JPWO2001079482A1 - 遺伝子マッピング法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はマイクロサテライトマーカーを用いる遺伝子のマッピング方法に関する。
背景技術
疾患原因遺伝子のマッピングを行う場合、一般に患者と健常人の2つのグループに分け、特定の対立遺伝子の頻度に差異があるかどうかを調べる。特定の対立遺伝子頻度に差異がない場合は、原因遺伝子はその対立遺伝子の近くには存在していないと考えられ、特定の対立遺伝子頻度に差異がある場合は、原因遺伝子はその対立遺伝子の近くに存在していると考えられる。
ゲノムマッピングを行う際の遺伝多型マーカーとしては、single nucleotide polymorphisms(SNPs;単一ヌクレオチド多型)とマイクロサテライトの遺伝多型マーカーが知られている。SNPsはゲノム上の一塩基置換であり、対立遺伝子数は一般に2個のみである。SNPsは、疾患原因遺伝子から5kb以内〜10kb以内に存在する一部のSNPsしか相関を示さないと言われている。その為、SNPsをマーカーとしてゲノムマッピングを行う場合には、膨大な数のSNPsをマーカーとして設定する必要があり、多大な労力を費やす必要がある。マイクロサテライトの遺伝多型マーカーは対立遺伝子数が多く、疾患原因遺伝子からある程度離れた位置にあっても相関を示すという特徴がある。しかしながら、マイクロサテライトをマーカーとして設定する場合、マーカーの数が多すぎると多大な労力を費やす必要があり、又、数が少なすぎると相関が検出されず、原因遺伝子を見落とす可能性がある。このように、マイクロサテライトマーカーを用いた効率的な遺伝子マッピング法は確立されていない。
発明の開示
本発明はマイクロサテライトマーカーを利用して効率的に遺伝子のマッピングを行うための方法を提供する。
マイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いた効率的な遺伝子マッピング方法を確立するため、本発明者は、尋常性乾癬を例にヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座の領域のマイクロサテライトマーカーを用いた疾患原因遺伝子の探索を行った。
尋常性乾癬(psoriasis vulgaris;MIM 177900)は、炎症性細胞浸潤と表皮細胞の過剰増殖とを特徴とする頻度の高い皮膚疾患である。白人人口の2%近くが本症に罹患するが、本症に家族性発症の性質があることは以前から知られている。しかし、日本人での発生率はこれよりも低く(0.1%)、尋常性乾癬の症例の大部分は散発性である。以上の事実は、尋常性乾癬が多因子疾患であり、特定の遺伝的背景をもつ個人に何らかの環境因子が加わることによって誘発されることを明確に示している。事実、ゲノム全体に及ぶ連鎖研究により、染色体6p21.3[ヒト白血球抗原(HLA)]、17q25、および4q、ならびに他の数多くの部位で感受性遺伝子座がいくつか同定されている(Tomfohrde,J.et al.(1994)Science,20,1141−1145;Matthews,D.et al.(1996)Nature Genet.,14,231−233;Nair,R.P.et al.(1997)Hum.Mol.Genet.,6,1349−1356;Trembath,R.C.et al.(1997)Hum.Mol.Genet.,6,813−820)。
中でも、HLA遺伝子座は本症の素因となる主要な遺伝因子の一つであると考えられている。尋常性乾癬はHLA−B13、−B17、−B39、−B57、−Cw6、および−Cw7といった血清学的に定義されたいくつかのHLAクラスI抗原と相関することがよく知られている。このことは白色人種および日本人を含む世界中の多くの集団で確認されている(Brenner,W.et al.(1978)Arch.Dermatol.Res.,28,337−339;Tiilikainen,A.et al.(1980)Br.J.Dermatol.,102,179−184;Ozawa,A.et al.(1981)J.Am.Acad.Dermatol.,4,205−230;Cao,K.et al.(1993)Chin.Med.J.,106,132−135;Schmitt−Egenolf,M.et al.(1996)J.Invest.Dermatol.,106,711−714)。以上のアレルのうち、最も一貫して著明な相関が認められるものがHLA−Cw6である。しかし、この相関は、HLA−B27と強直性脊椎炎(MIM 106300)との相関(この場合にはこのアレルを100%に匹敵する患者が有するため真の原因である可能性が高い)ほど強くはない(Moller,E.and Olhagen,B.(1975)TissueAntigens,6,237−246)。実際には、HLA−Cw6アレルを有する尋常性乾癬患者はわずか10%(日本人)から45%(白色人種)に過ぎない(Tiilikainen,A.et al.(1980)Br.J.Dermatol.,102,179−184;Asahina,A.et al.(1991)J.Invest.Dermatol.,97,254−258)。このため、HLA−C遺伝子自体が尋常性乾癬の原因となる主要な遺伝子座ではなく、付近に位置する他の遺伝子(群)に真の病原性変異/アレルが存在してHLA−Cw6と強い連鎖不平衡を示すという可能性も明らかに考えられる。この点に関しては、HLA−C遺伝子の周囲に位置する高分解能遺伝マーカーを用いて、感受性遺伝子座と推定されるこの部分の詳細なマッピングを行うことが明らかに必要である。
本発明者らは最近、MICB(主要組織適合遺伝子複合体クラスI鎖関連遺伝子B)からHLA−Fまでの1.8MbのHLAクラスI領域全体の配列解析を完了し、40種を上回る新たな遺伝子をこの区域内で同定した(Mizuki,N.et al.(1997)Genomics,42,55−66;Shiina,T.et al.(1998)Genomics,47,372−382;Shiina,T.et al.(1999)Immunol.Rev.,167,193−199)。そこで、本発明者は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と連鎖した「乾癬遺伝子」と推定される遺伝子の日本人の尋常性乾癬患者における高分解能マッピングを行うために、この断片に対象を絞って、HLA−C遺伝子座周囲の1060kb区域の全体にわたって一定間隔で存在する合計11種の多型性に富む新規マイクロサテライトマーカーを選択し、その相関分析を行った。これは、96.7kbに1個の密度でマーカーを配置したと見積られるものである。
これらのマイクロサテライトマーカーを用いて、各マイクロサテライト座でのアレル頻度の分布およびハーディ−ワインベルグ平衡からの偏差に関する統計解析を行った。その結果、尋常性乾癬に関する病原性遺伝子がHLA−C遺伝子のテロメア側89〜200kbにわたる111kbの狭い区間内に位置することを特定するに至った。ケラチノサイトmRNAを用いたRT−PCR解析によれば、尋常性乾癬に関して規定されたこの重要な領域内には、これまでにPOU5F1(OTF3;オクタマー転写因子3)(Takeda,J.et al.(1991)Nucleic Acids Res.,20,4613−4620;Krishnan,B.R.et al.(1995)Genomics,30,53−58)、TCF19(SC1;細胞増殖調節性遺伝子)(Krishnan,B.R.et al.(1995)Genomics,30,53−58;Ku,D.H.et al.(1991)Cell Growth Differ.,2,179−186)およびS(コルネオデスモシン遺伝子)(Zhou,Y.and Chaplin,D.D.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,9470−9474;Ishihara,M.et al.(1996)Tissue Antigens,48,182−186;Tazi Ahnini,R.et al.(1999)Hum.Mol.Genet.,8,1135−1140;Allen,M.H.et al.(1999)Lancet,353,1599−1590)という既知の3つの遺伝子に加えて、HLAクラスI領域全体のゲノムシークエンシングを通じて同定された4つの新たな発現型遺伝子、すなわちHCR(helix coiled−coil rod homologue)、SPR1(skin specific proline rich gene1)、SEEK1(specific expressed gene in epidermal keratinocytes 1)、およびSTG(skin specific telomeric gene)(AB029331、AB031480、AB031479、およびAB031481)を含む。これにより、尋常性乾癬に対する感受性に関与する7つの遺伝子が特定される。
中でもS遺伝子は、分化中の表皮ケラチノサイトで発現される52〜56kDa蛋白質であるコルネオデスモシンをコードすることから、明らかに尋常性乾癬に関与する候補である。また、尋常性乾癬に関する111kbの重要な領域に位置する4つの新規遺伝子のうち1つは、ケラチノサイトをはじめとして検討した組織の大部分で発現しており、αヘリックス性コイルドコイルロッドドメインを有するプレクチン様蛋白質をコードする。プレクチンは細胞骨格の架橋成分として働くことによって細胞および組織に機械的強度を与えるとの仮説が提唱されている(Liu,C.G.et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,30,4278−4283)。さらに、プレクチン遺伝子が単純型先天性表皮水疱症の発生の原因となることは特に興味深い(Pulkkinen,L.et al.(1996)Hum.Mol.Genet.,5,1539−1546)。これ以外の3つの新規遺伝子はDNAデータベース中の既知の遺伝子のいずれとも相同性がなかったが、そのすべてがケラチノサイトおよび皮膚組織で特異的に発現されることは注目に値する。このため、S遺伝子に加えて、以上の4つの新規遺伝子も、発現パターンおよび/または予想される機能の点からみて尋常性乾癬の特に有力な候補遺伝子である。このように、本発明者は、マイクロサテライトの遺伝多型マーカーを約100kbに1個の割合で実質的に設定することにより、遺伝子のマッピングを効率よく行うことが可能であることを実証するに至った。本発明の方法は、疾患原因遺伝子のマッピングのみならず、全ての遺伝要因を持つ表現型に対しても適用することが可能である。
本発明は、約100kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子のマッピング方法に関し、より具体的には、
(1)平均で50kb〜150kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法、
(2)平均で80kb〜120kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法、
(3)平均で90kb〜110kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法、
(4)遺伝子が疾患原因遺伝子である、(1)〜(3)のいずれかに記載のマッピング方法、
(5)マイクロサテライトの遺伝多型マーカーが、対立遺伝子数の平均が5個以上であり、かつヘテロ接合度の平均が60%以上であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のマッピング方法、
(6)マッピング領域がHLA領域である、(1)〜(5)のいずれかに記載のマッピング方法、
(7)対照健常者と無作為に選んだ疾患患者の多型マーカーの頻度を比較することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のマッピング方法、
