JPS646901B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えばエンジンのカムシヤフトのカム
を加工するカム研削盤に関するものである。

本発明の目的は、カムシヤフトのジヤーナル部
に対してカムのベース円部のフレを少くし、加工
精度の向上と加工時間の短縮並びに工作物素材の
無駄をなくしたことである。

従来のカム研削盤は第１図に示すように、マス
タカムによつて揺動する揺動台上に設けた主軸台
１の主軸先端に装着したセンタ３と心押台２のセ
ンタ４とによつてカムＣとジヤーナル部Ｊとを有
するカムシヤフトＷをセンタ保持し、且つキー５
を係合させて回転駆動している。しかしながらカ
ムシヤフトＷは前加工においてセンタ穴に対する
ジヤーナルのフレがあり、上記従来のものではジ
ヤーナル部に対するカムのベース円のフレをとる
ことができず、しかもキーとキー溝のガタによつ
て位相誤差が発生する問題があつた。

また一部には前記ジヤーナル部に対するカムの
ベース円のフレを加工前に検出器で検出している
ものもあるが、この場合、それだけ加工に要する
時間が長くなり作業能率を悪くしている。その
上、フレがある工作物は不良素材として除外して
いるので工作物素材の経済性にも悪影響を及ぼし
ている。

本発明は上記の問題点を解決するためになされ
たもので、主軸台と心押台間に工作物の複数のジ
ヤーナル部を少なくとも下、横方向の２点で支持
するレスト装置を軸方向に複数設置し、これらの
レスト装置のうち少なくとも心押台側のジヤーナ
ル部を上下、横方向の３点で支持するレスト装置
とし、これらのレスト装置によつて回転可能に支
持された工作物を径方向にフローチング可能に保
持するフローチング式チヤツクを前記主軸の先端
部に取付け、また主軸の先端部に工作物の一端面
に当接する位置決め部材を取付け、前記心押台に
センタ穴に倣つてセンタが傾動できるようにフロ
ーチング装置を設けたカム研削盤を提供するもの
である。

以下その実施例を第２図乃至第５図によつて説
明する。第２図において６はトラバーステーブ
ル、７は該トラバーステーブル６上に揺動自在に
設置された揺動台、１は前記トラバーステーブル
６上に設置されている主軸台、８は前記揺動台７
に軸承された主軸であり、この主軸８に図略のフ
オロアローラと接触するマスタカム９が装備され
ている。この主軸８は図略の駆動モータと連結さ
れ回転駆動される。１０は主軸８上に設けられて
いる割出板であり、これと対応する割出しシリン
ダ１１によつて主軸８を定位置停止するようにし
てある。２は主軸８と相対向して揺動台７上に設
置されている心押台である。

本発明は上記の構成において、主軸８の先端に
は工作物、すなわちカムシヤフトＷの一端のジヤ
ーナル部Ｊを半径方向にフローチング可能にクラ
ンプするフローチング式チヤツク１２を設けたこ
と、カムシヤフトＷの他端をセンタ支持する心押
台２のセンタ４をフローチング装置２ａによつて
フローチング可能にしたこと、カムシヤフトＷの
複数のジヤーナル部Ｊを軸方向の複数箇所で支持
するレスト装置１３，１４を備えたこと、心押台
２に近いジヤーナル部Ｊをレスト装置１３によつ
て上下、横方向の３点で支持したことである。な
お、１４は下と横方向の２点で支持する公知のレ
スト装置を示す。

