JPWO2002035934A1 - 植物の茎葉部病害の防除剤およびそれらの防除法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、自然環境に悪影響を及ぼすことなく、かつ病害防除効果の持続性に優れた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病等に代表される植物の茎葉部病害の防除剤、およびこれら防除剤を用いた該植物の茎葉部病害の防除法を提供する。該植物の茎葉部病害を引き起こす病原菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌あるいはその培養物を有効物質として含有する植物の茎葉部病害の防除剤と、これら防除剤を植物の茎葉部に散布処理することによる防除法である。

Description

技術分野
本発明は、農作物の灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病に代表される植物の茎葉部病害の防除剤と、それら防除剤を用いた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除法に関する。さらに詳しくは、自然環境に悪影響を及ぼすことがなく、かつ病害防除効果の持続性に優れた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病の防除剤とそれを用いた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病の防除法に関する。
背景技術
農作物の栽培においては、様々な病原菌による病害が発生する。これら病原菌の中でも、灰色かび病菌や葉かび病菌,うどんこ病菌は、イチゴやトマト、ナス、ブドウ,バラなど多くの農作物に発生しやすく、一度発生すると感染株が伝染源となって甚大な被害を被ることが多い。そこで、これら灰色かび病菌や葉かび病菌,うどんこ病菌等による植物の茎葉部病害の発生予防や感染の抑制のため、種々の殺菌剤が用いられている。
ところで、これら殺菌剤としては、一般に化学合成された化合物を有効成分とする殺菌剤が使用されているが、これら化合物の中には、人畜に対して悪影響が懸念されるものや、近年、いわゆる環境ホルモンとして認定されるものもある。また、これら殺菌剤の施用後に、自然界で完全に分解して無害化するまでに長期間を要し、自然環境に悪影響を及ぼすおそれが大きい。
また、これら殺菌剤の農作物への施用に際しても、その農作物における防除適期の判定が難しく、その有効成分の残効期間が短かいことから、殺菌剤を頻繁に散布する必要があるという難点がある。
さらに、これら殺菌剤を継続的に施用している間に、病原菌がその殺菌剤に対する耐性を得てその殺菌剤が効力を失い、より強力な殺菌作用を持った殺菌剤の施用を余儀なくされている。
そこで、このような自然環境への悪影響のない農作物の生産のため、栽培植物として、病原菌に対する耐性の高い品種の育成がなされている。
しかしながら、その農作物の味覚や品質を落とすことなく、病原菌に対する耐性を付与するという品種改良を行うことは極めて困難性が高く、さらに、このような新品種の農作物をその生産地に定着させるためには、10年ないし20年の長い年月を要するという問題がある。
一方、微生物が有する病原菌への拮抗作用を利用して、植物病害を抑制する方法も知られている。この場合、自然環境に悪影響を及ぼすおそれはないが、その病害防除効果の持続性が充分でないという難点がある。
このような状況から、自然環境に悪影響を及ぼすことがなく、かつ農作物の病害防除効果の持続性に優れた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除剤と、それらを用いた効果的な防除法の開発が望まれている。
本発明は、自然環境に悪影響を及ぼすことなく、かつ病害防除効果の持続性に優れた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除剤と、これら防除剤を用いた効果的な防除法を提供することを目的とするものである。
発明の開示
本発明者は、上記の課題を解決するため、種々検討を重ねた結果、タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌には、灰色かび病菌や葉かび病菌,うどんこ病菌等の植物の茎葉部病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するものが存在することを見出し、これら知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌を含有する植物の茎葉部病害の防除剤。
(2) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌1〜90質量%と、界面活性剤1〜15質量%及び増量剤0〜98質量%(0を含む)からなる植物の茎葉部病害の防除剤。
(3) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌2〜46質量%と、界面活性剤2〜15質量%及び増量剤39〜96質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤。
