JPWO2002069702A1 - 哺乳類動物の臓器保存方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、生理学上常識的な水分量を含む臓器から、該臓器内の水分を脈管系から導き出すことにより脱水前の臓器総重量に対する重量比で約10%以上、好ましくは25%以上の水分を除去する脱水工程と、該臓器を不活性媒体に浸せきして冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の臓器の保存方法に関する。

Description

技術分野
本発明は、哺乳類動物の臓器を生体外で長期間保存する技術に関する。
背景技術
人間の肺臓、心臓、肝臓、腎臓、膵臓等の臓器の臨床移植治療は、既に実用化され、日常化されているが、年々増加する移植待機患者に対するドナー不足の問題が深刻化し、手術迄の待機時間が延長している。また、臓器移植のドナーが出現しても、血液のように長期間の保存や供給体制の整備が十分なされていないのが現状である。
特に移植臓器にあっては、低温保存が主流であり、臓器移植に有効な保存時間は、約4〜24時間が保存限界である(Cooper JD,Patterson GA,Trulock EP et all;J.Thorac.Cardiovasc.Surg.107,460−471,1994)。
実際に、University of Winsconsin Solution液(UWS液)を使用したラット、ウサギ、ヒヒの摘出心臓の低温保存および蘇生にあっても、6〜18時間が限度である(Makowka I,Zerbe TR,Champman F,et all;Transplant Proc.21,1350,1989 and Yen T,Hanan SA,Johson DE,et all;Ann.Thorac.Surg.49,932,1990)。
また、このUWS液とパーフルオロカーボン媒体とを組合せて用い、ラットの心臓を保存し、移植に成功したのは、24時間(5匹全部)から48時間(5匹中4匹)である(Kuroda Y,Kawamura T,Tanioka T,et all;Transplantation,59,699−701,1995)。この理由は、摘出心臓が4℃の低温や虚血傷害に曝されると、細胞膜に損害が与えられるため、組織細胞が蘇生できないことによる(Pegg DE;Organ presevation.Surg.Clin.Notth Am.66,617,1986:OzMC,Pinsky DJ,Koga S,et all;Circulation 88,291−297,1993:and Heffner JE,Pepine JE;Rev.Pespir.Dis.140,531−554,1989)。
哺乳動物の生体組織の長期間にわたる保存・蘇生の技術は、血液、精子、卵子のような単細胞のみで開発が進んでいる。これは、細胞の集まりである組織又は幾つかの組織からなる臓器の低温保存に関しても実用化が進みつつあるが、いずれにしても、最大24時間以内に移植を行わなければならないのが現状である(kalayoglu M,Sollinger HW,Strarra RJ,et all;Lancet,2,617,1988)。
因みに、トレハロース(C122211)は、自然界に広く分布する非還元性の二糖類であり、様々なストレス下において、細胞膜構造の安定化ないし保護作用を有することが報告されている(Crowe JH,Crowe LM,Chapman D;Science 233,701−703,1984 and Wiemken A;Antinei Van Leeunwenhoek.58,209−217,1990)。トレハロースは、心臓が摂氏4度の低温や虚血障害に曝されると細胞膜に対して保護作用を示すことが報告されている(Stringham JC,Southhard JH,Hegge J,et all;Transplantation,58,287−294,1992 and Hirata T,Fukuse T,Liu CJ,et all;Surgery,115,102−107,1994)。また、クマムシの高静水圧実験において、無水状態になるとトレハロースが10倍も増大することが報告されている(Crowe JH,Crowe LM,Chapman D;Science 233,701−703,1984 and Crowe JH,Crowe LM,Chapman D,Aurell Wistorm C;Biochemical Journal,242,1−10,1987)。このクマムシは、約40,000個の細胞で構成され、神経細胞も持っている多細胞生物である。
本発明者は、乾燥状態のクマムシ等がパーフルオロカーボン液中では極限の600Mpaというような高水圧環境という負荷にも耐え、生命力を保持していることを発見した(Kunihiro Seki et al;Nature Vol.395,No.6705,pp.853−854,29 Oct.1998,及び特開平11−289917号;この内容は参照により本明細書に取り込まれる)。クマムシの乾燥状態はタン状態または樽状態によって形成される。その生理的メカニズムは、十分に解明されてはいないが、クマムシは体内の水分量が極端に減少し、脱水状態となっている。
上述の従来における臓器の冷蔵保存は、臓器の温度を下げることでその代謝機能を低下させてその生存状態を維持するものである。温度低下により代謝機能は低下するが、極性媒体である水分中に豊富なイオンが存在し、これらが細胞の自己崩壊、細胞死、壊死(Necrosis)を経時的に引き起こす原因となる。
したがって、冷蔵保存は、保存時間が長引くほど深刻な血栓や機能障害が急増するという可能性を不可避的に有し、その保存期間には質的な限界がある。
他方で、一般に動物の組織細胞は水分がなければ生存し得ない。異種組織で構成される高等な臓器であれば、乾燥状態からの蘇生は不可能であると容易に予想される。従来において植物や各種細菌類を乾燥保存する技術は既に開発されているが、高等動物の器官そのものを乾燥保存後に蘇生させた実験は例を見ない。
本発明者は、驚くべきことに、一定の条件下で哺乳類動物の摘出臓器から多量の水分を除去してその臓器を不活性溶媒中に浸せきして低温で保存したとき、クマムシが樽状態で長期間生命を維持しているときと同じような仮死状態(apparent death)に至ることを発見した(特開2000−72601:この出願はその参照により本明細書に取り込まれる)。
特に驚くべきことは、哺乳類動物の多細胞且つ多組織の臓器が極度の脱水状態から蘇生し、また、蘇生した心臓の拍動が確認されたことである。その臓器の各細胞は酸素消費量が正常時の1/1000以下まで極端に低下し又は酸素消費が実質的に停止した仮死状態にあると考えられる。
