JPWO2002100305A1 - 装着感を改善した整姿用パッド並びにその製造方法 - Google Patents

装着感を改善した整姿用パッド並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

使用者の発汗自体を抑えて装着感を向上することができるとともに、パット本体でのカビの発生が生ずることのない、新規な装着感を改善した整姿用パッド並びにその製造方法の開発を技術課題とした。人体と接触する側に好適な熱伝導性柔軟層(3)を形成するとともに、その表面側に発泡層(6)を形成したものであり、更にこれら熱伝導性柔軟層(3)と発泡層(6)とは、その境界面に非透気性の境界層(5)を具えるとともに、両者は共に非透気性フィルムで被覆されているものであることを特徴として成り、熱伝導性柔軟層(3)が人体の熱を外部へと放出するため、使用者の発汗を抑えることができ、使用者に蒸れによる不快感を与えることがない。

Description

技術分野
本発明は例えば女性の身体の整姿を主目的として使用される整姿用パッド並びにその製造方法に関するものである。
背景技術
例えば乳腺症等の手術で女性が乳房を切除した場合、整姿目的で女性の乳房に形状を似せた整姿用パッドを使用することがある。この整姿用パッドは、いわば身体の一部として代用されるものであるから、なるべく身体に近い性状であることが望まれ、柔軟性、弾力性、保形性、感触性、強度性などの諸条件を具備することが要求される。また直接素肌に着ける可能性が高いものであるため、通気性はもちろん、ファンデーションの一部として外観的にも高級感漂うものに仕上げられている必要がある。
そこでこのような諸条件の幾つかを具備するものとして、連続気泡で多孔化したゲル状物質から成るパッドがすでに開発されている(実公昭61−40728号公報)。しかしながらここに紹介された油性系または含水系のゲル状物質を適用したパッドでは、表面がべとついているため、身体の肌触りとはほど遠く、またその表面強度も比較的弱く、パッド周縁の保形性も悪かった。
このような実状を踏まえ、本出願人の技術的関与の下にすでに特開平5−131007号(特許第3084642号)「整姿用パッド並びにその製造方法」、特開平7−328050号「整姿用パッド並びにその製造方法」、特開平8−322863号「整姿用パッド並びにその製造方法」、特開平9−38124号「整姿用パッド並びにその製造方法」等の出願がされており、上記問題点を解決するとともに、脂肪感触面と重量面での、より一層の現物感の追求と、通気性の向上、更には離型性の改善等を達成し得る新規な整姿用パッド並びにその製造方法の開発に成功している。
ところでこのような整姿用パッドを使用する上では、特に夏場等の発汗による蒸れが使用者に不快感を与えてしまうことが問題となる。このため従来は、パッド本体を形成する樹脂に空孔を形成して通気性を付与することにより蒸れを防止することが図られており、これらのパッドを清潔な状態で使用するために洗濯することもあるが、例えば梅雨時等で洗濯後の乾燥が不充分であった場合等には、空孔内に残存した水分がカビ発生の原因となってしまうことがあった。
本発明はこのような背景を認識して成されたものであり、従来、蒸れを防止するために行われていたパッド本体の通気性向上を図ることとは着眼点を異にし、パッド本体の放熱性を向上することに着目し、使用者の発汗自体を抑えて装着感を向上することができるとともに、パッド本体でのカビの発生が生ずることのない、新規な装着感を改善した整姿用パッド並びにその製造方法の開発を試みたものである。
発明の開示
すなわち請求項1記載の装着感を改善した整姿用パッドは、下着類と適宜組み合わせて人体の整姿を行う整姿用パッドにおいて、前記整姿用パッドは、人体と接触する側に好適な熱伝導性柔軟層を形成するとともに、その表面側に発泡層を形成したものであり、更にこれら熱伝導性柔軟層と発泡層とは、その境界面に非透気性の境界層を具えるとともに、両者は共に非透気性フィルムで被覆されているものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、熱伝導性柔軟層が人体の熱を外部へと放出するため、使用者の発汗を抑えることができ、使用者に蒸れによる不快感を与えることがない。また熱伝導性柔軟層及び発泡層に水分が入り込まないため、カビの発生を防止することができる。また、発泡層の変形等により空孔から出た空気が、熱伝導性柔軟層を変形させてしまうのを回避することができる。
また請求項2記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記要件に加え、前記境界層はコート材により形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、境界層を、発泡層に対して完全に密着したものとして形成することができ、発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのをより確実に防止することができる。
更にまた請求項3記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記請求項1記載の要件に加え、前記境界層は樹脂フィルムにより形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、境界層を事前に別途制作しておくことができるため、整姿用パッドの生産性を向上することができる。また発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのを防止することができる。
更にまた請求項4記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記請求項3記載の要件に加え、前記発泡層と境界層との間には、スティッキング抑制層を形成したことを特徴として成るものである。
この発明によれば、整姿用乳房の使用時に、このものが発泡層と境界層とが本来の積層状態からずれた状態に変形した場合であっても、発泡層の粘着性によってこれらが変形したままくっついてしまい、もとの状態に復元しなくなってしまうことを回避することができる。
更にまた請求項5記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記請求項4記載の要件に加え、前記スティッキング抑制層は、鉱物粉によって形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、発泡層に対して鉱物粉をまぶすことにより、容易にスティッキング抑制層を形成することができる。
