JPWO2003008913A1 - 気体流量測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、気体の流量を測定する装置に関する。特には、被測定対象気体の一部が流れる副通路に流量検出部を有する気体流量測定装置に係り、例えば、自動車用エンジン吸入空気流量の測定などに用いられる発熱抵抗式空気流量測定装置等に関する。
背景技術
自動車用エンジンの吸入空気流量を測定する発熱抵抗式空気流量測定装置(気体流量測定装置)には、被測定流体が流れる主通路と、被測定流体の一部が流れる副通路とを備えたものが広く知られている。副通路内には、発熱抵抗体や感温抵抗体などの流量検出素子が配置されている。
この副通路式流量測定装置は、副通路構造により被測定気体の流れの安定化を図り、また、流量検出素子は、主通路内の流速分布変化の影響低減、脈動流や逆流の影響低減、流量検出素子の汚損劣化低減等を図れる。また、主通路への計量素子の装着が容易であり、流量検出素子の保護を可能にするものと評価されている。
一方、副通路内に異物付着等による通路形状変化が生じた場合、流量計測値の変化は、副通路を有していない流量測定装置と比べて大きくなる。また、副通路の機能を高めるためには、通路形状には種々の工夫が折り込まれ、副通路形状は複雑になりがちである。特に、脈動流を低減して計測精度の維持を図るために、副通路は、曲りを有する形状となり、その曲り部に異物が残る可能性が高くなる。最も予想できるのは、流量測定装置の取付角度によって、水等の液体が副通路内に堆積や、曲り副通路での曲がり部への水溜まりが生じることで流量計測誤差で生じることである。
以上のような不具合を解消するために、例えば特開平7−139414号公報、特開平9−273950号公報に記載されるように、副通路に水が溜まることを防止するための排水孔を設けた技術手段が提案されている。
上記したような排水孔を有する流量測定装置は、副通路内に水が溜まり、流量検出素子が水没すること等による故障を防止するためのものである。
このような排水孔のようないわゆるリークホール(リークパス)は、副通路の機能を損なわない程度の小さな孔であるため、副通路内の水溜まりを防止できるものの、最後に残る液滴が表面張力によりリークホール内にとどまることもあり得る。
このような残留液滴は、リークホールを塞ぐことになり、それによって副通路内の空気流速分布が、リークホール内が塞がれていない場合と比べて変化することになる。
このような現象は、計測値の変化や出力ノイズの増加等の精度、性能の劣化を招く原因になる。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、上記のような課題を解決して、水などの液体が副通路に付着、堆積することを防ぐと共に、リークホールを液滴が塞ぐことによる流量計測誤差を低減する副通路構造を実現するものである。
発明の開示
副通路に水などの液体が付着した場合、その液体の大きさが小さい場合は、流量計測誤差も小さい。しかし、液滴が集まり、大きな粒になったり、特定部分に溜まったりすると、副通路内に流れる気体の流速分布変化や、副通路の通気抵抗変化による分流比の変化を生じさせ、流量計測誤差が生じる。
このような副通路内への液体の堆積は、既述したように副通路の内部から外部へ貫通する液体のリークホールを設けてやれば、そこから副通路内の液体を排出ができるため、防止することが可能となる。但し、当然そのリークホールはある程度の断面積を有するなど、その液体が容易に流出する構造であることが必要である。
一方、副通路は、その効果を十分に発揮するために、その通路の意図した通りに気体が副通路を流れる必要がある。リークホールは、副通路の目的とは一致しない通路構造であり、断面積を小さくする等の流体が流れ難い構造とする必要がある。
本発明は、その対策手段として、次のような課題解決手段を提案する。
(1)第1の発明は、副通路に堆積した液体が流出するリークホールを設け、かつ副通路を流れる被測定気体がそのリークホールをほとんど流れないようにした構造的手段を提案する。
第1の発明は、副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐリークホール(貫通孔)を設け、前記リークホールの副通路内壁側と副通路外壁側の両方あるいはどちらか一方の開口付近に、前記リークホールを通過する気体の流量を減少させるための構造的な手段を設ける。
このようにすれば、リークホールにより副通路内に水などの液体が溜まることを防止できる。しかも、液体がほとんど排水された後に最後に残る液滴がリークホール内で表面張力によりとどまりリークホールを塞いだとしても、リークホールを塞がれる前の状態が元々リークホール内を通過する流量を減少させるようにしているので、いずれの状態であっても、副通路内の空気流速分布は略同様のパターンを維持できる。したがって、リークホールが塞がれた場合と塞がれない場合の流量計測誤差を極力抑えることができる。
(2)上記リークホールは、流量計測精度への影響が無視できないレベル以上に液体が堆積することの無いような大きさ、形状とする。
また、上記のようなリークホール内を通過する副通路側の気体を減少させる具体的態様としては、例えば、リークホールの副通路外壁側の開口面付近に、被測定気体の流速に応じた動圧を発生させることによりその部分の圧力を上げる構造的手段を提案する。あるいは、リークホールの副通路内壁側の開口付近を剥離流域とすることによりその部分の圧力を下げる等により、リークホールの内外の圧力差を低減し、そこを流れる気体の流量を非常に小さくすることが考えられる。
(3)更に、具体的には、リークホールは、副通路出口面積の1/5以下であり、堆積する液体の量が少ない時には、表面張力等により液体が残り得る程度の大きさとする。例えば、液体が水の場合には、リークホールの径または短辺幅は、1mm〜5mmとする。