前記フローチング式チヤツク１２はカムシヤフ
トのジヤーナル部Ｊを半径方向にフローチング可
能に保持するダイヤフラム式チヤツクが好まし
い。その構造例と周辺構造を第３図によつて説明
する。１５はジヤーナル部Ｊを掴持する把持爪で
ある。この把持爪１５はチヤツク１２の前面に設
けたダイヤフラム１６に一体的に取付けられてい
る。このダイヤフラム１６の作動機構は、主軸８
の先端部の軸内にシリンダ２２を設け、そのピス
トンロツドに前記ダイヤフラム１６に対応する作
動ピン２１が取付けられた構造となつている。す
なわち、シリンダ２２のピストンの後退位置にあ
る第３図の状態では作動ピン２１も後退端にあつ
てダイヤフラム１６とは離間している。従つて把
持爪１５はダイヤフラム１６によつて軸心方向に
押圧し、ジヤーナル部Ｊを自動求心して把持す
る。また、シリンダ２２のピストンを前進させた
ときには、作動ピン２１はダイヤフラム１６を押
動し、把持爪１５を軸心とは逆の方向に開拡して
ジヤーナル部Ｊを挿出入を可能にする。１７はカ
ムシヤフトＷ端のキー溝に係合される位相決めキ
ーである。このキー１７は主軸８端にレバー２０
と一体になつて枢着され、レバー２０の下端に掛
け止めされたスプリング１９によつて常に係合方
向に旋回力が付勢されている。１８はレバー２０
の下端に位置したキー入確認用の近接スイツチで
あり、キー１７がカムシヤフトＷ端のキー溝に正
しく係合したときレバー２０と近接スイツチ１８
とが一致近接し、これを信号によつて確認するも
のである。２３はカムシヤフトＷの端面に当接し
てその軸方向位置を設定する位置決めピンであ
る。この位置決めピン２３も主軸８の先端面より
突設されている。この位置決めピン２３はチヤツ
ク１２に挿入したジヤーナル部Ｊの端面が当接
し、カムシヤフトＷの軸方向の位置決めを行うも
のである。

次にジヤーナル部Ｊを３点支持するレフト装置
１３は例えば第４図及び第５図に示す公知のもの
を採用する。

２４は揺動台７に位置決め固定されるレスト装
置本体である。該レスト装置本体２４の後部には
ドブテールにより前後方向に位置調整可能に案内
された保持部材２５が設置され、該保持部材２５
に枢軸２７，３１が挿通支持されている。枢軸２
７の中央部にはジヤーナル部Ｊの外周面と当接す
る下部シユー２９及び側部シユー３０を備えた下
部レストアーム２６の一端が枢支されている。該
下部レストアーム２６には下方に突出し本体２４
に当接する調整ボルト２８が螺合され、この調整
ボルト２８によつてジヤーナル部Ｊの下方の撓み
を防止すべくシユー２９，３０に作用する力を把
持する。枢軸３１の中央部にはピニオン３２が係
止され、前記保持部材２５の下面に固設されたシ
リンダ３３のピストンロツド３４に刻設されたラ
ツク３５と噛合している。該枢軸３１の両端部に
は一端のリンク３６が係止され、前記枢軸２７の
両端部にも一対のリンク３７が回動可能に軸支さ
れ、これらリンク３６，３７の各一端は横架部材
３８に支持ピン３９，４０にて枢支されている。
横架部材３８の前方一端には上部シユー４４を備
えた上部レストアーム４１がピン４２にて枢支さ
れ、該上部レストアーム４１の後方他端には横架
部材３８の凹部に収納され、上部レストアーム４
１を上方に押圧するスプリング４３が弾装されて
いる。

前記心押台２とセンタ４間にはセンタ４を傾動
できるようにフローチング支持するフローチング
装置２ａを備えている。このフローチング装置２
ａは、センタ４の一端に取付けられたフランジ部
と、心押台２に取付けられセンタ４並びにフラン
ジ部が傾動できる内部空間を形成した保持部と、
前記内部空間の壁面とフランジ部に形成したＶ溝
に係合するボールとからなつている。カムシヤフ
トＷのジヤーナル部Ｊに対してセンタ穴が偏心し
ていた場合、前記Ｖ溝とボールを基準としてセン
タ４が傾動する。

本発明は上記の通りの構造であるから、カムシ
ヤフトＷの複数のジヤーナル部Ｊはレスト装置１
３，１４によつて回転可能に支持される。カムシ
ヤフトＷの一端のジヤーナル部Ｊをチヤツク１２
に挿入するだけで自然にキー溝にキー１７が係合
し、カムシヤフトＷの一端に位置決めピン２３が
当接することによつてカムシヤフトＷの軸方向の
位置が決められる。

