JPS647729B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、複数のポツト状苗室が連接された苗
箱に関し、さらに詳しくは、通気性・通水性に優
れ、根張りが良好で丈夫なポツト苗を育苗し得る
苗箱であると同時に、移植機の苗載台にそのまま
搭載して苗供給機構の１部を構成する苗支持台と
もなる、多方面で有用なポツト苗用苗箱に関する
ものである。

従来技術 従来、多数のポツト苗を１個の苗箱で成育させ
るための苗箱には、方形の箱を縦横に仕切つて多
数の苗室を形成したものがあるが、この苗箱は取
り扱い難い上、苗の取り出し時に苗が損傷され易
い等の欠点があつた。このような点を改良したも
のとして、実開昭54−33312号公報記載の育苗用
資材が提供されている。この育苗用資材は、第６
〜８図に示すように、育苗箱本体１に、仕切壁６
を並設したカセツト４を収納し、本体１の仕切板
２と仕切壁６とで多数の育苗室７を形成するよう
に構成されている。

発明が解決しようとする課題 この構成から明らかなように、従来例の育苗箱
本体１の底面は閉塞されており、これに、カセツ
ト４を適用して形成される育苗室７は、底面およ
び四方の側壁の隅々までも完全に閉塞されてい
る。従つて、育苗室７は、その上部開口部を通じ
てのみ、外部に開かれており、通気性・通水性の
いずれをも欠き、苗の育成には著しく不適当であ
る。このような状況では根張りが不十分で貧弱な
苗しか得られず、そのような苗では、圃場に移植
した後の成育も芳しくないために、最終的な収穫
が劣ると予想される。

言うまでもなく、根が十分に張つた、良好な苗
を得ることは、育苗における第１の目的である。
特に、移植機での植え付けの場合には、爪で機械
的に植え付けるために、手植えより苗が損傷され
易い上、通常、苗を苗箱から一旦取り出して移植
機の苗供給装置に載置しなければならず、その過
程においても傷み易いことから、より丈夫な苗を
育苗し、供給することが要求される。

しかるに従来例の育苗用資材によれば、上記し
た理由から、根が充分に張つた、丈夫な苗を得る
ことが困難であるために、機械植えの場合には勿
論、手植えの場合でも植付きおよび以後の成育が
芳しくないおそれがある。

本発明者らは、従来農業従業者にとつて大きい
負担であつた移植作業の合理化を究極目的とし
て、鋭意、研究を重ねてきた。その結果、移植に
要する労力の軽減を図ると共に、移植した苗が活
着し易く、順調に成育するよう、苗箱で育苗した
ポツト苗を傷めずに、順次圃場に植え付けること
のできる移植機を開発した（第５図参照）。この
移植機は、機体１の苗載台７にポツト状の苗ａが
支持された苗台ｃを移送自在に搭載し、機体１の
進行に伴つて回転する回転体３先端の押出片４で
苗台ｃの苗室ｂから苗ａを押し出し、案内樋６を
通して地表に植え付けるよう構成されている。こ
の移植機の特徴は、送り装置８により、苗台ｃ
を、その底面の送り孔（図示せず）を介して、１
定方向に送ることにより、ポツト苗を連続的に植
え付けることができる点にある。

しかるに、この移植機で上記従来例の装置によ
り育苗した苗を移植せんとすると、カセツト４が
上記送り装置８に適合していないために、各育苗
室７から苗を１個づつ取り出し、送り装置８に適
合した苗台ｃの苗室ｂに挿入する必要がある。こ
れは、手数を要するばかりか、苗の損傷を一層促
す結果となり、労力および経済両面でなんら益す
るところがない。

従つて、苗の成育に好適であつて、丈夫なポツ
ト苗を得ることができ、しかも上記移植機または
同様な構成の送り機構を備えた移植機に適合した
ポツト苗用苗箱の開発が必要であることは明らか
である。

課題を解決するための手段 本発明者らは、上記の観点から、移植作業の合
理化を目指し、苗の成育に好適であると同時に、
手植え作業はいうまでもなく、上記移植機に適用
でき、移植能率の改善、労力および経済的負担の
軽減に寄与し得る苗箱を得るために検討を重ねた
結果、方形の底板を、底面の開放された屋根型の
隔壁で一列に連接させて両側が開放された苗台を
得、この苗台を、底面の開放された短冊状の枠体
に嵌挿して、複数のポツト状苗室を形成せしめる
と、各苗室が、枠体の解放された底面を通じて通
気・通水自在であるために育苗に好適であり、し
かも、隔壁が送り孔として作用するので、苗台を
そのまま上記の送り構造を有する移植機に搭載し
て、該移植機のポツト苗連続供給装置の１部とし
て用い得ることを見出し、本発明を完成するに至
つた。

