JPS645470Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、苗のせ台上のマツト状苗の床土底面
に対して食い込ませる突起を有する回転体を、前
記苗のせ台の底板に対して回転軸芯が裏面側に位
置する状態でかつ突起が苗のせ台の底板に形成の
孔から突出する状態で設けた田植機用苗供給装置
に関する。

一般に、この種、苗供給装置の突起を有する回
転体は、苗床土底面に対する係合を良くする為
に、ボス部から突起先端までの軸芯方向の巾が薄
く形成されている。

他方、苗のせ台の底板に形成の孔は、回転体の
突起をガイドする為に、その周縁は、回転体の側
面に対してギリギリに設けられている。

このように、回転体が薄いことと、回転体に対
して孔がギリギリに設けられていることによつ
て、根絡みにより苗床土底面が比較的硬いマツト
状苗を送る場合には、係合作用により回転体が軸
芯方向に撓んで、回転体と孔周縁との一側方の隙
間が広くなり、その隙間に、係合作用により崩れ
た苗床土の小石や千切れた根が挾まつて、回転体
が回転不能、あるいは、回転体や底板が損傷する
と言う欠点があつた。

そこで、上記の欠点を解決する手段として実開
昭54−99815号公報に示される如く、回転体のボ
ス部の径を苗のせ台の底板表面まで大きくして回
転体の撓みを防止することが考えられるが、斯か
る場合には、回転体の重量が大きく増大し、軽量
化が望ましい田植機にとつて好ましくなく、又、
ボス部から突起に至るデイスク部分が苗のせ台の
底板から上方に突出することとなつて、その部分
により苗の持上げが生じ、苗の円滑な縦送りが阻
害される不都合がある。

本考案は、回転体の形状を工夫することによつ
て、上記欠点を解消することを目的とする。

上記目的を達成する為の本考案の特徴構成は、
前記回転体の、ボス部から苗のせ台の底板の表面
に至るデイスク部分の軸芯方向の巾を、そのデイ
スク部分の外周縁から突起先端に至る部分よりも
厚くして、かつ、前記突起部分のみを苗のせ台の
底板から突出させて、前記孔と回転体側面との隙
間を、苗根の前記突起による前記苗のせ台の裏側
への引込みを阻止するに足る比較巾狭なものに構
成した点にあり、斯かる構成から次の作用効果を
奏する。

すなわち、回転体の突起のみを苗のせ台の底板
から突出させてあるから、苗の持上げがなく、円
滑な縦送りが可能となり、そして、回転体の孔に
対応する部分、つまり、突起からボス部に至るデ
イスク部分の軸芯方向の巾を、苗のせ台の底板の
表面から突出する部分よりも広く構成してあるか
ら、全体として、ボス部から先端に至るまでのデ
イスク部分が撓み難くなり、従つて、孔の周縁を
回転体の側面までギリギリに近づけて良好なガイ
ド作用を行えるものであり乍ら、孔に対応する部
分は殊に撓み難いから、係合作用に伴つて先端の
突起が多少軸芯方向に撓んでも、回転体と孔周縁
との間は一定に保たれることとなり、これによつ
て、従来のように、回転体の撓みに伴う石や根の
喰い込みを抑制することができる。

そして、底板より上方に突出する突起部分の軸
芯方向の巾が薄いことによつて、突起が孔の苗送
り方向下手側を通過する時には、突起に対する孔
の開口面積が広くなり、回転体の側面を通過した
小石や千切れた根がここを通つて下方に落下する
こととなり、係合作用に伴つて苗床土の崩れた小
石や千切れた根が、そのまま植付爪側に送られる
ことによる、苗のせ台底板の摩耗や苗の送り不良
等を抑制し得る。

そしてまた、突起からボス部に至るデイスク部
分のみを厚くして撓み難くしてあるから、ボス部
の径を苗のせ台の底板表面まで大きくして回転体
の撓みを防止する場合に比して、回転体の重量の
増大をさほどまねくことなく撓みを防止すること
ができるに至つた。

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

耕盤上を走行させる車輪式走行装置１、機体前
部の左右両側に各別に設けた一対の予備苗収納装
置２，２を夫々備えさせた乗用型自走機体の後部
に、一定の回動軌跡に沿わせて上下運動させるべ
く構成すると共に機体横方向に並列させた苗植装
置３、これら苗植装置３に対する苗供給装置４、
泥面上を滑走させて苗植付箇所を予め整備させる
べく構成した接地フロート５を夫々植えさせた苗
植付部を、リンク機構６により昇降自在に連結す
ると共に、前記自走機体から前記苗植付部に伝動
すべく構成してあり、もつて、機体を走行させる
に伴い作業を行えるようにした乗用型田植機を構
成してある。

