JPWO2002027076A1 - 半導体単結晶の製造装置並びに製造方法 - Google Patents

半導体単結晶の製造装置並びに製造方法 Download PDF

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Abstract

CZ法により半導体単結晶を製造する半導体単結晶製造装置において、電流を流す電流経路での発熱を抑制し消費電力を抑え、更にはこれによってもたらされる製造装置の育成炉内部の電流経路部材及びその周辺に配置された炉内構造の劣化を防ぎ、育成炉内部に配置された部品の耐久性の向上を図ることが可能な半導体単結晶の製造装置並びに半導体単結晶の製造方法を提供する。ルツボに収容した原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置の育成炉の内部に設け、該加熱ヒータの発熱部の電気抵抗値が、該電流経路を構成する電流経路部材の電気抵抗値の9倍以上であるようにした。

Description

技術分野
本発明は、チョクラルスキー法(Czochralski Method、以下CZ法と称することがある。)を用いた半導体単結晶の製造装置並びに製造方法に関し、より詳しくは半導体単結晶製造装置の育成炉内部に収容されたルツボ内の原料を加熱溶融する加熱ヒータの発熱部以外での電力ロスを減らし、製造コストの低減と装置の信頼性を高めた半導体単結晶の製造装置並びにその装置を利用した半導体単結晶の製造方法に関する。
背景技術
従来より半導体単結晶の製造方法の一つとして、半導体製造装置の育成炉内部に配置されたルツボに半導体単結晶原料を充填し、ルツボの外側に設けられた加熱ヒータにより溶融して融液とし、その原料融液に種結晶を接融して種結晶の下方に半導体単結晶を育成するCZ法が広く知られている。そして、CZ法を利用した半導体単結晶の育成技術は、シリコンやGaAs(砒化ガリウム)等の半導体単結晶を得るために工業的に幅広く利用されているものではあるが、以下においては、シリコン半導体単結晶の育成をその一例として示し本発明の従来例を説明する。
CZ法を利用したシリコン半導体単結晶の育成方法においては、まず原料となる多結晶シリコンを、製造装置の育成炉内部に備えられた外側が黒鉛製、内側が石英製で構成されたルツボに充填し、育成炉内部をアルゴン(以下、Arと称する。)等の不活性ガスで満たした後に、原料を入れたルツボの外側周囲に配設された黒鉛製の加熱ヒータにより1420℃以上の高温に加熱し原料融液する。
そして、原料融液の温度が単結晶引上げに適した温度に安定したところで、融液上方より種結晶を降ろし先端をわずかに原料融液面に浸漬し、種結晶の温度が安定したところで、種結晶とルツボを互いに反対方向に回転させながら静かに上方に引上げることによって、種結晶の下方にシリコンの半導体単結晶を育成するものである。
この間、半導体単結晶の原料である多結晶シリコンを溶解し、半導体単結晶の育成中に原料融液の温度が低下して固化することを防ぐため、原料融液を保持するルツボの外側周囲に配置された加熱ヒータには、原料融液を加温するための電力が常に供給され続けているものである。
半導体単結晶の製造装置、特にシリコン半導体単結晶の製造装置では、半導体単結晶の原料とされる多結晶シリコンを加熱溶融し融液として保持するために、シリコンの融点である1420℃以上の高温の雰囲気に育成炉内部を加温して単結晶育成を行う必要があることから、半導体単結晶製造装置の育成炉内部に配設される構造物の材料として、その殆んどに黒鉛材が使用されている。
黒鉛材は金属等に比べ熱膨張率が小さく耐熱衝撃性に優れ、且つ融点の非常に高い材料であることから、高温の雰囲気に曝される育成炉の内部を構成する構造物部材の材料として最適であり、また黒鉛以外の高融点金属材料等の材料に比べ形状加工が容易でありコスト的も安価であること等から、工業的に半導体単結晶を量産する製造装置には黒鉛を材料とした部材が多用されている。
そして、原料融液を加熱するために半導体単結晶育成装置に配置される加熱ヒータにも、黒鉛のこれらの優れた特性に配慮して、その多くが黒鉛材を主体として形作られている。
また、単結晶製造装置の育成炉は、上述した黒鉛材から形成された加熱ヒータやルツボ、断熱材等の炉内構造物が育成炉内部の保温と育成炉炉壁を保護することを目的として複雑に配置されており、狭い育成炉内で無駄なく効率的に効果を発揮するために、炉内構造物の各部品がお互いにわずかの隙間を保って製造装置の育成炉内部に配置されている。
そして、単結晶製造装置の育成炉内部では、多くの黒鉛材を材料として作られた炉内構造物が、各々がわずかの隙間で隔てられて配置されている上、黒鉛材そのものは非常に電気導電率の高い良導体であり、電気を流し易いという特性をも兼ね備えていることから、育成炉内のルツボ周囲に配置された加熱ヒータ、あるいは加熱ヒータと育成炉下部に設けられた金属電極とを育成炉内部で接続する電流経路部材等から電流の漏洩や放電が起こり、炉内構造物に損傷を与えたり装置設備に電気的なトラブルをもたらし操業が困難となるのを防止するため、単結晶育成時に加熱ヒータに印加する電圧は可能な限り低く抑えて操業を継続している。
特に、最近のシリコン半導体単結晶の育成においては、結晶品質を所望の値とし安定した特性を有する半導体単結晶を得ることや、育成炉内部の原料融液から蒸発するSiO(酸化珪素)等の酸化物が炉内の構造物や炉壁に付着するのを抑制し長時間にわたる操業を維持するため、育成炉内部の不活性ガスを効率良く外部に排気する必要があることから、育成炉の内部の圧力を低く保って操業を行う方法が多く用いられている。