また、カムシヤフトＷの心押台２側の他端は、
その端面にあけられているセンタ穴にフローチン
グ装置２ａによつてフローチング可能なセンタ４
を挿入させることによつて支持される。この状態
で、主軸８を回転させるとカムシヤフトＷはレス
ト装置１３，１４に支持されたジヤーナルＪ回り
に回転し、主軸８の回転中心とジヤーナルＪの回
転中心がずれていた場合、カムシヤフトＷの主軸
８に対してふれ回り回転し、このふれをフローチ
ング式チヤツク１２によつて吸収しながら主軸８
の回転をカムシヤフトＷに伝える。カムシヤフト
Ｗの回転に関連して砥石をカムシヤフトＷに対し
て相対的に接近離間させることによつてカム部Ｃ
の加工が行われる。加工中にかかる径方向の力
は、３点レスト装置１３および２点レスト装置１
４で受け止め、加工中にかかる軸線方向の力は、
位置決めピン２３とセンタ４で受け止め、フロー
チング式チヤツク１２に大きな力がかかるのを防
止してカムシヤフトＷの飛び出しを防止する。

従つて本発明によると、前記した通りジヤーナ
ル部の外径を基準にしてカムプロフイルを加工す
るものであるため、ジヤーナル部に対するカムの
ベース円のフレがなくなり、カムの加工精度が向
上する。従つて従来のようにセンタ穴に対するジ
ヤーナルのフレがある工作物素材を不良素材とし
て除外する工作物素材の無駄を解消できる。ま
た、フローチング式チヤツクによつて主軸と工作
物とのふれを吸収しながら工作物に主軸の回転を
伝えることができる。さらにフローチング式チヤ
ツクと工作物の複数のジヤーナル部を軸方向の複
数箇所で支持するとともに心押台側に近いジヤー
ナル部を上下、横方向の３点で支持するレスト装
置を備えているため、工作物の径方向の飛び出し
を防止できる。また、ジヤーナル部に対してセン
タ穴のふれがあつても、心押台とセンタ間に設け
られたフローチング装置によつてセンタを径方向
にフローチングさせることができ、加工中に工作
物の軸線方向にかかる力を前記センタと位置決め
部材とで受け止めることができ、フローチング式
チヤツクの欠点である軸線方向の拘束する力の弱
さを補うことができ、工作物の軸線方向の移動を
防止できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のカム研削盤における工作物支持
状態の正面図、第２図は本発明の一部断面正面
図、第３図はチヤツク部分の断面図、第４図は３
点レスト装置の縦断側面図、第５図は第４図の
−線断面図である。 １……主軸台、２……心押台、２ａ……フロー
チング装置、４……センタ、６……トラバーステ
ーブル、７……揺動台、８……主軸、９……マス
タカム、１２……チヤツク、１３……３点レスト
装置、Ｗ……カムシヤフト、Ｊ……ジヤーナル
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数のジヤーナル部ならびにカム部を有する
   工作物を主軸台の主軸と心押台のセンタ間で回転
   可能に保持するとともに、この工作物の回転に関
   連して工作物を砥石に対して相対的に接近離間さ
   せて前記カム部を研削加工するカム研削盤におい
   て、前記主軸台と心押台間に工作物の複数のジヤ
   ーナル部を少なくとも下、横方向の２点で支持す
   るレスト装置を軸方向に複数設置し、これらのレ
   スト装置のうち少なくとも心押台側のジヤーナル
   部を上下、横方向の３点で支持するレスト装置と
   し、これらのレスト装置によつて回転可能に支持
   された工作物を径方向にフローチング可能に保持
   するフローチング式チヤツクを前記主軸の先端部
   に取付け、また主軸の先端部に工作物の一端面に
   当接する位置決め部材を取付け、前記心押台にセ
   ンタ穴に倣つてセンタが傾動できるようにフロー
   チング装置を設けたことを特徴とするカム研削
   盤。