(4) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種に属する菌である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(5) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)Y−9401株菌である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(6) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、そのコロニー形成単位において1×10〜1×1012/gの培養物又はその粉砕物あるいはその胞子である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(7) 界面活性剤が、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸、N−アシルアミノ酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩およびイミダゾリニウムベタインの群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤である、前記(2)又は(3)に記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(8) 増量剤が、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライトおよびアタパルジャイトから選択される1種又は2種以上の増量剤である、前記(2)又は(3)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(9) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌を含有する植物の茎葉部病害の防除剤を、植物の茎葉部に散布処理することを特徴とする植物の茎葉部病害の防除法。
(10) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌1〜90質量%と、界面活性剤1〜15質量%及び増量剤0〜98質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤の50〜3000倍に希釈された水和剤を、植物の茎葉部に散布処理する植物の茎葉部病害の防除法。
(11) 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌2〜46質量%と、界面活性剤2〜15質量%及び増量剤39〜96質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤の50〜3000倍に希釈された水和剤を、植物の茎葉部に散布処理する植物の茎葉部病害の防除法。
(12) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種に属する菌である前記(9)〜(11)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
(13) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)Y−9401株菌である前記(9)〜(12)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
(14) タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、そのコロニー形成単位において1×10〜1×1012/gの培養物又はその粉砕物あるいはその胞子である、前記(9)〜(13)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
(15) 界面活性剤が、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸、N−アシルアミノ酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩およびイミダゾリニウムベタインの群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤である、前記(10)又は(11)に記載の植物の茎葉部病害の防除法。
(16) 増量剤が、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライトおよびアタパルジャイトから選択される1種又は2種以上の増量剤である、前記(10)又は(11)に記載の植物の茎葉部病害の防除法。
(17) 植物の茎葉部病害が、灰色かび病、葉かび病又はうどんこ病である前記(1)〜(8)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
(18) 植物の茎葉部病害を引き起こす菌が、灰色かび病菌、葉かび病菌又はうどんこ病菌である前記(9)〜(16)のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、灰色かび病菌,葉かび病菌又はうどんこ病菌などに代表される農作物の茎葉部病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌を含有する灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病などの植物の茎葉部における病害の防除剤ならびにそれらの防除法である。