この時、電流が流されている加熱ヒータや電流経路部材あるいは電極等で、印加電圧により炉内で放電が起こることの無いよう炉内下部にある電極に印加する電圧は低く保たれており、一般的には50V程度の低い電圧を印加することによって、黒鉛材から作られている炉内構造物部材間での放電を防ぎ、加熱ヒータを発熱させているものである。
発明の開示
シリコン半導体単結晶を育成するにあたり、多結晶シリコンを融解するのに必要とされる電力は通常150kW程度であり、多結晶シリコンを融解した後に単結晶を引上げる際に原料を融液の状態として保持しておくためには、100kW程度の電力を加熱ヒータに供給し続ける必要がある。そして、これらの電力を上述したような低い印加電圧の下で賄うには、加熱ヒータに通電する電流は1000〜5000A程度もの非常に大きな電流を必要とする。
しかし、多結晶原料を融解しシリコン融液として保持するために、このような大電流を製造装置の炉内に通電した場合には、加熱ヒータに以外に、加熱ヒータに電力を供給する役目を果たす育成炉内部に置かれた電流経路部材にも、不要な発熱が生じることになる。何故なら、この電流経路部材が加熱ヒータと同じ黒鉛材で形成され加熱ヒータと同程度の抵抗率を有しているからである。
この製造装置育成炉内に配置された電流経路部材での発熱は、原料融液を加温するには関係のない発熱であり、無駄な電力を不用意に消費するもので単結晶育成時においては極力抑制されるべきものである。特に、シリコン半導体単結晶の育成においては、結晶定径部の成長速度は0.5〜1mm/min程度と非常にゆっくりとしたものであり、1本のシリコン単結晶を引上げるのに原料溶融時間も含めれば20〜30時間もの長い製造時間を必要とする。
この間、加熱ヒータには100kW前後の電力が供給され加熱を継続する必要があり、当然のことながら、加熱ヒータ以外の電流経路部材でも不必要な電力の消費が続けられており、電流経路部材等の加熱ヒータ以外でのわずかな電力のロスであっても、累積されれば単結晶の製造コストや発熱部位あるいはその周辺での黒鉛部品の劣化を促進することになり、可能な限り不要部分での電力ロスを抑え操業を継続することが望まれる。
更には、わずかなエネルギーのロスであっても、そのロスを軽減しエネルギーの無駄を無くした生産を行うということは、少しでも環境に配慮した生産活動を行う上で重要視されるべものである。
また、最近のCZ法を用いたシリコン半導体の単結晶製造装置では、半導体ウエーハ上に形成される半導体素子の高集積化や、1枚の半導体ウエーハから得られる半導体素子の数を増やし歩留り向上を図るために、300mmを超える大直径の半導体ウエーハが要求されるようになってきており、この要求を満足するため大直径単結晶を効率良く生産する手段として、口径が70cmを超える大型の石英ルツボを収容可能な製造装置の導入も進められている。
このような大口径のルツボを収容可能な単結晶製造装置に用いられている加熱ヒータは、製造装置内に収容されるルツボの大型化に比例して大きくなる一方で、加熱ヒータの大型化に伴い、加熱ヒータに電力を供給するための電流経路を形成する電流経路部材も、大型で長い経路を必要とする。そして、これにより益々この電流経路部材で消費される電力量が大きなものとなり、無視できない値になっている。
更に、上述したような大型の単結晶育成装置では、発熱部以外での発熱量が増えることにより炉内に配置された構造物部材の劣化も加速され、炉内構造物の消耗が激しくなることで、大型の単結晶育成装置では直径6インチ以下の結晶を生産する中型機に比べ、育成炉内部に配置された構造物部品の交換頻度も高い割合を示している。
このような理由から、現在の主力である直径が200mmを超えるような半導体単結晶を引上げる製造装置においては、加熱ヒータに電力を供給する電流経路での電力ロス低減が特に必要とされている。また、その他の半導体単結晶製造装置においても、製造コストや炉内構造物の劣化等に配慮すれば、不必要な電力の浪費は避けるべきものであり、可能な限りエネルギーロスの少ない半導体単結晶製造の製造装置が望まれる。
本発明は、このような問題点に鑑み成されたものであり、CZ法により半導体単結晶を製造する半導体単結晶製造装置において、加熱ヒータに電力を供給するための育成炉内部の金属電極から加熱ヒータまでの間の電流経路を構成する電流経路部材の抵抗を加熱ヒータの抵抗よりも小さなものとし、電流を流す電流経路での発熱を抑制し消費電力を抑え、更にはこれによってもたらされる製造装置育成炉内部の電流経路部材及びその周辺に配置された炉内構造物の劣化を防ぎ、育成炉内部に配置された部品の耐久性の向上を図ることが可能な半導体単結晶の製造装置並びに半導体単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のCZ法による半導体単結晶の育成に用いる半導体単結晶製造装置の第1の態様は、製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容した原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該加熱ヒータの発熱部の電気抵抗値が、該電流経路を構成する電流経路部材の電気抵抗値の9倍以上であることを特徴とする。
上記電流経路部材の電気抵抗値に対する上記加熱ヒータの発熱部の電気抵抗値の比率の上限値については特別の限定はないが、1000倍程度を上限とすればよい。また、この電流経路部材の材料としては、1500℃程度の雰囲気下での電気抵抗値を考慮して選定するのが好ましい。
