JPS647859B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は模様付きFRP製品（繊維強化プラス
チツク製品）の成形法に関する。

従来のFRP製品は単色ゲルコート樹脂による
表面仕上げがほとんどであつたから、デザイン的
には単純であつた。

そこでこれに対して、意匠感、商品価値等の向
上をはかるべく最近では多色模様付きFRP製品
が出現するに至つた。

現在、この多色模様付きFRP製品の成形法と
しては、 (1) 予めプリント法等により多色模様を染色した
染色布を成形型に合せて裁断し、これを積層す
る方法。

(2) FRP成形型にマスキングテープ等を利用し
てマスキングし、色彩の異なるゲルコート樹脂
を塗布して積層する方法。

(3) FRP成形型を分割成形し、各部分の単色と
組合せ多色模様とする方法。

等が知られている。

しかし、現存する上述各方法によると、何れも
が外観上仕上りが悪い上、製品コストが高くなる
ばかりか、成形能率が悪い等の共通した欠点を有
する為、あまり実用化されていないのが実情であ
る。

そこで本発明は、上述従来の欠点に鑑みて種々
検討の結果、ゲルコート樹脂は空気中の酸素によ
り硬化が妨げられる特性を有効に利用することに
よつて、極めて簡単かつ、容易にして安定した美
しい模様のFRP製品を安価に成形可能ならしめ
ることを目的とするものである。

以下本発明の成形法を詳述する。

一般にゲルコート樹脂は硬化触媒を加えて加熱
するが、促進剤の併用により常温でも硬化する。

この硬化時の特性としては、流状のゲルコート
樹脂が硬化剤等を添加することにより一定時間を
経て急激に寒天状にゲル化し、さらに発熱も伴つ
て固化する。

また、一般にゲルコート樹脂は空気中の酸素に
より硬化が妨げられるという特性をもつている
為、成形型に塗布した場合、成形型との接着部
と、外側（空気接触部）とではゲル化の進行度は
異なる。

すなわち、成形型との接着部は、外側よりも早
く硬化する。

本発明は上述ゲルコート樹脂の特性を利用する
ものであつて、先ずFRP成形型とは別の型に任
意所望の色を有する着色ゲルコート樹脂を所望層
厚に塗布し、これがゲル化時、任意の模様形状を
有する刃先の鋭い切断型とかナイフにより、上記
着色ゲルコート樹脂を切断する。

一方成形型には、予め離型処理を施して、上述
のようにして切断した模様形状の切断ゲルコート
樹脂片を成形型の所定位置に接着する。

こゝで、切断ゲルコート樹脂は、ゲル化時に切
断してあるので、型との接着部側はゲル化が進
み、一方外側の空気に触れた部分は、上記接着部
側と比較してゲル化はやゝ遅く、未だ粘性を有し
ているので、この切断ゲルコート樹脂片を裏がえ
しにして、即ち、外側を成形型に接着させる。

このようにすると、切断ゲルコート樹脂片の外
側面がもつ粘性によつて、当該切断ゲルコート樹
脂は成形型に対して良く密着する。

さらに、任意所望形状で成形型に密着させた切
断ゲルコート樹脂片は、その硬化が進行するか
ら、適当に硬化して安定形態に達したならば、異
色ゲルコート樹脂を、上記の密着させた切断ゲル
コート樹脂片を含む成形型面に適当層厚だけ塗布
し、これがゲル化後硬化して安定した後、さらに
その上からFRPを通常の成形手段により積層し、
然る後脱型を行うことにより模様付きFRP製品
を得るものである。

次いで、本発明を、第１図に示すFRP製防水
パンａにおける洗場エプロンの壁面ｂに花柄のワ
ンポイント模様ｃを付ける場合の実施例について
述べる。

第２図ないし第７図において、先ずFRP成形
型１とは別異の型２に任意所望色の着色ゲルコー
ト樹脂３を第２図に示すように塗布して適当な層
厚となし、これがゲル化した状態で花形状の切断
型６を押し付けて第３図に示す如く切断し、第４
図に示すような花形の切断ゲルコート樹脂片３ａ
を形成する。

かくして、予め表面を離型処理してある成形型
１に、上記切断ゲルコート樹脂片３ａを、上記型
２との接着面Ｂが外側に向き、上記型２に対して
外側であつた空気接触面Ａは内側となるよう裏返
しとなるようにして第５図の配置により第６図に
示す如く接着する。こゝで切断ゲルコート樹脂片
３ａは前述の特性によつて空気接触面Ａは未だ充
分に粘性を有しているので成形型１との密着は非
常に良く、成形型との剥離、浮き上がりは全くな
かつた。

さらに、切断ゲルコート樹脂片３ａがある程度
硬化した後、その部分を含む成形型１に異色ゲル
コート樹脂４を第６図に示すように塗布して適当
な層厚となし、これが硬化した後、異色ゲルコー
ト樹脂４の表面にFRPを通常の手段によつて積
層し、その後脱型して第１図に示すような花柄の
ワンポイント模様ｃ付き防水パンａを得たが、当
該成形品における模様の境目が非常にシヤープと
なり美しい花柄模様が得られた。

以上説明した通り、本発明に係る模様付き
FRP製品の成形法は、成形型とは別に用意され
た型の表面に、厚みをもたせて着色ゲルコート樹
脂を塗布し、その樹脂がゲル化した後、当該着色
ゲルコート樹脂の一部を、模様形状に切り取つて
切断ゲルコート樹脂片をつくるとともに、その切
断ゲルコート樹脂片を裏がえしにして成形型の成
形面上に保持し、その後、当該切断ゲルコート樹
脂片を覆うようにして、成形型の成形面に前記と
は異色のゲルコート樹脂を塗布し、その後、当該
異色ゲルコート樹脂の上に、FRPを積層形成す
ることを特徴とする。

かかる構成を特徴とする本発明方法では、切断
ゲルコート樹脂片を成形型の成形面上に保持し、
当該切断ゲルコート樹脂片を覆うようにして、成
形型の成形面に異色ゲルコート樹脂を塗布するか
ら、切断ゲルコート樹脂片と異色ゲルコート樹脂
とが一体化された丈夫な模様部が得られるととも
に、異色ゲルコート樹脂に対し、切断ゲルコート
樹脂片が嵌めこみ状態となるので、象嵌のごとき
高級な模様を現出することができ、異色ゲルコー
ト樹脂と異色ゲルコート樹脂との境界もシヤープ
に仕上がるほか、切断をともなう切断ゲルコート
樹脂片の形成を、成形型とは別の型において実施
するので、重要かつ高価な成形型を傷つけること
もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る模様付きFRP製品の成
形法により成形した花柄模様付き防水パンの正面
図、第２図ないし第７図は同成形法の実施例を成
形順にそれぞれ示した各縦断側面図である。 １……成形型、２……型、３……着色ゲルコー
ト樹脂、３ａ……切断ゲルコート樹脂片、４……
異色ゲルコート樹脂、５……FRP。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 成形型とは別に用意された型の表面に、厚み
   をもたせて着色ゲルコート樹脂を塗布し、その樹
   脂がゲル化した後、当該着色ゲルコート樹脂の一
   部を、模様形状に切り取つて切断ゲルコート樹脂
   片をつくるとともに、その切断ゲルコート樹脂片
   を裏がえしにして成形型の成形面上に保持し、そ
   の後、当該切断ゲルコート樹脂片を覆うようにし
   て、成形型の成形面に前記とは異色のゲルコート
   樹脂を塗布し、その後、当該異色ゲルコート樹脂
   の上に、FRPを積層形成することを特徴とする
   模様付きFRP製品の成形法。