JP2004508003A - 一ヌクレオチド多型を含む核酸およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、転写されたヒト配列について同定された一ヌクレオチド多型を含む核酸、ならびにこの核酸の使用方法を提供する。従って、1つの局面において、本発明は、本明細書中で記載される1以上のSNPを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、表1および配列表(配列番号1〜7024)に示される1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であり得、そして多型性部位を含む限り、多型配列または多型配列のフラグメントを含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、1以上の配列に相補的な配列(配列番号1〜7024)、または相補的ヌクレオチド配列のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含む。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。
Description
【0001】
(発明の背景)
核酸配列の配列多型性に基く分析は、個体の同一性および関連性を決定する以前に公知の方法を増強または置き換え得る。このアプローチは、一般的に関連する個体間の核酸配列における変化に基く。この分析は、遺伝的、診断的、そして法医学的な種々の適用に幅広く使用されてきた。例えば、多型性分析は、同一性分析および父子分析において、および遺伝子マッピング研究において使用される。
【0002】
このような型のバリエーションの1つは、制限フラグメント長多型(RFLP)である。RFLPSは、第2の核酸に関連する1つの核酸における制限エンドヌクレアーゼの認識配列を生成または欠失し得る。バリエーションの結果は、2つの核酸のDNAフラグメントを生成する制限酵素の相対的な長さの変化である。
【0003】
他の多型性は、ショートタンデムリピート(STR)配列の形態を取り、これはまた、タンデムリピートの変数(VNTR)配列として言及される。STR配列は、代表的には、2、3、または4ヌクレオチド配列のタンデムリピートを含み、この配列は、1つの個体由来であるが第2の個体由来ではない核酸に存在し、個体を対応するゲノム位置で関係付ける。
【0004】
他の多型は、単一ヌクレオチドバリエーションの形態を取り、個体間の単一ヌクレオチド多型(SNP)と名づけられた。いくつかの例で、SNPは、cDNAとしてSNP起源を含むヌクレオチド配列を表すために「cSNP」のように言われ得る。
【0005】
SNPは、いくつかの方法で生じ得る。単一ヌクレオチド多型は、多型性部位で別のヌクレオチドに対する1つのヌクレオチドの置換に起因して起こり得る。置換は、トランジションまたはトランスバージョンであり得る。トランジションは、1つのプリンヌクレオチドの別のプリンヌクレオチドによる置換、または、ピリミジンの別のピリミジンによる置換である。トランスバーションは、ピリミジンによるプリンの置換、またはその逆である。
【0006】
単一ヌクレオチド多型はまた、参照対立遺伝子に関するヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。従って、この多型性部位が、別の対立遺伝子における単一ヌクレオチドに関するギャップを保有する1つの対立遺伝子での部位である。いくつかのSNPは、遺伝子内または遺伝子近傍で生じる。このようなクラスの1は、ポリペプチド産物をコードする遺伝子領域内にあるSNPを含む。これらのSNPは、ポリペプチド産物のアミノ酸配列の変化を生じ得、そして不完全なタンパク質または他の改変体タンパク質の発現を起こさせる。いくつかの場合において、このような改変体産物は、病理学的な状態(例えば、遺伝的疾患)のを生じ得る。コード配列内の多型性遺伝子が、遺伝的疾患を引き起こす例として、鎌状赤血球貧血および嚢胞性線維症が挙げられる。他のSNPは、ポリペプチド産物の変化を生じない。もちろん、SNPは、遺伝子の非コード領域にも生じ得る。
【0007】
SNPは、高頻度で起こる傾向にあり、ゲノム全体に均一に間隔をあける。SNPの頻度および均一性は、このような多型が、目的の遺伝的な位置の近傍に見出される高い可能性があることを意味する。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、ヒトDNA領域の単一ヌクレオチド多型(SNP)の発見に一部基く。
【0009】
従って、1つの局面において、本発明は、本明細書中で記載される1以上のSNPを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、表1および配列表(配列番号1〜7024)に示される1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であり得、そして多型性部位を含む限り、多型配列または多型配列のフラグメントを含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、1以上の配列に相補的な配列(配列番号1〜7024)、または相補的ヌクレオチド配列のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含む。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。
【0010】
ポリヌクレオチドは、例えば、DNAまたはRNAであり得、そして約10ヌクレオチド長と100ヌクレオチド長の間(例えば、10〜90、10〜75、10〜51、10〜40、または10〜30ヌクレオチド長)であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、多型配列中の多型性部位は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む(例えば、多型性部位は、多型配列について表1の列6に列挙されたヌクレオチドを含む)。
【0012】
他の実施形態において、多型性部位の相補体は、多型配列の相補体(例えば、多型配列について表1の列6に列挙されたヌクレオチドの相補体)について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、多型配列は、本明細書中で記載されたタンパク質ファミリーの1つに関するポリペプチドと関連する。例えば、核酸は、表1の列10に同定されるATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または他の任意のタンパク質に関するポリペプチドと関連し得る。
【0014】
別の局面において、本発明は、多型性部位を含む第1のポリヌクレオチドとハイブリダイズする単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列であり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む。あるいは、第1のポリヌクレオチドは、多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であり得(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む)、または1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列であり得る(ただし、相補的ヌクレオチド配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む)。さらに、第1のポリヌクレオチドは、相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列を含む。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズしない。第2のポリヌクレオチドは、例えば、(a)1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列(ここで多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを含む);(b)任意の多型配列のフラグメントである核酸配列;(c)1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列(ここで多型配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を含む);および(d)相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む)であり得る。
【0016】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約10塩基長と75塩基長の間、10塩基長と51塩基長の間、10塩基長と約40塩基長の間、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0017】
本発明はまた、核酸中の多型性部位を検出する方法を提供する。この方法は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと核酸を接触する工程を包含する。ただし、この多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、またはこの相補体が、表1の列5に列挙されるヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。この方法はまた、核酸およびオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするか否かを決定する工程を包含する。オリゴヌクレオチドの核酸配列へのハイブリダイゼーションは、核酸中の多型性部位の存在を示す。
【0018】
好ましい実施形態において、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを多型配列が含む場合、または多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を多型配列の相補体が含む場合、オリゴヌクレオチドは、多型配列とハイブリダイズしない。
【0019】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは約10塩基長と75塩基長、10塩基長と51塩基長、10塩基長と約40塩基長、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0020】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドによって同定された多型配列は、本明細書中で開示される1つのタンパク質ファミリーの1つに関するポリペプチドに関連する。例えば、核酸は、表1の列10に同定されるATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または他の任意のタンパク質ファミリーに関するポリペプチドと関連し得る。
【0021】
別の局面において、この方法は、配列多型が被験体(例えば、ヒト)中に存在するか否かを決定する工程を包含する。この方法は、被験体由来の核酸を提供する工程および配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと核酸を接触させる工程を包含する。ただし、この多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチド、または表1の列5に列挙されるヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む相補体を含む。次に、核酸およびオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションが決定される。オリゴヌクレオチドの核酸配列へのハイブリダイゼーションは、前記被験体中の多型性の存在を示す。
【0022】
さらなる局面において、本発明は、第1の核酸および第2の核酸の関連性を決定する方法を提供する。この方法は、第1の核酸および第2の核酸を提供する工程、および第1の核酸と第2の核酸を配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触する工程を包含する。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。この方法はまた、第1の核酸および第2の核酸がオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするか否かを決定する工程、ならびに第1の核酸および第2の核酸とオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを比較する工程を包含する。第1の核酸および第2の核酸とこの核酸とのハイブリダイゼーションは、第1の被験体および第2の被験体が関連することを示す。
【0023】
好ましい実施形態において、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを多型配列が含む場合、または、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を多型配列の相補体が含む場合、オリゴヌクレオチドは、多型配列とハイブリダイズしない。
【0024】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは約10塩基長と75塩基長、10塩基長と51塩基長、10塩基長と約40塩基長、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0025】
この方法は種々の用途に使用され得る。例えば、第1の核酸は、事件現場で集められた物理的証拠から単離され得、そして第2の核酸は、この事件を犯したことが疑われる人から得られ得る。この方法を使用して2つの核酸を対応させることは、物理的証拠がこの人に由来するか否かを確立し得る。
【0026】
別の例において、第1のサンプルは、子の父であると思われるヒト男性由来であり得、第2のサンプルは子由来であり得る。記載された方法を使用して対応を確立することにより、この男性が子の父であるか否かが確立され得る。
【0027】
別の局面において、本発明は、1以上のアミノ酸残基に多型性部位を含む単離されたポリペプチドを提供し、ここで、このタンパク質は、多型配列(配列番号1〜7024)またはこれらの相補体の1つを含むポリヌクレオチドによりコードされる。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0028】
ポリペプチドは、例えば、本明細書中で記載されたタンパク質ファミリーの1つに関連し得る。例えば、ポリペプチドはATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または表1の列10に提供される任意の他のタンパク質と関連し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、野生型タンパク質と同一のオープンリーディングフレームで翻訳され、この野生型タンパク質のアミノ酸配列は、多型の部位以外は多型性タンパク質のアミノ酸配列と同一である。
【0030】
いくつかの実施形態において、多型配列によりコードされるポリペプチド、またはその相補体は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含むか、またはその相補体は、表1の列6に列挙されるヌクレオチドの相補体を含む。
【0031】
本発明はまた、多型配列(配列番号1〜7024)からなる群より選択されるポリヌクレオチドまたはその相補体によってコードされるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、またはその相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗体は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合する。
【0033】
好ましくは、抗体は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合しない。
【0034】
本発明は、被験体中の1以上のアミノ酸残基多型を有するポリペプチドの存在を検出する方法をさらに提供する。この方法は、被験体由来のタンパク質サンプルを提供する工程、およびそのサンプルを抗体−抗原複合体を形成させる条件下で上記抗体に接触させる工程を包含する。次に抗体−抗原複合体が検出される。複合体の存在は、ポリペプチドの存在を示す。
【0035】
本発明はまた、被験体(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウシ、ブタ、ヤギ、またはウサギ)における配列多型の存在に起因する病状を患う、そのような病状の危険性のある、そのような病状が疑われる、そのような病状を患う被験体を処置する方法を提供する。この方法は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体を含む第1の核酸の異常な発現に関連する病状を患う被験体を用意する工程、および治療剤の有効用量を被験体に投与することにより被験体を処置する工程を包含する。異常な発現は、遺伝子の発現における定性的変化(例えば、野生型対応物に関して変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現)を含み得る。定性的に異なるポリペプチドは、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列と比較してより短いポリペプチド、より長いポリペプチド、または変化したポリペプチドを含み得る。異常な発現はまた、遺伝子の発現において定性的な変化を含む。遺伝子発現における定性的な変化の例として、野生型対応物と比較してより低いレベルの遺伝子発現もしくはより高いレベルの遺伝子発現、または遺伝子の時間的または組織特異的な発現パターンにおける変化が挙げられる。最後に、異常な発現はまた、遺伝子発現における定性的および定量的変化の組み合わせを含み得る。
【0036】
治療剤として、例えば、多型配列を含む第2の核酸が挙げられ得る。ただし、第2の核酸は、野生型対立遺伝子に存在するヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列を含む。
【0037】
あるいは、治療剤は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列を含むポリヌクレオチド、または多型配列(配列番号1〜7024)の任意の1つに相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含む。
【0038】
治療剤は、本明細書中に記載されるような抗体、または配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列を含むオリゴヌクレオチド、または多型配列(配列番号1〜7024)の任意の1つに相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドをさら含み得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む。
【0039】
別の局面において、本発明は、第1のポリヌクレオチドとこれに含まれる多型性部位でハイブリダイズする1以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドアレイを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列;任意のヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは多型配列中に多型性部位を含む);1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列;または相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは、多型配列に多型性部位を含む)であり得る。
【0040】
好ましい実施形態において、このアレイは、10;100;1,000;10,000;100,000以上のオリゴヌクレオチドを含む。
【0041】
本発明はまた、本明細書中に記載された1以上の核酸を含むキットを提供する。キットは、例えば、本明細書中で記載される1以上のSNPを含むポリヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドは、例えば、表1および配列表(配列番号1〜7024)に示される1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であり得、そしてこれは、多型配列、または多型配列のフラグメント(これが多型性部位を含む限り)を含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、1以上の配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列、またはこの相補的ヌクレオチド配列のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含み得る。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。本発明は、多型性部位を含む第1のポリヌクレオチドとハイブリダイズする単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列であり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む。あるいは、第1のポリヌクレオチドは、多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であり得る(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位、または1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的なヌクレオチド配列を含む(ただし、この相補的ヌクレオチド配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む)。第1のポリヌクレオチドは、相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列をさらに含み得る。ただしこのフラグメントは、多型配列に多型性部位を含む。
【0042】
定義しない限り、本発明使用される全ての技術および特定の用語は、本発明に属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載される方法および材料に類似または等価な方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本明細書中で述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。コンフリクトの場合には、定義を含む本明細書を調整する。さらに、材料、方法および例は、例示のみであって限定することは意図されない。
【0043】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および上記特許請求の範囲から明らかである。
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以前にはまだ同定されていなかった遺伝子に基く3,404の明確な多型性部位(すなわち、ヒトcSNPの)を提供する。これらは、本特許出願に含まれる表に記載される。本願は、以前に同定されていない核酸配列の多型性のみを示す。この理由について、参照多型性対についてのヌクレオチド配列の両方が本願に示される。本発明以前にはどちらの配列も公知ではなかったので、「参照」配列と名づける同族対の1つの配列、および「多型性」配列として名づける第2の同族対の選択は任意である。
【0045】
SNPは、表1および配列表に示される。両方が、本明細書中に記載される多型配列の概要を提供する。表において、「SNP」は、多型配列に包埋される多型性部位である。多型性部位は、単一ヌクレオチドによって占有され、これは、野生型対立遺伝子配列と多型性対立遺伝子配列間のヌクレオチド位置のバリエーションである。この部位は、通常、対立遺伝子の相対的に高度に保存された配列により先行されかつ後に続かれる(例えば、1/100または1/1000以内の数で変化する集団の配列)。従って、多型配列は、次の1以上の配列を含み得る:(1)多型配列中の多型性部位で表1の列5に示されるヌクレオチドを有する配列;または(2)多型配列中の多型性部位で表1の列5に示されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを有する多型配列。後者の配列の例は、多型配列中の多型性部位で表1の列6に示されるヌクレオチドを有する配列である。
【0046】
参照された多型性対についてのヌクレオチド配列は、表1に表される。cSNPの各項目は、野生型ヌクレオチド配列および多型性部位でSNPを含む対応する配列に関する情報を提供する。野生型配列は既に公知であるため、本願に添付する配列表は、多型性対立遺伝子の配列のみを提供する;その配列番号(SEQ ID NO:)はまた、表1において相互参照される。翻訳されたアミノ酸配列を提供する配列番号に対する参照もまた、適切である場合には提供される。表は、各cSNPについて記述的な情報を提供する13の列を含み、その各々は、表の1つの行を占有する。各々の列の表題および説明は以下に示される。
【0047】
「配列番号(SEQ ID)」は、2つのヌクレオチド配列番号に対する相互参照を提供する:同族対について、これは連続して番号付けされ、そして以下に説明されるように本願の配列表にアミノ酸配列番号も番号付けされる。逆に、配列表における各配列の項目はまた、標識「CyraGen配列ID」のもと、CuraGen配列IDに対する相互参照を含む。表の各行の第1の列の各行に示される配列番号の第1の対は、多型についての核酸配列を同定する配列番号である。多型性がアミノ酸部分についてその行の項目を保有する場合、3番目の配列番号は、参照アミノ酸配列について、列「アミノ酸前」(以下を参照)の括弧内に表し、そして4番目の配列番号は、多型性アミノ酸配列について、列「アミノ酸後」(以下を参照)の括弧内に表す。後者の配列番号は、ヌクレオチド多型性の翻訳物である同族の参照アミノ酸配列および多型性アミノ酸配列を示すアミノ酸配列を言う。多型がその行のタンパク質部分についての項目を保有しない場合、1つの対の配列番号のみが1番目の列に提供される。
【0048】
「SNPの塩基の位置」は、核酸の数的なヌクレオチド位置を示し、本発明で同定されるように、そこでcSNPが見出される。
【0049】
「多型配列」は、配列の26番目の塩基で多型性部位を有する51塩基配列、および多型性部位の5’側および3’側上の参照配列由来の25塩基を提供する。多型性部位での名称は、角括弧で囲まれ、そして第1に参照配列;第2に「スラッシュ(/)」;そして第3に多型性ヌクレオチドを提供する。特定の場合において、多型性は、挿入または欠失である。そのような場合、「満たされていない(unfilled)」(すなわち、参照位置または多型性位置)位置は、用語「ギャップ(gap)」によって示される。
【0050】
「前の塩基」は、多型性が見出される位置の参照配列中に存在するヌクレオチドを提供する。
【0051】
「後の塩基」は、多型性の位置で変化したヌクレオチドを提供する。
【0052】
「前のアミノ酸」は、多型がコード領域に生じる場合に、参照タンパク質中のアミノ酸を提供する。この列はまた、多型がコード領域に生じる場合に翻訳された参照アミノ酸配列について括弧内に配列番号を含む。
【0053】
「後のアミノ酸」は、コード領域に多型が生じる場合に、多型性タンパク質中のアミノ酸を提供する。この列はまた、多型がコード領域に生じる場合、翻訳された多型性アミノ酸配列について括弧内に配列番号を含む。
【0054】
「変化の型」は、天然の多型についての情報を提供する。
【0055】
「サイレント−非コード(SILENT−NONCODING)」は、多型が核酸の非コード領域に生じる場合に使用される。
【0056】
「サイレント−コード(SILENT−CODING)」は、多型が核酸のコード領域に生じ、翻訳された多型性タンパク質におけるアミノ酸の変化を生じない場合に使用される。
【0057】
「保存的(CONSERVATIVE)」は、多型性が核酸のコード領域に生じ、参照アミノ酸と同じクラスに入る変化したアミノ酸に変化を与える場合に使用される。このクラスは以下である:
脂肪族:Gly、Ala、Val、Leu、Ile;
芳香族:Phe、Tyr、Trp;
硫黄含有:Cys、Met;
脂肪族OH:Ser、Thr;
塩基性:Lys、Arg、His;
酸性;Asp、Glu、Asn、Glu;
Proは他のどのクラスにも入らない;および
Endは終結コドンを定義する。
【0058】
「非保存的(NONCONSERVATIVE)」は、多型性が、核酸のコード領域に生じ、そして参照アミノ酸配列よりも異なるクラスに入る変化したアミノ酸に変化を与える場合に使用される。
【0059】
「フレームシフト(FLAMESHIFT)」は、挿入または欠失に関する。フレームシフトが、コード領域に生じる場合、この表は、多型性部位に対してフレームシフトしたコドン3’の翻訳物を提供する。
【0060】
「CuraGen遺伝子のタンパク質の分類」は、タンパク質が分類される遺伝子の分類を提供する。上記同定された4つのアプリケーションのファイリングを読む作業過程の間に、約100のタンパク質分類が同定された。これらは、以下にさらに記載される。
【0061】
「CuraGen配列のBLASTX分析に従って同定されたタンパク質の名称」は、新規な参照多型性同族対に対して最も緊密に類似することが見出されるタンパク質についての参照データベースを提供する(次の段落は、配列がどのようにして「新規」であると決定されたかを説明する)。
【0062】
「BLASTX分析に従う類似性(p値)」は、p値(多型配列が参照配列または野生型配列に類似する(従って、これらの配列の対立遺伝子遺伝子である)というBLASTX分析からの統計学的測定値)を提供する。本願において、p値のカットオフ>1×10−50(表に1.0E−50として入力される)が、参照多型性同族対が新規であることを確立するために使用される。
【0063】
「地図位置」は、出願時点での染色体上の遺伝子の位置に関連する利用可能な任意の情報を提供する。
【0064】
多型は、以下の順番で表にまとめられる。
【0065】
配列番号1〜6592は(連続した対)サイレントなSNPである。
【0066】
配列番号6593〜6648は(連続した対)保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPである。
【0067】
配列番号6649〜7024は(連続した対)非保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPである。
【0068】
配列番号6809〜6864は(連続した対)参照配列と多型配列の間の保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPにより提供されるタンパク質産物の多型性アミノ酸残基で集中したアミノ酸配列である。これらのアミノ酸の配列番号は、1999年11月30日に出願されたU.S.S.N.60/168,138に記載される対応するヌクレオチド配列番号44335〜44850に由来する。多型性部位のいずれかの側の7または8アミノ酸が示される。これらの配列の順番は、同族ヌクレオチド配列の提示の順番を反映するらしく、これは表に示される。
【0069】
配列番号6865〜7024は(連続した対で)参照配列と多型配列の間の非保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPにより提供されるタンパク質産物の多型性アミノ酸残基で集中したアミノ酸配列である。これらのアミノ酸の配列番号は、1999年11月30日に出願されたU.S.S.N.60/168,138に記載される対応するヌクレオチド配列番号44851〜46464に由来する。多型性部位のいずれかの側の7または8アミノ酸が示される。これらの配列の順番は、同族ヌクレオチド配列の提示の順番を反映するらしく、これは表に示される。
【0070】
これらの多型を有する核酸配列を含むか、またはこのような核酸配列の検出が可能である組成物、および核酸を使用する方法が、本明細書中で提供される。
【0071】
(SNPを保持する個体の同定)
本発明の多型対立遺伝子を保持する個体は、当該分野で周知の種々の技術を使用して、DNA、RNAまたはタンパク質レベルで検出され得る。同定および検出のためのストラテジーは、例えば、EP 730,663、EP 717,113およびPCT US97/02102に記載される。これらの方法は、通常、予め特徴付けた多型を使用する。つまり、ある部位に存在する多型形態の遺伝子型を決める位置および性質が、決定されている。この情報の利用能は、これらの既知の多型形態の特異的同定のための、プローブのセットの設計を可能にする。
【0072】