本発明のCZ法による半導体単結晶の育成に用いる半導体単結晶製造装置の第2の態様は、製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容した原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該電流経路を構成する電流経路部材の電気抵抗率が、該加熱ヒータの発熱部の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする。
単結晶製造装置の育成炉の内部に配置された加熱ヒータ、即ち加熱ヒータの発熱部で消費される電力Pは、オームの法則から加熱ヒータに流れる電流Iと印加電圧Vの積により、P=IV=IR(R:加熱ヒータの電気抵抗値)と表すことができ、加熱ヒータの電気抵抗Rが大きいほど流れる電流が小さくなり、ヒータ以外の電流経路での電力ロスが小さくなる。
また、育成炉内部に配置した断熱材等の構造物の材料として導電性の高い黒鉛材を用い、更には育成炉内部を500hPa以下の低炉内圧を保って単結晶生産を行うような状況下においては、加熱ヒータに近接する他の炉内構造物との間に生じる放電や漏電を避けるために、加熱ヒータに印加する電圧を100V以下、この好ましくは50V程度に保って操業を行う必要がある。
しかし、この一方でシリコン半導体単結晶の育成等においては、シリコン単結晶の原料である多結晶シリコン塊を高温下で融解する必要があり、150kW以上もの大きな電力を加熱ヒータから取り出すことが求められる。
また、多結晶シリコン原料の溶融を完了した後でも、シリコンを融液として保持しておくためには50〜100kWの電力を加熱ヒータに供給し続けておく必要がある。
そこで、このような低電圧で原料を融液とするような大電力を得るために、育成炉内部に置かれた加熱ヒータには1000〜5000Aもの電流を流して、半導体単結晶の育成を行っている。
他方、加熱ヒータは、原料融液から放出されるSiO等の酸化物を含んだ酸化性ガスによる侵食を受け、かつ、加熱ヒータそれ自体が高温に発熱することから、高温でも耐侵食性が高く、高融点の黒鉛を用いて造られている。
そして、黒鉛は比較的好適な導体であり電流を流しやすく、半導体単結晶製造装置に使用されている加熱ヒータの抵抗値は8mΩ程度と小さな値となっている。
この一方で、加熱ヒータを育成炉内部で立設させ、電力を供給するために育成炉に配置されている電流経路部材も、上述したような理由から、絶縁部分を除きその殆んどが黒鉛材を材料として作られたものであり、加熱ヒータと略同程度の電気抵抗率を有しているもので、電流経路自体で5〜1mΩ程度の抵抗値を示している。
従って、半導体単結晶の育成時の加熱ヒータに電力が供給されている時には、これら電流経路部材にも大きな電流が流れることになり、十数kW程度の電力が電流経路部材で発熱し消費されていることになる。
そこで、この加熱ヒータに電力を供給するための電流経路部材で消費される不要な電力を減らし、無駄なエネルギーの消費を少なくするためには、電流経路部材の抵抗をより小さなものとすれば、電流経路部材で消費される無駄な電力を軽減することができる。
この為には、単結晶製造装置の育成炉内で使用される加熱ヒータの発熱部よりも電気抵抗率の低い黒鉛材あるいは黒鉛材以外の素材を用いて電流経路部材を作製すれば、電流経路全体の抵抗を低く抑えることが可能となり、その結果、電流経路部分で消費される電力が小さくなり無駄な電力ロスの軽減を図ることができる。
この時、電流経路部材を形成する材料として、1500℃の高温下において加熱ヒータの発熱部の電気抵抗率に対し、加熱ヒータ、即ち加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための、電流経路を構成する製造装置育成炉内部に設けられた電流経路部材の電気抵抗率が、1/10以下となる材料を電流経路部材として用いるのが好ましい。
黒鉛材の電気抵抗率は、常温よりも1500℃の高温下での電気抵抗率が低く、常温付近で1000〜1400μΩcmであるのに対し、1500℃の高温雰囲気下では800〜1200μΩcmまでわずかではあるが低下する。これに対し、通常の融点の高い金属等では、常温での電気抵抗率よりも高温下での電気抵抗率の方が大きくなるのが一般的である。
育成炉内部の電流経路を形成する炉内構造物の材料として、電気抵抗率の低い部材を用いるのであれば、実際に単結晶を育成する育成炉内部の雰囲気温度に近い温度での電気抵抗率を考慮して、電流経路部材の材料を選定するのがよい。
一般的には、CZ法の半導体単結晶製造装置であれば、加熱ヒータに電力を供給する電流経路部材の材料としては、1500℃の雰囲気下での電気抵抗率を考慮しておけば好ましいものであり、この時の材料の電気抵抗率が加熱ヒータの発熱部の電気抵抗率に対し、1/10以下となるような材料を電流経路部材の材料として用いれば、可能な限り電流経路部材で消費される電力を抑制することができる。
このような材料としては、その一部または全てにモリブデン(Mo)、ダングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)を主成分とする金属あるいは合金が挙げられる。