そして、このタラロマイセス属に属する菌の中でも、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種や、タラロマイセス・バシリスポラス(Talaromyces bacillisporus)種、タラロマイセス・ヘリカム(Talaromyces helicum)種、タラロマイセス・ルテウス(Talaromyces luteus)種、タラロマイセス・ロタンダス(Talaromyces rutundus)種に属する菌が、灰色かび病菌,葉かび病菌又はうどんこ病菌あるいはこれらのすべての菌に対して拮抗作用を有しているが、これらの中でもタラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種に属する菌が、その拮抗作用に優れていることから好適に用いられる。さらに、タラロマイセス・フラバス種に属する菌の中でも、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)Y−9401株菌が、灰色かび病菌,葉かび病菌又はうどんこ病菌あるいはこれらのすべての菌に対して特に強い拮抗作用を有することからより好ましい。これら灰色かび病菌又は葉かび病菌に対する拮抗作用は、例えば、同一プレート上に、タラロマイセス属に属する菌と、灰色かび病菌又は葉かび病菌とを並べて、25℃〜37℃において3〜7日間、対峙培養した後、タラロマイセス属に属する菌による灰色かび病菌又は葉かび病菌の生育抑制の状況を観察することにより確認することができる。
また、うどんこ病菌に対する拮抗作用は、例えば、イチゴ葉面上に、タラロマイセス属に属する菌と、うどんこ病菌とを並べて、15℃〜20℃において1〜3日間、対峙培養した後、タラロマイセス属に属する菌によるうどんこ病菌の生育抑制の状況を観察することにより確認することができる。
つぎに、これらタラロマイセス属に属する菌を培養するにあたっては、通常の糸状菌と同様の培養法により増殖させることができる。そして、これら菌を培養する際には、往復動式振盪培養やジャーファメンター培養などによる液体培養法や、固体培養法による方法を採用することができる。ここでの培養においては、胞子を収率よく得ることのできる固体培養により得られた培養物がより好適に用いられる。このタラロマイセス属に属する菌の培養に際して用いる培地成分としては、ポテトデキストロース培地やサブロー培地などが用いられる。また、固体培養を行う場合には、米、麦、トウモロコシなどの穀物類や、フスマなどの穀物由来の固体成分、糖類や窒素源などの栄養源を粘土鉱物などの多孔質担体に含浸させた固体培地が好適に用いられる。この場合の培養条件は、通気攪拌や振盪培養などの好気的条件下で行うのが望ましく、培養温度は20〜37℃が好ましく、培養期間は3〜60日間とするのが好ましく、培養条件に応じては3〜14日又は30〜60日間とするのが特に好ましい。
このようにして得られる培養物を灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病の防除剤の有効成分として用いるに際しては、この培養物におけるタラロマイセス属に属する菌の濃度が、そのコロニー形成単位において1×10〜1×1012/g、好ましくは1×10〜1×1012/gの範囲にあるものが好適に用いられる。さらに、この培養物は、上記のようにして得られた培養物をそのまま灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病の防除剤の有効成分として用いてもよいが、必要に応じて、この培養物を破砕あるいは細断して用いてもよく、さらに遠心分離などにより培養物から菌体を分離し、これらを乾燥させてから用いてもよい。また、この培養物から胞子を回収し、これを乾燥した後、粉砕して分級したものを用いてもよい。
つぎに、このようにして得られるタラロマイセス属に属する菌を有効成分として含有する灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病の防除剤は、(1)乾燥質量において、このタラロマイセス属に属する菌1〜90質量%と、界面活性剤1〜15質量%および増量剤0〜98質量%を配合して調製した防除剤が、または、(2)乾燥質量において、このタラロマイセス属に属する菌2〜46質量%と、界面活性剤2〜15質量%および増量剤39〜96質量%を配合して調製した防除剤が農作物の茎葉部への散布処理用に好適に用いられる。上記(1)または(2)において、うどんこ病の防除剤の場合は、増量剤は好ましくは65〜90質量%を配合して調製する。すなわち、この防除剤におけるタラロマイセス属に属する菌の配合割合が1質量%未満であると、灰色かび病や葉かび病,うどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除効果が十分に得られないことがあり、このタラロマイセス属に属する菌の配合割合が90質量%を超えるものでは、その防除剤の散布処理に適した水和剤が調製し難くなることがある。また、この防除剤における界面活性剤の配合割合が1質量%未満であると、この防除剤を希釈して水和剤を調製する際に、菌体の水への分散性が低下することがあり、この界面活性剤の配合割合が15質量%を超えるまで増やしても、菌体の水への分散性がそれ以上に向上することはないからである。さらに、この防除剤における増量剤の配合割合が98質量%を超えると、有効成分の含有割合が低下して灰色かび病や葉かび病,うどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除効果が十分に得られなくなることがあるからである。