以下に記載の多くの方法は、標的サンプル由来のDNAの増幅を必要とする。これは、例えば、PCRによって達成され得る。一般には、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplificaton(H.A.Erlich編、Freeman Press,NY,NY,1992);PCR Protocols:A Guide to Methods and Appplications(Innisら編、Academic Press,San Diego,CA、1990);Mattilaら、Nucleic Acids Res.19,4967(1991);Eckertら、PCR Methods and Applications 1、17(1991);PCR(McPhersonら編、IRL Press、Oxford);米国特許第4,683,202号を参照のこと。
【0073】
句「組換えタンパク質」または「組換え産生されたタンパク質」とは、このタンパク質を発現し得るDNAの内因性コピーを有さない非天然の細胞を使用して産生された、ペプチドまたはタンパク質をいう。特に、本明細書中で使用する場合、組換え産生されたタンパク質は、多型対立遺伝子の遺伝子産物(すなわち、「多型タンパク質」)に関し、これは、そのヌクレオチド多型の翻訳産物のその部位にて、変更されたアミノ酸を含む。これらの細胞は、適切な核酸配列の導入によって遺伝的に変更されているので、このタンパク質を産生する。この組換えタンパク質は、このタンパク質を産生する細胞に通常に関連するタンパク質および他の細胞内成分と共に見出されない。用語「タンパク質」および「ペプチド」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0074】
句「実質的に精製された」または「単離された」とは、核酸、ペプチドまたはタンパク質に対して言及する場合、その化学組成物が、それが天然に関連する他の細胞成分をほとんど含まないかまたは好ましくは全く含まない環境にあることを意味する。従って、句「単離された」または「実質的に純粋」とは、宿主細胞中の核酸に通常に関連する少なくとも1つのタンパク質または核酸を欠く、核酸調製物をいう。これは、好ましくは、均質な状態にあるが、乾燥または水溶液中のいずれかにあり得る。純度および均一性は、代表的に、ゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を使用して測定される。一般に、実質的に精製または単離された核酸またはタンパク質は、この調製物に存在する全ての高分子種のうちの80%以上を含む。好ましくは、この核酸またはタンパク質は、存在する全ての高分子種のうちの90%以上を示すよう精製される。より好ましくは、この核酸またはタンパク質は、95%以上に精製され、そして最も好ましくは、この核酸またはタンパク質は、実質的に均質なまでに精製され、ここでは、他の高分子種は、従来の分析手段によって検出されない。
【0075】
診断用に使用するゲノムDNAは、身体の任意の有核細胞(例えば、末梢血、尿、唾液、口腔サンプル、外科的標本および剖検標本)から得られ得る。このDNAは、直接使用してもよく、または変異分析の前に、PCR(Saikiら、Science 239:487−491(1988))または他のインビトロ増幅方法(例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace Genomics 4:560−569(1989))、鎖置換増幅(SDA)(Walkerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:392−396(1992))、自己持続配列複製(3SR)(Fahyら、PCR Methods P&J& 1:25−33(1992)))の使用によって、インビトロで酵素的に増幅してもよい。
【0076】
変異検出に適切な形態にある核酸を調製するための方法は、当該分野で周知である。「核酸」は、一本鎖または二本鎖形態にあるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーであり、これには、他に示されない限り、天然のヌクレオチドの公知のアナログが含まれる。用語「核酸」とは、本明細書中で使用する場合、DNAまたはRNAのいずれかをいう。「核酸配列」または「ポリヌクレオチド配列」とは、5’末端から3’末端へのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の読み取り(read)の一本鎖配列をいう。新生のRNA転写物の5’→3’付加の方向は、転写方向と呼ばれ;このRNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありかつこのRNA転写物の5’末端を5’方向に越える配列領域は、「上流配列」と呼ばれ;このRNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありかつこのRNA転写物の3’末端を3’方向に越える配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。この用語は、自己複製プラスミド、DNAまたはRNAの感染性ポリマー、および非機能的DNAまたはRNAを含む。本発明の任意の核酸配列の相補体は、この配列の定義に含まれると理解される。「核酸プローブ」は、DNAまたはRNAのフラグメントであり得る。
【0077】
特定のDNA配列における多型の検出は、種々の方法によって達成され得る。この種々の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:対立遺伝子特異的制限エンドヌクレアーゼ切断に基づく制限フラグメント長多型検出(KanおよびDozy Lancet ii:910−912(1978))、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブでのハイブリダイゼーション(Wallaceら、Nucl.Acids.Res.6:3543−3557(1978))(固定オリゴヌクレオチド(Saikiら、Proc.Natl.Acad.SCI.USA、86、6230−6234(1969))またはオリゴヌクレオチドアレイ(MaskosおよびSouthern Nucl.Acids.Res 21:2269−2270(1993))を含む)、対立遺伝子特異的PCR(Newtonら、Nucl Acids Res 17:2503−2516(1989))、ミスマッチ修復検出(MRD)(FahamおよびCox Genome Res 5:474−482(1995))、MutSタンパク質の結合(Wagnerら、Nucl Acids Res 23:3944−3948(1995))、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(FisherおよびLermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1579−1583(1983))、一本鎖高次構造多型検出(Oritaら、Genomics 5:874−879(1983))、ミスマッチ塩基対のRNAase切断(Myersら、Science 230:1242(1985))、ヘテロ二重鎖DNAの化学的切断(Cottonら、Proc.Natl.Acad.SCI.USA、8Z4397−4401(1988))または酵素的切断(Youilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:87−91(1995))、対立遺伝子特異的プライマー伸長に基づく方法(Syvanenら、Genomics 8:684−692(1990))、遺伝子ビット(genetic bit)分析(GBA)(Nikiforovら、&&I Acids 22:4167−4175(1994))、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(Landegrenら、Science 241:1077(1988))、対立遺伝子連結鎖反応(LCR)(Barrany Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:189−193(1991))、ギャップ−LCR(Abravayaら、Nucl Acids Res 23:675−682(1995))、当該分野で周知の標準的手順を使用する放射活性および/または蛍光DNA配列決定、およびペプチド核酸(PNA)アッセイ(Orumら、Nucl.Acids Res,21:5332−5356(1993);Thiedeら、Nucl.Acids Res.24:983−984(1996))。
【0078】
「特異的ハイブリダイゼーション」または「選択的ハイブリダイゼーション」とは、配列が複合混合物中(例えば、総細胞DNAまたはRNA)に存在する場合に、適切にストリンジェントな条件下での、核酸分子の、その核酸が相補的な第2の特定のヌクレオチド配列のみに対する結合または二重鎖形成をいう。「ストリンジェント条件」は、プローブが、その標的サブ配列にハイブリダイズするが他の配列にハイブリダイズしない条件である。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、そして異なる環境下で異なる。長い配列ほど、短い配列よりも、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェント条件は、規定のイオン強度およびpHで、その温度が、ハイブリダイゼーションが生じることが意図される特定の配列についての熱融解点(Tm)よりも、約5℃低い温度であるように選択される。Tmは、(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)標的配列の50%が、その相補的プローブに平衡状態でハイブリダイズする温度である。代表的に、ストリンジェント条件は、pH7.0〜8.3で、少なくとも約0.01〜約1.0M Naイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を含む。温度は、短いペプチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)について、少なくとも約30℃である。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によって達成され得る。例えば、5×SSPE(750mM NaCl、50mM リン酸Na、5mMEDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度の条件が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適切である。
【0079】
「相補的」または「標的」核酸配列とは、核酸プローブに選択的にハイブリダイズする核酸配列をいう。適切なアニーリング条件は、例えば、プローブの長さ、塩基組成、およびプローブ中のミスマッチの数および位置に依存し、そしてしばしば、経験的に決定される。核酸プローブの設計およびアニーリング条件の考察については、例えば、Sambrookら、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1987)を参照のこと。
【0080】
完全に一致したプローブは、特定の標的配列に対して完全に相補的な配列を有する。試験プローブは、典型的に、標的配列の一部に対して完全に相補的である。「多型」マーカーまたは部位は、配列の差が参照配列に対して生じる位置である。多型マーカーは、制限フラグメント長多型、可変数のタンデム反復(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純な配列反復、および挿入エレメント(例えば、Alu)を含む。基準対立遺伝子形態は、例えば、集団において最も大量の形態、または同定される第1の対立遺伝子形態であり得、そして他の対立遺伝子形態は、代替物、改変体または多型対立遺伝子として設計される。選択された集団において最も頻繁に生じる対立遺伝子形態は、時折、「野生型」形態と称され、そして本明細書中において、「基準」形態とも称され得る。二倍体生物は、対立遺伝子形態に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。二対立遺伝子多型は、2つの識別可能な形態(すなわち、塩基配列)を有し、そして三対立遺伝子多型は、3つのそのような形態を有する。
【0081】
本明細書中で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」は、2〜約60塩基の範囲の長さの一本鎖核酸である。オリゴヌクレオチドはしばしば合成的であるが、天然に存在するポリヌクレオチドから生成され得る。プローブは、1つ以上のタイプの化学結合を介して、通常は水素結合の形成による相補的塩基対形成を介して、相補的配列の標的核酸に結合し得るオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドプローブは、しばしば、5塩基と60塩基との間であり、特定の実施形態において10〜40塩基の間、または15〜30塩基の間の長さであり得る。オリゴヌクレオチドプローブは、天然の塩基(すなわち、A、G、C、またはT)、または改変された塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドプローブ中の塩基は、ホスホジエステル結合以外の結合(例えば、ホスホルアミダイト結合またはホスホロチオエート結合)によって連結され得るか、あるいはこれらは、ペプチド核酸であり得、ここで、成分塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合よりむしろペプチド結合によって連結される。
【0082】
本明細書中で使用する場合、用語「プライマー」とは、適切な緩衝液および適切な温度において、適切な条件下(例えば、4個の異なるヌクレオシド三リン酸および重合試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)の存在下)でテンプレート指向性DNA合成の開始点として作用する一本鎖オリゴヌクレオチドをいう。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される用途に依存するが、典型的には、15〜30ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は、一般的に、テンプレートと十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とする。プライマーは、好ましくは、テンプレートの正確は配列に対して相補的である必要はないが、それにハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。用語「プライマー部位」とは、プライマーがハイブリダイズする標的DNAの配列をいう。用語「プライマー対」とは、増幅されるDNA配列の5’末端にハイブリダイズする5’(上流)プライマー、および増幅される配列の3’末端の相補体にハイブリダイズする3’(下流)プライマーを含むプライマーのセットをいう。
【0083】
DNAフラグメントは、例えば、プラスミドDNAを消化することによって、またはPCRを使用することによって調製され得る。プライマーまたはプローブとして使用するためのオリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの化学合成の分野において公知の方法によって化学的に合成され、この例としては、例えば、BeaucageおよびCarruthers,Tetrahedron Lett 22:1859〜1862(1981)により記載されるホスホルアミダイト法、およびMatteucciら、J.Am.Chem.Soc.,103:3185(1981)によって提供されるトリエステル方法が挙げられるが、これらに限定されず、これら両方の方法は、本明細書中で参考として援用される。これらの合成は、Needham−VanDevanter,D.R.ら、Nucleic Acids Res.12:61596168(1984)に記載されるような自動合成機を用い得る。オリゴヌクレオチドの精製は、ネイティブのアクリルアミドゲル電気泳動によって、またはPearson,J.D.およびRegnier,F.E.,J.Chrom.,255:137〜149(1983)に記載されるような陰イオン交換HPLCによってのいずれかによって行われ得る。次いで、所望の場合、二本鎖フラグメントは、適切な相補的一本鎖を適切な条件下で一緒にアニーリングすることによって、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を合成することによって得られ得る。核酸プローブに対して特異的な配列が得られる場合、相補鎖もまた同定されそして含まれることが理解される。相補鎖は、標的が二本鎖核酸である場合において十分に等しく働く。
【0084】
合成オリゴヌクレオチドの配列または任意の核酸フラグメントの配列は、ジデオキシ鎖終結法またはMaxam−Gilbert法のいずれかを使用して得られ得る(Sambrookら、Molecular Cloning−a Laboratory Manual(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,(1989)(これは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。このマニュアルは、本明細書中以下で、「Sambrookら」;Zyskindら(1988)と称される。Recombinant DNA Laboratory Manual(Acad.Press,New York)。診断アッセイにおいて有用なオリゴヌクレオチドは、典型的に、少なくとも8個の連続したヌクレオチド長であり、そして上方に18ヌクレオチド長〜100以上の連続したヌクレオチドまでの範囲の長さであり得る。
【0085】
本発明の別の局面は、本発明のSNP含有ヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズ可能であるかまたはこれに相補的である単離されたアンチセンス核酸分子、そのフラグメント、アナログまたは誘導体に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補的、またはmRNA配列に対して相補的)である、ヌクレオチド配列を含む。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的であるヌクレオチド配列を含む。特定の局面において、少なくとも約10、約25、約50、または約60ヌクレオチドまたはSNPコード鎖全体、またはそれらの一部のみに対して相補的な配列を含むアンチセンス核酸分子が提供される。
【0086】
一実施形態において、アンチセンス核酸分子は、本発明の多型ヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接する5’および3’配列をいう(すなわち、5’および3’非翻訳領域をいう)。
【0087】
本明細書中で開示されるコード鎖配列の場合、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickまたはHoogsteen塩基対形成の役割に従って設計され得る。例えば、アンチセンス核酸分子は、一般的に、mRNAのコード領域全体に対して相補的であり得るが、より好ましくは、本明細書中で具体化されるように、これは、mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約5ヌクレオチドと約60ヌクレオチドとの間の範囲の長さであり得、好ましくは、約10ヌクレオチドと約45ヌクレオチドとの間、より好ましくは約15ヌクレオチドと40ヌクレオチドとの間、さらにより好ましくは約15ヌクレオチドと30ヌクレオチドとの間の長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用する化学合成または酵素的ライゲーション反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された多様に改変されたヌクレオチドを使用して化学的に合成され得る。例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る。
【0088】
アンチセンス核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ユブトキソシン(wybutoxosine)、プセウドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを使用して生物学的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に向かうアンチセンス方向であり、これは以下の節にさらに記載される)。
【0089】
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的に被験体に投与されるか、またはインサイチュで産生され、その結果、これらは、多型タンパク質をコードする細胞のmRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズするかまたはこれらに結合し、それにより例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害する。ハイブリダイゼーションは、従来のヌクレオチド相補体によってであり、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二本鎖へリックスの主溝における特定の相互作用によって、安定な二本鎖を形成し得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例としては、組織部位における直接注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択した細胞を標的化するように改変され、次いで全身的に投与され得る。例えば、全身投与について、アンチセンス分子は、アンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、それらが選択された細胞表面で発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中で記載されるベクターを使用して細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下におかれるベクター構築物が好ましい。
【0090】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的なRNAと特定の二本鎖ハイブリッドを形成し、その中では、通常の単位とは反対に、鎖は互いに平行に走る(Gaultierら、(1987)Nucleic Acids Res 15:6625−6641)。そのアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、(1987)Nucleic Acids Res 15:6131−6148)、またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、(1987)FEBS Lett 215:327−330)を含み得る。
【0091】
以下の用語は、2つ以上の核酸またはポリヌクレオチドの間の配列関係を記載するために使用される:「参照配列」「比較ウインドウ」「配列同一性」「配列同一性の百分率」および「実質的な同一性」。「参照配列」は配列比較のための基準として使用される規定された配列である;参照配列はより大きな配列のサブセット(例えば、配列リストの中に提供される、全長cDNAあるいは遺伝子配列のセグメントのような)であり得るか、または完全なcDNAあるいは遺伝子配列を含み得る。比較ウインドウを整列するための、配列の最適な整列は、例えば、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(Adv.AppI.Math,2482(1981))によって、NeedlemanおよびWunschの相同性整列アルゴリズム(J.Mol.Biol.48:443(1970))によって、PearsonおよびLipmanの類似性方法に対する検索(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.852444(1988))によって、またはこれらのアルゴリズムのコンピュータ化されたインプリメンテーション(例えば、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIの中の、GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって実行され得る。
【0092】
本発明のcSNP’sを内部にもつ核酸配列の核酸操作のための技術(例えば、ポリペプチドをコードしている核酸配列の発現ベクター内へのサブクローニング、プローブの標識、DNAハイブリダイゼーションなど)は、一般的にSambrookらに記載されている。「コードしている核酸配列」という句は、特定のタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列の発現を指示する核酸をいう。核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖配列、およびタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列に翻訳されるRNA配列の両方を含む。核酸配列は、本明細書中に記載の全長の核酸配列、および全長のタンパク質由来の非全長配列の両方を含む。その配列が、特定の宿主細胞においてコドン優先を提供するために導入され得るネイティブな配列の縮重コドンを含むことが、さらに理解されている。その結果として、プローブ選択、およびアレイ設計の原理は、さらに複雑な多型を分析することに容易に拡大され得る(EP730,663を参照のこと)。例えば、3対立遺伝子(triallelic)のSNP多型を特徴付けるために、3つのグループのプローブは、上記に記載のような3つの多型の型上に設置(tile)することによって設計され得る。さらなる例としては、ヌクレオチドの欠失を含む2対立遺伝子多型を分析するために、参照配列として欠失が引き起こされていない多型の型に基づくプローブの第1グループ、および参照配列として欠失型に基づいたプローブの第2のグループを設置し得る。
【0093】
ゲノムDNAのアッセイのために、実質的に任意の生物学的に好都合な組織サンプルが使用され得る。適切なサンプルとしては、全血液、血清、唾液、涙液、尿、糞便物質、汗、頬、皮膚、および毛が挙げられる。ゲノムDNAは代表的に、分析の前に増幅される。増幅は通常、適切なフラグメント(例えば、分析される多型位置を含む50〜500ヌクレオチドのフラグメント)に隣接するプライマーを使用するPCRによってもたらされる。標的は通常、増幅の間に標識される。増幅産物は、RNAまたはDNAであり得、一本鎖または二本鎖であり得る。二本鎖の場合、増幅産物は代表的に、アレイへの適用の前に変性される。ゲノムDNAが増幅されずに分析される場合、アレイに対して適用する前に、サンプルからRNAを取り除くことが望ましくあり得る。このようなことは、DNase−free RNaseを用いた消化によって果たされ得る。
【0094】
(核酸サンプル中の多型の検出)
本明細書で開示されるSNPは、どの型の特徴付けられた多型が、分析の下で、個体中に存在するかを決定するために用いられ得る。
【0095】
多型を分析するための、対立遺伝子特異的なプローブの設計および使用は、例えばSaikiら、Nature 324,163−166(1986);Dattagupta,EP235,726,Saiki,WO89/11548によって記載される。対立遺伝子特異的なプローブは、2つの個体由来のそれぞれのセグメント中の異なる多型の型の存在に帰因して、1つの個体由来の標的DNAのセグメントに対してハイブリダイズするが、別の個体由来のそれに対応するセグメントに対してはハイブリダイズしないように、設計され得る。ハイブリダイゼーションの条件は、対立遺伝子間のハイブリダイゼーション強度において十分な差異(そして好ましくは、本質的に2成分の応答)があり、それによってプローブが対立遺伝子の1つのみにハイブリダイズする、十分なストリンジェントであるべきである。いくつかのプローブは、多型部位がプローブの中央位置(例えば、15マー中の7位において;16マー中の7,8または9位のいずれかにおいて)と整列するように、標的DNAのセグメントに対してハイブリダイズするように設計される。プローブのこの設計は、異なる対立遺伝子型の間のハイブリダイゼーションにおいて、良好な識別を達成する。
【0096】
対立遺伝子特異的なプローブはしばしば、対で使用され、対の1つのメンバーは標的配列の参照型に対して完全な一致を示し、そしてその他のメンバーは、改変型に対して完全な一致を示す。次いで、プローブのいくつかの対は、同一標的配列内にある複数の多型の同時分析のために、同一の支持体上に固定化され得る。
【0097】
多型はまた、核酸アレイに対するハイブリダイゼーションによって同定され得、いくつかの例が公開されたPCT出願WO95/11995に記載されている。WO95/11995はまた、予備的に特徴づけされた多型の、改変体型の検出のために最適化されるサブアレイを記載する。このようなサブアレイは、第2の参照配列に対して相補的であるように設計されたプローブを含み、これは、第1の参照配列の対立遺伝子改変体である。プローブの第2のグループは、プローブが第2の参照配列に対して相補性を示すこと以外は、同様の原理で設計される。第2のグループ(またはさらなるグループを)含むことは、第1の参照配列の短い部分配列(その中では、プローブの長さに相応の短い距離の中で、複数の変異(例えば、9〜21塩基中で2つ以上の変異)が起こることが予期されている)を分析するために特に有用であり得る。
【0098】
対立遺伝子特異的プライマーは、多型と重複している標的DNA上の部位にハイブリダイズし、そしてプライマーが完全な相補性を示す対立遺伝子型の増幅を、唯一開始(primes)する。Gibbs、Nucleic Acid Res.17 2427−2448(1989)を参照のこと。このプライマーは、遠位でハイブリダイズする第2のプライマーと共に使用される。増幅は、2つのプライマーから進行し、特定の対立遺伝子型が存在していることを示す検出可能な産物を生じる。コントロールは通常、プライマーの第2の対を用いて行われ、その1つは、多型部位に単一の塩基のミスマッチを示し、そしてその他方は遠位の部位に対して完全な相補性を示す。単一の塩基のミスマッチが増幅を妨げ、そして検出可能な産物は形成されない。その方法は、ミスマッチが多型と共に整列されるオリゴヌクレオチドの最も3’の部分の位置の中に含まれる場合に、最も役立つ、なぜならこの位置が、プライマーからの伸長を最も不安定化させるからである(例えば、WO 93/22456を参照のこと)。
【0099】
ポリメラーゼ連鎖反応を用いて生じた増幅産物は、変性勾配ゲル電気泳動の使用によって分析され得る。異なる対立遺伝子は、異なる配列依存的な融解の特徴および溶液中のDNAの電気泳動移動度に基づいて同定され得る。Erlich、編、PCR Technology,Principles and Applications for DNA Amplification、(W.H.Freeman and Co New York,1992,Chapter 7)。
【0100】
標的配列の対立遺伝子は、一本鎖コンフォメーション多型分析を使用して識別され得、これは一本鎖PCR産物の電気泳動の移動度における変化によって塩基の相違を同定する(Oritaら、Proc.Nat.Acad.Sci.86,2766−2770(1989)に記載されるように)。増幅されたPCR産物が生成され得、そして加熱または別の方法で変性され得、一本鎖の増幅産物を形成する。一本鎖核酸は、その塩基配列に部分的に依存している二次構造を再び折り畳み(refold)得るか、または形成し得る。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動の移動度は、標的遺伝子の対立遺伝子間の塩基配列の差異に関係し得る。
【0101】
遺伝子多型によって引き起こされると推測され得る病状に関して、個体における遺伝子型は、結合分析(association analysis)によって評価され得る。結合分析に適した表現型の特徴は、知られているが、これまでに遺伝子の構成要素を地図作製されていない疾患(例えば、無ガンマグロブリン血症、尿崩症、レッシュ−ナイハン症候群、筋ジストロフィー、ヴィスコット−オールドリッチ症候群、ファブリー病、家族性高コレステロール血症、多発性嚢胞腎疾患、遺伝性球状赤血球症、ヴォン・ヴィレブランド病、結節硬化症、遺伝性出血性毛細管拡張症、家族性結腸ポリポシス、エーレルス−ダンロー症候群、骨形成不全症、および急性間欠性ポルフィリン症)を含む。
【0102】
表現型の特徴はまた、多因子性疾患(その構成要素が遺伝的(自己免疫疾患、炎症、癌、神経系の疾患、および病原性微生物による感染のような)であるが、またはそうであり得る)の症状またはこの多因子性疾患に対する感受性を含む。自己免疫疾患のいくつかの例として、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病(インシュリン依存性およびインシュリン非依存性)、全身性エリテマトーデス、およびグレーヴズ病が挙げられる。癌のいくつかの例として、膀胱癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、腎臓癌、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、白血病、肝臓癌、肺癌および子宮癌が挙げられる。表現型の特徴としてまた、寿命、外見(例えば、禿頭症、肥満症)、体力、敏速さ、忍耐力、生殖能力、および特定の薬物または治療処置に対する感受性または受容性のような特徴が挙げられる。