特開2000−72601に開示された方法により保存された臓器は、蘇生後に生きた神経や幹細胞を採取しうるし、臓器自体又は採取された組織を移植医療に利用することができる。また、病理組織学的研究において、壊死した標本ではなくを蘇生可能な生体材料を長期保存できることは大きな意味がある。
上記保存方法は、生体外に保存される臓器の細胞や組織の経時的な自己崩壊を防止して保存日数を大幅に増加しうるが、その脱水方法は、臓器に接触する脱水剤に依拠している。その保存方法の更なる改良のため、より優れた脱水方法を探求する必要がある。
発明の開示
本発明は、臓器から水分を除去し且つ蘇生可能な水分量を残す脱水工程と、臓器を不活性媒体に浸せきして冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の心臓のような臓器の保存方法に関する。
本発明による哺乳類動物の臓器の保存方法は、生理学上常識的な水分量を含む臓器から、その脈管系を通じて該臓器内の水分を導き出すことにより脱水前の臓器総重量に対する重量比で約10%以上又は25%以上の水分を除去し、且つ脱水前の総水分量に対する重量比で約10〜約20%以上の水分を残す脱水工程と、該臓器を不活性媒体に浸せきして冷蔵温度に維持する工程とを含む。上記臓器は、心臓、肝臓、腎臓、膵臓および肺臓からなる群より選択され得る。
本発明による哺乳類動物の心臓の保存方法は、心臓へ生理的塩類溶液を潅流して心臓内の血液を生理的塩類溶液に置換する脱血工程と、脱血した心臓から、その血管系を通じて該臓器内の水分を導き出すことにより脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10〜約50%の水分を除去する脱水工程と、該心臓を不活性媒体に浸せきして約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む。また、この発明は、理論的には、脱水前の心臓総重量に対する重量比で約25〜約60%の水分を除去する脱水工程も含みうる。
上記脈管系を利用した脱水は、臓器又は心臓の脈管系へ気体を送り込むことを含む。例えば、心臓の大動脈へ気体を潅流すると、該気体の流れにより該心臓の血管系から水分が導き出される。即ちその気体の流圧により水分が臓器の外へ押し出される。流圧は一定圧が好ましい。更に、上記脱水工程が、臓器に不活性媒体に浸させている該臓器に脱水剤を接触させることを更に含むこともできる。特に気体を用いた脱水では、血液が潅流気体に触れて凝固する問題を回避するために、脱水工程に先立ち、生理的塩類溶液を用いて臓器を脱血処理することが好ましい。最も好ましいのは、流圧が一定圧である脱血潅流である。
脈管系に送り込む気体は、好ましくは空気、O−CO混合気体が使用されるが、N、He、Ar、Ne、Kr又はXeのような不活性気体が使用してもよい。例えば、生理的塩類溶液を潅流するための潅流装置を用いて、その生理的塩類溶液の代わりに気体を送り込むことで可能である。脈管系への気体潅流により、臓器内の体液は押し出され、そして、細胞の一つ一つから毛細管を経て水分が導き出される。
脈管系に送り込む液体としては、臓器の体液よりも濃度の高い高張液のように浸透圧差を利用して細胞から水分を移動させる溶媒がある。また後述の不活性媒体、或いはアルコール類でも可能であろう。
上記脈管系の毛細管へ入り込んで流圧を生じ、臓器組織全体にほぼ等しく到達し、そして、毛細管を循環(例えば動脈血管から静脈血管へ)して脈管系の他端へ達しうる。この脱水は、臓器に固有の水分供給経路を利用するため、個々の組織や細胞を標的にしてゆっくりと均一な脱水状態を作りだすことができる。哺乳類動物の多細胞且つ多組織の臓器であっても生体組織に無用なストレスをかけずにスムーズに高度の脱水状態へ移行できる。したがって、通常は生体組織にストレスとなる10wt%以上又は25wt%以上の脱水であっても、臓器は虚血障害や生体組織の損傷を伴わずに極めて安定した仮死状態へ至ることができる。そして、水分を取り戻したときに機能を復帰し、その細胞や組織のみならず臓器自体の機能が蘇生しうる。
一般に仮死状態とは生物学的仮死を意味するが、本発明で意図する仮死とは、高度の脱水状態によって外観上の生命現象は認められなくなるが、水分を取り戻したときに再び生命現象が認められうる状態を意味する。本発明にいう「蘇生」とは、その脱水状態から水分を取り戻したときに組織の電気生理学な反応、又は器官としての生物学的な生命活動が認められる現象を意味する。
他の側面において、本発明は、生理学上常識的な水分量を含む臓器の表面にオイル膜を形成する工程と、該心臓を気体に曝して該心臓内の水分を該気体中へ蒸発させることにより、脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10%以上の水分を除去する工程と、該臓器を約1〜約8℃、好ましくは約2〜約4℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の心臓の保存方法に関する。
また、本発明は、心臓へ生理的塩類溶液を潅流して心臓内の血液を生理的塩類溶液に置換する脱血工程と、脱血した心臓の表面にオイル膜を形成する工程と、該心臓を気体に曝して該心臓中の水分を該気体中へ蒸発させることにより、脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10〜約50%の水分を除去する工程と、該臓器を約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の心臓の保存方法に関する。
本発明の方法により臓器の組織及び細胞から自由水が除去されると、生体膜等の生体構造は水相中で活性化しうる物質、特に金属イオンによる攻撃を受け難くなる。また、その生体構造は、その周囲を結合水と呼ばれる結晶状態の水で取り囲まれ保護されていると考えられる。生体組織を劣化させる極性媒体が除去される結果、組織や細胞は不可逆的な経時的崩壊を逃れることができ、臓器の保存状態の質的な改善が図られる。またこのとき、保存液中のトレハロースは生体構造の安定化に寄与しうる。
本発明の方法により保存された心臓、肝臓、腎臓、膵臓又は肺臓は、その脈管系に体温程度に暖められた体液又は代用体液、例えば上記生理的塩類溶液、人工血液及び/又は血液を潅流することで蘇生しうる。蘇生した臓器は、その臓器又はその臓器から採取した組織を人体へ移植することができるであろう。また、蘇生した臓器から、神経組織、その他の生きた組織や細胞を採取して薬理試験などに使用できる。