また、副通路外壁面のリークホールの開口付近に動圧を発生させる突起を設けたものを提案する。この突起は、副通路外壁面を流れる主通路の気体の流速に応じて、リークホールの副通路外壁側の開口付近に動圧を発生させるものである。その突起の形状、大きさを適宜設定することで、副通路内壁側と外壁側とのリークホール開口部に生じる圧力差がほぼ等しくなるように、動圧が調整される。
(4)更にリークホールを通過する気体を減少させる手段として、副通路の内壁面でリークホールよりも上流に突起を設ける。この突起により、副通路内のリークホール開口部付近を剥離流域とすることで、この部分の圧力を低減し、副通路外壁面のリークホール付近の圧力とほぼ等しくなるようにする。
リークホールは、計測誤差を生じるような液体は副通路外に排出する。一方、気体に対しては、リークホールの両端の圧力がほぼ等しくなっているため、リークホールを通る流れがほぼ無くなり、すなわち、気体流体に対しては、リークホールが無いに近い状態となる。そのため、副通路の機能が低下するのを防止できる。また、リークホールが、表面張力等で残った水などで塞がれた場合にも、塞がれていない状態と気体の流れはほとんど変わらないため、流量計測精度が維持される。
(5)第2の発明は、リークホール内に表面張力等で水などが液滴、液膜が残ることのないように、液膜除去構造を設ける。それにより、リークホールが塞がれることによる流量計測誤差が生じないようにする。
例えば、リークホールは、副通路の機能に影響を与えない程度の大きさ、形状とする。
また、リークホールの副通路外壁側の開口付近に、該開口に表面張力による液膜、液滴が形成されるのを防止する構造的な手段(突起、板状部材、棒状部材など)を設ける。このようにすれば、リークホールに生じる液滴、液膜の表面が垂れ下がって板状あるいは棒状の物体に触れると、その物体の表面への液滴の接触角により、液滴がその物体側に引き出される、リークホールに液滴、液滴が残ることを防止する。
他の態様としては、リークホールの副通路内壁側の開口面に副通路内を流れる気体の動圧がかかるようにし、リークホールに残ろうとする液膜、液滴を気体の動圧により破る構造を提案する。
例えば、リークホールの副通路内上流に仕切り壁を形成し、リークホールの副通路内壁側の開口面へ向かう気体の流れを作ることにより、リークホールの副通路内壁側の開口面に気体の流れによる動圧を生じさせる。さらに、仕切り壁の上流側端部は、副通路内の圧力の高い部分とすることで、リークホールの副通路内壁側の開口面の圧力を増加する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第1の実施例を、第1〜3図及び第6図を用いて説明する。また、従来例と本実施例の副通路内への水溜まり状態を、第4図、第5図を用いて説明する。さらに、本実施例の機能を、第7図〜第10図の流れ解析結果を用いて説明する。
第1図は、自動車エンジンに吸入される空気の流量を測定する発熱抵抗式空気流量測定装置をカバーを外してみた側面断面図、及びその一部拡大図である。。
空気流量測定装置(気体流量測定装置)は、被測定気体である空気が流れる主通路8と、主通路8内に配置されて被測定空気の一部が流れる副通路4とを備える。
本実施例では、発熱抵抗体1、感温抵抗体2及び吸気温測定素子3が、副通路4の内部に位置するようにターミナル11に固定され、電子回路5と電気的に接続している。
電子回路5は、感温抵抗体2の検出した吸気温度を基に、発熱抵抗体1の加熱温度を制御している。例えば、発熱抵抗体1と感温抵抗体2の温度差が所定温度差となるように発熱抵抗体1に流れる加熱電流が制御される。発熱抵抗体1の放熱量は、空気流量に略比例するので、加熱電流で検出することで、空気流量に応じた電気信号をコネクタ9を介して外部機器に出力することができる。本実施例では、この方式で空気流量を測定するが、その他、発熱抵抗体の上流、下流に感温抵抗体を配置して両者の温度差より空気流量を測定するようにしてもよく、その測定方式について限定するものではない。
吸気温度測定素子3の信号は、上記感温抵抗体2の温度補正やその他の用途に使用することが可能である。
ハウジング6は、ターミナル11等の金属部品をインサート成形したプラスチックモールド部品であり、電子回路5を内装保護するための枠体を形成するケース部6aと、外部機器との電気的接続のためのコネクタ9と、主通路8を構成する部材7に固定するためのフランジ部10等を一体的に形成している。
副通路4は、プラスチック成形品として形成され、ハウジング6に接合されるか、または、ハウジング6と一体に成形されるなどして、ハウジング6と副通路4は並設された一体構造となっている。
電子回路5は、ハウジング6のケース部6a内に設置され、図2に示すようにハウジング6にカバー12を、ケース部6aを覆うように接合することにより保護される。
したがって、電子回路、検出素子、副通路、コネクタ等は、一体化されたモジュールとなっている。
副通路4は、主通路8を流れる空気の主流方向13に対して略垂直な面に開口した空気流入口401と、主流方向13と平行な第1流路402と、その下流端で主流方向13に対し略垂直方向に曲る第1の屈曲部403と、さらに略直角に曲る第2の屈曲部404と、これらの屈曲部を介して、前記第1流路402と平行で逆方向に流れる第2流路405と、その下流端(主流方向13に対しては上流端)で主流方向13と略平行な面に開口した空気流出口406ととにより一連に形成される。この副通路4は、Uの字形の迂回通路となる。
第1流路402に、前記発熱抵抗体1、感温抵抗体2及び吸気温測定素子3が配置されている。
さらに、副通路4には、第2の屈曲部404に、本発明のポイントとなるリークホール(貫通孔)407と動圧を発生させる板状の突起(以下、「動圧板」と称する)408とが副通路4の壁体と一体に形成されている。
リークホール407は、副通路4の内壁面と外壁面とをつなぐことにより、副通路4と主通路8とを連通させるものである。リークホール407の通路断面形状は、円孔、角孔など種々の態様が考えられる。本実施例では、長方形のスリットとし、その大きさは、mmオーダであり、例えば短辺は、2mm程度にしてある。その長辺は副通路の幅に合わせてある(図3参照)。このリークホールのサイズは、副通路や主通路の大きさ及び動圧板408との関係で適宜任意に決定されるものである。