更にまた請求項6記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記要件に加え、前記熱伝導性柔軟層は、ゲル状物質により形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、熱伝導性柔軟層にゲル状物質を用いることにより、柔軟性、弾力性、硬さ、保形性、変形回復性などが身体の性状と類似し、使用者に違和感を与えることがない。また熱伝導性柔軟層を、フィラーの添加量を調整することにより所望の熱伝導率のものとすることができ、且つ熱伝導率が均等なものとして形成することができる。
更にまた請求項7記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記要件に加え、前記熱伝導性柔軟層はフィラーとしてアルミナを含むものであり、且つ熱伝導率が0.2W/mK以上であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、整姿用パッドと接触する部位周辺の人体の温度上昇を効果的に防ぎ、使用者の発汗自体を抑えるため、使用者に蒸れ等の不快感を与えることがない。
更にまた請求項8記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記要件に加え、前記熱伝導性柔軟層は、シリコーンゲルにフィラーとしてアルミナを含むものであり、且つ熱伝導率が0.3W/mK以上であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、整姿用パッドと接触する部位周辺の人体の温度上昇を効果的に防ぎ、使用者の発汗自体を抑えるため、使用者に蒸れ等の不快感を与えることがない。
更にまた請求項9記載の装着感を改善した整姿用パッドは、前記要件に加え、前記整姿用パッドの比重は0.3〜0.4の範囲内であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、特に日本人が整姿用乳房として供する場合に違和感を与えることがない。
また請求項10記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、非透気性フィルムを所望形状の表層膜に形成する表層膜形成工程と、この表層膜内に発泡層を形成する発泡層形成工程と、この発泡層の裏面側に境界層を形成する境界層形成工程と、この境界層の裏面側に熱伝導性柔軟層を形成する熱伝導性柔軟層形成工程とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程は、真空成形型等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型との間にバックアップ材を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程は、発泡層の裏面側にコート材を塗布することにより境界層を形成するものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、境界層を、発泡層に対して完全に密着したものとして形成することができ、発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのをより確実に防止することができる。
更にまた請求項11記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、非透気性フィルムを所望形状の表層膜に形成する表層膜形成工程と、この表層膜内に発泡層を形成する発泡層形成工程と、この発泡層の裏面側に境界層を形成する境界層形成工程と、この境界層の裏面側に熱伝導性柔軟層を形成する熱伝導性柔軟層形成工程とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程は、真空成形型等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型との間にバックアップ材を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程は、あらかじめ発泡層の裏面側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムを発泡層に密着させることにより、境界層を形成するものであり、更にまた前記熱伝導性柔軟層形成工程は、境界層の裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、この非透気性フィルムと境界層との間の空間に注入口から硬化前の熱伝導性の柔軟素材を注入した後、前記注入口を封止することにより熱伝導性柔軟層を形成するものであり、前記注入口は、非透気性フィルムと境界層とにおける縁の部分を、全周にわたって接合することなく一部を残した状態で接合することにより形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、境界層を事前に別途制作しておくことができるため、整姿用パッドの生産性を向上することができる。また発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのを防止することができる。
更にまた請求項12記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、非透気性フィルムを所望形状の表層膜に形成する表層膜形成工程と、この表層膜内に発泡層を形成する発泡層形成工程と、この発泡層の裏面側に境界層を形成する境界層形成工程と、この境界層の裏面側に熱伝導性柔軟層を形成する熱伝導性柔軟層形成工程とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程は、真空成形型等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型との間にバックアップ材を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程は、あらかじめ発泡層の裏面側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムを発泡層に密着させることにより、境界層を形成するものであり、更にまた前記熱伝導性柔軟層形成工程は、境界層の裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、この非透気性フィルムと境界層との間の空間に注入口から硬化前の熱伝導性の柔軟素材を注入した後、前記注入口を封止することにより熱伝導性柔軟層を形成するものであり、前記注入口は、非透気性フィルムの非溶着部分に形成した孔であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、境界層を事前に別途制作しておくことができるため、整姿用パッドの生産性を向上することができる。また発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのを防止することができる。