(8)マイクロサテライトの遺伝多型マーカーの解析をDNAチップと質量分析法とを用いて行うことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のマッピング方法、
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載のマッピング方法により絞り込まれた領域のSNPを解析することにより、標的遺伝子を特定する方法、
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の方法により特定された遺伝子、
(11)(10)に記載の遺伝子がコードする蛋白質、
(12)(11)に記載の蛋白質に対する抗体、
(13)(10)に記載の遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、を提供するものである。
本発明の方法により単離される遺伝子、該遺伝子がコードする蛋白質、該蛋白質に対する抗体、および/または該遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、遺伝子検査や遺伝子治療などに利用され得る。また本発明の方法により単離される疾患原因遺伝子、該遺伝子がコードする蛋白質、該蛋白質に対する抗体、および/または該遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、該疾患の検査、予防、および/または治療のために用いることができる。
本発明における遺伝子のマッピング方法は、約100kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする。マッピングの対象となる標的遺伝子としては特に制限はない。例えば、遺伝因子が関与する疾患および遺伝因子が関与することが疑われる疾患の原因遺伝子などは、本発明のマッピングの対象となる標的遺伝子である。遺伝因子が関与する疾患には、単一の遺伝子の異常により発症する単一遺伝子疾患(monogenic diseases)、および複数の遺伝因子の相加的効果および/または環境因子によって発症する多遺伝子性疾患(polygenic diseases)が含まれる。多遺伝子性疾患は、いわゆる「ありふれた病気(common diseases)」に代表され、例えば糖尿病、高血圧、慢性関節リウマチ、痛風、高脂血症、動脈硬化、精神分裂病、癌、心疾患、脳梗塞、無精子病などが挙げられ、大部分の生活習慣病が含まれる。また、自閉症、躁鬱病、てんかんなども本発明の疾患原因遺伝子のマッピングの対象となる。本発明において疾患原因遺伝子には、その遺伝子が単独で該疾患の原因となっているもののみならず、複数の遺伝子や環境要因などと共に該疾患の発症や進展に関与している遺伝子が含まれる。また、本発明において疾患原因遺伝子には、ある疾患に対する治療において薬剤感受性を規定している遺伝子も含まれる。本発明は、疾患の原因遺伝子(群)の特定とその分子機構の解明に利用できる他、該疾患の診断、創薬、予防法の開発への応用も期待される。
また、本発明の遺伝子マッピング方法は、疾患原因遺伝子のマッピングに限定されず、全ての遺伝要因を持つヒト表現型(例えば身長、体重、美肌、肌色、髪色、知能、記憶、性格等)に関与する原因遺伝子のマッピングにも適用することができる、従って、検出可能な表現型を示す遺伝子は、本発明における標的遺伝子となる。また、本発明の遺伝子マッピング方法は、ヒトだけに限定されず、哺乳類、鳥類等を含む全ての動物に適用することができる。
本発明のマッピングにおいては、マイクロサテライトの遺伝多型マーカーが利用される。ここで遺伝多型とは、特定の遺伝子座の対立遺伝子の種類が2種類以上存在し、その頻度が1%以上であることを指す。また遺伝子座とはゲノム上のいずれかの領域であればよく、発現される遺伝子領域に限定されない。また、マイクロサテライトとは、2塩基から6塩基が繰り返した配列を言う。ゲノム内には、マイクロサテライトが2〜3kbに1個の頻度で存在していることが知られている。それぞれのマイクロサテライトの繰り返しの回数は個人間で異なる場合がある。この繰り返し数のばらつきが、STR(Short Tandem Repeat:短塩基縦列繰り返し配列)と呼ばれる多型を形成している。マイクロサテライトの多型は、一般にこの繰り返し数により決定される。このようなマイクロサテライトの代表例はCAリピートである(Dib,C.et al.,1996,Nature 380:152−154)。
例えば本発明者らによるヒトHLA領域のマイクロサテライトの解析によれば、2塩基繰り返しのマイクロサテライトは約8.9kbに1つ、3塩基繰り返しのマイクロサテライトは約12.9kbに1つ、4塩基繰り返しのマイクロサテライトは約6.6kbに1つ、5塩基繰り返しのマイクロサテライトは約12.6kbに1つ、これらのマイクロサテライトを併せると、約2.4kbに1つの割合で見出された(Shiina,T.et al.,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:13282−13287)。本発明においては、これらのマイクロサテライトから適宜選択して、遺伝多型マーカーとして利用することができる。これらのマイクロサテライトの中から、検索しようとするゲノム領域においてマイクロサテライトマーカーを約100kbに1個の割合で実質的に設定する。約100kbに1個の割合でマイクロサテライトマーカーを設定することにより、これらのマーカーのうち、標的遺伝子から100kb〜200kb以内に位置するマイクロサテライトが連鎖不平衡を示し、マッピングにより疾患などの表現型との相関が検出され、標的遺伝子の領域を特定することが可能となる。つまり、原因遺伝子から100kb〜200kb以内に位置するマイクロサテライトの多型が連鎖不平衡を示すため、原因遺伝子を見落とすことなく確実に相関を検出し、且つ費やす労力を最小に抑える最も効果的な原因遺伝子マッピングを行うには、約100kbに1個の割合で設定されたマイクロサテライトの多型マーカーを用いればよい。
本発明において「約100kbに1個」の割合とは、通常、平均で50kb〜150kbに1個の割合、好ましくは平均で80kb〜120kbに1個の割合、さらに好ましくは平均で90kb〜110kbに1個の割合である。
本発明において「約100kbに1個の割合で実質的に設定された」とは、マーカーを設定した領域全体で、約100kbに1個の割合で設定されている場合だけでなく、部分的に約100kbに1個の割合で設定されている場合も含む。例えば、ある領域で約100kbに1個の割合でマーカーを設定し、別の領域で異なる頻度でマーカーを設定し、全体として「約100kbに1個」の割合に当てはまらなくなる場合でも、ある領域で約100kbに1個の割合でマーカーを設定してある限り、本発明の「約100kbに1個の割合で実質的に設定された」に該当する。割合を算出する際のマーカー数は、マーカーが3個以上設定されていれば算出可能であるが、好ましくは5個以上、さらに好ましくは7個以上、さらに好ましくは10個以上で算定する。また、例えば、マーカーをまず200kbおきに設定して解析を行い、次に同じ領域において異なるマーカーを200kbおきに設定して解析を行った場合、各解析においてはマーカーの頻度は200kbに1個であるが、実質的に、100kbに1個の割合で設定した場合と同じであり、本発明の「約100kbに1個の割合で実質的に設定された」に該当する。このように本発明の「約100kbに1個の割合で実質的に設定された」には、各段階ではマーカーを約100kbに1個の割合で設定されていなくても、中間的にあるいは最終的に約100kbに1個の割合で設定された場合が含まれる。
マッピングに用いられるマイクロサテライトの遺伝多型マーカーは、解析における情報量が高いものが好ましい。例えば、対立遺伝子数(アレル数)が多いほど、またヘテロ接合度(heterozygosity)が高いほど、解析における情報量は高くなる。
「対立遺伝子数」とは、ある遺伝子の対立遺伝子(ある遺伝子座の塩基配列が異なるゲノム配列を互いに「対立遺伝子」の関係にあると言う。遺伝子型に相当する。)の数である。「対立遺伝子数の平均」は、本発明のマッピング方法で用いるマイクロサテライト全てについての対立遺伝子数の平均である。1〜n番目のマイクロサテライトの対立遺伝子数を、それぞれm1〜mnとすると、1〜n番目までのn個のマイクロサテライトについての対立遺伝子数の平均は次式で表される:
対立遺伝子数の平均:(m1+m2+m3+・・・+mn)/n
また、「ヘテロ接合性」とは、ヒトのような2倍体の生物において、2本の染色体が遺伝子の対立遺伝子が異なる状態を言い、「ヘテロ接合度」はヘテロ接合性の度合いを表す。x番目のマイクロサテライトの対立遺伝子数がmxであり、各対立遺伝子の頻度をそれぞれFm1〜Fmxとするとき、そのマイクロサテライトの「ヘテロ接合度(hx)」は:
hx=1−(Fm1 2+Fm2 2+Fm3 2+・・・+Fmx 2)
そこで、n個のマイクロサテライトの「ヘテロ接合度の平均」は、次式で表される:
ヘテロ接合度の平均:(h1+h2+h3+・・・+hn)/n
対立遺伝子数の平均が5個以上、好ましくは8個以上であり、かつヘテロ接合度の平均が60%以上、好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である遺伝多型マーカーを用いることで、より効率的なマッピングが可能になる。
本発明の遺伝子のマッピングにおいては、通常、対照健常者と無作為に選んだ疾患患者のマイクロサテライトの多型マーカーの頻度を比較することにより行う。すなわち、対照健常者のマイクロサテライトの各対立遺伝子の頻度と、無作為に選んだ疾患患者のマイクロサテライトの各対立遺伝子の頻度を、相関解析で比較する。ここでいう「無作為に選ぶ」とは、患者同士が血縁関係(兄弟または親子)であることを条件としないことをいう。好ましくは、患者間に血縁関係(兄弟または親子)がない患者集団である。もしマイクロサテライトが疾患原因遺伝子から100〜200kb以内であれば、健常者と疾患患者との間で、そのマイクロサテライトの各対立遺伝子の頻度が統計的に異なる。相関解析は、公知の方法に従って行うことができる(西村泰治:多型の統計学的利用法、最新医学46:909−923,1991;Oka,A.et al.,Hum.Mol.Genetics 8:2165−2170(1999);Ota,M.et al.,Am.J.Hum.Genet.64:1406−1410(1999);Ozawa,A.et al.,Tissue Antigens 53:263−268(1999))。また、疾患に限らず任意の遺伝要因を持つ表現型に対しても、例えば目的とする表現型を持つ個体と対照個体を無作為に選び、その間のマイクロサテライトの多型マーカーの頻度を比較することにより、その表現型に関与する原因遺伝子のマッピングを行うことができる。
マイクロサテライト多型の検出は、例えばマイクロサテライトを挟みこむように設計したプライマー対によりマイクロサテライト部分をPCRで増幅し、DNAシークエンサーなどの分解能が高いゲルで電気泳動を行い、増幅断片の長さを測定することにより行うことができる。より簡便には、DNAチップと質量分析法を用いて行うことも可能である。すなわち、チップ上に例えば1000個以上のマイクロサテライトをスポットし、レーザー光を照射してイオン化させ、真空管を飛行する距離を指標にして分子量を測定することにより、マイクロサテライトの繰り返し数、すなわち多型を容易に、かつ短時間に測定することが可能である(Braun,A.et al.,Genomics 46:18−23(1997))。具体的には、例えばDNA MassArrayTM(MSチップ)(Sequenom Co.LTD,Sandiego,CA,USA;PE Biosystems Co.LTD,Foster City,CA,USA)を利用することができる。