動圧板408の設けられる位置は、副通路4の外壁面における主流方向と平行な面(副通路外壁の底面)409であり、リークホール407の副通路外壁側の開口付近に設けられる。動圧板408は、リークホール407の副通路外壁側の開口位置を基準にして主通路8内の主流13の上流,下流を定めた場合に、その下流側となる位置で、副通路外壁の底面409から突出するようにして形成されている。
この動圧板408は、主流13に対して障害物となるものであり、この障害物で主流13を受けることより、リークホール407の副通路外壁側の開口面(リークホール出口)に動圧が発生する構造にしている。
本実施例では、動圧板(突起)408は、主通路の上流側に向く面408aが主流に対して垂直に形成されている。動圧板408の高さ(リークホール407の副通路外壁側の開口面から動圧板408の突出端までの距離)hは、例えば、リークホール407の短辺の長さ(リークホールが円孔である場合は直径)Wの1/2〜2倍程度としてあり、ここでは、最適値として2.5〜3.0mm程度にしてある。
この動圧板408は、副通路4内の第2の屈曲部404付近の圧力(リークホール407の副通路内壁側の開口)とリークホール407の副通路外壁側の開口位置における圧力差を小さくしてリークホール407の通過する空気の漏れ量を減少させるための構造的な手段となる。
主通路8は、計測対象の流体が流れる流路であり、例えば自動車用エンジンの場合、エアクリーナからエンジンシリンダ上流までの吸気管路に当たる。自動車用発熱抵抗式空気流量測定装置では、この主流路8を構成する部材7は、発熱抵抗式空気流量測定装置の専用ボディとして、吸気管路の途中に連接される場合や、エアクリーナや、ダクト、スロットルボディ等を流用する場合がある。
主通路構成部材7の壁部には、計測モジュール(発熱抵抗体1,感温抵抗体2等の計測素子、副通路4、ハウジング6等で構成したモジュール)を主通路8の内部に位置させる挿入穴15が設けられる。ハウジング6を主通路構成部材7にネジ締め等により固定することで、計測モジュールが取り付けられ、主通路を流れる空気の流量の計測が可能となる。
上記リークホール407を有さない空気流量装置の場合、外部から水が浸入すると、その設置角度によっては副通路4内に水が溜まることがある。このような水溜まりが生じる状態を第4図に示す。
第4図は、リークホールを有していない迂回式の副通路4を示すものであり、その第2の屈曲部404(通路曲がり角)に水が溜まりやすい状態で空気流量装置を設置した場合を示す。
この場合、副通路4の内部に浸入した水は、第2の屈曲部404付近に溜まり、副通路4の通路断面積がその水溜まり部16付近で小さくなるため、副通路4の通気抵抗が増大し、副通路4を流れる空気流量が減少(測定対象空気の流量は同一でも、主通路を流れる量が増加し、副通路を流れる量は減少)するため、空気流量測定装置の計測流量には大きなマイナス誤差を生じる。
さらに水の溜まる量が増加していけば、その副通路形状や取付け角度によっては、副通路4を部分的に水が覆い空気の流れを遮断し、空気流量計測を不可とする。つまり、副通路4を空気が流れなくなり計測流量を0として出力することも考えられる。
また、検出素子1、2、3等が水没すれば、激しい計測誤差を生じたり、腐食、電蝕により検出素子1、2、3等が破損し計測不能に陥ることも考えられる。
一方、第5図に示すようにリークホール407を有する副通路4の場合は、副通路4の内部に浸入した水はリークホール407を通って抜けるため、水溜まり16により副通路4内部の空気の流れを阻害することを防止できる。当然、取付角度や形状が異なる時には、それにより水が溜まる可能性のあるところに、場合によっては複数のリークホール407を設けることになる。
ここで、副通路4内に浸入した水は、第5図に示すように残り少なくなるとリークホール内での表面張力が勝り、それにより水滴16あるいは水膜状に残る。この水16は、その量が増加すると表面張力に勝ってリークホール407から流出するが、その場合にも極少量の残り水16になると、やはり水滴あるいは水膜状に残る。
このようにリークホール407を設けた副通路4でも、副通路4内に水が浸入すると、副通路4内の空気流の障害となる程は溜まらないが、リークホール407を水16が塞ぐことになる。したがって、この場合には、リークホール407を通して副通路外(主通路)へ流出する漏れ空気流が無くなるため、リークホール407が水で塞がれない場合に比べて副通路4内の空気の流れが変化し、空気流量計測誤差を生じることになる。
本実施例では、このような空気流量計測誤差を次にようにして低減する。
副通路4内における、第2屈曲部404付近(リークホール407の副通路内壁側の開口付近)は動圧発生領域で副通路4内でも比較的高い圧力領域である。一方、リークホール407の副通路外壁側の開口付近は、動圧板408がない場合には副通路外壁に沿って流れる主流13の流速により低圧領域にあるが、動圧板408を設けることで動圧が発生する。それにより、リークホール407における副通路外壁側の開口面と第2屈曲部404付近との圧力差がほとんどなくなるために、リークホール407が水で塞がれない場合の副空気通路4の空気リーク量は極力抑えられる。
したがって、リークホール407が水で塞がれた場合と、塞がれない場合との空気の流速分布にさほどの変化が生じないようにすることができ、空気流量計測誤差を抑えることができる。
なお、第1図では、動圧板408は、主通路8の上流側(空気導入側)に向く面408aが主流13に対して垂直に形成されているが、これに代わり第6図に示すように、主通路8の上流側に向く面408aが副通路外壁面に対して鋭角をなす方向(幾分リークホール407側に向く方向)に傾いて形成する態様も提案する。このように動圧板408に傾斜面を設けることで、リークホール407の副通路外壁側の開口面により効率よく動圧を発生させることができる。