ここで用いる界面活性剤としては、菌体の水への分散性を向上させ得る性能を有し、かつ、タラロマイセス属に属する菌に対して悪影響を及ぼすことのないものであることが必要である。このような性質を有し、本発明の防除剤の成分としての適性を備えた界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸、N−アシルアミノ酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩及びイミダゾリニウムベタインの群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤が用いられる。
これら界面活性剤の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩およびα−オレフィンスルホン酸塩が、殊に菌体の水への分散性に優れることから好適に用いられる。
また、ここで用いる増量剤は、菌体と混合した場合に、取扱い性のよい均質な混合物を形成する性能を有するものが好適に用いられる。この増量剤としては、例えば、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライト及びアタパルジャイトから選択される1種又は2種以上の増量剤が用いられる。
タラロマイセス属に属する菌を有効成分として含有する灰色かび病,葉かび病及びうどんこ病等の植物の茎葉部病害の防除剤を用いて、農作物の灰色かび病,葉かび病及びうどんこ病等の植物の茎葉部病害の予防や防除をするに際しては、例えば、適当な濃度の茎葉散布剤として、農作物の茎葉部に散布する方法によるのが好ましい。茎葉散布剤を調製する場合には、上記のタラロマイセス属に属する菌体と界面活性剤及び増量剤を配合してなる防除剤を、水により50〜3000倍に希釈した茎葉散布剤が好適に用いられる。これは、この茎葉散布剤における希釈の倍率が50倍未満であると、菌体の水への分散性が低下することがあり、またこの希釈の倍率が3000倍を超えると、有効菌濃度が低下してこれら病害の防除効果が不十分になることがあるからである。ここでの水による希釈倍率は、500〜2,000倍としたものがより好ましい。
そして、この防除剤の農作物の茎葉部への散布時期については、イチゴやトマト、ナスなどの野菜類やバラなどでは、原苗期、仮植期、定植期、収穫期のいずれの時期であってもよく、ブドウでは開花期の前後が好ましい。また、この防除剤の散布の頻度については、タラロマイセス属に属する菌の灰色かび病菌や葉かび病菌,うどんこ病菌等の植物の茎葉部病害を引き起こす菌に対する拮抗作用の持続期間が2ケ月以上に及ぶことから、1〜3ケ月に1回の散布により、灰色かび病,葉かび病及びうどんこ病等の植物の茎葉部病害を十分に防除することができる。
つぎに、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)タラロマイセス・フラバスY−9401株菌の培養
培地としてフスマを用い、これにタラロマイセス・フラバスY−9401(FERM P−15816)株菌の種菌を植菌し、30℃において、10日間、固体培養した。
培養の終了後、得られた培養物を乾燥し、篩にかけることにより、タラロマイセス・フラバスY−9401株菌の粉砕物を得た。
(2)灰色かび病、葉かび病又はうどんこ病の防除剤の製造
上記(1)で得られたタラロマイセス・フラバスY−9401株菌の粉砕物5gと、界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホネート10g、および増量剤として粘土鉱物〔勝光山鉱業所社製;Kクレー〕85gを配合することにより、灰色かび病、葉かび病又はうどんこ病の防除剤を製造した。
(3)イチゴ灰色かび病の防除剤の評価
前年の10月に、ビニルハウス内に定植したイチゴ苗(品種;女峰)につき、定植から6ケ月後に、上記(2)で製造した防除剤の灰色かび病の防除効果についての評価をした。イチゴ苗の栽植距離は、畝幅115cm、株間20cmとし、2条植えとして1アール当たり870株とした。
このイチゴへの散布用の防除剤としては、上記(2)で製造した防除剤を水で1000倍に希釈した水和剤に、散布前に展着剤〔花王社製;アプローチBI〕を防除剤と同一濃度となるように加えたものを用いた。イチゴへの防除剤の散布量は、栽培面積10アール当たり150リットルとし、散布には噴霧器を用いてイチゴの茎葉部に噴霧し、散布完了から16時間の間は、ビニルハウスを密閉した。そして、このイチゴへの上記の防除剤の散布回数は、初回の散布から7日後に2回目、その7日後に3回目、さらにその6日後に4回目の散布をして、イチゴの灰色かび病の防除をした。
また、比較のため、別のビニルハウスにおいて、市販の殺菌剤〔日本農薬社製;ポリオキシンAL水和剤〕の1000倍の希釈液を、上記の防除剤と同様にイチゴに散布して、灰色かび病の防除をした。
さらに、別のビニルハウスにおいて、灰色かび病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)、イチゴの栽培をした。
つぎに、これら各区画において栽培したイチゴのうち、その区画の中央部のイチゴ15株について、灰色かび病の発病株と発病果柄を調査し、下記により発病株率及び発病果柄率を算出した。
Figure 2002035934
また、上記無散布区画での発病率を算出し、さらに下記により灰色かび病の防除価を算出した。
Figure 2002035934
これらイチゴの灰色かび病に対する防除剤の評価結果を、第1表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例2〕
前年の10月に、ガラス温室内に定植したトマト苗(品種;ハウス桃太郎)につき、定植から6ケ月後に灰色かび病の発病を確認し、実施例1の(2)で製造した防除剤の評価をした。トマト苗の栽植距離は、畝幅200cm、株間50cmとし、条間80cmの2条植えとした。