【0103】
どの多型の型が、個体における多型部位の1セットを占有するかの決定は、個体を識別する1セットの多型の型を同定する。一般的に、National Research Council,The Evaluation of Forensic DNA Evidence(Eds.Pollardら、National Academy Press,DC,1996)を参照のこと。多型部位は、ヒトゲノムの50,000bp領域内にあるので、これらの多型部位の間の組換えの確率は低い。その低い確率は、本出願で示されるハプロタイプ(10多型部位全てのセット)は、少なくともいくつかの世代の間、変化することなく遺伝されるはずであることを意味している。より多くの部位が分析される程、ある個体における多型の型のセットが無関係な個体におけるものと同様である確率は低くなる。好ましくは、複数の部位が分析される場合、これらの部位は同一連鎖群に属さない。従って、本発明の多型はしばしば、遠位の遺伝子における多型と共に使用される。法医学における使用のために好ましい多型は2対立遺伝子である、なぜなら、この2つの多型の型の集団頻度は通常、複数対立遺伝子座位における複数の多型の型の集団頻度より高い精度で決定され得るからである。
【0104】
ある個体における法医学的マーカーの、特徴的なセット、または唯一のセットを同定する能力は、法医学的分析に有用である。例えば、選択された多型の部位を占有している多型の型のセットが、容疑者およびサンプルにおいて同様であるかどうかを決定することによって、容疑者由来の血液サンプルが、事件の現場からの血液または他の組織のサンプルと一致するかどうかを決定し得る。多型マーカーのセットが容疑者とサンプルとの間で一致しない場合、容疑者はサンプルの供給源ではなかったことが(実験上の間違いがない場合)結論づけられ得る。マーカーのセットが一致する場合、容疑者由来のDNAは、犯行現場で発見されたものと一致していると結論づけられ得る。試験された座位での多型の型の頻度が決定付けられた場合(例えば、個体の適切な集団の分析によって)、容疑者および犯行現場のサンプルの一致が偶然に起こる確率を決定するための統計的分析が行われ得る。
【0105】
p(ID)は、2つのランダムな個体が、所定の多型部位に、同じ多型の型または対立遺伝子型を有する確率である。2対立遺伝子座位の中で、四つの遺伝子型が可能である:AA、AB、BA、およびBBである。対立遺伝子AおよびBは、生物のハプロイドゲノムにおいて生じ、頻度xおよびyを伴い、二倍体生物における各々の遺伝子型の確率は(WO95/12607を参照のこと):
ホモ接合体:p(AA)=x2
ホモ接合体:p(BB)=y2=(1−x)2
単一のヘテロ接合体:p(AB)=p(BA)=xy=x(1−x)
両方のヘテロ接合体:p(AB+BA)=2xy=2x(1−x)
1つの位置における同一性の確率(すなわち、集団からランダムに選ばれた2つの個体が、所定の座位で同一の多型の型を有する確率)は、以下の式:
p(ID)=(x2)2+(2xy)2+(y2)2
によって与えられる。
【0106】
これらの計算は、所定の座位における多型の型の任意の数に対して、拡大され得る。例えば、対立遺伝子がそれぞれx、y、およびzの、集団における頻度を有する3対立遺伝子系について、同一性の確率p(ID)は、その遺伝子型の頻度の2乗の和に等しい:
p(ID)=x4+(2xy)2+(2yz)2+(2xz)2+z4+y4
。n対立遺伝子の座位において、p(ID)およびp(exc)を計算するために、適切な2項展開が用いられる。
【0107】
複数の同一連鎖群に属さない座位の各々に対する同一性の累積確率(cum p(ID))は、それぞれの座位によって提供される確率を掛け算することによって決定される:
cum p(ID)=p(ID1)p(ID2)p(ID3)...p(IDn)
。n座位について非同一性の累積確率(すなわち、2つのランダムな個体が、1つ以上の座位において異なる確率)は、式:
cum p(nonID)=1−cum p(ID)
によって与えられる。いくつかの多型座位が試験される場合、ランダムな個体についての、非同一性の累積確率は非常に高くなる(例えば、1に対して10億)。このような確率は、容疑者の有罪または無罪を決定するときに、別の証拠と共に、考慮に入れられ得る。
【0108】
実父確定試験の目的は通常、ある男性がある子供の父親であるかどうかを決定することである。ほとんどの場合、その子供の母親は分かっていて、従って、子供の遺伝子型に対する母親の寄与が追跡され得る。実父確定試験は、母親の由縁でない子供の遺伝子型の一部が、推定の父親のものと一致するかどうかを調査する。実父確定試験は、推定の父親および子供における多型のセットを分析することによって、行われ得る。
【0109】
子供において、父親に由縁している多型のセットが、推定の父親と一致しない場合、実験上の間違いがない場合、推定の父親は本当の父親ではないことが結論づけられ得る。子供において、父親に由縁している多型の群が、推定の父親の多型の群と一致する場合、偶然の一致の確率を決定するために、統計的計算が行われ得る。
【0110】
家系除外(parentage exclusion)の確率(ランダムな男性が、彼を父親として不適合にする、所定の多型部位における多型の型を有する確率を表している)は式:
p(exc)=xy(1−xy)
によって与えられる(WO95/12607を参照のこと)。
ここで、xおよびyは、2対立遺伝子多型部位の対立遺伝子Aおよび対立遺伝子Bの集団頻度である。(3対立遺伝子部位において、p(exc)=xy(1−xy)+yz(1−yz)+xz(1−xz)+3xyz(1−xyz))、ここでx、y、およびzは対立遺伝子A、B、およびCのそれぞれの集団頻度である。非除外の頻度は:
p(non−exc)=1−p(exc)
である。従って、非排除の累積確率(n座位が使用される場合に得られる値を表している)は:
cum p(non−exc)=p(non−exc1)p(non−exc2)p(non−exc3)...p(non−excn)
。n座位に対する排除の累積確率(ランダムな男性が排除される確率を表している)は:
cum p(exc)=1−cum p(non−exc)
である。いくつかの多型位置が分析に含まれている場合、ランダムな男性の排除の累積確率は、非常に高い。この確率は、推定の父親(その多型マーカーセットが子供の彼/彼女の父親に由縁している多型マーカーセットと一致する)の責任を評価するときに、考慮に入れられ得る。
【0111】
本発明の多型は、異なる方法で、生物の表現型に寄与し得る。いくつかの多型は配列をコードしているタンパク質の中で起こり、そしてタンパク質構造に影響を与えることによって、表現型に寄与している。その効果は、その環境に依存してはっきりとしないものであり得、有利もしくは不利か、または有利および不利の両方かであり得る。例えば、ヘテロ接合の鎌状血状変異は、マラリアに抵抗力を与えるが、ホモ接合の鎌状血状変異は通常致死性である。しかし、非コーディング領域に生じる他の多型は、複製、転写、および翻訳への影響を介して、間接的に表現型効果を及ぼし得る。単一の多型は1つより多くの表現型の特徴に影響を及ぼし得る。同様に、単一の表現型の特徴は、異なる遺伝子の中の多型によって影響を受け得る。さらに、いくつかの多型は、個体が明確な変異(それが原因となって、特定の表現型に関係する変異)を受け易くなるようにする。
【0112】
表現型の特徴は、知られているが、これまでに遺伝子の構成要素を地図作製されていない疾患を含む。表現型の特徴はまた、構成要素が遺伝的であるか、または遺伝的であり得る多因子性疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症、癌、神経系の疾患、および病原性微生物による感染のような)の症状またはこの多因子性疾患に対する疑いを含む。
自己免疫疾患のいくつかの例として、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病(インシュリン依存性およびインシュリン非依存性)、全身性エリテマトーデス、グレーヴズ病が挙げられる。癌のいくつかの例として、膀胱癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、および子宮癌が挙げられる。表現型の特徴としてまた、寿命、外見(例えば、禿頭症、肥満症)、体力、敏速さ、忍耐力、生殖能力、および特定の薬物または治療処置に対する感受性または受容性のような特徴が挙げられる。
【0113】
目的の表現型の特徴の存在、または非存在について、および多型マーカーセットについて試験された個体の集団に関する相関が行われる。このような分析を行うために、多型のセット(すなわち、多型セット)の存在、または非存在が、個体のセットに対して決定され、そのいくつかは特定の特徴を示し、そして、そのいくつかは特徴の欠如を示した。次いで、そのセットのそれぞれの多型の対立遺伝子は、特定の対立遺伝子の存在、または非存在が、目的の特徴と関係しているかどうかを決定するため、再検討される。相関は標準的な統計方法によって行われ得、そして多型の型(単数または複数)と表現型の特徴との間の統計的に有意な相関が注目される。例えば、多型Aにおける対立遺伝子A1の存在が心臓疾患と相関があることが分かり得る。さらなる例として、多型Aにおける対立遺伝子A1、および多型Bにおける対立遺伝子B1の存在の組み合わせが、家畜のミルク生産の上昇と相関していることが分かり得る。
【0114】
このような相関は、いくつかの様式で利用され得る。1つ以上の多型の型セットと処置が利用可能な疾患との間に強い相関がある場合、ヒトまたは動物患者におけるこの多型の型の検出は、処置の即時投与、または少なくともこの患者の定期的なモニタリングの設定を正当化し得る。家族を望むカップルにおいて、重篤な疾患に関係する多型の検出は、そのカップルにとって、生殖上の決定において役立ち得る。例えば、女性のパートナーは、このような多型が彼女の夫から彼女の子孫に伝達する可能性を避けるために、インビトロ受精を受けること選択し得る。多型セットとヒト疾患との間に弱いがなお統計的に有意な相関がある場合、即時の治療的介入またはモニタリングは正当化されないかもしれない。それでも、患者は、患者にとってコストが少ないが、しかし、患者が改変体対立遺伝子の効力によって感受性を増大する状態の危険性の減少における潜在的な利点を与える、簡単なライフスタイルの変化(例えば、ダイエット、エクササイズ)を始める意欲を持ち得る。疾患に対するいくつかの処置レジメンのうちの1つに対する増大した受容性に相関する、患者における多型セットの同定は、この処置レジメンが続いて行なわれるべきであることを示す。
【0115】
動物および植物では、特性と表現型との間の相関は、所望の特性の育種に有用である。例えば、Breitzら、米国特許第5,292,630号は、ウシの牛乳生産を改良するための育種プログラムにおける、ウシミトコンドリア多型の使用について議論する。牛乳生産におけるmtDNA D−ループ配列多型の効果を評価するために、それぞれのウシを、考えられる17個の位置の各々でのプロトタイプなミトコンドリアDNA配列について、改変体の場合には値1、野生型の場合には値0を割当てた。
【0116】
先の節は、表現型の形質とそれらの形質に直接的または間接的に寄与する多型との間の相関の同定に関する。本節は、目的の形質に関連する遺伝子座と、その形質に関連しないが、その形質を担う遺伝子座に物理的に近接し、それと共分離する多型マーカーとの間の、物理的な連鎖の同定について記載する。このような分析は、この表現型形質に関連する遺伝子座の染色体位置のマッピング、およびそれによる、この形質を担う遺伝子のクローニングに有用である。Landerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 83,7353〜7357(1986);Landerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)84,2363〜2367(1987);Donis−Kellerら、Cell 51,319〜337(1987);Landerら、Genetics 121,185〜199(1989)を参照のこと。連鎖によって局在化した遺伝子は、方向性クローニング(directional cloning)として知られるプロセスによってクローン化され得る。Wainwright、Med.J.Australia 159,170〜174(1993);Collins、Nature Genetics 1,3〜6(1992)(これらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照として援用される)を参照のこと。
【0117】
連鎖研究は、代表的には家系のメンバーにおいて実行される。利用可能な家系のメンバーを、表現型形質の存在または非存在について、および多型マーカーのセットについて特徴付ける。次いで、情報的な減数分裂(infomative meiosis)における多型マーカーの分布を分析して、どの多型マーカーが表現型形質と共分離するかを決定する。例えば、Keremら、Science 245,1073〜1080(1989);Monacoら、Nature 316,842(1985);Yamokaら、Neurology 40,222〜226(1990);Rossiterら、FASEB Jounal 5,21〜27(1991)を参照のこと。
【0118】
連鎖は、LOD(log of odds)値の計算によって分析される。lod値は、マーカーおよび遺伝子座が連鎖せず、従って、独立して分離している状況下にある場合に対する、このマーカーおよび遺伝子座が組換え率RFで位置する場合の、このマーカーおよび遺伝子座について観察された分離データを得る相対的尤度である(ThompsonおよびThompson、Genetics in Medicine(第5版、W.B.Saunders Company、Philadelphia、1991);Strachan,「Mapping the human genome」The Human Genome(BIOS Scientific Publishers Ltd、Oxford)、第4章)。一連の尤度比を、RF=0.0(同一遺伝子座)からRF=0.50(連鎖せず)にわたる、種々の組換え率(RF)で計算する。従って、所定のRF値での尤度は:遺伝子座が連鎖していない場合のデータの確率に対する、遺伝子座がRFで連鎖する場合のデータの確率である。この計算された尤度は、通常、この比のlog10(すなわち、lodスコア)で表現する。例えば、3のlodスコアは、見かけの観察された連鎖が発生していることに対する、1000:1のオッズを示す。ロガリズムの使用によって、異なる家系から収集したデータを、単純に加算することによって組み合わせることが可能である。コンピュータープログラムは、異なるRF値のlodスコアの計算に利用可能である(例えば、LIPED、MLINK(Lathrop、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81,3443〜3446(1984))。任意の特定のlodスコアについて、組換え率は、数学的な表から決定され得る。Smithら、Mathematical tables for research workers in human genetics(Churchill、London、1961);Smith、Ann.Hum.Genet.32,127〜150(1968)を参照のこと。lodスコアが最も高いRF値は、組換え値の最良推定量と考えられる。
【0119】
正のlodスコア値は、この2つの遺伝子座が連鎖することを示唆し、一方、負のlodスコアは、連鎖の可能性(RF値において)が、この2つの遺伝子座が連鎖していない可能性よりも低いことを示唆する。通常、+3以上の合わせたlodスコア(連鎖を支持する1000:1よりも高いオッズに等価的である)は、2つの遺伝子座が連鎖するという決定的な証拠と考えられる。同様に、通常、−2以下の負のlodスコアは、比較されるこの2つの遺伝子座の連鎖に反対する決定的な証拠と理解される。負の連鎖データは、染色体または染色体のセグメントを、考慮から除外するのに有用である。検索は、残りの除外されていない染色体位置に集中する。
【0120】
本発明はさらに、外因性の改変体遺伝子を発現し得そして/または不活化された内因性改変体遺伝子の一方または両方の対立遺伝子を有し得る、トランスジェニック非ヒト動物を提供する。外因性の改変体遺伝子の発現は、通常、この遺伝子をプロモーターおよび必要に応じてエンハンサーに作動可能に連結し、そしてこの構築物を接合体にマイクロインジェクションすることによって達成される。Hogenら、「Manipulating the Mouse Embryo,A Laboratory Manual,」Cold Spring Horbor Laboratory(1989)を参照のこと。内因性の改変体遺伝子の不活化は、クローン化した改変体遺伝子がポジティブ選択マーカーの挿入によって不活化されている、導入遺伝子を形成することによって達成され得る。Capecchi、Sciense 244,1288〜1292を参照のこと。次いで、この導入遺伝子を胚性幹細胞に導入し、ここで、この導入遺伝子は、内因性改変体遺伝子と相同組換えを生じる。マウスおよび他のげっ歯類が、好ましい動物である。このような動物は、有用な薬物スクリーニング系を提供する。
【0121】
本発明はさらに、特定の薬学的化合物またはそのような化合物のクラスに対する、単一ヌクレオチド多型を保持する被検体の薬理ゲノム学的感受性を評価する方法を提供する。薬物代謝酵素、薬物トランスポーター、薬学的因子のレセプターおよび他の薬剤標的における遺伝子多型は、被検体に投与されるこの薬学的因子の効能および毒性の差異に基づく個体差に相関付けられている。被検体の薬物に対する感受性の薬理ゲノム学的特徴付けは、被検体の特定の遺伝的構造に対して投薬レジメンをあつらえる能力を増大し、それによって、治療の治療的効果を増大および最適化する。
【0122】
cSNPが、病理学的状態の原因である多型タンパク質を誘導する場合、そのような状態を処置する方法は、その病状を経験している被検体へ、この多型タンパク質の野生型同族体を投与する工程を包含する。一旦、効果的な投薬レジメンで投与すると、この野生型同族体は、この多型タンパク質に起因する欠陥の補完または治療を提供する。この被検体の状態は、このタンパク質治療によって改善される。
【0123】
cSNPから生じる多型タンパク質が原因である病状を患っていると疑われる被検体は、この被検体から採取した適切な臨床的サンプル中におけるこの核酸中のcSNPまたは同族の多型タンパク質の存在を同定し得る、任意の種々の診断方法を使用して診断される。一旦、cSNPの存在が確かめられ、そしてその病状が、正常または野生型遺伝子の投与によって修正可能な場合、この被検体は、その修正する野生型遺伝子または野生型遺伝子の修正する配列を含むフラグメントを保持する核酸を含む、薬学的組成物を用いて処置される。このような核酸が投与され得る方法の非限定的な例には、アデノウィルスまたはアデノ随伴ウィルスのようなウィルスベクターにおける野生型遺伝子の組み込み、および、投与された核酸の細胞内取り込みを促進する薬学的組成物中における裸のDNAの投与が挙げられる。一旦、多型の野生型対立遺伝子をコードする遺伝子を含む核酸が、被検体の細胞中に取り込まれると、その細胞は、野生型遺伝子産物の新規生合成を開始する。核酸がさらに被検体のゲノムに組み込まれる場合、この処置は、長期間の効果を有し、長期の持続時間においてこの野生型タンパク質の新規合成を提供する。被検体の細胞中における野生型タンパク質の合成は、この被検体の臨床的状態の治療的な増強に寄与する。
【0124】
SNPが原因である病状を患っている被検体は、その遺伝的欠陥を矯正するように処置され得る(Krenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:10349〜10354(1999)を参照のこと)。このような被検体は、この被検体から得られたサンプル中の多型を検出し得る、任意の方法で同定される。このような遺伝的欠陥は、そのSNPの位置に野生型ヌクレオチドを供給する修復配列を組み込んだ核酸フラグメントを、そのような被検体に投与することによって永久的に矯正され得る。この部位特異的な修復配列は、被検体のゲノムDNAの内因性の修復を促進するように作動する、RNA/DNAオリゴヌクレオチドを含む。適切なビヒクル(例えば、ポリエチレンイミンとの複合体、または陰イオンリポソーム中でのカプセル化)中の投与に際して、先天性の病状を引き起こす遺伝的欠陥は、克服され得る。なぜなら、このキメラオリゴヌクレオチドが、その被検体ゲノムへのこの野生型配列の組み込みを誘導するからである。組み込みに際して、この野生型遺伝子産物が発現され、そしてこの置換が伝播され、それによって永久的な修復が生じる。
【0125】
本発明はさらに、上記に記載される少なくとも1つの対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。しばしば、これらキットは、異なる形態の多型にハイブリダイズする、対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドの1つ以上のペアを含む。いくつかのキットでは、この対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、基板に固定されて提供される。例えば、同じ基板は、表に示される少なくとも10、100、1000または全ての多型を検出するための、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含み得る。任意のさらなるキットの成分には、例えば、制限酵素、逆転写酵素またはポリメラーゼ、基質ヌクレオチド三リン酸、標識するために使用する手段(例えば、標識がビオチンの場合、アビジン酵素結合体、および酵素基質、および色素原)、ならびに逆転写、PCRまたはハイブリダイゼーション反応のための適切な緩衝液が挙げられる。通常、このキットはまた、このハイブリダイゼーション方法を実行するための指示書を含む。
【0126】
本発明のいくつかの局面は、本発明のSNPを含む核酸によってコードされる、利用可能な多型タンパク質を有することに依存する。これらの核酸を単離する種々の方法が存在する。例えば、DNAは、本明細書中に開示される配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドプローブを使用して、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから単離される。
【0127】
このようなプローブは、ハイブリダイゼーションアッセイに直接使用され得る。あるいは、プローブは、PCRのような増幅技術に使用するために設計される。
【0128】
cDNAライブラリーを調製するために、mRNAを、組織(例えば、心臓または膵臓)、好ましくは、その遺伝子または遺伝子ファミリーの発現がおそらく生じている組織から単離する。cDNAを、mRNAから調製し、そして組換えベクターに連結する。このベクターを、組換え宿主にトランスフェクトし、増殖、スクリーニングおよびクローニングする。cDNAライブラリーを作製およびスクリーニングするための方法は、周知である(Gubler,UおよびHoffman,B.J. Gene 25:263〜269(1983)およびSambrookらを参照のこと)。
【0129】
ゲノムライブラリーについては、例えば、DNAを、組織から抽出し、そして、機械的剪断または酵素的消化のいずれかにより約12〜20kbのフラグメントを得る。次いで、これらのフラグメントを、勾配遠心分離によって所望でないサイズのものから分離し、そしてバクテリオファージλベクター中に構築する。これらのベクターおよびファージを、Sambrookらに記載されるように、インビボでパッケージングする。組換えファージは、BentonおよびDavis,Science 196:180〜182(1977)に記載されるように、プラークハイブリダイゼーションによって分析する。コロニーハイブリダイゼーションは、一般に、M.Grunsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、72:3961〜3965(1975)に記載されるように行う。目的のDNAを、(例えば、サザンブロット上で)核酸プローブとハイブリダイズするその能力によって、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーのいずれかにおいて同定し、そしてこれらのDNA領域を、当業者に精通した標準的な方法によって単離される。Sambrookらを参照のこと。
【0130】
PCR技術において、増幅されるDNA領域の2つの3’境界に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを合成する。次いで、そのポリメラーゼ連鎖反応を、2つのプライマーを使用して実行する。PCR Protocols:a Guide to Method and Applications(Innis,M,Gelfand,D.,Sninsky,J.およびWhite,T編)、Academic Press,San Diego(1990)を参照のこと。プライマーは、目的の全長配列をコードする領域全体を増幅するように、または所望のより小さいDNAセグメントを増幅するように、選択される。PCRは、目的の配列をコードするcDNAを単離するために、種々のプロトコールにおいて使用され得る。これらのプロトコールにおいて、目的の配列をコードするDNAを増幅するための適切なプライマーおよびプローブを、本明細書中に列挙されるDNA配列の分析から作製する。一旦、このような領域をPCR増幅すると、それらを配列決定し得、そしてオリゴヌクレオチドプローブをこの配列から調製し得る。
【0131】
一旦、cSNAを含む配列をコードするDNAを、単離およびクローニングすると、種々の組換え操作した細胞中において、そのコードされる多型タンパク質を発現し得る。当業者は、目的の配列をコードするDNAの発現に利用可能なな多くの発現系についての知識が豊富であると考えられる。原核生物または真核生物におけるタンパク質の発現に関する公知の種々の方法は、本明細書中には詳細に記載しない。
【0132】
簡単に要約すると、目的の配列をコードする天然の核酸または合成の核酸の発現は、代表的には、プロモーター(これは構築的かまたは誘導的かのいずれかである)にDNAまたはcDNA作動可能に連結したを、続いて発現ベクターへ組み込むことによって達成される。このベクターは、原核生物または真核生物のいずれにおいても、複製および組み込みに適し得る。代表的な発現ベクターは開始配列、転写および翻訳ターミネーター、ならびに目的のポリヌクレオチド配列の発現の調節のために有用なプロモーターを含む。クローン化遺伝子の高レベル発現を得るために、最低限、転写を指向する強力なプロモーター、翻訳開始リボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む、発現プラスミドを構築することが望ましい。これらの発現ベクターはまた、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物および原核生物の両方においてプラスミドの複製を可能にする配列の(すなわち、シャトルベクター、および原核生物系と真核生物系の両方のための選択マーカー)一般的な発現カセットを含む。Sambrookら参照のこと。
【0133】
種々の原核生物の発現系を使用して、本発明の多型タンパク質を発現し得る。例としては、E.coli、Bacillus、Streptomycesなどが挙げられる。
【0134】
最低限、転写を指向する強力なプロモーター、翻訳開始リボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む発現プラスミドを構築することが好ましい。E.coliにおけるこの目的に適する調節領域の例は、Yanofsky,C.、J.Bacterial、158:1018〜1024(1984)に記載される、E.coliトリプトファン生合成経路のプロモーターおよびオペレーター配列、およびΛ,IおよびHagen,D.、Ann.Rev.Genet 14:399〜445(1980)に記載されるファージλの左側プロモーターである。E.coli中に形質転換したDNAベクターにおける選択マーカーの含有も、また有用である。このようなマーカーの例としては、アンピシリン、テトラサイクリン、またはクロラムフェニコールに対する耐性を示す遺伝子が挙げられる。E.coli中で使用する選択マーカーに関する詳細については、Sambrookらを参照のこと。
【0135】
E.coliから精製する間、この発現された組換えタンパク質の適切な折りたたみを増大するために、この発現されたタンパク質を最初に変性し、次いで再生させる。これは、カオトロピズム薬剤(例えば、グアニジンHCl)中でこの細菌産生タンパク質を可溶化し、そして全てのシトシン残基を還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール)で還元することによって達成される。次いで、ゆっくりした透析またはゲル濾過のいずれかによって、このタンパク質を再生する。米国特許第4,511,503号を参照のこと。発現された抗原の検出は、放射性免疫アッセイあるいはウェスタンブロッティング技術または免疫沈降のような当該分野で公知の方法によって達成する。E.coliからの精製は、米国特許第4,511,503号に記載されるような手順を踏むことで達成される。
【0136】
任意の種々の真核生物発現系(例えば、酵母、昆虫細胞株、鳥類細胞、魚類細胞、および哺乳動物細胞)をまた使用して、本発明の多型タンパク質を発現し得る。以下で詳しく説明するように、cSNPを保持するヌクレオチド配列は、これらの真核生物系で発現され得る。酵母における異種タンパク質の合成は、周知である。Methods in Yeast Genetics,Sherman,Fら、Cold Spring Harbor Laboratory(1982)は、酵母中でタンパク質を産生するための利用可能な種々の方法を記載する、広く認識された研究である。適切なベクターは、通常、所望のような発現制御配列(プロモーター、例えば、3−ホスホグリセリン酸(3−phosphogtycerate)キナーゼまたは他の解糖系酵素を含む)、および複製配列、終結配列などを有する。例えば、適切なベクターは文献に記載される(Botsteinら、Gene 8:17〜24(1979);Broachら、Gene 8:121〜133(1979))。
【0137】
2つの手順を、酵母細胞の形質転換に使用する。一方の場合、酵母細胞を最初に、ザイモリアーゼ、リチカーゼまたはグルスラーゼを使用してプロトプラストに変換し、続いてDNAおよびポリエチレングリコール(PEG)を添加する。次いで、このPEG処理したプロトプラストを、3%寒天培地で、選択条件化で再生する。この手順の詳細は、J.D.Begges,Nature(London)275:104〜109(1978);およびHinnen,AらProc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929〜1933(1978)による文献で提供される。第2のの手順は、細胞壁の除去を含まない。代わりに、細胞を塩化リチウムまたは酢酸およびPEGで処理し、細胞を選択プレート(Ito,Hら、J.Bact、153163〜168(1983))に置き、溶解産物に対して標準タンパク質単離技術を適用する:
精製プロセスを、ウェスタンブロット技術または放射免疫アッセイまたは他の標準技術によってモニタリングし得る。本発明のタンパク質をコードする配列はまた、例えば、哺乳動物、昆虫、鳥類または魚類起源の細胞培養物の形質転換に使用するために、種々の免疫アッセイ発現ベクターに連結し得る。ポリペプチドの産生に有用な例示的な細胞培養物は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば、細胞の単層形態であるが、哺乳動物細胞懸濁液もまた使用し得る。インタクトなタンパク質を発現し得る多くの適切な宿主細胞系は、当該分野で開発され、そしてこれにはHEK293、BHK21およびCHO細胞株および種々の細胞(例えば、COS細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、Jurkat細胞など)が含まれる。これらの細胞の発現ベクターは、発現調節配列(例えば、複製起点)、プロモーター(例えば、CMVプロモーター、HSVtkプロモーターまたはpgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター)、エンハンサー(Queenら、Immunol.Rev、89:49(1986))および必要なプロセシング情報部位(例えば、リボソーム結合部位)、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Ag ポリA付加部位)および転写ターミネーター配列)を含む。
【0138】