また、本発明は、人体への異種移植を目的としたヒトを除く哺乳類動物の臓器に適用でき、それによりドナー不足によって臨床上の需要増大が見込まれている動物臓器の保存技術が提供される。特に本発明は、養殖ブタの心臓、肝臓、膵臓などの量産されうる臓器の保存にも有用であり、長時間の輸送、とりわけ十数時間を越える航空輸送に耐えうる保存技術を提供するであろう。
また、本発明のように長期保存を可能とする技術は、臓器バンクの設立に役立つであろう。例えば、胚性幹細胞のように全能性を有する幹細胞を培養して所望の組織や器官を再生し、それらの保存に本発明を適用することが可能である。疾病が発見される前に予備の臓器を保存しておくことで、発病後直ちに移植を受けることができるであろう。さらに本発明は、脳やその他の神経組織等の保存にも有用であろう。
用語の定義
本発明にいう「約10%以上の水分の除去」又は「約25%以上の水分の除去」とは、脈管系内の体液並びに個々の細胞及び細胞間の自由水の除去を意図している。また、本発明にいう「約10〜約20%以上の水分を残す」とは、生体組織内に結合水を含み、蘇生に充分な量の水分を有することを意図している。本発明において、保存臓器の鮮度を左右するものは主に自由水の量であると考えられ、理論上、保存時間の長期化のためには自由水を可能な限り除去することが好ましい。また、蘇生能力を維持するためには、結合水が維持される範囲の水分量を残すことが好ましい。結合水とは、水和状態又は結晶状態を観測できる水であり、自由水とは結合水以外の水と定義することができる。
脈管系は、解剖学上、血管系とリンパ系に分類される。本発明にいう「脈管系」は、好ましくは臓器の個々の細胞へ水分及び養分を補給するための栄養血管系を含む。また、心臓であれば心房及び心室に繋がる固有の脈管に潅流装置を接続して、心臓の栄養血管系に繋がる冠状動脈および冠状静脈へ間接的に流圧をかけることができる。さらに、肝臓のように栄養血管系とは別に門脈循環に関する機能血管系を有する臓器では、そのような機能血管系を利用してもよい。
本発明にいう「生理学上常識的な水分量を含む臓器」とは、典型的には生体から摘出後された状態の臓器であり、また、例えば脱血工程を含む発明では、脱血のための潅流によりその血液が生理的塩類溶液に置換された状態の臓器であると理解しうる。そのような生理学上正常な水分量を有する臓器の重量を基準として、上記脱水量を特定することができる。
本発明にいう「生理的塩類溶液」は、血液と同様の生物学的活性を備えた代用体液であり、代表的には公知のリンゲル液、例えばKH(Kreps−Henseleit)液である。この種の生理的塩類溶液には、脱水状態の生体構造の安定を助けるであろう多糖類を溶解して使用してもよい。その種の多糖類はトレハロースが好ましい。また、他の生体構造物質としては、リンゴ酸、マンイトール、グリセロール、グリシンベタイン、プロリン、エクトインなどのアミノ酸も、生理的塩類溶液に溶解して使用しうる。
本発明にいう「不活性媒体」は、水及び油に不溶性の媒体であり、保存温度で液状のフルオロカーボン液、特にパーフルオロカーボン液が好ましい。また、それに似た条件を満足すれば、液体に限らず、気体、ゾル又はゲルを使用してもよい。また、その他の不活性媒体として、水銀やシリコーンオイルを使用し得る。
発明を実施するための好ましい形態
脈管系を利用した脱水を含む発明の形態
一般に血液は気体に触れたり低温に曝されると固まって血栓を起こし、これは後述の脱水や蘇生の妨げになる。そこで、保存対象の臓器、例えば手術により摘出された臓器は洗浄され、脱血される。脱血のための潅流装置としては公知のLangendorffの装置を使用でき、その脱血潅流の技術は、Langendorff法(Doring H.J,Dehnert H;Biomesstechnik−Vertag Match Gmb,Germany,1988)として当業者に知られている。Langendorff法に従い、臓器は、その血管系の大動脈に灌流用のカテーテル(又はカニューレ)が取り付けられ、血管系へトレハロース−KH(Kreps−Henseleit)混合液を送り込み、臓器の血液を生理的塩類溶液に置換する。この生理的塩類溶液には、予め酸素が暴気(エアレーション)されて臓器内は常に新鮮な代用体液が送られる。この潅流による脱血時に臓器の温度を1〜8℃まで下げ、臓器の活動を停止させる。脱血に引き続き、脱水工程に入る。
脱水工程は、上記脱血に用いたLangendorffの装置を利用することで達成される。例えば、脱血が完了した臓器の大静脈へ、その潅流装置から生理的塩類溶液の代わりに所定の流圧で気体を送り込む。また、人工の潅流手段は、気体を大動脈から一方的に送り込む手段に限らず、大動脈と大静脈との間に接続された閉循環系を含むことは当業者に容易に理解される。すなわち、上記気体潅流は、気体を送り込む方法に限らず、脈管系内を吸引する方法でもよい。
上記潅流装置によって脈管系へ流圧がかかると、臓器内の大静脈側から生理的塩類溶液が流出するようにして脱水が進む。好ましくは、血管内へ入り込んだ気体は個々の毛細血管を通って大静脈側へ流れ、そして、血管内を流れる気体中へ個々の細胞及び細胞間の水分がその蒸気圧によって出ていく。最終的には各組織及び細胞内の自由水の大部分が血管系を通って臓器の外へ排出される。
上記血管系を利用した脱水は、脱水剤を接触させる処理と異なり、臓器内に均一に分布する毛細血管の極めて広大な表面積を利用したものであり、ゆっくりとであるが比較的短時間に組織および個々の細胞を標的に脱水しうる。この利点は、上記脱水剤と比較して脱水ムラが少なく、脱水された臓器の変色具合も深刻ではないことから明らかである。後述の実施例で示すように、気体潅流による脱水では、実際に蘇生率が非常に高く、蘇生状態の改善が見られた。また、気体による脱水は、外部から制御の効く能動的な処理であり、迅速かつ慎重な取り扱いを求められる臓器にとってストレスが少なく且つ効率的な手段である。
脈管系に送り込む気体は、市販ボンベに詰められた安価な圧縮気体でよい。O−CO混合気体であれば、5%未満のCOを含むものが好ましい。また、後述の実施例では乾燥気体を用いるが湿気を含む気体を用いてもよい。さらに脱水用の気体として、より好ましくはN、He、Ar、Ne、KrまたはXeのような不活性気体を使用しうるであろう。不活性気体のなかでも、Xeは高価であるが、生体組織への麻酔作用が報告されているので、Xeを本発明の脱水に使用する利点は大きいと予想される。また、不活性気体を使用することは、活性酸素による生体組織の損傷を回避する意味もある。
上記気体潅流による脱水に加え、保存時に脱水剤を臓器に直接又は間接的に接触させる脱水方法を補助的に併用することもできる。
