JPWO2003008171A1 - 樹脂レンズの製造方法とその樹脂レンズ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、樹脂レンズの製造法とそのレンズに関し、詳しくは少なくとも2種類の素材を用いて成形することで、化学的、物理的性質あるいは価格等を改善した樹脂レンズに関する。
背景技術
樹脂レンズは、流動性のある光学用樹脂を型に注入し硬化させて作製するのが一般的であり、1種類の光学用樹脂で構成されている。光学用樹脂はガラスに比べて軽量であり、染色性、耐衝撃性、機械加工性等に優れているが、光学特性に優れている樹脂が他の特性についても優れているとは限らない。従って光学用樹脂の開発に於いては、レンズとしての諸特性をバランスよく向上させるよう努力が払われるが、1種類の樹脂で全てを満足させるのは不可能である。例えば硬い樹脂は一面もろい性質を有しているため機械加工の加工性に難があり、また、屈折率が高くてもアッベ数や染色性が低いために色収差が生じたり、ファッション性に欠けるという欠点があったり、あるいは耐衝撃性は優れるが耐擦傷性が低い等、一長一短がある。これらの欠点を補うために、2枚のレンズを貼り合わせて2層構造にすることも考えられるが、光軸や接合曲面を一致させるには手間がかかり、価格を押し上げる結果になる。
一方、樹脂レンズの付加価値を向上させるために種々の作用効果を有する薄膜を積層することが古くから行われている。例えば、耐擦傷性を向上させるためにハードコート層を積層したり、ホトクロミクス層を積層すること等である。本発明に関係する先行技術文献としては、特開昭60−205401号及び特開平8−216271号が挙げられる。前者には、射出成形法により予め成形されたガラスレンズに樹脂を注入して非球面レンズを一体に成形する手法が記載されている。しかし、この技術は、ガラスレンズ自体の光学的あるいは化学的性質の欠点を補うものではなく、形状の変更を行うことで量産性を向上させたものである。また後者には、同様に予め樹脂レンズを成形した後、成形時に使用したモールドの片側を離型し、キャビティを形成して、このキャビティへホトクロミクス材を注入し、一体に成形して樹脂レンズの片側面にホトクロミクス層を形成することが記載されている。これらの先行技術から、予め成形された成形物の片側面にキャビティを形成し、このキャビティに別の樹脂を注入して一体に成形することは公知であると認められる。しかしながら、これらはいずれも基材となるレンズの性質をそのまま利用することを前提としており、性質の異なる2種類以上の樹脂素材を組み合わせて使用することにより、基材となるレンズ自体の欠点を補うという発想はいずれの文献にも示されていない。
これに対し本願発明は、光学用樹脂の欠点を補うことを目的の一つとしており、これによりレンズ自体の光学的特性あるいは物理的もしくは化学的性質等の改善がなされる。また、半製品レンズから完成品のレンズを作製する際に削除される樹脂として、切削性のよい素材を選択したり、低価格の樹脂等を用いることにより、製造コストの削減を図ることを目的とするものである。
発明の開示
本発明の製造方法は、少なくとも2種類の樹脂素材を用いて屈折率が1.45以上の樹脂レンズを製造する方法であって、少なくとも1種類の樹脂素材を流動性のない成形体となし、該成形体の被密着面にキャビティを形成し、該キャビティに前記樹脂素材とは性質の異なる別の素材原料を注入してキャビティ内で重合硬化させることにより、少なくとも2種類の性質の異なる樹脂素材が相互に密着し一体化した樹脂成型物を得て、該樹脂成形物から下記A及びBの特徴の一方又は双方を有するレンズを製造することを特徴とするものである。
A.前記少なくとも2種類の樹脂素材の性質が相互に補完し合うことにより、光学特性、物性、染色性、軽量性及び加工性のうちの少なくとも1種が向上したレンズ
B.前記樹脂成形物の一部が少なくとも1種の樹脂素材を含む賦形材として形成され、(1)該賦形材として形成された部分が除去されて小径化され、又は(2)該賦形材として形成された部分が除去されて所望の曲率半径を有するように加工され、又は(3)該賦形材として形成された部分が除去されて小径化され且つ所望の曲率半径を有するように加工されたレンズ
なお、上記賦形材は、樹脂のみからなるものでもよく、樹脂に木質や無機質微粒子等を加えて練り固めたものでもよい。
本発明は、接着剤やカップリング剤を用いずにモノマーが重合過程で成形体と密着することを本発明者等が知見したことに基づくものである。本明細書では、これを「重合密着」と表記する。
上記において、「少なくとも1種類の樹脂素材を流動性のない成形体となし」というのは、素材が樹脂の場合、その原料であるモノマー又は溶融物は当然流動性を有しており、安定した形状を呈していないから、先ず加熱あるいは紫外線、赤外線等の光線(電磁波)を照射するが養生して、所定の形状に成形して用いることを示す。成形体の形状は、使用目的により異なるが、それ自体は完成品レンズとしての性能を有していない場合もあり、それらを「中間部材」と表記する場合もある。また、上記成形体には特殊な光学特性を有するフィルム等も含まれる。
上記成形体に別の樹脂モノマーを密着して一体化させた樹脂成型物は、それ自体を完成品レンズとして用いることもできるが、研削と研磨あるいは切削等の加工により完成品レンズを得るための半製品レンズとする場合もある。
本発明の製造方法においては、上記少なくとも2種類の性質の異なる樹脂素材の組合せが、下記(a)〜(h)にそれぞれ記載された分類のいずれか1種以上に該当することが好ましい。
(a)熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂、
(b)易染色性樹脂と難染色性樹脂、
(c)機械加工によりバリ、クラック等の欠陥が生起し易い樹脂と生起し難い樹脂、
(d)耐衝撃性の高い樹脂と低い樹脂、
(e)比重の高い樹脂と低い樹脂、
(f)屈折率の高い樹脂と低い樹脂、
(g)アッベ数の高い樹脂と低い樹脂、
(h)光学用樹脂と汎用樹脂。
本発明においては、上記のように性質の異なる素材を組み合わせて一体化することにより、異なる性質が相互に補完し合ったレンズを得ることができる。但し、樹脂の選択はこれらに限定されず、相互に重合密着する素材の組合せであればよい。
上記(a)のように熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを用いた場合、熱可塑性の成形性のよい性質を用いて種々の形態の成形体を作製し、これを中間部材として用いてその外面にキャビティを形成し、該キャビティに別の光学素材原料を注入して重合過程で一体化することができる。この際に密着性を確保するために接着剤やカップリング剤を用いる必要はない。
上記(b)のように易染色性樹脂と難染色性樹脂とを用いた場合、易染色性の樹脂を主として染色することでレンズを着色することができる。すなわち、難染色性の樹脂から成る成形体とこれの片側面に易染色性樹脂を重合密着してレンズの一部を形成し、これを着色することで、難染色性の部分が着色したように見せることができる。高屈折率光学用樹脂には難染色性の樹脂があり、例えば、エピスルフィド基を有する含硫樹脂は屈折率が1.74と現状で最も高い樹脂であるが染色性に乏しい。本発明によれば、このような高屈折率光学用樹脂の欠点を補完して、着色されたレンズを容易に得ることができる。