更にまた非透気性フィルムに設けた孔から熟伝導性の柔軟素材を注入するため、非透気性フィルムの孔周辺に熱伝導性の柔軟素材が付着してしまうことを回避でき、パッチによる孔の封止がより確実に行える。このため熱伝導性の柔軟素材の流出をより確実に防ぐことができるとともに、歩留りが向上する。
更にまた請求項13記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、非透気性フィルムを所望形状の表層膜に形成する表層膜形成工程と、この表層膜内に発泡層を形成する発泡層形成工程と、この発泡層の裏面側に境界層を形成する境界層形成工程と、この境界層の裏面側に熱伝導性柔軟層を形成する熱伝導性柔軟層形成工程とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程は、真空成形型等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型との間にバックアップ材を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程及び熱伝導性柔軟層形成工程は、あらかじめ発泡層の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムの裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、これら非透気性フィルムの内部空間に注入口から硬化前の熱伝導性の柔軟素材を注入した後、前記注入口を封止してこれらを一体化し、このものを前記発泡層に密着させることにより、境界層及び熱伝導性柔軟層を形成するものであり、前記注入口は、発泡層の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムと、別途の非透気性フィルムとにおける縁の接合を、全周にわたって接合することなく一部を残した状態で接合することにより形成したものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、裏層膜、熱伝導性柔軟層及び境界層を一体化したものを事前に別途制作しておくことができるため、整姿用パッドの生産性をより向上することができる。また発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのを防止することができる。
更にまた請求項14記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、非透気性フィルムを所望形状の表層膜に形成する表層膜形成工程と、この表層膜内に発泡層を形成する発泡層形成工程と、この発泡層の裏面側に境界層を形成する境界層形成工程と、この境界層の裏面側に熱伝導性柔軟層を形成する熱伝導性柔軟層形成工程とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程は、真空成形型等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型との間にバックアップ材を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程及び熱伝導性柔軟層形成工程は、あらかじめ発泡層の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムの裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、これら非透気性フィルムの内部空間に注入口から硬化前の熱伝導性の柔軟素材を注入した後、前記注入口を封止してこれらを一体化し、このものを前記発泡層に密着させることにより、境界層及び熱伝導性柔軟層を形成するものであり、前記注入口は、発泡層の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムあるいはこの非透気性フィルムの裏面側に接合した別途の非透気性フィルムに設けた孔であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、裏層膜、熱伝導性柔軟層及び境界層を一体化したものを事前に別途制作しておくことができるため、整姿用パッドの生産性をより向上することができる。また発泡層内の空気が熱伝導性柔軟層側に移動してしまうのを防止することができる。更にまた非透気性フィルムに設けた孔から熱伝導性の柔軟素材を注入するため、非透気性フィルムの孔周辺に熱伝導性の柔軟素材が付着してしまうことを回避でき、パッチによる孔の封止がより確実に行える。このため熱伝導性の柔軟素材の流出をより確実に防ぐことができるとともに、歩留りが向上する。
更にまた請求項15記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法は、前記請求項11、12、13または14記載の要件に加え、前記発泡層と境界層との間に、これら層相互のスティッキングを防止するスティッキング抑制層を形成するためのスティッキング抑制層形成工程を具えたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、発泡層が有する粘着性に起因する発泡層と非透気性フィルムとの接着を防ぎ、非透気性フィルムの位置決めを容易に行うことができる。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明を図示の実施の形態に基づいて具体的に説明する。図中、符号1で示すものは本発明の整姿用パッドの一例たる整姿用乳房であって、このものは表側が山状に膨らんだ状態に形成されて成るものである。なお本明細書中においては、整姿用乳房1が人体に装着された状態で人体側に位置する面を裏面と定義し、一方、その逆側面を表面と定義する。