脱水工程において脱水剤を使用する場合は、所望の容量に調整された脱水剤を臓器と共に、後述の不活性媒体中に浸せきする方法が簡易である。具体的には、例えばシリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライト等で取り囲んだ臓器を、保存用の不活性媒体に対して不活性な材質である金網、合成繊維ネット等の中に収容し、これらを不活性媒体中に浸せきする。
使用する脱水剤の量は、その臓器に必要とされる後述の除水率から計算でき、また、浸せき後に、脱水剤を適当なタイミングで除去、追加又は交換してもよい。
また、本発明者によるクマムシの実験では、高湿度、好ましくは湿度80%の環境下で脱水処理を行ったときに蘇生率100%が達成された。このことを考慮すると、臓器も高湿度下で脱水処理することが好ましいと考えられる。
上記気体潅流の条件の一例は、ラットの心臓の大動脈に0.05〜0.2kgf/cm、好ましくは0.1kgf/cmの流圧で、1時間〜1時間30分以上、空気を潅流する。最も好ましくは一定圧での潅流である。このような空気の潅流により、その脱水直前の臓器に対して25wt%以上の除水率を達成しうる。
脱水直前の臓器は、代用体液を有し生理学上常識的な水分量を含むものであり、長期保存のためにはその水分量から可能な限り多量の自由水を除去する。本発明では、除去すべき水分量を、下記式で表される臓器総重量を基準とした水分除去率(重量比)で規定する。
水分除去率(重量比)=100−(脱水後の臓器総重量÷脱水前の臓器総重量×100)
上記脱水状態を特定するにあたり、重量比としての水分除去率のほか、NMRを用いて臓器内の水分子の絶対量やその状態を規定してもよい。NMRは生体組織中の水の状態の研究に最も広く用いられてきた手法である。
NMRを用いた生体組織中の水についての最初の研究は、Belton,P.S.,Jackson,R.R.,Packer,K.J.:Pulsed NMR studies of water in strained muscle,I.Transverse nuclear spin relaxation times and freezing effects;Biochem.Biophys.Acta.286:16−25(1972)により報告された。さらに、NMRによる水の構造解析は、例えば、Hazlewood,C.F.,Chang,D.C.,Woessner,D.E.,Nichols,B.C.:Nuclear magnetic resonance transverse relaxation times of water protons in skeletal muscle.Biophys.J.14:583−605(1974)により報告されている。
Belton等は、水は3つの状態からなることを結論づけ、約8%の水分子が細胞膜の内膜やタンパク質や核酸といった生体内分子に結合した結合水であり、約82%の水分子は、結合水以外の自由水で、残りの10%の水分子は、細胞膜の外側に接している自由水である。その結合水は、他の水分子とは異なりある優位的な配行を保っており、生体高分子と直接結合した水分子に基づいて数分子層にわたって配向した状態にある。
典型的には、生体組織内の総水分量のうち、結合水が約10〜約20%、自由水が約80〜約90%を占めると理解される。ラットの心臓内では、臓器総重量を基準として、典型的な総水分量が約80質量%であり、結合水は8〜16質量%、自由水は64〜72質量%となる。
本発明に関する脱水工程では、理論的には臓器総重量の約25〜60wt%の水分除去が可能と考えられる。この程度であれば、除去される水はすべて自由水であると考えられる。
したがって、脱水の結果、ラット心臓内に残存する自由水の質量%は、数%〜40%台まで下がるが、結合水の絶対量は変わらない。実際の水分量は動物種や臓器の種類によって多少異なるとしても、脱水前の臓器総重量に対する重量比で約25%以上の自由水の除去によって、脱水前の総水分量に対する重量比で約10〜20%以上の水分(結合水を含む)を残すことができる。
臓器に許容される自由水の除去率は、脱水方法、臓器の種類、意図する保存期間、その他の保存条件によって異なる。現在のところ、ラット心臓では約25〜35%が安全であると見られる。ブタ心臓では、約10〜50%、特に15〜25%が適切であると考えられる。
現段階では、上記の脱水状態がどのように臓器の保存期間の増大に結びつくかのメカニズムは充分に解明されていない。本発明者の研究により、少なくとも保存期間の増大は、保存液の成分ではなく、臓器の組織や細胞内の水分子の絶対量に大きく依存していることが判っている。各組織及び細胞の脱水により実質的な生命活動が認められなくなった臓器がその後に蘇生した事実から、臓器は仮死状態(apparent death)に至ると考えられる。この仮死状態は、「immortal state」又は学術的には「crypotbiotic state」と呼んでもよい(Vreeland H.R.et al;Nature Vol.407 pp.897−900,19 Oct.2000:Cano J.R at al;Science Vol.268 pp.1060−1064,19 May.1995)。
脱水された臓器は、水および油に不溶性の不活性媒体であるパーフルオロカーボン中に保存する。不活性媒体への臓器の浸せきは、一般に常圧下の密閉状態で行われ、また必要に応じて加圧状態で行うこともできる。このとき、上述したように脱水剤と共に保存されてもよい。また、不活性媒体は、好ましくは純酸素で暴気される。
本発明にいう「冷蔵温度以下の温度」は、約+1〜約+8℃、好ましくは約+2〜約+4℃近辺であり、この保存状態で所定日数が維持される。なお、臓器の自由水が充分に除去されていれば、理論的には冷凍温度、例えば液体窒素内に保存することも可能である。
臓器の保存状態からの蘇生には、上記Langendorff法を利用することができる。まず保存臓器は、パーフルオロカーボン中から取り出し、脱水剤があればこれを除去する。その臓器を+4℃のシャーレ内のKH液、好ましくは純酸素で暴気したKH液中に入れる。この臓器の大動脈に灌流用のカテーテルを固定し、好ましくはO−CO混合気体で連続暴気し且つ37℃に暖められたKH液を、灌流ポンプによる一定流量で大動脈側のカテーテルに送り込む。この潅流により臓器の蘇生が図られる。
哺乳類動物の臓器保存で問題となるのは、保存後に果して臓器のどの組織が生存しているかなどを検証しなければならない点である。その手法としては、組織解剖学的手法、実際に移植して検証する移植法、電気生理学的手法などがある。これらいずれの手法を採用するにせよ、まず、組織細胞が生存しているか否かを検証しなければならない。