他の動物細胞、例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(第7版(1992))が利用可能である。昆虫細胞において本発明のタンパク質を発現するために適切なベクターは、通常バキュロウイルスに由来する。昆虫細胞株としては、蚊の幼虫、カイコ、アワヨトウの幼虫、ガおよびシュナイダー細胞株のようなショウジョウバエ細胞株が挙げられる(例えば、Schneider J.Embryol.Exp.Morphol.,27:353−365(1987)を参照のこと)。上記に示されるように、このベクター(例えば、プラスミド)(これは、宿主細胞を形質転換するために使用される)は、好ましくは、転写を開始するDNA配列およびタンパク質の輸送を制御する配列を含む。これらの配列は、発現制御配列といわれる。酵母については、高等動物宿主細胞が使用される場合、公知の哺乳動物遺伝子由来のポリアデニル化または転写終止配列は、ベクターに導入される必要がある。終止配列の例としては、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル化遺伝子である。転写物の正確なスプライシングのための配列もまた含まれ得る。スプライシング配列の例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,J.ら、J.Virol.45:773−781(1983))。さらに、宿主細胞における複製を制御するための遺伝子配列は、Saveria−Campo,M.,1985、DNA Cloning 第2巻、a Practical Approachにおける、「Bovine Papilloma virus DNA a Eukaryotic Cloning Vector」、D.M.Glover編、IRL Press,Arlington,Virginia、213−238頁であり得る。宿主細胞は、種々の手段によって形質転換について、コンピテントであるかまたはコンピテントにされる。DNAを動物細胞に導入するためのいくつかの周知の方法が存在する。これらとしては、以下が挙げられる:リン酸カルシウム沈殿、DNAを含む細菌プロトプラストとレシピエント細胞の融合、レシピエント細胞のDNAを含むリポソームでの処理、DEAEデキストラン、エレクトロポレーションおよび細胞中への直接のDNAのマイクロインジェクション。
【0139】
形質転換された細胞は、当該分野で周知の方法によって培養される(Biochemical Methods in Cell Culture and Virology,Kuchler,R.J.,Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.,(1977))。これらの発現されたポリペプチドは、上清としてかまたは単層として増殖された細胞から単離される。後者は、周知の機械的、化学的または酵素的手段によって収集される。
【0140】
組換えタンパク質を発現する一般的な方法はまた公知であり、そして、R.Kaufman,Methods in Enzymology 185,537−566(1990)において例示される。本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結された」は、プロモーターがDNA配列の転写を媒介するようなDNA配列から上流のプロモーターの連結をいう。具体的には、「作動可能に連結された」は、連結されたポリヌクレオチド/発現配列で形質転換(トランスフェクト)された宿主細胞によってタンパク質をコードする遺伝子が発現される様式で、本発明の単離されたポリヌクレオチドおよび発現制御配列が、ベクターまたは細胞内に位置することを意味する。用語「ベクター」は、ウイルス発現系、自律性の自己複製環状DNA(プラスミド)をいい、発現および非発現プラスミドの両方を含む。
【0141】
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードする核酸配列をいうことが意図される。この定義は、種々の配列多型性、変異、および/または配列改変体を含み、ここで、このような変更は、遺伝子産物の機能に影響しない。用語「遺伝子」は、コード配列だけでなく、プロモーター、エンハンサー、終止領域および類似の非翻訳ヌクレオチド配列のような調節領域も含むことが意図される。この用語は、代替的なスプライス部位から得られる改変体と共に、mRNA転写物からスプライスされた全てのイントロンおよび他のDNA配列をさらに含む。
【0142】
多数の細胞型が、タンパク質の発現のための適切な宿主細胞として機能し得る。哺乳動物宿主細胞としては、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトCo10205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常な2倍体細胞、始原組織、始原外植体のインビトロ培養に由来する細胞株、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaKまたはJurkat細胞などが挙げられる。あるいは、酵母のような下等真核生物または細菌のような原核生物においてタンパク質を産生することが可能であり得る。潜在的に適切な酵母株としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candidaまたは異種タンパク質を発現可能な任意の酵母株が挙げられる。潜在的に適切な細菌株としては、Escherichia coli,Bacillus subtilis、Salmonella typhimuriumu、または異種タンパク質を発現可能な任意の細菌株が挙げられる。タンパク質が酵母または細菌から作製される場合、機能的なタンパク質を獲得するために、例えば、適切な部位のリン酸化またはグリコシル化によって、そこで産生されたタンパク質を改変することが必要であり得る。
【0143】
このタンパク質はまた、1つ以上の昆虫発現ベクターにおける適切な制御配列に本発明の単離されたポリヌクレオチドを作動可能に連結することによって、および昆虫細胞系を使用することによって、産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、例えば、Invitorogen,San Diego,California,U.S.A.(the MaxBac(C)kit)からキットの形態で市販されており、そして、このような方法は、SummersおよびSmith、Texas Agricultureal Experiment Station Bulletin No.1555(1987)(これは、本明細書中に参考として記載される)に記載されるように、当該分野で周知である。本明細書中で使用される場合、本発明のポリヌクレオチドを発現可能な昆虫細胞は、「形質転換されている」。本発明のタンパク質は、組換えタンパク質を発現するために適切な培養条件下で、形質転換された宿主細胞を培養することによって調製され得る。
【0144】
本発明の多型タンパク質はまた、トランスジェニック動物の産物として(例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む体細胞または胚細胞によって特徴付けられる、トランスジェニックウシ、ヤギ、ブタ、またはヒツジのミルクの成分として)発現され得る。このタンパク質はまた、公知の慣例的な化学合成によって産生され得る。合成手段によって、本発明のタンパク質を構築するための方法は、当業者に公知である。
【0145】
組換えDNA技術によって産生される多型タンパク質は、組換えタンパク質を単離または精製するために一般的に使用される技術によって精製され得る。組換え的に産生されたタンパク質は、直接発現され得るかまたは融合タンパク質として発現され得る。次いで、このタンパク質は、細胞溶解(例えば、超音波処理)およびアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせによって精製される。融合産物としては、適切なタンパク分解酵素を用いる融合タンパク質の引き続く消化は、所望のポリペプチドを放出する。この発明のポリペプチドは、当該分野で周知の標準的技術を使用して、実質的に純粋まで精製され得、この方法としては、硫酸アンモニウムのような物質を用いる選択的な沈殿、カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法などが挙げられる。例えば、R.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag:New York(1982)(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。例えば、1つの実施形態において、本明細書中に記載されるように、抗体は、本発明のタンパク質に対して惹起され得る。細胞膜は、組換えタンパク質を発現する細胞株から単離され、このタンパク質は膜から抽出され、そして免疫沈降される。次いで、このタンパク質は、上記のような標準的なタンパク質化学技術によってさらに精製され得る。
【0146】
次いで、得られた発現タンパク質は、公知の精製プロセス(例えば、ゲルろ過およびイオン交換クロマトグラフィー)を使用するこのような培養物(すなわち、培養液または細胞抽出物)から精製され得る。タンパク質の精製は、タンパク質に結合する因子を含むアフィニティーカラム;コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−Toyopearl@またはシバクロンブルー3GA Sepharose Bのようなアフィニティー樹脂上の1つ以上のカラム工程;フェニルエーテル、ブチルエーテル、またはプロピルエーテルのような樹脂を使用する疎水性交換クロマトグラフィーを含む1つ以上の工程;または免疫アフィニティークロマトグラフィーを含み得る。あるいは、本発明のタンパク質はまた、精製を容易にする形態で発現され得る。これは、例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはチオレドキシン(TRX)のような、融合タンパク質として発現され得る。このような融合タンパク質の発現および精製のためのキットは、それぞれ、New England BioLab(Beverly,MA)、Pharmacia(Piscataway,NJ)およびInVitrogenから市販されている。このタンパク質はまた、エピトープで標識され得、引き続き、このようなエピトープに対して指向された特異的な抗体を使用して精製され得る。1つのこのようなエピトープ(「Flag」)は、Kodak(New Haven,CT)から市販されている。最後に、疎水性のRP−HPLC培地(例えば、吊り下がったメチル基または他の脂肪酸基を有するシリカゲル)を使用する、1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を使用して、さらにタンパク質を精製し得る。種々の組み合わせにおいて、前述の精製工程のいくつかまたはすべてがまた、実質的に同質な単離された組換えタンパク質を提供するために使用され得る。従って、この精製されたタンパク質は、実質的に他の哺乳動物タンパク質がなく、そして、「単離されたタンパク質」として本発明に従って定義される。
【0147】
本願明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子(例えば、多型))をいう。このような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、FabおよびF(ab’)2フラグメント、ならびにFab発現ライブラリーが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、ヒト多型タンパク質に対する抗体が開示される。
【0148】
抗体と、成句「特異的に結合する」、「免疫特異的に結合する」、または「特異的に免疫応答する」は、タンパク質またはペプチドについていう場合、タンパク質の異種集団および他の生物学的物質の存在下で、タンパク質の存在を決定する結合反応をいう。従って、例えば、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、特定のタンパク質に結合し、そして、サンプル中に存在する他のタンパク質に対して十分な量で結合しない。このような条件下で抗体への特定の結合は、特定のタンパク質へのその特異性について選択された抗体を必要とする。多型タンパク質に免疫特異的に結合するが、その同族の野生型対立遺伝子タンパク質に結合せず、逆の場合も同じである抗体は、本発明において特に興味深い。種々のイムノアッセイ型式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択する。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するために慣例的に使用される。特異的な免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ型式および条件の記載については、HarlowおよびLane(1988)Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照のこと。
【0149】
多型遺伝子産物に免疫特異的に結合するが、対応する原型または「野生型」の遺伝子産物には結合しない、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体がまた提供される。抗体は、改変体遺伝子産物または合成ペプチドでマウスまたは他の動物を注射することによって作製され得る。スクリーニングされるモノクローナル抗体は、例えば、HarlowおよびLane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1988);Goding,Monoclonal antibodies,Principles and Practice(第2版)Academic Press,New York(1986)において記載されている。モノクローナル抗体は、改変体遺伝子産物との特定の免疫反応性および対応する原型遺伝子産物に対する免疫反応性の欠如について試験される。
【0150】
単離された多型タンパク質、またはその一部もしくはフラグメントが、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準技術を使用して、多型タンパク質に結合する抗体を生成するために免疫原として用いられ得る。全長の多型タンパク質が用いられ得るか、あるいは本発明は、多型の抗原性ペプチドフラグメントを免疫原としての用途のために提供する。本発明の多型タンパク質の抗原性ペプチドは、多型アミノ酸配列を含むアミノ酸配列の少なくとも8つのアミノ酸残基を含み、そして多型タンパク質のエピトープを包含し、これによりこのペプチドに対して惹起された抗体は、多型タンパク質との特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10のアミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも15のアミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも20のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドに取り囲まれている好ましいエピトープは、タンパク質の表面に配置される多型の領域(例えば、親水性領域)である。
【0151】
ポリクローナル抗体の生成のため、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)が多型タンパク質を用いる注射によって免疫され得る。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え的に発現された多型タンパク質、または化学的に合成された多型ポリペチドを含み得る。調製物は、アジュバントをさらに含み得る。免疫学的応答を増加するために用いられる種々のアジュバントとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:フロイント(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール、など)、ヒトジュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCorynebacterium parvum)または類似した免疫刺激因子。所望の場合、多型タンパク質に対して指向された抗体分子が、哺乳動物(例えば、血液から)単離され得、そしてさらに、プロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術によって精製され、IgG画分を入手し得る。
【0152】
本願明細書において用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、1つずつのハイブリドーマ細胞のクローンに由来する抗体分子の集団をいい、この集団は、多型タンパク質の特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1つの型のみを含む。従って、モノクローナル抗体組成物は、代表的には、特に、それが免疫反応する特定の多型タンパク質に対して、単一の結合親和性を示す。特定の多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログに対して指向されたモノクローナル抗体の調製のために、連続的細胞株培養により抗体分子の生成を提供する任意の技術が利用され得る。このような技術としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、1975 Nature 256:495〜497を参照のこと);トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immunol Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を生産するEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985 MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁を参照のこと)。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実行において利用され得、そしてヒトハイブリドーマを使用すること(Coteら、1983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026〜2030を参照のこと)、またはインビトロでエプスタインバーウイルスを用いるヒトB細胞の形質転換(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁を参照のこと)によって産生され得る。
【0153】
本発明に従って、多型タンパク質に特異的な単鎖抗体の産生のために、技術は適応され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さらに、方法論は、Fab発現ライブラリーの構築に適応され得(例えば、Huseら、1989 Science 246:1275〜1281を参照のこと)、多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログについて所望の特性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的同定を可能にする。非ヒト抗体は、当該分野で周知の技術により「ヒト化」され得る。例えば、米国特許第5,225,539号を参照のこと。多型タンパク質に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントは、以下を含むがこれに限定されない当該分野で公知の技術により産生され得る:(i)抗体分子のペプシン消化によって生産されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生じるFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤での抗体分子の処理によって生じるFabフラグメント、ならびに(iv)Fvフラグメント。
【0154】
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含むキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体のような、組換え抗多型タンパク質抗体(これらは、標準組換えDNA技術を用いて作製され得る)は、本発明の範囲内である。このようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA技術により生成され得る。この技術は例えば、以下に記載の方法を用いる:PCT国際出願番号PCT/US86/02269;欧州特許出願番号184,187号;欧州特許出願番号171,496;欧州特許出願番号173、494;PCT国際公開番号WO 86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願番号125,023号;Betterら(1988)Science 240:1041〜1043;Liuら(1987)PNAS 84:3439〜3443;Liuら(1987)J Immunol.139:3521〜3526;Sunら(1987)PNAS 84:214〜218;Nishimuraら(1987)Cancer Res 47:999〜1005;Woodら(1985)Nature 314:446〜449;Shawら(1988)J Natl Cancer Inst 80:1553〜1559);Morrison(1985)Science 229:1202〜1207;Oiら(1986)BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552〜525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;ならびにBeidlerら(1988)J Immunol 141:4053〜4060。
【0155】
1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法論は、当該分野内で公知の酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)および他の免疫学的に媒介される技術を含むが、これに限定されない。
【0156】
抗−多型タンパク質抗体は、多型タンパク質の検出、定量および/または細胞局在化もしくは組織局在化に関する当該分野で公知の方法において用いられ得る(例えば、適切な生理学的なサンプル内の多型タンパク質のレベルを測定の際の使用のために、診断的方法における使用のために、タンパク質の画像化における使用のために、など)。所定の実施形態において、多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログの抗体(抗体由来のCDRを含む)は、被験体中のcSNP対立遺伝子の存在から生じる被験体中の病理を処置することが意図される治療適用において、薬理学的に活性な化合物として利用される。
【0157】
抗−多型タンパク質抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、種々の免疫化学技術(例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降)によって、多型タンパク質を単離するために用いられ得る。抗−多型タンパク質抗体は、細胞からの天然の多型タンパク質、そして宿主細胞において発現される組換え的に産生された多型タンパク質の精製を容易にし得る。さらに、抗−多型タンパク質抗体が、(例えば、細胞の溶菌液または細胞上清における)多型タンパク質を検出するように用いられ、多型タンパク質の発現の量およびパターンを評価し得る。抗−多型抗体は、例えば、所定の処置レジメンの有効性を決定するために、臨床試験の手順の一部として組織におけるタンパク質レベルを診断的にモニターするために用いられ得る。検出は、抗体を検出可能物質に連結する(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易になり得る。検出可能物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;そして、適切な放射性物質の例としては125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
【0158】
(等価物)
本発明の特定の実施形態の前述の詳細な説明から、公知の遺伝子におけるSNPにおけるその使用の独特の組成物および方法が、記載されていることが明らかであるべきである。特定の実施形態が、本明細書中に詳細に開示されているが、これは、例示のためにのみ実施例によってなされており、そして上記の添付の特許請求の範囲に関して限定することを意図しない。特に、本発明者によって、種々の置換、変更および改変が、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に対してなされ得ることが意図される。
【0159】
【表1】
(発明の背景)
核酸配列の配列多型性に基く分析は、個体の同一性および関連性を決定する以前に公知の方法を増強または置き換え得る。このアプローチは、一般的に関連する個体間の核酸配列における変化に基く。この分析は、遺伝的、診断的、そして法医学的な種々の適用に幅広く使用されてきた。例えば、多型性分析は、同一性分析および父子分析において、および遺伝子マッピング研究において使用される。
【0002】
このような型のバリエーションの1つは、制限フラグメント長多型(RFLP)である。RFLPSは、第2の核酸に関連する1つの核酸における制限エンドヌクレアーゼの認識配列を生成または欠失し得る。バリエーションの結果は、2つの核酸のDNAフラグメントを生成する制限酵素の相対的な長さの変化である。
【0003】
他の多型性は、ショートタンデムリピート(STR)配列の形態を取り、これはまた、タンデムリピートの変数(VNTR)配列として言及される。STR配列は、代表的には、2、3、または4ヌクレオチド配列のタンデムリピートを含み、この配列は、1つの個体由来であるが第2の個体由来ではない核酸に存在し、個体を対応するゲノム位置で関係付ける。
【0004】
他の多型は、単一ヌクレオチドバリエーションの形態を取り、個体間の単一ヌクレオチド多型(SNP)と名づけられた。いくつかの例で、SNPは、cDNAとしてSNP起源を含むヌクレオチド配列を表すために「cSNP」のように言われ得る。
【0005】
SNPは、いくつかの方法で生じ得る。単一ヌクレオチド多型は、多型性部位で別のヌクレオチドに対する1つのヌクレオチドの置換に起因して起こり得る。置換は、トランジションまたはトランスバージョンであり得る。トランジションは、1つのプリンヌクレオチドの別のプリンヌクレオチドによる置換、または、ピリミジンの別のピリミジンによる置換である。トランスバーションは、ピリミジンによるプリンの置換、またはその逆である。
【0006】
単一ヌクレオチド多型はまた、参照対立遺伝子に関するヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。従って、この多型性部位が、別の対立遺伝子における単一ヌクレオチドに関するギャップを保有する1つの対立遺伝子での部位である。いくつかのSNPは、遺伝子内または遺伝子近傍で生じる。このようなクラスの1は、ポリペプチド産物をコードする遺伝子領域内にあるSNPを含む。これらのSNPは、ポリペプチド産物のアミノ酸配列の変化を生じ得、そして不完全なタンパク質または他の改変体タンパク質の発現を起こさせる。いくつかの場合において、このような改変体産物は、病理学的な状態(例えば、遺伝的疾患)のを生じ得る。コード配列内の多型性遺伝子が、遺伝的疾患を引き起こす例として、鎌状赤血球貧血および嚢胞性線維症が挙げられる。他のSNPは、ポリペプチド産物の変化を生じない。もちろん、SNPは、遺伝子の非コード領域にも生じ得る。
【0007】
SNPは、高頻度で起こる傾向にあり、ゲノム全体に均一に間隔をあける。SNPの頻度および均一性は、このような多型が、目的の遺伝的な位置の近傍に見出される高い可能性があることを意味する。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、ヒトDNA領域の単一ヌクレオチド多型(SNP)の発見に一部基く。
【0009】
従って、1つの局面において、本発明は、本明細書中で記載される1以上のSNPを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、表1および配列表(配列番号1〜7024)に示される1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であり得、そして多型性部位を含む限り、多型配列または多型配列のフラグメントを含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、1以上の配列に相補的な配列(配列番号1〜7024)、または相補的ヌクレオチド配列のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含む。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。
【0010】
ポリヌクレオチドは、例えば、DNAまたはRNAであり得、そして約10ヌクレオチド長と100ヌクレオチド長の間(例えば、10〜90、10〜75、10〜51、10〜40、または10〜30ヌクレオチド長)であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、多型配列中の多型性部位は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む(例えば、多型性部位は、多型配列について表1の列6に列挙されたヌクレオチドを含む)。
【0012】
他の実施形態において、多型性部位の相補体は、多型配列の相補体(例えば、多型配列について表1の列6に列挙されたヌクレオチドの相補体)について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、多型配列は、本明細書中で記載されたタンパク質ファミリーの1つに関するポリペプチドと関連する。例えば、核酸は、表1の列10に同定されるATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または他の任意のタンパク質に関するポリペプチドと関連し得る。
【0014】
別の局面において、本発明は、多型性部位を含む第1のポリヌクレオチドとハイブリダイズする単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列であり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む。あるいは、第1のポリヌクレオチドは、多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であり得(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む)、または1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列であり得る(ただし、相補的ヌクレオチド配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む)。さらに、第1のポリヌクレオチドは、相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列を含む。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズしない。第2のポリヌクレオチドは、例えば、(a)1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列(ここで多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを含む);(b)任意の多型配列のフラグメントである核酸配列;(c)1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列(ここで多型配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を含む);および(d)相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む)であり得る。
【0016】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約10塩基長と75塩基長の間、10塩基長と51塩基長の間、10塩基長と約40塩基長の間、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0017】
本発明はまた、核酸中の多型性部位を検出する方法を提供する。この方法は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと核酸を接触する工程を包含する。ただし、この多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、またはこの相補体が、表1の列5に列挙されるヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。この方法はまた、核酸およびオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするか否かを決定する工程を包含する。オリゴヌクレオチドの核酸配列へのハイブリダイゼーションは、核酸中の多型性部位の存在を示す。
【0018】