前記整姿用乳房1の内部構造は、図1、2に示すように整姿用乳房1の裏面側に位置する裏層膜2上に熱伝導性柔軟層3を形成するとともに、その表面側に境界層5及び発泡層6を形成し、更にこの発泡層6の表面側を表層膜7によって被覆して成るものである。
以下これら整姿用乳房1の各構成要素についてそれぞれ詳細に説明するとともに、整姿用乳房1の構成について更に詳しく説明する。
まず前記裏層膜2について説明すると、このものは非透気性である樹脂フィルムの一例である厚さ75μm、硬度75HS(ショアーA)のウレタンフィルム2Fによって形成するものであり、整姿用乳房1の構成要素の中で最も人体に近い個所に位置するものである。
もちろん裏層膜2を形成する素材としてはこの他にも、非透気性であり、且つ人体に影響のない柔軟なものであれば適宜のものを用いることができる。
次に前記熱伝導性柔軟層3について説明すると、このものは硬化前の柔軟素材3aに対して熱伝導性を向上させることを目的としてフィラー3bを分散させた状態で硬化したものであり、この実施の形態では前記柔軟素材3aとして一例としてゲル状のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製CF5106)を用いた。
また前記フィラー3bとしては一例として、粒径数μm〜数十μm程度のアルミナを採用した。
そしてこの実施の形態としては一例として前記熱伝導性柔軟層3の熱伝導率が0.3W/mK程度の好適な値となるように前記フィラー3bの含有量等の成分調整を行うものであり、この実施の形態では一例として30重量%の割合でフィラー3bを混入した。
因みに前記柔軟素材3aにフィラー3bを混入しない状態で硬化させた無垢の状態のものの熱伝導率は、0.18W/mKとなる。また、前記柔軟素材3aにフィラー3bを10重量%混入して硬化させたものの熱伝導率は、0.2W/mKとなる。
なお前記柔軟素材3aとしてはこの他にも、人体に影響のない柔軟な樹脂であれば適宜の素材を適用することができるものであり、一例としてポリビニルアルコール(PVA)をホウ砂を用いてゲル化したもの(熱伝導率0.46W/mK)が挙げられる。
次に前記境界層5について説明すると、このものはコート材5aにより形成したものと、非透気性である樹脂フィルムの一例であるウレタンフィルム5Fにより形成したものとの何れかを選択的に採用するものであり、後述する発泡層6の空孔6a内に位置する空気が熱伝導性柔軟層3側に移動しないように設けるものである。
そして前記コート材5aを採用する場合は、一例としてウレタン系コーティング剤(三洋化成工業株式会社製 サンプレンSP78MB)を用い、このものを硬化させて厚さ0.1〜1mmの境界層5を形成するものである。
また前記樹脂フィルムを採用する場合は、一例として厚さ75μm、硬度75HS(ショアーA)のウレタンフィルム5Fを適用するものである。もちろん境界層5を形成する素材としてはこの他にも、非透気性であり且つ人体に影響のない柔軟なものであれば適宜のものを用いることができる。
なお境界層5として樹脂フィルムを用いる場合には、境界層5と発泡層6との間にスティッキング抑制層4を形成することにより、両者相互の位置決めを行う際のスティッキングの発生を抑え、作業性を向上することができる。ここでスティッキングとは、境界層5と発泡層6との摩擦面で付着と滑りが交互に起こる現象を意味するものとする。そして前記スティッキング抑制層4は、一例として境界層5の表面側または発泡層6の裏面側に、タルクやマイカ等の鉱物粉をまぶして形成したり、あるいは境界層5と発泡層6との間にメッシュ素地を介在させて形成されるものである。
次に前記発泡層6について説明すると、このものは多数の空孔6aが形成された状態で硬化した樹脂発泡体であって、人体に近い柔軟性、弾力性、保形性、感触性、強度性などの諸条件を具備するものである。そしてこの実施の形態では一例として発泡倍率10倍の低反発ウレタンフォームを用いた。なおこの他にも、人体に影響のない柔軟な樹脂であれば適宜のものを用いることができる。
次に前記表層膜7について説明すると、このものは非透気性である樹脂フィルムの一例として厚さ75μm、硬度75HS(ショアーA)のウレタンフィルム7Fによって形成するものであり、整姿用乳房1の構成要素の中で最も人体から遠い個所に位置するものである。もちろん表層膜7を形成する素材としてはこの他にも、非透気性であり且つ人体に影響のない柔軟なものであれば適宜のものを用いることができる。
そして上述した各構成要素を具えて成る整姿用乳房1の比重が、一例として0.3〜0.4の範囲内となるように、各構成要素の厚さ、面積等を調整するものであり、これは整姿用乳房1を日本人が使用する場合に、使用者に違和感を与えることのない重量感を実現するための措置である。
このように構成された整姿用乳房1は図12(a)に示すような断面形状を有するものであり、図12(b)に示すように外部からの押圧によって発泡層6における空孔6a内の空気が熱伝導性柔軟層3側に入り込むのを防ぐため、図12(d)に示すように形状の復元が円滑になされる。
更に図12(c)に示すように、発泡層6と境界層5とが本来の積層状態からずれるように変形した場合であっても、この状態で境界層5が発泡層6にくっついてしまうのを防ぐため、図12(d)に示すように本来の積層状態への復帰が円滑になされる。
一方、スティッキング抑制層4を設けなかった場合には、図12(d)に仮想線で示すように、発泡層6と境界層5とが本来の積層状態からずれるように変形した状態でくっついてしまうことがある。
また図13(a)に示すように境界層5を設けずに構成した整姿用乳房1′の場合には、図13(b)に示すように外部からの押圧によって発泡層6′における空孔6a′内の空気が熱伝導性柔軟層3′側に入り込み、押圧が解除されてもこの空気が発泡層6′側にうまく戻らずに気泡を形成してしまい、図13(c)に示すように整姿用乳房1′がもとの形状に復元しないといった事態が発生してしまうこともある。