前記苗供給装置４は、第２図及び第３図に示す
如く構成してある。

すなわち、前記苗植装置３より機体前方側にそ
れらに各別に供給する複数枚のマツト状苗を機体
横方向に並列させて載置すべく構成した傾斜苗の
せ台７を機体横方向に摺動自在に設けると共に、
前記苗のせ台７を苗植装置３に対してそれらが回
動するに伴つて、機体左右方向に往復移動される
べく連動させてある。前記苗のせ台上のマツト状
苗の床土底面に対して食い込ませる突起８ａの複
数個を外周囲に周方向に並列させた状態で有する
回転体８を、苗のせ台７の底板７ａに対して回転
軸芯が裏面側に位置する状態で、かつ上部側に位
置する突起８ａが前記底板７ａに形成の孔７ｂか
ら突出する状態で、更にマツト状苗夫々に対して
４個づつ対応させた状態で回転軸９に一体回転可
能に付設すると共に、苗のせ台７が左右の摺動ス
トロークエンドに達した時にのみ回転体８がマツ
ト状苗を強制下降させる方向に回動するべく前記
回転軸９を一定量だけ回動させる間歇駆動機構１
０を後述する如く構成してある。もつて、前記苗
植装置３の植付爪３ａにより苗のせ台上のマツト
状苗の下端部から横方向に順次にブロツク状苗を
分割させると共に取出させ、その一列が完了する
毎に、回転体８によりマツト状苗を苗取出し口側
に強制移送させるようにしてある。

前記間歇駆動機構１０を構成するに、第３図及
び第４図に示すように、前記回転軸９に、その回
動に対する摩擦式制動装置１１、回転軸９に苗下
降移送方向に相当する方向の回動力のみ伝達する
一方向クラツチ機構１２を夫々付設すると共に、
前記苗のせ台７に回転自在に取付けた苗のせ台摺
動用軸１３と前記クラツチ機構１２の入力揺動ア
ーム１２ａを連動連結し、更に、前記摺動用軸１
３とそれをスライド移動させる常時回動の螺旋軸
１４との間に、苗のせ台７が左右の摺動ストロー
クエンドに達した時にのみ一体回動可能に係合す
るカム機構１５を設けてある。第４図及び第５図
に示すように、前記回転体夫々において、前記突
起８ａ夫々を、その回転前方側縁部１６が全長に
わたつて先端側ほど回転位相が遅れる形状に構成
すると共に、底板７ａの表面を境にして、底板７
ａの表面から突出する突起８ａ部分の軸芯方向の
巾よりも、底板７ａの表面からボス部８ｂに至る
部分８ｃの軸芯方向の巾を厚くして、孔７ｂと回
転体８側面との隙間Ｓを、苗根の突起８ａよる苗
のせ台７の側への引込みを阻止するに足る比較巾
狭なものに構成してあり、前記突起８ａの苗のせ
台底板７ａからその苗のせ面側に突出する部分に
苗根が絡み付いても、突起８ａが苗のせ台底板７
ａの裏側に引退するに伴つて、前記位相遅れ形状
の作用と苗のせ台底板７ａの掻取り作用並びに前
記巾狭隙間Ｓの作用によつて突起８ａから外れ易
くなるように配慮してある。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機用苗供給装置の実施
例を示し、第１図は乗用型田植機の側面図、第２
図は苗供給装置の側面図、第３図は第２図の−
断面矢視図、第４図は回転体の拡大側面図、第
５図は第４図の−断面矢視図である。 ７……苗のせ台、７ａ……底板、７ｂ……孔、
８……回転体、８ａ……突起、８ｂ……ボス部、
８ｃ……部分、Ｓ……隙間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 苗のせ台７上のマツト状苗の床土底面に対し
   て食い込ませる突起８ａを有する回転体８を、
   前記苗のせ台７の底板７ａに対して回転軸芯が
   裏面側に位置する状態でかつ突起８ａが苗のせ
   台７の底板７ａに形成の孔７ｂから突出する状
   態で設けた田植機用苗供給装置であつて、前記
   回転体８の、ボス部８ｂから苗のせ台７の底板
   ７ａの表面に至るデイスク部分８ｃの軸芯方向
   の巾を、そのデイスク部分８ｃの外周縁から突
   起８ａ先端に至る部分よりも厚くして、かつ、
   前記突起８ａ部分のみを苗のせ台７の底板７ａ
   から突出させて、前記孔７ｂと回転体８側面と
   の隙間Ｓを、苗根の前記突起８ａによる前記苗
   のせ台７の裏側への引込みを阻止するに足る比
   較的巾狭なものに構成してある事を特徴とする
   田植機用苗供給装置。 ２ 前記回転体８により前記苗のせ台７上のマツ
   ト状苗を間歇的に強制移送させるべく構成して
   あることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の田植機用苗供給装置。