本発明のマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いるマッピングにより標的遺伝子の位置が絞り込まれたら、これを別のマッピングによりさらに標的遺伝子を絞り込んだり、特定したりすることができる。このためには、例えばSNPを用いる解析が有効である。SNPはゲノム上で300〜500塩基対に1つの割合で存在し、マイクロサテライトマーカーの出現頻度の数百倍にまで迫る高い出現頻度を示すため、本発明のマッピング方法に続いてSNP解析を適用することで、標的遺伝子の特定に強力な力を発揮すると考えられる。具体的には、マイクロサテライトマーカーで解析を行った後、標的遺伝子が存在すると思われる領域のSNPの多型頻度を、例えば相関解析などにより患者集団と健常者集団等で比較し、ハプロタイプ解析により検出された連鎖不平衡にあるSNPマーカーを連鎖不平衡解析を通して検出する。
世界的に進行しようとしているSNP解析によるヒトゲノム多様性プロジェクトは、SNP(single nucleotide polymorphism:単一ヌクレオチド多型;遺伝子内の一塩基置換、欠失、挿入による差異にもとづく多型)をゲノムワイドに30万個ほど収集し、これを遺伝多型マーカーとして疾患の原因遺伝子などをマッピングしようとする試みである。その背景には、いわゆる生活習慣病をはじめとする多因子性疾患は、SNP多型によることが考えられたためである。しかしながら、SNPは一般的には、対立遺伝子の数が2個のみであることから、マッピングのパワーが低い(Kruglyak,L.,Nature Genetics 17:21−24,1999)。実際、本発明者の解析により、対立遺伝子の数が5個以上のマイクロサテライトは、標的遺伝子から約200kb以内に位置するマイクロサテライト全てが有意な相関を示したが、一方SNPについては、標的遺伝子の約5kb以内という非常に密接したSNPの、しかもそれらの一部のみしか有意な相関を示さないことが判明した。その理由は先述のように、SNPの対立遺伝子(allele)の数が一般的には2個のみであり、ヘテロ接合度が50%以下(通常17%)と、SNPのマッピングのパワーが低いことによると考えられる。従って、ゲノムマッピングで最も有効な戦略は、本発明の方法に従い、まずゲノムワイドな多型マイクロサテライト約30,000個(約100 kbに一個の密度)でマッピング行い、標的遺伝子候補領域を100kbに絞り込んだのち、SNP解析を行うことにより、標的遺伝子を同定することであると考えられる。
また、決定された配列から標的遺伝子を特定するには、例えばGRAIL(Uberbacher,E.C.and Mural,R.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:11261−5(1991))またはGENSCAN(Burge,C.and Karlin,S.,J.Mol.Biol.268:78−94(1997))などのコンピュータープログラムを用いて発現している可能性のあるエクソン領域を予測したり、繰り返し配列を除いた塩基配列をEST(expressed sequence tag)データベースに対して相同性検索を行うことによって予測することができる。これらの結果を基に、PCRプライマーやプローブを作成し、RT−PCRやノーザンハイブリダイゼーションにより、細胞内で発現される断片を特定する。発現断片が得られれば、さらに、5’RACEおよび3’RACE等によりcDNA全長を得ることが可能である。または、遺伝子断片をプローブとしたcDNAライブラリーのスクリーニング、CapSiteライブラリーのスクリーニングなどによりcDNAを単離することもできる。
本発明者らはこれまでに、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子座の大規模な配列解析を通して、多数の遺伝子と共に、マッピングに用いることが可能なマイクロサテライトを同定している(Mizuki,N.et al.(1997)Genomics,42,55−66;Shiina,T.et al.(1998)Genomics,47,372−382;Shiina,T.et al.(1999)Immunol.Rev.,167,193−199)。本発明の遺伝子マッピング方法は、このHLA領域に好適に適用され得る。本発明において「HLA領域」とは、セントロメア側HSET遺伝子から、テロメア側HLA−F遺伝子までの3.6Mb領域である。HLA領域には、これまで述べた乾癬以外にも、様々な疾患に関連する原因遺伝子が存在すると予想される。本発明の遺伝子マッピング方法をHLA領域に対して適用することにより、これら疾患の原因遺伝子のマッピングを行うことが可能である。HLA領域に原因遺伝子が存在することが予想される具体的な疾患としては、乾癬以外に、例えばリウマチ、ベーチェット病、若年性糖尿病、バセドウ病、心筋症、びまん性汎細気管支炎、バージャー病、高安病、ナルコレプシー、サルコイドーシス、原田病、重症性筋無力症、多発性硬化症などが挙げられる。
勿論、本発明の方法はHLA領域以外にも適用することができる。2000年5月には、ヒトゲノムの塩基配列がほぼ決定される。この塩基配列情報を利用すれば、全てのヒトゲノム領域、すなわち遺伝要因を持つ全ての疾患に本発明の方法を適用し得る。また、疾患だけでなく、全ての遺伝要因を持つヒト表現型(例えば身長、体重、美肌、肌色、髪色、知能、記憶、性格等)に関与する原因遺伝子のマッピングにも適用することができる。例えば、身長の高い人の集団と身長の低い人の集団に対して本発明の方法を適用すれば、身長に関与する遺伝子のマッピングを行うことができる。
本発明のマッピング方法を利用して疾患の原因遺伝子が特定されれば、該遺伝子を疾患の検査、疾患の予防および治療に利用することが可能である。また、疾患以外の表現型に関与する遺伝子も、遺伝子診断などの検査や遺伝子治療などへ利用することが可能である。遺伝子のクローニングは、当業者に公知の方法により行なうことができる。例えば、該遺伝子が発現している細胞よりcDNAライブラリーを作製し、マッピングにより同定された遺伝子断片をプローブにしてハイブリダイゼーションを行うことにより調製できる。cDNAライブラリーは、例えば、文献(Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載の方法により調製してもよいし、市販のDNAライブラリーを用いてもよい。また、該遺伝子が発現している細胞よりRNAを調製し、逆転写酵素によりcDNAを合成した後、遺伝子配列(または断片)に基づいてオリゴDNAを合成し、これをプライマーとして用いてPCR反応を行いcDNAを増幅させることにより調製することも可能である。
標的遺伝子全長の塩基配列を決定することにより、それがコードする翻訳領域を決定でき、該遺伝子がコードする蛋白質のアミノ酸配列を得ることができる。また、得られたcDNAをプローブとしてゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、ゲノムDNAを単離することができる。
本発明において遺伝子とは、cDNAおよびゲノムDNAが含まれる。ゲノムDNAには、遺伝子のエクソン、イントロン、プロモーターおよびエンハンサーが含まれる。また、対立遺伝子およびバリアントが含まれる。
標的遺伝子のクローニングは、具体的には例えば次のようにすればよい。まず、該遺伝子が発現している細胞、組織、臓器からmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.et al.,Biochemistry(1979)18,5294−5299)、AGPC法(Chomczynski,P.and Sacchi,N.,Anal.Biochem.(1987)162,156−159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia)等を使用して全RNAからmRNAを精製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業)等を用いて行うこともできる。また、標的遺伝子の部分配列をプライマーに用いて、5’−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)およびポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)を用いた5’−RACE法(Frohman,M.A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,8998−9002;Belyavsky,A.et al.,Nucleic Acids Res.(1989)17,2919−2932)にしたがい、cDNAの合成および増幅を行うことができる。得られたPCR産物から目的とするDNA断片を調製し、ベクターDNAと連結する。目的とするDNAの塩基配列は、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法により確認することができる。
単離された遺伝子は、適宜ベクターに挿入される。ベクターとしては、例えば、大腸菌を宿主とする場合には、ベクターを大腸菌(例えば、JM109、DH5α、HB101、XL1−Blue)などで大量に増幅させ大量調製するために、大腸菌で増幅されるための「ori」をもち、さらに形質転換された大腸菌の選抜遺伝子(例えば、なんらかの薬剤(アンピシリンやテトラサイクリン、カナマイシン、クロラムフェニコール)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すれば特に制限はない。ベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Scriptなどが挙げられる。また、cDNAのサブクローニング、切り出しを目的とした場合、上記ベクターの他に、例えば、pGEM−T、pDIRECT、pT7などが挙げられる。遺伝子がコードする蛋白質を生産する目的においてベクターを使用する場合には、特に、発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、例えば、大腸菌での発現を目的とした場合は、ベクターが大腸菌で増幅されるような上記特徴を持つほかに、宿主をJM109、DH5α、HB101、XL1−Blueなどの大腸菌とした場合においては、大腸菌で効率よく発現できるようなプロモーター、例えば、IacZプロモーター(Ward,E.S.et al.(1989)Nature 341,544−546;Ward,E.S.(1992)FASEB J.6,2422−2427)、araBプロモーター(Better,M.et al.(1988)Science240,1041−1043)、またはT7プロモーターなどを持っていることが不可欠である。このようなベクターとしては、上記ベクターの他にpGEX−5X−1(ファルマシア社製)、「QIAexpress system」(キアゲン社製)、pEGFP、またはpET(この場合、宿主はT7 RNAポリメラーゼを発現しているBL21が好ましい)などが挙げられる。
また、ベクターには、ポリペプチド分泌のためのシグナル配列が含まれていてもよい。蛋白質分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei,S.P.et al J.Bacteriol.(1987)169,4379)を使用すればよい。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いて行うことができる。
大腸菌以外にも、例えば蛋白質を製造するためのベクターとしては、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(インビトロゲン社製)や、pEF−BOS(Nucleic Acids.Res.1990,18(17),p5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「BAC−TO−BAC Baculovirus Expression Systems」(ギブコBRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia ExpressionKit」(インビトロゲン社製)、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)が挙げられる。