上記(c)のように機械加工により、バリ、クラック等の欠陥が生起し易い樹脂と生起し難い樹脂を用いた場合、機械加工による欠陥を排除することが可能となる。すなわち、硬い樹脂レンズは眼鏡枠に装填する際の玉入れ加工の際にクラックが入りやすく、また、眼鏡枠がツーポイントとよばれるブリッジと智をレンズに直接ネジ止めする方式の眼鏡に関しては、レンズにネジを挿入する孔を加工するときに、バリやクラックが出やすいという問題を有しているが、中間部材の少なくとも片側面に機械加工性のよい光学用の樹脂を薄くレンズの一部として形成することにより、これらの問題を解決することができる。この目的で形成される部分は、具体的にはレンズの前後面もしくは孔加工される部分の周辺等である。
上記(d)のように耐衝撃性の高い樹脂と低い樹脂を用いた場合、耐衝撃性の低い樹脂素材の弱点を補完して、耐衝撃性の高いレンズを得ることができる。すなわち、屈折率が高い樹脂レンズは一般に耐衝撃性が低く、一例として特に屈折率が1.74の高屈折率のエピスルフィド樹脂は耐衝撃性が低いために、FDA規格における鋼球落下テストの4倍を越えることができない。本発明によれば、耐衝撃性の高い樹脂の薄層を重合密着させることで、レンズの中心厚をことさら厚くせずにFDA規格の4倍テストに合格させることができる。
上記(e)のように比重の高い樹脂と低い樹脂を使用した場合、レンズを軽量化することができる。一般に高屈折率樹脂は硫黄等の含有率が高く、比重の重いレンズになるが、レンズ全体のうち、一部を高比重高屈折率樹脂で中間部材を作製し、残りの部分に低比重樹脂を重合密着すればレンズの性能を維持しつつ、軽量レンズを得ることができる。また2焦点レンズのような眼鏡として使用した場合に、上の部分は通常の屈折率を有する樹脂を使用して遠用とし、下の部分を高屈折率の樹脂を用いて近用とすることによりレンズを軽量化できる。
上記(f)のように屈折率の高い樹脂と低い樹脂を用いた場合、高屈折率樹脂と低屈折率樹脂のうち低い屈折率を有する光学用樹脂を空気側に配置することにより、表面反射光を低減し、光線透過率を向上させることができる。表面反射率Rは次のフレネルの公式により示される。
R={(ng−no)/(ng+no)}2
ここでngは基盤の屈折率であり、noは空気の屈折率である。この反射率は2種類の光学物質の界面でも同様に用いられる。例えば2種類の光学用樹脂を用いて、屈折率1.5の光学用樹脂からなる中間部材と屈折率1.74の光学用樹脂とを一体に成形した場合、空気側とこれらの樹脂の界面の反射率の合計は4+0.55=4.55(%)となり、屈折率が1.74の光学用樹脂のみで成形されたレンズの表面反射率は7.3(%)であるので、2.75(%)の改善がなされることになる。
同様に、高屈折率樹脂と低屈折率樹脂のうち、低い屈折率を有する光学用樹脂を空気側に配置することにより、干渉縞の生起を防止することができる。一般的に樹脂レンズは傷が付きやすいために、ハードコート層を形成して擦傷性を改善させるが、膜厚は1〜2μm程度であり、あまり厚くすると体積膨張により亀裂や剥がれが発生する。そのためにハードコート層の表面とレンズ表面の反射光が干渉して干渉縞を生起させ、商品価値を著しく低下させる。この現象はハードコートの物質とレンズ樹脂の屈折率が近接している場合は生起しにくいが、屈折率の差が大きくなると干渉縞は顕著になる。ハードコートの屈折率は高屈折率物質の微粒子を混合して平均屈折率を高くする努力がなされているが、過剰に混合すると密着性が低下し、温度変化による割れが生じるから1.5〜1.6が限度であり、レンズ樹脂の屈折率が1.7を越えると干渉縞が強く現れる。高屈折率レンズの表面にそれより低い屈折率の樹脂を配置して一体化することにより、この現象を回避することができる。
上記(g)のように、アッベ数の高い樹脂と低い樹脂を使用することにより、アッベ数を合成することができる。すなわち、高アッベ数の素材もしくは低アッベ数の素材いずれかを加工処理して中間部材となし、該中間部材の片側面に均一な間隙のキャビティを形成して、該キャビティ内に中間部材の素材と異なるアッベ数を有する素材を注入し、重合密着して一体化し、アッベ数が合成された樹脂レンズを得ることができる。また、中間部材の片側面の曲率半径と異なる曲率半径を有するモールドを用いてキャビティを形成し、中間部材と重合密着する部分にマイナスレンズ形状もしくはプラスレンズ形状の成形物を密着させることで色収差を補正したレンズを得ることができる。
上記 (h)のように、光学用樹脂と汎用樹脂とを併用することにより、レンズの製造コストを削減することができる。例として、半製品レンズを経由してレンズを製造する場合が挙げられる。半製品レンズとは、特にマイナスレンズを製造する際に、顧客からの発注に基づいて指定度数に研削研磨するものであり、メーカーにとってはレンズの在庫を減らす手法として一般的な手段となっている。しかし、樹脂製のレンズを研磨加工する場合に、その研削される半製品レンズの中心厚は研削加工による加工加圧により度数の不均一を生じることが多く、そのために半製品レンズの形状設計においては、中心厚を厚めに設計するようにしている。更に1種類の半製品レンズで多種の製作に対応するために偏心加工、プリズム加工等を施すので、周縁部も分厚い形状となる。従って、分厚い半製品レンズを作成し、需要の比較的多い度数に対処するために、これに研削研磨や切削等の加工をする場合、除去され廃棄される部分はかなりの量に達する。樹脂レンズは、通常直径80mmの略碗状に成形され、度数の大きいものではレンズの中心厚を1〜2mmとしても、こばの厚みは5〜10mmになるから、度数の大きいものから小さいものまでをまかなうための半製品レンズは相当分厚いものとなる。乱視度数が加われば研削研磨量は更に大きくなる。このような半製品レンズの全体を高価な高屈折率光学用樹脂で作成していることが完成品レンズのコストを押し上げる結果となっており、本発明では除去される部分に価格の安い汎用樹脂を重合密着することにより、レンズのコストを大幅に下げることが可能になる。
本発明の一実施形態においては、レンズの成形に際し、モールドで構成されるキャビティの周縁部に成形体として円環状の賦形材を配置し、中央部に正規の光学用樹脂を注入して所定の加工処理を行い、前記賦形材と一体化し、賦形材部分を除去して小径のレンズを作製する。マイナスレンズは中心部に比較して、その周辺部は厚くなっており、眼鏡枠のレンズが嵌入される部分の形状は流行や用途により変化するので、種々の形状に作製できるように、直径を80mmとしているのが一般的である。しかしながら、視力矯正のみを考慮すると、直径70mmもあれば十分であるので、結局玉入加工する場合は成形された状態のレンズ周辺部の厚い部分は切除されることになり、高価な光学用樹脂の大半が無駄になっているのが現状である。最初から直径を小さく成形することも考えられるが、異なる直径のモールドを2種類準備するとなればモールドの在庫が一挙に倍増することになり、製造者の負担は大きくなる。またレンズは成形後にハードコート加工、染色加工、反射防止加工等種々の加工工程を経なければならず、それぞれの工程に使用される冶具や機器の状況を考慮すると、一定の直径のレンズを製造するのが好ましい。そこで、予めレンズ周縁部に、切削性がよく、安価な賦形材を配置し、中央に光学用樹脂を注型して一体に成形することにより、レンズの製造コストを下げることが可能となる。
