JPS644420B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は同期電動機用固定子に関するものであ
る。

同期電動機例えば交流型サーボモータにおいて
は、装置全体の小型軽量化及び製造工程の筒略化
を図ることが課題となつている。このため、従来
より、同期電動機の外被を兼ねた固定子本体を形
成し、この固体子本体の内周側に形成した溝にコ
イルを巻きつけるとともに、この固定子本体の両
端面に回転子の軸受を備えた端部ハウジングをボ
ルト止めする方法が採られており、更に、この固
定子本体を多数のコアシートの積層体と端部補強
部材との溶接によつて一体的に構成する方法が採
られている。しかしながら、このような構成の場
合、コアシート積層体と端部補強部材との溶接に
よつて変形が生じるため、溶接後に、その変形を
旋盤加工等によつて修正する必要があり、こうし
た後加工の容易化を図ることが課題となつてい
る。また、溶接後の固定子本体には、一般に端部
ハウジング取付け用のねじ穴が加工成形される
が、このねじ穴は溶接部と干渉しない位置に設け
る必要がある。このため、固定子を径方向に大型
化させることなくねじ穴の形成スペースを確保で
きるようにすることが課題となつている。

第１図及び第２図は従来の固定子を用いた同期
電動機を示す。固定子は同期電動機の外被を兼ね
た固定子本体１を備えている。この固定子本体１
は多数のコアシート２からなるコアシート積層体
と、該コアシート積層体の両端部に溶接によつて
固着された端部補強部材３とからなつており、コ
アシート２の内周側にはコイル挿入用の溝２Ａが
形成されている（第２図参照）。従来の端部補強
部材３は薄い板材からなつており、端部補強部材
３の外側面には補強棒挿通用の溝３Ａが形成され
ている。溝３Ａへ端部補強部材３の両端面に開口
している。コアシート２の外側面にも溝３Ａと同
様の溝が形成されており、これらの溝に補強棒が
挿通され、補強棒に沿つてコアシート積層体及び
端部補強部材３が符号４で示す如く溶接されてい
る。

固定子本体１は溶接工程及びコイル巻付け工程
を終えた後に仕上げ切削加工されるが、従来の端
部補強部材３は薄い板材からなつているため、そ
の加工が困難となつている。一方、端部補強部材
３の外端面には端部ハウジング５をボルト止めす
るためのねじ穴３Ｂが加工形成されるが、従来の
固定子においては、溶接部４が薄板状の端部補強
部材３の外端面まで延びているため、ねじ穴３Ｂ
は溶接部４を干渉しないように周方向にずらした
位置に設ける必要がある。このため、端部補強部
材３には溶接部用の半径方向スペースとねじ穴用
の半径方向スペースとを別々に確保させねばなら
ず、この結果、固定子が半径方向に大型化するこ
ととなつている。

上記欠点に鑑み、本発明は固定子本体の溶接工
程及びコイル巻付け工程の後の機械加工を容易に
行なうことができ、しかも、径方向の小型化及び
軽量化を図ることができる同期電動機用固定子を
提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明にあつては、
外径側輪郭形状を多角形状とした多数のコアシー
トからなるコアシート積層体と、コアシート積層
体の両端から軸方向外方にはみ出すようにコアシ
ート積層体の内径側に設けられる固定子巻線と該
固定子巻線のはみ出し部の周りを取り囲むように
該コアシート積層体の両端部にそれぞれ配置され
て外径側輪郭がコアシート積層体と同一の多角形
状に形成された筒状の端部補強部材と、該端部補
強部材にボルトによつて固定される端部ハウジン
グとを備えた同期電動機用固定子であつて、コア
シート積層体と端部補強部材とを相互に固着する
ための溶接部を、コアシート積層体の外径側角部
及び端部補強部材の外径側角部に沿つてコアシー
ト積層体の全長及び端部補強部材の軸方向途中位
置まで連続的に設け、且つ、端部補強部材の外径
側角部の半径方向内側には溶接部の軸方向終端近
傍から端部ハウジングに当接される端部補強部材
の端面に向かつて開口するボルト螺合用のねじ穴
を形成するように構成する。

上記構成を有する同期電動機用固定子において
は、コアシート積層体及び筒状の端部補強部材の
外径側輪郭が多角形状であり、溶接部や外径側の
角部に沿つて設けられており、しかし、ねじ穴が
外径側角部の半径方向内方に溶接部と干渉しない
ように設けられているので、固定子の径方向の小
型化及び軽量化を達成できる。しかも、本発明に
おいては、筒状即ち軸方向厚みの厚い端部補強部
材を用いているので、溶接による固定子の変形量
を少なくすることができる。したがつて、溶接及
びコイル巻付け後の機械加工時に加工代を少なく
することができると共に、均一な切削が可能とな
り、溶接及びコイル巻付け後の機械加工の経済性
及び加工精度の向上を実現することができる。ま
た、端部補強部材の筒状としたので溶接及びコイ
ル巻付け後の機械加工時に端部補強部材を容易に
把持することができる。したがつて、溶接後の機
械加工を容易に行うことができる。

以下、図面第３図ないし第６図を参照して本発
明の一実施例を説明する。

第３図において、１０は同期電動機の外被を兼
ねた固定子本体で、該固定子本体１０は多数のコ
アシート１１からなるコアシート積層体と、該コ
アシート積層体の両端部に溶接によつて固着され
た端部補強部材１２とからなつている。コアシー
ト１１の内周側には、第４図に示すように、コイ
ル挿通用の溝１１Ａが全周にわたつて形成されて
いる。

