JPS643604Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、旋盤用チヤツクでクランクシヤフ
トのように、屈曲した撓み易い長いワークの前端
を掴むとともに、両センタで支えて加圧する場合
のアンバランスの補正装置に関するものである。

〔従来の技術〕

上記のようなワークを両センタで支えるととも
にワークの一端をチヤツクで掴んで加工する場
合、従来ではチヤツク本体の前部における外周寄
りに、揺動レバーを設け、このレバーの前端をカ
ウンタバランスジヨウとしてワークの外方へ屈曲
した部分に接触させ、同レバーの後端にバランス
ウエイトを固定したものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような従来の補正装置はチヤツク本体と
ともにワークを回転させたとき、バランスウエイ
トの遠心力により揺動アームの前部のカウンタバ
ランスジヨウがワークに圧着して、遠心力によつ
てワークに生ずる撓みを打ち消す作用はあるが、
バランスウエイトがワークの偏心している方向に
あるためワークを含むチヤツク本体のバランスを
補正する必要がある。

従つて、上記の揺動レバー取付部と反対の側
に、さらに別のバランスウエイトを取付けなけれ
ばならないので、バランスの調整が面倒であると
いう問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するために、この考案は、
旋盤チヤツクの本体の前部両側に、本体の回転軸
芯と直交する方向に進退する左右一対の軸を配置
するとともに、この両軸の一端を横枠によつて一
体に連結し、この横枠には、チヤツクされたワー
クの外周一側を押すカウンタバランスジヨウを固
定し、前記各軸の他端にはバランスウエイトを固
定し、前記アクチユエータとカウンタバランスジ
ヨウの間には、チヤツク爪の開放時において、カ
ウンタバランスジヨウをワークから離すように作
用するリンク機構を設けたものである。

〔作用〕

この考案は、上記の構成であるから、アクチユ
エータが前進してチヤツク爪が開いているときは
リンク機構の作用で、カウンタバランスジヨウと
バランスウエイトは外方に位置しているから、ワ
ークは容易にカウンタバランスジヨウとバランス
ウエイト間に入れることができる。

ついで、ワークを両センタで支持し、アクチユ
エータを後退させるとチヤツク爪がワークの端部
を掴み、カウンタバランスジヨウがワークの外側
に圧着する。この状態でチヤツク本体を駆動し、
ワークを加工するが、このさいワークはカウンタ
バランスジヨウの方へ偏心しているから、その遠
心力はカウンタバランスジヨウを外方へ押すよう
に働く。

一方、バランスウエイトに働く遠心力はカウン
タジヨウをワークに押し付けるように働くから、
両方の遠心力はバランスしてワークを撓ませるこ
となく正確に支持する。

〔実施例〕

図において、１は旋盤の主軸前部の支持部にボ
ルト止めなどにより固定したチヤツク本体であ
り、その外周に筒体２を固定し、その前面には一
部を切り開いたほぼ環状の保持枠３が取付台１３
により本体１との間に若干の間隙を有する状態で
固定してある。また、筒体２の前記の他側にはバ
ランスウエイト１４を着脱自在に固定する。

４は本体１の外周寄りに、前広がり状に形成し
た複数（図では３個）の斜孔で、この斜孔４にチ
ヤツクピン５を進退および回動自在に挿入する。

このピン５には、軸方向の溝６を形成し、この
溝６には本体１にねじ込んだボルト７の内端の突
部８を適宜の遊隙を存して係合させることによつ
て、ピン５を僅かの範囲以上には回動しないよう
にする。

また、前記チヤツクピン５の前端内側を凹入さ
せてここにチヤツク爪９を固定し、同ピン５の後
端には係合溝１０を設ける。

１１は図示省略してあるパワーシリンダで進退
されるアクチユエータで、その外周の切欠１２が
前記チヤツクピン５の係合溝１０に係合する。

１５は本体１の前面中央に固定したセンタ取付
部材で、ここにセンタ１６を進退自在に取付け、
これをバネ１７により前方に押す。

１８は本体１の前面の保持枠３の両側に固定し
た左右一対のガイド部材で、この両部材１８のガ
イド孔に左右一対の軸１９を摺動自在にはめる。

２０は前記両軸１９の一端を一体に連結す横枠
で、この横枠２０の中央に第１図のようなカウン
タバランスジヨウ２１をボルト２２により着脱自
在に固定する。

また、各軸１９の他端にはバランスウエイト取
付台２３を固定し、この各取付台２３にバランス
ウエイト２４をボルト止めにより着脱自在に固定
する。

２５は、本体１の前面に固定した箱形の枠で、
この枠２５内にＬ形のリンク２６を軸２７により
揺動自在に取付け、その前端を枠２５の前面の開
口から前方へ突出させる。

第１図の２８は前記横枠２０の中央から後方へ
向けて固定した片で、この片２８の側部に設けた
ピン２９の内側に前記リンク２６の前端を接触さ
せる。

第２図の３０は左右のガイド部材１８に設けた
ガイド孔に進退自在に設けた押棒で、バネ３１に
より前記各取付台２３を外方へ押し、これと軸１
９を介し一体となつた横枠２０の片２８に設けた
ピン２９をリンク２６に圧着せしめる。