これらの金属あるいはそれらの金属を主成分とする合金であれば、融点が非常に高くほとんどの半導体単結晶の製造に使用することができると伴に、1500℃の高温雰囲気下での電気抵抗率も100μΩcm以下と黒鉛材に比べ1/10以下と極めて低い電気抵抗率を示すものであり、単結晶製造装置の加熱ヒータに電力を供給する電流経路部材の材料として用いるには最適である。
特に、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブは、シリコンよりもかなり融点の高い金属であり、1420℃以上の高温で加熱溶融する必要のあるシリコン半導体単結晶の製造装置に用いるのに適している。
このような材料を電流経路部材として用いることによって、育成炉底部に設けられた金属電極と加熱ヒータを接続する電流経路での不要な発熱が可能な限り抑制され、無駄な電力消費を抑えられると同時に、電流経路部材自体での発熱が少ないため電流経路部材やその周辺での炉内構造物の劣化も小さくなり炉内構造物の劣化による交換頻度も少なくすることかできる。
本発明のCZ法による半導体単結晶を育成するための半導体単結晶製造装置の第3の態様は、製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容された原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該電流経路を構成する電流経路部材を流れる電流の電流密度が、該加熱ヒータの発熱部を流れる電流の電流密度よりも小さくなるようにしたことを特徴とする。
半導体単結晶製造装置の育成炉底部に設けられた金属電極と、原料融液を加熱するために育成炉内部に設けられた加熱ヒータとを接続するために配設された電流経路部材を流れる電流の密度(電流密度)が、加熱ヒータの発熱部を流れる電流の密度よりも小さくなるように、例えば、電流経路部材の形状を形成しても、本発明の半導体単結晶製造装置の第1及び第2の態様と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明においては、導体を流れる電流I(A)を、導体を流れる電流の方向に対し直交する方向の導体の断面積S(cm)で割ったもの、即ちI/S(A/cm)を電流密度と定義する。
この理由は、導体の電気抵抗値R(Ω)は、電気抵抗率をρ(Ωcm)とし電流が流れる方向に対して直交する方向の導体の面積、即ち断面積をS(cm)、導体の長さをl(cm)とすれば、電気抵抗値RはR=ρ×l/Sと表すことができるものであり、電気抵抗値Rは導体の断面積Sに対して反比例することがわかる。
これは、電流が流れる導体の電気抵抗値Rは同じ材質の導体であっても面積Sが2倍であれば電気抵抗値は1/2になることを示したものであり、育成炉内部の電流が流れる電流経路部材の断面積を適宜選択することによっても、加熱ヒータ以外で消費される電力を小さくできることを示している。
これは、直列回路を形成している加熱ヒータの発熱部とそれに電流を供給する電流経路部材の単位断面積当たりに流れる電流を小さくすれば、即ち電流密度を小さくすれば消費電力Pも少なくなることを意味している。
従って、加熱ヒータと電流経路部材を黒鉛材等の同じ材質のもので構成している場合には、加熱ヒータ発熱部の断面積に対し電流経路部材の断面積がより大きな断面積を取ることができるように電流経路部材の形状を形成すれば、加熱ヒータ以外での発熱を抑制することが可能となる。
特に、電流経路の電流密度を、加熱ヒータの発熱部に流れる電流密度の1/2以下とすることによって、電流経路部材で消費される不要な電力を半分以下に抑えることができるようになる。
そして、このような構成を用いることにより電流経路での電力ロスを抑えることは、口径の大きな石英ルツボを収容可能な半導体単結晶製造装置の育成炉下部の空間に余裕のある大型の半導体単結晶製造装置において、より有効に作用するものである。
なお、本発明において電流経路部材とは、半導体単結晶製造装置の育成炉下方部分に設けられた電流を育成炉内部に供給するための金属電極と、原料融液を保持するルツボ周囲に配設された加熱ヒータを結び、加熱ヒータに電流を供給するための育成炉内部に設けられた炉内構造物を指し示したものであり、育成炉下方に置かれた金属電極を保護する電極保護部材、加熱ヒータを支持立設し電流を流すヒータ支持部材、加熱ヒータをヒータ支持部材に接続するヒータ電極部等から成る炉内構造物を指す。
また、本発明による半導体単結晶製造装置の第1〜第3の態様を組合わせることによっても、より電力ロスの少ない半導体単結晶製造装置とすることができる。
例えば、炉内構造物の配置から電流経路部材を設置するスペースが少ない部分ではモリブデン等の電気抵抗率の低い高融点金属を使用し、比較的大きな炉内構造物を配置できる空間がある部分では、黒鉛製の部材を使用してもその断面積を大きくすることにより電気抵抗値を小さなものとし、電流経路での消費電力を抑え、育成炉内部のスペースと部品コストに配慮した半導体単結晶の製造装置とすることが可能なものである。
更には、加熱ヒータを加熱するために印加される電圧により、育成炉内部で放電が起こらない程度であれば、原料融液を加熱溶融するための加熱ヒータの電気抵抗値を相対的に大きくして、電流経路部材での電力消費を抑えるのもよい。この時、好ましくは、加熱ヒータの電気抵抗値は10mΩ以上とするのが好適である。
加熱ヒータの電気抵抗値を高める方法としては、加熱ヒータの材料として用いられる黒鉛材の材質を電気抵抗率の高いものとするか、加熱ヒータの発熱部の肉厚を薄くしたり、ヒータスリットの数を増やして発熱部経路を長くする、あるいは発熱部を流れる電流の経路を狭くして発熱部の抵抗値を大きくする等の方法がある。しかし、加熱ヒータの電気抵抗値は、上述したような育成炉内部での放電等に配慮すれば、高くとも50mΩ程度に抑えておくのが望ましい。