このトマトへの散布用の防除剤としては、実施例1の(2)で製造した防除剤を水で1000倍に希釈した水和剤に、散布前に展着剤〔日本農薬社製;マイリノー〕を防除剤の10分の1の濃度となるように加えたものを用いた。このトマトへの防除剤の散布に際しては、発病果は予め除去した。そして、このトマトへの防除剤の散布量は、栽培面積10アール当たり350リットルとし、散布には噴霧器を用いてトマトの茎葉部に噴霧し、散布完了から16時間の間は、ガラス温室を密閉した。そして、このトマトへの上記の防除剤の散布回数は、初回の散布から7日後に2回目、その7日後に3回目の散布をして、トマトの灰色かび病の防除をした。
また、比較のため、別のガラス温室において、市販の殺菌剤〔日産化学社製;ロブラール水和剤〕の1000倍の希釈液を、上記の防除剤と同様にトマトに散布して、灰色かび病の防除をした。
さらに、別のガラス温室において、灰色かび病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)、トマトの栽培をした。
つぎに、これら各区画において栽培したトマトのうち、その区画の中央部のトマト20株について、灰色かび病の発病果数を調査し、下記により発病果率を算出した。
Figure 2002035934
これらトマトの灰色かび病に対する防除剤の評価結果を、第2表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例3〕
ハウス栽培中の13年生のブドウ(品種;巨峰)の果穂に、実施例1の(2)で製造した防除剤を水で1000倍に希釈した水和剤を散布して、灰色かび病の防除をした。この防除剤の水和剤の散布時期は、ブドウの果穂の開花予定日よりも23日前と11日前、および開花日から10日後の3回とした。
このブドウへの防除剤の水和剤の散布量は、3回とも100m当たり50リットルとし、動力噴霧器により散布した。
また、比較のため、別のハウス栽培のブドウの果穂に、市販の殺菌剤〔日産化学社製;ロブラール水和剤〕の1500倍の希釈液を、上記の防除剤と同様に散布して、灰色かび病の防除をした。
さらに、別のハウス栽培のブドウの果穂に、灰色かび病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)、ブドウの栽培をした。
つぎに、これら各区画において栽培中のブドウの果穂のうち、その区画の中央部のブドウの果穂200本について、灰色かび病の発病果穂数を調査し、下記により発病果穂率を算出した。
Figure 2002035934
これらブドウの灰色かび病に対する防除剤の評価結果を、第3表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例4〕
前年の10月にビニルハウス内に定植したイチゴ苗(品種;女峰)につき、定植から6ケ月後に、実施例1の(2)で製造した防除剤を用いて、実施例1の(3)と同様の手順で、その葉かび病に対する防除効果について評価した。
なお、比較実験においては、市販の殺菌剤〔三共製薬社製;ベルクート水和剤〕の1000倍の希釈液を用いた。
そして、これら各区画において栽培したイチゴのうち、その区画の中央部のイチゴ15株について、葉かび病の発病の有無を調査し、下記により発病小葉率を算出した。
Figure 2002035934
また、無散布区画での発病率を算出し、さらに下記により葉かび病の防除価を算出した。
Figure 2002035934
これらイチゴの葉かび病に対する防除剤の評価結果を、第4表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例5〕
(1)イチゴうどんこ病に対する防除剤の評価
前年の9月に、ビニルハウス内に定植したイチゴ苗(品種;とよのか)につき、定植から8ケ月後に、実施例1(2)で製造した防除剤の評価をした。イチゴ苗の栽植距離は、畝幅100cm、株間25cmとし、1区画につき10株を植栽した。また、このビニルハウス内には、うどんこ病に罹病したイチゴ苗を置き、試験区内のイチゴ苗への空気感染によるうどんこ病の発病を促進させた。
このイチゴへの散布用の防除剤としては、実施例1(2)で製造した防除剤を水で1,000倍に希釈した水和剤を用いた。ここでの防除剤の散布は、イチゴ株がうどんこ病に罹病していることを確認して実施した。また、この防除剤の散布量は、栽培面積10アール当たり200リットルとし、散布には噴霧器を用いてイチゴの茎葉部に噴霧した。そして、このイチゴへの上記の防除剤の散布回数は、初回の散布から7日後に2回目、さらにその7日後に3回目の散布をして、イチゴのうどんこ病の防除をした。
また、比較のため、別のビニルハウスにおいて、市販の殺菌剤〔日本曹達社製;トリフミン水和剤〕の3,000倍の希釈液を、上記の防除剤と同様にイチゴに散布して、うどんこ病の防除をした。
さらに、別のビニルハウスにおいて、うどんこ病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)、イチゴの栽培をした。
つぎに、これら各区画において栽培した全イチゴ株について、(1)2回目の防除剤散布日、(2)3回目の防除剤散布日、(3)3回目の防除剤散布から7日後の3回にわたり、発病の有無を調査し、下記式により発病小葉率と発病度を算出した。
Figure 2002035934
ここで、上式における発病程度については、指数:0=無発病、指数:0.5=ごく僅かな発病、指数:1=発病面積率が5%未満、指数:2=発病面積率が5%以上25%未満、指数:3=発病面積率が25%以上50%未満、指数:4=発病面積率が50%以上として、発病度の算出をした。
