
また、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の液体容器用原紙、写真用印画紙用原紙などのエッジウィックサイズ度を要求される紙種においては2−オキセタノン化合物系サイズ剤がパルプスラリーに絶乾パルプ重量に対する固形分重量%で0.2%以上の高率で添加されるため、抄紙装置が汚れ易く、本発明は特に有効である。
実施例
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下の製造例において%とあるのは特に断りのない限り固形分重量%を意味する。また、抄紙装置汚れ試験および内添サイズ効果試験において、填料、薬品の添加率は絶乾パルプ重量に対する固形分重量%である。
製造例1
ステアリン酸65%、パルミチン酸35%の混合物からなる脂肪酸を原料として合成された2−オキセタノン化合物である4−(C15,C17)−アルキリデン−3−(C14,C16)−アルキル−2−オキセタノンを用いた。この2−オキセタノン化合物100部を75℃で溶融させた。また、予め90℃で1時間糊化された5%濃度のカチオン化澱粉水溶液(4級アンモニウム塩で窒素原子を0.4%含有したカチオン化澱粉)500部、及び、ナフタレン−スルホン酸ナトリウム−ホルムアルデヒド縮合物の40%水溶液3部の混合液を75℃に加温した。前記2−オキセタノンと前記混合液を75℃でホモミキサーにて予備分散させた後、同温度に保ちながら高圧吐出型ホモジナイザーに24.5MPaのせん断圧力下で通して均一に分散させた。この分散液にイオン交換水を適宜加えて15℃まで冷却した後、325メッシュの金網にて濾過して、固形分20.0%の水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。この水性分散液における粒子の平均粒径は0.6μmであった。
製造例2〜5
製造例1と同様にして合成した2−オキセタノン化合物の原料脂肪酸組成を表1に示した。原料脂肪酸を変更した以外は、製造例1と同様の分散方法にて製造例2、3の固形分20.0%の2−オキセタノン水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。これらの水性分散液における粒子の平均粒径は0.5〜0.8μmであった。
製造例6
1−オクタデセンに無水コハク酸を付加させたオクタデセニルコハク酸無水物の市販品(新日本理化株式会社製、商品名オクタデセニル無水コハク酸)を用いた。この酸無水物100部を70℃で加温融解後、20.3%両性ポリアクリルアミド(特許第2761891号公報の実施例1中のP−1に準じて合成した)123部とイオン交換水117部を75℃で混合した。前記1−オクタデセンと前記混合液とを75℃で混合し、ユニバーサルホモジナイザー(日本精機製作所製)により分散し、イオン交換水285部で希釈し25℃まで冷却し、固形分20.0%の水性分散液である製紙用サイズ剤を得た。この水性分散液における粒子の平均粒径は0.8μmであった。
(DSC測定)
上記製造例の製紙用サイズ剤中の2−オキセタノン化合物及び置換環状ジカルボン酸の融点及び凝固点をDSC測定により決定した。
上記DSC測定結果を表1、2に示す。
(抄紙装置汚れ試験▲1▼)
実施例1
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=9/1、カナディアン・スタンダード・フリーネス400)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)15%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(ケート304、日本NSC株式会社製)0.8%を順次添加し、表3に示す温度に維持した。次に、製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤1.2%を添加し、2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.7%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加して得たpH8.0、25℃のパルプスラリーを図2に示すロール汚れ試験機に供給し、1時間後のロール汚れ具合を調べた。結果を表3に示す。
実施例2〜22、比較例1〜17
表3に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例1と同様にして実施例2〜22、比較例1〜17について試験を行った。結果を表3に示す。
(抄紙装置汚れ試験装置)
図3はパルプスラリー投入口14から紙料をワイヤー装置15に順次供給し、減圧脱水した後第1ロール16と主ロール17で、次に第2ロール18と主ロールでプレスして脱水し、湿紙19を得るロール汚れ試験機を示すもので、その具体的構造は以下の通りである。
主ロール:直径25cm、幅40cm
第1ロール:直径14.5cm、幅40cm
第2ロール:直径10cm、幅40cm
ワイヤー:幅35cm
抄幅:15cm
抄速:1.5m/分
(抄紙装置汚れ試験の評価)
