JPS648723B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は柔軟な上、強度が高く、かつ耐熱性、
耐高電圧性、耐薬品性に優れ、しかも手に対する
熱の伝わりが極めて遅く、このため種々の産業分
野、例えばクリーンルームで医薬品や微生物を取
り扱つたり、あるいは食品等を取り扱う場合、更
に半導体関連分野など、特に高温のものを取り扱
う際に好適に使用することができるゴム手袋に関
する。

従来技術及びその問題点 従来より、産業用に使用されるゴム手袋とし
て、種々の合成ゴムにて形成されたものが知られ
ているが、強度が高く、しかも耐熱性、耐高電圧
性、耐薬品性等の性質を兼ね備えたものは少な
い。例えば、柔軟なシリコーンゴムは耐熱性、耐
高電圧性、耐薬品性等は良好であるが、他のゴム
や合成樹脂に比べて耐引裂性、耐摩耗性、引張強
さが十分でなく、強度的に弱いため実用性に劣
る。また、この種の合成ゴムにて形成したもの
は、薄いと手に対する熱の伝わりが速く、逆に厚
くすると使い勝手が悪くなる問題があり、高温の
ものを取り扱う場合に適したゴム手袋は少ない。

発明の概要 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、柔軟
な上、強度が高く物理力により破れたり穴があい
たりすることが可及的に防止されると共に、耐熱
性、耐高電圧性、耐薬品性に優れ、しかも手に対
する熱の伝わりが遅く、またごみを生じさせたり
することがなく、クリーンな状態で使用し得、こ
のため種々の産業用として、特に高温のものを取
り扱う場合に好適に用いられる実用性の高いゴム
手袋を提供することを目的とする。

即ち、本発明は上記目的を達成するため、合成
ゴム又は合成樹脂フイルムと、このフイルム上に
積層されたメリヤス編みの布地と、その上にこの
布地目中にシリコーンゴムが入り込んだ状態で積
層されたシリコーンゴム最外層とからなる外手袋
内に、最内層を合成ゴム又は合成樹脂フイルムと
し、その外側に布地を配してなる内手袋を挿入
し、前記外手袋と内手袋との所用箇所を固着する
ようにしたものである。

本発明によれば、取り扱われる物に触れる外手
袋の最外層であるシリコーンゴム層がメリヤス編
みの布地目中にシリコーンゴムが入り込んだ状態
で積層されているので、シリコーンゴム層が補強
され、強度が高く、物理的損傷に十分耐えるよう
に形成されていると共に、シリコーンゴム層の外
手袋に対する接着性が非常に良く、シリコーンゴ
ム層の剥離が確実に防止され、かつメリヤス編み
の布地は伸縮性があるので、この伸縮に追随して
外手袋が伸縮し、このため外手袋を製造する場合
に製造型から外手袋を抜き出し易く、製造性にも
優れているものである。従つて、本発明の外手袋
は柔軟で取り扱い性が優れ、かつシリコーンゴム
本来の特性が確実にかつ上述したように強度が大
きく物理力により損傷し難いので長期に亘り発揮
され、耐熱性、耐高電圧性、耐薬品性といつた特
性が有効に発揮されるものである。

また、内手袋は手に触れる最内層が合成ゴム又
は合成樹脂のフイルムであり、その外側に配され
た布地が直接手に触れることがなく、最内層の合
成ゴム又は合成樹脂によつて保護されているの
で、手を抜き差しする時に布地繊維などが擦れる
ことによつて生じる細かいごみの発生がなく、ク
リーンに使用することができる。かつ、前記外手
袋内に布地を配した内手袋が挿入されているので
外からの熱の伝わりが極めて遅く、厚いものをも
支障なく取り扱うことができる。更に内手袋が最
内層を合成ゴム又は合成樹脂フイルムとし、その
上にメリヤス編みの布地を積層し、更にその外層
に１枚以上の布地を配した場合には、内手袋最内
層における伸縮性がよく、また外手袋と内手袋と
をその各指先先端部において固着すると共に、手
袋開口端部において固着した場合には、指を折り
曲げた際などに内手袋が外手袋によつて規制され
難く、指に追随し易いので、硬い感じもなく、使
い勝手のよいものである。

以下、本発明につき図面を参照して更に詳しく
説明する。

発明の構成 本発明のゴム手袋は、図面に示すように外手袋
Ａと内手袋Ｂとにより構成されている。外手袋Ａ
は第２図に示したように、合成ゴム又は合成樹脂
からなるフイルム１とこの上に積層されたメリヤ
ス編みの布地２と更にこの布地２上にシリコーン
ゴム層３を前記布地２の網目中にシリコーンゴム
が入り込んだ状態で積層してなるものである。