その結果、第1図の動圧板408に比べて第6図の動圧板408の高さhを短くして同等の動圧を発生させることができる。第6図の実施形態の場合は、リークホール407の短辺を2mmとした場合、動圧板の高さhの最適値を0.5〜2.0mmとすることができる。
本実施例での動圧板408の効果を、第7図〜第10図の流れ解析結果により説明する。
第7図は本実施例に対する比較例(リークホール407を有するが動圧板408は有しない)の副通路4を主流と垂直に断面して表した、副通路内の流速ベクトル図である。主通路(主流)の平均流速が2m/sの時の流れ解析結果である。この場合には、リークホール407から主通路へ流速1m/s以上の流れが生じている。
これに対して第8図は、第6図に対応の本発明(主流の上流側に向いた面が傾斜面をなす動圧板408)を持った場合の副通路4内の流速ベクトル図である。
本例の場合には、動圧板408の機能により、リークホール407の副通路内外の開口面の圧力差を小さくすることができるために、リークホール407から流出する空気の流速は、0.5m/s以下に減少している。
第9図は、第7図の比較例におけるリークホール407周辺の副通路内外の圧力分布図、第10図は、第8図の実施例におけるリークホール407周辺の副通路内外の圧力分布図である。第9図及び第10図も主通路の平均流速が2m/sの時の流れ解析結果である。
第9図に示すように、リークホール407に動圧板を設けていないものは、リークホール407の副通路外壁側の開口面4の圧力は負圧になっており、副通路4の内側と外側のリークホール407開口面の圧力差は、0.5Pa以上となっている。
一方、第10図は、リークホール407の副通路外壁側の開口面は、動圧板408により動圧が生じているために、圧力が高まっている。すなわち、リークホール407の副通路外壁側の開口面付近には、動圧板408により副通路側壁409近傍の空気流に応じて発生する動圧が生じていることが分かる。この動圧により、リークホール407の副通路外壁側の開口付近の圧力が高まり、副通路4の内側と外側のリークホール407開口面の圧力差は、0.2Pa以下となっている。
このような構成においては、リークホール407における副通路内壁側の開口部付近の最大圧力と、副通路外壁側の開口部付近の最低圧力との圧力差が、被測定気体の平均流速uにより生じる動圧分であるu2/2gの1/5以下になるような構造となる。
また、リークホールが塞がった時と塞がらない時の流量検出量の偏差は、2%以下になるような構造にすることができる。
次に本発明の第2の実施例を第11図により説明する。
第11図は、屈曲通路とはなっていない副通路4を有する発熱抵抗体式空気流量測定装置の横断面図である。副通路4は、入口開口面401と出口開口面406の間に縮流部4′を形成した通路であり、縮流部4′の下流に流量検出素子1、2が設置されている。
このような副通路では、縮流部に水が溜まることがあるため、その底面部にリークホール407を設け、リークホール407の下流に動圧板408を形成している。
本実施例における空気流量測定装置においても、もし、リークホール407が無いと、副通路4に水が浸入した場合に、縮流部の底面付近に水溜まり16が生じ易くなることもある。この水溜まり16は空気流の障害となり得るため、流量検出素子1、2設置部の流速分布を変えたり、副通路4への分流比変化を及ぼす可能性がある。
本実施例においても、リークホール407により副通路4内に水溜まりは防止できるが、水滴あるいは水膜状の水により、リークホール407が塞がれた場合、流量計測誤差を生じる。しかし前述の実施例同様の動圧発生原理により、リークホール407が水で塞がれた場合と、塞がれない場合との空気の流速分布にさほどの変化が生じないようにすることができ、空気流量計測誤差を抑えることができる。
第12図は、本発明の第3の実施例に係る部分断面図である。空気流量測定装置の基本的な構成は第1図と同様である。すなわち、本実施例も図1にて示した実施例と同様に、発熱抵抗体1、感温抵抗体2及び吸気温測定素子3が、副通路4の内部に位置するようにターミナル11に固定され、電子回路5と電気的に接続している。副通路4、電子回路5、コネクタ9、ハウジング6、カバー12、主通路8等は、図11では省略している。
前記副通路4の主な形状も第1図と同様であり、リークホール407と動圧板408を有する。
本実施例では、これに加えて、副通路4内のリークホール407の上流近辺に、断面が三角形状(山形)の突起411を設けている。この突起411は、副通路4の上流と下流に山形をなすように傾斜をもつが、傾斜は一面でもよい。突起411は、副通路4内を通過する空気流を偏向させる機能を有しており、ここでは、偏向突起411と称する。
この偏向突起411は、副通路4における第2の屈曲部404付近の内壁に形成される。換言すれば、偏向突起411は、副通路内の上流、下流をリークホール407の副通路内壁側の開口を基準にして定めた場合に、リークホール407の副通路内壁側の開口近傍でこの開口より上流の位置に形成されている。
そのため、この偏向突起411壁面付近の副通路4内を流れる空気は、その流線の向きがさらに副通路の出口開口部406方向に変えられる。従って、リークホール407の副通路内壁側の開口面付近は、剥離流域となりこの部分の圧力は低減される。
その結果、上記した動圧板408の効果に加わって、リークホール407における副通路内壁側の開口部付近の圧力が、副通路外壁側の開口面付近の圧力とほぼ等しくなるため、リークホール407が塞がれた時と塞がれていない時の流れがほぼ等しく維持され、水滴、あるいは水膜状にリークホール407に残る水16のために生じる計測誤差を低減することができる。
第13図は、第12図の実施例の他の態様であり、第12図と異なる点は、動圧板408に第6図同様の傾斜面を設けた点である。