好ましい実施形態において、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを多型配列が含む場合、または多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を多型配列の相補体が含む場合、オリゴヌクレオチドは、多型配列とハイブリダイズしない。
【0019】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは約10塩基長と75塩基長、10塩基長と51塩基長、10塩基長と約40塩基長、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0020】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドによって同定された多型配列は、本明細書中で開示される1つのタンパク質ファミリーの1つに関するポリペプチドに関連する。例えば、核酸は、表1の列10に同定されるATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または他の任意のタンパク質ファミリーに関するポリペプチドと関連し得る。
【0021】
別の局面において、この方法は、配列多型が被験体(例えば、ヒト)中に存在するか否かを決定する工程を包含する。この方法は、被験体由来の核酸を提供する工程および配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと核酸を接触させる工程を包含する。ただし、この多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチド、または表1の列5に列挙されるヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む相補体を含む。次に、核酸およびオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションが決定される。オリゴヌクレオチドの核酸配列へのハイブリダイゼーションは、前記被験体中の多型性の存在を示す。
【0022】
さらなる局面において、本発明は、第1の核酸および第2の核酸の関連性を決定する方法を提供する。この方法は、第1の核酸および第2の核酸を提供する工程、および第1の核酸と第2の核酸を配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触する工程を包含する。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。この方法はまた、第1の核酸および第2の核酸がオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするか否かを決定する工程、ならびに第1の核酸および第2の核酸とオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを比較する工程を包含する。第1の核酸および第2の核酸とこの核酸とのハイブリダイゼーションは、第1の被験体および第2の被験体が関連することを示す。
【0023】
好ましい実施形態において、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドを多型配列が含む場合、または、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体を多型配列の相補体が含む場合、オリゴヌクレオチドは、多型配列とハイブリダイズしない。
【0024】
オリゴヌクレオチドは、例えば、約10塩基長と約100塩基長の間であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは約10塩基長と75塩基長、10塩基長と51塩基長、10塩基長と約40塩基長、または約15塩基長と30塩基長の間である。
【0025】
この方法は種々の用途に使用され得る。例えば、第1の核酸は、事件現場で集められた物理的証拠から単離され得、そして第2の核酸は、この事件を犯したことが疑われる人から得られ得る。この方法を使用して2つの核酸を対応させることは、物理的証拠がこの人に由来するか否かを確立し得る。
【0026】
別の例において、第1のサンプルは、子の父であると思われるヒト男性由来であり得、第2のサンプルは子由来であり得る。記載された方法を使用して対応を確立することにより、この男性が子の父であるか否かが確立され得る。
【0027】
別の局面において、本発明は、1以上のアミノ酸残基に多型性部位を含む単離されたポリペプチドを提供し、ここで、このタンパク質は、多型配列(配列番号1〜7024)またはこれらの相補体の1つを含むポリヌクレオチドによりコードされる。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0028】
ポリペプチドは、例えば、本明細書中で記載されたタンパク質ファミリーの1つに関連し得る。例えば、ポリペプチドはATPアーゼに関するタンパク質、カドヘリン、または表1の列10に提供される任意の他のタンパク質と関連し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、野生型タンパク質と同一のオープンリーディングフレームで翻訳され、この野生型タンパク質のアミノ酸配列は、多型の部位以外は多型性タンパク質のアミノ酸配列と同一である。
【0030】
いくつかの実施形態において、多型配列によりコードされるポリペプチド、またはその相補体は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含むか、またはその相補体は、表1の列6に列挙されるヌクレオチドの相補体を含む。
【0031】
本発明はまた、多型配列(配列番号1〜7024)からなる群より選択されるポリヌクレオチドまたはその相補体によってコードされるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されたヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、またはその相補体は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗体は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合する。
【0033】
好ましくは、抗体は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合しない。
【0034】
本発明は、被験体中の1以上のアミノ酸残基多型を有するポリペプチドの存在を検出する方法をさらに提供する。この方法は、被験体由来のタンパク質サンプルを提供する工程、およびそのサンプルを抗体−抗原複合体を形成させる条件下で上記抗体に接触させる工程を包含する。次に抗体−抗原複合体が検出される。複合体の存在は、ポリペプチドの存在を示す。
【0035】
本発明はまた、被験体(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウシ、ブタ、ヤギ、またはウサギ)における配列多型の存在に起因する病状を患う、そのような病状の危険性のある、そのような病状が疑われる、そのような病状を患う被験体を処置する方法を提供する。この方法は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列、またはその相補体を含む第1の核酸の異常な発現に関連する病状を患う被験体を用意する工程、および治療剤の有効用量を被験体に投与することにより被験体を処置する工程を包含する。異常な発現は、遺伝子の発現における定性的変化(例えば、野生型対応物に関して変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現)を含み得る。定性的に異なるポリペプチドは、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列と比較してより短いポリペプチド、より長いポリペプチド、または変化したポリペプチドを含み得る。異常な発現はまた、遺伝子の発現において定性的な変化を含む。遺伝子発現における定性的な変化の例として、野生型対応物と比較してより低いレベルの遺伝子発現もしくはより高いレベルの遺伝子発現、または遺伝子の時間的または組織特異的な発現パターンにおける変化が挙げられる。最後に、異常な発現はまた、遺伝子発現における定性的および定量的変化の組み合わせを含み得る。
【0036】
治療剤として、例えば、多型配列を含む第2の核酸が挙げられ得る。ただし、第2の核酸は、野生型対立遺伝子に存在するヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む多型配列を含む。
【0037】
あるいは、治療剤は、配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列を含むポリヌクレオチド、または多型配列(配列番号1〜7024)の任意の1つに相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列6に列挙されるヌクレオチドを含む。
【0038】
治療剤は、本明細書中に記載されるような抗体、または配列番号1〜7024からなる群より選択される多型配列を含むオリゴヌクレオチド、または多型配列(配列番号1〜7024)の任意の1つに相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドをさら含み得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチドを含む。
【0039】
別の局面において、本発明は、第1のポリヌクレオチドとこれに含まれる多型性部位でハイブリダイズする1以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドアレイを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列;任意のヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは多型配列中に多型性部位を含む);1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的ヌクレオチド配列;または相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列(ただし、このフラグメントは、多型配列に多型性部位を含む)であり得る。
【0040】
好ましい実施形態において、このアレイは、10;100;1,000;10,000;100,000以上のオリゴヌクレオチドを含む。
【0041】
本発明はまた、本明細書中に記載された1以上の核酸を含むキットを提供する。キットは、例えば、本明細書中で記載される1以上のSNPを含むポリヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドは、例えば、表1および配列表(配列番号1〜7024)に示される1以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であり得、そしてこれは、多型配列、または多型配列のフラグメント(これが多型性部位を含む限り)を含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、1以上の配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列、またはこの相補的ヌクレオチド配列のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含み得る。ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位を含む。本発明は、多型性部位を含む第1のポリヌクレオチドとハイブリダイズする単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを提供する。第1のポリヌクレオチドは、例えば、1以上の多型配列(配列番号1〜7024)を含むヌクレオチド配列であり得る。ただし、多型配列は、多型配列について表1の列5に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む。あるいは、第1のポリヌクレオチドは、多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であり得る(ただし、このフラグメントは、多型配列中に多型性部位、または1以上の多型配列(配列番号1〜7024)に相補的な配列を含む相補的なヌクレオチド配列を含む(ただし、この相補的ヌクレオチド配列は、表1の列5に列挙されたヌクレオチドの相補体以外のヌクレオチドを含む)。第1のポリヌクレオチドは、相補的配列のフラグメントであるヌクレオチド配列をさらに含み得る。ただしこのフラグメントは、多型配列に多型性部位を含む。
【0042】
定義しない限り、本発明使用される全ての技術および特定の用語は、本発明に属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載される方法および材料に類似または等価な方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本明細書中で述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。コンフリクトの場合には、定義を含む本明細書を調整する。さらに、材料、方法および例は、例示のみであって限定することは意図されない。
【0043】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および上記特許請求の範囲から明らかである。
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以前にはまだ同定されていなかった遺伝子に基く3,404の明確な多型性部位(すなわち、ヒトcSNPの)を提供する。これらは、本特許出願に含まれる表に記載される。本願は、以前に同定されていない核酸配列の多型性のみを示す。この理由について、参照多型性対についてのヌクレオチド配列の両方が本願に示される。本発明以前にはどちらの配列も公知ではなかったので、「参照」配列と名づける同族対の1つの配列、および「多型性」配列として名づける第2の同族対の選択は任意である。
【0045】
SNPは、表1および配列表に示される。両方が、本明細書中に記載される多型配列の概要を提供する。表において、「SNP」は、多型配列に包埋される多型性部位である。多型性部位は、単一ヌクレオチドによって占有され、これは、野生型対立遺伝子配列と多型性対立遺伝子配列間のヌクレオチド位置のバリエーションである。この部位は、通常、対立遺伝子の相対的に高度に保存された配列により先行されかつ後に続かれる(例えば、1/100または1/1000以内の数で変化する集団の配列)。従って、多型配列は、次の1以上の配列を含み得る:(1)多型配列中の多型性部位で表1の列5に示されるヌクレオチドを有する配列;または(2)多型配列中の多型性部位で表1の列5に示されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを有する多型配列。後者の配列の例は、多型配列中の多型性部位で表1の列6に示されるヌクレオチドを有する配列である。
【0046】
参照された多型性対についてのヌクレオチド配列は、表1に表される。cSNPの各項目は、野生型ヌクレオチド配列および多型性部位でSNPを含む対応する配列に関する情報を提供する。野生型配列は既に公知であるため、本願に添付する配列表は、多型性対立遺伝子の配列のみを提供する;その配列番号(SEQ ID NO:)はまた、表1において相互参照される。翻訳されたアミノ酸配列を提供する配列番号に対する参照もまた、適切である場合には提供される。表は、各cSNPについて記述的な情報を提供する13の列を含み、その各々は、表の1つの行を占有する。各々の列の表題および説明は以下に示される。
【0047】
「配列番号(SEQ ID)」は、2つのヌクレオチド配列番号に対する相互参照を提供する:同族対について、これは連続して番号付けされ、そして以下に説明されるように本願の配列表にアミノ酸配列番号も番号付けされる。逆に、配列表における各配列の項目はまた、標識「CyraGen配列ID」のもと、CuraGen配列IDに対する相互参照を含む。表の各行の第1の列の各行に示される配列番号の第1の対は、多型についての核酸配列を同定する配列番号である。多型性がアミノ酸部分についてその行の項目を保有する場合、3番目の配列番号は、参照アミノ酸配列について、列「アミノ酸前」(以下を参照)の括弧内に表し、そして4番目の配列番号は、多型性アミノ酸配列について、列「アミノ酸後」(以下を参照)の括弧内に表す。後者の配列番号は、ヌクレオチド多型性の翻訳物である同族の参照アミノ酸配列および多型性アミノ酸配列を示すアミノ酸配列を言う。多型がその行のタンパク質部分についての項目を保有しない場合、1つの対の配列番号のみが1番目の列に提供される。
【0048】
「SNPの塩基の位置」は、核酸の数的なヌクレオチド位置を示し、本発明で同定されるように、そこでcSNPが見出される。
【0049】
「多型配列」は、配列の26番目の塩基で多型性部位を有する51塩基配列、および多型性部位の5’側および3’側上の参照配列由来の25塩基を提供する。多型性部位での名称は、角括弧で囲まれ、そして第1に参照配列;第2に「スラッシュ(/)」;そして第3に多型性ヌクレオチドを提供する。特定の場合において、多型性は、挿入または欠失である。そのような場合、「満たされていない(unfilled)」(すなわち、参照位置または多型性位置)位置は、用語「ギャップ(gap)」によって示される。
【0050】
「前の塩基」は、多型性が見出される位置の参照配列中に存在するヌクレオチドを提供する。
【0051】
「後の塩基」は、多型性の位置で変化したヌクレオチドを提供する。
【0052】
「前のアミノ酸」は、多型がコード領域に生じる場合に、参照タンパク質中のアミノ酸を提供する。この列はまた、多型がコード領域に生じる場合に翻訳された参照アミノ酸配列について括弧内に配列番号を含む。
【0053】
「後のアミノ酸」は、コード領域に多型が生じる場合に、多型性タンパク質中のアミノ酸を提供する。この列はまた、多型がコード領域に生じる場合、翻訳された多型性アミノ酸配列について括弧内に配列番号を含む。
【0054】
「変化の型」は、天然の多型についての情報を提供する。
【0055】
「サイレント−非コード(SILENT−NONCODING)」は、多型が核酸の非コード領域に生じる場合に使用される。
【0056】
「サイレント−コード(SILENT−CODING)」は、多型が核酸のコード領域に生じ、翻訳された多型性タンパク質におけるアミノ酸の変化を生じない場合に使用される。
【0057】
「保存的(CONSERVATIVE)」は、多型性が核酸のコード領域に生じ、参照アミノ酸と同じクラスに入る変化したアミノ酸に変化を与える場合に使用される。このクラスは以下である:
脂肪族:Gly、Ala、Val、Leu、Ile;
芳香族:Phe、Tyr、Trp;
硫黄含有:Cys、Met;
脂肪族OH:Ser、Thr;
塩基性:Lys、Arg、His;
酸性;Asp、Glu、Asn、Glu;
Proは他のどのクラスにも入らない;および
Endは終結コドンを定義する。
【0058】
「非保存的(NONCONSERVATIVE)」は、多型性が、核酸のコード領域に生じ、そして参照アミノ酸配列よりも異なるクラスに入る変化したアミノ酸に変化を与える場合に使用される。
【0059】
「フレームシフト(FLAMESHIFT)」は、挿入または欠失に関する。フレームシフトが、コード領域に生じる場合、この表は、多型性部位に対してフレームシフトしたコドン3’の翻訳物を提供する。
【0060】
「CuraGen遺伝子のタンパク質の分類」は、タンパク質が分類される遺伝子の分類を提供する。上記同定された4つのアプリケーションのファイリングを読む作業過程の間に、約100のタンパク質分類が同定された。これらは、以下にさらに記載される。
【0061】
「CuraGen配列のBLASTX分析に従って同定されたタンパク質の名称」は、新規な参照多型性同族対に対して最も緊密に類似することが見出されるタンパク質についての参照データベースを提供する(次の段落は、配列がどのようにして「新規」であると決定されたかを説明する)。
【0062】
「BLASTX分析に従う類似性(p値)」は、p値(多型配列が参照配列または野生型配列に類似する(従って、これらの配列の対立遺伝子遺伝子である)というBLASTX分析からの統計学的測定値)を提供する。本願において、p値のカットオフ>1×10−50(表に1.0E−50として入力される)が、参照多型性同族対が新規であることを確立するために使用される。
【0063】
「地図位置」は、出願時点での染色体上の遺伝子の位置に関連する利用可能な任意の情報を提供する。
【0064】
多型は、以下の順番で表にまとめられる。
【0065】
配列番号1〜6592は(連続した対)サイレントなSNPである。
【0066】
配列番号6593〜6648は(連続した対)保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPである。
【0067】
配列番号6649〜7024は(連続した対)非保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPである。
【0068】
配列番号6809〜6864は(連続した対)参照配列と多型配列の間の保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPにより提供されるタンパク質産物の多型性アミノ酸残基で集中したアミノ酸配列である。これらのアミノ酸の配列番号は、1999年11月30日に出願されたU.S.S.N.60/168,138に記載される対応するヌクレオチド配列番号44335〜44850に由来する。多型性部位のいずれかの側の7または8アミノ酸が示される。これらの配列の順番は、同族ヌクレオチド配列の提示の順番を反映するらしく、これは表に示される。
【0069】
配列番号6865〜7024は(連続した対で)参照配列と多型配列の間の非保存的なアミノ酸変化を引き起こすSNPにより提供されるタンパク質産物の多型性アミノ酸残基で集中したアミノ酸配列である。これらのアミノ酸の配列番号は、1999年11月30日に出願されたU.S.S.N.60/168,138に記載される対応するヌクレオチド配列番号44851〜46464に由来する。多型性部位のいずれかの側の7または8アミノ酸が示される。これらの配列の順番は、同族ヌクレオチド配列の提示の順番を反映するらしく、これは表に示される。
【0070】
これらの多型を有する核酸配列を含むか、またはこのような核酸配列の検出が可能である組成物、および核酸を使用する方法が、本明細書中で提供される。
【0071】
(SNPを保持する個体の同定)
本発明の多型対立遺伝子を保持する個体は、当該分野で周知の種々の技術を使用して、DNA、RNAまたはタンパク質レベルで検出され得る。同定および検出のためのストラテジーは、例えば、EP 730,663、EP 717,113およびPCT US97/02102に記載される。これらの方法は、通常、予め特徴付けた多型を使用する。つまり、ある部位に存在する多型形態の遺伝子型を決める位置および性質が、決定されている。この情報の利用能は、これらの既知の多型形態の特異的同定のための、プローブのセットの設計を可能にする。
【0072】
以下に記載の多くの方法は、標的サンプル由来のDNAの増幅を必要とする。これは、例えば、PCRによって達成され得る。一般には、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplificaton(H.A.Erlich編、Freeman Press,NY,NY,1992);PCR Protocols:A Guide to Methods and Appplications(Innisら編、Academic Press,San Diego,CA、1990);Mattilaら、Nucleic Acids Res.19,4967(1991);Eckertら、PCR Methods and Applications 1、17(1991);PCR(McPhersonら編、IRL Press、Oxford);米国特許第4,683,202号を参照のこと。
【0073】
句「組換えタンパク質」または「組換え産生されたタンパク質」とは、このタンパク質を発現し得るDNAの内因性コピーを有さない非天然の細胞を使用して産生された、ペプチドまたはタンパク質をいう。特に、本明細書中で使用する場合、組換え産生されたタンパク質は、多型対立遺伝子の遺伝子産物(すなわち、「多型タンパク質」)に関し、これは、そのヌクレオチド多型の翻訳産物のその部位にて、変更されたアミノ酸を含む。これらの細胞は、適切な核酸配列の導入によって遺伝的に変更されているので、このタンパク質を産生する。この組換えタンパク質は、このタンパク質を産生する細胞に通常に関連するタンパク質および他の細胞内成分と共に見出されない。用語「タンパク質」および「ペプチド」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0074】
句「実質的に精製された」または「単離された」とは、核酸、ペプチドまたはタンパク質に対して言及する場合、その化学組成物が、それが天然に関連する他の細胞成分をほとんど含まないかまたは好ましくは全く含まない環境にあることを意味する。従って、句「単離された」または「実質的に純粋」とは、宿主細胞中の核酸に通常に関連する少なくとも1つのタンパク質または核酸を欠く、核酸調製物をいう。これは、好ましくは、均質な状態にあるが、乾燥または水溶液中のいずれかにあり得る。純度および均一性は、代表的に、ゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を使用して測定される。一般に、実質的に精製または単離された核酸またはタンパク質は、この調製物に存在する全ての高分子種のうちの80%以上を含む。好ましくは、この核酸またはタンパク質は、存在する全ての高分子種のうちの90%以上を示すよう精製される。より好ましくは、この核酸またはタンパク質は、95%以上に精製され、そして最も好ましくは、この核酸またはタンパク質は、実質的に均質なまでに精製され、ここでは、他の高分子種は、従来の分析手段によって検出されない。
【0075】
診断用に使用するゲノムDNAは、身体の任意の有核細胞(例えば、末梢血、尿、唾液、口腔サンプル、外科的標本および剖検標本)から得られ得る。このDNAは、直接使用してもよく、または変異分析の前に、PCR(Saikiら、Science 239:487−491(1988))または他のインビトロ増幅方法(例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace Genomics 4:560−569(1989))、鎖置換増幅(SDA)(Walkerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:392−396(1992))、自己持続配列複製(3SR)(Fahyら、PCR Methods P&J& 1:25−33(1992)))の使用によって、インビトロで酵素的に増幅してもよい。
【0076】
変異検出に適切な形態にある核酸を調製するための方法は、当該分野で周知である。「核酸」は、一本鎖または二本鎖形態にあるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーであり、これには、他に示されない限り、天然のヌクレオチドの公知のアナログが含まれる。用語「核酸」とは、本明細書中で使用する場合、DNAまたはRNAのいずれかをいう。「核酸配列」または「ポリヌクレオチド配列」とは、5’末端から3’末端へのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の読み取り(read)の一本鎖配列をいう。新生のRNA転写物の5’→3’付加の方向は、転写方向と呼ばれ;このRNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありかつこのRNA転写物の5’末端を5’方向に越える配列領域は、「上流配列」と呼ばれ;このRNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありかつこのRNA転写物の3’末端を3’方向に越える配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。この用語は、自己複製プラスミド、DNAまたはRNAの感染性ポリマー、および非機能的DNAまたはRNAを含む。本発明の任意の核酸配列の相補体は、この配列の定義に含まれると理解される。「核酸プローブ」は、DNAまたはRNAのフラグメントであり得る。
【0077】
特定のDNA配列における多型の検出は、種々の方法によって達成され得る。この種々の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:対立遺伝子特異的制限エンドヌクレアーゼ切断に基づく制限フラグメント長多型検出(KanおよびDozy Lancet ii:910−912(1978))、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブでのハイブリダイゼーション(Wallaceら、Nucl.Acids.Res.6:3543−3557(1978))(固定オリゴヌクレオチド(Saikiら、Proc.Natl.Acad.SCI.USA、86、6230−6234(1969))またはオリゴヌクレオチドアレイ(MaskosおよびSouthern Nucl.Acids.Res 21:2269−2270(1993))を含む)、対立遺伝子特異的PCR(Newtonら、Nucl Acids Res 17:2503−2516(1989))、ミスマッチ修復検出(MRD)(FahamおよびCox Genome Res 5:474−482(1995))、MutSタンパク質の結合(Wagnerら、Nucl Acids Res 23:3944−3948(1995))、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(FisherおよびLermanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1579−1583(1983))、一本鎖高次構造多型検出(Oritaら、Genomics 5:874−879(1983))、ミスマッチ塩基対のRNAase切断(Myersら、Science 230:1242(1985))、ヘテロ二重鎖DNAの化学的切断(Cottonら、Proc.Natl.Acad.SCI.USA、8Z4397−4401(1988))または酵素的切断(Youilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:87−91(1995))、対立遺伝子特異的プライマー伸長に基づく方法(Syvanenら、Genomics 8:684−692(1990))、遺伝子ビット(genetic bit)分析(GBA)(Nikiforovら、&&I Acids 22:4167−4175(1994))、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(Landegrenら、Science 241:1077(1988))、対立遺伝子連結鎖反応(LCR)(Barrany Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:189−193(1991))、ギャップ−LCR(Abravayaら、Nucl Acids Res 23:675−682(1995))、当該分野で周知の標準的手順を使用する放射活性および/または蛍光DNA配列決定、およびペプチド核酸(PNA)アッセイ(Orumら、Nucl.Acids Res,21:5332−5356(1993);Thiedeら、Nucl.Acids Res.24:983−984(1996))。
【0078】
「特異的ハイブリダイゼーション」または「選択的ハイブリダイゼーション」とは、配列が複合混合物中(例えば、総細胞DNAまたはRNA)に存在する場合に、適切にストリンジェントな条件下での、核酸分子の、その核酸が相補的な第2の特定のヌクレオチド配列のみに対する結合または二重鎖形成をいう。「ストリンジェント条件」は、プローブが、その標的サブ配列にハイブリダイズするが他の配列にハイブリダイズしない条件である。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、そして異なる環境下で異なる。長い配列ほど、短い配列よりも、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェント条件は、規定のイオン強度およびpHで、その温度が、ハイブリダイゼーションが生じることが意図される特定の配列についての熱融解点(Tm)よりも、約5℃低い温度であるように選択される。Tmは、(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)標的配列の50%が、その相補的プローブに平衡状態でハイブリダイズする温度である。代表的に、ストリンジェント条件は、pH7.0〜8.3で、少なくとも約0.01〜約1.0M Naイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を含む。温度は、短いペプチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)について、少なくとも約30℃である。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によって達成され得る。例えば、5×SSPE(750mM NaCl、50mM リン酸Na、5mMEDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度の条件が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適切である。