本発明の半導体単結晶の製造方法は、上記した本発明の半導体単結晶の製造装置を用い、該製造装置の育成炉内部にあるルツボに収容した原料融液からチョクラルスキー法により半導体単結晶を引上げて製造することを特徴とする。
このようにして、本発明による半導体単結晶製造装置を半導体単結晶の製造に用いることによって、電力ロスの少ない半導体単結晶の育成が可能とされる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら、CZ法によるシリコン単結晶の育成例を挙げて説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。例えば、本発明のCZ法を利用する半導体単結晶製造装置は、原料融液に磁場を印加しながら半導体単結晶を育成する、MCZ法(Magnetic field applied Czochralski method、磁界下引上法)を用いた半導体単結晶の製造装置並びに単導体単結晶の製造方法においても当然利用することは可能であるし、シリコン半導体単結晶以外のCZ法を用いた、例えば、GaAs等の化合物半導体単結晶を育成する半導体単結晶の製造方法あるいは製造装置にも、勿論適用することが可能であることはいうまでもない。
図1は、本発明の半導体単結晶製造装置の一つの実施の形態を示す概略断面図である。図1に示す半導体単結晶製造装置10の育成炉12には、原料融液Mを収容する石英製ルツボ14aと、この石英製ルツボ14aを保護するために石英製ルツボ14aの外側には黒鉛製ルツボ14bが配置されている。なお、本明細書においては、石英製ルツボ14a単独又は石英製ルツボ14aと黒鉛製ルツボ14bをあわせて単にルツボと称することがある。
そして、更にその黒鉛製ルツボ14bの外側周囲には、石英製ルツボ14a内に収容された多結晶原料を加熱溶融し原料融液Mとして保持するための黒鉛材で作られた加熱ヒータ16が設置されている。
半導体単結晶Sの育成時には、この黒鉛製の加熱ヒータ16に供給される電力を調整して原料融液Mの温度を所望の値とし半導体単結晶Sを育成する。加熱ヒータ16と育成炉12の間には、金属製の育成炉12の炉壁12aを保護し、育成炉12内部を効率的に保温するために断熱材18が置かれている。
また、原料融液Mを収容した石英ルツボ14a及び黒鉛ルツボ14bは、ルツボ台20を介してルツボ支持軸22によって育成炉12の略中央に配置され、ルツボ支持軸22の下端に取り付けられた不図示のルツボ軸駆動機構によって、上下動及び回転動自在とされているものである。
一方、育成炉12の下部には、半導体単結晶育成時に原料融液Mからの蒸発物を育成炉12の外部に排出しながら半導体単結晶Sの育成を行う必要があることから、育成炉12内部に還流するアルゴン(Ar)ガス等の不活性ガスを排気するための排ガス管24と、育成炉12の内部に配設されている加熱ヒータ16に電力を与えるための金属電極26が電極絶縁部材28を介して備え付けられている。
金属電極26はこの電極絶縁部材28により絶縁され、育成炉12には電流が漏電することの無いよう配慮されている。金属電極26は、育成炉12の外部に置かれた不図示の電力供給装置より電力の供給を受け、育成炉内の加熱ヒータ16に電力を伝える役目を果たしている。
なお、金属電極26には、育成炉12内の高温雰囲気から金属電極26を保護するために電極保護部材30が取り付けられており、電極保護部材30によって発熱源である加熱ヒータ16から金属電極26を少しでも離間させ、黒鉛よりも融点の低い金属が過熱溶損しないようにしている。
更に、本発明の半導体単結晶育成装置10では、電極保護部材30の上部には加熱ヒータ16を育成炉12内部で立設し電流を供給するための経路を構成するヒータ支持部材32が設けられている。該ヒータ支持部材32は該加熱ヒータ16の下端に設けられたヒータ電極34を介して該加熱ヒータ16に接続されている。
本発明の半導体単結晶製造装置10では、電極保護部材30、ヒータ支持部材32及びヒータ電極34を加熱ヒータ16に電力を供給する電流経路部材36として構成した。
加熱ヒータ16の発熱部の電気抵抗値は、電流経路部材36の電気抵抗値の9倍以上である。また、電流経路部材36の電気抵抗率は、加熱ヒータ16の発熱部の電気抵抗率よりも低く、好ましくは1/10以下に設定される。さらに、電流経路部材36を流れる電流の電流密度は、加熱ヒータ16の発熱部に流れる電流密度よりも小さく、例えば1/2以下となるようにするのが好適である。
加熱ヒータ16の材料としては黒鉛材を使用するのが好ましく、電流経路部材36の一部又は全部を構成する材料の主成分としては、ルツボに収容された原料融液よりも融点が高く、かつモリブデン、タングステン、タンタル及びニオブからなる群から選択された1種又は2種以上からなる金属あるいは合金を用いるのが好適である。
また、育成炉12内部の底壁部分12bには育成炉下部を保温し、高温の輻射熱から炉壁を保護するために、下部断熱材38が配置されているものである。
そして、育成炉12の上部には原料融液Mより引上げられた半導体単結晶Sを収容するための上部育成炉40があり、上部育成炉40の上端には半導体単結晶Sを引上げるために、引上げワイヤー42を巻出しあるいは巻取る不図示のワイヤー巻取り機構が備えられている。