第14図も第12図の実施例の他の態様であり、第12図と異なる点は、動圧板408をなくし、偏向突起411のみで、リークホール407における副通路内壁側の開口部付近の圧力を小さくすることで、この圧力を副通路外壁側の開口面付近の圧力に近づけようとするものである。
本実施例での偏向突起411の効果を、第15〜18図の流れ解析結果により説明する。
第15図は、第6図の実施例に係る空気流量測定装置の副通路4(リークホール407と動圧板408を有するが、偏向突起411は有していない)を主流と平行に断面して表した、副通路内の流速ベクトル図であり、主通路の平均流速が25m/sの時の流れ解析結果である。
第16図は、第13図の実施例に係る空気流量測定装置の副通路4(リークホール407と動圧板408と偏向突起411とを有する)を主流と平行に断面して表した、副通路内の流速ベクトル図であり、主通路の平均流速が25m/sの時の流れ解析結果である。
第15図に示すように、偏向突起411の無いときは、動圧板408による効果を用いても、リークホール407の流出流速は15m/s程度である。これに対して、偏向突起411を設けた場合は、リークホール407の流出流速は7m/s程度に低減している。したがって、リークホールを設けた場合であっても、より一層、流量計測誤差を少なくすることができる。
第17図は、第15図に示す空気流量測定装置の副通路4及びリークホール407周辺の圧力分布図である。第18図は、第16図に示す空気流量測定装置の副通路4及びリークホール407周辺の圧力分布図である。いずれも主通路の平均流速が25m/sの時の流れ解析結果である。
第17図のように、偏向突起411を設けていないものでは、リークホール407の副通路内壁側と外壁側との開口面の圧力差は、40Pa以上となっている。第18図のように、副通路4内のリークホール407上流に偏向突起411を設けているものでは、リークホール407における副通路内壁側の開口面付近の圧力が低減し、リークホール407の副通路内壁側と外壁側の開口面の圧力差は、25Pa程度となっている。
今までに述べた実施例は、リークホール407に表面張力等で水などが残り、リークホールが塞がれても、塞がれていない場合に比べての流量計測誤差をできるだけ小さくするようにしたものである。
第19図以降に述べる実施例は、リークホールに表面張力等で水などが残るのを積極的に防止して、リークホールが塞がれることによる流量計測誤差が生じないようにした、リークホールの液膜除去構造を有する実施例に関するものである。
第19図は、本発明の第4実施例に係る空気流量測定装置の要部断面図であり、第1図に示したような電子回路5、コネクタ9、ハウジング6、カバー12、主通路8等を省略しているが、これらについては既述した各実施例と同様の構成をなすものである。第20図はその底面図である。
本実施例における発熱抵抗体1等の検出素子の配置や副通路4の全体的な形状は、第1〜18図までに述べた実施例と同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施例では、リークホール407の副通路外壁側の開口付近に、該開口に表面張力による液膜が形成されるのを防止する構造的な液膜除去手段を設けたものである。
液膜除去手段としては、例えば、リークホール407の副通路外壁側の開口面から出た位置に、この開口面に臨むようにして板状部材(棒状の部材でもよい)412を設けた。
この板状部材412は、副通路4の底部409に延設した突出片420と一体に形成される。突出片420は、副通路4の長辺側の一側面から延びるようにして、副通路4と一体に成形され、また、板状部材412も突出片420に直角に交わるようにして、板状部材412と一体に成形されている。
この板状部材(或いは棒状部材)412は、リークホール407の副通路外壁側の開口面のほぼ中心の延長線上にある。
また、板状部材412の端面とリークホール407の副通路外壁側の開口面との間には、ギャップGが設けられている。これは、板状部材412の端面がリークホール407の副通路外壁側の開口面まで達っしたり、或いはそれ以上になってリークホール407に入ると、かえってリークホール407内の液膜除去効果を期待できないためである。すなわち、リークホール407の副通路外壁側の開口面と板状部材412の端面との間には、ある程度のギャップGを確保することで、水滴がリークホール407の出口側開口から垂れ下がった状態で突起412に接触することで、液膜を破壊しやすくなる。
リークホール407は、副通路4の内部に水が溜まったときに、水を外部に流出するものであるが、副通路4の機能を損なわないことを考慮した孔の大きさにしたリークホールでは、第5図に示したように、水滴、あるいは水膜状にリークホール407に水が残る。このために水が付着していないときに対して、副通路内の空気の流れが変化し、計測誤差を生じることは既述した通りである。
本実施例では、リークホール407に液滴が生じると、その液滴の表面がその板状体412に触れ、その板状体412の表面への液滴の接触角により、液滴がその板状体側に引き出される。従つて、リークホール407を塞ぐほどの液滴は、この板状体412に触れて、板状体412を伝わって流れ出やすくなるため、リークホール407に水が留まることを防止することができる。
第21図は、第19図と同様にリークホール407における液膜、液滴除去構造となる一実施例を示すものである。
本実施例では、副通路4の内壁で第2の屈曲部404付近に、副通路4中の気体の流れを分流して、その一部をリークホール407に導く仕切り壁413を副通路4と一体に形成したものである。
この仕切り壁413と副通路404の内壁とで形成される分流用の通路415は、リークホール407の上流に位置する。また、仕切り壁413は、リークホール407の直前で途切れて、この途切れた部分414が副通路404側と通じている。このような途切れた部分414を設けることで、仕切り壁413によって形成された分流用の通路415内を水滴をスムーズに通して、リークホール407側に導くことができる。
