JPS64697B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電子写真複写機の転写・分離装置に
関するものである。

転写式電子写真複写機においては、潜像担持体
表面に所定極性の静電潜像を形成し、この静電潜
像に、この像極性と反対極性に帯電せしめたトナ
ーを静電吸着せしめて、静電潜像を可視像化し、
次いで、転写チヤージヤーを用いた転写電界の印
加により、転写シートにトナー極性と反対極性の
電荷を注入して、トナーをシート側へ吸着せしめ
トナー可視像を転写シートへ転写せしめている。

斯る転写式電子写真複写機では、転写后の、潜
像担持体の静電的に接触した転写シートの先端を
潜像担持体から分離せしめる必要があり、この分
離方式には、剥離爪によるもの、分離チヤージヤ
ーによるもの、導体分離によるもの等、種々の方
式がある。

この内の導体分離方式は、ローラ若しくは無端
ベルト等から成る導体を用い、これを潜像担持体
表面に臨ませ、かつ、シート先端を上記導体側に
吸着せしめ、シートを潜像担持体から分離するよ
うにしたものである。従来、この導体分離方式に
おいては、シート先端側が、導体と、潜像担持体
との間のシート分離部へ進入したとき、導体をア
ースにするか、若しくは導体に転写チヤージと同
極性の、それよりも低いバイアス電圧を印加して
シート先端の分離を行なつていた。

一方、本発明はその詳細について後述するよう
に、転写シートの分離時、シートの先端側の範囲
で、導体に、転写チヤージと逆極性のバイアス電
圧を印加し、以后、今後は逆に転写チヤージと同
極性の電圧を導体に印加するようにしたものであ
り、シート先端分離時において、シートへの注入
電荷と反対極性の電圧が導体に印加されるため、
シートと導体との間に発生する相互の電気的吸引
力が極めて強くなり、従来のものと比して分離性
能が飛躍的に向上する。

これに対し、従来の装置では、導体をアースに
するか、若しくは導体に、転写チヤージと同極性
の、それよりも低いバイアス電圧を印加するもの
であり、それなりにある程度の分離性能は得られ
るものの、本発明方式のものに比してその分離性
能は劣り、分離ミスが発生することもある。

しかし乍ら、従来方式においては、原稿の先端
部が黒べた画像の場合、転写シートの先端部にお
いて、所謂、白抜けが発生するも、例えば、ライ
ン画像においてはラインの白抜けは目だたず、文
字の判読に支障はないなどの長所もある。

これに対し、本発明装置においては、原稿先端
部が黒べた画像、ライン画像であつても、その部
分での転写性能は従来装置のものと比して劣る
が、一般的に、原稿先端側には画像を有さない方
が多く、むしろ、分離ミスをなくして分離性能を
向上させることの方が得策的である。

本発明は、斯る技術課題を考慮した上でなされ
た、改良された、シート分離性能が飛躍的に向上
せられる、電子写真複写機の転写・分離装置を提
供することを目的とする。

以下、図示の実施例により本発明を説明する。

第１図において、潜像担持体の一例である、ド
ラム状の感光体１は矢印の向きに回転するように
なつていて、この表面には、露光が行なわれて、
所定極性、例えば、第３図に示すように正極性の
静電潜像が形成される。なお、この場合、負極性
の静電潜像が形成される場合もあるが、以后、使
宜上、正極性の静電潜像が形成されるものとして
説明を続ける。

感光体１上に形成された静電潜像は、現像装置
２からのトナーの供給を受けて可視像化される。
即ち、第３図に示す如く、負に帯電せられたトナ
ーが正極性の静電潜像に付着し、この静電潜像が
可視像化される。一方、転写シートＳは、レジス
タローラ対３によつて所定時機に給送せられるよ
うになつており、この転写シートＳには、転写チ
ヤージヤ４による正極性の転写電界印加作用によ
り、上記可視像が転写される。

転写チヤージヤ４の出口側において感光体表面
に近接して配置された第１のプーリ５ａと、感光
体表面から遠ざかつた位置に配置された第２のプ
ーリ５ｂとの間には、感光体表面と対向する部分
が該表面と同じ向きに走行する無端の導体ベルト
５が掛け渡されている。この導体ベルト５は、例
えば、厚さ40μｍ程度のニツケルベルトより成つ
ている。導体ベルト５は、転写后のシート先端を
後述する如く吸着分離し、該シートを保持しつ
つ、矢印の向きに搬送し、同シートを図示されな
い定着部へ移送する。

