JPS645054Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、取り扱い簡単にして迅速かつ安全
に内容液の排出及び閉塞が可能なドレン排出装置
に関する。

［従来の技術］ 自動車用ラジエータのロワ・タンクに設置され
る従来のドレン排出装置ａは、第１図に示す如
く、タンク壁ｂに固設される筒状のシート部材ｃ
と、このシート部材ｃにパツキンｄを介して螺着
されるドレン・コツクｅとにより構成されてい
る。

したがつて、このように構成されるドレン排出
装置においては、ドレン・コツクｅをパツキンｄ
が圧接される迄シート部材ｃに螺合した時閉栓状
態が保たれ、また、ドレン・コツクｅをシート部
材ｃから螺脱することによつて内容液（冷却液）
の排出が達成される。そのため、ドレン・コツク
ｅの螺脱をするには、ドレン・コツクｅを数回転
させねばならなかつた。

ところで、昨今自動車のエンジン・ルーム内は
種々のフアクターの設置、及びこれらに付属され
るものによつて益々繁雑化される様相を呈してお
り、これらのフアクターによつてスペースに余裕
がなくなつてきている。このような状況の中にあ
つてラジエータのロワ・タンクに設置される上記
ドレン排出装置ａは、その設置場所の関係上、特
に排出作業をする際、開栓・閉栓操作に不便を来
たしている。

このような問題を解決しようとするものとし
て、ドレン・コツクを途中迄ゆるめると、ドレ
ン・コツクの外周面に形成された案内溝を介して
内容液を導出させるようにしたものや、ドレン・
コツクを１回転程ゆるめるとドレン・コツクの内
部に形成された誘導孔を介して内容液が導出され
るようにしたもの（実開昭55−170413号公報参
照）が工夫されている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしこれらは何れも排出作業を容易に為すこ
との出来る点では有効ではあるものの、その際の
作業性の面や安全性の面に欠陥があり、実用上好
ましいものとは言えない。すなわち、前者にあつ
ては高温液が手にかかることもあり、後者にあつ
てはドレン・コツク自体にドレン・パイプ或はド
レン・ホースが接続される関係上、ドレン・コツ
クを回し難い欠点があつた。なお、実開昭49−
120936号公報には、ドレンコツクとシート部材と
の間に隙間を設け、ドレンコツクを緩めることに
よつてその隙間から内容液が排出できる構造が開
示されている。

しかし、この先行例では、ドレンコツクとシー
ト部材との係合が両者に設けたテーパ部での擦り
合わせによつて為されているため、両者の面精度
が要求され、コストアツプになる。また、スケー
ルが付着すると、止水性が悪くなり、漏水の虞が
あるなどの不具合がある。

［考案の目的］ 本考案はかかる従来の問題点を解決するために
為されたもので、その目的は、簡単な構造で内容
液の排出が簡単に行なわれ、確実に内容液の止水
が確保できるドレン排出装置を提供することにあ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案にかかるドレン排出装置は、タンク壁に
固着されるシート部材と、このシート部材に螺着
されるドレン・コツクとを有しており、前記シー
ト部材は、その天壁に形成される連通孔と、筒壁
に設けられるドレン・パイプとを有しており、一
方、前記ドレン・コツクには、前記連通孔からの
内容液をドレン・パイプへ誘導するように形成さ
れる誘導路と、前記連通孔に対峙するパツキンを
設けたものである。

［考案の作用］ 本考案においては、ドレン・コツクがその先端
に設けたパツキンを連通孔に当接していると、パ
ツキンが連通孔を止水し、内容液が外部へ漏出す
ることがない。そして、ドレン・コツクを緩める
と、パツキンと連通孔とで形成していた止水構造
部位から内容液が吐出し、シート部材とドレン・
コツクとの間を通つて外部へ排出される。

［考案の実施例］ この考案は、上記の如き問題を解決したドレン
排出装置を提供するものである。

以下、この考案の一実施例を第２図及び第３図
に基づき説明する。

この実施例のドレン排出装置１には、第２図に
示す如く、タンク壁２に固設されるシート部材３
と、このシート部材３に螺着されるドレン・コツ
ク４とを有している。

前記シート部材３は、金属材料を素材とし、縦
断面が略コ字状の筒形になるように形成されてい
る。そのシート部材３の天壁５の中央部分には、
タンク内と連通するように連通孔６が形成されて
いる。また、シート部材３の筒壁７にはドレン・
パイプ８が外方に突出するように設けられてい
る。このドレン・パイプ８は、シート部材３の内
壁に設けられる環状溝９を介して設けられてい
る。