ここでこのようにして構成される整姿用乳房1を実際に人体に装着したときの温度測定結果を示す。なおこの温度測定は、被験者が肌着を身につけている状態で、ブラジャーに組み付けた整姿用乳房1を左右胸部に装着し、15分経過後及び6時間経過後に整姿用乳房1をブラジャーごと取り外して左右胸部の肌着表面温度を測定するようにしたものである。このような手法を採ったのは、人体表面(素肌)の温度は装着物を取り去った瞬間に変化してしまうからであり、整姿用乳房1と人体表面との間の熱のこもり具合を測定するために、整姿用乳房1をブラジャーごと取り去った瞬間の肌着の表面温度を測定するようにした。なお整姿用乳房1は、布製の袋に入れた後にブラジャーのポケットに装入してブラジャーに組み付けた。
また測定器としては赤外線熱画像計測装置(Nikon社LAIRD−S270)を用い、比較のため、左右胸部にはそれぞれ構成を異ならせた三種類の整姿試料1〜3を順次装着して測定を行った。
ここで前記各試料の構成素材を下表1に示すものであり、試料1及び試料2は本発明の整姿用乳房1であって、裏層膜2、熱伝導性柔軟層3、境界層5、発泡層6及び表層膜7を有するものである。また試料3は比較用の試料であり、従来より用いられている無垢のウレタンフォーム成形体である。
Figure 2002100305
Figure 2002100305
なお表1中、試料1の熱伝導性柔軟層3を形成するゲルAは、上述した柔軟素材3aとしてゲル状のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 CF5106)を用いるとともに、フィラー3bとして粒径1μm程度のアルミナを30重量%混入したものである。また試料2の熱伝導性柔軟層3を形成するゲルBは、柔軟素材3aとしてゲル状のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 CF5106)を用い、フィラー3bを含まないものである。
これら試料を用いた測定結果を以下表2及び表3に示すものであり、この値は図14に示すカラーモニタに映し出された赤外線熱画像から読み取った。
Figure 2002100305
Figure 2002100305
Figure 2002100305
表2の結果によると、6時間装着後の肌着表面温度は、試料3と、試料1または試料2との比較では、試料1で−2.6℃、試料2で−1.9℃となり、熱伝導性柔軟層3による放熱性の効果が確認された。
また表3の結果によると、試料1と試料2の比較では、試料1の方が2℃程低くなり、熱伝導性柔軟層3にフィラー3bが混入していることにより、更に放熱性の向上に効果がみられることが確認された。
また被験者の整姿用乳房1装着部付近の発汗はほとんどなく、蒸れによる不快感も感じられていないことが確認された。
本発明の整姿用パッドの一例たる整姿用乳房1は一例として上述のように構成されるものであり、以下このような整姿用乳房1を例にとり、本発明の整姿用パッドの製造方法について説明する。
なお本発明の整姿用パッドの製造方法は、樹脂フィルムたるウレタンフィルム7Fを表層膜7へと形成する表層膜形成工程P1と、この表層膜7内に発泡層6を形成する発泡層形成工程P2と、この発泡層6の裏面側に境界層5を形成する境界層形成工程P3と、この境界層5の裏面側に熱伝導性柔軟層3を形成する熱伝導性柔軟層形成工程P5とを少なくとも具えて成るものである。
以下、前記表層膜形成工程P1及び発泡層形成工程P2を説明し、引き続いて前記境界層形成工程P3及び熱伝導性柔軟層形成工程P5の形態を異ならせた三種の手法についてそれぞれ説明する。
〔表層膜形成工程〕
表層膜形成工程P1は、シート状のウレタンフィルム7Fを縁を有する碗形のものに形成して表層膜7とするための工程である。具体的には、図3に示すように真空成形型10を用い、ウレタンフィルム7Fと真空成形型10との間に一例としてポリスチレンフィルムから成るバックアップ材7Bを介在させた状態で吸引を行い、所望形状の表層膜7を成形するものである。なお前記真空成形型10の代わりに圧縮空気圧成形型を使用したり、これらの両方を用いて成形するようにしてもよい。そしてこの表層膜形成工程P1で得られた表層膜7の外周面には、前記バックアップ材7Bが密着した状態となるものである。
なお所望の形状に形成したウレタンフィルムを用いて境界層5や裏層膜2を形成する場合も、この表層膜形成工程P1と同様の手法を採ることにより、このものを形成することができる。
〔発泡層形成工程〕
発泡層形成工程P2は前記表層膜7内に発泡層6を形成するための工程である。具体的には図4(a)に示すように、表層膜7をバックアップ材7Bごと凹部型枠11に嵌め込むとともに、図4(b)に示すように内部にウレタンフォーム原液を注入した後、凸部型枠12によって押圧し、常温にてウレタンフォームの発泡、硬化を行う。
やがてウレタンフォームが空孔6aを形成した状態で硬化した時点で凸部型枠12を外すと、図4(c)に示すように発泡層6が表層膜7の内側に密着した状態で形成されるものであり、その上面側(裏面側)は所望の形状に窪んだ状態と成る。
引き続いて前記境界層形成工程P3及び熱伝導性柔軟層形成工程P5に移行するものであるが、ここからはそれぞれの手法を異ならせた実施の形態毎に説明を行う。
〔1.境界層としてコート材を用いる実施の形態〕
(境界層形成工程)
まず境界層5としてコート材5aを用いる場合の実施の形態について説明する。境界層形成工程P3は前記表層膜7内における発泡層6の上方(裏側)に境界層5を形成するための工程である。具体的には図5(a)に示すように、前記発泡層6における上面側(裏面側)にコート材5aを塗布し、このものを硬化させて厚さ0.1〜1mmの境界層5を形成するものである。
(熱伝導性柔軟層形成工程)
熱伝導性柔軟層形成工程P5は、前記境界層5の上面側(裏面側)に熱伝導性柔軟層3を形成するための工程である。具体的には、まず図5(b)に示すように、ウレタンフィルム2Fを表層膜7における縁の部分に高周波溶着するものであり、このとき全周に渡って接合することなく、一部を残した状態で接合することにより注入口2Hを形成する。なおウレタンフィルム2Fの表層膜7への固着は、これら両者の間にホットメルトを介在させて熱接着するようにしてもよい。
次いで図5(c)に示すように前記注入口から、事前にフィラー3bを混入しておいた硬化前の柔軟素材3aを注入するものであり、その後図5(d)に示すように注入口を封鎖し、適宜加熱を行って柔軟素材3aの加熱硬化を図る。
そして柔軟素材3aが硬化した時点で整姿用乳房1が完成するものであり、このものを凹部用型枠11から離型するとともに、バックアップ材7Bを剥離する。
〔2.境界層としてウレタンフィルムを用いる実施の形態1〕
(境界層形成工程)
次に境界層5としてウレタンフィルム5Fを用いる場合の実施の形態について説明するものであり、この実施の形態ではウレタンフィルム5Fによって境界層5を形成した後に熱伝導性柔軟層3を形成するものである。