このワイヤー巻取り機構から巻出された引上げワイヤー42の先端部には、種結晶44を保持するための種ホルダー46があり、この種ボルダー46に種結晶44を係止して種結晶下方に半導体単結晶を育成するものである。
また、上部育成炉40には育成炉12内に不活性ガスを導入するためのガス導入管48が備えられており、半導体単結晶の育成条件に併せてガス流量制御装置50により、所望量の不活性ガスが育成炉12に導入可能とされている。
次に、本発明の半導体単結晶製造装置10による、シリコン半導体単結晶の育成方法を説明する。
半導体単結晶製造装置10の育成炉12内部に設置された石英製ルツボ14aに多結晶シリコン塊を仕込み、育成炉12内部を不活性ガスで満たし後に、石英ルツボ14a及び黒鉛ルツボ14bの周囲に置かれた加熱ヒータ16に金属電極26並びに電流経路部材36を通して電力供給装置から電力を供給し、シリコンの融点である1420℃以上に多結晶シリコン原料を加熱することによって原料融液Mとする。
石英ルツボ14a内の全ての多結晶シリコンが原料融液Mとなったところで、融液温度を半導体単結晶の成長に適した温度の安定させ、引上げワイヤー42を巻出して種結晶44の先端部を原料融液Mの表面に浸漬接融させ、その後、石英ルツボ14a及び黒鉛ルツボ14bと種結晶44をそれぞれ反対方向に回転させながら引上げワイヤー42を徐々に巻取ることによって、種結晶44の下方に半導体単結晶Sを成長させて行く。
そして、半導体単結晶Sの育成を行っている間は、原料融液Mが固化することのないよう常に加熱ヒータ16には電力を供給し、育成炉12内の雰囲気温度を半導体単結晶の育成に適した温度に保持しているものである。
また、図2は本発明の半導体単結晶製造装置10における黒鉛製加熱ヒータ16の概略図を示す。加熱ヒータ16は円筒状であり、下方には加熱ヒータ16を固定し立設するための、ヒータ電極34が取り付けられている。このヒータ電極34はネジ込み式で加熱ヒータ16に係合されており、破損や劣化による部品交換が速やかに行えるようになっている。
そして、加熱ヒータ16に電流が流されると、加熱ヒータ16のヒータ発熱部16aで発熱が起こり、半導体単結晶製造装置10の石英ルツボ14aに収容された多結晶原料が加熱され原料融液Mとなるものである。
この時、ヒータ電極34から供給された電流(I)は、図2(a)に図示するように加熱ヒータ16の円筒形状の形に添って2方向(I/2)に分かれて、図2(b)のヒータ発熱部16aに沿って蛇行するように流れて、対峙するように配置された反対側のヒータ電極34に達しヒータ電極34から育成炉12内の電流経路部材を経て電源へと戻される。
実施例
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(実施例1及び比較例1)
図1に示す装置を用いて、原料融液を加熱するために必要とする電力を削減するには、どのような製造装置が望ましいかを確認するために、電気抵抗率が通常の加熱ヒータよりも25%高い素材で形成した高抵抗加熱ヒータを用いて、シリコン半導体単結晶の製造を行った。
この時、原料を加熱するのに用いた加熱ヒータの電気抵抗は10mΩのもので、通常の加熱ヒータ16よりも2mΩ程抵抗値が高いものであった。また、加熱ヒータ16に電力を供給する電流経路部材36であるヒータ電極34、ヒータ支持部材32、電極保護部材30は、等方性の高純度黒鉛材から作られたものを使用した。
次に、半導体単結晶の育成では、半導体単結晶の製造装置10内に直径が60cmの石英製ルツボ14aを入れ、このルツボに100kgの多結晶シリコン塊を仕込み加熱ヒータを発熱させて融解した後に、加熱ヒータ16に加わる電力が100kWとなるように印加電流をコントロールして直径200mmの半導体単結晶Sを育成した。
そして、半導体単結晶Sの育成時に電流経路部材36であるヒータ電極34、ヒータ支持部材32の2つの部材で消費され電力を計測したところ、表1に示す結果が得られた。
Figure 2002027076
表1には、通常使用している電気抵抗値の低い加熱ヒータ(通常抵抗の加熱ヒータ)による半導体単結晶製造時の結果(比較例1)を、抵抗高めの加熱ヒータを用いて半導体単結晶を育成した時の試験結果(実施例1)と併記した。実施例1ではヒータ発熱部の抵抗値は電流経路部材の抵抗値の9.5倍であり、比較例1ではヒータ発熱部の抵抗値は電流経路部材の抵抗値の7.6倍であった。
なお、通常抵抗の加熱ヒータを用いた半導体単結晶の製造においても、加熱ヒータの電気抵抗値を除き製造装置並びに製造条件は、抵抗高めの加熱ヒータを用いた半導体単結晶の育成時と同様の条件を用いて単結晶育成を行ったデータを記したものである。
この結果、半導体単結晶育成時に加熱ヒータ16で消費された電力は、いずれの加熱ヒータ16でも同じ100kWであるが、電流経路部材36であるヒータ電極34、ヒータ支持部材32で消費された電力は、抵抗高めの加熱ヒータを使用したものの方が2.6kW、約2%程低くなることがわかった。
これは、電気抵抗値の高い加熱ヒータを用いた半導体単結晶の育成装置では、通常抵抗の加熱ヒータと同じ発熱エネルギーを得るのに通電した電流が少なく済み、結果として加熱ヒータ以外のヒータ電極やヒータ支持部材等の電流経路部材で消費される電力が減り、半導体単結晶製造装置全体で消費される電力が少なくなったものである。
従って、単結晶育成時に半導体単結晶製造装置10で使用される電力を減らすには、加熱ヒータ16の電気抵抗を大きくすると同時に、加熱ヒータ16以外の電流経路部材の電気抵抗を小さくすれば消費電力を小さくできることがわかる。