前記ドレン・コツク４は、合成樹脂材料を素材
とし、コツク主体１０とこのコツク主体１０に一
体成形されるツマミ部１１とを有している。前記
コツク主体１０には、前記連通孔６からの内容液
をドレン・パイプ８へ誘導するために溝形の誘導
路１２が側方に、また、先端部には前記連通孔６
と対峙するようにパツキン１３が設けられてい
る。誘導路１２は、コツク主体１０の先端からネ
ジ溝１４が形成される部分を横切つて設けられて
いる。そして、誘導路１２の終端部１２′は環状
溝９に接続される位置まで達するように設けられ
ている。なお、この装置１は、誘導路１２の先端
と連通孔６とが重ならないようにその位置をずら
しており、連通孔６がパツキン１３によつて閉塞
された場合にその誘導路１２又はネジ溝１４を伝
わつて内容液が流出しないように構成されてい
る。

次に、上記のように構成されるこの実施例の作
用を説明する。

この装置１を閉栓する場合には、ドレン・コツ
ク４のコツク主体外周面に形成されている雄ねじ
１４ａをシート部材３の内周面に形成される雌ね
じ１４ｂに螺合することで連通孔６にパツキン１
３が密接され、連通孔６と誘導路１２及びネジ溝
１４とは遮蔽され、水密性が保たれている。

また、ドレン・コツク４を開栓状態にする場合
には、ドレン・コツク４のツマミ部１１を１回転
程度旋回させるだけで第３図に示すように、内容
液は、矢印Ａの如く連通孔６から誘導路１２と環
状溝９を径由してドレン・パイプ８へ導出され、
タンク外部に排出することができる。

なお、ドレン・コツク４とシート部材３とはコ
ツク主体１０の終端部１０′がシート部材３の内
周面に密着し乍ら移動するから環状溝９と誘導路
１２とは連通が保たれている。

［考案の効果］ 以上のように、この考案に係るドレン排出装置
によれば、タンク壁に固設されるシート部材と、
このシート部材に螺着されるドレン・コツクとを
有しており、前記シート部材は、その天壁に形成
される連通孔と、筒壁に設けられるドレン・パイ
プとを有しており、一方、前記ドレン・コツクに
は、前記連通孔からの内容液をドレン・パイプへ
誘導するように形成される誘導路と、前記連通孔
に対峙するパツキンを設けたから、ドレン・コツ
クを僅かに回転させるだけの操作によつてタンク
内の内容液の排出を行なうことができるばかりで
なく、排出操作はドレン・コツクに何の接続物も
ないから簡単に行なえ、高温になつた内容液はド
レン・パイプから排出されるので手に火傷を負う
こともなく安全である。さらに、連通孔がパツキ
ンによつて閉塞されている時に誘導路又はネジ溝
が連通孔とは重なり合わないため、コツク閉塞時
に内容液がネジ溝などを伝わつて流出することも
ないからその防止のための別のパツキンが不要と
なり、連通孔と対峙するパツキンのみでもつて充
分な閉塞機能をもたせることができる。また、ド
レン・コツクをシート部材に螺合すると、その先
端に設けたパツキンが天壁に形成された連通孔に
当接して、連通孔を閉塞するので、テーパ形状に
して擦り合わせる従来方式のように特殊な加工及
び精度が要求されず、低廉となる。しかも、スケ
ール等が付着しても、パツキン自体の弾性によつ
て止水構造を確保できるため、漏水の虞がない。
従つて、特に自動車用ラジエータのロワ・タンク
に設置されるもののように作業スペースに余裕の
ない場所等に設置されるドレン排出装置として極
めて有用である。

尚、この考案は上記実施例に限らず実用新案登
録請求の範囲内における設計的な変更ができるこ
とはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のドレン排出装置を示す縦断面
図、第２図及び第３図はこの考案に係るドレン排
出装置の一実施例を示す縦断面図である。 １……ドレン排出装置、２……タンク壁、３…
…シート部材、４……ドレン・コツク、５……天
壁、６……連通孔、７……筒壁、８……ドレン・
パイプ、９……環状溝、１２……誘導路、１３…
…パツキン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) タンク壁に固設されるシート部材と、このシ
   ート部材に螺着されるドレン・コツクとを有し
   ており、前記シート部材は、その天壁に形成さ
   れる連通孔と、筒壁に設けられるドレン・パイ
   プとを有しており、一方、前記ドレン・コツク
   には、前記連通孔からの内容液をドレン・パイ
   プへ誘導するように形成される誘導路と、前記
   連通孔に対峙するパツキンを設けたことを特徴
   とするドレン排出装置。 (2) 誘導路とドレン・パイプとは、ドレン・コツ
   ク又はシート部材に形成される環状溝を介して
   接続される実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のドレン排出装置。