本発明にあっては、組織細胞の蘇生を検証する方法として、電気生理学手法、例えば心臓に心電図測定を用いた。心電図は、神経細胞組織の活動がリアルタイムで記録できることができ、神経細胞の活動が消滅した時点で細胞死が生じたものと判断することができる。また補助的に、目視により臓器組織の変色具合、加えて心臓であれば拍動の有無を確認することにより、臓器としての蘇生状態を観察できる。
オイル膜の形成及び気体への曝露による脱水を含む発明
この発明は、上述の脈管系からの脱水の代わりに、臓器の気体への曝露による水分の蒸発を使用する。その脱血工程及び蘇生工程は上述の脈管系からの脱水による発明と基本的に同じである。気体中への曝露によるこの発明では、その保存工程は、不活性媒体中に臓器を浸漬する上述の保存方法を適用することもできるし、適用しないこともできる。不活性媒体中へ臓器を浸漬しない場合、乾燥した臓器は、所望の保存期間、適切な湿度の気体中に冷蔵温度で維持される。
脱血した臓器は、カニューレと一緒に潅流装置から取り外し、オイルに軽く浸漬させる。臓器の全表面にオイル膜を形成する。オイル膜の形成は、乾燥気体下での水分除去で危倶される摘出心臓の乾燥速度の偏り及びそれによる心臓表面の収縮や角質化を防止することができる。
使用するオイルは、臓器に無害であり、臓器の表面に適切な厚みのオイル膜を形成できる粘度を有するものがよく、典型的にはシリコンオイルである。シリコンオイルは有機酸化ケイ素のポリマーからなり、生理学的にほとんど無害で化学的に不活性な物質である。後述の実施例で用いたシリコンオイルは動粘度100mm2/S(摂氏25℃)で不揮発性であり、長時間にわたる心臓表面の過剰乾燥からの保護に適していると考えられる。心臓の表面にオイル膜を形成すると、オイルが無いときの乾燥により生じる心臓表面のひび割れ等の物理的傷害が軽減されることが目視で確認できる。
使用する気体は、典型的には空気、又はO−CO混合気体を使用できるが、これらに限定されない。乾燥用の気体としてはO−CO混合気体が好ましい。
後述の実施例で示されるように、保存用の気体としてはXe(キセノン)を含むものを使用してもよい。キセノンは極性をもたない不活性気体であるため、周囲の水と疎水性水和して水分子の熱運動を抑制することができる。水の構造化が高まり分子運動が遅くなると水の粘度は上昇し、そして生体反応は水を介して行われることから、水の粘度が上昇すれば細胞の代謝が抑制されると考えられる。自由水の除去及び低温下での維持に加えて保存気体にキセノンを使用すれば、臓器の代謝は一層抑制される。
また、キセノンは、その解離圧(摂氏0℃)が1.15気圧(0.1115MPa)であり、比較的低い加圧で気体水和物を作りやすくなることが知られている。したがって、キセノンを使用する場合は臓器を加圧下で保存するとよい。加圧環境下では、臓器(細胞の内及び外を含む)内における水相へのキセノンの溶解度が高まると考えられる。臓器を取り囲むキセノンを加圧すれば、臓器内の水の構造化が促進され、臓器の代謝は著しく抑制されると推察される。
気体への曝露を使用する脱水方法は、例えば、シリカゲルの乾燥剤を入れて冷蔵温度に維持された密閉容器の中に脱血後の臓器を入れて、臓器を所定期間かけて乾燥した気体に曝す。達成すべき脱水率は、臓器の重量により異なるが、脱水前の臓器総重量の10〜50wt%である。但し、同一の乾燥条件では、達成される脱水率は、臓器の大きさ(重量等)に依存するので、それを考慮した乾燥条件を適用することが好ましいと考えられる。
脱水のための時間は、臓器の重量及び乾燥剤の量によって異なる。例えば、ラット心臓であれば24〜48時間前後、ブタ心臓であれば1週間前後であるがこれらに限定されない。それらの各乾燥期間後、臓器を不活性媒体中に保存するとよい。この脱水方法で、臓器を傷めずに長期保存に望ましい高い脱水率を達成することができる。臓器の損傷が少ないため、比較的短期間の保存では蘇生状態が非常によく、また、長期間の保存でも蘇生率が上昇する。
後述の実施例4では、ブタ臓器を37日間後に蘇生させることに成功した。従来の冷蔵保存では臓器が腐敗する期間であるが、臓器の心筋組織が蘇生したと確認された。
実施例
実施例1(脈管系を介して脱水させたラット心臓の保存)
アメリカのNIHの実験動物基準に合わせて、人工繁殖した7週令のWistar系雄ラット(体重300g)を実験動物として使用した。
ラットの腹腔内にネンプタール0.25ml及びヘパリンナトリウム(Heparin Sodium Salt)5mgを注射投与し、体重を測定してから心臓摘出を開始した。摘出した心臓を恒温槽中におき大動脈へカテーテルを挿入してから、トレハロース117mmolを溶解させ95%O−5%CO混合気体を暴気したKH液を用いて、langendorff式による脱血潅流を行った。恒温槽の温度を下げて心臓を停止させ脱血潅流を終了した。
心臓重量を測定した後、その潅流装置により心臓へ上記95%O−5%CO混合気体を送って脱水を開始した。心臓の重量を測定して水分除去率を記録しつつ、脱水開始から1時間30分ほど後に気体潅流を止めた。心臓の総重量は、外表面の水分を拭き取っただけの状態で測定した。
脱水した心臓は、予め純酸素を1分間暴気した4℃のパーフルオロカーボン液(住友スリーエム社製、フロリナートFC77;C8F17)500ml中に浸せきし、これを密閉容器中に封入し、冷蔵庫内に保存した。
所定の時間後にパーフルオロカーボン液から保存心臓を取り出し、大動脈へカテーテルを挿入して上記混合気体を暴気した暖かいKH液を用いてlangendorff式潅流による蘇生を試みた。
・実験1(4時間の保存)
R349(wistar rat 5週齢オス)
2000年9月11日 室温24℃
15:39 体重測定:130g
15:51 心臓摘出開始
15:53 心臓摘出及びカテーテル挿入終了
15:53 脱血潅流開始:恒温槽温度5.0℃、速度1.0〜3.8ml/min
16:14 心臓停止、脱血潅流終了:恒温槽温度5.0℃、心臓温度18.2℃
16:14 心臓重量測定:0.663g
16:18 混合気体潅流による脱水開始:ガス圧0.05kgf/cm、恒温槽温度2.8℃
16:48 心臓重量測定:0.516g、水分除去率22.2%
16:50 脱水続行:ガス圧0.05kgf/cm、恒温槽温度1.1℃
17:20 心臓重量測定:0.458g、水分除去率30.9%
17:21 脱水続行:ガス圧0.05kgf/cm、恒温槽温度1.6℃
17:51 心臓重量測定:0.394g、水分除去率40.6%
17:55 PFC液に浸せきし4時間の保存:0.6℃
21:54 保存終了、心臓引き揚げ(室温26℃)
21:55 心臓重量測定:0.436g