ここで、第１図において、転写后のシート先端
が、感光体１と導体ベルト５との間のシート分離
位置Ａに進入すると、バイアス電圧印加回路６に
より、シートの先端側、例えば先端縁から３ｍ／
ｍ程度の範囲において、転写チヤージ極性と反対
極性の負の電圧が導体ベルト５に印加されるよう
になつている。次いで、上記バイアス電圧印加回
路６の電圧印加タイミング制御機能によつて、上
記先端側を除いた後端までの残りの転写シート部
分の範囲において、転写チヤージ極性と同極性の
正の電体が導体ベルト５に印加されるようになつ
ている。

転写チヤージヤ４を出た転写紙の先端は、導体
ベルト５に吸引されて感光体表面から引き離さ
れ、引き続いて導体ベルト５に吸着した状態で搬
送される。

ところで、第１のプーリ５ａが配置されている
場所では、転写紙が感光体表面から離れる向きに
転写紙の自重が作用しないので、第１のプーリ５
ａの位置に従来の除電チヤージヤを配置しても、
感光体に静電的に吸着している転写紙の感光体か
らの確実な分離を期待することはできない。しか
し、導体ベルトを用いるときは、第１図に示すよ
うに、転写紙の自重が転写紙を感光体から分離す
る向きに作用しなくても、転写紙は導体ベルトに
よつて確実に分離搬送される。

第２図は、バイアス電圧の印加タイミング線図
を示すものであり、Ｖは印加電圧レベル、ｔは導
体ベルトへの印加電圧時間をそれぞれ示してい
る。ｌは転写シートの長さ、l₁はシート先端側の
長さ、l₂は先端長さl₁を除いた後端までのシート
部分の長さをそれぞれ示している。ａ点は一枚目
のシートの先端縁、ｂ点は一枚目のシートの後端
縁、ｃ点は２枚目のシートの先端縁をそれぞれ示
している。そして、l₁の範囲で転写チヤージ極性
と反対極性のV₁なる電圧を導体ベルト５に印加
し、l₂の範囲で転写チヤージ極性と同極性のV₂の
電圧を導体ベルト５に印加する。

この印加方式によつて、まず、第１段階で、転
写シートの先端が導体ベルト５に接近又は接触す
ると、転写シートの先端を導体ベルト側へ引き付
ける電気吸引力によつてシート先端が導体ベルト
５に吸着されて、シート先端が分離せられ、この
分離が行なわれたのち、第２段階で、導体ベルト
５に、転写チヤージ極性と同極性の電圧が印加さ
れるようになつているため、シート先端以降のシ
ート部分についての転写性能を損うことがない。

さらに重要なことは、第１段階の分離工程で、
導体ベルトには、転写チヤージ極性と反対の極性
電圧が印加されるため、従来、分離工程で導体ベ
ルトをアースにする等の装置と比して転写シート
を導体ベルト側へ引き付けるための電気吸引力は
極めて強くなり、シート分離性能が飛躍的に向上
する。

以上本発明によれば、転写シートの分離性能が
著しく向上すると共に、シートの先端側を除いた
後端までのシート部分の転写性能を低下させるお
それがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施した電子写真複写機の感
光体周りの構成図、第２図は導体へのバイアス電
圧の印加タイミング線図、第３図は本発明の要点
を説明するためのドラム周りの拡大構成図であ
る。 １……潜像担持体、４……転写チヤージヤー、
５……導体ベルト、５ａ，５ｂ……第１、第２の
プーリ、Ｓ……転写シート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現
   像し、その得られたトナー像を転写部において転
   写電界の印加のもとに転写シートに転写し、次い
   で上記転写シートを上記表面から分離する電子写
   真複写機の転写・分離装置において、 上記表面の、上記転写部の出口側において該表
   面に近接して配置された第１のプーリと、上記表
   面から遠ざかつた位置に配置された第２のプーリ
   との間に掛け渡され、上記表面と対向する部分が
   該表面と同じ向きに走行する無端の導体ベルト
   と、 上記転写部を通過した転写シートの先端側の範
   囲で、上記導体ベルトに転写チヤージ極性と反対
   極性の電圧を印加し、上記先端側を除いた後端ま
   での残りの転写シート部分の範囲で、上記導体ベ
   ルト転写チヤージ極性と同極性の電圧を印加する
   電圧印加手段と を有する電子写真複写機の転写・分離装置。