しかし、加熱ヒータ16は半導体単結晶の育成環境を大きく左右する炉内構造物であり、材質や形状を大きく変更することは結晶の成長条件や品質に大きな影響を与えるので好ましいものではない。
そこで、更に半導体単結晶製造装置10内での消費電力を少なくするため、加熱ヒータ16に電流を伝送する電流経路部材36であるヒータ電極34、ヒータ支持部材32並びに電極保護部材30の材質や形状を変えることにより消費電力を減らす方法を検討した。
(実施例2)
電気抵抗値が小さくシリコンの融点よりも高い温度に耐えられる素材を検討したところ、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ等があり、これらの金属はシリコンよりも十分に融点が高く、また半導体単結晶の育成雰囲気でもある1500℃の高温での電気抵抗率も100μΩcm以下で、加熱ヒータの素材である黒鉛材よりも1/10程度以下と低い値であり、半導体単結晶製造装置内に用いる電流経路部材の材料として適していることが確認できた。
これら、モリブデン、タングステン、タンタル等の高融点金属と、加熱ヒータ用黒鉛材2種の各温度での電気抵抗率を表2に示す。
Figure 2002027076
上記の高融点金属の中で、モリブデンを用いヒータ電極34とヒータ支持部材32を作製した。このモリブデンを材料としたヒータ電極34とヒータ支持部材32を図1の半導体単結晶製造装置10に用い、シリコン半導体単結晶の製造を行った。この時のヒータ電極34とヒータ支持部材32間の電気抵抗値は0.07mΩである。また、電極保護部材は黒鉛製のままとし、加熱ヒータには電気抵抗値が10mΩのものを使用した。本実施例ではヒータ発熱部の抵抗値は電流経路部材の抵抗値の142.9倍である。
この製造装置10により、育成炉の内部に直径が60cmの石英製ルツボ14aを入れ、ルツボに100kgの多結晶シリコン塊を仕込み加熱ヒータを発熱させて融解し原料融液Mとした後に、加熱ヒータ16に加わる電力が100kWとなるように印加電流をコントロールして直径200mmの半導体単結晶を育成した。この結果を、表3に示す。
Figure 2002027076
(実施例3)
次に、図1の半導体単結晶製造装置10において、育成炉下方の空間には比較的余裕があることから電極保護部材30は黒鉛製とし、直径Dを従来のものに比べ1.4倍とし断面積を2倍にした電極保護部材30を用いて半導体単結晶の製造を行った。この時の電極保護部材30の電気抵抗値は0.25mΩを示し、加熱ヒータ16の発熱部を流れる電流に対し1/2倍の電流密度であった。
そして、この電極保護部材30を用いた製造装置10による半導体単結晶の育成は、実施例2と同じように100kgの原料融液Mを満たした直径60cmの石英製ルツボ14aから直径200mmの半導体単結晶を育成したものであり、単結晶育成時の操業条件等も実施例2と略同じ条件にて成長作業を行った。この結果を、表4に示した。
Figure 2002027076
(比較例2)
従来から使用されている黒鉛製の電極保護部材30であり、電極保護部材30の直径がDのものを使用して、図1に示す半導体単結晶の製造装置10にて半導体単結晶の製造を行った。この時、電流が印加されることによる電極保護部材30での過剰な発熱を抑えるため、電極保護部材30に流れる電流の電流密度と加熱ヒータ16の発熱部16aに流れる電流密度を同じ値としている。また、半導体単結晶の育成は、実施例2と同様の操業条件下で直径200mmの半導体単結晶を育成した。この結果も併せて表4に示した。尚、比較例2においてはヒータ発熱部の抵抗値は電流経路部材の抵抗値の9倍未満とした。
実施例3及び比較例2の結果から、電極保護部材30の直径を実施例3では2Dとしたことにより、電極保護部材の電気抵抗値が下がり0.25mΩと比較例の従来の電極保護部材に比べ抵抗値が1/2となった。
これにより電流経路部材36である電極保護部材30で消費される電力が減り、比較例3に対し2.5kWの電力削減効果が得られた。この実施例3で使用した電極保護部材30においては、部材直径を1.4倍とし断面積を2倍としたことにより、比較例3の電極保護部材30に比べ電流密度が1/2倍の33.3A/cmとなり電力の消費を抑える可能となってものと考えられる。
加熱ヒータ16と加熱ヒータ16に電流を供給する電流経路部材36の材質が同じである場合は、加熱ヒータ16の発熱部16aを流れる電流の電流密度の1/2以下に電流経路部材36を流れる電流の密度を保てば、効率よく不要な電力の消費を抑えることができるものである。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。上記の実施の形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の効果を奏するものはいかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含されることは勿論である。
例えば、本発明の半導体単結晶製造装置や半導体単結晶の製造方法を、原料融液に磁場を印加することなく原料融液から単結晶を引上げるCZ法を例に挙げて説明したが、半導体単結晶製造装置の育成炉の外側に磁石を配置して原料融液に磁場を印加しながら半導体単結晶を育成するMCZ法を用いた半導体単結晶製造装置や半導体単結晶の育成方法においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