本発明の別の実施形態によれば、成形体として略円柱状の賦形材を用いて、円柱軸方向の面にキャビティを形成し、該キャビティに正規の光学用樹脂を注型し、前記賦形材と一体に成形した後、賦形材を除去して正規の樹脂レンズを製造する。円柱軸方向の面は球面が好ましい。ここに云う賦形材としては、半製品レンズ自体も用いられる。半製品レンズは多種の度数に対応するために予め多数在庫されるのであるが、単焦点仕様のものが多いから、多焦点あるいは非球面仕様に転用することができない。本発明は、在庫されている半製品レンズを別の仕様に変更することを可能とし、半製品レンズの凸面側に同一の樹脂もしくは異種の樹脂を重合密着することにより異なる仕様の半製品レンズが得られる。更に半製品を用いなくとも同様の形状の賦形材を用意すれば処方レンズにも対応することができるから、有効利用されない部分に賦形材として、研削性が良く価格の安い材料を使用すれば、眼鏡レンズとしてのコストの削減を図ることができる。賦形材として用いる材料は、透明な樹脂に限定されず不透明な樹脂でもよく、レンズ成形に用いられた廃棄されるような樹脂製モールドも利用されるほか、塵や傷等で不良になったレンズも利用できる。このような趣旨から賦形材としては材木等の木質や炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等の無機質微粒子をバインダーで固形化したもの等も利用できる。また前出の円環状の賦形材と円柱状の賦形材の円周を同一にして軸方向に一体化した賦形材を用いれば、除去される部分に価格の高い光学用樹脂を用いないので、光学性能を低下させずに価格の安い完成品レンズを提供できる。
本発明のさらに別の実施態様によれば、成形体として偏光、調光作用による遮光あるいは光線透過率を制御する着色等特殊な光学特性を有するフィルムを用いてこれをキャビティの中央に配置し、前記フィルムの両側面に光学用樹脂原料を注型するか、片側に注型される光学用樹脂原料をあらかじめ流動性のない成形体にし、これにフィルムを接着して配置し、注型された光学用樹脂原料とフィルムを重合密着により一体に成形する。成形体としては完成品レンズとしての特性は有しないが、ほぼレンズ形状を有する中間部材や半製品レンズが用いられる。最初からキャビティの所定位置にフィルムを装着して、キャビティ全体に光学用樹脂を注型する場合は1種類の樹脂になるが、中間部材や半製品レンズを片側に用いるときは、これらと別の光学用樹脂を注型して一体化することができる。
本発明のさらに別の実施態様によれば、上記したいずれかの製造方法により得られる樹脂レンズの外面のいずれか一方もしくは双方に、耐擦傷性に優れた有機薄膜および反射防止機能を有する薄膜またはこれらのいずれかを設ける。光学素材の組み合わせによりレンズ自体の表面屈折率を軽減させることに加えて、更に空気と接する面に反射防止層を設けることで光線透過率を向上させることができる。耐擦傷性に優れた有機薄膜の形成方法としては、無機微粒子を分散させたウレタン系樹脂をディッピング、スピンコーティング法により1〜2μmの膜厚に塗布して加熱硬化させる方法やアクリル系樹脂による紫外線硬化型の樹脂を用いる方法等、通常の手段が利用できる。また反射防止機能を有する薄膜としては、スパッタリングによる多層金属薄膜等を通常の手段を用いて形成することができる。
上述した本発明の方法により得られるレンズは、種々の光学用樹脂の中から、好ましい特性を選択して一体化したレンズとなり、あるいは、加工性に優れ、且つ製造原価を低減させることができるため、高品質の樹脂レンズを低価格で提供することが可能となる。
発明を実施するための最良の形態
各実施例における重合密着を、図1と図2に基づき説明する。図1(a)はシェルの断面図であり、使用面が凹形状のモールド1と使用面が凸形状のモールド2をその中心部の間隙がt1になるようにモールドの周辺部を接着テープ4で密封し、キャビティ6aを形成してシェル10aを作製する。次に、同図(b)に示すように、前記キャビティに樹脂3aを接着テープを一部剥がして注入し、再度密封して加熱重合等の加工処理を行い、徐冷して樹脂3aを硬化させる。硬化した樹脂3aは中間部材3となる。同図(c)は、モールド1を離型し、中間部材3に密着したモールド2を示す断面図である。同図(d)は、離型したモールド1と中間部材3の中心部の間隙がt2となるように接着テープで密封し、キャビティ6bを形成したシェル10bの断面図である。同図(e)は、キャビティ6bに別の樹脂5aを注入したシェル10cを示す断面図であり、加熱重合して樹脂5aを硬化させて重合密着した樹脂5とする。同図(f)は、モールド1と2を離型して得られる本発明に係る重合密着レンズ11を示す断面図である。中間部材3と別の樹脂5は一体化し、中心厚tのレンズとなっている。
図2(a)は、別の実施態様を示すものであり、モールド2の代わりに賦形材7を用いたシェル10dの断面図を示しており、所定の加工処理を行い、選択された樹脂原料8aを賦形材7と密着重合させた後、モールド1を離型して同図(b)に示す半製品レンズ12を得る。賦形材は所定の曲率半径にて切削され、除去される。
次に本発明の種々の実施例について説明する。図面を用いて説明していない実施例においても、レンズは上述した方法に準じて製造できる。なお、用いた樹脂素材(モノマー)は、商品名で示したもの以外は、三井化学(株)の製品である。
[実施例1]
難染色レンズ素材と易染色レンズ素材を重合密着させて染色可能な樹脂レンズを作成する例を示す。
ジオプタが−7.00になるような組み合わせの、直径80mmのガラス製モールド(以下、モールドと記載する)を用意し、モールドの中心の間隔が1.2mm及び0.6mmになるようにモールドの周囲を接着テープで密封し、2組のシェルを作成した。これらのシェルのキャビティ内に、触媒を混合したエピスルフィド樹脂モノマー(HIE、屈折率1.74)を充填し、加熱重合の後に中心部の間隔が1.2mmのシェルのモールドを離型し、−7.00Dのエピスルフィド樹脂レンズを得た。他の中心部の間隔が0.6mmのシェルの方は、成形された中間部材の凸面側のモールドのみを離型し、凹面側のモールドは密着したままの状態とした。ここで先に離型した凸面側のモールドを中間部材の凸面側に隙間が均一に0.6mmになるように再度モールドの周囲を接着テープで密封してキャビティを形成し、該キャビティに、触媒を混合したウレタン樹脂モノマー(MR−7、屈折率1.67)を充填し、加熱重合の後モールドを凸面側と凹面側双方とも離型した。得られたレンズは、中間部材の凸面側に0.6mmの均一な層厚のウレタン樹脂層が重合密着され、中心厚が1.2mmであった。
上記2組のレンズを液温90℃の染色液に5分間浸漬した。結果はエピスルフィド樹脂レンズは全く染色されず、染色濃度は0%であったが、ウレタン樹脂とエピスルフィド樹脂との重合密着レンズは、エピスルフィド樹脂の中間部材は染色されなかったものの、層厚0.6mmのウレタン樹脂部分が染色され、分光光度計で測定したところ、全体に約28%濃度に染色されたレンズと同等に染色された。
以上述べたように難染色レンズ素材からなる樹脂レンズも易染色性レンズ素材を重合密着することにより染色可能な樹脂レンズに改質され、且つ、レンズ基体の曲面に均一な層厚の別の素材を重合密着することにより度数変化も生じないようにレンズを製作することができる。なお、異なる素材の重合密着はレンズ基体の凸面側に限定されず、凹面側であってもよい。本例では、同じモールドを0.6mm離間した位置で使用したので厳密には上述のウレタン樹脂部分は均一な層厚にはならないが、本例のように−7.00Dで曲率半径が600mmの場合は直径80mmの周辺部で差は0.0013mmであり、無視できる範囲である。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の具体例としては、広く眼鏡に用いられている熱可塑性ポリカーボネート樹脂と熱硬化性ウレタン樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は難染色性であるが、この樹脂を用いたレンズを染色し易くするために上述した手法が利用できる。ポリカーボネート樹脂を成形する場合、一般的には射出成型機と金型を用いるのであるが、本例ではガラスモールドを利用する。