試験開始前と開始一時間後に第2ロール表面をマクベス濃度計にて測定し、次式に基づいて汚れ指数を算出した。
汚れ指数=[1−(1時間後のマクベス濃度/開始前のマクベス濃度)]×100
なお、この指数が大きいほどロールの汚れが多いことを示す。
(内添サイズ効果試験▲1▼)
実施例1
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=9/1、カナディアン・スタンダード・フリーネス400)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)15%、硫酸バンド0.5%、カチオン化澱粉(ケート304、日本NSC株式会社製)0.8%を順次添加し、表3に示される温度に維持した。次に、製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤0.12%を添加し、2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.24%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加し、ノーブル・アンド・ウッド社製の手抄き装置にて坪量65g/m2の湿紙を得た。抄紙温度は、汚れ試験温度に準じた。この湿紙をプレスした後、ドラムドライヤーで80℃、100秒間乾燥した。この紙を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表3に示す。
実施例2〜22、比較例1〜17
表3に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例1と同様にして実施例2〜22、比較例1〜17について試験を行った。結果を表3に示す。
(抄紙装置汚れ試験▲2▼)
実施例23
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、カナディアン・スタンダード・フリーネス375)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)30%を添加し、2分間撹拌後、カチオン化澱粉(エースK100、王子コーンスターチ株式会社製)0.9%を添加し、加温することにより表4に示される温度に維持した。次に、製造例6の製紙用サイズ剤を65℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤1.0%を添加し2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.7%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加して得たpH8.0、40℃のパルプスラリーを図2に示すロール汚れ試験機に供給し、1時間後のロール汚れ具合を調べた。結果を表4に示す。
実施例24、比較例18〜20
表4に示した加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例23と同様にして実施例24、比較例18〜20について試験を行った。結果を表4に示す。
(内添サイズ効果試験▲2▼)
実施例23
2.4%濃度のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、カナディアン・スタンダード・フリーネス375)に、軽質炭酸カルシウム(タマパール121S、奥多摩工業株式会社製)30%を添加し、2分間撹拌後、カチオン化澱粉(エースK100、王子コーンスターチ株式会社製)0.9%を添加し、加温することにより表4に示される温度に維持した。次に、製造例6の製紙用サイズ剤を65℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに製紙用サイズ剤0.12%を添加し2分間攪拌した。このパルプスラリー濃度を0.24%に希釈した後に、歩留まり向上剤(RD831、日本PMC株式会社製)0.02%を攪拌しながら添加し、ノーブル・アンド・ウッド社製の手抄き装置にて坪量80g/m2の湿紙を得た。抄紙温度は、汚れ試験温度に準じた。この湿紙をプレスした後、ドラムドライヤーで100℃、70秒間乾燥した。この紙を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表4に示す。
実施例24、比較例18〜20
表4に示した加温処理温度、パルプスラリーの温度で行なう以外は実施例23と同様にして実施例24、比較例18〜20について試験を行った。結果を表4に示す。
(表面サイズ効果試験)
実施例25
上記製造例1の製紙用サイズ剤を55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちに塗工液温度である35℃の酸化澱粉と混合し塗工用原紙にラボラトリー・サイズプレス機(熊谷理機工業株式会社製)にて塗工し、ステキヒトサイズ度をJIS P−8112に準じて測定した。結果を表5に示す。尚、試験条件は次の通りである。
(塗工用原紙)
中性上質紙
坪量:60g/m2
原紙ステキヒトサイズ:0.5秒
(塗工条件)
製紙用サイズ剤:塗工濃度0.15%(固形分)、塗工量0.03g/m2(固形分)