ここで、フイルム１を形成する合成ゴム又は合
成樹脂としては、例えばウレタン樹脂（ウレタン
エラストマーを含む）、塩化ビニル樹脂、シリコ
ーンゴム、ニトリルゴムなどを使用することがで
きる。この場合、ウレタン樹脂にてゴム手袋本体
を形成すると、ゴム手袋を製造するに際し、ゴム
手袋本体にシリコーンゴムの溶剤溶液を塗布又は
浸漬してシリコーンゴム層を形成する方法を採用
した場合、基材の内側にシリコーンゴム溶剤溶液
が滲み出ることもなく、シリコーンゴム層が均等
に形成できるので、ウレタン樹脂を用いることが
好ましい。

また、メリヤス編みの布地２としては、ポリア
ミド繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維が好適
に用いられるほか、ガラス繊維などの繊維が用い
られ、これらをメリヤス編みにした布地が使用さ
れる。メリヤス編みの編み方に特に制限はなく、
よこメリヤスでもたてメリヤスでもよく、縦横に
伸縮し得るものが好適に用いられる。

更に、シリコーンゴム層３を形成するシリコー
ンゴムとしては、付加架橋型、有機過酸化物架橋
型、常温硬化架橋型等のいずれのものであつても
よい。

なお、外手袋Ａの厚さに特に制限はなく、例え
ばフイルム１の厚さを0.01〜0.5mm、外手袋Ａ全
体の厚さに特に制限はなく、例えばフイルム１の
厚さを0.01〜0.5mm、外手袋Ａ全体の厚さを１mm
以下、特に0.7mm以下とすることができる。この
場合、フイルム１の厚さよりもシリコーンゴム層
３の厚さを厚くすることがゴム手袋の機能を発揮
させる点で好適である。

外手袋Ａの製造方法は必ずしも制限されない
が、下記の方法を採用することが好ましい。

即ち、予め伸縮性に富んだメリヤス編みの布地
の片面にウレタン樹脂等の有機溶剤に難溶性の合
成ゴム又は樹脂の薄い皮膜を接着し、縫製した
後、裏返して布地が表側に顕われるようにし、手
袋製造型に装着する。次に、これをシリコーンゴ
ムの有機溶剤溶液中に浸漬し、引上げ乾燥する操
作を、必要とするシリコーンゴム層の厚さを得る
まで所用回数繰り返し、架橋してから離型するも
のである。

なお、シリコーンゴム液への浸漬処理は常温付
近で行なうことができるが、シリコーンゴムの架
橋を抑制するため常温より低い温度で行なうこと
が好ましい。

また、シリコーンゴム液を調製する場合、シリ
コーンゴムとしては流動性の優れた液状ゴムが好
ましく、必要によつてはシリコーンゴム液中に補
強性シリカを配合することができ、更には粘度調
整（粘度低下）の目的でシリコーンゴムと相溶性
がよくかつ被覆形成に優れた有機溶剤（例えばト
ルエン、キシレン、１，１，１−トリクロルエタ
ンなど）の１種又は２種以上を用いて希釈するこ
とができる。

このようにして製造された外手袋は、シリコー
ンゴム有機溶剤溶液浸漬工程において、シリコー
ンゴムの有機溶剤溶液がメリヤス編み布地の組織
の間隙（網目）によく浸透し、この状態でシリコ
ーンゴムの皮膜を形成するので、メリヤス編み布
地とシリコーンゴム層とが一体化し、シリコーン
ゴムと基材の合成ゴム又は樹脂との接着性が悪い
場合でもシリコーンゴム層が剥離することがな
く、非常に接着性がよく、かつメリヤス編みの布
地が配設されて伸縮性がよいのでゴム手袋を製造
型から抜き出し易く、また基材をウレタン樹脂等
の耐有機溶剤性に優れた合成ゴム又は樹脂にて形
成すれば、上記浸漬工程で外手袋内側にシリコー
ンゴム溶剤溶液が浸出することが防止され、シリ
コーンゴム層が均等に平均化された状態で形成さ
れる。

なお、外手袋の製造法の具体例を下記に示す。

製造例 ウーリーナイロン75デニールの加工糸を用いて
ラツセルの天笠編みの原板を作り、これに架橋型
ウレタン樹脂のフイルム（厚さ20μ）を接着して
伸縮性に富んだ基材を形成し、これを裁断してベ
ース手袋を作る。この縫製手袋を手袋製造型に装
着したのち、下記シリコーンゴム液に浸漬する。

シリコーンゴム液 付加架橋型液状シリコーンゴムKE−1925AT＊
25部 〃KE−1925BT＊ 25〃 〃KE−1935A＊ 25〃 〃KE1935B＊ 25〃 トルエン 70〃 キシレン 30〃 ＊：信越化学工業(株)製 上記シリコーンゴム液に浸漬した後、引き上
げ、室温にて60〜90分乾燥し、次いで120℃で60
分程度の条件で架橋し、架橋後離型して本発明外
手袋Ａを製造する。

また、内手袋Ｂは、最内層を合成ゴム又は合成
樹脂のフイルムとし、その外側に布地を配した構
成とするものであるが、特に第３図に示したよう
に、最内層の合成ゴム又は合成樹脂からなるフイ
ルム４上にメリヤス編みの布地５を積層すると共
に、この布地５の外側に更に１枚以上の布地６を
配した構成とすることが好適である。