ポリカーボネート樹脂を押出し機を用いて250℃で溶融して円柱状に吐出し、水平に置かれた凸形状の120℃に加熱したモールドの上面に、溶融した樹脂をモールドのほぼ中央において、片側の縁部から他の側の縁部に向けて直線状に吐出する。その直後に加熱した凹形状のモールドを空気を巻き込まないように被せて垂直に押しつけた後、徐冷してモールドからはみ出した樹脂を除去して凹形状のモールドを離型し、中心厚0.6mmでメニスカス形状の中間部材を得る。中間部材には凸形状のモールドが付着したままとする。離型した方のモールドを中間部材の中心部と間隙0.6mmに保ちながらモールドの周辺部を接着テープで密封し、キャビティを形成したシェルを作製する。このキャビティ内に熱硬化性のウレタン樹脂(MR−6)を注入し、加熱重合して、ウレタン樹脂とポリカーボネート樹脂とを重合密着させた重合密着レンズを得る。このレンズはウレタン樹脂が易染色性であり、染色されるのはウレタン樹脂側のみであるが、レンズは全体が着色されたように見える。このような構成のレンズにおいては、ポリカーボネート樹脂の成形の際に生じる樹脂のフローラインが存在する傾向があるが、80〜120℃の範囲で行われる重合過程でアニーリングされ、フローラインは消滅する。
[実施例2]
孔あけ加工等機械加工の難しい樹脂素材に加工が容易な樹脂素材を重合密着させ、機械加工が容易な樹脂レンズに改良する例を示す。
予め、実施例1と同じ要領でエピスルフィド樹脂モノマー(HIE)を使用して中心厚が0.6mmの中間部材を作成し、実施例1に述べた要領で機械加工特性の良好なウレタン樹脂モノマー(MR−7)を、前記中間部材の凸面側に層厚0.6mmにて重合密着させ、エピスルフィド樹脂とウレタン樹脂の重合密着レンズを作成した。
一般的にツーポイントタイプのフレームに使用するレンズは所定の形状に玉型加工をした後、レンズの周辺部にネジ止め用の孔あけ加工を行うが、上記重合密着レンズは孔あけ加工時のレンズの破損もなく、孔の部分にバリやカケ等が発生することもなく、きれいな孔を加工することができた。一方、エピスルフィド樹脂のみにより成形されたレンズは、孔の位置が玉型加工された縁部の近接位置であることもあって、孔の位置から縁部にかけてワレを生じ、孔自体にもバリが発生しており、きれいな孔を形成することができなかった。
以上述べたように、機械加工が難しいレンズ素材と機械加工性のよいレンズ素材を重合密着させ、重合密着レンズにすることで、機械加工による不良を低減させ、精巧な機械加工を効率よく行うことができる。
[実施例3]
耐衝撃性の低い素材レンズ(本例ではハードコート及びマルチコートを施されたレンズ)に耐衝撃性の高い素材を重合密着させることにより耐衝撃性を改良する例について述べる。
凹型及び凸型形状のモールドをキャビティ中心部の間隔が1.10mmと0.5mmになるようにモールドの周辺部を接着テープを用いて密封してシェルをそれぞれ3個宛作成した。各シェルのキャビティ内にエピスルフィド樹脂モノマー(HIE)を充填し、加熱重合した。加熱重合後、キャビティ中心部の間隔を1.10mmに設定した3組の凹及び凸型形状のモールドを離型し、レンズ中心厚がそれぞれ1.12mm、1.16mm、1.17mmで、−6.00Dの屈折率が1.74のエピスルフィド樹脂レンズを得た。一方、キャビティ中心部の間隔を0.5mmに設定した3組のシェルは凹型形状のモールドのみを離型し、凹面側にはモールドが付着したままの中間部材を得た。これらのレンズ基体の中心厚は、それぞれ0.47mm、0.47mm、0.50mmであった。更に、これらの中間部材の凸面側に先に離型した凹型形状のモールドを中心部の間隙が0.6mmになるようにモールドの周辺を接着テープで密封してキャビディを形成し、3個のシェルを作成した。これらのシェルのキャビティ内にウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、加熱重合した。加熱重合後、それぞれの凹及び凸型形状のモールドを離型し、エピスルフィド樹脂の中間部材にウレタン樹脂が重合密着した3個の重合密着レンズを得た。それぞれの重合密着レンズの中心厚は、1.13mm、1.13mm、1.18mmであった。
上述した6個のレンズに耐擦傷性を付与するために有機ハードコート被膜加工を行い、その後金属薄膜の反射防止被膜加工を行った。出来上がった6個のレンズに対しFDA規格テストによる落球テストを行った。結果を表1に示す。
表から明らかなようにエピスルフィド樹脂のみで作成したレンズはFDA規格テストの4倍のテストにおいて、いずれも1回目か2回目で鋼球がレンズを貫通してしまった。一方エピスルフィド樹脂からなる中間部材の凸面側に層厚0.64〜0.68mmのウレタン樹脂を重合密着した重合密着レンズは同様の落球テストを行ったところ、1回目が2回目でスター状のクラックを発生したに過ぎず、貫通することはなかった。このように耐衝撃性に脆いエピスルフィド樹脂レンズに耐衝撃性の高いウレタン樹脂を重合密着させることで耐衝撃性に優れた高屈折樹脂レンズを作成することができる。
なお、FDA基準テストは16.2gの鋼球を1.27mの高さからレンズ面に自然落下させてレンズが破損(鋼球がレンズを貫通するかレンズが2つ以上の破片に分離した場合)するかどうかを調べるテストであり、レンズが破損した場合は不合格で、スター(星状にひび割れした場合)は合格を表す。FDAの4倍テストとは16.2gの鋼球の重量を4倍の64.8gとした鋼球を使用してのテストを意味する。
[実施例4]
高比重の樹脂レンズ素材に低比重樹脂レンズ素材を重合密着させてレンズを軽量化する例を述べる。
凹形状で曲率半径1340mmのモールドと凸形状で曲率半径110mmのモールドを中心部の間隔が1.0mmと0.5mmになるようにモールドの周辺を接着テープで密封して、キャビティを形成した2組のシェルを用意した。これらのキャビティ内に比重が1.47で屈折率が1.74のエピスルフィド樹脂モノマー(HIE)に触媒を混合したものを充填した。充填されたシェルを加熱重合した後、中心部が1.0mmのシェルの凹及び凸形状の両方のモールドを離型し、レンズ径が80mmで中心厚1.02mm、屈折率1.74の−6.00Dのレンズを得た。
一方、キャビティ中心部が0.5mmのシェルは、凹形状のモールドのみを離型し、直径80mmで中心厚が0.52mmでモールドが密着したままの中間部材を得た。次いで、先に離型した凹形状のモールドを前述の中間部材の凸面側に0.5mmの均一な間隙ができるように配置してモールドの周辺を接着テープで密封してキャビティを形成し、該キャビティ内に比重1.30で屈折率1.60のウレタン樹脂モノマー(MR−8)を調合して充填した。充填したシェルを加熱重合した後、凹及び凸形状の双方のモールドを離型して、直径が80mm、中心厚1.03mmの−6.00Dの重合密着レンズを得た。このレンズは、比重1.47で屈折率1.74のエピスルフィド樹脂からなる中間部材の凸面側に、層厚0.51mmの比重1.30、屈折率1.60のウレタン樹脂素材が重合密着されたレンズであった。これらのレンズの性状を表2に示す。
表2から、同じ性能を有する樹脂レンズが0.9g軽量化されたことが分かる。
[実施例5]
高屈折率樹脂素材を用いた中間部材に低屈折率樹脂素材を重合密着させて表面反射率を低減させる場合について説明する。
高屈折率レンズは素材の特性上、高温重合等によりYI値が高くなり、且つ紫外線吸収機能を向上させるために原料への紫外線吸収剤の添加量が多くなり、重合硬化後のレンズは更にYI値(黄色度)が高くなる。また素材自体の屈折率が高くなるに従い、可視光域における視感透過率は、素材自体の表面反射率が高くなるために低下する。これらの問題を鋭意検討した結果、高屈折率素材レンズに低屈折率素材を重合密着させることでYI値を低下させ、更に可視光域における視感透過率をも高め得ることを見出した。一実施例を次に示す。