酸化澱粉(王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製):塗工濃度5%、塗工量1.0g/m2(固形分)
プレス速度:100m/分
塗工液温度:表5の塗工液温度
ドラムドライヤー:80℃、50秒間
実施例26〜46、比較例21〜33
表5に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、塗工液温度で行なう以外は実施例25と同様にして実施例26〜46、比較例21〜33について試験を行った。結果を表5に示す。
(熱・機械的安定性試験)
実施例25
上記製造例1の製紙用サイズ剤50gを55℃の加温処理温度で5分間処理した後、直ちにマーロン安定度試験機(熊谷理機工業株式会社製)にて、196Nの荷重下、回転速度1000rpmで5分間攪拌し、この時生じた100メッシュ金網不通過の固型分重量を測定し、製紙用サイズ剤の固型分に対する重量%を算出した。試験温度は、上記サイズ効果試験で用いた塗工液温度である25℃で行った。この重量%が多い程、粕発生が多いことを示し、熱・機械的安定性が不良であることを示す。尚、これは表面塗工液による汚れと相関する試験として行なっている。結果を表5に示す。
実施例26〜46、比較例21〜33
表5に示した製紙用サイズ剤、加温処理温度、塗工液温度(試験温度を上記サイズ効果試験で用いた塗工液温度と同じ温度で行なったため便宜上、塗工液温度と記載した)で行なう以外は実施例13と同様にして実施例26〜46、比較例21〜33について試験を行った。結果を表5に示す。
産業上の利用性
本発明によれば、疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記水性分散液を疎水性化合物の融点以上100℃以下に加温処理したのち、前記水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に添加する紙のサイジング方法によって抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
図1は、疎水性化合物を含有する水性分散液を貯蔵する製品タンクから定量ポンプによりこの水性分散液を加温装置に一定流量で供給した後、温度計により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液にこの水性分散液を添加する手順を示す説明図である。
図2は、疎水性化合物の溶融タンクから定量ポンプにより一定流量で供給された疎水性化合物と、乳化剤/水の混合液の加温タンクから定量ポンプにより一定流量で供給された混合液とを混合装置により混合した後、乳化装置により分散し、温度計により温度を確認しながら、直ちにパルプスラリー又は表面塗工液にこの水性分散液を添加する手順を示す説明図である。
図3は抄紙装置の汚れを試験する試験装置を示す概略説明図であり、抄紙装置のプレスパートを示すものである。
Claims (9)
- 疎水性化合物を含有する水性分散液を用いる紙のサイジング方法において、前記疎水性化合物の融点以上100℃以下の温度に加温処理された前記水性分散液を、その水性分散液の温度を前記疎水性化合物の凝固点まで下げることなく、前記疎水性化合物の凝固点を越える温度から100℃以下であるパルプスラリー又は表面塗工液に、添加することを特徴とする紙のサイジング方法。
- 前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記加温処理以前に、疎水性化合物と水性媒体とを用いて調製されてなる前記請求項1に記載の紙のサイジング方法。
- 前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加される前記水性分散液は、前記パルプスラリー又は表面塗工液に添加する直前に、前記疎水性化合物と水性媒体とを用いて、前記加温処理しつつ調製されてなる前記請求項1に記載の紙のサイジング方法。
- 疎水性化合物が2−オキセタノン化合物、置換環状ジカルボン酸無水物及び脂肪酸アミドよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙のサイジング方法。
- 前記疎水性化合物が、0℃以上50℃以下の凝固点を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙のサイジング方法。
- 前記疎水性化合物が、25℃以上100℃以下の融点を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙のサイジング方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された紙のサイジング方法によって製造されることを特徴とするサイズ紙。
- 炭酸カルシウムを含有する、上質紙、中質紙または再生紙であることを特徴とする請求項7に記載のサイズ紙。
- 液体容器用原紙または写真用印画紙用原紙であることを特徴とする請求項7に記載のサイズ紙。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081031 |