端部補強部材１２は筒状体からなつている。コ
アシート積層体と端部補強部材１２とを溶接する
溶接部１３はコアシート積層方向全長に渡つてコ
アシート積層体の外側表面に形成され、且つ、該
コアシート積層体の外側表面から端部補強部材１
２の外側表面の軸方向途中位置まで延びている。
更に詳しく説明すると、第５図及び第６図に示す
ように、各コアシート１１の外側表面には補強棒
１４を挿通させるための溝１１Ｂが形成されてい
る。端部補強部材１２の外側表面には溝１１Ｂと
同一断面形状の溝１２Ａが形成されており、この
溝１２Ａは端部補強部材１２の端面から軸方向途
中位置まで延びている。補強棒１４はコアシート
１１の溝１１Ｂ内を貫通して端部補強部材１２の
溝１２Ａ内に延びており、補強棒１４とコアシー
ト１１と端部補強部材１２とが一体に溶着されて
いる。ここでは、コアシート１１及び端部補強部
材１２はほぼ正八角形の外形をなしており、コア
シート１１及び端部補強部材１２の各角部に沿つ
て溶接が行なわれている。

溶接工程を終了した固定子本体１０にはコイル
が巻きつけられる。コイルはコイル積層体の両端
部からはみ出すが、コイルのはみ出し部１５は端
部補強部材１２の外部には突出していない。コイ
ルの巻付け作業を終了した固定子本体１０には機
械加工が施される。この機械加工によつて固定子
本体１０は所望の寸法形状に仕上げられる。

また、端部補強部材１２には回転子の軸受を備
えたフランジ状端部ハウジング１６をボルト止め
するためのねじ穴１２Ｂが形成される。このねじ
穴１２Ｂは端部補強部材１２の角部すなわち半径
方向幅が最大となる端面上の位置に形成するのが
強度上好ましい。上述したように、端部補強部材
１２の角部には溶接部１３が形成されているが、
本発明によれば、溶接部１３は、第５図に示すよ
うに、端部補強部材１２の軸方向途中位置までと
なつているので、端部補強部材１２の角部端面に
ねじ穴１２Ｂを形成してもねじ穴１２Ｂと溶接部
１３とが干渉することはない。以上のような理由
により、ねじ穴１２Ｂは端部補強部材１２の各角
部近傍の端面に形成されている。このような構成
によれば、端部補強部材１２の各角部間の半径方
向寸法を最小限度まで小さくすることができるの
で、固定子の半径方向の小型化及び軽量化を図る
ことができる。端部補強部材１２の軸方向長さ
は、機械加工機への取付け性、ねじ穴１２の深さ
等を考慮して必要寸法に選定することができる。
なお、端部補強部材１２の軸方向長さの増大分だ
け端部ハウジング１６を短縮させることができる
ため、同期電動機の全長が増大することはない。

以上一実施例につき説明したが、本発明は上記
実施例の態様のみに限定されるものではなく、例
えば溶接部の形態やコアシート、端部補強部材等
の外形形状に変更を加えることは当業者にとつて
容易になし得る。

以上の説明から明らかなように、本発明は、コ
アシート積層体と外径側輪郭がコアシート積層体
と同一の多角形状に形成された筒状の端部補強部
材とを相互に固着するための溶接部を、コアシー
ト積層体の外径側角部及び端部補強部材の外径側
角部に沿つてコアシート積層体の全長及び端部補
強部材の軸方向途中位置まで連続的に設け、且
つ、端部補強部材の外径側角部の半径方向内側に
は溶接部の軸方向終端近傍から端部ハウジングに
当接される端部補強部材の端面に向かつて開口す
るボルト螺合用のねじ穴を形成したことを特徴と
するものであるから、溶接工程及びコイル巻付け
工程を終えた後の固定子本体の機械加工を容易に
行なうことができるようになる。また、回転子の
軸受用ハウジングをボルト止めするためのねじ穴
を形成する場合に、固定子本体の半径方向寸法を
増大化させることなくねじ穴形成スペースを確保
することができるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の同期電動機用固定子を組込んだ
同期電動機の一部縦断面側面図、第２図は第１図
中−線方向から見た従来の同期電動機用固定
子の端面図、第３図は本発明の一実施例に係る同
期電動機用固定子を組込んだ同期電動機の一部縦
断面側面図、第４図は第３図中−線方向から
見た従来の同期電動機用固定子の端面図、第５図
は第３図に示す固定子の要部拡大縦断面図、第６
図は第３図に示す固定子の要部拡大横断面図であ
る。 図において、１０は固定子本体、１１はコアシ
ート、１１Ａは溝、１２は端部補強部材、１３は
溶接部をそれぞれ示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外径側輪郭形状を多角形状とした多数のコア
   シート１１からなるコアシート積層体と、 該のコアシート積層体の両端から軸方向外方に
   はみ出すようにコアシート積層体の内径側に設け
   られる固定子巻線と、該固定子巻線のはみ出し部
   １５の周りを取り囲むように該コアシート積層体
   の両端部にそれぞれ配置されて外径側輪郭形状が
   コアシート積層体と同一の多角形状に形成された
   筒状の端部補強部材１２と、該端部補強部材にボ
   ルトによつて固定される端部ハウジング１６とを
   備え、 コアシート積層体と端部補強部材とを相互に固
   着するための溶接部１４を、コアシート積層体の
   外径側角部及び端部補強部材１２の外径側角部に
   沿つてコアシート積層体の全長及び端部補強部材
   １２の軸方向途中位置まで連続的に設け、 端部補強部材１２の外径側角部の半径方向内側
   には、溶接部１４の軸方向終端近傍から端部ハウ
   ジング１６に当接される端部補強部材１２の端面
   に向かつて開口するボルト螺合用のねじ穴１２Ｂ
   を形成したことを特徴とする同期電動機用固定
   子。