凹及び凸形状のモールドの周辺を接着テープを用いて密封し、中心部の間隙が1.2mmのシェルを作成した。また、同様の構成で中心部の間隙が0.5mmのシェルを2組作成し、これら3組のシェルのキャビティに次の材料を調合して充填した。
(a)モノマーとして
チオエピスルフィドモノマー(HIE−1) 90部
チオールモノマー(HIE−2) 10部
(b)重合触媒として
N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン 0.04部
N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン 0.1部
無水酢酸 0.08部
(c)紫外線吸収剤として
Seesorb704(シプロ化成(株)製) 3.0部
充填されたシェルを加熱重合後、中心部の間隙が1.2mmのシェルの凹及び凸形状のモールドを離型して中心厚が1.17mm、屈折率が1.74の高屈折率レンズ(試作レンズ1)を得た。
また、中心部の間隙が0.5mmのシェルの方は凹形状のモールドのみを離型し、中心厚が0.49mmの中間部材を得た。この中間部材は凸形状のモールドを離型せずに密着したままとした。次にこの中間部材の凸面側に、先に離型した凹形状のモールドを用いて中心部の間隙が0.7mmの均一な間隙を作り、モールドの周囲を接着テープで密封し、キャビティを形成したシェルを2個作成した。そのうちの1個のシェルのキャビティ内に次の材料を調合して充填した。
(d)モノマーとして、
ポリイソシアネート(MR−7A) 52部
ポリチオール(MR−7B) 48部
(e)重合触媒として、
ジブチルチンジクロライド 0.10部
(f)紫外線吸収剤として、
ベンゾトリアゾール 1.5部
充填されたシェルを加熱重合後、凹及び凸形状のガラスモールドを双方とも離型してレンズを得た。このレンズは屈折率が1.74で中心厚が0.49mmの中間部材の凸面側に、屈折率が1.67の光学素材が層厚0.66mmにて重合密着したものであり、中心厚が1.15mmの高屈折率レンズ(試作レンズ2)であった。
同一形状に作成された別のシェルには次の材料を調合してシェルのキャビティ内に充填した。
(a)モノマーとして、
ポリイソシアネート(MR−8A) 50.5部
ポリチオール(MR−8B) 49.5部
(b)重合触媒として、
ジブチルチンジクロライド 0.1部
(c)紫外線吸収剤として、
ベンゾトリアゾール 1.5部
これらの材料を重合充填したシェルを加熱重合後、凹及び凸形状のモールドを双方とも離型してレンズを得た。このレンズは屈折率が1.74で中心厚が0.49mmの中間部材の凸面側に、屈折率が1.60の光学素材が層厚0.67mmにて重合密着したものであり、中心厚が1.16mmの高屈折率レンズ(試作レンズ3)であった。
以上述べた試作レンズ1、2、3の性状をまとめて表3に示す。なお、各データはレンズ表面にハードコートや反射防止膜等被膜加工等を行っていない生レンズに基づく数値である。測定は分光光度計((株)日立製作所製)を用いた。
試作レンズ1は、屈折率1.74という、現在上市されている高屈折率プラスティックレンズとしては最高の屈折率を有するレンズである。しかし、この高屈折率光学素材で作成されたレンズは耐候性に問題があり、耐候性改良のために多量の紫外線吸収剤を素材に添加している。結果として400nmまでの紫外線をほぼ吸収し、400nmでは僅か7%程度の紫外線しか透過しない非常に高精度な紫外線吸収レンズとなっている。また、素材がチオエピスルフィド樹脂(HIE)であることから、重合においては高温部での長時間の重合を必要とし、更に耐候性の改良のために多量の紫外線吸収剤を添加しているために高温部での重合の影響は大きく、黄色度(YI値)を増加させる結果となり、試作レンズ1においては2.59のYI値となっている。且つこのYI値の高さと素材自体が高屈折率素材ということでレンズの表面反射率が大きくなり、可視光域での視感透過率は86.51%となっている。一般的なジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂によるプラスチックレンズの視感透過率は90%前後であり、YI値は1.0以下である。
試作レンズ2では、上述した試作レンズ1のYI値及び視感透過率が改良されている。試作レンズ2は、上記のように屈折率1.74の中間部材の凸面部に、屈折率がベース樹脂より低い1.67のウレタン樹脂を0.66mmの厚さで重合密着させたものであり、重合密着させた素材の屈折率がベース素材より低いために表面反射率が低下し、またYI値もベース素材より低いために視感透過率87.84%、YI値2.33となっている。また、試作レンズ3は、更に低屈折率のウレタン樹脂を、中間部材に重合密着させたものであり、視感透過率及びYI値において試作レンズ2よりも更に良好な数値を示している。
このように、YI値及び表面反射率の高くなる高屈折率素材レンズにベース素材屈折率より低い素材をレンズ表面に一定の均一な層厚で重合密着させることにより、高屈折率素材レンズのYI値及び視感透過率を改良することができ、外観的にも非常に透明感のある付加価値の高いレンズを提供することが可能となる。なお、高屈折率素材の中間部材に一定の層厚で重合密着させるのは中間部材の凸面あるいは凹面の一方に限定されず、場合によっては両面に重合密着させることで一層機能性が増したレンズとなる。
[実施例6]
干渉縞発生の多い素材のレンズ表面に干渉縞の発生が少ない素材を重合密着する例を説明する。
一般的に高屈折率素材を使用したレンズの面にハードコート等の薄膜加工を施した場合、干渉縞が発生する。発生の原因としてはレンズ面への薄膜加工の際に膜厚が不均一になる場合と、レンズが高屈折率素材の場合そのレンズ面に塗工したハードコート被膜の屈折率がレンズ素材の屈折率と大きく異なる場合とがある。この解決策としては、薄膜加工にスピンコート装置を使用して塗工し、均一な膜厚に加工するが、あるいはハードコート被膜の屈折率をレンズ素材の屈折率に近づけるために金属酸化物の微粒子をハードコート液中に導入すること等が考えられる。しかしながら、スピンコート装置での生産は在庫レンズ等の多量生産には不向きであり、またハードコート液中に金属酸化物の微粒子を導入する場合、レンズ表面とハードコート被膜の耐候密着性に難があり、剥がれやすい傾向にある。これらの事情からハードコート液の屈折率を高めるより、高屈折率レンズの表面の屈折率をハードコート液の屈折率に近づけることで干渉縞の発生を防止する解決策を見出した。
凹及び凸形状の同じ曲率半径をもつガラスモールドを2組用意し、片方の組は中心部の間隙が0.6mmになるように、他方の組は1mmになるようにモールドの周辺部を接着テープで密封し、キャビティを形成して2組のシェルを作成した。それぞれのキャビティ内にエピスルフィド樹脂モノマー(HIE)を充填し、加熱重合を行った。その後キャビティ中心部が1mmのシェルの凹及び凸形状のガラスモールドを双方とも離型し、中心厚が1mmで屈折率が1.74、度数が−4.00Dの高屈折率レンズを得た。他の組の中心部が0.6mmのシェルの方は、凹形状のガラスモールドのみを離型して中間部材を得たが、凸形状のモールドは密着したままの状態にした。