また、CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulligan,R.C.et al.(1979)Nature 277,108−114)、MMLV−LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima,S.and Nagata,S.(1990)Nucleic Acids Res.18,5322)、CMVプロモーター等を持っていることが不可欠であり、細胞への形質転換を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(ネオマイシン、G418等)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK−RSVs pBK−CMV、pOPRSV、pOP13等が挙げられる。
さらに、細胞内でのコピー数の増幅を目的とした宿主ベクター系においては、安定産生細胞株を得る場合は、核酸合成経路を欠損したCHO細胞にそれを相補するDHFR遺伝子を有するベクター(例えば、pCHOIなど)を導入し、メトトレキセート(MTX)により増幅させる方法が挙げられ、また、遺伝子の一過性の発現を目的とする場合には、SV40 T抗原を発現する遺伝子を染色体上に持つCOS細胞を用いてSV40の複製起点を持つベクター(pcDなど)で形質転換する方法が挙げられる。複製開始点としてはまた、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等に由来するものを用いることもできる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
一方、動物の生体内で遺伝子を発現させる方法としては、該遺伝子を適当なベクターに組み込み、例えば、レトロウイルス法、リポソーム法、カチオニックリポソーム法、アデノウイルス法などにより生体内に導入する方法などが挙げられる。これにより、該遺伝子の変異または多型に起因する疾患等の表現型に対する遺伝子治療等を行うことが可能である。用いられるベクターとしては、例えば、アデノウイルスベクター(例えばpAdexlcw)やレトロウイルスベクター(例えばpZIPneo)などが挙げられるが、これらに制限されない。ベクターへのDNA断片の挿入などの一般的な遺伝子操作は、常法に従って行うことが可能である(Sambrook,J.et al.(1989)Molecular Cloning 2nd ed.,5.61−5.63,Cold Spring Harbor Lab.press)。生体内への投与は、ex vivo法であっても、in vivo法であってもよい。
ベクターが導入される宿主細胞としては特に制限はなく、例えば、大腸菌や種々の動物細胞などを用いることが可能である。宿主細胞は、例えば、蛋白質の製造や発現のための産生系として使用することができる。蛋白質製造のための産生系は、in vitroおよびin vivoの産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
真核細胞を使用する場合、例えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を宿主に用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例えば、CHO、COS、3T3、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero、両生類細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞(Valle,et al.,Nature(1981)291,358−340)、あるいは昆虫細胞、例えば、Sf9、Sf21、Tn5が知られている。CHO細胞としては、特に、DHFR遺伝子を欠損したCHO細胞であるdhfr−CHO(Urlaub,G.and Chasin,L.A.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77,4216−4220)やCHO K−1(Kao,F.T.and Puck,T.T.(1968)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 60,1275−1281)を好適に使用することができる。動物細胞において、大量発現を目的とする場合には特にCHO細胞が好ましい。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニックリボソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレクトロポーレーション法、リポフェクションなどの方法で行うことが可能である。
植物細胞としては、例えば、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が蛋白質生産系として知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)が知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、例えば、JM109、DH5α、HB101等が挙げられ、その他、枯草菌が知られている。
これらの細胞を目的とするDNAにより形質転換し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより蛋白質が得られる。培養は、公知の方法に従い行うことができる。例えば、動物細胞の培養液として、例えば、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができる。その際、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、無血清培養してもよい。培養時のpHは、約6〜8であるのが好ましい。培養は、通常、約30〜40℃で約15〜200時間行い、必要に応じて培地の交換、通気、攪拌を加える。
一方、in vivoで蛋白質を産生させる系としては、例えば、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。これらの動物又は植物に目的とするDNAを導入し、動物又は植物の体内で蛋白質を産生させ、回収する。本発明における「宿主」とは、これらの動物、植物を包含する。
動物を使用する場合、哺乳類動物、または昆虫を用いる産生系がある。哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Applications,1993)。また、哺乳類動物を用いる場合、トランスジェニック動物を用いることができる。
例えば、目的とするDNAを、ヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子との融合遺伝子として調製する。次いで、この融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ移植する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から、目的の蛋白質を得ることができる。トランスジェニックヤギから産生される蛋白質を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699−702)。
また、昆虫としては、例えばカイコを用いることができる。カイコを用いる場合、目的の蛋白質をコードするDNAを挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させることにより、このカイコの体液から目的の蛋白質を得ることができる(Susumu,M.et al.,Nature(1985)315,592−594)。
さらに、植物を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。タバコを用いる場合、目的とする蛋白質をコードするDNAを植物発現用ベクター、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えば、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)に感染させ、本タバコの葉より所望のポリペプチドを得ることができる(Ma,J.K.et al.(1994)Eur.J.Immunol.24,131−138)。
これにより得られた蛋白質は、宿主細胞内または細胞外(培地など)から単離し、実質的に純粋で均一な蛋白質として精製することができる。蛋白質の分離、精製は、通常の蛋白質の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせれば蛋白質を分離、精製することができる。
クロマトグラフィーとしては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。これらの精製方法を用い、高度に精製された蛋白質を得ることができる。
なお、蛋白質を精製前又は精製後に適当な蛋白質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり部分的にペプチドを除去することもできる。蛋白質修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グルコシダーゼなどが用いられる。
このようにして得た蛋白質を用いれば、標的遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体を調製することができる。抗体の形態には、特に制限はなく、ポリクローナル抗体の他、モノクローナル抗体も含まれる。また、ウサギなどの免疫動物に該蛋白質を免疫して得た抗血清、すべてのクラスのポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、さらにヒト抗体や遺伝子組み換えによるヒト型化抗体も含まれる。
抗体取得の感作抗原として使用される蛋白質は、その由来となる動物種に制限されないが哺乳動物、例えばヒト、マウス又はラット由来の蛋白質が好ましく、特にヒト由来の蛋白質が好ましい。
本発明において、感作抗原として使用される蛋白質は、完全な蛋白質であってもよいし、また、蛋白質の部分ペプチドであってもよい。蛋白質の部分ペプチドとしては、例えば、蛋白質のアミノ基(N)末端断片やカルボキシ(C)末端断片が挙げられる。本明細書で述べる「抗体」とは蛋白質の全長又は断片に反応する抗体を意味する。
抗体を調製するには、標的遺伝子またはその断片を公知の発現ベクター系に挿入し、該ベクターで本明細書で述べた宿主細胞を形質転換させ、該宿主細胞内外から目的の蛋白質又はその断片を公知の方法で得て、これらを感作抗原として用いればよい。また、蛋白質を発現する細胞又はその溶解物あるいは化学的に合成した蛋白質を感作抗原として使用してもよい。短いペプチドは、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミンなどのキャリア蛋白質と適宜結合させて抗原とすることが好ましい。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的には、げっ歯目、ウサギ目、霊長目の動物が使用される。