上記構成によれば、仕切り壁413は、副通路4を流れる空気の一部を分離し、リークホール407に気体の流れをまっすぐに導くことにより、リークホール407の副通路内壁側の開口面に動圧を生じさせる。特に,仕切り壁413の上流側端部は、副通路4の内部の圧力の高い領域である曲がり部に臨むように配置されるので、リークホール407の副通路内壁側の開口面に生じる圧力を、さらに増加するようにできる。
これにより、リークホール407は、副通路4の機能を損なわない程度に小さな開口面積としながら、リークホール407の内壁開口面に生じる圧力により、水滴や水膜を副通路4の外部に押し出すことができる。そのため、リークホールは常に開口している(液体により塞がれることがない)ので、リークホールが塞がれて気体の流れが変化することによる流量検出誤差を防止できる。
第22図は、第11図と同じ構造の流量測定装置に、偏向突起411と動圧板408を形成した一実施例を示すものである。このような構成も第11図を用いて説明した実施例と同様に、リークホール407の内側壁面付近の副通路4内を流れる空気は、その流線の向きが副通路4の中心方向に変えられる。そのため、リークホール407の内壁側開口面付近は、剥離流域となりこの部分の圧力は低減され、リークホール407の内側と外側の圧力がほぼ等しくなる。したがって、リークホール407が塞がれた時と塞がれていない時の流れがほぼ等しく維持され、水滴、あるいは水膜状にリークホール407に残る水のために生じる計測誤差を低減できる。
なお、上記した副通路のリークホールの周辺、動圧あるいは剥離流域を発生させるための突起、板状、棒状物体あるいは仕切り壁は、その他の部分よりも粗い表面とすれば、それらの表面での液体の接触角を小さくし、液体がリークホールから流出しやすくなる。
上記各実施例において、リークホール407の径あるいは短辺の長さは、副通路に流入する水などの液体の表面張力によって生じる液滴の高さの0.5〜2倍程度が好ましい結果が得られた。
産業上の利用可能性
本発明によれば、副空気通路内に水が浸入した場合や結露水が堆積しようとしても、それらの液体をリークホールを介して排出することができ、副通路内に水などの液体が溜まるのを防止できる。しかも、リークホールに液膜、液滴(副通路内には溜まらずリークホールに付着するもの)が形成されて、リークホールに塞がれた場合であっても、塞がれない場合であっても、流量測定誤差を小さくでき、或いは、常時リークホールに液膜が溜まらないようにすることで、流量測定誤差を小さくして、流量測定精度を高めることができる。しかもこのような効果をコスト、サイズ、重量等への影響無しに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例に係る気体流量測定装置をカバーを外してみた側面断面図、及びその一部拡大図、第2図は、第1図を上方(上流側)から見た本実施例の外観図、第3図は、第1図を左方向から見た外観図(底面図)、第4図は比較例の気体流量測定装置で、リークホールを有していない副通路の水溜まり状態を示す説明図、第5図は、第1実施例におけるリークホールを有している副通路の水溜まり状態を示す説明図、第6図は、第1実施例の他の態様を示す側面断面図及びその一部拡大図、第7図は、動圧板を有していない副通路の流速ベクトル図、第8図は、動圧板を有している副通路の流速ベクトル図、第9図は、動圧板を有していない副通路の圧力分布図、第10図は、動圧板を有している副通路の圧力分布図、第11図は、本発明の第2の実施例を示す縦断面図、第12図は、本発明の第3実施例に係る気体流量測定装置の副通路の内部構造を示す部分側面図、第13図及び第14図は、第3実施例の他の態様に係る副通路の内部構造を示す部分側面図、第15図は、第3実施例の比較例で偏向突起を有していなし副通路の流速ベクトル図、第16図は、第3実施例における偏向突起を有している副通路の流速ベクトル図、第17図は、偏向突起を有していない副通路の圧力分布図、第18図は、偏向突起を有している副通路の圧力分布図、第19図は、本発明の第4実施例に係る気体流量測定装置の部分側面図、第20図は、その底面図、第21図は、本発明の第5実施例に係る部分側面図、第22図は、本発明の第6実施例に係る縦断面図である。
明 細 書
気体流量測定装置
技術分野
本発明は、気体の流量を測定する装置に関する。特には、被測定対象気体の一部が流れる副通路に流量検出部を有する気体流量測定装置に係り、例えば、自動車用エンジン吸入空気流量の測定などに用いられる発熱抵抗式空気流量測定装置等に関する。
背景技術
自動車用エンジンの吸入空気流量を測定する発熱抵抗式空気流量測定装置(気体流量測定装置)には、被測定流体が流れる主通路と、被測定流体の一部が流れる副通路とを備えたものが広く知られている。副通路内には、発熱抵抗体や感温抵抗体などの流量検出素子が配置されている。
この副通路式流量測定装置は、副通路構造により被測定気体の流れの安定化を図り、また、主通路内の流速分布変化の影響低減、脈動流や逆流の影響低減、流量検出素子の汚損劣化低減等を図れる。また、主通路への計量素子の装着が容易であり、流量検出素子の保護を可能にするものと評価されている。
一方、副通路内に異物付着等による通路形状変化が生じた
して、副通路の内壁面でリークホールよりも上流に突起を設ける。この突起により、副通路内のリークホール開口部付近を剥離流域とすることで、この部分の圧力を低減し、副通路外壁面のリークホール付近の圧力とほぼ等しくなるようにする。
リークホールは、計測誤差を生じるような液体は副通路外に排出する。一方、気体に対しては、リークホールの両端の圧力がほぼ等しくなっているため、リークホールを通る流れがほぼ無くなり、すなわち、気体流体に対しては、リークホールが無いに近い状態となる。そのため、副通路の機能が低下するのを防止できる。また、リークホールが、表面張力等で残った水などで塞がれた場合にも、塞がれていない状態と気体の流れはほとんど変わらないため、流量計測精度が維持される。なお、上記効果は液体によりリークホールが塞がれた場合のみならず、ダスト等の固定によるリークホール塞ぎに対しても同様である。