次に、離型した凹型形状のモールドの中心部と中間部材の凸面の中心部の間隙が0.4mmになるようにモールドの周辺部を接着テープで密封し、キャビティを形成してシェルを作成した。このキャビティ内に屈折率1.60のウレタン樹脂モノマー(MR−8)を充填し、加熱重合の後、凹及び凸形状のガラスモールドを双方とも離型しレンズを得た。すなわち、このレンズは屈折率1.74で中心厚が0.6mmの中間部材の凸面側に、0.4mmの均一な厚さの屈折率1.60のモノマーを重合密着したものである。
これらのレンズに1.62の屈折率を有するハードコート液を用いて、ディッピング方式により塗工し、加熱重合してハードコート層を形成した後、ジルコンランプにてそれぞれのレンズ凸面を観察したところ、重合密着レンズには干渉縞が無く、透明感のある綺麗なレンズであった。一方エピスルフィド樹脂のみで成形されたレンズは、干渉縞が目立ち、見栄えに難のあるレンズであった。いずれのレンズも外観形状は同じであり、コバ厚、中心厚ともに同じである。
[実施例7]
不良品あるいは価格の安い素材を活用して重合密着により、半製品レンズの機能を損なわずに正規のレンズを製作する例について説明する。
ウレタン樹脂モノマー(MR−6)で製作された直径70mmの凸面曲率半径70.5mmで中心厚10mm、コバ厚4mmの内部異物混入で不良になった半製品レンズと、使用側面が曲率半径1480mmのエピスルフィド樹脂用(屈折率1.74)の非球面レンズ用の凹形状のモールドとを、中心部の間隙が3mmになるようにモールドの周縁部と不良半製品レンズの周縁部を接着テープで密封してキャビティを形成し、シェルを作成した。このキャビティ内に屈折率1.74のエピスルフィド樹脂モノマー(HIE)を充填して、加熱重合した。しかる後に凹形状のモールドを離型し、レンズ面曲率半径1480mm、レンズ中心厚が13mm、コバ厚16mmの半製品レンズを得た。この半製品レンズは凸面曲率半径が70.5mmで中心厚が10mm、コバ厚が4mmのウレタン樹脂モノマー(MR−6)である不良品半製品レンズの凸面側に中心厚3mmでコバ厚12mmの屈折率1.74エピスルフィド樹脂が重合密着された半製品レンズであった。この半製品レンズの凹面側を半径70.5mmの曲面で研削し、研磨加工を施し、中心厚1.2mm、コバ厚9.7mm、屈折率1.74のエピスルフィド樹脂製で度数が−10.00の非球面完成品レンズを得た。この研削、研磨加工されたレンズの面ではウレタン樹脂(MR−6)の素材は全て除去されており、レンズ研削面には残っていなかった。また、研削、研磨加工による度数の変化はなく、正常な度数のレンズを得ることができた。
[実施例8]
ウレタン樹脂モノマー(MR−6)で製作された直径80mmの凸面曲率半径100mmで中心厚6.5mm、コバ厚4mmの、傷で不良になった非球面半製品レンズと、使用側面の曲率半径が167.5mmのウレタン樹脂モノマー(MR−7)用の非球面2焦点レンズ製作用の直径80mmガラス製モールドとを中心部の間隙が3mmになるように組み立てて、モールドの周囲と上記半製品レンズの周囲を接着テープで密封し、キャビティを形成してシェルを作成した。このキャビティ内にウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、加熱重合を行った。その後凹形状のモールドを離型し、ウレタン樹脂(MR−6)製の不良半製品レンズと屈折率1.67のウレタン樹脂(MR−7)レンズとが重合密着により一体となった直径80mmの凸面曲率半径167.5mmで中心厚9.5mm、コバ厚9mmの非球面2焦点半製品レンズを得た。このレンズの凹面を曲率半径121.8mmで研削、研磨加工して、度数が−1.50Dで加入度が3.00Dのウレタン樹脂(MR−7)製の非球面2焦点完成品レンズを得た。研削、研磨加工されたレンズの凹面側ではウレタン樹脂(MR−6)部分は全て研削加工により取り除かれていた。また、ブロッキング及び研削、研磨加工による度数にも異常がなく、正常な度数をもった非球面2焦点完成品レンズを得ることができた。このように不良となった半製品レンズを活用することで、半製品レンズ製作上での素材コストを大きく削減することができる。
なお、各種光学素材について調べた重合密着テストの結果を表4に示す。この一覧表に基づき適当な素材を選択することで、コストの安い半製品レンズを製作することができる。ただし、本発明に使用される樹脂素材は表4に記載された素材に限定されず、レンズとしての光学特性を有する素材であって、相互に重合密着が可能な組合せであればよい。
なお、表4において、MR−6,7,8は三井化学(株)製ウレタン樹脂の商品名であり、HIEは三井化学(株)製エピスルフィド樹脂の商品名であり、CR−39はPPG社製ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂であり、PCはポリカーボネート樹脂を示し、PMMAはポリメチルメタアクリレート樹脂を示す。
上述した製造方法によれば、不良半製品レンズに相当する部分は、種の賦形材であり、レンズには残らないことから、レンズ用の光学樹脂である必要はなく、研削が容易な安価な樹脂、あるいはこれに炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムのような無機質の増量材を混入した混合物、更には木質の微碎片を樹脂で固めたものや木質のモールド形状物等でもよい。このような賦形材は、予め所定の形状に成形して用いる場合も中間部材として注型成形する場合もある。
モールドの中央部にのみにレンズを成形する製造方法としては、図3(a)に示すように、マイナスレンズを作製する所定のモールドを用いて周縁部を密封し、シェルを作製する際に、間隙の大きいキャビティ周縁部に、これと同じ形状の円環状に作製した賦型材7aを封入する。この賦型材には樹脂を注入するための小さな孔9を設けておき、この孔部分を通じて正規の樹脂3を注入しシェルを完成させる。賦型材の体積はキャビティ全体の50〜10%が適切である。なお、この賦型材7aは必ずしもモールドに密着する必要はなく、中心部に正規の樹脂を注入する際にモールドに密着しない部分にも樹脂が浸透して一体となればよい。図3(b)図に示すように重合処理して出来上がるレンズの周縁部は賦型材の体積に相当する量の正規の樹脂が節約されたものであり、原料の価格を大幅に削減することができる。賦型材には後で注入される光学用樹脂モノマーと密着性のよい、熱可塑性で射出成形可能な光学用樹脂より安価な汎用樹脂を選択すればよい。賦形材の樹脂としては体質顔料等で増量するほか、研削の容易な体質顔料を選択して研削を容易にし、賦形材を切除してモールドより小径のレンズを得ることができる。眼鏡枠に得られたレンズを嵌入するときに賦形材部を除去して玉入加工する。これにより高価な光学用樹脂を従来と比較して50〜10%節約することができる。
[実施例9]
既製のレンズ面に非球面形状、累進屈折形状、多焦点屈折形状等の機能をもった光学面を重合密着させる例を説明する。この方法によれば、半製品単焦点レンズを付加価値の高い機能性レンズに容易に改質できる。
屈折率1.60のウレタン樹脂(MR−8)を用いた凸面曲率半径100mmの半製品レンズと、屈折率1.67用で非球面形状の2焦点屈折レンズの曲率半径223mm、加入度2.50Dのレンズ製作用モールドの中心部の間隙が2mmになるようにモールドと半製品レンズの周辺部を接着テープで密封して、キャビティを形成したシェルを作成した。このキャビティに屈折率1.67のウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、所定の重合手順により加熱重合を行った。その後、非球面形状2焦点モールドを離型した。得られた半製品レンズは凸面側が屈折率1.67のウレタン樹脂による非球面2焦点屈折レンズ形状となっており、凹面側が屈折率1.60のウレタン樹脂レンズであり、重合密着により一体となっている。この半製品レンズの凹面側を曲率半径96mmに切削、研磨加工して、中心厚が1.0mmで度数が−4.00D、加入度が2.50Dの非球面2焦点屈折レンズを得た。