即ち本発明は、短冊状の枠体に、その側壁と直
交する隔壁を並設してなる苗台を嵌挿し、枠体の
側壁と苗台の隔壁により複数のポツト苗室を形成
する構成の苗箱において、枠体の底面を開放する
と共に、苗台の隔壁を、底部が開放された屋根型
形状としたことを特徴とするポツト苗用苗箱を提
供するものである。

発明の作用 本発明の苗箱は、短冊状の枠体の底面を開放す
ると共に、苗台を仕切る隔壁を底面の開放された
屋根型形状としたので、各苗室の通気性および通
水性が良好であるために育苗に好適である上、上
記の構造を有する移植機に苗台のまま搭載し、該
移植機の苗箱送り装置の送り機構に適合させるこ
とができるのである。

実施例 以下、図示実施例に従つて本発明を詳しく説明
する。

１は苗台であつて、底板２に隔壁３を並設する
ことにより、相対する２側が解放された多数の苗
受け４が１列に連接されている。隔壁３は底部が
開放された屋根型形状であり、その中空部を送り
孔５としている。苗台１は、例えば、方形の底板
２を一定間隔をあけて配し、空隙を屋根型の隔壁
３で連結する方法、あるいは、長方形の板を一定
間隔をあけて上方に向けて屋根型に屈曲させ、底
板２と隔壁３を一体に形成する方法で形成され
る。苗台１は、苗枠６に対して嵌挿自在である。
苗枠６は、長手方向の側板７，７と、それらを連
結する連結板８，８とで形成されており、底面は
開放されている。苗台１の底板２は、苗枠６の底
面を閉塞する大きさであり、隔壁３は、苗枠６に
苗台１を嵌挿した時、その両端縁が苗枠６の側板
７，７に当接するよう形成されている。本実施例
の苗枠６は、１列のポツト苗室９が形成される短
冊状の単体であるが、第４図に示す他の実施例の
ごとく、より大きい苗箱１０を仕切板１１で区切
つて複数の苗枠６を並列に配したものでもよい。

従つて、苗枠６に苗台１を嵌挿すると、底板２
と、相対する隔壁３および側板７とによつて、上
部開口部が拡開したポツト苗室９，９が１列に形
成される。これらのポツト苗室９は、苗台１の底
板２または隔壁３と苗枠６の側板７との間の空隙
を介し、苗枠６の開放された底面から通気、通水
自在である。

このようにして形成されるポツト苗室９に床土
を充填して播種するか、稚苗を植え付けて常法通
り育苗すると、上記の間隙を経て通気自在である
共に、灌水時の余分な水はその間隙を通つて排除
されることになる。

発明の効果 本発明は、上記のごとく構成されているので、
ポツト苗室内の苗は、通気性および通水性の良好
な条件下で成育し、丈夫な移植苗が得られる。

移植に際しては、苗台を持ち上げると、苗ａの
根を損傷することなく、容易に苗枠６から取り出
すことができる。この苗台には、隔壁底部に位置
して送り孔が設けられているので、そのまま、例
えば、第５図に記載の移植機の苗載せ台に搭載す
ると、送り装置が送り孔を介して苗台１を順次移
動させ、ポツト苗室の開放された側方から移植片
が苗ａを押し出して植え付けることができる。し
かも、ポツト苗室が上部で拡開した形状であるた
めに、苗ａが抵抗なく押し出され、結果として苗
の損傷を最小限度に抑えることができる。

このように、本発明の苗箱によれば、ポツト苗
室で丈夫な移植用の苗を育苗することができると
共に、そのまま、移植機の苗載台に搭載して苗の
供給に利用し得るために、移植作業を、労力およ
び経済の両面で効率良く合理的に行うことができ
る利点を有するのである。

なお、本発明の苗箱によれば、丈夫な苗が得ら
れ、またそれを容易に取り出すことができるの
で、手植えでの移植をも極めて有効に行い得ると
いう利点をも有するのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は苗枠か
ら苗台を取り出した状態を示す斜視図、第２図は
苗枠に苗台を挿入した状態を示す斜視図、第３図
はポツト苗が育苗された苗台の縦断正面図、第４
図は他の実施例にかかる苗枠の平面図、第５図は
苗台を移植機に搭載した状態を示す平面図、第６
図は従来例の育苗箱本体の斜視図、第７図は従来
例におけるカセツトの斜視図、第８図は従来例に
おいて、カセツトを各収納部に収納した状態を示
す斜視図である。 図中の符号を示すと次の通りである。１は苗
台、２は底板、３は隔壁、４は苗受、５は送り
孔、６は苗枠、７は側板、８は連結板、９はポツ
ト苗室、１０は苗箱、１１は仕切り板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 短冊状の枠体に、その側壁と直交する隔壁を
   並設してなる苗台を嵌挿し、枠体の側壁と苗台の
   隔壁により複数のポツト苗室を形成する構成の苗
   箱において、枠体の底面を開放すると共に、苗台
   の隔壁を、底部が開放された屋根型形状としたこ
   とを特徴とするポツト苗用苗箱。