(5)第2の発明は、リークホール内に表面張力等で水などが液滴、液膜が残ることのないように、液膜除去構造を設ける。それにより、リークホールが塞がれることによる流量計測誤差が生じないようにする。
例えば、リークホールは、副通路の機能に影響を与えない程度の大きさ、形状とする。
また、リークホールの副通路外壁側の開口付近に、該開口に表面張力による液膜、液滴が形成されるのを防止する構造的な手段(突起、板状部材、棒状部材など)を設ける。この
ようにすれば、リークホールに生じる液滴、液膜の表面が垂れ下がって板状あるいは棒状の物体に触れると、その物体の表面への液滴の接触角により、液滴がその物体側に引き出され、リークホールに液滴が残ることを防止する。
他の態様としては、リークホールの副通路内壁側の開口面に副通路内を流れる気体の動圧がかかるようにし、リークホールに残ろうとする液膜、液滴を気体の動圧により破る構造を提案する。
例えば、リークホールの副通路内上流に仕切り壁を形成し、リークホールの副通路内壁側の開口面へ向かう気体の流れを作ることにより、リークホールの副通路内壁側の開口面に気体の流れによる動圧を生じさせる。さらに、仕切り壁の上流側端部は、副通路内の圧力の高い部分とすることで、リークホールの副通路内壁側の開口面の圧力を増加する。
図面の簡単な説明
第1図は、本発明の第1実施例に係る気体流量測定装置の側面断面図、及びその一部拡大図、第2図は、第1図を上方(上流側)から見た本実施例の外観図、第3図は、第1図を左方向から見た外観図(底面図)、第4図は比較例の気体流量測定装置で、リークホールを有していない副通路の水溜まり状態を示す説明図、第5図は、第1実施例におけるリークホールを有している副通路の水溜まり状態を
例の機能を、第7図〜第10図の流れ解析結果を用いて説明する。
第1図は、自動車エンジンに吸入される空気の流量を測定する発熱抵抗式空気流量測定装置の側面断面図、及びその一部拡大図である。
空気流量測定装置(気体流量測定装置)は、被測定気体である空気が流れる主通路8と、主通路8内に配置されて被測定空気の一部が流れる副通路4とを備える。
本実施例では、発熱抵抗体1、感温抵抗体2及び吸気温測定素子3が、副通路4の内部に位置するようにターミナル11に固定され、電子回路5と電気的に接続している。
電子回路5は、感温抵抗体2の検出した吸気温度を基に、発熱抵抗体1の加熱温度を制御している。例えば、発熱抵抗体1と感温抵抗体2の温度差が所定温度差となるように発熱抵抗体1に流れる加熱電流が制御される。発熱抵抗体1の放熱量は、空気流量に応じて変化するので、加熱電流で検出することで、空気流量に応じた電気信号をコネクタ9を介して外部機器に出力することができる。本実施例では、この方式で空気流量を測定するが、その他、発熱抵抗体の上流、下流に感温抵抗体を配置して両者の温度差より空気流量を測定するようにしてもよく、その測定方式について限定するものではない。
吸気温度測定素子3の信号は、上記感温抵抗体2の温度補
とになる。したがって、この場合には、リークホール407を通して副通路外(主通路)へ流出する漏れ空気流が無くなるため、リークホール407が水で塞がれない場合に比べて副通路4内の空気の流れが変化し、空気流量計測誤差を生じることになる。
本実施例では、このような空気流量計測誤差を次にようにして低減する。
副通路4内における、第2屈曲部404付近(リークホール407の副通路内壁側の開口付近)は動圧発生領域で副通路4内でも比較的高い圧力領域である。一方、リークホール407の副通路外壁側の開口付近は、動圧板408がない場合には副通路外壁に沿って流れる主流13の流速により低圧領域にあるため、副通路内から副通路外へリークホールを通って流出する流れが生じる。しかし、動圧板408を設けることでリークホールの副通路外壁側の開口付近に動圧が発生する。それにより、リークホール407における副通路外壁側の開口面と第2屈曲部404付近との圧力差がほとんどなくなるために、リークホール407が水で塞がれない場合の副空気通路4の空気リーク量は極力抑えられる。
したがって、リークホール407が水で塞がれた場合と、塞がれない場合との空気の流速分布にさほどの変化が生じないようにすることができ、空気流量計測誤差を抑えることができる。
なお、第1図では、動圧板408は、主通路8の上流側(空気導入側)に向く面408aが主流13に対して垂直に形成
Claims (30)
- 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔の副通路内壁側と副通路外壁側の両方あるいはどちらか一方の開口付近に、前記貫通孔を通過する気体の流量を減少させるための構造的な手段を設けていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔の副通路外壁側の開口面に動圧が生じる構造としていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 前記貫通孔の副通路外壁側の開口位置を基準にして前記主通路内の主流の上流,下流を定めた場合に、その下流側となる位置で前記貫通孔の副通路外壁側の開口付近に、前記主流に対する障害物を設け、この障害物により前記貫通孔の副通路外壁側の開口面に動圧が生じるようにした請求項2記載の気体流量測定装置。
- 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔の副通路外壁側の開口位置を基準にして前記主通路内の主流の上流,下流を定めた場合に、その下流側となる位置で前記貫通孔の副通路外壁側の開口付近に、前記主流に対して障害物となる突起物を設け、
前記突起物は前記副通路の外壁と一体に形成され、この突起物により前記貫通孔の副通路外壁側の開口面に動圧を生じさせるようにしたことを特徴とする気体流量測定装置。 - 前記突起物は、前記主通路の上流側に向く面が前記主流に対して垂直に形成されているか、或いは副通路外壁面に対して鋭角をなす方向に傾いて形成されている請求項4記載の気体流量測定装置。