21:55 蘇生潅流開始:恒温槽温度34.4℃、速度1.0〜3.8ml/min
23:40 蘇生潅流終了:恒温槽温度33.7℃
評価:KH潅流開始後4分で微弱ながら心筋の収縮が見られたが、心房は動かなかった。心筋は潅流を停止するまで動き続けた。心臓はやや膨張した。
・実験2(8時間の保存)
R350(wistar rat 5週齢オス)
2000年9月12日 室温25℃
19:10 体重測定:150g
19:20 心臓摘出開始
19:22 心臓摘出及びカテーテル挿入終了
19:22 脱血潅流開始:恒温槽温度5.0℃、速度1.0〜3.8ml/min
19:37 心臓停止、脱血潅流終了:恒温槽温度4.6℃、心臓温度15.7℃
19:39 心臓重量測定:0.718g
19:43 混合気体潅流による脱水開始:ガス圧0.1kgf/cm、恒温槽温度4.4℃
20:13 心臓重量測定:0.647g、水分除去率9.9%
20:15 脱水続行:ガス圧0.1kgf/cm、恒温槽温度2.4℃
20:35 心臓重量測定:0.550g、水分除去率23.4%
20:48 脱水続行:ガス圧0.05kgf/cm、恒温槽温度4.8℃
20:18 心臓重量測定:0.483g、水分除去率32.7%
17:55 PFC液に浸せきし8時間の保存:0.6℃
2000年9月13日
05:21 保存終了、心臓引き揚げ(室温27℃)
05:23 心臓重量測定:0.523g
05:24 蘇生潅流開始:恒温槽温度33.6℃、速度1.0〜3.8ml/min
07:25 蘇生潅流終了:恒温槽温度36.6℃
評価:05:29から心筋が激しく収縮したが、約10秒程で止まった。0600頃、肺動脈周辺(右心)付近が微弱に動いていたことを確認した。心臓がかなり膨張し外見では拍動をほとんど確認できないが、潅流を止めて心臓のKH液を抜くと、はっきりと拍動していることが判った。
・実験3(16時間の保存)
R351(wistar rat 5週齢オス)
2000年9月13日 室温24℃
16:22 体重測定:120g
16:28 心臓摘出開始
16:31 心臓摘出及びカテーテル挿入終了
16:31 脱血潅流開始:恒温槽温度26.9℃、速度1.0〜3.8ml/min
16:44 心臓停止、脱血潅流終了:恒温槽温度4.6℃、心臓温度16.2℃
16:45 心臓重量測定:0.605g
16:50 混合気体潅流による脱水開始:ガス圧0.1kgf/cm、恒温槽温度3.3℃
17:20 心臓重量測定:0.534g、水分除去率11.7%
17:23 脱水続行:ガス圧0.1kgf/cm、恒温槽温度1.3℃
17:53 心臓重量測定:0.517g、水分除去率14.5%
17:55 脱水続行:ガス圧0.2kgf/cm、恒温槽温度0.5℃
18:25 心臓重量測定:0.522g、水分除去率13.7%
18:30 PFC液に浸せきし16時間の保存:2.8℃
2000年9月14日
10:28 保存終了、心臓引き揚げ(室温25℃)
10:30 蘇生潅流開始:恒温槽温度32.9℃、速度1.0〜3.8ml/min
17:25 蘇生潅流終了:恒温槽温度34.5℃
評価:心臓の膨張が激しく、拍動の状態が不明なため心電図による記録を取った。
・実験4
ラットR443(24時間の保存)
2001年2月6日
16:10 心臓摘出
16:20 脱血灌流開始:恒温槽温度26.8℃→7.9℃
16:45 脱血灌流終了、心臓重量測定:0.582g
16:45 大動脈から空気を灌流(0.1kgf/cm)しながらPFC液中に浸漬
2001年2月7日
16:48 PFC液より心臓引揚
16:50 心臓重量測定:0.430g、水分除去率26.1%
16:50 KH液による灌流開始(恒温槽27.0℃→35.5℃)
18:30 蘇生確認、安定した拍動蘇生あり
・実験5
ラットR444(24時間の保存)
2001年2月7日
18:55 ネンブタール0.2ml投与
18:57 ヘパリンナトリウム5mg投与
18:57 体重測定
19:00 心臓摘出
19:03 トレハロース溶解KH液灌流(恒温槽27.6℃→5.5℃)
19:23 灌流終了、心臓重量測定:0.767g
19:27 瓶内で空気灌流(0.1kgf/cm2,0.8℃)
19:57 灌流終了、心臓重量測定:0.483g、水分除去率34.8%
20:00 PFC浸漬
2001年2月8日
20:25 PFC(0.5℃)より心臓引揚
20:27 心臓重量測定
20:27 KH液灌流開始(恒温槽温度26.9℃→35.4℃)
21:27 蘇生確認、数回拍動し停止
実施例2(脈管系を介して脱水させたラット心臓の保存)
実験動物は、アメリカのNIH実験動物基準に準拠し繁殖したwister rat 5週齢オス)を使用した。下記の各実験例には、それぞれラットを5匹ずつ使用した。不活性媒体としてパーフルオロカーボン(PFC)を使用した。・実験1(4時間の保存)
ラットにネンプタール0.2mlを腹腔内投与後、ヘパリンナトリウム5mgを0.3mlの生理食塩水に溶解した溶液を腹腔内投与した。ラットを開胸して心臓を摘出した後、摘出心臓の大動脈にカテーテルを挿入して木綿糸で結紮した。カテーテルを挿入した摘出心臓を定流量灌流装置に装着して、トレハロースを117mmol溶解した27℃のKH液を3.2ml/minで灌流した。KH液は95%O−5%COの混合ガスで常時曝気した。徐々に灌流液の温度を下げて心停止させ、完全に停止した心臓の重量を測定した後、カテーテルより空気ガスを0.1kgf/cmの流圧で灌流して心臓を乾燥させた。乾燥させた心臓の重量を測定した後、混合ガスで常時曝気しながら4℃に保冷したPFC中に浸漬保存した。4時間後、保存液から心臓を取り出し定流量灌流装置に装着して、混合ガスで常時曝気した27℃のKH液を3.2ml/minで灌流した。摘出心臓は保存後再び灌流を開始すると、組織細胞が生命を維持していれば自律的に蘇生し神経活動が出現する事が知られている。蘇生した心臓に電極を装着し、ペンオシログラフで表面心電図を記録した。
・実験2(16時間の保存)
保存時間を16時間としたほかは、上記の実験例12と同様にして行った。
上記各ラットの気体潅流時間と水分除去率を下記に示す。
実験1の脱水率
1−1 1時間34分44.1%
1−2 2時間37分32.8%
1−3 2時間37分44.4%
1−4 2時間37分47.5%
1−5 3時間7分41.1%
実験2の脱水率
2−1 1時間35分44.4%
2−2 2時間37分41.2%
2−3 1時間3分45.8%
2−4 3時間12分41.3%
2−5 2時間9分41.4%