そして、本発明をシリコン以外の半導体単結晶の製造に利用可能なことは当然であり、CZ法を用いた例えばGaAs等の化合物半導体単結晶の育成に適用した場合でも、その効果を十分に発揮することができる。
産業上の利用可能性
以上に述べたごとく、CZ法により半導体単結晶を育成する半導体単結晶製造装置において本発明の半導体単結晶製造装置とすれば、製造装置の育成炉内部に配置された加熱ヒータと育成炉底部に設けられた金属電極を接続するための電流経路を形成する電流経路部材での無駄な電力の消費を軽減し、半導体単結晶製造でのエネルギーのロスを抑制することが可能となる。
また、発熱を必要としない電流経路部材で発熱が少なくなることで、電流経路部材自体やその周辺の育成炉内部を構成する黒鉛部材等の炉内構造物の劣化や損傷が抑制防止されるため、劣化や損傷部材の交換頻度の低下と信頼性の向上を図ることができる。
これによって、半導体単結晶製造装置の信頼性及び耐久性を向上させることができると伴に、加熱ヒータの発熱に必要な電力と、育成炉内部を構成する部材の交換頻度を少なくすることができることで、半導体単結晶の製造コストの低減も達成可能となる。
特に、本発明の半導体単結晶の製造装置は、育成炉内部に置かれた加熱ヒータと育成炉底部の金属電極との距離が長い、例えば直径が200mmを超えるようなシリコン半導体単結晶等を育成する大型のCZ法を用いた半導体単結晶製造装置においてより優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の半導体単結晶製造装置の一つの実施の形態を示す概略断面図である。
図2は、本発明の半導体単結晶製造装置における加熱ヒータの摘時概略説面図で、(a)は上面概略説面、(b)は側面概略説面図である。

Claims (9)

  1. 製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容した原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該加熱ヒータの発熱部の電気抵抗値が、該電流経路を構成する電流経路部材の電気抵抗値の9倍以上であることを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  2. 製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容した原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該電流経路を構成する電流経路部材の電気抵抗率が、該加熱ヒータの発熱部の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  3. 請求項2に記載の半導体単結晶の製造装置であって、1500℃の高温下において、前記電流経路部材の電気抵抗率が、前記加熱ヒータの発熱部の電気抵抗率の1/10以下であることを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体単結晶の製造装置であって、前記加熱ヒータの材料として黒鉛材を使用し、前記電流経路部材の一部又は全部を構成する材料の主成分として、ルツボに収容された原料融液よりも融点が高く、かつモリブデン、タングステン、タンタル及びニオブからなる群から選択された1種又は2種以上からなる金属あるいは合金を用いることを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の半導体単結晶の製造装置であって、前記電流経路部材を流れる電流の電流密度が、前記加熱ヒータの発熱部に流れる電流密度よりも小さくなるようにしたことを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  6. 製造装置育成炉の内部にあるルツボに原料融液を収容し、該原料融液表面に種結晶を接融させた後に引上げることによって種結晶の下方に単結晶を育成するチョクラルスキー法により単結晶を製造する半導体単結晶の製造装置において、前記ルツボに収容された原料を加熱溶融するため該ルツボの周囲に加熱ヒータを配置し、該加熱ヒータの発熱部に電力を供給するための電流経路を前記製造装置育成炉の内部に設け、該電流経路を構成する電流経路部材を流れる電流の電流密度が、該加熱ヒータの発熱部を流れる電流の電流密度よりも小さくなるようにしたことを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の半導体単結晶の製造装置であって、前記電流経路部材を流れる電流の電流密度が、前記加熱ヒータの発熱部に流れる電流の電流密度の1/2以下となるようにしたことを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体単結晶の製造装置であって、該製造装置の育成炉内部にあるルツボに収容した、前記原料融液を加熱溶融するための加熱ヒータの電気抵抗値を、10mΩ以上としたことを特徴とする半導体単結晶の製造装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載した半導体単結晶の製造装置を用い、該製造装置の育成炉内部にあるルツボに収容した前記原料融液からチョクラルスキー法により半導体単結晶を引上げて製造することを特徴とする半導体単結晶の製造方法。
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