また、上記の防除剤無散布区画での発病小葉率を算出し、さらに下記により、うどんこ病の防除価を算出した。
Figure 2002035934
これらイチゴのうどんこ病に対する評価結果を、第5表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例6〕
ビニルハウス内に、2葉期のキュウリ苗(品種;アンコール8)を、発病葉からはうどんこ病菌の胞子をブラシではたき落として定植し、実施例1(2)で製造した防除剤を散布してその評価をした。キュウリ苗の栽植距離は、畝幅220cm、株間50cmとして12株を栽植し、液肥を適宜施した。
このキュウリ苗への散布用の防除剤としては、実施例1(2)で製造した防除剤を水で1,000倍に希釈した水和剤を用いた。そして、このキュウリ苗への防除剤の散布量は、栽培面積10アール当たり130〜280リットルとし、キュウリ苗の伸長に伴って増量した。この散布には噴霧器を用いてキュウリ苗の茎葉部に噴霧した。
このキュウリ苗への上記水和剤の散布回数は、キュウリ苗の定植から12日後の4葉期のキュウリ苗に対して1回目、その9日後に2回目、その8日後に3回目、さらにその7日後に4回目の散布をして、うどんこ病の防除をした。
また、比較のため、別のビニルハウスにおいて、市販の殺菌剤〔シオノギ製薬社製;サマーマシン97〕の200倍の希釈液を、上記の防除剤と同様にキュウリ苗の茎葉部に散布して、うどんこ病の防除をした。
さらに、別のビニルハウスにおいて、うどんこ病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)、キュウリ苗を栽植した。
つぎに、これら各区画において栽培したキュウリ苗の全株につき、(1)防除剤の最終散布日から6日後、(2)同13日後および(3)同20日後の3回、第4本葉よりも上位の10枚の本葉について、発病程度を調査し、下記式により発病葉率、発病度および防除価を算出した。なお、発病程度は、実施例5の場合と同様とした。
Figure 2002035934
これらキュウリのうどんこ病についての評価結果を、第6表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例7〕
ハウス栽培中の13年生のブドウ(品種;巨峰)の果穂に、実施例1(2)で製造した防除剤を水で1,000倍に希釈した水和剤を散布して、うどんこ病の防除をした。このハウス内には、うどんこ病に罹病したブドウを置いて空気感染によるうどんこ病の発病を促進させた。防除剤の水和剤の散布時期は、ブドウの果穂の開花予定日よりも23日前と11日前、および開花日から10日後の3回とした。
このブドウへの防除剤の水和剤の散布量は、3回とも100m当たり50リットルとし、動力噴霧器により散布した。
また、比較のため、別のハウス栽培のブドウの果穂に、市販の殺菌剤〔北興化学社製;トップジンM〕の1000倍の希釈液を、上記の防除剤と同様に散布して、うどんこ病の防除をした。
さらに、別のハウス栽培のブドウの果穂に、うどんこ病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)栽培をした。
つぎに、これら各区画において栽培中のブドウの果穂のうち、その区画の中央部のブドウの果穂200本について、うどんこ病の発病果穂数を調査し、下記により発病果穂率を算出した。
Figure 2002035934
また、ブドウのうどんこ病に対する防除価を実施例5の場合と同様にして算出した。これらブドウのうどんこ病についての評価結果を、第7表に示す。
Figure 2002035934
〔実施例8〕
無加温のビニルハウス内の地床に、ベッド幅50cm、株間25cmで1条植えしてある14年生のバラ(品種:ソニア)5樹について、実施例1(2)で製造した防除剤を水で1,000倍に希釈した水和剤を散布して、うどんこ病の防除をした。ビニルハウス内には、うどんこ病に罹病したバラを置いて空気感染によるうどんこ病の発病を促進させた。水和剤の散布時期は、バラの新梢が伸長中であり、その葉にうどんこ病の発生を確認した後、6日間の間隔をおいて2回行った。そして、この水和剤の散布量は、それぞれ10アール当たり400リットルとした。
また、比較のため、別のハウス栽培のバラの新梢に、市販の殺菌剤〔北興化学社製;トップジンM〕の1000倍の希釈液を、上記の防除剤と同様に散布して、うどんこ病の防除をした。
さらに、別のハウス栽培のバラの新梢に、うどんこ病の防除剤を全く散布することなく(無散布区画)栽培をした。
つぎに、これら各区画につき、水和剤の最終散布日から8日後に、バラの新梢の葉につき発病程度を調査し、実施例2と同様にして発病度および防除価を算出した。なお、このバラについての発病程度は、指数:0=無発病、指数:1=発病面積率が25%未満、指数:2=発病面積率が25%以上50%未満、指数:3=発病面積率が50%以上75%未満、指数:4=発病面積率が75%以上とした。これらバラについての評価結果を、第8表に示す。
Figure 2002035934
産業上の利用分野
本発明によれば、自然環境に悪影響を及ぼすことがなく、かつ病害防除効果の持続性に優れた灰色かび病,葉かび病又はうどんこ病等の植物の茎葉部における病害の防除剤ならびにそれらの防除法を提供することができる。

Claims (18)

  1. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌を含有する植物の茎葉部病害の防除剤。
  2. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌1〜90質量%と、界面活性剤1〜15質量%及び増量剤0〜98質量%(0を含む)からなる植物の茎葉部病害の防除剤。