【0079】
「相補的」または「標的」核酸配列とは、核酸プローブに選択的にハイブリダイズする核酸配列をいう。適切なアニーリング条件は、例えば、プローブの長さ、塩基組成、およびプローブ中のミスマッチの数および位置に依存し、そしてしばしば、経験的に決定される。核酸プローブの設計およびアニーリング条件の考察については、例えば、Sambrookら、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1987)を参照のこと。
【0080】
完全に一致したプローブは、特定の標的配列に対して完全に相補的な配列を有する。試験プローブは、典型的に、標的配列の一部に対して完全に相補的である。「多型」マーカーまたは部位は、配列の差が参照配列に対して生じる位置である。多型マーカーは、制限フラグメント長多型、可変数のタンデム反復(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純な配列反復、および挿入エレメント(例えば、Alu)を含む。基準対立遺伝子形態は、例えば、集団において最も大量の形態、または同定される第1の対立遺伝子形態であり得、そして他の対立遺伝子形態は、代替物、改変体または多型対立遺伝子として設計される。選択された集団において最も頻繁に生じる対立遺伝子形態は、時折、「野生型」形態と称され、そして本明細書中において、「基準」形態とも称され得る。二倍体生物は、対立遺伝子形態に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。二対立遺伝子多型は、2つの識別可能な形態(すなわち、塩基配列)を有し、そして三対立遺伝子多型は、3つのそのような形態を有する。
【0081】
本明細書中で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」は、2〜約60塩基の範囲の長さの一本鎖核酸である。オリゴヌクレオチドはしばしば合成的であるが、天然に存在するポリヌクレオチドから生成され得る。プローブは、1つ以上のタイプの化学結合を介して、通常は水素結合の形成による相補的塩基対形成を介して、相補的配列の標的核酸に結合し得るオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドプローブは、しばしば、5塩基と60塩基との間であり、特定の実施形態において10〜40塩基の間、または15〜30塩基の間の長さであり得る。オリゴヌクレオチドプローブは、天然の塩基(すなわち、A、G、C、またはT)、または改変された塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドプローブ中の塩基は、ホスホジエステル結合以外の結合(例えば、ホスホルアミダイト結合またはホスホロチオエート結合)によって連結され得るか、あるいはこれらは、ペプチド核酸であり得、ここで、成分塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合よりむしろペプチド結合によって連結される。
【0082】
本明細書中で使用する場合、用語「プライマー」とは、適切な緩衝液および適切な温度において、適切な条件下(例えば、4個の異なるヌクレオシド三リン酸および重合試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)の存在下)でテンプレート指向性DNA合成の開始点として作用する一本鎖オリゴヌクレオチドをいう。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される用途に依存するが、典型的には、15〜30ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は、一般的に、テンプレートと十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とする。プライマーは、好ましくは、テンプレートの正確は配列に対して相補的である必要はないが、それにハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。用語「プライマー部位」とは、プライマーがハイブリダイズする標的DNAの配列をいう。用語「プライマー対」とは、増幅されるDNA配列の5’末端にハイブリダイズする5’(上流)プライマー、および増幅される配列の3’末端の相補体にハイブリダイズする3’(下流)プライマーを含むプライマーのセットをいう。
【0083】
DNAフラグメントは、例えば、プラスミドDNAを消化することによって、またはPCRを使用することによって調製され得る。プライマーまたはプローブとして使用するためのオリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの化学合成の分野において公知の方法によって化学的に合成され、この例としては、例えば、BeaucageおよびCarruthers,Tetrahedron Lett 22:1859〜1862(1981)により記載されるホスホルアミダイト法、およびMatteucciら、J.Am.Chem.Soc.,103:3185(1981)によって提供されるトリエステル方法が挙げられるが、これらに限定されず、これら両方の方法は、本明細書中で参考として援用される。これらの合成は、Needham−VanDevanter,D.R.ら、Nucleic Acids Res.12:61596168(1984)に記載されるような自動合成機を用い得る。オリゴヌクレオチドの精製は、ネイティブのアクリルアミドゲル電気泳動によって、またはPearson,J.D.およびRegnier,F.E.,J.Chrom.,255:137〜149(1983)に記載されるような陰イオン交換HPLCによってのいずれかによって行われ得る。次いで、所望の場合、二本鎖フラグメントは、適切な相補的一本鎖を適切な条件下で一緒にアニーリングすることによって、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を合成することによって得られ得る。核酸プローブに対して特異的な配列が得られる場合、相補鎖もまた同定されそして含まれることが理解される。相補鎖は、標的が二本鎖核酸である場合において十分に等しく働く。
【0084】
合成オリゴヌクレオチドの配列または任意の核酸フラグメントの配列は、ジデオキシ鎖終結法またはMaxam−Gilbert法のいずれかを使用して得られ得る(Sambrookら、Molecular Cloning−a Laboratory Manual(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,(1989)(これは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。このマニュアルは、本明細書中以下で、「Sambrookら」;Zyskindら(1988)と称される。Recombinant DNA Laboratory Manual(Acad.Press,New York)。診断アッセイにおいて有用なオリゴヌクレオチドは、典型的に、少なくとも8個の連続したヌクレオチド長であり、そして上方に18ヌクレオチド長〜100以上の連続したヌクレオチドまでの範囲の長さであり得る。
【0085】
本発明の別の局面は、本発明のSNP含有ヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズ可能であるかまたはこれに相補的である単離されたアンチセンス核酸分子、そのフラグメント、アナログまたは誘導体に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補的、またはmRNA配列に対して相補的)である、ヌクレオチド配列を含む。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的であるヌクレオチド配列を含む。特定の局面において、少なくとも約10、約25、約50、または約60ヌクレオチドまたはSNPコード鎖全体、またはそれらの一部のみに対して相補的な配列を含むアンチセンス核酸分子が提供される。
【0086】
一実施形態において、アンチセンス核酸分子は、本発明の多型ヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接する5’および3’配列をいう(すなわち、5’および3’非翻訳領域をいう)。
【0087】
本明細書中で開示されるコード鎖配列の場合、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickまたはHoogsteen塩基対形成の役割に従って設計され得る。例えば、アンチセンス核酸分子は、一般的に、mRNAのコード領域全体に対して相補的であり得るが、より好ましくは、本明細書中で具体化されるように、これは、mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約5ヌクレオチドと約60ヌクレオチドとの間の範囲の長さであり得、好ましくは、約10ヌクレオチドと約45ヌクレオチドとの間、より好ましくは約15ヌクレオチドと40ヌクレオチドとの間、さらにより好ましくは約15ヌクレオチドと30ヌクレオチドとの間の長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用する化学合成または酵素的ライゲーション反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された多様に改変されたヌクレオチドを使用して化学的に合成され得る。例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る。
【0088】
アンチセンス核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ユブトキソシン(wybutoxosine)、プセウドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを使用して生物学的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に向かうアンチセンス方向であり、これは以下の節にさらに記載される)。
【0089】
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的に被験体に投与されるか、またはインサイチュで産生され、その結果、これらは、多型タンパク質をコードする細胞のmRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズするかまたはこれらに結合し、それにより例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害する。ハイブリダイゼーションは、従来のヌクレオチド相補体によってであり、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二本鎖へリックスの主溝における特定の相互作用によって、安定な二本鎖を形成し得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例としては、組織部位における直接注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択した細胞を標的化するように改変され、次いで全身的に投与され得る。例えば、全身投与について、アンチセンス分子は、アンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、それらが選択された細胞表面で発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中で記載されるベクターを使用して細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下におかれるベクター構築物が好ましい。
【0090】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的なRNAと特定の二本鎖ハイブリッドを形成し、その中では、通常の単位とは反対に、鎖は互いに平行に走る(Gaultierら、(1987)Nucleic Acids Res 15:6625−6641)。そのアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、(1987)Nucleic Acids Res 15:6131−6148)、またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、(1987)FEBS Lett 215:327−330)を含み得る。
【0091】
以下の用語は、2つ以上の核酸またはポリヌクレオチドの間の配列関係を記載するために使用される:「参照配列」「比較ウインドウ」「配列同一性」「配列同一性の百分率」および「実質的な同一性」。「参照配列」は配列比較のための基準として使用される規定された配列である;参照配列はより大きな配列のサブセット(例えば、配列リストの中に提供される、全長cDNAあるいは遺伝子配列のセグメントのような)であり得るか、または完全なcDNAあるいは遺伝子配列を含み得る。比較ウインドウを整列するための、配列の最適な整列は、例えば、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(Adv.AppI.Math,2482(1981))によって、NeedlemanおよびWunschの相同性整列アルゴリズム(J.Mol.Biol.48:443(1970))によって、PearsonおよびLipmanの類似性方法に対する検索(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.852444(1988))によって、またはこれらのアルゴリズムのコンピュータ化されたインプリメンテーション(例えば、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIの中の、GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって実行され得る。
【0092】
本発明のcSNP’sを内部にもつ核酸配列の核酸操作のための技術(例えば、ポリペプチドをコードしている核酸配列の発現ベクター内へのサブクローニング、プローブの標識、DNAハイブリダイゼーションなど)は、一般的にSambrookらに記載されている。「コードしている核酸配列」という句は、特定のタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列の発現を指示する核酸をいう。核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖配列、およびタンパク質、ペプチド、またはアミノ酸配列に翻訳されるRNA配列の両方を含む。核酸配列は、本明細書中に記載の全長の核酸配列、および全長のタンパク質由来の非全長配列の両方を含む。その配列が、特定の宿主細胞においてコドン優先を提供するために導入され得るネイティブな配列の縮重コドンを含むことが、さらに理解されている。その結果として、プローブ選択、およびアレイ設計の原理は、さらに複雑な多型を分析することに容易に拡大され得る(EP730,663を参照のこと)。例えば、3対立遺伝子(triallelic)のSNP多型を特徴付けるために、3つのグループのプローブは、上記に記載のような3つの多型の型上に設置(tile)することによって設計され得る。さらなる例としては、ヌクレオチドの欠失を含む2対立遺伝子多型を分析するために、参照配列として欠失が引き起こされていない多型の型に基づくプローブの第1グループ、および参照配列として欠失型に基づいたプローブの第2のグループを設置し得る。
【0093】
ゲノムDNAのアッセイのために、実質的に任意の生物学的に好都合な組織サンプルが使用され得る。適切なサンプルとしては、全血液、血清、唾液、涙液、尿、糞便物質、汗、頬、皮膚、および毛が挙げられる。ゲノムDNAは代表的に、分析の前に増幅される。増幅は通常、適切なフラグメント(例えば、分析される多型位置を含む50〜500ヌクレオチドのフラグメント)に隣接するプライマーを使用するPCRによってもたらされる。標的は通常、増幅の間に標識される。増幅産物は、RNAまたはDNAであり得、一本鎖または二本鎖であり得る。二本鎖の場合、増幅産物は代表的に、アレイへの適用の前に変性される。ゲノムDNAが増幅されずに分析される場合、アレイに対して適用する前に、サンプルからRNAを取り除くことが望ましくあり得る。このようなことは、DNase−free RNaseを用いた消化によって果たされ得る。
【0094】
(核酸サンプル中の多型の検出)
本明細書で開示されるSNPは、どの型の特徴付けられた多型が、分析の下で、個体中に存在するかを決定するために用いられ得る。
【0095】
多型を分析するための、対立遺伝子特異的なプローブの設計および使用は、例えばSaikiら、Nature 324,163−166(1986);Dattagupta,EP235,726,Saiki,WO89/11548によって記載される。対立遺伝子特異的なプローブは、2つの個体由来のそれぞれのセグメント中の異なる多型の型の存在に帰因して、1つの個体由来の標的DNAのセグメントに対してハイブリダイズするが、別の個体由来のそれに対応するセグメントに対してはハイブリダイズしないように、設計され得る。ハイブリダイゼーションの条件は、対立遺伝子間のハイブリダイゼーション強度において十分な差異(そして好ましくは、本質的に2成分の応答)があり、それによってプローブが対立遺伝子の1つのみにハイブリダイズする、十分なストリンジェントであるべきである。いくつかのプローブは、多型部位がプローブの中央位置(例えば、15マー中の7位において;16マー中の7,8または9位のいずれかにおいて)と整列するように、標的DNAのセグメントに対してハイブリダイズするように設計される。プローブのこの設計は、異なる対立遺伝子型の間のハイブリダイゼーションにおいて、良好な識別を達成する。
【0096】
対立遺伝子特異的なプローブはしばしば、対で使用され、対の1つのメンバーは標的配列の参照型に対して完全な一致を示し、そしてその他のメンバーは、改変型に対して完全な一致を示す。次いで、プローブのいくつかの対は、同一標的配列内にある複数の多型の同時分析のために、同一の支持体上に固定化され得る。
【0097】
多型はまた、核酸アレイに対するハイブリダイゼーションによって同定され得、いくつかの例が公開されたPCT出願WO95/11995に記載されている。WO95/11995はまた、予備的に特徴づけされた多型の、改変体型の検出のために最適化されるサブアレイを記載する。このようなサブアレイは、第2の参照配列に対して相補的であるように設計されたプローブを含み、これは、第1の参照配列の対立遺伝子改変体である。プローブの第2のグループは、プローブが第2の参照配列に対して相補性を示すこと以外は、同様の原理で設計される。第2のグループ(またはさらなるグループを)含むことは、第1の参照配列の短い部分配列(その中では、プローブの長さに相応の短い距離の中で、複数の変異(例えば、9〜21塩基中で2つ以上の変異)が起こることが予期されている)を分析するために特に有用であり得る。
【0098】
対立遺伝子特異的プライマーは、多型と重複している標的DNA上の部位にハイブリダイズし、そしてプライマーが完全な相補性を示す対立遺伝子型の増幅を、唯一開始(primes)する。Gibbs、Nucleic Acid Res.17 2427−2448(1989)を参照のこと。このプライマーは、遠位でハイブリダイズする第2のプライマーと共に使用される。増幅は、2つのプライマーから進行し、特定の対立遺伝子型が存在していることを示す検出可能な産物を生じる。コントロールは通常、プライマーの第2の対を用いて行われ、その1つは、多型部位に単一の塩基のミスマッチを示し、そしてその他方は遠位の部位に対して完全な相補性を示す。単一の塩基のミスマッチが増幅を妨げ、そして検出可能な産物は形成されない。その方法は、ミスマッチが多型と共に整列されるオリゴヌクレオチドの最も3’の部分の位置の中に含まれる場合に、最も役立つ、なぜならこの位置が、プライマーからの伸長を最も不安定化させるからである(例えば、WO 93/22456を参照のこと)。
【0099】
ポリメラーゼ連鎖反応を用いて生じた増幅産物は、変性勾配ゲル電気泳動の使用によって分析され得る。異なる対立遺伝子は、異なる配列依存的な融解の特徴および溶液中のDNAの電気泳動移動度に基づいて同定され得る。Erlich、編、PCR Technology,Principles and Applications for DNA Amplification、(W.H.Freeman and Co New York,1992,Chapter 7)。
【0100】
標的配列の対立遺伝子は、一本鎖コンフォメーション多型分析を使用して識別され得、これは一本鎖PCR産物の電気泳動の移動度における変化によって塩基の相違を同定する(Oritaら、Proc.Nat.Acad.Sci.86,2766−2770(1989)に記載されるように)。増幅されたPCR産物が生成され得、そして加熱または別の方法で変性され得、一本鎖の増幅産物を形成する。一本鎖核酸は、その塩基配列に部分的に依存している二次構造を再び折り畳み(refold)得るか、または形成し得る。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動の移動度は、標的遺伝子の対立遺伝子間の塩基配列の差異に関係し得る。
【0101】
遺伝子多型によって引き起こされると推測され得る病状に関して、個体における遺伝子型は、結合分析(association analysis)によって評価され得る。結合分析に適した表現型の特徴は、知られているが、これまでに遺伝子の構成要素を地図作製されていない疾患(例えば、無ガンマグロブリン血症、尿崩症、レッシュ−ナイハン症候群、筋ジストロフィー、ヴィスコット−オールドリッチ症候群、ファブリー病、家族性高コレステロール血症、多発性嚢胞腎疾患、遺伝性球状赤血球症、ヴォン・ヴィレブランド病、結節硬化症、遺伝性出血性毛細管拡張症、家族性結腸ポリポシス、エーレルス−ダンロー症候群、骨形成不全症、および急性間欠性ポルフィリン症)を含む。
【0102】
表現型の特徴はまた、多因子性疾患(その構成要素が遺伝的(自己免疫疾患、炎症、癌、神経系の疾患、および病原性微生物による感染のような)であるが、またはそうであり得る)の症状またはこの多因子性疾患に対する感受性を含む。自己免疫疾患のいくつかの例として、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病(インシュリン依存性およびインシュリン非依存性)、全身性エリテマトーデス、およびグレーヴズ病が挙げられる。癌のいくつかの例として、膀胱癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、腎臓癌、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、白血病、肝臓癌、肺癌および子宮癌が挙げられる。表現型の特徴としてまた、寿命、外見(例えば、禿頭症、肥満症)、体力、敏速さ、忍耐力、生殖能力、および特定の薬物または治療処置に対する感受性または受容性のような特徴が挙げられる。
【0103】
どの多型の型が、個体における多型部位の1セットを占有するかの決定は、個体を識別する1セットの多型の型を同定する。一般的に、National Research Council,The Evaluation of Forensic DNA Evidence(Eds.Pollardら、National Academy Press,DC,1996)を参照のこと。多型部位は、ヒトゲノムの50,000bp領域内にあるので、これらの多型部位の間の組換えの確率は低い。その低い確率は、本出願で示されるハプロタイプ(10多型部位全てのセット)は、少なくともいくつかの世代の間、変化することなく遺伝されるはずであることを意味している。より多くの部位が分析される程、ある個体における多型の型のセットが無関係な個体におけるものと同様である確率は低くなる。好ましくは、複数の部位が分析される場合、これらの部位は同一連鎖群に属さない。従って、本発明の多型はしばしば、遠位の遺伝子における多型と共に使用される。法医学における使用のために好ましい多型は2対立遺伝子である、なぜなら、この2つの多型の型の集団頻度は通常、複数対立遺伝子座位における複数の多型の型の集団頻度より高い精度で決定され得るからである。
【0104】
ある個体における法医学的マーカーの、特徴的なセット、または唯一のセットを同定する能力は、法医学的分析に有用である。例えば、選択された多型の部位を占有している多型の型のセットが、容疑者およびサンプルにおいて同様であるかどうかを決定することによって、容疑者由来の血液サンプルが、事件の現場からの血液または他の組織のサンプルと一致するかどうかを決定し得る。多型マーカーのセットが容疑者とサンプルとの間で一致しない場合、容疑者はサンプルの供給源ではなかったことが(実験上の間違いがない場合)結論づけられ得る。マーカーのセットが一致する場合、容疑者由来のDNAは、犯行現場で発見されたものと一致していると結論づけられ得る。試験された座位での多型の型の頻度が決定付けられた場合(例えば、個体の適切な集団の分析によって)、容疑者および犯行現場のサンプルの一致が偶然に起こる確率を決定するための統計的分析が行われ得る。
【0105】
p(ID)は、2つのランダムな個体が、所定の多型部位に、同じ多型の型または対立遺伝子型を有する確率である。2対立遺伝子座位の中で、四つの遺伝子型が可能である:AA、AB、BA、およびBBである。対立遺伝子AおよびBは、生物のハプロイドゲノムにおいて生じ、頻度xおよびyを伴い、二倍体生物における各々の遺伝子型の確率は(WO95/12607を参照のこと):
ホモ接合体:p(AA)=x2
ホモ接合体:p(BB)=y2=(1−x)2
単一のヘテロ接合体:p(AB)=p(BA)=xy=x(1−x)
両方のヘテロ接合体:p(AB+BA)=2xy=2x(1−x)
1つの位置における同一性の確率(すなわち、集団からランダムに選ばれた2つの個体が、所定の座位で同一の多型の型を有する確率)は、以下の式:
p(ID)=(x2)2+(2xy)2+(y2)2
によって与えられる。
【0106】
これらの計算は、所定の座位における多型の型の任意の数に対して、拡大され得る。例えば、対立遺伝子がそれぞれx、y、およびzの、集団における頻度を有する3対立遺伝子系について、同一性の確率p(ID)は、その遺伝子型の頻度の2乗の和に等しい:
p(ID)=x4+(2xy)2+(2yz)2+(2xz)2+z4+y4
。n対立遺伝子の座位において、p(ID)およびp(exc)を計算するために、適切な2項展開が用いられる。
【0107】
複数の同一連鎖群に属さない座位の各々に対する同一性の累積確率(cum p(ID))は、それぞれの座位によって提供される確率を掛け算することによって決定される:
cum p(ID)=p(ID1)p(ID2)p(ID3)...p(IDn)
。n座位について非同一性の累積確率(すなわち、2つのランダムな個体が、1つ以上の座位において異なる確率)は、式:
cum p(nonID)=1−cum p(ID)
によって与えられる。いくつかの多型座位が試験される場合、ランダムな個体についての、非同一性の累積確率は非常に高くなる(例えば、1に対して10億)。このような確率は、容疑者の有罪または無罪を決定するときに、別の証拠と共に、考慮に入れられ得る。
【0108】
実父確定試験の目的は通常、ある男性がある子供の父親であるかどうかを決定することである。ほとんどの場合、その子供の母親は分かっていて、従って、子供の遺伝子型に対する母親の寄与が追跡され得る。実父確定試験は、母親の由縁でない子供の遺伝子型の一部が、推定の父親のものと一致するかどうかを調査する。実父確定試験は、推定の父親および子供における多型のセットを分析することによって、行われ得る。
【0109】
子供において、父親に由縁している多型のセットが、推定の父親と一致しない場合、実験上の間違いがない場合、推定の父親は本当の父親ではないことが結論づけられ得る。子供において、父親に由縁している多型の群が、推定の父親の多型の群と一致する場合、偶然の一致の確率を決定するために、統計的計算が行われ得る。
【0110】
家系除外(parentage exclusion)の確率(ランダムな男性が、彼を父親として不適合にする、所定の多型部位における多型の型を有する確率を表している)は式:
p(exc)=xy(1−xy)
によって与えられる(WO95/12607を参照のこと)。
ここで、xおよびyは、2対立遺伝子多型部位の対立遺伝子Aおよび対立遺伝子Bの集団頻度である。(3対立遺伝子部位において、p(exc)=xy(1−xy)+yz(1−yz)+xz(1−xz)+3xyz(1−xyz))、ここでx、y、およびzは対立遺伝子A、B、およびCのそれぞれの集団頻度である。非除外の頻度は:
p(non−exc)=1−p(exc)
である。従って、非排除の累積確率(n座位が使用される場合に得られる値を表している)は:
cum p(non−exc)=p(non−exc1)p(non−exc2)p(non−exc3)...p(non−excn)
。n座位に対する排除の累積確率(ランダムな男性が排除される確率を表している)は:
cum p(exc)=1−cum p(non−exc)
である。いくつかの多型位置が分析に含まれている場合、ランダムな男性の排除の累積確率は、非常に高い。この確率は、推定の父親(その多型マーカーセットが子供の彼/彼女の父親に由縁している多型マーカーセットと一致する)の責任を評価するときに、考慮に入れられ得る。
【0111】
本発明の多型は、異なる方法で、生物の表現型に寄与し得る。いくつかの多型は配列をコードしているタンパク質の中で起こり、そしてタンパク質構造に影響を与えることによって、表現型に寄与している。その効果は、その環境に依存してはっきりとしないものであり得、有利もしくは不利か、または有利および不利の両方かであり得る。例えば、ヘテロ接合の鎌状血状変異は、マラリアに抵抗力を与えるが、ホモ接合の鎌状血状変異は通常致死性である。しかし、非コーディング領域に生じる他の多型は、複製、転写、および翻訳への影響を介して、間接的に表現型効果を及ぼし得る。単一の多型は1つより多くの表現型の特徴に影響を及ぼし得る。同様に、単一の表現型の特徴は、異なる遺伝子の中の多型によって影響を受け得る。さらに、いくつかの多型は、個体が明確な変異(それが原因となって、特定の表現型に関係する変異)を受け易くなるようにする。
【0112】
表現型の特徴は、知られているが、これまでに遺伝子の構成要素を地図作製されていない疾患を含む。表現型の特徴はまた、構成要素が遺伝的であるか、または遺伝的であり得る多因子性疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症、癌、神経系の疾患、および病原性微生物による感染のような)の症状またはこの多因子性疾患に対する疑いを含む。
自己免疫疾患のいくつかの例として、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病(インシュリン依存性およびインシュリン非依存性)、全身性エリテマトーデス、グレーヴズ病が挙げられる。癌のいくつかの例として、膀胱癌、脳癌、乳癌、結腸癌、食道癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、および子宮癌が挙げられる。表現型の特徴としてまた、寿命、外見(例えば、禿頭症、肥満症)、体力、敏速さ、忍耐力、生殖能力、および特定の薬物または治療処置に対する感受性または受容性のような特徴が挙げられる。
【0113】
目的の表現型の特徴の存在、または非存在について、および多型マーカーセットについて試験された個体の集団に関する相関が行われる。このような分析を行うために、多型のセット(すなわち、多型セット)の存在、または非存在が、個体のセットに対して決定され、そのいくつかは特定の特徴を示し、そして、そのいくつかは特徴の欠如を示した。次いで、そのセットのそれぞれの多型の対立遺伝子は、特定の対立遺伝子の存在、または非存在が、目的の特徴と関係しているかどうかを決定するため、再検討される。相関は標準的な統計方法によって行われ得、そして多型の型(単数または複数)と表現型の特徴との間の統計的に有意な相関が注目される。例えば、多型Aにおける対立遺伝子A1の存在が心臓疾患と相関があることが分かり得る。さらなる例として、多型Aにおける対立遺伝子A1、および多型Bにおける対立遺伝子B1の存在の組み合わせが、家畜のミルク生産の上昇と相関していることが分かり得る。
【0114】