げっ歯目の動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。ウサギ目の動物としては、例えば、ウサギが使用される。霊長目の動物としては、例えば、サルが使用される。サルとしては、狭鼻下目のサル(旧世界ザル)、例えば、カニクイザル、アカゲザル、マントヒヒ、チンパンジー等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。一般的方法としては、感作抗原を哺乳動物の腹腔内又は皮下に注射する。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate−Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに対し、所望により通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に投与する。さらに、その後、フロイント不完全アジュバントに適量混合した感作抗原を、4〜21日毎に数回投与することが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを常法により確認する。
ポリクローナル抗体を得るには、血清中の所望の抗体レベルが上昇したことを確認した後、抗原を感作した哺乳動物の血液を取り出す。この血液から公知の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体としては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用してもよいし、必要に応じこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離して、これを使用してもよい。例えば、標的遺伝子がコードする蛋白質をカップリングさせたアフィニティーカラムを用いて、該蛋白質のみを認識する画分を得て、さらにこの画分をプロテインAあるいはプロテインGカラムを利用して精製することにより、免疫グロブリンGあるいはMを調製することができる。
モノクローナル抗体を得るには、上記抗原を感作した哺乳動物の血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を取り出し、細胞融合に付せばよい。この際、細胞融合に使用される好ましい免疫細胞として、特に脾細胞が挙げられる。前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としては、好ましくは哺乳動物のミエローマ細胞、より好ましくは、薬剤による融合細胞選別のための特性を獲得したミエローマ細胞が挙げられる。
前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、例えば、ミルステインらの方法(Galfre,G.and Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73,3−46)等に準じて行うことができる。
細胞融合により得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常、数日〜数週間継続して行う。次いで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングを行う。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球、例えばEBウィルスに感染したヒトリンパ球をin vitroで蛋白質、蛋白質発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、蛋白質への結合活性を有する所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることもできる(特開昭63−17688号公報)。
次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、標的遺伝子がコードする蛋白質をカップリングしたアフィニティーカラムなどにより精製することで調製することが可能である。調製された抗体は、標的遺伝子がコードする蛋白質の精製、検出に用いられる他、該蛋白質のアゴニストやアンタゴニストの候補になる。また、この抗体を疾患に対する抗体治療へ応用することも考えられる。得られた抗体を人体に投与する目的(抗体治療)で使用する場合には、免疫原性を低下させるため、ヒト抗体やヒト型抗体が好ましい。
例えば、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となる蛋白質、蛋白質発現細胞又はその溶解物を免疫して抗体産生細胞を取得し、これをミエローマ細胞と融合させたハイブリドーマを用いて蛋白質に対するヒト抗体を取得することができる(国際公開番号WO92−03918、WO93−2227、WO94−02602、WO94−25585、WO96−33735およびWO96−34096参照)。
ハイブリドーマを用いて抗体を産生する以外に、抗体を産生する感作リンパ球等の免疫細胞を癌遺伝子(oncogene)により不死化させた細胞を用いてもよい。
このように得られたモノクローナル抗体はまた、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体として得ることができる(例えば、Borrebaeck,C.A.K.and Larrick,J.W.,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。組換え型抗体は、それをコードするDNAをハイブリドーマ又は抗体を産生する感作リンパ球等の免疫細胞からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させる。本発明は、この組換え型抗体を包含する。
さらに、本発明において抗体は、標的遺伝子がコードする蛋白質に結合する限り、その抗体断片や抗体修飾物であってよい。例えば、抗体断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv又はH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,5879−5883)が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968−2976;Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476−496;Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497−515;Lamoyi,E.,Methods Enzymol.(1986)121,652−663;Rousseaux,J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663−669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132−137参照)。
抗体修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。本発明において「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野において既に確立されている。
また、本発明において抗体は、公知の技術を使用して非ヒト抗体由来の可変領域とヒト抗体由来の定常領域からなるキメラ抗体又は非ヒト抗体由来のCDR(相補性決定領域)とヒト抗体由来のFR(フレームワーク領域)及び定常領域からなるヒト型化抗体として得ることができる。
前記のように得られた抗体は、均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)が、これらに限定されるものではない。上記で得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定又は酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme−linked immunosorbent assay;ELISA)等により行うことができる。
アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(Pharmacia)等が挙げられる。
アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。これらのクロマトグラフィーはHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
また、抗体の抗原結合活性を測定する方法として、例えば、吸光度の測定、酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme−linked immunosorbent assay;ELISA)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を用いることができる。ELISAを用いる場合、抗体を固相化したプレートに標的蛋白質を添加し、次いで目的の抗体を含む試料、例えば、抗体産生細胞の培養上清や精製抗体を加える。酵素、例えば、アルカリフォスファターゼ等で標識した抗体を認識する二次抗体を添加し、プレートをインキュベーションし、次いで洗浄した後、p−ニトロフェニル燐酸などの酵素基質を加えて吸光度を測定することで抗原結合活性を評価することができる。蛋白質として蛋白質の断片、例えばそのC末端からなる断片あるいはN末端からなる断片を使用してもよい。抗体の活性評価には、BIAcore(Pharmacia製)を使用することができる。
これらの手法を用いることにより、抗体と試料中に含まれる標的遺伝子がコードする蛋白質が含まれると予想される試料とを接触せしめ、該抗体と該蛋白質との免疫複合体を検出又は測定することからなる、該遺伝子がコードする蛋白質の検出又は測定方法を実施することができる。この測定方法は、該遺伝子がコードする蛋白質を特異的に検出又は測定することができるため、該蛋白質を用いた種々の実験、検査、診断等に有用である。
本発明はまた、標的遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。
ここで「相補鎖」とは、A:T(ただしRNAの場合はU)、G:Cの塩基対からなる2本鎖核酸の一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の相同性を有すればよい。蛋白質の相同性を決定するには、文献(Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1983)80,726−730)に記載のアルゴリズムにしたがえばよい。
このような核酸には、標的遺伝子の検出や増幅に用いるプローブやプライマー、該遺伝子の発現を検出するためのプローブやプライマー、該遺伝子の発現を制御するためのヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドやリボザイム、またはこれらをコードするDNA等)が含まれる。ここで、遺伝子の検出には、遺伝子の変異の検出も含まれる。また、このような核酸は、DNAチップの作製に利用することもできる。上記ポリヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、3’側の領域は相補的とし、5’側には制限酵素認識配列やタグなどを付加することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、例えば、蛋白質のコード領域中のいずれかの箇所にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは蛋白質のコード領域中の連続する少なくとも15個以上のヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに好ましくは、連続する少なくとも15個以上のヌクレオチドが翻訳開始コドンを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、それらの誘導体や修飾体を使用することができる。修飾体として、例えばメチルホスホネート型又はエチルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、ホスホロチオエート修飾体又はホスホロアミデート修飾体等が挙げられる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNA又はmRNAの所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドが全て相補配列であるもののみならず、オリゴヌクレオチドが標的遺伝子をコードするDNAまたはRNAに特異的にハイブリダイズできる限り、1又は複数個のヌクレオチドのミスマッチが存在しているものも含まれる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、標的遺伝子がコードする蛋白質の産生細胞に作用して、該蛋白質をコードするDNA又はmRNAに結合することにより、その転写又は翻訳を阻害したり、mRNAの分解を促進したりして、該蛋白質の発現を抑制することにより、結果的に該蛋白質の作用を抑制する効果を有する。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、それらに対して不活性な適当な基剤と混和して塗布剤、パップ剤等の外用剤とすることができる。