具体的には図6に示すように、まず前出の真空成形型10を用いる等して、シート状のウレタンフィルム5Fを、前記発泡層6の上面側(裏面側)形状に馴染んだ形状を有するように形成するものである。
(スティッキング抑制層形成工程)
次いで図7(a)に示すように、発泡層6の裏面側あるいは境界層5の表面側のいずれか一方または双方に、スティッキング抑制層4を構成することのできる材料の一例としてタルクやマイカ等の鉱物粉をまぶしておくことにより、スティッキング抑制層4を形成する。そしてこのスティッキング抑制層4の存在により、発泡層6が有する粘着性に起因する発泡層6とウレタンフィルム5Fとの接着を防ぎ、ウレタンフィルム5Fの位置決めを容易に行うことができる。
(熱伝導性柔軟層形成工程)
次いで前記ウレタンフィルム5Fを図7(b)に示すように発泡層6に重ねるとともに、前記表層膜7における縁の部分に高周波溶着することにより境界層5とする。
次に図7(c)に示すように、裏層膜2たるウレタンフィルム2Fを境界層5における縁の部分に高周波溶着するものであり、このとき全周にわたって接合することなく、一部を残した状態で接合することにより、注入口2Hを形成する。
なおここでも高周波溶着の代わりにホットメルトによる熱接着を行うようにしてもよい。
次いで前記注入口2Hから、事前にフィラー3bを混入しておいた硬化前の柔軟素材3aを注入するものであり、その後図7(d)に示すように注入口を封鎖し、適宜加熱を行って柔軟素材3aの加熱硬化を図る。
そして柔軟素材3aが硬化した時点で整姿用乳房1が完成するものであり、このものを凹部用型枠11から離型するとともに、バックアップ材7Bを剥離する。
なお前記注入口2Hについては、図8(a)に示すように、ウレタンフィルム2Fと境界層5とにおける縁の部分を全周にわたって接合し、ウレタンフィルム2Fにおける非溶着部分に孔として形成することもできる。この場合には、図8(b)に示すように、柔軟素材3aを注入した後、パッチ2Pを用いて注入口2Hを塞ぐものである。なおこの様に孔として形成する注入口2Hは、ウレタンフィルム2Fを境界層5に接合する前後いずれに形成するようにしてもよい。
〔3.境界層としてウレタンフィルムを用いる実施の形態2〕
(境界層形成工程)
次に境界層5としてウレタンフィルム5Fを用いる場合の形態を異ならせた実施の形態について説明するものであり、この実施の形態ではウレタンフィルム5Fとウレタンフィルム2Fとの間に熱伝導性柔軟層3を形成した後に、これらが一体化したものを前記発泡層6に積層するものである。
具体的には図9に示すように、まず前出の真空成形型10を用いる等して、シート状のウレタンフィルム5Fを、前記発泡層6の上面側(裏側側)形状に馴染んだ形状を有するように形成するものである。
(スティッキング抑制層形成工程)
次いで図10(a)に示すように、発泡層6の裏面側に、スティッキング抑制層4を構成することのできる材料の一例としてタルクやマイカ等の鉱物粉をまぶしておくことにより、スティッキング抑制層4を形成する。なおスティッキング抑制層4は、後述する境界層5の表面側に形成するようにしてもよい。
(熱伝導性柔軟層形成工程)
次いで図10(b)に示すように、ウレタンフィルム5Fにおける縁の部分にウレタンフィルム2Fを高周波溶着するものであり、このとき全周にわたって接合することなく、一部を残した状態で接合することにより注入口2Hを形成する。そして前記注入口2Hから事前にフィラー3bを混入しておいた硬化前の柔軟素材3aを注入して図10(c)に示すように注入口2Hを封鎖し、適宜加熱を行って柔軟素材3aの加熱硬化を図る。
また図11(a)に示すように、あらかじめ発泡層6の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムたるウレタンフィルム5Fに設けた孔を注入口2Hとし、ここから事前にフィラー3bを混入しておいた硬化前の柔軟素材3aを注入するようにしてもよい。
なおここでも高周波溶着の代わりにホットメルトによる熱接着を行うようにしてもよい。
またこのとき、熱伝導性柔軟層3の裏面側を窪ませて凹部3cを形成する場合には、ポリスチレンフィルム等を凹形状に成形したバックアップ材2Bによって裏層膜2を変形させた状態で柔軟素材3aの硬化を行うようにすればよい。
そして柔軟素材3aが硬化した時点でバックアップ材5Bを剥離し、図11(b)に示すように、ウレタンフィルム5F、ウレタンフィルム2F及び熱伝導性柔軟層3が一体化したものを得るものである。
なお図11(a)に示すように、注入口2Hをウレタンフィルム5Fに形成したときには、図11(b)に示すようにバックアップ材5Bを剥離した後、パッチ2Pによって注入口2Hを封止する。
そしてこのようにウレタンフィルム5F、熱伝導性柔軟層3及びウレタンフィルム2Fを一体化したものを前記表層膜7における縁の部分に高周波溶着する等して整姿用乳房1が完成する。
なおこの際、前記スティッキング抑制層4の存在により、発泡層6が有する粘着性に起因する発泡層6とウレタンフィルム5Fとの接着を防ぎ、ウレタンフィルム5Fの位置決めを容易に行うことができる。
その後、整姿用乳房1を凹部用型枠11から離型するとともに、バックアップ材7Bを剥離する。
(仕上げ工程)
その後、整姿用乳房1の周縁に形成されている余周部を切り落とし、適宜ランジェリー等の一部として組み付けることにより、本来の整姿という主目的を達することができるようになる。
本発明の装着感を改善した整姿用パッド並びにその製造方法としては、上記構成を基本とするものであるが、更に以下述べるような部分的構成を異ならせた他の実施の形態も存在する。
すなわち上記説明では、整姿用パッドとして整姿用乳房1を例にとって説明したが、本発明の装着感を改善した整姿用パッドはこれに限らず、豊胸用のブラジャーのパッド、肩パッド、膝当てパッド、腰パッド等のファンデーション、ランジェリー、その他の衣類に広く適用できる。
本発明の装着感を向上した整姿用パッドは、夏場等であっても整姿用パッドの装着された個所の発汗自体を抑えて使用者に蒸れ等に起因する不快感を与えることなく本来の目的である整姿を実現することができる。また整姿用パッドでのカビの発生を招いてしまうことがないため、洗濯後の乾燥に格別気をつかうことなく長期にわたって使用することが可能となる。
産業上の利用可能性