ここで、合成ゴム又は合成樹脂からなるフイル
ム４とその上に積層したメリヤス編みの布地５の
構成はそれぞれ外手袋Ａのフイルム１と布地２と
同様に構成することができる。また、メリヤス編
みの布地５の外側に配される布地６は耐熱性を有
し、かつ熱伝導の低い柔軟なものであればいずれ
のものも用いることができ、天然繊維又は合成繊
維の織布又は不織布を使用することができる。ま
た、布地６は１枚を配してもよく、２枚以上を重
ね合せてもよく、例えば第３図に示したように２
枚の綿タオル６ａ，６ｂを合せて合成糊で接着し
たものが好ましく使用でき、このように複数枚の
布地を用いることにより熱の伝わりを確実に防止
し得る。なお、布地６は、前記フイルム４或いは
これにメリヤス編みの布地５に対し全面縫製する
こともできるが、所用箇所、例えば両側部や親指
等のつけね該当部分などを部分的に縫製７するこ
とが好ましい。また、必要によつては、前記布地
６の内側もしくは外側又は複数枚の布地６を用い
る場合はその間にアスベストシートや金属箔、或
いはゴム、合成樹脂フイルム、発泡フイルムを積
層することもできる。

上述した内手袋Ｂは外手袋Ａの内側に挿入し、
これら両手袋Ａ，Ｂの所要箇所を接着、縫製等の
手段により固着するものであるが、この場合両手
袋Ａ，Ｂはそれらの指先先端部をそれぞれ互に固
着（これらの部分は接着によるのが好ましい）す
ると共に、手袋開口端部８において互に固着する
ことが好ましい。この開口端部８における固着手
段としては、例えば第１図に示したようにその周
縁部を覆つて縁取りシート９を縫製することがで
きる。このように、内手袋Ｂと外手袋Ａとをその
各指先先端部及び開口端部でのみ固着することに
より、断熱性が生じると共に内手袋Ｂが外手袋Ａ
に強く規制されることがないので、指を曲げのば
しする場合に硬い感じがなく、使い勝手、作業性
が良好なものである。

発明の効果 以上説明したように、本発明のゴム手袋は、外
手袋が合成ゴム又は合成樹脂にて形成された基材
とその上に積層されたメリヤス編みの布地とこの
布地目中にシリコーンゴムが入り込んだ状態に積
層したシリコーンゴム層とからなるため、柔軟な
上、強度が高く、シリコーン層の特性が長期に亘
り発揮されるものであり、またこの外手袋内に最
内層を合成ゴム又は合成樹脂のフイルムとし、そ
の外側に布地を配した内手袋を挿入しているの
で、断熱性に優れ、手に対する熱の伝わりが非常
に遅く、このため高温のものを取り扱う場合に有
効であると共に、この内手袋は最内層が合成ゴム
又は合成樹脂のフイルムであるため、内手袋に布
地が配されていても、手を抜き差しする場合など
に布地繊維からのごみが発生するような不都合は
なく、従つてクリーンに使用することができる。
それ故、本発明手袋は、耐熱、耐高電圧、耐薬品
性を要求する種々の産業用に好適に使用でき、特
にシリコーンゴムは生理的に不活性であるため特
殊な医療やバイオテクノロジーの分野、或いは食
品などの取扱い、更には半導体分野などに有効に
用いられ、特にゴムやプラスチツク成形金型の取
り扱い、半導体のウエハ焼付工程、セラミツクや
ガラスなどに金属を蒸着する場合など、高温
（200〜300℃）で塵埃を嫌う作業などに最適であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す一部を切り欠
いた斜視図、第２図は同例の外手袋の一部省略拡
大断面図、第３図は同例の内手袋の一部省略拡大
断面図である。 Ａ……外手袋、Ｂ……内手袋、１……フイル
ム、２……メリヤス編みの布地、３……シリコー
ンゴム層、４……フイルム、５……メリヤス編み
の布地、６……布地。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 合成ゴム又は合成樹脂のフイルムと、このフ
   イルム上に積層されたメリヤス編みの布地と、そ
   の上にこの布地目中にシリコーンゴムが入り込ん
   だ状態で積層されたシリコーンゴム最外層とから
   なる外手袋内に、最内層を合成ゴム又は合成樹脂
   フイルムとし、その外側に布地を配してなる内手
   袋を挿入し、前記外手袋と内手袋との所用箇所を
   固着してなることを特徴とするゴム手袋。 ２ 内手袋が最内層を合成ゴム又は合成樹脂フイ
   ルムとし、その上にメリヤス編みの布地を積層
   し、更にその外側に１枚以上の布地を配してなる
   ものである特許請求の範囲第１項記載のゴム手
   袋。 ３ 外手袋と内手袋とをその各指先先端部におい
   て固着すると共に、手袋開口端部において固着し
   た特許請求の範囲第１項又は第２項記載のゴム手
   袋。