このような相関は、いくつかの様式で利用され得る。1つ以上の多型の型セットと処置が利用可能な疾患との間に強い相関がある場合、ヒトまたは動物患者におけるこの多型の型の検出は、処置の即時投与、または少なくともこの患者の定期的なモニタリングの設定を正当化し得る。家族を望むカップルにおいて、重篤な疾患に関係する多型の検出は、そのカップルにとって、生殖上の決定において役立ち得る。例えば、女性のパートナーは、このような多型が彼女の夫から彼女の子孫に伝達する可能性を避けるために、インビトロ受精を受けること選択し得る。多型セットとヒト疾患との間に弱いがなお統計的に有意な相関がある場合、即時の治療的介入またはモニタリングは正当化されないかもしれない。それでも、患者は、患者にとってコストが少ないが、しかし、患者が改変体対立遺伝子の効力によって感受性を増大する状態の危険性の減少における潜在的な利点を与える、簡単なライフスタイルの変化(例えば、ダイエット、エクササイズ)を始める意欲を持ち得る。疾患に対するいくつかの処置レジメンのうちの1つに対する増大した受容性に相関する、患者における多型セットの同定は、この処置レジメンが続いて行なわれるべきであることを示す。
【0115】
動物および植物では、特性と表現型との間の相関は、所望の特性の育種に有用である。例えば、Breitzら、米国特許第5,292,630号は、ウシの牛乳生産を改良するための育種プログラムにおける、ウシミトコンドリア多型の使用について議論する。牛乳生産におけるmtDNA D−ループ配列多型の効果を評価するために、それぞれのウシを、考えられる17個の位置の各々でのプロトタイプなミトコンドリアDNA配列について、改変体の場合には値1、野生型の場合には値0を割当てた。
【0116】
先の節は、表現型の形質とそれらの形質に直接的または間接的に寄与する多型との間の相関の同定に関する。本節は、目的の形質に関連する遺伝子座と、その形質に関連しないが、その形質を担う遺伝子座に物理的に近接し、それと共分離する多型マーカーとの間の、物理的な連鎖の同定について記載する。このような分析は、この表現型形質に関連する遺伝子座の染色体位置のマッピング、およびそれによる、この形質を担う遺伝子のクローニングに有用である。Landerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 83,7353〜7357(1986);Landerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)84,2363〜2367(1987);Donis−Kellerら、Cell 51,319〜337(1987);Landerら、Genetics 121,185〜199(1989)を参照のこと。連鎖によって局在化した遺伝子は、方向性クローニング(directional cloning)として知られるプロセスによってクローン化され得る。Wainwright、Med.J.Australia 159,170〜174(1993);Collins、Nature Genetics 1,3〜6(1992)(これらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照として援用される)を参照のこと。
【0117】
連鎖研究は、代表的には家系のメンバーにおいて実行される。利用可能な家系のメンバーを、表現型形質の存在または非存在について、および多型マーカーのセットについて特徴付ける。次いで、情報的な減数分裂(infomative meiosis)における多型マーカーの分布を分析して、どの多型マーカーが表現型形質と共分離するかを決定する。例えば、Keremら、Science 245,1073〜1080(1989);Monacoら、Nature 316,842(1985);Yamokaら、Neurology 40,222〜226(1990);Rossiterら、FASEB Jounal 5,21〜27(1991)を参照のこと。
【0118】
連鎖は、LOD(log of odds)値の計算によって分析される。lod値は、マーカーおよび遺伝子座が連鎖せず、従って、独立して分離している状況下にある場合に対する、このマーカーおよび遺伝子座が組換え率RFで位置する場合の、このマーカーおよび遺伝子座について観察された分離データを得る相対的尤度である(ThompsonおよびThompson、Genetics in Medicine(第5版、W.B.Saunders Company、Philadelphia、1991);Strachan,「Mapping the human genome」The Human Genome(BIOS Scientific Publishers Ltd、Oxford)、第4章)。一連の尤度比を、RF=0.0(同一遺伝子座)からRF=0.50(連鎖せず)にわたる、種々の組換え率(RF)で計算する。従って、所定のRF値での尤度は:遺伝子座が連鎖していない場合のデータの確率に対する、遺伝子座がRFで連鎖する場合のデータの確率である。この計算された尤度は、通常、この比のlog10(すなわち、lodスコア)で表現する。例えば、3のlodスコアは、見かけの観察された連鎖が発生していることに対する、1000:1のオッズを示す。ロガリズムの使用によって、異なる家系から収集したデータを、単純に加算することによって組み合わせることが可能である。コンピュータープログラムは、異なるRF値のlodスコアの計算に利用可能である(例えば、LIPED、MLINK(Lathrop、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81,3443〜3446(1984))。任意の特定のlodスコアについて、組換え率は、数学的な表から決定され得る。Smithら、Mathematical tables for research workers in human genetics(Churchill、London、1961);Smith、Ann.Hum.Genet.32,127〜150(1968)を参照のこと。lodスコアが最も高いRF値は、組換え値の最良推定量と考えられる。
【0119】
正のlodスコア値は、この2つの遺伝子座が連鎖することを示唆し、一方、負のlodスコアは、連鎖の可能性(RF値において)が、この2つの遺伝子座が連鎖していない可能性よりも低いことを示唆する。通常、+3以上の合わせたlodスコア(連鎖を支持する1000:1よりも高いオッズに等価的である)は、2つの遺伝子座が連鎖するという決定的な証拠と考えられる。同様に、通常、−2以下の負のlodスコアは、比較されるこの2つの遺伝子座の連鎖に反対する決定的な証拠と理解される。負の連鎖データは、染色体または染色体のセグメントを、考慮から除外するのに有用である。検索は、残りの除外されていない染色体位置に集中する。
【0120】
本発明はさらに、外因性の改変体遺伝子を発現し得そして/または不活化された内因性改変体遺伝子の一方または両方の対立遺伝子を有し得る、トランスジェニック非ヒト動物を提供する。外因性の改変体遺伝子の発現は、通常、この遺伝子をプロモーターおよび必要に応じてエンハンサーに作動可能に連結し、そしてこの構築物を接合体にマイクロインジェクションすることによって達成される。Hogenら、「Manipulating the Mouse Embryo,A Laboratory Manual,」Cold Spring Horbor Laboratory(1989)を参照のこと。内因性の改変体遺伝子の不活化は、クローン化した改変体遺伝子がポジティブ選択マーカーの挿入によって不活化されている、導入遺伝子を形成することによって達成され得る。Capecchi、Sciense 244,1288〜1292を参照のこと。次いで、この導入遺伝子を胚性幹細胞に導入し、ここで、この導入遺伝子は、内因性改変体遺伝子と相同組換えを生じる。マウスおよび他のげっ歯類が、好ましい動物である。このような動物は、有用な薬物スクリーニング系を提供する。
【0121】
本発明はさらに、特定の薬学的化合物またはそのような化合物のクラスに対する、単一ヌクレオチド多型を保持する被検体の薬理ゲノム学的感受性を評価する方法を提供する。薬物代謝酵素、薬物トランスポーター、薬学的因子のレセプターおよび他の薬剤標的における遺伝子多型は、被検体に投与されるこの薬学的因子の効能および毒性の差異に基づく個体差に相関付けられている。被検体の薬物に対する感受性の薬理ゲノム学的特徴付けは、被検体の特定の遺伝的構造に対して投薬レジメンをあつらえる能力を増大し、それによって、治療の治療的効果を増大および最適化する。
【0122】
cSNPが、病理学的状態の原因である多型タンパク質を誘導する場合、そのような状態を処置する方法は、その病状を経験している被検体へ、この多型タンパク質の野生型同族体を投与する工程を包含する。一旦、効果的な投薬レジメンで投与すると、この野生型同族体は、この多型タンパク質に起因する欠陥の補完または治療を提供する。この被検体の状態は、このタンパク質治療によって改善される。
【0123】
cSNPから生じる多型タンパク質が原因である病状を患っていると疑われる被検体は、この被検体から採取した適切な臨床的サンプル中におけるこの核酸中のcSNPまたは同族の多型タンパク質の存在を同定し得る、任意の種々の診断方法を使用して診断される。一旦、cSNPの存在が確かめられ、そしてその病状が、正常または野生型遺伝子の投与によって修正可能な場合、この被検体は、その修正する野生型遺伝子または野生型遺伝子の修正する配列を含むフラグメントを保持する核酸を含む、薬学的組成物を用いて処置される。このような核酸が投与され得る方法の非限定的な例には、アデノウィルスまたはアデノ随伴ウィルスのようなウィルスベクターにおける野生型遺伝子の組み込み、および、投与された核酸の細胞内取り込みを促進する薬学的組成物中における裸のDNAの投与が挙げられる。一旦、多型の野生型対立遺伝子をコードする遺伝子を含む核酸が、被検体の細胞中に取り込まれると、その細胞は、野生型遺伝子産物の新規生合成を開始する。核酸がさらに被検体のゲノムに組み込まれる場合、この処置は、長期間の効果を有し、長期の持続時間においてこの野生型タンパク質の新規合成を提供する。被検体の細胞中における野生型タンパク質の合成は、この被検体の臨床的状態の治療的な増強に寄与する。
【0124】
SNPが原因である病状を患っている被検体は、その遺伝的欠陥を矯正するように処置され得る(Krenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:10349〜10354(1999)を参照のこと)。このような被検体は、この被検体から得られたサンプル中の多型を検出し得る、任意の方法で同定される。このような遺伝的欠陥は、そのSNPの位置に野生型ヌクレオチドを供給する修復配列を組み込んだ核酸フラグメントを、そのような被検体に投与することによって永久的に矯正され得る。この部位特異的な修復配列は、被検体のゲノムDNAの内因性の修復を促進するように作動する、RNA/DNAオリゴヌクレオチドを含む。適切なビヒクル(例えば、ポリエチレンイミンとの複合体、または陰イオンリポソーム中でのカプセル化)中の投与に際して、先天性の病状を引き起こす遺伝的欠陥は、克服され得る。なぜなら、このキメラオリゴヌクレオチドが、その被検体ゲノムへのこの野生型配列の組み込みを誘導するからである。組み込みに際して、この野生型遺伝子産物が発現され、そしてこの置換が伝播され、それによって永久的な修復が生じる。
【0125】
本発明はさらに、上記に記載される少なくとも1つの対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。しばしば、これらキットは、異なる形態の多型にハイブリダイズする、対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドの1つ以上のペアを含む。いくつかのキットでは、この対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、基板に固定されて提供される。例えば、同じ基板は、表に示される少なくとも10、100、1000または全ての多型を検出するための、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含み得る。任意のさらなるキットの成分には、例えば、制限酵素、逆転写酵素またはポリメラーゼ、基質ヌクレオチド三リン酸、標識するために使用する手段(例えば、標識がビオチンの場合、アビジン酵素結合体、および酵素基質、および色素原)、ならびに逆転写、PCRまたはハイブリダイゼーション反応のための適切な緩衝液が挙げられる。通常、このキットはまた、このハイブリダイゼーション方法を実行するための指示書を含む。
【0126】
本発明のいくつかの局面は、本発明のSNPを含む核酸によってコードされる、利用可能な多型タンパク質を有することに依存する。これらの核酸を単離する種々の方法が存在する。例えば、DNAは、本明細書中に開示される配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドプローブを使用して、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから単離される。
【0127】
このようなプローブは、ハイブリダイゼーションアッセイに直接使用され得る。あるいは、プローブは、PCRのような増幅技術に使用するために設計される。
【0128】
cDNAライブラリーを調製するために、mRNAを、組織(例えば、心臓または膵臓)、好ましくは、その遺伝子または遺伝子ファミリーの発現がおそらく生じている組織から単離する。cDNAを、mRNAから調製し、そして組換えベクターに連結する。このベクターを、組換え宿主にトランスフェクトし、増殖、スクリーニングおよびクローニングする。cDNAライブラリーを作製およびスクリーニングするための方法は、周知である(Gubler,UおよびHoffman,B.J. Gene 25:263〜269(1983)およびSambrookらを参照のこと)。
【0129】
ゲノムライブラリーについては、例えば、DNAを、組織から抽出し、そして、機械的剪断または酵素的消化のいずれかにより約12〜20kbのフラグメントを得る。次いで、これらのフラグメントを、勾配遠心分離によって所望でないサイズのものから分離し、そしてバクテリオファージλベクター中に構築する。これらのベクターおよびファージを、Sambrookらに記載されるように、インビボでパッケージングする。組換えファージは、BentonおよびDavis,Science 196:180〜182(1977)に記載されるように、プラークハイブリダイゼーションによって分析する。コロニーハイブリダイゼーションは、一般に、M.Grunsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、72:3961〜3965(1975)に記載されるように行う。目的のDNAを、(例えば、サザンブロット上で)核酸プローブとハイブリダイズするその能力によって、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーのいずれかにおいて同定し、そしてこれらのDNA領域を、当業者に精通した標準的な方法によって単離される。Sambrookらを参照のこと。
【0130】
PCR技術において、増幅されるDNA領域の2つの3’境界に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを合成する。次いで、そのポリメラーゼ連鎖反応を、2つのプライマーを使用して実行する。PCR Protocols:a Guide to Method and Applications(Innis,M,Gelfand,D.,Sninsky,J.およびWhite,T編)、Academic Press,San Diego(1990)を参照のこと。プライマーは、目的の全長配列をコードする領域全体を増幅するように、または所望のより小さいDNAセグメントを増幅するように、選択される。PCRは、目的の配列をコードするcDNAを単離するために、種々のプロトコールにおいて使用され得る。これらのプロトコールにおいて、目的の配列をコードするDNAを増幅するための適切なプライマーおよびプローブを、本明細書中に列挙されるDNA配列の分析から作製する。一旦、このような領域をPCR増幅すると、それらを配列決定し得、そしてオリゴヌクレオチドプローブをこの配列から調製し得る。
【0131】
一旦、cSNAを含む配列をコードするDNAを、単離およびクローニングすると、種々の組換え操作した細胞中において、そのコードされる多型タンパク質を発現し得る。当業者は、目的の配列をコードするDNAの発現に利用可能なな多くの発現系についての知識が豊富であると考えられる。原核生物または真核生物におけるタンパク質の発現に関する公知の種々の方法は、本明細書中には詳細に記載しない。
【0132】
簡単に要約すると、目的の配列をコードする天然の核酸または合成の核酸の発現は、代表的には、プロモーター(これは構築的かまたは誘導的かのいずれかである)にDNAまたはcDNA作動可能に連結したを、続いて発現ベクターへ組み込むことによって達成される。このベクターは、原核生物または真核生物のいずれにおいても、複製および組み込みに適し得る。代表的な発現ベクターは開始配列、転写および翻訳ターミネーター、ならびに目的のポリヌクレオチド配列の発現の調節のために有用なプロモーターを含む。クローン化遺伝子の高レベル発現を得るために、最低限、転写を指向する強力なプロモーター、翻訳開始リボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む、発現プラスミドを構築することが望ましい。これらの発現ベクターはまた、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物および原核生物の両方においてプラスミドの複製を可能にする配列の(すなわち、シャトルベクター、および原核生物系と真核生物系の両方のための選択マーカー)一般的な発現カセットを含む。Sambrookら参照のこと。
【0133】
種々の原核生物の発現系を使用して、本発明の多型タンパク質を発現し得る。例としては、E.coli、Bacillus、Streptomycesなどが挙げられる。
【0134】
最低限、転写を指向する強力なプロモーター、翻訳開始リボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを含む発現プラスミドを構築することが好ましい。E.coliにおけるこの目的に適する調節領域の例は、Yanofsky,C.、J.Bacterial、158:1018〜1024(1984)に記載される、E.coliトリプトファン生合成経路のプロモーターおよびオペレーター配列、およびΛ,IおよびHagen,D.、Ann.Rev.Genet 14:399〜445(1980)に記載されるファージλの左側プロモーターである。E.coli中に形質転換したDNAベクターにおける選択マーカーの含有も、また有用である。このようなマーカーの例としては、アンピシリン、テトラサイクリン、またはクロラムフェニコールに対する耐性を示す遺伝子が挙げられる。E.coli中で使用する選択マーカーに関する詳細については、Sambrookらを参照のこと。
【0135】
E.coliから精製する間、この発現された組換えタンパク質の適切な折りたたみを増大するために、この発現されたタンパク質を最初に変性し、次いで再生させる。これは、カオトロピズム薬剤(例えば、グアニジンHCl)中でこの細菌産生タンパク質を可溶化し、そして全てのシトシン残基を還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール)で還元することによって達成される。次いで、ゆっくりした透析またはゲル濾過のいずれかによって、このタンパク質を再生する。米国特許第4,511,503号を参照のこと。発現された抗原の検出は、放射性免疫アッセイあるいはウェスタンブロッティング技術または免疫沈降のような当該分野で公知の方法によって達成する。E.coliからの精製は、米国特許第4,511,503号に記載されるような手順を踏むことで達成される。
【0136】
任意の種々の真核生物発現系(例えば、酵母、昆虫細胞株、鳥類細胞、魚類細胞、および哺乳動物細胞)をまた使用して、本発明の多型タンパク質を発現し得る。以下で詳しく説明するように、cSNPを保持するヌクレオチド配列は、これらの真核生物系で発現され得る。酵母における異種タンパク質の合成は、周知である。Methods in Yeast Genetics,Sherman,Fら、Cold Spring Harbor Laboratory(1982)は、酵母中でタンパク質を産生するための利用可能な種々の方法を記載する、広く認識された研究である。適切なベクターは、通常、所望のような発現制御配列(プロモーター、例えば、3−ホスホグリセリン酸(3−phosphogtycerate)キナーゼまたは他の解糖系酵素を含む)、および複製配列、終結配列などを有する。例えば、適切なベクターは文献に記載される(Botsteinら、Gene 8:17〜24(1979);Broachら、Gene 8:121〜133(1979))。
【0137】
2つの手順を、酵母細胞の形質転換に使用する。一方の場合、酵母細胞を最初に、ザイモリアーゼ、リチカーゼまたはグルスラーゼを使用してプロトプラストに変換し、続いてDNAおよびポリエチレングリコール(PEG)を添加する。次いで、このPEG処理したプロトプラストを、3%寒天培地で、選択条件化で再生する。この手順の詳細は、J.D.Begges,Nature(London)275:104〜109(1978);およびHinnen,AらProc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929〜1933(1978)による文献で提供される。第2のの手順は、細胞壁の除去を含まない。代わりに、細胞を塩化リチウムまたは酢酸およびPEGで処理し、細胞を選択プレート(Ito,Hら、J.Bact、153163〜168(1983))に置き、溶解産物に対して標準タンパク質単離技術を適用する:
精製プロセスを、ウェスタンブロット技術または放射免疫アッセイまたは他の標準技術によってモニタリングし得る。本発明のタンパク質をコードする配列はまた、例えば、哺乳動物、昆虫、鳥類または魚類起源の細胞培養物の形質転換に使用するために、種々の免疫アッセイ発現ベクターに連結し得る。ポリペプチドの産生に有用な例示的な細胞培養物は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば、細胞の単層形態であるが、哺乳動物細胞懸濁液もまた使用し得る。インタクトなタンパク質を発現し得る多くの適切な宿主細胞系は、当該分野で開発され、そしてこれにはHEK293、BHK21およびCHO細胞株および種々の細胞(例えば、COS細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、Jurkat細胞など)が含まれる。これらの細胞の発現ベクターは、発現調節配列(例えば、複製起点)、プロモーター(例えば、CMVプロモーター、HSVtkプロモーターまたはpgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター)、エンハンサー(Queenら、Immunol.Rev、89:49(1986))および必要なプロセシング情報部位(例えば、リボソーム結合部位)、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Ag ポリA付加部位)および転写ターミネーター配列)を含む。
【0138】
他の動物細胞、例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(第7版(1992))が利用可能である。昆虫細胞において本発明のタンパク質を発現するために適切なベクターは、通常バキュロウイルスに由来する。昆虫細胞株としては、蚊の幼虫、カイコ、アワヨトウの幼虫、ガおよびシュナイダー細胞株のようなショウジョウバエ細胞株が挙げられる(例えば、Schneider J.Embryol.Exp.Morphol.,27:353−365(1987)を参照のこと)。上記に示されるように、このベクター(例えば、プラスミド)(これは、宿主細胞を形質転換するために使用される)は、好ましくは、転写を開始するDNA配列およびタンパク質の輸送を制御する配列を含む。これらの配列は、発現制御配列といわれる。酵母については、高等動物宿主細胞が使用される場合、公知の哺乳動物遺伝子由来のポリアデニル化または転写終止配列は、ベクターに導入される必要がある。終止配列の例としては、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル化遺伝子である。転写物の正確なスプライシングのための配列もまた含まれ得る。スプライシング配列の例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,J.ら、J.Virol.45:773−781(1983))。さらに、宿主細胞における複製を制御するための遺伝子配列は、Saveria−Campo,M.,1985、DNA Cloning 第2巻、a Practical Approachにおける、「Bovine Papilloma virus DNA a Eukaryotic Cloning Vector」、D.M.Glover編、IRL Press,Arlington,Virginia、213−238頁であり得る。宿主細胞は、種々の手段によって形質転換について、コンピテントであるかまたはコンピテントにされる。DNAを動物細胞に導入するためのいくつかの周知の方法が存在する。これらとしては、以下が挙げられる:リン酸カルシウム沈殿、DNAを含む細菌プロトプラストとレシピエント細胞の融合、レシピエント細胞のDNAを含むリポソームでの処理、DEAEデキストラン、エレクトロポレーションおよび細胞中への直接のDNAのマイクロインジェクション。
【0139】
形質転換された細胞は、当該分野で周知の方法によって培養される(Biochemical Methods in Cell Culture and Virology,Kuchler,R.J.,Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.,(1977))。これらの発現されたポリペプチドは、上清としてかまたは単層として増殖された細胞から単離される。後者は、周知の機械的、化学的または酵素的手段によって収集される。
【0140】
組換えタンパク質を発現する一般的な方法はまた公知であり、そして、R.Kaufman,Methods in Enzymology 185,537−566(1990)において例示される。本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結された」は、プロモーターがDNA配列の転写を媒介するようなDNA配列から上流のプロモーターの連結をいう。具体的には、「作動可能に連結された」は、連結されたポリヌクレオチド/発現配列で形質転換(トランスフェクト)された宿主細胞によってタンパク質をコードする遺伝子が発現される様式で、本発明の単離されたポリヌクレオチドおよび発現制御配列が、ベクターまたは細胞内に位置することを意味する。用語「ベクター」は、ウイルス発現系、自律性の自己複製環状DNA(プラスミド)をいい、発現および非発現プラスミドの両方を含む。
【0141】
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードする核酸配列をいうことが意図される。この定義は、種々の配列多型性、変異、および/または配列改変体を含み、ここで、このような変更は、遺伝子産物の機能に影響しない。用語「遺伝子」は、コード配列だけでなく、プロモーター、エンハンサー、終止領域および類似の非翻訳ヌクレオチド配列のような調節領域も含むことが意図される。この用語は、代替的なスプライス部位から得られる改変体と共に、mRNA転写物からスプライスされた全てのイントロンおよび他のDNA配列をさらに含む。
【0142】
多数の細胞型が、タンパク質の発現のための適切な宿主細胞として機能し得る。哺乳動物宿主細胞としては、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトCo10205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常な2倍体細胞、始原組織、始原外植体のインビトロ培養に由来する細胞株、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaKまたはJurkat細胞などが挙げられる。あるいは、酵母のような下等真核生物または細菌のような原核生物においてタンパク質を産生することが可能であり得る。潜在的に適切な酵母株としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candidaまたは異種タンパク質を発現可能な任意の酵母株が挙げられる。潜在的に適切な細菌株としては、Escherichia coli,Bacillus subtilis、Salmonella typhimuriumu、または異種タンパク質を発現可能な任意の細菌株が挙げられる。タンパク質が酵母または細菌から作製される場合、機能的なタンパク質を獲得するために、例えば、適切な部位のリン酸化またはグリコシル化によって、そこで産生されたタンパク質を改変することが必要であり得る。
【0143】
このタンパク質はまた、1つ以上の昆虫発現ベクターにおける適切な制御配列に本発明の単離されたポリヌクレオチドを作動可能に連結することによって、および昆虫細胞系を使用することによって、産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、例えば、Invitorogen,San Diego,California,U.S.A.(the MaxBac(C)kit)からキットの形態で市販されており、そして、このような方法は、SummersおよびSmith、Texas Agricultureal Experiment Station Bulletin No.1555(1987)(これは、本明細書中に参考として記載される)に記載されるように、当該分野で周知である。本明細書中で使用される場合、本発明のポリヌクレオチドを発現可能な昆虫細胞は、「形質転換されている」。本発明のタンパク質は、組換えタンパク質を発現するために適切な培養条件下で、形質転換された宿主細胞を培養することによって調製され得る。
【0144】
本発明の多型タンパク質はまた、トランスジェニック動物の産物として(例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む体細胞または胚細胞によって特徴付けられる、トランスジェニックウシ、ヤギ、ブタ、またはヒツジのミルクの成分として)発現され得る。このタンパク質はまた、公知の慣例的な化学合成によって産生され得る。合成手段によって、本発明のタンパク質を構築するための方法は、当業者に公知である。
【0145】
組換えDNA技術によって産生される多型タンパク質は、組換えタンパク質を単離または精製するために一般的に使用される技術によって精製され得る。組換え的に産生されたタンパク質は、直接発現され得るかまたは融合タンパク質として発現され得る。次いで、このタンパク質は、細胞溶解(例えば、超音波処理)およびアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせによって精製される。融合産物としては、適切なタンパク分解酵素を用いる融合タンパク質の引き続く消化は、所望のポリペプチドを放出する。この発明のポリペプチドは、当該分野で周知の標準的技術を使用して、実質的に純粋まで精製され得、この方法としては、硫酸アンモニウムのような物質を用いる選択的な沈殿、カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法などが挙げられる。例えば、R.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag:New York(1982)(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。例えば、1つの実施形態において、本明細書中に記載されるように、抗体は、本発明のタンパク質に対して惹起され得る。細胞膜は、組換えタンパク質を発現する細胞株から単離され、このタンパク質は膜から抽出され、そして免疫沈降される。次いで、このタンパク質は、上記のような標準的なタンパク質化学技術によってさらに精製され得る。
【0146】
次いで、得られた発現タンパク質は、公知の精製プロセス(例えば、ゲルろ過およびイオン交換クロマトグラフィー)を使用するこのような培養物(すなわち、培養液または細胞抽出物)から精製され得る。タンパク質の精製は、タンパク質に結合する因子を含むアフィニティーカラム;コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−Toyopearl@またはシバクロンブルー3GA Sepharose Bのようなアフィニティー樹脂上の1つ以上のカラム工程;フェニルエーテル、ブチルエーテル、またはプロピルエーテルのような樹脂を使用する疎水性交換クロマトグラフィーを含む1つ以上の工程;または免疫アフィニティークロマトグラフィーを含み得る。あるいは、本発明のタンパク質はまた、精製を容易にする形態で発現され得る。これは、例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはチオレドキシン(TRX)のような、融合タンパク質として発現され得る。このような融合タンパク質の発現および精製のためのキットは、それぞれ、New England BioLab(Beverly,MA)、Pharmacia(Piscataway,NJ)およびInVitrogenから市販されている。このタンパク質はまた、エピトープで標識され得、引き続き、このようなエピトープに対して指向された特異的な抗体を使用して精製され得る。1つのこのようなエピトープ(「Flag」)は、Kodak(New Haven,CT)から市販されている。最後に、疎水性のRP−HPLC培地(例えば、吊り下がったメチル基または他の脂肪酸基を有するシリカゲル)を使用する、1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を使用して、さらにタンパク質を精製し得る。種々の組み合わせにおいて、前述の精製工程のいくつかまたはすべてがまた、実質的に同質な単離された組換えタンパク質を提供するために使用され得る。従って、この精製されたタンパク質は、実質的に他の哺乳動物タンパク質がなく、そして、「単離されたタンパク質」として本発明に従って定義される。