累進屈折力レンズ用のモールドを使用して、同様の作業手順により半製品から累進屈折力レンズを作成することもできる。
[実施例10]
特殊な機能を有する屈折補正用眼鏡レンズの製法において、光学樹脂で製作された中間部材の曲面に、予め特殊な機能を有する樹脂フィルムを光学接着剤あるいは真空密着で貼り合わせ、中間部材と同等もしくは異種の光学素材を重合密着する例を説明する。この方法によれば、特殊な機能性を有する樹脂フィルムを活用して機能性を有する屈折補正用眼鏡レンズを容易に得ることができる。
モールドの成形使用面である凹面の曲率半径が167.5mmと凸面の曲率半径が93mmの2枚のモールドを中心部の間隙が4mm、縁厚部分の厚さが7mmになるようにモールドの周辺部を密着テープで密封して、キャビティを形成したシェルを作成した。このキャビティ内にウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、加熱重合の後、双方のモールドを離型して半製品レンズを得た。この半製品レンズの凸面側に該凸面と同じ曲率半径167.5mmを有する偏光フィルムに光学接着剤を塗布して半製品レンズの凸面側に接着配置し、紫外線を照射して硬化密着させた中間部材を作成した。この中間部材の凸面側の曲率半径167.5mmと同じ曲面を凹面側にもつモールドの凹面中心部と、該中間部材の凸面側の間隙が0.6mmになるようにモールドの周辺部と中間部材の周辺部を接着テープを用いて密封し、キャビティを形成した。このキャビティ内にウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、加熱重合を行った。その後ガラスモールドを離型して偏光半製品レンズを得た。この偏光半製品レンズはレンズ凸面より0.6mmの層内に偏光フィルムが埋め込まれて重合密着しており、凸面の曲率半径が167.5mm、凹面の曲率半径が93mmの偏光半製品レンズであった。該レンズの凹面側を曲率半径103mmに研削、研磨加工を行って、中心厚が1.2mmの、−2.50Dの近視補正用の偏光機能を有するレンズを得た。なお、本実施態様における特殊な光学特性を有するフィルムとしては、調光性を有する遮光フィルム、熱線吸収着色フィルム、電磁波遮蔽フィルム等各種の特性を有するフィルムが利用できる。
[実施例11]
上述した半製品レンズの表面に偏光フィルムを貼着した中間部材を用いる代わりに、予め偏光フィルムを装着した特殊形状のガスケットに中間部材とモールドでシェルを組み立てて、偏光フィルムの両面側にキャビティを形成し、これらのキャビティに光学素材原料を注入し、重合密着する方法を次に説明する。
図4(a)において、モールドの成形使用面が凹面でその曲率半径が335mmと成形使用面が凸面でその曲率半径が103.7mmの2枚のモールドを中心部の間隙が3.5mm、縁厚部分の厚さが8.5mmになるように、モールドの周囲を粘着テープで密封してキャビティを形成したシェルを作製した。このキャビティ内にウレタン樹脂モノマー(MR−7、三井化学(株)製)を充填し、加熱重合の後、双方のモールドを離型して半製品レンズを得た。この半製品レンズを中間部材15として、その凸面側の曲率半径335mmと成形使用面が同じ曲率半径を有する凹面モールド16とを、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料で成形されたリング形状で内側の所定位置に偏光フィルムを安定して取り付けられる突起17aを備えたガスケット17でシェルを組み立てた。このガスケットには、予め曲率半径が335mmに成形加工された偏光フィルム18が装着されている。従って、組み立てられたシェルのキャビティ19の内部には、モールド16の凹面および中間部材15の凸面により、それぞれ0.7mmの位置に偏光フィルムがモールドおよび中間部材面に平行に配置されている。
このキャビティ19内にウレタン樹脂モノマー(MR−7)を充填し、加熱重合を行った。その後、ガラスモールドを離型し、同図(b)に示す偏光半製品レンズ20を得た。この偏光半製品レンズはレンズの凸面より0.7mmの層内に偏光フィルムが埋め込まれて重合密着しており、凸面の曲率半径が335mm、凹面の曲率半径が103.07mmの偏光半製品レンズであった。該偏光半製品レンズの凹面側を曲率半径111.67mmに研削、研磨加工をして、中心厚が1.5mmの−4.00Dの近視補正用の偏光機能を有する同図(c)に示す偏光レンズ21を得た。
次に、成形された中間部材を用いる代わりに、偏光フィルムとレンズを同時に一体成形する例について説明する。図5(a)にシェル22の組立要領を示す。ガスケット本体23はオレフィン系熱可塑性エラストマー材料を用いた円筒状で一部にモノマーの注入口23aとスペーサの役割を果たす突起23bが複数箇所に等配されている。先ず一方のモールド24aを突起と接する位置に嵌合させる。偏光フィルム25を突起の上に置き、ガスケット本体の内面に沿って挿入される円筒状の内部ガスケット26で偏光フィルム25の周縁部を軽く抑える。26bは注入口に通じる通路である。次いで他方のモールド24bを内部ガスケットと接する位置に嵌合して、同図(b)に示すシェル22を完成させる。なお、後述する図6(c)に示すように、偏光フィルム25の周縁部には切欠き部25aが複数箇所に設けてあり、モノマーの通路になっている。従って図5(b)の注入口23aから注入されるモノマーは、キャビティ27を満たしつつ偏光フィルム25とモールド24aの狭いキャビティにもモノマーが充填される。
偏光フィルム等特殊な光学特性を有するフィルムをレンズ内に一体化するためのガスケットの別の形態例を図6に示す。図6(a)はガスケット30の平面図であり、円筒状のガスケット本体30aとフィルムの受け台30b、フィルムを押さえるための突起30cおよびフィルムの偏光軸を定めるための凸部30dで構成されている。A−A矢視斜視図を同図(b)に示す。ガスケット本体30aは略円筒状で両端部に段差を設けてモールドが嵌合されるときの位置決めを行う。フィルムの受け台30bはガスケット本体から突出して所定の幅を有し、同一水平面に複数個配置される。フィルムを抑える突起30cは受け台に乗せられるフィルムを軽く抑えることができる位置に配置される。フィルム25の形状の一例は同図(c)に示すようにモノマーの通路となる切欠き部25aが複数箇所に設けてあり、偏光軸を定める切欠き部25bも設けてある。フィルムを装着するには、フィルムの周縁部に設けた切欠き部25bを凸部にあてがって偏光軸を定めてフィルムの一部を受け台に乗せ、突起30cのところではピンセットでフィルムを少し撓めながら受け台に乗せる。フィルムを装着した状態のガスケットの平面図を同図(d)に示す。
[実施例12]
上述した実施例の応用として、ガラスモールドを使用せずに3種類の素材を重合密着させてレンズに機能性を付加すると同時に低コストのレンズを作製する例を説明する。