第１図のように、前記アクチユエータ１１の所
定部に前向きの進退ピン３２を固定し、この進退
ピン３２の前端と前記リンク２６の後部とを連結
ピンと長孔の遊嵌により連結してアクチユエータ
１１の前進でリンク２６を外方へ回動させるよう
にする。

さらに、前記保持枠３の前面所定部にはボール
プランジヤ３３を取付けてそのボールをバネによ
りバランスウエイト取付台２３の背面に圧着せし
めることにより取付台２３の動きに適度の抵抗を
与える。

上記実施例の作用を説明すれば、両端にセンタ
孔を設けたワーク３４の前端のセンタ孔に第１図
のセンタ１６をはめ、同ワーク３４の後端のセン
タ孔には図示省略してあるテールストツクの芯押
軸に設けたセンタをはめて、芯押軸を前進させる
ことにより両センタによりワーク３４を支持す
る。

ついで、図示省略してあるパワーシリンダの作
用によりアクチユエータ１１を後退させると、各
チヤツクピン５は後退しつつ内側へ寄り、その先
端のチヤツク爪９によりワーク３４の前端の外周
を掴む。

一方、上記のように、アクチユエータ１１が後
退するさい、ピン３２も後退するから、第１図の
鎖線の位置にあつたリンク２６が内側へ回動す
る。こうしてリンク２６が内側へ回動すると、バ
ネ３１によりリンク２６に押し付けられているピ
ン２９が内側へ動き、これと一体の横枠２０、カ
ウンタバランスジヨウ２１、軸１９、取付台２
３、バランスウエイト２４も同方向に動き、前記
ジヨウ２１が第１図のようにワーク３４の偏心軸
部３５の外側に当たる。

この状態でチヤツク本体１を回転させ、切削加
工を始めると、ワーク３４の偏心軸部３５には第
１図矢印ａ方向の遠心が発生してワーク３４を矢
印ａ方向に撓ませようとする。

また、カウンタバランスジヨウ２１にも同方向
の遠心力が発生するが、他方のバランスウエイト
２４には矢印ａと反対の矢印ｂ方向の遠心力が発
生し、この遠心力の方がジヨウ２１の遠心力より
大きいので、ジヨウ２１は偏心軸部３５を矢印ａ
と反対の方向に押す。

従つて、バランスウエイト２４の値を適当に選
ぶことにより、ワーク３４の撓みは防止される。

切削加工が終り、パワーシリンダの作用で、ア
クチユエータ１１が前進すると、各チヤツク爪９
が開き、同時にリンク２６が第１図の鎖線のよう
に回動してピン２７を外方へ押し、片２８を介し
てカウンタバランスジヨウ２１を外方に移動させ
て偏心軸部３５から離す。その後ワーク３４を両
センタから外す。

〔効果〕

この考案は、上記のように、センタ孔基準の旋
盤チヤツクの本体の前部両側に、本体の回転軸芯
と直交する方向に進退する左右一対の軸を配置す
るとともに、この両軸の一端を横枠によつて一体
に連結し、この横枠には、チヤツクされたワーク
の外周一例を押すカウンタバランスジヨウを固定
し、前記各軸の他端にはバランスウエイトを固定
したものであるからカウンタバランスジヨウを作
用させるバランスウエイトはチヤツク本体の回転
中心を挟んでジヨウの反対側となる。従つてワー
クの偏心軸部に発生する遠心力とバランスウエイ
トに発生する遠心力は互いに打ち消すように作用
するので、切削時のアンバランス補正効果が大で
あり、同時にワークの撓みを防止する。また、リ
ンク機構により、チヤツク爪とカウンタバランス
ジヨウとが連動し、チヤツク爪を開放したときカ
ウンタバランスジヨウもワークから離れるのでワ
ークの着脱がきわめて容易かつ能率的に行えるな
どの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断側面
図、第２図は同上の一部縦断正面図である。 １……チヤツク本体、９……チヤツク爪、１１
……アクチユエータ、１６……センタ、１９……
軸、２０……横枠、２１……カウンタバランスジ
ヨウ、２４……バランスウエイト、２６……リン
ク、３４……ワーク、３５……偏心軸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸とともに回転するチヤツク本体の周囲部に
   パワーシリンダで駆動されるアクチユエータによ
   り開閉される複数のチヤツク爪を設け、中心部に
   はセンタを設けたセンタ孔基準の旋盤チヤツクに
   おいて、本体の前部両側に、本体の回転軸芯と直
   交する方向に進退する左右一対の軸を配置すると
   ともに、この両軸の一端を横枠によつて一体に連
   結し、この横枠には、チヤツクされたワークの外
   周一側を押すカウンタバランスジヨウを固定し、
   前記各軸の他端にはバランスウエイトを固定し、
   前記アクチユエータとカウンタバランスジヨウの
   間には、チヤツク爪の開放時において、カウンタ
   バランスジヨウをワークから離すように作用する
   リンク機構を設けた旋盤チヤツクのアンバランス
   補正装置。