【0147】
本願明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子(例えば、多型))をいう。このような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、FabおよびF(ab’)2フラグメント、ならびにFab発現ライブラリーが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、ヒト多型タンパク質に対する抗体が開示される。
【0148】
抗体と、成句「特異的に結合する」、「免疫特異的に結合する」、または「特異的に免疫応答する」は、タンパク質またはペプチドについていう場合、タンパク質の異種集団および他の生物学的物質の存在下で、タンパク質の存在を決定する結合反応をいう。従って、例えば、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、特定のタンパク質に結合し、そして、サンプル中に存在する他のタンパク質に対して十分な量で結合しない。このような条件下で抗体への特定の結合は、特定のタンパク質へのその特異性について選択された抗体を必要とする。多型タンパク質に免疫特異的に結合するが、その同族の野生型対立遺伝子タンパク質に結合せず、逆の場合も同じである抗体は、本発明において特に興味深い。種々のイムノアッセイ型式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択する。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するために慣例的に使用される。特異的な免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ型式および条件の記載については、HarlowおよびLane(1988)Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照のこと。
【0149】
多型遺伝子産物に免疫特異的に結合するが、対応する原型または「野生型」の遺伝子産物には結合しない、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体がまた提供される。抗体は、改変体遺伝子産物または合成ペプチドでマウスまたは他の動物を注射することによって作製され得る。スクリーニングされるモノクローナル抗体は、例えば、HarlowおよびLane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1988);Goding,Monoclonal antibodies,Principles and Practice(第2版)Academic Press,New York(1986)において記載されている。モノクローナル抗体は、改変体遺伝子産物との特定の免疫反応性および対応する原型遺伝子産物に対する免疫反応性の欠如について試験される。
【0150】
単離された多型タンパク質、またはその一部もしくはフラグメントが、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準技術を使用して、多型タンパク質に結合する抗体を生成するために免疫原として用いられ得る。全長の多型タンパク質が用いられ得るか、あるいは本発明は、多型の抗原性ペプチドフラグメントを免疫原としての用途のために提供する。本発明の多型タンパク質の抗原性ペプチドは、多型アミノ酸配列を含むアミノ酸配列の少なくとも8つのアミノ酸残基を含み、そして多型タンパク質のエピトープを包含し、これによりこのペプチドに対して惹起された抗体は、多型タンパク質との特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10のアミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも15のアミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも20のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドに取り囲まれている好ましいエピトープは、タンパク質の表面に配置される多型の領域(例えば、親水性領域)である。
【0151】
ポリクローナル抗体の生成のため、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)が多型タンパク質を用いる注射によって免疫され得る。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え的に発現された多型タンパク質、または化学的に合成された多型ポリペチドを含み得る。調製物は、アジュバントをさらに含み得る。免疫学的応答を増加するために用いられる種々のアジュバントとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:フロイント(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール、など)、ヒトジュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCorynebacterium parvum)または類似した免疫刺激因子。所望の場合、多型タンパク質に対して指向された抗体分子が、哺乳動物(例えば、血液から)単離され得、そしてさらに、プロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術によって精製され、IgG画分を入手し得る。
【0152】
本願明細書において用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、1つずつのハイブリドーマ細胞のクローンに由来する抗体分子の集団をいい、この集団は、多型タンパク質の特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1つの型のみを含む。従って、モノクローナル抗体組成物は、代表的には、特に、それが免疫反応する特定の多型タンパク質に対して、単一の結合親和性を示す。特定の多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログに対して指向されたモノクローナル抗体の調製のために、連続的細胞株培養により抗体分子の生成を提供する任意の技術が利用され得る。このような技術としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、1975 Nature 256:495〜497を参照のこと);トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immunol Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を生産するEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985 MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁を参照のこと)。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実行において利用され得、そしてヒトハイブリドーマを使用すること(Coteら、1983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026〜2030を参照のこと)、またはインビトロでエプスタインバーウイルスを用いるヒトB細胞の形質転換(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁を参照のこと)によって産生され得る。
【0153】
本発明に従って、多型タンパク質に特異的な単鎖抗体の産生のために、技術は適応され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さらに、方法論は、Fab発現ライブラリーの構築に適応され得(例えば、Huseら、1989 Science 246:1275〜1281を参照のこと)、多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログについて所望の特性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的同定を可能にする。非ヒト抗体は、当該分野で周知の技術により「ヒト化」され得る。例えば、米国特許第5,225,539号を参照のこと。多型タンパク質に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントは、以下を含むがこれに限定されない当該分野で公知の技術により産生され得る:(i)抗体分子のペプシン消化によって生産されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生じるFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤での抗体分子の処理によって生じるFabフラグメント、ならびに(iv)Fvフラグメント。
【0154】
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含むキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体のような、組換え抗多型タンパク質抗体(これらは、標準組換えDNA技術を用いて作製され得る)は、本発明の範囲内である。このようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA技術により生成され得る。この技術は例えば、以下に記載の方法を用いる:PCT国際出願番号PCT/US86/02269;欧州特許出願番号184,187号;欧州特許出願番号171,496;欧州特許出願番号173、494;PCT国際公開番号WO 86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願番号125,023号;Betterら(1988)Science 240:1041〜1043;Liuら(1987)PNAS 84:3439〜3443;Liuら(1987)J Immunol.139:3521〜3526;Sunら(1987)PNAS 84:214〜218;Nishimuraら(1987)Cancer Res 47:999〜1005;Woodら(1985)Nature 314:446〜449;Shawら(1988)J Natl Cancer Inst 80:1553〜1559);Morrison(1985)Science 229:1202〜1207;Oiら(1986)BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552〜525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;ならびにBeidlerら(1988)J Immunol 141:4053〜4060。
【0155】
1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法論は、当該分野内で公知の酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)および他の免疫学的に媒介される技術を含むが、これに限定されない。
【0156】
抗−多型タンパク質抗体は、多型タンパク質の検出、定量および/または細胞局在化もしくは組織局在化に関する当該分野で公知の方法において用いられ得る(例えば、適切な生理学的なサンプル内の多型タンパク質のレベルを測定の際の使用のために、診断的方法における使用のために、タンパク質の画像化における使用のために、など)。所定の実施形態において、多型タンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログの抗体(抗体由来のCDRを含む)は、被験体中のcSNP対立遺伝子の存在から生じる被験体中の病理を処置することが意図される治療適用において、薬理学的に活性な化合物として利用される。
【0157】
抗−多型タンパク質抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、種々の免疫化学技術(例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降)によって、多型タンパク質を単離するために用いられ得る。抗−多型タンパク質抗体は、細胞からの天然の多型タンパク質、そして宿主細胞において発現される組換え的に産生された多型タンパク質の精製を容易にし得る。さらに、抗−多型タンパク質抗体が、(例えば、細胞の溶菌液または細胞上清における)多型タンパク質を検出するように用いられ、多型タンパク質の発現の量およびパターンを評価し得る。抗−多型抗体は、例えば、所定の処置レジメンの有効性を決定するために、臨床試験の手順の一部として組織におけるタンパク質レベルを診断的にモニターするために用いられ得る。検出は、抗体を検出可能物質に連結する(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易になり得る。検出可能物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;そして、適切な放射性物質の例としては125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
【0158】
(等価物)
本発明の特定の実施形態の前述の詳細な説明から、公知の遺伝子におけるSNPにおけるその使用の独特の組成物および方法が、記載されていることが明らかであるべきである。特定の実施形態が、本明細書中に詳細に開示されているが、これは、例示のためにのみ実施例によってなされており、そして上記の添付の特許請求の範囲に関して限定することを意図しない。特に、本発明者によって、種々の置換、変更および改変が、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に対してなされ得ることが意図される。
【0159】
【表1】
Claims (44)
- 単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、以下:
a)配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の多型配列を含むヌクレオチド配列;
b)該ヌクレオチド配列のフラグメントであって、ただし、該フラグメントが、該多型配列中の多型部位を含む、フラグメント;
c)相補的なヌクレオチド配列であって、該配列は、配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の該多型配列に相補的な配列を含む、相補的なヌクレオチド配列;ならびに
d)該相補的なヌクレオチド配列のフラグメントであって、ただし、該フラグメントが、該多型配列中に多型部位を含む、フラグメント、
からなる群より選択される、ポリヌクレオチド。 - 前記ポリヌクレオチド配列が、DNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、RNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約10〜約100ヌクレオチドの長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約10〜約90ヌクレオチドの長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約10〜約75ヌクレオチドの長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約10〜約50塩基の長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約10〜約40塩基の長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、約15〜約30塩基の長さである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記多型部位が、前記多型配列について表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記多型部位の相補鎖が、前記多型配列の相補鎖について表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記多型部位が、前記多型配列についての表1の第6列に列挙されるヌクレオチドを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記多型部位の相補鎖が、前記多型配列についての表1の第6列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 単離された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチド内に含まれる多型部位で、第1のポリヌクレオチドにハイブリダイズし、ここで、該第1のポリヌクレオチドは、以下:
a)配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であって、ただし、該多型配列は、該多型配列について表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含む、ヌクレオチド配列;
b)該多型配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該フラグメントは、該多型配列中に多型部位を含む、ヌクレオチド配列;
c)相補的なヌクレオチド配列であって、該配列は、配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の該多型配列に相補的な配列を含み、ただし、該相補的なヌクレオチド配列は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、相補的なヌクレオチド配列;ならびに
d)該相補的なヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該フラグメントが、該多型配列中に多型部位を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群より選択される、オリゴヌクレオチド。 - 請求項14に記載のオリゴヌクレオチドであって、ここで、該オリゴヌクレオチドは、以下:
a)配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の多型配列を含むヌクレオチド配列であって、ここで、該多型配列は、該多型配列について表1の第5列に列挙されるヌクレオチドを含む、ヌクレオチド配列;
b)該ヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントであるヌクレオチド配列;
c)相補的なヌクレオチド配列であって、該配列は、配列番号1〜7024からなる群より選択される、1つ以上の該多型配列に相補的な配列を含み、ここで、該多型配列は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖を含む、相補的なヌクレオチド配列;ならびに
d)該相補的なヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該フラグメントが、該多型配列中に多型部位を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群より選択される第2のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズしない、オリゴヌクレオチド。 - 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約51塩基の長さである、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド。
- 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約40塩基の長さである、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド。
- 前記オリゴヌクレオチド配列が、約15〜約30塩基の長さである、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド。
- 核酸中の多型部位を検出する方法であって、該方法は、以下:
a)該核酸を、配列番号1−7024からなる群より選択される多型配列またはそれらの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと、接触させる工程であって、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または該相補鎖は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、工程;ならびに
b)該核酸および該オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイズするか否かを決定する工程であって、これにより、該オリゴヌクレオチドの該核酸配列に対するハイブリダイゼーションが、該核酸中の多型部位の存在を示す、工程;
を包含する、方法。 - 請求項19に記載の方法であって、ここで、前記オリゴヌクレオチドが、以下の場合:
前記多型配列が、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドを含む場合、あるいは
前記多型配列の相補鎖が、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖を含む場合、
該多型配列にハイブリダイズしない、方法。 - 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約51塩基の長さである、請求項19に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約40塩基の長さである、請求項19に記載の方法。
- 被験体における多型配列の存在を検出する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体由来の核酸を提供する工程;
b)該核酸を、配列番号1−7024からなる群より選択される多型配列またはそれらの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと、接触させる工程であって、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または該相補鎖は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、工程;ならびに
c)該核酸および該オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイズするか否かを決定する工程であって、これにより、該オリゴヌクレオチドの該核酸配列に対するハイブリダイゼーションが、該被験体中の多型の存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 第1および第2の核酸の関連性を決定する方法であって、該方法は、以下:
a)該第1の核酸および第2の核酸を提供する工程;
b)該第1の核酸および第2の核酸を、配列番号1−7024からなる群より選択される多型配列またはそれらの相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと、接触させる工程であって、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または該相補鎖は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、工程;
c)該第1の核酸および第2の核酸が、該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするか否かを決定する工程;ならびに
d)該第1の核酸および第2の核酸の該オリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションを比較する工程であって、ここで、該第1の核酸および第2の核酸の該核酸に対するハイブリダイゼーションは、該第1の被験体および第2の被験体に関連することを示す、工程、
を包含する、方法。 - 請求項24に記載の方法であって、ここで、前記オリゴヌクレオチドが、以下の場合:
前記多型配列が、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドを含む場合、あるいは
前記多型配列の相補鎖が、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖を含む場合、
該多型配列にハイブリダイズしない、方法。 - 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約51塩基の長さである、請求項24に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチド配列が、約10〜約40塩基の長さである、請求項24に記載の方法。
- 前記オリゴヌクレオチド配列が、約15〜約30塩基の長さである、請求項24に記載の方法。
- 単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基で多型部位を含み、ここで、タンパク質は、多型配列である配列番号1−7024またはそれらの相補鎖からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされ、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または該相補鎖は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、ポリペプチド。
- 請求項29に記載のポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、野生型タンパク質と同じオープンリーディングフレーム中に翻訳され、該野生型タンパク質のアミノ酸配列は、前記多型部位を除いて多型タンパク質のアミノ酸配列と同一である、ポリペプチド。
- 請求項29に記載のポリペプチドであって、ここで、前記多型配列またはそれらの相補鎖によりコードされるポリペプチドが、該多型配列についての表1の第6列に列挙されるヌクレオチドを含むか、または表1の第6列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖を含む、ポリペプチド。
- 抗体であって、該抗体は、多型配列である配列番号1−7024またはそれらの相補鎖からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに特異的に結合し、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチド以外のヌクレオチドを含むか、または該相補鎖は、表1の第5列に列挙されるヌクレオチドの相補鎖以外のヌクレオチドを含む、抗体。
- 請求項32に記載の抗体であって、該抗体は、多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合し、該多型配列は、該多型配列についての表1の第6列に列挙されるヌクレオチドを含む、抗体。
- 請求項32に記載の抗体であって、該抗体は、多型配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合せず、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドを含む、抗体。
- 被験体において1つ以上のアミノ酸多型を有するポリペプチドの存在を検出する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体由来のタンパク質を提供する工程;
b)該サンプルを請求項34に記載の抗体と、抗体−抗原複合体の形成を可能とする条件下で接触させる工程;ならびに
c)該抗体−抗原複合体を検出する工程であって、これにより、該複合体の存在が、該ポリペプチドの存在を示す、工程、
を包含する、方法。 - 被験体における配列多型の存在に起因する病状を、患う被験体、患う危険性のある被験体、または患う疑いのある被験体を処置する方法であって、該方法は、以下:
a)配列番号1−7024またはその相補鎖からなる群より選択される多型配列を含む第1の核酸の異常な発現に関連する病状を患う被験体を提供する工程;ならびに
b)該多型配列を含む第2の核酸の治療的有効な用量を該被験体に投与する工程であって、ただし、該第2の核酸は、野生型対立遺伝子に存在するヌクレオチドを含む工程であって、これにより、該被験体を処置する工程、
を包含する、方法。 - 請求項36に記載の方法であって、前記第2の核酸配列が、多型配列を含み、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列に列挙されるヌクレオチドを含む、方法。
- 被験体における配列多型の存在に起因する病状を、患う被験体、患う危険性のある被験体、また患う疑いのある被験体を処置する方法であって、該方法は、以下:
a)多型配列である配列番号1−7024またはその相補鎖からなる群より選択される多型配列の異常な発現に関連する病状を患う被験体を提供する工程;ならびに
b)ポリペプチドの治療的有効な用量を該被験体に投与する工程、
を包含し、
ここで、該ポリペプチドは、配列番号1−7024からなる群より選択される多型配列を含むポリヌクレオチドによってか、または多型配列である配列番号1−7024のいずれか1つに相補的であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされ、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第6列に列挙されるヌクレオチドを含む、方法。 - 被験体における配列多型の存在に起因する病状を、患う被験体、患う危険性のある被験体、また患う疑いのある被験体を処置する方法であって、該方法は、以下:
a)配列番号1−7024またはその相補鎖からなる群より選択される多型配列を含む第1の核酸の異常な発現に関連する病状を患う被験体、患う危険性のある被験体、または患う疑いのある被験体を提供する工程;ならびに
b)請求項34に記載の抗体の治療的に有効な用量を、該被験体に投与する工程であって、これにより、該被験体を処置する工程、
を包含する、方法。 - 被験体における配列多型の存在に起因する病状を、患う被験体、患う危険性のある被験体、また患う疑いのある被験体を処置する方法であって、該方法は、以下:
a)配列番号1−7024またはその相補鎖からなる群より選択される多型配列を含む核酸の異常な発現に関連する病状を患う被験体、患う危険性のある被験体、または患う疑いのある被験体を提供する工程;ならびに
b)配列番号1−7024からなる群より選択される多型配列を含むオリゴヌクレオチドの有効な用量、または多型配列である配列番号1−7024のいずれか1つに相補的であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの有効な用量を、該被験体に投与する工程であって、ただし、該多型配列は、該多型配列についての表1の第5列または表1の第6列に列挙されるヌクレオチドを含む、工程であって、これにより、該被験体を処置する工程、
を包含する、方法。 - オリゴヌクレオチドアレイであって、該アレイは、該オリゴヌクレオチドに含まれる多型部位で第1のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のオリゴヌクレオチドを含み、ここで、該第1のポリヌクレオチドは、以下:
a)配列番号1−7024からなる群より選択される1つ以上の多型配列を含むヌクレオチド配列;
b)該ヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該フラグメントは、該多型配列中に多型部位を含む、ヌクレオチド配列;
c)配列番号1−7024からなる群より選択される1つ以上の多型配列に相補的な配列を含む相補的なヌクレオチド配列;ならびに
d)該相補的なヌクレオチド配列のフラグメントであるヌクレオチド配列であって、ただし、該フラグメントは、該多型配列中に多型部位を含む、ヌクレオチド配列;
からなる群より選択される、アレイ。 - 前記アレイが、約10のオリゴヌクレオチドを含む、請求項41に記載のアレイ。
- 前記アレイが、約100のオリゴヌクレオチドを含む、請求項41に記載のアレイ。
- 前記アレイが、約1000のオリゴヌクレオチドを含む、請求項41に記載のアレイ。
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