また、必要に応じて、賦形剤、等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、無痛化剤等を加えて錠剤、散財、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注射剤、液剤、点鼻剤など、さらに凍結乾燥剤とすることができる。これらは常法にしたがって調製することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用するか、又は血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に適用する。さらには、持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いることもできる。例えば、リポソーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール、リポフェクチン又はこれらの誘導体が挙げられる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、患者の状態に応じて適宜調整し、好ましい量を用いることができる。例えば、0.1〜100mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの範囲で投与することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは標的遺伝子がコードする蛋白質の発現を阻害し、従って該蛋白質の生物学的活性を抑制することにおいて有用である。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する発現阻害剤は、該蛋白質の生物学的活性を抑制することが可能である点で有用である。
標的遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体または該遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを利用して、遺伝子または蛋白質の変異または発現の検査を行うことができる。標的遺伝子が疾患に関与する場合は、該抗体または該ポリヌクレオチドを利用して疾患の検査を行うことができる。なお、本発明において疾患の検査には、疾患原因遺伝子の変異に起因して疾患の症状を発現している患者の検査のみならず、被験者が疾患原因遺伝子の発現量の異常または遺伝子の変異に起因して該疾患にかかりやすいか否かを判断するために行う、疾患原因遺伝子の発現量の検査、および遺伝子の変異の検査も含まれる。すなわち、疾患原因遺伝子の発現の異常や、疾患原因遺伝子の片方の対立遺伝子に変異が生じることなどにより、表面上は未だ症状を発現していない場合においても、該疾患にかかる危険性が非常に増大しているものと考えられる。また、疾患に限らず、その他の遺伝要因を持つ表現型に対しても、例えばその原因遺伝子を有するか否かを検査したり、その遺伝子の変異や発現の検査を行うことができる。
抗体を利用して疾患等の検査を行うには、例えば、被検試料中における原因遺伝子がコードする蛋白質を検出する工程を含む方法が含まれる。原因遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体を用いた検査は、具体的には、(a)被検試料に上記の抗体を接触させる工程、(b)該被検試料への該抗体の結合を検出する工程、を含む。蛋白質の検出は、抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロット、免疫組織化学、ELISAなどにより行うことができる。
また、本発明の検査には、遺伝子の転写産物またはそのcDNAの塩基配列、およびゲノムDNA配列(内因性転写制御配列も含む)の塩基配列、またはその相補鎖と相補的なポリヌクレオチド(プローブおよびプライマー)が利用されうる。なお、変異の検査には、対立遺伝子の片方のアレルに変異を持つ「キャリアー」を特定するための検査も含まれる。
プライマーとして用いられる場合、ポリヌクレオチドは、通常、15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、標的遺伝子またはその発現を調節する領域の少なくとも一部を増幅しうるものであればいかなるものでもよい。このような領域としては、例えば、遺伝子のエキソン領域、イントロン領域、プロモーター領域、エンハンサー領域が含まれる。
一方、プローブとしてのポリヌクレオチドは、合成ポリヌクレオチドであれば、通常、少なくとも15bp以上の鎖長を有する。プラスミドDNAなどのベクターに組み込んだクローンから得た二本鎖DNAをプローブとして用いることも可能である。プローブとしては、遺伝子またはその発現を調節する領域の少なくとも一部の塩基配列またはそれらの相補鎖に相補的であればいかなるものでもよい。プローブがハイブリダイズする領域としては、例えば、遺伝子のエキソン領域、イントロン領域、プロモーター領域、エンハンサー領域が含まれる。プローブとして用いる場合、ポリヌクレオチドあるいは二本鎖DNAは適宜標識して用いられる。標識する方法としては、例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてポリヌクレオチドの5’端を32Pでリン酸化することにより標識する方法や、クレノウ酵素などのDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチドなどをプライマーとして32Pなどのアイソトープや、蛍光色素あるいはビオチンなどによって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法など)が挙げられる。
標的遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体または該遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを利用した検査方法の一つは、被検試料中における標的遺伝子の転写産物を検出する工程を含む方法である。このような検査方法は、(a)被検試料に上記のポリヌクレオチドを接触させる工程、(b)該被検試料中のmRNAへの該ポリヌクレオチドの結合を検出する工程、を含む方法が含まれる。このような検査は、例えばノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRなどにより行うことができる。RT−PCRを利用した検査は、具体的には(a)被検試料中のmRNAからcDNAを合成する工程、(b)合成したcDNAを鋳型に、本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いて、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう工程、(c)ポリメラーゼ連鎖反応により増幅されたDNAを検出する工程、を含む。ノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRは、公知の遺伝子工学技術により行うことができる。また、DNAチップまたはDNAマイクロアレイによる検出も可能である。
また、疾患等の検査は、標的遺伝子における変異または多型を検出することによって行うことも考えられる。すなわち、標的遺伝子のコード領域または転写制御領域における変異または多型を検出することにより検査を行うことができる。このような検査方法の一つの態様は、被検者の標的遺伝子の塩基配列を直接決定する方法である。例えば、上記ヌクレオチドをプライマーとして、被検者から単離したDNAを鋳型として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法などにより、被検者の標的遺伝子の一部もしくは全部(例えばエキソン、イントロン、プロモーター、エンハンサーを含む領域)を増幅し、その塩基配列の決定を行う。これを対照者(例えば健常者等)の該遺伝子の配列と比較することにより検査を行うことができる。
検査方法としては、このように直接被検者由来のDNAの塩基配列を決定する方法以外に種々の方法が用いられる。その一つの態様は、(a)被検者からDNA試料を調製する工程、(b)本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして被検者由来のDNAを増幅する工程、(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程、(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程、および(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照者の場合と比較する工程、を含む。
このような方法として、PCR−SSCP(single−strand conformation polymorphism、一本鎖高次構造多型)法(Cloning and polymerase chain reaction−single−strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome11.Genomics.1992 Jan 1;12(1):139−146.、Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single−strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products.Oncogene.1991 Aug 1;6(8):1313−1318.、Multiple fluorescence−based PCR−SSCP analysis with postlabeling.、PCR Methods Appl.1995 Apr 1;4(5):275−282.)が挙げられる。この方法は操作が比較的簡便であり、また試料の量も少なくてすむなどの利点を有するため、特に多数のDNAサンプルをスクリーニングするのに好適である。その原理は以下の如くである。二本鎖DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその塩基配列に依存した独自の高次構造を形成する。この解離したDNA鎖を変性剤を含まないポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、それぞれの高次構造の差に応じて、相補的な同じ鎖長の一本鎖DNAが異なる位置に移動する。一塩基の置換によってもこの一本鎖DNAの高次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において異なる移動度を示す。従って、この移動度の変化を検出することによりDNA断片に点突然変異や欠失、あるいは挿入などによる変異が存在することを検出することができる。