以上のように本発明は、女性の身体の整姿を主目的として使用される整姿用パッドを、使用者の発汗自体を抑えて装着感を向上させたい場合に適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の整姿用パッドの一例である整姿用乳房を一部破断して示す斜視図である。
第2図は、同上縦断側面図である。
第3図は、表層膜形成工程を示す縦断側面図である。
第4図は、発泡層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第5図は、境界層としてコート材を用いる場合の境界層形成工程及び熱伝導性柔軟層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第6図は、境界層としてウレタンフィルムを用いる場合の境界層形成工程を示す縦断側面図である。
第7図は、境界層としてウレタンフィルムを用い、且つ注入口を未接合部分とした場合のスティッキング抑制層形成工程及び熱伝導性柔軟層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第8図は、境界層としてウレタンフィルムを用い、且つ注入口を孔とした場合の熱伝導性柔軟層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第9図は、境界層としてウレタンフィルムを用いる場合の境界層形成工程を示す縦断側面図である。
第10図は、境界層としてウレタンフィルムを用い、且つ注入口を未接合部分とした場合のスティッキング抑制層形成工程及び熱伝導性柔軟層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第11図は、境界層としてウレタンフィルムを用い、且つ注入口を孔とした場合の熱伝導性柔軟層形成工程を段階的に示す縦断側面図である。
第12図は、整姿用乳房に押圧力が加わった場合の変形及び復元の様子を段階的に示す縦断側面図である。
第13図は、境界層を設けずに構成した整姿用乳房に押圧力が加わった場合の変形及び復元の様子を段階的に示す縦断側面図である。
第14図は、被験者を写した赤外線熱画像によって表された温度分布図である。

Claims (15)

  1. 下着類と適宜組み合わせて人体の整姿を行う整姿用パッドにおいて、前記整姿用パッドは、人体と接触する側に好適な熱伝導性柔軟層(3)を形成するとともに、その表面側に発泡層(6)を形成したものであり、更にこれら熱伝導性柔軟層(3)と発泡層(6)とは、その境界面に非透気性の境界層(5)を具えるとともに、両者は共に非透気性フィルムで被覆されているものであることを特徴とする装着感を改善した整姿用パッド。
  2. 前記境界層(5)はコート材(5a)により形成したものであることを特徴とする請求項1記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  3. 前記境界層(5)は樹脂フィルムにより形成したものであることを特徴とする請求項1記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  4. 前記発泡層(6)と境界層(5)との間には、スティッキング抑制層(4)を形成したことを特徴とする請求項3記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  5. 前記スティッキング抑制層(4)は、鉱物粉によって形成したものであることを特徴とする請求項4記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  6. 前記熱伝導性柔軟層(3)は、ゲル状物質により形成したものであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  7. 前記熱伝導性柔軟層(3)はフィラー(3b)としてアルミナを含むものであり、且つ熱伝導率が0.2W/mK以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  8. 前記熱伝導性柔軟層(3)は、シリコーンゲルにフィラー(3b)としてアルミナを含むものであり、且つ熱伝導率が0.3W/mK以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  9. 前記整姿用パッドの比重は0.3〜0.4の範囲内であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の装着感を改善した整姿用パッド。
  10. 非透気性フィルムを所望形状の表層膜(7)に形成する表層膜形成工程(P1)と、この表層膜(7)内に発泡層(6)を形成する発泡層形成工程(P2)と、この発泡層(6)の裏面側に境界層(5)を形成する境界層形成工程(P3)と、この境界層(5)の裏面側に熱伝導性柔軟層(3)を形成する熱伝導性柔軟層形成工程(P5)とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程(P1)は、真空成形型(10)等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型(10)との間にバックアップ材(7B)を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程(P3)は、発泡層(6)の裏面側にコート材(5a)を塗布することにより境界層(5)を形成するものであることを特徴とする、装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