予め、キャスト成形されたレンズの中心厚が1.0mmで、レンズの両面が曲率半径225mmの平行カーブで、度数が付いていないレンズ径75mmの調光機能を有するメタクリル化合物樹脂レンズと、レンズの凸面曲率半径が99mm、凹面曲率半径が125mmで中心厚が3.5mm、縁厚が1.5mmでレンズ径75mmのアリル系樹脂レンズを、中心部の間隔が1.5mmのキャビティになるように、それぞれのレンズを対向させてレンズの周辺を接着テープで密封して、樹脂レンズをモールドとして用いたレンズ製シェルを用意した。このキャビティ内に屈折率が1.67のチオウレタン樹脂(MR−7)に触媒を混合し充分に撹拌したものを充填した。充填されたレンズ製シェルを加熱重合し、メタクリル化合物樹脂、チオウレタン樹脂およびアリル樹脂の3種類の樹脂が重合密着されて一体となった中心厚5.8mmの半製品レンズを得た。この一体となった半製品レンズの凹面を曲率半径140.mmに研削加工し、中心厚が1.5mmの完成品レンズを得た。半製品レンズ凹面側のアリル系樹脂部分は全て研削除去されていた。出来上がったレンズは凸面側に均一な1mmの層厚の調光機能を有するメタクリル系樹脂と凹面側が高屈折率のチオウレタン樹脂であり、両樹脂は強固に重合密着されて一体化した高屈折率調光レンズであった。
上述したように、少なくとも2種類の樹脂を重合密着することからレンズを組み合わせて収差を補正した組み合わせレンズを提供することもできる。アッベ数の大きく異なる素材を用いて、片方の素材を先ず中間部材としてプラスもしくはマイナス形状のレンズ状に成形し、他の素材をこれとは逆の形状のレンズ状に重合密着することで収差の極めて少ないレンズを提供することができる。
産業上の利用可能性
本発明の樹脂レンズは高性能の眼鏡用レンズとして使用でき、また、本発明の製造方法によればそのような高性能の眼鏡用レンズが安価で提供できるようになる。
すなわち、本発明によれば互いに異なる光学特性あるいはそれ以外の物理的特性、化学的特性を有する樹脂を組み合わせて一体化し、不足する特性を補い合うことで優れた性能のレンズを得ることができる。異なる樹脂素材が重合過程で密着し、特に光学用接着剤あるいはプライマーを必要としないので、接合面における特段の光学特性の配慮は不要となる。また半製品レンズでは除去される部分に安価な樹脂を用いるが、あるいは光学特性を有しない研削しやすい賦形材を密着配置して原材料費を削減したり、眼鏡の玉入加工の際に切除される部分にも適用して製造コストの削減に寄与することができる。更に光学特性を複合化することができるので、一つのレンズで収差を補正した組み合わせレンズを一体化して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1(a)は、シェルの断面図であり、同図(b)はシェルに樹脂を充填した状態の断面図、同図(c)は中間部材の断面図、同図(d)はキャビティを設けた断面図、キャビティに別の樹脂を注入した断面図、同図(e)は中間部材と異なる樹脂をキャビティに注型した断面図、同図(f)は本発明の樹脂レンズの断面図である。
図2(a)は、賦型材とモールドから成るシェルに樹脂を注入した状態を示す断面図であり、同図(b)は本発明の賦型材に光学樹脂を重合密着した半製品レンズの断面図である。
図3(a)は賦型材を縁周部に配置したシェルの断面図であり、同図(b)は賦型材を縁周部に一体化した研削前の樹脂レンズの断面図である。
図4(a)はモールドと成形体でキャビティを形成し中央にフィルムを配置したシェルの断面図であり、同図(b)はフィルムを一体化した半製品レンズの断面図であり、同図(c)は研削して得られた完成品レンズの断面図である。
図5(a)はキャビティの中央にフィルムを装着するシェルの一例を示す組立要領を示す断面図であり、同図(b)は組立後のシェルの断面図である。
図6(a)はキャビティの中央にフィルムを装着するガスケットの別の実施態様を示す平面図であり、同図(b)はそのA−A矢視斜視図であり、同図(c)はフィルムの平面図であり、同図(d)はフィルムを装着したガスケットの平面図である。
[符号の説明]
1…凹形状のモールド、2…凸形状のモールド、3…中間部材
4…接着テープ、10…シェル、11…重合密着レンズ
12…重合密着半製品レンズ、
13…縁周部に賦型材を一体化した樹脂レンズ、18…偏光フィルム
21…偏光レンズ、23…ガスケット本体、25…偏光フィルム
26…内部ガスケット、30…ガスケット
Claims (7)
- 少なくとも2種類の樹脂素材を用いて屈折率が1.45以上の樹脂レンズを製造する方法であって、
少なくとも1種類の樹脂素材を流動性のない成形体となし、
該成形体の被密着面にキャビティを形成し、該キャビティに前記樹脂素材とは性質の異なる別の素材原料を注入してキャビティ内で重合硬化させることにより、少なくとも2種類の性質の異なる樹脂素材が相互に密着し一体化した樹脂成型物を得て、
該樹脂成形物から下記A及びBの特徴の一方又は双方を有するレンズを製造することを特徴とする、樹脂レンズの製造方法。
A.前記少なくとも2種類の樹脂素材の性質が相互に補完し合うことにより、光学特性、物性、染色性、軽量性及び加工性のうちの少なくとも1種が向上したレンズ
B.前記樹脂成形物の一部が少なくとも1種の樹脂素材を含む賦形材として形成され、(1)該賦形材として形成された部分が除去されて小径化され、又は(2)該賦形材として形成された部分が除去されて所望の曲率半径を有するように加工され、又は(3)該賦形材として形成された部分が除去されて小径化され且つ所望の曲率半径を有するように加工されたレンズ - 前記少なくとも2種類の性質の異なる樹脂素材の組合せが、下記(a)〜(h)にそれぞれ記載された分類のいずれか1種以上に該当することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂レンズの製造方法。
(a)熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂、
(b)易染色性樹脂と難染色性樹脂、
(c)機械加工によりバリ、クラック等の欠陥が生起し易い樹脂と生起し難い樹脂、
(d)耐衝撃性の高い樹脂と低い樹脂、
(e)比重の高い樹脂と低い樹脂、
(f)屈折率の高い樹脂と低い樹脂、
(g)アッベ数の高い樹脂と低い樹脂、
(h)光学用樹脂と汎用樹脂。 - 前記成形体として、モールドで構成されるキャビティの周縁部に円環状の賦形材を配置し、キャビティの中央部に光学用樹脂を注入して硬化させることにより前記賦形材と一体化させた後、前記賦形材部分を除去して小径のレンズを作製することを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂レンズの製造方法。
- 前記成形体として略円柱状の賦形材を用いて、円柱軸方向の面にキャビティを形成し、該キャビティに光学用樹脂を注入して硬化させることにより前記賦形材と一体化させた後、前記賦形材を除去して所望の曲率半径有するレンズを製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂レンズの製造方法。
- 前記成形体として、偏光、遮光等の光学特性を有するフィルム又は着色されたフィルムを用いてこれをキャビティの中央に配置し、前記フィルムの一方の側面又は両側面に光学用樹脂原料を注入して硬化させることにより、光学用樹脂原料とフィルムとを一体化させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂レンズの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる樹脂レンズの外面のいずれか一方もしくは双方に、耐擦傷性に優れた有機薄膜及び反射防止機能を有する薄膜のいずれか一方もしくは双方を設けたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂レンズの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された樹脂レンズ。
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