具体的には、まず、標的遺伝子の一部、あるいは全部をPCR法などによって増幅する。増幅される範囲としては、通常200〜400bp程度の長さが好ましい。また、増幅される領域としては、遺伝子の全てのエキソン、全てのイントロンの他、遺伝子のプロモーター、エンハンサーも含まれる。PCRによる遺伝子断片増幅の際、32Pなどのアイソトープ、あるいは蛍光色素やビオチンなどによって標識したプライマーを用いるか、あるいはPCR反応液に32Pなどのアイソトープ、あるいは蛍光色素やビオチンなどによって標識した基質塩基を加えてPCRを行うことによって合成されるDNA断片を標識する。あるいはPCR反応後にクレノウ酵素などを用いて32Pなどのアイソトープ、あるいは蛍光色素やビオチンなどによって標識した基質塩基を合成されたDNA断片に付加することによっても標識を行うことができる。こうして得られた標識されたDNA断片を熱を加えることなどにより変性し、尿素などの変性剤を含まないポリアクリルアミドゲルによって電気泳動を行う。この際、ポリアクリルアミドゲルに適量(5から10%程度)のグリセロールを添加することにより、DNA断片の分離の条件を改善することができる。また、泳動条件は各DNA断片の性質により変動するが、通常、室温(20から25℃)で行い、好ましい分離が得られないときには4から30℃までの温度で最適の移動度を与える温度の検討を行う。電気泳動後、DNA断片の移動度を、X線フィルムを用いたオートラジオグラフィーや、蛍光を検出するスキャナー等で検出し、解析する。移動度に差があるバンドが検出された場合、このバンドを直接ゲルから切り出し、PCRによって再度増幅し、それを直接シークエンシングすることにより、変異の存在を確認することができる。また、標識したDNAを使わない場合においても、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイドや銀染色法などによって染色することによって、バンドを検出することができる。
本発明の検査方法の他の態様は、(a)被検者からDNA試料を調製する工程、(b)本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いて被検者由来のDNAを増幅する工程、(c)増幅したDNAを切断する工程、(d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程、(e)分離したDNA断片に対し、検出可能な標識をした本発明のポリヌクレオチドをプローブとしてハイブリダイズさせる工程、および(f)検出されたDNA断片の大きさを、対照者の場合と比較する工程、を含む。
このような方法としては、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法、PCR−RFLP法などが挙げられる。DNAを切断する酵素としては、通常、制限酵素を用いる。具体的には、制限酵素の認識部位に変異または多型が存在する場合、あるいは制限酵素処理によって生じるDNA断片内に塩基挿入、または欠失がある場合、制限酵素処理後に生じる断片の大きさが対照(例えば健常者の場合)と比較して変化する。この変異または多型を含む部分をPCR法によって増幅し、それぞれの制限酵素で処理することによって、これらの変異または多型を電気泳動後のバンドの移動度の差として検出することができる。あるいは、染色体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電気泳動した後、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いてサザンブロッティングを行うことにより、変異または多型の有無を検出することができる。用いられる制限酵素は、それぞれの検査部位に応じて適宜選択することができる。この方法では、ゲノムDNA以外にも被検者から調製したRNAを逆転写酵素でcDNAにし、これをそのまま制限酵素で切断した後サザンブロッティングを行うこともできる。また、このcDNAを鋳型としてPCRで標的遺伝子の一部、あるいは全部を増幅し、それを制限酵素で切断した後、移動度の差を調べることもできる。
また、被検者から調製したDNAの代わりにRNAを用いても同様に検出することが可能である。このような方法は、(a)被検者からRNA試料を調製する工程、(b)大きさに応じて調製したRNAを分離する工程、(c)分離したRNAに対し、検出可能な標識をした本発明のポリヌクレオチドをプローブとしてハイブリダイズさせる工程、および(d)検出されたRNAの大きさを、対照者の場合と比較する工程、を含む。具体的な方法の一例としては、被検者から調製したRNAを電気泳動し、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いてノーザンブロッティングを行い、移動度の差を検出する。
検査方法の他の態様は、(a)被検者からDNA試料を調製する工程、(b)本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして被検者由来のDNAを増幅する工程、(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程、および(d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照者の場合と比較する工程、を含む方法である。
このような方法としては、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(denaturant gradient gel electrophoresis:DGGE)が挙げられる。標的遺伝子の一部、あるいは全部を上記プライマーなどを用いたPCR法などによって増幅し、これを尿素などの変性剤の濃度が移動するに従って徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対照者(例えば健常者等)と比較する。変異が存在するDNA断片の場合、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖になり、極端に移動速度が遅くなるため、この移動度の差を検出することにより変異または多型の有無を検出することができる。
これら方法以外にも、特定位置の変異のみを検出する目的にはアレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。変異が存在すると考えられる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを作製し、これと試料DNAでハイブリダイゼーションを行わせると、変異が存在する場合、ハイブリッド形成の効率が低下する。それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法などにより検出できる。また、リボヌクレアーゼAミスマッチ切断法による検出も可能である。具体的には、標的遺伝子の一部、あるいは全部をPCR法などによって増幅し、これをプラスミドベクター等に組み込んだ標的遺伝子断片等から調製した標識RNAとハイブリダイゼーションを行う。変異が存在する部分においてはハイブリッドが一本鎖構造となるので、この部分をリボヌクレアーゼAによって切断し、これをオートラジオグラフィーなどで検出することによって変異の存在を検出することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]HLAクラスI領域のマイクロサテライトマーカー
本発明者らによる大規模なゲノムシークエンシングを通して、動原体側のMICB遺伝子からテロメア側のHLA−F遺伝子(Mizuki,N.et al.(1997)Genomics,42,55−66;Shiina,T.et al.(1998)Genomics,47,372−382;Shiina,T.et al.(1999)Immunol.Rev.,167,193−199;Tamiya,G.et al.(1998)Tissue Antigens,51,337−346)までに及び、HLA−BおよびHLA−C遺伝子を含む1.8MbのHLAクラスI領域内に、2−から5−ヌクレオチド反復の範囲にあるマイクロサテライト座が758個同定された。以上のマイクロサテライトのうち70個に関して、日本人集団における多型情報量を分析した。このうち38個は情報的価値が高く、ヘテロ接合度は平均で66%であり、平均8.9種のアレルがあることが明らかになった(Tamiya,G.et al.(1998)Tissue Antigens,51,337−346;Tamiya,G.et al.(1999)Tissue Antigens54:221−228)。これら38個のマイクロサテライト反復部位を高分解能マッピングのために選択した。既知の7つの多型遺伝子およびマイクロサテライト[MICB、MICA、HLA−B、HLA−C、HLA−A、MIB(Grimaldi,M.C.et al.(1996)Hum.Immunol.,51,89−94)およびD6S265(Weissenbach,J.et al.(1992)Nature,29,794−801)]との併用により、情報量に富む遺伝マーカーが計45個、すなわち41.1kbに1つの割合でHLAクラスI領域内に定められた。以上の高密度多型マーカーにより、尋常性乾癬、ベーチェット病(MIM 109650)、急性全部ブドウ膜炎および潰瘍性大腸炎(MIM 191390)といったHLAクラスI関連疾患のハプロタイプ分析およびマッピング分析に関する有用で正確な情報が得られると考えられる。
[実施例2] 尋常性乾癬に関する感受性遺伝子座の特定
本実施例では、HLAクラスI領域内における尋常性乾癬の原因遺伝子の明確な位置を決定するために、上記の38個の反復部位のうち11個を用いて相関解析を行った。選択されたマイクロサテライトは、HLA−C遺伝子座の周囲にほぼ100kb当たりマイクロサテライト1個という分解能で密に分布する(C1_2_A、232kb動原体側;C1_4_1、91kb動原体側;C1_2_5、19kb動原体側;C1_4_3、29kbテロメア側;C1_3_1、31kbテロメア側;C1_2_6、89kbテロメア側;C1_3_2、143kbテロメア側;C2_4_4、200kbテロメア側;C4_2_12、457kbテロメア側;C4_2_25、618kbテロメア側;およびC3_2_11、831kbテロメア側)(図1)。
相関解析は、血縁関係にない合計76名の日本人の尋常性乾癬患者と、132名の健常対照を調査対象とした。患者は全例、診断および治療のために東海大学医学皮膚科(神奈川、日本)に入院した。患者群は男性51例、女性25例からなり、平均発症年齢は33.9歳であった(SD=15.3)。末梢血の採取前に、本研究の詳細を説明することにより、健常者および患者の全員からインフォームドコンセントを得た。
多型を呈するマイクロサテライト座の反復単位数(マイクロサテライトアレルの遺伝子型)を判定するために、蛍光試薬6−FAM、HEXまたはTET(PE Biosystems、Foster City、CA)で5’末端を標識することにより、一側性プライマーを合成した。11種のマイクロサテライト(C1_2_A、C1_4_1、C1_2_5、C1_4_3、C1_3_1、C1_2_6、C1_3_2、C2_4_4、C4_2_12、C4_2_25、C3_2_11)の増幅に用いたPCRプライマーを表1に示した。PCR反応混合物は、ゲノムDNA 50ng、dNTP(各2.5mM)2μl、10×バッファー(100mM Tris−HCl、pH8.3、500mM KCl、15mM MgCl2)2μlならびに順方向および逆方向プライマー20pmol、さらにタカラ組換えTaqポリメラーゼ(宝酒造、京都、日本)0.5Uを計20μl中に含む。96℃で5分間にわたり初期変性を行った後、自動サーマルサイクラー(宝酒造)を用いて、96℃1分間、55℃30秒間および72℃45秒間からなる処理を30サイクル行い、72℃で4分間の最終伸長を行わせた。増幅産物を100℃で5分間変性させ、ホルムアミドを含む停止バッファーと混合した上でGS500 Tamra(PE Biosystems)のサイズ標準マーカーとともに各レーンにアプライし、自動DNAシークエンサー中にて、8M尿素を含む4%ポリアクリルアミド変性シークエンシングゲルで分離させた。断片サイズはGeneScanソフトウエア(PE Biosystems)を用いて自動判定した。