  11. 非透気性フィルムを所望形状の表層膜(7)に形成する表層膜形成工程(P1)と、この表層膜(7)内に発泡層(6)を形成する発泡層形成工程(P2)と、この発泡層(6)の裏面側に境界層(5)を形成する境界層形成工程(P3)と、この境界層(5)の裏面側に熱伝導性柔軟層(3)を形成する熱伝導性柔軟層形成工程(P5)とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程(P1)は、真空成形型(10)等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型(10)との間にバックアップ材(7B)を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程(P3)は、あらかじめ発泡層(6)の裏面側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムを発泡層(6)に密着させることにより、境界層(5)を形成するものであり、更にまた前記熱伝導性柔軟層形成工程(P5)は、境界層(5)の裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、この非透気性フィルムと境界層(5)との間の空間に注入口(2H)から硬化前の熱伝導性の柔軟素材(3a)を注入した後、前記注入口(2H)を封止することにより熱伝導性柔軟層(3)を形成するものであり、前記注入口(2H)は、非透気性フィルムと境界層(5)とにおける縁の部分を、全周にわたって接合することなく一部を残した状態で接合することにより形成したものであることを特徴とする、装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
  12. 非透気性フィルムを所望形状の表層膜(7)に形成する表層膜形成工程(P1)と、この表層膜(7)内に発泡層(6)を形成する発泡層形成工程(P2)と、この発泡層(6)の裏面側に境界層(5)を形成する境界層形成工程(P3)と、この境界層(5)の裏面側に熱伝導性柔軟層(3)を形成する熱伝導性柔軟層形成工程(P5)とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程(P1)は、真空成形型等(10)を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型(10)との間にバックアップ材(7B)を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程(P3)は、あらかじめ発泡層(6)の裏面側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムを発泡層(6)に密着させることにより、境界層(5)を形成するものであり、更にまた前記熱伝導性柔軟層形成工程(P5)は、境界層(5)の裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、この非透気性フィルムと境界層(5)との間の空間に注入口(2H)から硬化前の熱伝導性の柔軟素材(3a)を注入した後、前記注入口(2H)を封止することにより熱伝導性柔軟層(3)を形成するものであり、前記注入口(2H)は、非透気性フィルムの非溶着部分に形成した孔であることを特徴とする、装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
  13. 非透気性フィルムを所望形状の表層膜(7)に形成する表層膜形成工程(P1)と、この表層膜(7)内に発泡層(6)を形成する発泡層形成工程(P2)と、この発泡層(6)の裏面側に境界層(5)を形成する境界層形成工程(P3)と、この境界層(5)の裏面側に熱伝導性柔軟層(3)を形成する熱伝導性柔軟層形成工程(P5)とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程(P1)は、真空成形型(10)等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型(10)との間にバックアップ材(7B)を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程(P3)及び熱伝導性柔軟層形成工程(P5)は、あらかじめ発泡層(6)の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムの裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、これら非透気性フィルムの内部空間に注入口(2H)から硬化前の熱伝導性の柔軟素材(3a)を注入した後、前記注入口(2H)を封止してこれらを一体化し、このものを前記発泡層に(6)密着させることにより、境界層(5)及び熱伝導性柔軟層(3)を形成するものであり、前記注入口(2H)は、発泡層(6)の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムと、別途の非透気性フィルムとにおける縁の接合を、全周にわたって接合することなく一部を残した状態で接合することにより形成したものであることを特徴とする、装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
  14. 非透気性フィルムを所望形状の表層膜(7)に形成する表層膜形成工程(P1)と、この表層膜(7)内に発泡層(6)を形成する発泡層形成工程(P2)と、この発泡層(6)の裏面側に境界層(5)を形成する境界層形成工程(P3)と、この境界層(5)の裏面側に熱伝導性柔軟層(3)を形成する熱伝導性柔軟層形成工程(P5)とを少なくとも具えて成り、前記表層膜形成工程(P1)は、真空成形型(10)等を用いて非透気性フィルムを凹形状に形成するものであって、この非透気性フィルムと真空成形型(10)との間にバックアップ材(7B)を介在させるようにしたものであり、また前記境界層形成工程(P3)及び熱伝導性柔軟層形成工程(P5)は、あらかじめ発泡層(6)の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムの裏面側に、別途の非透気性フィルムを縁の部分を溶着して接合し、これら非透気性フィルムの内部空間に注入口(2H)から硬化前の熱伝導性の柔軟素材(3a)を注入した後、前記注入口(2H)を封止してこれらを一体化し、このものを前記発泡層(6)に密着させることにより、境界層(5)及び熱伝導性柔軟層(3)を形成するものであり、前記注入口(2H)は、発泡層(6)の裏側形状に馴染むように成形した非透気性フィルムあるいはこの非透気性フィルムの裏面側に接合した別途の非透気性フィルムに設けた孔であることを特徴とする、装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
  15. 前記発泡層(6)と境界層(5)との間に、これら層相互のスティッキングを防止するスティッキング抑制層(4)を形成するためのスティッキング抑制層形成工程(P4)を具えたことを特徴とする、請求項11、12、13または14記載の装着感を改善した整姿用パッドの製造方法。
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