- 前記突起物の高さは、前記貫通孔の径あるいは短辺の長さの1/2〜2倍程度である請求項4又は5記載の気体流量測定装置。
- 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記副通路内には、前記貫通孔の副通路内壁側の開口面が前記副通路を流れる気体の剥離流域になるような構造的な手段が設けられていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔の副通路内壁側の開口位置を基準にして前記副通路内の主流の上流,下流を定めた場合に、その上流側となる位置に副通路の流れの方向を変える偏向構造を設け、この偏向構造により前記貫通孔の副通路内壁側の開口面が剥離流域となるようにしていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 前記偏向構造は、前記貫通孔より上流の副通路内壁位置に形成した突起物である請求項8記載の気体流量測定装置。
- 前記突起物は、その上流面あるいは上流と下流の両面が傾斜面となっている請求項9記載の気体流量測定装置。
- 前記突起物の高さは、前記貫通孔の径あるいは短辺の長さの1/2〜2倍程度である請求項9又は10記載の気体流量測定装置。
- 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔における副通路内壁側の開口部付近の最大圧力と、副通路外壁側の開口部付近の最低圧力との圧力差が、被測定気体の平均流速uにより生じる動圧分であるu2/2gの1/5以下になるような構造にしていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔が塞がった時と塞がらない時の流量検出量の偏差は、2%以下になるような構造にしていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、副通路内に水がある場合にはその水を前記貫通孔より抜けるようにしてあり、
前記貫通孔の副通路外壁側の開口付近に、該開口に表面張力による液膜、液滴が形成されるのを防止する構造的な手段を設けたことを特徴とする気体流量測定装置。 - 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記貫通孔の副通路外壁側の開口面から出た位置に前記開口面に臨む板状あるいは棒状の部材を設けていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 前記板状あるいは棒状の部材は、前記貫通孔の副通路外壁側の開口面のほぼ中心の延長線上にある請求項15記載の気体流量測定装置。
- 前記板状あるいは棒状の部材の端面と前記貫通孔の副通路外壁側の開口面との間には、ギャップが設けられている請求項15又は16記載の気体流量測定装置。
- 気体が流れる主通路と、気体の一部が流れる副通路とを備え、気体の流量を検出するための検出素子を副通路内に配置した気体流量測定装置において、
前記副通路の入口と出口の間に、副通路の内壁面と外壁面をつなぐ貫通孔を設け、
前記副通路の内部には、副通路中の気体の流れを分流してその一部を前記貫通孔に導く仕切り壁が形成されていることを特徴とする気体流量測定装置。 - 前記仕切り壁は、前記貫通孔の直前で途切れて、この途切れた部分が副通路側と通じている請求項18記載の気体流量測定装置。
- 前記副通路には、副通路を流れる気体により動圧を生じる部分があり、前記仕切り壁はその動圧発生部から前記貫通孔に向けて形成されている請求項18又は19記載の気体流量測定装置。
- 前記貫通孔は、前記副通路に流入した水などの液体を排出するための排出孔である請求項1ないし請求項20のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記副通路は、少なくともひとつの曲り通路を形成しており、その曲がり部近傍に前記貫通孔を設けている請求項1ないし請求項21のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記副通路はU字型に形成されており、その曲がり部の外コーナーあるいはその近傍に前記貫通孔を設けている請求項22記載の気体流量測定装置。
- 前記貫通孔は、前記副通路の通路幅とほぼ同等長さのスリット状の孔である請求項1ないし請求項23のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記貫通孔の径あるいは短辺の長さは、前記副通路に流入する水などの液体の表面張力によって生じる液滴の高さの0.5〜2倍程度である請求項1ないし請求項24のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記副通路及び前記貫通孔と、前記障害物或いは前記偏向構造或いは前記板状部材或いは前記棒状部材或いは前記仕切り壁とは、プラスチックモールドにより一体に形成されている請求項3ないし6、請求項8ないし11、請求項15ないし20のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記副通路の前記貫通孔の周辺、前記障害物、前記偏向構造、前記板状部材、前記棒状部材及び前記仕切り壁のすくなくとも一つは、その他の部分よりも粗い表面としている請求項1ないし請求項26のいずれか1項記載の気体流量測定装置。
- 前記粗い表面は、多数の細かな溝により形成されている請求項27記載の気体流量測定装置。
- 請求項1ないし請求項28のいずれか1項記載の構成を有する、内燃機関の吸入空気流量を測定する発熱抵抗式空気流量測定装置。
- 請求項29記載の発熱抵抗式空気流量測定装置を有する、内燃機関制御システム。
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