マーカーは動原体側からテロメア側の順に、C1_2_A、C1_4_1、C1_2_5、C1_4_3、C1_3_1、C1_2_6、C1_3_2、C2_4_4、C4_2_12、C4_2_25およびC3_2_11である(図1)。反復単位は本発明者らによって決定された配列データから決定した(Shiina,T.et al.(1999)Immunol.Rev.,167,193−199)。マーカーはすべてTamiyaら(Tamiya,G.et al.(1998)Tissue Antigens,51,337−346;Tamiya,G.et al.(1999)Tissue Antigens 54:221−228)によって樹立された。Telはテロメア側、Cenは動原体側を表す。PCRプライマーの配列は、上から順に配列番号:1〜22とした。
アレル頻度は直接計数によって評価した。患者と対照との間のアレル分布の有意性の検定は、連続性の補正を行うχ2法、およびフィッシャーの正確確率検定(P値検定)によって行った。P値は各座位で観測されたマイクロサテライトアレルの数を乗することによって補正した(Pc)。Pc<0.05の水準を統計的に有意とみなした。尋常性乾癬のリスクに関するオッズ比は2×2分割表から算出した。複数のアレルに関するハーディ−ワインベルグ比率の正確確率検定(exact P−value test)は、Genepopソフトウエアパッケージ中にあるマルコフ連鎖法によってシミュレートした(Tamiya,G.et al.(1998)Tissue Antigens,51,337−346;Tamiya,G.et al.(1999)Tissue Antigens 54:221−228;Guo,S.W.and Thompson,E.A.(1992)Biometrics,48,361−372)。マルコフ連鎖法には、アレル数や標本数が少ない場合に、ハーディ−ワインベルグ比率を検定するための完全な算出を行うことができるという利点がある。アレル数が<5の場合には完全算出法によって正確確率(exact P−value)を算出した。ハーディ−ワインベルグ平衡検定に関してはP<0.1の水準を統計的に有意とみなした。
患者群におけるHLA−Cw6の表現型頻度(76例中8例、10.5%)は有意に高く、Pc値は0.02であった(オッズ比=15.88)。表2に示した通り、Pc値に対して<0.05の統計的有意差が患者群で認められたアレルは以下の4つのマイクロサテライト座で見いだされた:C1_2_6のアレル303(χ2=12.62、Pc=0.0015)、C1_3_2のアレル357(χ2=7.91、Pc=0.0034)、C2_4_4のアレル255、259(それぞれχ2=9.53、Pc=0.0012およびχ2=11.58、Pc=0.0022)、C4_2_12のアレル223(χ2=7.59、Pc=0.036)。各マイクロサテライトマーカーにおけるアレルの命名は増幅断片のサイズ長に基づいて行った。最も有意な相関が認められたのはC1_2_6のアレル303であった。C1_2_6からC4_2_12までの区域にある4つのマイクロサテライトではいずれも、患者と対照との間でアレル頻度に統計的有意差が認められた(表2および図1)。
a(c)HLA−C遺伝子の動原体側、(t)HLA−C遺伝子のテロメア側。bフィッシャーの正確確率検定による判定。
c各遺伝子座におけるマイクロサテライトアレルの数を乗じることによって補正した。統計的に有意とみなした0.05未満のPc値に下線を施した。
ハーディ−ワインベルグ比率からの偏差(確率検定)およびハーディ−ワインベルグ平衡の帰無仮説に対するヘテロ接合体減少(Raymond,M.and Rousset,F.(1995)J.Hered.,86,248−249;Rousset,F.and Raymond,M.(1995)Genetics,140,1413−1419)に関するマルコフ連鎖法(Guo,S.W.and Thompson,E.A.(1992)Biometrics,48,361−372)により、以上の11種のマイクロサテライトマーカーに関するハーディ−ワインベルグ比率の正確確率検定も行った。予想した通り、検討した11種のマーカーはすべて、健常対照ではハーディ−ワインベルグ平衡に従った(P>0.25)。これに対して患者群では、表3に一覧を示した通り、5つの座位でハーディ−ワインベルグ平衡からの有意な偏差が認められた(P<0.1;C1_2_5、C1_3_1、C1_2_6、C1_3_2およびC2_4_4)。さらに、5つの座位ではヘテロ接合体の有意な減少が認められた(P<0.1;C1_4_3、C1_3_1、C1_3_2、C2_4_4およびC4_2_12)。これに対して、ヘテロ接合体の増加はいずれのマーカーにも認められなかった。C1_3_1からC2_4_4までの区域にある3つのマイクロサテライト座(C1_3_1、C1_3_2およびC2_4_4)で、確率検定、ヘテロ接合体減少検定ともに有意なP値が得られたことは注目に値する(表3および図1)。特に、C1_3_2およびC2_4_4は、いずれの検定でも極めて有意なP値に達した。
表中、正確確率(exact P−value)は、以下のパラメーターを用いるマルコフ連鎖法に基づくシミュレーションによって推定した:デメモライゼーション数(dememorization number)=1000、バッチ数=400、バッチ1回当たりの反復数=8000。アレル数が<5の場合には完全算出法によって正確確率を算出した。統計的に有意とみなした0.1未満のP値に下線を施した。SE、標準誤差。
aハーディ−ワインベルグ比率からの偏差(確率検定)。
bハーディ−ワインベルグ平衡の帰無仮説に対するヘテロ接合体減少。
c患者集団におけるヘテロ接合体頻度の期待値。
d患者集団におけるヘテロ接合体頻度の観測値。
上記のように、解析したマイクロサテライトのうちC1_2_6からC4_2_12までの区域に位置する4つ(C1_2_6、C1_3_2、C2_4_4およびC4_2_12)で、患者と対照との間に統計的有意差が認められた(表2および図1)。さらに、患者群でのハーディ−ワインベルグ平衡解析により、C1_3_1からC2_4_4までの区域にある3つのマイクロサテライト座(C1_3_1、C1_3_2およびC2_4_4)で、確率検定およびヘテロ接合体減少検定の両方でハーディ−ワインベルグ平衡からの有意な偏差が認められた(表3および図1)。特に、C1_3_2およびC2_4_4はいずれの検定とも極めて有意なP値に達した。乾癬の遺伝様式は不明であるが、以上の5つのマイクロサテライト座でのヘテロ接合体の頻度が患者で期待される頻度より低かったこと(表2)は、本症が遺伝的浸透率は高くないものの、劣性HLA形質であることを示唆するものと思われる。以上を総括すると、C1_2_6(HLA−Cの89kbテロメア側)からC2_4_4(HLA−Cの200kbテロメア側)までの111kbの区域が、アレル分布およびハーディ−ワインベルグ平衡からの偏差の関する統計的手法のいずれによる評価でも、>95%の信頼水準で尋常性乾癬に関して重要な共通領域であると結論された(図1)。患者および対照例のデータを取り扱う前者、患者のデータのみを取り扱う後者という2つの独立した統計的手法のいずれによっても尋常性乾癬に関してほぼ同一の重要な区域が判明したことは強調する必要がある。この結果は、患者におけるHLAクラスI(HLA−A、−Bおよび−C)およびクラスII(HLA−DRB1および−DQB1)アレルを用いた伝達/不平衡テスト(transmission/disequilibrium test;TDT)およびパラメトリック連鎖解析に基づき、尋常性乾癬に関する感受性遺伝子がHLA−C遺伝子のテロメア側に存在することを示した以前のマッピングデータとも一致する(Jenisch,S.et al.(1998)Am.J.Hum.Genet.,63,191−199)。
産業上の利用の可能性
本発明により、約100kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子のマッピング方法が提供された。これにより、効率的に疾患原因遺伝子のマッピングを行うことが可能となる。また、本発明の方法は疾患の原因遺伝子以外にも、遺伝要因を持つ任意の表現型に関与する遺伝子のマッピングのためにも有用である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、相関検定およびハーディ−ワインベルグ比率の正確確率検定によって得られたP値を、尋常性乾癬の遺伝子マッピングに用いたマイクロサテライトマーカーの位置とともに示した図である。aIkBLからHLA−LまでのHLAクラスI領域における各遺伝子の位置を示す遺伝子マップ。白および黒の四角はそれぞれHLAクラスI遺伝子および非HLA遺伝子を表す。矢印は遺伝子の方向を示す。b症例−対照相関検定およびハーディ−ワインベルグ比率の正確確率検定による統計解析。曲線は各検定における2点移動平均に基づいて平滑適合化を行った上で描いた。白丸を実線でつないだものは症例−対照相関検定でフィッシャーの正確確率検定によって得られたPc値、白四角を破線でつないたものはハーディ−ワインベルグ比率からの偏差に関する正確確率検定(確率検定)によって得られたP値、黒四角を太い実線でつないだものは患者でのハーディ−ワインベルグ平衡の帰無仮説に対するヘテロ接合体減少に関する正確確率検定によって得られたP値を示す。cマイクロサテライトマーカーの位置とともに括弧内にHLA−C遺伝子座から各マイクロサテライトまでの距離(kb)を示した。
Claims (13)
- 平均で50kb〜150kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法。
- 平均で80kb〜120kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法。
- 平均で90kb〜110kbに1個の割合で実質的に設定されたマイクロサテライトの遺伝多型マーカーを用いることを特徴とする遺伝子マッピング方法。
- 遺伝子が疾患原因遺伝子である、請求項1〜3のいずれかに記載のマッピング方法。
- マイクロサテライトの遺伝多型マーカーが、対立遺伝子数の平均が5個以上であり、かつヘテロ接合度の平均が60%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のマッピング方法。
- マッピング領域がHLA領域である、請求項1〜5のいずれかに記載のマッピング方法。
- 対照健常者と無作為に選んだ疾患患者の多型マーカーの頻度を比較することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のマッピング方法。
- マイクロサテライトの遺伝多型マーカーの解析をDNAチップと質量分析法とを用いて行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のマッピング方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のマッピング方法により絞り込まれた領域のSNPを解析することにより、標的遺伝子を特定する方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により特定された遺伝子。
- 請求項10に記載の遺伝子がコードする蛋白質。
- 請求項11に記載の蛋白質に対する抗体。
- 請求項10に記載の遺伝子の一方の鎖またはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
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