  3. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌2〜46質量%と、界面活性剤2〜15質量%及び増量剤39〜96質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤。
  4. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種に属する菌である請求項1〜3のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  5. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)Y−9401株菌である、請求項1〜4のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  6. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、そのコロニー形成単位において1×10〜1×1012/gの培養物又はその粉砕物あるいはその胞子である、請求項1〜5のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  7. 界面活性剤が、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸、N−アシルアミノ酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩およびイミダゾリニウムベタインの群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤である、請求項2又は3に記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  8. 増量剤が、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライトおよびアタパルジャイトから選択される1種又は2種以上の増量剤である、請求項2又は3のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  9. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌を含有する植物の茎葉部病害の防除剤を、植物の茎葉部に散布処理することを特徴とする植物の茎葉部病害の防除法。
  10. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌1〜90質量%と、界面活性剤1〜15質量%及び増量剤0〜98質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤の50〜3000倍に希釈された水和剤を、植物の茎葉部に散布処理する植物の茎葉部病害の防除法。
  11. 植物の茎葉部における病害を引き起こす菌に対して拮抗作用を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌2〜46質量%と、界面活性剤2〜15質量%及び増量剤39〜96質量%からなる植物の茎葉部病害の防除剤の50〜3000倍に希釈された水和剤を、植物の茎葉部に散布処理する植物の茎葉部病害の防除法。
  12. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)種に属する菌である請求項9〜11のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
  13. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)Y−9401株菌である請求項9〜12のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
  14. タラロマイセス(Talaromyces)属に属する菌が、そのコロニー形成単位において1×10〜1×1012/gの培養物又はその粉砕物あるいはその胞子である、請求項9〜13のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
  15. 界面活性剤が、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸、N−アシルアミノ酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩およびイミダゾリニウムベタインの群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤である、請求項10又は11に記載の植物の茎葉部病害の防除法。
  16. 増量剤が、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライトおよびアタパルジャイトから選択される1種又は2種以上の増量剤である、請求項10又は11に記載の植物の茎葉部病害の防除法。
  17. 植物の茎葉部病害が、灰色かび病、葉かび病又はうどんこ病である請求項1〜8のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除剤。
  18. 植物の茎葉部病害を引き起こす菌が、灰色かび病菌、葉かび病菌又はうどんこ病菌である請求項9〜16のいずれかに記載の植物の茎葉部病害の防除法。
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