実施例2の結果:実験1及び実験2の双方で総ての試料が蘇生した。上記実験1及び2では、水分除去に要した時間と水分除去率に著しいばらつきが見られた。これは摘出時の心臓の状態が一定ではない事が原因と思われる。大動脈に挿入されたカテーテルから送り込まれた空気は左右冠状動脈口から心筋の毛細血管に行き渡り各心筋細胞を乾燥させるが、毛細血管にわずかでも血栓が生じていると空気ガスはその先の細胞にはとどかず、時間と除去率が比例しなかったのであろう。いずれにしても、今回の実験で、水分除去率40%以上のラット心臓が、4時間及び16時間の保存で、100%の確立で蘇生したことは驚くべきことであった。
実施例3(気体への曝露で脱水させたラット心臓の保存)
本実施例では、ラットからの摘出心臓にシリコンオイルを塗布し、その心臓を乾燥気体の加圧で、4℃で3日間保存した。
本実験で使用したラットは、アメリカのNIHの実験動物基準に合わせて人工繁殖した7週齢のWistar系の雄(300g)を使用した。ラットから摘出し心臓は脱血した後、心筋保護液(Miotecter持田製薬製)2mlをカテーテルより注入し心臓を停止させた。灌流を終了した心臓の表面にシリコンオイル(WF・30和光純薬製)を塗布し、滅菌ガーゼ(120×120mm)に心臓を包み、規格瓶(60ml)へ入れた。シリカゲルを敷き詰めた耐圧チェンバー内へ心臓の入った瓶を置いて密閉した。チェンバー内は混合ガス(酸素95%、二酸化炭素5%)で置換した後、0.2Mpaになるよう混合ガスを封入した。処理後、チェンバーは摂氏4度の冷蔵庫に保存した。
必要に応じて、24時間毎にチェンバーを開き、摘出心臓へシリコンオイルを塗布し直した。所定期間の経過後にチェンバー内のシリコンオイルから心臓を取り出し、定圧灌流装置にセットした。酸素95%、二酸化炭素5%の混合ガスで連続暴気しているKH液で満たされた灌流液貯留槽から導かれた灌流液は、一定圧(約60mmHg)で大動脈カテーテルに送り込んだ。摘出心臓は、摂氏37度で灌流を開始した。潅流中は、左心室と大動脈開口部に心電図記録用電極を装着し、双曲誘導で心電図を生体アンプ(Bioview−ENEC三栄製)を用いて連続記録した。
・基本的な実験手順は以下のとおりである。
1. 摘出した心臓を、KH液を満たしたシャーレ内に浸ける。
2. シャーレ内にてカニューレを大動脈へ挿入し、木綿糸で固定する。
3. カニューレをランゲンドルフ式定圧潅流装置に装着し、KH液を心臓へ脱血灌流する。この際のKH液にはペニシリンカリウム20万U/Lを添加してある。潅流温度は約37℃、灌流圧は60mmHgである。
4. 20分の灌流の後、心停止液(心筋保護液)ミオテクターを2ml程心臓へ灌流し、心停止を促す。
5. 心臓をカニューレごと潅流装置から外し、表面の水分をガーゼで拭き取り心臓の重量を測定する。
6. 心臓をシリコンオイルに軽く浸けて、表面にシリコンオイルの層を作る。
7. 心臓をガーゼに緩く包み、容器に入れる。
8. 心臓の入った容器を耐圧チェンバーに収める。チェンバー内の底にはシリカゲルを敷きつめておく。
9. チェンバーを密閉し、混合ガス(95%酸素、5%二酸化炭素)を送り0.3MPaになるまで加圧する。必要に応じてキセノンガスを使用する(例えば、キセノン約0.1MPa及び混合ガス0.2MPa)。
10. 加圧完了後、チェンバーごと冷蔵庫に入れ、2〜4℃で保存する。
11. 3日後にチェンバーを冷蔵庫より出してから、ガスを排出させる。
12. チェンバーを開け、心臓を取り出して重量を測定する。
13. 心臓をランゲンドルフ式定圧潅流装置へ装着し、潅流を開始する。例えば、潅流温度は37.0℃、灌流圧は60mmHgである。
14. 蘇生を確認したら心臓表面の心電図を測定する。
なお、試料によってはチェンバー内に封入するガスを変えたり、乾燥期間を変えたりした。乾燥期間が終了した試料は、保存液(シリコンオイル・PFC)へ浸漬し、乾燥時と同様にチェンバー内で加圧保存した。
上記方法を適用して蘇生が確認された実験を以下に例示する。
・実験1
保存前の心臓重量:1.46g
保存開始日時:2001年12月30日21:07
使用気体:混合ガス0.3MPa
蘇生開始日時:2002年1月2日16:09
蘇生開始前の心臓重量:0.97g(3日間で35%の水分除去)
・実験2
保存前の心臓重量:1.29g
保存開始日時:2001年12月30日21:07
使用気体:混合ガス0.3MPa
蘇生開始日時:2002年1月2日17:42
蘇生開始前の心臓重量:0.89g(35%の水分除去)
・実験3
保存前の心臓重量:1.37g
保存開始日時:2002年1月8日19:20
使用気体:混合ガス0.2MPaに加えてXe0.1MPa
蘇生開始日時:2002年1月11日14:34
蘇生開始前の心臓重量:0.98g(32%の水分除去)
た。
・実験4
保存前の心臓重量:1.41g
保存開始日時:2002年1月8日19:20
使用気体:混合ガス0.2MPaに加えてXe0.1MPa
蘇生開始日時:2002年1月11日15:42
蘇生開始前の心臓重量:1.10g(27%の水分除去)
・実験5
保存前の心臓重量:1.60g
保存開始日時:2002年1月9日10:16
使用気体:混合ガス0.2MPaに加えてXe0.1MPa
蘇生開始日時:2002年1月12日17:42
蘇生開始前の心臓重量:0.94g(46%の水分除去)
・実験6
保存前の心臓重量:1.63g
保存開始日時:2002年1月15日19:13
使用気体:混合ガス0.3MPa
蘇生開始日時:2002年1月18日13:49
蘇生開始前の心臓重量:1.12g(31%の水分除去)
・実験7
保存前の心臓重量:1.41g
保存開始日時:2002年1月15日19:13
使用気体:混合ガス0.3MPa
蘇生開始日時:2002年1月18日16:02
蘇生開始前の心臓重量:1.04g(35%の水分除去)
・実験8
保存前の心臓重量:1.43g
保存開始日時:2002年1月8日19:20
使用気体:混合ガス0.2MPaに加えてXe0.1MPa
蘇生開始日時:2002年1月11日18:54
蘇生開始前の心臓重量:1.07g(28%の水分除去)
図1は、本実験における心臓表面心電図である(21:04測定)。
・実験9
保存前の心臓重量:1.61g
保存開始日時:2002年1月9日20:16
使用気体:混合ガス0.2MPaに加えてXe0.1MPa
蘇生開始日時:2002年1月12日19:18
蘇生開始前の心臓重量:1.00g(42%の水分除去)
図2は、本実験における心臓表面心電図である(20:25測定)
実施例4(気体への曝露で脱水させたブタ心臓の保存)
この実施例では、ブタ心臓を混合ガスへ曝露して脱水させ、その混合ガス下で7〜8日間保存した。
・実験1(7日間)
保存前の心臓重量:31.9g
保存開始日:2002年2月16日
使用オイル:シリコンオイル
使用気体:混合ガス(加圧なし)
手順:オイルを塗布した心臓をポリウレタンフォームで包んで容器(ビン)に収めて、容器ごとチェンバに入れて、混合ガスへの置換を行った。それを冷蔵庫に入れて2〜4℃の冷蔵温度で維持した。臓器を一日毎に取り出し、シリコンオイルを塗布し直した。
蘇生開始日:2002年2月23日
蘇生開始前の心臓重量:25.6g(19.7%の水分除去)
図3は、7日間の保存後に蘇生させたその心臓表面の心電図である。
・実験2(8日間)
保存前の心臓重量:31.2g
保存開始日:2002年2月17日
使用オイル:シリコンオイル
使用気体;混合ガス(加圧なし)
手順:オイルを塗布した心臓をポリウレタンフォームで包んで容器(ビン)に収めて、容器ごとチェンバに入れて、混合ガスへの置換を行った。それを冷蔵庫に入れて2〜4℃の冷蔵温度で維持した。臓器を一日毎に取り出し、シリコンオイルを塗布し直した。
蘇生開始日:2002年2月25日
蘇生開始前の心臓重量:23.5g(24.6%の水分除去)
図4は、8日間の保存後に蘇生させたその心臓表面の心電図である。
実施例5(気体への曝露で脱水させたブタ心臓の長期保存)
この実施例では、ブタ心臓を気体への曝露による脱水を適用して長期保存(37日間)を試みた。
ブタ体重:5kg、保存前の心臓重量:32.6g
保存開始日時:2001年12月16日
使用気体:混合ガス(加圧なし)
手順:オイルを塗布した心臓をポリウレタンフォームで包んで容器(瓶)に収めた。容器ごとチェンバに入れて混合ガスへの置換を行った。そのチェンバを冷蔵庫に入れて2〜4℃の冷蔵温度で維持した。臓器は一日毎に取り出し、シリコンオイルの再塗布を行った。脱水開始から1週間後に不活性媒体(PFC)へ浸漬し、2〜4℃の冷蔵温度に維持した。
蘇生開始日時:2002年1月22日
脱水開始から37日間後に臓器を取り出し、蘇生のための潅流を行った。
蘇生開始前の心臓重量:25.1g(23%の水分除去)
図5に示されるように、蘇生開始後(19:04)、心臓表面(温度29.0℃)の心電図が出現した。1mVから最大5mV、毎分8回〜40回のパルスが記録された。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例3の実験8で記録された心電図である。
図2は、実施例3の実験9で記録された心電図である。
図3は、実施例4の実験1で記録された心電図である。
図4は、実施例4の実験2で記録された心電図である。
図5は、実施例5の実験で記録された心電図である。

Claims (17)

  1. 生理学上常識的な水分量を含む臓器から、その脈管系を通じて該臓器内の水分を導き出すことにより脱水前の臓器総重量に対する重量比で約10%以上の水分を除去し、且つ脱水前の総水分量に対する重量比で約10〜約20%以上の水分を残す脱水工程と、該臓器を不活性媒体に浸せきして冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の臓器の保存方法。
  2. 心臓へ生理的塩類溶液を潅流して心臓内の血液を生理的塩類溶液に置換する脱血工程と、脱血した心臓から、その血管系を通じて該臓器内の水分を導き出すことにより脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10〜約50%の水分を除去する脱水工程と、該心臓を不活性媒体に浸せきして約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む保存方法。
  3. 心臓へ生理的塩類溶液を潅流して心臓内の血液を生理的塩類溶液に置換する脱血工程と、脱血した心臓から、その血管系を通じて該臓器内の水分を導き出すことにより脱水前の心臓総重量に対する重量比で約25〜約60%の水分を除去する脱水工程と、該心臓を不活性媒体に浸せきして約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む保存方法。
  4. 上記脱水工程が、水分を導き出す媒体として気体を送り込むことを含む、クレーム1〜3のいずれかに記載の保存方法。
  5. 上記脱水工程が、気体を心臓の大動脈へ潅流して、該気体の流れにより該心臓の血管系から水分を導き出すことを含む、クレーム4に記載の保存方法。
  6. 上記脱水工程が、臓器又は心臓の脈管系へ空気を送り込むことを含む、クレーム1〜3のいずれかに記載の保存方法。
  7. 上記脱水工程が、臓器又は心臓の脈管系へOを主成分とするO−CO混合気体を送り込むことを含む、クレーム1〜3のいずれかに記載の保存方法。
  8. 上記脱水工程が、臓器に不活性媒体に浸させている該臓器に脱水剤を接触させることを更に含む、クレーム1〜3のいずれかに記載の保存方法。
  9. 上記生理的塩類溶液にトレハロースを溶解させて用いる、クレーム1又は2に記載の保存方法。
  10. 上記不活性媒体にパーフルオロカーボン液を用いる、クレーム1〜3のいずれかに記載の保存方法。
  11. 上記臓器が、心臓、肝臓、腎臓、膵臓および肺臓からなる群より選択される、クレーム1に記載の保存方法。
  12. 上記臓器が、ブタの心臓である、クレーム1に記載の保存方法。
  13. 生理学上常識的な水分量を含む臓器の表面にオイル膜を形成する工程と、該心臓を気体に曝して該心臓内の水分を該気体中へ蒸発させることにより、脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10%以上の水分を除去する工程と、該臓器を約2〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の心臓の保存方法。
  14. 心臓へ生理的塩類溶液を潅流して心臓内の血液を生理的塩類溶液に置換する脱血工程と、脱血した心臓の表面にオイル膜を形成する工程と、該心臓を気体に曝して該心臓中の水分を該気体中へ蒸発させることにより、脱水前の心臓総重量に対する重量比で約10〜約50%の水分を除去する工程と、該臓器を約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程とを含む、哺乳類動物の心臓の保存方法。
  15. 水分が除去された上記臓器を不活性媒体に浸せきして約1〜約8℃の冷蔵温度に維持する工程を更に含む、クレーム14又は15に記載の保存方法。
  16. 上記臓器が、心臓、肝臓、腎臓、膵臓および肺臓からなる群より選択される、クレーム14又は15に記載の保存方法。
  17. 上記臓器がブタの心臓である、クレーム17に記載の保存方法。
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